車両用表示装置
【課題】車両の乗員が、障害物の種類、及び障害物と車両との間の距離を把握することを容易にする車両用表示装置を提供する。
【解決手段】車両の周囲撮影画像を取得する撮影手段と、周囲撮影画像を座標変換することにより、ミラー変換画像を生成する画像変換手段と、車両の全体画像を含む俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成手段と、ミラー変換画像と俯瞰画像とを同一の表示画面上に表示する表示手段とを備え、表示手段は、表示画面に予め設定された矩形の第1表示領域に車両の全体画像の車両前方が上を向くように俯瞰画像を表示し、矩形の第1表示領域の側方であって、かつ該矩形の側辺の下側に偏って設定された第2表示領域に、ミラー変換画像を表示する。
【解決手段】車両の周囲撮影画像を取得する撮影手段と、周囲撮影画像を座標変換することにより、ミラー変換画像を生成する画像変換手段と、車両の全体画像を含む俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成手段と、ミラー変換画像と俯瞰画像とを同一の表示画面上に表示する表示手段とを備え、表示手段は、表示画面に予め設定された矩形の第1表示領域に車両の全体画像の車両前方が上を向くように俯瞰画像を表示し、矩形の第1表示領域の側方であって、かつ該矩形の側辺の下側に偏って設定された第2表示領域に、ミラー変換画像を表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、その車両の周囲を撮影した画像を車両の乗員に視認させる車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両駐車時における運転支援のために、車両の前方、後方、左側方、及び右側方を複数台(例えば4台)の車載カメラで撮影し、さらに、各車載カメラで撮影した撮影画像を、車両の上方から見下ろした俯瞰画像に変換して繋ぎ合わせることにより、車両およびその周囲全体を俯瞰した1枚の俯瞰画像(以下、全体俯瞰画像という)を生成し、この全体俯瞰画像を表示する車両用表示装置が知られている。
【0003】
このような車両用表示装置において、隣り合う車載カメラで重複して撮影される撮影重複領域に車両の走行を妨げるような物体(以下、障害物という)が存在する場合に、この障害物が全体俯瞰画像に表示されなかったり、鮮明に表示されなかったりするという問題が指摘されている。
【0004】
このような問題を解決するために、全体俯瞰画像を表示している状態で障害物を検出したときには、各車載カメラで撮影した撮影画像を表示する状態に切り替える車両用表示装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−235529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の車両用表示装置において、各車載カメラで撮影した撮影画像が表示されたときに、この撮影画像を視認しただけでは、車両の乗員は、車両後方の障害物の種類や、障害物と車両との間の距離を把握しづらいという問題があった。全体俯瞰画像を生成するために撮影する車載カメラは、少ないカメラ個数で車両の周囲全体を撮影する必要があり、車載カメラによる撮影画像は、車両の乗員が障害物を直接視認する場合の像と大きく異なるからである。
【0007】
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、車両の乗員が、障害物の種類、及び障害物と車両との間の距離を把握することを容易にする車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の車両用表示装置では、車両に設置される車両用表示装置であって、車両の周囲における予め設定された所定撮影領域を繰り返し撮影し、周囲撮影画像を取得する撮影手段と、周囲撮影画像を座標変換することにより、車両内の所定の座席に座っている乗員の視点からミラー越しに車両の後方を見た画像を模したミラー変換画像を生成する画像変換手段と、周囲撮影画像を用いて、車両の上方の視点から車両を俯瞰した画像であって車両の全体画像を含む俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成手段と、ミラー変換画像と俯瞰画像とを同一の表示画面上に表示する表示手段とを備え、表示手段は、表示画面に予め設定された矩形の第1表示領域に車両の全体画像の車両前方が上を向くように俯瞰画像を表示し、矩形の第1表示領域の側方であって、かつ該矩形の側辺の下側に偏って設定された第2表示領域に、ミラー変換画像を表示することを特徴とする。
【0009】
このように構成された車両用表示装置によれば、車両の乗員が、障害物の種類、及び障害物と車両との間の距離を把握することが容易となる。
【0010】
また請求項1に記載の車両用表示装置において、請求項2に記載のように、表示手段が、車載用ミラーの枠を示すミラー枠画像を表示するとともに、ミラー枠画像が示す枠の内部にミラー変換画像を表示するようにしてもよい。
【0011】
このように構成された車両用表示装置では、ミラー変換画像の周囲に車載用ミラーの枠が表示されるので、ミラー変換画像が車載用ミラーに映っている画像に相当するものであるということを車両の乗員に容易に把握させることができる。
【0012】
また、請求項1または2に記載の車両用表示装置において、請求項3に記載のように、ミラー枠画像が透過しているようにミラー枠画像を表示するようにしてもよい。
【0013】
このように構成された車両用表示装置によれば、運転者ミラー像と、その周辺の領域を示す画像との境界部分の画像が、ミラー枠画像が示す枠に隠れて見えなくなるということがない。
【0014】
また請求項1ないし請求項3の何れかに記載の車両用表示装置において、請求項4に記載のように、表示手段が左右のミラー変換画像を同一表示画面上に表示するようにしてもよい。
【0015】
このように構成された車両用表示装置によれば、車両の乗員は、一つの表示画面を見れば、左右のミラー変換画像を同時に確認することができる。したがって車両の乗員は、視線を移動させる必要がなくなり、車両後方の確認作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】車両用表示システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】周辺画像表示処理の前半部分を示すフローチャートである。
【図3】周辺画像表示処理の後半部分を示すフローチャートである。
【図4】第1,2,3の参考表示態様を示す図である。
【図5】第4,5,6の参考表示態様を示す図である。
【図6】第7,8,9の参考表示態様を示す図である。
【図7】表示装置の表示態様を示す図である。
【図8】第10の参考表示態様を示す図である。
【図9】第1参考例の車両用表示システム1の構成を示すブロック図である。
【図10】第1参考例の周辺画像表示処理を示すフローチャートである。
【図11】接近判定方法を示す図である。
【図12】第1参考例の表示態様を示す図である。
【図13】第2参考例の車両用表示システム1の構成を示すブロック図である。
【図14】第2参考例の周辺画像表示処理を示すフローチャートである。
【図15】縦列駐車からの発進状況を示す図である。
【図16】別の参考例の表示態様を示す図である。
【図17】別の参考例の表示態様を示す図である。
【図18】車両の移動範囲MRを示す図である。
【図19】駐車時に移動体が車両後方から接近する状況を示す図である。
【図20】別の参考例の表示態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下に本発明の第1実施形態を図面とともに説明する。
【0018】
図1は、本実施形態の車両用表示システム1の構成を示すブロック図である。
【0019】
車両用表示システム1は、車両に搭載され、図1に示すように、車両の周辺を連続して撮影する車載カメラ2と、車両の状態を検出する複数のセンサからなるセンサ群3と、車載カメラ2による撮影画像とセンサ群3による検出結果とに基づいて画像処理を行う画像処理装置4と、画像処理装置4により処理された画像を表示する表示装置5とを備えている。
【0020】
そして車載カメラ2は、前方カメラ11、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から構成されている。前方カメラ11は、車両の前端部(本実施形態ではフロントバンパー)に設置されており、車両の前方の状況を撮影する。また後方カメラ12は、車両の後端部(本実施形態ではリアバンパー)に設置されており、車両の後方の状況を撮影する。また左側方カメラ13は、車両の左端部(本実施形態では車両左側のサイドミラー)に設置されており、車両の左側方の状況を撮影する。また右側方カメラ14は、車両の右端部(本実施形態では車両右側のサイドミラー)に設置されており、車両の右側方の状況を撮影する。
【0021】
さらにセンサ群3は、シフトレバー位置センサ21と、ミラー角度センサ22とから構成されている。シフトレバー位置センサ21は、車両のシフトレバーの位置を検出する。またミラー角度センサ22は、車両左側のサイドミラー(以下、左サイドミラーという)、車両右側のサイドミラー(以下、右サイドミラーという)、及び車室内のバックミラーの傾斜角度を検出する。
【0022】
画像処理装置4は、カメラインタフェース(以下、カメラI/Fという)31と、車両インタフェース(以下、車両I/Fという)32と、表示インタフェース(以下、表示I/Fという)33と、記憶部34と、操作部35と、制御部36と、これらを結ぶバス37とを備える。
【0023】
カメラI/F31は、前方カメラ11、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から撮影画像を入力するためのインタフェースである。
【0024】
車両I/F32は、各種センサ21,22から信号を入力するためのインタフェースである。なお、センサ21〜23からの信号は、直接入力されてもよく、また、車両に搭載されている各種ECU(電子制御装置)等を介して入力されてもよい。
【0025】
表示I/F33は、画像処理装置4により画像処理された画像データを表示装置5へ出力するためのインタフェースである。
【0026】
記憶部34は、不揮発性記憶媒体(本実施形態ではハードディスク)に各種情報を記憶する。この記憶部34には、視点変換マップデータベース41が記憶されている。
【0027】
そして視点変換マップデータベース41には、複数種類の視点変換マップが記憶されている。ここで、視点変換マップとは、車載カメラ2の撮影画像を座標変換することにより撮影時の視点とは異なる視点から見た変換画像を生成するためのマップである。本実施形態では、車両の上方の視点から見た変換画像を生成するための視点変換マップM1、運転席に着座している乗員(以下、運転者という)からの視点で左サイドミラーを見た変換画像を生成するための視点変換マップM2、運転者からの視点で右サイドミラーを見た変換画像を生成するための視点変換マップM3と、運転者からの視点でバックミラーを見た変換画像を生成するための視点変換マップM4、後方カメラ12の撮影画像を左右逆に座標変換した変換画像を生成するための視点変換マップM5、及び車両の前方の斜め上の視点から車両を見た変換画像を生成するための視点変換マップM6が記憶されている。
【0028】
操作部35は、車両の乗員からの外部操作による指令を入力するものであり、外部操作用の複数のキー等を備えている。
【0029】
制御部36は、CPU51、ROM52、及びRAM53等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されている。ここでROM52には、後述する周辺画像表示処理をCPU51に実行させるためのプログラムが記憶されている。
【0030】
このように構成された車両用表示システム1において、制御部36のCPU51は、車両周辺の画像を表示する周辺画像表示処理を実行する。
【0031】
ここで、車両用表示システム1のCPU51が実行する周辺画像表示処理の手順を、図2,3を用いて説明する。図2は周辺画像表示処理の前半部分を示すフローチャート、図3は周辺画像表示処理の後半部分を示すフローチャートである。この周辺画像表示処理は、制御部36のCPU51が起動(電源オン)している間に繰り返し実行される処理である。
【0032】
この周辺画像表示処理が実行されると、CPU51は、まずS10にて、表示装置5の表示態様を設定するための操作(以下、表示態様設定操作という)が、操作部35を介して行われたか否かを判断する。
【0033】
本実施形態では、上記の表示態様は、図7が示す表示態様と、図4〜6、図8が示す参考表示態様の合計11種類設けられており、車両の乗員が操作部35を介して表示態様設定操作を行うことにより、表示態様を選択できるように構成されている。
【0034】
まず第1の参考表示態様は、図4(a)に示すように、車両の上方の視点から車両とその周辺を見た画像(以下、トップビュー画像という)TV01と、運転者からの視点で左サイドミラーを見た画像(以下、左サイドミラー画像という)LM01と、運転者からの視点で右サイドミラーを見た画像(以下、右サイドミラー画像という)RM01とを表示する態様である。この第1の表示態様では、表示画面の中央部にトップビュー画像TV01、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM01、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM01が配置される。また、左サイドミラー画像LM01及び右サイドミラー画像RM01は、その表示領域が略矩形状に形成されている。
【0035】
また第2の参考表示態様は、図4(b)に示すように、トップビュー画像TV02と左サイドミラー画像LM02と右サイドミラー画像RM02とを表示する態様である。この第2の表示態様では、表示画面の中央部にトップビュー画像TV02、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM02、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM02が配置される。また、左サイドミラー画像LM02及び右サイドミラー画像RM02は、その表示領域が略矩形状に形成されている。さらにトップビュー画像TV02上では、左サイドミラー画像LM02(右サイドミラー画像RM02)で映っている車両周辺領域の範囲を示す表示RDL(RDR)が追加されている(図中の点線で囲われた領域を参照)。
【0036】
また第3の参考表示態様は、図4(c)に示すように、トップビュー画像TV03と左サイドミラー画像LM03と右サイドミラー画像RM03とを表示する態様である。この第3の表示態様では、表示画面の中央部にトップビュー画像TV03、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM03、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM03が配置される。また、左サイドミラー画像LM03(右サイドミラー画像RM03)は、車両用表示システム1が搭載されている車両のサイドミラーと同じ形状の枠を示すミラー枠画像FL03(FR03)と、ミラー枠画像FL03(FR03)の内部に表示された変換画像TL03(TR03)とから構成される。
【0037】
また第4の参考表示態様は、図5(a)に示すように、車両用表示システム1が搭載されている車両の全体像を示す車両全体画像CA04と、左サイドミラー画像LM04と右サイドミラー画像RM04とを表示する態様である。この第4の表示態様では、表示画面の中央部に車両全体画像CA04、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM04、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM04が配置される。また、左サイドミラー画像LM04(右サイドミラー画像RM04)は、車両用表示システム1が搭載されている車両のサイドミラーと同じ形状の枠を示すミラー枠画像FL04(FR04)と、ミラー枠画像FL04(FR04)の内部に表示された変換画像TL04(TR04)とから構成される。
【0038】
また第5の参考表示態様は、図5(b)に示すように、車両全体画像CA05と左サイドミラー画像LM05と右サイドミラー画像RM05と、運転者からの視点で車室内のバックミラーを見た画像(以下、バックミラー画像という)BM05とを表示する態様である。この第5の表示態様では、表示画面の中央部に車両全体画像CA05、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM05、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM05、表示画面の上側にバックミラー画像BM05が配置される。また、左サイドミラー画像LM05(右サイドミラー画像RM05)は、車両用表示システム1が搭載されている車両のサイドミラーと同じ形状の枠を示すミラー枠画像FL05(FR05)と、ミラー枠画像FL05(FR05)の内部に表示された変換画像TL05(TR05)とから構成される。さらにバックミラー画像BM05は、車両用表示システム1が搭載されている車両のバックミラーと同じ形状の枠を示すミラー枠画像FB05と、ミラー枠画像FB05の内部に表示された変換画像TB05とから構成される。
【0039】
また第6の参考表示態様は、図5(c)に示すように、トップビュー画像TV06と左サイドミラー画像LM06と右サイドミラー画像RM06とバックミラー画像BM06とを表示する態様である。この第6の表示態様では、表示画面の中央部にトップビュー画像TV06、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM06、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM06、表示画面の上側にバックミラー画像BM06が配置される。また、左サイドミラー画像LM06及び右サイドミラー画像RM06は、その表示領域が略矩形状に形成されている。さらにバックミラー画像BM06は、車両用表示システム1が搭載されている車両のバックミラーと同じ形状の枠を示すミラー枠画像FB06と、ミラー枠画像FB06の内部に表示された変換画像TB06とから構成される。
【0040】
また第7の参考表示態様は、図6(a)に示すように、トップビュー画像TV07と左サイドミラー画像LM07と右サイドミラー画像RM07とバックミラー画像BM07とを表示する態様である。この第7の表示態様では、表示画面の中央部にトップビュー画像TV07、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM07、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM07、表示画面の下側にバックミラー画像BM07が配置される。また、左サイドミラー画像LM07、右サイドミラー画像RM07、及びバックミラー画像BM07は、その表示領域が略矩形状に形成されている。
【0041】
また第8の参考表示態様は、図6(b)に示すように、後方カメラ12の撮影画像を左右逆に座標変換した画像(以下、後方左右逆変換画像という)RV08と、左サイドミラー画像LM08と右サイドミラー画像RM08とを表示する態様である。この第8の表示態様では、表示画面の中央部に後方左右逆変換画像RV08、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM08、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM08が配置される。また、左サイドミラー画像LM08、及び右サイドミラー画像RM08は、その表示領域が略矩形状に形成されている。
【0042】
また第9の参考表示態様は、図6(c)に示すように、車両の前方の斜め上の視点から車両を見た画像(以下、トップリアビュー画像という)TR09と、左サイドミラー画像LM09と右サイドミラー画像RM09とを表示する態様である。この第9の表示態様では、表示画面の中央部にトップリアビュー画像TR09、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM09、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM09が配置される。また、左サイドミラー画像LM09、及び右サイドミラー画像RM09は、その表示領域が略矩形状に形成されている。
【0043】
ここで、本実施形態における表示態様は、図7に示すように、トップビュー画像TV10と左サイドミラー画像LM10と右サイドミラー画像RM10とを表示する態様である。この第10の表示態様では、表示画面の中央部にトップビュー画像TV10、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM10、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM10が配置される。また左サイドミラー画像LM10(右サイドミラー画像RM10)は、運転者が左サイドミラー(右サイドミラー)を介して見る視点で左側方カメラ13(右側方カメラ14)の撮影画像を座標変換した変換画像(以下、サイドミラー視点変換画像という)TL10(TR10)と、車両用表示システム1が搭載されている車両のサイドミラーと同じ形状の枠が変換画像に対して透過しているように表わしたミラー枠画像FL10(FR10)とから構成される。すなわち、サイドミラー視点変換画像TL10(TR10)のうち、ミラー枠画像FL10(FR10)の枠内の画像が、運転者がサイドミラーを介して視認する景色に相当する。
【0044】
また第10の参考表示態様は、図8(a)〜(c)に示すように、3段階で表示を変化させる態様である。すなわち、まず図8(a)に示すように、表示画面の中央部にトップビュー画像TV11のみを表示する。そして予め設定された表示開始条件が成立すると、図8(b)に示すように、トップビュー画像TV11と、左サイドミラー画像LM11及び右サイドミラー画像RM11とを表示する。その後、予め設定された表示開始時間(例えば、5秒)が経過すると、図8(c)に示すように、左サイドミラー画像LM11及び右サイドミラー画像RM11の代わりに、サイドミラー視点変換画像TL11及びTR11を表示する。
【0045】
そして図2に示すように、S10にて、表示態様設定操作が行われていないと判断した場合には(S10:NO)、S30に移行する。一方、表示態様設定操作が行われたと判断した場合には(S10:YES)、S20にて、表示態様設定操作により指示された表示態様に応じた表示設定を行い、S30に移行する。例えば、表示態様設定操作が第1の表示態様を指示するものである場合には、第1の表示態様で表示するように設定する。
【0046】
そしてS30に移行すると、シフトレバー位置センサ21からの信号に基づき、シフトレバーの位置がリバース「R」であるか否かを判断する。ここで、シフトレバーの位置がリバース「R」でない場合には(S30:NO)、S160に移行する。一方、シフトレバーの位置がリバース「R」である場合には(S30:YES)、S40にて、S20で設定された表示態様がトップビュー画像を表示するものであるか否かを判断する。つまり、図7の表示態様、第1,2,3,6,7,10の参考表示態様が設定されているか否かを判断する。
【0047】
ここで、表示態様がトップビュー画像を表示するものである場合には(S40:YES)、S50にて、前方カメラ11、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から撮影画像を取得する。
【0048】
そしてS60にて、S50で取得した撮影画像を用いてトップビュー画像を生成する。具体的には、まず、前方カメラ11、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から取得した4つの撮影画像をそれぞれ、視点変換マップデータベース41に記憶されている視点変換マップM1を用いて座標変換する。その後、座標変換処理が行われた4つの変換画像について、これら4つの変換画像の重複部分を繋ぎ合わせる合成処理を行う。これにより、車両およびその周囲全体を俯瞰した1枚のトップビュー画像が生成される。さらにS70にて、S60で生成されたトップビュー画像を、S20で設定した表示態様で表示装置5に表示させ、S160に移行する。
【0049】
またS40にて、表示態様がトップビュー画像を表示するものでない場合には(S40:NO)、S80にて、表示態様が後方左右逆変換画像を表示するものであるか否かを判断する。つまり、第8の表示態様が設定されているか否かを判断する。ここで、表示態様が後方左右逆変換画像を表示するものである場合には(S80:YES)、S90にて、後方カメラ12から撮影画像を取得する。
【0050】
そしてS100にて、S90で取得した撮影画像を用いて後方左右逆変換画像を生成する。具体的には、後方カメラ12から取得した撮影画像を、視点変換マップデータベース41に記憶されている視点変換マップM5を用いて座標変換する。これにより、1枚の後方左右逆変換画像が生成される。さらにS110にて、S100で生成された後方左右逆変換画像を、S20で設定した表示態様で表示装置5に表示させ、S160に移行する。
【0051】
またS80にて、表示態様が後方左右逆変換画像を表示するものでない場合には(S80:NO)、S120にて、表示態様がトップリアビュー画像を表示するものであるか否かを判断する。つまり、第9の表示態様が設定されているか否かを判断する。ここで、表示態様がトップリアビュー画像を表示するものである場合には(S120:YES)、S130にて、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から撮影画像を取得する。
【0052】
そしてS140にて、S130で取得した撮影画像を用いてトップリアビュー画像を生成する。具体的には、まず、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から取得した3つの撮影画像をそれぞれ、視点変換マップデータベース41に記憶されている視点変換マップM6を用いて座標変換する。その後、座標変換処理が行われた3つの変換画像について、これら3つの変換画像の重複部分を繋ぎ合わせる合成処理を行う。これにより、トップリアビュー画像が生成される。さらにS150にて、S140で生成されたトップリアビュー画像を、S20で設定した表示態様で表示装置5に表示させ、S160に移行する。
【0053】
またS120にて、表示態様がトップリアビュー画像を表示するものでない場合には(S120:NO)、S160に移行する。
【0054】
そしてS160に移行すると、図3に示すように、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から撮影画像を取得する。その後S170にて、S160で取得した撮影画像を用いて、運転者からの視点で左サイドミラーを見た変換画像(以下、左サイドミラー変換画像という)、運転者からの視点で右サイドミラーを見た変換画像(以下、右サイドミラー変換画像という)、及び運転者からの視点でバックミラーを見た変換画像(以下、バックミラー変換画像という)を生成する。具体的には、左側方カメラ13、右側方カメラ14、及び後方カメラ12から取得した3つの撮影画像をそれぞれ、視点変換マップデータベース41に記憶されている視点変換マップM2、視点変換マップM3、及び視点変換マップM4と、ミラー角度センサ22の検出結果とに基づいて、座標変換する。したがって、左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーの傾斜角度の変化に連動して、それぞれ左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像、及びバックミラー変換画像が変化する。
【0055】
その後S180にて、S20で設定した表示態様に応じて、S170で生成された左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像、及びバックミラー変換画像を加工する。例えば、第5の表示態様に設定されている場合には、左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像、及びバックミラー変換画像に対してそれぞれ、ミラー枠画像FL05、ミラー枠画像FR05、及びミラー枠画像FB05を追加する加工を行い、左サイドミラー画像LM05、右サイドミラー画像RM05、及びバックミラー画像BM05を生成する。
【0056】
そしてS190にて、S180で生成された画像を表示装置5に表示させ、周辺画像表示処理を一旦終了する。なおS190では、第4,5の表示態様の場合に、車両全体画像CA04,CA05を追加して表示する。
【0057】
このように構成された車両用表示システム1では、まず、車両の後方、左側方、及び右側方を後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14で繰り返し撮影し、撮影した画像(以下、周囲撮影画像という)を取得する(S160)。そして、運転席に着座している乗員(運転者)の視点から、左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーを見たときに運転者により視認される左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーの映像を示す左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像、及びバックミラー変換画像を、取得した周囲撮影画像を座標変換することにより生成する(S170)。その後に、左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像、及びバックミラー変換画像を表示する(S190)。なお以下、左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーをまとめて車載用ミラーともいう。また、左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像、及びバックミラー変換画像をまとめてミラー変換画像ともいう。
【0058】
このように構成された車両用表示システム1によれば、運転者の視点から車載用ミラーを見たときの車載用ミラーの画像を表示することができる。なお、運転者は通常、車載用ミラーに映る画像により車両後方の障害物を確認するため、運転者は、車載用ミラーに映る画像を見ることにより、車両後方の障害物の種類、及び障害物と車両との間の距離などを把握する。つまり、車両用表示システム1は、運転者が、車載用ミラーを視認することなく、車両後方の障害物の種類、及び障害物と車両との間の距離を把握することを容易にすることができる。
【0059】
また図7の表示態様、第3,4,5,10の参考表示態様では、車載用ミラーの枠を示す画像(ミラー枠画像)を表示するとともに、ミラー枠画像の内部にミラー変換画像を表示する。すなわち、ミラー変換画像の周囲に車載用ミラーの枠が表示されるので、ミラー変換画像が車載用ミラーに映っている画像に相当するものであるということを車両の乗員に容易に把握させることができる。
【0060】
また図7の表示態様、第3,4,5の参考表示態様では、ミラー枠画像が、車載用ミラーの枠と同じ枠を示す画像である。このため、ミラー変換画像が車載用ミラーに映っている画像に相当するものであるということを車両の乗員に更に容易に把握させることができる。
【0061】
また図7の表示態様では、運転者の視点から、左サイドミラー(右サイドミラー)を見たときに運転者により視認される左サイドミラー(右サイドミラー)の映像(以下、運転者ミラー像)を示す画像と、この画像の周囲に配置されて運転者ミラー像に対応した撮影領域の周辺の領域を示す画像とから構成され、左サイドミラー変換画像(右サイドミラー変換画像)のうち、運転者ミラー像に相当する部分を、ミラー枠画像が示す枠の内部に表示するとともに、ミラー枠画像が示す枠が左サイドミラー変換画像(右サイドミラー変換画像)に対して透過しているようにミラー枠画像を表示する。このため、運転者の視点から車載用ミラーを見たときの車載用ミラーの画像(運転者ミラー像)と、その周辺の領域の画像が表示されるので、運転者が、車載用ミラーを視認する場合よりも広い領域を確認することができる。さらに、ミラー枠画像が示す枠がミラー変換画像に対して透過している。このため、運転者ミラー像と、その周辺の領域を示す画像との境界部分の画像が、ミラー枠画像が示す枠に隠れて見えなくなるということがない。
【0062】
また、車両には左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーが取り付けられており、左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーそれぞれに対応する複数の運転者ミラー像について、これら複数の運転者ミラー像それぞれを示す複数のミラー変換画像を同一表示画面上に表示する。このため、車両の乗員は、一つの表示画面を見れば、左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーそれぞれに対応する画像を同時に確認することができる。したがって車両の乗員は、複数の車載用ミラーに映る画像を確認するために、或る車載用ミラーから他の車載用ミラーに視線を移動させる必要がなくなり、車両後方の確認作業を容易に行うことができる。
【0063】
また第5,6の参考表示態様では、左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーの互いの位置関係に合うように、同一表示画面上において、左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像、及びバックミラー変換画像を配置する。このため、同一表示画面上に表示されている複数のミラー変換画像のそれぞれが、車両に取り付けられた複数の車載用ミラーのうちの何れに対応するものであるかを、車両の乗員に容易に把握させることができる。
【0064】
また第2の参考表示態様では、左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像に映っている領域が、車両の周囲の何処に対応する領域であるかを示す表示RDL,RDRを行う。このため、左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像に映っている領域を、車両の乗員に容易に把握させることができる。
【0065】
また、車載用ミラーはその傾斜角度を調整可能に構成されており、ミラー角度センサ22が車載用ミラーの傾斜角度を検出する。そして、ミラー角度センサ22により検出された角度に応じた座標変換を行うことにより、ミラー変換画像を生成する(S170)。このため、車載用ミラーの傾斜角度の変化に連動して、その傾斜角度にある車載用ミラーを運転者の視点から見た画像を表示することができる。
【0066】
また第8の参考表示態様では、後方カメラ12により撮影された画像を、ミラー変換画像と同一の表示画面上に表示する(S90,S110)。このため車両の乗員は、一つの表示画面を見れば、車載用ミラーに対応する画像と、後方カメラ12により撮影された画像とを同時に確認することができる。
【0067】
また第8の参考表示態様では、後方カメラ12により撮影された画像と左右が逆になった画像を生成し(S100)、この画像をミラー変換画像と同一の表示画面上に表示する(S110)。このため、後方カメラ12により撮影された画像を表示すると、その表示された画像は車両の乗員に対して左右が一致した画像となる。
【0068】
また図7の表示態様、第1,2,3,6,7,10の参考表示態様では、車載カメラ2により撮影された撮影画像を用いて、車両およびその周囲全体を俯瞰したトップビュー画像を生成し、このトップビュー画像を、ミラー変換画像と同一の表示画面上に表示する。このため、車両の乗員は、一つの表示画面を見れば、車載用ミラーに対応する画像とトップビュー画像とを同時に確認することができる。
【0069】
以上説明した実施形態において、車両用表示システム1は本発明における車両用表示装置、車載カメラ2とS50,S90,S130の処理は本発明における撮影手段、S170の処理は本発明における画像変換手段、左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーは本発明における車載用ミラー、S70,S110,S190の処理は本発明における表示手段、ミラー角度センサ22は本発明におけるミラー角度検出手段、S100の処理は本発明における左右逆画像生成手段、S60の処理は本発明における俯瞰画像生成手段である。
【0070】
また、車両の前方、後方、左側方、及び右側方は本発明における所定撮影領域、運転者は本発明における所定座席乗員である。
【0071】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
【0072】
例えば上記実施形態においては、運転者からの視点でミラーを見た画像を表示するものを示したが、運転席以外の座席に座る乗員からの視点でミラーを見た画像を表示するようにしてもよい。
【0073】
(第1参考例)
以下に第1参考例を説明する。なお、第1参考例では、上記実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0074】
第1参考例の車両用表示システム1は、車両用表示システム1の構成と周辺画像表示処理が変更された点以外は第1実施形態と同じである。
【0075】
図9は、第1参考例の車両用表示システム1の構成を示すブロック図である。
【0076】
第1参考例の車両用表示システム1は、図9に示すように、検出波としての超音波を発信しその反射波を受信することにより物体の存在および距離を検出するクリアランスソナー23がセンサ群3に追加された点以外は第1実施形態と同じである。
【0077】
次に、第1参考例の周辺画像表示処理の手順を、図10を用いて説明する。図10は第1参考例の周辺画像表示処理を示すフローチャートである。
【0078】
この周辺画像表示処理が実行されると、CPU51は、まずS310にて、サイドミラー画像の表示範囲を設定するための操作(以下、表示範囲設定操作という)が、操作部35を介して行われたか否かを判断する。ここで、表示範囲設定操作が行われていないと判断した場合には(S310:NO)、S330に移行する。一方、表示範囲設定操作が行われたと判断した場合には(S10:YES)、S320にて、表示範囲設定操作により指示された表示範囲に応じた表示設定を行い、S330に移行する。
【0079】
そしてS330に移行すると、左サイドミラーと右サイドミラーの傾斜角度を設定するための操作(以下、傾斜角度設定操作という)が、操作部35を介して行われたか否かを判断する。ここで、傾斜角度設定操作が行われていないと判断した場合には(S330:NO)、S350に移行する。一方、傾斜角度設定操作が行われたと判断した場合には(S330:YES)、S340にて、傾斜角度設定操作により指示された傾斜角度に応じた表示設定を行い、S350に移行する。
【0080】
そしてS350に移行すると、シフトレバー位置センサ21からの信号に基づき、シフトレバーの位置がリバース「R」であるか否かを判断する。ここで、シフトレバーの位置がリバース「R」でない場合には(S350:NO)、周辺画像表示処理を一旦終了する。一方、シフトレバーの位置がリバース「R」である場合には(S350:YES)、S360にて、前方カメラ11、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から撮影画像を取得する。
【0081】
そしてS370にて、S360で取得した撮影画像を用いてトップビュー画像を生成する。具体的には、まず、前方カメラ11、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から取得した4つの撮影画像をそれぞれ、視点変換マップデータベース41に記憶されている視点変換マップM1を用いて座標変換する。その後、座標変換処理が行われた4つの変換画像について、これら4つの変換画像の重複部分を繋ぎ合わせる合成処理を行う。これにより、車両およびその周囲全体を俯瞰した1枚のトップビュー画像が生成される。さらにS380にて、S370で生成されたトップビュー画像を、表示装置5に表示させる。
【0082】
その後S390にて、クリアランスソナー23の検出結果に基づいて、物体が車両に接近しているか否かと、その接近の危険度を判定する。
【0083】
具体的には、まず物体が移動体である場合には、図11(a)に示すように、移動体が車両に近付く速度Vmと、車両と移動体との間の距離Lmとに基づいて、移動体が車両に到達するまでに要する時間(以下、到達時間という)を算出し、この算出時間に応じて、「緊急」、「危険」、「注意」、及び「安全」の4種類の危険度を設定している。すなわち、到達時間が第1判定時間T1(例えば1秒)未満である場合には「緊急」と判定し、到達時間が第1判定時間T1より長い第2判定時間T2(例えば3秒)未満である場合には「危険」と判定し、到達時間が第2判定時間T2より長い第3判定時間T3(例えば5秒)未満である場合には「注意」と判定する。また、到達時間が第3判定時間T3以上であるか、移動体が遠ざかっている場合には、「安全」と判定する。
【0084】
また、物体が固定物である場合には、図11(b)に示すように、車両と固定物との間の距離Lmに応じて、「緊急」、「危険」、「注意」、及び「安全」の4種類の危険度を設定している。すなわち、固定物が近付いており且つ距離Lmが第1判定距離L1(例えば、1m)未満である場合には「緊急」と判定し、距離Lmが第1判定距離L1より長い第2判定距離L2(例えば3m)未満である場合には「危険」と判定し、距離Lmが第2判定距離L2より長い第3判定距離L3(例えば5m)未満である場合には「注意」と判定する。また、距離Lmが第3判定距離L3以上であるか、固定物が遠ざかっている場合には、「安全」と判定する。
【0085】
そしてS400にて、S390で「安全」と判定されたか否かを判断する。ここで、「安全」と判定された場合には(S400:YES)、周辺画像表示処理を一旦終了する。
【0086】
一方、「安全」と判定されなかった場合には(S400:NO)、S410にて、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から撮影画像を取得する。その後S420にて、S410で取得した撮影画像を用いて、運転者からの視点で左サイドミラーを見た変換画像(以下、左サイドミラー変換画像という)、及び運転者からの視点で右サイドミラーを見た変換画像(以下、右サイドミラー変換画像という)を生成する。具体的には、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から取得した2つの撮影画像をそれぞれ、視点変換マップデータベース41に記憶されている視点変換マップM2、及び視点変換マップM3と、S340で設定された傾斜角度とに基づいて、座標変換する。したがって、S340で設定された傾斜角度の変化に連動して、それぞれ左サイドミラー変換画像、及び右サイドミラー変換画像が変化する。
【0087】
その後S430にて、S320で設定された表示範囲と、S390で判定した危険度とに応じて、図12に示すように、S420で生成された左サイドミラー変換画像、及び右サイドミラー変換画像を加工する。
【0088】
具体的には、まず、S320で設定された表示範囲に応じて、S420で生成された左サイドミラー変換画像、及び右サイドミラー変換画像を切り取り、ミラー枠画像内に嵌め込む加工を行う。すなわち、S340で設定された表示範囲によっては、ミラー変換画像の表示範囲は、サイドミラーに実際に映っている範囲と異なる。その後、S390で「注意」と判定された場合には、図12(a)に示すように、トップビュー画像TVGの横にサイドミラー画像SMG01が表示されるように加工する(図では右サイドミラーの画像のみを示す)。このサイドミラー画像SMG01は、サイドミラーの枠を示すミラー枠画像MFG01と、ミラー枠画像MFG01の内部に表示されたミラー変換画像MTG01と、接近している物体を示す物体指示画像OPG01と、接近している物体の移動方向を示す方向指示画像DPG01とから構成される。なお、物体指示画像OPG01と方向指示画像DPG01はミラー変換画像MTG01上に表示される。
【0089】
また、S390で「注意」と判定された場合には、図12(b)に示すように、トップビュー画像TVGの横にサイドミラー画像SMG02が表示されるように加工する。このサイドミラー画像SMG02は、ミラー枠画像MFG02とミラー変換画像MTG02と物体指示画像OPG02と方向指示画像DPG02とから構成される。なおサイドミラー画像SMG02は、ミラー枠画像MFG01よりも、濃い色で且つ大きく表示される。さらに、物体指示画像OPG02と方向指示画像DPG02は、ミラー変換画像MTG02上において、物体指示画像OPG01と方向指示画像DPG01より大きく表示される。
【0090】
また、S390で「緊急」と判定された場合には、図12(c)に示すように、トップビュー画像TVGの横にサイドミラー画像SMG03が表示されるように加工する。このサイドミラー画像SMG03は、ミラー枠画像MFG03とミラー変換画像MTG03と物体指示画像OPG03と方向指示画像DPG03とから構成される。なおサイドミラー画像SMG03は、ミラー枠画像MFG02よりも大きく表示される。さらに、物体指示画像OPG03と方向指示画像DPG03は、ミラー変換画像MTG03上において、物体指示画像OPG02と方向指示画像DPG02より大きく表示される。また、物体指示画像OPG01,02と方向指示画像DPG01,02が平面表示であるのに対して、物体指示画像OPG03と方向指示画像DPG03は、立体表示である。
【0091】
そしてS430の処理が終了すると、S440にて、S430で生成された画像を表示装置5に表示させ、周辺画像表示処理を一旦終了する。
【0092】
このように構成された車両用表示システム1では、サイドミラー画像の表示範囲を設定するための操作(表示範囲設定操作)が行われると、表示範囲設定操作により指示された表示範囲に応じた表示設定を行う(S310,S320)。このため、車両の乗員の操作により、ミラー変換画像の表示範囲を変更することを可能にする。
【0093】
また、左サイドミラーと右サイドミラーの傾斜角度を設定するための操作(傾斜角度設定操作)が行われると、傾斜角度設定操作により指示された傾斜角度に応じた表示設定を行う(S330,S340)。そして、左サイドミラーと右サイドミラーの傾斜角度が設定された傾斜角度であると仮定した場合に運転者により視認される左サイドミラーと右サイドミラーの映像を、左側方カメラ13および右側方カメラ14から取得した撮影画像を座標変換することにより生成する(S420)。このため、左サイドミラーと右サイドミラーの傾斜角度が設定された傾斜角度であると仮定した場合に運転者により視認される車載用ミラーの映像について、上記設定される傾斜角度を、車両の乗員の操作により変更することを可能にする。
【0094】
また、クリアランスソナー23により車両に接近する物体を検出し(S390)、車両に接近する物体を検出したときにミラー変換画像を表示する(S400,S440)。このため、車両に物体が接近すると自動的にミラー変換画像が表示されるので、ミラー変換画像が表示されることにより、車両の乗員に、車両に物体が接近していることを知らせることができる。
【0095】
以上説明した参考例において、S420の処理は本参考例における画像変換手段、S440の処理は本参考例における表示手段、S310,S320の処理は本参考例における第1設定手段、S330,S340の処理は本参考例における第2設定手段、クリアランスソナー23とS390の処理は本参考例における接近検出手段、表示範囲設定操作は本参考例における第1外部操作、傾斜角度設定操作は本参考例における第2外部操作である。
【0096】
(第2参考例)
以下に第2参考例を説明する。なお、第2参考例では、第1参考例と異なる部分のみを説明する。
【0097】
第2参考例の車両用表示システム1は、車両用表示システム1の構成と周辺画像表示処理が変更された点以外は第2実施形態と同じである。
【0098】
図13は、第2参考例の車両用表示システム1の構成を示すブロック図である。
【0099】
第2参考例の車両用表示システム1は、図13に示すように、車両の走行速度を検出する車速センサ24と、車両のウインカーのオン・オフを検出するウインカーセンサ25がセンサ群3に追加された点以外は第1参考例と同じである。
【0100】
次に、第2参考例の周辺画像表示処理の手順を、図14を用いて説明する。図14は第2参考例の周辺画像表示処理を示すフローチャートである。
【0101】
この周辺画像表示処理が実行されると、CPU51は、まずS510にて、車速センサ24の検出結果に基づいて、車両用表示システム1が搭載されている車両が停止しているか否かを判断する。ここで、車両が停止していない場合には(S510:NO)、周辺画像表示処理を一旦終了する。一方、車両が停止している場合には(S510:YES)、S520にて、シフトレバー位置センサ21からの信号に基づき、シフトレバーの位置がドライブ「D」であるか否かを判断する。
【0102】
ここで、シフトレバーの位置がドライブ「D」でない場合には(S520:NO)、周辺画像表示処理を一旦終了する。一方、シフトレバーの位置がドライブ「D」である場合には(S520:YES)、S530にて、前方カメラ11、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から撮影画像を取得する。
【0103】
そしてS540にて、S530で取得した撮影画像を用いてトップビュー画像を生成する。さらにS550にて、S540で生成されたトップビュー画像を、表示装置5に表示させる。
【0104】
その後S560にて、S390と同様にして、クリアランスソナー23の検出結果に基づき、物体が車両に接近しているか否かと、その接近の危険度を判定する。そしてS570にて、S560で「安全」と判定されたか否かを判断する。ここで、「安全」と判定された場合には(S570:YES)、S580にて、ウインカーセンサ25の検出結果に基づき、ウインカーがオンであるか否かを判断する。
【0105】
ここで、ウインカーがオフである場合には(S580:NO)、周辺画像表示処理を一旦終了する。一方、ウインカーがオンである場合には(S580:YES)、S590に移行する。またS570にて、S560で「安全」と判定されなかった場合には(S570:NO)、S590に移行する。
【0106】
そしてS590に移行すると、左側方カメラ13及び右側方カメラ14から撮影画像を取得する。その後S600にて、S590で取得した撮影画像を用いて、左サイドミラー変換画像と右サイドミラー変換画像を生成する。
【0107】
さらにS610にて、S430と同様にして、S560で判定した危険度に応じて、S600で生成された左サイドミラー変換画像、及び右サイドミラー変換画像を加工する。そしてS620にて、S610で生成された画像を表示装置5に表示させ、周辺画像表示処理を一旦終了する。
【0108】
このように構成された車両用表示システム1では、車速センサ24が車両の走行速度を検出し、シフトレバー位置センサ21が車両のシフトレバーの位置を検出し、ウインカーセンサ25が車両のウインカーのオン・オフを検出する。そして、車速センサ24、シフトレバー位置センサ21、及びウインカーセンサ25の検出結果に基づき、車両が停止し、且つシフトレバーの位置がドライブ「D」であり、且つウインカーがオンである場合に、ミラー変換画像を表示する(S510,S520,S580,S620)。このため、例えば図15に示すように、車両停止状態から車道に進入しながら発進するという、後方確認が必要な状況において、車載用ミラーを見たときの画像を、車両の乗員の操作や指示によらず自動的に表示させることができる。
【0109】
以上説明した参考例において、S600の処理は本参考例における画像変換手段、S620の処理は本参考例における表示手段、車速センサ24は本参考例における車速検出手段、シフトレバー位置センサ21は本参考例におけるシフト位置検出手段、ウインカーセンサ25は本参考例におけるウインカー検出手段である。
【0110】
また、図16〜20は別の参考例を説明するための図である。
【0111】
図16のサイドミラー画像SMG11で示すように、道路の消失点VPまで表示することにより、遠くの障害物を確実に表示するようにしてもよい。また、移動体の接近速度に応じてハイライト色を変えたり、モーションブラー表示のような、移動速度を強調する表示を行ったりするようにしてもよい。
【0112】
また、車両が移動してもサイドミラーの背景を固定して表示するようにしてもよい。これにより、物体の移動速度を利用者に直感的に把握させることができる。また、物体の位置を運転者に把握し易くするために、距離等の補助情報をサイドミラー画像SMG11に追加してもよい。
【0113】
また、図16のバックミラー画像BMG11で示すように、接近する移動体が映っている領域まで、表示範囲を拡大するようにしてもよい。バックミラー画像BMG11では、表示領域の右側から移動体が接近しているため(矢印Y11を参照)、バックミラー画像BMG11の右側の表示領域を延ばしている。
【0114】
また、図16のバックミラー画像BMG11で示すように、駐車の目安となる物体があるときは、この物体を運転者が認識し易くするために、立体的な強調表示を行ったり、バックミラー画像BMG11からはみ出させたりするようにしてもよい(表示物体OB11を参照)。なお、上記の立体的な強調表示については、普段の撮影画像から形状を3次元座標として取り込み、表面の材質等も画像をテクスチャとして貼り付けて、仮想現実(VR)イメージとして記録し、車両の移動位置に応じて、運転者が確実に駐車の目安として利用できるように表示してもよい。これにより、夜間や雨天でも、晴天時の目安となる物体が明確に表示されるため、運転者は安全に車両を駐車させることができる。
【0115】
また、図16のトップビュー画像TVG11で示すように、ポールなどの固定物が設定距離以内に近付いた場合に、トップビュー画像にこの固定物を見やすく表示するようにしてもよい(ポール表示PD11を参照)。
【0116】
また上記参考例では、シフトレバーの位置がリバース「R」で物体が接近しているときに、例えば図17(a)に示すように、トップビュー画像TVG21、左サイドミラー画像SMG21、及び右サイドミラー画像SMG22を表示するものを示した。しかし、車両の左側後方(右側後方)から物体が接近しているときに、図17(b)に示すように、トップビュー画像TVG22および左サイドミラー画像SMG23を表示するとともに左サイドミラー画像SMG23を拡大表示するようにしてもよい。また、車両の右側後方から物体が接近しているときに、図17(c)に示すように、トップビュー画像TVG23および右サイドミラー画像SMG24を表示するとともに右サイドミラー画像SMG24を拡大表示するようにしてもよい。
【0117】
また上記の例では、図11に示すように、移動体が車両に到達するまでに要する時間(到達時間)と、車両と固定物との間の距離とに基づいて、危険度を設定するものを示した。しかし、接近する物体の方向に応じて距離を変更して危険度を設定するようにしてもよい。また、相対速度や車両の移動方向に応じて危険度を設定するようにしてもよい。また、車両の進行方向に対する物体の角度に応じて危険度を設定するようにしてもよい。
【0118】
なお、上記の危険度を、以下の基準に基づいて設定するようにしてもよい。すなわち、車両の移動範囲MR(後述)内に物体が既に入っている場合には「緊急」、移動範囲MRに物体が入りそうである場合には「危険」、移動範囲MRに物体が近付いている場合には「注意」、移動範囲MRに物体が近付いていない場合には「安全」と設定するようにしてもよい。ここで移動範囲MRは、図18に示すように、停車位置SPから指定駐車位置PPまで移動する際、駐車移動速度を例えば0.5m/秒として、どの時刻に車両がどの移動空間範囲に存在するか否かを計算して求める。
【0119】
なお、運転者の運転技量に応じて、駐車移動速度を変えて移動範囲MRを求めるようにしてもよい。例えば、熟練の運転者は、駐車時の車両移動速度が大きく短時間で駐車できる場合があるため、駐車移動速度を大きくして移動範囲MRを求めるようにするとよい。また駐車移動速度に応じて、サイドミラー画像の表示による注意・危険の報知タイミングを変更できるようにすると、報知タイミングの遅れが低減され、報知による運転者の煩わしさが軽減される。
【0120】
また、固定物の接近判定については、設定された大きさ以上の物体を対象とするようにしてもよい。また、運転者が普段から駐車の目安としている固定物がある場合には、その固定物が移動範囲MR内に存在しない場合であっても、表示するようにしてもよい。このために、利用回数の多い駐車場では、駐車の目安となる物体を利用者が指定できるようにするとよい。例えば、駐車枠、輪止め、側方の壁などが表示された画像データを使って設定できるようにしてもよい。
【0121】
また、車両を駐車させようとしているときに、物体が車両に接触しそうであることを検出すると、接触しそうな側のサイドミラー画像(例えば、歩行者が車両の左側に接触しそうな場合には左サイドミラー画像)におけるミラー枠の形状の拡大表示と縮小表示と、音声報知(例えば、クラックが入るような音)を行い、乗員に危急状況であることを知らせるようにしてもよい。また、ミラー枠の形状の拡大表示と縮小表示と同時に、エンジン制御またはブレーキ制御装置に緊急停止のための処理を行わせて、車両に物体が接触したときに、車両を停止状態に近い状態にするようにしてもよい。
【0122】
また、サイドミラーに物体が接触したときに、サイドミラーが閉じるような動画を表示し、側方の障害物との接触を報知するようにしてもよい。
【0123】
また、駐車完了後にドアを開けると側方の固定物または移動体に接触する可能性がある場合に、サイドミラーがドアに変化する画像を表示して、接触の注意を促すようにしてもよい。また、車両後方も同様にして、トランクのドアが接触しそうな場合には、トランクドアの接触の注意を促す表示を、バックミラー画像の代わりにサイドミラー画像に追加するようにしてもよい。
【0124】
また図19に示すように、車両を90度回転させながら後退させて駐車区画に駐車する際に自動車、自転車、歩行者などが車両後方から接近する状況では、これらの接近物体は、運転者の視野から見づらく且つサイドミラー及びバックミラーでは見えない。このため、車載ミラーでは見えない範囲に位置する物体が接近する場合に、車載カメラ2による撮影画像を用いてサイドミラー画像やバックミラー画像を生成し、表示装置5に表示させるようにしてもよい。これにより、運転者に危険を知らせることができる。
【0125】
例えば、駐車区画PKAへの駐車を開始する前に停止するための位置P1に車両が位置しているときに、車両後方の車道、歩道の左側から移動体が接近していることが検知されると、左サイドミラー画像を表示するとともに、検知した物体の位置および速度に応じて対象物体を左サイドミラー画像上に強調表示するようにしてもよい。
【0126】
また、駐車区画PKAへ駐車するために車両を旋回させる位置P2に車両が位置しているときに、移動体が移動する道路(背景)がほぼ固定されて見えるようにサイドミラー画像を表示するようにしてもよい。すなわち、車両の旋回によっても、その影響を受けない画像を表示する。これにより、どの道路および歩道に障害物や歩行者がいて、それが近付くか遠ざかるかという接近位置判定が容易になる。このためには、車載カメラ2による撮影画像を回転補正するか、以前に駐車した位置であればそのときに記録した道路画像を固定画像として用い、これに、検出した障害物、歩行者、及び移動体を重ね合わせて表示するようにしてもよい。さらに、駐車区画PKAに対し、どの範囲に車両が入っているかを画像やソナー等で判定し、運転の修正が必要な場合に、サイドミラー画像を表示させる(例えば、接触する方向のサイドミラーを人の耳に見立てる)注意表示を行うようにしてもよい。
【0127】
また、駐車区画PKAに進入するために車両を後退させて歩道等を横切るときに、歩道に歩行者や自転車が通過しそう、または通過中であれば、移動体の接近を示す表示をサイドミラー画像に追加するようにしてもよい。また、駐車区画PKAを歩行者等が通過しようとする場合に、歩行者が近付く方向のサイドミラー画像(例えば、歩行者が車両の左側から近付いている場合には左サイドミラー画像)に、歩行者の位置と距離を示す表示を追加するようにしてもよい。また、衝突の危険がある場合には、衝突を報知するための警報を出すようにしてもよい。
【0128】
また、駐車区画PKA内に車両が収容される位置P3に車両が位置しているときに、その車両の後方に輪止めがある場合には、輪止めに接触することを報知するようにしてもよい。また、輪止めがあっても後方の区画の車両と接触する可能性がある場合に、後方の車両との距離を案内するようにしてもよい。
【0129】
また、駐車区画PKA内で車両が停止したときに、車両のドアの開閉機構(スライドドアであるか否か)に応じて、自車駐車区画の左右の駐車区画の車両との距離を計測し、ドアを開けるときの注意表示をサイドミラー画像に追加するようにしてもよい。また、車両の乗員に対して、ドアを開けるときの注意を音声案内するようにしてもよい。
【0130】
また上記の例では、物体の存在および距離を検出するためにクリアランスソナー23を用いたが、画像やレーザを用いて検出するようにしてもよい。
【0131】
また図20に示すように、サイドミラー画像に、車両のボディの一部が映っているようにするとよい(図中の点線で囲っている領域BR01,02を参照)。これにより、サイドミラー画像が、サイドミラーに映っている像を示しているということを車両の乗員に直感的に理解させることができる。
【0132】
また、車両の乗員は通常、車載用ミラーに映る画像により車両後方の障害物を確認するため、車両の乗員は、車載用ミラーに映る画像を見ることにより、車両後方の障害物の種類、及び障害物と車両との間の距離などを把握する。つまり、上記の車両用表示装置は、車両の乗員が、車載用ミラーを視認することなく、車両後方の障害物の種類、及び障害物と車両との間の距離を把握することを容易にする。
【0133】
また、上記の車両用表示装置において、ミラー変換画像が、所定乗員ミラー像を示す画像と、この画像の周囲に配置されて所定乗員ミラー像に対応した撮影領域の周辺の領域を示す画像とから構成され、表示手段が、ミラー変換画像のうち、所定乗員ミラー像に相当する部分を、ミラー枠画像が示す枠の内部に表示するとともに、ミラー枠画像が示す枠がミラー変換画像に対して透過しているようにミラー枠画像を表示するようにしてもよい。このように構成された車両用表示装置では、所定座席乗員の視点から車載用ミラーを見たときの車載用ミラーの画像(所定乗員ミラー像)と、その周辺の領域の画像が表示されるので、車両の乗員が、車載用ミラーを視認する場合よりも広い領域を確認することができる。さらに、ミラー枠画像が示す枠がミラー変換画像に対して透過している。このため、所定乗員ミラー像と、その周辺の領域を示す画像との境界部分の画像が、ミラー枠画像が示す枠に隠れて見えなくなるということがない。
【0134】
また第1設定手段が、予め設定された第1外部操作に基づいて、ミラー変換画像の表示範囲を設定するようにしてもよい。このように構成された車両用表示装置によれば、車両の乗員の操作により、ミラー変換画像の表示範囲を変更することを可能にする。
【0135】
また画像変換手段は、車載用ミラーの傾斜角度が予め設定された所定傾斜角度であると仮定した場合に所定座席乗員により視認される車載用ミラーの映像を、撮影手段により取得された周囲撮影画像を座標変換することにより生成するように構成され、第2設定手段が、予め設定された第2外部操作に基づいて、所定傾斜角度を設定するようにしてもよい。このように構成された車両用表示装置によれば、車載用ミラーの傾斜角度が所定傾斜角度であると仮定した場合に所定座席乗員により視認される車載用ミラーの映像について、上記所定傾斜角度を、車両の乗員の操作により変更することを可能にする。
【0136】
また車載用ミラーは、その傾斜角度を調整可能に構成されており、ミラー角度検出手段が、車載用ミラーの傾斜角度であるミラー角度を検出し、画像変換手段が、ミラー角度検出手段により検出されたミラー角度に応じた座標変換を行うことにより、ミラー変換画像を生成するようにしてもよい。このように構成された車両用表示装置によれば、車載用ミラーの傾斜角度(ミラー角度)の変化に連動して、その傾斜角度にある車載用ミラーを所定座席乗員の視点から見た画像を表示することができる。
【0137】
また表示手段が、撮影手段により取得された周囲撮影画像を、ミラー変換画像と同一の表示画面上に表示するようにしてもよい。このように構成された車両用表示装置によれば、車両の乗員は、一つの表示画面を見れば、車載用ミラーに対応する画像と周囲撮影画像とを同時に確認することができる。
【0138】
ところで、周囲撮影画像が、車両の後方を撮影したものである場合には、撮影手段により取得された周囲撮影画像をそのまま表示すると、その表示された画像は車両の乗員に対して左右逆の画像となる。なぜならば、撮影手段は車両の後方を撮影しているために、車両の前方を向いている車両乗員の右側(左側)に位置しているものが周囲撮影画像ではその左側(右側)に配置されるからである。そこで、周囲撮影画像が車両の後方を撮影したものである場合には、請求項12に記載のように、左右逆画像生成手段が、撮影手段により取得された周囲撮影画像と左右が逆になった画像である左右逆画像を生成し、表示手段が、左右逆画像生成手段により生成された左右逆画像を、ミラー変換画像と同一の表示画面上に表示するようにするとよい。このように構成された車両用表示装置によれば、撮影手段により取得された画像を表示すると、その表示された画像は車両の乗員に対して左右が一致した画像となる。
【0139】
また俯瞰画像生成手段が、撮影手段により取得された周囲撮影画像を用いて、車両の上方の視点から車両を俯瞰した俯瞰画像を生成し、表示手段が、俯瞰画像生成手段により生成された俯瞰画像を、ミラー変換画像と同一の表示画面上に表示するようにしてもよい。このように構成された車両用表示装置によれば、車両の乗員は、一つの表示画面を見れば、車載用ミラーに対応する画像と俯瞰画像とを同時に確認することができる。
【0140】
また接近検出手段が、車両に接近する物体である車両接近物体を検出し、表示手段が、接近検出手段が車両接近物体を検出したときに、ミラー変換画像を表示するようにしてもよい。このように構成された車両用表示装置では、車両に物体が接近すると自動的にミラー変換画像が表示されるので、ミラー変換画像が表示されることにより、車両の乗員に、車両に物体が接近していることを知らせることができる。
【0141】
また車速検出手段が車両の移動速度を検出し、シフト位置検出手段が車両の変速機のシフト位置を検出し、ウインカー検出手段が車両のウインカーの点灯を検出し、表示手段が、車速検出手段、シフト位置検出手段、及びウインカー検出手段の検出結果に基づき、車両が停止し、且つシフト位置が車両の前進可能な位置であり、且つウインカーが点灯している場合に、ミラー変換画像を表示するようにしてもよい。このように構成された車両用表示装置によれば、車両停止状態から車道に進入しながら発進するという、後方確認が必要な状況において、車載用ミラーを見たときの画像を、車両の乗員の操作や指示によらず自動的に表示させることができる。
【符号の説明】
【0142】
1…車両用表示システム、2…車載カメラ、3…センサ群、4…画像処理装置、5…表示装置、11…前方カメラ、12…後方カメラ、13…左側方カメラ、14…右側方カメラ、21…シフトレバー位置センサ、22…ミラー角度センサ、23…クリアランスソナー、24…車速センサ、25…ウインカーセンサ、31…カメラI/F、32…車両I/F、33…表示I/F、34…記憶部、35…操作部、36…制御部、37…バス、41…視点変換マップデータベース、51…CPU、52…ROM、53…RAM
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、その車両の周囲を撮影した画像を車両の乗員に視認させる車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両駐車時における運転支援のために、車両の前方、後方、左側方、及び右側方を複数台(例えば4台)の車載カメラで撮影し、さらに、各車載カメラで撮影した撮影画像を、車両の上方から見下ろした俯瞰画像に変換して繋ぎ合わせることにより、車両およびその周囲全体を俯瞰した1枚の俯瞰画像(以下、全体俯瞰画像という)を生成し、この全体俯瞰画像を表示する車両用表示装置が知られている。
【0003】
このような車両用表示装置において、隣り合う車載カメラで重複して撮影される撮影重複領域に車両の走行を妨げるような物体(以下、障害物という)が存在する場合に、この障害物が全体俯瞰画像に表示されなかったり、鮮明に表示されなかったりするという問題が指摘されている。
【0004】
このような問題を解決するために、全体俯瞰画像を表示している状態で障害物を検出したときには、各車載カメラで撮影した撮影画像を表示する状態に切り替える車両用表示装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−235529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の車両用表示装置において、各車載カメラで撮影した撮影画像が表示されたときに、この撮影画像を視認しただけでは、車両の乗員は、車両後方の障害物の種類や、障害物と車両との間の距離を把握しづらいという問題があった。全体俯瞰画像を生成するために撮影する車載カメラは、少ないカメラ個数で車両の周囲全体を撮影する必要があり、車載カメラによる撮影画像は、車両の乗員が障害物を直接視認する場合の像と大きく異なるからである。
【0007】
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、車両の乗員が、障害物の種類、及び障害物と車両との間の距離を把握することを容易にする車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の車両用表示装置では、車両に設置される車両用表示装置であって、車両の周囲における予め設定された所定撮影領域を繰り返し撮影し、周囲撮影画像を取得する撮影手段と、周囲撮影画像を座標変換することにより、車両内の所定の座席に座っている乗員の視点からミラー越しに車両の後方を見た画像を模したミラー変換画像を生成する画像変換手段と、周囲撮影画像を用いて、車両の上方の視点から車両を俯瞰した画像であって車両の全体画像を含む俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成手段と、ミラー変換画像と俯瞰画像とを同一の表示画面上に表示する表示手段とを備え、表示手段は、表示画面に予め設定された矩形の第1表示領域に車両の全体画像の車両前方が上を向くように俯瞰画像を表示し、矩形の第1表示領域の側方であって、かつ該矩形の側辺の下側に偏って設定された第2表示領域に、ミラー変換画像を表示することを特徴とする。
【0009】
このように構成された車両用表示装置によれば、車両の乗員が、障害物の種類、及び障害物と車両との間の距離を把握することが容易となる。
【0010】
また請求項1に記載の車両用表示装置において、請求項2に記載のように、表示手段が、車載用ミラーの枠を示すミラー枠画像を表示するとともに、ミラー枠画像が示す枠の内部にミラー変換画像を表示するようにしてもよい。
【0011】
このように構成された車両用表示装置では、ミラー変換画像の周囲に車載用ミラーの枠が表示されるので、ミラー変換画像が車載用ミラーに映っている画像に相当するものであるということを車両の乗員に容易に把握させることができる。
【0012】
また、請求項1または2に記載の車両用表示装置において、請求項3に記載のように、ミラー枠画像が透過しているようにミラー枠画像を表示するようにしてもよい。
【0013】
このように構成された車両用表示装置によれば、運転者ミラー像と、その周辺の領域を示す画像との境界部分の画像が、ミラー枠画像が示す枠に隠れて見えなくなるということがない。
【0014】
また請求項1ないし請求項3の何れかに記載の車両用表示装置において、請求項4に記載のように、表示手段が左右のミラー変換画像を同一表示画面上に表示するようにしてもよい。
【0015】
このように構成された車両用表示装置によれば、車両の乗員は、一つの表示画面を見れば、左右のミラー変換画像を同時に確認することができる。したがって車両の乗員は、視線を移動させる必要がなくなり、車両後方の確認作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】車両用表示システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】周辺画像表示処理の前半部分を示すフローチャートである。
【図3】周辺画像表示処理の後半部分を示すフローチャートである。
【図4】第1,2,3の参考表示態様を示す図である。
【図5】第4,5,6の参考表示態様を示す図である。
【図6】第7,8,9の参考表示態様を示す図である。
【図7】表示装置の表示態様を示す図である。
【図8】第10の参考表示態様を示す図である。
【図9】第1参考例の車両用表示システム1の構成を示すブロック図である。
【図10】第1参考例の周辺画像表示処理を示すフローチャートである。
【図11】接近判定方法を示す図である。
【図12】第1参考例の表示態様を示す図である。
【図13】第2参考例の車両用表示システム1の構成を示すブロック図である。
【図14】第2参考例の周辺画像表示処理を示すフローチャートである。
【図15】縦列駐車からの発進状況を示す図である。
【図16】別の参考例の表示態様を示す図である。
【図17】別の参考例の表示態様を示す図である。
【図18】車両の移動範囲MRを示す図である。
【図19】駐車時に移動体が車両後方から接近する状況を示す図である。
【図20】別の参考例の表示態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下に本発明の第1実施形態を図面とともに説明する。
【0018】
図1は、本実施形態の車両用表示システム1の構成を示すブロック図である。
【0019】
車両用表示システム1は、車両に搭載され、図1に示すように、車両の周辺を連続して撮影する車載カメラ2と、車両の状態を検出する複数のセンサからなるセンサ群3と、車載カメラ2による撮影画像とセンサ群3による検出結果とに基づいて画像処理を行う画像処理装置4と、画像処理装置4により処理された画像を表示する表示装置5とを備えている。
【0020】
そして車載カメラ2は、前方カメラ11、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から構成されている。前方カメラ11は、車両の前端部(本実施形態ではフロントバンパー)に設置されており、車両の前方の状況を撮影する。また後方カメラ12は、車両の後端部(本実施形態ではリアバンパー)に設置されており、車両の後方の状況を撮影する。また左側方カメラ13は、車両の左端部(本実施形態では車両左側のサイドミラー)に設置されており、車両の左側方の状況を撮影する。また右側方カメラ14は、車両の右端部(本実施形態では車両右側のサイドミラー)に設置されており、車両の右側方の状況を撮影する。
【0021】
さらにセンサ群3は、シフトレバー位置センサ21と、ミラー角度センサ22とから構成されている。シフトレバー位置センサ21は、車両のシフトレバーの位置を検出する。またミラー角度センサ22は、車両左側のサイドミラー(以下、左サイドミラーという)、車両右側のサイドミラー(以下、右サイドミラーという)、及び車室内のバックミラーの傾斜角度を検出する。
【0022】
画像処理装置4は、カメラインタフェース(以下、カメラI/Fという)31と、車両インタフェース(以下、車両I/Fという)32と、表示インタフェース(以下、表示I/Fという)33と、記憶部34と、操作部35と、制御部36と、これらを結ぶバス37とを備える。
【0023】
カメラI/F31は、前方カメラ11、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から撮影画像を入力するためのインタフェースである。
【0024】
車両I/F32は、各種センサ21,22から信号を入力するためのインタフェースである。なお、センサ21〜23からの信号は、直接入力されてもよく、また、車両に搭載されている各種ECU(電子制御装置)等を介して入力されてもよい。
【0025】
表示I/F33は、画像処理装置4により画像処理された画像データを表示装置5へ出力するためのインタフェースである。
【0026】
記憶部34は、不揮発性記憶媒体(本実施形態ではハードディスク)に各種情報を記憶する。この記憶部34には、視点変換マップデータベース41が記憶されている。
【0027】
そして視点変換マップデータベース41には、複数種類の視点変換マップが記憶されている。ここで、視点変換マップとは、車載カメラ2の撮影画像を座標変換することにより撮影時の視点とは異なる視点から見た変換画像を生成するためのマップである。本実施形態では、車両の上方の視点から見た変換画像を生成するための視点変換マップM1、運転席に着座している乗員(以下、運転者という)からの視点で左サイドミラーを見た変換画像を生成するための視点変換マップM2、運転者からの視点で右サイドミラーを見た変換画像を生成するための視点変換マップM3と、運転者からの視点でバックミラーを見た変換画像を生成するための視点変換マップM4、後方カメラ12の撮影画像を左右逆に座標変換した変換画像を生成するための視点変換マップM5、及び車両の前方の斜め上の視点から車両を見た変換画像を生成するための視点変換マップM6が記憶されている。
【0028】
操作部35は、車両の乗員からの外部操作による指令を入力するものであり、外部操作用の複数のキー等を備えている。
【0029】
制御部36は、CPU51、ROM52、及びRAM53等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されている。ここでROM52には、後述する周辺画像表示処理をCPU51に実行させるためのプログラムが記憶されている。
【0030】
このように構成された車両用表示システム1において、制御部36のCPU51は、車両周辺の画像を表示する周辺画像表示処理を実行する。
【0031】
ここで、車両用表示システム1のCPU51が実行する周辺画像表示処理の手順を、図2,3を用いて説明する。図2は周辺画像表示処理の前半部分を示すフローチャート、図3は周辺画像表示処理の後半部分を示すフローチャートである。この周辺画像表示処理は、制御部36のCPU51が起動(電源オン)している間に繰り返し実行される処理である。
【0032】
この周辺画像表示処理が実行されると、CPU51は、まずS10にて、表示装置5の表示態様を設定するための操作(以下、表示態様設定操作という)が、操作部35を介して行われたか否かを判断する。
【0033】
本実施形態では、上記の表示態様は、図7が示す表示態様と、図4〜6、図8が示す参考表示態様の合計11種類設けられており、車両の乗員が操作部35を介して表示態様設定操作を行うことにより、表示態様を選択できるように構成されている。
【0034】
まず第1の参考表示態様は、図4(a)に示すように、車両の上方の視点から車両とその周辺を見た画像(以下、トップビュー画像という)TV01と、運転者からの視点で左サイドミラーを見た画像(以下、左サイドミラー画像という)LM01と、運転者からの視点で右サイドミラーを見た画像(以下、右サイドミラー画像という)RM01とを表示する態様である。この第1の表示態様では、表示画面の中央部にトップビュー画像TV01、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM01、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM01が配置される。また、左サイドミラー画像LM01及び右サイドミラー画像RM01は、その表示領域が略矩形状に形成されている。
【0035】
また第2の参考表示態様は、図4(b)に示すように、トップビュー画像TV02と左サイドミラー画像LM02と右サイドミラー画像RM02とを表示する態様である。この第2の表示態様では、表示画面の中央部にトップビュー画像TV02、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM02、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM02が配置される。また、左サイドミラー画像LM02及び右サイドミラー画像RM02は、その表示領域が略矩形状に形成されている。さらにトップビュー画像TV02上では、左サイドミラー画像LM02(右サイドミラー画像RM02)で映っている車両周辺領域の範囲を示す表示RDL(RDR)が追加されている(図中の点線で囲われた領域を参照)。
【0036】
また第3の参考表示態様は、図4(c)に示すように、トップビュー画像TV03と左サイドミラー画像LM03と右サイドミラー画像RM03とを表示する態様である。この第3の表示態様では、表示画面の中央部にトップビュー画像TV03、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM03、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM03が配置される。また、左サイドミラー画像LM03(右サイドミラー画像RM03)は、車両用表示システム1が搭載されている車両のサイドミラーと同じ形状の枠を示すミラー枠画像FL03(FR03)と、ミラー枠画像FL03(FR03)の内部に表示された変換画像TL03(TR03)とから構成される。
【0037】
また第4の参考表示態様は、図5(a)に示すように、車両用表示システム1が搭載されている車両の全体像を示す車両全体画像CA04と、左サイドミラー画像LM04と右サイドミラー画像RM04とを表示する態様である。この第4の表示態様では、表示画面の中央部に車両全体画像CA04、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM04、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM04が配置される。また、左サイドミラー画像LM04(右サイドミラー画像RM04)は、車両用表示システム1が搭載されている車両のサイドミラーと同じ形状の枠を示すミラー枠画像FL04(FR04)と、ミラー枠画像FL04(FR04)の内部に表示された変換画像TL04(TR04)とから構成される。
【0038】
また第5の参考表示態様は、図5(b)に示すように、車両全体画像CA05と左サイドミラー画像LM05と右サイドミラー画像RM05と、運転者からの視点で車室内のバックミラーを見た画像(以下、バックミラー画像という)BM05とを表示する態様である。この第5の表示態様では、表示画面の中央部に車両全体画像CA05、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM05、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM05、表示画面の上側にバックミラー画像BM05が配置される。また、左サイドミラー画像LM05(右サイドミラー画像RM05)は、車両用表示システム1が搭載されている車両のサイドミラーと同じ形状の枠を示すミラー枠画像FL05(FR05)と、ミラー枠画像FL05(FR05)の内部に表示された変換画像TL05(TR05)とから構成される。さらにバックミラー画像BM05は、車両用表示システム1が搭載されている車両のバックミラーと同じ形状の枠を示すミラー枠画像FB05と、ミラー枠画像FB05の内部に表示された変換画像TB05とから構成される。
【0039】
また第6の参考表示態様は、図5(c)に示すように、トップビュー画像TV06と左サイドミラー画像LM06と右サイドミラー画像RM06とバックミラー画像BM06とを表示する態様である。この第6の表示態様では、表示画面の中央部にトップビュー画像TV06、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM06、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM06、表示画面の上側にバックミラー画像BM06が配置される。また、左サイドミラー画像LM06及び右サイドミラー画像RM06は、その表示領域が略矩形状に形成されている。さらにバックミラー画像BM06は、車両用表示システム1が搭載されている車両のバックミラーと同じ形状の枠を示すミラー枠画像FB06と、ミラー枠画像FB06の内部に表示された変換画像TB06とから構成される。
【0040】
また第7の参考表示態様は、図6(a)に示すように、トップビュー画像TV07と左サイドミラー画像LM07と右サイドミラー画像RM07とバックミラー画像BM07とを表示する態様である。この第7の表示態様では、表示画面の中央部にトップビュー画像TV07、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM07、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM07、表示画面の下側にバックミラー画像BM07が配置される。また、左サイドミラー画像LM07、右サイドミラー画像RM07、及びバックミラー画像BM07は、その表示領域が略矩形状に形成されている。
【0041】
また第8の参考表示態様は、図6(b)に示すように、後方カメラ12の撮影画像を左右逆に座標変換した画像(以下、後方左右逆変換画像という)RV08と、左サイドミラー画像LM08と右サイドミラー画像RM08とを表示する態様である。この第8の表示態様では、表示画面の中央部に後方左右逆変換画像RV08、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM08、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM08が配置される。また、左サイドミラー画像LM08、及び右サイドミラー画像RM08は、その表示領域が略矩形状に形成されている。
【0042】
また第9の参考表示態様は、図6(c)に示すように、車両の前方の斜め上の視点から車両を見た画像(以下、トップリアビュー画像という)TR09と、左サイドミラー画像LM09と右サイドミラー画像RM09とを表示する態様である。この第9の表示態様では、表示画面の中央部にトップリアビュー画像TR09、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM09、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM09が配置される。また、左サイドミラー画像LM09、及び右サイドミラー画像RM09は、その表示領域が略矩形状に形成されている。
【0043】
ここで、本実施形態における表示態様は、図7に示すように、トップビュー画像TV10と左サイドミラー画像LM10と右サイドミラー画像RM10とを表示する態様である。この第10の表示態様では、表示画面の中央部にトップビュー画像TV10、表示画面の左側に左サイドミラー画像LM10、表示画面の右側に右サイドミラー画像RM10が配置される。また左サイドミラー画像LM10(右サイドミラー画像RM10)は、運転者が左サイドミラー(右サイドミラー)を介して見る視点で左側方カメラ13(右側方カメラ14)の撮影画像を座標変換した変換画像(以下、サイドミラー視点変換画像という)TL10(TR10)と、車両用表示システム1が搭載されている車両のサイドミラーと同じ形状の枠が変換画像に対して透過しているように表わしたミラー枠画像FL10(FR10)とから構成される。すなわち、サイドミラー視点変換画像TL10(TR10)のうち、ミラー枠画像FL10(FR10)の枠内の画像が、運転者がサイドミラーを介して視認する景色に相当する。
【0044】
また第10の参考表示態様は、図8(a)〜(c)に示すように、3段階で表示を変化させる態様である。すなわち、まず図8(a)に示すように、表示画面の中央部にトップビュー画像TV11のみを表示する。そして予め設定された表示開始条件が成立すると、図8(b)に示すように、トップビュー画像TV11と、左サイドミラー画像LM11及び右サイドミラー画像RM11とを表示する。その後、予め設定された表示開始時間(例えば、5秒)が経過すると、図8(c)に示すように、左サイドミラー画像LM11及び右サイドミラー画像RM11の代わりに、サイドミラー視点変換画像TL11及びTR11を表示する。
【0045】
そして図2に示すように、S10にて、表示態様設定操作が行われていないと判断した場合には(S10:NO)、S30に移行する。一方、表示態様設定操作が行われたと判断した場合には(S10:YES)、S20にて、表示態様設定操作により指示された表示態様に応じた表示設定を行い、S30に移行する。例えば、表示態様設定操作が第1の表示態様を指示するものである場合には、第1の表示態様で表示するように設定する。
【0046】
そしてS30に移行すると、シフトレバー位置センサ21からの信号に基づき、シフトレバーの位置がリバース「R」であるか否かを判断する。ここで、シフトレバーの位置がリバース「R」でない場合には(S30:NO)、S160に移行する。一方、シフトレバーの位置がリバース「R」である場合には(S30:YES)、S40にて、S20で設定された表示態様がトップビュー画像を表示するものであるか否かを判断する。つまり、図7の表示態様、第1,2,3,6,7,10の参考表示態様が設定されているか否かを判断する。
【0047】
ここで、表示態様がトップビュー画像を表示するものである場合には(S40:YES)、S50にて、前方カメラ11、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から撮影画像を取得する。
【0048】
そしてS60にて、S50で取得した撮影画像を用いてトップビュー画像を生成する。具体的には、まず、前方カメラ11、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から取得した4つの撮影画像をそれぞれ、視点変換マップデータベース41に記憶されている視点変換マップM1を用いて座標変換する。その後、座標変換処理が行われた4つの変換画像について、これら4つの変換画像の重複部分を繋ぎ合わせる合成処理を行う。これにより、車両およびその周囲全体を俯瞰した1枚のトップビュー画像が生成される。さらにS70にて、S60で生成されたトップビュー画像を、S20で設定した表示態様で表示装置5に表示させ、S160に移行する。
【0049】
またS40にて、表示態様がトップビュー画像を表示するものでない場合には(S40:NO)、S80にて、表示態様が後方左右逆変換画像を表示するものであるか否かを判断する。つまり、第8の表示態様が設定されているか否かを判断する。ここで、表示態様が後方左右逆変換画像を表示するものである場合には(S80:YES)、S90にて、後方カメラ12から撮影画像を取得する。
【0050】
そしてS100にて、S90で取得した撮影画像を用いて後方左右逆変換画像を生成する。具体的には、後方カメラ12から取得した撮影画像を、視点変換マップデータベース41に記憶されている視点変換マップM5を用いて座標変換する。これにより、1枚の後方左右逆変換画像が生成される。さらにS110にて、S100で生成された後方左右逆変換画像を、S20で設定した表示態様で表示装置5に表示させ、S160に移行する。
【0051】
またS80にて、表示態様が後方左右逆変換画像を表示するものでない場合には(S80:NO)、S120にて、表示態様がトップリアビュー画像を表示するものであるか否かを判断する。つまり、第9の表示態様が設定されているか否かを判断する。ここで、表示態様がトップリアビュー画像を表示するものである場合には(S120:YES)、S130にて、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から撮影画像を取得する。
【0052】
そしてS140にて、S130で取得した撮影画像を用いてトップリアビュー画像を生成する。具体的には、まず、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から取得した3つの撮影画像をそれぞれ、視点変換マップデータベース41に記憶されている視点変換マップM6を用いて座標変換する。その後、座標変換処理が行われた3つの変換画像について、これら3つの変換画像の重複部分を繋ぎ合わせる合成処理を行う。これにより、トップリアビュー画像が生成される。さらにS150にて、S140で生成されたトップリアビュー画像を、S20で設定した表示態様で表示装置5に表示させ、S160に移行する。
【0053】
またS120にて、表示態様がトップリアビュー画像を表示するものでない場合には(S120:NO)、S160に移行する。
【0054】
そしてS160に移行すると、図3に示すように、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から撮影画像を取得する。その後S170にて、S160で取得した撮影画像を用いて、運転者からの視点で左サイドミラーを見た変換画像(以下、左サイドミラー変換画像という)、運転者からの視点で右サイドミラーを見た変換画像(以下、右サイドミラー変換画像という)、及び運転者からの視点でバックミラーを見た変換画像(以下、バックミラー変換画像という)を生成する。具体的には、左側方カメラ13、右側方カメラ14、及び後方カメラ12から取得した3つの撮影画像をそれぞれ、視点変換マップデータベース41に記憶されている視点変換マップM2、視点変換マップM3、及び視点変換マップM4と、ミラー角度センサ22の検出結果とに基づいて、座標変換する。したがって、左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーの傾斜角度の変化に連動して、それぞれ左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像、及びバックミラー変換画像が変化する。
【0055】
その後S180にて、S20で設定した表示態様に応じて、S170で生成された左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像、及びバックミラー変換画像を加工する。例えば、第5の表示態様に設定されている場合には、左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像、及びバックミラー変換画像に対してそれぞれ、ミラー枠画像FL05、ミラー枠画像FR05、及びミラー枠画像FB05を追加する加工を行い、左サイドミラー画像LM05、右サイドミラー画像RM05、及びバックミラー画像BM05を生成する。
【0056】
そしてS190にて、S180で生成された画像を表示装置5に表示させ、周辺画像表示処理を一旦終了する。なおS190では、第4,5の表示態様の場合に、車両全体画像CA04,CA05を追加して表示する。
【0057】
このように構成された車両用表示システム1では、まず、車両の後方、左側方、及び右側方を後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14で繰り返し撮影し、撮影した画像(以下、周囲撮影画像という)を取得する(S160)。そして、運転席に着座している乗員(運転者)の視点から、左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーを見たときに運転者により視認される左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーの映像を示す左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像、及びバックミラー変換画像を、取得した周囲撮影画像を座標変換することにより生成する(S170)。その後に、左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像、及びバックミラー変換画像を表示する(S190)。なお以下、左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーをまとめて車載用ミラーともいう。また、左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像、及びバックミラー変換画像をまとめてミラー変換画像ともいう。
【0058】
このように構成された車両用表示システム1によれば、運転者の視点から車載用ミラーを見たときの車載用ミラーの画像を表示することができる。なお、運転者は通常、車載用ミラーに映る画像により車両後方の障害物を確認するため、運転者は、車載用ミラーに映る画像を見ることにより、車両後方の障害物の種類、及び障害物と車両との間の距離などを把握する。つまり、車両用表示システム1は、運転者が、車載用ミラーを視認することなく、車両後方の障害物の種類、及び障害物と車両との間の距離を把握することを容易にすることができる。
【0059】
また図7の表示態様、第3,4,5,10の参考表示態様では、車載用ミラーの枠を示す画像(ミラー枠画像)を表示するとともに、ミラー枠画像の内部にミラー変換画像を表示する。すなわち、ミラー変換画像の周囲に車載用ミラーの枠が表示されるので、ミラー変換画像が車載用ミラーに映っている画像に相当するものであるということを車両の乗員に容易に把握させることができる。
【0060】
また図7の表示態様、第3,4,5の参考表示態様では、ミラー枠画像が、車載用ミラーの枠と同じ枠を示す画像である。このため、ミラー変換画像が車載用ミラーに映っている画像に相当するものであるということを車両の乗員に更に容易に把握させることができる。
【0061】
また図7の表示態様では、運転者の視点から、左サイドミラー(右サイドミラー)を見たときに運転者により視認される左サイドミラー(右サイドミラー)の映像(以下、運転者ミラー像)を示す画像と、この画像の周囲に配置されて運転者ミラー像に対応した撮影領域の周辺の領域を示す画像とから構成され、左サイドミラー変換画像(右サイドミラー変換画像)のうち、運転者ミラー像に相当する部分を、ミラー枠画像が示す枠の内部に表示するとともに、ミラー枠画像が示す枠が左サイドミラー変換画像(右サイドミラー変換画像)に対して透過しているようにミラー枠画像を表示する。このため、運転者の視点から車載用ミラーを見たときの車載用ミラーの画像(運転者ミラー像)と、その周辺の領域の画像が表示されるので、運転者が、車載用ミラーを視認する場合よりも広い領域を確認することができる。さらに、ミラー枠画像が示す枠がミラー変換画像に対して透過している。このため、運転者ミラー像と、その周辺の領域を示す画像との境界部分の画像が、ミラー枠画像が示す枠に隠れて見えなくなるということがない。
【0062】
また、車両には左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーが取り付けられており、左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーそれぞれに対応する複数の運転者ミラー像について、これら複数の運転者ミラー像それぞれを示す複数のミラー変換画像を同一表示画面上に表示する。このため、車両の乗員は、一つの表示画面を見れば、左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーそれぞれに対応する画像を同時に確認することができる。したがって車両の乗員は、複数の車載用ミラーに映る画像を確認するために、或る車載用ミラーから他の車載用ミラーに視線を移動させる必要がなくなり、車両後方の確認作業を容易に行うことができる。
【0063】
また第5,6の参考表示態様では、左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーの互いの位置関係に合うように、同一表示画面上において、左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像、及びバックミラー変換画像を配置する。このため、同一表示画面上に表示されている複数のミラー変換画像のそれぞれが、車両に取り付けられた複数の車載用ミラーのうちの何れに対応するものであるかを、車両の乗員に容易に把握させることができる。
【0064】
また第2の参考表示態様では、左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像に映っている領域が、車両の周囲の何処に対応する領域であるかを示す表示RDL,RDRを行う。このため、左サイドミラー変換画像、右サイドミラー変換画像に映っている領域を、車両の乗員に容易に把握させることができる。
【0065】
また、車載用ミラーはその傾斜角度を調整可能に構成されており、ミラー角度センサ22が車載用ミラーの傾斜角度を検出する。そして、ミラー角度センサ22により検出された角度に応じた座標変換を行うことにより、ミラー変換画像を生成する(S170)。このため、車載用ミラーの傾斜角度の変化に連動して、その傾斜角度にある車載用ミラーを運転者の視点から見た画像を表示することができる。
【0066】
また第8の参考表示態様では、後方カメラ12により撮影された画像を、ミラー変換画像と同一の表示画面上に表示する(S90,S110)。このため車両の乗員は、一つの表示画面を見れば、車載用ミラーに対応する画像と、後方カメラ12により撮影された画像とを同時に確認することができる。
【0067】
また第8の参考表示態様では、後方カメラ12により撮影された画像と左右が逆になった画像を生成し(S100)、この画像をミラー変換画像と同一の表示画面上に表示する(S110)。このため、後方カメラ12により撮影された画像を表示すると、その表示された画像は車両の乗員に対して左右が一致した画像となる。
【0068】
また図7の表示態様、第1,2,3,6,7,10の参考表示態様では、車載カメラ2により撮影された撮影画像を用いて、車両およびその周囲全体を俯瞰したトップビュー画像を生成し、このトップビュー画像を、ミラー変換画像と同一の表示画面上に表示する。このため、車両の乗員は、一つの表示画面を見れば、車載用ミラーに対応する画像とトップビュー画像とを同時に確認することができる。
【0069】
以上説明した実施形態において、車両用表示システム1は本発明における車両用表示装置、車載カメラ2とS50,S90,S130の処理は本発明における撮影手段、S170の処理は本発明における画像変換手段、左サイドミラー、右サイドミラー、及びバックミラーは本発明における車載用ミラー、S70,S110,S190の処理は本発明における表示手段、ミラー角度センサ22は本発明におけるミラー角度検出手段、S100の処理は本発明における左右逆画像生成手段、S60の処理は本発明における俯瞰画像生成手段である。
【0070】
また、車両の前方、後方、左側方、及び右側方は本発明における所定撮影領域、運転者は本発明における所定座席乗員である。
【0071】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
【0072】
例えば上記実施形態においては、運転者からの視点でミラーを見た画像を表示するものを示したが、運転席以外の座席に座る乗員からの視点でミラーを見た画像を表示するようにしてもよい。
【0073】
(第1参考例)
以下に第1参考例を説明する。なお、第1参考例では、上記実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0074】
第1参考例の車両用表示システム1は、車両用表示システム1の構成と周辺画像表示処理が変更された点以外は第1実施形態と同じである。
【0075】
図9は、第1参考例の車両用表示システム1の構成を示すブロック図である。
【0076】
第1参考例の車両用表示システム1は、図9に示すように、検出波としての超音波を発信しその反射波を受信することにより物体の存在および距離を検出するクリアランスソナー23がセンサ群3に追加された点以外は第1実施形態と同じである。
【0077】
次に、第1参考例の周辺画像表示処理の手順を、図10を用いて説明する。図10は第1参考例の周辺画像表示処理を示すフローチャートである。
【0078】
この周辺画像表示処理が実行されると、CPU51は、まずS310にて、サイドミラー画像の表示範囲を設定するための操作(以下、表示範囲設定操作という)が、操作部35を介して行われたか否かを判断する。ここで、表示範囲設定操作が行われていないと判断した場合には(S310:NO)、S330に移行する。一方、表示範囲設定操作が行われたと判断した場合には(S10:YES)、S320にて、表示範囲設定操作により指示された表示範囲に応じた表示設定を行い、S330に移行する。
【0079】
そしてS330に移行すると、左サイドミラーと右サイドミラーの傾斜角度を設定するための操作(以下、傾斜角度設定操作という)が、操作部35を介して行われたか否かを判断する。ここで、傾斜角度設定操作が行われていないと判断した場合には(S330:NO)、S350に移行する。一方、傾斜角度設定操作が行われたと判断した場合には(S330:YES)、S340にて、傾斜角度設定操作により指示された傾斜角度に応じた表示設定を行い、S350に移行する。
【0080】
そしてS350に移行すると、シフトレバー位置センサ21からの信号に基づき、シフトレバーの位置がリバース「R」であるか否かを判断する。ここで、シフトレバーの位置がリバース「R」でない場合には(S350:NO)、周辺画像表示処理を一旦終了する。一方、シフトレバーの位置がリバース「R」である場合には(S350:YES)、S360にて、前方カメラ11、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から撮影画像を取得する。
【0081】
そしてS370にて、S360で取得した撮影画像を用いてトップビュー画像を生成する。具体的には、まず、前方カメラ11、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から取得した4つの撮影画像をそれぞれ、視点変換マップデータベース41に記憶されている視点変換マップM1を用いて座標変換する。その後、座標変換処理が行われた4つの変換画像について、これら4つの変換画像の重複部分を繋ぎ合わせる合成処理を行う。これにより、車両およびその周囲全体を俯瞰した1枚のトップビュー画像が生成される。さらにS380にて、S370で生成されたトップビュー画像を、表示装置5に表示させる。
【0082】
その後S390にて、クリアランスソナー23の検出結果に基づいて、物体が車両に接近しているか否かと、その接近の危険度を判定する。
【0083】
具体的には、まず物体が移動体である場合には、図11(a)に示すように、移動体が車両に近付く速度Vmと、車両と移動体との間の距離Lmとに基づいて、移動体が車両に到達するまでに要する時間(以下、到達時間という)を算出し、この算出時間に応じて、「緊急」、「危険」、「注意」、及び「安全」の4種類の危険度を設定している。すなわち、到達時間が第1判定時間T1(例えば1秒)未満である場合には「緊急」と判定し、到達時間が第1判定時間T1より長い第2判定時間T2(例えば3秒)未満である場合には「危険」と判定し、到達時間が第2判定時間T2より長い第3判定時間T3(例えば5秒)未満である場合には「注意」と判定する。また、到達時間が第3判定時間T3以上であるか、移動体が遠ざかっている場合には、「安全」と判定する。
【0084】
また、物体が固定物である場合には、図11(b)に示すように、車両と固定物との間の距離Lmに応じて、「緊急」、「危険」、「注意」、及び「安全」の4種類の危険度を設定している。すなわち、固定物が近付いており且つ距離Lmが第1判定距離L1(例えば、1m)未満である場合には「緊急」と判定し、距離Lmが第1判定距離L1より長い第2判定距離L2(例えば3m)未満である場合には「危険」と判定し、距離Lmが第2判定距離L2より長い第3判定距離L3(例えば5m)未満である場合には「注意」と判定する。また、距離Lmが第3判定距離L3以上であるか、固定物が遠ざかっている場合には、「安全」と判定する。
【0085】
そしてS400にて、S390で「安全」と判定されたか否かを判断する。ここで、「安全」と判定された場合には(S400:YES)、周辺画像表示処理を一旦終了する。
【0086】
一方、「安全」と判定されなかった場合には(S400:NO)、S410にて、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から撮影画像を取得する。その後S420にて、S410で取得した撮影画像を用いて、運転者からの視点で左サイドミラーを見た変換画像(以下、左サイドミラー変換画像という)、及び運転者からの視点で右サイドミラーを見た変換画像(以下、右サイドミラー変換画像という)を生成する。具体的には、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から取得した2つの撮影画像をそれぞれ、視点変換マップデータベース41に記憶されている視点変換マップM2、及び視点変換マップM3と、S340で設定された傾斜角度とに基づいて、座標変換する。したがって、S340で設定された傾斜角度の変化に連動して、それぞれ左サイドミラー変換画像、及び右サイドミラー変換画像が変化する。
【0087】
その後S430にて、S320で設定された表示範囲と、S390で判定した危険度とに応じて、図12に示すように、S420で生成された左サイドミラー変換画像、及び右サイドミラー変換画像を加工する。
【0088】
具体的には、まず、S320で設定された表示範囲に応じて、S420で生成された左サイドミラー変換画像、及び右サイドミラー変換画像を切り取り、ミラー枠画像内に嵌め込む加工を行う。すなわち、S340で設定された表示範囲によっては、ミラー変換画像の表示範囲は、サイドミラーに実際に映っている範囲と異なる。その後、S390で「注意」と判定された場合には、図12(a)に示すように、トップビュー画像TVGの横にサイドミラー画像SMG01が表示されるように加工する(図では右サイドミラーの画像のみを示す)。このサイドミラー画像SMG01は、サイドミラーの枠を示すミラー枠画像MFG01と、ミラー枠画像MFG01の内部に表示されたミラー変換画像MTG01と、接近している物体を示す物体指示画像OPG01と、接近している物体の移動方向を示す方向指示画像DPG01とから構成される。なお、物体指示画像OPG01と方向指示画像DPG01はミラー変換画像MTG01上に表示される。
【0089】
また、S390で「注意」と判定された場合には、図12(b)に示すように、トップビュー画像TVGの横にサイドミラー画像SMG02が表示されるように加工する。このサイドミラー画像SMG02は、ミラー枠画像MFG02とミラー変換画像MTG02と物体指示画像OPG02と方向指示画像DPG02とから構成される。なおサイドミラー画像SMG02は、ミラー枠画像MFG01よりも、濃い色で且つ大きく表示される。さらに、物体指示画像OPG02と方向指示画像DPG02は、ミラー変換画像MTG02上において、物体指示画像OPG01と方向指示画像DPG01より大きく表示される。
【0090】
また、S390で「緊急」と判定された場合には、図12(c)に示すように、トップビュー画像TVGの横にサイドミラー画像SMG03が表示されるように加工する。このサイドミラー画像SMG03は、ミラー枠画像MFG03とミラー変換画像MTG03と物体指示画像OPG03と方向指示画像DPG03とから構成される。なおサイドミラー画像SMG03は、ミラー枠画像MFG02よりも大きく表示される。さらに、物体指示画像OPG03と方向指示画像DPG03は、ミラー変換画像MTG03上において、物体指示画像OPG02と方向指示画像DPG02より大きく表示される。また、物体指示画像OPG01,02と方向指示画像DPG01,02が平面表示であるのに対して、物体指示画像OPG03と方向指示画像DPG03は、立体表示である。
【0091】
そしてS430の処理が終了すると、S440にて、S430で生成された画像を表示装置5に表示させ、周辺画像表示処理を一旦終了する。
【0092】
このように構成された車両用表示システム1では、サイドミラー画像の表示範囲を設定するための操作(表示範囲設定操作)が行われると、表示範囲設定操作により指示された表示範囲に応じた表示設定を行う(S310,S320)。このため、車両の乗員の操作により、ミラー変換画像の表示範囲を変更することを可能にする。
【0093】
また、左サイドミラーと右サイドミラーの傾斜角度を設定するための操作(傾斜角度設定操作)が行われると、傾斜角度設定操作により指示された傾斜角度に応じた表示設定を行う(S330,S340)。そして、左サイドミラーと右サイドミラーの傾斜角度が設定された傾斜角度であると仮定した場合に運転者により視認される左サイドミラーと右サイドミラーの映像を、左側方カメラ13および右側方カメラ14から取得した撮影画像を座標変換することにより生成する(S420)。このため、左サイドミラーと右サイドミラーの傾斜角度が設定された傾斜角度であると仮定した場合に運転者により視認される車載用ミラーの映像について、上記設定される傾斜角度を、車両の乗員の操作により変更することを可能にする。
【0094】
また、クリアランスソナー23により車両に接近する物体を検出し(S390)、車両に接近する物体を検出したときにミラー変換画像を表示する(S400,S440)。このため、車両に物体が接近すると自動的にミラー変換画像が表示されるので、ミラー変換画像が表示されることにより、車両の乗員に、車両に物体が接近していることを知らせることができる。
【0095】
以上説明した参考例において、S420の処理は本参考例における画像変換手段、S440の処理は本参考例における表示手段、S310,S320の処理は本参考例における第1設定手段、S330,S340の処理は本参考例における第2設定手段、クリアランスソナー23とS390の処理は本参考例における接近検出手段、表示範囲設定操作は本参考例における第1外部操作、傾斜角度設定操作は本参考例における第2外部操作である。
【0096】
(第2参考例)
以下に第2参考例を説明する。なお、第2参考例では、第1参考例と異なる部分のみを説明する。
【0097】
第2参考例の車両用表示システム1は、車両用表示システム1の構成と周辺画像表示処理が変更された点以外は第2実施形態と同じである。
【0098】
図13は、第2参考例の車両用表示システム1の構成を示すブロック図である。
【0099】
第2参考例の車両用表示システム1は、図13に示すように、車両の走行速度を検出する車速センサ24と、車両のウインカーのオン・オフを検出するウインカーセンサ25がセンサ群3に追加された点以外は第1参考例と同じである。
【0100】
次に、第2参考例の周辺画像表示処理の手順を、図14を用いて説明する。図14は第2参考例の周辺画像表示処理を示すフローチャートである。
【0101】
この周辺画像表示処理が実行されると、CPU51は、まずS510にて、車速センサ24の検出結果に基づいて、車両用表示システム1が搭載されている車両が停止しているか否かを判断する。ここで、車両が停止していない場合には(S510:NO)、周辺画像表示処理を一旦終了する。一方、車両が停止している場合には(S510:YES)、S520にて、シフトレバー位置センサ21からの信号に基づき、シフトレバーの位置がドライブ「D」であるか否かを判断する。
【0102】
ここで、シフトレバーの位置がドライブ「D」でない場合には(S520:NO)、周辺画像表示処理を一旦終了する。一方、シフトレバーの位置がドライブ「D」である場合には(S520:YES)、S530にて、前方カメラ11、後方カメラ12、左側方カメラ13、及び右側方カメラ14から撮影画像を取得する。
【0103】
そしてS540にて、S530で取得した撮影画像を用いてトップビュー画像を生成する。さらにS550にて、S540で生成されたトップビュー画像を、表示装置5に表示させる。
【0104】
その後S560にて、S390と同様にして、クリアランスソナー23の検出結果に基づき、物体が車両に接近しているか否かと、その接近の危険度を判定する。そしてS570にて、S560で「安全」と判定されたか否かを判断する。ここで、「安全」と判定された場合には(S570:YES)、S580にて、ウインカーセンサ25の検出結果に基づき、ウインカーがオンであるか否かを判断する。
【0105】
ここで、ウインカーがオフである場合には(S580:NO)、周辺画像表示処理を一旦終了する。一方、ウインカーがオンである場合には(S580:YES)、S590に移行する。またS570にて、S560で「安全」と判定されなかった場合には(S570:NO)、S590に移行する。
【0106】
そしてS590に移行すると、左側方カメラ13及び右側方カメラ14から撮影画像を取得する。その後S600にて、S590で取得した撮影画像を用いて、左サイドミラー変換画像と右サイドミラー変換画像を生成する。
【0107】
さらにS610にて、S430と同様にして、S560で判定した危険度に応じて、S600で生成された左サイドミラー変換画像、及び右サイドミラー変換画像を加工する。そしてS620にて、S610で生成された画像を表示装置5に表示させ、周辺画像表示処理を一旦終了する。
【0108】
このように構成された車両用表示システム1では、車速センサ24が車両の走行速度を検出し、シフトレバー位置センサ21が車両のシフトレバーの位置を検出し、ウインカーセンサ25が車両のウインカーのオン・オフを検出する。そして、車速センサ24、シフトレバー位置センサ21、及びウインカーセンサ25の検出結果に基づき、車両が停止し、且つシフトレバーの位置がドライブ「D」であり、且つウインカーがオンである場合に、ミラー変換画像を表示する(S510,S520,S580,S620)。このため、例えば図15に示すように、車両停止状態から車道に進入しながら発進するという、後方確認が必要な状況において、車載用ミラーを見たときの画像を、車両の乗員の操作や指示によらず自動的に表示させることができる。
【0109】
以上説明した参考例において、S600の処理は本参考例における画像変換手段、S620の処理は本参考例における表示手段、車速センサ24は本参考例における車速検出手段、シフトレバー位置センサ21は本参考例におけるシフト位置検出手段、ウインカーセンサ25は本参考例におけるウインカー検出手段である。
【0110】
また、図16〜20は別の参考例を説明するための図である。
【0111】
図16のサイドミラー画像SMG11で示すように、道路の消失点VPまで表示することにより、遠くの障害物を確実に表示するようにしてもよい。また、移動体の接近速度に応じてハイライト色を変えたり、モーションブラー表示のような、移動速度を強調する表示を行ったりするようにしてもよい。
【0112】
また、車両が移動してもサイドミラーの背景を固定して表示するようにしてもよい。これにより、物体の移動速度を利用者に直感的に把握させることができる。また、物体の位置を運転者に把握し易くするために、距離等の補助情報をサイドミラー画像SMG11に追加してもよい。
【0113】
また、図16のバックミラー画像BMG11で示すように、接近する移動体が映っている領域まで、表示範囲を拡大するようにしてもよい。バックミラー画像BMG11では、表示領域の右側から移動体が接近しているため(矢印Y11を参照)、バックミラー画像BMG11の右側の表示領域を延ばしている。
【0114】
また、図16のバックミラー画像BMG11で示すように、駐車の目安となる物体があるときは、この物体を運転者が認識し易くするために、立体的な強調表示を行ったり、バックミラー画像BMG11からはみ出させたりするようにしてもよい(表示物体OB11を参照)。なお、上記の立体的な強調表示については、普段の撮影画像から形状を3次元座標として取り込み、表面の材質等も画像をテクスチャとして貼り付けて、仮想現実(VR)イメージとして記録し、車両の移動位置に応じて、運転者が確実に駐車の目安として利用できるように表示してもよい。これにより、夜間や雨天でも、晴天時の目安となる物体が明確に表示されるため、運転者は安全に車両を駐車させることができる。
【0115】
また、図16のトップビュー画像TVG11で示すように、ポールなどの固定物が設定距離以内に近付いた場合に、トップビュー画像にこの固定物を見やすく表示するようにしてもよい(ポール表示PD11を参照)。
【0116】
また上記参考例では、シフトレバーの位置がリバース「R」で物体が接近しているときに、例えば図17(a)に示すように、トップビュー画像TVG21、左サイドミラー画像SMG21、及び右サイドミラー画像SMG22を表示するものを示した。しかし、車両の左側後方(右側後方)から物体が接近しているときに、図17(b)に示すように、トップビュー画像TVG22および左サイドミラー画像SMG23を表示するとともに左サイドミラー画像SMG23を拡大表示するようにしてもよい。また、車両の右側後方から物体が接近しているときに、図17(c)に示すように、トップビュー画像TVG23および右サイドミラー画像SMG24を表示するとともに右サイドミラー画像SMG24を拡大表示するようにしてもよい。
【0117】
また上記の例では、図11に示すように、移動体が車両に到達するまでに要する時間(到達時間)と、車両と固定物との間の距離とに基づいて、危険度を設定するものを示した。しかし、接近する物体の方向に応じて距離を変更して危険度を設定するようにしてもよい。また、相対速度や車両の移動方向に応じて危険度を設定するようにしてもよい。また、車両の進行方向に対する物体の角度に応じて危険度を設定するようにしてもよい。
【0118】
なお、上記の危険度を、以下の基準に基づいて設定するようにしてもよい。すなわち、車両の移動範囲MR(後述)内に物体が既に入っている場合には「緊急」、移動範囲MRに物体が入りそうである場合には「危険」、移動範囲MRに物体が近付いている場合には「注意」、移動範囲MRに物体が近付いていない場合には「安全」と設定するようにしてもよい。ここで移動範囲MRは、図18に示すように、停車位置SPから指定駐車位置PPまで移動する際、駐車移動速度を例えば0.5m/秒として、どの時刻に車両がどの移動空間範囲に存在するか否かを計算して求める。
【0119】
なお、運転者の運転技量に応じて、駐車移動速度を変えて移動範囲MRを求めるようにしてもよい。例えば、熟練の運転者は、駐車時の車両移動速度が大きく短時間で駐車できる場合があるため、駐車移動速度を大きくして移動範囲MRを求めるようにするとよい。また駐車移動速度に応じて、サイドミラー画像の表示による注意・危険の報知タイミングを変更できるようにすると、報知タイミングの遅れが低減され、報知による運転者の煩わしさが軽減される。
【0120】
また、固定物の接近判定については、設定された大きさ以上の物体を対象とするようにしてもよい。また、運転者が普段から駐車の目安としている固定物がある場合には、その固定物が移動範囲MR内に存在しない場合であっても、表示するようにしてもよい。このために、利用回数の多い駐車場では、駐車の目安となる物体を利用者が指定できるようにするとよい。例えば、駐車枠、輪止め、側方の壁などが表示された画像データを使って設定できるようにしてもよい。
【0121】
また、車両を駐車させようとしているときに、物体が車両に接触しそうであることを検出すると、接触しそうな側のサイドミラー画像(例えば、歩行者が車両の左側に接触しそうな場合には左サイドミラー画像)におけるミラー枠の形状の拡大表示と縮小表示と、音声報知(例えば、クラックが入るような音)を行い、乗員に危急状況であることを知らせるようにしてもよい。また、ミラー枠の形状の拡大表示と縮小表示と同時に、エンジン制御またはブレーキ制御装置に緊急停止のための処理を行わせて、車両に物体が接触したときに、車両を停止状態に近い状態にするようにしてもよい。
【0122】
また、サイドミラーに物体が接触したときに、サイドミラーが閉じるような動画を表示し、側方の障害物との接触を報知するようにしてもよい。
【0123】
また、駐車完了後にドアを開けると側方の固定物または移動体に接触する可能性がある場合に、サイドミラーがドアに変化する画像を表示して、接触の注意を促すようにしてもよい。また、車両後方も同様にして、トランクのドアが接触しそうな場合には、トランクドアの接触の注意を促す表示を、バックミラー画像の代わりにサイドミラー画像に追加するようにしてもよい。
【0124】
また図19に示すように、車両を90度回転させながら後退させて駐車区画に駐車する際に自動車、自転車、歩行者などが車両後方から接近する状況では、これらの接近物体は、運転者の視野から見づらく且つサイドミラー及びバックミラーでは見えない。このため、車載ミラーでは見えない範囲に位置する物体が接近する場合に、車載カメラ2による撮影画像を用いてサイドミラー画像やバックミラー画像を生成し、表示装置5に表示させるようにしてもよい。これにより、運転者に危険を知らせることができる。
【0125】
例えば、駐車区画PKAへの駐車を開始する前に停止するための位置P1に車両が位置しているときに、車両後方の車道、歩道の左側から移動体が接近していることが検知されると、左サイドミラー画像を表示するとともに、検知した物体の位置および速度に応じて対象物体を左サイドミラー画像上に強調表示するようにしてもよい。
【0126】
また、駐車区画PKAへ駐車するために車両を旋回させる位置P2に車両が位置しているときに、移動体が移動する道路(背景)がほぼ固定されて見えるようにサイドミラー画像を表示するようにしてもよい。すなわち、車両の旋回によっても、その影響を受けない画像を表示する。これにより、どの道路および歩道に障害物や歩行者がいて、それが近付くか遠ざかるかという接近位置判定が容易になる。このためには、車載カメラ2による撮影画像を回転補正するか、以前に駐車した位置であればそのときに記録した道路画像を固定画像として用い、これに、検出した障害物、歩行者、及び移動体を重ね合わせて表示するようにしてもよい。さらに、駐車区画PKAに対し、どの範囲に車両が入っているかを画像やソナー等で判定し、運転の修正が必要な場合に、サイドミラー画像を表示させる(例えば、接触する方向のサイドミラーを人の耳に見立てる)注意表示を行うようにしてもよい。
【0127】
また、駐車区画PKAに進入するために車両を後退させて歩道等を横切るときに、歩道に歩行者や自転車が通過しそう、または通過中であれば、移動体の接近を示す表示をサイドミラー画像に追加するようにしてもよい。また、駐車区画PKAを歩行者等が通過しようとする場合に、歩行者が近付く方向のサイドミラー画像(例えば、歩行者が車両の左側から近付いている場合には左サイドミラー画像)に、歩行者の位置と距離を示す表示を追加するようにしてもよい。また、衝突の危険がある場合には、衝突を報知するための警報を出すようにしてもよい。
【0128】
また、駐車区画PKA内に車両が収容される位置P3に車両が位置しているときに、その車両の後方に輪止めがある場合には、輪止めに接触することを報知するようにしてもよい。また、輪止めがあっても後方の区画の車両と接触する可能性がある場合に、後方の車両との距離を案内するようにしてもよい。
【0129】
また、駐車区画PKA内で車両が停止したときに、車両のドアの開閉機構(スライドドアであるか否か)に応じて、自車駐車区画の左右の駐車区画の車両との距離を計測し、ドアを開けるときの注意表示をサイドミラー画像に追加するようにしてもよい。また、車両の乗員に対して、ドアを開けるときの注意を音声案内するようにしてもよい。
【0130】
また上記の例では、物体の存在および距離を検出するためにクリアランスソナー23を用いたが、画像やレーザを用いて検出するようにしてもよい。
【0131】
また図20に示すように、サイドミラー画像に、車両のボディの一部が映っているようにするとよい(図中の点線で囲っている領域BR01,02を参照)。これにより、サイドミラー画像が、サイドミラーに映っている像を示しているということを車両の乗員に直感的に理解させることができる。
【0132】
また、車両の乗員は通常、車載用ミラーに映る画像により車両後方の障害物を確認するため、車両の乗員は、車載用ミラーに映る画像を見ることにより、車両後方の障害物の種類、及び障害物と車両との間の距離などを把握する。つまり、上記の車両用表示装置は、車両の乗員が、車載用ミラーを視認することなく、車両後方の障害物の種類、及び障害物と車両との間の距離を把握することを容易にする。
【0133】
また、上記の車両用表示装置において、ミラー変換画像が、所定乗員ミラー像を示す画像と、この画像の周囲に配置されて所定乗員ミラー像に対応した撮影領域の周辺の領域を示す画像とから構成され、表示手段が、ミラー変換画像のうち、所定乗員ミラー像に相当する部分を、ミラー枠画像が示す枠の内部に表示するとともに、ミラー枠画像が示す枠がミラー変換画像に対して透過しているようにミラー枠画像を表示するようにしてもよい。このように構成された車両用表示装置では、所定座席乗員の視点から車載用ミラーを見たときの車載用ミラーの画像(所定乗員ミラー像)と、その周辺の領域の画像が表示されるので、車両の乗員が、車載用ミラーを視認する場合よりも広い領域を確認することができる。さらに、ミラー枠画像が示す枠がミラー変換画像に対して透過している。このため、所定乗員ミラー像と、その周辺の領域を示す画像との境界部分の画像が、ミラー枠画像が示す枠に隠れて見えなくなるということがない。
【0134】
また第1設定手段が、予め設定された第1外部操作に基づいて、ミラー変換画像の表示範囲を設定するようにしてもよい。このように構成された車両用表示装置によれば、車両の乗員の操作により、ミラー変換画像の表示範囲を変更することを可能にする。
【0135】
また画像変換手段は、車載用ミラーの傾斜角度が予め設定された所定傾斜角度であると仮定した場合に所定座席乗員により視認される車載用ミラーの映像を、撮影手段により取得された周囲撮影画像を座標変換することにより生成するように構成され、第2設定手段が、予め設定された第2外部操作に基づいて、所定傾斜角度を設定するようにしてもよい。このように構成された車両用表示装置によれば、車載用ミラーの傾斜角度が所定傾斜角度であると仮定した場合に所定座席乗員により視認される車載用ミラーの映像について、上記所定傾斜角度を、車両の乗員の操作により変更することを可能にする。
【0136】
また車載用ミラーは、その傾斜角度を調整可能に構成されており、ミラー角度検出手段が、車載用ミラーの傾斜角度であるミラー角度を検出し、画像変換手段が、ミラー角度検出手段により検出されたミラー角度に応じた座標変換を行うことにより、ミラー変換画像を生成するようにしてもよい。このように構成された車両用表示装置によれば、車載用ミラーの傾斜角度(ミラー角度)の変化に連動して、その傾斜角度にある車載用ミラーを所定座席乗員の視点から見た画像を表示することができる。
【0137】
また表示手段が、撮影手段により取得された周囲撮影画像を、ミラー変換画像と同一の表示画面上に表示するようにしてもよい。このように構成された車両用表示装置によれば、車両の乗員は、一つの表示画面を見れば、車載用ミラーに対応する画像と周囲撮影画像とを同時に確認することができる。
【0138】
ところで、周囲撮影画像が、車両の後方を撮影したものである場合には、撮影手段により取得された周囲撮影画像をそのまま表示すると、その表示された画像は車両の乗員に対して左右逆の画像となる。なぜならば、撮影手段は車両の後方を撮影しているために、車両の前方を向いている車両乗員の右側(左側)に位置しているものが周囲撮影画像ではその左側(右側)に配置されるからである。そこで、周囲撮影画像が車両の後方を撮影したものである場合には、請求項12に記載のように、左右逆画像生成手段が、撮影手段により取得された周囲撮影画像と左右が逆になった画像である左右逆画像を生成し、表示手段が、左右逆画像生成手段により生成された左右逆画像を、ミラー変換画像と同一の表示画面上に表示するようにするとよい。このように構成された車両用表示装置によれば、撮影手段により取得された画像を表示すると、その表示された画像は車両の乗員に対して左右が一致した画像となる。
【0139】
また俯瞰画像生成手段が、撮影手段により取得された周囲撮影画像を用いて、車両の上方の視点から車両を俯瞰した俯瞰画像を生成し、表示手段が、俯瞰画像生成手段により生成された俯瞰画像を、ミラー変換画像と同一の表示画面上に表示するようにしてもよい。このように構成された車両用表示装置によれば、車両の乗員は、一つの表示画面を見れば、車載用ミラーに対応する画像と俯瞰画像とを同時に確認することができる。
【0140】
また接近検出手段が、車両に接近する物体である車両接近物体を検出し、表示手段が、接近検出手段が車両接近物体を検出したときに、ミラー変換画像を表示するようにしてもよい。このように構成された車両用表示装置では、車両に物体が接近すると自動的にミラー変換画像が表示されるので、ミラー変換画像が表示されることにより、車両の乗員に、車両に物体が接近していることを知らせることができる。
【0141】
また車速検出手段が車両の移動速度を検出し、シフト位置検出手段が車両の変速機のシフト位置を検出し、ウインカー検出手段が車両のウインカーの点灯を検出し、表示手段が、車速検出手段、シフト位置検出手段、及びウインカー検出手段の検出結果に基づき、車両が停止し、且つシフト位置が車両の前進可能な位置であり、且つウインカーが点灯している場合に、ミラー変換画像を表示するようにしてもよい。このように構成された車両用表示装置によれば、車両停止状態から車道に進入しながら発進するという、後方確認が必要な状況において、車載用ミラーを見たときの画像を、車両の乗員の操作や指示によらず自動的に表示させることができる。
【符号の説明】
【0142】
1…車両用表示システム、2…車載カメラ、3…センサ群、4…画像処理装置、5…表示装置、11…前方カメラ、12…後方カメラ、13…左側方カメラ、14…右側方カメラ、21…シフトレバー位置センサ、22…ミラー角度センサ、23…クリアランスソナー、24…車速センサ、25…ウインカーセンサ、31…カメラI/F、32…車両I/F、33…表示I/F、34…記憶部、35…操作部、36…制御部、37…バス、41…視点変換マップデータベース、51…CPU、52…ROM、53…RAM
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置される車両用表示装置であって、
前記車両の周囲における予め設定された所定撮影領域を繰り返し撮影し、周囲撮影画像を取得する撮影手段と、
前記周囲撮影画像を座標変換することにより、前記車両内の所定の座席に座っている乗員の視点からミラー越しに前記車両の後方を見た画像を模したミラー変換画像を生成する画像変換手段と、
前記周囲撮影画像を用いて、前記車両の上方の視点から前記車両を俯瞰した画像であって前記車両の全体画像を含む俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成手段と、
前記ミラー変換画像と前記俯瞰画像とを同一の表示画面上に表示する表示手段とを備え、
前記表示手段は、
前記表示画面に予め設定された矩形の第1表示領域に前記車両の全体画像の車両前方が上を向くように前記俯瞰画像を表示し、
前記矩形の第1表示領域の側方であって、かつ該矩形の側辺の下側に偏って設定された第2表示領域に、前記ミラー変換画像を表示することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示手段が、車載用ミラーの枠を示すミラー枠画像を表示するとともに、前記ミラー枠画像が示す枠の内部に前記ミラー変換画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記ミラー枠画像が、透過しているように前記ミラー枠画像を表示することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記表示手段が左右の前記ミラー変換画像を同一表示画面上に表示することを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の車両用表示装置。
【請求項1】
車両に設置される車両用表示装置であって、
前記車両の周囲における予め設定された所定撮影領域を繰り返し撮影し、周囲撮影画像を取得する撮影手段と、
前記周囲撮影画像を座標変換することにより、前記車両内の所定の座席に座っている乗員の視点からミラー越しに前記車両の後方を見た画像を模したミラー変換画像を生成する画像変換手段と、
前記周囲撮影画像を用いて、前記車両の上方の視点から前記車両を俯瞰した画像であって前記車両の全体画像を含む俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成手段と、
前記ミラー変換画像と前記俯瞰画像とを同一の表示画面上に表示する表示手段とを備え、
前記表示手段は、
前記表示画面に予め設定された矩形の第1表示領域に前記車両の全体画像の車両前方が上を向くように前記俯瞰画像を表示し、
前記矩形の第1表示領域の側方であって、かつ該矩形の側辺の下側に偏って設定された第2表示領域に、前記ミラー変換画像を表示することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示手段が、車載用ミラーの枠を示すミラー枠画像を表示するとともに、前記ミラー枠画像が示す枠の内部に前記ミラー変換画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記ミラー枠画像が、透過しているように前記ミラー枠画像を表示することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記表示手段が左右の前記ミラー変換画像を同一表示画面上に表示することを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の車両用表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−78151(P2013−78151A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−7211(P2013−7211)
【出願日】平成25年1月18日(2013.1.18)
【分割の表示】特願2009−22743(P2009−22743)の分割
【原出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年1月18日(2013.1.18)
【分割の表示】特願2009−22743(P2009−22743)の分割
【原出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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