説明

車両用空調装置

【課題】車両用空調装置において、簡素な構成でケーシングの内部において車両幅方向に通路を分割可能とする。
【解決手段】車両用空調装置10を構成するケーシング12の内部には、ヒータコア20の上方となる位置に一対の第1及び第2通路分割部材62a、62bが設けられ、前記第1及び第2通路分割部材62a、62bは、第1分割ケース部26と第2分割ケース部28の間に設けられた分割プレート30を挟持するようにそれぞれ設けられる。そして、第1及び第2通路分割部材62a、62bは、分割プレート30と略平行な分割壁72a、72bを備え、該分割壁72a、72bと前記分割プレート30との間に略水平方向に延在する一対の第6フロント内通路76が形成される。一方、分割壁72a、72bと第1及び第2分割ケース部26、28との間には、ヒータコア20の下流側とデフロスタ開口部90とを直接連通させるべく鉛直方向に延在した一対の第6フロント外通路64が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、冷却手段によって温度調整のなされた空気を車室内へと送風して車室内の温度調整を行う車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載される車両用空調装置は、送風機によって内外気をケーシング内へと取り込み、エバポレータにより冷却された空気と、加熱手段であるヒータコアにより加熱された空気とを前記ケーシング内で所望の混合比率で混合した後、車室内に設けられたデフロスタ吹出口、フェイス吹出口又はフット吹出口から送風することによって前記車室内の温度及び湿度の調整を行っている。
【0003】
このような車両用空調装置では、例えば、ケーシングの内部において空気の流通する通路を車両の前後方向に分割し、前記前後方向と直交する前記車両の幅方向外側に一組のデフロスタ通路を設け、前記幅方向中央側に一組のヒート通路を設けてケーシングに開口したデフロスタ開口部、ヒート開口部を通じて温度の異なる空気を所望の送風量で車室内と送風している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−188995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、車両の幅方向に分割した2つのケース部からケーシングを構成し、さらに通路を前記幅方向に分割した4分割構造として車両の前後方向及び左右方向に独立して送風を制御する場合には、前記ケーシング内における通路の構成が非常に複雑となり、それに伴って、前記ケーシングの製造性が低下してしまうという問題がある。また、ケーシングの内部において、車両の幅方向中央側に設けられたヒート通路が車両の前後方向に延在し、一方、前記幅方向外側に設けられたデフロスタ通路が、前記車両の上下方向に延在する構成としているため、前記ケーシングの内部構造がより一層複雑になってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、簡素な構成でケーシングの内部において車両幅方向に通路を分割可能な車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、車室内へと空気を送風する送風機と、車両幅方向に分割された第1ケース部と第2ケース部からなるケーシングと、前記ケーシングの内部に設けられ前記空気を冷却する冷却手段と、前記空気を加温する加熱手段と、前記ケーシングの内部に形成され前記送風機から送風される前記空気の流通する通路とを有した車両用空調装置において、
前記第1ケース部と前記第2ケース部との間には、前記通路を前記第1ケース部側に形成される第1通路と前記第2ケース部側に形成される第2通路とに分割する分割プレートが設けられ、
前記第1及び第2通路には、該第1及び第2通路をそれぞれ前記車両幅方向に分割する第1及び第2分割部材が設けられ、前記第1分割部材が、前記第1ケース部と前記分割プレートにより挟持され、前記第2分割部材が、前記第2ケース部と前記分割プレートによって挟持されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第1及び第2ケース部の内部において、分割プレートによって第1通路と第2通路とに分割され、前記第1及び第2通路にそれぞれ第1及び第2分割部材を設けることにより、前記第1及び第2通路を車両幅方向に更に分割している。そして、第1及び第2分割部材は、第1及び第2ケース部と分割プレートの間に挟持されて保持される。
【0009】
従って、ケーシングの内部に第1及び第2分割部材を設けるという簡素な構成で、空気の流通する第1及び第2通路を車両幅方向に確実且つ容易に分割して4分割とすることができる。その結果、分割されたそれぞれの通路を通じて車室内の所望位置への送風量、送風温度等を独立して制御することが可能となると共に、ケーシング内において複雑に分割された通路を有した従来の車両用空調装置と比較し、製造性の向上を図ることができる。また、第1及び第2分割部材は、第1ケース部と分割プレートとの間、第2ケース部と前記分割プレートとの間との間に挟持するという簡単な作業で確実に組み付けることができるため、その組付性を向上させることができる。
【0010】
さらに、第1及び第2分割部材は、ケーシングと分割プレートとの間で車両幅方向に前記第1及び第2通路を分割する分割壁と、
前記分割壁から前記分割プレート側へと延在する遮断壁と、
を備えるとよい。
【0011】
さらにまた、分割プレートには、遮断壁の端部が嵌合される嵌合孔を備えると共に、前記遮断壁の端部には、前記嵌合孔内に嵌合する嵌合部を備え、前記第1分割部材と前記第2分割部材とを前記嵌合孔内で互いに嵌合させるとよい。
【0012】
またさらに、分割壁によって分割された第1及び第2通路は、前記車両幅方向における中央又は外側となるいずれか一方を、車両前後方向に沿って延在して前記空気を流通させる前後空気通路とし、他方を、前記車両前後方向と直交する車両上下方向に延在して前記空気を流通させる上下空気通路とするとよい。
【0013】
また、ケーシングの内部には、加熱手段の下流側に設けられるダンパを有し、前記ダンパは、前記第1通路側に設けられる第1ダンパ部と、前記第2通路側に設けられる第2ダンパ部と、前記第1及び第2ダンパ部をそれぞれ回動させる一組の回転軸とからなり、前記回転軸同士を互いに接続すると共に、前記回転軸を、前記第1及び第2分割部材に形成された軸支持部及び前記分割プレートの孔部に回動自在に支持するとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0015】
すなわち、第1及び第2ケース部の内部において、分割プレートで分割された第1通路と第2通路にそれぞれ第1及び第2分割部材を設けるという簡素な構成で、空気の流通する第1及び第2通路を車両幅方向に確実且つ容易に分割して4分割とすることができる。その結果、分割された通路を通じて車室内の所望位置への送風される送風量、送風温度等を独立して制御することができる。また、ケーシング内において複雑に分割された通路を有した従来の車両用空調装置と比較し、製造性の向上を図ることができる。さらに、第1及び第2分割部材は、第1ケース部と分割プレートとの間、第2ケース部と前記分割プレートとの間に挟持するという簡単な作業で確実に組み付けることができるため、その組付性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用空調装置の外観斜視図である。
【図2】図1の車両用空調装置におけるケーシングの全体断面図である。
【図3】図1の車両用空調装置における第1及び第2通路分割部材、分割プレート及びサブデフロスタダンパを示す斜視図である。
【図4】図3に示す第1及び第2通路分割部材、分割プレート及びサブデフロスタダンパを別の方向から見た斜視図である。
【図5】図4に示す第1及び第2通路分割部材、分割プレートの一部切欠分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る車両用空調装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0018】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る車両用空調装置を示す。なお、車両用空調装置10は、図1及び図2に示される右側(矢印A方向)が車両の前方側となり、左側(矢印B方向)が該車両の後方側となるように搭載されるため、以下、矢印A方向を前方とし、矢印B方向を後方として説明する。
【0019】
この車両用空調装置10は、図1及び図2に示されるように、空気の各通路を構成するケーシング12と、前記ケーシング12の側部に連結ダクト14を介して連結され、車両における前席に送風するための第1送風機16と、前記ケーシング12の内部に配設され、前記空気を冷却するエバポレータ(冷却手段)18と、該空気を加熱するヒータコア(加熱手段)20と、前記ケーシング12の下部に連結され、前記車両の中間席、後席に送風するための第2送風機22と、前記各通路内を流通する空気の流れを切り換えるダンパ機構24とを含む。
【0020】
ケーシング12は、略対称形状の第1及び第2分割ケース部26、28と、該第1分割ケース部(第1ケース部)26と第2分割ケース部(第2ケース部)28との間に設けられた分割プレート30とから構成され、該第1分割ケース部26の下側部には、連結ダクト14の連結される第1フロント通路32が形成され、第1送風機16から空気が供給される。
【0021】
エバポレータ18は、第1分割ケース部26と第2分割ケース部28とに跨るように設けられ、第1フロント通路32の下流側に配置される。このエバポレータ18は、第1フロント通路32に臨み、該第1フロント通路32から供給される空気を冷却する第1冷却部34と、後述する第1リア通路114に臨み、該第1リア通路114から供給される空気を冷却する第2冷却部36とを有する。なお、第1冷却部34と第2冷却部36とは仕切手段によって分離されている。
【0022】
一方、エバポレータ18の下流側には、第1冷却部34を通過した空気の供給される第2フロント通路38が形成され、該第2フロント通路38の上方には第3フロント通路40と第4フロント通路42とが分岐するように形成される。また、第2フロント通路38には、第3フロント通路40及び第4フロント通路42の分岐部に臨むようにエアミックスダンパ44が回動自在に設けられる。そして、エアミックスダンパ44を回動させることによってエバポレータ18を通過した冷風の第3フロント通路40及び第4フロント通路42への送風状態及び送風量を調整する。
【0023】
第3フロント通路40は、ケーシング12における前方側(矢印A方向)、第4フロント通路42が後方側(矢印B方向)となるように配置され、該第4フロント通路42の下流側にはヒータコア20が配設される。
【0024】
この第3フロント通路40の上流側には、第2フロント通路38に臨む下方にクールベントダンパ46が設けられ、前記第2フロント通路38と第3フロント通路40との連通状態を切り換えている。
【0025】
また、第3フロント通路40は、上方に向かって延在し、その下流側となる上部にはベント開口部48が開口し、前記ベント開口部48を開閉可能なベントダンパ50が回動自在に設けられる。ベントダンパ50は、第3フロント通路40を流通する空気がベント開口部48、又は、後述する第6フロント外通路64へ送風される際の送風状態を切り換え、且つ、その送風量を調整可能に設けられる。
【0026】
ヒータコア20は、エバポレータ18と同様に、第1分割ケース部26と第2分割ケース部28との間に跨るように配置され、第4フロント通路42に臨み、該第4フロント通路42から供給される空気を加熱する第1加熱部52と、後述する第2リア通路122に臨み、第2送風機22から供給される空気を加熱する第2加熱部54とを有する。なお、第1加熱部52と第2加熱部54とは仕切手段によって分離されている。
【0027】
第1加熱部52の下流側には、第5フロント通路56が形成され、該第5フロント通路56が前方(矢印A方向)に向かって延在し、第3フロント通路40と合流する部位に温度コントロールダンパ58が設けられる。温度コントロールダンパ58は、その回動作用下に第5フロント通路56と第3フロント通路40との連通状態を切り換える。また、第1加熱部52の上方には一対のサブデフロスタダンパ(ダンパ)60a、60bが設けられ、第5フロント通路56と、その上方に設けられた一対の第1及び第2通路分割部材62a、62bの幅方向外側(矢印C1方向)となる第6フロント外通路64との連通状態を切り換える目的で設けられる。このサブデフロスタダンパ60a、60bは、図2〜図4に示されるように、一直線状に形成された回転軸66と、該回転軸66の軸線と直交方向に延在する一対の送風ガイド68a、68bとからなる。
【0028】
一方のサブデフロスタダンパ60aは、その回転軸66の一端部が第1分割ケース部26の側壁に挿通され、他端部が分割プレート30に形成された貫通孔(孔部)70に挿通される。他方のサブデフロスタダンパ60bは、その回転軸66の一端部が第2分割ケース部28の側壁に挿通され、他端部が前記一方のサブデフロスタダンパ60aにおける回転軸66の他端部に連結される。これにより、一対のサブデフロスタダンパ60a、60bは、第1及び第2分割ケース部26、28、分割プレート30によって回動自在に支持される。
【0029】
また、一方の送風ガイド68aと他方の送風ガイド68bとが回転軸66を中心として互いに離間する方向に延在し、且つ、前記回転軸66の軸線方向から見て一直線状となるように形成される。
【0030】
そして、サブデフロスタダンパ60a、60bは、送風ガイド68a、68bが略水平な全閉状態から回動することにより、第5フロント通路56と第6フロント外通路64とを連通させ、該第5フロント通路56から該第6フロント外通路64までの流路を短縮することにより、ヒータコア20で加熱された温風を、第3フロント通路40を流通させることなく直接的に前記第6フロント外通路64へと供給することができる。
【0031】
第1及び第2通路分割部材62a、62bは、断面L字状に形成され、後述するデフロスタ開口部90に臨み、分割プレート30を間として第1及び第2分割ケース部26、28側にそれぞれ設けられる(図3参照)。この場合、第1通路分割部材62aと第2通路分割部材62bとが分割プレート30を中心として対称形状となる。
【0032】
この第1及び第2通路分割部材62a、62bは、分割プレート30と略平行で所定間隔離間した分割壁72a、72bと、該分割壁72a、72bの下部から前記分割プレート30側に向かって延在する遮断壁74a、74bと、前記分割壁72a、72bの上部から前記分割プレート30側に向かって延在する支持アーム75をそれぞれ有する。そして、分割壁72a、遮断壁74a及び分割プレート30に囲まれた空間、分割壁72b、遮断壁74b及び分割プレート30に囲まれた空間が、一対の第6フロント内通路76となり、その前方側(矢印A方向)が第3フロント通路40の下流に、後方側(矢印B方向)がヒート開口部78に連通すると共にデフロスタ開口部90における幅方向中央と連通する(図3参照)。
【0033】
一方、分割壁72a、72bにおける車両の幅方向外側(矢印C1方向)には、第1及び第2分割ケース部26、28の内壁との間にそれぞれ第6フロント外通路64が形成され、前記デフロスタ開口部90の幅方向両端と連通している。また、遮断壁74a、74bは、略水平方向に延在して第5フロント通路56と第6フロント内通路76との連通を遮断している。
【0034】
すなわち、ケーシング12の内部において、第1及び第2通路分割部材62a、62bによって第6フロント内通路76が車両の前後方向(矢印A、B方向)となる略水平方向に延在し、第3フロント通路40とヒート開口部78とを接続すると共に、第6フロント外通路64が、前記前後方向と直交する鉛直方向(矢印D方向)に延在し、第5フロント通路56とデフロスタ開口部90とを接続している。
【0035】
換言すれば、第1及び第2通路分割部材62a、62bを介してケーシング12の幅方向中央(矢印C2方向)に設けられた一対の第6フロント内通路76と、前記幅方向両端に設けられた一対の第6フロント外通路64とが、ケーシング12の内部において互いに交差するように形成される。なお、この場合でも、第6フロント内通路76及び第6フロント外通路64は、分割壁72a、72bによって互いに分離されており連通することはない。
【0036】
また、分割壁72a、72bの下端部には、下方に向かって開口した断面半円状の軸支持溝(軸支持部)80がそれぞれ形成され、サブデフロスタダンパ60a、60bの回転軸66が回動自在に支持される。なお、この場合、図3に示されるように、サブデフロスタダンパ60a、60bの送風ガイド68a、68bは、遮断壁74a、74bと略平行且つ分割壁72a、72bの幅方向外側(矢印C1方向)となる位置にそれぞれ配置される。
【0037】
一方、遮断壁74a、74bの端面には、分割壁72a、72b側(矢印C1方向)に向かって窪んだ一組の凹部82a、82bがそれぞれ設けられ、前記凹部82a、82bは、前記遮断壁74a、74bの端面に沿って互いに所定間隔離間して形成される。そして、通路分割部材62a、62bを分割プレート30に対して組み付ける際、図5に示されるように、前記分割プレート30に形成された嵌合孔84に前記遮断壁74a、74bがそれぞれ挿入されると共に、該嵌合孔84に設けられた一対の嵌合部86a、86bが凹部82a、82bにそれぞれ挿入される。これにより、分割プレート30の両側に第1通路分割部材62aと第2通路分割部材62bとが確実に位置決めされた状態で組み付けられる。
【0038】
また、分割プレート30には、スリット状に形成された嵌合孔84の上下方向(矢印D方向)に所定間隔離間した2枚のガイド壁88a、88bが設けられ、第1及び第2通路分割部材62bを分割プレート30に対して組み付ける際、前記分割プレート30の側壁から突出したガイド壁88a、88bの間に遮断壁74a、74bを挿入することにより、該遮断壁74a、74bが嵌合孔84側(矢印C2方向)へと好適に案内される。
【0039】
第1及び第2分割ケース部26、28の上面には、図1及び図2に示されるように、第6フロント内通路76、第6フロント外通路64の上方となる位置に、車両の前後方向(矢印A、B方向)と直交する幅方向(矢印C方向)に沿って長尺なデフロスタ開口部90が開口している。
【0040】
このデフロスタ開口部90は、断面略長方形状に開口し、該デフロスタ開口部90に臨むようにデフロスタダンパ92が回動自在に設けられると共に、該デフロスタ開口部90の一部を覆うようにケーシング12の上方からカバー部材94が装着される。なお、デフロスタ開口部90は、その幅方向中央(矢印C2方向)が図示しないデフロスタダクト(図示せず)を介して車両のフロントウインドウの左右近傍に開口した送風口と連通し、一方、幅方向外側(矢印C1方向)がデフロスタダクト(図示せず)を介して前記フロントウインドウの中央近傍に開口した送風口と連通している。
【0041】
デフロスタダンパ92は、その回動作用下にデフロスタ開口部90と第6フロント外通路64への送風状態を切り換え、且つ、その送風量を調整する。
【0042】
第1送風機16は、図1に示されるように、図示しない第1送風ファンの収容される第1送風機ケース108と、該第1送風機ケース108の上部に接続され外気を導入するためのダクト110を有した第2送風機ケース112とを含み、前記第1送風機ケース108が連結ダクト14を介してケーシング12の内部と連通している。
【0043】
そして、第1送風機16から供給された空気が、連結ダクト14を通じてケーシング12内へと導入され、図2に示されたダンパ機構24を構成するエアミックスダンパ44、ベントダンパ50、デフロスタダンパ92、温度コントロールダンパ58及びサブデフロスタダンパ60a、60bの回動作用下に第1〜第5フロント通路32、38、40、42、56、第6フロント外通路64、第6フロント内通路76を通じて車両における前席及び中間席に送風可能なデフロスタ開口部90、ベント開口部48、ヒート開口部78へと選択的に供給される。
【0044】
一方、ケーシング12の下部には、図1及び図2に示されるように、エバポレータ18の上流側となる位置に第2送風機22が連結され、第1リア通路114と連通している。なお、第1リア通路114は、第1分離壁116を介して第1フロント通路32と分離されている。
【0045】
第2送風機22は、車室内の空気(内気)を取り込み、取り込んだ空気をケーシング12内へと供給する第2送風ファン118を有し、前記第2送風ファン118が第3送風機ケース120に収納されている。なお、第2送風ファン118は、第1送風ファンと同様に、図示しない回転駆動源に対する通電作用下に駆動するファンモータ(図示せず)によって回転制御される。
【0046】
この第1リア通路114の下流側には、エバポレータ18の第2冷却部36を通過した空気の供給される第2リア通路122が形成され、第2分離壁124によって第2フロント通路38と分離される。
【0047】
ここで、第2フロント通路38及び第2リア通路122は、ケーシング12の中央に設けられた分割プレート30を中心として第1及び第2分割ケース部26、28側にそれぞれ分離される。
【0048】
本発明の実施の形態に係る車両用空調装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、その動作並びに作用効果について説明する。なお、ここでは、車室内において乗員の足元近傍及びフロントウィンドウの曇りを除去するために該フロントウィンドウ近傍に送風を行うヒートデフモードが選択された場合の動作について説明する。
【0049】
先ず、車両用空調装置10が始動されると、第1送風機16の第1送風ファンが図示しない回転駆動源に対する通電作用下に回転し、ダクト110を通じて取り込まれた空気(外気又は内気)が連結ダクト14を通じてケーシング12の第1フロント通路32に供給されると同時に、第2送風機22の第2送風ファン118が図示しない回転駆動源に対する通電作用下に回転することによって取り込まれた空気(内気)が第1リア通路114へと供給される。ここでは、第1送風ファンによってケーシング12内に供給される空気を第1エアとし、第2送風ファン118によって前記ケーシング12内に供給される空気を第2エアとして説明する。
【0050】
このケーシング12内に供給された第1エア及び第2エアは、それぞれエバポレータ18の第1及び第2冷却部34、36をそれぞれ通過して冷却され、冷風としてエアミックスダンパ44の設けられた第2フロント通路38及び第2リア通路122へとそれぞれ流通する。
【0051】
そして、エアミックスダンパ44及びクールベントダンパ46が、第2フロント通路38と第3フロント通路40との連通を遮断し、ベントダンパ50が回動してベント開口部48を閉塞する。これにより、第2フロント通路38から第4フロント通路42を経てヒータコア20を通過した温風の第1エアが、第3フロント通路40で混合された後に、一対の第6フロント内通路76、第6フロント外通路64へとそれぞれ供給される。この第1エアは、第6フロント内通路76からヒート開口部78、ヒート送風口(図示せず)を経て車室内における前席における乗員の足元近傍に送風される。すなわち、第6フロント内通路76は、加温された第1エアを乗員の足元近傍に送風するためのヒート通路として機能する。
【0052】
一方、第6フロント外通路64に供給された第1エアは、デフロスタダンパ92を回動させデフロスタ開口部90を開口させることにより、該デフロスタ開口部90に接続された図示しないダクトを通じて車両におけるフロントウィンドウ近傍へと供給される。この場合、サブデフロスタダンパ60a、60bを同時に回動させることにより、第5フロント通路56と第6フロント外通路64とを連通させ、第3フロント通路40を経由して第6フロント外通路64へと供給された第1エアに加え、ヒータコア20を通過した第1エアを前記第6フロント外通路64を通じて上方に向かって供給し、デフロスタ開口部90から車室内へと供給することも可能である。すなわち、第6フロント外通路64は、加温された第1エアを車両のフロントウィンドウ近傍へと送風するためのデフロスタ通路として機能する。
【0053】
なお、上述したヒートデフモードにおいて、第2エアを車室内の中間席及び後席に送風する場合については、その詳細な説明を省略する。
【0054】
このように、ケーシング12の内部に、分割壁72a、72b及び遮断壁74a、74bを有した第1及び第2通路分割部材62a、62bを設けることによって、温度差を有した2種類の第1エアを一対の第6フロント内通路76と第6フロント外通路64を介して確実に分割し、分割された4本の第6フロント内通路76、第6フロント外通路64を通じて第1エアを所望の送風口へと所望の送風量、送風温度で供給することが可能となる。
【0055】
以上のように、本実施の形態では、分割プレート30によって2分割された第1及び第2分割ケース部26、28の内部において、該分割プレート30を挟んで両側に第1及び第2通路分割部材62a、62bを設けることにより、その分割壁72a、72bと第1及び第2分割ケース部26、28との間に一対の第6フロント外通路64を形成し、前記分割壁72a、72bと前記分割プレート30との間に一対の第6フロント内通路76を形成している。その結果、ケーシング12の内部において、第6フロント外通路64と第6フロント内通路76とを簡便且つ確実に分割することができるため、第1及び第2通路分割部材62a、62bを設けるという簡素な構成で、空気の流通する通路をケーシング12の内部において確実に4分割することができ、分離された4本の第6フロント内通路76、第6フロント外通路64を通じて第1エアを所望の送風口へと所望の送風量、送風温度で供給することが可能となる。
【0056】
また、ケーシング内において複雑に分割された通路を有した従来の車両用空調装置と比較し、製造性の向上を図ることができると共に、製造コストの低減を図ることも可能となる。
【0057】
さらに、第1及び第2通路分割部材62a、62bを設けることにより、ケーシング12内において簡便に第6フロント内通路76と第6フロント外通路64とを互いに直交するように配置することが可能となり、しかも、第1及び第2通路分割部材62a、62bは、分割プレート30と第1及び第2分割ケース部26、28の内壁面との間に挟持するという簡便な作業で確実に組み付けることができる。
【0058】
さらにまた、第1及び第2通路分割部材62a、62bは、その遮断壁74a、74bがガイド壁88a、88bに沿って分割プレート30側に向かって案内され、該遮断壁74a、74bが嵌合孔84に挿入され、且つ、一対の凹部82a、82bが嵌合部86a、86bに対してそれぞれ係合されることによって正確に位置決めされた状態で前記分割プレート30に対して組み付けられる。
【0059】
またさらに、第1及び第2通路分割部材62a、62b、サブデフロスタダンパ60a、60b及び分割プレート30をケーシング12に対して組み付ける際、前記サブデフロスタダンパ60a、60bの回転軸66を予め前記第1及び第2通路分割部材62a、62bの軸支持溝80、前記分割プレート30の貫通孔70に対して挿入しておくことにより、前記回転軸66の両端部が共に分割プレート30、第1及び第2通路分割部材62a、62bによって支持されるため、前記第1及び第2通路分割部材62a、62bの軸支持溝80、前記分割プレート30を予めユニット化してケーシング12の内部に組み付けることによって容易に組付作業を行うことができる。
【0060】
なお、本発明に係る車両用空調装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0061】
10…車両用空調装置 12…ケーシング
16…第1送風機 18…エバポレータ
20…ヒータコア 22…第2送風機
24…ダンパ機構 26…第1分割ケース部
28…第2分割ケース部 30…分割プレート
60a、60b…サブデフロスタダンパ
62a…第1通路分割部材 62b…第2通路分割部材
64…第6フロント外通路 66…回転軸
68a、68b…送風ガイド 72a、72b…分割壁
74a、74b…遮断壁 76…第6フロント内通路
80…軸支持溝 82a、82b…凹部
84…嵌合孔 86a、86b…嵌合部
90…デフロスタ開口部 92…デフロスタダンパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内へと空気を送風する送風機と、車両幅方向に分割された第1ケース部と第2ケース部からなるケーシングと、前記ケーシングの内部に設けられ前記空気を冷却する冷却手段と、前記空気を加温する加熱手段と、前記ケーシングの内部に形成され前記送風機から送風される前記空気の流通する通路とを有した車両用空調装置において、
前記第1ケース部と前記第2ケース部との間には、前記通路を前記第1ケース部側に形成される第1通路と前記第2ケース部側に形成される第2通路とに分割する分割プレートが設けられ、
前記第1及び第2通路には、該第1及び第2通路をそれぞれ前記車両幅方向に分割する第1及び第2分割部材が設けられ、前記第1分割部材が、前記第1ケース部と前記分割プレートにより挟持され、前記第2分割部材が、前記第2ケース部と前記分割プレートによって挟持されることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用空調装置において、
前記第1及び第2分割部材は、前記ケーシングと前記分割プレートとの間で前記車両幅方向に前記第1及び第2通路を分割する分割壁と、
前記分割壁から前記分割プレート側へと延在する遮断壁と、
を備えることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両用空調装置において、
前記分割プレートには、前記遮断壁の端部が嵌合される嵌合孔を備えると共に、前記遮断壁の端部には、前記嵌合孔内に嵌合する嵌合部を備え、前記第1分割部材と前記第2分割部材とが前記嵌合孔内で互いに嵌合することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の車両用空調装置において、
前記分割壁によって分割された第1及び第2通路は、前記車両幅方向における中央又は外側となるいずれか一方が、車両前後方向に沿って延在して前記空気を流通させる前後空気通路となり、他方が、前記車両前後方向と直交する車両上下方向に延在して前記空気を流通させる上下空気通路となることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用空調装置において、
前記ケーシングの内部には、前記加熱手段の下流側に設けられるダンパを有し、前記ダンパは、前記第1通路側に設けられる第1ダンパ部と、前記第2通路側に設けられる第2ダンパ部と、前記第1及び第2ダンパ部をそれぞれ回動させる一組の回転軸とからなり、前記回転軸同士が互いに接続されると共に、前記回転軸が、前記第1及び第2分割部材に形成された軸支持部及び前記分割プレートの孔部に回動自在に支持されることを特徴とする車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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