説明

車両用電源装置及び二段差込式キーシリンダ

【課題】本発明は、車両用電源装置及び二段差込式キーシリンダに関し、イグニションオンからスタータオンまでの時間をある程度長く確保することにある。
【解決手段】キーが差し込まれるキー穴と、キー穴にキーが第1段階位置まで差し込まれた状態でイグニションオン操作可能なIG操作機構と、イグニションオン操作後、キー穴にキーが更に第2段階位置まで差し込まれた状態でスタータオン操作可能なスタータ操作機構と、を備える二段差込式キーシリンダを設ける。そして、IG操作機構に従ってイグニションオン操作が行われた場合にイグニションスイッチをオンし、また、その後、スタータ操作機構に従ってスタータオン操作が行われた場合にスタータスイッチをオンする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電源装置及び二段差込式キーシリンダに係り、特に、車両のイグニションスイッチをオンし、その後にスタータスイッチをオンするうえで好適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キーシリンダのキー穴に差し込まれたキーによりイグニションオン操作及びスタータオン操作を行う電源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる電源装置においては、イグニションオン操作とスタータオン操作とは、運転者がキー穴に差し込まれたキーを同じ差込位置で回転させ、その回転位置を切り替えることにより実現される。すなわち、イグニションオン操作は、運転者がキー穴に差し込まれたキーを第1回転位置まで回転させることにより実現され、また、スタータオン操作は、運転者が同じ差込位置でキーを更に第2回転位置まで回転させることにより実現される。
【特許文献1】特開2007−37296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、車載バッテリの劣化状態を車載電子制御ユニットを用いて判定するシステムがある。一般に、車載バッテリの劣化状態はそのバッテリ電圧に影響を与えるので、車載電子制御ユニットによる車載バッテリの劣化状態の判定をそのバッテリ電圧に基づいて行うことが可能である。しかし、車載電子制御ユニットは、通常、イグニションスイッチがオフからオンへ移行することにより起動開始され、イグニションスイッチのオン時に起動するが、バッテリ電圧がその電子制御ユニットの動作保証電圧未満になるとリセットしてしまう。このため、上記の如くバッテリ電圧に基づいて車載バッテリの劣化状態を判定するシステムでは、バッテリ電圧が低下するスタータオン時において、車載電子制御ユニットがバッテリ電圧を読み取ることが不可能となり、結果として、車載バッテリの劣化状態を正確に判定することができない不都合が生じ得る。
【0004】
そこで、かかる不都合を回避すべく、車載バッテリの劣化状態の判定を、車載電子制御ユニットの起動完了直後におけるスタータスイッチのオン/オフに基づいて行うことが考えられる。具体的には、起動が完了した時において、スタータスイッチがオフである場合には車載バッテリに劣化が生じていないと判定し、一方、スタータスイッチがオンである場合にはスタータオンによるバッテリ電圧低下に起因して電子制御ユニットがリセットされていたと判断し、車載バッテリが劣化していると判定する。かかる構成によれば、車載電子制御ユニットが起動完了した際に車載バッテリの劣化状態を判定することができるため、スタータオン時による車載電子制御ユニットのリセットに起因した車載バッテリの劣化状態の判定不能を解消することが可能となる。
【0005】
しかし、上記した電源装置では、運転者によるイグニションオン操作とスタータオン操作とが一連の操作により実現可能である。すなわち、イグニションオン操作及びスタータオン操作が行われるキーシリンダの構造が、運転者がキーを第1回転位置まで回転させた後に同じ動きで第2回転位置まで回転させるものである。このため、イグニションオン操作に伴うイグニションスイッチのオンからスタータオン操作に伴うスタータスイッチのオンまでの時間が非常に短くなる可能性がある。
【0006】
イグニションスイッチのオンからスタータスイッチのオンまでの時間が非常に短くなることが許容されるキーシリンダの構造では、イグニションスイッチのオンによって起動が開始された車載電子制御ユニットの起動が完了する前に、スタータスイッチがオンする事態が生じ、その結果として、車載電子制御ユニットが車載バッテリが劣化していないにもかかわらず劣化していると誤判定するおそれがある。従って、この点を考慮すると、イグニションスイッチのオンからスタータスイッチのオンまでの時間として非常に短い時間が許容される構成は適切でない。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、イグニションオンからスタータオンまでの時間をある程度長く確保することが可能な車両用電源装置及び二段差込式キーシリンダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、キーシリンダのキー穴にキーが第1段階位置まで差し込まれた状態でイグニションオン操作が行われた場合にイグニションスイッチをオンするIGオン手段と、イグニションオン操作後、前記キー穴にキーが更に第2段階位置まで差し込まれた状態でスタータオン操作が行われた場合にスタータスイッチをオンするスタータオン手段と、を備える車両用電源装置により達成される。
【0009】
また、上記の目的は、キーが差し込まれるキー穴と、前記キー穴にキーが第1段階位置まで差し込まれた状態でイグニションオン操作可能なIG操作機構と、イグニションオン操作後、前記キー穴にキーが更に第2段階位置まで差し込まれた状態でスタータオン操作可能なスタータ操作機構と、を備える二段差込式キーシリンダにより達成される。
【0010】
これらの態様の発明において、イグニションオン操作を行うためには、キー穴にキーを第1段階位置まで差し込むことが必要であり、また、スタータオン操作を行うためには、キー穴に第1段階位置まで差し込まれたキーをイグニションオン操作した後に更に第2段階位置まで差し込むことが必要である。すなわち、イグニションオン操作を行うのにキーをキー穴に差し込む位置と、スタータオン操作を行うのにキーをキー穴に差し込む位置とが異なる。このため、イグニションオン操作とスタータオン操作とを、一連の操作ではなく、段階的なものとすることが可能である。従って、本発明によれば、イグニションオンからスタータオンまでの時間をある程度長く確保することができる。
【0011】
上記の目的は、キーシリンダのキー穴に第1段階位置まで差し込まれたキーによりイグニションオン操作が行われた場合にイグニションスイッチをオンするIGオン手段と、イグニションオン操作後、前記キー穴に更に第2段階位置まで差し込まれたキーによりスタータオン操作が行われた場合にスタータスイッチをオンするスタータオン手段と、を備える車両用電源装置により達成される。
【0012】
また、上記の目的は、キーが差し込まれるキー穴と、前記キー穴に第1段階位置まで差し込まれたキーによりイグニションオン操作可能なIG操作機構と、イグニションオン操作後、前記キー穴に更に第2段階位置まで差し込まれたキーによりスタータオン操作可能なスタータ操作機構と、を備える二段差込式キーシリンダにより達成される。
【0013】
これらの態様の発明において、イグニションオン操作を行うためには、キー穴にキーを第1段階位置まで差し込むことが必要であり、また、スタータオン操作を行うためには、キー穴に第1段階位置まで差し込まれたキーをイグニションオン操作した後に更に第2段階位置まで差し込むことが必要である。すなわち、イグニションオン操作を行うのにキーをキー穴に差し込む位置と、スタータオン操作を行うのにキーをキー穴に差し込む位置とが異なる。このため、イグニションオン操作とスタータオン操作とを、一連の操作ではなく、段階的なものとすることが可能である。従って、本発明によれば、イグニションオンからスタータオンまでの時間をある程度長く確保することができる。
【0014】
尚、上記した車両用電源装置において、イグニションスイッチのオンにより起動する電子制御ユニットを用いて車載バッテリの劣化を判定するバッテリ劣化判定手段を備えることとしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、イグニションオンからスタータオンまでの時間をある程度長く確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を用いて、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施例である車両用電源装置10の構成図を示す。本実施例の車両用電源装置10を搭載する車両は、動力装置としてのエンジン12と、エンジン12に直結される発電機14と、を備えている。車両は、エンジン12の駆動により、走行動力を発生すると共に、発電機14を発電させる。
【0018】
車両用電源装置10は、車載バッテリ16を備えている。車載バッテリ16は、ニッケル水素バッテリやリチウムイオンバッテリであり、所定容量の電力を蓄えることが可能である。車載バッテリ16には、上記の発電機14が接続されている。車載バッテリ16は、発電機14の発電した電力が供給されることにより充電される。
【0019】
車載バッテリ16には、また、スタータスイッチ20を介してスタータ22が接続されていると共に、イグニションスイッチ24を介して各種の車載電気負荷26が接続されている。スタータスイッチ20及びイグニションスイッチ24はそれぞれ、後述の如く、車両運転者によるキー操作によりオン/オフされる。スタータ22は、エンジン12に機械的に連結されており、スタータスイッチ20がオンされている場合にエンジン12を始動させる。また、各車載電気負荷26は、エンジン装置やブレーキ装置,計器類などに設けられる電力供給により作動する電装品であり、イグニションスイッチ24がオンされている場合に作動する。車載バッテリ16は、スタータスイッチ20のオン時やイグニションスイッチ24のオン時に、蓄えている電力をスタータ22や車載電気負荷26に供給する。
【0020】
車両用電源装置10は、また、電子制御ユニット(以下、ECUと称す)30を備えている。ECU30は、車載バッテリ16の充電及び発電機14の発電を制御する装置である。ECU30は、また、車載バッテリ16の充電状態を検知するうえで、車載バッテリ16の劣化状態を判定する。ECU30は、イグニションスイッチ24がオンされている場合に起動されるユニットであり、印加される電圧が動作保証電圧以上に高い場合に動作可能である。
【0021】
ところで、一般に、車載バッテリ16の劣化状態はそのバッテリ電圧に影響を与えるので、車載バッテリ16の劣化状態の判定をそのバッテリ電圧に基づいて行うことが可能である。しかし、車載バッテリ16の劣化状態を判定するECU30は、イグニションスイッチ24のオン時に起動されるが、その後、スタータ22を作動させるエンジン始動時には、車載バッテリ16のバッテリ電圧が低下することで供給される電圧が動作保証電圧未満となってリセットすることがある。このため、ECU30がバッテリ電圧に基づいて車載バッテリ16の劣化状態を判定するシステムでは、バッテリ電圧が低下するスタータオン時、そのECU30がバッテリ電圧を読み取ることが不可能となり、結果として、車載バッテリ16の劣化状態を正確に判定することができない不都合が生じ得る。
【0022】
そこで、かかる不都合を回避すべく、本実施例においては、車載バッテリ16の劣化状態の判定を、ECU30の起動が完了した直後におけるスタータスイッチ20のオン/オフに基づいて行う。具体的には、ECU30の起動が完了した時において、スタータスイッチ20がオフである場合には、車載バッテリ16に劣化が生じていないと判定し、一方、スタータスイッチ20がオンである場合には、スタータスイッチ20のオンによるバッテリ電圧低下に起因してECU30がリセットされていたと判断し、車載バッテリ16が劣化していると判定する。かかる構成によれば、ECU30が起動完了した際に車載バッテリ16の劣化状態を判定するため、スタータスイッチ20のオンによるECU30のリセットに起因した車載バッテリ16の劣化状態の判定不能を解消することが可能となっている。
【0023】
しかし、運転者によるイグニションオン操作とスタータオン操作とが一連の操作により実現可能であると、すなわち、イグニションオン操作及びスタータオン操作が行われるキーシリンダの構造が、運転者がイグニションスイッチ24をオンすべくキーシリンダのキー穴に差し込んだキーをIGオン位置まで回転させ、かつ、スタータスイッチ20をオンすべく同じ回転方向へキーをSTAオン位置まで回転させるものであると、イグニションオン操作に伴うイグニションスイッチ24のオンからスタータオン操作に伴うスタータスイッチ20のオンまでの時間が非常に短くなる可能性がある。
【0024】
イグニションスイッチ24のオンからスタータスイッチ20のオンまでの時間が非常に短くなることが許容されるキーシリンダの構造では、イグニションスイッチ24のオンによって起動が開始されたECU30に印加される電圧が動作保証電圧以上になる前にすなわちその起動が完了する前に、スタータスイッチ20がオンする事態が生じ、その結果として、ECU30が起動完了時に車載バッテリ16が劣化していないにもかかわらず劣化していると誤判定するおそれがある。従って、イグニションスイッチ24のオンからスタータスイッチ20のオンまでの時間が非常に短いものになることを許容する構成は、スタータスイッチ20のオンによるECU30のリセットに起因した車載バッテリ16の劣化状態の判定不能を解消することはできたとしても、車載バッテリ16の劣化状態の誤判定が発生するおそれがある。
【0025】
図2は、本実施例の車両用電源装置10が備えるキーシリンダ40の構造を説明するための図を示す。尚、図2においては、キーオフからイグニションスイッチ24のオンを経由してスタータスイッチ20のオンまでのキーシリンダ40の構造が時系列に並べられている。また、図2(A)、(C)、及び(E)にはキーシリンダ40を軸方向から見た図を、図2(B)及び(D)にはキーシリンダ40を径方向から見た図を、それぞれ示す。更に、図3は、本実施例の車両用電源装置10の動作タイムチャートを示す。尚、図3においては、本実施例のキーシリンダ40を用いた場合の動作タイムチャートを実線で、また、従来構造のキーシリンダを用いた場合の動作タイムチャートを破線で、それぞれ示す。
【0026】
本実施例において、キーシリンダ40は、自車両に対応したキー42が差し込まれるキー穴44と、運転者によるイグニションオン操作が可能なIG操作機構と、スタータオン操作が可能なスタータ操作機構と、を有している。IG操作機構は、運転者の携帯するキー42がキー穴44に差し込まれた際にその差し込みが基準回転位置で第1段階位置まで行われることが可能であって、それ以上の差し込みが不可能な構造であり、キー42がキー穴44において第1段階位置まで差し込まれた状態で基準回転位置から第1回転位置(IGオン位置)まで回転操作可能な構造である。また、スタータ操作機構は、キー42がキー穴44において第1段階位置まで差し込まれかつ第1回転位置まで回転操作された状態で更に遠方の第2段階位置まで差し込むことが可能な構造であり、キー42がキー穴44において第2段階位置まで差し込まれた状態で第2回転位置(STAオン位置)まで回転操作可能な構造である。この点、キーシリンダ40は、二段差込式キーシリンダである。
【0027】
かかるキーシリンダ40において、運転者は、車両停止状態からエンジン始動を行おうとする場合、まず、携帯するキー42をキーシリンダ40のキー穴44に差し込み、そのキー42の差し込みを第1段階位置まで行う(図2(A)→図2(B))。そして、キー42がキー穴44で第1段階位置まで差し込まれた状態で、そのキー42を第1回転位置まで回転操作するイグニションオン操作を行う(図2(B)→図2(C))。かかるイグニションオン操作が行われると、イグニションスイッチ24がオンされることにより、車載バッテリ16から車載電気負荷26への電力供給が可能となって車載電気負荷26の作動が可能になると共に、車載バッテリ16からECU30への電力供給が行われてECU30の起動が開始される。
【0028】
運転者は、上記の如くイグニションオン操作を行うと、次に、キー穴44に差し込まれているキー42を、その回転位置を第1回転位置に維持したまま更に第2段階位置まで差し込む(図2(C)→図2(D))。そして、キー42がキー穴44で第2段階位置まで差し込まれた状態で、そのキー42を第2回転位置まで回転操作するスタータオン操作を行う(図2(D)→図2(E))。かかるスタータオン操作が行われると、スタータスイッチ20がオンされることにより、車載バッテリ16からスタータ22への電力供給が行われてスタータ22がクランキングによりエンジン12を始動させる。
【0029】
尚、スタータ22によるエンジン12のクランキングは、スタータオン操作が行われている間すなわち運転者がキー42を第2回転位置まで回転操作している間だけ継続して行われ、一方、スタータオン操作が解除されるとすなわち運転者がキー42を第1回転位置まで戻す回転操作を行うと停止される。また、キーシリンダ40は、スタータオン操作が一旦行われた後に解除された場合に、キー42の差し込み位置が第1回転位置において自動的に第1段階位置まで戻るような構造としてもよい。
【0030】
このように、本実施例のキーシリンダ40を備える車両用電源装置10においては、キー穴44にキー42が差し込まれてからイグニションスイッチ24がオンされてスタータスイッチ20がオンされるまでに、キー42の回転操作だけでないワンクッション操作、具体的には、キー42の回転操作の中途でそのキー42の更なる差し込み操作が必要となる。すなわち、イグニションオン操作を行うのにキー42をキー穴44に差し込む位置(第1段階位置)と、スタータオン操作を行うのにキー42をキー穴44に差し込む位置(第2段階位置)とは、互いに異なる。運転者は、イグニションオン操作を行うためには、キー穴44にキー42を第1段階位置まで差し込むことが必要であり、更にスタータオン操作を行うためには、キー42を第1段階位置まで差し込んでイグニションオン操作を行った後に、更にキー42を第2段階位置まで差し込む操作が必要である。
【0031】
この点、本実施例の構成は、キーシリンダ40について、イグニションスイッチ24のオンからスタータスイッチ20のオンまでに必要な運転者によるイグニション操作とスタータオン操作とを、速やかなキー操作が許容される一連の操作ではなく、速やかなキー操作が困難であるワンクッションのある段階的なものとした二段差込式のハード構成である。従って、本実施例の車両用電源装置10によれば、イグニションスイッチ24のオンからスタータスイッチ20のオンまでの時間を、従来構造のキーシリンダを備える電源装置(対比電源装置)のものに比べて、ある程度長く確保することが可能となっている。
【0032】
このため、本実施例の車両用電源装置10によれば、上記の対比電源装置とは異なり、イグニションスイッチ24がオンされた後、そのイグニションスイッチ24のオンによって車載バッテリ16からECU30へ電力供給が行われてそのECU30の起動が完了する前に、スタータスイッチ20がオンされる事態が生ずるのを防止させることが可能である。すなわち、車載バッテリ16が劣化していないにもかかわらず、ECU30の起動が完了した際にスタータスイッチ20がオンされている状況が生ずるのを回避させることが可能である。
【0033】
従って、本実施例によれば、スタータスイッチ20のオンによるECU30のリセットに起因した車載バッテリ16の劣化状態の判定不能を解消させつつ、イグニションスイッチ24のオンからスタータスイッチ20のオンまでの時間が非常に短いものになるのが許容されることに起因した車載バッテリ16の劣化状態の誤判定を防止することが可能となっている。
【0034】
尚、上記の実施例においては、キーシリンダ40でのイグニションオン操作によってイグニションスイッチ24をオンするIG操作機構が特許請求の範囲に記載した「IGオン手段」に、キーシリンダ40でのスタータオン操作によってスタータスイッチ20をオンするスタータ操作機構が特許請求の範囲に記載した「スタータオン手段」に、ECU30が起動完了時にスタータスイッチ20のオン/オフに基づいて車載バッテリ16の劣化状態の判定を行うことが特許請求の範囲に記載した「バッテリ劣化判定手段」に、それぞれ相当している。
【0035】
また、上記の実施例においては、キーシリンダ40を、運転者がキー42を第1回転位置で第2段階位置まで差し込むのに、ある程度大きな反力が運転者に付与されるような構造としてもよい。また、この構造においては、その反力を、イグニションスイッチ24のオンからスタータスイッチ20のオンまでの時間がある程度長くなるように、具体的には、イグニションスイッチ24のオンによってECU30の起動が開始されてからその起動が完了するまでに要すると予想される時間よりも長くなるように調整することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施例である車両用電源装置の構成図である。
【図2】本実施例の車両用電源装置が備えるキーシリンダの構造を説明するための図である。
【図3】本実施例の車両用電源装置の動作タイムチャートである。
【符号の説明】
【0037】
10 車両用電源装置
16 車載バッテリ
20 スタータスイッチ
24 イグニションスイッチ
30 電子制御ユニット(ECU)
40 キーシリンダ
42 キー
44 キー穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーシリンダのキー穴にキーが第1段階位置まで差し込まれた状態でイグニションオン操作が行われた場合にイグニションスイッチをオンするIGオン手段と、
イグニションオン操作後、前記キー穴にキーが更に第2段階位置まで差し込まれた状態でスタータオン操作が行われた場合にスタータスイッチをオンするスタータオン手段と、
を備えることを特徴とする車両用電源装置。
【請求項2】
キーシリンダのキー穴に第1段階位置まで差し込まれたキーによりイグニションオン操作が行われた場合にイグニションスイッチをオンするIGオン手段と、
イグニションオン操作後、前記キー穴に更に第2段階位置まで差し込まれたキーによりスタータオン操作が行われた場合にスタータスイッチをオンするスタータオン手段と、
を備えることを特徴とする車両用電源装置。
【請求項3】
イグニションスイッチのオンにより起動する電子制御ユニットを用いて車載バッテリの劣化を判定するバッテリ劣化判定手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用電源装置。
【請求項4】
キーが差し込まれるキー穴と、
前記キー穴にキーが第1段階位置まで差し込まれた状態でイグニションオン操作可能なIG操作機構と、
イグニションオン操作後、前記キー穴にキーが更に第2段階位置まで差し込まれた状態でスタータオン操作可能なスタータ操作機構と、
を備えることを特徴とする二段差込式キーシリンダ。
【請求項5】
キーが差し込まれるキー穴と、
前記キー穴に第1段階位置まで差し込まれたキーによりイグニションオン操作可能なIG操作機構と、
イグニションオン操作後、前記キー穴に更に第2段階位置まで差し込まれたキーによりスタータオン操作可能なスタータ操作機構と、
を備えることを特徴とする二段差込式キーシリンダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−95059(P2010−95059A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265673(P2008−265673)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】