説明

車両管理運用システム

【課題】 複数の車両の運用管理を行う場合に、各車両の燃費等に関する属性情報を把握すると共に、使用目的に応じて要求される総積載物重量及び走行距離等に関する使用条件に基づいて、所有する複数の車両の中から最適な車両を特定する。
【解決手段】 管理運用する複数の車両について、少なくとも、車両重量に基づく燃費換算データ(重量燃費)を含む属性情報と各車両の識別情報とを紐付けして構成した車両データベース24と、車両の使用予約を行う際に、少なくとも、予約車両に要求される総積載物重量及び走行距離に関する使用条件を取得する使用条件取得手段21と、車両データベース24を参照し、取得した使用条件に基づいて算出される燃費が最もよい車両を、予約車両として特定する予約車両特定手段22と、を備えることにより、管理運用する複数の車両について、各車両の属性に応じて適切な運行管理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の車両を管理運用するための車両管理運用システムに係り、特に各車両の燃費等に関する属性に応じて適切な運行管理を行うことが可能な車両管理運用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の車両を保有している企業等では、効率的な車両運用を行うために、保有する各車両の燃費や運行状況等を管理している。従来の車両管理では、保有する車両毎に、車種、乗車定員、最大積載量、燃費等の属性情報を記載した管理台帳を作成すると共に、コンピュータシステムを用いて各車両の予約状況、運行状況、燃費等を管理していた。このような車両管理は管理担当者により行われるのが一般的であり、管理担当者の経験に基づき、車両の使用目的等に応じて配車を行っているのが現状であり、効率的な車両運用管理を行うことが可能なシステムの構築が望まれていた。
【0003】
従来、運送業者が運送車両の燃費を把握することができ、運送車両の燃料費を減少させるための車両配送システム(例えば、特許文献1)が開示されている。特許文献1(特開2008−174344号公報)に記載された「車両配送システム」は、運送会社に設置された運送管理サーバと、位置検出機能を有して運送車両の位置情報を取得可能な携帯電話と、運送管理サーバ及び携帯電話と相互に通信可能なシステム管理サーバとから形成されている。この車両配送システムでは、携帯電話により、運送行程における運送車両の位置情報と運送車両に燃料を補給したときの給油量とをシステム管理サーバに送信する。
【0004】
そして、システム管理サーバは、運送行程における運送車両の運送ルートと運送行程における運送車両の走行距離とを求め、走行距離を給油量で除して運送車両の燃費を算出すると共に、算出した運送車両の燃費を運送管理サーバに送信する。これにより、運送車両の燃費を運送行程毎に把握することができ、各運送車両の燃費を考慮しつつ、荷物配送のための最適な運送コースや最適な運送速度、最適な積載量を決定して、各運送車両の燃料費を減少させることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−174344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両の燃費は、積載重量や搭乗人員数に応じて変化するものであり、一般的に使用されている10モード燃費や15モード燃費では、標準的な車両運用状況にしか対応することができない。また、特許文献1に記載された技術で管理されている車両の燃費は、実際の運用に基づいて算出されたものであるが、燃費を算出する際の積載重量や搭乗人員数等を考慮したものではなく、このような燃費に基づいて車両運用管理を行ったのでは、適切な車両運用管理を行うことができるとは言い難い。また、車両を適切に運用管理する場合には、燃費以外にも、最大積載量、乗車定員、装備品、駆動方式(FF、FR、四輪駆動等)等のように、車両毎の属性を考慮する必要があるが、従来の技術では、これらの車両属性については何ら考慮されていなかった。
【0007】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、複数の車両の運用管理を行う場合に、各車両の燃費等に関する属性情報を把握す
ると共に、使用目的に応じて要求される総積載物重量及び走行距離等に関する使用条件に基づいて、所有する複数の車両の中から最適な車両を特定することが可能な車両管理運用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両管理運用システムは、管理運用する複数の車両について、各車両の属性に応じて適切な運行管理を行うための車両管理運用システムであって、管理運用する複数の車両について、少なくとも、車両重量に基づく燃費換算データを含む属性情報と各車両の識別情報とを紐付けして構成した車両データベース(24)と、車両の使用予約を行う際に、少なくとも、予約車両に要求される総積載物重量及び走行距離に関する使用条件を取得する使用条件取得手段(21)と、車両データベース(24)を参照し、取得した使用条件に基づいて算出される燃費が最もよい車両を、予約車両として特定する予約車両特定手段(22)と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の車両管理運用システムは、上述した構成に加えて、車両データベース(24)を構成する車両の属性情報には、各車両の最大積載量、乗車定員、装備品、及び駆動方式に関する情報を含み、使用条件取得手段(21)で取得する使用条件には、予約車両に要求される最大積載量、乗車定員、装備品、及び駆動方式の内の少なくとも1つを含み、予約車両特定手段(22)は、車両データベース(24)を参照し、予約車両に要求される最大積載量、乗車定員、装備品、及び駆動方式に基づいて、予約車両として選択可能な車両群を特定し、特定された車両群の中から、予約車両に要求される総積載物重量及び走行距離に基づいて算出される燃費が最もよい車両を、予約車両として特定する構成とすることが可能である。
【0010】
また、本発明の車両管理運用システムは、上述した構成に加えて、車両重量に基づく燃費換算データを演算する車両重量燃費演算手段(23)を備え、車両データベース(24)は、車両重量燃費演算手段(23)における演算結果に基づき更新される構成とすることが可能である。
【0011】
また、本発明の車両管理運用システムの車両重量に基づく燃費換算データ(kg・km/リットル)は、車両重量(kg)×走行距離(km)/燃料補給量(リットル)という式により算出することが可能である。
【発明の効果】
【0012】
上記構成の発明では、燃費を算出する際に、その積載重量や搭乗人員数等を考慮して求めた燃費換算データを車両データベースにて管理すると共に、この車両データベースを参照し、予約車両に要求される総積載物重量及び走行距離に関する使用条件に基づいて算出される燃費が最もよい車両を、予約車両として特定することができる。したがって、車両の使用条件に応じて最もふさわしい車両を配車することができ、燃料費の低減等、車両運用管理の効率化を図ることが可能となる。
【0013】
また、予約車両に要求される最大積載量、乗車定員、装備品、及び駆動方式に基づいて、予約車両として選択可能な車両群を特定し、特定された車両群の中から、予約車両に要求される総積載物重量及び走行距離に基づいて算出される燃費が最もよい車両を、予約車両として特定する構成とした場合には、予約対象車両の選択を、さらに一層適切なものとすることができる。
【0014】
また、適宜、車両重量に基づく燃費換算データを演算することにより車両データベースを更新する構成とした場合には、車両の運行状況や経年劣化等により変化する属性情報を適格に把握することができるので、さらに一層、車両運用管理の効率化を図ることが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の車両管理運用システムの基本構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の車両管理運用システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図3】車両データベースの構成を示す説明図である。
【図4】使用条件入力画面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の車両管理運用システムは、企業のように複数の車両を所有しており、各車両の管理運用が必要な場合に、各車両の属性に応じて適切な運行管理を行うことが可能なシステムである。車両の属性とは、車両重量に基づく燃費換算データ等のことであり、最大積載量、乗車定員、装備品、駆動方式等を含ませることができる。装備品とは、例えば、ETC機器、カーナビゲーション機器、拡声器等の車両付帯設備のことであり、駆動方式とは、四輪駆動、後輪駆動等のことである。以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
【0017】
<車両管理運用システムの概要>
まず初めに、本発明の車両管理運用システムの概要について説明する。図1は本発明の実施形態に係る車両管理運用システムの基本構成を示すブロック図である。
本発明の実施形態に係る車両管理運用システムは、図1及び図2に示すように、管理コンピュータ100及びその附属機器により構成されるものであり、管理コンピュータ100を構成するCPU11等が、HDD14等の記憶装置に記憶されたプログラムに基づいて動作することにより構成されるシステムである。この車両管理運用システムでは、予め、各車両の属性を把握して車両データベースを構築しておく。この車両データベースは、例えば、車両識別番号、重量燃費、最大積載量、乗車定員、ETC機器等の装備品、駆動方式に関するデータからなり、管理コンピュータ100を構成するHDD14等に記憶される。なお、車両データベースを構築するデータの入力は、車両運転者により行われる。
【0018】
図1に示すように、管理コンピュータ100は、基本的な構成要素として、CPU11、ROM12、RAM13、HDD14、キーボードやマウス等の入力装置15、表示装置やプリンタ装置等の出力装置16等を備えている。なお、管理コンピュータ100を構成する機器は上述したものに限られず、他の附属機器を備えていてもよい。
【0019】
<具体的な構成>
次に、本発明の車両管理運用システムの具体的な構成について説明する。
図2は本発明の車両管理運用システムの構成を示す機能ブロック図である。図3は車両データベースの構成を示す説明図ある。図4は使用条件入力画面を示す模式図である。
本発明の実施形態に係る車両管理運用システムは、基本構成要素として、図2に示すように、車両データベース24と、使用条件取得手段21と、予約車両特定手段22を備えている。また、他の構成要件として、車両重量燃費演算手段23を付加することが可能である。各手段は、上述した管理コンピュータ100及びその附属機器により構成されるもので、各手段がプログラムにより構成される場合には、管理コンピュータ100を構成するCPU11、ROM12、RAM13等のハードウェアが当該プログラムに従って動作することにより、各手段の機能を発揮するようになっている。
【0020】
<車両データベース>
車両データベース24は、必須のデータとして、管理運用する複数の車両に関して、車両重量に基づく燃費換算データを含む属性情報と各車両の識別情報とを紐付けして構成されており、他の付加データとして、各車両の最大積載量、乗車定員、装備品、及び駆動方
式に関するデータを含んでいる。この車両データベース24は、後に詳述するように、適宜更新される。
【0021】
具体的には、図3に示すように、車両ナンバー、各車両の燃費換算データ(重量燃費)、積載量、ETC機器の有無、カーナビゲーション機器の有無、4輪駆動であるか否か、拡声器の有無、有効乗員数を紐付けして、車両データベース24が構築される。なお、車両データベース24を構築するデータは、図3に示すものに限られず、車両の使用条件等に応じて、他のデータを付加してもよいし、必要なデータのみを用いてもよい。
【0022】
<車両重量に基づく燃費換算データ>
車両重量に基づく燃費換算データ(以下、重量燃費という)の計算の元となる車両重量とは、車両本体の重量と、乗員の重量と、積載物の重量とを加算したものである。ここで、演算を容易なものとするため、乗員の重量は、大人の平均的体重である50kg×乗車人数で算出し、積載物の重量は、大(50kg)、中(25kg)、小(10kg)の3段階で設定する。また、燃料補給量は、帰庫直前に車庫近傍のガソリンスタンドで補給した燃料の容量とする。
【0023】
本発明では、基本的な重量燃費として、ガソリンエンジン又はディーゼルエンジンを搭載した自動車の燃費を想定している。以下、重量燃費の計算例を説明する。
車両重量に基づく燃費換算データは、下記式1により算出することができる。
重量燃費(kg・km/リットル)=車両重量(kg)×走行距離(km)÷燃料補給量(リットル) ・・・ 式1
【0024】
<計算例/ガソリンエンジン車等>
まず初めに、ガソリンエンジン又はディーゼルエンジンを搭載した自動車について、重量燃費及び燃費の計算例を説明する。
車両本体重量:500kgの車両を用いて、1日目の実績を、乗車人員:4人、積載荷物:大、走行距離:20kmとし、2日目の実績を、乗車人員:2人、積載荷物:大、走行距離:40kmとし、2日間の燃料消費量を5リットルとした場合、重量燃費は以下のようになる。
1日目の総重量={500+(4×50)+50}=750(kg)
2日目の総重量={500+(2×50)+50}=650(kg)
重量燃費={(750×20)+(650×40)}÷5=8200(kg・km/リットル)
【0025】
このような重量燃費を有する車両の場合の燃費は、以下のようになる。
1人乗車で荷物なし(車両重量:550kg)の場合の燃費は、8200÷550≒14.9(km/リットル)であると換算することができる。また、4人乗車で荷物大(車両重量:750kg)の場合の燃費は、8200÷750≒10.9(km/リットル)であると換算することができる。
【0026】
<計算例/電気自動車>
次に、電気自動車について、重量燃費及び燃費の計算例を説明する。
車両本体重量:1100kgの車両を用いて、1日目の実績を、乗車人員:2人、積載荷物:小、走行距離:20kmとし、2日目の実績を、乗車人員:2人、積載荷物:小、走行:20kmとし、2日間の電気消費量を5kWhとした場合、重量燃費は以下のようになる。
1日目の総重量={1100+(2×50)+10}=1210(kg)
2日目の総重量={1100+(2×50)+10}=1210(kg)
重量燃費={(1210×20)+(1210×20)}÷5=9680(kg・km
/kWh)
【0027】
電気自動車の場合には、算出する重量燃費の単位が相違する。そこで、電気自動車とガソリンエンジンを搭載した自動車等の重量燃費を比較するときには、換算する必要がある。
例えば、以下の車両を保有していると仮定して、燃費の換算について説明する。
車両X:8000kg・km/リットル (車両の本体重量:500kg)
車両Y:7000kg・km/リットル (車両の本体重量:500kg)
車両Z:9000kg・km/kWh (車両の本体重量:1100kg)
【0028】
ここで、Aさんが、4人乗車で荷物大(積載総重量250kg)を積載して、20km走行し、Bさんが、2人乗車で荷物大(積載総重量150kg)を積載して、40km走行し、Cさんが、2人乗車で荷物小(積載総重量150kg)を積載して、40km走行したとする。
この場合、各車両の場合の燃費は、以下のようになる。
【0029】
Aさんが車両X(本体重量:500kg)を利用すると、750(kg)×20(km)÷8000(kg・km/リットル)=1.875(リットル)の燃料を使用することになり、これを原燃料(kWh)に換算すると、
1.875(リットル)×0.75(ガソリン比重)×44000(kj/kg:ガソリン発熱量)÷3600÷82(%:精製輸送率)≒20.960(kWh)
となる。
【0030】
Bさんが車両Y(本体重量:500kg)を利用すると、650(kg)×40(km)÷7000(kg・km/リットル)≒3.714(リットル)の燃料を使用することになり、これを原燃料(kWh)に換算すると、
3.714(リットル)×0.75(ガソリン比重)×44000(kj/kg:ガソリン発熱量)÷3600÷82(%:精製輸送率)≒41.518(kWh)
となる。
【0031】
Cさんが車両Z(本体重量:1100kg)を利用すると、1210(kg)×40(km)÷9000(kg・km/kWh)≒5.377(kWh)の燃料を使用することになり、これを原燃料(kWh)に換算すると、
5.377(kWh)÷83(%:充電効率)÷43(%:精製・発電・送電率)≒15.066(kWh)
となる。
【0032】
<使用条件取得手段>
使用条件取得手段21は、車両の使用予約を行う際に、必須のデータとして予約車両に要求される総積載物重量及び走行距離に関する使用条件を取得するための手段であり、本実施形態では、管理コンピュータ100の機能として実現される。また、他の付加データとして、予約車両に要求される最大積載量、乗車定員、装備品、及び駆動方式に関するデータを取得するような構成としてもよい。
【0033】
使用条件データの入力は、車両運転者により行われる。すなわち、出力装置16であるディスプレイ装置に表示される使用条件入力画面の各項目について、キーボードやマウス等の入力装置15を用いてデータを入力すればよい。使用条件入力画面は、例えば、図4に示すように、利用日時、利用者名、乗車人員、積載物の大きさ、必要な機器等からなる。この使用条件入力画面でデータが入力され、送信ボタンがクリックされると、管理コンピュータ100において、使用条件取得手段21の機能により使用条件が取得される。
【0034】
<予約車両特定手段>
予約車両特定手段22は、車両データベース24を参照し、取得した使用条件に基づいて算出される燃費が最もよい車両を、予約車両として特定するための手段である。また、燃費以外の属性情報を付加して予約車両の特定を行う場合には、車両データベース24を参照し、予約車両に要求される最大積載量、乗車定員、装備品、及び駆動方式に基づいて、予約車両として選択可能な車両群を特定し、特定された車両群の中から、予約車両に要求される総積載物重量及び走行距離に基づいて算出される燃費が最もよい車両を、予約車両として特定する。
【0035】
<燃費に基づく予約車両の特定>
まず初めに、予約車両特定手段22により、燃費のみに基づいて予約車両の特定を行う場合について説明する。
例えば、以下の車両を保有していると仮定する。
車両X:8000kg・km/リットル (車両の本体重量:500kg)
車両Y:7000kg・km/リットル (車両の本体重量:500kg)
【0036】
ここで、Aさんが、4人乗車で荷物大(車両総重量750kg)を積載して、20km走行し、Bさんが、2人乗車で荷物大(車両総重量650kg)を積載して、40km走行する場合を想定する。
【0037】
Aさんが車両Xを利用すると、750(kg)×20(km)÷8000(kg・km/リットル)=1.875(リットル)の燃料を使用することになる。一方、Bさんが車両Yを利用すると、650(kg)×40(km)÷7000(kg・km/リットル)≒=3.714(リットル)の燃料を使用することになる。したがって、車両X及び車両Yで使用する総燃料は、5.589(リットル)となる(ケース1)。
【0038】
また、Aさんが車両Yを利用すると、750(kg)×20(km)÷7000(kg・km/リットル)≒=2.143(リットル)の燃料を使用することになる。一方、Bさんが車両Xを利用すると、650(kg)×40(km)÷8000(kg・km/リットル)=3.250(リットル)の燃料を使用することになる。したがって、車両X及び車両Yで使用する総燃料は、5.393(リットル)となる(ケース2)。
【0039】
ここで、Aさんのみが使用申込をした場合に、ケース1とケース2とを比較すると、ケース1の燃費が有利であるため、ケース1が選択される。すなわち、Aさんの使用車両として車両Xが特定される。
【0040】
また、Aさん及びBさんが同日に使用申込をした場合には、総使用燃料が少ないケース2が選択される。すなわち、Aさんの使用車両として車両Yが特定され、Bさんの使用車両として車両Xが特定される。
【0041】
<他の要因を含めた予約車両の特定>
次に、予約車両特定手段22により、燃費に加えて他の条件に基づいて予約車両の特定を行う場合について説明する。
上述した予約車両の特定例では、燃料消費量のみを比較して予約車両の特定を行ったが、他の使用条件が指定されている場合には、その使用条件に合致した車両が特定される。例えば、図3に示す車両データベース24が構築されているとして、ETC機器が必須であるという使用条件の場合には、ETC機器を搭載した車両Wが使用車両として特定されることになる。また、4輪駆動車が必須であるという使用条件の場合には、4輪駆動車である車両Xが使用車両として特定されることになる。
【0042】
図3に示す車両データベース24が構築されている場合には、予約車両を特定するための使用条件としては、積載量、ETC機器の有無、カーナビゲーション機器の有無、駆動方式、拡声器の有無、有効乗員数を用いることができる。なお、予約車両を特定するための使用条件は、これらに限定されるものではなく、車両の使用条件等に応じて、他の使用条件を付加してもよいし、必要な使用条件のみを用いてもよい。
【0043】
<車両重量燃費演算手段>
車両重量燃費演算手段23は、車両重量に基づく燃費換算データを演算するための手段であり、適宜なタイミングで、車両重量、走行距離、燃料補給量に関するデータを取得し、車両重量燃費を算出し、車両データベース24を更新する。車両重量燃費演算手段23における演算は、車両を使用する毎、1週間毎、1ヶ月毎等のように、適宜なタイミングで行われる。
【0044】
<予約車両特定後のデータ処理>
予約車両が特定されると、取得した使用条件に基づき、使用を特定した車両について運行日誌を作成する。運行日誌の作成では、予約受付時に取得したデータに基づいて、出発時刻、予定訪問先、出発時の距離計指示数、利用者名が自動入力され、車両運行日誌について上長の承認を得て、当該車両が使用される。
【0045】
車両の使用が行われた場合には、帰庫時に、使用した車両について運行日誌を作成する。運行日誌の作成において、燃料が補給された場合には、帰庫時刻、帰庫時の距離計指示数、燃料補充量を利用者が手入力すると共に、管理されている運行記録データに基づいて、前燃料補給時の距離計指示数、現燃料補給時の距離計指示数、積載物量が自動入力される。続いて、日時、走行距離、差し引き距離、燃費の自動入力及び自動計算が行われ、燃費等の順位が整理される。一方、運行日誌の作成において、燃料が補給されなかった場合には、帰庫時刻、帰庫時の距離計指示数を利用者が手入力する。そして、作成された運行日誌に関するデータを、運行記録データベース(図示せず)としてHDD14に格納する。なお、このようなデータ処理は、管理コンピュータ100により構成される運行日誌管理手段(図示せず)の機能として実現される。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の車両管理運用システムは、複数の車両を管理運用する企業等において、各車両の燃費等に関する属性に応じて適切な運行管理を行う際に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
100 管理コンピュータ
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 HDD
15 入力装置
16 出力装置
21 使用条件取得手段
22 予約車両特定手段
23 車両重量燃費演算手段
24 車両データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理運用する複数の車両について、各車両の属性に応じて適切な運行管理を行うための車両管理運用システムであって、
管理運用する複数の車両について、少なくとも、車両重量に基づく燃費換算データを含む属性情報と各車両の識別情報とを紐付けして構成した車両データベース(24)と、
車両の使用予約を行う際に、少なくとも、予約車両に要求される総積載物重量及び走行距離に関する使用条件を取得する使用条件取得手段(21)と、
前記車両データベース(24)を参照し、取得した使用条件に基づいて算出される燃費が最もよい車両を、予約車両として特定する予約車両特定手段(22)と、を備えた、ことを特徴とする車両管理運用システム。
【請求項2】
前記車両データベース(24)を構成する車両の属性情報には、各車両の最大積載量、乗車定員、装備品、及び駆動方式に関する情報を含み、
前記使用条件取得手段(21)で取得する使用条件には、予約車両に要求される最大積載量、乗車定員、装備品、及び駆動方式の内の少なくとも1つを含み、
前記予約車両特定手段(22)は、前記車両データベース(24)を参照し、予約車両に要求される最大積載量、乗車定員、装備品、及び駆動方式に基づいて、予約車両として選択可能な車両群を特定し、特定された車両群の中から、予約車両に要求される総積載物重量及び走行距離に基づいて算出される燃費が最もよい車両を、予約車両として特定する、ことを特徴とする請求項1に記載の車両管理運用システム。
【請求項3】
前記車両重量に基づく燃費換算データを演算する車両重量燃費演算手段(23)を備え、
前記車両データベース(24)は、車両重量燃費演算手段(23)における演算結果に基づき更新される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両管理運用システム。
【請求項4】
前記車両重量に基づく燃費換算データは、下記式1により算出する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両管理運用システム。
燃費(kg・km/リットル)=車両重量(kg)×走行距離(km)/燃料補給量(リットル) ・・・ 式1

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−148561(P2011−148561A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9361(P2010−9361)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】