説明

車両用空気調和制御装置及び車両用空気調和装置

【課題】省電力効果が大きく、ユーザが不快に感じることがなく、ユーザのヒートショック及びコールドショックを防止できる車両用空気調和制御装置の提供。
【解決手段】車両の目的地への到着予測時点を受付ける受付手段2と、車室温度センサ8が検出した車室温度が設定温度に到達したときに、空気調和機12をオフにし、車室温度が設定温度からT2度変化するのに要する時間を計測する時間計測手段4と、空気調和機12をオフにした状態で、車室温度が、外気温度センサ9が検出した外気温度からT3度以内に変化するのに要する時間を、時間計測手段4が計測した時間に基づき、車室温度に対応させて演算する演算手段2と、車室温度に対応する演算手段2が演算した時間を、受付手段2が受付けた到着予測時点から差引いた時点に到達したか否かを判定する手段2とを備え、到達したと判定したときに、空気調和機12をオフにする構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室温度センサが検出した車室温度が、設定温度から所定の範囲内になるように作動する空気調和機を制御する車両用空気調和制御装置及び車両用空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両では、走行コスト低減及び環境負荷低減の為に、燃費を向上させる改良が求められ、また、電気自動車では、バッテリへの充電1回当たりの走行可能距離を延長させることが強く求められている。
【0003】
特許文献1には、エンジンを動力源とする自動車の室内空調に適用され、空調機能を複数モードに選択可能に切換え得る機能を有したエアコンの制御方法が開示されている。エンジンの負荷が所定の負荷を上回る場合に、選択されたモードに基づいてエアコンカット時間をそれぞれ設定し、その上回った時点からエアコンカット時間だけエアコンの作動を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−175427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両の燃費を向上させ、また、電気自動車の充電1回当たりの走行可能距離を延長させるには、限られた電力を有効に活用し、できる限り省電力に努める必要がある。中でも消費電力が大きく省電力効果の大きいエアコンディショナー(空気調和機、以下、エアコンと記載)は、誤った制御方法を採用すると、ユーザが不快に感じるようになり不満が一気に増すと言う問題がある。
また、車両のエアコン制御では、ユーザの高齢化に向けて、冬季のヒートショック及び夏季のコールドショックを防止する対策も必要であり、ユーザの身体に負担をかけないような車室内と外気との温度差設定も望まれている。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、省電力効果が大きく、ユーザが不快に感じることがなく、ユーザのヒートショック及びコールドショックを防止することができる車両用空気調和制御装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、省電力効果が大きく、ユーザが不快に感じることがなく、ユーザのヒートショック及びコールドショックを防止することができる車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る車両用空気調和制御装置は、車室温度センサが検出した車室温度が、その設定温度からT1度以内になるように作動する空気調和機をオン/オフ制御する車両用空気調和制御装置において、車両の目的地への到着予測時点を受付ける受付手段と、前記車室温度センサが検出した車室温度が前記設定温度に到達したときに、前記空気調和機をオフにし、車室温度が前記設定温度からT2度変化するのに要する時間を計測する時間計測手段と、前記空気調和機をオフにした状態で、車室温度が、外気温度センサが検出した外気温度からT3度以内に変化するのに要する時間を、前記時間計測手段が計測した時間に基づき、車室温度に対応させて演算する演算手段と、前記車室温度センサが検出した車室温度に対応する前記演算手段が演算した時間を、前記受付手段が受付けた到着予測時点から差引いた時点に到達したか否かを判定する手段とを備え、該手段が到達したと判定したときに、前記空気調和機をオンにしているときは、該空気調和機をオフにするように構成してあることを特徴とする。
【0008】
この車両用空気調和制御装置では、車室温度センサが検出した車室温度が、その設定温度からT1度以内になるように作動する空気調和機をオン/オフ制御する。受付手段が、車両の目的地への到着予測時点を受付け、時間計測手段が、車室温度センサが検出した車室温度が設定温度に到達したときに、空気調和機をオフにし、車室温度が設定温度からT2度変化するのに要する時間を計測する。空気調和機をオフにした状態で、車室温度が、外気温度センサが検出した外気温度からT3度以内に変化するのに要する時間を、演算手段が、時間計測手段が計測した時間に基づき、車室温度に対応させて演算する。
車室温度センサが検出した車室温度に対応する演算手段が演算した時間を、受付手段が受付けた到着予測時点から差引いた時点に到達したか否かを、判定する手段が判定し、判定する手段が到達したと判定したときに、空気調和機をオンにしているときは、空気調和機をオフにする。
【0009】
第2発明に係る車両用空気調和制御装置は、前記時間計測手段は、車室温度が前記設定温度からT2度=T1度変化するのに要する時間を計測するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
この車両用空気調和制御装置では、時間計測手段は、車室温度が設定温度からT2度=T1度変化するのに要する時間を計測する。
【0011】
第3発明に係る車両用空気調和制御装置は、前記時間計測手段は、車室温度が単位温度変化する都度、変化するのに要する時間を計測する手段を有し、該手段が複数回計測することにより、車室温度が前記設定温度からT2度変化するのに要する時間を計測するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
この車両用空気調和制御装置では、時間計測手段は、計測する手段が、車室温度が単位温度変化する都度、変化するのに要する時間を計測し、計測する手段が複数回計測することにより、車室温度が設定温度からT2度変化するのに要する時間を計測する。
【0013】
第4発明に係る車両用空気調和制御装置は、前記時間計測手段がT2度変化するのに要する時間を計測した後、前記空気調和機を所定の吹出し風量でオンにする手段と、該手段が空気調和機をオンにした状態で、前記車室温度センサが検出した車室温度が、所定時間でT4度以上、前記設定温度に近付くか否かを判定する手段と、該手段が近付かないと判定する都度、車室温度が設定温度に近付くように、吹出し風の温度をT5度昇降させる手段とを更に備え、車室温度が前記設定温度からT1度以内になるように、前記空気調和機を前記吹出し風の温度及び所定の吹出し風量でオンにするように構成してあることを特徴とする。
【0014】
この車両用空気調和制御装置では、時間計測手段がT2度変化するのに要する時間を計測した後、空気調和機を所定の吹出し風量でオンにし、空気調和機をオンにした状態で、判定する手段が、車室温度センサが検出した車室温度が、所定時間でT4度以上、設定温度に近付くか否かを判定する。判定する手段が近付かないと判定する都度、車室温度が設定温度に近付くように、吹出し風の温度をT5度昇降させ、車室温度が設定温度からT1度以内になるように、空気調和機を吹出し風の温度及び所定の吹出し風量でオンにする。
【0015】
第5発明に係る車両用空気調和装置は、車室温度センサが検出した車室温度が、その設定温度からT1度以内になるように作動する冷暖房手段を備える車両用空気調和装置において、車両の目的地への到着予測時点を受付ける受付手段と、前記車室温度センサが検出した車室温度が前記設定温度に到達したときに、前記冷暖房手段をオフにし、車室温度が前記設定温度からT2度変化するのに要する時間を計測する時間計測手段と、前記冷暖房手段をオフにした状態で、車室温度が、外気温度センサが検出した外気温度からT3度以内に変化するのに要する時間を、前記時間計測手段が計測した時間に基づき、車室温度に対応させて演算する演算手段と、前記車室温度センサが検出した車室温度に対応する前記演算手段が演算した時間を、前記受付手段が受付けた到着予測時点から差引いた時点に到達したか否かを判定する手段とを備え、該手段が到達したと判定したときに、前記冷暖房手段をオンにしているときは、該冷暖房手段をオフにするように構成してあることを特徴とする。
【0016】
この車両用空気調和装置では、車室温度センサが検出した車室温度が、その設定温度からT1度以内になるように作動する冷暖房手段を備える。受付手段が、車両の目的地への到着予測時点を受付け、車室温度センサが検出した車室温度が設定温度に到達したときに、時間計測手段が、冷暖房手段をオフにし、車室温度が設定温度からT2度変化するのに要する時間を計測する。冷暖房手段をオフにした状態で、車室温度が、外気温度センサが検出した外気温度からT3度以内に変化するのに要する時間を、演算手段が、時間計測手段が計測した時間に基づき、車室温度に対応させて演算する。
車室温度センサが検出した車室温度に対応する演算手段が演算した時間を、受付手段が受付けた到着予測時点から差引いた時点に到達したか否かを、判定する手段が判定し、判定する手段が到達したと判定したときに、冷暖房手段をオンにしているときは、冷暖房手段をオフにする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る車両用空気調和制御装置によれば、省電力効果が大きく、ユーザが不快に感じることがなく、ユーザのヒートショック及びコールドショックを防止することができる車両用空気調和制御装置を実現することができる。
【0018】
本発明に係る車両用空気調和装置によれば、省電力効果が大きく、ユーザが不快に感じることがなく、ユーザのヒートショック及びコールドショックを防止することができる車両用空気調和装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る車両用空気調和制御装置及び車両用空気調和装置の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る車両用空気調和制御装置及び車両用空気調和装置の冷房時の動作例を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る車両用空気調和制御装置及び車両用空気調和装置の冷房時の動作例を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る車両用空気調和制御装置の冷房時の動作例を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る車両用空気調和制御装置及び車両用空気調和装置の冷房時の動作例を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る車両用空気調和制御装置及び車両用空気調和装置の暖房時の動作例を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る車両用空気調和制御装置及び車両用空気調和装置の暖房時の動作例を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係る車両用空気調和制御装置及び車両用空気調和装置の暖房時の動作例を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る車両用空気調和制御装置及び車両用空気調和装置の暖房時の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る車両用空気調和制御装置及び車両用空気調和装置の実施の形態の構成を示すブロック図である。
この車両用空気調和装置は、車両の外気温度を検出する外気温度センサ9、車室内の温度を検出する車室温度センサ8、及び目的地を設定すると目的地への到着予測時刻を出力するナビゲーション装置6が、マイクロコンピュータを備えた制御装置1に接続されている。また、空調機(空気調和機、冷暖房手段)12を操作部10からの操作入力に基づき制御する空調ECU(Electronic Control Unit)11が制御装置1に接続されている。
【0021】
制御装置(車両用空気調和制御装置)1には、処理部2、記録部3、時間計測部4及び時計5が内蔵されている。
処理部2は、空調ECU11を通じて、空調機12をオフにしてから、車室温度及び外気温度の差が例えば摂氏5度以内になる迄の所要時間を演算する。処理部2は、また、空調ECU11を通じて、空調機12をオフにした後、設定温度から例えば摂氏3度変化(上昇又は下降)した時点で、空調機12を中間吹出し風量(所定の吹出し風量)でオンにして、車室温度を設定温度に近付けて行く為の吹出し風の温度を実制御により求める。
【0022】
尚、設定温度と吹出し風の温度とは対応しており、吹出し風の温度を求めるに当たっては、設定温度を変えて、車室温度が元の設定温度に近付くか判定して行く。この場合、設定温度を昇降させれば、吹出し風の温度も昇降し、設定温度が求まれば、吹出し風の温度も求まる。
処理部2は、求めた設定温度(吹出し風の温度)に基づき、空調ECU11に冷暖房を実行させるが、目標とする元の設定温度は変えずにそのまま維持して表示させ、元の設定温度に基づき、空調機12のオン/オフ制御を行わせる。
【0023】
記録部3は、制御装置1の制御に必要な処理部2及び時間計測部4の演算結果等を記録しておく。
時間計測部4は、空調機12の起動時又は外気温度が変化した場合等に、空調機12をオフにしてから、車室温度が例えば摂氏1度変化する為の所要時間を演算する。尚、ここでは、単位温度を摂氏1度としているが、単位温度を摂氏0.5度又は1.5度等としても良い。
【0024】
この場合、例えば、車室温度が摂氏3度変化するのに要した時間を計測し、計測した時間を単純に3で割っても良いし、車室温度が摂氏1度変化する都度、それに要した時間を計測し、所要時間を車室温度の関数として求めておいても良い。また、車室温度が摂氏1度変化する都度、それに要した時間を計測し、処理部2で車室温度及び外気温度の差が摂氏5度以内になる迄の所要時間を演算する際に、外挿法を利用しても良い。
【0025】
以下に、このような構成の車両用空気調和装置の動作を、それを示す図2〜9のフローチャートを参照しながら説明する。
図2〜5は、外気温度センサ9が検出した外気温度が、設定温度より例えば摂氏5度以上高い場合の車両用空気調和装置の冷房時の動作例を示すフローチャートである。
制御装置1の処理部2は、起動時にパラメータnをリセットし(=0)、操作部10で空調機12がオンにされると(S1)、車室温度センサ8が検出した車室温度Trが、設定温度Ts(例えば摂氏25度)以下になる迄、車室温度Trを読込み(S3)比較する(S5)。
【0026】
処理部2は、車室温度Trが設定温度Ts以下になると(S5)、空調機12をオフにし(空調オフ)(S7)、時間の計測を開始し(S9)、設定温度Tsに1加算する(S11)。次いで、処理部2は、車室温度センサ8が検出した車室温度Trが、設定温度Ts以上になる迄、車室温度Trを読込み(S13)比較する(S15)。
処理部2は、車室温度Trが設定温度Ts以上になると(S15)、それ迄計測した時間を記録部3に記録し(S17)、時間の計測をリセットする(S19)。
【0027】
次に、処理部2は、パラメータnに1を加算した(S21)後、パラメータnが3以上であるか否かを判定し(S23)、3以上でなければ、時間の計測を開始する(S9)。処理部2は、パラメータnが3以上であれば(S23)、設定温度Tsから3を減算し、パラメータnをリセットする(=0)(S25)。
処理部2は、以上で、設定温度Tsから摂氏1度、設定温度Ts+1から摂氏1度、設定温度Ts+2から摂氏1度それぞれ上昇するのに要する時間を計測し、記録部3に記録した。
【0028】
次に、処理部2は、中間の吹出し風量(所定の吹出し風量)に設定して、空調機12をオンにし(空調オン)(S27)、温度制御に使用する制御温度Tcを設定する(S29)。
処理部2は、制御温度Tcを設定する際(S29)、先ず、車室温度センサ8が検出した車室温度Tr1を読込んだ(S53)後、所定時間tdの計時を開始する(S55)。処理部2は、所定時間tdの計時が終了すると(S57)、車室温度センサ8が検出した車室温度Tr2を読込み(S59)、所定時間tdの計時をリセットする(S61)。
【0029】
次に、処理部2は、Tr1−Tr2が所定温度差Td以上であるか否かを判定し(S63)、所定温度差Td以上でなければ、設定温度Tsから例えば1を減算し(S65)、再度、車室温度センサ8が検出した車室温度Tr1を読込む(S53)。
処理部2は、Tr1−Tr2が所定温度差Td以上であれば(S63)、そのときの設定温度Tsを制御温度Tcとして設定し(S67)リターンする。
【0030】
以後、処理部2は、求めた設定温度Tc(吹出し風の温度)に基づき、空調ECU11に冷房を実行させるが、減算する(S65)前の元の設定温度Tsを目標設定温度として、変えずにそのまま維持して表示させ、元の設定温度Tsに基づき、空調機12のオン/オフ制御を行わせる。これにより、空調機12からの吹出し風が強くなり過ぎて、ユーザが不快に感じることがなくなる。
【0031】
処理部2は、制御温度Tcを設定した(S29)後、外気温度センサ9が検出した外気温度To(例えば摂氏33度)を読込み(S31)、空調機12をオフにした場合に、車室温度Trが上昇して、外気温度Toから摂氏5度低い温度(例えば摂氏28度)以上に到達する予測時間taを演算する(S33)。
この際、処理部2は、記録部3に記録してある(S17)、設定温度TsからTs+3迄、摂氏1度ずつ上昇するのに要する各時間に基づき、各時間を単純に平均して、車室温度が摂氏1度変化するのに要する平均時間を求め、それを5倍して予測時間taとしても良い。また、予測時間taを車室温度の関数として求めておいても良い。また、設定温度TsからTs+3迄、摂氏1度ずつ上昇するのに要する各時間に基づき、外挿法を利用しても良い。
【0032】
処理部2は、次に、車室温度センサ8が検出した車室温度Trを読込み(S35)、目的地への到着予測時刻tp(又は、例えば何十分後)をナビゲーション装置6から読込み(受付け)、現時刻tn(又は走行開始からの経過時間)を時計5から読込む(S36)。次いで、処理部2は、到着予測時刻tpと現時刻tnとの差が、予測時間ta以下であるか否かを判定する(S37)。
処理部2は、到着予測時刻tpと現時刻tnとの差が、予測時間ta以下であれば(S37)、空調機12をオフ(空調オフ)にし(S51)、空調機12がオン(空調オン)になる迄待機する(S1)。
【0033】
処理部2は、到着予測時刻tpと現時刻tnとの差が、予測時間ta以下でなければ(S37)、車室温度Trが設定温度Ts以下であるか否かを判定する(S39)。
処理部2は、車室温度Trが設定温度Ts以下でなければ(S39)、車室温度センサ8が検出した車室温度Trを読込む(S35)。
処理部2は、車室温度Trが設定温度Ts以下であれば(S39)、空調機12をオフにし(空調オフ)(S41)、次いで、車室温度センサ8が検出した車室温度Trを読込む(S43)。
【0034】
処理部2は、次に、目的地への到着予測時刻tp(又は、例えば何十分後)をナビゲーション装置6から読込み(受付け)、現時刻tn(又は走行開始からの経過時間)を時計5から読込む(S44)。次いで、処理部2は、到着予測時刻tpと現時刻tnとの差が、予測時間ta以下であるか否かを判定する(S45)。
処理部2は、到着予測時刻tpと現時刻tnとの差が、予測時間ta以下であれば(S45)、空調機12をオフ(空調オフ)にし(S51)、空調機12がオン(空調オン)になる迄待機する(S1)。
【0035】
処理部2は、到着予測時刻tpと現時刻tnとの差が、予測時間ta以下でなければ(S45)、車室温度Trが設定温度Ts+3以上であるか否かを判定する(S47)。
処理部2は、車室温度Trが設定温度Ts+3以上でなければ(S47)、車室温度センサ8が検出した車室温度Trを読込む(S43)。
処理部2は、車室温度Trが設定温度Ts+3以上であれば(S47)、中間の吹出し風量(所定の吹出し風量)に設定して、空調機12をオンにし(空調オン)(S49)、車室温度センサ8が検出した車室温度Trを読込む(S35)。
【0036】
図6〜9は、外気温度センサ9が検出した外気温度が、設定温度より例えば摂氏5度以上低い場合の車両用空気調和装置の暖房時の動作例を示すフローチャートである。
制御装置1の処理部2は、起動時にパラメータnをリセットし(=0)、操作部10で空調機12がオンにされると(S71)、車室温度センサ8が検出した車室温度Trが、設定温度Ts(例えば摂氏18度)以上になる迄、車室温度Trを読込み(S73)比較する(S75)。
【0037】
処理部2は、車室温度Trが設定温度Ts以上になると(S75)、空調機12をオフにし(空調オフ)(S77)、時間の計測を開始し(S79)、設定温度Tsから1減算する(S81)。次いで、処理部2は、車室温度センサ8が検出した車室温度Trが、設定温度Ts以下になる迄、車室温度Trを読込み(S83)比較する(S85)。
処理部2は、車室温度Trが設定温度Ts以下になると(S85)、それ迄計測した時間を記録部3に記録し(S87)、時間の計測をリセットする(S89)。
【0038】
次に、処理部2は、パラメータnに1を加算した(S91)後、パラメータnが3以上であるか否かを判定し(S93)、3以上でなければ、時間の計測を開始する(S79)。処理部2は、パラメータnが3以上であれば(S93)、設定温度Tsに3を加算し、パラメータnをリセットする(=0)(S95)。
処理部2は、以上で、設定温度Tsから摂氏1度、設定温度Ts−1から摂氏1度、設定温度Ts−2から摂氏1度それぞれ下降するのに要する時間を計測し、記録部3に記録した。
【0039】
次に、処理部2は、中間の吹出し風量(所定の吹出し風量)に設定して、空調機12をオンにし(空調オン)(S97)、温度制御に使用する制御温度Tcを設定する(S99)。
処理部2は、制御温度Tcを設定する際(S99)、先ず、車室温度センサ8が検出した車室温度Tr1を読込んだ(S123)後、所定時間tdの計時を開始する(S125)。処理部2は、所定時間tdの計時が終了すると(S127)、車室温度センサ8が検出した車室温度Tr2を読込み(S129)、所定時間tdの計時をリセットする(S131)。
【0040】
次に、処理部2は、Tr2−Tr1が所定温度差Td以上であるか否かを判定し(S133)、所定温度差Td以上でなければ、設定温度Tsに例えば1を加算し(S135)、再度、車室温度センサ8が検出した車室温度Tr1を読込む(S123)。
処理部2は、Tr2−Tr1が所定温度差Td以上であれば(S133)、そのときの設定温度Tsを制御温度Tcとして設定し(S137)リターンする。
【0041】
以後、処理部2は、求めた設定温度Tc(吹出し風の温度)に基づき、空調ECU11に暖房を実行させるが、加算する(S135)前の元の設定温度Tsを目標設定温度として、変えずにそのまま維持して表示させ、元の設定温度Tsに基づき、空調機12のオン/オフ制御を行わせる。これにより、空調機12からの吹出し風が強くなり過ぎて、ユーザが不快に感じることがなくなる。
【0042】
処理部2は、制御温度Tcを設定した(S99)後、外気温度センサ9が検出した外気温度To(例えば摂氏6度)を読込み(S101)、空調機12をオフにした場合に、車室温度Trが下降して、外気温度Toから摂氏5度高い温度(例えば摂氏11度)以下に到達する予測時間taを演算する(S103)。
この際、処理部2は、記録部3に記録してある(S87)、設定温度TsからTs−3迄、摂氏1度ずつ下降するのに要する各時間に基づき、各時間を単純に平均して、車室温度が摂氏1度変化するのに要する平均時間を求め、それを5倍して予測時間taとしても良い。また、予測時間taを車室温度の関数として求めておいても良い。また、設定温度TsからTs−3迄、摂氏1度ずつ下降するのに要する各時間に基づき、外挿法を利用しても良い。
【0043】
処理部2は、次に、車室温度センサ8が検出した車室温度Trを読込み(S105)、目的地への到着予測時刻tp(又は、例えば何十分後)をナビゲーション装置6から読込み(受付け)、現時刻tn(又は走行開始からの経過時間)を時計5から読込む(S106)。次いで、処理部2は、到着予測時刻tpと現時刻tnとの差が、予測時間ta以下であるか否かを判定する(S107)。
処理部2は、到着予測時刻tpと現時刻tnとの差が、予測時間ta以下であれば(S107)、空調機12をオフ(空調オフ)にし(S121)、空調機12がオン(空調オン)になる迄待機する(S71)。
【0044】
処理部2は、到着予測時刻tpと現時刻tnとの差が、予測時間ta以下でなければ(S107)、車室温度Trが設定温度Ts以上であるか否かを判定する(S109)。
処理部2は、車室温度Trが設定温度Ts以上でなければ(S109)、車室温度センサ8が検出した車室温度Trを読込む(S105)。
処理部2は、車室温度Trが設定温度Ts以上であれば(S109)、空調機12をオフにし(空調オフ)(S111)、次いで、車室温度センサ8が検出した車室温度Trを読込む(S113)。
【0045】
処理部2は、次に、目的地への到着予測時刻tp(又は、例えば何十分後)をナビゲーション装置6から読込み(受付け)、現時刻tn(又は走行開始からの経過時間)を時計5から読込む(S114)。次いで、処理部2は、到着予測時刻tpと現時刻tnとの差が、予測時間ta以下であるか否かを判定する(S115)。
処理部2は、到着予測時刻tpと現時刻tnとの差が、予測時間ta以下であれば(S115)、空調機12をオフ(空調オフ)にし(S121)、空調機12がオン(空調オン)になる迄待機する(S71)。
【0046】
処理部2は、到着予測時刻tpと現時刻tnとの差が、予測時間ta以下でなければ(S115)、車室温度Trが設定温度Ts−3以下であるか否かを判定する(S117)。
処理部2は、車室温度Trが設定温度Ts−3以下でなければ(S117)、車室温度センサ8が検出した車室温度Trを読込む(S113)。
処理部2は、車室温度Trが設定温度Ts−3以下であれば(S117)、中間の吹出し風量(所定の吹出し風量)に設定して、空調機12をオンにし(空調オン)(S119)、車室温度センサ8が検出した車室温度Trを読込む(S105)。
【符号の説明】
【0047】
1 制御装置
2 処理部(受付手段、演算手段、判定する手段)
3 記録部
4 時間計測部(時間計測手段)
5 時計
6 ナビゲーション装置
8 車室温度センサ
9 外気温度センサ
10 操作部
11 空調ECU
12 空調機(空気調和機、冷暖房手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室温度センサが検出した車室温度が、その設定温度からT1度以内になるように作動する空気調和機をオン/オフ制御する車両用空気調和制御装置において、
車両の目的地への到着予測時点を受付ける受付手段と、前記車室温度センサが検出した車室温度が前記設定温度に到達したときに、前記空気調和機をオフにし、車室温度が前記設定温度からT2度変化するのに要する時間を計測する時間計測手段と、前記空気調和機をオフにした状態で、車室温度が、外気温度センサが検出した外気温度からT3度以内に変化するのに要する時間を、前記時間計測手段が計測した時間に基づき、車室温度に対応させて演算する演算手段と、前記車室温度センサが検出した車室温度に対応する前記演算手段が演算した時間を、前記受付手段が受付けた到着予測時点から差引いた時点に到達したか否かを判定する手段とを備え、該手段が到達したと判定したときに、前記空気調和機をオンにしているときは、該空気調和機をオフにするように構成してあることを特徴とする車両用空気調和制御装置。
【請求項2】
前記時間計測手段は、車室温度が前記設定温度からT2度=T1度変化するのに要する時間を計測するように構成してある請求項1記載の車両用空気調和制御装置。
【請求項3】
前記時間計測手段は、車室温度が単位温度変化する都度、変化するのに要する時間を計測する手段を有し、該手段が複数回計測することにより、車室温度が前記設定温度からT2度変化するのに要する時間を計測するように構成してある請求項1又は2記載の車両用空気調和制御装置。
【請求項4】
前記時間計測手段がT2度変化するのに要する時間を計測した後、前記空気調和機を所定の吹出し風量でオンにする手段と、該手段が空気調和機をオンにした状態で、前記車室温度センサが検出した車室温度が、所定時間でT4度以上、前記設定温度に近付くか否かを判定する手段と、該手段が近付かないと判定する都度、車室温度が設定温度に近付くように、吹出し風の温度をT5度昇降させる手段とを更に備え、車室温度が前記設定温度からT1度以内になるように、前記空気調和機を前記吹出し風の温度及び所定の吹出し風量でオンにするように構成してある請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両用空気調和制御装置。
【請求項5】
車室温度センサが検出した車室温度が、その設定温度からT1度以内になるように作動する冷暖房手段を備える車両用空気調和装置において、
車両の目的地への到着予測時点を受付ける受付手段と、前記車室温度センサが検出した車室温度が前記設定温度に到達したときに、前記冷暖房手段をオフにし、車室温度が前記設定温度からT2度変化するのに要する時間を計測する時間計測手段と、前記冷暖房手段をオフにした状態で、車室温度が、外気温度センサが検出した外気温度からT3度以内に変化するのに要する時間を、前記時間計測手段が計測した時間に基づき、車室温度に対応させて演算する演算手段と、前記車室温度センサが検出した車室温度に対応する前記演算手段が演算した時間を、前記受付手段が受付けた到着予測時点から差引いた時点に到達したか否かを判定する手段とを備え、該手段が到達したと判定したときに、前記冷暖房手段をオンにしているときは、該冷暖房手段をオフにするように構成してあることを特徴とする車両用空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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