説明

車両用表示装置

【課題】運転者が車間距離情報を把握しやすい車両用表示装置を提供する。
【解決手段】各種情報を出力する表示部と、自車両と他車両との車間距離を取得する手段からの信号を受け付け、前記信号に基づいて前記表示部の出力を制御する制御部と、を備える車両用表示装置であって、前記表示部は前記車間距離に関する情報を出力する領域33を有し、前記制御部は、前記自車両を示す第1の画像34及び前記他車両を示す第2の画像35を、前記第1の画像34中の所定の1点と前記第2の画像35中の所定の1点を結ぶ線分の長さD1が、前記車間距離に対応したものとなるように、且つ、前記表示部に表示した際に、前記第1の画像の表示面積S1及び前記第2の画像の表示面積S2の少なくとも一方が、前記車間距離に対応したものとなるように、前記領域33に出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用表示装置には、運転者の運転を支援するための様々な情報が表示される。この情報として、自車両から先行車両までの車間距離に関する情報を表示できる車両用表示装置が提案されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002―79850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
はじめに、特許文献1に開示されている車両用表示装置について説明する。図8(a)〜図8(d)は、特許文献1に開示されている車両用表示装置による表示を例示したものである。
【0005】
符号828は自車両を示す第1の表示セグメント(第1の表示部)であり、この第1の表示セグメント828の輪郭は車両形状になっている。符号829,830,831,832は先行車両を示す第2の表示セグメント(第2の表示部)であり、この第2の表示セグメント829,830,831,832の輪郭は車両形状になっている。第1の表示セグメント828及び第2の表示セグメント829,830,831,832は、横方向の列状に配置されている。符号833,834,835は第3の表示セグメント(第3の表示部)であり、この第3の表示セグメント833,834,835は、矩形になっている。第3の表示セグメント833,834,835は、それぞれ第2の表示セグメント829,830,831の輪郭内に配置されている。
【0006】
図8(a)〜図8(d)に示すように、液晶表示素子819は、オンさせる第2の表示セグメント829,830,831,832を変えると同時に、点灯させる第3の表示セグメント833,834,835の数を変えることで車間距離を表示する。例えば、図8(a)に示すように、車間距離が長いときは、第2の表示セグメント832をオンして、他の第2の表示セグメント829,830,831をオフして、3個の第3の表示セグメント833,834,835をオンする。
【0007】
また、図8(b)若しくは図8(c)に示すように、車間距離が中程度のときは、第2の表示セグメント831(若しくは第2の表示セグメント830)をオンして、他の第2の表示セグメント829,830,832(若しくは第2の表示セグメント829,831,832)をオフして、3個の第3の表示セグメント833,834,835(若しくは2個の第3の表示セグメント833,834)をオンする。また、図8(d)に示すように、車間距離が短いときは、第2の表示セグメント829をオンして、他の第2の表示セグメント830,831,832をオフして、第3の表示セグメント833をオンする。
【0008】
特許文献1に開示されている車両用表示装置は、上述したように表示を変えることにより、車間距離情報を運転者に示すものである。車間距離情報を運転者に示すことにより、運転を支援することができる。これに対して、運転者の運転をより適切に支援するために、運転者が車間距離情報をより把握しやすい車両用表示装置が求められている。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、運転者が車間距離情報を把握しやすい車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車両用表示装置は、下記(1)〜(5)を特徴としている。
(1) 各種情報を出力する表示部と、
自車両と他車両との車間距離を取得する手段からの信号を受け付け、前記信号に基づいて前記表示部の出力を制御する制御部と、
を備える車両用表示装置であって、
前記表示部は前記車間距離に関する情報を出力する領域を有し、
前記制御部は、前記自車両を示す第1の画像及び前記他車両を示す第2の画像を、前記第1の画像中の所定の1点と前記第2の画像中の所定の1点を結ぶ線分の長さが、前記車間距離に対応したものとなるように、且つ、前記表示部に表示した際に、前記第1の画像及び前記第2の画像の少なくとも一方の表示面積が、前記車間距離に対応したものとなるように、前記領域に出力させる、こと。
(2) 上記(1)記載の車両用表示装置であって、
前記制御部は、前記第1の画像及び前記第2の画像を、前記第1の画像中の所定の1点と前記第2の画像中の所定の1点を結ぶ線分の長さが、前記車間距離に対応したものとなるように、且つ、前記表示部に表示した際に、前記第1の画像及び前記第2の画像の少なくとも一方の拡大率が、前記車間距離に対応したものとなるように、前記領域に出力させる、こと。
(3) 上記(2)記載の車両用表示装置であって、
前記制御部は、前記車間距離が減少した場合には、前記線分の長さを減少させると同時に、前記拡大率を増加させ、前記車間距離が増加した場合には、前記線分の長さを増加させると同時に、前記拡大率を減少させ、前記第1の画像及び前記第2の画像を前記領域に出力させる、こと。
(4) 上記(1)記載の車両用表示装置であって、
前記制御部は、前記第1の画像及び前記第2の画像を、前記第1の画像中の所定の1点と前記第2の画像中の所定の1点を結ぶ線分の長さが、前記車間距離に対応したものとなるように、且つ、前記表示部に表示した際に、前記第1の画像の表示面積及び前記第2の画像の表示面積の少なくとも一方の、前記領域に占める割合が前記車間距離に対応したものとなるように、前記領域に出力させる、こと。
(5) 上記(4)記載の車両用表示装置であって、
前記制御部は、前記車間距離が減少した場合には、前記線分の長さを減少させると同時に、前記割合を増加させ、前記車間距離が増加した場合には、前記線分の長さを増加させると同時に、前記割合を減少させ、前記第1の画像及び前記第2の画像を前記領域に出力させる、こと。
【0011】
上記(1)の構成の車両用表示装置は、自車両と他車両との車間距離を、車間距離に関する情報を出力する領域に出力された第1の画像と第2の画像の表示間隔及び表示面積によって示す。
上記(2)の構成の車両用表示装置は、自車両と他車両との車間距離を、車間距離に関する情報を出力する領域に出力された第1の画像と第2の画像の表示間隔及び拡大率によって示す。
上記(3)の構成の車両用表示装置は、自車両と他車両との車間距離の変化を、車間距離に関する情報を出力する領域に出力された第1の画像と第2の画像の表示間隔及び拡大率によって示す。
上記(4)の構成の車両用表示装置は、自車両と他車両との車間距離を、車間距離に関する情報を出力する領域に出力された第1の画像と第2の画像の表示間隔及びその領域に占める表示面積の割合によって示す。
上記(5)の構成の車両用表示装置は、自車両と他車両との車間距離の変化を、車間距離に関する情報を出力する領域に出力された第1の画像と第2の画像の表示間隔及びその領域に占める表示面積の割合によって示す。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両用表示装置によれば、運転者が車間距離情報を把握しやすい車両用表示装置を提供できる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施形態の車両用表示装置のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、車間距離情報の表示を開始してから終了するまでの処理ルーチンを表すフローチャートである。
【図3】図3は、車間距離情報を表示する際の処理に伴う液晶表示器の表示内容を示す図である。
【図4】図4は、第1の表示方法による領域上の表示例を示した図である。
【図5】図5は、第1の表示方法による表示の遷移を示した図であり、図5(a)〜図5(c)はそれぞれ、ある一時点における表示を例示した図である。
【図6】図6は、第2の表示方法による領域上の表示例を示した図であり、図6(a)及び図6(b)はそれぞれ、ある一時点における表示を例示した図である。
【図7】図7は、第2の表示方法による表示の遷移を示した図であり、図7(a)〜図7(c)はそれぞれ、ある一時点における表示を例示した図である。
【図8】図8(a)〜図8(d)はそれぞれ、従来の車両用表示装置による表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の車両用表示装置に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0016】
本実施形態の車両用表示装置100は、自動車等の車両に搭載されて用いられる。
図1は、本実施形態の車両用表示装置100のハードウェアの構成例を示したものである。
【0017】
図1に示すように、車両用表示装置100は、マイクロコンピュータ(CPU:Central Processing Unit)101、読み出し専用メモリ(EEPROM:Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)102、インタフェース103、インタフェース104、インタフェース105、操作部106、CPU電源部107、グラフィックコントローラ108、フレームメモリ109、Xドライバ110、Yドライバ111、LCD(Liquid Crystal Display)電源部112、および液晶表示器(TFT−LCD:Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)113を備えている。
【0018】
マイクロコンピュータ101は、予め用意されたプログラムを実行し、車両用表示装置100の機能を実現するために必要な様々な処理を行う。例えば、後述する図2のフローチャートに示した処理をマイクロコンピュータ101が行う。
【0019】
読み出し専用メモリ102は、マイクロコンピュータ101が実行するプログラムの内容や予め用意された固定データなどを保持している。例えば、後述する図2のステップS22でマイクロコンピュータ101が参照する自車画像34及び他車画像35の画像データ(図4参照。)が読み出し専用メモリ102に保持されている。本実施形態では、読み出し専用メモリ102は、車間距離の値(本明細書では、「車間距離」は距離センサにより取得された自車両と先行車両との実測値であるとする。)と、自車画像34及び他車画像35の画像データとを対応付けて保持している。
【0020】
インタフェース103は、車両側のイグニッションスイッチの状態を表す信号(IGN+)をマイクロコンピュータ101に入力する。
【0021】
インタフェース104は、マイクロコンピュータ101と車両側の各種制御装置(ECU:Electric Control Unit)との間で通信を行うために利用される。具体的には、車速、エンジン回転速度、燃料残量、冷却水温、クラッチ接続の有無等の現在の様々な車両状態を表すデータが、ほぼリアルタイムのデータとして車両側からマイクロコンピュータ101に入力される。また、距離センサ(図示せず)により取得された自車両と先行車両との車間距離に関する情報が、インタフェース104を介してマイクロコンピュータ101に入力される。距離センサは、例えば赤外線センサ、超音波センサ又はレーザ光線等を利用するものである。
【0022】
インタフェース105は、操作部106から受け付けた信号をマイクロコンピュータ101に入力する。操作部106は、運転者からの入力操作を受け付けるための種々のスイッチを備えている。本実施形態では、操作部106は、開始スイッチ106(a)、終了スイッチ106(b)を備えている。
【0023】
CPU電源部107は、車両側のプラス側電源ライン(+B)から供給される直流電力を入力してマイクロコンピュータ101の動作に必要な直流電圧(Vcc)を生成する。また、必要に応じてリセット信号を生成したり、マイクロコンピュータ101から出力されるスリープ信号に従って電力供給を抑制するための動作も行う。
【0024】
液晶表示器113は、液晶デバイスにより構成された多数の微小表示セルをX方向およびY方向に並べて配置されたカラーの2次元表示画面を有している。多数の微小表示セルの表示状態をセル毎に個別に制御することにより、2次元表示画面上に図形、文字、画像等の所望の情報をグラフィック表示することができる。
【0025】
液晶表示器113は、2次元画面表示によって、図3に示すようなグラフィック表示画面を表示する。グラフィック表示画面は、速度スケール31、指針32、領域33を表示し、領域33上に自車画像34及び他車画像35を重畳して表示する。指針32は、速度スケール31上の一部を指し示して現在の車両の速度を示す。領域33は、速度スケール31の内側に表示される。領域33上に自車画像34と他車画像35が重畳して表示されることにより、自車両と先行車両(他車両)との車間距離を運転者に想起させる車間距離情報を示す。自車画像34は自車両に対応する画像であり、他車画像35は先行車両に対応する画像である。
自車画像34としては、自車両を鉛直上方から撮影した画像を用いることができる。一方、他車画像35としては、自車両とは形状の異なる車両を鉛直上方から撮影した画像を用いることができるし、自車画像34と同一の画像を用いることもできる。また、自車画像34、他車画像35としては、車両の外形形状を簡略化して表示した画像を用いることもできる。
尚、本実施形態では、速度スケール31及び指針32はグラフィック表示画面に表示されると説明したが、速度スケール31及び指針32はアナログ式のものとする構成としてもよい。
【0026】
液晶表示器113の表示画面のY方向の走査位置は、Yドライバ111の出力により順次に切り替わる。Yドライバ111は、グラフィックコントローラ108から出力される垂直同期信号に同期して、Y方向の走査位置を順次に切り替える。
【0027】
Xドライバ110は、グラフィックコントローラ108から出力される水平同期信号に同期して液晶表示器113の表示画面のX方向の走査位置を順次に切り替える。また、Xドライバ110はグラフィックコントローラ108から出力されるRGB各色の画像データを走査位置の表示セルに与えて画面中の表示内容を制御する。
【0028】
グラフィックコントローラ108は、マイクロコンピュータ101から入力される様々な命令に従って、様々なグラフィック要素を液晶表示器113の画面上に表示する。実際には、画素毎の表示内容を保持するフレームメモリ109に対して、マイクロコンピュータ101又はグラフィックコントローラ108が表示データを書き込みグラフィックの描画を行う。また、液晶表示器113の画面を2次元走査するための垂直同期信号及び水平同期信号を生成し、これらの同期信号に同期したタイミングでフレームメモリ109上の該当するアドレスに格納されている表示データを液晶表示器113に与える。
【0029】
LCD電源部112は、車両側のプラス側電源ライン(+B)から供給される直流電力を入力して、液晶表示器113の表示に必要とされる所定の直流電力を生成する。
【0030】
次に、車両用表示装置100の具体的な動作について説明する。
図2は、車間距離情報の表示を開始してから終了するまでの処理ルーチンを、フローチャートにより示している。
【0031】
まず、運転手は、イグニッションスイッチをオンにする。直流電圧(Vcc)が供給されたマイクロコンピュータ101は、グラフィック表示画面に、速度スケール31、指針32、領域33を表示する。そして、車間距離情報の表示を開始するための操作を待ち受ける。具体的には、マイクロコンピュータ101は、開始スイッチ106(a)の押下の状態を判別する。判別の結果、開始スイッチ106(a)が押下されていると判定した場合には、車間距離情報の表示を開始する。
尚、本実施形態では、開始スイッチ106(a)が押下されていると判定した場合に車間距離情報の表示を開始すると説明したが、自車両と先行車両との車間距離が予め定めた所定の値を下回った場合に、自動的に車間距離情報の表示を開始する構成としてもよい。
【0032】
ステップ21では、マイクロコンピュータ101は、インタフェース104を介して、距離センサ(図示せず)より、自車両と先行車両との車間距離の値を取得する。
【0033】
ステップ22では、マイクロコンピュータ101は、ステップ21で取得した車間距離の値に基づいて読み出し専用メモリ102を参照し、当該車間距離の値に対応した自車画像34及び他車画像35の表示画像データを取得する。
【0034】
ステップ23では、マイクロコンピュータ101は、ステップ21で取得した車間距離の値に対応した表示となるように、領域33上に自車画像34と他車画像35を重畳して出力する。ステップ23における処理の詳細については後述する。
尚、本実施形態では、読み出し専用メモリ102が、車間距離の値と、自車画像34及び他車画像35の画像データとを対応付けて保持しており、マイクロコンピュータ101は取得した車間距離の値に基づいて読み出し専用メモリ102を参照し、当該車間距離の値に対応した自車画像34及び他車画像35の表示画像データを取得して液晶表示器113に出力する、とした。これらの構成については、読み出し専用メモリ102は、自車画像34及び他車画像35の画像データを1つだけ保持しており、マイクロコンピュータ101が、取得した車間距離の値に基づいて、これらの表示切り取り範囲、表示サイズ、表示位置を変更して液晶表示器113に出力する構成としてもよい。
【0035】
ステップ24では、マイクロコンピュータ101は、車間距離情報の表示を終了するための操作を待ち受ける。具体的には、マイクロコンピュータ101は、終了スイッチ106(b)の押下の状態を判別する。判別の結果、終了スイッチ106(b)が押下されていないと判定した場合には、再びステップ21の処理を繰り返す。一方、ステップ24の判別により、終了スイッチ106(b)が押下されていると判定した場合には、車間距離情報の表示を終了する。
【0036】
以下では、ステップ22、ステップ23におけるマイクロコンピュータ101の処理について説明する。本明細書では、車間距離情報の表示方法として、第1の表示方法と第2の表示方法を用いた2つの実施形態を説明する。以下では、まず、第1の表示方法を用いた第1の実施形態について、自車画像34と他車画像35の表示と、車間距離の値の対応関係について説明する。
【0037】
[第1の表示方法]
図4は、第1の表示方法を説明するための図である。図4に示すように、本実施形態では、自車画像34と他車画像35は同一の画像が用いられている。また、両画像には車両の前後方向に対称な画像が用いられている。図4では、自車画像34と他車画像35が、領域33の中心点36を基準として上下対称に、間隔D1だけ離れて、表示されている。以下、本明細書中では、グラフィック表示画面上における、自車画像34の中心点36方向の先端と他車画像35の中心点36方向の先端との間隔を表示間隔Dと称することがある。図4に点線で示されている、自車画像34と他車画像35のうち領域33上に位置しない部分は、グラフィック表示画面に表示されない。
自車画像34のうち領域33上に位置する部分の表示面積をS1とし、他車画像35のうち領域33上に位置する部分の表示面積をS2とする。図4では、S1,S2はそれぞれ斜線で示されている。また、領域33の表示面積をSとする。このとき、領域33に占める自車画像34及び他車画像35の面積の割合(本明細書では画像割合と称することがある)Pは、(数1)により算出される。
(数1)
P=(S1+S2)/S
【0038】
マイクロコンピュータ101は、車間距離にしたがって表示間隔Dと画像割合Pを変更して、自車画像34と他車画像35を領域33上に重畳して表示する。より具体的には、以下の(数2)にしたがって表示間隔Dを決定する。
(数2)
D=α1×M
α1は所定の係数であり、Mはステップ22で取得した自車両と先行車両との間の車間距離の値である。また、以下の(数3)にしたがって画像割合Pを決定する。α2は所定の係数である。
(数3)
P=α2×M
【0039】
以下では、車間距離情報を表示する際の、第1の実施形態における、領域33の表示の変化を説明する。図5(a)〜図5(c)は、第1の表示方法による車間距離情報の表示例を示したものである。
領域33の表示は、自車両と先行車両の車間距離Mが減少するにしたがって、図5(a),図5(b),図5(c)の順に変化する。このとき、表示間隔Dは、D2,D3,D4と減少する。一方、画像割合Pは増加する。また、図5(a)〜図5(c)では3つの表示例の間の遷移として例示したが、車間距離情報の表示の際には、領域33の表示は、車間距離Mの減少にしたがって、自車画像34と他車画像35がともに領域33上に位置しない状態から、両画像の間隔が無くなり両画像が接する状態まで、連続的に遷移する。このとき、表示間隔Dは連続的に減少し、画像割合Pは連続的に増加する。
【0040】
さらに、領域33の表示は、自車両と先行車両の車間距離Mが増加するにしたがって、上述した場合とは逆に、図5(c),図5(b),図5(a)の順に変化する。このとき、車間距離Mが増加するにしたがって、表示間隔Dは連続的に増加し、画像割合Pは連続的に減少する。
【0041】
これまでに述べた、車間距離Mが減少した場合の表示の変化、及び車間距離Mが増加した場合の表示の変化は、車間距離Mの増減にしたがって双方向に行われる。この表示の変化により、第1の実施形態にかかる車両用表示装置は、運転者に車間距離情報を示す。
【0042】
以上のように、第1の実施形態では、自車画像34と他車画像35は、自車両と先行車両の車間距離Mに対応した表示間隔D及び画像割合Pで、領域33上に表示される。
これにより、車間距離Mは、表示間隔Dと画像割合Pのそれぞれの値に基づいて把握可能に、運転者に示される。つまり、車間距離情報は、同時に2つの呈示方法、即ち、表示間隔Dによる呈示方法及び画像割合Pによる呈示方法、を用いて運転者に示される。これに対して、特許文献1に開示されている車両用表示装置は、図8に示すように、車間距離情報が、表示間隔Dに相当する呈示方法のみを用いて、運転者に示されるものである。
この結果、第1の実施形態にかかる車両用表示装置は、特許文献1に開示されている車両用表示装置と比較して、車間距離情報を運転者に容易に把握させることができる。
【0043】
また、第1の実施形態では、車間距離Mが画像割合Pにより運転者に示される。表示間隔Dによる車間距離Mの運転者への呈示は、1次元の情報である2つの画像間の距離に、車間距離情報を対応させた呈示方法である。一方、画像割合Pによる車間距離Mの運転者への呈示は、2次元の情報である画像の面積に、車間距離情報を対応させた呈示方法である。
即ち、第1の実施形態では、車間距離Mは2次元の情報によって運転者に示される。2次元の情報は、1次元の情報と比較して、より直感的に値が把握される。これに対して、特許文献1に開示されている車両用表示装置は、車間距離情報が、1次元の情報である表示間隔Dに相当する呈示方法のみを用いて、運転者に示されるものである。
この結果、第1の実施形態にかかる車両用表示装置は、特許文献1に開示されている車両用表示装置と比較して、車間距離情報を運転者に直感的に把握させることができる。
【0044】
また、第1の実施形態では、車間距離Mが減少した場合には、表示間隔Dを減少させると同時に、画像割合Pを増加させ、車間距離Mが増加した場合には、表示間隔Dを増加させると同時に、画像割合Pを減少させ、自車画像34と他車画像35が領域33上に表示される。
これにより、車間距離Mの変化が、1次元の情報と2次元の情報により運転者に示される。1次元の情報による呈示は、値を正確に読み取る場合に適している。これに対して、2次元の情報による呈示は、値の変化を知覚する場合に適している。第1の実施形態によれば、値の変化である車間距離Mの変化が、1次元の情報と2次元の情報とを用いて示される。特許文献1に開示されている車両用表示装置は、図8に示すように、車間距離Mの変化が、1次元の情報である表示間隔Dに相当する呈示方法のみを用いて運転者に示されるものである。
この結果、第1の実施形態にかかる車両用表示装置は、特許文献1に開示されている車両用表示装置と比較して、車間距離Mの変化を運転者に容易に把握させることができる。
【0045】
また、第1の実施形態では、自車両と先行車両がある程度以上離れており、車間距離Mが所定の値以上である場合には、自車画像34と他車画像35は領域33上に表示されない。そして、自車両と先行車両が近づき、車間距離Mが所定の値以下となった際に、自車画像34と他車画像35は領域33上に表示され、運転者に視認される。
これにより、自車両と先行車両が所定の距離よりも近づいたことが、領域33上の画像の有無により運転者に示される。特許文献1に開示されている車両用表示装置は、図8に示すように、自車両を示す画像及び先行車両を示す画像が、常に表示器上に表示されるものである。自車両と先行車両が所定の距離よりも近づいたことは、これら2つの画像間の距離により示される。画像の有無の判別は、画像間の距離が所定値以下であるかの判別よりも容易である。
この結果、例えば、自車両と先行車両の車間距離が所定の値以下となり、車両が危険な状況に置かれている場合に、その事実が運転者に容易に把握される。即ち、第1の実施形態にかかる車両用表示装置は、特許文献1に開示されている車両用表示装置と比較して、他車両の接近を運転者に容易に把握させることができる。
【0046】
[第2の表示方法]
次に、第2の表示方法を用いた第2の実施形態について、自車画像34と他車画像35の表示と、車間距離の値の対応関係について説明する。
【0047】
図6(a),(b)は、第2の表示方法を説明するための図である。図6(a)の表示は、図4の表示と同一である。第1の表示方法の場合と同様に、自車画像34と他車画像35には同一の画像が用いられており、両画像は車両の前後方向に対称である。また、図6(b)における表示間隔D6は、図6(a)における表示間隔D5と同一である。図6(a)では、自車画像34は表示画像データに基づいて等倍に表示されている。他車画像35も自車画像34と同様に、表示画像データに基づいて等倍に表示されている。これに対して、図6(b)では、自車画像34と他車画像35は拡大して表示されている。第1の表示方法の場合と同様に、自車画像34と他車画像35のうち領域33上に位置しない部分は、グラフィック表示画面に表示されない。
【0048】
図6(a)に示すように等倍に表示した場合の自車画像34及び他車画像35のうち領域33上に位置する部分の表示面積をS3とし、図6(b)に示すように拡大して表示した場合の自車画像34及び他車画像35のうち領域33上に位置する部分の表示面積をS4とする。図6(a)及び図6(b)では、S3,S4はそれぞれ斜線で示されている。このとき、図6(b)における自車画像34及び他車画像35の拡大率Eは、(数4)により算出される。
(数4)
E=S4/S3
以下、本明細書では、等倍に表示した場合の自車画像34及び他車画像35のうち領域33上に位置する部分の表示面積に対する、拡大して表示した場合の自車画像34及び他車画像35のうち領域33上に位置する部分の表示面積の割合を、拡大率Eと称することがある。
【0049】
マイクロコンピュータ101は、車間距離にしたがって表示間隔Dと拡大率Eを変更して、自車画像34と他車画像35を領域33上に重畳して表示する。より具合的には、以下の(数5)にしたがって表示間隔Dを決定する。
(数5)
D=α3×M
α3は所定の係数である。また、以下の(数6)にしたがって拡大率Eを決定する。α4は所定の係数である。
(数6)
E=α4×M
【0050】
以下では、車間距離情報を表示する際の、第2の実施形態における、領域33の表示の変化を説明する。図7(a)〜図7(c)は、第2の表示方法による車間距離情報の表示例を示したものである。
領域33の表示は、自車両と先行車両の車間距離Mが減少するにしたがって、図7(a),図7(b),図7(c)の順に変化する。このとき、表示間隔Dは、D7,D8,D9と減少する。一方、拡大率Eは増加する。図7(a)〜図7(c)では3つの表示例の間の遷移として例示したが、車間距離情報の表示の際には、第1の表示方法の場合と同様に、領域33の表示は、車間距離Mの減少にしたがって、両画像がともに領域33上に位置しない状態から、両画像の間隔が無くなり両画像が接する状態まで、連続的に遷移する。このとき、表示間隔Dは連続的に減少し、拡大率Eは連続的に増加する。
【0051】
さらに、領域33の表示は、自車両と先行車両の車間距離Mが増加するにしたがって、上述した場合とは逆に、図7(c),図7(b),図7(a)の順に変化する。つまり、車間距離Mが増加するにしたがって、表示間隔Dは連続的に増加し、拡大率Eは連続的に減少する。
【0052】
これまでに述べた、車間距離Mが減少した場合の表示の変化、及び車間距離Mが増加した場合の表示の変化は、第1の表示方法の場合と同様に、車間距離Mの増減にしたがって双方向に行われる。この表示の変化により、本実施形態にかかる車両用表示装置は、運転者に車間距離情報を示す。
【0053】
以上のように、第2の実施形態では、自車画像34と他車画像35は、自車両と先行車両の車間距離Mに対応した表示間隔D及び拡大率Eで、領域33上に表示される。つまり、車間距離Mは、同時に2つの呈示方法、即ち、1次元の情報である表示間隔Dによる呈示方法及び2次元の情報である画像割合P、を用いて運転者に示される。
また、第2の実施形態では、車間距離Mが減少した場合には、表示間隔Dを減少させると同時に、拡大率Eを増加させ、車間距離Mが増加した場合には、表示間隔Dを増加させると同時に、拡大率Eを減少させ、自車画像34と他車画像35が領域33上に表示される。
また、第2の実施形態では、自車両と先行車両がある程度以上離れており、車間距離Mが所定の値以上である場合には、自車画像34と他車画像35は領域33上に表示されない。そして、自車両と先行車両が近づき、車間距離Mが所定の値以下となった際に、自車画像34と他車画像35は領域33上に表示され、運転者に視認される。
これらの結果、第2の実施形態にかかる車両用表示装置は、第1の実施形態にかかるものと同様の効果が得られる。
【0054】
また、第2の実施形態では、自車両と先行車両が近接しており、車間距離Mが小さい場合には、自車画像34と他車画像35が拡大して表示される。そして、自車両と先行車両が離れており、車間距離Mが大きい場合には、自車画像34と他車画像35は拡大されない。
これにより、自車両と先行車両が近接している場合には、自車両と先行車両が近接していない場合と比較して、自車画像及び他車画像の表示面積が大きく表示される。特許文献1に開示されている車両用表示装置では、図8に示すように、自車両を示す画像及び先行車両を示す画像は、常に一定の大きさで表示器上に表示される。表示器に同一の画像を表示する場合には、表示面積が大きい画像の方が表示面積の小さい画像よりも視認者の注意を惹きつける。
この結果、第2の実施形態にかかる車両用表示装置は、自車両と先行車両が近接している場合に、自車両と先行車両が近接していない場合と比較して、より運転者の注意を惹きつけることができる。即ち、第2の実施形態にかかる車両用表示装置は、特許文献1に開示されている車両用表示装置と比較して、他車両の接近を運転者に容易に把握させることができる。
【0055】
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で種々の変形や改良等を伴うことができる。
【0056】
例えば、本明細書中の実施形態では、自車画像34と他車画像35として前後方向に対称な同一の画像を用いたが、両画像は異なる画像でもよいし、前後方向に非対称な画像でもよい。両画像として異なる画像を用いた場合、或いは前後方向に非対称な画像を用いた場合には、(数3),(数6)を適宜変更することにより、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0057】
また、本明細書中の実施形態では、(数2),(数3),(数5),(数6)のように、表示間隔Dと画像割合P、及び、拡大率Eと車間距離Mとを1次式により対応付けたが、これらは任意の関係式に変更可能である。例えば、車間距離Mの値が小さい場合には、車間距離Mの変化に対して表示を大きく変更して、車間距離Mが大きい場合には、車間距離Mの変化に対する表示の変化を小さくすることにより、自車両から他車両までの車間距離が狭く車両が危険な状況にあることを運転者に容易に把握させることができる。
【0058】
また、本明細書中の実施形態では、自車両と先行車両との車間距離を運転者に想起させる車両用表示装置としたが、自車両と後続車両(他車両)との車間距離を運転者に想起させるものであってもよい。
【0059】
さらに、本明細書中の実施形態では、車間距離の値のみを用いて表示を変更したが、その他の車両に関する情報を用いて表示を変更してもよい。例えば、車両の走行速度や走行エリアに基づいて表示を変更してもよい。幅狭な道路で他車両とすれ違う場合のように走行速度が遅い場合に、拡大率をより増加して表示することにより、安全にすれ違うことができる。
【符号の説明】
【0060】
100 デジタル速度計
101 マイクロコンピュータ
102 読み出し専用メモリ
103,104,105 インタフェース
106 操作部
106(a) 開始スイッチ
106(b) 終了スイッチ
107 CPU電源部
108 グラフィックコントローラ
109 フレームメモリ
110 Xドライバ
111 Yドライバ
112 LCD電源部
113 液晶表示器
31 速度スケール
32 指針
33 領域
34 自車画像
35 他車画像
36 中心点
D1〜D9 表示間隔
S1〜S4 各車両の画像の表示面積

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種情報を出力する表示部と、
自車両と他車両との車間距離を取得する手段からの信号を受け付け、前記信号に基づいて前記表示部の出力を制御する制御部と、
を備える車両用表示装置であって、
前記表示部は前記車間距離に関する情報を出力する領域を有し、
前記制御部は、前記自車両を示す第1の画像及び前記他車両を示す第2の画像を、前記第1の画像中の所定の1点と前記第2の画像中の所定の1点を結ぶ線分の長さが、前記車間距離に対応したものとなるように、且つ、前記表示部に表示した際に、前記第1の画像及び前記第2の画像の少なくとも一方の表示面積が、前記車間距離に対応したものとなるように、前記領域に出力させる、ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の画像及び前記第2の画像を、前記第1の画像中の所定の1点と前記第2の画像中の所定の1点を結ぶ線分の長さが、前記車間距離に対応したものとなるように、且つ、前記表示部に表示した際に、前記第1の画像及び前記第2の画像の少なくとも一方の拡大率が、前記車間距離に対応したものとなるように、前記領域に出力させる、ことを特徴とする請求項1記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記車間距離が減少した場合には、前記線分の長さを減少させると同時に、前記拡大率を増加させ、前記車間距離が増加した場合には、前記線分の長さを増加させると同時に、前記拡大率を減少させ、前記第1の画像及び前記第2の画像を前記領域に出力させる、ことを特徴とする請求項2記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の画像及び前記第2の画像を、前記第1の画像中の所定の1点と前記第2の画像中の所定の1点を結ぶ線分の長さが、前記車間距離に対応したものとなるように、且つ、前記表示部に表示した際に、前記第1の画像の表示面積及び前記第2の画像の表示面積の少なくとも一方の、前記領域に占める割合が前記車間距離に対応したものとなるように、前記領域に出力させる、ことを特徴とする請求項1記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記車間距離が減少した場合には、前記線分の長さを減少させると同時に、前記割合を増加させ、前記車間距離が増加した場合には、前記線分の長さを増加させると同時に、前記割合を減少させ、前記第1の画像及び前記第2の画像を前記領域に出力させる、ことを特徴とする請求項4記載の車両用表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate