説明

車両用駆動装置

【課題】単一のモータケースに複数のモータを組み付ける構成においてモータケースの加工工程とモータの組み付け工程とを容易化できる車両用駆動装置を提供すること。
【解決手段】この車両用駆動装置1は、モータケース2と、このモータケース2に組み付けられる第一モータ3および第二モータ4とを備える。また、モータケース2が、第一モータ3を位置決めする第一モータ挿入部212および第二モータ4を位置決めする第二モータ挿入部214を相互に独立して有する第一ケース21と、この第一ケース21に取り付けられる第二ケース22および第三ケース23とを備える。また、第一モータ3のステータコア311が、第一モータ挿入部212に挿入されて位置決めされて、第二ケース22により押圧状態で保持される。また、第二モータ4のステータコア411が、第二モータ挿入部214に挿入されて位置決めされて、第三ケース23により押圧状態で保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用駆動装置に関し、さらに詳しくは、単一のモータケースに複数のモータを組み付ける構成においてモータケースの加工工程とモータの組み付け工程とを容易化できる車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両用駆動装置では、単一のモータケースに複数のモータを組み付ける構成が提案されている。かかる構成として、例えば、モータケースが長尺なモータ挿入部を片側のみに有し、このモータ挿入部に第一モータおよび第二モータが順次挿入されて組み付けられる構成が考え得る。
【0003】
しかしながら、かかる構成では、その長尺なモータ挿入部を精度良く加工することが難しいという課題があり、装置の組立工程にて、必ず奥側のモータからモータケースに挿入して組み付ける必要があるため組立順序の自由度が低いという課題がある。
【0004】
なお、モータケースに対するモータの組み付け構造に関する従来の車両用駆動装置として、特許文献1に記載される技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−236840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、単一のモータケースに複数のモータを組み付ける構成においてモータケースの加工工程とモータの組み付け工程とを容易化できる車両用駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明にかかる車両用駆動装置は、モータケースと、前記モータケースに組み付けられる第一モータおよび第二モータとを備える車両用駆動装置であって、前記モータケースが、前記第一モータを位置決めする第一モータ挿入部および前記第二モータを位置決めする第二モータ挿入部を相互に独立して有する第一ケースと、前記第一ケースに取り付けられる第二ケースおよび第三ケースとを備え、前記第一モータのステータコアが、前記第一モータ挿入部に挿入されて位置決めされると共に前記第二ケースにより押圧状態で保持され、且つ、前記第二モータのステータコアが、前記第二モータ挿入部に挿入されて位置決めされると共に前記第三ケースにより押圧状態で保持されることを特徴とする。
【0008】
この車両用駆動装置は、第一ケースが第一モータ挿入部および第二モータ挿入部を相互に独立して有するので、これらのモータ挿入部が一体形成されている構成と比較して、各モータ挿入部の軸方向長さを短縮できる。これにより、モータ(ステータコア)の位置決めに必要な高精度の内径加工領域を縮小できるので、モータケースの加工が容易となる利点がある。また、モータとモータ挿入部との嵌め合い面が短縮されるので、モータの組み付け工程が容易となる利点がある。
【0009】
また、この発明にかかる車両用駆動装置は、前記第一モータ挿入部あるいは前記第二モータ挿入部が前記第一ケースの開口部の内径を段状に拡径して成ることにより前記第一モータ挿入部あるいは前記第二モータ挿入部の奥側に段差部が形成されると共に、前記第一モータのステータコアあるいは前記第二モータのステータコアが前記段差部と前記第二ケースあるいは前記第三ケースとの間に挟み込まれて保持される。
【0010】
この車両用駆動装置では、第一ケースの内周面とモータ挿入部との段差部によりステータコアの軸方向位置が位置決めされ、また、モータ挿入部によりステータコアの径方向位置が位置決めされる。さらに、この段差部と第二ケース(第三ケース)との間にステータコアが挟み込まれることによりモータが安定的に保持される。これにより、モータがモータケースに対して適正に位置決めされた状態で安定的に保持される利点がある。
【0011】
また、この発明にかかる車両用駆動装置は、前記第一モータのステータコアあるいは前記第二モータのステータコアが前記第一モータ挿入部あるいは前記第二モータ挿入部に対して隙間嵌めで挿入される。
【0012】
この車両用駆動装置では、ステータコアとモータ挿入部との嵌め合い条件を緩く設定できるので、モータの組み付け工程が容易となる利点がある。また、かかる場合においても、ステータコアが第二ケース(第三ケース)により押圧状態で保持されるので、モータが適正に固定される利点がある。
【0013】
また、この発明にかかる車両用駆動装置は、前記第一モータのステータコアあるいは前記第二モータのステータコアが外周面にキー溝あるいは回転止めを有する。
【0014】
この車両用駆動装置では、ステータコアのキー溝あるいは回転止めがモータ挿入部側の回転止めあるいはキー溝に係合することにより、ステータコアの周方向の回転変位が禁止される。これにより、ステータコアがモータケースに対して相対回転不能に保持される利点がある。
【0015】
また、この発明にかかる車両用駆動装置は、前記第二ケースあるいは前記第三ケースが突当部を有すると共に前記突当部を前記ステータコアに押圧して前記ステータコアを保持する。
【0016】
この車両用駆動装置では、例えば、モータ挿入部の軸方向寸法がステータコアの軸方向寸法よりも短い場合にも、ステータコアが適正に保持される利点がある。
【0017】
また、この発明にかかる車両用駆動装置は、前記第一ケースが前記第一モータ挿入部と前記第二モータ挿入部とを仕切る隔壁部を有する。
【0018】
この車両用駆動装置では、隔壁部により、モータケースの剛性が適正に確保されるので、モータの位置決め状態が適正に確保される利点がある。
【0019】
また、この発明にかかる車両用駆動装置は、前記隔壁部が前記第一モータ挿入部と前記第二モータ挿入部とを連通させる連通孔を有する。
【0020】
この車両用駆動装置では、この隔壁部の連通孔を介して、例えば、第一モータの出力軸、電力供給用あるいは信号伝達用の配線、潤滑油あるいは冷却油の配管などを配置できる。これにより、モータケースの内部構造物の配置が容易となる利点がある。
【0021】
また、この発明にかかる車両用駆動装置は、前記第一ケースの外周にショックアブソーバが配置される構成において、前記隔壁部が前記ショックアブソーバの直下に配置される。
【0022】
この車両用駆動装置では、隔壁部により、モータケースの剛性が適正に確保されるので、車体からの荷重がショックアブソーバからモータケースに伝達する場合にも、モータの位置決め状態が適正に確保される利点がある。
【発明の効果】
【0023】
この発明にかかる車両用駆動装置は、第一ケースが第一モータ挿入部および第二モータ挿入部を相互に独立して有するので、これらのモータ挿入部が一体形成されている構成と比較して、各モータ挿入部の軸方向長さを短縮できる。これにより、モータ(ステータコア)の位置決めに必要な高精度の内径加工領域を縮小できるので、モータケースの加工が容易となる利点がある。また、モータとモータ挿入部との嵌め合い面が短縮されるので、モータの組み付け工程が容易となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、この発明の実施の形態にかかる車両用駆動装置のモータ保持構造を示す断面図である。
【図2】図2は、図1に記載したモータ保持構造を示す拡大図である。
【図3】図3は、図1に記載したモータ保持構造を示す拡大図である。
【図4】図4は、図1に記載した車両用駆動装置の第一ケースを示す正面図である。
【図5】図5は、図4に記載した第一ケースを示すB−B視断面図である。
【図6】図6は、図1に記載した車両用駆動装置の第二ケースを示す正面図である。
【図7】図7は、図6に記載した第二ケースを示すC−C視断面図である。
【図8】図8は、図1に記載した車両用駆動装置の第三ケースを示す正面図である。
【図9】図9は、図8に記載した第三ケースを示すD−D視断面図である。
【図10】図10は、図1に記載したモータ保持構造の変形例を示す拡大図である。
【図11】図11は、車両用駆動装置を示す正面図である。
【図12】図12は、図11に記載した車両用駆動装置を示すA−A視断面図である。
【図13】図13は、図11に記載した車両用駆動装置を示す組立斜視図である。
【図14】図14は、図11に記載した車両用駆動装置を示すスケルトン図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0026】
[車両用駆動装置]
図11は、車両用駆動装置を示す正面図である。図12は、図11に記載した車両用駆動装置を示すA−A視断面図である。図13は、図11に記載した車両用駆動装置を示す組立斜視図である。図14は、図11に記載した車両用駆動装置を示すスケルトン図である。
【0027】
この車両用駆動装置1は、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車、電動四輪駆動車などの電動車両の駆動装置に適用され、より詳しくは、遊星歯車機構を有する変速機構を備えたインホイールモータに適用される。
【0028】
車両用駆動装置1は、モータケース2と、第一モータ3および第二モータ4と、変速機構5と、ホイール軸受6とを備える(図11および図12参照)。
【0029】
モータケース2は、第一モータ3、第二モータ4および変速機構5を収容するケーシングである。このモータケース2は、第一ケース21、第二ケース22、第三ケース23および第四ケース24を有し、これらの組立体として構成される。第一ケース21は、円筒部材から成り、隔壁部211をその内周面に有する。また、隔壁部211には、連通孔218が開けられる。第二ケース22は、蓋状部材から成り、第一ケース21の車体側の開口部に嵌め合わされてボルト結合により固定される。第三ケース23は、環状部材から成り、第一ケース21のホイール側の開口部に嵌め合わされてボルト結合により固定される。したがって、モータケース2内には、第一ケース21の隔壁部211と第二ケース22とに区画されて成る第一モータ室2Aと、隔壁部211と第三ケース23とに区画されて成る第二モータ室2Bとが形成される。第四ケース24は、フランジ部を有する環状部材から成り、そのフランジ部にて第一ケース21の隔壁部211にボルト結合により固定される。
【0030】
なお、この実施の形態では、モータケース2が第一ケース21の上部にリブ状の取付部25を有し、この取付部25に、車両のショックアブソーバ(図示省略)がボルト結合により固定されている。また、第一ケース21の隔壁部211がショックアブソーバの取付部25の直下(根元断面内範囲。第一ケース21の径方向に対して略同位置。)に配置されている。かかる構成では、車体からの荷重がショックアブソーバからモータケース2を介してホイールに伝達する。このとき、モータケース2(第一ケース21の胴部)には、大きな荷重がショックアブソーバのストローク方向に作用する。したがって、隔壁部211がショックアブソーバの取付部25の直下に配置されることにより、ショックアブソーバからの荷重に対するモータケース2の剛性が高められている。
【0031】
また、この実施の形態では、モータケース2が第一ケース21の側部に防水パネルコネクタ26を有している。この防水パネルコネクタ26を介して、モータケース2外部の電源(図示省略)とモータケース2内部の第一モータ3および第二モータ4とが接続されている。また、第一ケース21の隔壁部211には、第一モータ3の出力軸323、電力供給用あるいは信号伝達用の配線、潤滑油あるいは冷却油の配管などを配置するための連通孔218が設けられている。
【0032】
第一モータ3および第二モータ4は、車両用駆動装置1の動力源であり、モータケース2外部の電源から電力供給を受けて稼動する。また、第一モータ3は、モータケース2の第一モータ室2A(車両の車体側の室)に収容されて保持され、第二モータ4は、モータケース2の第二モータ室2B(車両のホイール側の室)に収容されて保持される。なお、モータ3、4の保持構造については、後述にて詳細に説明する。
【0033】
第一モータ3は、ステータ31と、ロータ32と、レゾルバ33とから構成され、ステータ31にてモータケース2(第一ケース21および第二ケース22)に保持されて固定される(図12および図13参照)。ステータ31は、ステータコア311、複数のコイル312および複数のインシュレータ313から成る。このステータ31は、環状構造を有するステータコア311に対して、各コイル312がインシュレータ313を介して巻き付けられて構成される。ロータ32は、ロータコア321、複数の磁石322および出力軸323から成る。このロータ32は、環状構造を有するロータコア321の外周に各磁石322が配列され、このロータコア321の中心に出力軸323が嵌め込まれて構成される。また、ロータ32は、その出力軸323を第一ケース21の隔壁部211の連通孔218からモータケース2の第二モータ室2B内に突出させ、隔壁部211にてベアリングを介して回転可能に支持されて配置される。また、ロータ32は、その出力軸323にて変速機構5(第一歯車機構51のサンギアシャフト511)に連結される。レゾルバ33は、第一モータ3(ロータ32)の回転角を検出するセンサである。この第一モータ3は、ステータ31が通電してロータ32が回転することにより、その駆動トルクを出力軸323を介して変速機構5に出力する。
【0034】
第二モータ4は、ステータ41と、ロータ42と、レゾルバ43とから構成され、ステータ41にてモータケース2(第一ケース21および第三ケース23)に保持されて固定される(図12および図13参照)。ステータ41は、ステータコア411、複数のコイル412および複数のインシュレータ413から成る。このステータ41は、環状構造を有するステータコア411に対して、各コイル412がインシュレータ413を介して巻き付けられて構成される。ロータ42は、環状構造を有するロータコア421の外周に各磁石422が配列されて構成される。また、ロータ42は、第四ケース24の外周にベアリングを介して回転可能に組み付けられ、その端部にて変速機構5(第一歯車機構51のリングギア515および第二歯車機構52のキャリア524)に連結される。レゾルバ43は、第二モータ4(ロータ42)の回転角を検出するセンサである。この第二モータ4は、ステータ41が通電してロータ42が回転することにより、その駆動トルクを変速機構5に出力する。
【0035】
なお、この実施の形態では、第一モータ3の出力軸323と第二モータ4のロータ42とが同軸上に配置されており、共通の軸Rを回転軸として回転する。
【0036】
変速機構5は、第一モータ3および第二モータ4からの駆動トルクを変速してホイール軸受6(第一内輪62)に伝達する機構である。この変速機構5は、第一歯車機構51と、第二歯車機構52と、クラッチ機構53とから構成されて、モータケース2の第二モータ室2Bに収容される。
【0037】
第一歯車機構51は、シングルピニオン式の遊星歯車機構であり、サンギアシャフト511と、サンギア512と、ピニオンギア513と、キャリア514と、リングギア515とから構成される。サンギアシャフト511は、一方の端部(車体側の端部)にて第一モータ3の出力軸323に嵌め合わされて連結され、他方の端部(ホイール側の端部)にてホイール軸受6の第一内輪62に回転可能に支持されて、軸Rを回転軸として回転する。サンギア512は、サンギアシャフト511に形成されて、サンギアシャフト511と共に軸Rを回転軸として回転する。ピニオンギア513は、サンギア512と噛み合うギアであり、キャリア514に保持される。キャリア514は、ピニオンギア513を自転自在かつ軸Rに対して公転自在に保持する。また、キャリア514の一端は、サンギアシャフト511の外周かつ第四ケース24の内周に配置されて、軸Rを回転軸として回転可能に支持される。リングギア515は、ピニオンギア513に噛み合うギアであり、軸Rを回転軸として回転可能に支持される。また、リングギア515は、第二モータ4のロータ42に連結される。
【0038】
第二歯車機構52は、ダブルピニオン式の遊星歯車機構であり、サンギア521と、第一ピニオンギア522および第二ピニオンギア523と、キャリア524と、リングギア525とから構成される。サンギア521は、第一歯車機構51のサンギア512と共にサンギアシャフト511上に一体形成されて、第一モータ3の出力軸323に連結される。第一ピニオンギア522は、サンギア521と噛み合うギアである。第二ピニオンギア523は、第一ピニオンギア522と噛み合うギアである。キャリア524は、第一ピニオンギア522および第二ピニオンギア523を自転自在かつR軸に対して公転自在にそれぞれ保持する。また、キャリア524は、サンギアシャフト511上にて、軸Rを回転軸として回転可能に支持される。また、キャリア524は、第一歯車機構51のリングギア515に一体形成され、このリングギア515と共に第二モータ4のロータ42に連結される。リングギア525は、第二ピニオンギア523と噛み合うギアである。また、リングギア525は、ホイール軸受6の第一内輪62に一体化されて固定される。
【0039】
クラッチ機構53は、ワンウェイクラッチ機構であり、例えば、カムクラッチ機構から構成される。このクラッチ機構53は、第四ケース24に固定され、また、第一歯車機構51のキャリア514をモータケース2に対して係合および分離可能に配置される。このクラッチ機構53は、第一モータ3が車両を前進させる方向に駆動トルクを発生し且つ第二モータ4が空転しているときに、第二歯車機構52のキャリア524からの反力によって、係合状態となる(第一変速状態)。一方、クラッチ機構53は、第一モータ3および第二モータ4の双方が駆動トルクを発生すると、第一歯車機構51のキャリア514のモータケース2に対する回転トルクが、上記第一変速状態の逆方向に作用して分離状態となる(第二変速状態)。
【0040】
なお、この実施の形態では、クラッチ機構53としてカムクラッチ機構が採用されている。かかる構成では、クラッチ機構53の係合分離動作を第二モータ4の駆動により受動的に制御できるので、クラッチ機構53を駆動するためのアクチュエータを省略できる。これにより、車両用駆動装置1の装置構成を簡素化できる。
【0041】
ホイール軸受6は、車両のホイール(図示省略)の軸受であり、外輪61と、第一内輪62および第二内輪63と、複数の転動体64と、ロックナット65とから構成される(図11〜図13参照)。外輪61は、第一内輪62および第二内輪63の軸受である。この外輪61は、第三ケース23のホイール側の開口部に嵌め込まれて8本のボルトを介して固定される。第一内輪62は、有底の筒状部材から成り、その底面をホイール側に向けつつ外輪61に挿入されて、軸Rを回転軸として回転可能に支持される。この第一内輪62には、4本のスタッドボルト66が取り付けられ、これらのスタッドボルト66とナット(図示省略)とを介して車両のホイールが第一内輪62に固定される。また、第一内輪62は、第二歯車機構52のリングギア525に固定され、このリングギア525と共に一体となって回転する。第二内輪63は、外輪61の内周かつ第一内輪62の外周に配置された環状部材である。複数の転動体64は、外輪61と第一内輪62および第二内輪63との軌道面間に配置されて、自転可能かつ軸Rに対して公転可能に支持される。ロックナット65は、第一内輪62の車体側の端部に配置され、第一内輪62に予圧を付与して第一内輪62の剛性を高める。
【0042】
この車両用駆動装置1では、第一モータ3および第二モータ4が駆動トルクを発生すると、この駆動トルクが変速機構5にて変速されてホイール軸受6に伝達される(図14参照)。これにより、ホイールHが回転して車両が走行する。
【0043】
また、この車両用駆動装置1は、第一変速状態と第二変速状態との2つの変速状態を実現できる。第一変速状態は、いわゆるローギア状態であり、例えば、車両の発進時や登坂時などに用いられる。一方、第二変速状態は、例えば、通常走行時に用いられる。
【0044】
第一変速状態では、第一モータ3が駆動トルクを発生すると共に第二モータ4が空転して、クラッチ機構53が係合状態となる。すると、第一歯車機構51では、クラッチ機構53がキャリア514を拘束してピニオンギア513の公転を禁止する。この状態では、第一モータ3が駆動トルクを発生すると、この駆動トルクがサンギアシャフト511および第二歯車機構52を介してホイール軸受6に伝達される。このとき、一部の駆動トルクが第二歯車機構52のキャリア524から第一歯車機構51のリングギア515およびピニオンギア513を介して第一歯車機構51のサンギア512に還元される。そして、この一部の駆動トルクがサンギアシャフト511および第二歯車機構52を介してホイール軸受6に伝達される。これにより、駆動トルクが増幅されて、より大きな変速比が実現される。
【0045】
第二変速状態では、第一モータ3および第二モータ4が駆動トルクを発生して、クラッチ機構53が分離状態となる。すると、第一歯車機構51では、クラッチ機構53がキャリア514を解放してピニオンギア513の公転を許容し、第一歯車機構51のサンギア512とリングギア515との相対回転が可能となる。この状態では、第二モータ4が駆動トルクを変化させることにより、変速比が変化する。これにより、変速比を連続的に変更できるため、車速に比例してモータ回転数が上昇せず、特に高速巡航時の摩擦損失を低減できる。
【0046】
なお、この実施の形態では、第一モータ3および第二モータ4が同軸R上に配置されて、変速機構5にそれぞれ連結されている(図12および図13参照)。かかる構成では、例えば、インホイールモータのようにモータケース2の容量が小さい場合にも、第一モータ3および第二モータ4を効率的にモータケース2内に配置できるので好ましい。しかし、これに限らず、第一モータ3と第二モータ4とが相互に異なる軸上に配置され、歯車等の伝達機構を介して変速機構5に連結されて良い(図示省略)。
【0047】
[モータの保持構造]
図1は、この発明の実施の形態にかかる車両用駆動装置のモータ保持構造を示す断面図である。図2および図3は、図1に記載したモータ保持構造を示す拡大図である。これらの図において、図2は、第一モータ3の保持構造を示し、図3は、第二モータ4の保持構造を示している。図4および図5は、図1に記載した車両用駆動装置の第一ケースを示す正面図(図4)およびB−B視断面図(図5)である。図6および図7は、図1に記載した車両用駆動装置の第二ケースを示す正面図(図6)およびC−C視断面図(図7)である。図8および図9は、図1に記載した車両用駆動装置の第三ケースを示す正面図(図8)およびD−D視断面図(図9)である。
【0048】
この車両用駆動装置1は、以下のモータ保持構造を有している。すなわち、上記のように、モータケース2が、第一ケース21、第二ケース22および第三ケース23に分割可能な構造を有する(図4〜図9参照)。また、モータケース2が、第一ケース21の隔壁部211と第二ケース22とに区画されて成る第一モータ室2Aと、隔壁部211と第三ケース23とに区画されて成る第二モータ室2Bとを有する。そして、第一モータ3が、第一モータ室2Aに収容されて、第一ケース21と第二ケース22とに挟み込まれて保持される(図1および図2参照)。また、第二モータ4が、第二モータ室2Bに収容されて、第一ケース21と第三ケース23とに挟み込まれて保持される(図1および図3参照)。
【0049】
例えば、この実施の形態では、第一ケース21が、円筒部材から成り、その内部が隔壁部211により仕切られている(図4および図5参照)。そして、この第一ケース21の一方(車体側)の開口部に第二ケース22が取り付けられ、他方(ホイール側)の開口部に第三ケース23が取り付けられて、モータケース2が構成されている(図1参照)。また、第一ケース21が、一方の開口部の内径面に、第一モータ3を挿入するための第一モータ挿入部212と、第二ケース22を嵌め合わせるためのインロー部213とを有している(図5参照)。また、第一ケース21が、他方の開口部の内径面に、第二モータ4を挿入するための第二モータ挿入部214と、第三ケース23を嵌め合わせるためのインロー部215とを有している。具体的には、切削加工により、第一ケース21の内周面が段状に拡径されて第一モータ挿入部212(第二モータ挿入部214)が形成され、さらに、この第一モータ挿入部212(第二モータ挿入部214)の入口部が段状に拡径されてインロー部213(215)が形成されている。このため、第一ケース21の内部には、モータ挿入部212(214)とインロー部213(215)とにより、隔壁部211を有する内径面を基準として二段階に拡径する段差部(段付き内径部)が形成されている。また、車体側の第一モータ挿入部212およびインロー部213と、ホイール側の第二モータ挿入部214およびインロー部215とが、いずれも同軸R上に配置されている。また、第一モータ3のステータコア311と第二モータ4のステータコア411とが同一径を有するため、第一モータ挿入部212と第二モータ挿入部214とが同一径を有している。また、モータ挿入部212(214)の内周面が、モータ3(4)のステータコア311(411)の外周面に対して隙間嵌めとなるように精度良く加工されている。また、モータ挿入部212(214)の軸方向寸法がステータコア311(411)の軸方向寸法よりも短く設定されている。また、第一ケース21の外周面には、雌ネジ部を有するフランジ部216が四等配で設けられている。
【0050】
また、第二ケース22が、第一ケース21との嵌め合い面にインロー部221を有している(図6および図7参照)。このインロー部221は、第一ケース21のインロー部213に対して隙間嵌めとなる外径を有している。また、第二ケース22は、第一ケース21に嵌め込まれた状態にて、第一ケース21に対して外周面が面一となる外径を有している。また、第二ケース22の外周面には、ボルト孔を有するフランジ部222が第一ケース21のフランジ部216に対応して設けられている。
【0051】
同様に、第三ケース23が、第一ケース21との嵌め合い面にインロー部231を有している(図8および図9参照)。このインロー部231は、第一ケース21のインロー部215に対して隙間嵌めとなる外径を有している。また、第三ケース23は、第一ケース21に嵌め込まれた状態にて、第一ケース21に対して外周面が面一となる外径を有している。また、第三ケース23の外周面には、ボルト孔を有するフランジ部232が第一ケース21のフランジ部216に対応して設けられている。
【0052】
車両用駆動装置1の組立工程では、まず、第一モータ3が、ステータ31のステータコア311を第一ケース21の第一モータ挿入部212に挿入して嵌め込まれる(図1および図2参照)。このとき、ステータコア311が、第一モータ挿入部212に対して隙間嵌めとなるため、第一モータ3の軸方向にスライド変位できる。また、ステータコア311が、その端面を第一モータ挿入部212の奥側(隔壁部211側)の段差部に当接させる。また、この状態では、第一モータ挿入部212の軸方向寸法がステータコア311の軸方向寸法よりも短いので、ステータコア311の端部が第一モータ挿入部212からインロー部213内に突出する。
【0053】
次に、第二ケース22が、そのインロー部221を第一ケース21のインロー部213に嵌め込みつつ第一ケース21の一方(車体側)の開口部に取り付けられる。このとき、第二ケース22の端面(インロー部221の開口縁部)がステータコア311の端面に当接することにより、ステータコア311が第一ケース21(第一モータ挿入部212の奥側の段差部)と第二ケース22の端面との間に挟み込まれて保持される。これにより、第一モータ3の径方向位置および軸方向位置がモータケース2(第一ケース21)に対して位置決めされる。そして、この状態にて、第一ケース21のフランジ部216と第二ケース22のフランジ部222とがボルト締めされることにより、ステータコア311が押圧状態で保持される。
【0054】
同様に、第二モータ4が、ステータ41のステータコア411を第一ケース21の第二モータ挿入部214に挿入して嵌め込まれる(図1および図3参照)。このとき、ステータコア411が、第二モータ挿入部214に対して隙間嵌めとなるため、第二モータ4の軸方向にスライド変位できる。また、ステータコア411が、その端面を第二モータ挿入部214の奥側(隔壁部211側)の段差部に当接させる。また、この状態では、第二モータ挿入部214の軸方向寸法がステータコア411の軸方向寸法よりも短いので、ステータコア411の端部が第二モータ挿入部214からインロー部215内に突出する。
【0055】
次に、第三ケース23が、そのインロー部231を第一ケース21のインロー部215に嵌め込みつつ第一ケース21の一方(ホイール側)の開口部に取り付けられる。このとき、第三ケース23の端面(インロー部231の開口縁部)がステータコア411の端面に当接することにより、ステータコア411が第一ケース21(第二モータ挿入部214の奥側の段差部)と第三ケース23の端面との間に挟み込まれて保持される。これにより、第二モータ4の径方向位置および軸方向位置がモータケース2(第一ケース21)に対して位置決めされる。そして、この状態にて、第一ケース21のフランジ部216と第三ケース23のフランジ部232とがボルト締めされることにより、ステータコア411が押圧状態で保持される。
【0056】
なお、この車両用駆動装置1では、第一ケース21のモータ挿入部212(214)がキー溝あるいは回転止めを有し、これに係合する回転止めあるいはキー溝をモータ3(4)のステータコア311(411)が有しても良い(図示省略)。かかる構成では、モータ挿入部212(214)がステータコア311(411)に対して隙間嵌めとなるときに、これらの回転止め/キー溝がモータケース2に対するモータ3(4)の回転方向の変位を規制する。これにより、モータ3(4)の周方向の位置決め状態が適正に保持される。なお、ステータコア311(411)の加工は、例えば、プレス成形あるいはワイヤカット加工により行われる。
【0057】
また、この車両用駆動装置1では、第三ケース23(第二ケース22)のインロー部231(221)の端部に突当部Tが形成されても良い(図10参照)。そして、第三ケース23(第二ケース22)がこの突当部Tをステータコア411(311)の端面に押圧してステータコア411(311)を保持しても良い。これにより、モータ挿入部214(212)の軸方向寸法がステータコア411(311)の軸方向寸法よりも短い場合にも、ステータコア411(311)が適正に保持される。
【0058】
[効果]
以上説明したように、この車両用駆動装置1は、モータケース2と、このモータケース2に組み付けられる第一モータ3および第二モータ4とを備える(図1参照)。また、モータケース2が、第一モータ3を位置決めする第一モータ挿入部212および第二モータ4を位置決めする第二モータ挿入部214を相互に独立して(例えば、車両用駆動装置1の設置状態における車両の車体側およびホイール側にそれぞれ)有する第一ケース21と、この第一ケース21に取り付けられる第二ケース22および第三ケース23とを備える(図4〜図9参照)。また、第一モータ3のステータコア311が、第一モータ挿入部212に挿入されて位置決めされて、第二ケース22により押圧状態で保持される(図1および図2参照)。また、第二モータ4のステータコア411が、第二モータ挿入部214に挿入されて位置決めされて、第三ケース23により押圧状態で保持される(図1および図3参照)。
【0059】
かかる構成では、第一ケース21が第一モータ挿入部212および第二モータ挿入部214を相互に独立して有するので、これらのモータ挿入部が一体形成されている構成と比較して、各モータ挿入部212、214の軸方向長さを短縮できる。これにより、モータ3、4(ステータコア311、411)の位置決めに必要な高精度の内径加工領域を縮小できるので、モータケース2の加工が容易となる利点がある。また、モータ3(4)とモータ挿入部212(214)との嵌め合い面が短縮されるので、モータ3(4)の組み付け工程が容易となる利点がある。また、各モータ挿入部212、214が独立なので、ステータコア311、411が同一径を有するか否かに関わらず、モータ3、4の位置決め精度を確保しつつ固定できる利点がある。
【0060】
例えば、モータケースが片側のみに長尺なモータ挿入部を有し、このモータ挿入部に第一モータおよび第二モータが順次挿入されて組み付けられる構成(図示省略)では、この長尺なモータ挿入部を精度良く加工することが難しいため、好ましくない。また、かかる構成では、装置の組立工程にて、必ず奥側のモータからモータケースに挿入して組み付ける必要があるため、組立順序の自由度が低く、好ましくない。また、かかる構成では、第一モータ(ステータコア)の外径と第二モータ(ステータコア)の外径とが相異するときに、モータ挿入部の内径を途中で相異させる加工が必要となるため、好ましくない。逆に、第一モータの外径と第二モータの外径とが同一である場合には、これらのモータの中間にスペーサを介在させる必要があるため、好ましくない。
【0061】
また、この車両用駆動装置1では、第一モータ挿入部212(第二モータ挿入部214)が第一ケース21の車体側開口部(ホイール側開口部)の内径を段状に拡径して成ることにより第一モータ挿入部212(第二モータ挿入部214)の奥側に段差部(段付き内径)が形成される(図5参照)。そして、第一モータ3(第二モータ4)のステータコア311(411)が、この段差部と第二ケース22(第三ケース23)との間に挟み込まれて保持される(図1〜図3参照)。かかる構成では、第一ケース21の内周面とモータ挿入部212(214)との段差部によりステータコア311(411)の軸方向位置が位置決めされ、また、モータ挿入部212(214)によりステータコア311(411)の径方向位置が位置決めされる。さらに、この段差部と第二ケース22(第三ケース23)との間にステータコア311(411)が挟み込まれることによりモータ3(4)が安定的に保持される。これにより、モータ3(4)がモータケース2に対して適正に位置決めされた状態で安定的に保持される利点がある。
【0062】
また、この車両用駆動装置1では、モータ3(4)のステータコア311(411)がモータ挿入部212(214)に対して隙間嵌めで挿入される(図2および図3参照)。かかる構成では、ステータコア311(411)とモータ挿入部212(214)との嵌め合い条件を緩く設定できるので、モータ3(4)の組み付け工程が容易となる利点がある。また、かかる場合においても、ステータコア311(411)が第二ケース22(第三ケース23)により押圧状態で保持されるので、モータ3(4)が適正に固定される利点がある。
【0063】
例えば、ステータコアがモータ挿入部に対して収縮締結(例えば、圧入、冷やし嵌め、焼き嵌めなど)により嵌め合わされる構成(図示省略)では、モータ挿入部の嵌め合い面を精度良く加工する必要があるが、インホイールモータのような大径のステータコアを有する構成では、かかる高精度の加工が困難であり、好ましくない。特に、モータケースの材質(アルミニウム等の軽金属)とステータコアの材質(一般に、電磁鋼板)とが相異するときに、これらの熱膨張率の相異によりステータコアの固定が緩むおそれがあるため、好ましくない。
【0064】
また、この車両用駆動装置1では、モータ3(4)のステータコア311(411)が外周面にキー溝あるいは回転止めを有することが好ましい(図示省略)。かかる構成では、ステータコア311(411)のキー溝あるいは回転止めがモータ挿入部212(214)側の回転止めあるいはキー溝に係合することにより、ステータコア311(411)の周方向の回転変位が禁止される。これにより、ステータコア311(411)がモータケース2に対して相対回転不能に保持される利点がある。
【0065】
また、この車両用駆動装置1では、第二ケース22(第三ケース23)が突当部Tを有すると共に、この突当部Tをモータ3(4)のステータコア311(411)に押圧してステータコア311(411)を保持しても良い(図10参照)。かかる構成では、例えば、モータ挿入部214(212)の軸方向寸法がステータコア411(311)の軸方向寸法よりも短い場合にも、ステータコア411(311)が適正に保持される利点がある。
【0066】
また、この車両用駆動装置1では、第一ケース21が第一モータ挿入部212と第二モータ挿入部214とを仕切る隔壁部211を有する(図1および図5参照)。かかる構成では、隔壁部211により、モータケース2の剛性が適正に確保されるので、モータ3(4)の位置決め状態が適正に確保される利点がある。
【0067】
また、この車両用駆動装置1では、第一ケース21の隔壁部211が第一モータ挿入部212と第二モータ挿入部214とを連通させる連通孔218を有することが好ましい(図1および図5参照)。かかる構成では、この隔壁部211の連通孔218を介して、例えば、第一モータ3の出力軸323、電力供給用あるいは信号伝達用の配線、潤滑油あるいは冷却油の配管などを配置できる。これにより、モータケース2の内部構造物の配置が容易となる利点がある。
【0068】
また、この車両用駆動装置1では、第一ケース21の外周にショックアブソーバ(図示省略)が配置される構成において、第一ケース21の隔壁部211がこのショックアブソーバの直下に配置されることが好ましい。かかる構成では、隔壁部211により、モータケース2の剛性が適正に確保されるので、車体からの荷重がショックアブソーバからモータケース2に伝達する場合にも、モータ3(4)の位置決め状態が適正に確保される利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、この発明にかかる車両用駆動装置は、単一のモータケースに複数のモータを組み付ける構成においてモータケースの加工工程とモータの組み付け工程とを容易化できる点で有用である。
【符号の説明】
【0070】
1 車両用駆動装置
2 モータケース
2A 第一モータ室
2B 第二モータ室
21 第一ケース
211 隔壁部
212 第一モータ挿入部
213 インロー部
214 第二モータ挿入部
215 インロー部
216 フランジ部
218 連通孔
22 第二ケース
221 インロー部
222 フランジ部
23 第三ケース
231 インロー部
232 フランジ部
24 第四ケース
25 取付部
26 防水パネルコネクタ
3 第一モータ
31 ステータ
311 ステータコア
312 コイル
313 インシュレータ
32 ロータ
321 ロータコア
322 磁石
323 出力軸
33 レゾルバ
4 第二モータ
41 ステータ
411 ステータコア
412 コイル
413 インシュレータ
42 ロータ
421 ロータコア
422 磁石
43 レゾルバ
5 変速機構
51 第一歯車機構
511 サンギアシャフト
512 サンギア
513 ピニオンギア
514 キャリア
515 リングギア
52 第二歯車機構
521 サンギア
522 第一ピニオンギア
523 第二ピニオンギア
524 キャリア
525 リングギア
53 クラッチ機構
6 ホイール軸受
61 外輪
62 第一内輪
63 第二内輪
64 転動体
65 ロックナット
66 スタッドボルト
H ホイール
T 突当部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータケースと、前記モータケースに組み付けられる第一モータおよび第二モータとを備える車両用駆動装置であって、
前記モータケースが、前記第一モータを位置決めする第一モータ挿入部および前記第二モータを位置決めする第二モータ挿入部を相互に独立して有する第一ケースと、前記第一ケースに取り付けられる第二ケースおよび第三ケースとを備え、
前記第一モータのステータコアが、前記第一モータ挿入部に挿入されて位置決めされると共に前記第二ケースにより押圧状態で保持され、且つ、
前記第二モータのステータコアが、前記第二モータ挿入部に挿入されて位置決めされると共に前記第三ケースにより押圧状態で保持されることを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項2】
前記第一モータ挿入部あるいは前記第二モータ挿入部が前記第一ケースの開口部の内径を段状に拡径して成ることにより前記第一モータ挿入部あるいは前記第二モータ挿入部の奥側に段差部が形成されると共に、前記第一モータのステータコアあるいは前記第二モータのステータコアが前記段差部と前記第二ケースあるいは前記第三ケースとの間に挟み込まれて保持される請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記第一モータのステータコアあるいは前記第二モータのステータコアが前記第一モータ挿入部あるいは前記第二モータ挿入部に対して隙間嵌めで挿入される請求項1または2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記第一モータのステータコアあるいは前記第二モータのステータコアが外周面にキー溝あるいは回転止めを有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記第二ケースあるいは前記第三ケースが突当部を有すると共に前記突当部を前記ステータコアに押圧して前記ステータコアを保持する請求項1〜4のいずれか一つに記載の車両用駆動装置。
【請求項6】
前記第一ケースが前記第一モータ挿入部と前記第二モータ挿入部とを仕切る隔壁部を有する請求項1〜5のいずれか一つに記載の車両用駆動装置。
【請求項7】
前記隔壁部が前記第一モータ挿入部と前記第二モータ挿入部とを連通させる連通孔を有する請求項6に記載の車両用駆動装置。
【請求項8】
前記第一ケースの外周にショックアブソーバが配置される構成において、前記隔壁部が前記ショックアブソーバの直下に配置される請求項6または7に記載の車両用駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−19662(P2012−19662A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157024(P2010−157024)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】