説明

車両用空力構造

【課題】ホイールハウス内を効果的に整流することができる車両用空力構造を得る。
【解決手段】車両用空力構造10は、ホイールハウス14内における前輪15に対する車体前後方向の後方に設けられ、車幅方向に延在されると共に車体上下方向の下側を向く空気流衝突壁24と、空気流衝突溝壁24における前輪15から遠い側の端部から車体上下方向の下向きに延設された空気流案内壁22と、空気流案内壁22及び空気流衝突溝壁24の少なくとも一方における車幅方向の一部に形成され該車幅方向との交差方向に沿って延在する内向壁30C、30Dを含む段差部30と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールハウス内の空気流を整流するための車両用空力構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のホイールハウス内における車輪に対する前側又は車幅方向内側にバッフルを固定して構成された空力スタビライザが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2003−528772号公報
【特許文献2】英国特許出願公開第2265785号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の如き従来の技術では、ホイールハウスからバッフルが突出しているので、車輪との干渉を避ける等の種々の制約があり、十分な整流効果を得ることが困難であった。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、ホイールハウス内を効果的に整流することができる車両用空力構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明に係る車両用空力構造は、ホイールハウス内における車輪に対する車体前後方向の前方又は後方に設けられ、車幅方向に延在されると共に車体上下方向の下側を向く空気流衝突壁と、前記空気流衝突壁における前記車輪から遠い側の端部から車体上下方向の下向きに延設された空気流案内壁と、前記空気流衝突壁及び空気流案内壁の少なくとも一方における車幅方向の一部に形成され、該車幅方向との交差方向に沿って延在する部分を含む断面形状急変部と、を有する。
【0006】
請求項1記載の車両用空力構造が適用された車両では、走行に伴って空気流が車輪の前面に当たりホイールハウス内を後方(車輪回転方向の上流側)に向かう空気流が生じる。また、車両の走行(車輪の回転)に伴って、ホイールハウス内には、車輪の回転に引きずられて前方(車輪回転方向の下流側)に向かう空気流が生じる。
【0007】
空気流衝突壁が車輪の回転中心よりも車体前後方向の後側に設けられた構成では、ホイールハウス内を前方に向かう空気流の一部は、空気流案内壁に導かれて空気流衝突壁に衝突する。これにより、空気流衝突壁と空気流案内壁とで形成される凹(溝)状部分の廻りで圧力が上昇し、ホイールハウスへの空気流入が抑制される。また、空気流衝突壁が車輪の回転中心よりも後方に位置するので、車輪回転に伴うホイールハウスへの空気流入が上流(入口)側にて抑制され、ホイールハウスに流入した空気が側方から排出されることが抑制される。
【0008】
一方、空気流衝突壁が車輪の回転中心よりも車体前後方向の前側に設けられた構成では、ホイールハウス内を後方に向かう空気流は、空気流案内壁に導かれて空気流衝突壁に塞き止められ、空気流がホイールハウス内を後方へ向かって流れることが抑制される。これにより、ホイールハウス内を後方に向かう空気流と前方に向かう空気流との干渉が抑制され、これらの流れはスムースに車輪の側方に排出される。すなわち、車輪廻りの空気流が整流される。
【0009】
このように、請求項1記載の車両用空力構造では、ホイールハウス内を効果的に整流することができる。
【0010】
ところで、本車両用空力構造では、空気流衝突壁が車輪に対する車体前後方向の前後何れに設けられた構成においても、空気流案内壁が車輪から離間して位置するため、ホイールハウス内面側に雪や氷が付着した場合にこれら付着物の厚みが厚くなる場合がある。
【0011】
ここで、本車両用空力構造では、空気流衝突壁及び空気流案内壁の少なくとも一方に断面急変部が形成されているので、ホイールハウス内面側に付着した雪や氷等の付着物には脆弱部(応力集中部)が形成される。このため、ホイールハウス内面側に付着した雪や氷等の付着物は破壊(複数に分割)されやすくなり、該付着物のホイールハウスからの排出性が向上する。
【0012】
請求項2記載の発明に係る車両用空力構造は、請求項1記載の車両用空力構造において、前記断面形状急変部は、前記空気流衝突壁及び空気流案内壁の少なくとも一方における車幅方向の中央部に形成されている。
【0013】
請求項2記載の車両用空力構造では、断面形状急変部が車幅方向の略中央部に配置されているので、断面形状急変部に倣って形成された脆弱部において破壊された雪や氷等の付着物がホイールハウスから排除されやすい。
【0014】
請求項3記載の発明に係る車両用空力構造は、請求項1又は請求項2記載の車両用空力構造において、前記断面形状急変部は、前記空気流衝突壁及び空気流案内壁の少なくとも一方に形成され、車幅方向の一端側と他端側との車体前後方向又は車体上下方向の位置を異ならせる段差部を含んで構成されている。
【0015】
請求項3記載の車両用空力構造では、断面形状急変部に倣って、雪や氷等の付着物には脆弱部として段差が形成される。このため、該雪や氷等の付着物が破壊されやすい。
【0016】
請求項4記載の発明に係る車両用空力構造は、請求項1〜請求項3の何れか1項記載の車両用空力構造において、前記断面形状急変部は、前記空気流衝突壁及び空気流案内壁の少なくとも一方に形成され、前記車輪側に突出した凸部を含んで構成されている。
【0017】
請求項4記載の車両用空力構造では、断面形状急変部に倣って、雪や氷等の付着物には脆弱部として凹部が形成される。このため、該雪や氷等の付着物が破壊されやすい。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明に係る車両用空力構造は、ホイールハウス内を効果的に整流することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の第1の実施形態に係る車両用空力構造10について、図1乃至図7に基づいて説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印IN、及び矢印OUTは、それぞれ車両用空力構造10が適用された自動車Sの前方向(進行方向)、上方向、車幅方向内側、及び外側を示しており、以下単に上下前後及び車幅方向の内外を示す場合は上記各矢印方向に対応している。また、この実施形態では、車両用空力構造10は、左右の前輪15、後輪16にそれぞれ適用されるが、各車両用空力構造10は基本的に同様(左右の場合は対称)に構成されるので、以下、主に前輪用の左右一方の車両用空力構造10について説明することとする。
【0020】
図2には、車両用空力構造10が適用された自動車Sの前部が、車幅方向内側から見た模式的な側断面図にて示されている。また、図3には、自動車Sの前部が、模式的な平面断面図にて示されている。これらの図に示される如く、自動車Sは、その車体を構成するフロントフェンダパネル12を備えており、フロントフェンダパネル12には、前輪15の転舵を許容するために側面視で下向きに開口する略半円弧状に形成されたホイールアーチ12Aが形成されている。図示は省略するが、フロントフェンダパネル12の内側にはフェンダエプロンが結合されており、フェンダエプロンにはホイールハウスインナが設けられている。これにより、自動車Sの前部には、前輪15が転舵可能に配設されるホイールハウス14が形成されている。
【0021】
また、ホイールハウス14の内側には、側面視でホイールアーチ12Aに対応しかつ該ホイールアーチ12Aよりも若干大径の略円弧状形成されると共に、平面視で前輪15を覆い隠す略矩形状に形成されたフェンダライナ18が配設されている。したがって、フェンダライナ18は、側面視でホイールアーチ12Aから露出しないようにホイールハウス14内に収容されている。このフェンダライナ18は、前輪15の略上半分を前方、上方、後方から覆い、泥や小石などがフェンダエプロン(ホイールハウスインナ)等に当たることを防止するようになっている。フェンダライナ18は、例えば、樹脂成形(インジェクション成形やバキューム成形)にて形成された樹脂製とされたり、不織布を基材又は表皮材とした構成とされる。
【0022】
そして、車両用空力構造10を構成するフェンダライナ18は、側面視で前輪15側に開口する凹状部(溝部)20を有する。この実施形態では、凹状部20は、フェンダライナ18における前輪15の後側に位置する部分(前輪15と車体上下方向にオーバラップする部分)に設けられている。より具体的には、図2に示される如く、フェンダライナ18における前輪15の回転軸線RCよりも後方部分のうち、前輪15の回転軸線RCを通る水平線HLとの間に角θ(−α°<θ<90°)を成す仮想直線IL1が交差する部分Cよりも後下方の領域A内の一部又は全部に亘って、凹状部20が設けられるようになっている。
【0023】
角θは、凹状部20の設置範囲の上限側では、50°以下とすることすることが好ましく、40°以下とすることが一層好ましく、この実施形態では、30°程度とされている。また、凹状部20の設置範囲の下限側を規定する角度αは、前輪15の回転軸線RCからホイールハウス14の後下端部を結ぶ仮想直線IL2とHLとの成す角とされている。ホイールハウス14の後下端部は、例えばフェンダライナ18の後下端とすることができる。
【0024】
図1及び図2に示される如く、凹状部20は、上記の通り前輪15側に向けて開口しており、該開口部20Aにおいてフェンダライナ18(ホイールハウス14)の周方向に沿う幅が最大となる側面視略三角形状を成している。より具体的には、凹状部20は、開口部20Aの下縁20Bから略上方に向けて延びる空気流案内壁22と、空気流案内壁22の後上端22Aから開口部20Aの上縁20Cに向けて延びる空気流衝突壁24とを有し構成されている。
【0025】
空気流衝突壁24は、空気流案内壁22に対し側面の長さ(三角形の辺の長さ)が小とされている。これにより、図1に示される如く空気流案内壁22は、前輪15の回転(自動車Sを前進させる方向である矢印R方向の回転)に伴って生じる空気流F(前輪15の接線方向に略沿った空気流)を、凹状部20内に案内するよう該空気流Fに略沿った方向に延在している。一方、空気流衝突壁24は、空気流Fに向かうように延在しており、凹状部20に流入した空気流Fが衝突するようになっている。
【0026】
以上により、車両用空力構造10では、凹状部20によって空気流Fの一部が塞き止められて該凹状部20内の圧力が上昇し、これに伴い凹状部20の開口部20Aと前輪15との間の圧力が上昇する構成とされている。この圧力上昇によって車両用空力構造10では、空気流Fのホイールハウス14内への流入を抑制するようになっている。
【0027】
また、図1乃至3に示される如く、フェンダライナ18には、複数(この実施形態では2つ)の凹状部20が該フェンダライナ18の周方向に並列して設けられている。この実施形態では、フェンダライナ18の周方向に隣接する凹状部20は、開口部20Aの下縁20B、上縁20Cが略一致している。すなわち、複数の凹状部20は、フェンダライナ18の周方向に連続的に断面視三角形状の凸凹(波状)を成すように形成されている。複数の凹状部20のうち、最も後下方に位置する凹状部20は、フェンダライナ18の後下端部18Aに位置している。
【0028】
さらに、図1及び図3に示される如く、各凹状部20は、車幅方向に沿って延在されており、該車幅方向の外端は側壁26にて封止されている。この実施形態では、凹状部20は、中立位置(姿勢)に位置する前輪15に対し車幅方向の全幅に亘りオーバラップするように形成されている。一方、図1及び図3に示される如く、各凹状部20の車幅方向内端は、該車幅方向内向きに開口された開放端とされている。すなわち、車幅方向内端においては、凹状部20は、フェンダライナ18の周縁部に形成されたフランジ25に対する突出部として形成されている。なお、車幅方向外端においては、フランジ25は、側壁26の前輪15側の縁部から車幅方向外側に延出されている。
【0029】
またさらに、図3に示される如く、各凹状部20すなわちフェンダライナ18における前輪15に最も近接する空気流衝突壁24と上側の凹状部20の空気流案内壁22との角部である凸側稜線Rfは、前輪15のタイヤ包絡線Etとの距離が所定値以上になる構成とされている。凸側稜線Rfとタイヤ包絡線Etとの距離は、フェンダライナ18の一般壁部28(凹状部20が形成されていないと仮定した場合の一般壁部28)とタイヤ包絡線Etとの距離と同等に設定されている。なお、タイヤ包絡線Etは、前輪15の転舵、バウンスを含む車体に対する全ての相対変位の軌跡のうち最も外側(車体近接側)の軌跡を示している。
【0030】
そして、車両用空力構造10は、凹状部20に形成された断面急変部としての段差部30を有する。この実施形態では、段差部30は、各空気流衝突壁24の車幅方向外側部分24Aに対し、車幅方向内側部分24Bを車体上下方向の上側に位置させるように形成された衝突壁段部30Aを有する。また、段差部30は、上側の凹状部20を構成する空気流案内壁22の車幅方向外側部分22Bに対し、車幅方向内側部分22Cを車体前後方向の後側に位置させるように形成された案内壁段部30Bを有する。
【0031】
すなわち、段差部30は、車幅方向内側を向く内向壁30Cを、各空気流衝突壁24の車幅方向外側部分24Aと車幅方向内側部分24Bとの間に設け、車幅方向外側を向く内向壁30Dを、上側の凹状部20を構成する空気流案内壁22の車幅方向外側部分22Bと車幅方向内側部分22Cとの間に設けて構成されている。
【0032】
また、段差部30は、空気流衝突壁24と空気流案内壁22との境界部(空気流案内壁22の後上端22A)で段差がほぼなくなるように、内向壁30Cの高さが車体前後方向の後方に向けて徐減されると共に、内向壁30Dの高さが車体上下方向の上方に向けて徐減されている。そして、この実施形態では、下側の凹状部20に形成された衝突壁段部30Aの内向壁30Cと、上側の凹状部20に形成された案内壁段部30Bの内向壁30Dとが、連続(共通化)されている。
【0033】
また、図1及び図2に示される如く、車両用空力構造10は、前輪15側に開口するようにフェンダライナ18に設けられた周方向溝としてのガイド溝34を備えている。ガイド溝34は、凹状部20(のうち最も上前方に位置するもの)よりも車体前後方向の前側を基端34Aとし、フェンダライナ18の周方向に沿って長手とされて、該フェンダライナ18の前下端部18Bの近傍部分が終端34Bとされている。ガイド溝34は、凹状部20とは非連通とされている。
【0034】
このガイド溝34は、基端34A、終端34Bにおける溝底がそれぞれテーパしてフェンダライナ18の一般面を成す一般壁部28(凹状部20、ガイド溝34の開口面)に滑らかに連続しており、凹状部20(ホイールハウス14)の周方向に沿った空気流がスムースに流入出するようになっている。図1に示される如く、この実施形態では、車幅方向に並列した複数(2本)のガイド溝34が設けられている。これらのガイド溝34は、フェンダライナ18の内周に沿って後方から前方に向かう空気流を、基端34Aから流入させて終端34Bから排出されるように案内する構成とされている。換言すれば、各ガイド溝34における車幅方向に対向する一対の壁34Cが、車幅方向に向かう空気流が生じることを防止する構成とされている。なお、以上では、2本のガイド溝34が設けられた例を示したが、ガイド溝34は、1本だけ設けられても良く、3本以上設けられても良い。
【0035】
後輪16用の車両用空力構造10について補足すると、図7(A)に示される如く、自動車Sでは、リヤフェンダパネル36のホイールアーチ36Aの内側にホイールハウス14が形成されており、該ホイールハウス14内に後輪16が配置されている。後輪16用の車両用空力構造10は、転舵輪ではない(又は転舵角が小さい)後輪16のタイヤ包絡線Etが転舵輪である前輪15のタイヤ包絡線Etと異なる以外は、基本的に前輪15のための車両用空力構造10と同様に構成されている。すなわち、後輪16用の車両用空力構造10は、該後輪16を覆うリヤホールハウスライナ(以下の説明では、前輪15用と区別することなく、フェンダライナ18という)に凹状部20、ガイド溝34を形成することで構成されている。
【0036】
また、図6乃至図8に示される如く、車両用空力構造10は、前輪15、後輪16の前方にそれぞれ配置され、車幅方向に延在するスパッツ32を備えている。スパッツ32は、自動車Sの走行に伴う走行風がホイールハウス14内に流入することを防止する構成とされている。車両用空力構造10は、スパッツ32を備えない構成としても良い。
【0037】
次に、第1の実施形態の作用を説明する。
【0038】
上記構成の車両用空力構造10が適用された自動車Sでは、自動車Sの走行に伴って前輪15が矢印R方向に回転すると、この前輪15の回転に引きずられるようにして、前輪15の後方からホイールハウス14に略上向きに流入する空気流Fが生じる。この空気流Fの一部は、空気流案内壁22に案内されて凹状部20に流入し、空気流衝突壁24に衝突する。このため、空気流Fの一部が塞き止められて凹状部20内の圧力が上昇し、この圧力上昇範囲が凹状部20と前輪15との間の空間まで及ぶ。これにより、車両用空力構造10では、前輪15の後方からホイールハウス14内への空気の流入抵抗が増大し、該ホイールハウス14への空気の流入が抑制される。
【0039】
同様に、車両用空力構造10が適用された自動車Sでは、後輪16の回転によって空気流の一部が空気流衝突壁24で塞き止められることで生じる凹状部20廻りの圧力上昇によって、ホイールハウス14内への空気の流入抵抗が増大し、該ホイールハウス14への空気の流入が抑制される。
【0040】
また、空気流Fの他の一部は、凹状部20の設置領域を超えてホイールハウス14内に流入する。この空気流Fの少なくとも一部は、遠心力で外周側を流れようとしてガイド溝34に流入し、該ガイド溝34に案内されて終端34B側から排出される。
【0041】
このように、実施形態に係る車両用空力構造10では、凹状部20がホイールハウス14への空気流入を抑制するため、自動車Sのフロア下からホイールハウス14に流入しようとする空気流Fが弱く、該ホイールハウス14の周辺の空気流の乱れが防止(整流)される。具体的には、図7(A)に示される如く、フロア下の空気流Ffが乱されることが防止されて、フロア下ではスムースな空気流Ffが得られる。
【0042】
また、ホイールハウス14への流入空気量が減少して該ホイールハウス14の側方から排出される空気量も減少する。特に、ホイールハウス14に空気流Fが流入する最上流部である後下縁部14Aに凹状部20が配設されているため、換言すれば、最上流部で空気流Fを塞き止めるため、ホイールハウス14の側方から排出される空気量をより減少させることができる。これらにより、自動車Sでは、側面に沿う空気流Fsが乱されることが防止されて、側面ではスムースな空気流Fsが得られる。
【0043】
以上により、車両用空力構造10が適用された自動車Sでは、凹状部20の作用によって、空気抵抗(CD値)の低減、操縦安定性の向上、風切り音の低減、スプラッシュ(前輪15、後輪16による路面からの水の巻き上げ)の低減等を図ることができる。
【0044】
また、車両用空力構造10では、凹状部20の前方にガイド溝34が設けられているため、ホイールハウス14の内側、及び側方の空気流が整流される。具体的には、ガイド溝34によってホイールハウス14内の空気流Fが前輪15、後輪16の回転方向に沿って(平行に)流れるため、ホイールハウス14内での空気流の乱れ(前輪15、後輪16への空気力の付与)が防止される。また、ホイールハウス14の側方すなわちホイールアーチ12A、36Aを経由した空気排出が抑制されるので、自動車Sでは、スムースな空気流Fsが得られる。
【0045】
このため、車両用空力構造10が適用された自動車Sでは、ガイド溝34の作用によっても空気抵抗の低減、操縦安定性の向上、風切り音の低減、スプラッシュの低減等を図ることができる。したがって、前輪15、後輪16のそれぞれに車両用空力構造10が設けられた自動車Sでは、図7(A)に示される如く、車体の前部、後部の何れにおいても、側面及びフロア下で乱れの原因となる吹き出しのないスムースな空気流Ff、Fsが得られ、これらの流れが車体の後方でスムースに合流する(矢印Fj参照)。
【0046】
図7(B)に示す比較例との比較で補足すると、車両用空力構造10を備えない比較例200では、前輪15、後輪16の回転に伴ってホイールハウス14内に空気流Fが生じ、この流入が前輪15、後輪16の直後方(ホイールハウス14への空気流発生部)でフロア下の空気流Ffの乱れを生じさせる。また、ホイールハウス14内に流入した空気流Fは、ホイールアーチ12Aを経由して車体側方に排出され(矢印Fi参照)、空気流Fsの乱れを生じさせる。これらに起因して、車体の後方で合流するFjにも乱れを生じる。
【0047】
これに対して、車両用空力構造10が適用された自動車Sでは、上記の如く前輪15、後輪16の後方からホイールハウス14への空気流入が凹状部20によって抑制されると共に、該ホイールハウス14内に流入した空気流がガイド溝34にて整流されるので、上記の通り、空気抵抗の低減、操縦安定性の向上、風切り音の低減、スプラッシュの低減等を実現することができた。
【0048】
特に、車両用空力構造10では、複数の凹状部20が連続的に設けられているため、前輪15、後輪16の後方からホイールハウス14への空気流入を一層効果的に抑制することができる。すなわち、凹状部20の車体内部側への突出量を抑えたコンパクトな構成で、十分な整流効果を得ることができる。また、ガイド溝34が凹状部20と非連通とされているので、凹状部20からガイド溝34に空気が流れて凹状部20の圧力が低下してしまうことがなく、ホイールハウス14への空気流Fの流入抑制効果と、ホイールハウス14に流入した空気流Fの整流効果とを効果的に両立することができる。
【0049】
また、車両用空力構造10では、凹状部20、ガイド溝34がフェンダライナ18の一般壁部28に対し凹んで位置するため、前輪15、後輪16との干渉が問題となることがない。したがって、前輪15、後輪16との干渉防止のために寸法形状や配置等について制約を受けることがなく、空力上の要求性能に基づいて凹状部20、ガイド溝34を設計することができる。
【0050】
ところで、車両用空力構造10では、凹状部20が前輪15、後輪16から離間する側に設けられているので、図6に示される如くホイールハウス14すなわちフェンダライナ18と前輪15、後輪16との間に付着物としての氷雪Hが付着、堆積(成長)した場合、凹状部20を有しない構成(図3に想像線にて示される如く凸側稜線Rfが全長に亘り車幅方向に沿っている構成)と比較して、氷雪Hの厚みthが厚くなりやすい。具体的には、氷雪Hの厚みthは、凹状部20を有しない場合の厚みth0に対し、凹状部20の車体前後方向に沿った深さdrにほぼ対応する分だけ厚くなる場合がある。ホイールハウス14内に付着、堆積した厚い氷雪Hは、例えば図5に示す如く凸側稜線Rfに対応して形成されたクラックC1で破壊(分割)されても、直ちにはホイールハウス14から排出され難い。
【0051】
ここで、車両用空力構造10では、凹状部20に段差部30が形成されているため、ホイールハウス14内でフェンダライナ18(凹状部20)と前輪15、後輪16との間に付着、堆積された氷雪Hには、図4に示される如く、段差部30(内向壁30C)に倣って段差部Bが形成される。この段差部Bは、氷雪Hにおける脆弱部又は応力集中部となるので、氷雪Hは段差部Bにおいて破壊(分割)され易い。特に、段差部30は、凸側稜線Rfによって生じる車幅方向に沿うクラックC1とは異なる方向、すなわち車体前後方向又は車体上下方向に沿ってクラックC2を生じさせるので、氷雪Hは縦に割れて左右(車幅方向)に分割されやすくなる。
【0052】
以上により、氷雪Hは、平面視での断面積を小さくするように分割されるので、ホイールハウス14内におけるフェンダライナ18(凹状部20)と前輪15、後輪16との間から排出(排除)されやすくなる(短時間で排出される)。
【0053】
また、車両用空力構造10では、氷雪Hの排出経路が相対的に長くなる(フェンダライナ18や前輪15、16に引っ掛かる確率が高い)上側の凹状部20においては、空気流案内壁22、空気流衝突壁24のそれぞれに衝突壁段部30A、案内壁段部30Bが形成されているので、氷雪Hはより効果的に破壊(分割)されやすい。すなわち、車両用空力構造10では、氷雪Hのホイールハウス14からの排出性が高められる。
【0054】
なお、第1の実施形態では、下側の凹状部20の空気流衝突溝壁24、上側の凹状部20の空気流案内壁22、24に段差部30が形成された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば複数の空気流案内壁22、空気流衝突溝壁24の何れか1つのみに段差部30が形成された構成としても良く、また例えば各空気流案内壁22のみ又は各空気流衝突溝壁24のみに段差部30が形成された構成としても良い。
【0055】
次に本発明の他の実施形態を説明する。なお、上記第1の実施形態又は前出の構成と基本的に同一の部品・部分については上記第1の実施形態又は前出の構成と同一の符号を付してその説明(図示)を省略する。
【0056】
(第2の実施形態)
図8には、本発明の第2の実施形態に係る車両用空力構造40が図1に対応する斜視図にて示されている。この図に示される如く、車両用空力構造40は、上側の凹状部20の直上部分を構成する一般壁部28に、段差部30に連続する段差部42が形成されている点で、第1の実施形態に係る車両用空力構造10とは異なる。また、車両用空力構造40は、上側の凹状部20を構成する空気流案内壁22の車幅方向内側部分22Cに、車体への取付孔44が形成されている点で、第1の実施形態に係る車両用空力構造10とは異なる。
【0057】
段差部42は、内向壁30Dと同様に上側の凹状部20を構成する空気流衝突溝壁24の内向壁30Cに連続する内向壁42Aを有して構成されている。また、車両用空力構造40では、図9に示される如く、フェンダライナ18は、取付孔44において、例えばクリップ46等の取付具を介して、ホイールハウス14を構成する車体パネルPに固定されている。車両用空力構造40の他の構成は、車両用空力構造10の対応する構成と同じである。
【0058】
したがって、車両用空力構造40は、基本的に車両用空力構造10と同様の作用に同様の効果を得ることができる。すなわち、凹状部20によってホイールハウス14内への前輪15、後輪16の回転に伴う空気流入が抑制されるため、該ホイールハウス14の周辺の空気流の乱れが防止(整流)される。また、車両用空力構造40では、段差部30によってホイールハウス14内に付着、堆積した氷雪Hが破壊、分割されやすい。しかも、車両用空力構造40では、段差部42が設けられているので、氷雪Hが一層効果的に破壊、分割されやすい。さらに、車両用空力構造40では、空気流案内壁22における前輪15、後輪16から離間して位置する車幅方向内側部分22Cに取付孔44を設けて、該車幅方向内側部分22Cを車体パネルPへの固定用の取付座面として用いることができる。
【0059】
なお、第2の実施形態に係る車両用空力構造40において、例えば段差部42が形成されない構成としても良く、また例えば取付孔44を有しない構成としても良い。
【0060】
(第3の実施形態)
図10には、本発明の第3の実施形態に係る車両用空力構造50が図1に対応する斜視図にて示されている。この図に示される如く、車両用空力構造50は、段差部30に代えて、断面形状急変部として凸部であるビード52が形成されている点で、第1の実施形態に係る車両用空力構造10とは異なる。
【0061】
ビード52は、図11にも示される如く、主に凹状部20の中央部から前輪15、後輪16側に突出した凸部として把握することができ、この実施形態で、フェンダライナ18の周方向に長手とされている。
【0062】
より具体的には、ビード52は、下側の凹状部20の空気流案内壁22、空気流衝突壁24、及び上側の凹状部20の空気流案内壁22の下部にまで跨る下側ビード52Aと、上側の凹状部20の空気流案内壁22の上部、空気流衝突壁24、一般壁部28の下部にまで跨る上側ビード52Bとを有して構成されている。ビード52を挟む車幅方向の両側で、空気流案内壁22の車体前後方向の位置、空気流衝突溝壁24の車体上下方向の位置は略一致されている。
【0063】
図10では、下側ビード52Aと上側ビード52Bとが分離されている(独立して形成されている)例を示しているが、下側ビード52Aと上側ビード52Bとを連続的に設けても良い。また、ビード52は、より短い凸部を断続的に設けて形成されても良い。
【0064】
また、車両用空力構造50は、各凹状部20の車幅方向内端の底側(空気流衝突壁24の車体前後方向の後端側)に一部が、側壁26と対向する内側壁54にて車幅方向に閉止されている。車両用空力構造50の他の構成は、車両用空力構造10の対応する構成と同じである。
【0065】
したがって、車両用空力構造50は、基本的に車両用空力構造10と同様の作用に同様の効果を得ることができる。すなわち、凹状部20によってホイールハウス14内への前輪15、後輪16の回転に伴う空気流入が抑制されるため、該ホイールハウス14の周辺の空気流の乱れが防止(整流)される。特に、内側壁54が設けられているので、凹状部20廻りの圧力が高く維持されやすく、ホイールハウス14内の整流効果が良好である。 また、車両用空力構造50では、凹状部20にビード52が設けられているため、ホイールハウス14内でフェンダライナ18(凹状部20)と前輪15、後輪16との間に付着、堆積された氷雪Hには、図4に示される如く、ビード52に倣って凹部Rが形成される。この凹部Rは、氷雪Hにおける脆弱部又は応力集中部となるので、氷雪Hは凹部Rにおいて破壊(分割)され易い。特に、ビード52は、凸側稜線Rfによって生じる車幅方向に沿うクラックC1とは異なる方向、すなわち車体前後方向又は車体上下方向のクラックC2を生じさせるので、氷雪Hは縦に割れて左右(車幅方向)に分割されやすくなる。
【0066】
以上により、氷雪Hは、平面視での断面積を小さくするように分割されるので、ホイールハウス14内におけるフェンダライナ18(凹状部20)と前輪15、後輪16との間から排出(排除)されやすくなる(短時間で排出される)。
【0067】
また、車両用空力構造50では、氷雪Hの排出経路が相対的に長くなる(フェンダライナ18や前輪15、16に引っ掛かる確率が高い)上側の凹状部20を含む各凹状部20において、空気流案内壁22、空気流衝突壁24のそれぞれに衝突壁段部30A、案内壁段部30Bが形成されているので、氷雪Hはより効果的に破壊(分割)されやすい。すなわち、車両用空力構造50では、氷雪Hのホイールハウス14からの排出性が高められる。
【0068】
なお、第3の実施形態に係る車両用空力構造50において、例えばビード52に代えて段差部30(及び段差部42)が形成された構成としても良く、ビード52が形成された構成では内側壁54を有しない構成としても良い。
【0069】
(第4の実施形態)
図12には、本発明の第4の実施形態に係る車両用空力構造60が図1に対応する斜視図にて示されている。この図に示される如く、車両用空力構造60は、段差部30、42にビード62、64が組み合わされている点で、第1の実施形態に係る車両用空力構造10とは異なる。
【0070】
ビード62は、下側の凹状部20を構成する空気流衝突壁24の内向壁30Cと、上側の凹状部20を構成する空気流案内壁22の内向壁30Dとの角部から、前輪15、後輪16側に突出して形成されている。すなわち、車両用空力構造60では、内向壁30C、内向壁30Dの突出高がビード62によって増していると把握することができる。ビード64は、上側の凹状部20を構成する空気流衝突壁24の内向壁30Cと、段差部42の内向壁42Aとの角部から、前輪15、後輪16側に突出して形成されている。すなわち、図13にも示される如く、車両用空力構造60では、内向壁30C、内向壁42Aの突出高がビード62によって増していると把握することができる。車両用空力構造60の他の構成は、車両用空力構造10の対応する構成と同じである。
【0071】
したがって、車両用空力構造60は、基本的に車両用空力構造10と同様の作用に同様の効果を得ることができる。すなわち、凹状部20によってホイールハウス14内への前輪15、後輪16の回転に伴う空気流入が抑制されるため、該ホイールハウス14の周辺の空気流の乱れが防止(整流)される。
【0072】
また、車両用空力構造60では、段差部30、42によってホイールハウス14内に付着、堆積した氷雪Hが破壊、分割されやすい。しかも、車両用空力構造60では、ビード62によって、ホイールハウス14内に付着、堆積した氷雪Hにおける段差部Bの形成部分の一部に連続する凹部Rが形成される。すなわち、氷雪Hには段差部Bよりも脆弱な(応力集中しやすい)部分が生じ、ホイールハウス14内に付着、堆積した氷雪Hが破壊、分割されやすくなる。
【0073】
なお、上記した実施形態では、フェンダライナ18に凹状部20が2つ設けられた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、要求される空力性能等に応じて1つ又は3つ以上の凹状部20を有する構成とすることができる。また、本発明は、フェンダライナ18に凹状部20、及び断面形状急変部(段差部30、42、ビード52、62等)を設ける構成に限定されることはなく、例えば、マッドガードを備えた構成においては、該マッドガードに凹状部20、及び断面形状急変部を形成しても良く、また例えば車体パネルPに凹状部20、及び断面形状急変部を形成しても良い。
【0074】
さらに、上記した実施形態では、車両用空力構造10がガイド溝34を有する例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ガイド溝34を有しない構成としても良い。 またさらに、上記した実施形態では、凹状部20がホイールハウス14の後下縁部14Aに配設された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、凹状部20は、前輪15、後輪16の回転軸線RCに対し車体前後方向の後側の如何なる部分に配置しても良い。
【0075】
また、上記実施形態では、前輪15、後輪16の回転軸線RCに対し車体前後方向の後側に、前輪15等の回転に伴いホイールハウス14内を前方に向かう空気流Fを抑制するための凹状部20が形成された車両用空力構造10、40、50、60に本発明が適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図14に示される如く、前輪15等の回転軸線RCに対し車体前後方向の前側に凹状部72が形成された車両用空力構造70に本発明を適用しても良い。凹状部72について補足すると、凹状部72は、車体上下方向の下側を向く空気流衝突壁74と、空気流衝突壁74の車体前後方向の前縁から車体上下方向の下向きに垂下された空気流案内壁76とを有する。車両用空力構造70が適用された自動車では、走行風が前輪15等の前面に当たり、ホイールハウス14内を前輪15等の前側から後側に向かう空気流F1が生成される一方、前輪15等の矢印R方向への回転に伴う空気流Fが生じる。空気流F1の一部は、空気流案内壁76に案内されて凹状部72に流入し、空気流衝突壁74に衝突するため、空気流F1の一部が塞き止められて凹状部72内の圧力が上昇し、これにより、車両用空力構造70では、矢印Dにて示される如く、上記した圧力上昇部分を通過できない空気流F1が前輪15等の側方を流れるようにホイールハウス14から排出される。一方、空気流Fは、空気流衝突壁74に空気流F1が衝突することで生じた圧力上昇部分に至ると、矢印Eにて示される如く、前輪15等の側方を流れるようにホイールハウス14から排出される。このように、空気流衝突壁74に空気流F1が衝突することで生じた圧力上昇部分によって空気流F1、Fは、共に勢いが弱められて干渉するので、スムースに前輪15等の側方から排出される。すなわち、この車両用空力構造70によってもホイールハウス14の内側、及び側方の空気流が整流される。以上説明した凹状部72に、段差部30、42、ビード52、62の少なくとも一部を設けることで、前輪15等の前側に付着、堆積した氷雪Hを排出しやすくなる。車両用空力構造70においても、凹状部72の数等による限定がないことは車両用空力構造10、40、50、60と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用空力構造の一部を拡大して示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る車両用空力構造の概略全体構成を模式的に示す側断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る車両用空力構造の概略全体構成を模式的に示す平面断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る車両用空力構造に対する氷雪の付着状態を模式的に示す平面断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る車両用空力構造に対する氷雪の付着状態を模式的に示す側断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る車両用空力構造に付着する氷雪の厚さを説明するための模式的な側断面図である。
【図7】(A)は、本発明の第1及び第2の実施形態に係る車両用空力構造が適用された自動車の斜視図、(B)は比較例に係る自動車の斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る車両用空力構造の一部を拡大して示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る車両用空力構造の車体取付構造を例示する平面断面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る車両用空力構造の一部を拡大して示す斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る車両用空力構造に対する氷雪の付着状態を模式的に示す平面断面図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る車両用空力構造の一部を拡大して示す斜視図である。
【図13】本発明の第4の実施形態に係る車両用空力構造に対する氷雪の付着状態を模式的に示す平面断面図である。
【図14】本発明の実施形態の別例に係る車両用空力構造の概略全体構成を模式的に示す側断面図である。
【符号の説明】
【0077】
10 車両用空力構造
14 ホイールハウス
15 前輪(車輪)
16 後輪(車輪)
22 空気流案内壁
24 空気流衝突壁
30 段差部(断面急変部)
40・50・60・70 車両用空力構造
42 段差部(断面急変部)
52・62・64 ビード(断面急変部)
74 空気流衝突壁
76 空気流案内壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイールハウス内における車輪に対する車体前後方向の前方又は後方に設けられ、車幅方向に延在されると共に車体上下方向の下側を向く空気流衝突壁と、
前記空気流衝突壁における前記車輪から遠い側の端部から車体上下方向の下向きに延設された空気流案内壁と、
前記空気流衝突壁及び空気流案内壁の少なくとも一方における車幅方向の一部に形成され、該車幅方向との交差方向に沿って延在する部分を含む断面形状急変部と、
を有する車両用空力構造。
【請求項2】
前記断面形状急変部は、前記空気流衝突壁及び空気流案内壁の少なくとも一方における車幅方向の中央部に形成されている請求項1記載の車両用空力構造。
【請求項3】
前記断面形状急変部は、前記空気流衝突壁及び空気流案内壁の少なくとも一方に形成され、車幅方向の一端側と他端側との車体前後方向又は車体上下方向の位置を異ならせる段差部を含んで構成されている請求項1又は請求項2記載の車両用空力構造。
【請求項4】
前記断面形状急変部は、前記空気流衝突壁及び空気流案内壁の少なくとも一方に形成され、前記車輪側に突出した凸部を含んで構成されている請求項1〜請求項3の何れか1項記載の車両用空力構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−67159(P2009−67159A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235931(P2007−235931)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【特許番号】特許第4229204号(P4229204)
【特許公報発行日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】