説明

車両

【課題】容易にハンドルロック部を操作することが可能な車両を提供する。
【解決手段】この自動二輪車(車両)1は、ヘッドパイプ2と、ヘッドパイプ2に対して回動させることにより前輪22を操舵可能に構成されているハンドルパイプ26と、ヘッドパイプ2から後方に延びるように設けられたメインフレーム部3aと、メインフレーム部3aの上面側に配置され、ハンドルパイプ26がヘッドパイプ2に対して回動するのを抑制するハンドルロック部13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に関し、特に、ハンドルロック部を備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンドルロック部を備えた自動二輪車(車両)が知られている(たとえば、特許文献1参照)。上記特許文献1には、ヘッドパイプと、ヘッドパイプの下方に配置されたアンダーブラケットと、ヘッドパイプから後方に延びるように設けられた車体フレームと、車体フレームの下方に配置され、アンダーブラケットがヘッドパイプに対して回動するのを抑制させるハンドルストッパー(ハンドルロック部)とを備えた自動二輪車のハンドルロック装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特許第3434481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された自動二輪車(車両)のハンドルロック構造では、ハンドルストッパー(ハンドルロック部)が車体フレームの下方に配置されているため、運転者は、シートから離れた体勢でヘッドパイプの下方に配置されたハンドルストッパーを操作する必要がある。つまり、上記特許文献1に開示された自動二輪車のハンドルロック構造では、ハンドルストッパーを操作するのが面倒であるという問題点がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、容易にハンドルロック部を操作することが可能な車両を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による車両は、ヘッドパイプと、ヘッドパイプに対して回動させることにより車輪を操舵可能に構成されているハンドルと、ヘッドパイプから後方に延びるように設けられた上部フレーム部と、上部フレーム部の上面側に配置され、ハンドルがヘッドパイプに対して回動するのを抑制するハンドルロック部とを備える。
【0007】
この一の局面による車両では、上記のように、上部フレーム部の上面側に配置され、ハンドルがヘッドパイプに対して回動するのを抑制するハンドルロック部を設けた。このことによって、ハンドルロック部が車体フレームの下方に設けられている場合と比べて、ハンドルロック部の位置が、運転者が跨るシートに近くなるので、運転者がシートに跨った体勢でハンドルロック部を操作することができる。これにより、容易にハンドルロック部を操作することができる。
【0008】
上記一の局面による車両において、好ましくは、ハンドルは、ヘッドパイプに対して回動可能に支持されたステアリングシャフトを含み、ヘッドパイプの上方に配置され、ステアリングシャフトに接続された上部ブラケットをさらに備え、ハンドルロック部は、上部ブラケットがヘッドパイプに対して回動するのを抑制可能に構成されている。このように構成すれば、ハンドルロック部により上部ブラケットがヘッドパイプに対して回動するのを抑制することにより、容易に、ハンドルが回動するのを抑制することができる。
【0009】
上記上部ブラケットはヘッドパイプに対して回動するのを抑制可能に構成されているハンドルロック部を有する車両において、好ましくは、上部ブラケットは、ハンドルロック部に対向する部分に形成された穴部を含み、ハンドルロック部は、上部ブラケットの穴部に挿入可能なピン部を含むとともに、ピン部が上部ブラケットの穴部に挿入されることにより、上部ブラケットがヘッドパイプに対して回動されるのを抑制可能に構成されている。このように構成すれば、ハンドルロック部のピン部を、上部ブラケットの穴部に挿入するだけで、容易に、上部ブラケットがヘッドパイプに対して回動するのを抑制することができる。
【0010】
上記ピン部が上部ブラケットの穴部に挿入されるハンドルロック部を有する車両において、好ましくは、ハンドルロック部は、ピン部を上部ブラケットの穴部に対して出し入れするように移動させるためのキーを挿入するキー挿入部を含む。このように構成すれば、キー挿入部にキーを挿入して回動するなどすることにより、容易に、ハンドルロック部のピン部を、上部ブラケットの穴部に対して出し入れすることができる。
【0011】
この場合において、好ましくは、ハンドルロック部のキー挿入部は、車幅方向の外側を指向するように構成されている。このように構成すれば、ハンドルロック部のキー挿入部に対応するキーを、キー挿入部に車幅方向の外側から挿入ことができる。
【0012】
上記一の局面による車両において、好ましくは、ハンドルロック部は、上部フレーム部の車幅方向の両側面よりも車幅方向の内側に配置されている。このように構成すれば、ハンドルロック部近傍に車幅方向側から物理的衝撃が加わった場合にも、上部フレーム部の車幅方向の両側面の方がハンドルロック部よりも車幅方向の外側に突出しているので、ハンドルロック部に物理的衝撃が加わるのを抑制することができる。
【0013】
上記一の局面による車両において、好ましくは、ハンドルロック部を覆うように配置されているロックカバー部材をさらに備える。このように構成すれば、ロックカバー部材により、容易に、ハンドルロック部を保護することができる。
【0014】
上記ロックカバー部材を備える車両において、好ましくは、ハンドルロック部は、キーを挿入するキー挿入部を含み、ロックカバー部材は、車幅方向の外側に向かって開口するとともに、キー挿入部が露出するキー穴部を含む。このように構成すれば、キー穴部により、ハンドルロック部のキー挿入部を、容易に、ロックカバー部材から露出させることができる。
【0015】
上記ロックカバー部材を備える車両において、好ましくは、上部フレーム部とハンドルロック部との間に挟み込まれるように取り付けられている保持ブラケットをさらに備え、保持ブラケットは、カバー取付部を含み、ロックカバー部材は、保持ブラケットのカバー取付部に固定されている。このように構成すれば、保持ブラケットのカバー取付部により、ロックカバー部材を保持ブラケットに固定することができる。
【0016】
上記ロックカバー部材を備える車両において、好ましくは、上部フレーム部の側面とロックカバー部材の側面との間の隙間を覆うシール部材をさらに備える。このように構成すれば、シール部材により、ロックカバー部材の内部に埃などが浸入するのを抑制することができるので、ハンドルロック部に埃などが付着するのを抑制することができる。
【0017】
上記一の局面による車両において、好ましくは、上部フレーム部に設けられた燃料タンクをさらに備え、ハンドルロック部は、ヘッドパイプと燃料タンクとの間に配置されている。このように構成すれば、ハンドルロック部よりも比較的大きいヘッドパイプと燃料タンクとにより、ハンドルロック部を物理的衝撃から保護することができる。
【0018】
この場合において、好ましくは、ハンドルロック部を覆うように配置されているロックカバー部材と、燃料タンクを覆うように燃料タンクに取り付けられたタンクカバー部材とをさらに備え、タンクカバー部材は、ロックカバー部材の後部の上方を覆うように構成されている。このように構成すれば、ロックカバー部材の後部の上方を覆うタンクカバー部材により、ロックカバー部材が上方に移動するのを抑制することができるので、運転者以外の第3者により、ロックカバー部材が簡単に外されるのを抑制することができる。
【0019】
上記一の局面による車両において、好ましくは、上部フレーム部は、ヘッドパイプの上部から後方に延びるように構成されており、ヘッドパイプの下部から下方に延びるように構成されている下部フレーム部をさらに備える。このように上部フレーム部をヘッドパイプの上部から後方に延びるように構成することによって、上部フレーム部が高い位置に配置されるので、その上部フレーム部の上面側に配置されているハンドルロック部を、容易に、運転者が操作しやすい高い位置に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1および図2は、本発明の一実施形態による自動二輪車の全体構成を示した側面図である。図3〜図10は、図1に示した一実施形態による自動二輪車の構造を説明するための図である。なお、本実施形態では、本発明の車両の一例として、自動二輪車について説明する。図中、矢印FWD方向は、自動二輪車の走行方向の前方を示している。以下、図1〜図10を参照して、本発明の一実施形態による自動二輪車1の構造について説明する。
【0022】
本発明の一実施形態による自動二輪車1の全体構造としては、図1および図2に示すように、ヘッドパイプ2の後部に、ヘッドパイプ2の上部から後方に延びるメインフレーム部3aと、ヘッドパイプ2の下部から下方向に延びるダウンチューブ3bと、メインフレーム部3aとダウンチューブ3bとを上下方向に接続する接続フレーム部3cとを含んでいる。なお、これらヘッドパイプ2、メインフレーム部3a、ダウンチューブ3bおよび接続フレーム部3cによって、車体が構成されている。また、メインフレーム部3aは、本発明の「上部フレーム部」の一例であり、ダウンチューブ3bは、本発明の「下部フレーム部」の一例である。また、メインフレーム部3aの矢印X2方向(図6参照)側の側面部のヘッドパイプ2の後方部分には、図2および図3に示すように、樹脂製のカバー部材4が取り付けられている。
【0023】
具体的には、メインフレーム部3aの矢印X2方向側の側面部には、図4に示すように、一対のネジ穴3dが形成されているとともに、一対のネジ穴3dの間に、開口部3eが形成されている。また、カバー部材4には、カバー部材4が開口部3eを覆うようにメインフレーム部3aの矢印X2方向側の側面部に配置した際の一対のネジ穴3dに対応する部分に、それぞれ、ネジ挿入穴4aが形成されている。これら一対のネジ挿入穴4aには、それぞれ、カラー5が嵌め込まれている。また、カバー部材4とメインフレーム部3aの側面部との間には、図示しないスロットルワイヤーをメインフレーム部3aの開口部3eに導くためのガイド部材6が配置されている。また、ガイド部材6には、各ネジ挿入穴4aおよび各ネジ穴3dに対応するように、ネジ挿入穴6aが形成されている。そして、カバー部材4は、2つのネジ部材7がネジ挿入穴4a(カラー5)およびネジ挿入穴6aを介してネジ穴3dに螺合されることにより、ガイド部材6と共にメインフレーム部3aの矢印X2方向側の側面部に固定されている。
【0024】
また、カバー部材4には、図2および図4に示すように、走行方向(矢印FWD方向)側に向かって開口するワイヤー挿入口4bが設けられており、ワイヤー挿入口4bには、ガイド部材6により導かれた図示しないスロットルワイヤーが挿入されている。また、メインフレーム部3aの開口部3eには、図4に示すように、ゴム製のダンパー8が取り付けられている。このダンパー8は、開口部3eを覆うように配置されており、メインフレーム部3aの内部に埃などが浸入するのを抑制する機能を有する。
【0025】
また、メインフレーム部3aの他方(矢印X1方向)(図6参照)側の側面部のヘッドパイプ2の後方部分には、図1に示すように、樹脂製のカバー部材9が取り付けられている。
【0026】
具体的には、メインフレーム部3aの矢印X1方向(図6参照)側の側面部には、図5に示すように、一対のネジ穴3fが形成されているとともに、一対のネジ穴3fの間に、開口部3gが形成されている。また、カバー部材9には、カバー部材9が開口部3gを覆うようにメインフレーム部3aの矢印X1方向側の側面部に配置した際の一対のネジ穴3fに対応する部分に、それぞれ、ネジ挿入穴9aが形成されている。また、これら一対のネジ挿入穴9aには、それぞれ、カラー10が嵌め込まれている。そして、カバー部材9は、2つのネジ部材11がネジ挿入穴9a(カラー10)を介してネジ穴3fに螺合されることにより、メインフレーム部3aの矢印X1方向(図6参照)側の側面部に固定されている。
【0027】
また、カバー部材9には、図1および図5に示すように、走行方向(矢印FWD方向)側に向かって開口するホース挿入口9bが設けられており、ホース挿入口9bには、後述するホース部材38が挿入されている。また、メインフレーム部3aの開口部3gには、図5に示すように、ゴム製のダンパー12が取り付けられている。このダンパー12は、開口部3gを覆うように配置されており、メインフレーム部3aの内部に埃などが浸入するのを抑制する機能を有する。
【0028】
ここで、本実施形態では、図6および図7に示すように、メインフレーム部3aの上面側のヘッドパイプ2の後方部分には、ハンドルロック部13が設けられている。具体的には、ハンドルロック部13には、図7および図8に示すように、2つのネジ挿入穴13aが形成されている。また、2つのネジ挿入穴13aに対応するように、メインフレーム部3aの上面側には、2つのネジ穴3h(図8参照)が形成されている。また、ハンドルロック部13とメインフレーム部3aの上面側との間には、図8に示すように、後述する保持ブラケット15のプレート部15aが配置されている。そして、ハンドルロック部13は、ネジ部材14がネジ挿入穴13aを介してネジ穴3hに螺合されることにより、保持ブラケット15のプレート部15aと共にメインフレーム部3aの上面側に取り付けられている。
【0029】
また、本実施形態では、ハンドルロック部13は、ハンドル(後述するハンドルパイプ26)がヘッドパイプ2に対して回動するのを抑制する機能を有する。具体的には、ハンドルロック部13は、図8および図9に示すように、後述するアッパーブラケット24の穴部24c(図9参照)に対して出し入れ可能なピン部13bと、ピン部13bをアッパーブラケット24の穴部24cに対して出し入れ可能に構成されているキー挿入部13c(図1および図7参照)と、ピン部13bおよびキー挿入部13cを内部に収納可能に構成されている本体部13dとを含んでいる。ピン部13bは、本体部13dの走行方向(矢印FWD方向)側の部分から走行方向(矢印FWD方向)に向かって突出可能に、本体部13dに設けられている。このピン部13bは、図示しない所定のキーをキー挿入部13c(図1および図7参照)に挿入するとともに、図示しないキーを所定の方向に回動することにより、本体部13dの走行方向側の部分から後述するアッパーブラケット24の穴部24cに対して出し入れ可能に構成されている。また、キー挿入部13cは、図1および図7に示すように、車幅方向の外側(矢印X1方向側)に向かって開口するように構成されている。
【0030】
また、本実施形態では、ハンドルロック部13は、図7に示すように、メインフレーム部3aの車幅方向(矢印X1方向および矢印X2方向)の両側面よりも車幅方向の内側に配置されている。つまり、ハンドルロック部13は、メインフレーム部3aから車幅方向(矢印X1方向および矢印X2方向)にはみ出さないように配置されている。これにより、ハンドルロック部13近傍に車幅方向側から物理的衝撃が加わった場合にも、メインフレーム部3aの車幅方向(矢印X1方向および矢印X2方向)の両側面の方がハンドルロック部13よりも車幅方向の外側に突出しているので、ハンドルロック部13に物理的衝撃が加わるのを抑制することが可能となる。
【0031】
また、本実施形態では、保持ブラケット15は、図8に示すように、ハンドルロック部13とメインフレーム部3aの上面側との間に配置されているプレート部15aと、後述するロックカバー部材16を取り付けるためのカバー取付部15bとを含んでいる。プレート部15aは、平板状に構成されており、ハンドルロック部13の本体部13dとメインフレーム部3aの上面側との間に挟み込まれている。つまり、保持ブラケット15は、メインフレーム部3aとハンドルロック部13との間に挟み込まれるようにメインフレーム部3aに対して固定されている。また、カバー取付部15bは、プレート部15aに2つ設けられており、平板状のプレート部15aの上方に延びるように形成されている。また、カバー取付部15bは、それぞれ、ハンドルロック部13の後方に位置するように構成されている。また、カバー取付部15bの上面部には、それぞれ、カバー取付部15bが延びる方向に沿うようにネジ穴15cが形成されている。
【0032】
また、本実施形態では、保持ブラケット15には、ロックカバー部材16が取り付けられている。具体的には、ロックカバー部材16は、ハンドルロック部13を覆うように配置されており、ロックカバー部材16には、保持ブラケット15のネジ穴15cに対応する部分に、それぞれ、ネジ挿入穴16aが形成されている。そして、ロックカバー部材16は、2つのネジ部材17が各ネジ挿入穴16aを介して、それぞれ、各ネジ穴15cに螺合されることにより、保持ブラケット15のカバー取付部15bに固定されている。また、ロックカバー部材16の矢印X1方向(図6参照)側(車幅方向の外側に向かう方向)には、図1および図7に示すように、ハンドルロック部13のキー挿入部13cに矢印X1方向側から図示しない所定のキーを差し込み可能にする開口部16bが形成されている。なお、開口部16bは、本発明の「キー穴部」の一例である。つまり、ハンドルロック部13のキー挿入部13cは、ロックカバー部材16の開口部16bから露出するように構成されている。
【0033】
また、本実施形態では、図8および図10に示すように、メインフレーム部3aの車幅方向(矢印X1方向および矢印X2方向)(図6参照)の両側面とロックカバー部材16の車幅方向の両側面との間の隙間には、ゴム製のシール部材18が隙間を覆うように配置されている。このシール部材18には、図10に示すように、ロックカバー部材16の側面の下端面16cに沿うように凹部18aが形成されている。そして、シール部材18は、凹部18aがロックカバー部材16の側面の下端面16cに嵌め込まれることにより、ロックカバー部材16とメインフレーム部3aとの間に脱落するのが抑制された状態で配置されている。また、ロックカバー部材16の矢印X2方向側の側面の下端面16cには、図3に示すように、切欠部16dが形成されている。また、シール部材18の切欠部16dに対応する部分にも、切欠部18bが形成されている。これら切欠部16dおよび18bには、後述するスイッチ部32および33に接続されている配線部材19が挿入されており、配線部材19は、ロックカバー部材16の内部を介してメインフレーム部3aの内部に導入されている。
【0034】
また、ヘッドパイプ2の下方には、図1に示すように、ヘッドパイプ2に対して回動可能なアンダーブラケット20が配置されている。また、アンダーブラケット20の車幅方向(矢印X1方向および矢印X2方向)(図6参照)の両端部近傍には、それぞれ、一対のフロントフォーク21が取り付けられている。これら一対のフロントフォーク21は、それぞれ、上側に配置されているインナーチューブ21aと、下側に配置され、インナーチューブ21aの外周を摺動可能なアウターチューブ21bとを含んでいる。また、アウターチューブ21bの下部には、前輪22が回転可能に取り付けられており、これら前輪22が取り付けられている一対のフロントフォーク21は、アンダーブラケット20を介して車体を支持する機能を有する。なお、前輪22は、本発明の「車輪」の一例である。
【0035】
また、アンダーブラケット20には、図3に示すように、ステアリングシャフト23が嵌め込まれている。このステアリングシャフト23は、アンダーブラケット20の上方に延びるように配置されている。また、ステアリングシャフト23の上部は、アッパーブラケット24に接続されている。なお、アッパーブラケット24は、本発明の「上部ブラケット」の一例である。また、アッパーブラケット24は、アッパーブラケット24の車幅方向(矢印X1方向および矢印X2方向)(図6参照)の実質的に中央の部分によりヘッドパイプ2を上方から覆うように配置されている。また、アッパーブラケット24には、フロントフォーク21のインナーチューブ21aの上端部近傍が固定されている。また、アッパーブラケット24の上面には、図1および図6に示すように、一対のステー取付穴24a(図7参照)が形成されており、一対のステー取付穴24aには、一対のハンドルステー25が上方に突出するように取り付けられている。
【0036】
また、一対のハンドルステー25の上面には、図6に示すように、車幅方向(矢印X1方向および矢印X2方向)に延びるハンドルパイプ26を挟み込んだ状態で、4つのネジ部材27により、ステーカバー28が固定されている。これにより、ハンドルパイプ26を回動させた際に、一対のハンドルステー25を介してアッパーブラケット24をヘッドパイプ2に対して回動させることが可能となる。なお、ハンドルパイプ26は、本発明の「ハンドル」の一例である。
【0037】
また、ハンドルパイプ26の両端部には、それぞれ、グリップ29が設けられている。また、矢印X1方向側のグリップ29の近傍には、ブレーキレバー30が設けられているとともに、矢印X2方向側のグリップ29の近傍には、クラッチレバー31が設けられている。また、矢印X1方向側のグリップ29のステーカバー28側には、複数のスイッチ部32が設けられているとともに、矢印X2方向側のグリップ29のステーカバー28側には、複数のスイッチ部33が設けられている。また、スイッチ部32および33には、それぞれ、配線部材19(図3参照)が接続されており、配線部材19は、ハンドルパイプ26の内部に配置されている。これら配線部材19は、運転者の手元で操作されるスイッチ部32および33の信号を、たとえば、図示しないECU(エンジン・コントロール・ユニット)などの車体の所定の部分に伝達する機能を有する。
【0038】
また、アッパーブラケット24の車幅方向(矢印X1方向および矢印X2方向)の中央部分の前部には、その内部にメインスイッチ34(図7参照)が収納されたメインスイッチカバー35が取り付けられている。また、メインスイッチカバー35の上面には、開口部35aが形成されている。また、この開口部35aには、メインスイッチ34のキー差込口34aが嵌め込まれており、キー差込口34aは、上側に向かって開口するように構成されている。
【0039】
また、本実施形態では、アッパーブラケット24のヘッドパイプ2と対向する部分には、図7および図9に示すように、下方に延びる略筒形状の筒状部24bが一体的に形成されている。また、アッパーブラケット24の筒状部24bのハンドルロック部13に対向する部分には、穴部24cが形成されている。そして、穴部24cは、図7に示すように、筒状部24bの進行方向(矢印FWD方向)よりも矢印X1方向側の外周面と内周面との間を貫通するように形成されている。また、穴部24cは、アッパーブラケット24がステアリングシャフト23(図9参照)を中心に回動された際に、アッパーブラケット24と共に回動されるように構成されている。そして、穴部24cをハンドルロック部13のピン部13bと対応するまでアッパーブラケット24を回動させることによって、ハンドルロック部13のピン部13bをアッパーブラケット24の穴部24cに挿入することが可能となる。また、ピン部13bがアッパーブラケット24の穴部24cに挿入されることにより、ハンドルロック部13は、アッパーブラケット24がヘッドパイプ2に対して回動されるのを抑制可能に構成されている。
【0040】
また、アッパーブラケット24の下面には、図3および図6に示すように、ヘッドライト部36を保持するための一対のヘッドライトステー37が設けられている。一対のヘッドライトステー37は、アッパーブラケット24の下部のメインスイッチ34が配置されている部分近傍から、それぞれ、両側方向に向かって矢印X1方向(図6参照)および矢印X2方向(図6参照)に延びるとともに、それぞれ、前方(矢印FWD方向)下側に延びるように構成されている。また、一対のヘッドライトステー37の前方(矢印FWD方向)部分には、ヘッドライト部36が取り付けられている。
【0041】
また、本実施形態では、ヘッドライト部36の内部には、図1に示すように、樹脂製のホース部材38が配置されている。このホース部材38には、ヘッドライト部36の内部に挿入された図示しない配線などが内部に配置されている。そして、ホース部材38は、図1に示すように、ヘッドライト部36の後部から導出されているとともに、上記したカバー部材9のホース挿入口9bに挿入されている。
【0042】
また、アンダーブラケット20の上方には、それぞれ、点滅ランプ39が配置されている。これら点滅ランプ39は、それぞれ、一対のフロントフォーク21のインナーチューブ21aにブラケット36aを介して取り付けられている。
【0043】
また、メインフレーム部3aとダウンチューブ3bとを接続する接続フレーム部3cには、図1に示すように、ピボット軸40が設けられている。このピボット軸40により、リヤアーム41の前端部が上下に揺動可能に軸支されている。また、リヤアーム41の後端部には、後輪42が回転可能に取り付けられている。また、後輪42の上方には、リヤフェンダ43が配置されているとともに、リヤフェンダ43の後部には、一対の点滅ランプ44が取り付けられている。
【0044】
また、メインフレーム部3aとダウンチューブ3bとの間には、図1および図2に示すように、エンジン45が配置されている。このエンジン45は、空冷式エンジンであり、クランクケース部45aと、シリンダブロック部45bと、シリンダヘッド部45cと、シリンダヘッドカバー部45dとによって構成されている。また、エンジン45のシリンダヘッド部45cには、図1に示すように、排気管46が接続されており、この排気管46には、後方に延びるマフラー47が接続されている。また、エンジン45の上方には、燃料タンク48が配置されている。また、燃料タンク48の上部には、金属製のタンクカバー部材49が配置されている。
【0045】
具体的には、タンクカバー部材49は、図6に示すように、燃料タンク48の上面に矢印X1方向および矢印X2方向の略中心に取り付けられている。また、タンクカバー部材49の上面の走行方向(矢印FWD方向)側には、スピードメーター50が嵌め込まれたメータ開口部49aが形成されている。また、メータ開口部49aの後方には、ボタン開口部49bが形成されている。このボタン開口部49bには、スピードメーター50の液晶表示部50aのモード切替を行うための表示切替ボタン51が嵌め込まれている。また、タンクカバー部材49の上面のボタン開口部49bの後方には、開口部49cが形成されている。この開口部49cを形成することにより、金属製のタンクカバー部材49を軽量化することが可能となる。
【0046】
また、本実施形態では、タンクカバー部材49の前方部は、図1および図6に示すように、燃料タンク48の前方に張り出すように構成されている。つまり、タンクカバー部材49の前方部は、ロックカバー部材16の後部の上方を覆うように構成されている。これにより、ネジ部材17が脱落することによりロックカバー部材16がメインフレーム部3aに対して固定されない場合にも、タンクカバー部材49により、ロックカバー部材16が上方に移動するのを抑制することが可能であるため、ロックカバー部材16がメインフレーム部3aの上面側から脱落するのを抑制することが可能となる。また、燃料タンク48の後方には、シート52が設けられている。つまり、本実施形態による自動二輪車1のシート52は、ハンドルロック部13から燃料タンク48の前後方向の距離を隔てた位置に配置されるように構成されている。
【0047】
本実施形態では、上記のように、メインフレーム部3aの上面側に配置され、ハンドルパイプ26がヘッドパイプ2に対して回動するのを抑制するハンドルロック部13を設けることによって、ハンドルロック部13がメインフレーム部3aの下方に設けられている場合と比べて、ハンドルロック部13の位置が、運転者が跨るシート52に近くなるので、運転者がシート52に跨った体勢でハンドルロック部13を操作することができる。これにより、容易にハンドルロック部13を操作することができる。
【0048】
また、本実施形態では、ピン部13bがアッパーブラケット24の穴部24cに挿入されることにより、アッパーブラケット24がヘッドパイプ2に対して回動されるのを抑制可能に構成することによって、ハンドルロック部13のピン部13bを、アッパーブラケット24の穴部24cに挿入するだけで、容易に、アッパーブラケット24がヘッドパイプ2に対して回動するのを抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、ハンドルロック部13に、ピン部13bをアッパーブラケット24の穴部24cに対して出し入れするように移動させるためのキー挿入部13cを設けることによって、キー挿入部13cに図示しないキーを挿入して回動などすることにより、容易に、ハンドルロック部13のピン部13bを、アッパーブラケット24の穴部24cに対して出し入れすることができる。
【0050】
また、本実施形態では、メインフレーム部3aの車幅方向(矢印X1方向および矢印X2方向)の側面とロックカバー部材16の車幅方向の側面との間の隙間を覆うシール部材18を設けることによって、シール部材18により、ロックカバー部材16の内部に埃などが浸入するのを抑制することができるので、ハンドルロック部13に埃などが付着するのを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、メインフレーム部3aをヘッドパイプ2の上部から後方に延びるように構成することによって、メインフレーム部3aが高い位置に配置されるので、そのメインフレーム部3aの上面側に配置されているハンドルロック部13を、容易に、運転者が操作しやすい高い位置に配置することができる。
【0052】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0053】
たとえば、上記実施形態では、本発明を自動二輪車に適用する例を示したが、本発明はこれに限らず、ハンドルロック部を備えた車両であれば、自転車、三輪車、ATV(All Terrain Vehicle;不整地走行車両)などの他の車両にも適用可能である。
【0054】
また、上記実施形態では、メインスイッチのキー差込口を、メインスイッチを作動させるためだけのキー差込口として構成するとともに、ハンドルロック部のキー挿入部を、ハンドルロック部を作動させるためだけのキー挿入部として構成することにより、メインスイッチのキー差込口とハンドルロック部のキー挿入部とが別々の機能を有するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、ハンドルロック部のキー挿入部にメインスイッチを作動させる機能を付加することにより、メインスイッチのキー差込口を設けずに、ハンドルロック部のキー挿入部だけを設けるように構成してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、ハンドルロック部のキー挿入部を車幅方向の外側に向かって開口するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、キー挿入部を上方に向かって開口するように構成してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、ロックカバー部材を、保持ブラケットを介してメインフレーム部に取り付けた例を示したが、本発明はこれに限らず、ロックカバー部材を、保持ブラケットを介さずに、直接的にメインフレーム部に取り付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態による自動二輪車の全体構成を示した側面図である。
【図2】本発明の一実施形態による自動二輪車の全体構成を示した側面図である。
【図3】図1に示した一実施形態による自動二輪車のヘッドパイプ周辺の構造を示した側面図である。
【図4】図3の100−100線に沿った断面図である。
【図5】図1の200−200線に沿った断面図である。
【図6】図1に示した一実施形態による自動二輪車のアッパーブラケットおよびタンクカバー部材周辺を示した平面図である。
【図7】図1に示した一実施形態による自動二輪車のアッパーブラケットおよびロックカバー部材周辺を示した平面図である。
【図8】図6の300−300線に沿った断面図である。
【図9】図1に示した一実施形態による自動二輪車のロックカバー部材の内部を示した断面図である。
【図10】図7の400−400線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 自動二輪車(車両)
2 ヘッドパイプ
3a メインフレーム部(上部フレーム部)
3b ダウンチューブ(下部フレーム部)
13 ハンドルロック部
13b ピン部
13c キー挿入部
15 保持ブラケット
15b カバー取付部
16 ロックカバー部材
16b 開口部(キー穴部)
18 シール部材
22 前輪(車輪)
23 ステアリングシャフト(ハンドル)
24 アッパーブラケット(上部ブラケット)
24c 穴部
26 ハンドルパイプ(ハンドル)
48 燃料タンク
49 タンクカバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプと、
前記ヘッドパイプに対して回動させることにより車輪を操舵可能に構成されているハンドルと、
前記ヘッドパイプから後方に延びるように設けられた上部フレーム部と、
前記上部フレーム部の上面側に配置され、前記ハンドルが前記ヘッドパイプに対して回動するのを抑制するハンドルロック部とを備える、車両。
【請求項2】
前記ハンドルは、前記ヘッドパイプに対して回動可能に支持されたステアリングシャフトを含み、
前記ヘッドパイプの上方に配置され、前記ステアリングシャフトに接続された上部ブラケットをさらに備え、
前記ハンドルロック部は、前記上部ブラケットが前記ヘッドパイプに対して回動するのを抑制可能に構成されている、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記上部ブラケットは、前記ハンドルロック部に対向する部分に形成された穴部を含み、
前記ハンドルロック部は、前記上部ブラケットの穴部に挿入可能なピン部を含むとともに、前記ピン部が前記上部ブラケットの穴部に挿入されることにより、前記上部ブラケットが前記ヘッドパイプに対して回動されるのを抑制可能に構成されている、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記ハンドルロック部は、前記ピン部を前記上部ブラケットの穴部に対して出し入れするように移動させるためのキーを挿入するキー挿入部を含む、請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記ハンドルロック部のキー挿入部は、車幅方向の外側を指向するように構成されている、請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記ハンドルロック部は、前記上部フレーム部の車幅方向の両側面よりも前記車幅方向の内側に配置されている、請求項1に記載の車両。
【請求項7】
前記ハンドルロック部を覆うように配置されているロックカバー部材をさらに備える、請求項1に記載の車両。
【請求項8】
前記ハンドルロック部は、キーを挿入するキー挿入部を含み、
前記ロックカバー部材は、車幅方向の外側に向かって開口するとともに、前記キー挿入部が露出するキー穴部を含む、請求項7に記載の車両。
【請求項9】
前記上部フレーム部と前記ハンドルロック部との間に挟み込まれるように取り付けられている保持ブラケットをさらに備え、
前記保持ブラケットは、カバー取付部を含み、
前記ロックカバー部材は、前記保持ブラケットのカバー取付部に固定されている、請求項7に記載の車両。
【請求項10】
前記上部フレーム部の側面と前記ロックカバー部材の側面との間の隙間を覆うシール部材をさらに備える、請求項7に記載の車両。
【請求項11】
前記上部フレーム部に設けられた燃料タンクをさらに備え、
前記ハンドルロック部は、前記ヘッドパイプと前記燃料タンクとの間に配置されている、請求項1に記載の車両。
【請求項12】
前記ハンドルロック部を覆うように配置されているロックカバー部材と、
前記燃料タンクを覆うように前記燃料タンクに取り付けられたタンクカバー部材とをさらに備え、
前記タンクカバー部材は、前記ロックカバー部材の後部の上方を覆うように構成されている、請求項11に記載の車両。
【請求項13】
前記上部フレーム部は、前記ヘッドパイプの上部から後方に延びるように構成されており、
前記ヘッドパイプの下部から下方に延びるように構成されている下部フレーム部をさらに備える、請求項1に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−6993(P2009−6993A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120935(P2008−120935)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】