説明

車両識別装置、車両識別方法、及びプログラム

【課題】文字列認識による認識の漏れと特徴領域の抽出による認識の漏れを互いに補い、かつ同一の車両の文字列と特徴領域とを関連付ける。
【解決手段】文字列認識部202は、撮像装置100が撮像した画像から文字列を認識し、当該文字列及び当該文字列の座標を出力する。領域抽出部205は、撮像装置100が撮像した画像から当該画像に含まれる車両の特徴部分を示す特徴領域を抽出する。距離算出部は、文字列認識部202が出力した各文字列の座標と領域抽出部205が抽出した各特徴領域の座標との間の距離をそれぞれ算出する。判定部207は、文字列と特徴領域との組のうち、距離算出部が算出した距離と所定の基準距離との差が所定の閾値以内である組を、同一の車両におけるナンバープレートと特徴部分との組であると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線に設けられた撮像装置が撮像した画像に含まれる車両を識別する車両識別装置、車両識別方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路における料金収受では、車両固有の登録情報の特定が重要となる。また、違反車両の特定においても、車両固有の登録情報の特定が重要となる。これらの登録情報を特定する方法としては、従来、車載器と路側アンテナの通信により取得する方法や、OCRなどの画像処理技術をもってナンバープレートを認識し、その登録情報より取得する方法などを用いている。また、画像により車種を判定する手法(例えば4輪車と2輪車の判定)も種々開発されている。
【0003】
ここで、特許文献1には、車両の特徴部分を抽出する方法とOCR処理を実行する方法の両方を用いて車両を認識する方法が記載されている。具体的には、まず車両のナンバープレートを示す特徴部分を抽出し、次に、当該特徴部分を対象にOCR処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−15515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両の認識は、漏れがないように行うことが好ましい。そのため、車両の認識に当たって特徴部分の抽出とOCR処理との両方を実行することで、それぞれの認識の漏れを補うことができると考えられる。しかしながら、単に両方の処理を行うと、同一の車両が重複して検出されてしまうという問題がある。また、特許文献1に記載の発明を用いた場合、ナンバープレートの抽出に失敗すると、当該部分が車両と認識されないこととなるため、認識の漏れを補うことができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、車線に設けられた撮像装置が撮像した画像に含まれる車両を識別する車両識別装置であって、前記撮像装置が撮像した画像から文字列を認識し、当該文字列及び当該文字列の座標を出力する文字列認識部と、前記撮像装置が撮像した画像から当該画像に含まれる車両の特徴部分を示す特徴領域を抽出する領域抽出部と、前記文字列認識部が出力した各文字列の座標と前記領域抽出部が抽出した各特徴領域の座標との間の距離をそれぞれ算出する距離算出部と、前記文字列と前記特徴領域との組のうち、前記距離算出部が算出した距離と所定の基準距離との差が所定の閾値以内である組を、同一の車両におけるナンバープレートと特徴部分との組であると判定する判定部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明においては、前記文字列認識部が出力した文字列のパターンに基づいて、当該文字列を有する車両の車種を判別する文字列判別部を備え、前記領域抽出部は、前記車両の車種毎に特徴領域を抽出し、前記判定部は、前記文字列と前記特徴領域との組の車種が一致する場合に、当該組が同一の車両におけるナンバープレートと特徴部分との組であるか否かの判定を実行することが好ましい。
【0008】
また、本発明においては、前記基準距離は、画像に写ったときのナンバープレートと特徴部分との標準的な距離であることが好ましい。
【0009】
また、本発明においては、前記特徴領域がナンバープレートでない場合に、前記文字列認識部が出力した文字列の座標と前記領域抽出部が抽出した特徴領域の座標とを結ぶ線分の角度を算出する角度算出部を備え、前記判定部は、距離算出部が算出した距離と前記基準距離との差が所定の閾値以内であり、かつ角度算出部が算出した角度と所定の基準角度との差が所定の閾値以内である場合に、前記文字列と前記特徴領域との組を、同一の車両におけるナンバープレートと特徴部分との組であると判定することが好ましい。
【0010】
また、本発明においては、前記基準角度は、画像に写ったときのナンバープレートの座標と特徴領域の座標とを結ぶ線分の標準的な角度であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、車線に設けられた撮像装置が撮像した画像に含まれる車両を識別する車両識別装置を用いた車両識別方法であって、文字列認識部は、前記撮像装置が撮像した画像から文字列を認識し、当該文字列及び当該文字列の座標を出力し、領域抽出部は、前記撮像装置が撮像した画像から当該画像に含まれる車両の特徴部分を示す特徴領域を抽出し、距離算出部は、前記文字列認識部が出力した各文字列の座標と前記領域抽出部が抽出した各特徴領域の座標との間の距離をそれぞれ算出し、判定部は、前記文字列と前記特徴領域との組のうち、前記距離算出部が算出した距離と所定の基準距離との差が所定の閾値以内である組を、同一の車両におけるナンバープレートと特徴部分との組であると判定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、車線に設けられた撮像装置が撮像した画像に含まれる車両を識別する車両識別装置を、前記撮像装置が撮像した画像から文字列を認識し、当該文字列及び当該文字列の座標を出力する文字列認識部、前記撮像装置が撮像した画像から当該画像に含まれる車両の特徴部分を示す特徴領域を抽出する領域抽出部、前記文字列認識部が出力した各文字列の座標と前記領域抽出部が抽出した各特徴領域の座標との間の距離をそれぞれ算出する距離算出部、前記文字列と前記特徴領域との組のうち、前記距離算出部が算出した距離と所定の基準距離との差が所定の閾値以内である組を、同一の車両におけるナンバープレートと特徴部分との組であると判定する判定部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、文字列認識部が認識した文字列の座標と、領域抽出部が抽出した特徴領域の座標との間の距離に基づいて、当該文字列と特徴領域とが同一の車両であるか否かを判定する。これにより、文字列認識部と領域抽出部の認識の漏れを補うことができ、かつ同一の車両の文字列と特徴領域とを関連付けておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による車両識別装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】判定部が出力する車両情報のデータ構成を示す図である。
【図3】本実施形態による車両識別装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】フレーム内統合処理の処理を示す第1のフローチャートである。
【図5】フレーム内統合処理の処理を示す第2のフローチャートである。
【図6】特徴領域の座標と文字列の座標とを結ぶ線分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態による車両識別装置200の構成を示す概略ブロック図である。
車両識別装置200は、撮像装置100が撮像する画像情報の入力を順次受け付け、当該画像情報から車両のナンバープレート情報を抽出して出力する装置であり、入力部201、文字列認識部202、文字列判別部203、文字列情報出力部204、領域抽出部205、比較値算出部206(距離算出部、角度算出部)、判定部207、出力部208を備える。
【0016】
入力部201は、撮像装置100から画像情報の入力を受け付ける。なお、撮像装置100は所定のフレーム間隔で連続して撮像を行っており、画像情報には、撮像開始時から昇順に割り振られるフレームIDが含まれる。
文字列認識部202は、入力部201が受け付けた画像情報に対してOCR処理を実行することで文字列の認識を行い、認識した文字列、当該文字列の座標、及び当該文字列の認識尤度を、文字列判別部203及び文字列情報出力部204に出力する。
文字列判別部203は、文字列認識部202から入力された文字列と所定のパターン情報とを比較することで、当該文字列が示すナンバープレートを備える車両の車種を判別する。車種としては、二輪車、一段プレートの四輪車、二段プレートの四輪車が挙げられる。ここで、一段プレートの四輪車とは、一段構えに表示されるナンバープレートが設置された四輪車である。同様に、二段プレートの四輪車とは、二段構えに表示されるナンバープレートが設置された四輪車である。
文字列情報出力部204は、文字列認識部202の出力と文字列判別部203による判別結果とを関連付け、認識した文字列、当該文字列の座標、当該文字列の認識尤度、及び車種を、比較値算出部206及び判定部207に出力する。
【0017】
領域抽出部205は、入力部201が受け付けた画像情報から二輪車の特徴部分に類似する領域と四輪車の特徴部分に類似する領域とを抽出する。本実施形態では、二輪車の特徴部分として運転者の頭から肩にかけての領域、すなわち運転者のヘルメットを用いる。また、四輪車の特徴部分として四輪車のナンバープレート(一段プレート、二段プレート)を用いる。
二輪車の特徴部分としてナンバープレートでなくヘルメットを用いる理由は、二輪車のナンバープレートは設置の自由度が高く、画像に写る角度が様々であることから、ナンバープレートよりヘルメットの方がより高い精度で抽出することができるためである。特徴部分の抽出は、予め特徴部分の特徴量について機械学習を行った判別プログラムに画像情報のある領域を入力し、入力した領域の特徴量と特徴部分の特徴量との類似度が高いものを抽出することで行う。特徴量としては、例えばHOG(Histograms of Oriented Gradients)を用い、判別プログラムとしては、例えばSVM(Support Vector Machine)を用いることができる。
領域抽出部205は、特徴部分に類似する領域を抽出すると、検知領域座標(左上及び右下の座標)、特徴量評価値(類似度)、及び車種(二輪車、四輪一段、又は四輪二段)を含む領域情報を出力する。
【0018】
比較値算出部206は、文字列情報出力部204の出力と領域抽出部205の出力とに基づいて、同一の車種に関連付けられた文字列の座標と特徴領域の座標との間の距離をそれぞれ算出する。また、比較値算出部206は、車種が二輪車を示す場合、文字列の座標と特徴領域の座標とを結ぶ線分の角度を算出する。
判定部207は、比較値算出部206が算出した距離が所定の閾値以内であるか否かに基づいて、文字列情報出力部204が出力した情報と領域抽出部205が出力した情報とが、同一の車両を示すものであるか否かを判定する。判定部207は、文字列情報出力部204が出力した情報と領域抽出部205が出力した情報とが、同一の車両を示すものであると判定した場合、これらを関連付けて出力部208に出力する。他方、判定部207は、文字列情報出力部204が出力した情報のうち領域抽出部205が出力した何れの情報とも関連付けられない情報と、領域抽出部205が出力した情報のうち文字列情報出力部204が出力した何れの情報とも関連付けられない情報とを、出力部208にそれぞれ別個に出力する。以下、判定部207が出力した情報を、車両情報と呼ぶ。
出力部208は、判定部207が出力した車両情報を外部装置に出力する。
【0019】
図2は、判定部207が出力する車両情報のデータ構成を示す図である。
車両情報は、文字列、車種、評価値、フレームID、及び車両位置座標を要素に持つ情報である。ここで、評価値とは、文字列の認識尤度または特徴領域の特徴量評価値を示すものである。評価値には、文字列認識部202によって認識された文字列が存在する場合に、当該文字列の認識尤度が適用され、文字列認識部202によって認識された文字列が存在しない場合に、特徴領域の特徴量評価値が適用される。
【0020】
上記構成を備えることで、車両識別装置200は、以下の処理を実行することができる。すなわち、文字列認識部202は、撮像装置100が撮像した画像から文字列を認識し、当該文字列及び当該文字列の座標を出力する。領域抽出部205は、撮像装置100が撮像した画像から当該画像に含まれる車両の特徴部分を示す特徴領域を抽出する。距離算出部は、文字列認識部202が出力した各文字列の座標と前記領域抽出部205が抽出した各特徴領域の座標との間の距離をそれぞれ算出する。判定部207は、文字列と特徴領域との組のうち、距離算出部が算出した距離と所定の基準距離との差が所定の閾値以内である組を、同一の車両におけるナンバープレートと特徴部分との組であると判定する。
これにより、車両識別装置200は、文字列認識部202と領域抽出部205の認識の漏れを補うことができ、かつ同一の車両の文字列と特徴領域とを関連付けておくことができる。
【0021】
次に、本実施形態による車両識別装置200の動作について説明する。
図3は、本実施形態による車両識別装置200の動作を示すフローチャートである。
まず、車両識別装置200の入力部201は、撮像装置100が撮像した画像情報の入力を受け付ける(ステップS1)。次に、文字列認識部202は、入力部201が受け付けた画像情報に対してOCR処理を実行し、文字列の認識を行う(ステップS2)。このとき、文字列認識部202は、文字列認識の認識尤度、及び文字列の座標を算出する。
【0022】
次に、文字列判定部207は、文字列認識部202が識別した文字列と所定のパターン情報とを比較することで、当該文字列が示すナンバープレートを備える車両の車種を判別する(ステップS3)。次に、文字列情報取得部は、文字列認識部202が出力する情報と文字列判定部207による判定結果を関連付けて比較値算出部206及び判定部207に出力する。
【0023】
他方、ステップS1で入力部201が画像情報の入力を受け付けると、領域抽出部205は、SVM等を用いて、入力部201が受け付けた画像情報から、二輪車の特徴領域、及び一段プレート並びに二段プレートの四輪車の特徴領域をそれぞれ抽出し、当該特徴領域の情報を比較値算出部206及び判定部207に出力する(ステップS4)。このとき、領域抽出部205は、抽出した特徴領域のそれぞれに対して、当該特徴領域が二輪車の特徴領域であるか、四輪車の特徴領域であるかを示す種別情報を付与する。
【0024】
次に、車両識別装置200は、1フレームの画像情報から抽出した文字列と特徴領域とを関連付けるフレーム内統合処理を実行する(ステップS5)。
図4は、フレーム内統合処理の処理を示す第1のフローチャートである。
判定部207は、領域抽出部205から受け付けた情報の中に、特徴領域が1つ以上存在するか否かを判定する(ステップS501)。判定部207は、特徴領域が存在すると判定した場合(ステップS501:YES)、文字列情報出力部204から受け付けた情報の中に、文字列が1つ以上存在するか否かを判定する(ステップS502)。
【0025】
判定部207が受け付けた情報の中に、文字列が存在すると判定した場合(ステップS502:YES)、比較値算出部206は、文字列情報出力部204から出力された文字列のうち、車種が二段プレートの四輪車であるもののそれぞれについて、以下に示すステップS504〜ステップS506の処理を実行する(ステップS503)。
【0026】
まず、比較値算出部206は、領域抽出部205から出力された特徴領域のうち、車種が二段プレートの四輪車であるものを抽出する。次に、比較値算出部206は、抽出した特徴領域とステップS503で選択した文字列との間の距離をそれぞれ算出する(ステップS504)。次に、判定部207は、比較値算出部206が距離を算出した文字列と特徴領域の組の中に、当該距離が所定の閾値d以下であるものが存在するか否かを判定する(ステップS505)。なお、閾値dとしては、例えば四輪二段プレートの幅の半分の値を用いると良い。
比較値算出部206が距離を算出した文字列と特徴領域の組の中に、当該距離が所定の閾値d以下であるものが存在する場合(ステップS505:YES)、判定部207は、当該文字列と特徴領域とを同一の車両を示すものであるか否かを判定し、それぞれを互いに関連付ける(ステップS506)。他方、比較値算出部206が距離を算出した文字列と特徴領域の組の中に、当該距離が所定の閾値d以下であるものが存在しない場合(ステップS505:NO)、ステップS503で選択した文字列に、特徴領域を関連付けない。
【0027】
なお、本発明において判定部207は、比較値算出部206が算出した距離と所定の基準距離との差が所定の閾値d以内である組を、同一の車両におけるナンバープレートと特徴部分との組であると判定するものである。基準距離とは、画像に写ったときのナンバープレートと特徴部分との標準的な距離であり、四輪車の特徴部分はナンバープレートであるため基準距離として0を用いている。
【0028】
二段プレートの四輪車を示す文字列全てに対して上記ステップS504〜ステップS506の処理を実行すると、次に、比較値算出部206は、文字列情報出力部204から出力された文字列のうち、車種が一段プレートの四輪車であるもののそれぞれについて、以下に示すステップS508〜ステップS510の処理を実行する(ステップS507)。
【0029】
まず、比較値算出部206は、領域抽出部205から出力された特徴領域のうち、車種が一段プレートの四輪車であるものを抽出する。次に、比較値算出部206は、抽出した特徴領域とステップS507で選択した文字列との間の距離をそれぞれ算出する(ステップS508)。次に、判定部207は、比較値算出部206が距離を算出した文字列と特徴領域の組の中に、当該距離が所定の閾値d以下であるものが存在するか否かを判定する(ステップS509)。なお、閾値dとしては、例えば四輪一段プレートの幅の半分の値を用いると良い。
比較値算出部206が距離を算出した文字列と特徴領域の組の中に、当該距離が所定の閾値d以下であるものが存在する場合(ステップS509:YES)、判定部207は、当該文字列と特徴領域とが同一の車両を示すものであると判定し、それぞれを互いに関連付ける(ステップS510)。他方、比較値算出部206が距離を算出した文字列と特徴領域の組の中に、当該距離が所定の閾値d以下であるものが存在しない場合(ステップS509:NO)、ステップS507で選択した文字列に、特徴領域を関連付けない。
【0030】
図5は、フレーム内統合処理の処理を示す第2のフローチャートである。
一段プレートの四輪車を示す文字列全てに対して上記ステップS508〜ステップS510の処理を実行すると、次に、比較値算出部206は、文字列情報出力部204から出力された文字列のうち、車種が二輪車であるもののそれぞれについて、以下に示すステップS512〜ステップS518の処理を実行する(ステップS511)。
【0031】
まず、比較値算出部206は、領域抽出部205から出力された特徴領域のうち、車種が二輪車であるものを抽出する。次に、比較値算出部206は、抽出した特徴領域とステップS511で選択した文字列との間の距離をそれぞれ算出する(ステップS512)。次に、判定部207は、比較値算出部206が距離を算出した文字列と特徴領域の組の中に、当該距離が所定の距離dbike−Δbike以上であるものが存在するか否かを判定する(ステップS513)。なお、距離dbikeとは、画像に写ったときの二輪プレートと特徴部分との標準的な距離である。また、Δbikeは、dbikeに対する誤差の最大値である。
【0032】
比較値算出部206が距離を算出した文字列と特徴領域の組の中に、当該距離が所定の閾値dbike−Δbike以上であるものが存在する場合(ステップS513:YES)、判定部207は、距離がdbike−Δbike以上であると判定された文字列と特徴領域の組の中に、当該距離が所定の距離dbike+Δbike以下であるものが存在するか否かを判定する(ステップS514)。
【0033】
図6は、特徴領域の座標と文字列の座標とを結ぶ線分を示す図である。
距離がdbike−Δbike以上であると判定された文字列と特徴領域の組の中に、当該距離がdbike+Δbike以下であるものが存在する場合(ステップS514:YES)、比較値算出部206は、ステップS511で選択した文字列との距離がdbike+Δbike以下であると判定された特徴領域の座標と、ステップS511で選択した文字列の座標とを結ぶ線分(図6を参照)の角度をそれぞれ算出する(ステップS515)。
次に、判定部207は、比較値算出部206が角度を算出した文字列と特徴領域の組の中に、当該角度が、所定の角度θbike−δbike以上であるものが存在するか否かを判定する(ステップS516)。なお、角度θbikeとは、画像に写ったときの二輪プレートと特徴部分とを結ぶ線分のレーン毎の標準的な角度である。また、δbikeは、θbikeに対する誤差の最大値である。
【0034】
比較値算出部206が距離を算出した文字列と特徴領域の組の中に、当該角度が所定の閾値θbike−δbike以上であるものが存在する場合(ステップS516:YES)、判定部207は、角度がθbike−δbike以上であると判定された文字列と特徴領域の組の中に、当該角度が所定の角度θbike+δbike以下であるものが存在するか否かを判定する(ステップS517)。
【0035】
角度がθbike−δbike以上であると判定された文字列と特徴領域の組の中に、当該角度がθbike+δbike以下であるものが存在する場合(ステップS517:YES)、判定部207は、当該文字列と特徴領域とを同一の車両を示すものであるか否かを判定し、それぞれを互いに関連付ける(ステップS510)。他方、ステップS513、ステップS514、ステップS516、ステップS517の条件を満たす組が存在しない場合は(ステップS513、ステップS514、ステップS516、ステップS517:NO)、ステップS507で選択した文字列に、特徴領域を関連付けない。
【0036】
二輪車を示す文字列全てに対して上記ステップS512〜ステップS518の処理を実行すると、判定部207は、入力部201から画像情報のフレームIDを読み出し、ステップS503〜ステップS518で関連付けた特徴領域と文字列の組に、当該フレームIDを関連付ける(ステップS519)。次に、判定部207は、ステップS503〜ステップS518において関連付けられなかった特徴領域及び文字列のそれぞれに、当該フレームIDを関連付け(ステップS520)、フレーム内統合処理を終了する。
【0037】
また、ステップS501で判定部207が、領域抽出部205から受け付けた情報の中に特徴領域が存在しないと判定した場合(ステップS501:NO)、判定部207は、文字列情報出力部204から受け付けた情報の中に、文字列が1つ以上存在するか否かを判定する(ステップS521)。判定部207は、文字列情報出力部204から受け付けた情報の中に文字列が存在しないと判定した場合(ステップS521:NO)、画像情報中に車両が存在しないと判定し、処理を行わずにフレーム内統合処理を終了する。
【0038】
また、ステップS502で判定部207が、文字列情報出力部204から受け付けた情報の中に文字列が存在しないと判定した場合(ステップS502:NO)、すなわち特徴領域のみ抽出され、文字列が認識されなかった場合、及びステップS521で判定部207が文字列情報出力部204から受け付けた情報の中に文字列が存在しないと判定した場合(ステップS521:NO)、すなわち文字列のみ認識され、特徴領域が抽出されなかった場合、文字列と特徴領域との組が存在しないため、ステップS503からステップS519の処理を実行せずに、特徴領域及び文字列のそれぞれに、当該フレームIDを関連付け(ステップS520)、フレーム内統合処理を終了する。
【0039】
図3に戻り、ステップS5によるフレーム内統合処理を終了すると、出力部208は、判定部207がフレーム内統合処理でフレームIDに関連付けた情報(車両情報)を、外部装置に出力し(ステップS6)、処理を終了する。
【0040】
このように、本実施形態によれば、文字列認識部202が認識した文字列の座標と、領域抽出部205が抽出した特徴領域の座標との間の距離に基づいて、当該文字列と特徴領域とが同一の車両であるか否かを判定する。これにより、文字列認識部202と領域抽出部205の認識の漏れを補うことができ、かつ同一の車両の文字列と特徴領域とを関連付けておくことができる。
【0041】
また、本実施形態では、文字列が示す車種と特徴領域が示す車種とが一致するものに対して、関連付けの判定処理を実行している。これにより、判定対象の数を減らして処理を高速化させることができ、また異なる車種の文字列と特徴領域とを関連付けてしまう誤判定を防ぐことができる。
【0042】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、二輪車の特徴部分としてヘルメットを用い、四輪車の特徴部分としてナンバープレートを用いる場合を説明したが、これに限られず、その他の特徴部分を用いても、同様の処理を行うことができる。
【0043】
また、本実施形態では、四輪車のナンバープレートの種類として一段プレートと二段プレートとがある場合を用いて説明したが、これに限られず、1種類または3種類以上のナンバープレートがある場合にも適用することができる。
【0044】
上述の車両識別装置200は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0045】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0046】
100…撮像装置 200…車両識別装置 201…入力部 202…文字列認識部 203…文字列判別部 204…文字列情報出力部 205…領域抽出部 206…比較値算出部 207…判定部 208…出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線に設けられた撮像装置が撮像した画像に含まれる車両を識別する車両識別装置であって、
前記撮像装置が撮像した画像から文字列を認識し、当該文字列及び当該文字列の座標を出力する文字列認識部と、
前記撮像装置が撮像した画像から当該画像に含まれる車両の特徴部分を示す特徴領域を抽出する領域抽出部と、
前記文字列認識部が出力した各文字列の座標と前記領域抽出部が抽出した各特徴領域の座標との間の距離をそれぞれ算出する距離算出部と、
前記文字列と前記特徴領域との組のうち、前記距離算出部が算出した距離と所定の基準距離との差が所定の閾値以内である組を、同一の車両におけるナンバープレートと特徴部分との組であると判定する判定部と
を備えることを特徴とする車両識別装置。
【請求項2】
前記文字列認識部が出力した文字列のパターンに基づいて、当該文字列を有する車両の車種を判別する文字列判別部を備え、
前記領域抽出部は、前記車両の車種毎に特徴領域を抽出し、
前記判定部は、前記文字列と前記特徴領域との組の車種が一致する場合に、当該組が同一の車両におけるナンバープレートと特徴部分との組であるか否かの判定を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両識別装置。
【請求項3】
前記基準距離は、画像に写ったときのナンバープレートと特徴部分との標準的な距離であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両識別装置。
【請求項4】
前記特徴領域がナンバープレートでない場合に、前記文字列認識部が出力した文字列の座標と前記領域抽出部が抽出した特徴領域の座標とを結ぶ線分の角度を算出する角度算出部を備え、
前記判定部は、距離算出部が算出した距離と前記基準距離との差が所定の閾値以内であり、かつ角度算出部が算出した角度と所定の基準角度との差が所定の閾値以内である場合に、前記文字列と前記特徴領域との組を、同一の車両におけるナンバープレートと特徴部分との組であると判定する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の車両識別装置。
【請求項5】
前記基準角度は、画像に写ったときのナンバープレートの座標と特徴領域の座標とを結ぶ線分の標準的な角度であることを特徴とする請求項4に記載の車両識別装置。
【請求項6】
車線に設けられた撮像装置が撮像した画像に含まれる車両を識別する車両識別装置を用いた車両識別方法であって、
文字列認識部は、前記撮像装置が撮像した画像から文字列を認識し、当該文字列及び当該文字列の座標を出力し、
領域抽出部は、前記撮像装置が撮像した画像から当該画像に含まれる車両の特徴部分を示す特徴領域を抽出し、
距離算出部は、前記文字列認識部が出力した各文字列の座標と前記領域抽出部が抽出した各特徴領域の座標との間の距離をそれぞれ算出し、
判定部は、前記文字列と前記特徴領域との組のうち、前記距離算出部が算出した距離と所定の基準距離との差が所定の閾値以内である組を、同一の車両におけるナンバープレートと特徴部分との組であると判定する
ことを特徴とする車両識別方法。
【請求項7】
車線に設けられた撮像装置が撮像した画像に含まれる車両を識別する車両識別装置を、
前記撮像装置が撮像した画像から文字列を認識し、当該文字列及び当該文字列の座標を出力する文字列認識部、
前記撮像装置が撮像した画像から当該画像に含まれる車両の特徴部分を示す特徴領域を抽出する領域抽出部、
前記文字列認識部が出力した各文字列の座標と前記領域抽出部が抽出した各特徴領域の座標との間の距離をそれぞれ算出する距離算出部、
前記文字列と前記特徴領域との組のうち、前記距離算出部が算出した距離と所定の基準距離との差が所定の閾値以内である組を、同一の車両におけるナンバープレートと特徴部分との組であると判定する判定部
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−3766(P2013−3766A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133156(P2011−133156)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】