車両空調用吹出ダクトおよび車両用空調装置
【課題】従来のダクトと比較して、所望の経路差を得るために必要なダクト幅を減少できる構造のダクトを提供する。
【解決手段】流体通路を構成するダクト本体1と、ダクト本体の流体流れ方向途中に設けられており、ダクト本体内部を第1通路6と第2通路7とに分割する通路分割壁部2とを備えるダクトにおいて、第1、第2通路の通路長さの差(L1−L2)を拡大させるように、曲がり部3における第1、第2通路の並列方向でのダクト本体の幅寸法を、曲がり部3に隣接する上流側直線部4および下流側直線部5でのダクト本体の幅寸法よりも大きくする。
【解決手段】流体通路を構成するダクト本体1と、ダクト本体の流体流れ方向途中に設けられており、ダクト本体内部を第1通路6と第2通路7とに分割する通路分割壁部2とを備えるダクトにおいて、第1、第2通路の通路長さの差(L1−L2)を拡大させるように、曲がり部3における第1、第2通路の並列方向でのダクト本体の幅寸法を、曲がり部3に隣接する上流側直線部4および下流側直線部5でのダクト本体の幅寸法よりも大きくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調空気を車室内吹出口に導く車両空調用吹出ダクトおよびこの車両空調用吹出ダクトを備える車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な車両用空調装置は、例えば、冷凍サイクルを構成する圧縮機、凝縮器、蒸発器等を備え、車室内を空調するための空調本体ユニットと、送風機を備える送風機ユニットと、空調本体ユニットから車室内に風を導くための車両空調用吹出ダクトと、車両空調用吹出ダクトを通過した風を車室内へ放出する吹出口とを備えている。
【0003】
車両空調用吹出ダクトとしては、気体流路のコーナ箇所に、コーナの内周側と外周側に気体流路を仕切る導風板を設けたものが、特許文献1に記載されている。これは、コーナ箇所で曲がり部外側へ偏っていた空気の流れを、導風板を設けることによって是正することを図ったものである。
【0004】
また、車両用空調装置では、送風機によって、送風ユニット→空調本体ユニット→車両空調用吹出ダクト→吹出口という風流れを形成しているので、送風機での発生音および空調本体ユニット内の空気の流れによって発生する騒音が、車両空調用吹出ダクトを伝わって、吹出口から車室内に放射される。そこで、従来では、例えば、空調本体ユニットや車両空調用吹出ダクトに吸音材を設ける等の騒音対策が施されている。
【0005】
ところで、車両用空調装置とは別の分野では、非特許文献1に記載されているように、騒音対策手段の1つとして干渉型消音器が用いられている。ここで、この干渉型消音器の模式図を図55に示す。図55に示す消音器は、直線状の主流路501に対して、音を迂回させて進行させるための迂回流路502を設け、分流点503から合流点504までの経路差(L10−L20)の大きさを、音の波形の半波長の整数倍とすることで、合流部で逆位相の関係となる音波を干渉させることによって、消音させるものである。
【0006】
また、特許文献2には、このような干渉型消音器の機能を有する、エンジンの吸気経路として用いられるダクトが記載されている。ただし、特許文献2には、車両空調用吹出ダクトに対する干渉型消音器の具体的な適用例は記載されていない。
【0007】
また、特許文献3には、キャビテーショントンネルや風洞装置等に用いられる整流案内羽根入りエルボが記載されている。これは、干渉型消音器として機能するものではないが、ダクト内部に整流案内羽根を設置することで、流体の流れを一様に整えることを図ったものである。
【特許文献1】特開2001−277836号公報
【特許文献2】特開2004−196180号公報
【特許文献3】特開2003−194018号公報
【非特許文献1】「公害防止の技術と法規 騒音編」、公害防止の技術と法規編集委員会編集、通商産業省環境立地局監修、社団法人産業環境管理協会発行、丸善株式会社発売
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、車両の静粛性向上に伴い、車室内の静寂な空間での空調が要求されている。上記の通り、空調本体ユニットから車室内に放射される騒音は、送風機の運転や空気が蒸発器等を通過した際に発生する等、吹出口よりも空気流れ上流側の広範囲で発生しているため、騒音対策としては、吹出口に連なる車両空調用吹出ダクトに消音機能を持たせることが、吹出口よりも空気流れの上流側で発生した騒音全てに有効となる。
【0009】
そこで、本発明者は、車両空調用吹出ダクトに干渉型の消音機能を持たせることを検討した。
【0010】
まず、車両空調用吹出ダクトに干渉型消音機能を持たせるにあたって、騒音低減の対象としては、0.8kHz以上3.5kHz以下の周波数の騒音を低減することが有効であり、特に、1kHz以上2.5kHz以下の周波数の騒音を低減することが、極めて有効であることが、本発明者の調査結果よりわかった。
【0011】
この調査結果を図56(a)、(b)に示す。図56(b)は、実車送風騒音の周波数特性を示しており、図56(a)は、図56(b)に示される実車送風騒音と同じ周波数特性の騒音と、その音をベースに各1/3オクターブ分析周波数の音を3dB.A下げた騒音とを、イコライザーで作り、両者を聞き比べた場合に、人間がどのように感じるかを調査した結果である。なお、図56(a)中の○は静かになったと明確に感じたことを示し、△は明確ではないが多少、静かになったと感じたことを示しており、×は2つの音の差が感じられなかったことを示している。そして、図56(a)に示すように、2つの音を聞き比べて、一方の音が他方の音よりも小さくなって、静かになったと感じられた周波数域は、0.8kHz以上3.5kHz以下であり、静かになったことがより明確な周波数域は、1kHz以上2.5kHz以下であった。
【0012】
その一方、従来の吸音材を用いる等の車両用空調装置の騒音対策は、2kHzよりも高周波域の騒音には有効であるが、2kHz以下の低周波域の騒音に対しては効力が小さいという問題がある。
【0013】
これらのことから、車両空調用吹出ダクトに干渉型消音機能を持たせるにあたって、0.8kHz以上2kHz以下、より好ましくは、1kHz以上2kHz以下の周波数域の騒音に対して騒音低減の効果が発揮されることが望まれる。
【0014】
ここで、音波は直進性があり、直角をなす方向に進行し難いので、非特許文献1のように、直線状の主流路501に対して、直角方向に分岐する迂回流路502を設けた図55に示す構成では、主流路501に音の大部分が流れてしまうため、干渉による騒音低減の効果が得られないか、得られても効果が小さくなってしまう。なお、この対策として、主流路501と、迂回流路502の両方を流れる音のエネルギーの大きさが均等になるように、流路分岐後の主流路501を絞り、すなわち、通路断面積を小さくすることが考えられるが、この場合では、通路断面積が小さくなることで、通風抵抗が増大してしまうという問題が生じる。
【0015】
また、車両空調用吹出ダクトの直線形状部分に、図55に示す形状のように、迂回流路を設けると、迂回流路を形成した箇所が大きくなり、車両空調用吹出ダクトが大型化してしまうという問題が生じる。
【0016】
このため、空調空気の通路を構成する車両空調用吹出ダクトの直線形状部分で、図55に示す形状のように、通路を分岐する構成とすることは好ましくない。
【0017】
なお、特許文献2に記載のダクトは、空気の流れ方向と音の流れ方向とが反対の関係であって、空気を吸入するために吸入口を大きく広げた形状であり、車両空調用吹出ダクトと比較して特異な形状であるため、このダクトの形状は、車両空調用吹出ダクトに採用できない。
【0018】
本発明は、上記点に鑑み、干渉型消音機能を有する車両空調用吹出ダクトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、曲がり部(3)は、上流側ダクト部(4)から流入した空調空気を曲げの外周側と内周側に分岐させて流す第1通路(6)および第2通路(7)を有しており、曲がり部(3)は、第1、第2通路の並列方向における第1通路の断面幅寸法(W6)、第2通路の断面幅寸法(W7)および第1通路と第2通路との間隔(W2)の合計寸法(W3)が、上流側ダクト部(4)の断面幅寸法(W4)と下流側ダクト部(5)の断面幅寸法(W5)の少なくとも一方よりも大きくなっていることを第1の特徴としている。
【0020】
このように、曲がり部を、外周側の第1通路(6)と、内周側の第2通路(7)とに分岐させることで、第1、第2通路の通路長さに差を生じさせることができ、さらに、第1通路の断面幅寸法(W6)、第2通路の断面幅寸法(W7)および第1通路と第2通路との間隔(W2)の合計寸法(W3)を、上流側ダクト部(4)の断面幅寸法(W4)と下流側ダクト部(5)の断面幅寸法(W5)の少なくとも一方よりも大きくすることで、第1、第2通路の通路長さの差を拡大できる。
【0021】
この結果、本発明によれば、車両空調用吹出ダクトを車両に搭載可能な大きさとしつつ、第1通路と第2通路の経路差を所望の大きさとすることが可能となり、干渉型消音機能を有する車両空調用吹出ダクトを提供できる。
【0022】
第1の特徴では、例えば、曲がり部(3)の第1通路(6)および記第2通路(7)を、別体の管によって構成することができる。
【0023】
本発明では、曲がり部(3)は、第1、第2通路の並列方向における第1通路の断面幅寸法(W6)、第2通路の断面幅寸法(W7)および通路分割壁部の断面幅寸法(W2)の合計寸法(W3)が、上流側ダクト部(4)の断面幅寸法(W4)と下流側ダクト部(5)の断面幅寸法(W5)の少なくとも一方よりも大きくなっていることを第2の特徴としている。
【0024】
このように、曲がり部を、外周側の第1通路(6)と、内周側の第2通路(7)とに分岐させることで、第1、第2通路の通路長さに差を生じさせることができ、さらに、第1通路の断面幅寸法(W6)、第2通路の断面幅寸法(W7)および通路分割壁部の断面幅寸法(W2)の合計寸法(W3)を、上流側ダクト部(4)の断面幅寸法(W4)と下流側ダクト部(5)の断面幅寸法(W5)の少なくとも一方よりも大きくすることで、第1、第2通路の通路長さの差を拡大できる。
【0025】
この結果、本発明によれば、車両空調用吹出ダクトを車両に搭載可能な大きさとしつつ、第1通路と第2通路の経路差を所望の大きさとすることが可能となり、干渉型消音機能を有する車両空調用吹出ダクトを提供できる。
【0026】
本発明では、通路分割壁部(2)の形状を、例えば、第1通路および第2通路の通路断面積が空調空気の流れ方向で実質的に一定となるように、第1通路に面する第1通路側壁面(2a)を、曲がり部(3)の外周側内壁(3a)に沿った形状とし、第2通路に面する第2通路側壁面(2b)を、曲がり部(3)の内周側内壁(3b)に沿った形状とすることができる。
【0027】
また、本発明では、通路分割壁部(2)の形状を、例えば、第2通路に面する第2通路側壁面(2b)の全域もしくは一部が平面形状であり、第1通路に面する第1通路側壁面(2a)の全域もしくは一部が湾曲形状である形状とすることも可能である。
【0028】
また、通路分割壁部(2)の形状を、例えば、第2通路に面する第2通路側壁面(2b)の空調空気の流れ方向での沿面長さ(S2)に対する第1通路に面する第1通路側壁面(2a)の空調空気の流れ方向での沿面長さ(S1)の比(S1/S2)が、1.1〜2.0である形状とすることが好ましい。
【0029】
また、通路分割壁部(2)の形状を、例えば、空気流れ方向での上流端(2c)から空気流れ方向での中間部(2d)に向かうにつれて幅が徐々に広がり、中間部(2d)から空気流れ方向での下流端(2e)に向かうにつれて幅が徐々に狭くなっており、中間部(2d)を通る仮想線(2f)を軸とした線対称の実質的に三日月形状とすることが好ましい。
【0030】
また、本発明では、上流側ダクト部(4)、下流側ダクト部(5)および曲がり部(3)の空調空気の流れ方向に平行な断面において、曲がり部(3)は、外周側内壁(3a)が外側基準線(23a)よりも曲がりの外周側に膨出した形状となっていることを第3の特徴としている。
【0031】
これによれば、曲がり部を、外周側の第1通路(6)と、内周側の第2通路(7)とに分岐させることで生じさせた第1、第2通路の通路長さの差を拡大できる。
【0032】
この結果、本発明によれば、車両空調用吹出ダクトを車両に搭載可能な大きさとしつつ、第1通路と第2通路の経路差を所望の大きさとすることが可能となり、干渉型消音機能を有する車両空調用吹出ダクトを提供できる。
【0033】
また、本発明では、曲がり部(3)および上流側ダクト部(4)は、曲がり部(3)の外周側壁面(3a)のうち、上流側ダクト部(4)と連なる部位(10a)がダクト内部に向けて凸の形状であることによって、第1通路(6)に流入する空調空気の流れ方向が、上流側ダクト部(4)から曲がり部(3)に向かう空調空気の流れ方向に対して、鋭角をなす構成となっていることを第4の特徴としている。
【0034】
これによれば、第1通路(6)に流入する空調空気の流れ方向が、上流側ダクト部(4)から曲がり部(3)に向かう空調空気の流れ方向に対して、平行である場合と比較して、第1、第2通路の通路長さを拡大でき、車両空調用吹出ダクトを車両に搭載可能な大きさとしつつ、第1通路と第2通路の経路差を所望の大きさとすることが容易となる。
【0035】
また、本発明では、曲がり部(3)および下流側ダクト部(5)は、曲がり部(3)の外周側壁面(3a)のうち、下流側ダクト部(5)と連なる部位(10b)がダクト内部に向けて凸の形状であることによって、第1通路(6)を流れる空調空気と、第2通路を流れる空調空気とが、互いに交差する方向を向いて合流する構成となっていることを第5の特徴としている。
【0036】
ここで、第1通路(6)を流れる空調空気と、第2通路を流れる空調空気とが、互いに平行な方向を向いて、合流する構成の場合では、第1通路(6)を通過した音波と、第2通路を通過した音波とのうち、隣接する一部の音波同士しか干渉せず、互いに離れた部分は干渉しないため、干渉による騒音低減効果は比較的小さいものとなる。
【0037】
これに対して、第1通路(6)を流れる空調空気と、第2通路を流れる空調空気とが、互いに交差する方向を向いて合流する構成とすることで、第1通路(6)を通過した音波と、第2通路を通過した音波の多くを互いに干渉させることができるので、大きな騒音低減効果が得られる。
【0038】
また、本発明では、上流側ダクト部(4)、下流側ダクト部(5)および曲がり部(3)の空調空気の流れ方向に平行な断面において、曲がり部(3)は、内周側内壁(3b)が内側基準線(23b)よりも曲がりの内周側に膨出した形状であることを第6の特徴としている。
【0039】
また、本発明では、曲がり部(3)の内周側壁面(3b)の全域もしくは一部は、平面形状であることを第7の特徴としている。
【0040】
また、本発明では、曲がり部(3)の内周側壁面(3b)の全域もしくは一部は、曲がり部(3)の外周側内壁(3a)よりも緩やかな湾曲形状であることを第8の特徴としている。
【0041】
第6〜第8の特長によれば、曲がり部を、外周側の第1通路(6)と、内周側の第2通路(7)とに分岐させることで生じさせた第1、第2通路の通路長さを拡大できる。
【0042】
この結果、本発明によれば、車両空調用吹出ダクトを車両に搭載可能な大きさとしつつ、第1通路と第2通路の経路差を所望の大きさとすることが可能となり、干渉型消音機能を有する車両空調用吹出ダクトを提供できる。
【0043】
また、本発明では、曲がり部(3)には、曲げ外周側に位置する第1通路(6)と曲げ内周側に位置する第2通路(7)とに、空調空気の通路を分割する通路分割壁部(2)が設けられており、通路分割壁部(2)は、第2通路側壁面(2b)の空調空気の流れ方向での沿面長さ(S2)に対する第1通路側壁面(2a)の空調空気の流れ方向での沿面長さ(S1)の比(S1/S2)が、1.1〜2.0であることを第9の特徴としている。
【0044】
これによれば、車両空調用吹出ダクトを車両に搭載可能な大きさとしつつ、第1通路と第2通路の経路差を、所望の大きさ、すなわち、0.8kHz以上2kHz以下の低周波域の騒音を干渉によって低減できる長さとすることが可能となり、干渉型消音機能を有する車両空調用吹出ダクトを提供できる。
【0045】
また、本発明では、上流側ダクト部の一部もしくは全域が、空調空気の流れ方向を実質的に一定とする実質的に直線形状であることが好ましい。
【0046】
また、本発明では、下流側ダクト部の一部もしくは全域が、空調空気の流れ方向を実質的に一定とする実質的に直線形状であることが好ましい。
【0047】
また、本発明では、実質的に直線状に延びて、空調ケース内から空調空気が流入する上流側ダクト部(4)と、実質的に直線状に延びて、上流側ダクト部(4)内を通過する空調空気の流れ方向と異なる方向に、空調空気を流出させる下流側ダクト部(5)と、上流側ダクト部(4)と下流側ダクト部(5)とを接続する曲がり部(3)と、曲がり部(3)内に配置されて、曲がり部(3)内を外側通路(6)と内側通路(7)とに仕切る仕切部材(2)とを備え、曲がり部は、外側交線(3a)が外側基準線(23a)よりも外側を通過する形状、あるいは、内側交線(3b)が内側基準線(23b)よりも内側を通過する形状のうち少なくとも一方の形状に形成されており、仕切部材(2)の外側通路側の面(2a)は、曲がり部の外周側内壁面に沿うように形成され、仕切部材(2)の内周通路側の面(2b)は、曲がり部の内周側内壁面に沿うように形成されていることを第10の特徴としている。
【0048】
これによれば、曲がり部を、外周側の第1通路(6)と、内周側の第2通路(7)とに分岐させることで生じさせた第1、第2通路の通路長さの差を拡大できる。
【0049】
この結果、本発明によれば、車両空調用吹出ダクトを車両に搭載可能な大きさとしつつ、第1通路と第2通路の経路差を所望の大きさとすることが可能となり、干渉型消音機能を有する車両空調用吹出ダクトを提供できる。
【0050】
また、本発明では、上流側ダクト部の空調空気の流れ方向に沿った長さについては、少なくとも周波数が2kHzの音の低減を図るという観点では、85mm以上とすることが好ましく、少なくとも周波数が1.4〜2kHzの音の低減を図るという観点では、121mm以上とすることが好ましく、少なくとも周波数が0.8〜2kHzの音の低減を図るという観点では、212mm以上とすることが好ましい。
【0051】
また、本発明では、下流側ダクト部の空調空気の流れ方向に沿った長さについては、少なくとも周波数が2kHzの音の低減を図るという観点では、42mm以上とすることが好ましく、少なくとも周波数が1.4〜2kHzの音の低減を図るという観点では、60mm以上とすることが好ましく、少なくとも周波数が0.8〜2kHzの音の低減を図るという観点では、106mm以上とすることが好ましい。
【0052】
また、本発明と異なり、曲がり部が第1通路と第2通路とを有していないダクトでは、図12中の比較例2のように、下流側ダクト部の空調空気の流れ方向に沿った長さが500mm以下のとき、ダクトの曲がり部を空調空気が通過する際に偏流が生じるところ、本発明によれば、曲がり部によって生じる偏流を抑制することができ、局部的な高風速や偏った風速分布による脈動に起因したグリルでの風切り音を低減することができる。したがって、本発明は、下流側ダクト部の空調空気の流れ方向に沿った長さが500mm以下のときに有効であると言える。
【0053】
また、本発明では、車室内吹出口から車室内に放出される騒音を低減するとともに、車室内吹出口から吹き出される空調空気の偏流を抑制するという観点より、本発明の対象となる曲がり部は、空調空気の流れ方向で車室内吹出口の直前に位置するとともに、曲がり角度が45°以上180°以下であることが好ましい。
【0054】
また、本発明では、曲がり部は、流路断面の重心を通る第1、第2通路の通路長さの差(L1−L2)が、0.085〜0.215mとなっていることを第11の特徴としている。
【0055】
これにより、周波数が800〜2kHzである騒音に対して、干渉による低減の効果が得られる。
【0056】
また、本発明では、位相がずれた音波同士のエネルギーを実質的に同一として、干渉による騒音低減の効果を高めるために、第1通路と第2通路は、曲がり部の横断面を見たときの両者の通路断面積比が、一方を1としたとき、他方が0.7以上1.3以内となっていることが好ましい。
【0057】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
(第1実施形態)
本実施形態は、空調本体ユニットとインストルメントパネルに設けられる吹出口とをつなぐ車両空調用吹出ダクトのうち、サイドフェイスダクトに本発明を適用したものである。
【0059】
まず、車両用空調装置の構成について説明する。図1に、車両用空調装置の室内空調ユニットの外観斜視図を示し、図2に、図1の室内空調ユニットの内部構成の模式図を示す。なお、図1の上下左右前後の矢印は車両搭載状態での方向を示しており、図1の室内空調ユニットは右ハンドル車の配置例を示している。
【0060】
図1に示す室内空調ユニット100は、大別して送風機ユニット110と空調本体ユニット120とによって構成されている。送風機ユニット110は車両のインストルメントパネルの内側において助手席側に配置され、空調本体ユニット120はインストルメントパネルの内側において車両左右方向の略中央部に配置される。
【0061】
また、空調本体ユニット120には、空調本体ユニット120からの空調空気を車室内に導くためのフロントデフロスタダクト131、サイドフェイスダクト132、センタフェイスダクト133、リヤフェイスダクト134等の車両空調用吹出ダクトが接続されており、各ダクトの下流側端部には、インストルメントパネルに設けられる吹出口を構成するレジスタ141〜144が接続されている。レジスタはグリルとも呼ばれるものである。
【0062】
フロントデフロスタダクト131は、車両前面窓ガラスに向けて空調風を吹き出すフロントデフロスタ吹出口141に接続され、サイドフェイスダクト132は、車室内左右方向の両端側にて乗員顔部または車両の側面窓ガラスに向けて空調風を吹き出すサイドフェイス吹出口142に接続され、センタフェイスダクト133は、車両左右方向の略中央部にて空調風を乗員顔部側に向けて吹き出すセンタフェイス吹出口143に接続され、リヤフェイスダクト134は、後部座席の乗員顔部に向けて空調風を吹き出すリヤフェイス吹出口144に接続されている。
【0063】
フロントデフロスタ吹出口141、サイドフェイス吹出口142、センタフェイス吹出口143およびリヤフェイス吹出口144は、乗員の耳に近いため、これらの吹出口から車室内に放射される騒音を低減することが望まれる。したがって、車両空調用吹出ダクトのうち、特に、フロントデフロスタダクト131、サイドフェイスダクト132、センタフェイスダクト133、リヤフェイスダクト134に対して、消音機能を持たせることが望まれる。
【0064】
車両空調用吹出ダクトは、設置スペースの制約や、空調本体ユニット120と各吹出口141〜144との位置関係から風流れを変更するための曲がり部を有する形状となっている。例えば、サイドフェイスダクト132は、空調本体ユニット120から車両左右方向に延び、サイドフェイス吹出口142の直前で、車両後方に向かって略直角に曲げられた形状である。
【0065】
図2に示すように、送風機ユニット110は、送風機111と、その上部に内気と外気を切替導入する内外気切替ドア112および内外気切替箱113を有しており、この内外気切替箱113からの導入空気を、送風機111により、空調本体ユニット120に導入させるものである。
【0066】
空調本体ユニット120は、送風機ユニット110からの送風空気を温度調整して車室内へ吹き出すもので、空気通路を形成する樹脂製の空調ケース121に、送風空気を冷却する冷房用熱交換器としての蒸発器122、送風空気を加熱する暖房用熱交換器としての温水式ヒータコア123、冷却された送風空気と加熱された送風空気とを混合するためのエアミックスドア124、吹出モードを切り替えるためのモード切替ドア125、126、127等を収容している。
【0067】
空調ケース121には、蒸発器122、ヒータコア123によって温度調整された空調空気をインストルメントパネルの各吹出口から吹き出させるために、デフロスタ開口部128、フェイス開口部129、フット開口部130が設けられており、デフロスタ開口部128、フェイス開口部129に、それぞれ、フロントデフロスタダクト131、サイドフェイスダクト132、センタフェイスダクト133等が接続される。
【0068】
なお、車両用空調装置は、図示しないが、蒸発器122の他に、冷凍サイクルを構成する圧縮機、凝縮器等を備えている。
【0069】
図3に、本発明の第1実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示し、図4に、図3中のIV−IV断面図を示す。
【0070】
図3は、図1中のサイドフェイスダクト132のうち、サイドフェイス吹出口142の直前の曲がり部およびその近傍の部分断面図であり、図1中のサイドフェイスダクト132を水平な面方向で切断した縦断面図である。なお、吹出口直前の曲がり部とは、ダクトが複数の曲がり部を有している場合であれば、吹出口に最も近い曲がり部を意味する。
【0071】
図3に示すように、本実施形態のサイドフェイスダクト132は、ダクト本体1とダクト本体内部の通路を分割する通路分割壁部2とを備えている。
【0072】
ダクト本体1は、空気通路を構成する筒状のものであり、空調本体ユニットからの空調風を吹出口に導くものである。ダクト本体1は、例えば、ポリプロピレン(PP)等の樹脂材料により構成され、ブロー成型、インジェクション成型により製造される。
【0073】
ダクト本体1は、空気流れを曲げる曲がり部3と、曲がり部3の空気流れ上流側に連なる直線状の上流側直線部4と、曲がり部3の空気流れ下流側に連なる直線状の下流側直線部5とを有している。本実施形態では、曲がり部3の曲がり角度は直角もしくは略直角である。ここで、曲がり角度とは、曲がり部3に流入する空気主流の進行方向に直交する面と、曲がり部3から流出する空気の主流の進行方向に直交する面とがなす角度のことであり、図3では、上流側直線部4での空気主流の進行方向に直交する仮想面C4と、下流側直線部5での空気主流の進行方向に直交する仮想面C5とのなす角度θ1のことである。
【0074】
通路分割壁部2は、ダクト本体1の空気流れの途中に位置する曲がり部3において、その曲がり径方向の通路中央に配置されている。曲がり部3では、この通路分割壁部2により、空気通路が第1通路としての外周側空気通路6と、第2通路としての内周側空気通路7との2つに分割されている。
【0075】
通路分割壁部2は、例えば、図4に示すように、ダクト本体1を構成する壁部11のうち、上側壁部11aと下側壁部11bとを、ダクト本体1の内部に向けて凹ませることで、形成されている。
【0076】
このような構成のダクト本体1は、ダクト本体1を一体成型した後、図4に示すように、上側壁部11aと下側壁部11bとを、それぞれ、ダクト本体1の内部に向けて凹ませて、例えば、超音波溶着等によって、凹ませた部分同士を接合することで、製造可能である。
【0077】
図5に、本実施形態の比較例1におけるダクトの断面図を示し、図6に、図3のダクトに対して図5のダクトを重ね合わせた図を示す。なお、図6中の波線は、図5のダクトを示している。
【0078】
図5に示すダクトは、図3に示すダクトと同様に、ダクト本体21と通路分割壁部22を備えており、このダクト本体21も、曲がり部23と、上流側直線部24と、下流側直線部25とを有し、曲がり部23では、通路分割壁部22によって、空気通路が外周側空気通路26と、内周側空気通路27に分割されている。ただし、図5に示すダクトは、通路分割壁部22が均一の幅の板状であり、ダクト本体21の幅W21が均一である。
【0079】
また、比較例1のダクト本体21では、図5に示すように、曲がり部23の外周側内壁23aの断面形状が、上流側直線部24の外周側内壁24aから平行に曲がり部23側に延びる延長線31と、下流側直線部25の外周側内壁25aから平行に曲がり部23側に延びる延長線32とを引いたとき、これらの延長線31、32とを接線とする円弧形状となっている。同様に、曲がり部23の内周側内壁23bの断面形状も、上流側直線部24の内周側内壁24bから平行に曲がり部23側に延びる延長線33と、下流側直線部25の内周側内壁25bから平行に曲がり部23側に延びる延長線34とを接線とする円弧形状となっている。
【0080】
そして、本実施形態のダクト本体1の形状を、図5に示すダクト本体21の形状と比較すると、図6に示すように、ダクト本体1は、曲がり部3の入口10aおよび出口10bでの曲がり径方向のダクト幅W3a、W3bを、図5に示すダクトと同じとしたまま、図6中の矢印のように、曲がり部3全域において、外周側壁部11cを、図5に示すダクト本体21の曲がり部23の外周側内壁23aよりも曲がりの外周方向に膨らませ、内周側壁部11dを、曲がり部23の内周側内壁23bよりも曲がりの内周方向に膨らませた形状となっている。
【0081】
すなわち、図6に示すように、ダクト本体1の断面形状を見たとき、曲がり部3の外周側内壁3aは、上流側直線部4の外周側下流端10a1と下流側直線部5の外周側上流端10b1とを結び、上流側直線部4の外周側内壁4aおよび下流側直線部5の外周側内壁5aからの延長線を接線とする円弧形状の仮想線23aよりも、曲がりの外周側に膨らんだ形状となっている。また、曲がり部3の内周側内壁3bは、上流側直線部4の内周側下流端10a2と下流側直線部5の内周側上流端10b2とを結び、上流側直線部4の内周側内壁4bおよび下流側直線部5の内周側内壁5bからの延長線を接線とする円弧形状の仮想線23bよりも、曲がりの内周側に膨らんだ形状となっている。
【0082】
さらに詳細に説明すると、図6に示すダクト本体1の縦断面を、空調空気が上流側直線部4内を流れる上流側空気流れ方向と、空調空気が下流側直線部5内を流れる下流側空気流れ方向とを含む基準断面としたとき、曲がり部3の外周側内壁3a、内周側内壁3bとは、それぞれ、この基準断面との交線である。また、円弧形状の仮想線23a、仮想線23bは、それぞれ、上流側空気流れ方向と下流側空気流れ方向とを接線とする円弧によって、上流側直線部4の外周側内壁4aと下流側直線部5の外周側内壁5aとを結んだ外側基準線と、上流側直線部4の内周側内壁4bと下流側直線部5の内周側内壁5bとを結んだ内側基準線である。このことから、曲がり部3は、外周側内壁と基準断面の交線である外側交線3aが外側基準線23aよりも外側を通過する形状であって、かつ、内周側内壁と基準断面との交線である内側交線3bが内側基準線23bよりも内側を通過する形状であると言える。
【0083】
したがって、本実施形態のダクト本体1の形状については、曲がり部3の全域で、曲がり部のダクト幅W3が、曲がり部3の入口10aでのダクト幅W3aおよび出口10bでのダクト幅W3bよりも大きくなっていると言える。言い換えると、ダクト本体1は、曲がり部3全域のダクト幅W3が、上流側直線部4のダクト幅W4および下流側直線部5のダクト幅W5よりも大きくなっている。
【0084】
ここで、上記したダクト幅とは、図6の紙面と平行な方向でのダクト本体1の幅寸法、すなわち、外周側空気通路6と内周側空気通路7の並列方向でのダクト本体1の幅寸法を意味し、ダクト幅W3aは通路分割直前のダクト幅寸法であり、ダクト幅W3bは分割通路合流直後のダクト幅寸法であり、曲がり部3でのダクト幅W3は、外周側空気通路6の断面幅W6と、内周側空気通路7の断面幅W7と、通路分割壁部2の断面幅W2の合計である。この通路分割壁部2の断面幅W2は、外周側空気通路6と内周側空気通路7との間隔に相当する。
【0085】
本実施形態では、ダクト本体1をこのような形状とすることで、図5に示すダクトと比較して、外周側空気通路6の全長L1を長くし、内周側空気通路7の全長L2を短くして、経路差(L1−L2)を、周波数が800〜2kHzの騒音の干渉による低減に必要な大きさである0.085〜0.215mとしている。なお、外周側空気通路6の全長L1および内周側空気通路7の全長L2は、それぞれ、通路分割壁部2の上流端2cでの通路断面位置から通路分割壁部2の下流端2eでの通路断面位置までの距離であって、通路断面積の重心を結んだ線の長さである。
【0086】
また、図6に示すように、上流側直線部4の外周側内壁4a、曲がり部3の外周側内壁3aおよび下流側直線部5の外周側内壁5aの断面形状は、曲がり部3の入口10a近傍および出口10b近傍で、ダクト内側に向かって凸の形状であり、曲がり部3のうち入口10a、出口10bを除く部分では、ダクト外側に向かって凸形状となっている。すなわち、曲がり部3の外周側内壁3aは、入口10a側と出口10b側に、それぞれ変曲点3c、3dを有する断面形状となっている。
【0087】
通路分割壁部2は、外周側空気通路6と内周側空気通路7の並列方向での幅W2を、図6中の矢印のように、板状の通路分割壁部22よりも増大させ、曲がり部3の外周側壁部11cおよび内周側壁部11dを膨らませた分(E1+E2)と同じ大きさとしている。
【0088】
ここで、図7に、図3中の通路分割壁部2の部分図を示す。図7に示すように、通路分割壁部2の外周側壁面2aは、曲がり部3の外周側内壁3aに沿った形状で、通路分割壁部2の内周側壁面2bは、曲がり部3の内周側内壁3bに沿った形状であり、具体的には、外周側壁面2aは全域が湾曲しており、内周側壁面2bは、一部が平面であり、他の部位が湾曲している。
【0089】
また、通路分割壁部2は、空気流れ方向の上流端2cから空気流れ方向の中間部2dに向かうにつれて幅が徐々に広がり、中間部2dから空気流れ方向の下流端2eに向かうにつれて幅が徐々に狭くなっており、中間部2dを通る仮想線2fを軸とした線対称の翼状もしくは、実質的に三日月形状となっている。
【0090】
本実施形態では、通路分割壁部2をこのような形状とすることで、外周側空気通路6と内周側空気通路7のそれぞれの通路断面積が、空調空気の流れ方向で実質的に一定となっている。ここで、実質的に一定とは、空気流れ方向の異なる複数箇所で通路断面積を計測したとき、それらの平均値と計測値との偏差が平均値の3割以内であることを意味する。
【0091】
そして、外周側空気通路6側の面2aと内周側空気通路7側の面2bそれぞれの空気流れ方向長さS1、S2の比である沿面距離比は、例えば、S2:S1=1:1.29であり、特許文献3に記載されている整流案内羽根の沿面距離比である1:1.03よりも大きい。
【0092】
これは、特許文献3に記載の整流案内羽根は、流れの剥離を防止するための形状であるのに対して、本実施形態の通路分割壁部2は、外周側空気通路6の長さL1と、内周側空気通路7の長さL2との差を大きくするための形状だからである。したがって、本実施形態のダクトは、ダクトに要求されるスムーズな風流れという視点で見れば異質な形状となっている。なお、本実施形態では、沿面距離比を、S2:S1=1:1.29としていたが、1:1.03よりも大きければ、他の大きさに変更しても良い。車両用空調装置の騒音低減、すなわち、0.8kHz以上2kHz以下の低周波域の騒音低減という観点では、内周側空気通路7側の面2bの沿面長さS2に対する外周側空気通路6側の面2aの沿面長さS1の比が、S1/S2=1.1〜2.0であることが好ましい。
【0093】
本実施形態のダクトの寸法例を示すと、上流側直線部4、下流側直線部5、曲がり部3の入口10aおよび出口10bでのダクト幅W4、W5、W3a、W3bは70mmであり(図6参照)、外周側空気通路6の幅W6および内周側空気通路7の幅W7は、通路面積の確保を考えると最低限それぞれ共に35mmであり、通路分割壁部2の幅W2は30mmであり、ダクト本体1の高さHは25〜50mmである(図4参照)。なお、ダクト幅W4、W5は、車両における車両空調用吹出ダクトの搭載スペースを考慮すると、50mmから140mmの間で変更可能であり、特に、70mmから120mmの間であることが好ましい。また、上流側直線部4の長さL3は85〜500mmであり、下流側直線部5の長さL5は42〜500mmである(図3参照)。また、上流側直線部4、下流側直線部5の通路断面積、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面積の合計は、例えば、2000〜5000mm2である。
【0094】
このような構造の本実施形態のダクトでは、空調ユニットからの空調風が、図3中の波線で示す矢印のように、ダクト本体1の上流側直線部4を流れ、曲がり部3の入口10a側に位置する通路分岐部8で外周側空気通路6と内周側空気通路7に別れて流れ、曲がり部3の出口10b側に位置する通路合流部9で合流して下流側直線部5を流れ、ダクト本体1の下流側直線部5の下流側に位置する吹出口に到達し、吹出口から車室空間に流れ込む。このとき、曲がり部3で2つの空気通路6、7を通過する音波は、2つの経路長さの差(L1−L2)によって通路の合流部9で、音波の位相ずれが生じるので、干渉しあって減衰する。
【0095】
なお、位相がずれた音波同士を干渉して互いに打ち消し合うようにするためには、位相がずれた音波同士のエネルギーがほぼ同等であることが望ましいことから、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面積は、実質的に同一であることが好ましい。この実質的に同一とは、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面積比において、一方を1としたとき、他方が0.7以上1.3以内となることを意味する。また、音波同士のエネルギーをほぼ同等とするための外周側空気通路6と内周側空気通路7のそれぞれの通路断面積の大きさについては、ダクト本体1の形状によって異なるので、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面積を同一としたり、一方を他方よりも大きくしたりして、音波同士のエネルギーがほぼ同等となるようにすればよい。
【0096】
また、本実施形態では、曲がり部3における外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面積の合計は、上流側直線部4および下流側直線部5の通路断面積と同じであり、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面積が減少して、空気流れの圧力損失が増大するのを防いでいる。
【0097】
次に、本実施形態の主な特徴について説明する。
【0098】
(1)本実施形態では、上記の通り、ダクト本体1の形状を、上流側直線部4および下流側直線部5でのダクト幅W4、W5が図5に示すダクトのダクト幅W21と同じ大きさで、曲がり部3、上流側直線部4および下流側直線部5のうち曲がり部3のみを径方向に膨らませた形状とし、通路分割壁部2の形状を、曲がり部3の内壁3a、3bに沿った形状としている。
【0099】
これにより、図5に示すダクトと比較して、外周側空気通路6の全長L1を長くし、内周側空気通路7の全長L2を短くして、図5に示すダクトの経路差(L21−L22)よりも、経路差(L1−L2)を拡大させることができる。この結果、ダクト本体1の大型化を抑制しつつ、その経路差(L1−L2)を、周波数が800〜2kHzである騒音の干渉による低減に必要な大きさである0.085〜0.215mとすることができる。
【0100】
例えば、図5に示すダクトは、ダクト径方向の幅W21が70mmのときでは、このサイズで形成できる外周側空気通路23の全長L21と、内周側空気通路27の全長L22との経路差は55mmとなり、この経路差および標準大気圧下、常温時での音速約340m/sを、下記の周波数fと経路差ΔLとの関係式に代入して算出されるように、3.1kHzを中心周波数とした干渉消音効果が得られる。
【0101】
ここで、周波数と音の波長は、以下の関係で成り立っている。
【0102】
f=c/λ、c:音速(m/s)、λ:音の波長(m)
そして、波長と干渉に必要な経路差は、以下の関係で成り立っている。
【0103】
ΔL=λ/2
したがって、経路差と周波数の関係式は、以下のように表せる。
【0104】
f=c/(2ΔL)
そして、これよりも騒音低減周波数を下げようとした場合、例えば1.6kHz(1k〜2kHの中心付近)を狙いとするためには、上記の関係式より、必要な経路差は106mm(0.106m)であり、図5に示すダクトでは、ダクト幅W21を70mmから135mm以上まで拡大しなければならない。なお、このときの拡大前後におけるダクト本体の形状は相似の関係である。
【0105】
なお、参考として、特許文献2の図1に記載のダクトと相似形状のダクトにおいて、直線部分のダクト幅を70mmとしたとき、周波数1.6kHzの騒音を低減するための経路差をつけるために必要なダクトの最大幅は159mm以上であり、車両空調用ダクトの標準的な幅サイズ、例えば、70〜110mmに対して大きく逸脱する。
【0106】
これに対して、本実施形態のダクトでは、狙いとする騒音低減周波数を、例えば1.6kHz(1k〜2kHの中心付近)とするためには、曲がり部3の入口10aと出口10bでのダクト幅W3a、W3bは70mmのままで、曲がり部3の入口10aと出口10bを除く領域でのダクト幅W3を70mmから100mmに拡大するだけで良い。
【0107】
ここで、このときのダクト本体1の騒音低減効果を調査した結果を図8に示す。図8では、図5に示すダクト本体21に対して通路分割壁部22を省略した構造のダクトを比較例2とし、この比較例2のダクトを用いたときの騒音を基準にしたときの騒音減衰効果を調査した結果である。図8に示すように、本実施形態のダクト本体1によれば、1.6kHzを中心とする1.5k〜2kHzの範囲で騒音減衰効果があり、さらに、騒音減衰効果の程度が低下するものの、例えば、500〜1.5kHzの範囲や2.0〜2.5kHzの範囲の騒音に対しても減衰効果があると言える。
【0108】
(2)本実施形態では、図3、6に示すように、上記の通り、通路分割壁部2を略三日月形状とし、曲がり部3の形状を、外周側内壁3aが、曲がり部3の入口10a近傍および出口10b近傍で、ダクト内側に向かって凸の形状を有しつつ、外周側内壁3aが曲がり外周側に膨らんだ形状とすることで、Y字形状の通路分岐部8、通路合流部9を形成している。
【0109】
ここで、Y字形状の通路分岐部8とは、図3に示すように、上流側直線部4での空気主流の流れ方向、すなわち、上流側直線部4から通路分割壁部2の上流端2cに向かう空気流れ方向に対して、外周側空気通路6および内周側空気通路7に流入する空気の流れ方向が、鋭角をなす関係となっていることをいう。同様に、Y字形状の通路合流部9とは、図3に示すように、下流側直線部5での空気主流の流れ方向に対して、外周側空気通路6および内周側空気通路7から下流側直線部5に流入する空気の流れ方向が、鋭角をなす関係となっていることをいう。
【0110】
このように、本実施形態では、通路分岐部8をY字形状とし、特に、外周側空気通路6に流入する空気の流れ方向を、上流側直線部4での空気主流の流れ方向に対して平行でなく、鋭角をなす方向としているので、本実施形態と異なり、曲がり部3の入口10a近傍で外周側内壁3aがダクト内側に向かって凸の形状でなく、上流側直線部4での空気主流の流れ方向と外周側空気通路6に流入する空気の流れ方向とが平行である場合と比較して、経路差(L1−L2)を稼ぐことができる。
【0111】
また、図55に示す形状のように、流体流れ方向での分岐部直前における流体流れ方向に対して、分岐した流体流れ方向の一方が平行で、他方が直角をなしている場合では、音波の直進性より、分岐した流路の一方に音の大部分が流れてしまう。また、この対策として、分岐した流路の両方を流れる音のエネルギーの大きさが均等になるように、分岐前の流体の流れ方向に対して流れ方向が平行な方の流路を絞り、すなわち、通路断面積を小さくした場合では、通路断面積が小さくなることで、通風抵抗が増大してしまうという問題が生じる。
【0112】
これに対して、本実施形態では、通路分岐部8をY字形状として、上流側直線部4での空気主流の流れ方向に対する外周側空気通路6および内周側空気通路7に流入する空気の流れ方向を、平行でも直角でもない角度、すなわち、鋭角としているので、外周側空気通路6と内周側空気通路7の一方の通路断面積を小さく絞らなくても、外周側空気通路6と内周側空気通路7の両方に、音のエネルギーバランスが均等となるように、音を進行させることが可能となる。
【0113】
また、本実施形態と異なり、外周側空気通路6および内周側空気通路7から流出する空気流れ方向が互いに平行な場合では、外周側空気通路6を通過した音波と、内周側空気通路7を通過した音波とは、互いに、平行な状態のまま、下流側直線部5を通過することとなり、両者の近接する一部のみ干渉し、両者の離れた部分は干渉せずに、吹出口から車室内に放射されることとなる。このため、干渉による騒音低減の効果が比較的小さくなってしまう。
【0114】
これに対して、本実施形態では、通路合流部9をY字形状とし、外周側空気通路6および内周側空気通路7から下流側直線部5に向かう空気の流れ方向を、互いに交差する方向としているので、外周側空気通路6および内周側空気通路7から流出する空気流れ方向が互いに平行な場合と比較して、外周側空気通路6および内周側空気通路7を通過した音波の多くを干渉させることができる。したがって、本実施形態によれば、比較的大きな騒音低減の効果が得られる。
【0115】
(3)本実施形態と異なり、ダクトの形状を、図3のダクト本体1に対して上流側直線部4を省略した形状とした場合、すなわち、吹出口直前の曲がり部ではなく、サイドフェイスダクト132の空気入口に位置する曲がり部を、図3に示す形状とした場合では、外周側空気通路6と内周側空気通路7の並び方向での音圧分布が不均一な状態で、曲がり部に音が進入することとなるため、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面積を均等の大きさとしても、外周側空気通路6と内周側空気通路7を通過する音のエネルギーが異なる大きさとなり、干渉による騒音低減の効果が小さくなってしまう恐れがある。
【0116】
これに対して、本実施形態では、ダクト本体1は、曲がり部3の上流側に所定長さL3の上流側直線部4を有している。このため、ダクト本体1の内部を音が通過するとき、上流側直線部4で、外周側空気通路6と内周側空気通路7の並び方向での音圧分布が均一化された後、曲がり部3で、外周側空気通路6と内周側空気通路7に分岐して、音が進行する。したがって、本実施形態によれば、予め、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過する音のエネルギーが均等となるように、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面積を設定しておくことで、常に、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過する音のエネルギーを均等な大きさとすることができ、干渉による騒音低減の効果を高めることができる。
【0117】
このとき、音圧分布を均一化するために必要な上流側直線部4の長さL3は、干渉による騒音低減を図る周波数の音の定在波を形成するのに必要な長さ、すなわち、干渉による騒音低減を図る周波数の音の1/2波長以上の長さである。例えば、周波数が2kHzの音の低減を図るためには、音の分布を均一化するために必要な上流側直線部4の長さは、85mm以上であり、周波数が1.4kHzの音の低減を図るためには121mm以上であり、周波数が0.8kHzの音の低減を図るためには212mm以上である。したがって、少なくとも周波数が2kHzの音の低減を図るという観点では、上流側直線部4の長さL3を85mm以上とすることが好ましく、少なくとも周波数が1.4〜2kHzの音の低減を図るという観点では、上流側直線部4の長さL3を121mm以上とすることが好ましく、少なくとも周波数が0.8〜2kHzの音の低減を図るという観点では、上流側直線部4の長さL3を212mm以上とすることが好ましい。
【0118】
(4)本実施形態と異なり、ダクトの形状を、図3のダクト本体1に対して下流側直線部5を省略した形状とし、曲がり部3の出口10bに吹出口を接続する場合では、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過した音が合流する前に吹出口から拡散するため、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過した音同士の干渉現象が起きにくく、騒音低減の効果が小さくなってしまう。
【0119】
これに対して、本実施形態では、ダクト本体1は、曲がり部3の下流側に所定長さの下流側直線部5を有している。このため、曲がり部3の外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過した音が合流して下流側直線部5を通過する間に、2つの通路6、7を通過した音同士を干渉させることができる。したがって、ダクトの形状が図3のダクト本体1に対して下流側直線部5を省略した形状である場合と比較して、干渉による騒音低減の効果を高めることができる。
【0120】
ここで、下流側直線部5に必要な長さについて説明する。下流側直線部5に必要な長さは、上記の通り、曲がり部3の外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過した音が合流して干渉するのに必要なスペースを確保できる長さである。図9に、下流側直線部5の長さと騒音減衰量との関係を調査した結果を示す。図9中の実施例1、実施例2および比較例3は、共に、騒音低減の狙いとする周波数を、1.6kHzとし、図3に示す形状のダクト本体1において、曲がり部3の入口10aと出口10bでの曲がり径方向のダクト幅W3a、W3bを70mm、曲がり部3の入口10aと出口10bを除く領域でのダクト幅W3を100mmとしたものであり、実施例1は、下流側直線部5の長さを53mmとし、実施例2は下流側直線部5の長さを100mmとし、比較例3は下流側直線部5の長さを0mm、すなわち、下流側直線部5を省略したものである。
【0121】
図9に示すように、実施例1、2では、1.6kHzでの騒音減衰量が最も多くなるという結果が得られたが、比較例3では、実施例1、2と比較して、1.6kHzでの騒音減衰量が小さく、狙いとする1.6kHzの騒音低減効果がほとんど得られなかった。ここで、実施例1の53mmは、周波数が1.6kHzの音の波長の1/4に相当することから、この結果より、下流側直線部5に必要な長さは、狙いの周波数の音のλ/4以上であれば良いと言える。
【0122】
このことから、例えば、周波数が2kHzの音の低減を図るために下流側直線部5に必要な長さは、42mm以上であり、周波数が1.4kHzの音の低減を図るために下流側直線部5に必要な長さは60mm以上であり、周波数が0.8kHzの音の低減を図るために下流側直線部5に必要な長さは106mm以上である。したがって、少なくとも周波数が2kHzの音の低減を図るという観点では、下流側直線部5の長さを42mm以上とすることが好ましく、少なくとも周波数が1.4〜2kHzの音の低減を図るという観点では、下流側直線部5の長さを60mm以上とすることが好ましく、少なくとも周波数が0.8〜2kHzの音の低減を図るという観点では、下流側直線部5の長さを106mm以上とすることが好ましい。
【0123】
以上の通り、本実施形態のダクトによれば、ダクト全体の大きさをコンパクトとしながら、大きな経路差を確保することができ、車両空調用ダクトのように搭載スペースに制約が大きい場合でも、ダクト通風抵抗を増加させずに、干渉効果によって、2kHzよりも周波数が低い周波数帯までの騒音低減が実現できる。
【0124】
(5)本実施形態のダクトは、図10、11を比較してわかるように、整流作用も同時に兼ね備えている。ここで、図10に本実施形態のダクトにおける風速分布を示し、図11に比較例2のダクトにおける風速分布を示す。図10、11は、ダクト内を流れる空気の流量を150m3/hとしたときの解析結果である。比較例2は、図5に示すダクト本体21に対して通路分割壁部22を省略した構造である。また、各図の(a)は、図3、図5に対応しており、(b)は(a)中のダクト本体1の矢視図である。なお、図中の丸数字は、小さいほど風速が大きいことを示している。
【0125】
図11(a)、(b)に示すように、比較例2のダクトでは、下流側直線部5において、図中右側から左側に向かって、徐々に風速が小さくなっており、偏流が生じていることがわかる。一方、図10(a)、(b)に示すように、本実施形態のダクトでは、図11と比較して、偏流が緩和されている。
【0126】
また、図12に、本実施形態および比較例2のダクトにおいて、下流側直線部5の流れ方向長さL4を500mm以上としたときの下流側直線部5の上流端から所定距離の位置での流路断面における風速分布を示す。図12は、ダクト内を流れる空気の流量を150m3/hとしたときの解析結果であり、図中の丸数字は、小さいほど風速が大きいことを示している。
【0127】
図12に示す風速分布からわかるように、比較例2では、下流側直線部5の上流端からの距離が500mm以下のとき、下流側直線部5内を流れる空調空気流れに偏流が生じているが、下流側直線部5の上流端からの距離が0、100、200、300、400、500mmのいずれのときにおいても、本実施形態の方が比較例2よりも偏流が緩和されており、最大流速も比較例2よりも低減されることがわかる。このことから、下流側直線部5の長さが500mm以下のとき、偏流抑制の効果が得られると言える。
【0128】
このように、本実施形態のダクト本体1によれば、通風路の曲がりによる偏流を抑制することができ、さらに、最大風速を低下させることができるので、ダクト本体1の下流側に設置されている局部的な高風速や偏った風速分布による脈動に起因したグリルでの風切り音も低減できる。
【0129】
(第2実施形態)
図13に、本発明の第2実施形態におけるダクトの断面図を示す。なお、図13では、図3、図6と同様の構成部に図3、図6と同一の符号を付している。
【0130】
第1実施形態では、ダクト本体1の形状を、図6中の矢印のように、曲がり部3の外周側壁部11cを外周方向に膨らませ、内周側壁部11dを内周方向に膨らませた形状としていたが、ダクト本体1の形状については、これに限らず、図13に示すように、曲がり部3の外周側壁部11cと内周側壁部11dのうち、外周側壁部11cのみを外周方向に膨らませた形状とすることも可能である。
【0131】
本実施形態においても、図5に示すダクトと比較して、外周側空気通路6の全長L1を長くできるので、ダクト本体1の大型化を抑制しつつ、図5に示すダクトの経路差(L21−L22)よりも、経路差(L1−L2)を拡大させることができる。
【0132】
なお、図13に示すダクト本体1は、通路分割壁部2の形状が外周側空気通路6と内周側空気通路7の並列方向での幅が均一な板状であるが、通路分割壁部2の形状を、第1実施形態と同様、曲がり部3の外周側内壁3aに沿った形状としても良い。
【0133】
(第3実施形態)
図14に、本発明の第3実施形態におけるダクトの断面図を示す。図14では、図3、図6と同様の構成部に図3、図6と同一の符号を付している。
【0134】
本実施形態では、図14に示すように、曲がり部3の内周側壁部11dを平面形状とすることで、曲がり部3の外周側壁部11cと内周側壁部11dのうち、内周側壁部11dのみを曲がり内周方向に膨らませた形状としている。なお、図14に示すダクトでは、曲がり部3の内周側壁部11dの全域を平面形状としているが、一部を平面形状としても良く、平面形状の代わりに、緩やかな曲面形状としても良い。
【0135】
図14に示すダクトのように、内周側壁部11dの全域が平面形状の場合、内周側空気通路7の全長L2が最短となるので、内周側壁部11dの全域もしくは一部を曲面とする場合では、内周側空気通路7の全長L2を短くするという観点より、曲面を、できるだけ平面に近づけることが好ましい。ここで、曲面は、平面に近づくほど曲率半径が大きくなる。したがって、内周側壁部11dを平面に近い緩やかな曲面形状とすることで、内周側壁部11dを内周方向に膨らませる場合では、内周側壁部11dは、外周側壁部11cと比較して、曲率半径が大きくなっていると言える。
【0136】
なお、図14に示すダクト本体1は、通路分割壁部2の形状が外周側空気通路6と内周側空気通路7の並列方向での幅が均一な板状であるが、通路分割壁部2の形状を、第1実施形態と同様に、曲がり部3の内周側内壁3bに沿った形状としても良い。
【0137】
(第4実施形態)
図15に、本発明の第4実施形態におけるダクトの断面図を示す。なお、図15では、図3と同様の構成部に図3と同一の符号を付している。
【0138】
第1〜3実施形態では、曲がり部3の曲がり角度が直角もしくは略直角である場合を例として説明したが、曲がり部3の曲がり角度が直角でない場合であっても、本発明を適用できる。なお、図15に示すダクトは、図3に示すダクトに対して、曲がり部3の曲がり角度を小さくしたものであり、曲がり角度θ1は45度である。
【0139】
ここで、本発明を実施するにあたり、曲がり部の曲がり角度は45度以上であることが好ましい。これは、曲がり角度が45度よりも小さい場合、狙いの周波数の騒音に対して干渉による騒音低減の効果が得られるように、経路差(L1−L2)を設定しようとすると、ダクト全体の幅寸法を大きくするか、曲がり部3を曲がり外周側に大きく膨らませた形状とする必要が生じるため、搭載スペースから大きさに制約がある車両用空調ダクトには適さないからである。また、曲がり部3を曲がり外周側に大きく膨らませて、外周側空気通路6を曲がり外周側に大きく迂回させた形状とすると、図55に示す形状と同様に、外周側空気通路6に音が進行しにくくなるという問題が生じてしまうので、曲がり部の曲がり角度は45度以上であることが好ましい。
【0140】
(第5実施形態)
本実施形態は、本発明をサイドフェイスダクトへ適用したものである。図16に、第5実施形態におけるサイドフェイスダクト全体の部分断面図を示す。図16では、図3、5、6と同様の構成部に、図3、5、6と同一の符号を付している。
【0141】
サイドフェイスダクト132の上流端132aが空調本体ユニットのケースに接続される。また、サイドフェイスダクトの下流端132bに、吹出口を構成するレジスタ142が接続される。レジスタ142は、リテーナ部51と、風向きを調整するグリル52とを有する構成である。
【0142】
本実施形態のサイドフェイスダクト132は、空調空気の流れ方向を変更する第1曲がり部41と、上流側直線部4と、第2曲がり部3と、下流側第1直線部5と、空調空気の流れ方向を変更する第3曲がり部42と、下流側第2直線部43とが順に連なった形状である。第2曲がり部3の曲がり角度θ1は約45°であり、第3曲がり部42の曲がり角度θ2は約30°である。
【0143】
本実施形態では、曲がり角度θが45°以上であって、吹出口直前、すなわち、吹出口に最も近い曲がり部である第2曲がり部3に、通路分岐壁部2が設けられており、第2曲がり部3の外周側内壁3aと内周側内壁3bとのうち、外周側内壁3aのみを外側に膨らませた形状となっている。
【0144】
また、本実施形態では、下流側直線部5での空気主流の流れ方向に対して、外周側空気通路6から下流側直線部5に流入する空気の流れ方向が鋭角をなすように、第2曲がり部3の出口10bで、外周側内壁3aがダクト内部に向かって凸の形状となっている。
【0145】
このため、本実施形態においても、外周側空気通路6および内周側空気通路7から下流側直線部5に向かう空気の流れ方向を、互いに交差する方向としているので、積極的に、外周側空気通路6および内周側空気通路7を通過した音波同士を干渉させることができる。
【0146】
ここで、図17に図16中のXVII−XVII断面図を示す。図17に示すように、本実施形態では、第2曲がり部3の横断面を見たとき、外周側空気通路6と内周側空気通路7とは、通路断面積は同じだが、通路断面形状が異なっている。
【0147】
また、本実施形態では、第2曲がり部3よりも下流側のダクト部を構成する下流側第1直線部5、第3曲がり部42および下流側第2直線部43の空気流れ方向に沿った長さの合計L5が、例えば、42〜500mmとなっており、第2曲がり部3の外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過した音が合流して干渉するのに必要なスペースを確保できる長さとなっている。なお、下流側第1直線部5の長さL4を、例えば、42〜500mmとしてもよい。
【0148】
(第6実施形態)
本実施形態は、本発明をサイドフェイスダクトへ適用したものである。図18に、第6実施形態におけるサイドフェイスダクトの部分断面図を示す。図18では、図16と同様の構成部に、図16と同一の符号を付している。
【0149】
図18に示すように、本実施形態のサイドフェイスダクト132は、第2曲がり部3の曲がり角度θ1が約75°であり、第3曲がり部42の曲がり角度が約15°であるため、第5実施形態と同様に、曲がり角度θが45°以上であって、吹出口の直前、すなわち、吹出口に最も近い曲がり部である第2曲がり部3に、通路分岐壁部2が設けられており、第2曲がり部3の外周側内壁3aと内周側内壁3bとのうち、外周側内壁3aのみを外側に膨らませた形状となっている。
【0150】
そして、本実施形態においても、下流側直線部5での空気主流の流れ方向に対して、外周側空気通路6から下流側直線部5に流入する空気の流れ方向が鋭角をなすように、第2曲がり部3の出口10bで、外周側内壁3aがダクト内部に向かって凸の形状となっている。
【0151】
図19に図18中のXIX−XIX断面図を示す。本実施形態では、図19に示すように、第2曲がり部3の横断面を見たとき、外周側空気通路6と内周側空気通路7は、通路断面積は同じだが、両者の通路断面形状が異なっており、外周側空気通路6と内周側空気通路7の並び方向における外周側空気通路6の断面幅寸法W6が、内周側空気通路7の断面幅寸法W7よりも大きくなっている。これにより、外周側空気通路6と内周側空気通路7の経路差を、周波数が800〜2kHzの騒音の干渉による低減に必要な大きさである0.085〜0.215mとしたときに、サイドフェイスダクト132全体の大きさを第5実施形態と比較して、コンパクトにできる。
【0152】
また、本実施形態では、第2曲がり部3よりも下流側のダクト部を構成する下流側第1直線部5、第3曲がり部42空気流れ方向に沿った長さの合計L5が、例えば、42〜500mmとなっている。なお、下流側第1直線部5の長さL4を、例えば、42〜500mmとしてもよい。
【0153】
(第7実施形態)
本実施形態は、本発明をサイドフェイスダクトへ適用したものである。図20に、本発明の第7実施形態におけるサイドフェイスダクト全体の部分断面図を示す。図20では、図16〜19と同様の構成部に、図16〜19と同一の符号を付している。
【0154】
図20に示すように、本実施形態のサイドフェイスダクト132は、上流側直線部4と、曲がり部3と、下流側直線部5とを有する形状であり、曲がり部3は、曲がり角度θ1が90°であって、外周側内壁3aが外周側に膨出して角部44を有する形状となっている。この角部44は、上流側直進部4から曲がり部3に進行した音が吹出口に向かって進行するように丸みをおびている。
【0155】
本実施形態では、曲がり部3の外周側内壁3aと上流側直線部4の外周側内壁4aとが平行に連なっており、曲がり部3の外周側内壁3aと下流側直線部5の外周側内壁5aとが平行に連なっている。
【0156】
図21に図20中のXXI−XXI断面図を示す。図21に示すように、曲がり部3の横断面を見たとき、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面形状が異なっており、インストルメントパネルの上面に沿って、曲がりの外周側から内周側に向かって徐々に低くなるように、外周側空気通路6と内周側空気通路7の上面が傾斜した形状となっている。
【0157】
また、本実施形態では、下流側直線部5の長さL4が短いので、下流側直線部5の上流端からレジスタ142のリテーナ部51の下流端までの空気流れ方向に沿った長さL6が、例えば、42〜500mmとなっており、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過した音が合流して干渉するのに必要なスペースを確保している。
【0158】
(第8実施形態)
本実施形態は、本発明をサイドフェイスダクトへ適用したものである。図22に、本発明の第8実施形態におけるサイドフェイスダクト全体の部分断面図を示す。また、図23に図22中のXXIII−XXIII断面図を示す。なお、図22、23では、図16〜21と同様の構成部に、図16〜21と同一の符号を付している。
【0159】
図22に示すように、本実施形態のサイドフェイスダクト132は、第2曲がり部3に、通路分岐壁部2が設けられており、第2曲がり部3の外周側内壁3aと内周側内壁3bとのうち、外周側内壁3aのみを外側に膨らませた形状となっている。
【0160】
そして、本実施形態においても、下流側直線部5での空気主流の流れ方向に対して、外周側空気通路6から下流側直線部5に流入する空気の流れ方向が鋭角をなすように、第2曲がり部3の出口10bで、外周側内壁3aがダクト内部に向かって凸の形状となっている。
【0161】
また、本実施形態では、上流側直線部4から第2曲がり部3の通路分岐部8に至って、通路断面幅が緩やかに拡大されており、第2曲がり部3の外周側内壁3aと上流側直線部4の外周側内壁4aとが平行に連なっている。
【0162】
また、図23に示すように、第2曲がり部3の横断面を見たとき、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面形状が異なっている。その他の構成については、図18に示すサイドフェイスダクト132と同等である。
【0163】
(第9実施形態)
本実施形態は、本発明をサイドフェイスダクトへ適用したものである。図24に、本発明の第9実施形態におけるサイドフェイスダクト全体の部分断面図を示す。また、図25に図24中のXXV−XXV断面図を示す。なお、図24、25では、図16〜23と同様の構成部に、図16〜23と同一の符号を付している。
【0164】
図24に示すように、本実施形態のサイドフェイスダクト132は、第1曲がり部41、上流側直線部4、第2曲がり部3、第2曲がり部3よりも下流側のダクト部を構成する第3曲がり部42が順に連なる形状であり、上記した各実施形態と異なり、下流側直線部5を有していない。
【0165】
このため、本実施形態では、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過した音が合流部9で合流して干渉するのに必要なスペースを確保するため、リテーナ部51の空気流れ方向での長さL7が、例えば、42〜500mmとなっている。
【0166】
なお、図25に示すように、本実施形態においても、第2曲がり部3の横断面を見たとき、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面形状が異なっている。
【0167】
(第10実施形態)
本実施形態は、本発明をサイドフェイスダクトへ適用したものである。図26に、本発明の第10実施形態におけるサイドフェイスダクト全体の部分断面図を示す。また、図27に図26中のXXVII−XXVII断面図を示す。なお、図26、27では、図16〜25と同様の構成部に、図16〜25と同一の符号を付している。
【0168】
本実施形態では、第2曲がり部3は、空気流れ方向途中の部位45から外周側内壁3aが外側に膨出した形状である。また、第2曲がり部3では、外周側空気通路6が、内周側空気通路7に対して、高さ方向で高さΔH1ずれた状態で配置されている。
【0169】
これにより、外周側空気通路6と内周側空気通路7の経路差を、所望の大きさ、例えば、0.085〜0.215mとするとき、外周側空気通路6と内周側空気通路7とが高さ方向の位置が同じ場合と比較して、第2曲がり部3の通路断面幅W3を小さくでき、サイドフェイスダクト全体を小型化できる。
【0170】
(第11実施形態)
本実施形態は、本発明をサイドフェイスダクトへ適用したものである。図28に、本発明の第11実施形態におけるサイドフェイスダクト全体の部分断面図を示す。また、図29に図28中のXXIX−XXIX断面図を示す。なお、図28、29では、図16〜27と同様の構成部に、図16〜27と同一の符号を付している。
【0171】
本実施形態では、第2曲がり部3の外周側空気通路6と内周側空気通路7とを、それぞれ、独立させ、別体の管46、47によって構成している。したがって、外周側空気通路6を構成する外周側管46と、内周側空気通路7を構成する管47は、離間して、曲がりの径方向に並んでいる。
【0172】
本実施形態においても、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面幅寸法W6、W7および外周側空気通路6と内周側空気通路7の間隔W2の合計寸法が、第2曲がり部3の通路断面幅W3であり、この第2曲がり部3のダクト幅W3が、上流側直線部4のダクト幅W4および下流側直線部5のダクト幅W5よりも大きくなっている。
【0173】
なお、本実施形態では、曲がり部3に設けられた通路分割壁部2は、図28に示すように、外周側空気通路6側の面2aと内周側空気通路7側の面2bで構成されているが、外周側空気通路6側の面2aと内周側空気通路7側の面2bで囲まれた内部が空洞となっている。
【0174】
(第12実施形態)
本実施形態は、本発明をサイドフェイスダクトへ適用したものである。図30に、本発明の第12実施形態におけるサイドフェイスダクト全体の部分断面図を示す。また、図31、32、33に、それぞれ、図30中のXXXI−XXXI断面図、XXXII−XXXII断面図、XXXIII−XXXIII断面図を示す。また、図34に、図30中のサイドフェイスダクト132のXXXIV矢視図を示す。なお、図30〜34では、図16〜29と同様の構成部に、図16〜29と同一の符号を付している。
【0175】
本実施形態のサイドフェイスダクト132は、図30〜34に示すように、第11実施形態で説明した図28に示すサイドフェイスダクト132に対して、外周側管46を、車両下方向に向かって迂回させた形状に変更したものである。
【0176】
図34に示すように、外周側管46を内周側管47よりも車両下側に迂回させて、外周側管46と内周側管47に、所定の高低差ΔH2を持たせることで、図28に示すサイドフェイスダクト132よりも経路差を大きくできる。
【0177】
なお、本実施形態では、外周側管46を内周側管47よりも車両下側に迂回させていたが、内周側管47よりも車両上側に向かって迂回する形状としても良い。すなわち、本発明では、外周側管46を内周側管47に対して曲がり部3の曲がりの径方向だけでなく、車両上下方向のように、曲がりの径方向に垂直な方向にも迂回させて、外周側管46と内周側管47とを三次元的にずらして配置することができる。
【0178】
また、本実施形態では、曲がり部3に設けられた通路分割壁部2は、図30に示すように、外周側空気通路6側の面2aと内周側空気通路7側の面2bで構成されているが、外周側空気通路6側の面2aと内周側空気通路7側の面2bで囲まれた内部が空洞となっている。
【0179】
(第13実施形態)
本実施形態は、本発明をセンタフェイスダクトへ適用したものである。図35に、本発明の第13実施形態におけるセンタフェイスダクト全体の断面図を示す。なお、図35では、図16〜34と同様の構成部に、図16〜34と同一の符号を付している。
【0180】
図35に示すように、本実施形態のセンタフェイスダクト133は、上流端133aが空調本体ユニットのケースに接続される。また、下流端133bに、吹出口を構成するレジスタ143が接続される。
【0181】
センタフェイスダクト133は、上流側直線部4と、曲がり部3と、下流側直線部5とを有する形状であり、曲がり部3は、曲がり角度θ1が90°であって、外周側内壁3aが曲がりの外周側に膨出し、内周側内壁3bが曲がりの内周側に膨出しており、ダクト幅W3が、上流側直線部4、下流側直線部5のダクト幅W4、W5よりも大きい形状となっている。また、曲がり部3は、外周側空気通路6を形成する外周側管46と、内周側空気通路7を形成する内周側管47によって構成されている。
【0182】
本実施形態においても、曲がり部3に設けられた通路分割壁部2の構成については、外周側空気通路6側の面2aと内周側空気通路7側の面2bで囲まれた内部が空洞となっている。
【0183】
また、本実施形態においても、上記した各実施形態と同様に、上流側直線部4の長さL3は、干渉による騒音低減を図る周波数の音の1/2波長以上の長さとなっており、下流側直線部5の長さL4は、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過した音が合流して干渉するのに必要なスペースを確保できる長さとなっている。
【0184】
(第14実施形態)
本実施形態は、本発明をセンタフェイスダクトへ適用したものである。図36に、本発明の第14実施形態におけるセンタフェイスダクト全体の断面図を示す。なお、図36では、図35と同様の構成部に、図35と同一の符号を付している。
【0185】
本実施形態のセンタフェイスダクト133は、上流側直線部4の長さL3が、第13実施形態の図35に示すセンタフェイスダクト133と比較して短いものである。そのため、本実施形態では、空調本体ユニット120の空調ケース121が、センタフェイスダクト133との接続箇所に所定長さL8の空気通路部121aを有する形状となっており、その長さL8が、干渉による騒音低減を図る周波数の音の1/2波長以上の長さ、例えば、85mm以上となっている。
【0186】
なお、空気通路部121の長さL8を干渉による騒音低減を図る周波数の音の1/2波長以上の長さとしたが、上流側直線部4の長さL3と、空気通路部121の長さL8との合計長L9を、干渉による騒音低減を図る周波数の音の1/2波長以上の長さとしても良い。
【0187】
(第15実施形態)
本実施形態は、本発明をセンタデフダクトへ適用したものである。図37に、本発明の第15実施形態におけるセンタデフダクト131全体の正面図を示し、図38に図37中のXXXVIII−XXXVIII断面図を示す。なお、図38では、図3、5、6、16と同様の構成部に、図3、5、6、16と同一の符号を付している。また、図39に、比較例としてのセンタデフダクト331を示す。
【0188】
本実施形態および比較例におけるセンタデフダクト131、331は、空調本体ユニットのデフ開口部と、センタデフ吹出口とが、車両前後方向での位置関係において、離れている場合に使用されるものであるため、空調本体ユニットに接続される上流端131a、331aと、吹出口側の下流端131b、331bとが、車両前後方向で離れた配置となっている。
【0189】
本実施形態のセンタデフダク131は、図38に示すように、上流端131a側から第1曲がり部41と、上流側直線部4と、第2曲がり部3と、下流側第1直線部5とが順に連なった形状であり、第2曲がり部3の曲がり角度θ1は約135°である。
【0190】
第2曲がり部3は、第11、13実施形態と同様に、外周側空気通路6を形成する外周側管46と、内周側空気通路7を形成する内周側管47とによって構成されている。言い換えると、本実施形態においても、曲がり部3に設けられた通路分割壁部2は、外周側空気通路6側の面2aと内周側空気通路7側の面2bで囲まれた内部が空洞となっている。
【0191】
また、第2曲がり部3は、外周側内壁3aが図39に示すセンタデフダクト331よりも曲がりの外周側に膨出し、内周側内壁3bの一部が平面の形状となっており、本実施形態においても、曲がり部3のダクト幅W3が、上流側直線部4、下流側直線部5のダクト幅W4、W5よりも大きくなっている。
【0192】
(第16実施形態)
本実施形態は、本発明をセンタデフダクトへ適用したものである。図40に、本発明の第16実施形態におけるセンタデフダクト全体の断面図を示し、図41に、比較例としてのセンタデフダクト331を示す。なお、図40、41は、それぞれ、図38、39に対応する図であり、図40、41では、図38、39と同等の構成部に、図38、39と同一の符号を付している。
【0193】
本実施形態および比較例におけるセンタデフダクト131、331は、空調本体ユニットのデフ開口部と、センタデフ吹出口とが、車両前後方向での位置関係において、近い場合に使用されるものである。
【0194】
本実施形態では、第2曲がり部3の曲がり角度θ1が約45°であり、第2曲がり部3の外周側内壁3aが、仮想円弧曲線23aおよび図41のセンタデフダクト331よりも、曲がりの外周側に膨出した形状となっている。
【0195】
(第17実施形態)
図42に、本実施形態における車両空調用ダクトの曲がり部3における横断面図を示す。図42は、図4に対応しており、図4と同様の構成部に図4と同一の符号を付している。
【0196】
第1実施形態では、図4に示すように、通路分割壁部2を、曲がり部3を構成する壁部11のうち、上側壁部11aと下側壁部11bの両方を、ダクト本体1の内部に向けて凹ませて構成していたが、図42に示すように、上側壁部11aと下側壁部11bのうち、上側壁部11aのみをダクト本体1の内部に向けて凹ませることで、外周側壁面2aと内周側壁面2bによって構成される通路分割壁部2を形成しても良い。
【0197】
(第18実施形態)
図43に、本実施形態における車両空調用ダクトの曲がり部3における横断面図を示す。図43は、図4に対応しており、図4と同様の構成部に図4と同一の符号を付している。
【0198】
第1実施形態では、図4に示すように、曲がり部3で、通路分割壁部2によって、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを完全に区切っていたが、本実施形態のように、実質的に、外周側空気通路6と内周側空気通路7とが構成されていれば、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを部分的に連通させた構成としても良い。
【0199】
この場合、干渉による騒音の低減効果が得られる程度まで、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを連通させる連通部401の通路断面積を、外周側空気通路6および内周側空気通路7の通路断面積よりも小さくする。
【0200】
また、連通部401は、例えば、ダクト本体1を構成する壁部11の上側壁部11aと下側壁部11bの両方を、互いに接触しない程度に、ダクト本体1の内部に向けて凹ませることで形成可能である。
【0201】
また、図示しないが、通路分割壁部2に連通穴を開けて、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを連通させても良い。なお、本実施形態の連通部には、車両空調用吹出ダクトの製造上、やむなくできる隙間も含まれる。
【0202】
(第19実施形態)
図44に、本実施形態における車両空調用ダクトの曲がり部3における横断面図を示す。図44は、図4に対応しており、図4と同様の構成部に図4と同一の符号を付している。
【0203】
第1実施形態では、車両空調用吹出ダクトの製造方法として、ダクト本体1を一体成型した後、上側壁部11aと下側壁部11bとを凹ませ、凹ませた部分同士を接合することで、通路分割壁部2を形成する方法を説明したが、本実施形態のように、ダクト本体1を、上側壁部11aを有する上側半分と、下側壁部11bを有する下側半分との2分割した構成とし、側壁部11aと下側壁部11bの凹ませた部分同士を、溶着、接着等により接合した後、両者をボルト402、403で結合する方法を採用しても良い。
【0204】
(第20実施形態)
図45に、本実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示す。図45は、図3に対応する図であり、図45では、図3と同様の構成部に、図3と同一の符号を付している。
【0205】
第1実施形態では、ダクト本体1を構成する管の肉厚を均一にして、外形上、ダクト本体1が部分的に膨らんでいる形状である場合を例として説明したが、これに対して、本実施形態のように、外形上、ダクト本体1の幅(外径)を均一にして、ダクト本体1を構成する管の肉厚を変更することで、実質的に、第1実施形態で説明した図3に示すダクト本体1と同じダクトを構成することも可能である。
【0206】
(第21実施形態)
図46に、本実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示す。図46は、図3に対応する図であり、図46では、図3と同様の構成部に、図3と同一の符号を付している。
【0207】
図46に示すダクト本体1は、図5に示す形状のダクト本体21の内壁および通路分割壁部22に対して、内張材411、412、413、414を貼り付けたものである。このようにして、ダクト本体1の内部に、実質的に、第1実施形態で説明した図3に示すダクト本体1と同じダクトを構成することも可能である。
【0208】
(第22実施形態)
図47に、本実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示す。図47は、図3に対応する図であり、図47では、図3と同様の構成部に、図3と同一の符号を付している。
【0209】
本実施形態のダクト本体1は、図47に示すように、図3に示すダクト本体1の内壁面に、吸音材421を貼り付け、通路分割壁部2の表面に、吸音材422を貼り付けている。吸音材421、422としては、例えば、エーテル系ウレタンフォームが採用可能である。ダクト本体1のその他の構成については、第1実施形態で説明した図3に示す本体ダクト1と同様である。
【0210】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の構成を有しているので、周波数が800〜2kHzである騒音に対して、干渉による低減の効果が得られ、さらに、吸音材421、422による吸音によって、周波数が2kHz以上である騒音の低減効果が得られる。
【0211】
なお、図47では、通路分割壁部2の表面に吸音材422を貼り付けていたが、通路分割壁部2自体を吸音材で構成しても良い。
【0212】
(第23実施形態)
図48に、本実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示し、図49に、図48中のXLIX−XLIX断面図を示す。図48は、図3、6に対応する図であり、図49は、図4に対応する図であり、図48、49では、図3〜7と同様の構成部に、図3〜7と同一の符号を付している。
【0213】
上記した各実施形態では、曲がり部3の内壁3a、3bおよび通路分割壁部2の表面2a、2bが、平滑であったが、本実施形態では、曲がり部3の内壁3a、3bおよび通路分割壁部2の表面2a、2bに凹凸を設けている。
【0214】
本実施形態のダクト本体1は、図48、49に示すように、図6に示すダクト本体1に対して、曲がり部3の外周側内壁3aに凸部431を設け、通路分割壁部2の外周側壁面2aに凸部432を設けており、外周側空気通路6を構成する壁面のうち、対向する壁面に凸部を設けた構成となっている。外周側内壁3aの凸部431は、空気流れ方向で複数離間して配置されており、通路分割壁部2の凸部432も、空気流れ方向で複数離間して配置されている。また、外周側内壁3aの凸部431と、通路分割壁部2の凸部432とは、互いに対向しないように、空気流れ方向でずらして配置されている。
【0215】
また、本実施形態のダクト本体1は、図6に示すダクト本体1に対して、曲がり部3の内周側内壁3bに凸部433を設け、通路分割壁部2の内周側壁面2bに凹部434を設けており、内周側空気通路7を構成する壁面のうち、対向する壁面の一方側に凸部を設け、他方側に凹部を設けた構成となっている。内周側内壁3bの凸部433は、空気流れ方向で、複数離間して配置されており、通路分割壁部2の凹部434も空気流れ方向で、複数離間して配置されている。また、内周側内壁3bの凸部433と、通路分割壁部2の凹部434とは、互いに対向する位置に、配置されている。
【0216】
このように、曲がり部3の内壁3a、3bおよび通路分割壁部2の表面2a、2bに凹凸を設けることにより、外周側空気通路6と内周側空気通路7の経路差を調整することができ、狙いの周波数帯の騒音を干渉により低減することが可能となる。
【0217】
なお、凸部431、432、433の大きさおよび凹部434の大きさは、通風抵抗が増加しない程度とすることが好ましく、また、凸部、凹部の数は、任意に変更可能である。
【0218】
また、図48では、外周側内壁3aの凸部431と、通路分割壁部2の凸部432は、空気流れ方向での幅が、内周側内壁3bの凸部433よりも小さく、かつ、その幅が凸部の高さ方向で一定の形状であり、内周側内壁3bの凸部433は裾広がりの山形状であるが、凸部の形状は、任意に変更可能である。
【0219】
また、図48では、外周側空気通路6と内周側空気通路7のうち、外周側空気通路6のみにおいて、外周側内壁3aの凸部431と、通路分割壁部2の凸部432とが、空気流れ方向で交互に配置されていたが、内周側空気通路7を外周側空気通路6と同様の構成としても良い。
【0220】
また、図48では、内周側空気通路7において、内周側内壁3bの凸部433と、通路分割壁部2の凹部434とが、互いに対向する位置に配置されていたが、反対に、内周側内壁3bに凹部を設け、通路分割壁部2に凸部を設けても良く、また、外周側空気通路6を、内周側空気通路7と同様の構成としても良い。
【0221】
(第24実施形態)
図50に、本実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示し、図51に、図50中のLI−LI断面図を示す。図50は、図51中のL−L断面図であって、図3、6に対応する図であり、図51は、図4に対応する図である。図50、51では、図3〜7と同様の構成部に、図3〜7と同一の符号を付している。
【0222】
本実施形態では、曲がり部3の外周側空気通路6を複数の通路に完全に分割し、曲がり部3の内周側空気通路7を部分的に複数の通路に分割している。
【0223】
具体的には、本実施形態のダクト本体1は、図50、51に示すように、図6に示すダクト本体1に対して、曲がり部3の外周側空気通路6内に、空気通路を2つに分割する分割壁441を設けている。
【0224】
分割壁441は、図51に示すように、外周側空気通路6の図中上下方向での中央に位置し、曲がり部3の外周側内壁3aから通路分割壁部2に至る長さであり、図50に示すように、外周側空気通路6の空気流れ方向全域に設けられている。この分割壁441によって、図51に示すように、外周側空気通路6が、外周側第1通路442と外周側第2通路443の2つに完全に分割されている。
【0225】
また、本実施形態のダクト本体1は、図51に示すように、図6に示すダクト本体1に対して、曲がり部3の内周側空気通路7内に、曲がり部3の内周側内壁3bから、通路分割壁部2の内周側壁面2bに向かって延びる板形状のリブ444、445を2つ設けている。リブ444、445は、空気流れ方向、すなわち、図51の紙面垂直方向に延びている。このため、図51に示すように、内周側空気通路7の横断面を見たとき、内周側空気通路7の図中左側半分に相当する部分が、図中上下方向で、3分割された構成となっている。
【0226】
このように、曲がり部3の外周側空気通路6を複数の通路に分割し、曲がり部3の内周側空気通路7を部分的に複数の通路に分割することで、曲がり部3よりも空気流れ下流側での風速分布の更なる均一化が可能となる。
【0227】
なお、分割壁441、リブ444、445の数および設置位置については、上記効果が得られる範囲で、任意に変更可能である。
【0228】
また、図51では、外周側第1通路442と外周側第2通路443とは、図中上下方向、すなわち、外周側空気通路6と内周側空気通路7の並び方向および空気流れ方向に対して、略垂直な方向に並んでいるが、図中左右横方向、すなわち、外周側空気通路6と内周側空気通路7の並び方向に、外周側第1通路442と外周側第2通路443とが並ぶように、外周側空気通路6を分割する構成としても良い。
【0229】
また、図51では、内周側空気通路7が、部分的に、図中上下方向で、3分割された構成であったが、図中左右横方向で、3分割された構成としても良い。
【0230】
また、図51では、曲がり部3の外周側空気通路6を複数の通路に完全に分割し、曲がり部3の内周側空気通路7を部分的に複数の通路に分割していたが、外周側空気通路6と内周側空気通路7の構成を入れ替えたり、外周側空気通路6と内周側空気通路7の両方を、複数の通路に完全に分割した構成や部分的に複数の通路に分割した構成としたりしても良く、このようにしても、本実施形態の効果が得られる。
【0231】
(第25実施形態)
図52に、本実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示す。図52は、図3、6に対応する図であり、図52では、図3、6と同様の構成部に、図3、6と同一の符号を付している。
【0232】
本実施形態では、図52に示すように、曲がり部3の曲がり角度θ1が180°となっている。
【0233】
具体的には、ダクト本体1は、上流側第1直線部451と、第1曲がり部452と、上流側第2直線部4と、第2曲がり部3と、下流側直線部5とが順に連なった形状であって、第2曲がり部3の曲がり角度θ1が180°となっており、 第2曲がり部3は、外周側内壁3aを、仮想曲線23aよりも、外側に膨らませた形状となっている。
【0234】
このように、曲がり部3の曲がり角度θ1が180°においても、本発明を適用できる。第4実施形態および本実施形態より、本発明の実施においては、曲がり部3の曲がり角度θ1が45°以上180°以下であることが好ましい。
【0235】
(第26実施形態)
図53に、本実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示す。図53は、図3、6に対応する図であり、図53では、図3、6と同様の構成部に、図3、6と同一の符号付している。
【0236】
第1実施形態では、ダクト本体1は、曲がり部3全域のダクト幅W3が、上流側直線部4のダクト幅W4および下流側直線部5のダクト幅W5よりも大きくなっていたが、本実施形態では、図53に示すように、曲がり部3のダクト幅W3が、上流側直線部4のダクト幅W4と下流側直線部5のダクト幅W5のうち、下流側直線部5のダクト幅W5のみと比較して、大きくなっている。
【0237】
すなわち、本実施形態のダクト本体1は、上流側直線部4のダクト幅W4が、曲がり部3のダクト幅W3と同じかそれ以上の大きさである。そして、曲がり部3は、入口10aでのダクト幅W3aが、上流側直線部4のダクト幅W4と同じであって、入口10aから空気流れ方向に沿って、ダクト幅W3が徐々に小さくなり、出口10bでのダクト幅W3bが最も小さくなっている。
【0238】
本実施形態では、上流側直線部4での空気主流の流れ方向と外周側空気通路6に流入する空気の流れ方向とが平行となるため、曲がり部3および下流側直線部5の大きさを第1実施形態で説明したダクト本体1と同じとした場合では、第1実施形態と比較して、周側空気通路6と内周側空気通路7の経路差が小さくなるが、曲がり部3のダクト幅W3によって、この経路差が調整されることから、曲がり部3のダクト幅W3を、比較的大きくできる場合であれば、ダクト本体1として、このような構成を採用しても良い。
【0239】
(第27実施形態)
図54に、本実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示す。図54は、図3、6に対応する図であり、図54では、図3、6と同様の構成部に、図3、6と同一の符号付している。
【0240】
本実施形態では、図54に示すように、曲がり部3のダクト幅W3が、上流側直線部4のダクト幅W4と下流側直線部5のダクト幅W5のうち、上流側直線部4のダクト幅W4のみと比較して、大きくなっている。
【0241】
すなわち、本実施形態のダクト本体1は、上流側直線部4のダクト幅W4が、曲がり部3のダクト幅W3よりも小さく、下流側直線部5のダクト幅W5が、曲がり部3のダクト幅W3と同じかそれ以上の大きさとなっている。そして、曲がり部3は、入口10aでのダクト幅W3aが最も小さくなっており、入口10aから空気流れ方向に沿って、ダクト幅W3が徐々に大きくなり、その後、一定の大きさとなっている。
【0242】
このように、ダクト本体1の構成として、曲がり部3のダクト幅W3が、上流側直線部4のダクト幅W4よりも大きいが、下流側直線部5のダクト幅W5よりも大きくない構成を採用しても良い。
【0243】
また、本実施形態では、ダクト本体1は、下流側直線部5の下流側に、ダクト幅W461が徐々に小さくなっているダクト部461と、下流側直線部5のダクト幅W5よりも小さいダクト幅W462であって、ダクト幅が一定であるダクト部分462とを有している。
【0244】
本実施形態では、外周側空気通路6を通過した音波と、内周側空気通路7を通過した音波とは、互いに、平行な状態のまま、下流側直線部5を通過することになるが、ダクト幅W461が徐々に小さくなっているダクト部451で、外周側空気通路6および内周側空気通路7から流出した後の空気流れ方向を交差する方向に変更させることができるので、外周側空気通路6および内周側空気通路7を通過した音波の多くを干渉させることができる。
【0245】
(他の実施形態)
(1)第1実施形態では、通路分割壁部2の形状を翼状とする場合を例として説明したが、ダクト本体1の形状で、経路差を確保できれば、図13〜15に示すように、外周側空気通路6と内周側空気通路7の並列方向での幅が均一な板状としても良い。
【0246】
同様に、第5〜27実施形態においても、経路差を確保できれば、通路分割壁部2の形状を板状としても良い。
【0247】
また、図3、図13〜15では、通路分割壁部2の上流端部、下流側端部が尖っていたが、上流端部、下流側端部が丸みをおびた形状であっても良い。
【0248】
このように、通路分割壁部2の形状については、経路差を確保できる範囲で、任意に変更可能である。
【0249】
(2)上記した各実施形態では、車両空調用吹出ダクトが、通路分割壁部2を設けた部位3よりも空気流れの上流側に、上流側ダクト部として上流側直線部4を有していたが、上流側ダクト部は、直線状に限らず、曲線状であってもよい。上流側ダクト部が直線状でなくても、所定長さを有することで、第1実施形態のように、音圧分布を均一に近づけることができる。
【0250】
(3)第1、第17〜19実施形態では、通路分割壁部2の形成方法として、ダクト本体1を凹ませる方法を採用する場合を例として説明したが、例えば、ダクト本体1と通路分割壁部2とを別体として形成した後、通路分割壁部2をダクト本体1に接着等により固定する方法を採用しても良い。
【0251】
(4)上記した各実施形態では、通路分割壁部2を1つ設けることで、空気通路を2つに分割する場合を例として説明したが、通路分割壁部2を複数設けることで、空気通路を3つ以上に分割しても良い。
【0252】
ただし、ダクト本体1のダクト幅を同一としたまま、空気通路を3つ以上に分割した場合では、分割数が増えるほど、各空気通路同士の通路長さの差が小さくなるため、空気通路を分割する数は少ない方が好ましい。
【0253】
(5)上記した各実施形態では、干渉のスペースを確保するために、曲がり部3よりも下流側ダクト部の長さを狙いの周波数の音波の1/4波長以上の長さとしていたが、干渉のスペースを確保するという観点では、下流側ダクト部の長さでなくても、通路分割壁部2の下流側端部、すなわち、外周側空気通路6と内周側空気通路7との合流点から吹出口までの空気流れ方向での長さが、狙いの周波数の音波の1/4波長以上の長さであれば良い。
【0254】
(6)上記した実施形態では、室内空調ユニット100が、送風機ユニット110と空調本体ユニット120とによって構成されている場合を説明したが、室内空調ユニット100は、送風機ユニット110と空調本体ユニット120とに分け隔てられない1つのユニットであっても良い。
【0255】
また、上記した実施形態では、図2に示すように、送風機111が、蒸発器122およびヒータコア123の空気流れ上流側に配置されていたが、蒸発器122およびヒータコア123の空気流れ下流側に配置してもよい。
【0256】
要するに、本発明の実施においては、車両用空調装置の構成は特に影響せず、本発明は、種々の構造の車両用空調装置に適用可能である。
【0257】
(7)上記した各実施形態は、それぞれ、実施の一形態を示したにすぎず、適用可能な範囲で、各実施形態を任意に組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0258】
【図1】本発明の第1実施形態における車両用空調装置の室内空調ユニットの外観斜視図である。
【図2】図1の室内空調ユニットの内部構成の模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるダクトの断面図である。
【図4】図3中のIV−IV断面図である。
【図5】第1実施形態に対する比較例としてのダクトの断面図である。
【図6】図3のダクトに対して図5のダクトを重ね合わせた図である。
【図7】図3中の通路分割壁部2の拡大図である。
【図8】第1実施形態のダクト本体1の騒音低減効果を調査した結果である。
【図9】第1実施形態のダクト本体1の下流側直線部5の長さと騒音減衰量との関係を調査した結果である。
【図10】第1実施形態のダクト本体1における風速分布を示す図である。
【図11】比較例2のダクトにおける風速分布を示す図である。
【図12】第1実施形態および比較例2のダクトにおいて、下流側直線部5の流れ方向長さL4を500mm以上としたときの下流側直線部5の上流端から所定距離の位置での流路断面における流速分布を示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態におけるダクトの断面図である。
【図14】本発明の第3実施形態におけるダクトの断面図である。
【図15】本発明の第4実施形態おけるダクトの断面図である。
【図16】本発明の第5実施形態おけるサイドフェイスダクトの部分断面図である。
【図17】図16中のXVII−XVII断面図である。
【図18】本発明の第6実施形態おけるサイドフェイスダクトの部分断面図である。
【図19】図18中のXIX−XIX断面図である。
【図20】本発明の第7実施形態おけるサイドフェイスダクトの部分断面図である。
【図21】図20中のXXI−XXI断面図である。
【図22】本発明の第8実施形態おけるサイドフェイスダクトの部分断面図である。
【図23】図22中のXXIII−XXIII断面図である。
【図24】本発明の第9実施形態おけるサイドフェイスダクトの部分断面図である。
【図25】図24中のXXV−XXV断面図である。
【図26】本発明の第10実施形態おけるサイドフェイスダクトの部分断面図である。
【図27】図26中のXXVII−XXVII断面図である。
【図28】本発明の第11実施形態おけるサイドフェイスダクトの部分断面図である。
【図29】図28中のXXIX−XXIX断面図である。
【図30】本発明の第12実施形態おけるサイドフェイスダクトの部分断面図である。
【図31】図30中のXXXI−XXXI断面図である。
【図32】図30中のXXXII−XXXII断面図である。
【図33】図30中のXXXIII−XXXIII断面図である。
【図34】図30中のXXXI矢視図である。
【図35】本発明の第13実施形態おけるセンタフェイスダクトの断面図である。
【図36】本発明の第14実施形態おけるセンタフェイスダクトの断面図である。
【図37】本発明の第15実施形態おけるセンタデフダクトの正面図である。
【図38】図37中のXXXVIII−XXXVIII断面図である。
【図39】第15実施形態の比較例におけるセンタデフダクトの断面図である。
【図40】本発明の第16実施形態おけるセンタデフダクトの断面図である。
【図41】第16実施形態の比較例におけるセンタデフダクトの断面図である。
【図42】本発明の第17実施形態における車両空調用ダクトの曲がり部における断面図である。
【図43】本発明の第18実施形態における車両空調用ダクトの曲がり部における断面図である。
【図44】本発明の第19実施形態における車両空調用ダクトの曲がり部における断面図である。
【図45】本発明の第20実施形態における車両空調用ダクトの断面図である。
【図46】本発明の第21実施形態における車両空調用ダクトの断面図である。
【図47】本発明の第22実施形態における車両空調用ダクトの断面図である。
【図48】本発明の第23実施形態における車両空調用ダクトの断面図である。
【図49】図48中のXLIX−XLIX断面図である。
【図50】本発明の第24実施形態における車両空調用ダクトの断面図である。
【図51】図50中のLI−LI断面図である。
【図52】本発明の第25実施形態における車両空調用ダクトの断面図である。
【図53】本発明の第26実施形態における車両空調用ダクトの断面図である。
【図54】本発明の第27実施形態における車両空調用ダクトの断面図である。
【図55】非特許文献1に記載されている干渉型消音器の模式図である。
【図56】本発明が対象とする空調騒音の周波数域の調査結果である。
【符号の説明】
【0259】
1…ダクト本体、2…通路分割壁部、3…曲がり部、4…上流側直線部、
5…下流側直線部、6…外周側空気通路、7…内周側空気通路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調空気を車室内吹出口に導く車両空調用吹出ダクトおよびこの車両空調用吹出ダクトを備える車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な車両用空調装置は、例えば、冷凍サイクルを構成する圧縮機、凝縮器、蒸発器等を備え、車室内を空調するための空調本体ユニットと、送風機を備える送風機ユニットと、空調本体ユニットから車室内に風を導くための車両空調用吹出ダクトと、車両空調用吹出ダクトを通過した風を車室内へ放出する吹出口とを備えている。
【0003】
車両空調用吹出ダクトとしては、気体流路のコーナ箇所に、コーナの内周側と外周側に気体流路を仕切る導風板を設けたものが、特許文献1に記載されている。これは、コーナ箇所で曲がり部外側へ偏っていた空気の流れを、導風板を設けることによって是正することを図ったものである。
【0004】
また、車両用空調装置では、送風機によって、送風ユニット→空調本体ユニット→車両空調用吹出ダクト→吹出口という風流れを形成しているので、送風機での発生音および空調本体ユニット内の空気の流れによって発生する騒音が、車両空調用吹出ダクトを伝わって、吹出口から車室内に放射される。そこで、従来では、例えば、空調本体ユニットや車両空調用吹出ダクトに吸音材を設ける等の騒音対策が施されている。
【0005】
ところで、車両用空調装置とは別の分野では、非特許文献1に記載されているように、騒音対策手段の1つとして干渉型消音器が用いられている。ここで、この干渉型消音器の模式図を図55に示す。図55に示す消音器は、直線状の主流路501に対して、音を迂回させて進行させるための迂回流路502を設け、分流点503から合流点504までの経路差(L10−L20)の大きさを、音の波形の半波長の整数倍とすることで、合流部で逆位相の関係となる音波を干渉させることによって、消音させるものである。
【0006】
また、特許文献2には、このような干渉型消音器の機能を有する、エンジンの吸気経路として用いられるダクトが記載されている。ただし、特許文献2には、車両空調用吹出ダクトに対する干渉型消音器の具体的な適用例は記載されていない。
【0007】
また、特許文献3には、キャビテーショントンネルや風洞装置等に用いられる整流案内羽根入りエルボが記載されている。これは、干渉型消音器として機能するものではないが、ダクト内部に整流案内羽根を設置することで、流体の流れを一様に整えることを図ったものである。
【特許文献1】特開2001−277836号公報
【特許文献2】特開2004−196180号公報
【特許文献3】特開2003−194018号公報
【非特許文献1】「公害防止の技術と法規 騒音編」、公害防止の技術と法規編集委員会編集、通商産業省環境立地局監修、社団法人産業環境管理協会発行、丸善株式会社発売
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、車両の静粛性向上に伴い、車室内の静寂な空間での空調が要求されている。上記の通り、空調本体ユニットから車室内に放射される騒音は、送風機の運転や空気が蒸発器等を通過した際に発生する等、吹出口よりも空気流れ上流側の広範囲で発生しているため、騒音対策としては、吹出口に連なる車両空調用吹出ダクトに消音機能を持たせることが、吹出口よりも空気流れの上流側で発生した騒音全てに有効となる。
【0009】
そこで、本発明者は、車両空調用吹出ダクトに干渉型の消音機能を持たせることを検討した。
【0010】
まず、車両空調用吹出ダクトに干渉型消音機能を持たせるにあたって、騒音低減の対象としては、0.8kHz以上3.5kHz以下の周波数の騒音を低減することが有効であり、特に、1kHz以上2.5kHz以下の周波数の騒音を低減することが、極めて有効であることが、本発明者の調査結果よりわかった。
【0011】
この調査結果を図56(a)、(b)に示す。図56(b)は、実車送風騒音の周波数特性を示しており、図56(a)は、図56(b)に示される実車送風騒音と同じ周波数特性の騒音と、その音をベースに各1/3オクターブ分析周波数の音を3dB.A下げた騒音とを、イコライザーで作り、両者を聞き比べた場合に、人間がどのように感じるかを調査した結果である。なお、図56(a)中の○は静かになったと明確に感じたことを示し、△は明確ではないが多少、静かになったと感じたことを示しており、×は2つの音の差が感じられなかったことを示している。そして、図56(a)に示すように、2つの音を聞き比べて、一方の音が他方の音よりも小さくなって、静かになったと感じられた周波数域は、0.8kHz以上3.5kHz以下であり、静かになったことがより明確な周波数域は、1kHz以上2.5kHz以下であった。
【0012】
その一方、従来の吸音材を用いる等の車両用空調装置の騒音対策は、2kHzよりも高周波域の騒音には有効であるが、2kHz以下の低周波域の騒音に対しては効力が小さいという問題がある。
【0013】
これらのことから、車両空調用吹出ダクトに干渉型消音機能を持たせるにあたって、0.8kHz以上2kHz以下、より好ましくは、1kHz以上2kHz以下の周波数域の騒音に対して騒音低減の効果が発揮されることが望まれる。
【0014】
ここで、音波は直進性があり、直角をなす方向に進行し難いので、非特許文献1のように、直線状の主流路501に対して、直角方向に分岐する迂回流路502を設けた図55に示す構成では、主流路501に音の大部分が流れてしまうため、干渉による騒音低減の効果が得られないか、得られても効果が小さくなってしまう。なお、この対策として、主流路501と、迂回流路502の両方を流れる音のエネルギーの大きさが均等になるように、流路分岐後の主流路501を絞り、すなわち、通路断面積を小さくすることが考えられるが、この場合では、通路断面積が小さくなることで、通風抵抗が増大してしまうという問題が生じる。
【0015】
また、車両空調用吹出ダクトの直線形状部分に、図55に示す形状のように、迂回流路を設けると、迂回流路を形成した箇所が大きくなり、車両空調用吹出ダクトが大型化してしまうという問題が生じる。
【0016】
このため、空調空気の通路を構成する車両空調用吹出ダクトの直線形状部分で、図55に示す形状のように、通路を分岐する構成とすることは好ましくない。
【0017】
なお、特許文献2に記載のダクトは、空気の流れ方向と音の流れ方向とが反対の関係であって、空気を吸入するために吸入口を大きく広げた形状であり、車両空調用吹出ダクトと比較して特異な形状であるため、このダクトの形状は、車両空調用吹出ダクトに採用できない。
【0018】
本発明は、上記点に鑑み、干渉型消音機能を有する車両空調用吹出ダクトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、曲がり部(3)は、上流側ダクト部(4)から流入した空調空気を曲げの外周側と内周側に分岐させて流す第1通路(6)および第2通路(7)を有しており、曲がり部(3)は、第1、第2通路の並列方向における第1通路の断面幅寸法(W6)、第2通路の断面幅寸法(W7)および第1通路と第2通路との間隔(W2)の合計寸法(W3)が、上流側ダクト部(4)の断面幅寸法(W4)と下流側ダクト部(5)の断面幅寸法(W5)の少なくとも一方よりも大きくなっていることを第1の特徴としている。
【0020】
このように、曲がり部を、外周側の第1通路(6)と、内周側の第2通路(7)とに分岐させることで、第1、第2通路の通路長さに差を生じさせることができ、さらに、第1通路の断面幅寸法(W6)、第2通路の断面幅寸法(W7)および第1通路と第2通路との間隔(W2)の合計寸法(W3)を、上流側ダクト部(4)の断面幅寸法(W4)と下流側ダクト部(5)の断面幅寸法(W5)の少なくとも一方よりも大きくすることで、第1、第2通路の通路長さの差を拡大できる。
【0021】
この結果、本発明によれば、車両空調用吹出ダクトを車両に搭載可能な大きさとしつつ、第1通路と第2通路の経路差を所望の大きさとすることが可能となり、干渉型消音機能を有する車両空調用吹出ダクトを提供できる。
【0022】
第1の特徴では、例えば、曲がり部(3)の第1通路(6)および記第2通路(7)を、別体の管によって構成することができる。
【0023】
本発明では、曲がり部(3)は、第1、第2通路の並列方向における第1通路の断面幅寸法(W6)、第2通路の断面幅寸法(W7)および通路分割壁部の断面幅寸法(W2)の合計寸法(W3)が、上流側ダクト部(4)の断面幅寸法(W4)と下流側ダクト部(5)の断面幅寸法(W5)の少なくとも一方よりも大きくなっていることを第2の特徴としている。
【0024】
このように、曲がり部を、外周側の第1通路(6)と、内周側の第2通路(7)とに分岐させることで、第1、第2通路の通路長さに差を生じさせることができ、さらに、第1通路の断面幅寸法(W6)、第2通路の断面幅寸法(W7)および通路分割壁部の断面幅寸法(W2)の合計寸法(W3)を、上流側ダクト部(4)の断面幅寸法(W4)と下流側ダクト部(5)の断面幅寸法(W5)の少なくとも一方よりも大きくすることで、第1、第2通路の通路長さの差を拡大できる。
【0025】
この結果、本発明によれば、車両空調用吹出ダクトを車両に搭載可能な大きさとしつつ、第1通路と第2通路の経路差を所望の大きさとすることが可能となり、干渉型消音機能を有する車両空調用吹出ダクトを提供できる。
【0026】
本発明では、通路分割壁部(2)の形状を、例えば、第1通路および第2通路の通路断面積が空調空気の流れ方向で実質的に一定となるように、第1通路に面する第1通路側壁面(2a)を、曲がり部(3)の外周側内壁(3a)に沿った形状とし、第2通路に面する第2通路側壁面(2b)を、曲がり部(3)の内周側内壁(3b)に沿った形状とすることができる。
【0027】
また、本発明では、通路分割壁部(2)の形状を、例えば、第2通路に面する第2通路側壁面(2b)の全域もしくは一部が平面形状であり、第1通路に面する第1通路側壁面(2a)の全域もしくは一部が湾曲形状である形状とすることも可能である。
【0028】
また、通路分割壁部(2)の形状を、例えば、第2通路に面する第2通路側壁面(2b)の空調空気の流れ方向での沿面長さ(S2)に対する第1通路に面する第1通路側壁面(2a)の空調空気の流れ方向での沿面長さ(S1)の比(S1/S2)が、1.1〜2.0である形状とすることが好ましい。
【0029】
また、通路分割壁部(2)の形状を、例えば、空気流れ方向での上流端(2c)から空気流れ方向での中間部(2d)に向かうにつれて幅が徐々に広がり、中間部(2d)から空気流れ方向での下流端(2e)に向かうにつれて幅が徐々に狭くなっており、中間部(2d)を通る仮想線(2f)を軸とした線対称の実質的に三日月形状とすることが好ましい。
【0030】
また、本発明では、上流側ダクト部(4)、下流側ダクト部(5)および曲がり部(3)の空調空気の流れ方向に平行な断面において、曲がり部(3)は、外周側内壁(3a)が外側基準線(23a)よりも曲がりの外周側に膨出した形状となっていることを第3の特徴としている。
【0031】
これによれば、曲がり部を、外周側の第1通路(6)と、内周側の第2通路(7)とに分岐させることで生じさせた第1、第2通路の通路長さの差を拡大できる。
【0032】
この結果、本発明によれば、車両空調用吹出ダクトを車両に搭載可能な大きさとしつつ、第1通路と第2通路の経路差を所望の大きさとすることが可能となり、干渉型消音機能を有する車両空調用吹出ダクトを提供できる。
【0033】
また、本発明では、曲がり部(3)および上流側ダクト部(4)は、曲がり部(3)の外周側壁面(3a)のうち、上流側ダクト部(4)と連なる部位(10a)がダクト内部に向けて凸の形状であることによって、第1通路(6)に流入する空調空気の流れ方向が、上流側ダクト部(4)から曲がり部(3)に向かう空調空気の流れ方向に対して、鋭角をなす構成となっていることを第4の特徴としている。
【0034】
これによれば、第1通路(6)に流入する空調空気の流れ方向が、上流側ダクト部(4)から曲がり部(3)に向かう空調空気の流れ方向に対して、平行である場合と比較して、第1、第2通路の通路長さを拡大でき、車両空調用吹出ダクトを車両に搭載可能な大きさとしつつ、第1通路と第2通路の経路差を所望の大きさとすることが容易となる。
【0035】
また、本発明では、曲がり部(3)および下流側ダクト部(5)は、曲がり部(3)の外周側壁面(3a)のうち、下流側ダクト部(5)と連なる部位(10b)がダクト内部に向けて凸の形状であることによって、第1通路(6)を流れる空調空気と、第2通路を流れる空調空気とが、互いに交差する方向を向いて合流する構成となっていることを第5の特徴としている。
【0036】
ここで、第1通路(6)を流れる空調空気と、第2通路を流れる空調空気とが、互いに平行な方向を向いて、合流する構成の場合では、第1通路(6)を通過した音波と、第2通路を通過した音波とのうち、隣接する一部の音波同士しか干渉せず、互いに離れた部分は干渉しないため、干渉による騒音低減効果は比較的小さいものとなる。
【0037】
これに対して、第1通路(6)を流れる空調空気と、第2通路を流れる空調空気とが、互いに交差する方向を向いて合流する構成とすることで、第1通路(6)を通過した音波と、第2通路を通過した音波の多くを互いに干渉させることができるので、大きな騒音低減効果が得られる。
【0038】
また、本発明では、上流側ダクト部(4)、下流側ダクト部(5)および曲がり部(3)の空調空気の流れ方向に平行な断面において、曲がり部(3)は、内周側内壁(3b)が内側基準線(23b)よりも曲がりの内周側に膨出した形状であることを第6の特徴としている。
【0039】
また、本発明では、曲がり部(3)の内周側壁面(3b)の全域もしくは一部は、平面形状であることを第7の特徴としている。
【0040】
また、本発明では、曲がり部(3)の内周側壁面(3b)の全域もしくは一部は、曲がり部(3)の外周側内壁(3a)よりも緩やかな湾曲形状であることを第8の特徴としている。
【0041】
第6〜第8の特長によれば、曲がり部を、外周側の第1通路(6)と、内周側の第2通路(7)とに分岐させることで生じさせた第1、第2通路の通路長さを拡大できる。
【0042】
この結果、本発明によれば、車両空調用吹出ダクトを車両に搭載可能な大きさとしつつ、第1通路と第2通路の経路差を所望の大きさとすることが可能となり、干渉型消音機能を有する車両空調用吹出ダクトを提供できる。
【0043】
また、本発明では、曲がり部(3)には、曲げ外周側に位置する第1通路(6)と曲げ内周側に位置する第2通路(7)とに、空調空気の通路を分割する通路分割壁部(2)が設けられており、通路分割壁部(2)は、第2通路側壁面(2b)の空調空気の流れ方向での沿面長さ(S2)に対する第1通路側壁面(2a)の空調空気の流れ方向での沿面長さ(S1)の比(S1/S2)が、1.1〜2.0であることを第9の特徴としている。
【0044】
これによれば、車両空調用吹出ダクトを車両に搭載可能な大きさとしつつ、第1通路と第2通路の経路差を、所望の大きさ、すなわち、0.8kHz以上2kHz以下の低周波域の騒音を干渉によって低減できる長さとすることが可能となり、干渉型消音機能を有する車両空調用吹出ダクトを提供できる。
【0045】
また、本発明では、上流側ダクト部の一部もしくは全域が、空調空気の流れ方向を実質的に一定とする実質的に直線形状であることが好ましい。
【0046】
また、本発明では、下流側ダクト部の一部もしくは全域が、空調空気の流れ方向を実質的に一定とする実質的に直線形状であることが好ましい。
【0047】
また、本発明では、実質的に直線状に延びて、空調ケース内から空調空気が流入する上流側ダクト部(4)と、実質的に直線状に延びて、上流側ダクト部(4)内を通過する空調空気の流れ方向と異なる方向に、空調空気を流出させる下流側ダクト部(5)と、上流側ダクト部(4)と下流側ダクト部(5)とを接続する曲がり部(3)と、曲がり部(3)内に配置されて、曲がり部(3)内を外側通路(6)と内側通路(7)とに仕切る仕切部材(2)とを備え、曲がり部は、外側交線(3a)が外側基準線(23a)よりも外側を通過する形状、あるいは、内側交線(3b)が内側基準線(23b)よりも内側を通過する形状のうち少なくとも一方の形状に形成されており、仕切部材(2)の外側通路側の面(2a)は、曲がり部の外周側内壁面に沿うように形成され、仕切部材(2)の内周通路側の面(2b)は、曲がり部の内周側内壁面に沿うように形成されていることを第10の特徴としている。
【0048】
これによれば、曲がり部を、外周側の第1通路(6)と、内周側の第2通路(7)とに分岐させることで生じさせた第1、第2通路の通路長さの差を拡大できる。
【0049】
この結果、本発明によれば、車両空調用吹出ダクトを車両に搭載可能な大きさとしつつ、第1通路と第2通路の経路差を所望の大きさとすることが可能となり、干渉型消音機能を有する車両空調用吹出ダクトを提供できる。
【0050】
また、本発明では、上流側ダクト部の空調空気の流れ方向に沿った長さについては、少なくとも周波数が2kHzの音の低減を図るという観点では、85mm以上とすることが好ましく、少なくとも周波数が1.4〜2kHzの音の低減を図るという観点では、121mm以上とすることが好ましく、少なくとも周波数が0.8〜2kHzの音の低減を図るという観点では、212mm以上とすることが好ましい。
【0051】
また、本発明では、下流側ダクト部の空調空気の流れ方向に沿った長さについては、少なくとも周波数が2kHzの音の低減を図るという観点では、42mm以上とすることが好ましく、少なくとも周波数が1.4〜2kHzの音の低減を図るという観点では、60mm以上とすることが好ましく、少なくとも周波数が0.8〜2kHzの音の低減を図るという観点では、106mm以上とすることが好ましい。
【0052】
また、本発明と異なり、曲がり部が第1通路と第2通路とを有していないダクトでは、図12中の比較例2のように、下流側ダクト部の空調空気の流れ方向に沿った長さが500mm以下のとき、ダクトの曲がり部を空調空気が通過する際に偏流が生じるところ、本発明によれば、曲がり部によって生じる偏流を抑制することができ、局部的な高風速や偏った風速分布による脈動に起因したグリルでの風切り音を低減することができる。したがって、本発明は、下流側ダクト部の空調空気の流れ方向に沿った長さが500mm以下のときに有効であると言える。
【0053】
また、本発明では、車室内吹出口から車室内に放出される騒音を低減するとともに、車室内吹出口から吹き出される空調空気の偏流を抑制するという観点より、本発明の対象となる曲がり部は、空調空気の流れ方向で車室内吹出口の直前に位置するとともに、曲がり角度が45°以上180°以下であることが好ましい。
【0054】
また、本発明では、曲がり部は、流路断面の重心を通る第1、第2通路の通路長さの差(L1−L2)が、0.085〜0.215mとなっていることを第11の特徴としている。
【0055】
これにより、周波数が800〜2kHzである騒音に対して、干渉による低減の効果が得られる。
【0056】
また、本発明では、位相がずれた音波同士のエネルギーを実質的に同一として、干渉による騒音低減の効果を高めるために、第1通路と第2通路は、曲がり部の横断面を見たときの両者の通路断面積比が、一方を1としたとき、他方が0.7以上1.3以内となっていることが好ましい。
【0057】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
(第1実施形態)
本実施形態は、空調本体ユニットとインストルメントパネルに設けられる吹出口とをつなぐ車両空調用吹出ダクトのうち、サイドフェイスダクトに本発明を適用したものである。
【0059】
まず、車両用空調装置の構成について説明する。図1に、車両用空調装置の室内空調ユニットの外観斜視図を示し、図2に、図1の室内空調ユニットの内部構成の模式図を示す。なお、図1の上下左右前後の矢印は車両搭載状態での方向を示しており、図1の室内空調ユニットは右ハンドル車の配置例を示している。
【0060】
図1に示す室内空調ユニット100は、大別して送風機ユニット110と空調本体ユニット120とによって構成されている。送風機ユニット110は車両のインストルメントパネルの内側において助手席側に配置され、空調本体ユニット120はインストルメントパネルの内側において車両左右方向の略中央部に配置される。
【0061】
また、空調本体ユニット120には、空調本体ユニット120からの空調空気を車室内に導くためのフロントデフロスタダクト131、サイドフェイスダクト132、センタフェイスダクト133、リヤフェイスダクト134等の車両空調用吹出ダクトが接続されており、各ダクトの下流側端部には、インストルメントパネルに設けられる吹出口を構成するレジスタ141〜144が接続されている。レジスタはグリルとも呼ばれるものである。
【0062】
フロントデフロスタダクト131は、車両前面窓ガラスに向けて空調風を吹き出すフロントデフロスタ吹出口141に接続され、サイドフェイスダクト132は、車室内左右方向の両端側にて乗員顔部または車両の側面窓ガラスに向けて空調風を吹き出すサイドフェイス吹出口142に接続され、センタフェイスダクト133は、車両左右方向の略中央部にて空調風を乗員顔部側に向けて吹き出すセンタフェイス吹出口143に接続され、リヤフェイスダクト134は、後部座席の乗員顔部に向けて空調風を吹き出すリヤフェイス吹出口144に接続されている。
【0063】
フロントデフロスタ吹出口141、サイドフェイス吹出口142、センタフェイス吹出口143およびリヤフェイス吹出口144は、乗員の耳に近いため、これらの吹出口から車室内に放射される騒音を低減することが望まれる。したがって、車両空調用吹出ダクトのうち、特に、フロントデフロスタダクト131、サイドフェイスダクト132、センタフェイスダクト133、リヤフェイスダクト134に対して、消音機能を持たせることが望まれる。
【0064】
車両空調用吹出ダクトは、設置スペースの制約や、空調本体ユニット120と各吹出口141〜144との位置関係から風流れを変更するための曲がり部を有する形状となっている。例えば、サイドフェイスダクト132は、空調本体ユニット120から車両左右方向に延び、サイドフェイス吹出口142の直前で、車両後方に向かって略直角に曲げられた形状である。
【0065】
図2に示すように、送風機ユニット110は、送風機111と、その上部に内気と外気を切替導入する内外気切替ドア112および内外気切替箱113を有しており、この内外気切替箱113からの導入空気を、送風機111により、空調本体ユニット120に導入させるものである。
【0066】
空調本体ユニット120は、送風機ユニット110からの送風空気を温度調整して車室内へ吹き出すもので、空気通路を形成する樹脂製の空調ケース121に、送風空気を冷却する冷房用熱交換器としての蒸発器122、送風空気を加熱する暖房用熱交換器としての温水式ヒータコア123、冷却された送風空気と加熱された送風空気とを混合するためのエアミックスドア124、吹出モードを切り替えるためのモード切替ドア125、126、127等を収容している。
【0067】
空調ケース121には、蒸発器122、ヒータコア123によって温度調整された空調空気をインストルメントパネルの各吹出口から吹き出させるために、デフロスタ開口部128、フェイス開口部129、フット開口部130が設けられており、デフロスタ開口部128、フェイス開口部129に、それぞれ、フロントデフロスタダクト131、サイドフェイスダクト132、センタフェイスダクト133等が接続される。
【0068】
なお、車両用空調装置は、図示しないが、蒸発器122の他に、冷凍サイクルを構成する圧縮機、凝縮器等を備えている。
【0069】
図3に、本発明の第1実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示し、図4に、図3中のIV−IV断面図を示す。
【0070】
図3は、図1中のサイドフェイスダクト132のうち、サイドフェイス吹出口142の直前の曲がり部およびその近傍の部分断面図であり、図1中のサイドフェイスダクト132を水平な面方向で切断した縦断面図である。なお、吹出口直前の曲がり部とは、ダクトが複数の曲がり部を有している場合であれば、吹出口に最も近い曲がり部を意味する。
【0071】
図3に示すように、本実施形態のサイドフェイスダクト132は、ダクト本体1とダクト本体内部の通路を分割する通路分割壁部2とを備えている。
【0072】
ダクト本体1は、空気通路を構成する筒状のものであり、空調本体ユニットからの空調風を吹出口に導くものである。ダクト本体1は、例えば、ポリプロピレン(PP)等の樹脂材料により構成され、ブロー成型、インジェクション成型により製造される。
【0073】
ダクト本体1は、空気流れを曲げる曲がり部3と、曲がり部3の空気流れ上流側に連なる直線状の上流側直線部4と、曲がり部3の空気流れ下流側に連なる直線状の下流側直線部5とを有している。本実施形態では、曲がり部3の曲がり角度は直角もしくは略直角である。ここで、曲がり角度とは、曲がり部3に流入する空気主流の進行方向に直交する面と、曲がり部3から流出する空気の主流の進行方向に直交する面とがなす角度のことであり、図3では、上流側直線部4での空気主流の進行方向に直交する仮想面C4と、下流側直線部5での空気主流の進行方向に直交する仮想面C5とのなす角度θ1のことである。
【0074】
通路分割壁部2は、ダクト本体1の空気流れの途中に位置する曲がり部3において、その曲がり径方向の通路中央に配置されている。曲がり部3では、この通路分割壁部2により、空気通路が第1通路としての外周側空気通路6と、第2通路としての内周側空気通路7との2つに分割されている。
【0075】
通路分割壁部2は、例えば、図4に示すように、ダクト本体1を構成する壁部11のうち、上側壁部11aと下側壁部11bとを、ダクト本体1の内部に向けて凹ませることで、形成されている。
【0076】
このような構成のダクト本体1は、ダクト本体1を一体成型した後、図4に示すように、上側壁部11aと下側壁部11bとを、それぞれ、ダクト本体1の内部に向けて凹ませて、例えば、超音波溶着等によって、凹ませた部分同士を接合することで、製造可能である。
【0077】
図5に、本実施形態の比較例1におけるダクトの断面図を示し、図6に、図3のダクトに対して図5のダクトを重ね合わせた図を示す。なお、図6中の波線は、図5のダクトを示している。
【0078】
図5に示すダクトは、図3に示すダクトと同様に、ダクト本体21と通路分割壁部22を備えており、このダクト本体21も、曲がり部23と、上流側直線部24と、下流側直線部25とを有し、曲がり部23では、通路分割壁部22によって、空気通路が外周側空気通路26と、内周側空気通路27に分割されている。ただし、図5に示すダクトは、通路分割壁部22が均一の幅の板状であり、ダクト本体21の幅W21が均一である。
【0079】
また、比較例1のダクト本体21では、図5に示すように、曲がり部23の外周側内壁23aの断面形状が、上流側直線部24の外周側内壁24aから平行に曲がり部23側に延びる延長線31と、下流側直線部25の外周側内壁25aから平行に曲がり部23側に延びる延長線32とを引いたとき、これらの延長線31、32とを接線とする円弧形状となっている。同様に、曲がり部23の内周側内壁23bの断面形状も、上流側直線部24の内周側内壁24bから平行に曲がり部23側に延びる延長線33と、下流側直線部25の内周側内壁25bから平行に曲がり部23側に延びる延長線34とを接線とする円弧形状となっている。
【0080】
そして、本実施形態のダクト本体1の形状を、図5に示すダクト本体21の形状と比較すると、図6に示すように、ダクト本体1は、曲がり部3の入口10aおよび出口10bでの曲がり径方向のダクト幅W3a、W3bを、図5に示すダクトと同じとしたまま、図6中の矢印のように、曲がり部3全域において、外周側壁部11cを、図5に示すダクト本体21の曲がり部23の外周側内壁23aよりも曲がりの外周方向に膨らませ、内周側壁部11dを、曲がり部23の内周側内壁23bよりも曲がりの内周方向に膨らませた形状となっている。
【0081】
すなわち、図6に示すように、ダクト本体1の断面形状を見たとき、曲がり部3の外周側内壁3aは、上流側直線部4の外周側下流端10a1と下流側直線部5の外周側上流端10b1とを結び、上流側直線部4の外周側内壁4aおよび下流側直線部5の外周側内壁5aからの延長線を接線とする円弧形状の仮想線23aよりも、曲がりの外周側に膨らんだ形状となっている。また、曲がり部3の内周側内壁3bは、上流側直線部4の内周側下流端10a2と下流側直線部5の内周側上流端10b2とを結び、上流側直線部4の内周側内壁4bおよび下流側直線部5の内周側内壁5bからの延長線を接線とする円弧形状の仮想線23bよりも、曲がりの内周側に膨らんだ形状となっている。
【0082】
さらに詳細に説明すると、図6に示すダクト本体1の縦断面を、空調空気が上流側直線部4内を流れる上流側空気流れ方向と、空調空気が下流側直線部5内を流れる下流側空気流れ方向とを含む基準断面としたとき、曲がり部3の外周側内壁3a、内周側内壁3bとは、それぞれ、この基準断面との交線である。また、円弧形状の仮想線23a、仮想線23bは、それぞれ、上流側空気流れ方向と下流側空気流れ方向とを接線とする円弧によって、上流側直線部4の外周側内壁4aと下流側直線部5の外周側内壁5aとを結んだ外側基準線と、上流側直線部4の内周側内壁4bと下流側直線部5の内周側内壁5bとを結んだ内側基準線である。このことから、曲がり部3は、外周側内壁と基準断面の交線である外側交線3aが外側基準線23aよりも外側を通過する形状であって、かつ、内周側内壁と基準断面との交線である内側交線3bが内側基準線23bよりも内側を通過する形状であると言える。
【0083】
したがって、本実施形態のダクト本体1の形状については、曲がり部3の全域で、曲がり部のダクト幅W3が、曲がり部3の入口10aでのダクト幅W3aおよび出口10bでのダクト幅W3bよりも大きくなっていると言える。言い換えると、ダクト本体1は、曲がり部3全域のダクト幅W3が、上流側直線部4のダクト幅W4および下流側直線部5のダクト幅W5よりも大きくなっている。
【0084】
ここで、上記したダクト幅とは、図6の紙面と平行な方向でのダクト本体1の幅寸法、すなわち、外周側空気通路6と内周側空気通路7の並列方向でのダクト本体1の幅寸法を意味し、ダクト幅W3aは通路分割直前のダクト幅寸法であり、ダクト幅W3bは分割通路合流直後のダクト幅寸法であり、曲がり部3でのダクト幅W3は、外周側空気通路6の断面幅W6と、内周側空気通路7の断面幅W7と、通路分割壁部2の断面幅W2の合計である。この通路分割壁部2の断面幅W2は、外周側空気通路6と内周側空気通路7との間隔に相当する。
【0085】
本実施形態では、ダクト本体1をこのような形状とすることで、図5に示すダクトと比較して、外周側空気通路6の全長L1を長くし、内周側空気通路7の全長L2を短くして、経路差(L1−L2)を、周波数が800〜2kHzの騒音の干渉による低減に必要な大きさである0.085〜0.215mとしている。なお、外周側空気通路6の全長L1および内周側空気通路7の全長L2は、それぞれ、通路分割壁部2の上流端2cでの通路断面位置から通路分割壁部2の下流端2eでの通路断面位置までの距離であって、通路断面積の重心を結んだ線の長さである。
【0086】
また、図6に示すように、上流側直線部4の外周側内壁4a、曲がり部3の外周側内壁3aおよび下流側直線部5の外周側内壁5aの断面形状は、曲がり部3の入口10a近傍および出口10b近傍で、ダクト内側に向かって凸の形状であり、曲がり部3のうち入口10a、出口10bを除く部分では、ダクト外側に向かって凸形状となっている。すなわち、曲がり部3の外周側内壁3aは、入口10a側と出口10b側に、それぞれ変曲点3c、3dを有する断面形状となっている。
【0087】
通路分割壁部2は、外周側空気通路6と内周側空気通路7の並列方向での幅W2を、図6中の矢印のように、板状の通路分割壁部22よりも増大させ、曲がり部3の外周側壁部11cおよび内周側壁部11dを膨らませた分(E1+E2)と同じ大きさとしている。
【0088】
ここで、図7に、図3中の通路分割壁部2の部分図を示す。図7に示すように、通路分割壁部2の外周側壁面2aは、曲がり部3の外周側内壁3aに沿った形状で、通路分割壁部2の内周側壁面2bは、曲がり部3の内周側内壁3bに沿った形状であり、具体的には、外周側壁面2aは全域が湾曲しており、内周側壁面2bは、一部が平面であり、他の部位が湾曲している。
【0089】
また、通路分割壁部2は、空気流れ方向の上流端2cから空気流れ方向の中間部2dに向かうにつれて幅が徐々に広がり、中間部2dから空気流れ方向の下流端2eに向かうにつれて幅が徐々に狭くなっており、中間部2dを通る仮想線2fを軸とした線対称の翼状もしくは、実質的に三日月形状となっている。
【0090】
本実施形態では、通路分割壁部2をこのような形状とすることで、外周側空気通路6と内周側空気通路7のそれぞれの通路断面積が、空調空気の流れ方向で実質的に一定となっている。ここで、実質的に一定とは、空気流れ方向の異なる複数箇所で通路断面積を計測したとき、それらの平均値と計測値との偏差が平均値の3割以内であることを意味する。
【0091】
そして、外周側空気通路6側の面2aと内周側空気通路7側の面2bそれぞれの空気流れ方向長さS1、S2の比である沿面距離比は、例えば、S2:S1=1:1.29であり、特許文献3に記載されている整流案内羽根の沿面距離比である1:1.03よりも大きい。
【0092】
これは、特許文献3に記載の整流案内羽根は、流れの剥離を防止するための形状であるのに対して、本実施形態の通路分割壁部2は、外周側空気通路6の長さL1と、内周側空気通路7の長さL2との差を大きくするための形状だからである。したがって、本実施形態のダクトは、ダクトに要求されるスムーズな風流れという視点で見れば異質な形状となっている。なお、本実施形態では、沿面距離比を、S2:S1=1:1.29としていたが、1:1.03よりも大きければ、他の大きさに変更しても良い。車両用空調装置の騒音低減、すなわち、0.8kHz以上2kHz以下の低周波域の騒音低減という観点では、内周側空気通路7側の面2bの沿面長さS2に対する外周側空気通路6側の面2aの沿面長さS1の比が、S1/S2=1.1〜2.0であることが好ましい。
【0093】
本実施形態のダクトの寸法例を示すと、上流側直線部4、下流側直線部5、曲がり部3の入口10aおよび出口10bでのダクト幅W4、W5、W3a、W3bは70mmであり(図6参照)、外周側空気通路6の幅W6および内周側空気通路7の幅W7は、通路面積の確保を考えると最低限それぞれ共に35mmであり、通路分割壁部2の幅W2は30mmであり、ダクト本体1の高さHは25〜50mmである(図4参照)。なお、ダクト幅W4、W5は、車両における車両空調用吹出ダクトの搭載スペースを考慮すると、50mmから140mmの間で変更可能であり、特に、70mmから120mmの間であることが好ましい。また、上流側直線部4の長さL3は85〜500mmであり、下流側直線部5の長さL5は42〜500mmである(図3参照)。また、上流側直線部4、下流側直線部5の通路断面積、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面積の合計は、例えば、2000〜5000mm2である。
【0094】
このような構造の本実施形態のダクトでは、空調ユニットからの空調風が、図3中の波線で示す矢印のように、ダクト本体1の上流側直線部4を流れ、曲がり部3の入口10a側に位置する通路分岐部8で外周側空気通路6と内周側空気通路7に別れて流れ、曲がり部3の出口10b側に位置する通路合流部9で合流して下流側直線部5を流れ、ダクト本体1の下流側直線部5の下流側に位置する吹出口に到達し、吹出口から車室空間に流れ込む。このとき、曲がり部3で2つの空気通路6、7を通過する音波は、2つの経路長さの差(L1−L2)によって通路の合流部9で、音波の位相ずれが生じるので、干渉しあって減衰する。
【0095】
なお、位相がずれた音波同士を干渉して互いに打ち消し合うようにするためには、位相がずれた音波同士のエネルギーがほぼ同等であることが望ましいことから、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面積は、実質的に同一であることが好ましい。この実質的に同一とは、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面積比において、一方を1としたとき、他方が0.7以上1.3以内となることを意味する。また、音波同士のエネルギーをほぼ同等とするための外周側空気通路6と内周側空気通路7のそれぞれの通路断面積の大きさについては、ダクト本体1の形状によって異なるので、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面積を同一としたり、一方を他方よりも大きくしたりして、音波同士のエネルギーがほぼ同等となるようにすればよい。
【0096】
また、本実施形態では、曲がり部3における外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面積の合計は、上流側直線部4および下流側直線部5の通路断面積と同じであり、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面積が減少して、空気流れの圧力損失が増大するのを防いでいる。
【0097】
次に、本実施形態の主な特徴について説明する。
【0098】
(1)本実施形態では、上記の通り、ダクト本体1の形状を、上流側直線部4および下流側直線部5でのダクト幅W4、W5が図5に示すダクトのダクト幅W21と同じ大きさで、曲がり部3、上流側直線部4および下流側直線部5のうち曲がり部3のみを径方向に膨らませた形状とし、通路分割壁部2の形状を、曲がり部3の内壁3a、3bに沿った形状としている。
【0099】
これにより、図5に示すダクトと比較して、外周側空気通路6の全長L1を長くし、内周側空気通路7の全長L2を短くして、図5に示すダクトの経路差(L21−L22)よりも、経路差(L1−L2)を拡大させることができる。この結果、ダクト本体1の大型化を抑制しつつ、その経路差(L1−L2)を、周波数が800〜2kHzである騒音の干渉による低減に必要な大きさである0.085〜0.215mとすることができる。
【0100】
例えば、図5に示すダクトは、ダクト径方向の幅W21が70mmのときでは、このサイズで形成できる外周側空気通路23の全長L21と、内周側空気通路27の全長L22との経路差は55mmとなり、この経路差および標準大気圧下、常温時での音速約340m/sを、下記の周波数fと経路差ΔLとの関係式に代入して算出されるように、3.1kHzを中心周波数とした干渉消音効果が得られる。
【0101】
ここで、周波数と音の波長は、以下の関係で成り立っている。
【0102】
f=c/λ、c:音速(m/s)、λ:音の波長(m)
そして、波長と干渉に必要な経路差は、以下の関係で成り立っている。
【0103】
ΔL=λ/2
したがって、経路差と周波数の関係式は、以下のように表せる。
【0104】
f=c/(2ΔL)
そして、これよりも騒音低減周波数を下げようとした場合、例えば1.6kHz(1k〜2kHの中心付近)を狙いとするためには、上記の関係式より、必要な経路差は106mm(0.106m)であり、図5に示すダクトでは、ダクト幅W21を70mmから135mm以上まで拡大しなければならない。なお、このときの拡大前後におけるダクト本体の形状は相似の関係である。
【0105】
なお、参考として、特許文献2の図1に記載のダクトと相似形状のダクトにおいて、直線部分のダクト幅を70mmとしたとき、周波数1.6kHzの騒音を低減するための経路差をつけるために必要なダクトの最大幅は159mm以上であり、車両空調用ダクトの標準的な幅サイズ、例えば、70〜110mmに対して大きく逸脱する。
【0106】
これに対して、本実施形態のダクトでは、狙いとする騒音低減周波数を、例えば1.6kHz(1k〜2kHの中心付近)とするためには、曲がり部3の入口10aと出口10bでのダクト幅W3a、W3bは70mmのままで、曲がり部3の入口10aと出口10bを除く領域でのダクト幅W3を70mmから100mmに拡大するだけで良い。
【0107】
ここで、このときのダクト本体1の騒音低減効果を調査した結果を図8に示す。図8では、図5に示すダクト本体21に対して通路分割壁部22を省略した構造のダクトを比較例2とし、この比較例2のダクトを用いたときの騒音を基準にしたときの騒音減衰効果を調査した結果である。図8に示すように、本実施形態のダクト本体1によれば、1.6kHzを中心とする1.5k〜2kHzの範囲で騒音減衰効果があり、さらに、騒音減衰効果の程度が低下するものの、例えば、500〜1.5kHzの範囲や2.0〜2.5kHzの範囲の騒音に対しても減衰効果があると言える。
【0108】
(2)本実施形態では、図3、6に示すように、上記の通り、通路分割壁部2を略三日月形状とし、曲がり部3の形状を、外周側内壁3aが、曲がり部3の入口10a近傍および出口10b近傍で、ダクト内側に向かって凸の形状を有しつつ、外周側内壁3aが曲がり外周側に膨らんだ形状とすることで、Y字形状の通路分岐部8、通路合流部9を形成している。
【0109】
ここで、Y字形状の通路分岐部8とは、図3に示すように、上流側直線部4での空気主流の流れ方向、すなわち、上流側直線部4から通路分割壁部2の上流端2cに向かう空気流れ方向に対して、外周側空気通路6および内周側空気通路7に流入する空気の流れ方向が、鋭角をなす関係となっていることをいう。同様に、Y字形状の通路合流部9とは、図3に示すように、下流側直線部5での空気主流の流れ方向に対して、外周側空気通路6および内周側空気通路7から下流側直線部5に流入する空気の流れ方向が、鋭角をなす関係となっていることをいう。
【0110】
このように、本実施形態では、通路分岐部8をY字形状とし、特に、外周側空気通路6に流入する空気の流れ方向を、上流側直線部4での空気主流の流れ方向に対して平行でなく、鋭角をなす方向としているので、本実施形態と異なり、曲がり部3の入口10a近傍で外周側内壁3aがダクト内側に向かって凸の形状でなく、上流側直線部4での空気主流の流れ方向と外周側空気通路6に流入する空気の流れ方向とが平行である場合と比較して、経路差(L1−L2)を稼ぐことができる。
【0111】
また、図55に示す形状のように、流体流れ方向での分岐部直前における流体流れ方向に対して、分岐した流体流れ方向の一方が平行で、他方が直角をなしている場合では、音波の直進性より、分岐した流路の一方に音の大部分が流れてしまう。また、この対策として、分岐した流路の両方を流れる音のエネルギーの大きさが均等になるように、分岐前の流体の流れ方向に対して流れ方向が平行な方の流路を絞り、すなわち、通路断面積を小さくした場合では、通路断面積が小さくなることで、通風抵抗が増大してしまうという問題が生じる。
【0112】
これに対して、本実施形態では、通路分岐部8をY字形状として、上流側直線部4での空気主流の流れ方向に対する外周側空気通路6および内周側空気通路7に流入する空気の流れ方向を、平行でも直角でもない角度、すなわち、鋭角としているので、外周側空気通路6と内周側空気通路7の一方の通路断面積を小さく絞らなくても、外周側空気通路6と内周側空気通路7の両方に、音のエネルギーバランスが均等となるように、音を進行させることが可能となる。
【0113】
また、本実施形態と異なり、外周側空気通路6および内周側空気通路7から流出する空気流れ方向が互いに平行な場合では、外周側空気通路6を通過した音波と、内周側空気通路7を通過した音波とは、互いに、平行な状態のまま、下流側直線部5を通過することとなり、両者の近接する一部のみ干渉し、両者の離れた部分は干渉せずに、吹出口から車室内に放射されることとなる。このため、干渉による騒音低減の効果が比較的小さくなってしまう。
【0114】
これに対して、本実施形態では、通路合流部9をY字形状とし、外周側空気通路6および内周側空気通路7から下流側直線部5に向かう空気の流れ方向を、互いに交差する方向としているので、外周側空気通路6および内周側空気通路7から流出する空気流れ方向が互いに平行な場合と比較して、外周側空気通路6および内周側空気通路7を通過した音波の多くを干渉させることができる。したがって、本実施形態によれば、比較的大きな騒音低減の効果が得られる。
【0115】
(3)本実施形態と異なり、ダクトの形状を、図3のダクト本体1に対して上流側直線部4を省略した形状とした場合、すなわち、吹出口直前の曲がり部ではなく、サイドフェイスダクト132の空気入口に位置する曲がり部を、図3に示す形状とした場合では、外周側空気通路6と内周側空気通路7の並び方向での音圧分布が不均一な状態で、曲がり部に音が進入することとなるため、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面積を均等の大きさとしても、外周側空気通路6と内周側空気通路7を通過する音のエネルギーが異なる大きさとなり、干渉による騒音低減の効果が小さくなってしまう恐れがある。
【0116】
これに対して、本実施形態では、ダクト本体1は、曲がり部3の上流側に所定長さL3の上流側直線部4を有している。このため、ダクト本体1の内部を音が通過するとき、上流側直線部4で、外周側空気通路6と内周側空気通路7の並び方向での音圧分布が均一化された後、曲がり部3で、外周側空気通路6と内周側空気通路7に分岐して、音が進行する。したがって、本実施形態によれば、予め、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過する音のエネルギーが均等となるように、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面積を設定しておくことで、常に、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過する音のエネルギーを均等な大きさとすることができ、干渉による騒音低減の効果を高めることができる。
【0117】
このとき、音圧分布を均一化するために必要な上流側直線部4の長さL3は、干渉による騒音低減を図る周波数の音の定在波を形成するのに必要な長さ、すなわち、干渉による騒音低減を図る周波数の音の1/2波長以上の長さである。例えば、周波数が2kHzの音の低減を図るためには、音の分布を均一化するために必要な上流側直線部4の長さは、85mm以上であり、周波数が1.4kHzの音の低減を図るためには121mm以上であり、周波数が0.8kHzの音の低減を図るためには212mm以上である。したがって、少なくとも周波数が2kHzの音の低減を図るという観点では、上流側直線部4の長さL3を85mm以上とすることが好ましく、少なくとも周波数が1.4〜2kHzの音の低減を図るという観点では、上流側直線部4の長さL3を121mm以上とすることが好ましく、少なくとも周波数が0.8〜2kHzの音の低減を図るという観点では、上流側直線部4の長さL3を212mm以上とすることが好ましい。
【0118】
(4)本実施形態と異なり、ダクトの形状を、図3のダクト本体1に対して下流側直線部5を省略した形状とし、曲がり部3の出口10bに吹出口を接続する場合では、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過した音が合流する前に吹出口から拡散するため、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過した音同士の干渉現象が起きにくく、騒音低減の効果が小さくなってしまう。
【0119】
これに対して、本実施形態では、ダクト本体1は、曲がり部3の下流側に所定長さの下流側直線部5を有している。このため、曲がり部3の外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過した音が合流して下流側直線部5を通過する間に、2つの通路6、7を通過した音同士を干渉させることができる。したがって、ダクトの形状が図3のダクト本体1に対して下流側直線部5を省略した形状である場合と比較して、干渉による騒音低減の効果を高めることができる。
【0120】
ここで、下流側直線部5に必要な長さについて説明する。下流側直線部5に必要な長さは、上記の通り、曲がり部3の外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過した音が合流して干渉するのに必要なスペースを確保できる長さである。図9に、下流側直線部5の長さと騒音減衰量との関係を調査した結果を示す。図9中の実施例1、実施例2および比較例3は、共に、騒音低減の狙いとする周波数を、1.6kHzとし、図3に示す形状のダクト本体1において、曲がり部3の入口10aと出口10bでの曲がり径方向のダクト幅W3a、W3bを70mm、曲がり部3の入口10aと出口10bを除く領域でのダクト幅W3を100mmとしたものであり、実施例1は、下流側直線部5の長さを53mmとし、実施例2は下流側直線部5の長さを100mmとし、比較例3は下流側直線部5の長さを0mm、すなわち、下流側直線部5を省略したものである。
【0121】
図9に示すように、実施例1、2では、1.6kHzでの騒音減衰量が最も多くなるという結果が得られたが、比較例3では、実施例1、2と比較して、1.6kHzでの騒音減衰量が小さく、狙いとする1.6kHzの騒音低減効果がほとんど得られなかった。ここで、実施例1の53mmは、周波数が1.6kHzの音の波長の1/4に相当することから、この結果より、下流側直線部5に必要な長さは、狙いの周波数の音のλ/4以上であれば良いと言える。
【0122】
このことから、例えば、周波数が2kHzの音の低減を図るために下流側直線部5に必要な長さは、42mm以上であり、周波数が1.4kHzの音の低減を図るために下流側直線部5に必要な長さは60mm以上であり、周波数が0.8kHzの音の低減を図るために下流側直線部5に必要な長さは106mm以上である。したがって、少なくとも周波数が2kHzの音の低減を図るという観点では、下流側直線部5の長さを42mm以上とすることが好ましく、少なくとも周波数が1.4〜2kHzの音の低減を図るという観点では、下流側直線部5の長さを60mm以上とすることが好ましく、少なくとも周波数が0.8〜2kHzの音の低減を図るという観点では、下流側直線部5の長さを106mm以上とすることが好ましい。
【0123】
以上の通り、本実施形態のダクトによれば、ダクト全体の大きさをコンパクトとしながら、大きな経路差を確保することができ、車両空調用ダクトのように搭載スペースに制約が大きい場合でも、ダクト通風抵抗を増加させずに、干渉効果によって、2kHzよりも周波数が低い周波数帯までの騒音低減が実現できる。
【0124】
(5)本実施形態のダクトは、図10、11を比較してわかるように、整流作用も同時に兼ね備えている。ここで、図10に本実施形態のダクトにおける風速分布を示し、図11に比較例2のダクトにおける風速分布を示す。図10、11は、ダクト内を流れる空気の流量を150m3/hとしたときの解析結果である。比較例2は、図5に示すダクト本体21に対して通路分割壁部22を省略した構造である。また、各図の(a)は、図3、図5に対応しており、(b)は(a)中のダクト本体1の矢視図である。なお、図中の丸数字は、小さいほど風速が大きいことを示している。
【0125】
図11(a)、(b)に示すように、比較例2のダクトでは、下流側直線部5において、図中右側から左側に向かって、徐々に風速が小さくなっており、偏流が生じていることがわかる。一方、図10(a)、(b)に示すように、本実施形態のダクトでは、図11と比較して、偏流が緩和されている。
【0126】
また、図12に、本実施形態および比較例2のダクトにおいて、下流側直線部5の流れ方向長さL4を500mm以上としたときの下流側直線部5の上流端から所定距離の位置での流路断面における風速分布を示す。図12は、ダクト内を流れる空気の流量を150m3/hとしたときの解析結果であり、図中の丸数字は、小さいほど風速が大きいことを示している。
【0127】
図12に示す風速分布からわかるように、比較例2では、下流側直線部5の上流端からの距離が500mm以下のとき、下流側直線部5内を流れる空調空気流れに偏流が生じているが、下流側直線部5の上流端からの距離が0、100、200、300、400、500mmのいずれのときにおいても、本実施形態の方が比較例2よりも偏流が緩和されており、最大流速も比較例2よりも低減されることがわかる。このことから、下流側直線部5の長さが500mm以下のとき、偏流抑制の効果が得られると言える。
【0128】
このように、本実施形態のダクト本体1によれば、通風路の曲がりによる偏流を抑制することができ、さらに、最大風速を低下させることができるので、ダクト本体1の下流側に設置されている局部的な高風速や偏った風速分布による脈動に起因したグリルでの風切り音も低減できる。
【0129】
(第2実施形態)
図13に、本発明の第2実施形態におけるダクトの断面図を示す。なお、図13では、図3、図6と同様の構成部に図3、図6と同一の符号を付している。
【0130】
第1実施形態では、ダクト本体1の形状を、図6中の矢印のように、曲がり部3の外周側壁部11cを外周方向に膨らませ、内周側壁部11dを内周方向に膨らませた形状としていたが、ダクト本体1の形状については、これに限らず、図13に示すように、曲がり部3の外周側壁部11cと内周側壁部11dのうち、外周側壁部11cのみを外周方向に膨らませた形状とすることも可能である。
【0131】
本実施形態においても、図5に示すダクトと比較して、外周側空気通路6の全長L1を長くできるので、ダクト本体1の大型化を抑制しつつ、図5に示すダクトの経路差(L21−L22)よりも、経路差(L1−L2)を拡大させることができる。
【0132】
なお、図13に示すダクト本体1は、通路分割壁部2の形状が外周側空気通路6と内周側空気通路7の並列方向での幅が均一な板状であるが、通路分割壁部2の形状を、第1実施形態と同様、曲がり部3の外周側内壁3aに沿った形状としても良い。
【0133】
(第3実施形態)
図14に、本発明の第3実施形態におけるダクトの断面図を示す。図14では、図3、図6と同様の構成部に図3、図6と同一の符号を付している。
【0134】
本実施形態では、図14に示すように、曲がり部3の内周側壁部11dを平面形状とすることで、曲がり部3の外周側壁部11cと内周側壁部11dのうち、内周側壁部11dのみを曲がり内周方向に膨らませた形状としている。なお、図14に示すダクトでは、曲がり部3の内周側壁部11dの全域を平面形状としているが、一部を平面形状としても良く、平面形状の代わりに、緩やかな曲面形状としても良い。
【0135】
図14に示すダクトのように、内周側壁部11dの全域が平面形状の場合、内周側空気通路7の全長L2が最短となるので、内周側壁部11dの全域もしくは一部を曲面とする場合では、内周側空気通路7の全長L2を短くするという観点より、曲面を、できるだけ平面に近づけることが好ましい。ここで、曲面は、平面に近づくほど曲率半径が大きくなる。したがって、内周側壁部11dを平面に近い緩やかな曲面形状とすることで、内周側壁部11dを内周方向に膨らませる場合では、内周側壁部11dは、外周側壁部11cと比較して、曲率半径が大きくなっていると言える。
【0136】
なお、図14に示すダクト本体1は、通路分割壁部2の形状が外周側空気通路6と内周側空気通路7の並列方向での幅が均一な板状であるが、通路分割壁部2の形状を、第1実施形態と同様に、曲がり部3の内周側内壁3bに沿った形状としても良い。
【0137】
(第4実施形態)
図15に、本発明の第4実施形態におけるダクトの断面図を示す。なお、図15では、図3と同様の構成部に図3と同一の符号を付している。
【0138】
第1〜3実施形態では、曲がり部3の曲がり角度が直角もしくは略直角である場合を例として説明したが、曲がり部3の曲がり角度が直角でない場合であっても、本発明を適用できる。なお、図15に示すダクトは、図3に示すダクトに対して、曲がり部3の曲がり角度を小さくしたものであり、曲がり角度θ1は45度である。
【0139】
ここで、本発明を実施するにあたり、曲がり部の曲がり角度は45度以上であることが好ましい。これは、曲がり角度が45度よりも小さい場合、狙いの周波数の騒音に対して干渉による騒音低減の効果が得られるように、経路差(L1−L2)を設定しようとすると、ダクト全体の幅寸法を大きくするか、曲がり部3を曲がり外周側に大きく膨らませた形状とする必要が生じるため、搭載スペースから大きさに制約がある車両用空調ダクトには適さないからである。また、曲がり部3を曲がり外周側に大きく膨らませて、外周側空気通路6を曲がり外周側に大きく迂回させた形状とすると、図55に示す形状と同様に、外周側空気通路6に音が進行しにくくなるという問題が生じてしまうので、曲がり部の曲がり角度は45度以上であることが好ましい。
【0140】
(第5実施形態)
本実施形態は、本発明をサイドフェイスダクトへ適用したものである。図16に、第5実施形態におけるサイドフェイスダクト全体の部分断面図を示す。図16では、図3、5、6と同様の構成部に、図3、5、6と同一の符号を付している。
【0141】
サイドフェイスダクト132の上流端132aが空調本体ユニットのケースに接続される。また、サイドフェイスダクトの下流端132bに、吹出口を構成するレジスタ142が接続される。レジスタ142は、リテーナ部51と、風向きを調整するグリル52とを有する構成である。
【0142】
本実施形態のサイドフェイスダクト132は、空調空気の流れ方向を変更する第1曲がり部41と、上流側直線部4と、第2曲がり部3と、下流側第1直線部5と、空調空気の流れ方向を変更する第3曲がり部42と、下流側第2直線部43とが順に連なった形状である。第2曲がり部3の曲がり角度θ1は約45°であり、第3曲がり部42の曲がり角度θ2は約30°である。
【0143】
本実施形態では、曲がり角度θが45°以上であって、吹出口直前、すなわち、吹出口に最も近い曲がり部である第2曲がり部3に、通路分岐壁部2が設けられており、第2曲がり部3の外周側内壁3aと内周側内壁3bとのうち、外周側内壁3aのみを外側に膨らませた形状となっている。
【0144】
また、本実施形態では、下流側直線部5での空気主流の流れ方向に対して、外周側空気通路6から下流側直線部5に流入する空気の流れ方向が鋭角をなすように、第2曲がり部3の出口10bで、外周側内壁3aがダクト内部に向かって凸の形状となっている。
【0145】
このため、本実施形態においても、外周側空気通路6および内周側空気通路7から下流側直線部5に向かう空気の流れ方向を、互いに交差する方向としているので、積極的に、外周側空気通路6および内周側空気通路7を通過した音波同士を干渉させることができる。
【0146】
ここで、図17に図16中のXVII−XVII断面図を示す。図17に示すように、本実施形態では、第2曲がり部3の横断面を見たとき、外周側空気通路6と内周側空気通路7とは、通路断面積は同じだが、通路断面形状が異なっている。
【0147】
また、本実施形態では、第2曲がり部3よりも下流側のダクト部を構成する下流側第1直線部5、第3曲がり部42および下流側第2直線部43の空気流れ方向に沿った長さの合計L5が、例えば、42〜500mmとなっており、第2曲がり部3の外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過した音が合流して干渉するのに必要なスペースを確保できる長さとなっている。なお、下流側第1直線部5の長さL4を、例えば、42〜500mmとしてもよい。
【0148】
(第6実施形態)
本実施形態は、本発明をサイドフェイスダクトへ適用したものである。図18に、第6実施形態におけるサイドフェイスダクトの部分断面図を示す。図18では、図16と同様の構成部に、図16と同一の符号を付している。
【0149】
図18に示すように、本実施形態のサイドフェイスダクト132は、第2曲がり部3の曲がり角度θ1が約75°であり、第3曲がり部42の曲がり角度が約15°であるため、第5実施形態と同様に、曲がり角度θが45°以上であって、吹出口の直前、すなわち、吹出口に最も近い曲がり部である第2曲がり部3に、通路分岐壁部2が設けられており、第2曲がり部3の外周側内壁3aと内周側内壁3bとのうち、外周側内壁3aのみを外側に膨らませた形状となっている。
【0150】
そして、本実施形態においても、下流側直線部5での空気主流の流れ方向に対して、外周側空気通路6から下流側直線部5に流入する空気の流れ方向が鋭角をなすように、第2曲がり部3の出口10bで、外周側内壁3aがダクト内部に向かって凸の形状となっている。
【0151】
図19に図18中のXIX−XIX断面図を示す。本実施形態では、図19に示すように、第2曲がり部3の横断面を見たとき、外周側空気通路6と内周側空気通路7は、通路断面積は同じだが、両者の通路断面形状が異なっており、外周側空気通路6と内周側空気通路7の並び方向における外周側空気通路6の断面幅寸法W6が、内周側空気通路7の断面幅寸法W7よりも大きくなっている。これにより、外周側空気通路6と内周側空気通路7の経路差を、周波数が800〜2kHzの騒音の干渉による低減に必要な大きさである0.085〜0.215mとしたときに、サイドフェイスダクト132全体の大きさを第5実施形態と比較して、コンパクトにできる。
【0152】
また、本実施形態では、第2曲がり部3よりも下流側のダクト部を構成する下流側第1直線部5、第3曲がり部42空気流れ方向に沿った長さの合計L5が、例えば、42〜500mmとなっている。なお、下流側第1直線部5の長さL4を、例えば、42〜500mmとしてもよい。
【0153】
(第7実施形態)
本実施形態は、本発明をサイドフェイスダクトへ適用したものである。図20に、本発明の第7実施形態におけるサイドフェイスダクト全体の部分断面図を示す。図20では、図16〜19と同様の構成部に、図16〜19と同一の符号を付している。
【0154】
図20に示すように、本実施形態のサイドフェイスダクト132は、上流側直線部4と、曲がり部3と、下流側直線部5とを有する形状であり、曲がり部3は、曲がり角度θ1が90°であって、外周側内壁3aが外周側に膨出して角部44を有する形状となっている。この角部44は、上流側直進部4から曲がり部3に進行した音が吹出口に向かって進行するように丸みをおびている。
【0155】
本実施形態では、曲がり部3の外周側内壁3aと上流側直線部4の外周側内壁4aとが平行に連なっており、曲がり部3の外周側内壁3aと下流側直線部5の外周側内壁5aとが平行に連なっている。
【0156】
図21に図20中のXXI−XXI断面図を示す。図21に示すように、曲がり部3の横断面を見たとき、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面形状が異なっており、インストルメントパネルの上面に沿って、曲がりの外周側から内周側に向かって徐々に低くなるように、外周側空気通路6と内周側空気通路7の上面が傾斜した形状となっている。
【0157】
また、本実施形態では、下流側直線部5の長さL4が短いので、下流側直線部5の上流端からレジスタ142のリテーナ部51の下流端までの空気流れ方向に沿った長さL6が、例えば、42〜500mmとなっており、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過した音が合流して干渉するのに必要なスペースを確保している。
【0158】
(第8実施形態)
本実施形態は、本発明をサイドフェイスダクトへ適用したものである。図22に、本発明の第8実施形態におけるサイドフェイスダクト全体の部分断面図を示す。また、図23に図22中のXXIII−XXIII断面図を示す。なお、図22、23では、図16〜21と同様の構成部に、図16〜21と同一の符号を付している。
【0159】
図22に示すように、本実施形態のサイドフェイスダクト132は、第2曲がり部3に、通路分岐壁部2が設けられており、第2曲がり部3の外周側内壁3aと内周側内壁3bとのうち、外周側内壁3aのみを外側に膨らませた形状となっている。
【0160】
そして、本実施形態においても、下流側直線部5での空気主流の流れ方向に対して、外周側空気通路6から下流側直線部5に流入する空気の流れ方向が鋭角をなすように、第2曲がり部3の出口10bで、外周側内壁3aがダクト内部に向かって凸の形状となっている。
【0161】
また、本実施形態では、上流側直線部4から第2曲がり部3の通路分岐部8に至って、通路断面幅が緩やかに拡大されており、第2曲がり部3の外周側内壁3aと上流側直線部4の外周側内壁4aとが平行に連なっている。
【0162】
また、図23に示すように、第2曲がり部3の横断面を見たとき、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面形状が異なっている。その他の構成については、図18に示すサイドフェイスダクト132と同等である。
【0163】
(第9実施形態)
本実施形態は、本発明をサイドフェイスダクトへ適用したものである。図24に、本発明の第9実施形態におけるサイドフェイスダクト全体の部分断面図を示す。また、図25に図24中のXXV−XXV断面図を示す。なお、図24、25では、図16〜23と同様の構成部に、図16〜23と同一の符号を付している。
【0164】
図24に示すように、本実施形態のサイドフェイスダクト132は、第1曲がり部41、上流側直線部4、第2曲がり部3、第2曲がり部3よりも下流側のダクト部を構成する第3曲がり部42が順に連なる形状であり、上記した各実施形態と異なり、下流側直線部5を有していない。
【0165】
このため、本実施形態では、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過した音が合流部9で合流して干渉するのに必要なスペースを確保するため、リテーナ部51の空気流れ方向での長さL7が、例えば、42〜500mmとなっている。
【0166】
なお、図25に示すように、本実施形態においても、第2曲がり部3の横断面を見たとき、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面形状が異なっている。
【0167】
(第10実施形態)
本実施形態は、本発明をサイドフェイスダクトへ適用したものである。図26に、本発明の第10実施形態におけるサイドフェイスダクト全体の部分断面図を示す。また、図27に図26中のXXVII−XXVII断面図を示す。なお、図26、27では、図16〜25と同様の構成部に、図16〜25と同一の符号を付している。
【0168】
本実施形態では、第2曲がり部3は、空気流れ方向途中の部位45から外周側内壁3aが外側に膨出した形状である。また、第2曲がり部3では、外周側空気通路6が、内周側空気通路7に対して、高さ方向で高さΔH1ずれた状態で配置されている。
【0169】
これにより、外周側空気通路6と内周側空気通路7の経路差を、所望の大きさ、例えば、0.085〜0.215mとするとき、外周側空気通路6と内周側空気通路7とが高さ方向の位置が同じ場合と比較して、第2曲がり部3の通路断面幅W3を小さくでき、サイドフェイスダクト全体を小型化できる。
【0170】
(第11実施形態)
本実施形態は、本発明をサイドフェイスダクトへ適用したものである。図28に、本発明の第11実施形態におけるサイドフェイスダクト全体の部分断面図を示す。また、図29に図28中のXXIX−XXIX断面図を示す。なお、図28、29では、図16〜27と同様の構成部に、図16〜27と同一の符号を付している。
【0171】
本実施形態では、第2曲がり部3の外周側空気通路6と内周側空気通路7とを、それぞれ、独立させ、別体の管46、47によって構成している。したがって、外周側空気通路6を構成する外周側管46と、内周側空気通路7を構成する管47は、離間して、曲がりの径方向に並んでいる。
【0172】
本実施形態においても、外周側空気通路6と内周側空気通路7の通路断面幅寸法W6、W7および外周側空気通路6と内周側空気通路7の間隔W2の合計寸法が、第2曲がり部3の通路断面幅W3であり、この第2曲がり部3のダクト幅W3が、上流側直線部4のダクト幅W4および下流側直線部5のダクト幅W5よりも大きくなっている。
【0173】
なお、本実施形態では、曲がり部3に設けられた通路分割壁部2は、図28に示すように、外周側空気通路6側の面2aと内周側空気通路7側の面2bで構成されているが、外周側空気通路6側の面2aと内周側空気通路7側の面2bで囲まれた内部が空洞となっている。
【0174】
(第12実施形態)
本実施形態は、本発明をサイドフェイスダクトへ適用したものである。図30に、本発明の第12実施形態におけるサイドフェイスダクト全体の部分断面図を示す。また、図31、32、33に、それぞれ、図30中のXXXI−XXXI断面図、XXXII−XXXII断面図、XXXIII−XXXIII断面図を示す。また、図34に、図30中のサイドフェイスダクト132のXXXIV矢視図を示す。なお、図30〜34では、図16〜29と同様の構成部に、図16〜29と同一の符号を付している。
【0175】
本実施形態のサイドフェイスダクト132は、図30〜34に示すように、第11実施形態で説明した図28に示すサイドフェイスダクト132に対して、外周側管46を、車両下方向に向かって迂回させた形状に変更したものである。
【0176】
図34に示すように、外周側管46を内周側管47よりも車両下側に迂回させて、外周側管46と内周側管47に、所定の高低差ΔH2を持たせることで、図28に示すサイドフェイスダクト132よりも経路差を大きくできる。
【0177】
なお、本実施形態では、外周側管46を内周側管47よりも車両下側に迂回させていたが、内周側管47よりも車両上側に向かって迂回する形状としても良い。すなわち、本発明では、外周側管46を内周側管47に対して曲がり部3の曲がりの径方向だけでなく、車両上下方向のように、曲がりの径方向に垂直な方向にも迂回させて、外周側管46と内周側管47とを三次元的にずらして配置することができる。
【0178】
また、本実施形態では、曲がり部3に設けられた通路分割壁部2は、図30に示すように、外周側空気通路6側の面2aと内周側空気通路7側の面2bで構成されているが、外周側空気通路6側の面2aと内周側空気通路7側の面2bで囲まれた内部が空洞となっている。
【0179】
(第13実施形態)
本実施形態は、本発明をセンタフェイスダクトへ適用したものである。図35に、本発明の第13実施形態におけるセンタフェイスダクト全体の断面図を示す。なお、図35では、図16〜34と同様の構成部に、図16〜34と同一の符号を付している。
【0180】
図35に示すように、本実施形態のセンタフェイスダクト133は、上流端133aが空調本体ユニットのケースに接続される。また、下流端133bに、吹出口を構成するレジスタ143が接続される。
【0181】
センタフェイスダクト133は、上流側直線部4と、曲がり部3と、下流側直線部5とを有する形状であり、曲がり部3は、曲がり角度θ1が90°であって、外周側内壁3aが曲がりの外周側に膨出し、内周側内壁3bが曲がりの内周側に膨出しており、ダクト幅W3が、上流側直線部4、下流側直線部5のダクト幅W4、W5よりも大きい形状となっている。また、曲がり部3は、外周側空気通路6を形成する外周側管46と、内周側空気通路7を形成する内周側管47によって構成されている。
【0182】
本実施形態においても、曲がり部3に設けられた通路分割壁部2の構成については、外周側空気通路6側の面2aと内周側空気通路7側の面2bで囲まれた内部が空洞となっている。
【0183】
また、本実施形態においても、上記した各実施形態と同様に、上流側直線部4の長さL3は、干渉による騒音低減を図る周波数の音の1/2波長以上の長さとなっており、下流側直線部5の長さL4は、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを通過した音が合流して干渉するのに必要なスペースを確保できる長さとなっている。
【0184】
(第14実施形態)
本実施形態は、本発明をセンタフェイスダクトへ適用したものである。図36に、本発明の第14実施形態におけるセンタフェイスダクト全体の断面図を示す。なお、図36では、図35と同様の構成部に、図35と同一の符号を付している。
【0185】
本実施形態のセンタフェイスダクト133は、上流側直線部4の長さL3が、第13実施形態の図35に示すセンタフェイスダクト133と比較して短いものである。そのため、本実施形態では、空調本体ユニット120の空調ケース121が、センタフェイスダクト133との接続箇所に所定長さL8の空気通路部121aを有する形状となっており、その長さL8が、干渉による騒音低減を図る周波数の音の1/2波長以上の長さ、例えば、85mm以上となっている。
【0186】
なお、空気通路部121の長さL8を干渉による騒音低減を図る周波数の音の1/2波長以上の長さとしたが、上流側直線部4の長さL3と、空気通路部121の長さL8との合計長L9を、干渉による騒音低減を図る周波数の音の1/2波長以上の長さとしても良い。
【0187】
(第15実施形態)
本実施形態は、本発明をセンタデフダクトへ適用したものである。図37に、本発明の第15実施形態におけるセンタデフダクト131全体の正面図を示し、図38に図37中のXXXVIII−XXXVIII断面図を示す。なお、図38では、図3、5、6、16と同様の構成部に、図3、5、6、16と同一の符号を付している。また、図39に、比較例としてのセンタデフダクト331を示す。
【0188】
本実施形態および比較例におけるセンタデフダクト131、331は、空調本体ユニットのデフ開口部と、センタデフ吹出口とが、車両前後方向での位置関係において、離れている場合に使用されるものであるため、空調本体ユニットに接続される上流端131a、331aと、吹出口側の下流端131b、331bとが、車両前後方向で離れた配置となっている。
【0189】
本実施形態のセンタデフダク131は、図38に示すように、上流端131a側から第1曲がり部41と、上流側直線部4と、第2曲がり部3と、下流側第1直線部5とが順に連なった形状であり、第2曲がり部3の曲がり角度θ1は約135°である。
【0190】
第2曲がり部3は、第11、13実施形態と同様に、外周側空気通路6を形成する外周側管46と、内周側空気通路7を形成する内周側管47とによって構成されている。言い換えると、本実施形態においても、曲がり部3に設けられた通路分割壁部2は、外周側空気通路6側の面2aと内周側空気通路7側の面2bで囲まれた内部が空洞となっている。
【0191】
また、第2曲がり部3は、外周側内壁3aが図39に示すセンタデフダクト331よりも曲がりの外周側に膨出し、内周側内壁3bの一部が平面の形状となっており、本実施形態においても、曲がり部3のダクト幅W3が、上流側直線部4、下流側直線部5のダクト幅W4、W5よりも大きくなっている。
【0192】
(第16実施形態)
本実施形態は、本発明をセンタデフダクトへ適用したものである。図40に、本発明の第16実施形態におけるセンタデフダクト全体の断面図を示し、図41に、比較例としてのセンタデフダクト331を示す。なお、図40、41は、それぞれ、図38、39に対応する図であり、図40、41では、図38、39と同等の構成部に、図38、39と同一の符号を付している。
【0193】
本実施形態および比較例におけるセンタデフダクト131、331は、空調本体ユニットのデフ開口部と、センタデフ吹出口とが、車両前後方向での位置関係において、近い場合に使用されるものである。
【0194】
本実施形態では、第2曲がり部3の曲がり角度θ1が約45°であり、第2曲がり部3の外周側内壁3aが、仮想円弧曲線23aおよび図41のセンタデフダクト331よりも、曲がりの外周側に膨出した形状となっている。
【0195】
(第17実施形態)
図42に、本実施形態における車両空調用ダクトの曲がり部3における横断面図を示す。図42は、図4に対応しており、図4と同様の構成部に図4と同一の符号を付している。
【0196】
第1実施形態では、図4に示すように、通路分割壁部2を、曲がり部3を構成する壁部11のうち、上側壁部11aと下側壁部11bの両方を、ダクト本体1の内部に向けて凹ませて構成していたが、図42に示すように、上側壁部11aと下側壁部11bのうち、上側壁部11aのみをダクト本体1の内部に向けて凹ませることで、外周側壁面2aと内周側壁面2bによって構成される通路分割壁部2を形成しても良い。
【0197】
(第18実施形態)
図43に、本実施形態における車両空調用ダクトの曲がり部3における横断面図を示す。図43は、図4に対応しており、図4と同様の構成部に図4と同一の符号を付している。
【0198】
第1実施形態では、図4に示すように、曲がり部3で、通路分割壁部2によって、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを完全に区切っていたが、本実施形態のように、実質的に、外周側空気通路6と内周側空気通路7とが構成されていれば、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを部分的に連通させた構成としても良い。
【0199】
この場合、干渉による騒音の低減効果が得られる程度まで、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを連通させる連通部401の通路断面積を、外周側空気通路6および内周側空気通路7の通路断面積よりも小さくする。
【0200】
また、連通部401は、例えば、ダクト本体1を構成する壁部11の上側壁部11aと下側壁部11bの両方を、互いに接触しない程度に、ダクト本体1の内部に向けて凹ませることで形成可能である。
【0201】
また、図示しないが、通路分割壁部2に連通穴を開けて、外周側空気通路6と内周側空気通路7とを連通させても良い。なお、本実施形態の連通部には、車両空調用吹出ダクトの製造上、やむなくできる隙間も含まれる。
【0202】
(第19実施形態)
図44に、本実施形態における車両空調用ダクトの曲がり部3における横断面図を示す。図44は、図4に対応しており、図4と同様の構成部に図4と同一の符号を付している。
【0203】
第1実施形態では、車両空調用吹出ダクトの製造方法として、ダクト本体1を一体成型した後、上側壁部11aと下側壁部11bとを凹ませ、凹ませた部分同士を接合することで、通路分割壁部2を形成する方法を説明したが、本実施形態のように、ダクト本体1を、上側壁部11aを有する上側半分と、下側壁部11bを有する下側半分との2分割した構成とし、側壁部11aと下側壁部11bの凹ませた部分同士を、溶着、接着等により接合した後、両者をボルト402、403で結合する方法を採用しても良い。
【0204】
(第20実施形態)
図45に、本実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示す。図45は、図3に対応する図であり、図45では、図3と同様の構成部に、図3と同一の符号を付している。
【0205】
第1実施形態では、ダクト本体1を構成する管の肉厚を均一にして、外形上、ダクト本体1が部分的に膨らんでいる形状である場合を例として説明したが、これに対して、本実施形態のように、外形上、ダクト本体1の幅(外径)を均一にして、ダクト本体1を構成する管の肉厚を変更することで、実質的に、第1実施形態で説明した図3に示すダクト本体1と同じダクトを構成することも可能である。
【0206】
(第21実施形態)
図46に、本実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示す。図46は、図3に対応する図であり、図46では、図3と同様の構成部に、図3と同一の符号を付している。
【0207】
図46に示すダクト本体1は、図5に示す形状のダクト本体21の内壁および通路分割壁部22に対して、内張材411、412、413、414を貼り付けたものである。このようにして、ダクト本体1の内部に、実質的に、第1実施形態で説明した図3に示すダクト本体1と同じダクトを構成することも可能である。
【0208】
(第22実施形態)
図47に、本実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示す。図47は、図3に対応する図であり、図47では、図3と同様の構成部に、図3と同一の符号を付している。
【0209】
本実施形態のダクト本体1は、図47に示すように、図3に示すダクト本体1の内壁面に、吸音材421を貼り付け、通路分割壁部2の表面に、吸音材422を貼り付けている。吸音材421、422としては、例えば、エーテル系ウレタンフォームが採用可能である。ダクト本体1のその他の構成については、第1実施形態で説明した図3に示す本体ダクト1と同様である。
【0210】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の構成を有しているので、周波数が800〜2kHzである騒音に対して、干渉による低減の効果が得られ、さらに、吸音材421、422による吸音によって、周波数が2kHz以上である騒音の低減効果が得られる。
【0211】
なお、図47では、通路分割壁部2の表面に吸音材422を貼り付けていたが、通路分割壁部2自体を吸音材で構成しても良い。
【0212】
(第23実施形態)
図48に、本実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示し、図49に、図48中のXLIX−XLIX断面図を示す。図48は、図3、6に対応する図であり、図49は、図4に対応する図であり、図48、49では、図3〜7と同様の構成部に、図3〜7と同一の符号を付している。
【0213】
上記した各実施形態では、曲がり部3の内壁3a、3bおよび通路分割壁部2の表面2a、2bが、平滑であったが、本実施形態では、曲がり部3の内壁3a、3bおよび通路分割壁部2の表面2a、2bに凹凸を設けている。
【0214】
本実施形態のダクト本体1は、図48、49に示すように、図6に示すダクト本体1に対して、曲がり部3の外周側内壁3aに凸部431を設け、通路分割壁部2の外周側壁面2aに凸部432を設けており、外周側空気通路6を構成する壁面のうち、対向する壁面に凸部を設けた構成となっている。外周側内壁3aの凸部431は、空気流れ方向で複数離間して配置されており、通路分割壁部2の凸部432も、空気流れ方向で複数離間して配置されている。また、外周側内壁3aの凸部431と、通路分割壁部2の凸部432とは、互いに対向しないように、空気流れ方向でずらして配置されている。
【0215】
また、本実施形態のダクト本体1は、図6に示すダクト本体1に対して、曲がり部3の内周側内壁3bに凸部433を設け、通路分割壁部2の内周側壁面2bに凹部434を設けており、内周側空気通路7を構成する壁面のうち、対向する壁面の一方側に凸部を設け、他方側に凹部を設けた構成となっている。内周側内壁3bの凸部433は、空気流れ方向で、複数離間して配置されており、通路分割壁部2の凹部434も空気流れ方向で、複数離間して配置されている。また、内周側内壁3bの凸部433と、通路分割壁部2の凹部434とは、互いに対向する位置に、配置されている。
【0216】
このように、曲がり部3の内壁3a、3bおよび通路分割壁部2の表面2a、2bに凹凸を設けることにより、外周側空気通路6と内周側空気通路7の経路差を調整することができ、狙いの周波数帯の騒音を干渉により低減することが可能となる。
【0217】
なお、凸部431、432、433の大きさおよび凹部434の大きさは、通風抵抗が増加しない程度とすることが好ましく、また、凸部、凹部の数は、任意に変更可能である。
【0218】
また、図48では、外周側内壁3aの凸部431と、通路分割壁部2の凸部432は、空気流れ方向での幅が、内周側内壁3bの凸部433よりも小さく、かつ、その幅が凸部の高さ方向で一定の形状であり、内周側内壁3bの凸部433は裾広がりの山形状であるが、凸部の形状は、任意に変更可能である。
【0219】
また、図48では、外周側空気通路6と内周側空気通路7のうち、外周側空気通路6のみにおいて、外周側内壁3aの凸部431と、通路分割壁部2の凸部432とが、空気流れ方向で交互に配置されていたが、内周側空気通路7を外周側空気通路6と同様の構成としても良い。
【0220】
また、図48では、内周側空気通路7において、内周側内壁3bの凸部433と、通路分割壁部2の凹部434とが、互いに対向する位置に配置されていたが、反対に、内周側内壁3bに凹部を設け、通路分割壁部2に凸部を設けても良く、また、外周側空気通路6を、内周側空気通路7と同様の構成としても良い。
【0221】
(第24実施形態)
図50に、本実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示し、図51に、図50中のLI−LI断面図を示す。図50は、図51中のL−L断面図であって、図3、6に対応する図であり、図51は、図4に対応する図である。図50、51では、図3〜7と同様の構成部に、図3〜7と同一の符号を付している。
【0222】
本実施形態では、曲がり部3の外周側空気通路6を複数の通路に完全に分割し、曲がり部3の内周側空気通路7を部分的に複数の通路に分割している。
【0223】
具体的には、本実施形態のダクト本体1は、図50、51に示すように、図6に示すダクト本体1に対して、曲がり部3の外周側空気通路6内に、空気通路を2つに分割する分割壁441を設けている。
【0224】
分割壁441は、図51に示すように、外周側空気通路6の図中上下方向での中央に位置し、曲がり部3の外周側内壁3aから通路分割壁部2に至る長さであり、図50に示すように、外周側空気通路6の空気流れ方向全域に設けられている。この分割壁441によって、図51に示すように、外周側空気通路6が、外周側第1通路442と外周側第2通路443の2つに完全に分割されている。
【0225】
また、本実施形態のダクト本体1は、図51に示すように、図6に示すダクト本体1に対して、曲がり部3の内周側空気通路7内に、曲がり部3の内周側内壁3bから、通路分割壁部2の内周側壁面2bに向かって延びる板形状のリブ444、445を2つ設けている。リブ444、445は、空気流れ方向、すなわち、図51の紙面垂直方向に延びている。このため、図51に示すように、内周側空気通路7の横断面を見たとき、内周側空気通路7の図中左側半分に相当する部分が、図中上下方向で、3分割された構成となっている。
【0226】
このように、曲がり部3の外周側空気通路6を複数の通路に分割し、曲がり部3の内周側空気通路7を部分的に複数の通路に分割することで、曲がり部3よりも空気流れ下流側での風速分布の更なる均一化が可能となる。
【0227】
なお、分割壁441、リブ444、445の数および設置位置については、上記効果が得られる範囲で、任意に変更可能である。
【0228】
また、図51では、外周側第1通路442と外周側第2通路443とは、図中上下方向、すなわち、外周側空気通路6と内周側空気通路7の並び方向および空気流れ方向に対して、略垂直な方向に並んでいるが、図中左右横方向、すなわち、外周側空気通路6と内周側空気通路7の並び方向に、外周側第1通路442と外周側第2通路443とが並ぶように、外周側空気通路6を分割する構成としても良い。
【0229】
また、図51では、内周側空気通路7が、部分的に、図中上下方向で、3分割された構成であったが、図中左右横方向で、3分割された構成としても良い。
【0230】
また、図51では、曲がり部3の外周側空気通路6を複数の通路に完全に分割し、曲がり部3の内周側空気通路7を部分的に複数の通路に分割していたが、外周側空気通路6と内周側空気通路7の構成を入れ替えたり、外周側空気通路6と内周側空気通路7の両方を、複数の通路に完全に分割した構成や部分的に複数の通路に分割した構成としたりしても良く、このようにしても、本実施形態の効果が得られる。
【0231】
(第25実施形態)
図52に、本実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示す。図52は、図3、6に対応する図であり、図52では、図3、6と同様の構成部に、図3、6と同一の符号を付している。
【0232】
本実施形態では、図52に示すように、曲がり部3の曲がり角度θ1が180°となっている。
【0233】
具体的には、ダクト本体1は、上流側第1直線部451と、第1曲がり部452と、上流側第2直線部4と、第2曲がり部3と、下流側直線部5とが順に連なった形状であって、第2曲がり部3の曲がり角度θ1が180°となっており、 第2曲がり部3は、外周側内壁3aを、仮想曲線23aよりも、外側に膨らませた形状となっている。
【0234】
このように、曲がり部3の曲がり角度θ1が180°においても、本発明を適用できる。第4実施形態および本実施形態より、本発明の実施においては、曲がり部3の曲がり角度θ1が45°以上180°以下であることが好ましい。
【0235】
(第26実施形態)
図53に、本実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示す。図53は、図3、6に対応する図であり、図53では、図3、6と同様の構成部に、図3、6と同一の符号付している。
【0236】
第1実施形態では、ダクト本体1は、曲がり部3全域のダクト幅W3が、上流側直線部4のダクト幅W4および下流側直線部5のダクト幅W5よりも大きくなっていたが、本実施形態では、図53に示すように、曲がり部3のダクト幅W3が、上流側直線部4のダクト幅W4と下流側直線部5のダクト幅W5のうち、下流側直線部5のダクト幅W5のみと比較して、大きくなっている。
【0237】
すなわち、本実施形態のダクト本体1は、上流側直線部4のダクト幅W4が、曲がり部3のダクト幅W3と同じかそれ以上の大きさである。そして、曲がり部3は、入口10aでのダクト幅W3aが、上流側直線部4のダクト幅W4と同じであって、入口10aから空気流れ方向に沿って、ダクト幅W3が徐々に小さくなり、出口10bでのダクト幅W3bが最も小さくなっている。
【0238】
本実施形態では、上流側直線部4での空気主流の流れ方向と外周側空気通路6に流入する空気の流れ方向とが平行となるため、曲がり部3および下流側直線部5の大きさを第1実施形態で説明したダクト本体1と同じとした場合では、第1実施形態と比較して、周側空気通路6と内周側空気通路7の経路差が小さくなるが、曲がり部3のダクト幅W3によって、この経路差が調整されることから、曲がり部3のダクト幅W3を、比較的大きくできる場合であれば、ダクト本体1として、このような構成を採用しても良い。
【0239】
(第27実施形態)
図54に、本実施形態における車両空調用吹出ダクトの断面図を示す。図54は、図3、6に対応する図であり、図54では、図3、6と同様の構成部に、図3、6と同一の符号付している。
【0240】
本実施形態では、図54に示すように、曲がり部3のダクト幅W3が、上流側直線部4のダクト幅W4と下流側直線部5のダクト幅W5のうち、上流側直線部4のダクト幅W4のみと比較して、大きくなっている。
【0241】
すなわち、本実施形態のダクト本体1は、上流側直線部4のダクト幅W4が、曲がり部3のダクト幅W3よりも小さく、下流側直線部5のダクト幅W5が、曲がり部3のダクト幅W3と同じかそれ以上の大きさとなっている。そして、曲がり部3は、入口10aでのダクト幅W3aが最も小さくなっており、入口10aから空気流れ方向に沿って、ダクト幅W3が徐々に大きくなり、その後、一定の大きさとなっている。
【0242】
このように、ダクト本体1の構成として、曲がり部3のダクト幅W3が、上流側直線部4のダクト幅W4よりも大きいが、下流側直線部5のダクト幅W5よりも大きくない構成を採用しても良い。
【0243】
また、本実施形態では、ダクト本体1は、下流側直線部5の下流側に、ダクト幅W461が徐々に小さくなっているダクト部461と、下流側直線部5のダクト幅W5よりも小さいダクト幅W462であって、ダクト幅が一定であるダクト部分462とを有している。
【0244】
本実施形態では、外周側空気通路6を通過した音波と、内周側空気通路7を通過した音波とは、互いに、平行な状態のまま、下流側直線部5を通過することになるが、ダクト幅W461が徐々に小さくなっているダクト部451で、外周側空気通路6および内周側空気通路7から流出した後の空気流れ方向を交差する方向に変更させることができるので、外周側空気通路6および内周側空気通路7を通過した音波の多くを干渉させることができる。
【0245】
(他の実施形態)
(1)第1実施形態では、通路分割壁部2の形状を翼状とする場合を例として説明したが、ダクト本体1の形状で、経路差を確保できれば、図13〜15に示すように、外周側空気通路6と内周側空気通路7の並列方向での幅が均一な板状としても良い。
【0246】
同様に、第5〜27実施形態においても、経路差を確保できれば、通路分割壁部2の形状を板状としても良い。
【0247】
また、図3、図13〜15では、通路分割壁部2の上流端部、下流側端部が尖っていたが、上流端部、下流側端部が丸みをおびた形状であっても良い。
【0248】
このように、通路分割壁部2の形状については、経路差を確保できる範囲で、任意に変更可能である。
【0249】
(2)上記した各実施形態では、車両空調用吹出ダクトが、通路分割壁部2を設けた部位3よりも空気流れの上流側に、上流側ダクト部として上流側直線部4を有していたが、上流側ダクト部は、直線状に限らず、曲線状であってもよい。上流側ダクト部が直線状でなくても、所定長さを有することで、第1実施形態のように、音圧分布を均一に近づけることができる。
【0250】
(3)第1、第17〜19実施形態では、通路分割壁部2の形成方法として、ダクト本体1を凹ませる方法を採用する場合を例として説明したが、例えば、ダクト本体1と通路分割壁部2とを別体として形成した後、通路分割壁部2をダクト本体1に接着等により固定する方法を採用しても良い。
【0251】
(4)上記した各実施形態では、通路分割壁部2を1つ設けることで、空気通路を2つに分割する場合を例として説明したが、通路分割壁部2を複数設けることで、空気通路を3つ以上に分割しても良い。
【0252】
ただし、ダクト本体1のダクト幅を同一としたまま、空気通路を3つ以上に分割した場合では、分割数が増えるほど、各空気通路同士の通路長さの差が小さくなるため、空気通路を分割する数は少ない方が好ましい。
【0253】
(5)上記した各実施形態では、干渉のスペースを確保するために、曲がり部3よりも下流側ダクト部の長さを狙いの周波数の音波の1/4波長以上の長さとしていたが、干渉のスペースを確保するという観点では、下流側ダクト部の長さでなくても、通路分割壁部2の下流側端部、すなわち、外周側空気通路6と内周側空気通路7との合流点から吹出口までの空気流れ方向での長さが、狙いの周波数の音波の1/4波長以上の長さであれば良い。
【0254】
(6)上記した実施形態では、室内空調ユニット100が、送風機ユニット110と空調本体ユニット120とによって構成されている場合を説明したが、室内空調ユニット100は、送風機ユニット110と空調本体ユニット120とに分け隔てられない1つのユニットであっても良い。
【0255】
また、上記した実施形態では、図2に示すように、送風機111が、蒸発器122およびヒータコア123の空気流れ上流側に配置されていたが、蒸発器122およびヒータコア123の空気流れ下流側に配置してもよい。
【0256】
要するに、本発明の実施においては、車両用空調装置の構成は特に影響せず、本発明は、種々の構造の車両用空調装置に適用可能である。
【0257】
(7)上記した各実施形態は、それぞれ、実施の一形態を示したにすぎず、適用可能な範囲で、各実施形態を任意に組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0258】
【図1】本発明の第1実施形態における車両用空調装置の室内空調ユニットの外観斜視図である。
【図2】図1の室内空調ユニットの内部構成の模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるダクトの断面図である。
【図4】図3中のIV−IV断面図である。
【図5】第1実施形態に対する比較例としてのダクトの断面図である。
【図6】図3のダクトに対して図5のダクトを重ね合わせた図である。
【図7】図3中の通路分割壁部2の拡大図である。
【図8】第1実施形態のダクト本体1の騒音低減効果を調査した結果である。
【図9】第1実施形態のダクト本体1の下流側直線部5の長さと騒音減衰量との関係を調査した結果である。
【図10】第1実施形態のダクト本体1における風速分布を示す図である。
【図11】比較例2のダクトにおける風速分布を示す図である。
【図12】第1実施形態および比較例2のダクトにおいて、下流側直線部5の流れ方向長さL4を500mm以上としたときの下流側直線部5の上流端から所定距離の位置での流路断面における流速分布を示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態におけるダクトの断面図である。
【図14】本発明の第3実施形態におけるダクトの断面図である。
【図15】本発明の第4実施形態おけるダクトの断面図である。
【図16】本発明の第5実施形態おけるサイドフェイスダクトの部分断面図である。
【図17】図16中のXVII−XVII断面図である。
【図18】本発明の第6実施形態おけるサイドフェイスダクトの部分断面図である。
【図19】図18中のXIX−XIX断面図である。
【図20】本発明の第7実施形態おけるサイドフェイスダクトの部分断面図である。
【図21】図20中のXXI−XXI断面図である。
【図22】本発明の第8実施形態おけるサイドフェイスダクトの部分断面図である。
【図23】図22中のXXIII−XXIII断面図である。
【図24】本発明の第9実施形態おけるサイドフェイスダクトの部分断面図である。
【図25】図24中のXXV−XXV断面図である。
【図26】本発明の第10実施形態おけるサイドフェイスダクトの部分断面図である。
【図27】図26中のXXVII−XXVII断面図である。
【図28】本発明の第11実施形態おけるサイドフェイスダクトの部分断面図である。
【図29】図28中のXXIX−XXIX断面図である。
【図30】本発明の第12実施形態おけるサイドフェイスダクトの部分断面図である。
【図31】図30中のXXXI−XXXI断面図である。
【図32】図30中のXXXII−XXXII断面図である。
【図33】図30中のXXXIII−XXXIII断面図である。
【図34】図30中のXXXI矢視図である。
【図35】本発明の第13実施形態おけるセンタフェイスダクトの断面図である。
【図36】本発明の第14実施形態おけるセンタフェイスダクトの断面図である。
【図37】本発明の第15実施形態おけるセンタデフダクトの正面図である。
【図38】図37中のXXXVIII−XXXVIII断面図である。
【図39】第15実施形態の比較例におけるセンタデフダクトの断面図である。
【図40】本発明の第16実施形態おけるセンタデフダクトの断面図である。
【図41】第16実施形態の比較例におけるセンタデフダクトの断面図である。
【図42】本発明の第17実施形態における車両空調用ダクトの曲がり部における断面図である。
【図43】本発明の第18実施形態における車両空調用ダクトの曲がり部における断面図である。
【図44】本発明の第19実施形態における車両空調用ダクトの曲がり部における断面図である。
【図45】本発明の第20実施形態における車両空調用ダクトの断面図である。
【図46】本発明の第21実施形態における車両空調用ダクトの断面図である。
【図47】本発明の第22実施形態における車両空調用ダクトの断面図である。
【図48】本発明の第23実施形態における車両空調用ダクトの断面図である。
【図49】図48中のXLIX−XLIX断面図である。
【図50】本発明の第24実施形態における車両空調用ダクトの断面図である。
【図51】図50中のLI−LI断面図である。
【図52】本発明の第25実施形態における車両空調用ダクトの断面図である。
【図53】本発明の第26実施形態における車両空調用ダクトの断面図である。
【図54】本発明の第27実施形態における車両空調用ダクトの断面図である。
【図55】非特許文献1に記載されている干渉型消音器の模式図である。
【図56】本発明が対象とする空調騒音の周波数域の調査結果である。
【符号の説明】
【0259】
1…ダクト本体、2…通路分割壁部、3…曲がり部、4…上流側直線部、
5…下流側直線部、6…外周側空気通路、7…内周側空気通路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機(111)によって空調ケース(121)内に空気が送風され、前記空調ケース内の熱交換器(122、123)と熱交換した後の空調空気を車室内吹出口(141、142、143、144)に導く車両空調用吹出ダクトにおいて、
前記空調ケース内から前記空調空気が流入する上流側ダクト部(4)と、
前記車室内吹出口に前記空調空気を流入させる下流側ダクト部(5)と、
前記上流側ダクト部と前記下流側ダクト部との間に形成され、前記上流側ダクト部を通過した前記空調空気の流れ方向を曲げて、前記上流側ダクト部から前記下流側ダクト部に前記空調空気を導くための曲がり部(3)とを有し、
前記曲がり部(3)は、前記上流側ダクト部(4)から流入した前記空調空気を曲げの外周側と内周側に分岐させて流す第1通路(6)および第2通路(7)を有しており、
前記曲がり部(3)は、前記第1、第2通路の並列方向における前記第1通路の断面幅寸法(W6)、前記第2通路の断面幅寸法(W7)および前記第1通路と前記第2通路との間隔(W2)の合計寸法(W3)が、前記上流側ダクト部(4)の断面幅寸法(W4)と前記下流側ダクト部(5)の断面幅寸法(W5)の少なくとも一方よりも大きくなっていることを特徴とする車両空調用吹出ダクト。
【請求項2】
前記曲がり部(3)の前記第1通路(6)および記第2通路(7)は、別体の管によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項3】
送風機(111)によって空調ケース(121)内に空気が送風され、前記空調ケース内の熱交換器(122、123)と熱交換した後の空調空気を車室内吹出口(141、142、143、144)に導く車両空調用吹出ダクトにおいて、
前記空調ケース内から前記空調空気が流入する上流側ダクト部(4)と、
前記車室内吹出口に前記空調空気を流入させる下流側ダクト部(5)と、
前記上流側ダクト部と前記下流側ダクト部との間に形成され、前記上流側ダクト部を通過した空調空気の流れ方向を曲げて、前記上流側ダクト部から前記下流側ダクト部に空調空気を導くための曲がり部(3)とを有し、
前記曲がり部(3)には、曲げ外周側に位置する第1通路(6)と曲げ内周側に位置する第2通路(7)とに、前記空調空気の通路を分割する通路分割壁部(2)が設けられており、
前記曲がり部(3)は、前記第1、第2通路の並列方向における前記第1通路の断面幅寸法(W6)、前記第2通路の断面幅寸法(W7)および前記通路分割壁部の断面幅寸法(W2)の合計寸法(W3)が、前記上流側ダクト部(4)の断面幅寸法(W4)と前記下流側ダクト部(5)の断面幅寸法(W5)の少なくとも一方よりも大きくなっていることを特徴とする車両空調用吹出ダクト。
【請求項4】
前記通路分割壁部(2)は、前記第1通路および前記第2通路の通路断面積が空調空気の流れ方向で実質的に一定となるように、前記第1通路に面する第1通路側壁面(2a)は、前記曲がり部(3)の外周側内壁(3a)に沿った形状であり、前記第2通路に面する第2通路側壁面(2b)は、前記曲がり部(3)の内周側内壁(3b)に沿った形状であることを特徴とする請求項3に記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項5】
前記通路分割壁部(2)は、前記第2通路に面する第2通路側壁面(2b)の全域もしくは一部が平面形状であり、前記第1通路に面する第1通路側壁面(2a)の全域もしくは一部が湾曲形状であることを特徴とする請求項3または4に記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項6】
前記通路分割壁部(2)は、前記第2通路に面する第2通路側壁面(2b)の前記空調空気の流れ方向での沿面長さ(S2)に対する前記第1通路に面する第1通路側壁面(2a)の前記空調空気の流れ方向での沿面長さ(S1)の比(S1/S2)が、1.1〜2.0であることを特徴とする請求項3から5のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項7】
前記通路分割壁部(2)は、前記第1、第2通路の並列方向での幅が、空気流れ方向での上流端(2c)から空気流れ方向での中間部(2d)に向かうにつれて徐々に広がり、前記中間部(2d)から空気流れ方向での下流端(2e)に向かうにつれて幅が徐々に狭くなっており、前記中間部(2d)を通る仮想線(2f)を軸とした線対称の実質的に三日月形状となっていることを特徴とする請求項3から6のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項8】
送風機(111)によって空調ケース(121)内に空気が送風され、前記空調ケース内の熱交換器(122、123)と熱交換した後の空調空気を車室内吹出口(141、142、143、144)に導く車両空調用吹出ダクトにおいて、
前記空調ケース内から前記空調空気が流入する上流側ダクト部(4)と、
前記車室内吹出口に前記空調空気を流入させる下流側ダクト部(5)と、
前記上流側ダクト部と前記下流側ダクト部との間に形成され、前記上流側ダクト部を通過した前記空調空気の流れ方向を曲げて、前記上流側ダクト部から前記下流側ダクト部に前記空調空気を導くための曲がり部(3)とを有し、
前記曲がり部(3)は、前記上流側ダクト部(4)から流入した前記空調空気を曲げの外周側と内周側に分岐させて流す第1通路(6)および第2通路(7)を有しており、
前記上流側ダクト部(4)、前記下流側ダクト部(5)および前記曲がり部(3)の空調空気の流れ方向に平行な断面において、
前記曲がり部(3)の外周側内壁(3a)に連なる前記上流側ダクト部(4)の下流端(10a1)を起点として、前記上流側ダクト部(4)から前記曲がり部(3)に流入する空調空気の流れ方向と平行に延びる仮想直線(31)と、前記曲がり部(3)の外周側内壁(3a)に連なる前記下流側ダクト部(5)の上流端(10b1)を起点として、前記曲がり部(3)から前記下流側ダクト部(5)に流入する空調空気の流れ方向と平行に延びる仮想直線(32)とを接線とする円弧によって、前記上流側ダクト部(4)の外周側内壁(4a)と前記下流側ダクト部(5)の外周側内壁(5a)とを結んだ仮想曲線を外側基準線(23a)としたとき、
前記曲がり部(3)は、前記外周側内壁(3a)が前記外側基準線(23a)よりも曲がりの外周側に膨出した形状となっていることを特徴とする車両空調用吹出ダクト。
【請求項9】
前記曲がり部(3)および前記上流側ダクト部(4)は、前記曲がり部(3)の外周側壁面(3a)のうち、前記上流側ダクト部(4)と連なる部位(10a)がダクト内部に向けて凸の形状であることによって、前記第1通路(6)に流入する前記空調空気の流れ方向が、前記上流側ダクト部(4)から前記曲がり部(3)に向かう前記空調空気の流れ方向に対して、鋭角をなす構成となっていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項10】
前記曲がり部(3)および前記下流側ダクト部(5)は、前記曲がり部(3)の外周側壁面(3a)のうち、前記下流側ダクト部(5)と連なる部位(10b)がダクト内部に向けて凸の形状であることによって、前記第1通路(6)を流れる前記空調空気と、前記第2通路を流れる前記空調空気とが、互いに交差する方向を向いて合流する構成となっていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項11】
送風機(111)によって空調ケース(121)内に空気が送風され、前記空調ケース内の熱交換器(122、123)と熱交換した後の空調空気を車室内吹出口(141、142、143、144)に導く車両空調用吹出ダクトにおいて、
前記空調ケース内から前記空調空気が流入する上流側ダクト部(4)と、
前記車室内吹出口に前記空調空気を流入させる下流側ダクト部(5)と、
前記上流側ダクト部と前記下流側ダクト部との間に形成され、前記上流側ダクト部を通過した前記空調空気の流れ方向を曲げて、前記上流側ダクト部から前記下流側ダクト部に前記空調空気を導くための曲がり部(3)とを有し、
前記曲がり部(3)は、前記上流側ダクト部(4)から流入した前記空調空気を曲げの外周側と内周側に分岐させて流す第1通路(6)および第2通路(7)を有しており、
前記上流側ダクト部(4)、前記下流側ダクト部(5)および前記曲がり部(3)の空調空気の流れ方向に平行な断面において、
前記曲がり部(3)の内周側内壁(3b)に連なる前記上流側ダクト部(4)の下流端(10a2)を起点として、前記上流側ダクト部(4)から前記曲がり部(3)に流入する空調空気の流れ方向と平行に延びる仮想直線(33)と、前記曲がり部(3)の内周側内壁(3b)に連なる前記下流側ダクト部(5)の上流端(10b2)を起点として、前記曲がり部(3)から前記下流側ダクト部(5)に流入する空調空気の流れ方向と平行に延びる仮想直線(34)とを接線とする円弧によって、前記上流側ダクト部(4)の内周側内壁(4b)と前記下流側ダクト部(5)の内周側内壁(5b)とを結んだ仮想曲線を内側基準線(23b)としたとき、
前記曲がり部(3)は、前記内周側内壁(3b)が前記内側基準線(23b)よりも曲がりの内周側に膨出した形状であることを特徴とする車両空調用吹出ダクト。
【請求項12】
前記曲がり部(3)の内周側壁面(3b)の全域もしくは一部は、平面形状であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項13】
前記曲がり部(3)の内周側壁面(3b)の全域もしくは一部は、前記曲がり部(3)の外周側内壁(3a)よりも緩やかな湾曲形状であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項14】
送風機(111)によって空調ケース(121)内に空気が送風され、前記空調ケース内の熱交換器(122、123)と熱交換した後の空調空気を車室内吹出口(141、142、143、144)に導く車両空調用吹出ダクトにおいて、
前記空調ケース内から前記空調空気が流入する上流側ダクト部(4)と、
前記車室内吹出口に前記空調空気を流入させる下流側ダクト部(5)と、
前記上流側ダクト部と前記下流側ダクト部との間に形成され、前記上流側ダクト部を通過した空調空気の流れ方向を曲げて、前記上流側ダクト部から前記下流側ダクト部に空調空気を導くための曲がり部(3)とを有し、
前記曲がり部(3)には、曲げ外周側に位置する第1通路(6)と曲げ内周側に位置する第2通路(7)とに、前記空調空気の通路を分割する通路分割壁部(2)が設けられており、
前記通路分割壁部(2)は、前記第2通路に面する第2通路側壁面(2b)の前記空調空気の流れ方向での沿面長さ(S2)に対する前記第1通路に面する第1通路側壁面(2a)の前記空調空気の流れ方向での沿面長さ(S1)の比(S1/S2)が、1.1〜2.0であることを特徴とする車両空調用吹出ダクト。
【請求項15】
前記上流側ダクト部の一部もしくは全域が、前記空調空気の流れ方向を実質的に一定とする実質的に直線形状であることを特徴とする請求項1から14のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項16】
前記下流側ダクト部の一部もしくは全域が、前記空調空気の流れ方向を実質的に一定とする実質的に直線形状であることを特徴とする請求項1から15のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項17】
送風機(111)によって空調ケース(121)内に空気が送風され、前記空調ケース内の熱交換器(122、123)と熱交換した後の空調空気を車室内吹出口(141、142、143、144)に導く車両空調用吹出ダクトにおいて、
実質的に直線状に延びて、前記空調ケース内から前記空調空気が流入する上流側ダクト部(4)と、
実質的に直線状に延びて、前記上流側ダクト部(4)内を通過する前記空調空気の流れ方向と異なる方向に、前記空調空気を流出させる下流側ダクト部(5)と、
前記上流側ダクト部(4)と前記下流側ダクト部(5)とを接続する曲がり部(3)と、
前記曲がり部(3)内に配置されて、前記曲がり部(3)内を曲げの外周側の第1通路(6)と曲げの内周側の第1通路(7)とに仕切る仕切部材(2)とを備え、
前記空調空気が前記上流側ダクト部(4)内を流れる上流側空気流れ方向と、前記空調空気が前記下流側ダクト部(5)内を流れる下流側空気流れ方向とを含む基準断面において、
前記上流側空気流れ方向と前記下流側空気流れ方向とを接線(31、32、33、34)とする円弧によって、前記上流側ダクト部の外周側内壁(4a)と前記下流側ダクト部の外周側内壁(5a)とを結んだ線を外側基準線(23a)とし、前記円弧によって、前記上流側ダクト部の内周側内壁(4b)と前記下流側ダクト部の内周側内壁(5b)とを結んだ線を内側基準線(23b)とし、
さらに、前記基準断面と前記曲がり部の外側内周壁面との交線を外側交線(3a)とし、前記基準断面と前記曲がり部の内側内周壁面との交線を内側交線(3b)としたときに、
前記曲がり部は、前記外側交線(3a)が前記外側基準線(23a)よりも外側を通過する形状、あるいは、前記内側交線(3b)が前記内側基準線(23b)よりも内側を通過する形状のうち少なくとも一方の形状に形成されており、
前記仕切部材(2)の前記第1通路側の面(2a)は、前記曲がり部の外周側内壁面に沿うように形成され、前記仕切部材(2)の前記第2通路側の面(2b)は、前記曲がり部の内周側内壁面に沿うように形成されていることを特徴とする車両空調用吹出ダクト。
【請求項18】
前記上流側ダクト部は、前記空調空気の流れ方向に沿った長さが、85mm以上であって車両に搭載可能な長さであることを特徴とする請求項1から17のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項19】
前記上流側ダクト部は、前記空調空気の流れ方向に沿った長さが、121mm以上であって車両に搭載可能な長さであることを特徴とする請求項1から17のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項20】
前記上流側ダクト部は、前記空調空気の流れ方向に沿った長さが、212mm以上であって車両に搭載可能な長さであることを特徴とする請求項1から17のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項21】
前記下流側ダクト部は、前記空調空気の流れ方向に沿った長さが、42mm以上500mm以下であることを特徴とする請求項1から20のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項22】
前記下流側ダクト部は、前記空調空気の流れ方向に沿った長さが、60mm以上500mm以下であることを特徴とする請求項1から20のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項23】
前記下流側ダクト部は、前記空調空気の流れ方向に沿った長さが、106mm以上500mm以下であることを特徴とする請求項1から20のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項24】
前記曲がり部は、前記空調空気の流れ方向で前記車室内吹出口の直前に位置するとともに、曲がり角度が45°以上180°以下であることを特徴とする請求項1から23のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項25】
前記曲がり部は、流路断面の重心を通る前記第1、第2通路の通路長さの差(L1−L2)が、0.085〜0.215mとなっていることを特徴とする請求項1から24のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項26】
前記第1通路と前記第2通路は、前記曲がり部の横断面を見たときの両者の通路断面積比が、一方を1としたとき、他方が0.7以上1.3以内となっていることを特徴とする請求項1から25のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項27】
前記車室内吹出口(141、142、143、144)には、風向きを調整するグリル(52)が設けられていることを特徴とする請求項1から26のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項28】
空調空気と熱交換する熱交換器を収納する空調ケース(121)と、
請求項1ないし27のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクトと、
前記車両空調用吹出ダクトから流入する空調空気を車室内へ吹き出す車室内吹出口(141、142、143、144)と、
前記空調ケースから前記車両空調用吹出ダクトを通過して前記車室内吹出口へ向かって空調空気を送風する送風機(111)とを備える車両用空調装置。
【請求項1】
送風機(111)によって空調ケース(121)内に空気が送風され、前記空調ケース内の熱交換器(122、123)と熱交換した後の空調空気を車室内吹出口(141、142、143、144)に導く車両空調用吹出ダクトにおいて、
前記空調ケース内から前記空調空気が流入する上流側ダクト部(4)と、
前記車室内吹出口に前記空調空気を流入させる下流側ダクト部(5)と、
前記上流側ダクト部と前記下流側ダクト部との間に形成され、前記上流側ダクト部を通過した前記空調空気の流れ方向を曲げて、前記上流側ダクト部から前記下流側ダクト部に前記空調空気を導くための曲がり部(3)とを有し、
前記曲がり部(3)は、前記上流側ダクト部(4)から流入した前記空調空気を曲げの外周側と内周側に分岐させて流す第1通路(6)および第2通路(7)を有しており、
前記曲がり部(3)は、前記第1、第2通路の並列方向における前記第1通路の断面幅寸法(W6)、前記第2通路の断面幅寸法(W7)および前記第1通路と前記第2通路との間隔(W2)の合計寸法(W3)が、前記上流側ダクト部(4)の断面幅寸法(W4)と前記下流側ダクト部(5)の断面幅寸法(W5)の少なくとも一方よりも大きくなっていることを特徴とする車両空調用吹出ダクト。
【請求項2】
前記曲がり部(3)の前記第1通路(6)および記第2通路(7)は、別体の管によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項3】
送風機(111)によって空調ケース(121)内に空気が送風され、前記空調ケース内の熱交換器(122、123)と熱交換した後の空調空気を車室内吹出口(141、142、143、144)に導く車両空調用吹出ダクトにおいて、
前記空調ケース内から前記空調空気が流入する上流側ダクト部(4)と、
前記車室内吹出口に前記空調空気を流入させる下流側ダクト部(5)と、
前記上流側ダクト部と前記下流側ダクト部との間に形成され、前記上流側ダクト部を通過した空調空気の流れ方向を曲げて、前記上流側ダクト部から前記下流側ダクト部に空調空気を導くための曲がり部(3)とを有し、
前記曲がり部(3)には、曲げ外周側に位置する第1通路(6)と曲げ内周側に位置する第2通路(7)とに、前記空調空気の通路を分割する通路分割壁部(2)が設けられており、
前記曲がり部(3)は、前記第1、第2通路の並列方向における前記第1通路の断面幅寸法(W6)、前記第2通路の断面幅寸法(W7)および前記通路分割壁部の断面幅寸法(W2)の合計寸法(W3)が、前記上流側ダクト部(4)の断面幅寸法(W4)と前記下流側ダクト部(5)の断面幅寸法(W5)の少なくとも一方よりも大きくなっていることを特徴とする車両空調用吹出ダクト。
【請求項4】
前記通路分割壁部(2)は、前記第1通路および前記第2通路の通路断面積が空調空気の流れ方向で実質的に一定となるように、前記第1通路に面する第1通路側壁面(2a)は、前記曲がり部(3)の外周側内壁(3a)に沿った形状であり、前記第2通路に面する第2通路側壁面(2b)は、前記曲がり部(3)の内周側内壁(3b)に沿った形状であることを特徴とする請求項3に記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項5】
前記通路分割壁部(2)は、前記第2通路に面する第2通路側壁面(2b)の全域もしくは一部が平面形状であり、前記第1通路に面する第1通路側壁面(2a)の全域もしくは一部が湾曲形状であることを特徴とする請求項3または4に記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項6】
前記通路分割壁部(2)は、前記第2通路に面する第2通路側壁面(2b)の前記空調空気の流れ方向での沿面長さ(S2)に対する前記第1通路に面する第1通路側壁面(2a)の前記空調空気の流れ方向での沿面長さ(S1)の比(S1/S2)が、1.1〜2.0であることを特徴とする請求項3から5のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項7】
前記通路分割壁部(2)は、前記第1、第2通路の並列方向での幅が、空気流れ方向での上流端(2c)から空気流れ方向での中間部(2d)に向かうにつれて徐々に広がり、前記中間部(2d)から空気流れ方向での下流端(2e)に向かうにつれて幅が徐々に狭くなっており、前記中間部(2d)を通る仮想線(2f)を軸とした線対称の実質的に三日月形状となっていることを特徴とする請求項3から6のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項8】
送風機(111)によって空調ケース(121)内に空気が送風され、前記空調ケース内の熱交換器(122、123)と熱交換した後の空調空気を車室内吹出口(141、142、143、144)に導く車両空調用吹出ダクトにおいて、
前記空調ケース内から前記空調空気が流入する上流側ダクト部(4)と、
前記車室内吹出口に前記空調空気を流入させる下流側ダクト部(5)と、
前記上流側ダクト部と前記下流側ダクト部との間に形成され、前記上流側ダクト部を通過した前記空調空気の流れ方向を曲げて、前記上流側ダクト部から前記下流側ダクト部に前記空調空気を導くための曲がり部(3)とを有し、
前記曲がり部(3)は、前記上流側ダクト部(4)から流入した前記空調空気を曲げの外周側と内周側に分岐させて流す第1通路(6)および第2通路(7)を有しており、
前記上流側ダクト部(4)、前記下流側ダクト部(5)および前記曲がり部(3)の空調空気の流れ方向に平行な断面において、
前記曲がり部(3)の外周側内壁(3a)に連なる前記上流側ダクト部(4)の下流端(10a1)を起点として、前記上流側ダクト部(4)から前記曲がり部(3)に流入する空調空気の流れ方向と平行に延びる仮想直線(31)と、前記曲がり部(3)の外周側内壁(3a)に連なる前記下流側ダクト部(5)の上流端(10b1)を起点として、前記曲がり部(3)から前記下流側ダクト部(5)に流入する空調空気の流れ方向と平行に延びる仮想直線(32)とを接線とする円弧によって、前記上流側ダクト部(4)の外周側内壁(4a)と前記下流側ダクト部(5)の外周側内壁(5a)とを結んだ仮想曲線を外側基準線(23a)としたとき、
前記曲がり部(3)は、前記外周側内壁(3a)が前記外側基準線(23a)よりも曲がりの外周側に膨出した形状となっていることを特徴とする車両空調用吹出ダクト。
【請求項9】
前記曲がり部(3)および前記上流側ダクト部(4)は、前記曲がり部(3)の外周側壁面(3a)のうち、前記上流側ダクト部(4)と連なる部位(10a)がダクト内部に向けて凸の形状であることによって、前記第1通路(6)に流入する前記空調空気の流れ方向が、前記上流側ダクト部(4)から前記曲がり部(3)に向かう前記空調空気の流れ方向に対して、鋭角をなす構成となっていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項10】
前記曲がり部(3)および前記下流側ダクト部(5)は、前記曲がり部(3)の外周側壁面(3a)のうち、前記下流側ダクト部(5)と連なる部位(10b)がダクト内部に向けて凸の形状であることによって、前記第1通路(6)を流れる前記空調空気と、前記第2通路を流れる前記空調空気とが、互いに交差する方向を向いて合流する構成となっていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項11】
送風機(111)によって空調ケース(121)内に空気が送風され、前記空調ケース内の熱交換器(122、123)と熱交換した後の空調空気を車室内吹出口(141、142、143、144)に導く車両空調用吹出ダクトにおいて、
前記空調ケース内から前記空調空気が流入する上流側ダクト部(4)と、
前記車室内吹出口に前記空調空気を流入させる下流側ダクト部(5)と、
前記上流側ダクト部と前記下流側ダクト部との間に形成され、前記上流側ダクト部を通過した前記空調空気の流れ方向を曲げて、前記上流側ダクト部から前記下流側ダクト部に前記空調空気を導くための曲がり部(3)とを有し、
前記曲がり部(3)は、前記上流側ダクト部(4)から流入した前記空調空気を曲げの外周側と内周側に分岐させて流す第1通路(6)および第2通路(7)を有しており、
前記上流側ダクト部(4)、前記下流側ダクト部(5)および前記曲がり部(3)の空調空気の流れ方向に平行な断面において、
前記曲がり部(3)の内周側内壁(3b)に連なる前記上流側ダクト部(4)の下流端(10a2)を起点として、前記上流側ダクト部(4)から前記曲がり部(3)に流入する空調空気の流れ方向と平行に延びる仮想直線(33)と、前記曲がり部(3)の内周側内壁(3b)に連なる前記下流側ダクト部(5)の上流端(10b2)を起点として、前記曲がり部(3)から前記下流側ダクト部(5)に流入する空調空気の流れ方向と平行に延びる仮想直線(34)とを接線とする円弧によって、前記上流側ダクト部(4)の内周側内壁(4b)と前記下流側ダクト部(5)の内周側内壁(5b)とを結んだ仮想曲線を内側基準線(23b)としたとき、
前記曲がり部(3)は、前記内周側内壁(3b)が前記内側基準線(23b)よりも曲がりの内周側に膨出した形状であることを特徴とする車両空調用吹出ダクト。
【請求項12】
前記曲がり部(3)の内周側壁面(3b)の全域もしくは一部は、平面形状であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項13】
前記曲がり部(3)の内周側壁面(3b)の全域もしくは一部は、前記曲がり部(3)の外周側内壁(3a)よりも緩やかな湾曲形状であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項14】
送風機(111)によって空調ケース(121)内に空気が送風され、前記空調ケース内の熱交換器(122、123)と熱交換した後の空調空気を車室内吹出口(141、142、143、144)に導く車両空調用吹出ダクトにおいて、
前記空調ケース内から前記空調空気が流入する上流側ダクト部(4)と、
前記車室内吹出口に前記空調空気を流入させる下流側ダクト部(5)と、
前記上流側ダクト部と前記下流側ダクト部との間に形成され、前記上流側ダクト部を通過した空調空気の流れ方向を曲げて、前記上流側ダクト部から前記下流側ダクト部に空調空気を導くための曲がり部(3)とを有し、
前記曲がり部(3)には、曲げ外周側に位置する第1通路(6)と曲げ内周側に位置する第2通路(7)とに、前記空調空気の通路を分割する通路分割壁部(2)が設けられており、
前記通路分割壁部(2)は、前記第2通路に面する第2通路側壁面(2b)の前記空調空気の流れ方向での沿面長さ(S2)に対する前記第1通路に面する第1通路側壁面(2a)の前記空調空気の流れ方向での沿面長さ(S1)の比(S1/S2)が、1.1〜2.0であることを特徴とする車両空調用吹出ダクト。
【請求項15】
前記上流側ダクト部の一部もしくは全域が、前記空調空気の流れ方向を実質的に一定とする実質的に直線形状であることを特徴とする請求項1から14のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項16】
前記下流側ダクト部の一部もしくは全域が、前記空調空気の流れ方向を実質的に一定とする実質的に直線形状であることを特徴とする請求項1から15のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項17】
送風機(111)によって空調ケース(121)内に空気が送風され、前記空調ケース内の熱交換器(122、123)と熱交換した後の空調空気を車室内吹出口(141、142、143、144)に導く車両空調用吹出ダクトにおいて、
実質的に直線状に延びて、前記空調ケース内から前記空調空気が流入する上流側ダクト部(4)と、
実質的に直線状に延びて、前記上流側ダクト部(4)内を通過する前記空調空気の流れ方向と異なる方向に、前記空調空気を流出させる下流側ダクト部(5)と、
前記上流側ダクト部(4)と前記下流側ダクト部(5)とを接続する曲がり部(3)と、
前記曲がり部(3)内に配置されて、前記曲がり部(3)内を曲げの外周側の第1通路(6)と曲げの内周側の第1通路(7)とに仕切る仕切部材(2)とを備え、
前記空調空気が前記上流側ダクト部(4)内を流れる上流側空気流れ方向と、前記空調空気が前記下流側ダクト部(5)内を流れる下流側空気流れ方向とを含む基準断面において、
前記上流側空気流れ方向と前記下流側空気流れ方向とを接線(31、32、33、34)とする円弧によって、前記上流側ダクト部の外周側内壁(4a)と前記下流側ダクト部の外周側内壁(5a)とを結んだ線を外側基準線(23a)とし、前記円弧によって、前記上流側ダクト部の内周側内壁(4b)と前記下流側ダクト部の内周側内壁(5b)とを結んだ線を内側基準線(23b)とし、
さらに、前記基準断面と前記曲がり部の外側内周壁面との交線を外側交線(3a)とし、前記基準断面と前記曲がり部の内側内周壁面との交線を内側交線(3b)としたときに、
前記曲がり部は、前記外側交線(3a)が前記外側基準線(23a)よりも外側を通過する形状、あるいは、前記内側交線(3b)が前記内側基準線(23b)よりも内側を通過する形状のうち少なくとも一方の形状に形成されており、
前記仕切部材(2)の前記第1通路側の面(2a)は、前記曲がり部の外周側内壁面に沿うように形成され、前記仕切部材(2)の前記第2通路側の面(2b)は、前記曲がり部の内周側内壁面に沿うように形成されていることを特徴とする車両空調用吹出ダクト。
【請求項18】
前記上流側ダクト部は、前記空調空気の流れ方向に沿った長さが、85mm以上であって車両に搭載可能な長さであることを特徴とする請求項1から17のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項19】
前記上流側ダクト部は、前記空調空気の流れ方向に沿った長さが、121mm以上であって車両に搭載可能な長さであることを特徴とする請求項1から17のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項20】
前記上流側ダクト部は、前記空調空気の流れ方向に沿った長さが、212mm以上であって車両に搭載可能な長さであることを特徴とする請求項1から17のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項21】
前記下流側ダクト部は、前記空調空気の流れ方向に沿った長さが、42mm以上500mm以下であることを特徴とする請求項1から20のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項22】
前記下流側ダクト部は、前記空調空気の流れ方向に沿った長さが、60mm以上500mm以下であることを特徴とする請求項1から20のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項23】
前記下流側ダクト部は、前記空調空気の流れ方向に沿った長さが、106mm以上500mm以下であることを特徴とする請求項1から20のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項24】
前記曲がり部は、前記空調空気の流れ方向で前記車室内吹出口の直前に位置するとともに、曲がり角度が45°以上180°以下であることを特徴とする請求項1から23のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項25】
前記曲がり部は、流路断面の重心を通る前記第1、第2通路の通路長さの差(L1−L2)が、0.085〜0.215mとなっていることを特徴とする請求項1から24のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項26】
前記第1通路と前記第2通路は、前記曲がり部の横断面を見たときの両者の通路断面積比が、一方を1としたとき、他方が0.7以上1.3以内となっていることを特徴とする請求項1から25のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項27】
前記車室内吹出口(141、142、143、144)には、風向きを調整するグリル(52)が設けられていることを特徴とする請求項1から26のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクト。
【請求項28】
空調空気と熱交換する熱交換器を収納する空調ケース(121)と、
請求項1ないし27のいずれか1つに記載の車両空調用吹出ダクトと、
前記車両空調用吹出ダクトから流入する空調空気を車室内へ吹き出す車室内吹出口(141、142、143、144)と、
前記空調ケースから前記車両空調用吹出ダクトを通過して前記車室内吹出口へ向かって空調空気を送風する送風機(111)とを備える車両用空調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【図29】
【図30】
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【図34】
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【図36】
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【図41】
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【図48】
【図49】
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【図56】
【公開番号】特開2008−64446(P2008−64446A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163783(P2007−163783)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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