車両給電装置及び車両給電方法
【課題】車両に対して、駐車、走行時に、構造簡単にして、安定して高効率で給電すること。
【解決手段】車両の有する第1タイヤ11の下方に設置された第1導体21と、車両の有する第2タイヤ12の下方に設置された第2導体22とから、第1タイヤ11及び第2タイヤ12を介して、車両に給電する車両給電装置である。第1タイヤ11に近接し、第1タイヤ11と容量結合して、車両に配設された第1電極41を有する。第2タイヤ12に近接し、第2タイヤ12と容量結合して、車両に配設された第2電極42を有する。第1導体21と第2導体22の間に給電される交流電力を、第1電極41と第2電極42により受電する受電装置40を有する。また、第1導体21と第2導体22の間に交流電力を給電する電源装置30を有する。
【解決手段】車両の有する第1タイヤ11の下方に設置された第1導体21と、車両の有する第2タイヤ12の下方に設置された第2導体22とから、第1タイヤ11及び第2タイヤ12を介して、車両に給電する車両給電装置である。第1タイヤ11に近接し、第1タイヤ11と容量結合して、車両に配設された第1電極41を有する。第2タイヤ12に近接し、第2タイヤ12と容量結合して、車両に配設された第2電極42を有する。第1導体21と第2導体22の間に給電される交流電力を、第1電極41と第2電極42により受電する受電装置40を有する。また、第1導体21と第2導体22の間に交流電力を給電する電源装置30を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーを動力に用いる車両に対する路面からの給電装置及び給電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触による電力伝送方式は、大きくは、次の2つの方式に分類される。第1は、非放射による電力伝送であり、第2は、放射による電力伝送である。第1の方式には、主として、トランスの原理を用いた数kHz以下の周波数で用いる電磁誘導方式と、数十MHz程度の周波数を用いた近接場(近接場に蓄積される静的エネルギー)の電磁共鳴による電磁結合方式とがある。また、第2の方式には、マイクロ波送電による方式と、レーザ送電による方式とがある。
【0003】
電磁誘導方式を用いた電力伝送として、下記特許文献1、2の技術が知られている。特許文献1の技術は、固定部から回転部への電力伝送に、5〜10mmだけ離間した送電コイルと受電コイルとの一対の電力コイルを用いて非接触で電力を伝送する装置が開示されている。同文献によると、数百kHzの周波数電力を固定部から回転部へ伝送し、回転部に設置された各種のセンサの検出信号を、電力コイルの外に設けた一対のデータコイルで、回転部から固定部へ、数MHzの信号で伝送するようにしている。また、固定部の送電コイルの入力インピーダンスが、送電コイルと受電コイルとの間隔により変化するので、送電コイルへの給電効率を向上させるために、送電コイルへ供給する電力の周波数を変化させることが行われている。
【0004】
電磁共鳴による電磁結合方式として、最近、注目されている下記非特許文献1に開示の技術が知られている。同非特許文献1の技術は、2m程度離間された、半径25cmのループ状の強く電磁結合した一対の電磁共鳴コイルを用いて、9.9MHzの正弦波電力を伝送できる技術が開示されている。
【0005】
これらの給電方法は、車両が停車している時に給電するものである。車両が走行している時の給電方法として、下記特許文献2に開示の技術が知られている。この技術では、路面に一次コイルを埋設して、この一次コイルに対向して車体の底部に二次コイルを設けて、電磁誘導により一次コイルから二次コイルへの給電する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−340285
【特許文献2】特開平7−39007
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Wireless Power Transfer via Strongly Coupled Magnetic Resonances, Andre Kurs, et.al, Science Vol.317, 6 July 2007
【非特許文献2】大平孝, " 行列ができる回路演習:アナログ回路を紙と鉛筆で考えよう[I] アナログ回路のポートパラメータ",電子情報通信学会誌, 第93巻, 第1 号, pp. 67-72, 2010 年1 月.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1の方法は、コイルの外部に共振回路を設ける方式であり、Q値が小さく、効率の良い電力伝送はできない。この方式は、本質的には、電磁誘導方式であるため、原理的には、結合係数を大きくする方向の技術であり、両コイル間の距離は、5〜10mm程度と狭くせざるを得ず、且つ、伝送効率が低くならざるを得ないという問題がある。また、10mm以上、距離が離れると、効率の良い伝送ができないばかりか、送電コイルの入力インピーダンスが変化するために、送電周波数の調整が必要である。また、これらの電力伝送方式においては、外部共振回路を用いるため、共振特性は単峰性の特性である。
【0009】
一方、電磁共鳴方式の上記の非特許文献1に開示の技術は、原理的には、共鳴型のコイルを用いて、送電コイルと受電コイルを全体としての近接場エネルギーによる電磁共鳴を用いた方式であり、原理上、Q値が高く、比較的長距離の伝送が可能であり、放射損失がないため、伝送効率が高い無線電力伝送方式である。また、電磁共鳴を用いている関係上、周波数と送電コイルと受電コイルのQ値が大きければ、結合係数は小さくとも(原理的には、0に近い状態でも)、高い伝送効率を実現することができる。この結果、非特許文献1によれば、1m程度、両電力コイルを離間させても、90%以上の伝送効率が実現できている。この共鳴の周波数特性は、双峰性の特性を示す。
【0010】
しかしながら、非特許文献1の技術を用いて、大電力を送電する場合に、送電コイルと受電コイル間の距離が変化すると、伝送効率が高くなる2つの共鳴周波数が変化し、送電電力の周波数を伝送効率が最大となる周波数に最適設定していても、両コイル間の距離が長くなると、伝送効率が低下するという問題が発生する。
【0011】
また、上記の方法では、走行中の車両への給電はできない。これに対して、特許文献2の方法は、一次コイルと二次コイルとを磁束結合させて、路面に埋設された一次コイルから車体に設置された二次コイルへ給電する方法である。この文献では、路面の凹凸を検出して、二次コイルと一次コイルとの距離を制御するようにしている。走行中に二次コイルの路面に対する高さを制御するものであるので、制御が複雑であると共に、現実的ではない。また、上記の全ての文献におけるコイル間の結合を用いる方法では、それらのコイル間の距離が長くなると、伝送効率が低下するという問題がある。
上記の何れの技術にしても、2つのコイルは近接し、且つ、それらのコイル間の距離は一定に保持されなければ、効率の高い電力伝送が実現されない。また、2つのコイル間の位置合せを必要とし、給電時の車両の駐車位置を正確に位置決めする必要がある。
【0012】
本発明は、これらの問題を解決するために成されたものであり、一方の給電電極と他方の受電電極との距離が大きくとも、車両への効率の良い給電を可能とすることを目的とする。
また、一方の給電電極と他方の受電電極との距離が大きくとも、給電電極と受電電極間のインピーダンスが安定して、車両への効率の高い安定した給電を可能とすることを目的とする。
また、駐車給電においては、車両の位置決めを正確に行わなくとも、効率の高い給電を実現することを目的とする。
さらに、本発明は、車両の走行時においても、路面から車両に安定して給電することを可能とすることを目的とする。
本発明は、車両の有するタイヤを介して、路面から車体へ給電する車両給電装置及び車両給電方法であり、路面から、タイヤを介した車体への給電に関する従来技術は、全く、知られていない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明は、車両の有する第1タイヤの下方に設置された第1導体と、車両の有する第2タイヤの下方に設置された第2導体とから、第1タイヤの有する第1タイヤ内導体及び第2導体の有する第2タイヤ内導体を介して、車両に給電する車両給電装置であって、第1タイヤに近接し、第1タイヤ内導体と容量結合して、車両に配設された第1電極と、第2タイヤに近接し、第2タイヤ内導体と容量結合して、車両に配設された第2電極と、第1導体と第2導体の間に給電される交流電力を、第1電極と第2電極により受電する受電装置とを有することを特徴とする車両給電装置である。
【0014】
本発明は、タイヤが静電容量を有していることに注目して、その静電容量を利用して、路面から車体への交流送電を実現したものである。内部にスチールベルトを有するタイヤにおいては、路面に対する接地部に当たるトレッドゴムの中に、リボン状の金属メッシュからなるスチールベルトがタイヤの外周に沿って設けられている。したがって、タイヤの外周面とこのスチールベルトとの間の距離は小さく、スチールベルトの面積が大きいために、タイヤの外周面とスチールベルトとの間に大きな静電容量が存在する。さらには、タイヤは、タイヤゴムを装着する金属性円筒形状のリムと、軸からリムの外周に接続する放射方向に伸び金属性のディスクを有している。タイヤの表面と、リムやディスクとの距離は短く、且つ、リムやディスクの面積は大きい。したがって、タイヤの表面とこれらのリムやディスクとの間にも大きな静電容量が存在する。すなわち、タイヤの外周面と同心の円筒形状の金属体との間に、円筒コンデンサが形成されることになる。このことは、タイヤの外周面に近接して(接触を含む)、回転角方向に異なる位置に、2つの導体を設ければ、この2つの導体の距離が大きくとも、2つの導体間の静電容量は大きく、2つの導体を電極とする静電容量の大きなコンデンサが形成されることになる。例えば、2つの導体をタイヤの直径方向の対向する位置に設けた場合には、2つの導体間の距離は、タイヤの直径だけ離れることになるが、2つの導体間の静電容量は大きい。このタイヤの有する静電容量を利用して、一方の導体から他方の導体にかけて、交流電力を伝送させることができる。これが、本件発明の原理である。
【0015】
第1導体、第2導体は、路面上に配設されていても、路面下に埋設されていても良い。路面とは、一般道路の路面、駐車場の路面、車庫の床面、車止めなど、車両が通過する所のタイヤが接触する面など、タイヤと接触する面の意味である。第1導体、第2導体に、接して上、又は、アスファルト、コンクリート、板などを介在させた上に、第1タイヤ、第2タイヤが、それぞれ、位置される。第1導体、第2導体は、平板状の平面導体、平板状のメッシュ導体であっても良い。メッシュ導体の場合には、使用周波数の波長よりも十分に短い間隔のメッシュとする。同様に、第1電極、第2電極は、平板状の平面導体、円筒形のローラ導体、ゴムローラの外周表面に設けたリング状導体、タイヤの外周面に沿った円弧短冊状の導体、タイヤの外周面と同心の半円筒状の導体であっても良い。また、第1電極、第2電極は、タイヤカバー(フード)に絶縁して、タイヤの外周面に対面して取り付けても良い。また、第1電極と第2電極の導体は、メッシュ導体としても良い。メッシュ導体の場合には、使用周波数の波長よりも十分に短い間隔のメッシュとする。第1電極、第2電極は、それぞれ、第1タイヤ、第2タイヤに近接して設けられる。本発明において、近接は、タイヤに接触していることを含む概念である。例えば、第1電極、第2電極は、第1タイヤ、第2タイヤの外周面に、それぞれ、接触していたり、外周面に対して、一定の距離だけ離間して設けられていたり、ディスクや車軸に近接(接触を含む)して設けられていても良い。第1電極、第2電極は、第1タイヤ、第2タイヤに近接した複数の位置に、それぞれ、複数個設けられていても良い。容量が最も大きくなる位置に置かれた電極が交流電力の伝送に寄与することになるため、電極の配設位置に対する伝送特性の劣化を防止することができる。
【0016】
第1タイヤと第2タイヤとの2つを用いるのは、路面から電流を供給する経路と、路面へ帰還する経路とを設けるためである。したがって、タイヤを介した路面から車両への電流の供給路と、車両からタイヤを介した路面への帰還路が形成されるのであれば、2以上のタイヤを用いても良い。例えば、電流の供給路に、第1、第3の2つのタイヤを並列に用いて、電流の帰還路に第2、第4の2つのタイヤを並列に用いても良い。また、電流の供給路に、第1のタイヤだけを用いて、電流の帰還路に第2、第4のタイヤを並列に用いても良い。逆に、電流の供給路に、第1、第2のタイヤを並列に用いて、電流の帰還路に第2のタイヤだけを用いても良い。また、車両は、タイヤを有する移動体の意味であり、自動車、オートバイ、自転車、ラジオコントロールカー、産業用車両、ロボットなどを含む。
【0017】
受電装置は、交流電力を整流する整流回路や、整流後の電力を貯蔵するバッテリなどを有する回路である。受電装置には、第1導体と第1タイヤ内導体間の容量及び第1電極と第1タイヤ内導体間の容量、第2導体と第2タイヤ内導体間の容量及び第2電極と第2タイヤ内導体間の容量を含む回路において、共振を生じさせるコイルを有することが望ましい。タイヤによる容量に対してコイルを直列に挿入して直列共振させても、容量に対してコイルを並列に挿入して並列共振させても良い。また、分布定数回路により共振を実現しても良い。また、インピーダンスを整合させる整合回路を設けることが望ましい。
【0018】
本発明は、走行中に給電する装置とすることも、駐車場や車庫において車両が停止している時に給電する給電装置とすることも可能である。すなわち、走行中に給電する場合には、第1導体と第2導体とは、第1タイヤ及び第2タイヤが走行する路面上に設置され、又は、路面下に埋設される。第1導体と第2導体とは、走行車線において、両側のタイヤが走行し得る幅と、間隔で、設ければ良い。標準の安定した走行において、路面から給電されて電力をバッテリに蓄電することで、交差点や、車線変更などにより、給電のための軌道からタイヤが、一時期、部分区間だけ外れても、走行を継続することは可能である。また、第1導体、第2導体と、第1電極、第2電極との間の第1タイヤ、第2タイヤを介在させた静電容量は、タイヤが回転しても変化しない。したがって、車両が走行していても、路面から車両に安定した給電が可能となる。
【0019】
また、駐車場などにおいて車両が停止している時に給電するのであれば、第1導体と第2導体とは、駐車時に、第1タイヤ及び第2タイヤが接する路面上に設置され、又は、路面下に埋設される。又は、車輪止めの表面や内部に第1導体、第2導体を設けても良い。
【0020】
第2の発明は、車両に対する給電装置において、車両の有する第1タイヤの下方に設置された第1導体と、車両の有する第2タイヤの下方に設置された第2導体と、第1タイヤに近接し、第1タイヤの有する第1タイヤ内導体と容量結合して、車両に配設された第1電極と、第2タイヤに近接し、第2タイヤの有する第2タイヤ内導体と容量結合して、車両に配設された第2電極と、第1導体と第2導体の間に給電される交流電力を、第1電極と第2電極により受電する受電装置とを有することを特徴とする車両給電装置である。
【0021】
この発明において、受電装置には、第1導体と第1タイヤ内導体間の容量及び第1電極と第1タイヤ内導体間の容量、第2導体と第2タイヤ内導体間の容量及び第2電極と第2タイヤ内導体間の容量を含む回路において、共振を生じさせるコイルを有することが望ましい。タイヤによる容量に対してコイルを直列に挿入して直列共振させても、容量に対してコイルを並列に挿入して並列共振させても良い。また、分布定数回路により共振を実現しても良い。また、第1電極、第2電極から左右を見たインピーダンスが等しくなるように、インピーダンスを整合させるための整合回路を有することが望ましい。
また、この発明において、第1導体と第2導体との間に交流電力を供給する電源装置を有しても良い。
さらに、この電源装置には、第1導体と第1タイヤ内導体間の容量及び第1電極と第1タイヤ内導体間の容量、第2導体と第2タイヤ内導体間の容量及び第2電極と第2タイヤ内導体間の容量を含む回路において、共振を生じさせるコイルを有することが望ましい。また、第1導体、第2導体から左右を見たインピーダンスが等しくなるように、インピーダンスを整合させるための整合回路を有することが望ましい。
【0022】
第3の発明は、車両に対する給電方法において、車両の有するタイヤを容量として、容量結合により路面から車両に交流電力を給電する車両給電方法である。
すなわち、本発明は、上記した原理により、タイヤの有する静電容量を利用して、路面から車体に向け給電する車両給電方法である。この場合には、電流の供給路にタイヤを設けて、電流の帰還路には、タイヤを設けずに、直接、金属体を路面に近接(接触を含む)させたりする方法も考えられる。要するに、一方の経路にタイヤを介在させて、電力を車体に給電させれば良い。
【0023】
第4の発明は、車両に対する給電方法において、車両の有する第1タイヤが接触する路面上、又は、路面下に第1導体を設置し、車両の有する第2タイヤが接触する路面上、又は、路面下に第2導体を設置し、第1タイヤに近接し、第1タイヤの有する第1タイヤ内導体と容量結合する第1電極を車両に配設し、第2タイヤに近接し、第2タイヤの有する第2タイヤ内導体と容量結合する第2電極を車両に配設し、第1導体と第2導体の間に交流電力を給電し、第1電極と第2電極により交流電力を受電することを特徴する車両給電方法である。
本発明は、第2の発明の車両給電装置に対応する給電方法の発明である。
【0024】
この発明において、第1導体と第1電極間の容量(第1導体と第1タイヤ内導体間の容量及び第1電極と第1タイヤ内導体間の容量)、第2導体と第2電極間の容量(第2導体と第2タイヤ内導体間の容量及び第2電極と第2タイヤ内導体間の容量)を含む回路において、コイルを用いて、共振させて給電させるようにしても良い。このコイルは、第1導体、第2導体側の回路に設けても、第1電極、第2電極側の回路に設けても良い。コイルは容量と直列に挿入して直列共振を生じさせても、容量と並列に挿入して並列共振を生じさせるようにしても良い。また、コイルは、両方に設けても良い。また、第1導体、第2導体から左右を見たインピーダンスを等しくする整合回路、第1電極、第2電極から左右を見たインピーダンスを等しくする整合回路を、それぞに、設けても良い。
また、本発明において、車両への給電は、車両が路面を走行している時に、行われるようにしても良い。
なお、タイヤ内導体は、スチールベルトの他、リム、ディスク、ホイールも含む概念である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の車両給電装置、車両給電方法によると、タイヤの有する内導体を介在させたタイヤの有する静電容量を用いて、路面側に設けられた第1導体、第2導体と、車両側に設けられた第1電極、第2電極との間の電力伝送を行うようにしている。したがって、タイヤを介在させる電力伝送であるので、第1導体又は第2導体と、第1電極又は第2電極間の距離が長くとも、効率の良い電力伝送が実現できる。また、第1導体、第2導体の上方に、第1タイヤ、第2タイヤを位置させるだけで良いので、給電のための車両の位置決めが容易となる。また、走行道路の車線に沿って、線状の第1導体、第2導体を設置すれば、その第1導体と第2導体の上を両側のタイヤを通過させることで、効率の高い走行給電が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の具体的な実施例1に係る車両給電装置の全体構成を示した構成図。
【図2】実施例1の車両給電装置の等価回路。
【図3】タイヤの軸断面図。
【図4.A】タイヤの測定されたインピーダンスの実部の周波数特性。
【図4.B】タイヤの測定されたインピーダンスの虚部の周波数特性。
【図5.A】タイヤの測定されたインピーダンスの絶対値の周波数特性。
【図5.B】タイヤの測定されたインピーダンスの位相の周波数特性。
【図6】タイヤの存在しない導体−電極間の測定されたインピーダンスの絶対値とタイヤの測定されたインピーダンスの絶対値との関係を示す周波数特性。
【図7】タイヤを介在させた導体−電極間の伝送特性を測定するための回路。
【図8.A】ポート1からポート2への透過特性を示すスミスチャート。
【図8.B】タイヤを介在させた導体−電極間の伝送特性。
【図9】実施例1に係る車両給電装置の回路図。
【図10】図9における車両給電装置の伝送特性。
【図11】実施例2に係る車両給電装置のタイヤと電極との関係を示した構成図。
【図12】実施例3に係る車両給電装置のタイヤと電極との関係を示した構成図。
【図13】実施例4に係る車両給電方法を示した構成図。
【図14】実施例5に係る車両給電方法を示した構成図。
【図15】実施例5に係る車両給電方法の対称性を利用した回路図。
【図16】実施例5の動作を説明するための等価回路図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
図1は、実施例1の全体の構成を示している。給電には、車両の有するタイヤのうち2つのタイヤが選択される。例えば、右後輪の第1タイヤ11、左後輪の第2タイヤ12が選択され、第1タイヤ11に接触して、その下方に、第1導体21が設けられており、第2タイヤ12に接触して、その下方に、第2導体22が設けられている。第1導体21と第2導体22は、駐車場の路面上に設けられている。第1導体21と第2導体22の間に、車両に給電するための電源装置30が設けられている。電源装置30は、信号発生器31と、その信号発生器31の発生する信号を増幅して交流電力を出力する増幅器32、コイル33を有している。第1タイヤ11の外周の上部には、外周と対面するように第1タイヤ11とは非接触の平板状の第1電極41と、第2タイヤ12の外周の上部には、外周と対面するように第2タイヤ12とは非接触の平板状の第2電極42が設けられている。第1電極41と第2電極42は、車両の車体に取り付けられている。例えば、タイヤのフードからタイヤの外周面に向けて突出させたロッドの先端に、平板状の電極を設ければ良い。又は、タイヤのフード内面に、タイヤの外周に対面するように平板状の電極を設けても良い。第1電極41と第2電極42は整流回路43に接続され、整流回路43はバッテリィ44に接続されている。車両の受電装置40は、整流回路43とバッテリィ44とで構成されている。
【0029】
図1の構造において、等価電気回路は、図2のようになる。信号発生器31で発生された周波数1MHzの交流信号は増幅器32で増幅されて交流電力S1が生成される。その交流電力S1が第1導体21に供給される。
【0030】
本実施例では、第1タイヤ11と第2タイヤ12は内部にスチールベルト(タイヤ内導体)を有するタイヤで構成されている。図3のタイヤの軸に垂直な断面図に示されているように、内部にスチールベルトを有するタイヤにおいては、路面に対する接地部に当たるトレッドゴムの中に、リボン状の金属メッシュからなるスチールベルト13がタイヤの外周に沿って設けられている。したがって、第1タイヤ11の外周面15とこのスチールベルト13との間の距離は小さく、スチールベルトの面積が大きいために、第1タイヤ11の外周面15とスチールベルト13との間に大きな静電容量が存在する。すなわち、第1タイヤ11の外周面15と同心の円筒形状のスチールベルト13との間に、円筒コンデンサが形成されることになる。
【0031】
このタイヤの構造により、第1導体21とスチールベルト13との間に大きな静電容量C1が形成され、第1電極41とスチールベルト13との間に大きな静電容量C2が形成される。その結果、第1導体21と第1電極41との間には、容量C1と容量C2との直列接続による容量Cが形成されることになる。このように、第1導体21と第1電極41は、第1タイヤ11を媒体とする静電容量を形成している。第1タイヤ11は、ゴム材の中に金属メッシュから成るスチールベルト13が埋め込まれているので、第1電極41が、第1タイヤ11の円周上のどの角度位置にあっても、安定した静電容量Cが形成される。このことは、第1タイヤ11の外周面に近接して(接触を含む)、回転角方向に異なる位置に、2つの導体を設ければ、この2つの導体の距離が大きくとも、2つの導体間の静電容量は大きく、2つの導体を電極とする静電容量の大きなコンデンサが形成されることになる。例えば、2つの導体をタイヤの直径方向の対向する位置に設けた場合には、2つの導体間の距離は、タイヤの直径だけ離れることになるが、2つの導体間の静電容量は大きい。この第1タイヤの有する静電容量を利用して、第1導体21から第1電極41へ交流電力を伝送させることができる。第2タイヤ12についても同様であり、第2導体22と第2電極42とは、第2タイヤ12を媒体とする大きな静電容量を形成している。
【0032】
第1導体21から供給された交流電力S1は、第1タイヤ11の有する容量により、第1電極41に伝達されて、整流回路43に入力する。また、帰還電流は、第2電極42から、第2タイヤ12の有する容量により、第2導体22に誘導され、コイル33を介してアースに流れる。コイル33のインダクタンスは、交流電流の周波数1MHzにおいて、第1タイヤ11の容量C、第2タイヤ12の容量Cと、直列共振する値に設定されている。本発明は、第1導体21と第2導体22との間に交流電力を供給して、第1タイヤ11、第2タイヤ12を容量として用いて、共振作用により、整流回路43に、高効率で交流電力を伝送する装置である。
【0033】
次に、図3の配置関係において、第1電極41と第1タイヤ11の外周上面との距離を変化させて、第1導体21と第1電極41間のインピーダンスの周波数特性を測定した。図4.Aはインピーダンスの実部、図4.Bはインピーダンスの虚部を表す。また、図5.Aはインピーダンスの絶対値、図5.Bはインピーダンスの位相を表す。第1電極41が第1タイヤ11に接触している場合には、インピーダンスの絶対値は、離れている場合に比べて、周波数1MHzにおいて、1/3程度に小さくなり、進み位相は、1/10程度小さくなることが分かる。しかし、第1電極41を第1タイヤ11の外周面から1cm〜4cmの範囲で、離間しても、絶対値、位相とも、大きく変化していないことが分かる。
【0034】
次に、これらの特性が、第1電極41と第1導体21との間に、第1タイヤ11が存在することにより生じたものであることを確認した。第1タイヤ11を除去して、第1電極41と第1導体21との間隔を、第1タイヤ11の直径よりも短くして、第1電極41と第1導体21間のインピーダンスを測定した。その結果を図6に示す。すなわち、第1電極41と第1導体21との間のインピーダンスは、第1タイヤ11が存在する場合には、存在しない場合に比べて1/10に低下していることが分かる。したがって、第1タイヤ11の存在が、第1導体21から第1電極41への高周波電力の伝送に寄与することが分かる。
【0035】
次に、第1電極41を第1タイヤの上部に接触させた状態において、第1導体21から第1電極41への伝送特性を測定した。第1電極41を第1タイヤの上部の外周面に接触させた状態における第1導体21と第1電極41間のインピーダンスは、1MHzにおいて、約700−j約2000Ωである。抵抗成分は、容量成分に比べて1/3程度に小さい。測定回路を図7の回路とした。ポート1に接続される電源系とポート2に接続される測定器の特性インピーダンスを50Ωとして、そのインピーダンスに整合させるために、第1導体21とポート1との間と、第1電極41とポート2との間に、それぞれ、T形の低域通過フィルタを設けた。図8.Aはポート1からポート2への透過係数及びポート1からポート1への反射係数を示すスミスチャート、図8.Bは、ポート1からポート2へのシミュレーションによる伝送特性及びポート1からポート1への反射係数を示している。図8.Bから理解されるように、第1導体21と第1電極41との間に第1タイヤ11が存在する状態において、周波数1MHzにおいて、第1導体21と第1電極41間の伝送損失は略零であることが分かる。
【0036】
図9は、増幅器32と第1導体21との間に第1整合回路34を設け、第1電極41と整流回路43との間に第2整合回路45を設けた回路図である。第1整合回路34は電源装置30の一部であり、第2整合回路45は受電装置40の一部である。また、第1整合回路34のインダクタンス35は、電源装置30に設けられた、第1導体21と第1電極41間の容量C(第1導体21と第1タイヤ内導体間の容量C1及び第1電極41と第1タイヤ内導体間の容量C2)を含む回路で共振を生じさせるコイルに該当する。又、第2整合回路45のインダクタンス46は、受電装置40に設けられた、第1導体21と第1電極41間の容量Cを含む回路で共振を生じさせるコイルに該当する。
【0037】
図9の回路におけるポート1、2間(4端子回路網)での伝送特性を図10に示す。周波数1MHzにおいて、損失が十分に小さいことが分かる。これは、タイヤのインピーダンスの抵抗成分が容量成分に比べて十分に小さいためと思われる。また、タイヤのインピーダンスの抵抗成分を上記の値700Ωに対して±10%変化させた時の伝送特性は、図10の特性とほとんど変化がなく、周波数1MHzにおいて、損失が十分に小さい特性が得られた。また、タイヤのインピーダンスの容量性リアクタンス成分を上記の値2000Ωに対して±10%変化させた時の伝送特性は、図10の特性とほとんど変化がなく、周波数1MHzにおいて、損失が十分に小さい特性が得られた。したがって、タイヤの種類や、走行時におけるタイヤの変形や、雨や雪などの外部環境の変化があっても、本車両給電装置は、車両への給電を安定して高効率で実現することができる。
【0038】
第1整合回路34、第2整合回路45は、T形のL、C回路で構成したが、π型のC−L−C回路で構成しても良い。
【実施例2】
【0039】
第1電極41を、図11に示すように、第1タイヤ11にの外周面に回転接触する第1ローラ51で構成したものである。他の構成については、実施例1と同一である。この構成によると、第1電極、第2電極を、第1タイヤ、第2タイヤの外周面に接触させることができ、第1電極と第1タイヤ内導体間の容量C2を大きくすることができ、したがって、第1導体と第1電極間の容量Cを大きくすることができる。同様に、第2電極と第2タイヤ内導体間の容量C2を大きくすることができ、第2導体と第2電極間の容量Cを大きくすることができ、効率の高い交流伝送が可能となる。
【実施例3】
【0040】
タイヤのリムは、図12のように構成されている。タイヤゴムを装着する金属性円筒形状のリム61と、軸63からリム61の外周に接続する放射方向に伸び金属性のディスク62を有している。これらの導体であるリム61の外周面や、ディスク62の外周先端部と、路面との距離は小さく、路面に対面する面積は大きい。したがって、第1導体、第2導体と、リム61、ディスク62との間、第1電極、第2電極と、リム61と、ディスク62との間で、大きいな容量が形成される。この容量を介しても、第1導体、第2導体から、第1電極、第2電極へ交流電力を効率良く伝送することができる。リム(ホイール)61及びディスク62はタイヤ内導体に該当する。
この場合に、第1電極53は、ディスク62に接近させて設けても良い。また、第1電極55を、第1タイヤ11を取り付けるディスク64に近接させて設けても良い。また、第1電極57を、車軸63に近接させて設けても良い。第2電極についても同様である。車両給電装置の他の構成については、実施例1と同一である。
【実施例4】
【0041】
図13に示すように、本実施例は、車両75の走行中に路面から車両に給電する実施例である。道路の一走行車線70には、路面下に第1導体71、第2導体72が埋設されている。第1導体71、第2導体72は、車線70に沿ってプレート状に長く形成されている。この2つの第1導体71と第2導体72間に交流電力が図示しない電源装置から供給されている。道路において、給電区間を定めて、多数の区間に分割して、第1導体71と第2導体72を区間毎に分離して、各区間毎に給電装置を設置して、各区間毎に給電するようにしても良い。第1導体71、第2導体72の幅は、第1タイヤ11、第2タイヤ22の幅の5倍程度の幅に形成されている。これにより、車線70を走行する車両75が車線の幅方向に位置が変動しても、第1導体71、第2導体72の上に、第1タイヤ11、第2タイヤ12が位置するようにすることができる。また、タイヤが回転してもその容量は変化しない。これにより、走行中であっても安定して、高効率で車両75に給電することができる。この電力を車両の走行動力とすることができる。
【実施例5】
【0042】
本実施例では、第1タイヤ11のスチールベルト13(図3)とリム(ホイール)61とを電気的に接続し、軸63(図12)から受電するものである。第2タイヤ12についても同様な構成である。全体の構成は、図14に示されている。第1タイヤ11は、第1導体21上に位置し、第2タイヤ12は第2導体22上に位置する。第1導体21と第2導体22間に給電された交流電力を、第1タイヤ11の軸631と、第2タイヤ12の軸632の両端から受電するものである。第1導体21と第2導体22間に容量C1 を挿入し、軸631と軸632との間に容量C2 を挿入する。また、信号発生器31と第1導体21との間には、インダクタンタス35が配設されている。rs は、等価抵抗である。また、インダクタンス46は、軸631と整流回路43との間に設けられている。
【0043】
車両は構造が左右対称なので、供給する電圧も左右対称の差動モードとなる。そこで中心線上に対称面をとると、鏡像原理により、差動モード電圧は中心線上では零ボルトとなる。従って、それを仮想的な接地点と考えてよい。結論として、図14の回路は図15の回路と等価となる。並列容量は2倍、直列抵抗とインダクタは半分の値となっていることに注意する。これを電気的等価回路で表すと図16となる。数式を見やすくするため、インダクタ、容量、抵抗を示す変数記号は、図16に示すように添え字のない記号が用いられている。図16の中のL-C-R-C-L の部分の電力透過効率を高めることが本実施例の目的である。もし、L もC も挿入せず、タイヤの抵抗R だけの場合は、電力透過効率が低くなるのは明白である。なぜなら、通常は電源内部インピーダンスや負荷抵抗(ここではどちらもz0 と記述してある)に比べて、タイヤの電気抵抗R はかなり高いからである。
【0044】
以下に図16の回路の動作を説明する。実際のタイヤは複素インピーダンスを持つが、ここでは簡単のため、これを純抵抗R で代表させて説明する。道路側にコイルL を直列に挿入し、その出力にコンデンサC を接地と並列に設ける。車載側はこれとは逆順にC とL を設ける。これらL とC の値は道路側と同じ値に設定する。なお、車載側のC の接地端子の接続先については後ほど説明する。交流電源の周波数をf とし、ω=2πf と書く。交流電源の出力インピーダンスを車載負荷の入力インピーダンスと同じ値に設定する。これをz0 と書くこととする。通常、タイヤの電気抵抗R はz0 よりも遥かに高い。
【0045】
すなわち、
【数1】
であることが本実施例の適用条件である。また、本実施例はL とC の値を
【数2】
と設定し、かつ、コイルのリアクタンス値をタイヤ抵抗より十分大きく
【数3】
と設定することを特徴とする。
【0046】
以下にこの動作原理を説明する。タイヤ部分の抵抗R だけからなる回路のアドミタンス行列は、非特許文献2に記載の計算手法により
【数4】
である。この両側に並列にC を設けることにより、そのアドミタンス行列は
【数5】
となる。
また、この回路のインピーダンス行列は、上記の逆行列、すなわち
【数6】
である。さらに、この回路の両側にL を直列に挿入すると、そのインピーダンス行列Z は
【数7】
となる。これを行列の成分毎に分解して書くと、対角成分は
【数8】
である。
【0047】
これに式(2) を適用してL を消去すると
【数9】
となる。同様に、非対角成分は
【数10】
である。すなわち
【数11】
かつ
【数12】
である。
【0048】
これらの結果を、インピーダンス行列を散乱行列に変換する公式(非特許文献2)に代入すると
【数13】
を得る。この散乱行列から非対角成分だけ抽出すると
【数14】
となる。これより、電力透過係数|S21|2 は
【数15】
となる。
【0049】
これはまた、式(2) を用いるとC の代わりにL で表現することもできる。つまり、
【数16】
である。条件式(1)(3)すなわちz0 <<R <<ωL を考慮すると、上式の分母の初項と末項は中間項に比べてより高次の微小量なので、近似式として
【数17】
を得る。
例えば数値例として、タイヤ部分を透過する電力透過効率96% 以上、つまり|S21|2 > 0.96とするには
【数18】
すなわち
【数19】
と設定すればよい。
【0050】
上記の動作解析は、図1、図9の実施例についても成立する。このように、電源インピーダンスや負荷インピーダンスに比べて高い抵抗値をもつタイヤであっても、それを透過して電力を効率よく伝送することが本発明により可能となる。たとえば、走行中の車両に2個1組のタイヤを通じて電気エネルギーを充電するシステムなどに有効である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、電気自動車などの電気を動力とする車両に対する安定した高効率の給電装置、給電方法に用いることができる。走行中の給電に用いることができる。
【符号の説明】
【0052】
11…第1タイヤ
12…第2タイヤ
13…スチールベルト
21…第1導体
22…第2導体
30…電源装置
40…受電装置
41…第1電極
42…第2電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーを動力に用いる車両に対する路面からの給電装置及び給電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触による電力伝送方式は、大きくは、次の2つの方式に分類される。第1は、非放射による電力伝送であり、第2は、放射による電力伝送である。第1の方式には、主として、トランスの原理を用いた数kHz以下の周波数で用いる電磁誘導方式と、数十MHz程度の周波数を用いた近接場(近接場に蓄積される静的エネルギー)の電磁共鳴による電磁結合方式とがある。また、第2の方式には、マイクロ波送電による方式と、レーザ送電による方式とがある。
【0003】
電磁誘導方式を用いた電力伝送として、下記特許文献1、2の技術が知られている。特許文献1の技術は、固定部から回転部への電力伝送に、5〜10mmだけ離間した送電コイルと受電コイルとの一対の電力コイルを用いて非接触で電力を伝送する装置が開示されている。同文献によると、数百kHzの周波数電力を固定部から回転部へ伝送し、回転部に設置された各種のセンサの検出信号を、電力コイルの外に設けた一対のデータコイルで、回転部から固定部へ、数MHzの信号で伝送するようにしている。また、固定部の送電コイルの入力インピーダンスが、送電コイルと受電コイルとの間隔により変化するので、送電コイルへの給電効率を向上させるために、送電コイルへ供給する電力の周波数を変化させることが行われている。
【0004】
電磁共鳴による電磁結合方式として、最近、注目されている下記非特許文献1に開示の技術が知られている。同非特許文献1の技術は、2m程度離間された、半径25cmのループ状の強く電磁結合した一対の電磁共鳴コイルを用いて、9.9MHzの正弦波電力を伝送できる技術が開示されている。
【0005】
これらの給電方法は、車両が停車している時に給電するものである。車両が走行している時の給電方法として、下記特許文献2に開示の技術が知られている。この技術では、路面に一次コイルを埋設して、この一次コイルに対向して車体の底部に二次コイルを設けて、電磁誘導により一次コイルから二次コイルへの給電する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−340285
【特許文献2】特開平7−39007
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Wireless Power Transfer via Strongly Coupled Magnetic Resonances, Andre Kurs, et.al, Science Vol.317, 6 July 2007
【非特許文献2】大平孝, " 行列ができる回路演習:アナログ回路を紙と鉛筆で考えよう[I] アナログ回路のポートパラメータ",電子情報通信学会誌, 第93巻, 第1 号, pp. 67-72, 2010 年1 月.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1の方法は、コイルの外部に共振回路を設ける方式であり、Q値が小さく、効率の良い電力伝送はできない。この方式は、本質的には、電磁誘導方式であるため、原理的には、結合係数を大きくする方向の技術であり、両コイル間の距離は、5〜10mm程度と狭くせざるを得ず、且つ、伝送効率が低くならざるを得ないという問題がある。また、10mm以上、距離が離れると、効率の良い伝送ができないばかりか、送電コイルの入力インピーダンスが変化するために、送電周波数の調整が必要である。また、これらの電力伝送方式においては、外部共振回路を用いるため、共振特性は単峰性の特性である。
【0009】
一方、電磁共鳴方式の上記の非特許文献1に開示の技術は、原理的には、共鳴型のコイルを用いて、送電コイルと受電コイルを全体としての近接場エネルギーによる電磁共鳴を用いた方式であり、原理上、Q値が高く、比較的長距離の伝送が可能であり、放射損失がないため、伝送効率が高い無線電力伝送方式である。また、電磁共鳴を用いている関係上、周波数と送電コイルと受電コイルのQ値が大きければ、結合係数は小さくとも(原理的には、0に近い状態でも)、高い伝送効率を実現することができる。この結果、非特許文献1によれば、1m程度、両電力コイルを離間させても、90%以上の伝送効率が実現できている。この共鳴の周波数特性は、双峰性の特性を示す。
【0010】
しかしながら、非特許文献1の技術を用いて、大電力を送電する場合に、送電コイルと受電コイル間の距離が変化すると、伝送効率が高くなる2つの共鳴周波数が変化し、送電電力の周波数を伝送効率が最大となる周波数に最適設定していても、両コイル間の距離が長くなると、伝送効率が低下するという問題が発生する。
【0011】
また、上記の方法では、走行中の車両への給電はできない。これに対して、特許文献2の方法は、一次コイルと二次コイルとを磁束結合させて、路面に埋設された一次コイルから車体に設置された二次コイルへ給電する方法である。この文献では、路面の凹凸を検出して、二次コイルと一次コイルとの距離を制御するようにしている。走行中に二次コイルの路面に対する高さを制御するものであるので、制御が複雑であると共に、現実的ではない。また、上記の全ての文献におけるコイル間の結合を用いる方法では、それらのコイル間の距離が長くなると、伝送効率が低下するという問題がある。
上記の何れの技術にしても、2つのコイルは近接し、且つ、それらのコイル間の距離は一定に保持されなければ、効率の高い電力伝送が実現されない。また、2つのコイル間の位置合せを必要とし、給電時の車両の駐車位置を正確に位置決めする必要がある。
【0012】
本発明は、これらの問題を解決するために成されたものであり、一方の給電電極と他方の受電電極との距離が大きくとも、車両への効率の良い給電を可能とすることを目的とする。
また、一方の給電電極と他方の受電電極との距離が大きくとも、給電電極と受電電極間のインピーダンスが安定して、車両への効率の高い安定した給電を可能とすることを目的とする。
また、駐車給電においては、車両の位置決めを正確に行わなくとも、効率の高い給電を実現することを目的とする。
さらに、本発明は、車両の走行時においても、路面から車両に安定して給電することを可能とすることを目的とする。
本発明は、車両の有するタイヤを介して、路面から車体へ給電する車両給電装置及び車両給電方法であり、路面から、タイヤを介した車体への給電に関する従来技術は、全く、知られていない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明は、車両の有する第1タイヤの下方に設置された第1導体と、車両の有する第2タイヤの下方に設置された第2導体とから、第1タイヤの有する第1タイヤ内導体及び第2導体の有する第2タイヤ内導体を介して、車両に給電する車両給電装置であって、第1タイヤに近接し、第1タイヤ内導体と容量結合して、車両に配設された第1電極と、第2タイヤに近接し、第2タイヤ内導体と容量結合して、車両に配設された第2電極と、第1導体と第2導体の間に給電される交流電力を、第1電極と第2電極により受電する受電装置とを有することを特徴とする車両給電装置である。
【0014】
本発明は、タイヤが静電容量を有していることに注目して、その静電容量を利用して、路面から車体への交流送電を実現したものである。内部にスチールベルトを有するタイヤにおいては、路面に対する接地部に当たるトレッドゴムの中に、リボン状の金属メッシュからなるスチールベルトがタイヤの外周に沿って設けられている。したがって、タイヤの外周面とこのスチールベルトとの間の距離は小さく、スチールベルトの面積が大きいために、タイヤの外周面とスチールベルトとの間に大きな静電容量が存在する。さらには、タイヤは、タイヤゴムを装着する金属性円筒形状のリムと、軸からリムの外周に接続する放射方向に伸び金属性のディスクを有している。タイヤの表面と、リムやディスクとの距離は短く、且つ、リムやディスクの面積は大きい。したがって、タイヤの表面とこれらのリムやディスクとの間にも大きな静電容量が存在する。すなわち、タイヤの外周面と同心の円筒形状の金属体との間に、円筒コンデンサが形成されることになる。このことは、タイヤの外周面に近接して(接触を含む)、回転角方向に異なる位置に、2つの導体を設ければ、この2つの導体の距離が大きくとも、2つの導体間の静電容量は大きく、2つの導体を電極とする静電容量の大きなコンデンサが形成されることになる。例えば、2つの導体をタイヤの直径方向の対向する位置に設けた場合には、2つの導体間の距離は、タイヤの直径だけ離れることになるが、2つの導体間の静電容量は大きい。このタイヤの有する静電容量を利用して、一方の導体から他方の導体にかけて、交流電力を伝送させることができる。これが、本件発明の原理である。
【0015】
第1導体、第2導体は、路面上に配設されていても、路面下に埋設されていても良い。路面とは、一般道路の路面、駐車場の路面、車庫の床面、車止めなど、車両が通過する所のタイヤが接触する面など、タイヤと接触する面の意味である。第1導体、第2導体に、接して上、又は、アスファルト、コンクリート、板などを介在させた上に、第1タイヤ、第2タイヤが、それぞれ、位置される。第1導体、第2導体は、平板状の平面導体、平板状のメッシュ導体であっても良い。メッシュ導体の場合には、使用周波数の波長よりも十分に短い間隔のメッシュとする。同様に、第1電極、第2電極は、平板状の平面導体、円筒形のローラ導体、ゴムローラの外周表面に設けたリング状導体、タイヤの外周面に沿った円弧短冊状の導体、タイヤの外周面と同心の半円筒状の導体であっても良い。また、第1電極、第2電極は、タイヤカバー(フード)に絶縁して、タイヤの外周面に対面して取り付けても良い。また、第1電極と第2電極の導体は、メッシュ導体としても良い。メッシュ導体の場合には、使用周波数の波長よりも十分に短い間隔のメッシュとする。第1電極、第2電極は、それぞれ、第1タイヤ、第2タイヤに近接して設けられる。本発明において、近接は、タイヤに接触していることを含む概念である。例えば、第1電極、第2電極は、第1タイヤ、第2タイヤの外周面に、それぞれ、接触していたり、外周面に対して、一定の距離だけ離間して設けられていたり、ディスクや車軸に近接(接触を含む)して設けられていても良い。第1電極、第2電極は、第1タイヤ、第2タイヤに近接した複数の位置に、それぞれ、複数個設けられていても良い。容量が最も大きくなる位置に置かれた電極が交流電力の伝送に寄与することになるため、電極の配設位置に対する伝送特性の劣化を防止することができる。
【0016】
第1タイヤと第2タイヤとの2つを用いるのは、路面から電流を供給する経路と、路面へ帰還する経路とを設けるためである。したがって、タイヤを介した路面から車両への電流の供給路と、車両からタイヤを介した路面への帰還路が形成されるのであれば、2以上のタイヤを用いても良い。例えば、電流の供給路に、第1、第3の2つのタイヤを並列に用いて、電流の帰還路に第2、第4の2つのタイヤを並列に用いても良い。また、電流の供給路に、第1のタイヤだけを用いて、電流の帰還路に第2、第4のタイヤを並列に用いても良い。逆に、電流の供給路に、第1、第2のタイヤを並列に用いて、電流の帰還路に第2のタイヤだけを用いても良い。また、車両は、タイヤを有する移動体の意味であり、自動車、オートバイ、自転車、ラジオコントロールカー、産業用車両、ロボットなどを含む。
【0017】
受電装置は、交流電力を整流する整流回路や、整流後の電力を貯蔵するバッテリなどを有する回路である。受電装置には、第1導体と第1タイヤ内導体間の容量及び第1電極と第1タイヤ内導体間の容量、第2導体と第2タイヤ内導体間の容量及び第2電極と第2タイヤ内導体間の容量を含む回路において、共振を生じさせるコイルを有することが望ましい。タイヤによる容量に対してコイルを直列に挿入して直列共振させても、容量に対してコイルを並列に挿入して並列共振させても良い。また、分布定数回路により共振を実現しても良い。また、インピーダンスを整合させる整合回路を設けることが望ましい。
【0018】
本発明は、走行中に給電する装置とすることも、駐車場や車庫において車両が停止している時に給電する給電装置とすることも可能である。すなわち、走行中に給電する場合には、第1導体と第2導体とは、第1タイヤ及び第2タイヤが走行する路面上に設置され、又は、路面下に埋設される。第1導体と第2導体とは、走行車線において、両側のタイヤが走行し得る幅と、間隔で、設ければ良い。標準の安定した走行において、路面から給電されて電力をバッテリに蓄電することで、交差点や、車線変更などにより、給電のための軌道からタイヤが、一時期、部分区間だけ外れても、走行を継続することは可能である。また、第1導体、第2導体と、第1電極、第2電極との間の第1タイヤ、第2タイヤを介在させた静電容量は、タイヤが回転しても変化しない。したがって、車両が走行していても、路面から車両に安定した給電が可能となる。
【0019】
また、駐車場などにおいて車両が停止している時に給電するのであれば、第1導体と第2導体とは、駐車時に、第1タイヤ及び第2タイヤが接する路面上に設置され、又は、路面下に埋設される。又は、車輪止めの表面や内部に第1導体、第2導体を設けても良い。
【0020】
第2の発明は、車両に対する給電装置において、車両の有する第1タイヤの下方に設置された第1導体と、車両の有する第2タイヤの下方に設置された第2導体と、第1タイヤに近接し、第1タイヤの有する第1タイヤ内導体と容量結合して、車両に配設された第1電極と、第2タイヤに近接し、第2タイヤの有する第2タイヤ内導体と容量結合して、車両に配設された第2電極と、第1導体と第2導体の間に給電される交流電力を、第1電極と第2電極により受電する受電装置とを有することを特徴とする車両給電装置である。
【0021】
この発明において、受電装置には、第1導体と第1タイヤ内導体間の容量及び第1電極と第1タイヤ内導体間の容量、第2導体と第2タイヤ内導体間の容量及び第2電極と第2タイヤ内導体間の容量を含む回路において、共振を生じさせるコイルを有することが望ましい。タイヤによる容量に対してコイルを直列に挿入して直列共振させても、容量に対してコイルを並列に挿入して並列共振させても良い。また、分布定数回路により共振を実現しても良い。また、第1電極、第2電極から左右を見たインピーダンスが等しくなるように、インピーダンスを整合させるための整合回路を有することが望ましい。
また、この発明において、第1導体と第2導体との間に交流電力を供給する電源装置を有しても良い。
さらに、この電源装置には、第1導体と第1タイヤ内導体間の容量及び第1電極と第1タイヤ内導体間の容量、第2導体と第2タイヤ内導体間の容量及び第2電極と第2タイヤ内導体間の容量を含む回路において、共振を生じさせるコイルを有することが望ましい。また、第1導体、第2導体から左右を見たインピーダンスが等しくなるように、インピーダンスを整合させるための整合回路を有することが望ましい。
【0022】
第3の発明は、車両に対する給電方法において、車両の有するタイヤを容量として、容量結合により路面から車両に交流電力を給電する車両給電方法である。
すなわち、本発明は、上記した原理により、タイヤの有する静電容量を利用して、路面から車体に向け給電する車両給電方法である。この場合には、電流の供給路にタイヤを設けて、電流の帰還路には、タイヤを設けずに、直接、金属体を路面に近接(接触を含む)させたりする方法も考えられる。要するに、一方の経路にタイヤを介在させて、電力を車体に給電させれば良い。
【0023】
第4の発明は、車両に対する給電方法において、車両の有する第1タイヤが接触する路面上、又は、路面下に第1導体を設置し、車両の有する第2タイヤが接触する路面上、又は、路面下に第2導体を設置し、第1タイヤに近接し、第1タイヤの有する第1タイヤ内導体と容量結合する第1電極を車両に配設し、第2タイヤに近接し、第2タイヤの有する第2タイヤ内導体と容量結合する第2電極を車両に配設し、第1導体と第2導体の間に交流電力を給電し、第1電極と第2電極により交流電力を受電することを特徴する車両給電方法である。
本発明は、第2の発明の車両給電装置に対応する給電方法の発明である。
【0024】
この発明において、第1導体と第1電極間の容量(第1導体と第1タイヤ内導体間の容量及び第1電極と第1タイヤ内導体間の容量)、第2導体と第2電極間の容量(第2導体と第2タイヤ内導体間の容量及び第2電極と第2タイヤ内導体間の容量)を含む回路において、コイルを用いて、共振させて給電させるようにしても良い。このコイルは、第1導体、第2導体側の回路に設けても、第1電極、第2電極側の回路に設けても良い。コイルは容量と直列に挿入して直列共振を生じさせても、容量と並列に挿入して並列共振を生じさせるようにしても良い。また、コイルは、両方に設けても良い。また、第1導体、第2導体から左右を見たインピーダンスを等しくする整合回路、第1電極、第2電極から左右を見たインピーダンスを等しくする整合回路を、それぞに、設けても良い。
また、本発明において、車両への給電は、車両が路面を走行している時に、行われるようにしても良い。
なお、タイヤ内導体は、スチールベルトの他、リム、ディスク、ホイールも含む概念である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の車両給電装置、車両給電方法によると、タイヤの有する内導体を介在させたタイヤの有する静電容量を用いて、路面側に設けられた第1導体、第2導体と、車両側に設けられた第1電極、第2電極との間の電力伝送を行うようにしている。したがって、タイヤを介在させる電力伝送であるので、第1導体又は第2導体と、第1電極又は第2電極間の距離が長くとも、効率の良い電力伝送が実現できる。また、第1導体、第2導体の上方に、第1タイヤ、第2タイヤを位置させるだけで良いので、給電のための車両の位置決めが容易となる。また、走行道路の車線に沿って、線状の第1導体、第2導体を設置すれば、その第1導体と第2導体の上を両側のタイヤを通過させることで、効率の高い走行給電が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の具体的な実施例1に係る車両給電装置の全体構成を示した構成図。
【図2】実施例1の車両給電装置の等価回路。
【図3】タイヤの軸断面図。
【図4.A】タイヤの測定されたインピーダンスの実部の周波数特性。
【図4.B】タイヤの測定されたインピーダンスの虚部の周波数特性。
【図5.A】タイヤの測定されたインピーダンスの絶対値の周波数特性。
【図5.B】タイヤの測定されたインピーダンスの位相の周波数特性。
【図6】タイヤの存在しない導体−電極間の測定されたインピーダンスの絶対値とタイヤの測定されたインピーダンスの絶対値との関係を示す周波数特性。
【図7】タイヤを介在させた導体−電極間の伝送特性を測定するための回路。
【図8.A】ポート1からポート2への透過特性を示すスミスチャート。
【図8.B】タイヤを介在させた導体−電極間の伝送特性。
【図9】実施例1に係る車両給電装置の回路図。
【図10】図9における車両給電装置の伝送特性。
【図11】実施例2に係る車両給電装置のタイヤと電極との関係を示した構成図。
【図12】実施例3に係る車両給電装置のタイヤと電極との関係を示した構成図。
【図13】実施例4に係る車両給電方法を示した構成図。
【図14】実施例5に係る車両給電方法を示した構成図。
【図15】実施例5に係る車両給電方法の対称性を利用した回路図。
【図16】実施例5の動作を説明するための等価回路図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
図1は、実施例1の全体の構成を示している。給電には、車両の有するタイヤのうち2つのタイヤが選択される。例えば、右後輪の第1タイヤ11、左後輪の第2タイヤ12が選択され、第1タイヤ11に接触して、その下方に、第1導体21が設けられており、第2タイヤ12に接触して、その下方に、第2導体22が設けられている。第1導体21と第2導体22は、駐車場の路面上に設けられている。第1導体21と第2導体22の間に、車両に給電するための電源装置30が設けられている。電源装置30は、信号発生器31と、その信号発生器31の発生する信号を増幅して交流電力を出力する増幅器32、コイル33を有している。第1タイヤ11の外周の上部には、外周と対面するように第1タイヤ11とは非接触の平板状の第1電極41と、第2タイヤ12の外周の上部には、外周と対面するように第2タイヤ12とは非接触の平板状の第2電極42が設けられている。第1電極41と第2電極42は、車両の車体に取り付けられている。例えば、タイヤのフードからタイヤの外周面に向けて突出させたロッドの先端に、平板状の電極を設ければ良い。又は、タイヤのフード内面に、タイヤの外周に対面するように平板状の電極を設けても良い。第1電極41と第2電極42は整流回路43に接続され、整流回路43はバッテリィ44に接続されている。車両の受電装置40は、整流回路43とバッテリィ44とで構成されている。
【0029】
図1の構造において、等価電気回路は、図2のようになる。信号発生器31で発生された周波数1MHzの交流信号は増幅器32で増幅されて交流電力S1が生成される。その交流電力S1が第1導体21に供給される。
【0030】
本実施例では、第1タイヤ11と第2タイヤ12は内部にスチールベルト(タイヤ内導体)を有するタイヤで構成されている。図3のタイヤの軸に垂直な断面図に示されているように、内部にスチールベルトを有するタイヤにおいては、路面に対する接地部に当たるトレッドゴムの中に、リボン状の金属メッシュからなるスチールベルト13がタイヤの外周に沿って設けられている。したがって、第1タイヤ11の外周面15とこのスチールベルト13との間の距離は小さく、スチールベルトの面積が大きいために、第1タイヤ11の外周面15とスチールベルト13との間に大きな静電容量が存在する。すなわち、第1タイヤ11の外周面15と同心の円筒形状のスチールベルト13との間に、円筒コンデンサが形成されることになる。
【0031】
このタイヤの構造により、第1導体21とスチールベルト13との間に大きな静電容量C1が形成され、第1電極41とスチールベルト13との間に大きな静電容量C2が形成される。その結果、第1導体21と第1電極41との間には、容量C1と容量C2との直列接続による容量Cが形成されることになる。このように、第1導体21と第1電極41は、第1タイヤ11を媒体とする静電容量を形成している。第1タイヤ11は、ゴム材の中に金属メッシュから成るスチールベルト13が埋め込まれているので、第1電極41が、第1タイヤ11の円周上のどの角度位置にあっても、安定した静電容量Cが形成される。このことは、第1タイヤ11の外周面に近接して(接触を含む)、回転角方向に異なる位置に、2つの導体を設ければ、この2つの導体の距離が大きくとも、2つの導体間の静電容量は大きく、2つの導体を電極とする静電容量の大きなコンデンサが形成されることになる。例えば、2つの導体をタイヤの直径方向の対向する位置に設けた場合には、2つの導体間の距離は、タイヤの直径だけ離れることになるが、2つの導体間の静電容量は大きい。この第1タイヤの有する静電容量を利用して、第1導体21から第1電極41へ交流電力を伝送させることができる。第2タイヤ12についても同様であり、第2導体22と第2電極42とは、第2タイヤ12を媒体とする大きな静電容量を形成している。
【0032】
第1導体21から供給された交流電力S1は、第1タイヤ11の有する容量により、第1電極41に伝達されて、整流回路43に入力する。また、帰還電流は、第2電極42から、第2タイヤ12の有する容量により、第2導体22に誘導され、コイル33を介してアースに流れる。コイル33のインダクタンスは、交流電流の周波数1MHzにおいて、第1タイヤ11の容量C、第2タイヤ12の容量Cと、直列共振する値に設定されている。本発明は、第1導体21と第2導体22との間に交流電力を供給して、第1タイヤ11、第2タイヤ12を容量として用いて、共振作用により、整流回路43に、高効率で交流電力を伝送する装置である。
【0033】
次に、図3の配置関係において、第1電極41と第1タイヤ11の外周上面との距離を変化させて、第1導体21と第1電極41間のインピーダンスの周波数特性を測定した。図4.Aはインピーダンスの実部、図4.Bはインピーダンスの虚部を表す。また、図5.Aはインピーダンスの絶対値、図5.Bはインピーダンスの位相を表す。第1電極41が第1タイヤ11に接触している場合には、インピーダンスの絶対値は、離れている場合に比べて、周波数1MHzにおいて、1/3程度に小さくなり、進み位相は、1/10程度小さくなることが分かる。しかし、第1電極41を第1タイヤ11の外周面から1cm〜4cmの範囲で、離間しても、絶対値、位相とも、大きく変化していないことが分かる。
【0034】
次に、これらの特性が、第1電極41と第1導体21との間に、第1タイヤ11が存在することにより生じたものであることを確認した。第1タイヤ11を除去して、第1電極41と第1導体21との間隔を、第1タイヤ11の直径よりも短くして、第1電極41と第1導体21間のインピーダンスを測定した。その結果を図6に示す。すなわち、第1電極41と第1導体21との間のインピーダンスは、第1タイヤ11が存在する場合には、存在しない場合に比べて1/10に低下していることが分かる。したがって、第1タイヤ11の存在が、第1導体21から第1電極41への高周波電力の伝送に寄与することが分かる。
【0035】
次に、第1電極41を第1タイヤの上部に接触させた状態において、第1導体21から第1電極41への伝送特性を測定した。第1電極41を第1タイヤの上部の外周面に接触させた状態における第1導体21と第1電極41間のインピーダンスは、1MHzにおいて、約700−j約2000Ωである。抵抗成分は、容量成分に比べて1/3程度に小さい。測定回路を図7の回路とした。ポート1に接続される電源系とポート2に接続される測定器の特性インピーダンスを50Ωとして、そのインピーダンスに整合させるために、第1導体21とポート1との間と、第1電極41とポート2との間に、それぞれ、T形の低域通過フィルタを設けた。図8.Aはポート1からポート2への透過係数及びポート1からポート1への反射係数を示すスミスチャート、図8.Bは、ポート1からポート2へのシミュレーションによる伝送特性及びポート1からポート1への反射係数を示している。図8.Bから理解されるように、第1導体21と第1電極41との間に第1タイヤ11が存在する状態において、周波数1MHzにおいて、第1導体21と第1電極41間の伝送損失は略零であることが分かる。
【0036】
図9は、増幅器32と第1導体21との間に第1整合回路34を設け、第1電極41と整流回路43との間に第2整合回路45を設けた回路図である。第1整合回路34は電源装置30の一部であり、第2整合回路45は受電装置40の一部である。また、第1整合回路34のインダクタンス35は、電源装置30に設けられた、第1導体21と第1電極41間の容量C(第1導体21と第1タイヤ内導体間の容量C1及び第1電極41と第1タイヤ内導体間の容量C2)を含む回路で共振を生じさせるコイルに該当する。又、第2整合回路45のインダクタンス46は、受電装置40に設けられた、第1導体21と第1電極41間の容量Cを含む回路で共振を生じさせるコイルに該当する。
【0037】
図9の回路におけるポート1、2間(4端子回路網)での伝送特性を図10に示す。周波数1MHzにおいて、損失が十分に小さいことが分かる。これは、タイヤのインピーダンスの抵抗成分が容量成分に比べて十分に小さいためと思われる。また、タイヤのインピーダンスの抵抗成分を上記の値700Ωに対して±10%変化させた時の伝送特性は、図10の特性とほとんど変化がなく、周波数1MHzにおいて、損失が十分に小さい特性が得られた。また、タイヤのインピーダンスの容量性リアクタンス成分を上記の値2000Ωに対して±10%変化させた時の伝送特性は、図10の特性とほとんど変化がなく、周波数1MHzにおいて、損失が十分に小さい特性が得られた。したがって、タイヤの種類や、走行時におけるタイヤの変形や、雨や雪などの外部環境の変化があっても、本車両給電装置は、車両への給電を安定して高効率で実現することができる。
【0038】
第1整合回路34、第2整合回路45は、T形のL、C回路で構成したが、π型のC−L−C回路で構成しても良い。
【実施例2】
【0039】
第1電極41を、図11に示すように、第1タイヤ11にの外周面に回転接触する第1ローラ51で構成したものである。他の構成については、実施例1と同一である。この構成によると、第1電極、第2電極を、第1タイヤ、第2タイヤの外周面に接触させることができ、第1電極と第1タイヤ内導体間の容量C2を大きくすることができ、したがって、第1導体と第1電極間の容量Cを大きくすることができる。同様に、第2電極と第2タイヤ内導体間の容量C2を大きくすることができ、第2導体と第2電極間の容量Cを大きくすることができ、効率の高い交流伝送が可能となる。
【実施例3】
【0040】
タイヤのリムは、図12のように構成されている。タイヤゴムを装着する金属性円筒形状のリム61と、軸63からリム61の外周に接続する放射方向に伸び金属性のディスク62を有している。これらの導体であるリム61の外周面や、ディスク62の外周先端部と、路面との距離は小さく、路面に対面する面積は大きい。したがって、第1導体、第2導体と、リム61、ディスク62との間、第1電極、第2電極と、リム61と、ディスク62との間で、大きいな容量が形成される。この容量を介しても、第1導体、第2導体から、第1電極、第2電極へ交流電力を効率良く伝送することができる。リム(ホイール)61及びディスク62はタイヤ内導体に該当する。
この場合に、第1電極53は、ディスク62に接近させて設けても良い。また、第1電極55を、第1タイヤ11を取り付けるディスク64に近接させて設けても良い。また、第1電極57を、車軸63に近接させて設けても良い。第2電極についても同様である。車両給電装置の他の構成については、実施例1と同一である。
【実施例4】
【0041】
図13に示すように、本実施例は、車両75の走行中に路面から車両に給電する実施例である。道路の一走行車線70には、路面下に第1導体71、第2導体72が埋設されている。第1導体71、第2導体72は、車線70に沿ってプレート状に長く形成されている。この2つの第1導体71と第2導体72間に交流電力が図示しない電源装置から供給されている。道路において、給電区間を定めて、多数の区間に分割して、第1導体71と第2導体72を区間毎に分離して、各区間毎に給電装置を設置して、各区間毎に給電するようにしても良い。第1導体71、第2導体72の幅は、第1タイヤ11、第2タイヤ22の幅の5倍程度の幅に形成されている。これにより、車線70を走行する車両75が車線の幅方向に位置が変動しても、第1導体71、第2導体72の上に、第1タイヤ11、第2タイヤ12が位置するようにすることができる。また、タイヤが回転してもその容量は変化しない。これにより、走行中であっても安定して、高効率で車両75に給電することができる。この電力を車両の走行動力とすることができる。
【実施例5】
【0042】
本実施例では、第1タイヤ11のスチールベルト13(図3)とリム(ホイール)61とを電気的に接続し、軸63(図12)から受電するものである。第2タイヤ12についても同様な構成である。全体の構成は、図14に示されている。第1タイヤ11は、第1導体21上に位置し、第2タイヤ12は第2導体22上に位置する。第1導体21と第2導体22間に給電された交流電力を、第1タイヤ11の軸631と、第2タイヤ12の軸632の両端から受電するものである。第1導体21と第2導体22間に容量C1 を挿入し、軸631と軸632との間に容量C2 を挿入する。また、信号発生器31と第1導体21との間には、インダクタンタス35が配設されている。rs は、等価抵抗である。また、インダクタンス46は、軸631と整流回路43との間に設けられている。
【0043】
車両は構造が左右対称なので、供給する電圧も左右対称の差動モードとなる。そこで中心線上に対称面をとると、鏡像原理により、差動モード電圧は中心線上では零ボルトとなる。従って、それを仮想的な接地点と考えてよい。結論として、図14の回路は図15の回路と等価となる。並列容量は2倍、直列抵抗とインダクタは半分の値となっていることに注意する。これを電気的等価回路で表すと図16となる。数式を見やすくするため、インダクタ、容量、抵抗を示す変数記号は、図16に示すように添え字のない記号が用いられている。図16の中のL-C-R-C-L の部分の電力透過効率を高めることが本実施例の目的である。もし、L もC も挿入せず、タイヤの抵抗R だけの場合は、電力透過効率が低くなるのは明白である。なぜなら、通常は電源内部インピーダンスや負荷抵抗(ここではどちらもz0 と記述してある)に比べて、タイヤの電気抵抗R はかなり高いからである。
【0044】
以下に図16の回路の動作を説明する。実際のタイヤは複素インピーダンスを持つが、ここでは簡単のため、これを純抵抗R で代表させて説明する。道路側にコイルL を直列に挿入し、その出力にコンデンサC を接地と並列に設ける。車載側はこれとは逆順にC とL を設ける。これらL とC の値は道路側と同じ値に設定する。なお、車載側のC の接地端子の接続先については後ほど説明する。交流電源の周波数をf とし、ω=2πf と書く。交流電源の出力インピーダンスを車載負荷の入力インピーダンスと同じ値に設定する。これをz0 と書くこととする。通常、タイヤの電気抵抗R はz0 よりも遥かに高い。
【0045】
すなわち、
【数1】
であることが本実施例の適用条件である。また、本実施例はL とC の値を
【数2】
と設定し、かつ、コイルのリアクタンス値をタイヤ抵抗より十分大きく
【数3】
と設定することを特徴とする。
【0046】
以下にこの動作原理を説明する。タイヤ部分の抵抗R だけからなる回路のアドミタンス行列は、非特許文献2に記載の計算手法により
【数4】
である。この両側に並列にC を設けることにより、そのアドミタンス行列は
【数5】
となる。
また、この回路のインピーダンス行列は、上記の逆行列、すなわち
【数6】
である。さらに、この回路の両側にL を直列に挿入すると、そのインピーダンス行列Z は
【数7】
となる。これを行列の成分毎に分解して書くと、対角成分は
【数8】
である。
【0047】
これに式(2) を適用してL を消去すると
【数9】
となる。同様に、非対角成分は
【数10】
である。すなわち
【数11】
かつ
【数12】
である。
【0048】
これらの結果を、インピーダンス行列を散乱行列に変換する公式(非特許文献2)に代入すると
【数13】
を得る。この散乱行列から非対角成分だけ抽出すると
【数14】
となる。これより、電力透過係数|S21|2 は
【数15】
となる。
【0049】
これはまた、式(2) を用いるとC の代わりにL で表現することもできる。つまり、
【数16】
である。条件式(1)(3)すなわちz0 <<R <<ωL を考慮すると、上式の分母の初項と末項は中間項に比べてより高次の微小量なので、近似式として
【数17】
を得る。
例えば数値例として、タイヤ部分を透過する電力透過効率96% 以上、つまり|S21|2 > 0.96とするには
【数18】
すなわち
【数19】
と設定すればよい。
【0050】
上記の動作解析は、図1、図9の実施例についても成立する。このように、電源インピーダンスや負荷インピーダンスに比べて高い抵抗値をもつタイヤであっても、それを透過して電力を効率よく伝送することが本発明により可能となる。たとえば、走行中の車両に2個1組のタイヤを通じて電気エネルギーを充電するシステムなどに有効である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、電気自動車などの電気を動力とする車両に対する安定した高効率の給電装置、給電方法に用いることができる。走行中の給電に用いることができる。
【符号の説明】
【0052】
11…第1タイヤ
12…第2タイヤ
13…スチールベルト
21…第1導体
22…第2導体
30…電源装置
40…受電装置
41…第1電極
42…第2電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の有する第1タイヤの下方に設置された第1導体と、車両の有する第2タイヤの下方に設置された第2導体とから、前記第1タイヤの有する第1タイヤ内導体及び前記第2導体の有する第2タイヤ内導体を介して、前記車両に給電する車両給電装置であって、
前記第1タイヤに近接し、前記第1タイヤ内導体と容量結合して、前記車両に配設された第1電極と、
前記第2タイヤに近接し、前記第2タイヤ内導体と容量結合して、前記車両に配設された第2電極と、
前記第1導体と前記第2導体の間に給電される交流電力を、前記第1電極と前記第2電極により受電する受電装置と
を有することを特徴とする車両給電装置。
【請求項2】
前記受電装置には、前記第1導体と前記第1タイヤ内導体間の容量及び前記第1電極と前記第1タイヤ内導体間の容量、前記第2導体と前記第2タイヤ内導体間の容量及び前記第2電極と前記第2タイヤ内導体間の容量を含む回路において、共振を生じさせるコイルを有することを特徴とする請求項1に記載の車両給電装置。
【請求項3】
前記第1導体と前記第2導体とは、前記第1タイヤ及び前記第2タイヤが走行する路面上に設置され、又は、路面下に埋設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両給電装置。
【請求項4】
前記第1導体と前記第2導体とは、駐車時に、前記第1タイヤ及び前記第2タイヤが接する路面上に設置され、又は、路面下に埋設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両給電装置。
【請求項5】
車両に対する給電装置において、
車両の有する第1タイヤの下方に設置された第1導体と、
車両の有する第2タイヤの下方に設置された第2導体と、
前記第1タイヤに近接し、前記第1タイヤの有する前記第1タイヤ内導体と容量結合して、前記車両に配設された第1電極と、
前記第2タイヤに近接し、前記第2タイヤの有する前記第2タイヤ内導体と容量結合して、前記車両に配設された第2電極と、
前記第1導体と前記第2導体の間に給電される交流電力を、前記第1電極と前記第2電極により受電する受電装置と
を有することを特徴とする車両給電装置。
【請求項6】
前記受電装置には、前記第1導体と前記第1タイヤ内導体間の容量及び前記第1電極と前記第1タイヤ内導体間の容量、前記第2導体と前記第2タイヤ内導体間の容量及び前記第2電極と前記第2タイヤ内導体間の容量を含む回路において、共振を生じさせるコイルを有することを特徴とする請求項5に記載の車両給電装置。
【請求項7】
前記第1導体と前記第2導体との間に前記交流電力を供給する電源装置を有することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の車両給電装置。
【請求項8】
前記電源装置には、前記第1導体と前記第1タイヤ内導体間の容量及び前記第1電極と前記第1タイヤ内導体間の容量、前記第2導体と前記第2タイヤ内導体間の容量及び前記第2電極と前記第2タイヤ内導体間の容量を含む回路において、共振を生じさせるコイルを有することを特徴とする請求項7に記載の車両給電装置。
【請求項9】
車両に対する給電方法において、
車両の有するタイヤを容量として、容量結合により路面から前記車両に交流電力を給電する車両給電方法。
【請求項10】
車両に対する給電方法において、
車両の有する第1タイヤが接触する路面上、又は、路面下に第1導体を設置し、
車両の有する第2タイヤが接触する路面上、又は、路面下に第2導体を設置し、
前記第1タイヤに近接し、前記第1タイヤの有する前記第1タイヤ内導体と容量結合する第1電極を前記車両に配設し、
前記第2タイヤに近接し、前記第2タイヤの有する前記第2タイヤ内導体と容量結合する第2電極を前記車両に配設し、
前記第1導体と前記第2導体の間に交流電力を給電し、前記第1電極と前記第2電極により前記交流電力を受電する
ことを特徴する車両給電方法。
【請求項11】
前記第1導体と前記第1タイヤ内導体間の容量及び前記第1電極と前記第1タイヤ内導体間の容量、前記第2導体と前記第2タイヤ内導体間の容量及び前記第2電極と前記第2タイヤ内導体間の容量を含む回路において、コイルを用いて、共振させて給電させる
ことを特徴とする請求項10に記載の車両給電方法。
【請求項12】
前記車両への給電は、前記車両が路面を走行している時に、行われることを特徴する請求項9乃至請求項11の何れか1項に記載の車両給電方法。
【請求項1】
車両の有する第1タイヤの下方に設置された第1導体と、車両の有する第2タイヤの下方に設置された第2導体とから、前記第1タイヤの有する第1タイヤ内導体及び前記第2導体の有する第2タイヤ内導体を介して、前記車両に給電する車両給電装置であって、
前記第1タイヤに近接し、前記第1タイヤ内導体と容量結合して、前記車両に配設された第1電極と、
前記第2タイヤに近接し、前記第2タイヤ内導体と容量結合して、前記車両に配設された第2電極と、
前記第1導体と前記第2導体の間に給電される交流電力を、前記第1電極と前記第2電極により受電する受電装置と
を有することを特徴とする車両給電装置。
【請求項2】
前記受電装置には、前記第1導体と前記第1タイヤ内導体間の容量及び前記第1電極と前記第1タイヤ内導体間の容量、前記第2導体と前記第2タイヤ内導体間の容量及び前記第2電極と前記第2タイヤ内導体間の容量を含む回路において、共振を生じさせるコイルを有することを特徴とする請求項1に記載の車両給電装置。
【請求項3】
前記第1導体と前記第2導体とは、前記第1タイヤ及び前記第2タイヤが走行する路面上に設置され、又は、路面下に埋設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両給電装置。
【請求項4】
前記第1導体と前記第2導体とは、駐車時に、前記第1タイヤ及び前記第2タイヤが接する路面上に設置され、又は、路面下に埋設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両給電装置。
【請求項5】
車両に対する給電装置において、
車両の有する第1タイヤの下方に設置された第1導体と、
車両の有する第2タイヤの下方に設置された第2導体と、
前記第1タイヤに近接し、前記第1タイヤの有する前記第1タイヤ内導体と容量結合して、前記車両に配設された第1電極と、
前記第2タイヤに近接し、前記第2タイヤの有する前記第2タイヤ内導体と容量結合して、前記車両に配設された第2電極と、
前記第1導体と前記第2導体の間に給電される交流電力を、前記第1電極と前記第2電極により受電する受電装置と
を有することを特徴とする車両給電装置。
【請求項6】
前記受電装置には、前記第1導体と前記第1タイヤ内導体間の容量及び前記第1電極と前記第1タイヤ内導体間の容量、前記第2導体と前記第2タイヤ内導体間の容量及び前記第2電極と前記第2タイヤ内導体間の容量を含む回路において、共振を生じさせるコイルを有することを特徴とする請求項5に記載の車両給電装置。
【請求項7】
前記第1導体と前記第2導体との間に前記交流電力を供給する電源装置を有することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の車両給電装置。
【請求項8】
前記電源装置には、前記第1導体と前記第1タイヤ内導体間の容量及び前記第1電極と前記第1タイヤ内導体間の容量、前記第2導体と前記第2タイヤ内導体間の容量及び前記第2電極と前記第2タイヤ内導体間の容量を含む回路において、共振を生じさせるコイルを有することを特徴とする請求項7に記載の車両給電装置。
【請求項9】
車両に対する給電方法において、
車両の有するタイヤを容量として、容量結合により路面から前記車両に交流電力を給電する車両給電方法。
【請求項10】
車両に対する給電方法において、
車両の有する第1タイヤが接触する路面上、又は、路面下に第1導体を設置し、
車両の有する第2タイヤが接触する路面上、又は、路面下に第2導体を設置し、
前記第1タイヤに近接し、前記第1タイヤの有する前記第1タイヤ内導体と容量結合する第1電極を前記車両に配設し、
前記第2タイヤに近接し、前記第2タイヤの有する前記第2タイヤ内導体と容量結合する第2電極を前記車両に配設し、
前記第1導体と前記第2導体の間に交流電力を給電し、前記第1電極と前記第2電極により前記交流電力を受電する
ことを特徴する車両給電方法。
【請求項11】
前記第1導体と前記第1タイヤ内導体間の容量及び前記第1電極と前記第1タイヤ内導体間の容量、前記第2導体と前記第2タイヤ内導体間の容量及び前記第2電極と前記第2タイヤ内導体間の容量を含む回路において、コイルを用いて、共振させて給電させる
ことを特徴とする請求項10に記載の車両給電方法。
【請求項12】
前記車両への給電は、前記車両が路面を走行している時に、行われることを特徴する請求項9乃至請求項11の何れか1項に記載の車両給電方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4.A】
【図4.B】
【図5.A】
【図5.B】
【図6】
【図7】
【図8.A】
【図8.B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4.A】
【図4.B】
【図5.A】
【図5.B】
【図6】
【図7】
【図8.A】
【図8.B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−175869(P2012−175869A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37579(P2011−37579)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【Fターム(参考)】
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