車両用空調システムの制御プログラム及びその制御方法
【課題】簡単なステップ及び工程で、特に走行状態に則して設定された許容キャビン内圧力の範囲内に、キャビン内圧力を良好且つ確実に維持することを可能にする。
【解決手段】制御プログラムは、自動車12が停止した状態で、第1ブロア30aの停止時の最小風量から前記第1ブロア30aのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1のステップと、前記自動車12の走行時の各車速毎に、前記第1ブロア30aの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2のステップと、前記自動車12の実際の走行時に、前記車速、前記第1ブロア30aの風量及びキャビン内圧力が入力される際、前記キャビン内圧力変化値に基づいて、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲を設定する第3のステップと、前記キャビン内圧力が、前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロア30bを制御する第4のステップとを実行させている。
【解決手段】制御プログラムは、自動車12が停止した状態で、第1ブロア30aの停止時の最小風量から前記第1ブロア30aのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1のステップと、前記自動車12の走行時の各車速毎に、前記第1ブロア30aの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2のステップと、前記自動車12の実際の走行時に、前記車速、前記第1ブロア30aの風量及びキャビン内圧力が入力される際、前記キャビン内圧力変化値に基づいて、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲を設定する第3のステップと、前記キャビン内圧力が、前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロア30bを制御する第4のステップとを実行させている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に外気を取り入れる第1ブロア及び前記車両の内気を排出する第2ブロアを備え、乗員用のキャビンの空調を行う車両用空調システムを、コンピュータによって制御するための車両用空調システムの制御プログラム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、例えば、内燃エンジンを組み込むエンジン自動車、エンジンと二次電池(又は二次電池と燃料電池等)とを併用するハイブリッド自動車、電気自動車及び燃料電池自動車等の自動車に対応して、種々の車両用空調システムが採用されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている車両用空調装置は、図13に示すように、車両1の進行方向前方側に車両前方用空調ユニット2が配置されるとともに、車両進行方向後方側には、換気、空調及び排気熱回収利用兼用型ユニット3が配置されている。空調ユニット2は、送風機2a、冷却用熱交換器2b、加熱用熱交換器2c及びエアミックスドア2dを備えている。兼用型ユニット3は、送風機3a、空調用熱交換器3b、熱回収用熱交換器3cとを備えている。
【0004】
そして、空調ユニット2の送風機2aにより車室内空気が吸い込まれる外気導入モード時において、前記空調ユニット2の前記送風機2aの回転数と、兼用型ユニット3の送風機3aの回転数とが、前記空調ユニット2の前記送風機2aの吸い込み風量が変動しても、車室内圧力が0Pa以上で50Pa以下の値に設定されるように連動している。
【0005】
これにより、空調ユニット2の送風機2a及び兼用型ユニット3の送風機3aが回転して車両室内圧力が車外圧力よりも低くなってしまうことに起因する不具合、すなわち、前記空調ユニット2の空気導入口以外の部位から空気が車室内に取り込まれる不具合を防止することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−23566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、車両において、実際の走行により車速が上昇するのに伴って、キャビン内圧力が変動する場合が多い。例えば、車速の上昇に伴って、キャビン内圧力が負圧側に変動する特性を有する車両や、逆に、車速の上昇に伴って、キャビン内圧力が陽圧側に変動する特性を有する車両が知られている。
【0008】
しかしながら、上記の特許文献1では、実際に走行する車両1の車速については、何ら考慮されておらず、車速の変動によってキャビン内圧力が変動した際には、例えば、前記キャビン内圧力が負圧側に変動するおそれがある。これにより、キャビン内圧力が変動してしまい、例えば、前記キャビン内圧力を0Pa以上で50Pa以下の値に設定するという引用文献1の課題を解決することができないという問題がある。
【0009】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、簡単なステップ及び工程で、特に走行状態に則して設定された許容キャビン内圧力の範囲内に、キャビン内圧力を良好且つ確実に維持することが可能な車両用空調システムの制御プログラム及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、車両に外気を取り入れる第1ブロア及び前記車両の内気を排出する第2ブロアを備え、乗員用のキャビンの空調を行う車両用空調システムを、コンピュータによって制御するための車両用空調システムの制御プログラムに関するものである。
【0011】
この制御プログラムは、車両が停止した状態で、第1ブロアの停止時の最小風量から前記第1ブロアのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1のステップと、前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロアの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2のステップと、前記車両の実際の走行時に、前記車速、前記第1ブロアの風量及びキャビン内圧力が入力される際、前記キャビン内圧力変化値に基づいて、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲を設定する第3のステップと、前記キャビン内圧力が、前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロアを制御する第4のステップとを実行させている。
【0012】
また、この制御プログラムは、キャビン内を外部に開放させる開口部が開口されている際、第4のステップでは、第2ブロアへの供給電力を開口状態に応じて設定することが好ましい。
【0013】
さらに、第2ブロアは、キャビンからの排出熱を吸収するヒートポンプ式熱交換器に用いられることが好ましい。
【0014】
さらにまた、本発明に係る車両用空調システムの制御プログラムは、車両が停止した状態で、第1ブロアの停止時の最小風量から前記第1ブロアのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1のステップと、前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロアの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2のステップと、前記車速、前記第1ブロアの風量及び第2ブロアの風量が設定された際の前記キャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲をマップとして設定する第3のステップと、前記車両の実際の走行時に、前記車速及び前記第1ブロアの風量が入力される際、前記キャビン内圧力が、前記マップから読み出される前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロアを制御する第4のステップとを実行させている。
【0015】
また、この制御プログラムは、キャビン内を外部に開放させる開口部が開口されている際、第4のステップでは、第2ブロアへの供給電力を開口状態に応じて設定することが好ましい。
【0016】
さらに、第2ブロアは、キャビンからの排出熱を吸収するヒートポンプ式熱交換器に用いられることが好ましい。
【0017】
さらにまた、本発明は、車両に外気を取り入れる第1ブロア及び前記車両の内気を排出する第2ブロアを備え、乗員用のキャビンの空調を行う車両用空調システムの制御方法に関するものである。
【0018】
この制御方法は、車両が停止した状態で、第1ブロアの停止時の最小風量から前記第1ブロアのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1の工程と、前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロアの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2の工程と、前記車両の実際の走行時に、前記車速、前記第1ブロアの風量及びキャビン内圧力が入力される際、前記キャビン内圧力変化値に基づいて、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲を設定する第3の工程と、前記キャビン内圧力が、前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、前記第2ブロアを制御する第4の工程とを有している。
【0019】
また、この制御方法は、キャビン内を外部に開放させる開口部が開口されている際、第4の工程では、第2ブロアへの供給電力を開口状態に応じて設定することが好ましい。
【0020】
さらに、第2ブロアは、キャビンからの排出熱を吸収するヒートポンプ式熱交換器に用いられることが好ましい。
【0021】
さらにまた、本発明に係る車両用空調システムの制御方法は、車両が停止した状態で、第1ブロアの停止時の最小風量から前記第1ブロアのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1の工程と、前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロアの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2の工程と、前記車速、前記第1ブロアの風量及び第2ブロアの風量が設定された際の前記キャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲をマップとして設定する第3の工程と、前記車両の実際の走行時に、前記キャビン内圧力が、前記マップから読み出される前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロアを制御する第4の工程とを有している。
【0022】
また、この制御方法は、キャビン内を外部に開放させる開口部が開口されている際、第4の工程では、第2ブロアへの供給電力を開口状態に応じて設定することが好ましい。
【0023】
さらに、第2ブロアは、キャビンからの排出熱を吸収するヒートポンプ式熱交換器に用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、車速及び第1ブロアの風量に応じたキャビン内圧力変化値が設定されている。そして、車両の実際の走行時に、車速、第1ブロアの風量及びキャビン内圧力が入力されることにより、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲が設定され、キャビン内圧力がこの範囲内に維持されるように、第2ブロアが制御されている。
【0025】
このため、第1ブロアによりキャビン内に導入された風量を、効率的に第2ブロアにより車両外に排出することができ、走行状態に応じた制御が良好に遂行される。これにより、キャビンにおける空気の出入りが抑制され、高精度な温度制御が確実に遂行されるとともに、熱交換が効率的に行われる。
【0026】
また、本発明では、車速、第1ブロアの風量及び第2ブロアの風量が設定された際のキャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲をマップとして設定している。そして、車両の実際の走行時に、車速及び第1ブロアの風量が入力される際、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲がマップから読み出され、キャビン内圧力がこの範囲内に維持されるように、第2ブロアが制御されている。従って、比較的高価な圧力検出器が不要になり、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用ヒートポンプ式空調システムの概略ブロック図である。
【図2】前記空調システムの概略説明図である。
【図3】外気導入モード時の第1ブロアの風量とキャビン内圧力との関係説明図である。
【図4】車速の上昇に伴ってキャビン内圧力が増圧される場合のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲の説明図である。
【図5】車速の上昇に伴ってキャビン内圧力が減圧される場合のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲の説明図である。
【図6】車速及びブロア風量の変化に応じたキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲の説明図である。
【図7】前記空調システムの制御を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る車両用ヒートポンプ式空調システムの概略説明図である。
【図9】前記空調システムの制御を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る車両用ヒートポンプ式空調システムの概略説明図である。
【図11】前記空調システムの制御を説明するフローチャートである。
【図12】開口判定運転を説明するフローチャートである。
【図13】特許文献1に開示されている車両用空調装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る車両用ヒートポンプ式空調システム(車両用空調システム)10は、自動車(車両)12に搭載されており、乗員用のキャビン(車室)14の空調を行う。自動車12は、エンジン自動車、エンジンと二次電池(又は二次電池と燃料電池等)とを併用するハイブリッド自動車、電気自動車又は燃料電池自動車等のいずれであってもよい。
【0029】
空調システム10は、コンプレッサ(圧縮機)16を介して冷媒体を循環させるヒートポンプ循環路18を備える。ヒートポンプ循環路18には、冷媒体と外気とで熱交換を行うコンデンサ20と、前記コンデンサ20から送られる前記冷媒体を減圧させる膨張弁22と、前記膨張弁22を通過した前記冷媒体と空調用空気とで熱交換を行う第1エバポレータ24aと、前記コンプレッサ16から送出される前記冷媒体と前記第1エバポレータ24aを通過した前記空調用空気とで熱交換を行うヒータ(コンデンサ)26とが配置される。
【0030】
ヒートポンプ循環路18から分岐路28が分岐されるとともに、前記分岐路28には、自動車12の内外から得られる熱媒体、例えば、キャビン14から前記自動車12の外に排出される熱媒体(実施形態として、キャビン14からの排熱気体)と冷媒体で熱交換を行う第2エバポレータ24bが配置される。
【0031】
ここで熱交換される熱媒体は、キャビン14からの排熱気体であるため、前記キャビン14の持つ熱を排出の際に吸収することで無駄に捨てずに有効利用することができる。また、空調システム10の暖気起動時に、キャビン14の暖気に供された熱を回収し、再投入することができるため、迅速な立ち上がりが遂行されるという利点がある。
【0032】
第1エバポレータ24aに近接して第1ブロア30aが配設されるとともに、第2エバポレータ24bに近接して第2ブロア30bが配設される。第1ブロア30aは、自動車12内に外気を取り入れる一方、第2ブロア30bは、前記自動車12の内気を車外に排出する。
【0033】
コンデンサ20は、自動車12の前方側に配置されるとともに、前記コンデンサ20の両側には、電磁弁32aと逆止弁34とが配置される。ヒートポンプ循環路18には、コンデンサ20と平行に第1バイパス路36aが設けられ、前記第1バイパス路36aには、電磁弁32bが配置される。
【0034】
膨張弁22は、空調用空気を冷却する第1エバポレータ24aから送出された冷媒体の温度を検出する手段(図示せず)を有する。この膨張弁22は、第1エバポレータ24aから送出された冷媒体の温度に応じて、開度を自動的に変更させることにより、冷媒体流量を変更可能に構成される。
【0035】
ヒートポンプ循環路18には、膨張弁22に近接する部位と、分岐路28の入り口側との接続部位に対応して、三方弁38aが配置される。ヒートポンプ循環路18には、第1エバポレータ24aをバイパスする第2バイパス路36bの出口部と前記ヒートポンプ循環路18との接続部位に対応して、三方弁38bが配置される。第2エバポレータ24bは、自動車12の後部側に配置される(図2参照)。
【0036】
第1エバポレータ24aとヒータ26との間には、前記第1エバポレータ24aにより冷却された空調用空気を、前記ヒータ26を迂回させてキャビン14に送出するためのエアミックスダンパ40が設けられる。
【0037】
自動車12には、外気を空調用空気として取り入れるための外気取り入れ口46が形成される。この外気取り入れ口46の下流には、第1ブロア30a、第1エバポレータ24a及びヒータ26が、この順に配置される。
【0038】
空調システム10は、後述するように、前記空調システム10全体の駆動制御を行うために、制御部(ECU)48を備える。制御部48には、キャビン14内の圧力を検出する圧力検出センサ50からのキャビン内圧力が入力されるとともに、車速センサ52から自動車12の走行速度が入力される。なお、圧力検出センサ50としては、例えば、差圧計を用いることができ、この差圧計は、車外の静圧と車内圧との差圧を検出する。
【0039】
このように構成される空調システム10の動作について、第1の実施形態に係る制御プログラム(制御方法)との関連で、以下に説明する。
【0040】
先ず、第1の実施形態に係る制御プログラムは、自動車12が停止した状態で、第1ブロア30aの停止時の最小風量から前記第1ブロア30aのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1のステップと、前記自動車12の走行時の各車速毎に、前記第1ブロア30aの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2のステップと、前記自動車12の実際の走行時に、前記車速、前記第1ブロア30aの風量及びキャビン内圧力が入力される際、前記キャビン内圧力変化値に基づいて、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲を設定する第3のステップと、前記キャビン内圧力が、前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロア30bを制御する第4のステップとを実行させている。
【0041】
また、第1の実施形態に係る制御方法は、自動車12が停止した状態で、第1ブロア30aの停止時の最小風量から前記第1ブロア30aのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1の工程と、前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロア30aの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2の工程と、前記自動車12の実際の走行時に、前記車速、前記第1ブロア30aの風量及びキャビン内圧力が入力される際、前記キャビン内圧力変化値に基づいて、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲を設定する第3の工程と、前記キャビン内圧力が、前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、前記第2ブロア30bを制御する第4の工程とを有している。
【0042】
具体的には、先ず、種々の自動車12において、気密性が一様でないために、第1ブロア30aの風量を増加させた際のキャビン内圧力に差が発生している。例えば、図3に示すように、自動車12a、12b及び12cでは、第1ブロア30aの停止時における最小風量(0)から前記第1ブロア30aのみの駆動による最大風量に対応するキャビン内圧力が異なる。
【0043】
自動車12aでは、第1ブロア30aの最大風量時に120Paであり、キャビン内圧力の制御範囲が0Pa〜120Paとなる。同様に、自動車12b及び自動車12cでは、それぞれ0Pa〜80Pa及び0Pa〜20Paがキャビン内圧力の制御範囲に設定される。
【0044】
さらに、各自動車12では、走行時の車速によってキャビン内圧力が変動する場合がある。例えば、図4に示す自動車12は、停止時に第1ブロア30aの風量を最大にした際、キャビン内圧力が80Paであるとともに、前記第1ブロア30aが停止した際には、キャビン内圧力は0Paである。
【0045】
そして、自動車12の車速が上昇するのに伴い、第1ブロア30a側の外気取り入れ口46での圧力の上昇がキャビン14からの漏洩による圧力低下を上回るため、前記キャビン14内が陽圧側に変動する特性を有している。その際、キャビン内圧力の下限圧力設定値は、車速の上昇に伴って0Paから陽圧側へ上昇するとともに、上限圧力設定値も、80Paから陽圧側に上昇する。
【0046】
一方、車速に対するキャビン内圧力の関係が、図5に示す特性を有する自動車12がある。この自動車12は、車速の上昇に伴って第1ブロア30a側の外気取り入れ口46での圧力の上昇がキャビン14からの漏洩による圧力低下より劣るため、前記キャビン14内が負圧側に変動する。その際、下限圧力設定値は、0Paから負圧側へ移動するとともに、上限圧力設定値も、80Paから負圧側へ移動する。
【0047】
そこで、第1の実施形態では、車速の上昇に伴ってキャビン内圧力が変動する自動車12において、車速に応じたキャビン内圧力の補正値であるキャビン内圧変化値を設定し、このキャビン内圧変化値に基づいて、第2ブロア30bを制御する。
【0048】
具体的には、図6に示すように、第1ブロア30aの最大風量時にキャビン内圧力が120Paに設定され、車速の上昇に伴って負圧側に変化する特性を有する自動車12を用い、図7に示すフローチャートに沿って以下に説明する。
【0049】
空調システム10のイグニッションがオンされると(ステップS1中、YES)、ステップS2に進んで、第1ブロア30aがオンされているか否かが判断される。第1ブロア30aがオンされていると(ステップS2中、YES)、ステップS3に進んで、空調モードが暖房モード(HEAT)又は暖房除湿モード(H/D)であるか否かが判断される。
【0050】
第1ブロア30aがオフされていると(ステップS2中、NO)、ステップS4に進んで、第2ブロア30bがオフされる。また、空調モードが暖房モードでも暖房除湿モードでもないと判断されると(ステップS3中、NO)、ステップS4に進む。
【0051】
一方、空調モードが暖房モード(HEAT)又は暖房除湿モード(H/D)であると判断されると(ステップS3中、YES)、ステップS5に進む。例えば、暖房モードでは、図2に示すように、コンプレッサ16が駆動される。コンプレッサ16からヒートポンプ循環路18に送出される冷媒体は、ヒータ26に供給され、このヒータ26で空調用空気と熱交換(放熱)を行い、前記空調用空気を昇温させる。
【0052】
電磁弁32aが閉塞される一方、電磁弁32bが開放されるため、ヒータ26から排出される冷媒体は、放熱器であるコンデンサ20を迂回して第1バイパス路36aを通り、膨張弁22に送られる。膨張弁22で減圧された冷媒体は、三方弁38aを介して分岐路28に分岐され、第2エバポレータ24bに導入される。第2エバポレータ24bでは、冷媒体がキャビン14内の熱源と熱交換(吸熱)を行った後、第1エバポレータ24aを迂回して第2バイパス路36bから膨張弁22を通って、再度、コンプレッサ16に送られる。
【0053】
次に、ステップS5では、制御部48には、自動車12の実際の走行時に、車速センサ52からこの自動車12の車速が入力されるとともに、第1ブロア30aの風量(ブロア電圧)及び圧力検出センサ50によるキャビン内圧力が入力される。このため、制御部48では、図6に示すように、車速の上昇に伴ってキャビン内圧が減少するキャビン内圧力変化値(実線及び破線参照)に基づいて、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲を設定する(ステップS6)。
【0054】
例えば、自動車12の車速が80km/hであることが検出されると、第1ブロア30aの風量が最大であれば、キャビン内補正最大圧力値は、80Paになるとともに、キャビン内補正最小圧力値は、−50Paに設定される。従って、第2ブロア30bの停止時に、キャビン内圧力は、−50Pa〜80Paの範囲内に変動可能となり、前記第2ブロア30bの駆動時には、キャビン内圧力の制御範囲は、最大で−50Pa、最小で−80Paに制御することができる。
【0055】
一方、第1ブロア30aの風量を減少させて、例えば、中間風量に設定した場合(図6中、一点鎖線参照)、キャビン内補正最大圧力値が減少し、車速が80km/hにおいて0Paとなる。このため、第2ブロア30bの制御範囲は、最大で−50Pa、最小で0Paに設定することができる。
【0056】
次いで、ステップS7に進み、圧力検出センサ50により検出されるキャビン内圧力が、キャビン内補正最小圧力値(下限値)以上であるか否かが判断される。キャビン内圧力が、下限値未満であると判断されると(ステップS7中、NO)、ステップS8に進んで、第2ブロア30bの出力が低下され、キャビン14内からの排出空気量を減少させる。
【0057】
また、キャビン内圧力が、下限値以上であると判断されると(ステップS7中、YES)、ステップS9に進んで、前記キャビン内圧力が、キャビン内補正最大圧力値(上限値)以下であるか否かが判断される。キャビン内圧力が、上限値を超えていると判断されると(ステップS9中、NO)、ステップS10に進んで、第2ブロア30bの出力が上げられてキャビン14内の空気を強制的に排出させる。
【0058】
一方、キャビン内圧力が、上限値以下であると判断されると(ステップS9中、YES)、ステップS11に進んで、空調システム10の空調能力の有無が判断される。要求に対し空調能力が足りない場合には(ステップS11中、NO)、ステップS10に進んで、第2ブロア30bの出力が上げられる。
【0059】
これに対して、空調能力が要求を満たしていると判断されると(ステップS11中、YES)、ステップS12に進む。ステップS12では、例えば、エアコンのスイッチがオフされたと判断されると(ステップS12中、YES)、ステップS13に進んで、エアコンオフモードに変更する処置(対応処置)が施される。
【0060】
ステップS12において、スイッチ操作がないと判断されると(ステップS12中、NO)、ステップS14に進んで、空調システム10の運転が継続される。そして、イグニッションがオフされることにより(ステップS15中、YES)、制御プロセスが終了する。
【0061】
この場合、第1の実施形態では、図6に示すように、車速及び第1ブロア30aの風量の変化に応じたキャビン内圧力変化値が設定されている。次いで、自動車12の実際の走行時に検出される車速及び第1ブロア30aの風量が、制御部48に入力されることにより、前記車速及び前記第1ブロア30aの風量に対応したキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲が設定されている。
【0062】
その際、制御部48には、圧力検出センサ50を介してキャビン14内の圧力(キャビン内圧力)が入力されている。このため、制御部48は、検出されるキャビン内圧力が、設定されたキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロア30bに電圧を出力して前記第2ブロア30bを制御している。
【0063】
従って、第1ブロア30aによりキャビン14内に導入された風量を、第2ブロア30bを介して効率的に自動車12の外部に排出することができ、前記自動車12の走行状態に応じたキャビン内圧力の制御が良好に遂行される。これにより、キャビン14における空気の出入りが抑制され、高精度な温度制御が確実に遂行されるとともに、熱交換が効率的に行われるという効果が得られる。
【0064】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る車両用ヒートポンプ式空調システム(車両用空調システム)60の概略説明図である。
【0065】
なお、第1の実施形態に係る空調システム10と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0066】
空調システム60は、圧力検出センサを用いずに、制御部48がマップ62を有している。このマップ62には、自動車12の車速、第1ブロア30aの風量及び第2ブロア30bの風量が設定された際のキャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲が設定されている。
【0067】
この空調システム60の動作について、第2の実施形態に係る制御プログラム(制御方法)との関連で、以下に説明する。
【0068】
先ず、第2の実施形態に係る制御プログラムは、自動車12が停止した状態で、第1ブロア30aの停止時の最小風量から前記第1ブロア30aのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1のステップと、前記自動車12の走行時の各車速毎に、前記第1ブロア30aの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2のステップと、車速、前記第1ブロア30aの風量及び第2ブロア30bの風量が設定された際の前記キャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲をマップ62として設定する第3のステップと、前記自動車12の実際の走行時に、前記車速及び前記第1ブロア30aの風量が入力される際、前記キャビン内圧力が、前記マップ62から読み出される前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロア30bを制御する第4のステップとを実行させている。
【0069】
また、第2の実施形態に係る制御方法は、自動車12が停止した状態で、第1ブロア30aの停止時の最小風量から前記第1ブロア30aのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1の工程と、前記自動車12の走行時の各車速毎に、前記第1ブロア30aの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2の工程と、前記車速、前記第1ブロア30aの風量及び第2ブロア30bの風量が設定された際の前記キャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲をマップ62として設定する第3の工程と、前記自動車12の実際の走行時に、前記キャビン内圧力が、前記マップ62から読み出される前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロア30bを制御する第4の工程とを有している。
【0070】
具体的には、図9に示すフローチャートに沿って説明する。
【0071】
先ず、ステップS21〜ステップS24が、上記のステップS1〜ステップS4と同様に行われた後、ステップS25では、空調システム60による必要な空調能力が算出される。そして、ステップS26に進み、自動車12の実際の走行時に、前記自動車12の車速及び第1ブロア30aの風量が入力される。
【0072】
制御部48では、マップ62から車速及び第1ブロア30aの風量に対応した第2ブロア30bの風量(ブロア電圧)が読み出される。さらに、キャビン内圧力が、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロア30bの供給電圧が制御される(ステップS28)。さらに、ステップS29以降が、上記のステップS12以降と同様に行われる。
【0073】
このように、第2の実施形態では、予め、自動車12の車速、第1ブロア30aの風量及び第2ブロア30bの風量が設定された際のキャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲がマップ62として設定されている。そして、自動車12の実際の走行時に、車速及び第1ブロア30aの風量が入力される際、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲に対応する第2ブロア30bの風量がマップ62から読み出され、キャビン内圧力がこの範囲内に維持されるように、前記第2ブロア30bが制御されている。
【0074】
従って、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる他、特に比較的高価な圧力検出器が不要になり、経済的であるという利点がある。
【0075】
図10は、本発明の第3の実施形態に係る車両用ヒートポンプ式空調システム(車両用空調システム)70の概略説明図である。
【0076】
なお、第3の実施形態では、基本的には、第1の実施形態に係る空調システム10を用いているが、これに限定されるものではなく、第2の実施形態に係る空調システム60に適用することもできる。
【0077】
空調システム70は、開口検出センサ72を備え、この開口検出センサ72による開口信号が、制御部48に入力される。開口検出センサ72は、自動車12のドアの開放や、窓の開放等を検出し、この開放情報が制御部48に送られる。
【0078】
このように構成される第3の実施形態による制御は、図11に示すフローチャートに沿って行われる。第3の実施形態では、ステップS41〜ステップS51が、第1の実施形態におけるステップS1〜ステップS11と同様に行われた後、ステップS52に進む。
【0079】
このステップS52では、自動車12のドアや窓等が乗員の意思によって開放されているか否かが判断され、開口があると判断されると(ステップS52中、NO)、ステップS53の開口判定運転に移行する。開口判定運転では、図12に示すように、第2ブロア30bの供給電圧が、例えば、最大に設定される。キャビン14内が外部に開放されるため、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲に設定する効果が発揮されず、第2ブロア30bによる風量を最大に設定している。
【0080】
この状態で、開口があると判断されると(ステップS102中、YES)、ステップS103に進んで、第2ブロア30bの最大電圧が継続される。一方、開口がないと判断されると(ステップS102中、NO)、ステップS104に進んで、通常時の運転に復帰される。そして、図11に示すように、ステップS54〜ステップS57が、第1の実施形態のステップS12〜ステップS15と同様に行われる。
【0081】
これにより、第3の実施形態では、自動車12のドアや窓が開放された際には、開口判定運転処理を行うことにより、一層確実且つ高精度な温度制御が遂行されるという効果が得られる。
【0082】
また、自動車12のドアや窓等の開口状態がわずかな場合では、その開口状態に応じて第2ブロア30bの供給電力を調整し設定してもよい。これにより、キャビン14における空気の出入りを管理し、さらに確実で高精度な温度制御が実現可能になる。
【符号の説明】
【0083】
10、60、70…空調システム 12…自動車
14…キャビン 16…コンプレッサ
18…ヒートポンプ循環路 20…コンデンサ
22…膨張弁 24a、24b…エバポレータ
26…ヒータ 28…分岐路
48…制御部 50…圧力検出センサ
52…車速センサ 62…マップ
72…開口検出センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に外気を取り入れる第1ブロア及び前記車両の内気を排出する第2ブロアを備え、乗員用のキャビンの空調を行う車両用空調システムを、コンピュータによって制御するための車両用空調システムの制御プログラム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、例えば、内燃エンジンを組み込むエンジン自動車、エンジンと二次電池(又は二次電池と燃料電池等)とを併用するハイブリッド自動車、電気自動車及び燃料電池自動車等の自動車に対応して、種々の車両用空調システムが採用されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている車両用空調装置は、図13に示すように、車両1の進行方向前方側に車両前方用空調ユニット2が配置されるとともに、車両進行方向後方側には、換気、空調及び排気熱回収利用兼用型ユニット3が配置されている。空調ユニット2は、送風機2a、冷却用熱交換器2b、加熱用熱交換器2c及びエアミックスドア2dを備えている。兼用型ユニット3は、送風機3a、空調用熱交換器3b、熱回収用熱交換器3cとを備えている。
【0004】
そして、空調ユニット2の送風機2aにより車室内空気が吸い込まれる外気導入モード時において、前記空調ユニット2の前記送風機2aの回転数と、兼用型ユニット3の送風機3aの回転数とが、前記空調ユニット2の前記送風機2aの吸い込み風量が変動しても、車室内圧力が0Pa以上で50Pa以下の値に設定されるように連動している。
【0005】
これにより、空調ユニット2の送風機2a及び兼用型ユニット3の送風機3aが回転して車両室内圧力が車外圧力よりも低くなってしまうことに起因する不具合、すなわち、前記空調ユニット2の空気導入口以外の部位から空気が車室内に取り込まれる不具合を防止することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−23566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、車両において、実際の走行により車速が上昇するのに伴って、キャビン内圧力が変動する場合が多い。例えば、車速の上昇に伴って、キャビン内圧力が負圧側に変動する特性を有する車両や、逆に、車速の上昇に伴って、キャビン内圧力が陽圧側に変動する特性を有する車両が知られている。
【0008】
しかしながら、上記の特許文献1では、実際に走行する車両1の車速については、何ら考慮されておらず、車速の変動によってキャビン内圧力が変動した際には、例えば、前記キャビン内圧力が負圧側に変動するおそれがある。これにより、キャビン内圧力が変動してしまい、例えば、前記キャビン内圧力を0Pa以上で50Pa以下の値に設定するという引用文献1の課題を解決することができないという問題がある。
【0009】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、簡単なステップ及び工程で、特に走行状態に則して設定された許容キャビン内圧力の範囲内に、キャビン内圧力を良好且つ確実に維持することが可能な車両用空調システムの制御プログラム及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、車両に外気を取り入れる第1ブロア及び前記車両の内気を排出する第2ブロアを備え、乗員用のキャビンの空調を行う車両用空調システムを、コンピュータによって制御するための車両用空調システムの制御プログラムに関するものである。
【0011】
この制御プログラムは、車両が停止した状態で、第1ブロアの停止時の最小風量から前記第1ブロアのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1のステップと、前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロアの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2のステップと、前記車両の実際の走行時に、前記車速、前記第1ブロアの風量及びキャビン内圧力が入力される際、前記キャビン内圧力変化値に基づいて、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲を設定する第3のステップと、前記キャビン内圧力が、前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロアを制御する第4のステップとを実行させている。
【0012】
また、この制御プログラムは、キャビン内を外部に開放させる開口部が開口されている際、第4のステップでは、第2ブロアへの供給電力を開口状態に応じて設定することが好ましい。
【0013】
さらに、第2ブロアは、キャビンからの排出熱を吸収するヒートポンプ式熱交換器に用いられることが好ましい。
【0014】
さらにまた、本発明に係る車両用空調システムの制御プログラムは、車両が停止した状態で、第1ブロアの停止時の最小風量から前記第1ブロアのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1のステップと、前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロアの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2のステップと、前記車速、前記第1ブロアの風量及び第2ブロアの風量が設定された際の前記キャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲をマップとして設定する第3のステップと、前記車両の実際の走行時に、前記車速及び前記第1ブロアの風量が入力される際、前記キャビン内圧力が、前記マップから読み出される前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロアを制御する第4のステップとを実行させている。
【0015】
また、この制御プログラムは、キャビン内を外部に開放させる開口部が開口されている際、第4のステップでは、第2ブロアへの供給電力を開口状態に応じて設定することが好ましい。
【0016】
さらに、第2ブロアは、キャビンからの排出熱を吸収するヒートポンプ式熱交換器に用いられることが好ましい。
【0017】
さらにまた、本発明は、車両に外気を取り入れる第1ブロア及び前記車両の内気を排出する第2ブロアを備え、乗員用のキャビンの空調を行う車両用空調システムの制御方法に関するものである。
【0018】
この制御方法は、車両が停止した状態で、第1ブロアの停止時の最小風量から前記第1ブロアのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1の工程と、前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロアの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2の工程と、前記車両の実際の走行時に、前記車速、前記第1ブロアの風量及びキャビン内圧力が入力される際、前記キャビン内圧力変化値に基づいて、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲を設定する第3の工程と、前記キャビン内圧力が、前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、前記第2ブロアを制御する第4の工程とを有している。
【0019】
また、この制御方法は、キャビン内を外部に開放させる開口部が開口されている際、第4の工程では、第2ブロアへの供給電力を開口状態に応じて設定することが好ましい。
【0020】
さらに、第2ブロアは、キャビンからの排出熱を吸収するヒートポンプ式熱交換器に用いられることが好ましい。
【0021】
さらにまた、本発明に係る車両用空調システムの制御方法は、車両が停止した状態で、第1ブロアの停止時の最小風量から前記第1ブロアのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1の工程と、前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロアの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2の工程と、前記車速、前記第1ブロアの風量及び第2ブロアの風量が設定された際の前記キャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲をマップとして設定する第3の工程と、前記車両の実際の走行時に、前記キャビン内圧力が、前記マップから読み出される前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロアを制御する第4の工程とを有している。
【0022】
また、この制御方法は、キャビン内を外部に開放させる開口部が開口されている際、第4の工程では、第2ブロアへの供給電力を開口状態に応じて設定することが好ましい。
【0023】
さらに、第2ブロアは、キャビンからの排出熱を吸収するヒートポンプ式熱交換器に用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、車速及び第1ブロアの風量に応じたキャビン内圧力変化値が設定されている。そして、車両の実際の走行時に、車速、第1ブロアの風量及びキャビン内圧力が入力されることにより、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲が設定され、キャビン内圧力がこの範囲内に維持されるように、第2ブロアが制御されている。
【0025】
このため、第1ブロアによりキャビン内に導入された風量を、効率的に第2ブロアにより車両外に排出することができ、走行状態に応じた制御が良好に遂行される。これにより、キャビンにおける空気の出入りが抑制され、高精度な温度制御が確実に遂行されるとともに、熱交換が効率的に行われる。
【0026】
また、本発明では、車速、第1ブロアの風量及び第2ブロアの風量が設定された際のキャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲をマップとして設定している。そして、車両の実際の走行時に、車速及び第1ブロアの風量が入力される際、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲がマップから読み出され、キャビン内圧力がこの範囲内に維持されるように、第2ブロアが制御されている。従って、比較的高価な圧力検出器が不要になり、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用ヒートポンプ式空調システムの概略ブロック図である。
【図2】前記空調システムの概略説明図である。
【図3】外気導入モード時の第1ブロアの風量とキャビン内圧力との関係説明図である。
【図4】車速の上昇に伴ってキャビン内圧力が増圧される場合のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲の説明図である。
【図5】車速の上昇に伴ってキャビン内圧力が減圧される場合のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲の説明図である。
【図6】車速及びブロア風量の変化に応じたキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲の説明図である。
【図7】前記空調システムの制御を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る車両用ヒートポンプ式空調システムの概略説明図である。
【図9】前記空調システムの制御を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る車両用ヒートポンプ式空調システムの概略説明図である。
【図11】前記空調システムの制御を説明するフローチャートである。
【図12】開口判定運転を説明するフローチャートである。
【図13】特許文献1に開示されている車両用空調装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る車両用ヒートポンプ式空調システム(車両用空調システム)10は、自動車(車両)12に搭載されており、乗員用のキャビン(車室)14の空調を行う。自動車12は、エンジン自動車、エンジンと二次電池(又は二次電池と燃料電池等)とを併用するハイブリッド自動車、電気自動車又は燃料電池自動車等のいずれであってもよい。
【0029】
空調システム10は、コンプレッサ(圧縮機)16を介して冷媒体を循環させるヒートポンプ循環路18を備える。ヒートポンプ循環路18には、冷媒体と外気とで熱交換を行うコンデンサ20と、前記コンデンサ20から送られる前記冷媒体を減圧させる膨張弁22と、前記膨張弁22を通過した前記冷媒体と空調用空気とで熱交換を行う第1エバポレータ24aと、前記コンプレッサ16から送出される前記冷媒体と前記第1エバポレータ24aを通過した前記空調用空気とで熱交換を行うヒータ(コンデンサ)26とが配置される。
【0030】
ヒートポンプ循環路18から分岐路28が分岐されるとともに、前記分岐路28には、自動車12の内外から得られる熱媒体、例えば、キャビン14から前記自動車12の外に排出される熱媒体(実施形態として、キャビン14からの排熱気体)と冷媒体で熱交換を行う第2エバポレータ24bが配置される。
【0031】
ここで熱交換される熱媒体は、キャビン14からの排熱気体であるため、前記キャビン14の持つ熱を排出の際に吸収することで無駄に捨てずに有効利用することができる。また、空調システム10の暖気起動時に、キャビン14の暖気に供された熱を回収し、再投入することができるため、迅速な立ち上がりが遂行されるという利点がある。
【0032】
第1エバポレータ24aに近接して第1ブロア30aが配設されるとともに、第2エバポレータ24bに近接して第2ブロア30bが配設される。第1ブロア30aは、自動車12内に外気を取り入れる一方、第2ブロア30bは、前記自動車12の内気を車外に排出する。
【0033】
コンデンサ20は、自動車12の前方側に配置されるとともに、前記コンデンサ20の両側には、電磁弁32aと逆止弁34とが配置される。ヒートポンプ循環路18には、コンデンサ20と平行に第1バイパス路36aが設けられ、前記第1バイパス路36aには、電磁弁32bが配置される。
【0034】
膨張弁22は、空調用空気を冷却する第1エバポレータ24aから送出された冷媒体の温度を検出する手段(図示せず)を有する。この膨張弁22は、第1エバポレータ24aから送出された冷媒体の温度に応じて、開度を自動的に変更させることにより、冷媒体流量を変更可能に構成される。
【0035】
ヒートポンプ循環路18には、膨張弁22に近接する部位と、分岐路28の入り口側との接続部位に対応して、三方弁38aが配置される。ヒートポンプ循環路18には、第1エバポレータ24aをバイパスする第2バイパス路36bの出口部と前記ヒートポンプ循環路18との接続部位に対応して、三方弁38bが配置される。第2エバポレータ24bは、自動車12の後部側に配置される(図2参照)。
【0036】
第1エバポレータ24aとヒータ26との間には、前記第1エバポレータ24aにより冷却された空調用空気を、前記ヒータ26を迂回させてキャビン14に送出するためのエアミックスダンパ40が設けられる。
【0037】
自動車12には、外気を空調用空気として取り入れるための外気取り入れ口46が形成される。この外気取り入れ口46の下流には、第1ブロア30a、第1エバポレータ24a及びヒータ26が、この順に配置される。
【0038】
空調システム10は、後述するように、前記空調システム10全体の駆動制御を行うために、制御部(ECU)48を備える。制御部48には、キャビン14内の圧力を検出する圧力検出センサ50からのキャビン内圧力が入力されるとともに、車速センサ52から自動車12の走行速度が入力される。なお、圧力検出センサ50としては、例えば、差圧計を用いることができ、この差圧計は、車外の静圧と車内圧との差圧を検出する。
【0039】
このように構成される空調システム10の動作について、第1の実施形態に係る制御プログラム(制御方法)との関連で、以下に説明する。
【0040】
先ず、第1の実施形態に係る制御プログラムは、自動車12が停止した状態で、第1ブロア30aの停止時の最小風量から前記第1ブロア30aのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1のステップと、前記自動車12の走行時の各車速毎に、前記第1ブロア30aの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2のステップと、前記自動車12の実際の走行時に、前記車速、前記第1ブロア30aの風量及びキャビン内圧力が入力される際、前記キャビン内圧力変化値に基づいて、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲を設定する第3のステップと、前記キャビン内圧力が、前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロア30bを制御する第4のステップとを実行させている。
【0041】
また、第1の実施形態に係る制御方法は、自動車12が停止した状態で、第1ブロア30aの停止時の最小風量から前記第1ブロア30aのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1の工程と、前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロア30aの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2の工程と、前記自動車12の実際の走行時に、前記車速、前記第1ブロア30aの風量及びキャビン内圧力が入力される際、前記キャビン内圧力変化値に基づいて、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲を設定する第3の工程と、前記キャビン内圧力が、前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、前記第2ブロア30bを制御する第4の工程とを有している。
【0042】
具体的には、先ず、種々の自動車12において、気密性が一様でないために、第1ブロア30aの風量を増加させた際のキャビン内圧力に差が発生している。例えば、図3に示すように、自動車12a、12b及び12cでは、第1ブロア30aの停止時における最小風量(0)から前記第1ブロア30aのみの駆動による最大風量に対応するキャビン内圧力が異なる。
【0043】
自動車12aでは、第1ブロア30aの最大風量時に120Paであり、キャビン内圧力の制御範囲が0Pa〜120Paとなる。同様に、自動車12b及び自動車12cでは、それぞれ0Pa〜80Pa及び0Pa〜20Paがキャビン内圧力の制御範囲に設定される。
【0044】
さらに、各自動車12では、走行時の車速によってキャビン内圧力が変動する場合がある。例えば、図4に示す自動車12は、停止時に第1ブロア30aの風量を最大にした際、キャビン内圧力が80Paであるとともに、前記第1ブロア30aが停止した際には、キャビン内圧力は0Paである。
【0045】
そして、自動車12の車速が上昇するのに伴い、第1ブロア30a側の外気取り入れ口46での圧力の上昇がキャビン14からの漏洩による圧力低下を上回るため、前記キャビン14内が陽圧側に変動する特性を有している。その際、キャビン内圧力の下限圧力設定値は、車速の上昇に伴って0Paから陽圧側へ上昇するとともに、上限圧力設定値も、80Paから陽圧側に上昇する。
【0046】
一方、車速に対するキャビン内圧力の関係が、図5に示す特性を有する自動車12がある。この自動車12は、車速の上昇に伴って第1ブロア30a側の外気取り入れ口46での圧力の上昇がキャビン14からの漏洩による圧力低下より劣るため、前記キャビン14内が負圧側に変動する。その際、下限圧力設定値は、0Paから負圧側へ移動するとともに、上限圧力設定値も、80Paから負圧側へ移動する。
【0047】
そこで、第1の実施形態では、車速の上昇に伴ってキャビン内圧力が変動する自動車12において、車速に応じたキャビン内圧力の補正値であるキャビン内圧変化値を設定し、このキャビン内圧変化値に基づいて、第2ブロア30bを制御する。
【0048】
具体的には、図6に示すように、第1ブロア30aの最大風量時にキャビン内圧力が120Paに設定され、車速の上昇に伴って負圧側に変化する特性を有する自動車12を用い、図7に示すフローチャートに沿って以下に説明する。
【0049】
空調システム10のイグニッションがオンされると(ステップS1中、YES)、ステップS2に進んで、第1ブロア30aがオンされているか否かが判断される。第1ブロア30aがオンされていると(ステップS2中、YES)、ステップS3に進んで、空調モードが暖房モード(HEAT)又は暖房除湿モード(H/D)であるか否かが判断される。
【0050】
第1ブロア30aがオフされていると(ステップS2中、NO)、ステップS4に進んで、第2ブロア30bがオフされる。また、空調モードが暖房モードでも暖房除湿モードでもないと判断されると(ステップS3中、NO)、ステップS4に進む。
【0051】
一方、空調モードが暖房モード(HEAT)又は暖房除湿モード(H/D)であると判断されると(ステップS3中、YES)、ステップS5に進む。例えば、暖房モードでは、図2に示すように、コンプレッサ16が駆動される。コンプレッサ16からヒートポンプ循環路18に送出される冷媒体は、ヒータ26に供給され、このヒータ26で空調用空気と熱交換(放熱)を行い、前記空調用空気を昇温させる。
【0052】
電磁弁32aが閉塞される一方、電磁弁32bが開放されるため、ヒータ26から排出される冷媒体は、放熱器であるコンデンサ20を迂回して第1バイパス路36aを通り、膨張弁22に送られる。膨張弁22で減圧された冷媒体は、三方弁38aを介して分岐路28に分岐され、第2エバポレータ24bに導入される。第2エバポレータ24bでは、冷媒体がキャビン14内の熱源と熱交換(吸熱)を行った後、第1エバポレータ24aを迂回して第2バイパス路36bから膨張弁22を通って、再度、コンプレッサ16に送られる。
【0053】
次に、ステップS5では、制御部48には、自動車12の実際の走行時に、車速センサ52からこの自動車12の車速が入力されるとともに、第1ブロア30aの風量(ブロア電圧)及び圧力検出センサ50によるキャビン内圧力が入力される。このため、制御部48では、図6に示すように、車速の上昇に伴ってキャビン内圧が減少するキャビン内圧力変化値(実線及び破線参照)に基づいて、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲を設定する(ステップS6)。
【0054】
例えば、自動車12の車速が80km/hであることが検出されると、第1ブロア30aの風量が最大であれば、キャビン内補正最大圧力値は、80Paになるとともに、キャビン内補正最小圧力値は、−50Paに設定される。従って、第2ブロア30bの停止時に、キャビン内圧力は、−50Pa〜80Paの範囲内に変動可能となり、前記第2ブロア30bの駆動時には、キャビン内圧力の制御範囲は、最大で−50Pa、最小で−80Paに制御することができる。
【0055】
一方、第1ブロア30aの風量を減少させて、例えば、中間風量に設定した場合(図6中、一点鎖線参照)、キャビン内補正最大圧力値が減少し、車速が80km/hにおいて0Paとなる。このため、第2ブロア30bの制御範囲は、最大で−50Pa、最小で0Paに設定することができる。
【0056】
次いで、ステップS7に進み、圧力検出センサ50により検出されるキャビン内圧力が、キャビン内補正最小圧力値(下限値)以上であるか否かが判断される。キャビン内圧力が、下限値未満であると判断されると(ステップS7中、NO)、ステップS8に進んで、第2ブロア30bの出力が低下され、キャビン14内からの排出空気量を減少させる。
【0057】
また、キャビン内圧力が、下限値以上であると判断されると(ステップS7中、YES)、ステップS9に進んで、前記キャビン内圧力が、キャビン内補正最大圧力値(上限値)以下であるか否かが判断される。キャビン内圧力が、上限値を超えていると判断されると(ステップS9中、NO)、ステップS10に進んで、第2ブロア30bの出力が上げられてキャビン14内の空気を強制的に排出させる。
【0058】
一方、キャビン内圧力が、上限値以下であると判断されると(ステップS9中、YES)、ステップS11に進んで、空調システム10の空調能力の有無が判断される。要求に対し空調能力が足りない場合には(ステップS11中、NO)、ステップS10に進んで、第2ブロア30bの出力が上げられる。
【0059】
これに対して、空調能力が要求を満たしていると判断されると(ステップS11中、YES)、ステップS12に進む。ステップS12では、例えば、エアコンのスイッチがオフされたと判断されると(ステップS12中、YES)、ステップS13に進んで、エアコンオフモードに変更する処置(対応処置)が施される。
【0060】
ステップS12において、スイッチ操作がないと判断されると(ステップS12中、NO)、ステップS14に進んで、空調システム10の運転が継続される。そして、イグニッションがオフされることにより(ステップS15中、YES)、制御プロセスが終了する。
【0061】
この場合、第1の実施形態では、図6に示すように、車速及び第1ブロア30aの風量の変化に応じたキャビン内圧力変化値が設定されている。次いで、自動車12の実際の走行時に検出される車速及び第1ブロア30aの風量が、制御部48に入力されることにより、前記車速及び前記第1ブロア30aの風量に対応したキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲が設定されている。
【0062】
その際、制御部48には、圧力検出センサ50を介してキャビン14内の圧力(キャビン内圧力)が入力されている。このため、制御部48は、検出されるキャビン内圧力が、設定されたキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロア30bに電圧を出力して前記第2ブロア30bを制御している。
【0063】
従って、第1ブロア30aによりキャビン14内に導入された風量を、第2ブロア30bを介して効率的に自動車12の外部に排出することができ、前記自動車12の走行状態に応じたキャビン内圧力の制御が良好に遂行される。これにより、キャビン14における空気の出入りが抑制され、高精度な温度制御が確実に遂行されるとともに、熱交換が効率的に行われるという効果が得られる。
【0064】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る車両用ヒートポンプ式空調システム(車両用空調システム)60の概略説明図である。
【0065】
なお、第1の実施形態に係る空調システム10と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0066】
空調システム60は、圧力検出センサを用いずに、制御部48がマップ62を有している。このマップ62には、自動車12の車速、第1ブロア30aの風量及び第2ブロア30bの風量が設定された際のキャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲が設定されている。
【0067】
この空調システム60の動作について、第2の実施形態に係る制御プログラム(制御方法)との関連で、以下に説明する。
【0068】
先ず、第2の実施形態に係る制御プログラムは、自動車12が停止した状態で、第1ブロア30aの停止時の最小風量から前記第1ブロア30aのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1のステップと、前記自動車12の走行時の各車速毎に、前記第1ブロア30aの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2のステップと、車速、前記第1ブロア30aの風量及び第2ブロア30bの風量が設定された際の前記キャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲をマップ62として設定する第3のステップと、前記自動車12の実際の走行時に、前記車速及び前記第1ブロア30aの風量が入力される際、前記キャビン内圧力が、前記マップ62から読み出される前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロア30bを制御する第4のステップとを実行させている。
【0069】
また、第2の実施形態に係る制御方法は、自動車12が停止した状態で、第1ブロア30aの停止時の最小風量から前記第1ブロア30aのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1の工程と、前記自動車12の走行時の各車速毎に、前記第1ブロア30aの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2の工程と、前記車速、前記第1ブロア30aの風量及び第2ブロア30bの風量が設定された際の前記キャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲をマップ62として設定する第3の工程と、前記自動車12の実際の走行時に、前記キャビン内圧力が、前記マップ62から読み出される前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロア30bを制御する第4の工程とを有している。
【0070】
具体的には、図9に示すフローチャートに沿って説明する。
【0071】
先ず、ステップS21〜ステップS24が、上記のステップS1〜ステップS4と同様に行われた後、ステップS25では、空調システム60による必要な空調能力が算出される。そして、ステップS26に進み、自動車12の実際の走行時に、前記自動車12の車速及び第1ブロア30aの風量が入力される。
【0072】
制御部48では、マップ62から車速及び第1ブロア30aの風量に対応した第2ブロア30bの風量(ブロア電圧)が読み出される。さらに、キャビン内圧力が、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、第2ブロア30bの供給電圧が制御される(ステップS28)。さらに、ステップS29以降が、上記のステップS12以降と同様に行われる。
【0073】
このように、第2の実施形態では、予め、自動車12の車速、第1ブロア30aの風量及び第2ブロア30bの風量が設定された際のキャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲がマップ62として設定されている。そして、自動車12の実際の走行時に、車速及び第1ブロア30aの風量が入力される際、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲に対応する第2ブロア30bの風量がマップ62から読み出され、キャビン内圧力がこの範囲内に維持されるように、前記第2ブロア30bが制御されている。
【0074】
従って、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる他、特に比較的高価な圧力検出器が不要になり、経済的であるという利点がある。
【0075】
図10は、本発明の第3の実施形態に係る車両用ヒートポンプ式空調システム(車両用空調システム)70の概略説明図である。
【0076】
なお、第3の実施形態では、基本的には、第1の実施形態に係る空調システム10を用いているが、これに限定されるものではなく、第2の実施形態に係る空調システム60に適用することもできる。
【0077】
空調システム70は、開口検出センサ72を備え、この開口検出センサ72による開口信号が、制御部48に入力される。開口検出センサ72は、自動車12のドアの開放や、窓の開放等を検出し、この開放情報が制御部48に送られる。
【0078】
このように構成される第3の実施形態による制御は、図11に示すフローチャートに沿って行われる。第3の実施形態では、ステップS41〜ステップS51が、第1の実施形態におけるステップS1〜ステップS11と同様に行われた後、ステップS52に進む。
【0079】
このステップS52では、自動車12のドアや窓等が乗員の意思によって開放されているか否かが判断され、開口があると判断されると(ステップS52中、NO)、ステップS53の開口判定運転に移行する。開口判定運転では、図12に示すように、第2ブロア30bの供給電圧が、例えば、最大に設定される。キャビン14内が外部に開放されるため、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲に設定する効果が発揮されず、第2ブロア30bによる風量を最大に設定している。
【0080】
この状態で、開口があると判断されると(ステップS102中、YES)、ステップS103に進んで、第2ブロア30bの最大電圧が継続される。一方、開口がないと判断されると(ステップS102中、NO)、ステップS104に進んで、通常時の運転に復帰される。そして、図11に示すように、ステップS54〜ステップS57が、第1の実施形態のステップS12〜ステップS15と同様に行われる。
【0081】
これにより、第3の実施形態では、自動車12のドアや窓が開放された際には、開口判定運転処理を行うことにより、一層確実且つ高精度な温度制御が遂行されるという効果が得られる。
【0082】
また、自動車12のドアや窓等の開口状態がわずかな場合では、その開口状態に応じて第2ブロア30bの供給電力を調整し設定してもよい。これにより、キャビン14における空気の出入りを管理し、さらに確実で高精度な温度制御が実現可能になる。
【符号の説明】
【0083】
10、60、70…空調システム 12…自動車
14…キャビン 16…コンプレッサ
18…ヒートポンプ循環路 20…コンデンサ
22…膨張弁 24a、24b…エバポレータ
26…ヒータ 28…分岐路
48…制御部 50…圧力検出センサ
52…車速センサ 62…マップ
72…開口検出センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に外気を取り入れる第1ブロア及び前記車両の内気を排出する第2ブロアを備え、乗員用のキャビンの空調を行う車両用空調システムを、コンピュータによって制御するための車両用空調システムの制御プログラムであって、
前記車両が停止した状態で、前記第1ブロアの停止時の最小風量から前記第1ブロアのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1のステップと、
前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロアの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2のステップと、
前記車両の実際の走行時に、前記車速、前記第1ブロアの風量及びキャビン内圧力が入力される際、前記キャビン内圧力変化値に基づいて、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲を設定する第3のステップと、
前記キャビン内圧力が、前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、前記第2ブロアを制御する第4のステップと、
を実行させることを特徴とする車両用空調システムの制御プログラム。
【請求項2】
請求項1記載の制御プログラムにおいて、前記キャビン内を外部に開放させる開口部が開口されている際、前記第4のステップでは、前記第2ブロアへの供給電力を開口状態に応じて設定することを特徴とする車両用空調システムの制御プログラム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の制御プログラムにおいて、前記第2ブロアは、前記キャビンからの排出熱を吸収するヒートポンプ式熱交換器に用いられることを特徴とする車両用空調システムの制御プログラム。
【請求項4】
車両に外気を取り入れる第1ブロア及び前記車両の内気を排出する第2ブロアを備え、乗員用のキャビンの空調を行う車両用空調システムを、コンピュータによって制御するための車両用空調システムの制御プログラムであって、
前記車両が停止した状態で、前記第1ブロアの停止時の最小風量から前記第1ブロアのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1のステップと、
前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロアの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2のステップと、
前記車速、前記第1ブロアの風量及び前記第2ブロアの風量が設定された際の前記キャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲をマップとして設定する第3のステップと、
前記車両の実際の走行時に、前記車速及び前記第1ブロアの風量が入力される際、前記キャビン内圧力が、前記マップから読み出される前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、前記第2ブロアを制御する第4のステップと、
を実行させることを特徴とする車両用空調システムの制御プログラム。
【請求項5】
請求項4記載の制御プログラムにおいて、前記キャビン内を外部に開放させる開口部が開口されている際、前記第4のステップでは、前記第2ブロアへの供給電力を開口状態に応じて設定することを特徴とする車両用空調システムの制御プログラム。
【請求項6】
請求項4又は5記載の制御プログラムにおいて、前記第2ブロアは、前記キャビンからの排出熱を吸収するヒートポンプ式熱交換器に用いられることを特徴とする車両用空調システムの制御プログラム。
【請求項7】
車両に外気を取り入れる第1ブロア及び前記車両の内気を排出する第2ブロアを備え、乗員用のキャビンの空調を行う車両用空調システムの制御方法であって、
前記車両が停止した状態で、前記第1ブロアの停止時の最小風量から前記第1ブロアのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1の工程と、
前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロアの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2の工程と、
前記車両の実際の走行時に、前記車速、前記第1ブロアの風量及びキャビン内圧力が入力される際、前記キャビン内圧力変化値に基づいて、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲を設定する第3の工程と、
前記キャビン内圧力が、前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、前記第2ブロアを制御する第4の工程と、
を有することを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
【請求項8】
請求項7記載の制御方法において、前記キャビン内を外部に開放させる開口部が開口されている際、前記第4の工程では、前記第2ブロアへの供給電力を開口状態に応じて設定することを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
【請求項9】
請求項7又は8記載の制御方法において、前記第2ブロアは、前記キャビンからの排出熱を吸収するヒートポンプ式熱交換器に用いられることを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
【請求項10】
車両に外気を取り入れる第1ブロア及び前記車両の内気を排出する第2ブロアを備え、乗員用のキャビンの空調を行う車両用空調システムの制御方法であって、
前記車両が停止した状態で、前記第1ブロアの停止時の最小風量から前記第1ブロアのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1の工程と、
前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロアの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2の工程と、
前記車速、前記第1ブロアの風量及び前記第2ブロアの風量が設定された際の前記キャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲をマップとして設定する第3の工程と、
前記車両の実際の走行時に、前記キャビン内圧力が、前記マップから読み出される前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、前記第2ブロアを制御する第4の工程と、
を有することを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
【請求項11】
請求項10記載の制御方法において、前記キャビン内を外部に開放させる開口部が開口されている際、前記第4の工程では、前記第2ブロアへの供給電力を開口状態に応じて設定することを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
【請求項12】
請求項10又は11記載の制御方法において、前記第2ブロアは、前記キャビンからの排出熱を吸収するヒートポンプ式熱交換器に用いられることを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
【請求項1】
車両に外気を取り入れる第1ブロア及び前記車両の内気を排出する第2ブロアを備え、乗員用のキャビンの空調を行う車両用空調システムを、コンピュータによって制御するための車両用空調システムの制御プログラムであって、
前記車両が停止した状態で、前記第1ブロアの停止時の最小風量から前記第1ブロアのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1のステップと、
前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロアの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2のステップと、
前記車両の実際の走行時に、前記車速、前記第1ブロアの風量及びキャビン内圧力が入力される際、前記キャビン内圧力変化値に基づいて、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲を設定する第3のステップと、
前記キャビン内圧力が、前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、前記第2ブロアを制御する第4のステップと、
を実行させることを特徴とする車両用空調システムの制御プログラム。
【請求項2】
請求項1記載の制御プログラムにおいて、前記キャビン内を外部に開放させる開口部が開口されている際、前記第4のステップでは、前記第2ブロアへの供給電力を開口状態に応じて設定することを特徴とする車両用空調システムの制御プログラム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の制御プログラムにおいて、前記第2ブロアは、前記キャビンからの排出熱を吸収するヒートポンプ式熱交換器に用いられることを特徴とする車両用空調システムの制御プログラム。
【請求項4】
車両に外気を取り入れる第1ブロア及び前記車両の内気を排出する第2ブロアを備え、乗員用のキャビンの空調を行う車両用空調システムを、コンピュータによって制御するための車両用空調システムの制御プログラムであって、
前記車両が停止した状態で、前記第1ブロアの停止時の最小風量から前記第1ブロアのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1のステップと、
前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロアの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2のステップと、
前記車速、前記第1ブロアの風量及び前記第2ブロアの風量が設定された際の前記キャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲をマップとして設定する第3のステップと、
前記車両の実際の走行時に、前記車速及び前記第1ブロアの風量が入力される際、前記キャビン内圧力が、前記マップから読み出される前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、前記第2ブロアを制御する第4のステップと、
を実行させることを特徴とする車両用空調システムの制御プログラム。
【請求項5】
請求項4記載の制御プログラムにおいて、前記キャビン内を外部に開放させる開口部が開口されている際、前記第4のステップでは、前記第2ブロアへの供給電力を開口状態に応じて設定することを特徴とする車両用空調システムの制御プログラム。
【請求項6】
請求項4又は5記載の制御プログラムにおいて、前記第2ブロアは、前記キャビンからの排出熱を吸収するヒートポンプ式熱交換器に用いられることを特徴とする車両用空調システムの制御プログラム。
【請求項7】
車両に外気を取り入れる第1ブロア及び前記車両の内気を排出する第2ブロアを備え、乗員用のキャビンの空調を行う車両用空調システムの制御方法であって、
前記車両が停止した状態で、前記第1ブロアの停止時の最小風量から前記第1ブロアのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1の工程と、
前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロアの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2の工程と、
前記車両の実際の走行時に、前記車速、前記第1ブロアの風量及びキャビン内圧力が入力される際、前記キャビン内圧力変化値に基づいて、キャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲を設定する第3の工程と、
前記キャビン内圧力が、前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、前記第2ブロアを制御する第4の工程と、
を有することを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
【請求項8】
請求項7記載の制御方法において、前記キャビン内を外部に開放させる開口部が開口されている際、前記第4の工程では、前記第2ブロアへの供給電力を開口状態に応じて設定することを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
【請求項9】
請求項7又は8記載の制御方法において、前記第2ブロアは、前記キャビンからの排出熱を吸収するヒートポンプ式熱交換器に用いられることを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
【請求項10】
車両に外気を取り入れる第1ブロア及び前記車両の内気を排出する第2ブロアを備え、乗員用のキャビンの空調を行う車両用空調システムの制御方法であって、
前記車両が停止した状態で、前記第1ブロアの停止時の最小風量から前記第1ブロアのみの駆動により発生する最大風量に対応するキャビン内圧力値を検出する第1の工程と、
前記車両の走行時の各車速毎に、前記第1ブロアの風量変化によって前記キャビン内圧力値が変化するキャビン内圧力変化値を設定する第2の工程と、
前記車速、前記第1ブロアの風量及び前記第2ブロアの風量が設定された際の前記キャビン内圧力変化値のキャビン内補正最小圧力値からキャビン内補正最大圧力値の範囲をマップとして設定する第3の工程と、
前記車両の実際の走行時に、前記キャビン内圧力が、前記マップから読み出される前記キャビン内補正最小圧力値から前記キャビン内補正最大圧力値の範囲内に維持されるように、前記第2ブロアを制御する第4の工程と、
を有することを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
【請求項11】
請求項10記載の制御方法において、前記キャビン内を外部に開放させる開口部が開口されている際、前記第4の工程では、前記第2ブロアへの供給電力を開口状態に応じて設定することを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
【請求項12】
請求項10又は11記載の制御方法において、前記第2ブロアは、前記キャビンからの排出熱を吸収するヒートポンプ式熱交換器に用いられることを特徴とする車両用空調システムの制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−162035(P2011−162035A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26419(P2010−26419)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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