説明

車両用計器

【課題】 負荷状態による電源電圧の変動に影響を受けず、正確な車両情報を表示できる車両用計器を提供する。
【解決手段】 表示手段2と、車両側に搭載されるセンサからの検出信号に基づいて車両情報を表示するように表示手段2を制御する制御手段1と、制御手段1や表示手段1に所定電圧を供給する電源回路3と、を備えた車両用計器Aであって、制御手段1は、各種センサ4への電源供給を行う電源出力ポート11と、各種センサ4からの検出信号を入力する信号入力ポート12,13と、を設けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるセンサからの情報に基づいて表示手段を制御する制御手段を備えた車両用計器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両情報を表示する車両用計器として、例えば、特許文献1に開示されるようなものがある。これらの車両用計器は、車両に搭載されるバッテリからの電源が供給され、この電源を駆動源として各種表示を行っている。また、車両に搭載された各種センサにおいてもこのバッテリを駆動源としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−114056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の車両用計器は、この電源はセンサ入力回路専用ではなく汎用的に他回路の電源としても使用する為、他回路やセンサ入力回路の負荷状態によって電源電圧が変動(主に低下)する為にセンサが同じ状態にも関わらず入力回路から得られる情報が変動し、正確に情報を得られないといった問題があった。
【0005】
そこで本発明の目的とするところは、負荷状態による電源電圧の変動に影響を受けず、正確な車両情報を表示できる車両用計器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用計器は、表示手段と、車両側に搭載されるセンサからの検出信号に基づいて車両情報を表示するように前記表示手段を制御する制御手段と、前記制御手段や前記表示手段に所定電圧を供給する電源回路と、を備えた車両用計器であって、前記制御手段は、前記センサへの電源供給を行う電源出力ポートと、前記センサからの検出信号を入力する信号入力ポートと、を設けてなることを特徴とする。
【0007】
また、前記信号入力ポートは、前記センサと前記電源出力ポートとの間の電位を入力してなることを特徴とする。
【0008】
また、前記制御手段は、前記電源出力ポートからの出力を入力する電源入力ポートを設けてなり、前記電源入力ポートの電位と、前記信号入力ポートへの検出信号とに基づいて前記車両情報を算出してなることを特徴とする。
【0009】
また、前記制御手段は、前記電源出力ポートと前記センサとの間の配線を分岐し、複数のセンサへ電源供給してなることを特徴とする。
【0010】
また、前記センサは、車両状態に応じた電流値の検出信号を前記制御手段の前記信号入力ポートへ出力してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、車両側に搭載されるセンサからの情報に基づいて表示する表示手段を備え、前記表示手段を制御手段によって制御する車両用計器に関し、負荷状態による電源電圧の変動に影響を受けず、正確な車両情報を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態における電気的な構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明が適用された実施の形態について添付図面を用いて説明する。
【0014】
本発明の車両用計器を、二輪自動車に搭載されたものについて実施例として説明する。図1に示すように、車両用計器Aは、制御手段1と、表示手段2と、電源回路3と、によって構成される。また、車両用計器Aは、車両側の各種センサ4やバッテリ5、イグニションスイッチ(IG−SW)などと接続している。
【0015】
制御手段1は、例えば、マイクロコンピュータを適用でき、配線によって、各種センサ4などの信号を入力し、車両の走行速度に応じた走行信号やエンジン回転数信号など車両の各種信号や、イグニションスイッチからの起点信号を入力し、これら信号に応じて制御信号を生成するとともに、この制御信号を表示手段2へ出力する。また、制御手段1は、入力する各種信号に基づいて演算処理するためのCPUと、このCPUにおける演算処理結果等を一時的に格納する読出し及び書換え可能なRAMや、制御プログラムや制御データを格納したROMから構成される記憶部と、前記各種信号や制御信号、クロック信号などをやり取りするためにバス接続された入出力インターフェースと、を備えている。
【0016】
制御手段1は、後述する各種センサ4との接続や、各種センサ4以外から得られる車両情報を入力する図示しない通信ケーブルと接続されており、エンジン回転数などの情報を得ている。また、制御手段1は、各種センサ4への電源供給を行う電源出力ポート11と、各種センサ4と電源出力ポート11との間の電位を各種センサ4からの検出信号として入力する信号入力ポート12,13と、電源出力ポート11からの出力をフィードバックして入力する電源入力ポートを設けている。
【0017】
表示手段2は、車両利用者が乗車状態にて視認可能な位置に設けられる車両用計器A内において、制御手段1からの制御信号に基づいて、車両情報を車両利用者に報知するためのインターフェースである。表示手段2は、この場合、駆動ドライバを含む液晶表示パネル21や、液晶表示パネル21を透過照明するバックライト22を適用してなり、総積算走行距離表示や区間走行距離表示、車両外気温、燃費などをゲージや数値などで切換え表示するものである。
【0018】
なお、表示手段2は、制御手段1によって表示制御されるものであればよく、例えば、発光ダイオードなどの光源を用いて点灯表示する警告灯やインジケータ、またはモータを駆動源として制御信号に基づいて回動する指針と、この指針の指示対象となる目盛りや数値等の指標と、を設けて、計測値を対比判読させる所謂アナログ計器表示を行うものであってもよいし、これらアナログ計器を液晶パネルに疑似表示するものであってもよい。
【0019】
電源回路3は、DC−DCコンバータなどのレギュレータを含む定電圧回路を適用でき、例えば、車両に搭載されたバッテリ5からの電源電圧を入力し、制御手段1や表示手段2がそれぞれ駆動可能な所定電圧に変換し供給するものである。この場合、電源回路3は、バッテリ5からの約12Vの電源電圧を約5V(所定電圧)に降圧している。
【0020】
上述した車両用計器Aの制御手段1、表示手段2、電源回路3は、同一の筐体内に収納保持され、配線を介して、各種センサ4やバッテリ5と接続されている。
【0021】
各種センサ4は、車両用計器A外に設けられ、車両状態を検出するためのセンサであって、例えば、燃料タンク内の燃料残量を計測するための可変抵抗素子やフロートを含む液面センサ41や、油温や水温、外気温度などを検出するサーミスタを含む温度センサ42、車軸の回転に応じたパルス信号を出力する速度センサ(図示しない)などを適用できる。
【0022】
また、各種センサ4と制御手段1との配線において、制御手段1の電源出力ポート11からの電源が抵抗素子Rを介して各種センサ4へ供給されるとともに、制御手段1は、各種センサ4と電源出力ポート11との間の配線(詳しくは、各種センサ4と抵抗素子Rとの間の配線)が車両用計器A内で分岐して、この分岐点における電位を検出信号として信号入力ポート12,13を用いて入力している。
【0023】
また、この場合、制御手段1は、電源出力ポート11からの複数のセンサ41,42へ電源供給しているとともに、電源出力ポート11から出力された電源を電源入力ポート14にて入力し、前記電源の電圧値を読み取ることができる。したがって、各種センサ4は、専用の定電圧回路や電源の供給/停止回路を設けることなく、電源供給を受けつつ制御手段1へ検出信号を出力できる。また、制御手段1は、表示手段2の負荷変動や、電源回路3の許容誤差、他方のセンサ4の負荷状態に基づく、信号入力ポート12,13の電位変動分を考慮して車両情報を算出処理し、この車両情報に基づいて表示制御するための演算を行うことができるため、負荷状態などによる電源電圧の変動に対して影響を受けず、正確な車両情報を表示できる。
【0024】
なお、制御手段1は、単純に検出信号の入力に基づいて計測値を算出するのではなく、電源入力ポート14の電位と、信号入力ポート12,13の電位(検出信号)とを比較することによって、各種センサ4の抵抗値(消費電流値)を算出し、この値に基づく計測値を表示手段2の表示に利用することができる。
【0025】
斯かる車両用計器Aは、表示手段2と、車両側に搭載されるセンサからの検出信号に基づいて車両情報を表示するように表示手段2を制御する制御手段1と、制御手段1や表示手段1に所定電圧を供給する電源回路3と、を備え、制御手段1は、各種センサ4への電源供給を行う電源出力ポート11と、各種センサ4からの検出信号を入力する信号入力ポート12,13と、を設けてなる。
【0026】
したがって、所定電圧を供給する電源回路3は、直接、または制御手段1を介して、制御手段や各種センサが正常に作動するための安定した駆動電圧を供給できるため、正確な車両情報を表示できる車両用計器となる。
【0027】
信号入力ポート12,13は、各種センサ4と電源出力ポート11との間の電位を入力してなることによって、車両用計器Aの制御手段1と各種センサとの配線を少なくでき、簡単な構成にて、各種センサ4への電源供給と各種センサ4からの検出信号の入力を両立することができる。
【0028】
また、制御手段1は、電源出力ポート11からの出力を入力する電源入力ポート14を設けてなり、電源入力ポート14の電位と、信号入力ポート12,13への検出信号とを比較して、車両情報を算出し、表示手段2への表示制御に利用してなることによって、負荷の変動などに影響しないで、正確な計測値を算出し、表示することができる。例えば、表示手段2や車両用計器A外の負荷の変動によって、制御手段1の電源出力ポート11の出力変動が生じた場合であっても、この出力変動と各種センサ4からの検出信号とを比較することによって、正確な車両情報を得ることができる。
【0029】
また、制御手段1は、電源出力ポート11と各種センサ4との間の配線を分岐し、複数のセンサ41,42へ電源供給してなることによって、制御手段1の使用するポート数を低減できる。また、各種センサ4が、車両状態に応じた電流値の検出信号を制御手段1の信号入力ポート12,13へ出力してなる構成であっても、電源入力ポート14の電位を考慮して、検出信号を読み取ることによって、正確な車両情報を得ることができる。
【0030】
なお、本発明の車両用計器を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに設計の変更が可能なことは勿論である。例えば、制御手段1からの電源供給を受けるセンサの種類や数は、センサの負荷と制御手段1の許容出力容量とに依存し、必要に応じて、上述した実施の形態と同様の電源出力ポートと電源入力ポートとを一対にして増やしても良い。また、制御手段1は、上述したセンサと並列して、各種スイッチを接続することも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、車両用計器に関し、例えば、自動車やオートバイ、あるいは農業機械や建設機械を備えた移動体に搭載される車両用計器として適用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 制御手段
11 電源出力ポート
12,13 信号入力ポート
14 電源入力ポート
2 表示手段
3 電源回路
4 各種センサ(センサ)
A 車両用計器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
車両側に搭載されるセンサからの検出信号に基づいて車両情報を表示するように前記表示手段を制御する制御手段と、前記制御手段や前記表示手段に所定電圧を供給する電源回路と、を備えた車両用計器であって、
前記制御手段は、前記センサへの電源供給を行う電源出力ポートと、前記センサからの検出信号を入力する信号入力ポートと、を設けてなることを特徴とする車両用計器。
【請求項2】
前記信号入力ポートは、前記センサと前記電源出力ポートとの間の電位を入力してなることを特徴とする請求項1に記載の車両用計器。
【請求項3】
前記制御手段は、前記電源出力ポートからの出力を入力する電源入力ポートを設けてなり、前記電源入力ポートの電位と、前記信号入力ポートへの検出信号とに基づいて前記車両情報を算出してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用計器。
【請求項4】
前記制御手段は、前記電源出力ポートと前記センサとの間の配線を分岐し、複数のセンサへ電源供給してなることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の車両用計器。
【請求項5】
前記センサは、車両状態に応じた電流値の検出信号を前記制御手段の前記信号入力ポートへ出力してなることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の車両用計器。

【図1】
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