説明

車両通行遮断機

【課題】リリース動作後の阻止棒を迅速に復帰させることが可能な車両通行遮断機を提供する。
【解決手段】車両の通行を阻止する阻止位置Sと車両の進行を許容する許可位置Kとの間で回動されて開閉動作を行う阻止棒30と、該阻止棒30を車両による衝撃を解放するリリース方向に回動させるリリース軸22と、リリース方向に回動した阻止棒30を復帰方向に回動させる復帰駆動部60とを設ける。復帰駆動部60は、 阻止棒30に固定されたワイヤ66と、該ワイヤ66が巻きかけられたプーリ61と、該プーリ61をワイヤ66の巻き取り方向P2に回転させる復帰用モータ68と、巻き取り方向P2の回転のみをプーリ61と復帰用モータ68との間で互いに伝達させるクラッチ機構70とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路などの料金所に設置され、車両の通行を阻止または許可可能な車両
通行遮断機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路等の有料道路や駐車場等の料金所において、料金の収受を自動化するシステムとしてETC(Electronic Toll Collection Sysem)が導入されている。このETCにおいては、料金所ゲートへの車両の進入を車両検知器が検知すると、車線サーバが路側アンテナに対して通信指令を発し、これに基づいて路側アンテナが車両に搭載された車載器と通信を開始する。次いで、車線サーバは路側アンテナにより車載器から得られた情報に基づいて、正常車両か異常車両かの別を判断する。そして、正常車両と判断した際には車両通行遮断機の阻止棒を開状態とし、異常車両と判断した際には阻止棒を閉状態に維持することで、車両の通行を阻止又は許可する。
【0003】
このETCにおいては、阻止棒が閉じた状態であるにも拘わらず車両が強行的に車両通行遮断機を通過した場合、車両が阻止棒に衝突することによって阻止棒や車両が損傷するという事故が生じる。そこで、このような問題に対処すべく、車両の衝突時に阻止棒が受けた衝撃を逃がすように該阻止棒がリリース動作を行う車両通行遮断機が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
これら特許文献1,2に記載の車両通行遮断機は、車両が阻止棒に衝突することなく通常に使用されている間は、その阻止棒が鉛直面内で回転し、水平に倒伏した状態で車両の通行を阻止する一方、鉛直に起立した状態で車両の進入を許可するような開閉動作を行う。そして、車両が阻止棒に衝突した際には、その衝撃に従って阻止棒が車両進行方向へと向かって水平面に沿って折れ曲がりリリース状態となる。このようにして車両通行遮断機のリリース動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3594957号公報
【特許文献2】特開2003−336232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1,2の車両通行遮断機においては、リリース動作後の折れ曲がった阻止棒をリリース動作前の状態に復帰させるための機構はなく、例えば料金所係員が車両通行遮断機の箇所まで近寄って、手動にて阻止棒を非リリース状態に復帰させる作業を行わなければならなかった。したがって、リリース動作後の阻止棒の復帰作業に長時間を要する場合もあり、その間に車両通行路で車両の渋滞が発生してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、リリース動作後の阻止棒を迅速かつ円滑に復帰させることが可能な車両通行遮断機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
即ち、本発明に係る車両通行遮断機は、車両の通行を阻止する阻止位置と車両の進行を許容する許可位置との間で回動されて開閉動作を行う阻止棒と、該阻止棒を車両による衝撃を解放するリリース方向に回動させるリリース軸と、前記リリース方向に回動した前記阻止棒を前記リリース方向の反対方向である復帰方向に回動させる復帰駆動部とを備えることを特徴とする。
【0009】
このような特徴の車両通行遮断機によれば、阻止棒に車両が衝突することにより該阻止棒がリリース方向に回動した際には、復帰駆動部を駆動させることによって阻止棒を復帰方向に回動させることができる。
【0010】
また、本発明に係る車両通行遮断機において、前記復帰駆動部は、電動機と、前記電動機の出力軸の正回転を前記阻止棒に伝達させることで該阻止棒を前記復帰方向に回動させる動力伝達機構とを備えることを特徴とする。
【0011】
このような特徴の車両通行遮断機によれば、阻止棒がリリース方向に回動した後に、電動機の出力軸を正回転させると、この正回転の回転力が動力伝達機構を介して阻止棒に伝達され、これによって該阻止棒を復帰方向に回動させることができる。即ち、リリース動作後の阻止棒を迅速かつ円滑に復帰させることが可能となる。
【0012】
さらに、本発明に係る車両通行遮断機においては、前記動力伝達機構として、ワイヤを介して前記出力軸の回転を前記阻止棒に伝達させる方式、ベルトを介して前記出力軸の回転を前記阻止棒に伝達させる方式、又は、ギアを介して前記出力軸の回転を前記阻止棒に伝達させる方式のいずれかを採用していることが好ましい。
【0013】
これによって、電動機の出力軸の正回転を阻止棒に対して確実に伝達させることができ、阻止棒を復帰方向に向かって迅速かつ円滑に回動させることが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る車両通行遮断機において、前記動力伝達機構は、前記阻止棒と前記出力軸の間に介装され、前記阻止棒の前記復帰方向の回動及び前記出力軸の正回転のみを前記阻止棒と前記出力軸との間で互いに伝達させるクラッチ機構をさらに有することが好ましい。
【0015】
これにより、阻止棒がリリース方向に回動する際には、クラッチ機構の作用によって当該阻止棒の回動が電動機の出力軸に伝達されることはない。即ち、出力軸の負荷を受けずに阻止棒がリリース方向に自由に回動することができるため、阻止棒を円滑にリリース方向に回動させることができる。また、車両から阻止棒に与えられた衝撃が動力伝達機構を介して電動機に伝達されることを防止できるため、衝突時の電動機の損傷を回避することが可能となる。
一方、電動機を駆動させて出力軸を正回転させた際には、該出力軸の正回転がクラッチ機構を介して阻止棒に伝達されることにより、該阻止棒を復帰方向に回動させることができる。
したがって、阻止棒の円滑なリリース動作を可能としつつ、リリース動作後の阻止棒を迅速かつ円滑に復帰させることが可能となる。
【0016】
さらに、本発明に係る車両通行遮断機は、前記リリース軸を介して前記阻止棒を支持し、前記阻止位置と前記許可位置との間で前記阻止棒を回動させるアームをさらに備え、該アームに前記電動機が配されていることが好ましい。
【0017】
電動機がアームに配されることで、車両通行遮断機自体の構成をコンパクトなものとすることができる。また、阻止棒の近傍に電動機が配されることになるため、動力伝達機構の複雑化を回避することができ、簡易な構成でもって電動機の出力軸の正回転を円滑かつ確実に阻止棒に伝達させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の車両通行遮断機によれば、復帰駆動部を駆動させることによって阻止棒を復帰方向に回動させることができるため、リリース動作後の阻止棒を迅速かつ円滑に復帰させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第一実施形態に係る車両通行遮断機の概略構成を示す正面図である。
【図2】第一実施形態に係る車両通行遮断機の概略構成を示す平面図である。
【図3】第一実施形態に係る車両通行遮断機の概略構成を示す正面図である。
【図4】第一実施形態に係る車両通行遮断機の概略構成を示す平面図である。
【図5】第一実施形態に係る車両通行遮断機の支持アームの内部構造を示す垂直断面図である。
【図6】第一実施形態に係る車両通行遮断機の支持アームの内部構造を示す水平断面図である。
【図7】第一実施形態に係る車両通行遮断機の支持アームの内部構造を示す水平断面図である。
【図8】第一実施形態に係る車両通行遮断機及び周辺機器の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図9】第一実施形態に係る車両通行遮断機において車線サーバが実行する阻止棒の開閉動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】第一実施形態に係る車両通行遮断機において制御部が実行する阻止棒の復帰動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】第一実施形態に係る車両通行遮断機において、ラッチ装置に代えてボールキャッチを設けた場合における、車両通行遮断機の支持アームの内部構造を示す水平断面図である。
【図12】第二実施形態に係る遮断機の概略構成を示す斜視図である。
【図13】第二実施形態に係る遮断機の概略構成を示す斜視図である。
【図14】図12に示す遮断機を車両進行方向前方側から見た斜視図である。
【図15】第二実施形態の復帰駆動部の内部構造を示す斜視図である。
【図16】第二実施形態の復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【図17】第二実施形態のクラッチ機構における第一ギア及び第二ギアの斜視図である。
【図18】第二実施形態の復帰駆動部における復帰用モータ、第一ウォームギア、第一回転軸、第二ウォームギア、第一平歯車、第二回転軸、第一ギアの斜視図である。
【図19】第二実施形態の復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【図20】第二実施形態の支持アームにおけるアーム本体、リリース軸、及び、復帰駆動部における第二ギア、第二平歯車、第三平歯車の斜視図である。
【図21】第二実施形態の復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【図22】第二実施形態のリリース状態保持部を示す縦断面図である。
【図23】第二実施形態の非リリース状態保持部を示す縦断面図である。
【図24】第二実施形態の補助復帰駆動部の内部構造を示す斜視図である。
【図25】第二実施形態の補助復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【図26】第二実施形態の補助復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【図27】第二実施形態の実施形態に係る遮断機の機能ブロック図である。
【図28】第二実施形態の車線サーバが実行する阻止棒の開閉動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【図29】第二実施形態の制御部が実行する阻止棒の復帰動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【図30】第二実施形態の復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【図31】第二実施形態の補助復帰駆動部の内部構造を示す斜視図である。
【図32】第二実施形態の復帰駆動部の内部構造を示す平面図である。
【図33】第三実施形態に係る車両通行遮断機の概略構成を示す斜視図である。
【図34】第三実施形態に係る車両通行遮断機の復帰駆動部の内部構造を示す垂直断面図である。
【図35】第四実施形態に係る車両通行遮断機の概略構成を示す斜視図である。
【図36】第四実施形態に係る車両通行遮断機の復帰駆動部の内部構造を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第一実施形態に係る車両通行遮断機(以下、単に「遮断機」と称する)について、図面を参照して詳細に説明する。
遮断機10は、図1〜図4に示すように、遮断機本体11と、該遮断機本体11に支持された支持アーム20と、該支持アーム20に支持された阻止棒30とを備えている。さらに、この遮断機10には、リリース機構40(図5参照)と、復帰駆動部60と、制御部90(図1〜4において図示省略、図8参照)が設けられている。
【0021】
遮断機本体11は、図1及び図2に示すように、高速道路の料金所における車両通行路Rの側方に固定設置されている。この遮断機本体11には、車両進行方向G後方に向かって突出するように延在する開閉軸12が設けられている。この開閉軸12は、遮断機本体11内に設けられた開閉用モータ13によって水平軸回りに回転駆動可能とされている。開閉用モータ13は回転速度や回転角度を任意に制御可能ないわゆるサーボモータであって、制御部90の指令に基づいて正逆回転するように構成されている。なお、遮断機本体11を設置する箇所は、高速道路の料金所に限られず、例えば駐車場の料金所等であってもよい。
【0022】
支持アーム20は、図1及び図2に示すように、アーム本体21とリリース軸22とを備えている。
アーム本体21は開閉軸12に固定支持されており、開閉軸12の回転に伴って、該アーム本体21の長手方向が水平方向に平行な水平状態と鉛直方向に平行な鉛直状態との間で、鉛直面に沿って90°の範囲で開閉軸12の軸線回りに回動可能とされている。
【0023】
また、リリース軸22は、上記アーム本体21の先端側、即ち、図1及び図2に示すように支持アーム20が水平状態の場合におけるアーム本体21の車両通行路R側(図1及び図2における左側)に支持されており、アーム本体21の長手方向に直交し、かつ、鉛直面に沿って延びる軸線回りに回動可能とされている。これによって、支持アーム20が水平状態とされている際にはリリース軸22は鉛直軸回りに回動可能とされ、支持アーム20が鉛直状態とされている際にはリリース軸22は水平軸回りに回動可能とされる。
【0024】
阻止棒30は、リリース軸22の直径方向に延在するように該リリース軸22に固定支持されている。そして、支持アーム20が水平状態とされている場合において、阻止棒30のリリース軸22から見た車両通行路R側の部分が、長尺状をなして車両の進行を阻止する棒部31とされ、リリース軸22を挟んで棒部31の反対側の部分が、支持アーム20のアーム本体21に対して車両進行方向G後方側から当接する基部32とされている。
【0025】
この阻止棒30においては、図2に示すように、該阻止棒30の延在方向が支持アーム20の長手方向と平行な状態が非リリース状態とされており、図4に示すように、リリース軸22の回動に伴って非リリース状態から車両進行方向Gに90°回動して、阻止棒30の延在方向が支持アーム20の長手方向と直交する状態がリリース状態とされている。以下では、阻止棒30が非リリース状態からリリース状態に回動する方向、即ち、リリース動作を行う方向をリリース方向T1とし、これとは逆にリリース状態から非リリース状態に回動する方向、即ち、復帰動作を行う方向を復帰方向T2とする。
【0026】
また、阻止棒30においては、図1に示すように、支持アーム20が水平状態とされ、かつ、阻止棒30が非リリース状態とされていることにより、該阻止棒30が略水平状態であるとともに車両進行方向Gに略直交する方向に延びて車両の進行を阻止する状態を阻止位置Sとする。さらに、図3に示すように、支持アーム20が鉛直状態とされ、かつ、阻止棒30が非リリース状態とされることにより、阻止棒30が鉛直方向に起立して車両の通行を許可する状態を許可位置Kとする。
【0027】
そして、本実施形態においては、開閉軸12の回転に伴って支持アーム20が90°の範囲で回動することで、非リリース状態とされた阻止棒30が阻止位置Sと許可位置Kとの間での開閉動作を行うようになっている。以下では、支持アーム20が水平状態から鉛直状態に向かって回動する動作を開動作とし、該支持アーム20が鉛直状態から水平状態に向かって回動する動作を閉動作とする。
【0028】
リリース機構40は、通常時、即ち、阻止棒30に対して車両が衝突していない際においては、阻止棒30を非リリース状態に保持する一方、異常時、即ち、阻止棒30に車両が衝突した際においては、該阻止棒30にリリース動作をさせる機構であって、図5から図7に示すように、リリースバネ41と、トルクリミッタ50と、ラッチ機構57とを備えている。
【0029】
リリースバネ41は、阻止棒30を非リリース状態からリリース状態に向かってリリース方向T1に回動付勢するコイルスプリングであって、その一端がアーム本体21内に設けられた第一バネ固定部42に固定されるとともに、他端が阻止棒30の基端に設けられた第二バネ固定部43に固定されている。このリリースバネ41は、阻止棒30が非リリース状態にある場合において伸張状態とされており、阻止棒30に対してリリース軸22を支点としてリリース方向T1への回転モーメントを与えるように付勢している。
【0030】
トルクリミッタ50は、上記リリースバネ41の付勢によって与えられる阻止棒30へのリリース方向T1の回転モーメントに抗して、阻止棒30を非リリース状態に保持する役割を有しており、阻止棒30に設けられた被係止部51と、支持アーム20に設けられた係止部53及び保持バネ55とから構成されている。
【0031】
被係止部51は、非リリース状態における阻止棒30の基部32における車両進行方向G前方側を向く面から突出するように設けられており、非リリース状態ではアーム本体21の車両進行方向G後方側を向く面から該アーム本体21内に挿入されている。また、この被係止部51の先端には、図6に示すように、支持アーム20が水平状態の際に鉛直方向に延びる軸部51aが設けられている。
【0032】
また、係止部53は、アーム本体21内における車両進行方向G前方側寄りの箇所に設けられた支持軸54回りに回動可能に支持されている。これによって、該係止部53の先端は、アーム本体21内における車両進行方向G後方側の領域において、アーム本体21の長手方向に沿うように回動可能とされている。
【0033】
さらに、係止部53の先端には、被係止部51の軸部51aを係止するための引っ掛け溝53aが形成されている。この引っ掛け溝53aは、係止部53の先端において車両進行方向G後方側(図6における下側)を向くように開口しており、この引っ掛け溝53aにおける支持アーム20の後端側を向く面には、該支持アーム20の後端側に向かって凸状をなす山部53bが形成されている。
【0034】
これにより、係止部53の先端が支持アーム20の先端側に向かって回動した際には、引っ掛け溝53aに対する軸部51aの出入りが可能とされる一方、係止部53の先端がアーム本体21の後端側に向かって回動した際には、引っ掛け溝53aに入り込んだ軸部51aの該引っ掛け溝53aからの脱出が不能とされる。
【0035】
保持バネ55は、アーム本体21内の後端側の箇所に伸縮状態で配置されたコイルスプリングであって、その一端がアーム本体21の内部後端に第一バネ支持部55aを介して接続される一方、他端が係止部53の先端に第二バネ支持部55bを介して接続されている。これによって、保持バネ55は、係止部53の先端をアーム本体21の後端に向かって付勢している。なお、該保持バネ55の付勢力は非リリース状態における上記リリースバネ41の付勢力よりも大きく設定されている。
【0036】
ラッチ機構57は、阻止棒30をリリース状態に保持する役割を有しており、図6及び図7に示すように、阻止棒30の基部32に設けられて突没可能なラッチ58aを有するラッチ装置58と、支持アーム20の先端における車両進行方向G後方側を向く面に設けられて、阻止棒30がリリース状態の際にラッチ装置58のラッチ58aが係合するラッチ掛け部59とから構成されている。
【0037】
ラッチ装置58は、阻止棒30が非リリース状態の場合における基部32の車両進行方向G前方側を向く面に設けられており、該ラッチ装置58のラッチ58aは、リリース軸22側に向かって突没可能とされている。このラッチ58aは、図示しないバネ等の弾性体によって突出する方向に向かって付勢されており、操作摘み58bを操作することによって手動にてラッチ58aを後退させることができるように構成されている。また、ラッチ装置58の内部には、図示しないソレノイドが収納されており、制御部90の指令によってソレノイドに電流が流されることで、ラッチ58aが弾性体の付勢に抗して後退するようになっている。
【0038】
次に、復帰駆動部60について、図1から図7を参照して説明する。
この復帰駆動部60は、プーリ61と、アイドラプーリ62と、挟持プーリ63と、ワイヤ66と、復帰用モータ(電動機)68とクラッチ機構70とから構成されている。なお、復帰用モータ68を除くこれらプーリ61、アイドラプーリ62、挟持プーリ63、ワイヤ66及びクラッチ機構70によって、本実施形態の動力伝達機構が構成されている。
【0039】
プーリ61は、リリース軸22と平行な軸線回りに回転可能な円盤状をなしており、支持アーム20のアーム本体21から車両進行方向G後方側に延在するように設けられた第一支持部61aに支持されている。このプーリ61には、該プーリ61の中心軸に沿って下方に延びるプーリ軸61bが設けられている。
【0040】
アイドラプーリ62は、リリース軸22と平行な軸線回りに回転可能とされた円柱状をなす部材であって、プーリ61よりもリリース軸22側において、支持アーム20のアーム本体21から車両進行方向G後方側に延在するように設けられた第二支持部62aに支持されている。このアイドラプーリ62の直径は、上記プーリ61の直径よりも小さく設定されている。
【0041】
挟持プーリ63は、リリース軸22と平行な軸線回りに回転可能とされ、かつ、互いの外周面同士が近接して配置された大径プーリ64及び小径プーリ65から構成されている。この挟持プーリ63は、アイドラプーリ62よりもさらにリリース軸22側において、支持アーム20のアーム本体21から車両進行方向G後方側に延在するように設けられた第三支持部63aに支持されている
【0042】
ワイヤ66は、例えばピアノ線等の引っ張り強度の大きい線状の部材であって、プーリ61の外周面に繰り出し可能に巻き掛けられている。なお、以下では、このワイヤ66を繰り出す際のプーリ61の回転方向を繰り出し方向P1とし、ワイヤ66を巻き取る際のプーリ61の回転方向を巻き取り方向P2とする。
【0043】
また、プーリ61から繰り出されたワイヤ66は、アイドラプーリ62に巻き掛けられるとともに挟持プーリ63の大径プーリ64と小径プーリ65との間に挟持されている。そして、このようにアイドラプーリ62及び挟持プーリ63を経て延在するワイヤ66におけるプーリ61に巻き掛けられた側の反対側の端部は、阻止棒30の棒部31の基端における車両進行方向G後方側を向く面に固定されている。
【0044】
復帰用モータ68は、上記プーリ61の下方において、出力軸68aの延在方向がプーリ61の中心軸線と一致するように、図示しない支持機構を介して支持アーム20に固定されている。この復帰用モータ68の出力軸68aは、少なくともプーリ61の巻き取り方向P2を正回転として当該正回転一方向に回転駆動される構成とされており、制御部90の指令に基づいて当該巻き取り方向P2に回転する。
【0045】
クラッチ機構70は、プーリ61のプーリ軸61bと復帰用モータ68の出力軸68aとの間において、これらプーリ軸61bと出力軸68aとを接続するように介装されている。このクラッチ機構70は、プーリ61と出力軸68aの巻き取り方向P2の回転を互いに伝達させるように構成されている。
【0046】
即ち、クラッチ機構70は、プーリ軸61bと出力軸68aとのいずれか一方が巻き取り方向P2に回転した際には、他方に対して該回転を伝達させる。また、プーリ軸61bと出力軸68aとのいずれか一方が繰り出し方向P1に回転した際には、他方に対して回転を伝達することはなく、一方を他方から独立して回転させる。これにより、例えばプーリ61が繰り出し方向P1に回転すると、該プーリ61は出力軸68aの干渉を受けることなく当該繰り出し方向P1に回転する。
【0047】
このようなクラッチ機構70は、例えば、出力軸68aに接続された外輪と、該外輪の内側に同軸に配置されてプーリ軸61bに接続された内輪と、これら外輪と内輪との間に設けられ、外輪及び内輪の巻き取り方向P2の相対回転によって外輪の内周面及び内輪の外周面の双方に係合可能なスプラグとを備えた構成とされている。これにより、プーリ61と出力軸68aとのいずれか一方が巻き取り方向P2に回転した際にのみ、他方が連動して回転することになる。なお、クラッチ機構70は、当該構成に限定されることはなく、同様の機能を有するならば他の構成のものを採用してもよい。
【0048】
次に、制御部90について、遮断機10の機能構成を踏まえて説明する。図8は遮断機10及び周辺機器の機能構成を示す機能ブロック図である。遮断機10における制御部90には、開閉用モータ13と、復帰駆動部60の復帰用モータ68、ラッチ機構57のラッチ装置58とがそれぞれ接続されている。
【0049】
また、遮断機10の外部には、周辺機器として、車両検知器131、路側アンテナ132及び操作部133がそれぞれ接続された車線サーバ130が設けられている。この車線サーバ130は、遮断機10内における制御部90に接続されており、車両検知器131、路側アンテナ132及び操作部133からの入力に応じて制御部90に対して信号を送出する。
【0050】
車両検知器131は、例えば車両通行路Rの両側に設置された複数対の光センサにより構成されており、料金所ゲートへの車両の進入と退出を検知するように構成されている。即ち、車両検知器131は、例えば料金所ゲートの入り口側(遮断機10の車両進行方向G後方側)に設置された第一の光センサによって該料金所ゲートへの車両の進入を検知する一方、料金所ゲートの出口側(遮断機10の車両進行方向G前方側)に設置された第二の光センサによって該料金所ゲートからの車両の退出を検知するようになっている。これにより、車両検知器131は、車両の進入と退出に基づく信号を車線サーバ130に対して出力する。
【0051】
路側アンテナ132は、例えば遮断機10よりも車両進行方向G後方側に設置されており、車両が料金所ゲートを通過する際、該車両に搭載された車載器と必要な情報を送受信し、当該情報の送受信に基づく信号を車線サーバ130に対して出力する。
そして、車線サーバ130は、これら車両検知器131及び路側アンテナ132からの信号の入力に基づいて、制御部90に対して車両通行許可指令及び車両退出検知信号を送出する。制御部90は、車両通行許可指令に基づいて開閉用モータ13を正回転駆動させることにより阻止棒30に開動作を行わせる。また、制御部90は、車両退出検知信号に基づいて、開閉用モータ13を逆回転駆動させることにより開動作後の阻止棒30に閉動作を行わせる。
【0052】
また、操作部133は、料金所周辺に設置された料金所係員の居室に設置されており、例えば「開ボタン」や「閉ボタン」の押下に基づいて、車線サーバ130に対して阻止棒30の開閉要求を出力する。車線サーバ130は、この開閉要求に基づいて制御部90に対し開閉指令を送出し、制御部90はこの開閉指令に基づいて当該開閉用モータ13を回転駆動させることで阻止棒30の開閉動作を行う。なお、操作部133は、料金所から離れた位置にある監視センター等に設置した構成であってもよい。
【0053】
さらに、この操作部133は、上記制御部90にも接続されており、例えば「リリース復帰ボタン」を押下に基づいて制御部90に対して阻止棒30のリリース復帰指令を送出する。制御部90は、このリリース復帰指令が入力された際には、ラッチ装置58のロック状態を解除し、次いで復帰用モータ68を駆動させる。
【0054】
次に、本実施形態の遮断機10の作用について説明する。車両通行路Rに車両が進入しておらず遮断機10が待機状態の際には、図1及び図2に示すように、阻止棒30は非リリース状態とされて、ホームポジションである阻止位置Sにある。なお、この非リリース状態においては、図6に示すように、保持バネ55が係止部53を支持アーム20の後端側に向かって付勢することで、引っ掛け溝53aに入り込んだ軸部51aの該引っ掛け溝53aからの脱出を不能とし、これにより、阻止棒30のリリース方向T1への回動を阻止している。
【0055】
また、該保持バネ55の付勢力は非リリース状態におけるリリースバネ41の付勢力よりも大きく設定されているため、リリースバネ41の付勢による回転モーメントによって引っ掛け溝53a内から軸部51aが脱出して阻止棒30がリリース方向T1に回動してしまうことはない。
【0056】
なお、上記待機状態のように阻止棒30が非リリース状態の際には、ワイヤ66の端部が固定された阻止棒30の棒部31の基端が、挟持プーリ63に最接近した状態のため、プーリ61から繰り出されたワイヤ66の長さは最短とされている。
【0057】
始めに、上記のように待機状態の遮断機10を備えた料金所ゲートに車両が進入した際の阻止棒30の開閉動作の処理手順について説明する。この阻止棒30の開閉動作は、車線サーバ130の制御によって行われる。図9は、車線サーバ130が実行する阻止棒30の開閉動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【0058】
まず、車線サーバ130は、車両検知器131が料金所ゲートへの車両の進入を検知したか否か、即ち、車両検知器131からのON信号(車両検知信号)が入力されたか否かを判定する(S11)。その結果、車両検知器131からOFF信号が入力されていると判定した場合(S11:No)、車線サーバ130は、車両検知器131からON信号が入力されるまで待機する。一方、車両検知器131からからON信号が入力されたと判断した場合(S11:Yes)、車線サーバ130は、路側アンテナ132に対して車載器情報の受信指令を送出し(S12)、路側アンテナ132はこの信号に基づいて車両に搭載された車載器と通信を開始する。
【0059】
次いで、車線サーバ130は、路側アンテナ132が受信した車載器情報に基づいて、料金所ゲートを通過しようとしている車両が正常車両であるか異常車両であるかの別を判断する(S13)。その結果、異常車両であると判断した場合(S13:No)、車線サーバ130は異常処理を行い(S14)、阻止棒30の開動作を行うことなく該阻止棒30を阻止位置Sに維持する。これにより、S13にて異常車両と判断した際の車線サーバ130の処理が終了する。
【0060】
一方、S13にて正常車両であると判断した場合(S13:Yes)、車線サーバ130は、制御部90に対して車両通行許可指令を送出する。これにより、制御部90は、開閉用モータ13の出力軸を正回転させることにより、支持アーム20及び阻止棒30を阻止位置Sから許可位置Kへと回動させる(S15)。これによって、遮断機10が、車両の通行を許可した状態となる。
【0061】
S15の後、車線サーバ130は、車両が料金所ゲートから退出を検知したか否か、即ち、車両検知器131による車両の検知が終了した結果、車両検知器131からOFF信号が入力されたか否かを判定する(S16)。そして、車両検知器131から依然としてON信号が入力されていると判断した場合(S16:No)、車線サーバ130は、車両検知器131からOFF信号が入力されるまで待機する。一方、車両検知器131からOFF信号が入力されたと判断した場合(S16:Yes)、車線サーバ130は、制御部90に対して車両退出検知信号を送出する。この車両退出検知信号に基づいて制御部90は開閉用モータ13の出力軸を逆回転させることにより、支持アーム20及び阻止棒30を許可位置Kから阻止位置Sへと回動させる(S17)。これによって、遮断機10が、車両の通行を阻止した状態となり、S13にて正常車両と判断した際の車線サーバ130の処理が終了する。
【0062】
ここで、上記のように、車線サーバ130が異常車両と判断して異常処理を行った際には、阻止棒30が阻止位置Sに維持されることにより、該阻止棒30に車両が衝突する場合がある。また、車線サーバ130が正常車両と判断して阻止棒30に開動作を行わせた際であっても、車両の進入速度が速すぎる場合には、阻止棒30に車両が衝突し得る。この際、本実施形態においては、阻止棒30のリリース動作が行われる。
【0063】
即ち、阻止棒30の棒部31に対して車両進行方向Gに進行する車両が衝突すると、当該衝撃力が阻止棒30をリリース方向T1に回動させる回転モーメントとして作用する。そして、当該回転モーメントにより、被係止部51の軸部51aが保持バネ55の付勢力に抗して山部53bを乗り越え、軸部51aが引っ掛け溝53aから脱出すると、図7に示すように、阻止棒30の非リリース状態の保持が解除され、阻止棒30が当該衝撃力及びリリースバネ41の付勢による回転モーメントにしたがってリリース方向T1に回動させられる。
【0064】
このように阻止棒30がリリース方向T1に回動すると、該阻止棒30によってワイヤ66が引張されることによって、ワイヤ66はプーリ61から順次繰り出されていく。この際、プーリ61は繰り出し方向P1に回転するため、クラッチ機構70の作用により、当該プーリ61の繰り出し方向P1への回転が出力軸68aに伝達されることはなく、即ち、阻止棒30のリリース方向T1の回動が出力軸68aに伝達されることはない。
【0065】
また、このように阻止棒30がリリース方向T1に回動する際には、阻止棒30のリリース方向T1への回動の中途において、ラッチ58aの先端がラッチ掛け部59に当接することでラッチ58a自体が後退し、該ラッチ58aがラッチ掛け部59を乗り越える。そして、阻止棒30がリリース状態となった際には、図7に示すように、ラッチ掛け部59における車両通行路R側を向く面にラッチ58aが当接可能となることで、阻止棒30の復帰方向T2への回動が阻止され、当該阻止棒30のリリース状態が保持されたロック状態となる。これによって、リリース動作が完了する。
【0066】
次に、リリース動作の完了後、阻止棒30がリリース状態にある場合において、当該阻止棒30を復帰方向T2に回動させて非リリース状態に戻す復帰動作について説明する。この復帰動作は、リリース動作後の阻止棒30がリリース状態にある場合において、例えば料金所の係員による操作部133の操作によって送出されるリリース復帰指令に基づいて行われる。図10は、制御部90が実行する阻止棒30の復帰動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【0067】
まず、制御部90は、操作部133からON信号が入力されたか否か、即ち、操作部133からリリース復帰指令が入力されたか否かを判定する(S21)。その結果、操作部133からOFF信号が入力されていると判断した場合(S21:No)、操作部133からON信号が入力されるまで待機する。
【0068】
制御部90が、操作部133からON信号が入力されたと判断した場合(S21:Yes)、制御部90は、ラッチ装置58におけるソレノイドに電流を流す指令を送出し、これによってラッチ58aを後退させることで該ラッチ装置58のロック状態を解除する(S22)。これにより、阻止棒30のリリース状態における保持状態が解除されて、阻止棒30が復帰方向T2に回動可能な状態となる。
【0069】
次いで、制御部90は、復帰用モータ68に信号を送出し、該復帰用モータ68の出力軸68aを巻き取り方向P2に正回転させる(S23)。これによって、当該出力軸68aの巻き取り方向P2に向かっての正回転が、クラッチ機構70を介してプーリ軸61bに伝達され、プーリ61が巻き取り方向P2に回転する。すると、プーリ61がワイヤ66を巻き取ることにより、プーリ61から繰り出されたワイヤ66の長さが順次短くなっていき、該ワイヤ66によって阻止棒30が引張されることで阻止棒30が復帰方向T2に回動する。これによって、阻止棒30が自動的に非リリース状態に復帰し、該阻止棒30の復帰動作が完了する。
【0070】
以上のように、本実施形態の遮断機10によれば、阻止棒30に車両が衝突することにより該阻止棒30がリリース方向T1に回動した際には、復帰駆動部60を駆動させることによって阻止棒30を復帰方向T2に回動させ、非リリース状態に復帰させることができる。
【0071】
また、復帰駆動部60においては、復帰用モータ68を駆動させることによってプーリ61を巻き取り方向P2に回転させてワイヤ66を巻き取り、これにより、阻止棒30をワイヤ66によって引張することで復帰方向T2に回動させる構成のため、阻止棒30を円滑かつ確実に非リリース状態に復帰させることができる。したがって、例えば
料金所係員が、車両通行遮断機の箇所まで近寄って、手動にて阻止棒を非リリース状態に復帰させる作業を行う必要はなく、車両通行路Rで車両の渋滞が発生してしまうことを回避できる。
【0072】
さらに、阻止棒30がリリース動作をする際には、繰り出し方向P1に回転するプーリ61は、クラッチ機構70の作用によって出力軸68aから独立して回転するため、該出力軸68aの負荷を受けることはない。即ち、出力軸68aの負荷を受けずにプーリ61を繰り出し方向P1に自由に回転させることができるため、阻止棒30をリリース方向T1に円滑に回動させることができる。さらに、車両から阻止棒30に与えられた衝撃がワイヤ66及びプーリ61を介して復帰用モータ68に伝達されることを防止できるため、衝突時の復帰用モータ68の損傷を回避することが可能となる。
【0073】
一方、電動機68を駆動して出力軸68aを巻き取り方向P2に正回転させた際には、該出力軸68aの回転がクラッチ機構70を介してプーリ61に伝達されることにより、阻止棒30を確実に復帰方向T2に回動させることができる。
即ち、クラッチ機構70が阻止棒30の復帰方向T2の回動と出力軸68aの正回転のみをこれら阻止棒30及び出力軸68aの間で互いに伝達させる構成のため、阻止棒30の円滑なリリース動作を可能としつつ、リリース動作後の阻止棒30を迅速かつ円滑に復帰させることが可能となる。
【0074】
なお、実施形態においては、阻止棒30のリリース状態におけるラッチ機構57のロック状態を、制御部90がラッチ装置58に信号を送出することで解除する構成としたが、例えば料金所係員等が操作摘み58bを操作することでラッチ58aを後退させて、ラッチ機構57のロックを解除するようにしてもよい。
【0075】
また、ラッチ機構57に代えて、例えば図11に示すように、ボールキャッチ100を設けた構成であってもよい。このボールキャッチ100は、阻止棒30における棒部31に設けられた雄部材101と遮断機本体11の車両通行路R側を向く側面に設けられた雌部材102とから構成されている。そして、阻止棒30が非リリース状態からリリース状態に回動すると、阻止棒30側の雄部材101の凸部101aが雌部材102の凹部102aに入り込む。
【0076】
この際、凹部102aの側面から付勢された一対のボール102b,102bが凸部101aを押さえ込むことによって雄部材101と雌部材102とが係合した状態となる。これによって、阻止棒30がリリース状態において固定され、リリース状態にある阻止棒30が不用意に回動してしまうことを防止することができる。
【0077】
なお、阻止棒30がリリース状態から非リリース状態に回動する際には、阻止棒30の復帰方向T2への回転力によってボール102b,102bの付勢力に抗して凸部101aが凹部102a内から脱出することにより、雄部材101と雌部材102との係合状態が解除される。したがって、制御部90の指令によらずとも阻止棒30のロック状態を解除することができるため、遮断機10の構成自体をより簡易なものとすることができる。
【0078】
次に、本発明の第二実施形態に係る遮断機について、図面を参照して詳細に説明する。
第二実施形態の遮断機410は、図12〜図14に示すように、遮断機本体411と、該遮断機本体411に支持された支持アーム420と、該支持アーム420に支持された阻止棒430とを備えている。さらに、この遮断機410には、復帰駆動部440と、リリース状態保持部460と、非リリース状態保持部470と、補助復帰駆動部480と、制御部490(図12〜18において図示省略、図27参照)とが設けられている。
【0079】
遮断機本体411は、高速道路の料金所における車両通行路Rの側方に固定設置されている。この遮断機本体411における車両進行方向G後方側を向く面には、開閉軸412(図13及び図14参照)が設けられている。この開閉軸412は、遮断機本体411内に設けられた開閉用モータ413(図12〜図14において図示省略、図27参照)によって車両進行方向Gに沿った水平軸回りに回転駆動可能とされている。開閉用モータ413は回転速度や回転角度を任意に制御可能ないわゆるサーボモータであって、後述する制御部490と接続されており、該制御部490の指令に基づいて正逆回転するように構成されている。なお、遮断機本体411を設置する箇所は、高速道路の料金所に限られず、例えば駐車場の料金所等であってもよい。
【0080】
支持アーム420は、アーム本体421とリリース軸422とを備えている。
アーム本体421は開閉軸412の直径方向を長手方向とするように該開閉軸412に固定支持されている。このアーム本体421は、開閉軸412の回転に伴って、該アーム本体421の長手方向が水平方向に平行な水平状態と鉛直方向に平行な鉛直状態との間で、鉛直面に沿って90°の範囲で開閉軸412の軸線回りに回動可能とされている。
【0081】
このアーム本体421は、水平状態とされている場合において上下方向に対向する上板部421a、下板部421b、及び、これら上板部421aと下板部421bとを接続する中板部421cを備えている。即ち、アーム本体421は、長手方向に直交する断面形状が略コの字状をなしている。そして、上記断面コの字状において上下に対抗する二辺を接続する一辺となる中板部421cが開閉軸412に固定支持されている。
【0082】
リリース軸422は、図14に示すように、上記アーム本体421の先端、即ち、支持アーム420が水平状態の場合におけるアーム本体421の車両通行路R側の端部(図12及び図13における左側)に支持されている。このリリース軸422は、アーム本体421の長手方向に直交し、かつ、鉛直面に沿って延びる軸線回りに回動可能とされている。これによって、支持アーム420が水平状態とされている際にはリリース軸422は鉛直軸回りに回動可能とされる。
【0083】
阻止棒430は、リリース軸422の直径方向に延在するように該リリース軸422に固定支持されている。そして、支持アーム420が水平状態とされている場合における阻止棒430のリリース軸422から見た車両通行路R側の部分が、長尺状をなして車両の進行を阻止する棒部431とされている。また、阻止棒430におけるリリース軸422を挟んで棒部431の反対側の部分が、アーム本体421の上記断面コの字状の内側に収納可能な基部432とされている。
このような阻止棒430は、リリース軸422の回転に伴って該リリース軸422の軸線回りに回動可能とされている。
【0084】
この阻止棒430においては、図12及び図14に示すように、該阻止棒430の延在方向が支持アーム420の長手方向と平行な状態、即ち、阻止棒430が開閉軸412の径方向に延在する状態が非リリース状態とされている。
また、阻止棒430においては、図13に示すように、リリース軸422の回動に伴って非リリース状態から車両進行方向Gに90°回動し、阻止棒30の延在方向が支持アーム420の長手方向と直交する状態、即ち、阻止棒430が開閉軸412及び車両進行方向Gと平行に延在する状態がリリース状態とされている。
以下では、阻止棒430が非リリース状態からリリース状態に回動する方向、即ち、リリース動作を行う方向をリリース方向T1とし、これとは逆にリリース状態から非リリース状態に回動する方向、即ち、復帰動作を行う方向を復帰方向T2とする。
【0085】
また、阻止棒430においては、図12に示すように、支持アーム420が水平状態とされ、かつ、阻止棒430が非リリース状態とされていることにより、該阻止棒430が略水平状態であるとともに車両進行方向Gに略直交する方向に延びて車両の進行を阻止する状態が阻止位置Sとされている。また、支持アーム420が鉛直状態とされ、かつ、阻止棒430が非リリース状態とされることにより、阻止棒430が鉛直方向に起立して車両の通行を許可する状態が許可位置Kとされている。
【0086】
そして、本実施形態においては、開閉軸412の回転に伴って支持アーム420が90°の範囲で回動することで、非リリース状態とされた阻止棒430が阻止位置Sと許可位置Kとの間での開閉動作を行うようになっている。以下では、支持アーム420が水平状態から鉛直状態に向かって回動する動作を開動作とし、該支持アーム420が鉛直状態から水平状態に向かって回動する動作を閉動作とする。
【0087】
次に、復帰駆動部440の構成について説明する。
復帰駆動部440は、リリース方向T1に回動した阻止棒430を復帰方向T2に回動させて非リリース状態に復帰させるための機構であって、図12〜図14に示すように水平状態とされた支持アーム420の下部に一体に固定されている。この復帰駆動部440は、図15〜図18に示すように、筐体状をなす復帰駆動部本体440a内に収納された復帰用モータ(電動機)441と、該復帰用モータ441の正回転をリリース軸422に伝達させる動力伝達機構442と、阻止棒430の非リリース状態又はリリース状態を検知する状態検知手段455(図15にて図示省略)とを備えている。
【0088】
復帰用モータ441は、回転速度や回転角度を任意に制御可能ないわゆるサーボモータであって、制御部490からの指令に基づいて出力軸441aが正逆回転可能とされている。
【0089】
動力伝達機構442は、第一ウォームギア443と、第一回転軸444と、第二ウォームギア445と、第一平歯車446と、第二回転軸447と、クラッチ機構448と、第二平歯車451と、第三平歯車452とを備えている。
【0090】
第一ウォームギア443は、図15から図18に示すように、出力軸441aの先端に該出力軸441aと同軸に固定されており、その外周面には、軸線回りに捩れる雄ネジが形成されている。
第一回転軸444は、支持アーム420が水平状態とされた場合における復帰駆動部本体440aの上下方向(以下、復帰駆動部440の説明においては単に上下方向と称する。)に延在する軸であって、例えば復帰駆動部本体440aに配された図示しない軸受を介して軸線回りに回転可能に設けられている。
【0091】
第二ウォームギア445は、第一回転軸に同軸に固定された略円盤状をなす部材であって、該第一回転軸444と一体に回転するようになっている。この第二ウォームギア445の外周面には第一ウォームギア443の雄ネジと螺合するギア歯が形成されており、これによって、第一ウォームギア443と第二ウォームギア445とはそれぞれの軸線回りに互いに連動回転するようになっている。
【0092】
第一平歯車446は、第一回転軸444に同軸に固定された略円盤状をなすギアであって、その外周面にはギア歯が形成されている。この第一平歯車446は、第二ウォームギア445の上部に一体に固定されており、これによって、第二ウォームギア445及び第一回転軸444と連動して軸線回りに回転するようになっている。
第二回転軸447は、第一回転軸444と平行をなして上下方向に延在する軸であって、例えば復帰駆動部本体440aに配された図示しない軸受を介して軸線回りに回転可能に設けられている。
【0093】
クラッチ機構448は、第二回転軸447に対してそれぞれ同軸に配置された第一ギア449及び第二ギア450を備えている。
第一ギア449は、第二回転軸447に対して同軸かつ一体に固定された略円盤状をなしており、第二回転軸447とともに軸線回りに回転するように構成されている。この第一ギア449の外周面にはギア歯が形成されており、当該ギア歯は第一平歯車446のギア歯と互いに噛み合っている。これによって、第一ギア449と第一平歯車446とは、それぞれの軸線回りに互いに連動回転可能とされている。
【0094】
この第一ギア449の上面には、図17(a)に示すように、該第一ギア449の軸線を挟み込むようにして該軸線を中心とした180°の点対称をなす一対の爪部449a,449aが設けられている。これら爪部449a,449aはそれぞれ第一ギア449の軸線に平行に延びる円柱状をなしている。
【0095】
第二ギア450は、図15及び図16に示すように、第二回転軸447に対して軸線回りに相対回転可能に配置された円盤状をなしており、第一ギア449の上部に重なるように配置されている。
この第二ギア450には、図17(a)に示すように、該第二ギア450の厚み方向に貫通する一対の溝部450a,450aが形成されている。これら溝部450a,450aは、第二ギア450の軸線回りに延びる円弧状をなしており、第二ギア450の軸線を挟み込むようにして該軸線を中心とした180°の点対称となるように配置されている。
【0096】
このような第二ギア450の溝部450a,450aには、図17(b)に示すように、第一ギア449の一対の爪部449a,449bが一対一の関係で挿入されている。これによって、第一ギア449と第二ギア450とは、溝部450a,450a内における爪部449a,449aの移動許容範囲に応じて軸線回りに相対回転可能とされている。
【0097】
第二平歯車451は、第二回転軸447に対して同軸かつ相対回転可能に配されたギアであって、水平状態とされた支持アーム420における第二ギア450の上部に一体に固定されている。これによって、第二平歯車451は第二ギア450と一体に回転する。また、第二平歯車451の外周面にはギア歯が形成されている。
【0098】
第三平歯車452は、支持アーム420に設けられたリリース軸422の下方において、該リリース軸422に対して同軸かつ一体に設けられたギアであって、当該リリース軸422と連動して回転可能とされている。また、第三平歯車452の外周面にはギア歯が形成されており、当該ギア歯は第二平歯車451のギア歯と互いに噛み合っている。これによって、第二平歯車451と第三平歯車452とはそれぞれの軸線回りに互いに連動回転するようになっている。
【0099】
ここで、制御部490の指令によって復帰用モータ441の出力軸441aが正回転すると、図18に示すように、当該出力軸441aの正回転が動力伝達機構442における第一ウォームギア443、第二ウォームギア445、第一平歯車446を介してクラッチ機構448の第一ギア449に伝達される。これによって、第一ギア449及び爪部449a,449aは、図16に示す初期位置から図19に示すように時計回りに90°だけ回転する。以下、このような第一ギア449及び爪部449a,449aの動作を正回転動作と称する。
【0100】
一方、第一ギア449,449及び爪部449a,449aが初期位置から正回転動作した後に、制御部490の指令によって復帰用モータ441の出力軸441aが逆回転すると、上記同様、当該出力軸441aの逆回転が、動力伝達機構442における第一ウォームギア443、第二ウォームギア445、第一平歯車446を介してクラッチ機構448の第一ギア449に伝達される。これによって、第一ギア449及び爪部449a,449aは、図19における反時計回り、即ち、正回転動作と反対回りに90°回転して初期位置に復帰する。以下、この第一ギア449及び爪部449a,449aの動作を逆回転動作を称する。
以上のように、第一ギア449及び爪部449a,449aは、復帰用モータ441の出力軸441aの正逆回転に応じて90°の角度範囲を往復回動する。
【0101】
また、阻止棒430がリリース動作を行い、非リリース状態からリリース状態となると、図20に示すように、このリリース動作に伴うリリース軸422のリリース方向T1への回転が、動力伝達機構442における第三平歯車452、第二平歯車451を介して第二ギア450に伝達される。これによって、第二ギア450は、図16に示す初期位置から図21に示すように反時計回りに90°だけ回転する。以下、この第二ギア450の動作をリリース連動動作と称する。
第二ギア450がリリース連動動作を行った後は、図21に示すように、第一ギア449における初期位置の爪部449a,449aが、溝部450a,450aにおける図21の時計回り前方側の端部となる当接端部450bにそれぞれ当接する。
【0102】
一方、リリース連動動作後の第二ギア450が当該リリース連動動作と反対回り90°に回転すると、当該回転が動力伝達機構442における第二平歯車451及び第三平歯車452を介してリリース軸422に伝達される。これによってリリース軸422は、復帰方向T2に回転する。これに伴って、阻止棒430がリリース状態から復帰動作を行って非リリース状態に復帰する。以下、このように第二ギア450の動作を復帰連動動作と称する。
以上のように、第二ギア450と阻止棒430とは、互いに連動する構成とされ、即ち、第二ギア450のリリース連動動作と阻止棒430のリリース動作とが対応するように、また、第二ギア450の復帰連動動作と阻止棒430の復帰動作とが対応するように互いに連動する。
【0103】
状態検知手段455は、被検知円盤456と、円盤検知用センサ457とから構成されている。
被検知円盤456は、図16、図19及び図21に示すように、略円盤状をなす部材であって、上記クラッチ機構448における第二ギア450の上面に同軸かつ一体に固定されている。被検知円盤456は、その外径が第二ギア450の外径よりも大きく形成されており、さらに、外周縁部から径方向内側に向かって切り欠くように形成された第一スリット456a及び第二スリット456bを備えている。これら第一スリット456a,第二スリット456bは、被検知円盤456の周方向に互いに90°の間隔をあけて配置されている。
【0104】
円盤検知用センサ457は、復帰駆動部本体440aの内壁に保持されたセンサであって、例えばレーザーを照射することによって対象物までの距離を測定可能とされた距離センサが採用されている。本実施形態において、円盤検知用センサ457は、被検知円盤456の外周部に対して水平状態とされた支持アーム420の上下方向に沿うようにレーザーを照射している。これにより、被検知円盤456の回転角度に応じて、レーザーの照射領域に第一スリット456a又は第二スリット456bが存在する場合と、当該照射領域に被検知円盤456が存在する場合とをそれぞれ検出するようになっている。
【0105】
このような円盤検知用センサ457は、図16及び図19に示すように、阻止棒430が非リリース状態とされて第二ギア450が初期位置とされている場合には、第一スリット456aに向かってレーザーを照射しており、即ち、円盤検知用センサ457のレーザー照射領域に第一スリット456aが位置している。この場合、状態検知手段455は、阻止棒430が非リリース状態にあるものと認識する。
【0106】
そして、図21に示すように、第二ギア450がリリース連動動作を行った際には、これに伴って第二ギア450に固定された円盤検知用センサ457も回転することにより、円盤検知用センサ457のレーザー照射領域に第二スリット456bが存在することになる。このように、円盤検知用センサ457のレーザー照射領域に当初第一スリット456aが位置している場合に被検知円盤456が回転することにより、当該レーザー照射領域に位置する対象物が被検知円盤456自体、第二スリット456bと変化した場合に、状態検知手段455は阻止棒430がリリース状態に変化したものと認識する。
【0107】
さらに、第二ギア450が復帰連動動作を行った際には、これに伴って第二ギア450に固定された円盤検知用センサ457も回転することにより、円盤検知用センサ457のレーザー照射領域に第一スリット456aが存在することになる。このように、円盤検知用センサ457のレーザー照射領域に当初第二スリット456bが位置している場合に被検知円盤456が回転することにより、当該レーザー照射領域に位置する対象物が被検知円盤456自体、第一スリット456aと変化した場合に、状態検知手段455は阻止棒430がリリース状態に変化したものと認識する。
以上のようにして、状態検知手段455は、阻止棒430が非リリース状態にあるかリリース状態にあるのかを検知する。
【0108】
次に、リリース状態保持部460の構成について説明する。
リリース状態保持部460は、阻止棒430をリリース状態において保持する機構であって、図12〜図14に示すように、水平状態とされた支持アーム420の先端における上面に設けられている。このリリース状態保持部460の説明においては、当該水平状態とされた支持アーム420の上下方向を単に上下方向と称する。
【0109】
このリリース状態保持部460は、詳しくは図12に示すように、水平状態とされた支持アーム420の上面に固定された筐体状をなす保持部本体461と、リリース状態における阻止棒430に対して付勢力により係止する付勢係止部462と、該付勢係止部462の付勢力に抗して該付勢係止部462の阻止棒430に対する係止を解除する係止解除部465とを備えている。
【0110】
上記付勢係止部462は、スライドバー463及び付勢部材収容部464から構成されている。
スライドバー463は、上下方向に延在するバー状をなしており、保持部本体461を貫通するようにして上下方向の所定範囲にわたってスライド可能に設けられている。このスライドバー463の下端には、リリース状態とされた阻止棒430に係合可能な係止端部463aが設けられている。この係止端部463aはスライドバー463が最下位置にある場合に阻止棒430に係合する。また、このスライドバー463における上下方向略中央部には、該スライドバー463の外周面が一段拡径するようにして形成されたフランジ部463bが設けられている。
【0111】
付勢部材収容部464は、保持部本体461内においてスライドバー463に外嵌されるように設けられている。この付勢部材収容部464は、スライドバー463の上下方向の相対移動を許容しており、即ち、スライドバー463は付勢部材収容部464によって上下方向のスライドが阻止されることなく当該方向に相対移動可能とされている。また、付勢部材収容部464の内部には、スライドバー463を下方に向かって付勢するコイルスプリング等の付勢部材(図示省略)が収容されている。この付勢部材の付勢によって、スライドバー463に外力が作用しない限り、該スライドバー463は最下位置に位置することになる。
付勢部材収容部464の付勢部材により最下位置に位置するスライドバー463は、該スライドバー463の係止端部463aが阻止棒430に対して係止することで阻止棒430をリリース状態に保持している。
【0112】
係止解除部465は、解除用モータ466と、ネジ部材467と、ボールナット468と、ブラケット469とを備えている。
解除用モータ466は、保持部本体461内において、出力軸が下方に向くように配置されている。この出力軸には、外周面にギア歯が形成されたモータ側ギア466aが同軸かつ一体に固定されている。
【0113】
ネジ部材467は、保持部本体461内の上下方向に延在するように配置されており、その外周面には軸線方向に捩れる雄ネジが形成されている。また、このネジ部材467の下端には外周面にギア歯が形成されたネジ部材側ギア467aが同軸かつ一体に固定されている。このネジ部材側ギア467aはモータ側ギア466aと互いに噛み合っており、これによって、解除用モータ466の回転と連動してネジ部材467が回転する。
【0114】
ボールナット468は、ネジ部材467に外嵌された筒状の部材であって、その内周側にはネジ部材467の雄ネジと螺合する雌ネジが形成されている。このボールナット468は、ネジ部材467の回転に伴って当該ネジ部材467の延在方向、即ち、上下方向に移動可能とされている。これらネジ部材467とボールナット468とによって、ネジ部材467の軸線回りの回転をボールナット468の上下方向の直進運動に変換するボールネジ機構が構成されている。
【0115】
ブラケット469は、その一端がボールナット468に固定されており、該ボールナット468の移動に連動して上下に移動するように構成されている。また、ブラケットの他端はスライドバー463に向かって延在しており、当該他端側の部分をスライドバー463が上下方向に相対移動可能に貫通している。
ここで、ブラケット469は、スライドバー463のフランジ部463bに対して下方から当接している。これによって、ブラケット469が上方に向かって移動する場合には、該スライドバー463を持ち上げるようにして上方に移動させる。この動作によって、スライドバー463における係止端部463aの阻止棒430に対する係止を解除するようになっている。
【0116】
次に、非リリース状態保持部470の構成について説明する。
非リリース状態保持部470は、阻止棒430を非リリース状態に保持するための機構であって、図12〜図14、図18に示すように、支持アーム420のアーム本体421に上下一対が設けられている。
これら非リリース状態保持部470,470は、詳しくは図23に示すように、ナット471及びボルト472を介して、アーム本体421の上板部421a、下板部421bにそれぞれ設けられた付勢突起473を備えている。この付勢突起473は、上板部421a、下板部421bを支持アーム420の上下方向の外側から内側に向かってそれぞれ付勢されている。付勢突起473は、阻止棒430が非リリース状態とされて支持アーム420内に収納されている場合には、該阻止棒430の基部432の上面及び下面にそれぞれ形成された凹部432a,432bにそれぞれ係合する。
【0117】
この非リリース状態保持部470は、阻止棒430がリリース状態とされている場合には、付勢突起473がアーム本体421の内側に突出した状態とされている。そして阻止棒430が復帰方向T2に回動して復帰動作をすると、当該復帰動作の中途において、阻止棒430における基部432に対して付勢突起473が当接する。この状態において阻止棒430がさらに復帰方向T2に回動すると、阻止棒430から付勢突起473に付与される押圧力によって該付勢突起473が後退する。また、阻止棒430が非リリース状態となると、阻止棒430の基部432における凹部432a,432bに対して付勢突起473が付勢力に従って突出する。これによって、付勢突起473と凹部432a,432bとが係合し、阻止棒430が非リリース状態に保持される。
【0118】
一方 阻止棒430が非リリース状態からリリース動作を行う際には、阻止棒430の基部432のリリース方向に回動する際に、付勢突起473が阻止棒430の凹部432a,432bの傾斜にしたがって後退する。即ち、基部432の回動による押圧力が付勢突起473に付与され、これによって付勢突起473が付勢力に抗して後退することにより、付勢突起473と凹部432a,432bとの係合が解除される。
【0119】
次に、補助復帰駆動部480の構成について説明する。
補助復帰駆動部480は、復帰方向T2に回動する阻止棒430が非リリース状態に到達する手前の所定位置に到達した際に、該阻止棒430に対して復帰方向T2に向かってのトルクを付与する役割を有している。
この補助復帰駆動部480は、図24及び図25に示すように、支持アーム420におけるアーム本体421の後端(車両通行路Rの反対側の端部)に固定された筐体状をなす補助復帰駆動部本体480aと、補助復帰用モータ481と、第一平歯車482と、第一回転軸483と、第二平歯車484と、第三平歯車485と、第二回転軸486と、引き込み用ギア487と、被係止部488と、第一検知部489aと、第二検知部489bとを備えている。
【0120】
補助復帰用モータ481は、回転速度や回転角度を任意に制御可能ないわゆるサーボモータであって、制御部490の指令に基づいて正逆回転するように構成されている。この補助復帰用モータ481は、補助復帰駆動部本体480a内において出力軸を上方に向けて配置されている。
【0121】
第一平歯車482は、補助復帰用モータ481の出力軸に同軸かつ一体に固定されたギアであって、その外周面にはギア歯が形成されている。
第一回転軸483は、上下方向に延在するように補助復帰駆動部本体480a内に設けられた軸であって、該補助復帰駆動部本体480aに配された図示しない軸受を介して軸線回りに回転可能とされている。
第二平歯車484は、第一回転軸483に同軸かつ一体に固定されており、その外周面にはギア歯が形成されている。この第二平歯車484のギア歯は第一平歯車482のギア歯と互いに噛み合っており、これによって第一平歯車482と第二平歯車484とはそれぞれの軸線回りに互いに連動回転するようになっている。
【0122】
第三平歯車485は、第一回転軸483に同軸かつ一体に固定されており、これによって、第二平歯車484及び第一回転軸483と連動して回転するようになっている。この第三平歯車485の外周面にはギア歯が形成されている。
第二回転軸486は、第一回転軸483と平行をなすように、即ち、上下方向に延在するように、補助復帰駆動部本体480a内に設けられた軸であって、該補助復帰駆動部本体480aに配された図示しない軸受を介して軸線回りに回転可能とされている。
【0123】
引き込み用ギア487は、第二回転軸486に一体に固定されており、該第二回転軸486の回転にともなって軸線回りに回転するようになっている。この引き込み用ギア487の外周面の一部には、上記軸線を中心としたギア部487aが設けられている。このギア部487aに形成されたギア歯は上記第三平歯車485のギア歯と互いに噛み合っており、これによって、第三平歯車485と引き込み用ギア487とは、それぞれの軸線回りに連動回転可能とされている。
また、この引き込み用ギア487の外周面におけるギア部487aに対して軸線を挟んだ反対側の部分には、該軸線の径方向外側に向かって突出するように形成された引き込み部487bが形成されている。
【0124】
被係止部488は、阻止棒430における基部432の後端において、上下方向に延在するように一体に取り付けられている。この被係止部488は、阻止棒430が非リリース状態にある場合において、アーム本体421の内部から補助復帰駆動部本体480a内に突出するように配置されている。この被係止部488は、上記引き込み用ギア487の引き込み部487bが復帰方向T2の後方側から引っ掛かるようにして係止可能とされている。
【0125】
ここで、図25に示すように、引き込み部487bが被係止部488の回転軌跡Lの外側に外れた被係止部488の位置、即ち、阻止棒430の基部432の被係止部488が引き込み部487bに対して当接することのない被係止部488の位置が、当該被係止部488及び引き込み用ギア487の初期位置とされている。
そして、この引き込み用ギア487は、初期位置から図25及び図26の時計回り方向(係止回転方向U1)に回転することによって、被係止部488に対して引っ掛かるようにして係合する。また、被係止部488に対して係合した引き込み用ギア487は、図25の半時計回り方向(解除回転方向U2)に回転することによって、被係止部488との係合を解除するとともに初期位置に復帰する。
【0126】
第一検知部489aは、阻止棒430がリリース状態から復帰方向T2に該阻止棒430は非リリース状態に到達する手前の所定位置に到達したことを検知する役割を有している。この第一検知部489aは、例えば補助復帰駆動部本体480a内の下部に設置されており、図25に示すように、上方に向かって照射するレーザーによって阻止棒430の基部432後端に取り付けられた被係止部488の有無を検知する。これによって、阻止棒430が非リリース状態に到達する手前の所定位置に到達したか否かを検出している。
【0127】
ここで、阻止棒430の非リリース状態に到達する手前の所定位置とは、阻止棒430がリリース状態から復帰方向T2に回動する際に、上記非リリース状態保持部470の付勢突起473が阻止棒430の基部432に対して当接する際の阻止棒430の角度位置を意味している。したがって、リリース状態の阻止棒430が復帰方向T2に回動し、該阻止棒430が非リリース状態保持部470の付勢突起473に当接した際に、第一検知部489aが阻止棒430の基部432後端の被係止部488を検知する。
【0128】
第二検知部489bは、リリース状態の阻止棒430が復帰方向T2に回動した結果、該阻止棒430がリリース状態に到達したことを検知する役割を有している。この第二検知部489bとしては、図25に示すように、支持アーム420のアーム本体421における中板部421cの内面に設けられたスイッチセンサを採用することができる。これにより、阻止棒430が非リリース状態となった際には、該阻止棒430の基部432が第二検知部489bに当接することにより、該第二検知部489bが阻止棒430の非リリース状態への復帰を検知するようになっている。
【0129】
次に、制御部490について、遮断機410の機能構成を踏まえて説明する。図27は遮断機410及び周辺機器の機能構成を示す機能ブロック図である。遮断機410における制御部490には、開閉用モータ413と、復帰駆動部440の復帰用モータ441と、補助復帰駆動部480の補助復帰用モータ481と、リリース状態保持部460の解除用モータ466と、第一検知部489aと、第二検知部489bとがそれぞれ接続されている。
【0130】
この制御部490は、第一検知部489a及び第二検知部489bからの信号の入力に基づいて補助復帰用モータ481の駆動制御を行う。具体的には、この制御部490は、第一検知部489aから信号が入力された際には、補助復帰用モータ481の出力軸を正回転させ、第二検知部489bから信号が入力された際には、補助復帰用モータ481の出力軸を逆回転させる。
【0131】
また、遮断機410の外部には、周辺機器として、車両検知器531、路側アンテナ532及び操作部533がそれぞれ接続された車線サーバ530が設けられている。この車線サーバ530は、遮断機410内における制御部490に接続されており、車両検知器531、路側アンテナ532及び操作部533からの入力に応じて制御部490に対して信号を送出する。
【0132】
車両検知器531は、例えば車両通行路Rの両側に設置された複数対の光センサにより構成されており、料金所ゲートへの車両の進入と退出を検知するように構成されている。即ち、車両検知器531は、例えば料金所ゲートの入り口側(遮断機410の車両進行方向G後方側)に設置された第一の光センサによって該料金所ゲートへの車両の進入を検知する一方、料金所ゲートの出口側(遮断機410の車両進行方向G前方側)に設置された第二の光センサによって該料金所ゲートからの車両の退出を検知するようになっている。これにより、車両検知器531は、車両の進入と退出との検知に車両の進入と退出に応じた信号を車線サーバ530に対して出力する。
【0133】
路側アンテナ532は、例えば遮断機410よりも車両進行方向G後方側に設置されており、車両が料金所ゲートを通過する際、該車両に搭載された車載器と必要な情報を送受信し、当該情報の送受信に基づく信号を車線サーバ530に対して出力する。
そして、車線サーバ530は、これら車両検知器531及び路側アンテナ532からの信号の入力に基づいて、制御部490に対して車両通行許可指令及び車両退出検知信号を送出する。制御部490は、車両通行許可指令に基づいて開閉用モータ413を正回転駆動させることにより阻止棒430に開動作を行わせる。一方、制御部490は、車両退出検知信号に基づいて開閉用モータ413を逆回転駆動させることにより、開動作後の阻止棒430に閉動作を行わせる。
【0134】
また、操作部533は、料金所周辺に設置された料金所係員の居室に設置されており、例えば「開ボタン」や「閉ボタン」の押下に基づいて、車線サーバ530に対して阻止棒430の開閉要求を出力する。車線サーバ530は、この開閉要求に基づいて制御部490に対し開閉指令を送出し、制御部490はこの開閉指令に基づいて当該開閉用モータ413を回転駆動させることで阻止棒430の開閉動作を行う。なお、操作部533は、料金所から離れた位置にある監視センター等に設置した構成であってもよい。
【0135】
さらに、この操作部533は、上記制御部490にも直接接続されており、例えば「リリース復帰ボタン」を押下に基づいて制御部490に対して阻止棒430のリリース復帰指令を送出する。制御部490は、このリリース復帰指令が入力された際には、解除用モータ466を駆動させ、次いで復帰用モータ441を駆動させる。
【0136】
次に、本実施形態の遮断機410の作用について説明する。
車両通行路Rに車両が進入しておらず遮断機410が待機状態の際には、図12及び図14に示すように、支持アーム20が水平状態とされるとともに阻止棒430は非リリース状態とされ、即ち、阻止棒430はホームポジションである阻止位置Sにある。
【0137】
この非リリース状態において復帰駆動部440は、図16に示すように、クラッチ機構448の第一ギア449及び第二ギア450を初期状態に位置させている。また、状態検知手段455における円盤検知用センサ457のレーザ照射領域には、被検知円盤456における第一スリット456aが位置した状態とされており、これによって、阻止棒430が非リリース状態にあることが検知されている。
さらに、リリース状態保持部460においては、図22(a)に示すように、係止解除部465のボールナット468及びブラケット469が最下位置にあり、付勢係止部462のスライドバー463は付勢部材収容部464の付勢部材の付勢に従って最下位置にある。
【0138】
また、非リリース状態保持部470においては、付勢突起473がその付勢に従って阻止棒430の基部432の凹部432a,432bに係合していることで、阻止棒430のリリース方向T1への回動を阻止しており、即ち、阻止棒430を非リリース状態に保持している。これにより、阻止棒430が不用意にリリース動作をしてしまうことを防止している。
【0139】
さらに、この非リリース状態において、補助復帰駆動部480における引き込み用ギア487は、図24及び図25に示すように、阻止棒430の基部32に設けられた被係止部488に係合することのない初期位置に位置している。
【0140】
始めに、上記のように待機状態の遮断機410を備えた料金所ゲートに車両が進入した際の阻止棒430の開閉動作の処理手順について説明する。この阻止棒430の開閉動作は、車線サーバ530の制御によって行われる。図28は、車線サーバ530が実行する阻止棒430の開閉動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【0141】
まず、車線サーバ530は、車両検知器531が料金所ゲートへの車両の進入を検知したか否か、即ち、車両検知器531からのON信号(車両検知信号)が入力されたか否かを判定する(S111)。その結果、車両検知器531からOFF信号が入力されていると判定した場合(S111:No)、車線サーバ530は、車両検知器531からON信号が入力されるまで待機する。一方、車両検知器531からからON信号が入力されたと判断した場合(S111:Yes)、車線サーバ530は、路側アンテナ532に対して車載器情報の受信指令を送出し(S112)、路側アンテナ532はこの信号に基づいて車両に搭載された車載器と通信を開始する。
【0142】
次いで、車線サーバ530は、路側アンテナ532が受信した車載器情報に基づいて、料金所ゲートを通過しようとしている車両が正常車両であるか異常車両であるかの別を判断する(S113)。その結果、異常車両であると判断した場合(S113:No)、車線サーバ530は異常処理を行い(S114)、阻止棒430の開動作を行うことなく該阻止棒430を阻止位置Sに維持する。これにより、S113にて異常車両と判断した際の車線サーバ530の処理が終了する。
【0143】
一方、S113にて正常車両であると判断した場合(S113:Yes)、車線サーバ530は、制御部490に対して車両通行許可指令を送出する。これにより、制御部490は、開閉用モータ413の出力軸を正回転させることにより、支持アーム420及び阻止棒430を阻止位置Sから許可位置Kへと回動させる(S115)。これによって、遮断機410が、車両の通行を許可した状態となる。
【0144】
S115の後、車線サーバ530は、車両が料金所ゲートから退出を検知したか否か、即ち、車両検知器531による車両の検知が終了した結果、車両検知器531からOFF信号が入力されたか否かを判定する(S116)。そして、車両検知器531から依然としてON信号が入力されていると判断した場合(S116:No)、車線サーバ530は、車両検知器531からOFF信号が入力されるまで待機する。一方、車両検知器531からOFF信号が入力されたと判断した場合(S16:Yes)、車線サーバ530は、制御部490に対して車両退出検知信号を送出する。この車両退出検知信号に基づいて制御部490は開閉用モータ413の出力軸を逆回転させることにより、支持アーム420及び阻止棒430を許可位置Kから阻止位置Sへと回動させる(S17)。これによって、遮断機410が、車両の通行を阻止した状態となり、S113にて正常車両と判断した際の車線サーバ530の処理が終了する。
【0145】
ここで、上記のように、車線サーバ530が異常車両と判断して異常処理を行った際には、阻止棒430が阻止位置Sに維持されることにより、該阻止棒430に車両が衝突する場合がある。また、車線サーバ530が正常車両と判断して阻止棒430に開動作を行わせた際であっても、車両の進入速度が速すぎる場合には、阻止棒430に車両が衝突し得る。この際、本実施形態においては、阻止棒430のリリース動作が行われる。
【0146】
即ち、阻止棒430の棒部431に対して車両進行方向Gに進行する車両が衝突すると、当該衝撃力が阻止棒430をリリース方向T1に回動させる回転モーメントとして作用する。そして、非リリース状態保持部470においては、当該回転モーメントにより付勢突起473がそれぞれ凹部432a,432bから脱出し、これら付勢突起473と凹部432a,432bとの係合が解除される。これによって、阻止棒430の非リリース状態の保持が解除され、当該阻止棒430がリリース方向T1に回動させられる。
【0147】
このように、阻止棒430がリリース方向T1に回動すると、リリース軸422の回転に伴って、図21に示すように、復帰駆動部440の動力伝達機構442においては、第三平歯車452及び第二平歯車451を介してクラッチ機構448の第二ギア450がリリース連動動作を行う。そして、阻止棒430がリリース状態となった際には、第二ギア450の溝部450a,450aにおける当接端部450b,450bが、初期位置の第一ギア449の爪部449a,449aにそれぞれ当接した状態となる。
【0148】
そして、このように阻止棒430がリリース状態となった際には、図22(a)に示すように、リリース状態保持部460の付勢係止部462におけるスライドバー463の係止端部463aが阻止棒430の基部432に係止した状態となり、即ち、阻止棒430のリリース状態が保持されたロック状態となる。これによって、阻止棒430のリリース動作が完了する。
また、このように阻止棒430がリリース動作をした際には、状態検知手段455における円盤検知用センサ457のレーザ照射領域が、第一スリット456a、被検知円盤456、第二スリット456bと変化する。これにより、状態検知手段455において阻止棒430がリリース状態となったことが検知される。
【0149】
次に、リリース動作の完了後、阻止棒430がリリース状態にある場合において、当該阻止棒430を復帰方向T2に回転させて非リリース状態に戻す復帰動作について説明する。
この復帰動作は、リリース動作後の阻止棒430がリリース状態にある場合において、例えば料金所の係員による操作部533の操作によって送出されるリリース復帰指令に基づいて行われる。図29は、制御部490が実行する阻止棒430の復帰動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【0150】
まず、制御部490は、操作部533からON信号が入力されたか否か、即ち、操作部533からリリース復帰指令が入力されたか否かを判定する(S121)。その結果、操作部533からOFF信号が入力されていると判断した場合(S121:No)、操作部533からON信号が入力されるまで待機する。
【0151】
制御部490が、操作部533からON信号が入力されたと判断した場合(S121:Yes)、リリース状態保持部460に対して阻止棒430の保持を解除させる指令を送出する(S122)。即ち、制御部490は、係止解除部465における解除用モータ466を駆動させることにより、図22(b)に示すように、付勢係止部462のスライドバー463を上方に向かって移動させ、これにより、阻止棒430の基部432に対するスライドバー463の係止端部463aの係止を解除させる。これによって、阻止棒430のリリース状態における保持状態が解除されて、阻止棒430が復帰方向T2に回動可能な状態となる。
【0152】
次いで、制御部490は、復帰駆動部440における復帰用モータ441の出力軸441aを正回転させることによって(S123)、動力伝達機構442におけるクラッチ機構448の第一ギア449に軸線回り90°の正回転動作をさせる。この際、図30に示すように、該第一ギア449の爪部449a,449aの回転方向前方側に第二ギア450の溝部450a,450aの当接端部450b,450bが当接しているため、第一ギア449の正回転動作に連動して第二ギア450も同様の方向に回転する。即ち、第一ギア449の爪部449a,449aが第二ギア450の溝部450a,450aにおける当接端部450b,450bを押圧することによって、当該第一ギア449の正回転動作に連動して第二ギア450が復帰連動動作を行う。
【0153】
このように第二ギア450が復帰連動動作を行うと、この復帰連動動作に基づく回転が第二平歯車451及び第三平歯車452を介してリリース軸422に伝達され、リリース軸422が復帰方向T2に回転する。これにともなって、該リリース軸422に支持された阻止棒430が復帰方向T2に回動する。
【0154】
その後、制御部490は、第一検知部489aから信号が入力されたか否かを判定する(S124)。即ち、復帰駆動部440の寄与により阻止棒430が復帰方向T2に回動して当該阻止棒430が非リリース状態の手前の所定位置に到達した結果、第一検知部489aに検知されたか否かを判定する。なお、この所定位置において、非リリース状態保持部470の付勢突起473が阻止棒430に対して当接し、当該当接が阻止棒430の復帰動作の抵抗となる。
そして、第一検知部489aから信号が未入力と判断した場合(S124:No)、該第一検知部489aから信号が入力されるまで待機する。
【0155】
一方、制御部490が、第一検知部489aから信号が入力されたと判断した場合(S124:Yes)、制御部490は、補助復帰駆動部480における補助復帰用モータ481の出力軸を正回転させる。すると、当該補助復帰用モータ481の正回転に連動して、引き込み用ギア487が係止回転方向U1に回転し、図26に示すように、引き込み部487bが被係止部488に対して阻止棒430の復帰方向T2後方側から引っ掛かるようにして係合する。そして、このように係合した状態において補助復帰用モータ481の出力軸のさらなる正回転に伴って、引き込み用ギア487も係止回転方向U1に回転すると、引き込み部487bが被係止部488を当該係止回転方向U1に押し込んでいく。即ち、引き込み用ギア487の引き込み部487bが被係止部488を係止回転方向U1に押し込むことによって、阻止棒430に対して復帰方向T2に向かってのトルクが付与されるのである。このようにして、復帰駆動部440に加えて補助復帰駆動部480の寄与によって阻止棒430は復帰方向T2に回動させられる。
【0156】
次いで、制御部490は、第二検知部489bから信号が入力されたか否かを判定する(S126)。即ち、復帰駆動部440及び補助復帰駆動部480の寄与により、図31に示すように、阻止棒430が復帰方向T2に回動して該阻止棒430がリリース状態に到達した結果、第二検知部489bに検知されたか否かを判定する。なお、このように阻止棒430がリリース状態に到達すると、非リリース状態保持部470の付勢突起473が基部432の凹部432a,432bに係合し、阻止棒430が非リリース状態に保持される。
そして、第二検知部489bから信号が未入力と判断した場合(S126:No)、該第二検知部489bから信号が入力されるまで待機する。
【0157】
一方、制御部490が、第二検知部489bから信号が入力されたと判断した場合(S126:Yes)、制御部490は、補助復帰駆動部480における補助復帰用モータ481の出力軸を逆回転させる(S127)。すると、この逆回転に連動して引き込み用ギア487が解除回転方向U2に回転し、当該引き込み用ギア487の引き込み部487bによる被係止部488に対する係止が解除されるとともに引き込み用ギア487が図25に示す初期位置に復帰する。
【0158】
続いて、制御部490は、復帰駆動部440における復帰用モータ441を逆回転させることにより(S128)、図32に示すように、動力伝達機構442におけるクラッチ機構448の第一ギア449に軸線回り90°の逆回転動作をさせる。これにより、第一ギア449及び爪部449a,449aが初期位置に復帰し、阻止棒430の復帰動作が完了する。
【0159】
このように阻止棒340の復帰動作が完了した際には、リリース状態保持部460の解除用モータ466が逆回転駆動されることにより、ブラケット469が下方に移動する。すると、付勢係止部462のスライドバー463が付勢部材収容部464の付勢に従って下方に移動する。これによって、係止端部463aが、リリース状態の阻止棒430の基部432に係止可能な最下位置に復帰する。
なお、ここでは、阻止棒430の復帰動作が完了した後に係止端部463aが最下位置に復帰する構成としたが、これに限定されることはなく、復帰動作をする阻止棒430の基部432が最下位置の係止端部463aに係止不能となる位置まで回動した時点で、係止端部463aが最下位置に復帰する構成であってもよい。
【0160】
以上のように、本実施形態の遮断機410においては、阻止棒430に車両が衝突することにより該阻止棒430がリリース方向T1に回動した際には、復帰駆動部440を駆動させることによって阻止棒430を復帰方向T2に回動させることができる。
即ち、リリース軸422がリリース状態となった際にのみ、第二ギア450の溝部450a,450aの当接端部450b,450bが爪部449a,449aに当接することによって、第一ギア449及び爪部449a,449aの正回転動作が第二ギア450に伝達される。これによって、リリース軸422と連動する阻止棒430を復帰方向T2に回動させることができる。
【0161】
ここで、本実施形態においては、阻止棒430の非リリース状態からの不用意な回動を回避すべく非リリース状態保持部470が設けられているため、阻止棒430が復帰方向T2に回動すると、非リリース状態の手前の所定位置において阻止棒430の基部432が非リリース状態保持部470の付勢突起473に当接する。したがって、この付勢突起473の当接が復帰方向T2に回動している阻止棒430の抵抗となり、復帰駆動部440の寄与のみでは阻止棒430が非リリース状態まで復帰仕切れなくなるおそれがある。
【0162】
これに対して、本実施形態においては、阻止棒430が非リリース状態の手前の所定位置に到達した際、即ち、阻止棒430の基部432が非リリース状態保持部470の付勢突起473に当接した際には、阻止棒430に対して補助復帰駆動部480による復帰方向T2へのトルクが付与される。したがって、当該補助復帰駆動部480及び上記復帰駆動部440の寄与によって、阻止棒430を迅速かつ円滑に非リリース状態に復帰させることが可能となる。
【0163】
また、本実施形態における補助復帰駆動部480は、阻止棒430の上記所定位置への到達を検知する第一検知部489aを備えており、当該第一検知部489aの阻止棒430の検知に基づいて該阻止棒430に対して復帰方向T2へのトルクを付与する構成とされている。したがって、阻止棒430が復帰方向T2に回動して上記所定位置に至った際に、該阻止棒430に対して復帰方向T2へのトルクを速やかに付与することができる。これによって、より一層迅速かつ確実に阻止棒430を非リリース状態に復帰させることができる。
【0164】
さらに、本実施形態における上記補助復帰駆動部480は、阻止棒430の非リリース状態への到達を検知する第二検知部489bをさらに備え、当該第二検知部489bの検知に基づいて阻止棒430へのトルクの付与を解除する構成とされている。これにより、阻止棒430が復帰方向T2に回動した結果として非リリース状態となった際に、補助復帰駆動部480による阻止棒430に対する復帰方向T2へのトルクの付与を速やかに解除することができる。したがって、例えば、阻止棒430が非リリース状態に復帰した直後に車両が阻止棒430に衝突した場合であっても、該阻止棒430のリリース動作が妨げられることなく、当該車両による衝突を円滑に逃がすことが可能となる。
【0165】
以下、本発明の第三実施形態に係る遮断機について、図33及び図34を参照して詳細に説明する。なお、この第三実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図33に示すように、第三実施形態の遮断機200は、復帰駆動部260の構成について第一実施形態の遮断機10の復帰駆動部60と相違し、他の構成要素は同様の構成をなしている。
【0166】
第三実施形態の復帰駆動部260は、水平状態とされた支持アーム20の上部に一体に固定されており、筐体状をなす復帰駆動部本体260a内に収納された復帰用モータ(電動機)268と動力伝達機構270とを備えている。
【0167】
復帰用モータ268は、回転速度や回転角度を任意に制御可能ないわゆるサーボモータであって、その出力軸268aは正回転一方向のみに回転駆動可能とされている。この復帰用モータ268は、支持アーム20の後端側となる車両通行路Rの反対側において、出力軸268aが支持アーム20の延在方向と平行な軸線回りに回転駆動されるように配置されている。
【0168】
上記動力伝達機構270は、図34に示すように、カップリング271と、第一ウォームギア272と、第一回転軸272aと、第二ウォームギア273と、第一平歯車274と、第二回転軸274aと、第二平歯車275と、クラッチ機構448と、ワイヤドラム279とを備えている。
【0169】
カップリング271は、復帰用モータ268の出力軸268aと第一ウォームギア272とに一体に固定されており、即ち、出力軸268aと第一ウォームギア272とを連結する役割を有している。
第一ウォームギア272は、その一端がカップリング271の他端に連結されるとともに、他端が復帰駆動部本体260aの内側に突出する支持部260bに回転可能に支持された軸状の部材であって、その外周面には軸線回りに捩れる雄ネジが形成されている。
【0170】
第一回転軸272aは、水平状態とされた支持アーム20の上下方向に延在する軸であって、復帰駆動部本体260aに配された軸受260cを介して軸線回りに回転可能に設けられている。
【0171】
第二ウォームギア273は、第一回転軸272aに同軸に固定された略円盤状をなす部材であって、第一回転軸272aと一体に回転するようになっている。この第一回転軸272aの外周面には第一ウォームギア272の雄ネジと螺合するギア歯が形成されている。これら、第一ウォームギア272と第二ウォームギア273とはそれぞれの軸線回りに互いに連動するように構成されている。
【0172】
第一平歯車274は、水平状態とされた支持アーム20における第一回転軸272aの上端付近に同軸に固定された円盤状をなす部材であって、第一回転軸272aと一体に回転するようになっている。この第一平歯車274の外周面にはギア歯が形成されている。
【0173】
第二回転軸274aは、第一回転軸272aと同様に水平状態とされた支持アーム20の上下にわたって延在し、第一回転軸272aと平行をなす軸であって、復帰駆動部本体260aに配された軸受260dを介して軸線回りに回転可能に設けられている。
【0174】
第二平歯車275は、水平状態とされた支持アーム20における第二回転軸274aの上端付近に同軸に固定された円盤状をなす部材であって、第二回転軸274aと一体に回転するように構成されている。この第二平歯車275の外周面にはギア歯が形成されており、当該ギア歯は第一平歯車274のギア歯と噛み合うように配置されている。これによって、第一平歯車274と第二平歯車275とはそれぞれの軸線回りに互いに連動するようになっている。
【0175】
クラッチ機構448は、第二実施形態と同様の構成を有しており、第一ギア449と第二ギア450とを備えている。本実施形態においては、第一ギア449は第二回転軸274aの外周側に配置され連結円盤277aを介して第二平歯車275と連結されている。これによって第一ギア449は、第二平歯車275とともに一体に回転するようになっている。
また、第二ギア450は、水平状態とされた支持アーム20における第二ギア450の下方において第二回転軸274aに対して相対回転可能に配されている。
【0176】
ワイヤドラム279は、水平状態とされた支持アーム20におけるクラッチ機構448の下方に配置された円盤状をなす部材であって、第二回転軸274aと同軸に、かつ、該第二回転軸274aに対して軸線回りに相対回転可能に設けられている。このワイヤドラム279は、クラッチ機構448における第二ギア449に固定されており、該第二ギア449と一体に回転するように構成されている。
【0177】
このワイヤドラム279の外周には、例えばピアノ線等の引っ張り強度の大きい材料から構成されたワイヤ279aが繰り出し可能に巻きかけられている。ワイヤドラム279が一方向に回転する際には、該ワイヤドラム279に対してワイヤ279aが順次巻き掛けられる。一方、ワイヤ279aがワイヤドラム279から繰り出される際には、ワイヤドラム279は他方向に回転する。また、ワイヤドラム279から繰り出されたワイヤ279aの端部は、阻止棒30における基部32に一体に固定されたワイヤ固定部280に固定されている。
【0178】
以上のような構成の第三実施形態の遮断機200における阻止棒30の棒部31に対して車両進行方向Gに進行する車両が衝突すると、当該衝突の衝撃力が阻止棒30をリリース方向T1に回動させる回転モーメントとして作用し、該阻止棒30がリリース方向T1に回動する。この際、阻止棒30のリリース方向T1の回動にともなって該阻止棒30の基部32が支持アーム20からリリース方向T1に離間することにより、該基部32のワイヤ固定部280に固定されたワイヤ279aが、ワイヤドラム279から繰り出される。
【0179】
このワイヤ279aのワイヤドラム279からの繰り出しに伴ってワイヤドラム279は他方向に回転すると、クラッチ機構448における第二ギア450も他方向に回転する。この際、当該第二ギア450の他方向の回転が第一ギア449に伝達されることはない。即ち、第二ギア450の溝部450aにおける当接端部450bと第一ギア449の爪部449aとが当接することはなく、第二ギア450は第一ギア449とは独立して回転する。これにより、ワイヤドラム279の回転の伝達はクラッチ機構448で遮断される。
【0180】
このようにリリース動作をした第三実施形態の遮断機200における当該阻止棒30の非リリース状態への復帰は、第一実施形態と同様、図8に示すように例えば料金所の係員による操作部133の操作によって送出されるリリース復帰指令に基づいて行われる。
即ち、当該リリース復帰指令に基づいて制御部90が復帰用モータ268に信号を送出すると、該復帰用モータ268が駆動されて出力軸268aが正回転する。これによって、出力軸268aにカップリング271を介して連結された第一ウォームギア272が回転すると、当該回転力が第二ウォームギア273、第一平歯車274を介して第二平歯車275に伝達されることで当該第二平歯車275が一方向に回転する。
【0181】
この出力軸268aの正回転に基づいて第二平歯車275が一方向に回転すると、当該第二平歯車275と一体に固定された第一ギア449が一方向に回転する。すると、第一ギア449の爪部449aが第二ギア450の溝部450aにおける当接端部450bを押圧することで第一ギア449の回転に伴って第二ギア450が一方向に回転する。これと同時に、当該第二ギア450に一体に固定されたワイヤドラム279も一方向に回転する。
【0182】
このようにワイヤドラム279が一方向に回転すると、該ワイヤドラム279から繰り出されたワイヤ279aがワイヤドラム279に巻き取られることで、該ワイヤ279aの張力がワイヤ固定部280を介して阻止棒30の基部32に伝達される。すると、基部32が支持アーム20側に引っ張られることで阻止棒30自体が復帰方向T2に回動する。これによって、阻止棒30が自動的に非リリース状態に復帰し、該阻止棒30の復帰動作が完了する。即ち、本実施形態における動力伝達機構270は、復帰用モータ268の出力軸268aの正回転のみを阻止棒30に伝達させることで、該阻止棒30を復帰方向T2に回動させる。
【0183】
以上のように、本実施形態の遮断機200によれば、阻止棒30に車両が衝突することにより該阻止棒30がリリース方向T1に回動した際には、復帰駆動部260を駆動させることによって阻止棒30を復帰方向T2に回動させ、非リリース状態に復帰させることができる。これにより、リリース動作後の阻止棒30を迅速に復帰させることが可能となる。
【0184】
また、阻止棒30がリリース方向T1に回動する際には、クラッチ機構448の作用により、当該阻止棒30の回動に基づくワイヤドラム279の回転が復帰用モータ268の出力軸268aに伝達されることはない。即ち、出力軸268aの負荷を受けずに阻止棒30がリリース方向T1に自由に回動することができるため、阻止棒30を円滑にリリース方向T1に回動させることができる。また、車両から阻止棒30に与えられた衝撃が動力伝達機構270を介して復帰用モータ268に伝達されることを防止できるため、衝突時の復帰用モータ268の損傷を回避することが可能となる。
【0185】
一方、復帰用モータ268を駆動させて出力軸268aを正回転させた際には、該出力軸268aの正回転がクラッチ機構448を介してワイヤドラム279に伝達されることにより、阻止棒30を復帰方向T2に回動させることができる。
【0186】
以下、本発明の第四実施形態に係る遮断機について、図35及び図36を参照して詳細に説明する。なお、この第四実施形態においては第一実施形態及び第三実施形態と同様の構成要素には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。図35及び図36に示すように、第四実施形態の遮断機300は、復帰駆動部360の構成について第一実施形態及び第三実施形態とは相違する。
【0187】
第四実施形態の復帰駆動部360は、水平状態とされた支持アーム20の上部に一体に固定されており、筐体状をなす復帰駆動部本体360a内に収納された復帰用モータ(電動機)368と動力伝達機構370とを備えている。
【0188】
復帰用モータ368は、第三実施形態と同様、回転速度や回転角度を任意に制御可能ないわゆるサーボモータであって、その出力軸368aは正回転一方向のみに回転駆動可能とされている。この復帰用モータ368は、支持アーム20の後端側において、出力軸368aが支持アーム20の延在方向と平行な軸線回りに回転駆動されるように、かつ、当該出力軸368aが車両通行路Rに向かって突出するように配置されている。
【0189】
上記動力伝達機構370は、図36に示すように、カップリング371と、第一ウォームギア372と、第一回転軸372aと、第二ウォームギア373と、第一プーリ374と、第二回転軸374aと、第二プーリ375と、タイミングベルト(ベルト)375aと、クラッチ機構448とを備えている。
【0190】
カップリング371は、その一端が復帰用モータ368の出力軸に一体に連結されている。
第一ウォームギア372は、その一端がカップリング371の他端に連結されるとともに、復帰駆動部本体360aの内側に突出する一対の支持部360bに回転可能に支持された軸状の部材であって、その外周面には軸線回りに捩れる雄ネジが形成されている。
【0191】
第一回転軸372aは、水平状態とされた支持アーム20の上下にわたって延在する軸であって、復帰駆動部本体360aに配された図示しない軸受を介して軸線回りに回転可能に設けられている。
【0192】
第二ウォームギア373は、第一回転軸372aに同軸に固定された略円盤状をなす部材であって、第一回転軸372aと一体に回転するようになっている。この第一回転軸372aの外周面には第一ウォームギア372の雄ネジと螺合するギア歯が形成されている。これにより、第一ウォームギア372と第二ウォームギア373とはそれぞれの軸線回りに互いに連動するように構成されている。
【0193】
第一プーリ374は、水平状態とされた支持アーム20における第一回転軸372aの上端付近に同軸に固定された円盤状をなす部材であって、第一回転軸372aと一体に回転するようになっている。
【0194】
第二回転軸374aは、第一回転軸372aと同様に水平状態とされた支持アーム20の上下にわたって延在し、第一回転軸372aと平行をなす軸であって、例えば復帰駆動部本体360aに配された図示しない軸受を介して軸線回りに回転可能に設けられている。
【0195】
第二プーリ375は、水平状態とされた支持アーム20における第二回転軸374aの上端付近に同軸に固定された円盤状をなす部材であって、第二回転軸374aと一体に回転するように構成されている。
タイミングベルト375aは例えばゴム等の弾性材料から形成された無端状をなすベルトであって、その内周側に第一プーリ374及び第二プーリ375を抱え込むようにして、これら第一プーリ374及び第二プーリ375の外周面に巻き掛けられている。そして、第一プーリ374又は第二プーリ375の回転した際には、タイミングベルト375aを介してこれら第一プーリ374及び第二プーリ375がそれぞれの軸線回りに互いに連動するようになっている。
【0196】
クラッチ機構448は、第二実施形態の遮断機400と同様のものが採用されており、即ち、第一ギア448及び第二ギア449を備えている。
本実施形態においては、第一ギア448は第二回転軸274aの外周側に該第二回転軸274aに対して相対回転可能に配されており、第二プーリ375と一体に連結されている。これによって第一ギア449は、第二プーリ375とともに一体に回転するようになっている。
また、第二ギア449は、リリース軸22と同軸に該リリース軸22に一体に固定されており、これにより、リリース軸22の回転と連動して回転するように構成されている。
【0197】
以上のような構成の第四実施形態の遮断機300における阻止棒30の棒部31に対して車両進行方向Gに進行する車両が衝突すると、当該衝突の衝撃力が阻止棒30をリリース方向T1に回動させる回転モーメントとして作用し、該阻止棒30がリリース方向T1に回動する。この際、阻止棒30のリリース方向T1の回動にともなってリリース軸22も同じくリリース方向T1に回転する。
【0198】
この際、このリリース軸22の回転に伴ってクラッチ機構448における第二ギア450が他方向(リリース方向T1)に回転するが、当該第二ギア450の他方向の回転が第一ギア448に伝達されることはない。即ち、第二ギア450は第一ギア449とは独立して回転し、これにより、リリース軸22の回転の伝達はクラッチ機構448で遮断される。
【0199】
このようにリリース動作をした第二実施形態の遮断機300における当該阻止棒30の非リリース状態への復帰は、第一実施形態と同様、例えば料金所の係員による操作部133の操作によって送出されるリリース復帰指令に基づいて行われる。
即ち、当該リリース復帰指令に基づいて制御部90が復帰用モータ268に信号を送出すると、該復帰用モータ368が駆動されて出力軸368aが正回転する。これによって、出力軸368aにカップリング271を介して連結された第一ウォームギア372が回転すると、当該回転力が第二ウォームギア373、第一プーリ374を介して第二プーリ375に伝達されることで当該第二プーリ375が一方向に回転する。
【0200】
この出力軸368aの正回転に基づいて第二プーリ375が一方向に回転すると、当該第二プーリ375と一体に固定された第一ギア449が一方向に回転する。すると、第一ギア449の爪部449aが第二ギア450の溝部450aにおける当接端部450bを押圧することで第一ギア449の回転に伴って第二ギア450が一方向に回転する。これと同時に、当該第二ギア450に一体に固定されたリリース軸22も復帰方向T2に回転する。これによって、該阻止棒30が自動的に非リリース状態に復帰し、該阻止棒30の復帰動作が完了する。
【0201】
以上のように、本実施形態の遮断機300によれば、阻止棒30に車両が衝突することにより該阻止棒30がリリース方向T1に回動した際には、第三実施形態と同様、復帰駆動部260を駆動させることによって阻止棒30を復帰方向T2に回動させ、非リリース状態に復帰させることができる。これにより、リリース動作後の阻止棒30を迅速に復帰させることが可能となる。
【0202】
また、阻止棒30がリリース方向T1に回動する際には、クラッチ機構448の作用により、当該阻止棒30の回動に基づくリリース軸22の回転が復帰用モータ368の出力軸368aに伝達されることはない。即ち、出力軸368aの負荷を受けずに阻止棒30がリリース方向T1に自由に回動することができるため、阻止棒30を円滑にリリース方向T1に回動させることができる。また、車両から阻止棒30に与えられた衝撃が動力伝達機構370を介して復帰用モータ268に伝達されることを防止できるため、衝突時の復帰用モータ368の損傷を回避することが可能となる。
【0203】
一方、復帰用モータ368を駆動させて出力軸368aを正回転させた際には、該出力軸368aの正回転がクラッチ機構448を介してリリース軸22に伝達されることにより、阻止棒30を復帰方向T2に回動させることができる。
【0204】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、第一実施形態及び第三実施形態においてはワイヤ66,279aを介して出力軸68a,268aの回転を阻止棒30に伝達させる方式を採用し、第四実施形態においてはタイミングベルト375aを介して出力軸368aの回転を阻止棒30に伝達させる方式を採用し、第二実施形態においてはギアを介して出力軸441aの回転を阻止棒430に伝達させる方式を採用したが、これら方式の構成は実施形態において説明した態様に限られず、種々の設計をすることが可能である。
【0205】
また、第一実施形態のクラッチ機構70に代えて、第二〜第四実施形態のクラッチ機構448を採用してもよいし、第二〜第四実施形態のクラッチ機構448に代えて第一実施形態のクラッチ機構70を採用してもよい。
なお、クラッチ機構70,448の構成としては上記説明した構成に限定されず、例えば一方向の回転のみを互いに伝達するラチェット機構を採用してもよい。
【符号の説明】
【0206】
10…遮断機
12…開閉軸
20…支持アーム
22…リリース軸
30…阻止棒
57…ラッチ機構
60…復帰駆動部
68…復帰用モータ(電動機)
70…クラッチ機構
90…制御部
133…操作部
200…遮断機
260…復帰駆動部
268…復帰用モータ(電動機)
270…動力伝達機構
279a…ワイヤ
300…遮断機
360…復帰駆動部
368…復帰用モータ(電動機)
370…動力伝達機構
375a…タイミングベルト(ベルト)
410…遮断機
412…開閉軸
413…開閉用モータ
420…支持アーム
422…リリース軸
430…阻止棒
440…復帰駆動部
441…復帰用モータ(電動機)
442…動力伝達機構
448…クラッチ機構
449…第一ギア
449a…爪部
450…第二ギア
450a…溝部
450b…当接端部
460…リリース状態保持部
462…付勢係止部
465…係止解除部
470…非リリース状態保持部
473…付勢突起
480…補助復帰駆動部
481…補助復帰用モータ
487…引き込み用ギア
487a…ギア部
487b…引き込み部
488 …被係止部
489a…第一検知部
489b…第二検知部
490…制御部
T1…リリース方向
T2…復帰方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の通行を阻止する阻止位置と車両の進行を許容する許可位置との間で回動されて開閉動作を行う阻止棒と、
該阻止棒を車両による衝撃を解放するリリース方向に回動させるリリース軸と、
前記リリース方向に回動した前記阻止棒を前記リリース方向の反対方向である復帰方向に回動させる復帰駆動部とを備えることを特徴とする車両通行遮断機。
【請求項2】
前記復帰駆動部は、
電動機と、
該電動機の出力軸の正回転を前記阻止棒に伝達させることで該阻止棒を前記復帰方向に回動させる動力伝達機構とを備えることを特徴とする請求項1に記載の車両通行遮断機。
【請求項3】
前記動力伝達機構として、
ワイヤを介して前記出力軸の回転を前記阻止棒に伝達させる方式、
ベルトを介して前記出力軸の回転を前記阻止棒に伝達させる方式、又は、
ギアを介して前記出力軸の回転を前記阻止棒に伝達させる方式のいずれかを採用していることを特徴とする請求項2に記載の車両通行遮断機。
【請求項4】
前記動力伝達機構は、
前記阻止棒と前記出力軸の間に介装され、前記阻止棒の前記復帰方向の回動及び前記出力軸の正回転のみを前記阻止棒と前記出力軸との間で互いに伝達させるクラッチ機構をさらに有することを特徴とする請求項2又は3に記載の車両通行遮断機。
【請求項5】
前記リリース軸を介して前記阻止棒を支持し、前記阻止位置と前記許可位置との間で前記阻止棒を回動させるアームをさらに備え、
該アームに前記電動機が配されていることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の車両通行遮断機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2012−17642(P2012−17642A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251083(P2010−251083)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】