説明

車両用空調装置

【課題】砂塵堆積への悪影響を抑制しつつ操作力の低減を図る。
【解決手段】第1空気通路14を流れる外気、および第2空気通路15を流れる内気を加熱する加熱用熱交換器13と、第1空気通路14に配置され、加熱用熱交換器13を通過する外気と加熱用熱交換器13をバイパスして流れる外気との風量割合を調整する第1エアミックスドア18と、第2空気通路15に配置され、加熱用熱交換器13を通過する内気と加熱用熱交換器13をバイパスして流れる内気との風量割合を調整する第2エアミックスドア19とを備え、第1エアミックスドア18および第2エアミックスドア19はいずれも、板状のドア本体部が自重の影響を受ける方向にスライド移動するスライドドアであり、第2エアミックスドア19のスライド移動方向は、第1エアミックスドア18のスライド移動方向に比べて水平方向に近づいて傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアミックス用のスライドドアを備える車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用空調装置が特許文献1に記載されている。この従来技術では、空調ユニット内に、ヒータコアを通過する温風通路が形成されているとともに、ヒータコアを迂回する冷風通路が温風通路の上下両側に形成されている。
【0003】
そして、温風通路の上方部分と、上方側の冷風通路とを第1スライドドアによって開閉し、温風通路の下方部分と、下方側の冷風通路とを第2スライドドアによって開閉するようになっている。
【0004】
さらに、第1、第2スライドドアが「く」字状に斜めに配置されていることによって、エアミックス性の向上、高風力化および低騒音化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−43535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術では、スライドドアが略上下方向に作動するので、上方側へスライド作動させる場合にはドア自重の影響を大きく受けて操作力が増加してしまう。
【0007】
そこで、ドア自重の影響を少なくするためにスライドドアの作動方向を水平に近づけて寝かす対策が考えられるが、この対策を単純に採用した場合、送風空気に含まれる砂塵等がスライドドアの作動をガイドする溝等に堆積しやすくなるという問題が生じてしまう。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、砂塵堆積への悪影響を抑制しつつ操作力の低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室内に向かって外気が流れる第1空気通路(14)、および車室内に向かって内気が流れる第2空気通路(15)を形成するケース(11)と、
第1空気通路(14)および第2空気通路(15)に配置され、第1空気通路(14)を流れる外気、および第2空気通路(15)を流れる内気を加熱する加熱用熱交換器(13)と、
第1空気通路(14)に配置され、加熱用熱交換器(13)を通過する外気と加熱用熱交換器(13)をバイパスして流れる外気との風量割合を調整する第1エアミックスドア(18)と、
第2空気通路(15)に配置され、加熱用熱交換器(13)を通過する内気と加熱用熱交換器(13)をバイパスして流れる内気との風量割合を調整する第2エアミックスドア(19)とを備え、
第1エアミックスドア(18)および第2エアミックスドア(19)はいずれも、板状のドア本体部が自重の影響を受ける方向にスライド移動するスライドドアであり、
第2エアミックスドア(19)のスライド移動方向は、第1エアミックスドア(18)のスライド移動方向に比べて水平に近い方向に傾斜していることを特徴とする。
【0010】
これによると、第2エアミックスドア(19)のスライド移動方向は、第1エアミックスドア(18)のスライド移動方向に比べて水平に近い方向に傾斜しているので、第2エアミックスドア(19)の作動についてドア自重の影響を受けることを抑制して操作力を低減することができる。
【0011】
ここで、第2エアミックスドア(19)は、内気が流れる第2空気通路(15)に配置されているので、外気が流れる第1空気通路(14)に配置された第1エアミックスドア(18)に比べて、外気中に含まれる砂塵等が溜まりにくい。このため、第2エアミックスドア(19)のスライド移動方向が水平に近い方向に傾斜していても砂塵堆積への悪影響を抑制することができる。以上のことから、砂塵堆積への悪影響を抑制しつつ操作力の低減を図ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、第1エアミックスドア(18)が下方側へスライド移動する際に第2エアミックスドア(19)が上方側へスライド移動するように第1エアミックスドア(18)および第2エアミックスドア(19)を連動駆動する駆動機構(45、46)を備えることを特徴とする。
【0013】
これによると、第1エアミックスドア(18)が下方側へスライド移動する際、第1エアミックスドア(18)は自重で操作力を低減する方向となり、第2エアミックスドア(19)は上方側へスライド移動するので自重で操作力を増加させる方向となるが、第2エアミックスドア(19)の方がスライド移動方向が水平方向に近いので自重による操作力への影響が小さくなる。そのため、第1、第2エアミックスドア(18、19)の自重による操作力の合計がマイナスとなり、操作力が低減される(後述する図2、図3を参照)。
【0014】
具体的には、請求項3に記載の発明のように、請求項1または2に記載の発明において、第1空気通路(14)の下方側に第2空気通路(15)が配置され、
第1空気通路(14)において、加熱用熱交換器(13)の上方部位には、加熱用熱交換器(13)をバイパスして空気が流れる第1冷風バイパス通路(16)が形成され、
第2空気通路(15)において、加熱用熱交換器(13)の下方部位には、加熱用熱交換器(13)をバイパスして空気が流れる第2冷風バイパス通路(17)が形成され、
第1エアミックスドア(18)は、加熱用熱交換器(13)で加熱される空気と、第1冷風バイパス通路(16)を通って加熱用熱交換器(13)をバイパスする空気との風量割合を調整し、
第2エアミックスドア(19)は、加熱用熱交換器(13)で加熱される空気と、第2冷風バイパス通路(17)を通って加熱用熱交換器(13)をバイパスする空気との風量割合を調整するようになっていればよい。
【0015】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、加熱用熱交換器(13)は、第1エアミックスドア(18)および第2エアミックスドア(19)に対して水平方向一方側に配置され、
第2エアミックスドア(19)のスライド移動方向は、スライド上端位置よりもスライド下端位置が前記水平方向一方側に位置するように傾斜し、
第2エアミックスドア(19)のスライド下端位置は、第1エアミックスドア(18)のスライド移動範囲よりも前記水平方向一方側に位置し、
加熱用熱交換器(13)は、第2エアミックスドア(19)のスライド移動方向と同じ側に傾斜し、かつ少なくとも一部が第2エアミックスドア(19)のスライド移動範囲の直上に位置するように配置されていることを特徴とする。
【0016】
これにより、ケース(11)の水平方向における体格を小型化できる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、請求項3または4に記載の発明において、第2エアミックスドア(19)のスライド上端位置は、第1エアミックスドア(18)のスライド下端位置よりも加熱用熱交換器(13)の反対側かつ上方側に位置していることを特徴とする。
【0018】
これにより、ケース(11)の上下方向における体格を小型化できる。
【0019】
請求項6に記載の発明では、請求項3ないし5のいずれか1つに記載の発明において、回転運動が可能な第1シャフト(40)および第2シャフト(41)を備え、
第1シャフト(40)の回転運動は、第1エアミックスドア(18)のスライド運動に変換されるようになっており、
第2シャフト(41)の回転運動は、第2エアミックスドア(19)のスライド運動に変換されるようになっており、
加熱用熱交換器(13)は、熱交換媒体が流れる複数本のチューブを含む熱交換コア部(13a)と、チューブに対する熱交換媒体の分配または集合を行うタンク(13b、13c)とを有し、
タンク(13b、13c)は、熱交換コア部(13a)の上方側に配置された上方側タンク(13b)、および熱交換コア部(13a)の下方側に配置された下方側タンク(13c)であり、
第1シャフト(40)は、上方側タンク(13b)の近傍に配置され、
第2シャフト(41)は、下方側タンク(13c)の近傍に配置されていることを特徴とする。
【0020】
これにより、加熱用熱交換器(13)における空気の流通が第1シャフト(40)および第2シャフト(41)によって妨げられることを抑制できる。
【0021】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態における車両用空調装置の空調ユニットを示す断面図である。
【図2】図1のエアミックスドアの作動を説明する断面図である。
【図3】比較例におけるエアミックスドアの作動を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、一実施形態における車両用空調装置の空調ユニット10を示す断面図である。図1中、上下前後の各矢印は、車両搭載状態における上下前後方向を示している。
【0024】
車両用空調装置の通風系は、大別して、送風機ユニット(図示せず)と、空調ユニット10との2つの部分に分かれている。送風機ユニットは車室内の計器盤下方部のうち、中央部から助手席側へオフセットして配置されており、これに対し、空調ユニット10は車室内の計器盤下方部のうち、車両左右方向の略中央部に配置されている。
【0025】
図示を省略しているが、送風機ユニットは、内外気切替箱と、この内外気切替箱を通して空気を吸入して送風する送風機とから構成されている。内外気切替箱には外気(車室外空気)を導入する外気導入口と、内気(車室内空気)を導入する内気導入口とが形成されている。この両導入口は内外気切替ドアにより開閉される。本例では、内外気切替ドアは電動アクチュエータによって駆動されるようになっている。
【0026】
送風機は、遠心式ファンと駆動用モータとスクロールケースとから構成されている。より具体的には、送風機は、遠心式ファンとスクロールケースとを2組有しており、送風機ユニットは、外気のみを送風する外気モード、内気のみを送風する内気モード、および外気と内気とを区別して送風する内外気2層モードを切り替え可能になっている。
【0027】
空調ユニット10は、1つの共通の空調ケース11内に蒸発器12(冷却用熱交換器)とヒータコア13(加熱用熱交換器)とを内蔵している。空調ケース11はポリプロピレンのような、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂の成形品からなる。
【0028】
空調ケース11は具体的には複数の分割ケースからなり、この複数の分割ケースは、上記熱交換器12、13、後述のドア等の機器を収納した後に、金属バネクリップ、ネジ等の締結手段により一体に結合されて空調ユニット10を構成する。
【0029】
空調ケース11のうち最も車両前方側の部位の側面には2つの空気入口(図示せず)が形成されている。2つの空気入口は、送風機ユニットの2つのスクロールケースに対応しており、外気モードでは2つの空気入口の両方に外気が流入し、内気モードでは2つの空気入口の両方に内気が流入する。そして、内外気2層モードでは、2つの空気入口のうち第1の空気入口に一方のスクロールケースからの外気が流入し、2つの空気入口のうち第2の空気入口に他方のスクロールケースからの内気が流入する。
【0030】
空調ケース11内には仕切り板11aが配置されている。仕切り板11aは、空調ケース11内の空気通路を、第1の空気入口から流入した空気が流れる第1空気通路14と、第2の空気入口から流入した空気が流れる第2空気通路15とに仕切るためのものである。したがって、内外気2層モードでは、第1空気通路14に外気が流れ、第2空気通路15に内気が流れる。
【0031】
仕切り板11aは、空調ケース11内部において車両左右方向(図1の紙面垂直方向)の全域にわたって延びるように形成されており、本例では空調ケース11と一体成形されている。
【0032】
第1空気通路14は仕切り板11aよりも上方側の通路であり、第2空気通路15は仕切り板11aよりも下方側の通路である。すなわち、第2空気通路15は、第1空気通路14の下方側に配置されている。
【0033】
空調ケース11内において空気入口の直後の部位に蒸発器12が配置されている。この蒸発器12は、空調ケース11内において上下方向の全域にわたって車両上下方向(鉛直方向)と略平行に配置されている。なお、図示しないが、蒸発器12の車両左右方向の幅寸法は、空調ケース11の幅寸法と略同等に設計されている。
【0034】
蒸発器12は、冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空調空気から吸熱して空調空気を冷却する冷却用熱交換器であって、冷媒が通過する偏平チューブとこれに接合されたコルゲートフィンとからなる熱交換用コア部を有している。
【0035】
蒸発器12の熱交換用コア部は、仕切り板11aに設けられた貫通孔を貫通するように配置され、上部が第1空気通路14、下部が第2空気通路15に位置付けられている。したがって、蒸発器12の熱交換用コア部の上部は、第1空気通路14を流れる空気(矢印F1)を冷却し、熱交換用コア部の下部は、第2空気通路15を流れる空気(矢印F2)を冷却する。
【0036】
蒸発器12の空気流れ下流側(車両後方側)に、所定の間隔を開けてヒータコア13が配置されている。このヒータコア13は空調ケース11内の下方側において、車両上下方向に対して若干傾斜して配置されている。なお、図示しないが、ヒータコア13の車両左右方向の幅寸法は、空調ケース11の幅寸法と略同等に設計されている。
【0037】
ヒータコア13は、蒸発器12を通過した冷風を再加熱する加熱用熱交換器であって、高温のエンジン冷却水(熱交換媒体)が通過する複数本のチューブ(偏平チューブ)とこれに接合されたコルゲートフィンとからなる熱交換用コア部13aを有している。
【0038】
また、ヒータコア13は、複数本のチューブに対するエンジン冷却水の分配または集合を行うタンクとして、熱交換用コア部13aの上方側に配置された上方側タンク13bと、熱交換用コア部13aの下方側に配置された下方側タンク13cとを有している。
【0039】
ヒータコア13の熱交換用コア部13aは、仕切り板11aに設けられた貫通孔を貫通するように配置され、上部が第1空気通路14、下部が第2空気通路15に位置付けられている。このようなヒータコア13の配置を可能にするために、仕切り板11aは、蒸発器12とヒータコア13との間で下方側に屈曲している。
【0040】
これにより、熱交換用コア部13aの上部は、第1空気通路14を流れる空気(矢印F5)を加熱し、熱交換用コア部13aの下部は、第2空気通路15を流れる空気(矢印F6)を加熱する。
【0041】
第1空気通路14において、ヒータコア13の上方部位には、矢印F3のようにヒータコア13をバイパスして空気(冷風)が流れる第1冷風バイパス通路16が形成されている。
【0042】
第2空気通路15において、ヒータコア13の下方部位には、矢印F4のようにヒータコア13をバイパスして空気(冷風)が流れる第2冷風バイパス通路17が形成されている。
【0043】
空調ケース11内においてヒータコア13と蒸発器12との間の部位には、温度調整手段をなす第1、第2エアミックスドア18、19が配置されている。第1エアミックスドア18は、矢印F5のようにヒータコア13の熱交換用コア部13aの上部で加熱される温風と、矢印F3のように第1冷風バイパス通路16を通ってヒータコア13をバイパスする冷風との風量割合を調整する。
【0044】
ヒータコア13の熱交換用コア部13aの上部からの温風F5と第1冷風バイパス通路16からの冷風F3は第1空気混合部20において混合して所望温度の空気となる。
【0045】
第2エアミックスドア19は、矢印F6のようにヒータコア13の熱交換用コア部13aの下部で加熱される温風と、矢印F4のように第2冷風バイパス通路17を通ってヒータコア13をバイパスする冷風との風量割合を調整する。
【0046】
ヒータコア13の熱交換用コア部13aの下部からの温風F6と第2冷風バイパス通路17からの冷風F4は第2空気混合部21において混合して所望温度の空気となる。
【0047】
第1、第2エアミックスドア18、19は、ヒータコア13の前面に対して略平行にスライド移動するスライドドアで構成されている。図示を省略しているが、第1、第2エアミックスドア18、19は、板状のドア本体部とラックとが一体化された構成になっている。
【0048】
第1エアミックスドア18のラックは、第1シャフト40に形成されたピニオン(図示せず)と噛み合うようになっており、第1シャフト40を電動アクチュエータ(図示せず)で回転駆動することにより、第1シャフト40の回転運動が第1エアミックスドア18のスライド運動に変換され、第1エアミックスドア18のスライド位置が調整されるようになっている。
【0049】
同様に、第2エアミックスドア19のラックは、第2シャフト41に形成されたピニオン(図示せず)と噛み合うようになっており、第2シャフト41を電動アクチュエータ(図示せず)で回転駆動することにより、第2シャフト41の回転運動が第2エアミックスドア19のスライド運動に変換され、第2エアミックスドア19のスライド位置が調整されるようになっている。
【0050】
なお、第1、第2シャフト40、41は、車両左右方向(図1の紙面垂直方向)に延びて空調ケース11の側面に回転可能に支持されている。第1、第2シャフト40、41の一端部は、空調ケース11の側壁を貫通し、空調ケース11の外部にて電動アクチュエータ(図示せず)に連結されている。
【0051】
第1、第2エアミックスドア18、19は、空調ケース11に形成されたシール壁面(図示せず)に風圧によって押し付けられることで通路をシ−ルすることができるようになっている。
【0052】
第1エアミックスドア18の幅方向両端部(図1の紙面垂直方向における両端部)は、空調ケース11の側面に形成された第1ガイド溝11bに挿入されている。第2エアミックスドア19の幅方向両端部(図1の紙面垂直方向における両端部)も、空調ケース11の側面に形成された第2ガイド溝11cに挿入されている。
【0053】
第1、第2ガイド溝11b、11cはいずれも、空調ケース11の側面から空調ケース11の内方側に突出する一対の対向壁によって形成されている。
【0054】
第1ガイド溝11bは、ヒータコア13の空気流入面と略平行に、略上下方向に延びており、第1エアミックスドア18の作動方向(スライド移動方向)をヒータコア13の空気流入面と略平行に、略上下方向にガイドする。
【0055】
第2ガイド溝11cは、第1ガイド溝11bに比べて水平に近い方向に傾斜して延びており、第2エアミックスドア19の作動方向(スライド移動方向)を第1エアミックスドア18の作動方向(スライド移動方向)に比べて水平に近い寝た方向にガイドする。より具体的には、第2ガイド溝11cは、下端部が上端部よりも車両後方側(ヒータコア13側)に位置するように傾斜している。
【0056】
また、第2ガイド溝11cの下端部は、第1ガイド溝11bよりも車両後方側(ヒータコア13側)に位置している。
【0057】
さらに、第1ガイド溝11bの下端部は、第2ガイド溝11cの上端部よりも車両後方側(ヒータコア13側)かつ下方側に位置している。それに伴い、仕切り板11aは、第2ガイド溝11cの上端部から第1ガイド溝11bの下端部に向かうにつれて下方側に傾斜している。
【0058】
また、ヒータコア13は、第2ガイド溝11cの傾斜方向と同じ側に傾斜し、第2ガイド溝11cの直上に位置している。
【0059】
第1ガイド溝11bを構成する一対の対向壁のうち空気流れ上流側(車両前方側)の壁の下端部には切り欠き11dが設けられている。切り欠き11dは、第1ガイド溝11bに堆積した砂塵等を排出させるために設けられている。
【0060】
第2ガイド溝11cを構成する対向壁の下端部のうち空気流れ上流側(車両前方側)の壁の下端部にも、第2ガイド溝11cに堆積した砂塵等を排出させるための切り欠き11eが設けられている。
【0061】
仕切り板11aは、ヒータコア13の空気下流側(車両後方側)において上方側に屈曲している。これにより、ヒータコア13の直後から上方に向かう第1温風通路23が形成されている。この第1温風通路23の下流側(上方側)はヒータコア13の上方部において第1冷風バイパス通路16の下流側と合流し、冷風と温風の混合を行う第1空気混合部20を形成している。
【0062】
空調ケース11の上面部において、第1空気混合部20に隣接する部位にデフロスタ開口部24が開口している。このデフロスタ開口部24は第1空気混合部20から温度制御された空調空気が流入するものであって、図示しないデフロスタダクトを介してデフロスタ吹出口に接続され、このデフロスタ吹出口から、車両前面窓ガラスの内面に向けて風を吹き出す。
【0063】
空調ケース11の上面部において、デフロスタ開口部24よりも車両後方側(乗員寄り)の部位に前席フェイス開口部25が開口している。この前席フェイス開口部25は第1空気混合部20から温度制御された空調空気が流入するものであって、図示しないフェイスダクトを介して、計器盤上方側に配置されているフェイス吹出口に接続され、このフェイス吹出口から車室内前席の乗員頭部に向けて風を吹き出す。
【0064】
デフロスタ開口部24および前席フェイス開口部25はフェイスドア(開口部ドア)26により切替開閉される。このフェイスドア26は、空調ケース11の上面部近傍にて略水平方向にスライド移動するスライドドアにて構成されている。
【0065】
フェイスドア26は、板状のドア本体部とラックとが一体化された構成になっている。フェイスドア26のラックは、シャフト42に形成されたピニオン(図示せず)と噛み合うようになっており、シャフト42を図示しないアクチュエータ機構で回転駆動することによりフェイスドア26のスライド位置を調整するようになっている。
【0066】
なお、シャフト42は、車両左右方向(図1の紙面垂直方向)に延びて空調ケース11の側面に回転可能に支持されている。シャフト42の一端部は、空調ケース11の側壁を貫通し、空調ケース11の外部にて電動アクチュエータ(図示せず)に連結されている。
【0067】
フェイスドア26の幅方向両端部(図1の紙面垂直方向における両端部)は、空調ケース11の側面に形成されたガイド溝11fに挿入されている。ガイド溝11fは、空調ケース11の側面から突出する一対の対向壁によって形成されている。
【0068】
ガイド溝11fは、略水平方向に延びており、フェイスドア26の作動(スライド移動)を略水平方向にガイドする。
【0069】
フェイスドア26は、空調ケース11に形成されたシール壁面(図示せず)に風圧によって押し付けられることで通路をシ−ルすることができるようになっている。
【0070】
空調ケース11の車両後方部において、第2空気混合部21に隣接する部位に前席フット開口部29が開口している。この前席フット開口部29は、第2空気混合部21から温度制御された空調空気が流入するものであって、空調ケース11の左右両側の側面に開口しており、図示しない左右両側の前席用フット吹出口を経て前席の乗員足元に空気を吹き出す。
【0071】
空調ケース11の車両後方部には、前席フット開口部29を開閉する前席フットドア43が配置されている。この前席フットドア43は、車両左右方向に配置された回転軸により回動するようになっており、図示しない電動アクチュエータに連結されて、このアクチュエータ機構により回転操作されるようになっている。
【0072】
空調ケース11の車両後方部において、前席フット開口部29よりも下方側の部位に後席用開口部30が開口している。この後席用開口部30は第2空気混合部21から温度制御された空調空気が流入するものであって、ここから図示しない接続ダクトを経て図示しない後席用フェイス吹出口または図示しない後席用フット吹出口から後席乗員の頭部側または足元側へ吹出す。後席用開口部30は、図示しない後席用ドアによって開閉されるようになっている。
【0073】
仕切り板11aは、空調ケース11の車両後方側壁面まで延びて、第1、第2空気混合部20、21を仕切る役割をも果たしている。仕切り板11aの車両後方側端部には、第1、第2空気混合部20、21を連通するフェイスフット連通口31が形成されている。
【0074】
空調ケース11の車両後方部には、フェイスフット連通口31を開閉するフェイスフット連通口ドア32が配置されている。このフェイスフット連通口ドア32は、車両左右方向に配置された回転軸により回動するようになっており、図示しないアクチュエータ機構に連結されて、このアクチュエータ機構により回転操作されるようになっている。
【0075】
次に、本実施形態の車両用空調装置の電気制御部の概要を説明する。車両用空調装置は、図示しない空調制御装置(制御手段)により自動制御されるようになっている。
【0076】
この空調制御装置は所謂ECUであり、マイクロコンピュータ等から構成されるもので、前述の送風機ユニット(図示せず)および空調ユニット10に装備される各種空調機器を予め設定されたプログラムに従って制御するものである。なお、空調制御装置は、車両に搭載されたエンジンのイグニッションスイッチ(図示せず)がオンされたときに、車載バッテリー(図示せず)から電源が供給される。
【0077】
空調制御装置にはセンサ群(図示せず)からのセンサ信号、車室内前方の計器盤部に設置される空調用の操作パネル(図示せず)からの操作信号が入力される。
【0078】
センサ群としては、車室外温度(外気温)Tamを検出する外気温センサ、車室内温度(内気温)Trを検出する内気温センサ、車室内への日射量Tsを検出する日射センサ、蒸発器12の吹出空気温度TEを検出する蒸発器後温度センサ、ヒータコア13への温水温度Twを検出する水温センサ等が設けられている。
【0079】
図示を省略しているが、空調用操作パネルには、設定温度Tsetを設定する温度設定スイッチ、吹出モード設定スイッチ、内外気モード設定スイッチ、空調モード設定スイッチ等が設けられている。
【0080】
次に、空調制御装置により制御される各種空調機器の駆動手段として、前述の内外気切替ドア(図示せず)の駆動用モータ(図示せず)、送風ファン(図示せず)の駆動用モータ(図示せず)、ならびに第1、第2エアミックスドア18、19、フェイスドア26、フェイスフット連通口ドア32、前席フットドア43、後席用ドア(図示せず)の各種ドア用のアクチュエータ機構の駆動用モータ(図示せず)等が設けられている。
【0081】
次に、上記構成における本実施形態の作動を説明する。本実施形態の車両用空調装置では、車両作動状態において、操作パネルから車両用空調装置の作動信号が入力されると、空調制御装置が、予めその記憶回路に記憶されている空調制御プログラムを実行する。
【0082】
空調制御プログラムが実行されると、前述の空調用センサ群により検出された検出信号および操作パネルの操作信号が読込まれ、これらの信号に基づいて車室内吹出空気の目標吹出温度TAOが算出される。
【0083】
具体的には、目標吹出温度TAOは、下記数式F1により算出される。
【0084】
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C…(F1)
ここで、Tsetは操作パネルの温度設定スイッチによって設定された車室内設定温度、Trは内気温センサによって検出された内気温、Tamは外気温センサによって検出された外気温、Tsは日射センサによって検出される日射量、Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインおよびCは補正用の定数である。
【0085】
さらに、空調制御装置が目標吹出温度TAOに基づいて、送風機ユニットのファン駆動用モータ、空調ユニット10の各種電動アクチュエータ等の制御状態を決定し、決定した制御状態が得られるように各種アクチュエータに制御信号を出力する。そして、再び、検出信号および操作信号の読込み→目標吹出温度TAOの算出→新たな制御状態の決定→制御信号の出力といったルーチンを繰り返す。
【0086】
例えば、送風機ユニットのファン駆動用モータの制御状態については、目標吹出温度TAOに基づいて、予め記憶回路に記憶されている制御マップを参照して決定される。具体的には、目標吹出温度TAOの極低温域(最大冷房域)および極高温域(最大暖房域)で電動モータへ出力する制御電圧を最大として送風空気量を最大量付近に制御し、目標吹出温度TAOが中間温度域に近づくに伴って送風空気量を減少させる。
【0087】
第1、第2エアミックスドア18、19用の電動アクチュエータについては、第1、第2エアミックスドア18、19の開度が目標開度SWとなるように決定される。具体的には、目標開度SWは下記数式F3により算出される。
【0088】
SW=〔(TAO−Te)/(Tw−Te)〕×100(%)…(F3)
ここで、Teは蒸発器温度センサによって検出された蒸発器吹出空気温度、Twは水温センサによって検出されたエンジン冷却水温度である。
【0089】
なお、SW=100(%)は、第1、第2エアミックスドア18、19の最大暖房位置(MAXHOT)であり、図2(a)に示すように第1、第2冷風バイパス通路16、17側を全閉とし、ヒータコア13側を全開とする。
【0090】
また、SW=0(%)は、第1、第2エアミックスドア18、19の最大冷房位置(MAXCOOL)であり、図2(b)に示すように第1、第2冷風バイパス通路16、17側を全開とし、ヒータコア13側を全閉とする。
【0091】
なお、図2(a)では、第1エアミックスドア18と第2エアミックスドア19とを共通の駆動機構45、46で連動駆動する場合の例を示している。例えば、駆動機構45、46は、第1シャフト40、41に連結されたリンク機構45、およびリンク機構45を介して連結して第1、第2エアミックスドア18、19を駆動する電動アクチュエータ46で構成することができる。
【0092】
本例では、図2(a)に示すように、第1エアミックスドア18が上方側から下方側へ移動する際に第2エアミックスドア19が下方側から上方側へ移動するように、駆動機構45、46が第1、第2エアミックスドア18、19を連動駆動する。
【0093】
また、図2(b)に示すように、第1エアミックスドア18が下方側から上方側へ移動する際に第2エアミックスドア19が上方側から下方側へ移動するように、駆動機構45、46が第1、第2エアミックスドア18、19を連動駆動する。
【0094】
送風機ユニットの内外気切替ドア用の電動アクチュエータについては、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置に記憶された制御マップを参照して決定する。
【0095】
本実施形態では、基本的に外気を導入する外気モードが優先されるが、目標吹出温度TAOが極低温域となる最大冷房時には内気モードが選択され、目標吹出温度TAOが極高温域となる最大暖房時には内外気2層モードが選択される。
【0096】
吹出口モード切替手段用の電動アクチュエータについては、目標吹出温度TAOが低温域から高温域へと上昇するにつれて吹出口モードをフェイスモード→バイレベルモード→フットモードへと順次切替える。
【0097】
従って、フェイスモードは、主に目標吹出温度TAOが低温域となる夏季の冷房時に選択され、バイレベルモードは、主に目標吹出温度TAOが中温域となる春秋季の空調時に選択され、フットモードは、主に目標吹出温度TAOが低温域となる冬季の冷房時に選択されることになる。
【0098】
さらに、車室内湿度センサを設けて、この湿度センサの検出値から車両窓ガラスに曇りが発生する可能性が高い場合には、デフロスタモードを選択するようにしてもよい。
【0099】
内外気2層モードでは、第1空気通路14に外気が流れ、第2空気通路15に内気が流れるので、第2空気通路15内よりも第1空気通路14内の方が外気中に含まれる砂塵等の吸い込み量が多い。
【0100】
そのため、第1エアミックスドア18をガイドする第1ガイド溝11bの方が、第2エアミックスドア19をガイドする第2ガイド溝11cよりも砂塵等が溜まりやすくなる。
【0101】
そこで、本実施形態では、第1エアミックスドア18をガイドする第1ガイド溝11bが略上下方向(略鉛直方向)に延びるようにすることで、第1ガイド溝11bに溜まった砂塵等を重力を利用して切り欠き11fから排出しやすくしている。
【0102】
これに対し、第2エアミックスドア19をガイドする第2ガイド溝11cは、第1ガイド溝11bに比べて砂塵等が溜まりにくいので、第2ガイド溝11cを第1ガイド溝11bよりも水平に近い角度で延びるようにすることで、第2エアミックスドア19をスライド作動させる場合にドア自重の影響を受けることを抑制して操作力を低減している。
【0103】
したがって、本実施形態によると、操作力の低減と砂塵堆積の抑制との両立を図ることができる。
【0104】
さらに、第2エアミックスドア19の操作力が低減されることにより、第2エアミックスドア19の必要強度を低減することができ、薄肉化や小型化、リブ等補強構造の簡素化を図ることができ、材料費等コスト低減を図ることが可能となる。
【0105】
しかも、図2に示すように第1エアミックスドア18と第2エアミックスドア19とを共通の駆動機構45、46で連動駆動する場合、全体の操作力を低減できるという効果もある。
【0106】
このことを具体的に説明する。図3は比較例であり、第1エアミックスドア18および第2エアミックスドア19の作動方向がいずれも鉛直方向になっている場合を示している。図3(a)はMAXHOT(最大暖房位置)からMAXCOOL(最大冷房位置)へ向かうとき、図3(b)はMAXCOOLからMAXHOTへ向かうときを示している。
【0107】
2枚のエアミックスドア18、19はほぼ同じ体格であり作動方向もほぼ同じであるため自重はほぼ同じとなり、図3(a)のとき、および図3(b)のときのいずれにおいても、自重による操作力への影響はプラスマイナスゼロとなる。
【0108】
これに対し、本実施形態では、図2(a)、(b)に示すように第2エアミックスドア19の作動方向が第1エアミックスドア18の作動方向よりも水平方向に近づいているため、自重による操作力への影響は第2エアミックスドア19の方が第1エアミックスドア18よりも小さくなる。
【0109】
このため、図2(a)のようにMAXHOTからMACOOLへ向かうとき、2枚のエアミックスドア18、19の自重による操作力への影響の合計がマイナスとなり、操作力が低減される。
【0110】
ここで、静摩擦係数>動摩擦係数である。また、MAXHOT時の方がヒータコア13を通風する分、MAXCOOL時よりスライドドア前後の差圧は大きくなり、MAXHOTからMACOOLへ向かう時の起動時が最大操作力となる。
【0111】
このため、図2(a)のようにMAXHOTからMACOOLへ向かうときの操作力が低減されることで、全体の操作力を低減できる。
【0112】
また、本実施形態によると、ヒータコア13は、第1エアミックスドア18および第2エアミックスドア19に対して車両後方側(水平方向一方側)に配置され、第2エアミックスドア19のスライド移動方向は、スライド上端位置よりもスライド下端位置が車両後方側(ヒータコア13側)に位置するように傾斜し、第2エアミックスドア19のスライド下端位置は、第1エアミックスドア18のスライド移動範囲よりも車両後方側(ヒータコア13側)に位置し、ヒータコア13は、第2エアミックスドア19のスライド移動方向と同じ側に傾斜し、かつ少なくとも一部が第2エアミックスドア19のスライド移動範囲の直上に位置するように配置されているので、空調ユニット10の車両前後方向(水平方向)における体格を小型化できる。
【0113】
また、第1エアミックスドア18のスライド下端位置は、第2エアミックスドア19のスライド上端位置よりも車両後方側(ヒータコア13側)かつ下方側に位置しているので、空調ユニット10の上下方向における体格を小型化できる。
【0114】
また、第1シャフト40は、ヒータコア13の上方側タンク13bの近傍に配置され、第2シャフト41は、ヒータコア13の下方側タンク13cの近傍に配置されているので、ヒータコア13の熱交換コア部13aにおける空気の流通が第1シャフト40および第2シャフト41によって妨げられることを抑制できる。
【0115】
(他の実施形態)
なお、エアミックスドア18、19のドア本体部やガイド溝11d、11eの形状は、図1に示されているような平板状や直線状に限定されるものではなく、例えば風下側に凸状に膨出した円弧状であってもよい。
【0116】
また、エアミックスドア18、19のドア本体部は、剛体に限定されるものではなく、可撓性を有していても良い。
【符号の説明】
【0117】
11 ケース
13 ヒータコア(加熱用熱交換器)
14 第1空気通路
15 第2空気通路
18 第1エアミックスドア
19 第2エアミックスドア
40 第1シャフト
41 第2シャフト
45 リンク機構(駆動機構)
46 電動アクチュエータ(駆動機構)
13a 熱交換コア部
13b 上方側タンク
13c 下方側タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に向かって外気が流れる第1空気通路(14)、および車室内に向かって内気が流れる第2空気通路(15)を形成するケース(11)と、
前記第1空気通路(14)および前記第2空気通路(15)に配置され、前記第1空気通路(14)を流れる外気、および前記第2空気通路(15)を流れる内気を加熱する加熱用熱交換器(13)と、
前記第1空気通路(14)に配置され、前記加熱用熱交換器(13)を通過する外気と前記加熱用熱交換器(13)をバイパスして流れる外気との風量割合を調整する第1エアミックスドア(18)と、
前記第2空気通路(15)に配置され、前記加熱用熱交換器(13)を通過する内気と前記加熱用熱交換器(13)をバイパスして流れる内気との風量割合を調整する第2エアミックスドア(19)とを備え、
前記第1エアミックスドア(18)および前記第2エアミックスドア(19)はいずれも、板状のドア本体部が自重の影響を受ける方向にスライド移動するスライドドアであり、
前記第2エアミックスドア(19)のスライド移動方向は、前記第1エアミックスドア(18)のスライド移動方向に比べて水平に近い方向に傾斜していることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記第1エアミックスドア(18)が下方側へスライド移動する際に前記第2エアミックスドア(19)が上方側へスライド移動するように前記第1エアミックスドア(18)および前記第2エアミックスドア(19)を連動駆動する駆動機構(45、46)を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記第1空気通路(14)の下方側に前記第2空気通路(15)が配置され、
前記第1空気通路(14)において、前記加熱用熱交換器(13)の上方部位には、前記加熱用熱交換器(13)をバイパスして空気が流れる第1冷風バイパス通路(16)が形成され、
前記第2空気通路(15)において、前記加熱用熱交換器(13)の下方部位には、前記加熱用熱交換器(13)をバイパスして空気が流れる第2冷風バイパス通路(17)が形成され、
前記第1エアミックスドア(18)は、前記加熱用熱交換器(13)で加熱される空気と、前記第1冷風バイパス通路(16)を通って前記加熱用熱交換器(13)をバイパスする空気との風量割合を調整し、
前記第2エアミックスドア(19)は、前記加熱用熱交換器(13)で加熱される空気と、前記第2冷風バイパス通路(17)を通って前記加熱用熱交換器(13)をバイパスする空気との風量割合を調整することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記加熱用熱交換器(13)は、前記第1エアミックスドア(18)および前記第2エアミックスドア(19)に対して水平方向一方側に配置され、
前記第2エアミックスドア(19)のスライド移動方向は、スライド上端位置よりもスライド下端位置が前記水平方向一方側に位置するように傾斜し、
前記第2エアミックスドア(19)のスライド下端位置は、前記第1エアミックスドア(18)のスライド移動範囲よりも前記水平方向一方側に位置し、
前記加熱用熱交換器(13)は、前記第2エアミックスドア(19)のスライド移動方向と同じ側に傾斜し、かつ少なくとも一部が前記第2エアミックスドア(19)のスライド移動範囲の直上に位置するように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記第1エアミックスドア(18)のスライド下端位置は、前記第2エアミックスドア(19)のスライド上端位置よりも前記水平方向一方側かつ下方側に位置していることを特徴とする請求項3または4に記載の車両用空調装置。
【請求項6】
回転運動が可能な第1シャフト(40)および第2シャフト(41)を備え、
前記第1シャフト(40)の回転運動は、前記第1エアミックスドア(18)のスライド運動に変換されるようになっており、
前記第2シャフト(41)の回転運動は、前記第2エアミックスドア(19)のスライド運動に変換されるようになっており、
前記加熱用熱交換器(13)は、熱交換媒体が流れる複数本のチューブを含む熱交換コア部(13a)と、前記チューブに対する熱交換媒体の分配または集合を行うタンク(13b、13c)とを有し、
前記タンク(13b、13c)は、前記熱交換コア部(13a)の上方側に配置された上方側タンク(13b)、および前記熱交換コア部(13a)の下方側に配置された下方側タンク(13c)であり、
前記第1シャフト(40)は、前記上方側タンク(13b)の近傍に配置され、
前記第2シャフト(41)は、前記下方側タンク(13c)の近傍に配置されていることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1つに記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−14284(P2013−14284A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149862(P2011−149862)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】