説明

車両用通信システム

【課題】車両内に存在する携帯通信端末を精度良く識別し、この携帯通信端末を確実に通信制御装置に通信可能に接続する。
【解決手段】ドライブスルーシステム10において、携帯通信端末12および車両用通信装置13は、共有情報を共有している。携帯通信端末12は、アクセスポイント15を介して通信制御装置17に接続されると共有情報を通信制御装置17に送信する。車両用通信装置13は、路側機16を介して通信制御装置17に接続されると共有情報を通信制御装置17に送信する。通信制御装置17は、後に送信された共有情報が先に送信された共有情報に一致すると判断した場合に、アクセスポイント15を介した携帯通信端末12との通信を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば店舗などに設置された通信制御装置に車両内の携帯通信端末を通信可能に接続する車両用通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、いわゆるドライブスルーシステムとして、携帯電話機などの携帯通信端末を利用した種々のシステムが考えられている。例えば特許文献1には、注文者が携帯電話を用いて受付サーバに送信した注文データを、チェーン店に加入する各店舗に配信することにより、各店舗で受注の準備をするようにしたシステムが開示されている。また、例えば特許文献2には、予め注文を受けていることを案内する案内情報を携帯端末に送信するシステムが開示されている。
ところで、近年では、この種のドライブスルーシステムにおいて、例えば店舗などに設置された通信制御装置に車両内の携帯通信端末を通信可能に接続することで、ドライブスルーによる注文を携帯通信端末を介して行うことが考えられている。ところが、この場合、通信制御装置の接続領域内、つまり、通信エリア内には、車両内の携帯通信端末のみならず、例えば店舗の従業員の携帯通信端末や店内の客席にて飲食する顧客の携帯通信端末も存在している。そのため、これら店舗内に存在する携帯通信端末、つまり、車両内に存在する携帯通信端末以外の携帯通信端末が通信制御装置に通信可能に接続されてしまうことが懸念される。このような事情から、例えば店舗などに設置された通信制御装置に車両内の携帯通信端末を通信可能に接続するシステムでは、車両内に存在する携帯通信端末を精度良く識別し、この車両内の携帯通信端末を確実に通信制御装置に通信可能に接続するための技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−259831号公報
【特許文献2】特開2005−316649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両内に存在する携帯通信端末を精度良く識別し、この携帯通信端末を確実に通信制御装置に通信可能に接続することができる車両用通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した発明によれば、車両内に存在する携帯通信端末が、車両に搭載された車両用通信装置に通信可能に接続される車両用通信システムにおいて、携帯通信端末および車両用通信装置は、双方で共有情報を共有している。そして、携帯通信端末は、携帯通信端末用に設定されたアクセスポイントの接続領域内に存在する場合に、当該アクセスポイントを介して通信制御装置に接続されると、端末側共有情報送信手段によって上記の共有情報を通信制御装置に送信する。また、車両用通信装置は、車両用通信装置用に設定された路側機の接続領域内に存在する場合に、当該路側機を介して通信制御装置に接続されると、通信装置側共有情報送信手段によって上記の共有情報を通信制御装置に送信する。そして、通信制御装置は、端末側共有情報送信手段が送信した共有情報および通信装置側共有情報送信手段が送信した共有情報のうち後に送信された共有情報が先に送信された共有情報に一致するか否かを判断手段によって判断し、後に送信された共有情報が先に送信された共有情報に一致すると判断した場合に、通信制御手段によって、アクセスポイントを介した携帯通信端末との通信を開始する。
【0006】
即ち、車両用通信装置および携帯通信端末は、それぞれ通信制御装置に接続されたことをトリガとして、双方で共有している共有情報をそれぞれ通信制御装置に送信する。そして、車両用通信装置および携帯通信端末の双方が送信した共有情報が一致する場合に、通信制御装置は、車両内に存在する携帯通信端末との通信が可能となる。これにより、車両に搭載された車両用通信装置と車両内に存在する場合に当該車両用通信装置に通信可能に接続される携帯通信端末とを対応付ける共有情報に基づいて、車両内に存在する携帯通信端末を精度良く識別することができ、車両内に存在する当該携帯通信端末を確実に通信制御装置に通信可能に接続することができる。
【0007】
この場合、請求項2に記載した発明のように、通信制御装置は、端末側共有情報送信手段が送信した共有情報および通信装置側共有情報送信手段が送信した共有情報のうち先に送信された共有情報を共有情報保持手段によって保持し、後に送信された共有情報が共有情報保持手段に保持されている共有情報と一致するか否かを判断手段によって判断する構成とするとよい。これにより、共有情報の一致/不一致の判断基準となる先に送信された共有情報を確実に保持することができ、共有情報の一致/不一致の判断の信頼性を向上することができる。
また、請求項3に記載した発明のように、通信制御装置は、後に送信された共有情報と先に送信された共有情報とが不一致であると判断した場合に、通信要求拒否手段によって携帯通信端末からの通信要求を拒否する構成とするとよい。即ち、共有情報が不一致であった場合の処理として、携帯通信端末からの通信要求を拒否するという処理を具体的に規定しておくことにより、車両内に存在する携帯通信端末を確実に通信制御装置に通信可能に接続することを一層制度良く実行することができる。
【0008】
請求項4に記載した発明によれば、通信制御装置と携帯通信端末とのアクセスポイントを介した通信が「通話」である場合には、例えば車両が走行を開始するなどして車両用通信装置と路側機との接続が解除されたことをトリガとして、アクセスポイントを介した携帯通信端末と通信制御装置との通話を規制するようにした。また、請求項5に記載した発明によれば、通信制御装置と携帯通信端末とのアクセスポイントを介した通信が「携帯通信端末への入力画面の表示」および「当該入力画面を介した入力操作の受付け」を担う通信である場合には、例えば車両が走行を開始するなどして車両用通信装置と路側機との接続が解除されたことをトリガとして、アクセスポイントを介した携帯通信端末と通信制御装置との通信を規制するようにした。これら請求項4,5に記載の発明によれば、安全な車両用通信システムを提供することができる。
ところで、通信制御装置と携帯通信端末との通信がいわゆる「ハンズフリー通話」である場合には、例えば車両が走行を開始するなどして車両用通信装置と路側機との接続が解除されたとしても、運転者はハンズフリーの状態であることから運転上の支障はない。そのため、請求項6に記載した発明は、通信制御装置と携帯通信端末との通信がいわゆる「ハンズフリー通話」である場合には、車両用通信装置と路側機との接続が解除されたとしても、携帯通信端末を介したハンズフリー通話を維持する構成としたものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、ドライブスルーシステムの構成を概略的に示す図
【図2】携帯通信端末、車両用通信装置、通信制御装置の構成を概略的に示すブロック図
【図3】動作内容を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る車両用通信システムを適用したいわゆるドライブスルーシステム10の構成を概略的に示している。ドライブスルーシステム10は、例えば車両11のユーザが携帯する携帯通信端末12と、車両11に搭載された車両用通信装置13と、例えばファーストフード店などの店舗14内に設置されたアクセスポイント15と、店舗14に設けられたドライブスルー用のルートRに設置された路側機16と、店舗14内に設置された通信制御装置17とを備える。
【0011】
路側機16と車両用通信装置13との通信可能エリアは、様々な車両タイプを考慮した上で、少なくとも1台の車両11をカバーできる広さで設定される。車両用通信装置13は、例えば、車両11の車室内のフロントのダッシュボードやフロントガラスに取り付けられ、路側機16は、この車両用通信装置13と接続可能な通信エリアを形成する。携帯通信端末12としては、スマートフォンなどの多機能型携帯通信端末や携帯電話機など種々の携帯型の通信端末を採用することができる。さらに、この携帯通信端末12は、いわゆるハンズフリー機能を備えたナビゲーション装置で構成してもよい。なお、店舗14内には、例えば店舗14の従業員の携帯通信端末や店内の客席にて飲食する顧客の携帯通信端末など、車両11内に存在する携帯通信端末12以外の携帯通信端末100が存在している。また、例えば車両11の運転者とは関わりのない歩行者が店舗14の周辺を歩行する場合があり、この歩行者が所有する携帯通信端末101が車両用通信装置13の通信エリア内に存在する場合もある。この場合、車両用通信装置13は、この携帯通信端末101とは接続を許可する設定がされていない。そのため、携帯通信端末101と車両用通信装置13との間で、情報の共有化はされないようになっている。
【0012】
車両用通信装置13は、例えば、DSRC車載機、ETC車載機、などの車両11に搭載される種々の通信装置で構成することができる。また、車両用通信装置13は、車両11に組み込まれる通信装置のほか、例えば、車両11から取り外し可能な携帯型の通信装置などで構成してもよい。本実施形態では、車両用通信装置13は、車両11の経路案内などを実施するいわゆるカーナビゲーション装置と一体的に構成されている。そのため、車両用通信装置13は、カーナビゲーション装置が備える表示部13aや操作部13bを当該車両用通信装置13の表示部および操作部として共用する構成である。なお、車両用通信装置13は、カーナビゲーション装置とは別体で構成してもよい。また、車両用通信装置13は、携帯通信端末12と通信可能に接続されることで、この携帯通信端末12が備える表示部26や操作部27を当該車両用通信装置13の表示部および操作部として共用する構成としてもよい。
【0013】
このドライブスルーシステム10では、携帯通信端末12を携帯したユーザが車両11に乗車すると、詳しくは後述するようにして、携帯通信端末12と車両用通信装置13とが通信可能に接続される。この携帯通信端末12と車両用通信装置13との間に確立する通信形態としては、種々の通信形態を採用することができ、例えば、Bluetooth通信(Bluetooth:登録商標)、WiFi通信(WiFi:登録商標)、USB通信(USB:Universal Serial Bus)などで構成することができる。
【0014】
これら携帯通信端末12および車両用通信装置13は、双方を対応付けるユニークリィな共有情報、つまり、双方の紐付け関係を特定する独自の情報を双方で共有するようになっている。この共有情報としては、種々の情報を設定することができ、例えば、車両用通信装置13の製造番号や利用者番号などの車両用通信装置13の固有番号、携帯通信端末12の製造番号、IPアドレス、電話番号などの携帯通信端末12の固有番号などを設定することができる。また、携帯通信端末12あるいは車両用通信装置13が通信制御装置17に接続されたことをトリガとして当該通信制御装置17から整理番号を発行し、その整理番号を共有情報として設定するように構成してもよい。また、通信制御装置17にてユーザの会員番号を当該ユーザの携帯通信端末12、および/または、車両用通信装置13に対応付けて管理するように構成し、携帯通信端末12あるいは車両用通信装置13が通信制御装置17に接続されたことをトリガとして、それら携帯通信端末12あるいは車両用通信装置13のユーザに対応する会員番号を携帯通信端末12、および/または、車両用通信装置13に送信して共有情報として設定するように構成してもよい。また、携帯通信端末12の決済に関わる番号、決済カードの番号、会員カードの番号などを読み取り、その番号を共有情報として取り扱うことも可能である。
【0015】
また、この共有情報を携帯通信端末12および車両用通信装置13の双方で共有するタイミングは、適宜のタイミングを設定することができる。例えば、携帯通信端末12および車両用通信装置13の何れか一方の固有情報を共有情報として設定する場合には、携帯通信端末12と車両用通信装置13とが通信可能に接続されたことをトリガとして、その一方の固有情報を他方に送信して双方で共有するように構成してもよい。また、車両11がドライブスルー用のルートRに進入したことおよびルートRから退出したことを検知する車両進入/退出検知センサ14aを設置し、このセンサによって車両11がルートRに進入したことが検知されたことをトリガとして、一方の固有情報を他方に送信して双方で共有するように構成してもよい。また、共有情報を予め携帯通信端末12および車両用通信装置13の双方に記憶しておくことで双方で共有する構成としてもよい。
【0016】
次に、携帯通信端末12、車両用通信装置13、および、通信制御装置17の構成について図2を参照しながら説明する。
まず、携帯通信端末12の構成について説明する。携帯通信端末12は、制御部21と、車内用通信回線接続部22と、店舗用狭域無線通信回線接続部23と、電話通信部24と、記憶部25と、表示部26と、操作部27と、マイクロホン28と、スピーカ29と、ハンズフリー機能部30などを備える。
制御部21は、周知のマイクロコンピュータからなるCPU、RAM、ROM、及びI/Oバスなどを有し、携帯通信端末12の通信動作やデータ管理動作などの動作全般を制御する。また、制御部21は、予めインストールされたインターフォンアプリケーション(以下、インターフォンアプリと称する)を起動することで、詳しくは後述するようにしていわゆるドライブスルーシステムにおけるインターフォンとしての機能を実現するようになっている。
【0017】
また、この制御部21は、コンピュータプログラムを実行することにより、端末側共有情報送信処理部31をソフトウェアによって仮想的に実現する。この端末側共有情報送信処理部31は、携帯通信端末12が店舗用狭域無線通信回線接続部23を介してアクセスポイント15に接続されると、携帯通信端末12および車両用通信装置13の双方で共有する共有情報を、当該アクセスポイント15を介して通信制御装置17に送信する端末側共有情報送信処理を実行する。この端末側共有情報送信処理部31は、本発明でいう端末側共有情報送信手段に相当する。
【0018】
車内用通信回線接続部22は、車両用通信装置13が備える車内用通信回線接続部42との間に無線あるいは有線の通信回線を確立し、携帯通信端末12を車両用通信装置13に通信可能に接続する。
店舗用狭域無線通信回線接続部23は、通信制御装置17に接続されたアクセスポイント15との間に例えば無線の通信回線を確立し、携帯通信端末12をアクセスポイント15を介して通信制御装置17に通信可能に接続する。この場合、携帯通信端末12とアクセスポイント15との間に確立する無線の通信形態としては、例えばWiFi通信を採用することができる。
【0019】
電話通信部24は、公衆の携帯電話網や固定電話網を含む通信網との間で電話通信を実行する。記憶部25は、共有情報など各種データを記憶する記憶領域を有する。
表示部26は、制御部21から表示指令信号を入力すると、その入力した表示指令信号に基づいて各種表示画面を表示する。操作部27は、ユーザが操作可能な各種キーとして通話開始キー、通話終了キー、「0」〜「9」の数字キーなどを有し、ユーザがキーを操作したことに応じて操作検出信号を制御部21へ出力する。制御部21は、操作部27から入力した操作検出信号を解析してユーザの操作を特定する。また、制御部21は、ユーザから発せられてマイクロホン28により集音された送話音声を変調処理する機能、受話音声を復調処理してスピーカ29から出力させる機能などを有する。
ハンズフリー機能部30は、周知のハンズフリー機能を提供する機能ブロックであり、ユーザから発せられてマイクロホン28により集音された送話音声を変調処理する機能、受話音声を復調処理してスピーカ29から出力させる機能、エコーをキャンセルする機能などを有する。
【0020】
次に、車両用通信装置13の構成について説明する。車両用通信装置13は、制御部41と、車内用通信回線接続部42と、車両用狭域無線通信回線接続部43と、記憶部44と、マイクロホン45と、スピーカ46と、ハンズフリー機能部47と、車両LANインターフェース部48と、電源制御部49などを備える。
制御部41は、周知のマイクロコンピュータからなるCPU、RAM、ROM、及びI/Oバスなどを有し、車両用通信装置13の通信動作やデータ管理動作などの動作全般を制御する。また、この制御部41は、コンピュータプログラムを実行することにより、通信装置側共有情報送信処理部51をソフトウェアによって仮想的に実現する。この通信装置側共有情報送信処理部51は、車両用通信装置13が路側機16に接続されると、携帯通信端末12および車両用通信装置13の双方で共有する共有情報を、当該路側機16を介して通信制御装置17に送信する通信装置側共有情報送信処理を実行する。この通信装置側共有情報送信処理部51は、本発明でいう通信装置側共有情報送信手段に相当する。
【0021】
車内用通信回線接続部42は、携帯通信端末12が備える車内用通信回線接続部22との間に無線あるいは有線の通信回線を確立し、車両用通信装置13を携帯通信端末12に通信可能に接続する。
車両用狭域無線通信回線接続部43は、通信制御装置17に接続された路側機16との間に例えば無線の通信回線を確立し、車両用通信装置13を路側機16を介して通信制御装置17に通信可能に接続する。この場合、車両用通信装置13と路側機16との間に確立する無線の通信形態としては、例えばDSRC通信(DSRC:Dedicated Short Range Communications)を採用することができる。
【0022】
記憶部44は、共有情報など各種データを記憶する記憶領域を有する。ハンズフリー機能部47は、周知のハンズフリー機能を提供する機能ブロックであり、ユーザから発せられてマイクロホン45により集音された送話音声を変調処理する機能、受話音声を復調処理してスピーカ46から出力させる機能、エコーをキャンセルする機能などを有する。
車両LANインターフェース部48は、車両11に実装されている図示しない車両LANとの間で入出力機能を有し、図示しないACCスイッチから出力された当該ACCスイッチのオン/オフを示すACC信号や各種ECUや各種センサから出力された車両11の各種挙動を示す信号を車両LANを通じて入力する。電源制御部49は、車両11に実装されている図示しない電源ラインに接続されており、図示しない車両バッテリから電源ラインを通じて供給された電力から動作電源を生成して各機能ブロックへ供給する。
【0023】
車両用通信装置13において、制御部41は、ACCスイッチから車両LANを通じて車両LANインターフェース部48へACC信号が入力されると、そのACC信号に基づいてACCスイッチのオン/オフを判定し、車両用通信装置13全体の動作電源をオン/オフする。即ち、制御部41は、ACCスイッチがオフからオンへ切換わったと判定すると、車両バッテリから電源ラインを通じて電源制御部49へ供給された電力により生成された動作電源を全ての機能ブロックへ供給し、車両用通信装置13を通常動作状態で動作させる。一方、制御部41は、ACCスイッチがオンからオフへ切換わったと判定すると、車両バッテリから電源ラインを通じて電源制御部49へ供給された電力により生成された動作電源を一部の機能ブロックへ供給し、車両用通信装置13を通常動作状態よりも消費電力が低い低消費動作状態で動作させる。即ち、車両用通信装置13は、電源オンでは通常動作状態で動作し、電源オフでは低消費動作状態で動作する。
【0024】
アクセスポイント15は、携帯通信端末用に設定された接続領域内、つまり、通信エリア内に携帯通信端末12が存在する場合に、当該携帯通信端末12が店舗用狭域無線通信回線接続部23を介して通信可能に接続される。このアクセスポイント15は、通信制御装置17に接続されており、通信可能に接続された携帯通信端末12と通信制御装置17との間で各種の通信データを中継する機能を有する。なお、アクセスポイント15は、有線の通信回線によって通信制御装置17に接続してもよいし、無線の通信回線によって通信制御装置17に接続してもよい。このアクセスポイント15は、この場合、店舗14内に設置されており、従って、車両11の外部に設置されている。
【0025】
路側機16は、車両用通信装置用に設定された接続領域内、つまり、通信エリア内に車両用通信装置13が存在する場合に、当該車両用通信装置13が車両用狭域無線通信回線接続部43を介して通信可能に接続される。この路側機16は、通信制御装置17に接続されており、通信可能に接続された車両用通信装置13と通信制御装置17との間で各種の通信データを中継する機能を有する。なお、路側機16は、有線の通信回線によって通信制御装置17に接続してもよいし、無線の通信回線によって通信制御装置17に接続してもよい。この路側機16は、この場合、店舗14の建物外に設けられたドライブスルー用のルートRに設置されており、従って、車両11の外部に設置されている。
【0026】
次に、通信制御装置17の構成について説明する。通信制御装置17は、制御部61と、記憶部62と、表示制御部63と、操作入力部64などを備える。また、この通信制御装置17には、ドライブスルー用のルートRに面して店舗14に設置された路側インターフォン65が接続されている。また、この通信制御装置17には、上記したアクセスポイント15および路側機16が通信可能に接続されている。
制御部61は、周知のマイクロコンピュータからなるCPU、RAM、ROM、及びI/Oバスなどを有し、通信制御装置17の通信動作やデータ管理動作などの動作全般を制御する。また、この制御部61は、コンピュータプログラムを実行することにより、共有情報保持処理部71、判断処理部72、通信制御処理部73、通信要求拒否処理部74をソフトウェアによって仮想的に実現する。共有情報保持処理部71は、本発明でいう共有情報保持手段に相当し、判断処理部72は、本発明でいう判断手段に相当し、通信制御処理部73は、本発明でいう通信制御手段に相当し、通信要求拒否処理部74は、本発明でいう通信要求拒否手段に相当する。
【0027】
共有情報保持処理部71は、携帯通信端末12が端末側共有情報送信処理部31によって送信した共有情報および車両用通信装置13が通信装置側共有情報送信処理部51によって送信した共有情報のうち、先に送信された共有情報、換言すれば、先に受信した共有情報を記憶部62に記憶して保持する。
判断処理部72は、携帯通信端末12が端末側共有情報送信処理部31によって送信した共有情報および車両用通信装置13が通信装置側共有情報送信処理部51によって送信した共有情報のうち、後に送信された共有情報、つまり、先に受信した共有情報が先に送信された共有情報、つまり、共有情報保持処理部71によって記憶部62に保持されている先に受信した共有情報に一致するか否かを判断する判断処理を実行する。
【0028】
通信制御処理部73は、通信制御装置17と携帯通信端末12との通信および通信制御装置17と車両用通信装置13との通信に関する制御全般を担うものであり、例えば、上記した判断処理部72が、後に送信された共有情報が先に送信された共有情報に一致すると判断した場合に、アクセスポイント15を介した携帯通信端末12との通信を開始する制御などを実行する。
通信要求拒否処理部74は、上記した判断処理部72が、後に送信された共有情報と先に送信された共有情報とが不一致であると判断した場合に、携帯通信端末12からの通信要求を拒否する通信要求拒否処理を実行する。これにより、携帯通信端末12が送信した共有情報と車両用通信装置13が送信した共有情報とが不一致である場合には、アクセスポイント15を介した携帯通信端末12と通信制御装置17との通信が遮断されるようになる。
【0029】
記憶部62は、共有情報など各種データを記憶する記憶領域を有する。表示制御部63は、制御部61から表示指令信号を入力すると、その入力した表示指令信号に基づいて表示装置66の表示動作を制御する。操作入力部64には、表示装置66の表示画面上に形成される各種タッチスイッチや店舗の従業員が携帯する操作入力装置などからなる操作装置67が接続されている。操作入力部64は、例えば店舗の従業員が操作装置67を操作したことに応じて当該操作装置67から操作検出信号を入力すると、その入力した操作検出信号を制御部61へ出力する。制御部61は、操作入力部64から入力した操作検出信号を解析して、入力された操作を特定する。
【0030】
次に、上記した構成のドライブスルーシステム10の動作について図3を参照しながら説明する。なお、以下に説明する処理は、携帯通信端末12では主として制御部21により実行され、車両用通信装置13では主として制御部41により実行され、通信制御装置17では主として制御部61により実行されるものであるが、説明の簡略化のため、それぞれ携帯通信端末12、車両用通信装置13、および、通信制御装置17を主体にして説明する。
上記した構成のドライブスルーシステム10において、携帯通信端末12は、アクセスポイント15に接続されたか否かを監視しており(ステップA1)、車両用通信装置13は、路側機16に接続されたか否かを監視している(ステップB1)。そして、携帯通信端末12は、アクセスポイント15に接続されると(ステップA1:YES)、自身が有する共有情報を、端末側共有情報送信処理部31によって当該アクセスポイント15を介して通信制御装置17に送信する(ステップA2)。一方、車両用通信装置13は、路側機16に接続されると(ステップB1:YES)、自身が有する共有情報を、通信装置側共有情報送信処理部51によって当該路側機16を介して通信制御装置17に送信する(ステップB2)。
【0031】
なお、携帯通信端末12からの共有情報の送信タイミングは当該携帯通信端末12がアクセスポイント15に接続されたタイミングであり、車両用通信装置13からの共有情報の送信タイミングは当該車両用通信装置13が路側機16に接続されたタイミングである。従って、各装置の接続タイミングに応じて、携帯通信端末12からの共有情報の送信が車両用通信装置13からの共有情報の送信タイミングよりも早い場合、換言すれば、車両用通信装置13からの共有情報の送信が携帯通信端末12からの共有情報の送信タイミングよりも遅い場合もあれば、車両用通信装置13からの共有情報の送信が携帯通信端末12からの共有情報の送信タイミングよりも早い場合、換言すれば、携帯通信端末12からの共有情報の送信が車両用通信装置13からの共有情報の送信タイミングよりも遅い場合もある。
【0032】
通信制御装置17は、携帯通信端末12が送信した共有情報および車両用通信装置13が送信した共有情報のうち、先に受信した共有情報を、共有情報保持処理部71によって記憶部62に保持する(ステップC1)。
また、通信制御装置17は、路側機16を介して車両用通信装置13が接続されると、携帯通信端末12にインターフォンアプリの起動を指令する(ステップC2)。このとき、通信制御装置17は、路側機16を介して車両用通信装置13から間接的にアプリの起動を指令する。即ち、通信制御装置17は、アプリの起動を指令する起動指令信号を、路側機16を介して車両用通信装置13から携帯通信端末12に送信する。なお、通信制御装置17は、アクセスポイント15を介して携帯通信端末12に直接的にアプリの起動を指令するように構成してもよい。
【0033】
通信制御装置17からインターフォンアプリの起動指令を受けた携帯通信端末12は、インターフォンアプリを起動する(ステップA3)。このインターフォンアプリが起動されることにより、携帯通信端末12は、通信制御装置17が通信を許可したことを条件に、アクセスポイント15を介して当該通信制御装置17と通信可能な状態となる。なお、携帯通信端末12は、インターフォンアプリの起動指令を受けて直ちにインターフォンアプリを起動するように構成してもよいが、より好ましくは、以下のように構成するとよい。即ち、携帯通信端末12は、通信制御装置17からインターフォンアプリの起動指令を受けると、表示部26に図示しない起動確認画面を表示する。この起動確認画面には、少なくとも、インターフォンアプリの起動を許可する許可ボタンおよび不許可とする不許可ボタンが設けられており、ユーザは、何れかのボタンを操作することで、インターフォンアプリの許可あるいは不許可を携帯通信端末12に入力することが可能である。そして、携帯通信端末12は、インターフォンアプリの許可が入力されたことを条件にインターフォンアプリを起動し、インターフォンアプリの不許可が入力された場合にはインターフォンアプリを起動しないように構成する。即ち、インターフォンアプリの起動を、携帯通信端末12のユーザが最終的に決定する構成とするのである。
【0034】
また、通信制御装置17は、判断処理部72による判断処理を実行する(ステップC3)。この判断処理では、通信制御装置17は、携帯通信端末12が送信した共有情報および車両用通信装置13が送信した共有情報のうち、後に受信した共有情報が、その時点で記憶部62に保持している共有情報、つまり、先に受信した共有情報に一致するか否かを判断する。なお、この判断処理は、上記のステップC2よりも前に実行してもよいし、ステップC2と並列して実行してもよい。
【0035】
上記の判断処理の結果、先に受信した共有情報と後に受信した共有情報とが一致する場合(ステップC4:YES)には、通信制御装置17は、通信許可処理を実行する(ステップC5)。この通信許可処理では、通信制御装置17は、アクセスポイント15を介した携帯通信端末12との通信を許可し、通信許可信号を携帯通信端末12に送信する。一方、携帯通信端末12は、この通信許可信号を受信すると(ステップA4:YES)、アクセスポイント15を介して当該通信制御装置17と通信可能な状態となり、通信制御装置17との通信が開始される(ステップA5)。これにより、車両11内のユーザは、携帯通信端末12をいわゆるインターフォンとして機能させて、店舗14内の従業員に注文を行うことができるようになる。即ち、ユーザは、車両11の窓を開けることなく、車両11内の携帯通信端末12を用いて注文を行うことができる。従って、例えば、大雨、強風、猛暑などの悪天候であっても、ユーザは快適に注文を行うことができる。また、音声を聞き取り難い路側インターフォン65による注文に比べ、車両11内の携帯通信端末12によれば格段に音声が聞き取り易く、従って、注文をスムーズに行うことができる。
【0036】
なお、携帯通信端末12と通信制御装置17とが通信可能となった状態は、例えば注文を完了したことに伴い、携帯通信端末12のユーザがインターフォンアプリを終了することによって、あるいは、店舗14内の従業員が通信制御装置17に回線切断の操作を入力することによって解除することができる。
【0037】
一方、上記の判定処理の結果、先に受信した共有情報と後に受信した共有情報とが一致しない場合(ステップC4:NO)には、通信制御装置17は、通信要求拒否処理を実行する(ステップC6)。この通信要求拒否処理では、通信制御装置17は、アクセスポイント15を介した携帯通信端末12との通信を拒否し、通信要求拒否信号を携帯通信端末12に送信する。一方、携帯通信端末12は、この通信要求拒否信号を受信すると(ステップA6:YES)、アクセスポイント15を介した当該通信制御装置17との通信が不能な状態となり、従って、通信制御装置17との通信が開始されないようになっている。
【0038】
ところで、上記のステップA5を経て、携帯通信端末12と通信制御装置17との通信が開始された状態において、万が一、注文の途中で車両11が走行を開始してしまった場合には、携帯通信端末12を介した注文を中断する必要が生じる。特に、アクセスポイント15を介した携帯通信端末12と通信制御装置17との通信が「通話」である場合には、車両11が走行を開始したら直ちに携帯通信端末12を介した注文を中断すべきである。そのため、通信制御装置17は、先に受信した共有情報と後に受信した共有情報とが一致し、アクセスポイント15を介した携帯通信端末12との通話を開始した場合において、例えば車両11が走行を開始して車両用通信装置13と路側機16との接続が解除されると、つまり、車両用通信装置13が路側機16の接続領域から外れると、アクセスポイント15を介した携帯通信端末12との接続を遮断して通話を不能とするように構成されている。
【0039】
なお、通信制御装置17は、先に受信した共有情報と後に受信した共有情報とが一致した場合に、アクセスポイント15を介した携帯通信端末12との通信としてハンズフリー機能部30によるいわゆる「ハンズフリー通話」を開始することも可能である。この場合、車両11が走行を開始して車両用通信装置13と路側機16との接続が解除されたとしても、車両11の運転者はハンズフリーの状態であることから、ハンズフリー通話を直ちに中断するほどの運転上の支障はない。そのため、アクセスポイント15を介した携帯通信端末12と通信制御装置17との通信がいわゆるハンズフリー通話である場合には、通信制御装置17は、車両用通信装置13と路側機16との接続が解除されても、アクセスポイント15を介した携帯通信端末12とのハンズフリー通話を維持するように構成してもよい。なお、この構成は、車両11の走行中における携帯通信端末12の操作を許容することを意図するものではない。また、ハンズフリー通話は、携帯通信端末12の車両用通信装置13とが連携して動作することで、車両用通信装置13のハンズフリー機能部47によって実現することも可能である。
【0040】
また、車両11の走行開始を検知するための構成としては、種々の構成を採用することができる。例えば、車両用通信装置13と路側機16との接続が確立されると、路側機16は、車両用通信装置13に接続確認コマンドを連続的あるいは断続的に送信するように構成し、車両用通信装置13は、この接続確認コマンドを受信したら応答コマンドを路側機16に返信するように構成する。そして、この車両用通信装置13から応答コマンドが返信されなくなった場合に、通信制御装置17は、車両用通信装置13と路側機16との接続が解除されたこと、換言すれば、車両11が走行を開始したことを検知する構成とする。
【0041】
また、ドライブスルー用のルートRに設置された車両進入/退出検知センサ14aによって、車両11が走行を開始したこと、換言すれば、車両11がルートRから退出したことを検知するように構成してもよい。
さらに、車両11が走行を開始したことを検知した場合には、携帯通信端末12は、例えば表示部26からの表示出力やスピーカ29からの音声出力によって、車両11を停車させることを促す警告処理を実行するように構成するとよい。また、このような警告処理を通信制御装置17が実行するように構成し、車両11が走行を開始したことを店舗14内の従業員にも通知するようにしてもよい。
【0042】
以上に説明したように本実施形態によれば、車両11内に存在する携帯通信端末12が、車両11に搭載された車両用通信装置13に通信可能に接続されるドライブスルーシステム10において、携帯通信端末12および車両用通信装置13は、ユニークリィな共有情報を双方で共有している。そして、携帯通信端末12は、携帯通信端末用に設定されたアクセスポイント15の接続領域内に存在する場合に、当該アクセスポイント15を介して通信制御装置17に接続されると、端末側共有情報送信処理部31によって上記の共有情報を通信制御装置17に送信する。また、車両用通信装置13は、車両用通信装置用に設定された路側機16の接続領域内に存在する場合に、当該路側機16を介して通信制御装置17に接続されると、通信装置側共有情報送信処理部51によって上記の共有情報を通信制御装置17に送信する。そして、通信制御装置17は、携帯通信端末12が送信した共有情報および車両用通信装置13が送信した共有情報のうち後に送信された共有情報が先に送信された共有情報に一致するか否かを判断処理部72によって判断し、後に送信された共有情報が先に送信された共有情報に一致すると判断した場合に、通信制御処理部73によって、アクセスポイント15を介した携帯通信端末12との通信を開始する。
【0043】
即ち、車両用通信装置13および携帯通信端末12は、それぞれ通信制御装置17に接続されたことをトリガとして、双方で共有している共有情報をそれぞれ通信制御装置17に送信する。そして、車両用通信装置13および携帯通信端末12の双方が送信した共有情報が一致する場合に、通信制御装置17は、車両11内に存在する携帯通信端末12との通信が可能となる。これにより、車両11に搭載された車両用通信装置13と車両11内に存在する場合に当該車両用通信装置13に通信可能に接続される携帯通信端末12とを対応付ける共有情報に基づいて、車両11内に存在する携帯通信端末12を精度良く識別することができ、換言すれば、車両11内に存在する携帯通信端末12以外の携帯通信端末100、つまり、車両11外に存在する携帯通信端末100を排除することができ、車両11内に存在する当該携帯通信端末12を確実に通信制御装置17に通信可能に接続することができる。
【0044】
また、通信制御装置17は、携帯通信端末12が送信した共有情報および車両用通信装置13が送信した共有情報のうち先に送信された共有情報を共有情報保持処理部71によって記憶部62に保持し、後に受信した共有情報がその時点で記憶部62に保持されている共有情報と一致するか否かを判断処理部72によって判断する構成とした。これにより、通信制御装置17は、共有情報の一致/不一致の判断基準となる先に送信された共有情報を確実に保持することができ、共有情報の一致/不一致の判断の信頼性を向上することができる。
【0045】
また、通信制御装置17は、後に送信された共有情報と先に送信された共有情報とが不一致であると判断した場合には、通信要求拒否処理部74によって携帯通信端末12からの通信要求を拒否する構成とした。即ち、共有情報が不一致であった場合の処理として、携帯通信端末12からの通信要求を拒否するという処理を通信要求拒否処理として具体的に規定したので、車両11内に存在する携帯通信端末12を確実に通信制御装置17に通信可能に接続することを一層制度良く実行することができる。
【0046】
また、通信制御装置17と携帯通信端末12との通信が「通話」である場合には、例えば車両11が走行を開始するなどして車両用通信装置13と路側機16との接続が解除されたことをトリガとして、携帯通信端末12を介した通話を規制するように構成するとよい。これにより、安全なドライブスルーシステム10を提供することができる。
また、通信制御装置17と携帯通信端末12との通信を、「携帯通信端末12への入力画面の表示」および「当該入力画面を介した入力操作の受付け」を担う通信とすることも可能である。この場合にも、例えば車両11が走行を開始するなどして車両用通信装置13と路側機16との接続が解除されたことをトリガとして、携帯通信端末12を介した通信、つまり、入力画面の表示および当該入力画面を介した入力操作の受付けを規制するように構成するとよい。これにより、安全なドライブスルーシステム10を提供することができる。なお、入力画面は、図示はしないが、例えばタッチパネル式の入力画面で構成することができ、ユーザは、この入力画面を介して、注文、注文内容の確認、注文金額の確認などを行う。
【0047】
ところで、通信制御装置17と携帯通信端末12との通信がいわゆる「ハンズフリー通話」である場合には、例えば車両11が走行を開始するなどして車両用通信装置13と路側機16との接続が解除されたとしても、車両11の運転者はハンズフリーの状態であることから運転上の支障はない。そのため、通信制御装置17と携帯通信端末12との通信がいわゆる「ハンズフリー通話」である場合には、車両用通信装置13と路側機16との接続が解除されたとしても、携帯通信端末12を介したハンズフリー通話を維持する構成することが可能である。
【0048】
なお、本発明は、上述した一実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能であり、例えば、以下のように変形または拡張することができる。
携帯通信端末12と通信制御装置17との通信は「通話」や「ハンズフリー通話」に限られるものではなく、例えば、携帯通信端末12と通信制御装置17との間でメニュー選択画面、注文内容確認画面、注文金額確認画面などの各種の操作画面データを送受信するデータ通信であってもよい。この場合、通信制御装置17と携帯通信端末12と間でデータ通信が行われているとき、つまり、ユーザが携帯通信端末12の画面上でメニューを選択したり注文内容や注文金額を確認したりしているときに、車両用通信装置13と路側機16との接続が解除された場合、つまり、車両11が走行を開始した場合には、携帯通信端末12を介したデータ通信を規制するように構成するとよい。
【0049】
また、車両11が走行を開始したとしても、その後に車両11の停車が確認されるのであれば、車両11内の携帯通信端末12がアクセスポイント15の接続領域内に存在することを条件に、携帯通信端末12と通信制御装置17との通信を再開するように構成してもよい。さらに、携帯通信端末12がアクセスポイント15の接続領域内に存在しない場合には、車両11の停車が確認されていることを条件に、携帯通信端末12を公衆の携帯電話網や固定電話網を含む通信網を介して通信制御装置17に再び接続するように構成してもよい。
【0050】
店舗用狭域無線通信回線接続部23とアクセスポイント15との通信、および、車両用狭域無線通信回線接続部43と路側機16との通信は、いわゆる「狭域」通信に限られるものではなく、いわゆる「広域」通信で構成してもよい。
本発明は、ドライブスルーシステムに限らず、種々の車両用通信システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
図面中、10はドライブスルーシステム(車両用通信システム)、11は車両、12は携帯通信端末、13は車両用通信装置、15はアクセスポイント、16は路側機、17は通信制御装置、31は端末側共有情報送信処理部(端末側共有情報送信手段)、51は通信装置側共有情報送信処理部(通信装置側共有情報送信手段)、71は共有情報保持処理部(共有情報保持手段)、72は判断処理部(判断手段)、73は通信制御処理部(通信制御手段)、74は通信要求拒否処理部(通信要求拒否手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯通信端末と、
車両に搭載され、前記携帯通信端末が前記車両内に存在する場合に当該携帯通信端末が通信可能に接続される車両用通信装置と、
前記車両の外部に設置され、前記携帯通信端末用に設定された接続領域内に前記携帯通信端末が存在する場合に当該携帯通信端末が通信可能に接続されるアクセスポイントと、
前記車両の外部に設置され、前記車両用通信装置用に設定された接続領域内に前記車両用通信装置が存在する場合に当該車両用通信装置が通信可能に接続される路側機と、
前記アクセスポイントおよび前記路側機が接続された通信制御装置と、
を備え、
前記携帯通信端末は、
前記アクセスポイントに接続されると、前記携帯通信端末および前記車両用通信装置の双方で共有する共有情報を前記通信制御装置に送信する端末側共有情報送信手段を備え、
前記車両用通信装置は、
前記路側機に接続されると、前記携帯通信端末および前記車両用通信装置の双方で共有する共有情報を前記通信制御装置に送信する通信装置側共有情報送信手段を備え、
前記通信制御装置は、
前記端末側共有情報送信手段が送信した前記共有情報および前記通信装置側共有情報送信手段が送信した前記共有情報のうち後に送信された前記共有情報が先に送信された前記共有情報に一致するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が、後に送信された前記共有情報が先に送信された前記共有情報に一致すると判断した場合に、前記アクセスポイントを介した前記携帯通信端末との通信を開始する通信制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用通信システム。
【請求項2】
前記通信制御装置は、
前記端末側共有情報送信手段が送信した前記共有情報および前記通信装置側共有情報送信手段が送信した前記共有情報のうち先に送信された前記共有情報を保持する共有情報保持手段をさらに備え、
前記判断手段は、
前記端末側共有情報送信手段が送信した前記共有情報および前記通信装置側共有情報送信手段が送信した前記共有情報のうち後に送信された前記共有情報が前記共有情報保持手段に保持されている前記共有情報と一致するか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の車両用通信システム。
【請求項3】
前記通信制御装置は、前記判断手段が、後に送信された前記共有情報と先に送信された前記共有情報とが不一致であると判断した場合に、前記携帯通信端末からの通信要求を拒否する通信要求拒否手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用通信システム。
【請求項4】
前記通信制御手段は、前記判断手段が、後に送信された前記共有情報が先に送信された前記共有情報に一致すると判断した場合に、前記アクセスポイントを介した前記携帯通信端末との通話を開始するように構成されているとともに、前記車両用通信装置と前記路側機との接続が解除されると、前記アクセスポイントを介した前記携帯通信端末との通話を不能とすることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の車両用通信システム。
【請求項5】
前記通信制御手段は、前記判断手段が、後に送信された前記共有情報が先に送信された前記共有情報に一致すると判断した場合に、前記アクセスポイントを介した前記携帯通信端末への入力画面の表示および当該入力画面を介した入力操作の受付けを開始するように構成されているとともに、前記車両用通信装置と前記路側機との接続が解除されると、前記アクセスポイントを介した前記携帯通信端末への入力画面の表示および当該入力画面を介した入力操作の受付けを不能とすることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の車両用通信システム。
【請求項6】
前記通信制御手段は、前記判断手段が、後に送信された前記共有情報が先に送信された前記共有情報に一致すると判断した場合に、前記アクセスポイントを介した前記携帯通信端末とのハンズフリー通話を開始するように構成されているとともに、前記車両用通信装置と前記路側機との接続が解除されても、前記アクセスポイントを介した前記携帯通信端末とのハンズフリー通話を維持することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の車両用通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−38499(P2013−38499A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170976(P2011−170976)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】