説明

車両用空調装置

【課題】前席側の空調を停止して後席側を空調するときに、効率的にエバポレータのフロストや、乗員に違和感が生じるのを防止する。
【解決手段】エアコンシステム10では、エバポレータ20を用いたフロントエアコン12による空調と、エバポレータ22を用いたリアクーラ14による冷房を個別に行うことができる。フロントエアコンの空調ダクト30には、インパネ内に開口した排気口96と排気口を開閉する排気ダンパ98が設けられており、フロントエアコンの運転を停止した状態で、リアクーラを運転したときには、ブロワファン44が駆動されると共に、排気ダンパが駆動されて排気口が開かれ冷却された空調風がインパネ内に吹き出され、エバポレータのフロスト及び乗員の違和感を防止しながら、インパネ内の温度上昇を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられて車室内を空調する車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、コンプレッサ(圧縮器)、コンデンサ(凝縮器)及びエバポレータ(蒸発器)によって冷凍サイクルが構成された空調装置(以下、エアコンとする)が設けられており、エバポレータを通過することにより冷却された空気を温調して、車室内へ吹き出すことにより車室内を空調するようにしている。
【0003】
近年、車両には、エンジンの駆動力に加えて、電気モータの駆動力によって走行可能なハイブリッド車や、エンジンに換えて電気モータが設けられて、電気モータの駆動力によって走行する電気自動車などが普及している。
【0004】
このような車両には、充電可能な蓄電池(以下、バッテリとする)を備えており、バッテリから供給される電力によって電気モータが駆動され、バッテリを充電することにより、電気モータの駆動力によって継続的に走行が可能となっている。
【0005】
一般に、バッテリは、充電時は勿論、電気モータへの電力供給時(放電時)にも発熱が生じる。このバッテリを、車両の後席後方のトランクルーム内などに搭載すると、後席側の温度が上昇する。また、バッテリの温度が上昇すると、性能低下などが生じる。
【0006】
ここから、後席の空調と共に、後席の後方に搭載されているバッテリの冷却を可能とするエアコンの提案がなされている(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
この特許文献3の提案では、ダンパの切換によって後席用のエバポレータを通過した空気を、電池収納ケースへ供給することにより、蓄電池の冷却が可能となるようにしている。
【0008】
ところで、複数のエバポレータのそれぞれへ選択的に冷媒を供給する方法としては、電磁弁を用いる方法が一般的であり、電磁弁を用いた車両用空調装置の提案がなされている(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。
【0009】
特許文献2の提案では、車室内の空調に用いる第1エバポレータと、冷蔵庫内の冷却に用いる第2エバポレータを設け、それぞれのエバポレータに、可変容量コンプレッサで圧縮されて、コンデンサによって放熱された冷媒が循環されるようにしている。
【0010】
また、この提案では、電磁弁によって第1エバポレータと第2エバポレータへ交互に冷媒が循環されるようにすると共に、冷媒の供給時間を制御することにより、エバポレータの表面凍結を防止しながら、冷蔵庫内を確実に冷却するように提案している。
【0011】
また、特許文献3では、例えば、前席側と後席側とに別々の蒸発器(エバポレータ)を用いるとき、前席側のみを空調するシングルモードでは、後席側のエバポレータ近傍の温度が設定温度以下となると電磁弁を閉じることにより、後席側のエバポレータにフロストが発生するのを防止しながら、電磁弁の作動音が異音として感じられるのを抑えるようにしている。
【0012】
ここから、前席側と後席側のエバポレータのそれぞれへ、冷媒を循環可能としたときに、例えば、前席側の空調をオフして、後席側のエバポレータを用いて、バッテリのみを冷却しようとしたとき、電磁弁を用いる方法もあるが、電磁弁の作動を遅らせる時には、フロストを抑えるためにブロワファンを作動させる必要があり、このために、エアコンをオフしたにもかかわらず、乗員の意に反して何れかの吹き出し口からエバポレータを通過した空気が吹き出されてしまうことになってしまう。
【0013】
また、単に電磁弁を用いて冷媒の流れを止めることは、必ずしもエネルギーを有効に利用しているといえるものではない。
【特許文献1】特開2004−182157号公報
【特許文献2】特開平10−96561号公報
【特許文献3】特開平10−119560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、前席側と後席側のそれぞれに設けたエバポレータを用いて個別に空調可能とするときに、例えば前席側の空調をオフしたときの前席側のエバポレータのエネルギーを有効に利用しながら、フロストの防止と共に車室内に空気が吹き出されてしまうのを防止した車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、コンプレッサ及びコンデンサと、前席側と後席側のそれぞれに設けられると共にコンプレッサ及びコンデンサとの間で形成する冷凍サイクルによって空調可能とする前席側エバポレータ及び後席側エバポレータと、前記前席側エバポレータを通過した空気を空調風として空調する前席側空調部と、前記後席エバポレータを通過した空気を空調風として空調する後席側空調部と、前記前席側エバポレータが設けられてインストルメントパネルによって隠蔽された前席側空調ダクトと、前記前席側空調ダクトに形成されて前記前席側エバポレータを通過した前記空調風を前記インストルメントパネル内に吹出し可能とする開口部と、前記開口部を開閉する開閉手段と、前記前席側空調部の空調運転を停止した状態で前記後席側空調部が空調運転されるときに、前記開閉手段を作動させて前記開口部を開放する制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、一つの冷凍サイクルを用いて、前席側空調部と後席側空調部を個別に運転して空調を行うことができるとき、前席側空調部の空調運転を停止した状態で、後席側空調部を用いた空調を行うと、開閉手段によって前席側空調ダクトに設けている開口部を開放する。
【0017】
これにより、運転が停止されている前席側空調部の前席側エバポレータを通過した空気をインストルメントパネル内に排出して、前席側エバポレータを通過した空調風が、吹出し口から前席へ向けて吹き出されてしまうのを防止する。
【0018】
したがって、乗員に、前席側空調部の吹出し口から空調風が吹き出されてしまうことによる違和感を生じさせることがない。また、空調風を僅かに発生させることにより、前席側エバポレータのフロスト発生を防止することができる。
【0019】
請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記前席側空調ダクトが設けられた前記インストルメントパネル内の温度を検出する温度検出手段を含み、前記制御手段が、前記温度検出手段によって検出する温度が予め設定された設定温度を超えたとき前記開閉手段を作動させて前記開口部を開くことを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、温度検出手段によってインストルメントパネル内の温度を検出し、検出温度が設定温度を超えているときに、開閉手段を作動させて開口部を開き、空調風がインストルメントパネル内に吹き出されるようにする。
【0021】
一般に車両のインストルメントパネルには、各種の電子機器が配置されており、これらの電子機器が少なからず熱を発する。また、電子機器では、温度上昇が作動に影響を及ぼすことがある。
【0022】
ここから、インストルメントパネル内の温度を下げて、インストルメントパネル内の機器に温度上昇の影響が生じるのを防止すると共に、車室内の冷房負荷を抑えることができる。
【0023】
また、請求項3に係る発明は、請求項2の発明において、前記前席側エバポレータへの冷媒の循環路を開閉可能とする電磁弁を含み、前記制御手段が、前記検出手段によって検出された温度が前記設定温度以下であるときに、前記電磁弁を作動させて前記前席側エバポレータへの冷媒の供給を停止することを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、前席側エバポレータへの冷媒の循環路に電磁弁を設け、インストルメントパネル内の温度が設定温度以下であるときに、電磁弁を閉じることにより、前席側エバポレータへの冷媒の循環を停止可能としている。
【0025】
これにより、インストルメントパネル内の温度が、冷却の必要のない温度であるときに、前席側エバポレータに冷媒が循環させるのを停止して、前席側エバポレータにフロストが発生するのを防止する。
【0026】
また、請求項4に係る発明は、請求項3の発明において、省エネモードでの空調運転が選択されたときに、前記制御手段が前記電磁弁を作動させて前記前席側エバポレータへの冷媒供給を停止することを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、省エネモードが選択されたときに、前席側エバポレータへの冷媒の循環を停止する。
【0028】
これにより、冷凍サイクル中の冷媒の循環量が抑えられてコンプレッサの負荷を軽減され、省エネ効果を得ることができる。これと共に、前席側エバポレータにフロストが発生するのを防止することができる。
【0029】
請求項5に係る発明は、コンプレッサ及びコンデンサとの間で形成する冷凍サイクルによって空調可能とする前席側エバポレータと、前記前席側エバポレータが設けられてインストルメントパネルによって隠蔽された前席側空調ダクトと、
前記前席側空調ダクトに形成されて前記前席側エバポレータを通過した前記空調風を前記インストルメントパネル内に吹出し可能とする開口部と、前記開口部を開閉する開閉手段と、前記前席側空調ダクトが設けられた前記インストルメントパネル内の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段によって検出する温度が予め設定された設定温度を超えたときに前記開閉手段を作動させて前記開口部を開く開閉制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、インストルメントパネル内の温度を検出する温度検出手段を設け、この温度検出手段によって検出する温度が予め設定している温度を超えたときに、開口部を開くことにより空調風をインストルメントパネル内へ送り込む。
【0031】
インストルメントパネル内に前席側エバポレータを通過した空調風を送り込むことにより、電子機器の温度上昇を防止することができ、これにより、車室内を空調する時の冷房負荷を抑えることができると共に、電子機器の適正な作動を可能とすることができる。
【0032】
請求項6に係る発明は、請求項5の発明において、前記前席側エバポレータへの冷媒の循環路を開閉可能とする電磁弁と、省エネモードでの空調が設定されたときに前記電磁弁を駆動して前記前席側エバポレータへの前記冷媒の供給を停止可能とする電磁弁制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0033】
この発明によれば、省エネモードが設定されたときに電磁弁を作動させて前席側エバポレータへの冷媒の循環が停止されるようにする。
【0034】
これにより、冷媒の循環量が抑えられるので、コンプレッサの負荷が軽減され、コンプレッサの駆動に必要なエネルギー消費を抑えることができる。
【発明の効果】
【0035】
以上説明したように本発明によれば、前席側空調部を停止して、後席側空調部の空調運転を行うときに、前席側エバポレータを通過した空調風を、インストルメントパネル内へ排出する。これにより、乗員に違和感を生じさせることなく、前席側エバポレータのフロスト防止が可能となると共に、エバポレータに循環される冷媒のエネルギーを有効に利用することができるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1には、本実施の形態に適用した車両用空調装置(以下、エアコンシステム10とする)の概略構成を示している。
【0037】
このエアコンシステム10が設けられる車両としては、エンジンの駆動力によって走行する一般的構成に加え、エンジンに加えて電気モータによる走行が可能なハイブリッド車又は、エンジンに換えて電気モータによる走行を行う電気自動車などを適用することができる。
【0038】
なお、以下では、電気モータを備えたハイブリッド車又は電気自動車として説明し、これにより、エアコンシステム10が設けられる車両は、例えば後部のトランクルーム内に電気モータの駆動源とする電力を蓄積する蓄電池(図示省略、以下、バッテリとする)を備えた一般的構成を適用することができる。
【0039】
エアコンシステム10は、車室前方側に設けられて主として車室前方側から車室内を空調するフロントエアコン12と、車室後部に設けられて、車両後部側を冷房するリアクーラ14によって構成されている。
【0040】
エアコンシステム10は、コンプレッサ16及びコンデンサ18を備えていると共に、フロントエアコン12用のエバポレータ20及びリアクーラ14用のエバポレータ22とを備え、エバポレータ20,22のそれぞれに膨張弁24A 、24Bが設けられている。
【0041】
これにより、エアコンシステム10では、冷媒を循環する冷凍サイクルが形成され、エバポレータ20、22によって空気の冷却が可能となっている。
【0042】
フロントエアコン12には、エアコンユニット26が設けられている。図2に示されるように、エアコンユニット26は、車両のインストルメントパネル28(以下、インパネ28とする)内に配置され、インパネ28によって隠蔽されている。
【0043】
図1に示されるように、エアコンユニット26には、エバポレータ20が配置された空調ダクト30が形成されている。この空調ダクト30には、一方の開口端に、外気導入用の空気取入口32A及び、内気導入用の空気取入口32B、32C(以下、総称するときは、空気取入口32とする)が形成されており、これにより、車外の空気又は車室内の空気の導入が可能となっている。
【0044】
また、空調ダクト30の他方の開口端には、複数の吹出し口が形成されており、本実施の形態では、一例として、デフロスタ吹出し口34(センターデフロスタ吹出し口34A及びサイドデフロスタ吹出し口34B)、レジスタ吹出し口36(センタレジスタ吹出し口36A、サイドレジスタ吹出し口36B)、足元吹出し口38及び、リアヒータダクト40を介して後席側の足元に開口されたリア足元吹出し口42を設けている。
【0045】
空調ダクト30内には、空気取入口32とエバポレータ20の間に、送風手段としてブロワファン44が設けられており、ブロワモータ46によって駆動されて、空気取入口32から外気ないし内気が吸引されてエバポレータ20へ送り込まれる。
【0046】
また、空調ダクト30内には、空気取入口32の近傍に、内外気切換ダンパ48が設けられ、この内外気切換ダンパ48によって、空気取入口32Aを開口して外気を吸引する外気導入モードと、空気取入口32B、32Cを開口した車室内の空気を吸引する内気循環モードの切換が行われる。
【0047】
エバポレータ20の下流側には、ヒータコア50が設けられ、エバポレータ20とヒータコア50の間には、エアミックスダンパ52が設けられている。なお、ヒータコア50としては、エンジンが設けられているときには、エンジンの冷却水を用いて、通過する空気を加熱する。また、電気自動車などにおいては、PTCヒータなどの加熱手段を用いて通過する空気を加熱する。
【0048】
エバポレータ20を通過した空気は、エアミックスダンパ52によって一部がヒータコア50へ送られることにより加熱され、エバポレータ20を通過して冷却された空気と、ヒータコア50を通過して加熱された空気が、空調ダクト30内で混合され、所定温度の空調風が生成される。
【0049】
空調ダクト30内には、吹出し口のそれぞれに対応する複数のモード切換ダンパ54が設けられており、それぞれのモード切換ダンパ54によって、空調風が吹き出される吹出し口が選択される。
【0050】
フロントエアコン12では、空調風の吹出しモードとして、FACEモード、BI-LEVELモード、FOOTモード、FOOT/DEFモード及びDEFモードが設定されている。これにより、例えば、FACEモードで、センタレジスタ吹出し口36A及びサイドレジスタ吹出し口36Bから空調風が吹き出され、BI-LEVELモードで、センタレジスタ吹出し口36A、サイドレジスタ吹出し口36B及び、足元吹出し口38から空調風が吹き出される。また、フロントエアコン12では、FOOTモードで、主として足元吹出し口38から空調風が吹き出され、FOOT/DEFモードで、主としてデフロスタ吹出し口34(センターデフロスタ吹出し口34A、サイドデフロスタ吹出し口34B)及び足元吹出し口38から空調風が吹き出され、DEFモードで主としてデフロスタ吹出し口34から空調風が吹き出される。
【0051】
一方、リアクーラ14は、空調ダクト56を備え、この空調ダクト56内に、エバポレータ22と共に、ブロワファン58が設けられている。また、空調ダクト56は、一方の開口端が空気取入口60となっており、ブロワモータ62によってブロワファン58が駆動されると、空気取入口60から吸引された空気がエバポレータ22へ送られる。
【0052】
なお、空気取入口60としては、内気(車室内の空気)を取り入れるものであっても良く、外気を取り入れるものであっても良く、また、切換ダンパを設けて、内気導入と外気導入の切り換えが可能となっているものであっても良い。
【0053】
空調ダクト56の他方の開口端には、冷却吹出し口64及び後席吹出し口66が形成されており、また、空調ダクト56には、モード切換ダンパ68が設けられており、このモード切換ダンパ68によって冷却吹出し口64及び後席吹出し口66のそれぞれが開閉される。
【0054】
後席吹出し口66は、例えば、車両の後席に着座する乗員へ向けて開口されており、これにより、エバポレータ22を通過して冷却された空気が空調風として、後席に着座した乗員へ向けて吹出し可能となっている。
【0055】
また、冷却吹出し口64は、車両のトランクルーム内や、後席の後方側に設けられて、バッテリが収容された図示しないバッテリボックス内に開口されている。これにより、エアコンシステム10では、リアクーラ14を用いて、バッテリの冷却が可能となっている。
【0056】
すなわち、リアクーラ14では、後席冷房モード、バッテリ冷却モード及び冷房/冷却モードの選択が可能となっており、バッテリ冷却モード又は冷房/冷却モードが選択されることにより、バッテリの冷却を行うようになっている。
【0057】
図3には、エアコンシステム10のブロック図を示している。エアコンシステム10は、フロントエアコン12とリアクーラ14の作動を制御するエアコンECU70を備えている。
【0058】
このエアコンECU70には、ブロワファン44、58を駆動するブロワモータ46、62と共に、内外気切換ダンパ48を駆動するサーボモータ72、エアミックスダンパ52を駆動するサーボモータ74、モード切換ダンパ54を駆動するサーボモータ76、モード切換ダンパ68を駆動するサーボモータ78が接続されている。また、エアコンECU70には、コンプレッサ16の駆動用のコンプレッサモータ80、コンプレッサ16の吸入圧を制御する電磁弁82が接続されている。
【0059】
なお、コンプレッサ16をコンプレッサモータ80とエンジンとの間で切り換えるときには、エアコンECU70に、エンジンの作動を制御するエンジンECUと共に、エンジンとコンプレッサモータ80を切り換えるマグネットクラッチが接続される。
【0060】
一方、図2に示されるように、インパネ28には、フロントエアコン12及びリアエアコン14の運転/停止、温度設定、モード設定を行う操作パネル84が設けられている。
【0061】
図3に示されるように、エアコンECU70には、操作パネル84が接続されており、これにより、乗員が、車室内の空調運転/停止、温度設定、運転モードの設定等が可能となっている。
【0062】
また、エアコンECU70には、室内温度を検出する室温センサ86、外気温度を検出する外気温センサ88、日射量を検出する日射センサ90、エバポレータ20、22を通過する空調風の温度を検出するエバポレータ後温度センサ92A、92B等の各種のセンサが接続している。
【0063】
これにより、エアコンECU70では、操作パネル84の設定に基づいて空調運転が可能となっている。なお、操作パネル84上の設定と各種のセンサに基づいたエアコンECU70の基本的作動制御は、公知の構成を適用できここでは詳細な説明を省略する。
【0064】
ところで、エアコンシステム10が設けられる車両には、バッテリの充放電を制御するバッテリECU94を備えており、このバッテリECU94が、エアコンECU70に接続している。
【0065】
バッテリECU94は、バッテリの充放電の制御と共に、図示ないしバッテリ室内の温度検知及び制御を行っており、バッテリECU94は、バッテリ室内の温度が予め設定されている所定温度を超えると、エアコンECU70へ冷却要求を出力する。
【0066】
エアコンECU70は、バッテリECU94からバッテリ(バッテリ室)の冷却要求を受信すると、リアクーラ14の運転モードを、冷却モード又は冷房/冷却モードに切り換える。すなわち、リアクーラ14によって後席の冷房運転(冷房モード)を行っているときには、冷房/冷却モードに切り換え、モード切換ダンパ68によって冷却吹出し口64と後席吹出し口66へ冷却風を導風する。また、リアクーラ14が停止されているときには、冷却モードでリアクーラ14を運転することにより、モード切換ダンパ68によって冷却吹出し口64へ冷却風が導風されるようにする。
【0067】
これにより、エアコンシステム10では、バッテリECU94からの要求に基づいたバッテリの冷却を行うようになっている。
【0068】
一方、図1に示されるように、フロントエアコン12の空調ダクト30には、排気口96(図2では、図示省略)が形成され、排気口96を開閉する排気ダンパ98が設けられている。また、図3に示されるように、エアコンECU70には、排気ダンパ98を駆動するサーボモータ100が接続されている。
【0069】
エアコンECU70では、通常、排気ダンパ98によって排気口96を閉塞しているが、フロントエアコン12の運転を停止しているときに、リアクーラ14が運転されると、サーボモータ100によって排気ダンパ98を駆動して排気口96を開くと共に、ブロワモータ46によってブロワファン44を駆動する。
【0070】
排気口96は、エアコンユニット26(空調ダクト30)が設けられているインパネ28内に開口されており、排気ダンパ98によって排気口96が開かれることより、エバポレータ20によって冷却された空調ダクト30内の空調風を、車室内ではなく、インパネ28内へ吹き出すようにしている。
【0071】
これにより、エアコンシステム10では、フロントエアコン12のエバポレータ20にフロストが発生しないようにしている。なお、このときのブロワファン44の風量は、フロストの発生しない最低風量に抑えられている。
【0072】
また、エアコンシステム10では、エバポレータ20によって冷却された空調風をインパネ28内へ排出することにより、フロントエアコン12の運転を停止しているにもかかわらず、何れかの吹出し口から冷風が吹き出されてしまうのを防止するようにしている。
【0073】
なお、排気口96を開いたときには、サーボモータ76によってモード切換ダンパ54を駆動して、各吹出し口へ冷却風が導風されるのを防止するようにしても良い。
【0074】
一方、エアコンECU70には、インパネ28内の温度を検出する温度検出手段として設けられているインパネ温度センサ102が接続されている。
【0075】
また、図1に示されるように、エアコンシステム10には、フロントエアコン12の膨張弁24Aと、コンデンサ18の間に、エバポレータ20へ冷媒の流路を開閉する電磁弁104が設けられている。
【0076】
図3に示されるように、エアコンECU70には、電磁弁104が接続されており、これにより、エアコンECU70は、コンプレッサ16を駆動しているときに、電磁弁104によってフロントエアコン12のエバポレータ20への冷媒の管路を閉じることができるようになっている。
【0077】
エアコンECU70では、フロントエアコン12による空調運転中に、インパネ温度センサ102によって検出するインパネ28内の温度が予め設定された温度を超えたときに、サーボモータ100によって排気ダンパ98を駆動することにより、主としてエバポレータ20のみを通過した空調風の一部を排気口96からインパネ28内に吹き出すようになっている。
【0078】
これにより、エアコンシステム10では、インパネ28内の温度上昇を抑えると共に、インパネ28内の温度が、車室内を空調するときの冷房負荷となるのを抑えるようにしている。
【0079】
また、エアコンシステム10のフロントエアコン12では、エネルギー消費を抑える省エネモードとしてエコモードが設定されており、通常モード(非エコモード)とエコモードの選択が可能となっている。このエコモードは、操作パネル84のスイッチ操作によって選択可能となっている。
【0080】
エアコンECU70では、エコモードが選択されると、電磁弁104を作動させて、エバポレータ20への冷媒の循環を停止する。これにより、リアクーラ14を用いたバッテリの冷却を行っているときにも、コンプレッサ16の負荷を軽減できるようになっている。
【0081】
このときに、エアコンECU70では、排気ダンパ98を駆動して、排気口96を開くことにより、車室内の冷房負荷が軽減されるようにしている。
【0082】
このように構成されているエアコンシステム10では、操作パネル84のスイッチ操作によって、フロントエアコン12を用いた車室内の空調が可能となっている。また、エアコンシステム10では、車室内を冷房するときに、フロントエアコン12を用いると共に、リアクーラ14を用いて、前席側から後席側の全域を快適な冷房状態(空調状態)とすることができる。
【0083】
また、エアコンシステム10では、バッテリECU94からの要求に基づいたバッテリの冷却も可能となっており、これにより、バッテリ及びバッテリに蓄積している電力を効率的に使用可能となっている。
【0084】
ところで、エアコンシステム10では、フロントエアコン12を停止したときにリアクーラ14による後席の空調やバッテリの冷却が行われていたり、また、フロントエアコン12を停止しているときに、バッテリECU94からバッテリの冷却要求があると、エアコンECU70が、コンプレッサ16を駆動して、バッテリの冷却ないし後席の空調(冷房)を行う。
【0085】
図4には、リアクーラ14を用いたバッテリの冷却制御の概略を示している。このフローチャートでは、最初のステップ200で、バッテリ冷却がオンされたか否かを確認する。バッテリ冷却は、操作パネル84上のスイッチ操作又はバッテリECU94からのバッテリ冷却要求がなされることによりオンされる。
【0086】
ここで、バッテリ冷却の開始(オン)が指示されると、ステップ200で肯定判定してステップ202へ移行する。このステップ202では、リアクーラ14が後席の空調運転(冷房運転)中か否かを確認する。
【0087】
このときに、リアクーラ14による後席の冷房運転中であると、ステップ202で肯定判定してステップ204へ移行し、リアクーラ14の運転モードを冷房/冷却モードに設定する。
【0088】
これにより、モード切換ダンパ68(サーボモータ78)が作動され、吹出し口として冷却吹出し口64及び後席吹出し口66が選択され、エバポレータ22を通過した冷却風(空調風)が冷却吹出し口64及び後席吹出し口66から吹き出され、冷却吹出し口64から吹き出される冷却風によってバッテリの冷却が行われる。
【0089】
この後、ステップ206では、リアクーラ14による後席の冷房運転がオフされたか否かを確認し、ステップ208では、バッテリ冷却がオフされたか否かを確認する。
【0090】
ここで、リアクーラ14の冷房運転中(ステップ206で否定判定)中に、バッテリ冷却がオフされると、ステップ208で肯定判定される。これにより、ステップ110へ移行して、リアクーラ14の運転モードを冷房モードに設定する。
【0091】
これにより、モード切換ダンパ68によって後席吹出し口66が選択され、リアクーラ14による後席の冷房が実行される。
【0092】
一方、リアクーラが停止していることによりステップ202で否定判定されたとき、及び、冷房/冷却モードに運転されているときに後席の冷房がオフされてステップ206で肯定判定されたときには、ステップ212へ移行する。
【0093】
このステップ212では、リアクーラ14をバッテリ冷却モードに設定する。この後、モード切換ダンパ68によって冷却吹出し口64が選択されて、リアクーラ14の運転が行われる(ステップ214)。
【0094】
これにより、冷却吹出し口64から吹き出される冷却風によってバッテリの冷却が行われる。
【0095】
また、バッテリ冷却モードでのリアクーラ14の運転を行うと、ステップ216では、バッテリ冷却がオフされたか否かを確認し、ステップ218では、リアクーラ14による後席の冷房運転がオンされたか否かを確認する。
【0096】
ここで、後席の冷房運転がオンされると、ステップ218で肯定判定されてステップ204へ移行し、冷房/冷却モードでの運転が開始される。
【0097】
これに対して、バッテリ冷却がオフされたときには、ステップ216で肯定判定されてステップ220へ移行し、リアクーラ14の運転を停止する。
【0098】
一方、エアコンECU70では、フロントエアコン12が停止していると、リアクーラ14に連動してフロントエアコン12が作動するようにしている。このときに、エアコンECU70では、フロントエアコン12のブロワファン44を駆動して、僅かな風量を発生すると共に、排気ダンパ98を駆動して、排気口96を開放して、レジスタ吹出し口36等から空調風が吹き出されるのを防止するようにしている。
【0099】
ここで、図5を参照しながらリアクーラ14の作動に伴うフロントエアコン12の連動制御の概略を説明する。なお、フロントエアコン12では、通常、排気ダンパ98によって排気口96が閉止されている。
【0100】
このフローチャートでは、最初のステップ230でフロントエアコン12がオフされているか否かを確認し、ステップ232では、リアクーラ14がオンされているか否かを確認する。
【0101】
ここで、フロントエアコン12が停止している(ステップ230で否定判定)ときに、後席の冷房ないしバッテリの冷却を行うためにリアクーラ14がオンされると、フロントエアコン12の連動制御を開始する。
【0102】
この連動制御では、ステップ232でサーボモータ100によって排気ダンパ98を作動させて、排気口96を開放する。これと共に、ステップ236では、ブロワファン44によって予め設定されている風量が発生するようにブロワモータ46を駆動する。
【0103】
これにより、フロントエアコン12のエバポレータ20を通過して冷却された空気がインパネ28内に吹き出される。
【0104】
この後、ステップ238では、操作パネル84上のスイッチ操作によってエコモードが選択されているか否かを確認し、エコモードが選択されているときには、ステップ238で肯定判定してステップ240へ移行する。
【0105】
このステップ240では、電磁弁104によって、フロントエアコン12のエバポレータ20へ冷媒を循環する管路を閉じる。これにより、エバポレータ20への冷媒の循環を停止し、コンプレッサ26の負荷が軽減されるようにしている。
【0106】
これに対して、エコモードが選択されていないときには、ステップ238で否定判定してステップ242へ移行する。このステップ242では、インパネ温度センサ102によってインパネ28内のインパネ温度Tiを検出する。
【0107】
次のステップ244では、検出したインパネ温度Tiが、設定温度Tsを超えているか否かを確認する。なお、設定温度Tiとしては、インパネ28内に配置されている電子機器の適正な作動を補償する温度を用いることができる。
【0108】
ここで、インパネ温度Tiが、設定温度Ts以下であるときには(Ti≦Ts)、ステップ244で肯定判定してステップ240へ移行し、電磁弁104を閉じる。
【0109】
これにより、排気口96からインパネ28内に吹き出される冷却風によってインパネ28内の冷却が促進されるのを抑え、コンプレッサ16の負荷軽減を図るようにしている。
【0110】
一方、インパネ温度Tiが設定温度Tsを超えているときには(Ti>Ts)、ステップ244で否定判定してステップ246へ移行し、電磁弁104を開放して、エバポレータ20へ冷媒が循環されるようにする。
【0111】
これにより、エバポレータ20を通過した冷却風が、排気口96からインパネ28内に吹き出され、インパネ28内の冷却が促進される。
【0112】
このようにして、インパネ28内にエバポレータ20を通過した空気を吹出しながら、ステップ248では、リアクーラ14がオフされたか否か、すなわち、後席の冷房及びバッテリの冷却が停止されたか否かを確認し、ステップ250では、フロントエアコン12がオンされたか否かを確認する。
【0113】
ここで、リアクーラ14がオフされたときには、ステップ248で肯定判定してステップ252へ移行し、電磁弁104を開くと共に、排気口96の閉止及びブロワファン44を停止して、連動制御を終了する。
【0114】
また、フロントエアコン12がオンされたときには、ステップ250で肯定判定してステップ254へ移行し、フロントエアコン12による空調運転が行われるように設定して、連動制御を終了する。
【0115】
エアコンシステム10では、コンプレッサ16が駆動されると、電磁弁104を開いた状態では、フロントエアコン12のエバポレータ20に冷媒が循環される。このとき、ブロワファン44を駆動することにより、エバポレータ20のフロストを防止することができる。
【0116】
また、ブロワファン44を駆動することによりエバポレータ20によって冷却された空調風が発生し、この空調風が何れかの吹出し口から吹き出されてしまう。
【0117】
このとき、エアコンECU70では、排気口96から空調ダクト30内の空調風をインパネ28内へ吹き出すことにより、フロントエアコン12を停止しているにもかかわらず、車室内に空調風が吹き出されて、乗員に違和感を生じさせてしまうのを確実に防止できるようにしている。
【0118】
一方、車両のインパネ28には、各種の電子機器が配置されており、これらの電子機器が少なからず熱を発する。この熱は、車室内を空調するときの冷房負荷となってしまう。
【0119】
このときに、排気口96から空調風が吹き出されることにより、インパネ28に設けている電子機器の発する熱が冷房負荷となるのを抑えることができる共に、この熱によるインパネ28内の温度上昇を抑制することができる。
【0120】
また、インパネ温度センサ102によって検出されるインパネ温度Tiが設定温度Ts以下であるときには、インパネ28の内部の冷却は不要であるため、排気ダンパ98を、排気口96を閉じる位置へ駆動すると共に、ブロワファン44を停止させ、電磁弁104を閉じる。これにより、リアクーラ作動し、かつ、フロントエアコン12の非作動(停止)状態であるとき、フロントエアコン12のエバポレータ20に、フロストが発生してしまうのを防止することができると共に、コンプレッサ16の負荷を低減することができる。
【0121】
さらに、フロントエアコン12では、電磁弁104を設けているときに、エコモードの選択が可能となっており、エアコンECU70は、エコモードが選択されると、インパネ温度センサ102の検知結果にかかわらず電磁弁104を作動させて、フロントエアコン12のエバポレータ20への冷媒の循環を停止する。
【0122】
これにより、エアコンシステム10では、リアクーラ14を作動させているときに、コンプレッサ16の負荷を軽減することができ、コンプレッサ16を駆動するためのエネルギー消費を抑えることが可能となっている。
【0123】
このように、エアコンシステム10では、フロントエアコン12を停止させた状態で、リアクーラ14が作動したときにも、フロントエアコン12に設けているエバポレータ20のフロストを防止しながら、エバポレータ20を循環される冷媒のエネルギーを有効に利用することが可能となっている。
【0124】
また、エアコンECU70には、インパネ温度センサ102が接続しており、エアコンECU70は、フロントエアコン12の空調運転中に、インパネ温度センサ102によって検出するインパネ温度Tiが設定温度Tsを超えることにより、サーボモータ100によって排気ダンパ98を駆動し、排気口96を開くことにより、インパネ28内の冷却を図るようにしている。
【0125】
図6には、フロントエアコン12を用いて行われるインパネ冷却制御の概略を示しており、このフローチャートは、最初のステップ260でフロントエアコン12が空調運転中であるか否かを確認している。
【0126】
インパネ冷却制御は、フロントエアコン12が空調運転状態であることによりステップ260で肯定判定されて開始され、次のステップ262では、インパネ温度センサ102によってインパネ28内のインパネ温度Tiを検出し、次ぎのステップ264では、インパネ温度Tiが設定温度Tsを超えているか否かを確認する。
【0127】
ここで、インパネ28内の空気が加熱され、インパネ温度センサ102によって検出されるインパネ温度Tiが、設定温度Tsを超えている(Ti>Ts)とステップ264で肯定判定されてステップ266へ移行する。
【0128】
このステップ266では、サーボモータ100によって排気ダンパ98を移動することにより、排気口96を開く。これにより、エバポレータ20を通過した空調風(冷却風)の一部が、排気口96からインパネ28内に吹き出され、インパネ28内の冷却が行われる。
【0129】
この後、ステップ268では、フロントエアコン12オフされたか否かを確認し、フロントエアコン12の空調運転が継続されているときには、所定のタイミングでインパネ温度Tiが検出される。
【0130】
これにより、インパネ28内の冷却が進み、インパネ温度Tiが設定温度Ts以下となると、ステップ264で否定判定されてステップ270へ移行する。このステップ270では、サーボモータ100を作動させて、排気ダンパ98によって排気口96を閉止する。これにより、インパネ28内の冷却が停止される。
【0131】
このように、エアコンシステム10では、フロントエアコン12による空調運転が行われているときに、空調ダクト30内でエバポレータ20を通過した空調風(冷却風)が、排気口96からインパネ28内に吹き出され、インパネ28内の温度上昇が抑えられ、インパネ28に設けている電子機器が自ら発する熱の影響を受けて動作が不安定になってしまうのが防止され、適切な作動状態に保持される。
【0132】
このように、本実施の形態に適用したエアコンシステム10では、フロントエアコン12とリアエアコン14を個別に運転可能としているときに、フロントエアコン12を用いた効率的な運転が可能となっている。
【0133】
なお、以上説明した本実施の形態は、本発明の一例を示すものであり、本発明の構成を限定するものではない。
【0134】
例えば、本実施の形態では、後席側に冷房専用のリアクーラ14を用いたが、これに限らず、冷暖房が可能なリアエアコンを設けてもよく、このときには、フロントエアコン12のリア足元吹出し口42を省略することができる。
【0135】
また、本実施の形態では、インパネ28内にエバポレータ20を通過した空調風を排出するようにしているが、これに限らず、トリム内やルーフライニング内などへ空調風を排出する構成であっても良い。
【0136】
また、本実施の形態では、前席側と後席側のそれぞれにエアコン(クーラ)を設けた所謂デュアルタイプを例に説明したが、前席側から車室内を空調する所謂シングルタイプに適用することも可能であり、また、このときに前席側からバッテリの冷却を行うものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本実施の形態に適用したエアコンシステムの概略構成図である。
【図2】フロントエアコンのエアコンユニットが設けられるインパネを示す要部の概略斜視図である。
【図3】エアコンシステムの制御部を示すブロック図である。
【図4】リアクーラによるバッテリ冷却の概略を示す流れ図である。
【図5】リアクーラの運転に連動したフロントエアコンの動作の概略を示す流れ図である。
【図6】フロントエアコンによるインパネ冷却の一例を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0138】
10 エアコンシステム(車両用空調装置)
12 フロントエアコン(前席空調部)
14 リアクーラ(後席空調部)
16 コンプレッサ
18 コンデンサ
20 エバポレータ(前席側エバポレータ)
22 エバポレータ(後席側エバポレータ)
28 インパネ(インストルメントパネル)
30 空調ダクト(前席側空調ダクト)
70 エアコンECU(開閉制御手段、電磁弁制御手段)
84 操作パネル
96 排気口(開口部)
98 排気ダンパ(開閉手段)
100 サーボモータ(開閉手段)
102 インパネ温度センサ(温度検出手段)
104 電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサ及びコンデンサと、前席側と後席側のそれぞれに設けられると共にコンプレッサ及びコンデンサとの間で形成する冷凍サイクルによって空調可能とする前席側エバポレータ及び後席側エバポレータと、
前記前席側エバポレータを通過した空気を空調風として空調する前席側空調部と、
前記後席エバポレータを通過した空気を空調風として空調する後席側空調部と、
前記前席側エバポレータが設けられてインストルメントパネルによって隠蔽された前席側空調ダクトと、
前記前席側空調ダクトに形成されて前記前席側エバポレータを通過した前記空調風を前記インストルメントパネル内に吹出し可能とする開口部と、
前記開口部を開閉する開閉手段と、
前記前席側空調部の空調運転を停止した状態で前記後席側空調部が空調運転されるときに、前記開閉手段を作動させて前記開口部を開放する制御手段と、
を含むことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記前席側空調ダクトが設けられた前記インストルメントパネル内の温度を検出する温度検出手段を含み、
前記制御手段が、前記温度検出手段によって検出する温度が予め設定された設定温度を超えたとき前記開閉手段を作動させて前記開口部を開くことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記前席側エバポレータへの冷媒の循環路を開閉可能とする電磁弁を含み、前記制御手段が、前記検出手段によって検出された温度が前記設定温度以下であるときに、前記電磁弁を作動させて前記前席側エバポレータへの冷媒の供給を停止することを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
省エネモードでの空調運転が選択されたときに、前記制御手段が前記電磁弁を作動させて前記前席側エバポレータへの冷媒供給を停止することを特徴とする請求項3に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
コンプレッサ及びコンデンサとの間で形成する冷凍サイクルによって空調可能とする前席側エバポレータと、
前記前席側エバポレータが設けられてインストルメントパネルによって隠蔽された前席側空調ダクトと、
前記前席側空調ダクトに形成されて前記前席側エバポレータを通過した前記空調風を前記インストルメントパネル内に吹出し可能とする開口部と、
前記開口部を開閉する開閉手段と、
前記前席側空調ダクトが設けられた前記インストルメントパネル内の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段によって検出する温度が予め設定された設定温度を超えたときに前記開閉手段を作動させて前記開口部を開く開閉制御手段と、
を含むことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項6】
前記前席側エバポレータへの冷媒の循環路を開閉可能とする電磁弁と、
省エネモードでの空調が設定されたときに前記電磁弁を駆動して前記前席側エバポレータへの前記冷媒の供給を停止可能とする電磁弁制御手段と、
を含むことを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−245989(P2007−245989A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74082(P2006−74082)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】