説明

車両用物品保持具

【課題】リモートコントローラー等の物品を車両内で保持可能な車両用物品保持具に関し、車両側のポケットからの物品保持具の脱落を未然に防止することができるようにした。
【解決手段】車両用物品保持具10には、物品、例えばリモートコントローラー20を保持するホルダー部70、ホルダー部70の背面上端部から延び、車両側のポケット31の開口縁部に挟み込んで固定するクリップ部80を備える。クリップ部80には、ポケット31の開口縁部の近傍に配置された弾性部材40に係合可能な係合部81を備える。弾性部材40は、ポケット31の開口縁部の近傍に配置されるゴムバンドから構成しても良い。また、係合部81には、弾性部材40をくわえ込むことが可能なくわえ込み部82を有していても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リモートコントローラー等の物品を車両内で保持可能な車両用物品保持具に関し、車両側のポケットからの物品保持具の脱落を未然に防止することができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話の保持具であるが、携帯電話を保持するホルダー部の背面上端部に、下方に向かって折り返し状に延びたクリップ部を設けて、当該クリップ部を車両側のポケットの開口縁部に差し込んで、保持具をポケットに取り付けることができるようにしていた(例えば特許文献1の段落番号「0011」〜「0012」、図1及び図2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-72254
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来の保持具では、クリップ部をポケットに差し込んでいただけであったので、乗員が誤ってホルダー部を蹴り上げるなどして下方からの力が加わると、クリップ部がポケットから抜けてしまい、保持具が脱落するおそれがあるという問題点があった。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を目的とする。
【0005】
すなわち、請求項1に記載の発明は、ポケットの開口縁部の近傍に配置された弾性部材に係合可能な係合部をクリップ部に設けておくことで、ポケットからの物品保持具の脱落を未然に防止することができるようにしたものである。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0006】
すなわち、請求項2に記載の発明は、ゴムバンドの伸縮性を利用し、物品保持具に無理な力が加わった際にも、力を逃すことでき、これにより物品保持具の破損を未然に防止することができるようにしたものである。
また、請求項2に記載の発明によれば、ゴムバンドを、他の物品の収納に利用することも可能である。例えば、ゴムバンドの両端部をシートの背面にブリッジ状に固定することで、ゴムバンドに比較的長尺なマップやガイドブック等を挟み込んで保持させることも可能である。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0007】
すなわち、請求項3に記載の発明は、クリップ部に設けたくわえ込み部に、弾性部材をくわえ込ませることで、物品保持具の脱落を防止することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、カッコ内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0009】
第1に、車両用物品保持具10には、例えば図1〜3に示すように、次の構成を備える。
(1)ホルダー部70
ホルダー部70は、例えば図1に示すように、物品(例えばリモートコントローラー20)を保持するものである。
(2)クリップ部(80)
クリップ部(80)は、例えば図1〜3に示すように、ホルダー部(70)の背面上端部から延び、車両側のポケット(31)の開口縁部に挟み込んで固定するものである。
【0010】
第2に、クリップ部(80)には、例えば図1〜3に示すように、次の構成を備える。
(3)係合部(81)
係合部(81)は、例えば図1に示すように、ポケット(31)の開口縁部の近傍に配置された弾性部材(40)に係合可能なものである。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0011】
すなわち、弾性部材(40)は、ポケット(31)の開口縁部の近傍に配置されるゴムバンドである。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0012】
すなわち、係合部(81)には、例えば図1〜3に示すように、クリップ部(80)の一端部から略並行に折り返されて形成され、弾性部材(40)をくわえ込むことが可能なくわえ込み部(82)を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
(請求項1)
請求項1に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、ポケットの開口縁部の近傍に配置された弾性部材に係合可能な係合部をクリップ部に設けておくことで、ポケットからの物品保持具の脱落を未然に防止することができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0014】
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、ゴムバンドの伸縮性を利用し、物品保持具に無理な力が加わった際にも、力を逃すことでき、これにより物品保持具の破損を未然に防止することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、ゴムバンドを、他の物品の収納に利用することも可能である。例えば、ゴムバンドの両端部をシートの背面にブリッジ状に固定することで、ゴムバンドに比較的長尺なマップやガイドブック等を挟み込んで保持させることも可能である。
(請求項3)
請求項3に記載の発明によれば、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0015】
すなわち、請求項3に記載の発明によれば、クリップ部に設けたくわえ込み部に、弾性部材をくわえ込ませることで、物品保持具の脱落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】車両用保持具をポケットに取り付けた状態の断面図である。
【図2】車両用保持具の斜視図である。
【図3】車両用保持具の側面図及び一部拡大図である。
【図4】車両用保持具の背面図である。
【図5】車両用保持具の平面図である。
【図6】車両用保持具の底面図である。
【図7】図3のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図4のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】図5のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】図5のX−X線に沿う断面図である。
【図11】図5のXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】図5のXII−XII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜3中、10は、車両用保持具であって、当該車両用保持具10は、車室内のAV機器のリモートコントローラー20等の物品を保持するものであり、シート30の背面のポケット31の開口縁部に挟み込んで固定するものである。
なお、物品として、リモートコントローラー20を例示したが、これに限定されず、携帯電話等でも良い。
【0018】
車両用保持具10には、図1〜3に示すように、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(3)については、後述する。
(1)弾性部材40
(2)保持具本体50
(3)クッション部60
なお、車両用保持具10の各部は、上記した(1)〜(3)に限定されない。
(弾性部材40)
弾性部材40は、図1に示すように、ポケット31の開口縁部の近傍に配置される。
【0019】
具体的には、弾性部材40には、ゴムバンドが使用されている。
ゴムバンドは、図1に示すように、ポケット31の内部に配置され、両端部がシート30の背面に縫い付けられ、ブリッジ状に固定されている。
なお、弾性部材40として、ゴムバンドを例示したが、これに限定されず、弾性を有する樹脂から構成しても良い。
(保持具本体50)
保持具本体50は、適度な弾性と剛性を有する、例えばABS樹脂等の硬質の熱可塑性樹脂で一体的に成形されている。保持具本体50は、一次成形され、後述するクッション部60は、適度な弾性を有する、例えばTPE(熱可塑性エラストマー)等の軟質の熱可塑性樹脂により二次成形される。
【0020】
具体的には、保持具本体50には、図1〜3に示すように、次の各部を備える。
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
(1)ホルダー部70
(2)クリップ部(80)
なお、保持具本体50の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(クッション部60)
クッション部60は、図8〜12に示すように、後述するホルダー部70の内面に形成されている。クッション部60は、適度な弾性を有する、例えばTPE(熱可塑性エラストマー)等の軟質の熱可塑性樹脂により成形され、一次成形されたホルダー部70に二次成形される。
【0021】
クッション部60は、ホルダー部70内に収納したリモートコントローラー20が、硬質樹脂製のホルダー部70に当たって異音を発生するのを防止するとともに、リモートコントローラー20の破損を防止するためのものである。
クッション部60の内側面には、図8及び図10〜12に示すように、ホルダー部70の高さ方向に延びる凸条61を所定の間隔で複数個設けている。凸条61は、ホルダー部70の高さ中央において、突出量を徐々に増加させている。
【0022】
また、クッション部60の底面には、図5に示すように、隆起した突起62を所定の間隔で複数個設けている。突起62は、ホルダー部70の内周に沿って環状に配置している。
凸条61や突起62は、リモートコントローラー20との接触面積を減少し、抜き差しを容易にするとともに、ホルダー部70内でのリモートコントローラー20のガタ付きを減少させるためのものである。
(ホルダー部70)
ホルダー部70は、図1に示すように、物品であるリモートコントローラー20を保持するものである。
【0023】
ホルダー部70は、図2〜12に示すように、開口上面71及び底壁72を有する角筒形に形成されている。
なお、ホルダー部70を、角筒形に形成したが、これに限定されず、円筒形に形成しても良い。
具体的には、ホルダー部70には、図2〜12に示すように、次の各部を備える。
【0024】
(1)開口上面71
(2)底壁72
(3)前壁73
(4)背壁74
(5)側壁75
なお、ホルダー部70の各部は、上記した(1)〜(5)に限定されない。
(クリップ部80)
クリップ部80は、図1に示すように、ホルダー部70の背面上端部から延び、車両側のポケット31の開口縁部に挟み込んで固定するものである。
【0025】
クリップ部80は、図9及び図10に示すように、ホルダー部70の背壁74の上端部から下方に向かって折り返し状に延びている。クリップ部80の上端部は、背壁74の上端部からL字形に屈曲して下方に延びている。クリップ部80の中央部は、背壁74の外側面に沿って下方に向かって延び、ポケット31の肉厚にほぼ等しい間隔で、背壁74の外側面から離れて対向している。クリップ部80の下端部には、略「V」字、或いは略「く」の字形に背壁74の外側面に向かって突出した突部84を設けている。突部84と背壁74の外側面との間隔は、ポケット31の肉厚未満に設定されている。
【0026】
具体的には、クリップ部80には、図2〜5及び図7〜10に示すように、次の各部を備える。
なお、クリップ部80の各部は、次の(1)〜(3)に限定されない。
(1)係合部81
係合部81は、図1に示すように、ポケット31の開口縁部の近傍に配置された弾性部材40に係合可能なものである。
【0027】
(2)くわえ込み部82
くわえ込み部82は、図1〜3に示すように、係合部81に形成され、クリップ部80の一端部から略並行に折り返されて形成され、弾性部材40をくわえ込むことが可能なものである。
具体的には、くわえ込み部82は、クリップ部80の下端部から上方に向かって略「V」字形に延びている。くわえ込み部82とクリップ部80との間には、上端部が開口した略「V」字の溝が形成され、当該溝に弾性部材40がはまり込むようにしている。
【0028】
(2)リブ83
リブ83は、図2、図3及び図7に示すように、くわえ込み部82とクリップ部80とに連接し、補強用のものである。
(取付方法)
上記した構成を有する車両用保持具10の取付方法について説明する。
【0029】
車両用保持具10を、図1に示すように、ポケット31に装着する。
すなわち、クリップ部80を、ポケット31の開口縁部に掛け、ホルダー部70を下降させる。このとき、ホルダー部70がクリップ部80とクリップ部80の背壁74の外側面との間隔内に差し込まれ、クリップ部80のバネ性によりポケット31の開口縁部に保持される。
また、突部84は、ポケット31に向かって突出することから、ポケット31からの抜けが阻止される。
【0030】
一方、乗員が誤ってホルダー部70を蹴り上げるなどして下方からの力が加わると、図示しないが、クリップ部80も上昇するが、このとき、くわえ込み部82に弾性部材40がくわえ込まれる。
このため、クリップ部80の上昇が阻止され、クリップ部80とクリップ部80の背壁74の外側面との間隔内からポケット31の開口縁部が抜けるのを阻止する。
【0031】
なお、ポケット31から車両用保持具10を取り外す際には、図示しないが、ポケット31内に手を入れ、くわえ込み部82にくわえ込まれた弾性部材40を外したり、或いは弾性部材40がくわえ込み部82にくわえ込まれないようにしながら、クリップ部80とクリップ部80の背壁74の外側面との間隔内からポケット31の開口縁部を抜き取れば良い。
(使用方法)
一方、ポケット31に装着された車両用保持具10の使用方法について説明する。
【0032】
リモートコントローラー20は、図1に示すように、ホルダー部70の開口上面71から差し込めば良い。リモートコントローラー20の使用に際しては、ホルダー部70の開口上面71から突出する部分をつかんで、ホルダー部70の開口上面71から抜き取れば良い。
【符号の説明】
【0033】
10 車両用保持具 20 リモートコントローラー
30 シート 31 ポケット
40 弾性部材 50 保持具本体
60 クッション部
61 凸条 62 突起
70 ホルダー部
71 開口上面 72 底壁
73 前壁 74 背壁
75 側壁
80 クリップ部
81 係合部 82 くわえ込み部
83 リブ 84 突部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を保持するホルダー部と、
前記ホルダー部の背面上端部から延び、車両側のポケットの開口縁部に挟み込んで固定するクリップ部とを備える車両用物品保持具において、
前記クリップ部には、
前記ポケットの開口縁部の近傍に配置された弾性部材に係合可能な係合部を備えていることを特徴とする車両用物品保持具。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用物品保持具であって、
前記弾性部材は、
前記ポケットの開口縁部の近傍に配置されるゴムバンドであることを特徴とする車両用物品保持具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用物品保持具であって、
前記係合部には、
前記クリップ部の一端部から略並行に折り返されて形成され、前記弾性部材をくわえ込むことが可能なくわえ込み部を有することを特徴とする車両用物品保持具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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