説明

車両

【課題】車両システムが起動される際に、充電装置により第2蓄電装置が充電された場合に、第2蓄電装置が充電されたことをドライバが知ることが可能な車両を提供する。
【解決手段】ハイブリッド車両100は、ハイブリッドシステムを実行して走行を制御するHVECU11と、走行用の電力を蓄電するバッテリモジュール131と、HVECU11を駆動する電力を蓄電する補機バッテリ15と、バッテリモジュール131から供給される電圧を降圧して補機バッテリ15を充電するDC/DCコンバータ145と、ハイブリッドシステムが起動される際に、DC/DCコンバータ145により補機バッテリ15が充電された場合に、補機バッテリ15が充電されたことを表示するコンビネーションメータ23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補機バッテリを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行用のHVバッテリと、補機を駆動するための補機バッテリとを備えたハイブリッド車両が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のハイブリッド車両には、HVバッテリから供給される電圧を降圧して補機バッテリを充電するためのコンバータが設けられている。そして、このハイブリッド車両では、始動時に補機バッテリの電圧を検出するとともに、その検出された補機バッテリの電圧が、禁止基準電圧よりも高く、かつ、最低基準電圧よりも低い場合に、コンバータにより補機バッテリを充電する。これにより、補機バッテリの電圧が最低基準電圧よりも低い場合であっても、補機バッテリを充電してハイブリッド車両を始動させることが可能である。
【0004】
なお、禁止基準電圧は、HVバッテリとコンバータとを接続または遮断するシステムメインリレーが正常に動作可能な電圧であり、最低基準電圧は、全てのECUが正常に動作可能な電圧である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−320807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された従来のハイブリッド車両では、始動時にコンバータにより補機バッテリが充電されたことをドライバが知ることができないという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、車両システムが起動される際に、充電装置により第2蓄電装置が充電された場合に、第2蓄電装置が充電されたことをドライバが知ることが可能な車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による車両は、車両システムを実行して走行を制御する制御装置と、走行用の電力を蓄電する第1蓄電装置と、制御装置を駆動する電力を蓄電する第2蓄電装置と、第1蓄電装置から供給される電圧を降圧して第2蓄電装置を充電する充電装置と、車両システムが起動される際に、充電装置により第2蓄電装置が充電された場合に、第2蓄電装置が充電されたことを表示する表示部とを備える。
【0009】
このように構成することによって、車両システムが起動される際に、充電装置により第2蓄電装置が充電された場合に、第2蓄電装置が充電されたことを表示部が表示するので、車両システムの起動時に第2蓄電装置が充電されたことをドライバが知ることができる。
【0010】
上記車両において、制御装置は、車両システムを起動する際に、第2蓄電装置の電圧が予め設定された閾値よりも低いか否かを判断するとともに、第2蓄電装置の電圧が閾値よりも低いと判断した場合に、充電装置により第2蓄電装置を充電させるように構成されていてもよい。
【0011】
このように構成すれば、車両システムが起動される際に、第2蓄電装置の電圧が低下していた場合に、充電装置により第2蓄電装置を充電することができる。
【0012】
上記車両において、制御装置は、車両システムを起動する際に、充電装置により第2蓄電装置が充電された場合に、第2蓄電装置が劣化しているか否かを判断するように構成され、表示部は、制御装置により第2蓄電装置が劣化していると判断された場合に、第2蓄電装置の検査を促す表示を行うように構成されていてもよい。
【0013】
このように構成すれば、第2蓄電装置が劣化したことをドライバが知ることができる。
【0014】
上記制御装置が第2蓄電装置の劣化を判断する車両において、制御装置は、第2蓄電装置が劣化していると判断した場合に、車両システムの起動時間を計測し、計測された起動時間が予め設定された時間を超えた場合に、その後の車両システムの起動を禁止するように構成されていてもよい。
【0015】
このように構成すれば、第2蓄電装置が劣化した状態での起動時間が予め設定された時間を超えた場合に、その後の車両システムの起動を禁止することができる。
【0016】
上記制御装置が第2蓄電装置の劣化を判断する車両において、制御装置は、第2蓄電装置が劣化していると判断した場合に、走行距離を計測し、計測された走行距離が予め設定された距離を超えた場合に、その後の車両システムの起動を禁止するように構成されていてもよい。
【0017】
このように構成すれば、第2蓄電装置が劣化した状態での走行距離が予め設定された距離を超えた場合に、その後の車両システムの起動を禁止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の車両によれば、車両システムが起動される際に、充電装置により第2蓄電装置が充電された場合に、第2蓄電装置が充電されたことをドライバが知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態によるハイブリッド車両の全体構成を示した図である。
【図2】図1のハイブリッド車両のHVバッテリを示した図である。
【図3】図1のハイブリッド車両のPCUを示した図である。
【図4】図1のハイブリッド車両のシフト操作装置を示した概略図である。
【図5】図1のハイブリッド車両のハイブリッドシステムの起動処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1のハイブリッド車両の補機バッテリが充電された際の電圧の変化の一例を示したグラフである。
【図7】図1のハイブリッド車両の起動禁止フラグの設定処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
−機械的構成−
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態によるハイブリッド車両100の機械的構成(駆動機構)について説明する。
【0022】
ハイブリッド車両100は、たとえば、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式であり、左右の前輪(駆動輪)9を駆動する。このハイブリッド車両100は、図1に示すように、エンジン1と、ジェネレータMG1と、モータMG2と、動力分割機構2と、リダクション機構3と、減速装置4と、デファレンシャル装置5と、ドライブシャフト6とを備えている。
【0023】
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料を燃焼させて動力を出力する公知の動力装置である。エンジン1は、たとえば、吸気通路に設けられたスロットルバルブのスロットル開度(吸気空気量)、燃料噴射量、点火時期などの運転状態を制御可能に構成されている。
【0024】
エンジン1の出力は、クランクシャフト1aおよびダンパ7を介して動力分割機構2のインプットシャフト2aに伝達される。ダンパ7は、たとえば、コイルスプリング式トランスアクスルダンパであってエンジン1のトルク変動を吸収する。
【0025】
ジェネレータMG1は、主に発電機として機能し、状況によっては電動機としても機能する。ジェネレータMG1は、たとえば、交流同期発電機であり、インプットシャフト2aに対して回転自在に支持された永久磁石からなるロータMG1Rと、3相巻線が巻回されたステータMG1Sとを有する。
【0026】
モータMG2は、主に電動機として機能し、状況によっては発電機としても機能する。モータMG2は、たとえば、交流同期電動機であり、永久磁石からなるロータMG2Rと、3相巻線が巻回されたステータMG2Sとを有する。
【0027】
動力分割機構2は、エンジン1の出力を、左右の前輪9を駆動する動力と、発電のためにジェネレータMG1を駆動する動力とに分割する機構であり、たとえば、遊星歯車機構である。
【0028】
具体的には、動力分割機構2は、複数の歯車要素の中心で自転する外歯歯車のサンギヤ2Sと、サンギヤ2Sに外接しながらその周辺を自転しつつ公転する外歯歯車のピニオンギヤ2Pと、ピニオンギヤ2Pと噛み合うように中空環状に形成された内歯歯車のリングギヤ2Rと、ピニオンギヤ2Pを支持するとともに、このピニオンギヤ2Pの公転を通じて自転するプラネタリキャリア2Cとを有する。
【0029】
プラネタリキャリア2Cは、エンジン1側のインプットシャフト2aに回転一体に連結されている。サンギヤ2Sは、ジェネレータMG1のロータMG1Rに回転一体に連結されている。
【0030】
また、リングギヤ2Rの外周部にはカウンタドライブギヤ4aが一体に設けられている。このカウンタドライブギヤ4aは、カウンタドリブンギヤ4bに噛み合っている。カウンタドリブンギヤ4bには、ファイナルドライブギヤ4cが一体に設けられており、ファイナルドライブギヤ4cは、デファレンシャル装置5のデフドリブンギヤ5aに噛み合っている。なお、カウンタドライブギヤ4a、カウンタドリブンギヤ4b、ファイナルドライブギヤ4c、および、デフドリブンギヤ5aなどにより、減速装置4が構成されている。
【0031】
この動力分割機構2を設けることにより、エンジン1から出力された動力が、プラネタリキャリア2Cから、サンギヤ2Sに伝達される動力と、リングギヤ2Rに伝達される動力とに分割される。
【0032】
これらの分割された動力のうち、サンギヤ2Sに伝達された動力は、ジェネレータMG1のロータMG1Rに伝達され、その動力によりロータMG1Rが駆動されることにより、ジェネレータMG1で発電が行われる。なお、エンジン1の始動時には、HVバッテリ13から供給される電力によりジェネレータMG1が駆動されることによって、エンジン1がクランキングされる。すなわち、ジェネレータMG1はエンジン1の始動時にはスタータモータとしても機能する。
【0033】
一方、エンジン1からリングギヤ2Rに伝達された動力は、モータMG2が出力した動力と統合されて、リングギヤ2R(カウンタドライブギヤ4a)から、減速装置4、デファレンシャル装置5およびドライブシャフト6を介して前輪9に伝達され、その伝達された動力により前輪9が駆動される。
【0034】
リダクション機構3は、モータMG2の回転を減速し、駆動トルクの増幅を行う機構であり、たとえば、遊星歯車機構である。
【0035】
具体的には、リダクション機構3は、複数の歯車要素の中心で自転する外歯歯車のサンギヤ3Sと、サンギヤ3Sに外接しながら自転する外歯歯車のピニオンギヤ3Pと、ピニオンギヤ3Pと噛み合うように中空環状に形成された内歯歯車のリングギヤ3Rとを有する。
【0036】
リダクション機構3のリングギヤ3Rと、動力分割機構2のリングギヤ2Rと、カウンタドライブギヤ4aとは互いに一体となっている。また、サンギヤ3SはモータMG2のロータMG2Rと回転一体に連結されている。
【0037】
このリダクション機構3を設けることにより、モータMG2が駆動したときには、このモータMG2の出力(動力)が、エンジン1から動力分割機構2のリングギヤ2Rに伝達された動力に統合される。これにより、エンジン1の出力を補助(アシスト)することができ、前輪9の駆動力を高めることができる。なお、低速の軽負荷走行時などには、エンジン1を停止させたまま、モータMG2の動力のみで走行(EV走行)を行うことができる。また、回生制動時には、モータMG2が運動エネルギを電気エネルギに変換することにより発電を行うことができる。
【0038】
なお、ジェネレータMG1、モータMG2、動力分割機構2、リダクション機構3、減速装置4、デファレンシャル装置5およびダンパ7などによりトランスアクスル8が構成されている。このトランスアクスル8には、クランクシャフト1aを介してエンジン1が連結されるとともに、駆動シャフト6を介して前輪9が連結されている。
【0039】
−電気的構成−
次に、図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態によるハイブリッド車両100の電気的構成(電気系統)について説明する。
【0040】
ハイブリッド車両100は、図1に示すように、HVECU11と、エンジンECU12と、HVバッテリ13と、PCU(パワーコントロールユニット)14とを備えている。
【0041】
HVECU11は、ハイブリッド車両100を統括的に制御するように構成されている。たとえば、HVECU11は、ハイブリッドシステム(車両システム)を実行してハイブリッド車両100の走行を制御する。なお、HVECU11は、本発明の「制御装置」の一例である。
【0042】
ここで、ハイブリッドシステムとは、エンジン1の運転制御、ジェネレータMG1およびモータMG2の駆動制御、エンジン1、ジェネレータMG1およびモータMG2の協調制御などを含む各種制御を実行することにより、ハイブリッド車両100の走行を制御するシステムである。
【0043】
このHVECU11は、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)11aと、ROM(Read Only Memory)11bと、RAM(Random Access Memory)11cと、バックアップRAM11dと、入出力インターフェース11eと、通信インターフェース11fとを含んでいる。
【0044】
CPU11aは、ROM11bに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。ROM11bには、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップなどが記憶されている。RAM11cは、CPU11aによる演算結果や各センサの検出結果などを一時的に記憶するメモリである。
【0045】
バックアップRAM11dは、イグニッションをオフする際に保存すべきデータなどを記憶する不揮発性のメモリである。具体的には、バックアップRAM11dには、起動禁止フラグ111dが記憶されている。この起動禁止フラグ111dは、「0」である場合にハイブリッドシステムの起動が許可され、「1」である場合にハイブリッドシステムの起動が禁止される。なお、起動禁止フラグ111dについては、後で詳細に説明する。
【0046】
入出力インターフェース11eは、各センサの検出結果などが入力されるとともに、各部(たとえば、後述するDC/DCコンバータ145)に制御信号などを出力する機能を有する。通信インターフェース11fは、各ECU(たとえば、エンジンECU12)と通信するために設けられている。
【0047】
エンジンECU12(図1参照)は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM、入出力インターフェースおよび通信インターフェースなどを含んでいる。エンジンECU12は、HVECU11からの出力要求に応じて、吸入空気量制御、燃料噴射量制御および点火時期制御などを含むエンジン1の各種制御を実行する。
【0048】
HVバッテリ13は、図2に示すように、走行用の高電圧電源であるバッテリモジュール131と、バッテリモジュール131を監視する電池監視ユニット132と、電気部品が収納されたジャンクションブロック133とを含んでいる。
【0049】
バッテリモジュール131は、ジェネレータMG1およびモータMG2を駆動する電力を供給するとともに、ジェネレータMG1およびモータMG2により発電された電力を蓄電するように構成されている。このバッテリモジュール131は、たとえば、充放電可能なニッケル水素電池またはリチウムイオン電池である。バッテリモジュール131は、ジャンクションブロック133を介してPCU14に接続されている。なお、バッテリモジュール131は、本発明の「第1蓄電装置」の一例である。
【0050】
電池監視ユニット132には、バッテリモジュール131の充放電電流を検出する電流センサ13a、バッテリモジュール131の電圧を検出する電圧センサ13b、および、バッテリモジュール131の温度(電池温度)を検出する温度センサ13cが接続されている。そして、電池監視ユニット132は、バッテリモジュール131に関する情報(充放電電流、電圧および電池温度)をHVECU11に送信する。これにより、HVECU11は、たとえば、充放電電流の積算値に基づいてバッテリモジュール131のSOC(State of Charge:充電状態)を演算するとともに、SOCおよび電池温度に基づいて入力制限Winおよび出力制限Woutを演算する。
【0051】
ジャンクションブロック133は、システムメインリレー133a〜133cを含んでいる。
【0052】
システムメインリレー133a〜133cは、バッテリモジュール131とPCU14とを接続または遮断するために、バッテリモジュール131とPCU14との間に設けられている。システムメインリレー133a〜133cは、HVECU11からの制御信号に基づいてオン/オフ状態が切り替えられる。
【0053】
具体的には、システムメインリレー133aは、オン状態のときに電源ラインPL1およびPL2を接続するとともに、オフ状態のときに電源ラインPL1およびPL2を遮断する。システムメインリレー133bは、オン状態のときに接地ラインNL1およびNL2を接続するとともに、オフ状態のときに接地ラインNL1およびNL2を遮断する。
【0054】
なお、システムメインリレー133cは、始動電流(突入電流)の発生を抑制するために設けられている。システムメインリレー133cには抵抗器133dが直列に接続され、システムメインリレー133cおよび抵抗器133dは、システムメインリレー133bに並列に接続されている。そして、バッテリモジュール131がPCU14に接続される際には、システムメインリレー133aおよび133cがオン状態にされた後、システムメインリレー133bがオン状態にされるとともに、システムメインリレー133cがオフ状態にされる。
【0055】
すなわち、システムメインリレー133aおよび133bがオン状態の場合には、バッテリモジュール131の電力をPCU14に供給可能であり、かつ、PCU14から供給される電力によりバッテリモジュール131を充電可能である。また、システムメインリレー133a〜133cがオフ状態の場合には、バッテリモジュール131をPCU14と電気的に分離することが可能である。
【0056】
PCU14は、図3に示すように、昇降圧コンバータ141と、インバータ142および143と、MGECU144と、DC/DCコンバータ145とを含んでいる。
【0057】
昇降圧コンバータ141は、HVバッテリ13の直流電圧を昇圧してインバータ142および143に供給するために設けられている。また、昇降圧コンバータ141は、ジェネレータMG1により発電され、インバータ142により直流に変換された電圧を降圧してHVバッテリ13に供給するとともに、モータMG2により発電され、インバータ143により直流に変換された電圧を降圧してHVバッテリ13に供給する機能も有する。
【0058】
具体的には、昇降圧コンバータ141は、接地ラインNL2および電源ラインPL2間の電圧を昇圧して接地ラインNL3および電源ラインPL3間に出力可能に構成されるとともに、接地ラインNL3および電源ラインPL3間の電圧を降圧して接地ラインNL2および電源ラインPL2間に出力可能に構成されている。
【0059】
この昇降圧コンバータ141は、たとえば、チョッパ型の昇降圧コンバータであり、リアクトルと、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)と、ダイオードとを有する。そして、昇降圧コンバータ141は、MGECU144から供給される駆動信号により、IGBTのオン/オフ状態が制御されることによって、昇圧または降圧を行うように構成されている。
【0060】
インバータ142は、たとえば、IGBTおよびダイオードを有する三相ブリッジ回路であり、MGECU144から供給される駆動信号によりIGBTのオン/オフ状態が制御されることによって回生制御または力行制御される。具体的には、インバータ142は、エンジン1の動力によりジェネレータMG1で発電された交流電流を直流電流に変換して接地ラインNL3および電源ラインPL3間に出力する(回生制御)とともに、昇降圧コンバータ141から供給される直流電流を交流電流に変換してジェネレータMG1を駆動する(力行制御)。
【0061】
インバータ143は、たとえば、IGBTおよびダイオードを有する三相ブリッジ回路であり、MGECU144から出力される駆動信号によりIGBTのオン/オフ状態が制御されることによって力行制御または回生制御される。具体的には、インバータ143は、昇降圧コンバータ141から供給される直流電流を交流電流に変換してモータMG2を駆動する(力行制御)とともに、回生制動時にモータMG2で発電された交流電流を直流電流に変換して接地ラインNL3および電源ラインPL3間に出力する(回生制御)。
【0062】
MGECU144は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM、入出力インターフェースおよび通信インターフェースなどを含んでいる。MGECU144は、HVECU11から送信される出力要求を受信するとともに、その出力要求などに基づいて昇降圧コンバータ141、インバータ142および143の駆動信号を生成し、その駆動信号を昇降圧コンバータ141、インバータ142および143に出力する。
【0063】
DC/DCコンバータ145は、接地ラインNL2および電源ラインPL2間の電圧を降圧して補機バッテリ15を充電するために設けられている。また、DC/DCコンバータ145は、降圧した電圧を補機類(たとえば、ランプなど)および各ECU(たとえば、HVECU11など)に供給する機能を有する。このDC/DCコンバータ145は、HVECU11の要求に応じて駆動されるように構成されている。なお、DC/DCコンバータ145は、本発明の「充電装置」の一例である。
【0064】
補機バッテリ15は、たとえば、充放電可能な鉛蓄電池であり、補機類および各ECUを駆動する電力の供給源として機能する。なお、HVECU11には、補機バッテリ15の電圧を検出する電圧センサ15aおよび補機バッテリ15の温度を検出する温度センサ15bが接続されている。なお、補機バッテリ15は、本発明の「第2蓄電装置」の一例である。
【0065】
また、PCU14には、電源ラインPL2と接地ラインNL2との間に電圧変動を平滑化するためのコンデンサ146が設けられ、電源ラインPL3と接地ラインNL3との間に電圧変動を平滑化するためのコンデンサ147が設けられている。電源ラインPL3と接地ラインNL3との間には、ハイブリッドシステムの停止後に電源ラインPL3の電圧を落とすための抵抗器148が設けられている。
【0066】
また、PCU14には、電源ラインPL2と接地ラインNL2との間の電圧を検出する電圧センサ14aと、電源ラインPL3と接地ラインNL3との間の電圧を検出する電圧センサ14bとが設けられている。電圧センサ14aおよび14bの検出結果は、HVECU11に出力されている。
【0067】
−ユーザインターフェース−
次に、図4を参照して、本発明の一実施形態によるハイブリッド車両100のユーザインターフェースについて説明する。
【0068】
ハイブリッド車両100は、図4に示すように、パワースイッチ21と、シフト操作装置22と、コンビネーションメータ23とを備えている。
【0069】
パワースイッチ21は、ハイブリッドシステムを起動および停止させるために設けられている。パワースイッチ21は、ドライバを含む搭乗者により操作された場合に、その操作に応じた信号をHVECU11に出力する。HVECU11は、パワースイッチ21から入出力インターフェース11eに入力された信号などに基づいてハイブリッドシステムの起動および停止を開始する。
【0070】
シフト操作装置22は、シフトポジションの切替指示をドライバから受け付けるために設けられている。シフト操作装置22は、セレクタレバー22aと、Pポジションスイッチ22bとを有する。
【0071】
セレクタレバー22aは、シフトポジションを、前進走行用のドライブポジション(Dポジション)、アクセルオフ時の制動力(エンジンブレーキ)が大きな前進走行用のブレーキポジション(Bポジション)、後進走行用のリバースポジション(Rポジション)、および、中立のニュートラルポジション(Nポジション)に切り替えるために設けられている。Pポジションスイッチ22bは、シフトポジションを駐車用のパーキングポジション(Pポジション)に切り替えるために設けられている。
【0072】
セレクタレバー22aは、各シフトポジションへと移動(操作)可能に設けられている。そして、セレクタレバー22aの移動はシフトポジションセンサ22cにより検出される。シフトポジションセンサ22cは、セレクタレバー22aが操作されたことを検出した場合に、その操作に応じた信号をHVECU11に出力する。また、Pポジションスイッチ22bは、ドライバにより操作された場合に、HVECU11に信号を出力する。HVECU11は、シフトポジションセンサ22cおよびPポジションスイッチ22bから入出力インターフェース11eに入力された信号などに基づいて、シフトポジションを制御する。
【0073】
コンビネーションメータ23は、各種情報を表示するディスプレイ23aおよびインジケータランプ23bと、警告音を発生するブザー23cと、コンビネーションメータ23を制御するメータコンピュータ23dとを含んでいる。HVECU11は、通信インターフェース11fを介してメータコンピュータ23dと通信することによりコンビネーションメータ23の表示を制御する。なお、コンビネーションメータ23は、本発明の「表示部」の一例である。
【0074】
−走行状態−
次に、本発明の一実施形態によるハイブリッド車両100の走行状態の一例について説明する。
【0075】
たとえば、ハイブリッド車両100は、発進時および低車速の軽負荷走行時などにおいて、エンジン1の運転を停止し、モータMG2を力行制御して走行(EV走行)を行う。
【0076】
また、ハイブリッド車両100は、定常走行時などにおいて、エンジン1を主動力源として走行を行い、ジェネレータMG1を回生制御するとともに、その回生制御で得られた電気エネルギでモータMG2を補助的に力行制御する。
【0077】
また、ハイブリッド車両100は、加速時などにおいて、エンジン1を駆動するとともに、ジェネレータMG1を回生制御して得られた電気エネルギおよびHVバッテリ13の電気エネルギでモータMG2を力行制御して走行を行う。
【0078】
また、ハイブリッド車両100は、減速時(アクセルをオフ時)などにおいて、モータMG2を回生制御することにより、制動トルクを付与するとともに、エネルギ回収を行ってHVバッテリ13の充電を行う。
【0079】
また、ハイブリッド車両100は、後進時には、モータMG2を前進時に対して逆回転方向に力行制御する。
【0080】
−ハイブリッドシステムの起動処理−
次に、図5および図6を参照して、本発明の一実施形態によるハイブリッド車両100のハイブリッドシステムの起動処理について説明する。なお、以下の各ステップはHVECU11のCPU11a(図4参照)により実行される。
【0081】
まず、ステップS1において、ハイブリッドシステムの起動操作がされたか否かが判断される。具体的には、ブレーキペダルが踏まれた状態でパワースイッチ21が操作されたか否かが判断される。そして、起動操作がされたと判断された場合には、ステップS2に移る。その一方、起動操作がされていないと判断された場合には、ステップS1が繰り返し行われる。すなわち、ハイブリッド車両100は起動操作がされるまで待機する。
【0082】
次に、ステップS2において、バックアップRAM11dに記憶された起動禁止フラグ111dが「0」であるか否かが判断される。そして、起動禁止フラグ111dが「0」であると判断された場合には、ハイブリッドシステムの起動が許可され、ステップS3に移る。その一方、起動禁止フラグ111dが「1」である(「0」ではない)と判断された場合には、ハイブリッドシステムの起動が禁止され、ステップS15に移る。
【0083】
次に、ステップS3において、補機バッテリ15(図3参照)の電圧Vabが取得される。具体的には、電圧センサ15aの検出結果が入出力インターフェース11e(図4参照)に入力される。
【0084】
次に、ステップS4において、取得された電圧Vabが閾値Vthよりも低いか否かが判断される。なお、閾値Vthは、予め設定された電圧値であって、たとえば、ダイアグノーシス(自己診断機能)を実行可能な電圧値である。そして、取得された電圧Vabが閾値Vthよりも低いと判断された場合には、ステップS5に移る。その一方、取得された電圧Vabが閾値Vth以上である(電圧Vabが閾値Vthよりも低くない)と判断された場合には、補機バッテリ15を充電する必要がないことから、ステップS16に移る。
【0085】
次に、ステップS5において、システムメインリレー133a(図2参照)が接続されるとともに、システムメインリレー133cが接続される。その後、システムメインリレー133bが接続されるとともに、システムメインリレー133cが遮断される。これにより、バッテリモジュール131からPCU14(電源ラインPL2および接地ラインNL2間)に電力が供給される。
【0086】
次に、ステップS6において、DC/DCコンバータ145(図3参照)が駆動される。これにより、電源ラインPL2および接地ラインNL2間の電圧が降圧されて補機バッテリ15に供給されることにより、補機バッテリ15が充電される。なお、このDC/DCコンバータ145の駆動時間(充電時間)Tcは予め設定されており、HVECU11により充電中の補機バッテリ15の電圧Vabが取得される。
【0087】
その後、ステップS7において、充電時間Tcが経過したときの補機バッテリ15の電圧Vabが閾値Vth以上であるか否かが判断される。そして、図6に例示する電圧V1およびV2のように、充電時間Tcが経過したときの電圧Vabが閾値Vth以上であると判断された場合には、ステップS8に移る。その一方、図6に例示する電圧V3のように、充電時間Tcが経過したときの電圧Vabが閾値Vthよりも低い(電圧Vabが閾値Vth以上ではない)と判断された場合には、補機バッテリ15を閾値Vthまで充電できないことから、ステップS14に移る。
【0088】
次に、ステップS8において、補機バッテリ15の劣化判定が行われる。この劣化判定は、たとえば、補機バッテリ15の充電が行われた際の電圧Vabの変化率に基づいて行われる。このため、図6に例示する電圧V1のように、変化率CR1が予め設定された閾値CRthよりも大きい場合には、補機バッテリ15が劣化していないと判定され、電圧V2のように、変化率CR2が閾値CRthよりも小さい場合には、補機バッテリ15が劣化していると判定される。
【0089】
次に、ステップS9において、上記劣化判定の結果に基づいて補機バッテリ15が劣化しているか否かが判断される。そして、補機バッテリ15が劣化していると判断された場合には、ステップS10に移る。その一方、補機バッテリ15が劣化していないと判断された場合には、ステップS13に移る。
【0090】
次に、ステップS10において、コンビネーションメータ23(図4参照)のメータコンピュータ23dにより、特別モードで起動したことがディスプレイ23aに表示されるとともに、補機バッテリ15の検査を促すメッセージがディスプレイ23aに表示される。なお、特別モードとは、ハイブリッドシステムの起動時に補機バッテリ15の電圧Vabが低下していることから、DC/DCコンバータ145により充電が行われるモードである。
【0091】
次に、ステップS11において、ハイブリッドシステムの起動時間のカウントが開始される。この起動時間のカウントは、起動禁止フラグ111dを設定するために行われる。なお、起動禁止フラグ111dの設定動作については、後で詳細に説明する。
【0092】
次に、ステップS12において、メータコンピュータ23dにより、ハイブリッドシステムが起動し、走行可能な状態(Ready−On状態)である旨を示すインジケータランプ23bが点灯される。これにより、ハイブリッドシステムの起動時の一連の処理が終了される。
【0093】
また、補機バッテリ15が劣化していないと判断された場合には(ステップS9:No)、ステップS13において、メータコンピュータ23dにより、特別モードで起動したことがディスプレイ23aに表示され、ステップS12に移る。
【0094】
また、充電時間Tcが経過したときの電圧Vabが閾値Vthよりも低いと判断された場合には(ステップS7:No)、補機バッテリ15を閾値Vthまで充電できないことから、ステップS14において、システムメインリレー133aおよび133bが遮断され、ステップS15に移る。
【0095】
そして、システムメインリレー133aおよび133bが遮断された場合(ステップS14)、および、起動禁止フラグ111dが「1」であると判断された場合には(ステップS2:No)、ステップS15において、メータコンピュータ23dにより、補機バッテリ15の交換を促すメッセージがディスプレイ23aに表示される。これにより、ハイブリッドシステムが起動されることなく、ハイブリッドシステムの起動時の一連の処理が終了される。
【0096】
また、取得された電圧Vabが閾値Vth以上であると判断された場合には(ステップS4:No)、補機バッテリ15を充電する必要がないことから、ステップS16において、システムメインリレー133aが接続されるとともに、システムメインリレー133cが接続される。そして、システムメインリレー133bが接続されるとともに、システムメインリレー133cが遮断される。これにより、バッテリモジュール131からPCU14に電力が供給される。その後、ステップS12に移る。
【0097】
上述したように、本実施形態によるハイブリッド車両100では、起動禁止フラグ111dが「1」に設定されている場合に(ステップS2:No)、補機バッテリ15の交換を促すメッセージがコンビネーションメータ23に表示され(ステップS15)、ハイブリッドシステムが起動されない。
【0098】
また、ハイブリッド車両100では、取得された電圧Vabが閾値Vth以上である場合に(ステップS4:No)、通常モードでハイブリッドシステムが起動される。なお、通常モードとは、ハイブリッドシステムの起動時に補機バッテリ15の電圧Vabが低下しておらず、DC/DCコンバータ145により充電が行われないモードである。
【0099】
また、ハイブリッド車両100では、充電時間Tcが経過したときの電圧Vabが閾値Vthよりも低い場合に(ステップS7:No)、補機バッテリ15の交換を促すメッセージがコンビネーションメータ23に表示され(ステップS15)、ハイブリッドシステムが起動されない。
【0100】
また、ハイブリッド車両100では、補機バッテリ15が劣化していない場合に(ステップS9:No)、特別モードで起動したことがコンビネーションメータ23に表示され(ステップS13)、ハイブリッドシステムが起動される。
【0101】
また、ハイブリッド車両100では、補機バッテリ15が劣化している場合に(ステップS9:Yes)、特別モードで起動したことおよび補機バッテリ15の点検を促すメッセージがコンビネーションメータ23に表示され(ステップS10)、起動時間のカウントが開始され(ステップS11)、ハイブリッドシステムが起動される。
【0102】
−起動禁止フラグ設定処理−
次に、図7を参照して、本発明の一実施形態によるハイブリッド車両100の起動禁止フラグ111dの設定処理について説明する。なお、以下の各ステップはHVECU11のCPU11a(図4参照)により実行される。また、以下の処理は、補機バッテリ15が劣化している場合におけるハイブリッドシステムの起動中に行われる。
【0103】
まず、ステップS21において、ハイブリッドシステムの起動時間が所定の時間を超えたか否かが判断される。なお、所定の時間とは、ハイブリッドシステムが起動されてから予め設定された時間(たとえば、10時間)である。そして、起動時間が所定の時間を超えたと判断された場合には、ステップS22に移る。その一方、起動時間が所定の時間を超えていないと判断された場合には、ステップS21が繰り返し行われる。すなわち、ハイブリッド車両100は、所定の時間が経過するまで待機する。
【0104】
次に、ステップS22において、バックアップRAM11d(図4参照)に記憶された起動禁止フラグ111dを「0」から「1」に更新する。これにより、次トリップにおいてハイブリッドシステムの起動が禁止される。
【0105】
次に、ステップS23において、メータコンピュータ23dにより、ハイブリッドシステムの停止を促すメッセージがディスプレイ23aに表示される。以上により、起動禁止フラグ設定処理が終了される。
【0106】
−効果−
本実施形態では、上記のように、ハイブリッドシステムの起動時に、補機バッテリ15の電圧Vabの低下に起因して、DC/DCコンバータ145により補機バッテリ15が充電された場合に(ステップS6)、特別モードで起動したことをコンビネーションメータ23に表示することによって(ステップS10およびS13)、ハイブリッドシステムの起動時に補機バッテリ15が充電されたことをドライバが知ることができる。これにより、ドライバがハイブリッド車両100の状態を正確に把握することができる。また、特別モードで起動された場合には、通常モードで起動された場合に比べて起動時間がかかるが、その原因をドライバが知ることができるので、ドライバが不安になるのを抑制することができる。
【0107】
また、本実施形態では、ハイブリッドシステムの起動時に、補機バッテリ15の電圧Vabが低下している場合に(ステップS4:Yes)、DC/DCコンバータ145により補機バッテリ15を充電する(ステップS6)ことによって、補機バッテリ15の電圧Vabが低下している場合にも、ハイブリッドシステムを起動させることができる。
【0108】
また、本実施形態では、補機バッテリ15が劣化している場合に(ステップS9:Yes)、ハイブリッドシステムの起動時間のカウントを開始し(ステップS11)、起動時間が所定の時間を超えた場合に(ステップS21)、起動禁止フラグを「1」に設定する(ステップS22)ことによって、次トリップにおいてハイブリッドシステムの起動を禁止することができる。これにより、補機バッテリ15が劣化した状態で、ハイブリッド車両100が長い間使用されるのを抑制することができる。
【0109】
また、本実施形態では、補機バッテリ15の劣化判定を行い(ステップS8)、補機バッテリ15が劣化している場合に(ステップS9:Yes)、補機バッテリ15の検査を促すメッセージをコンビネーションメータ23に表示する(ステップS10)ことによって、補機バッテリ15が劣化している場合には、その旨をドライバに知らせることができるとともに、補機バッテリ15が劣化していない場合には、不必要な検査を促すのを抑制することができる。
【0110】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0111】
たとえば、本実施形態では、エンジン1およびモータMG2を備えるハイブリッド車両100に本発明を適用する例を示したが、これに限らず、エンジン1が設けられていない電気自動車に本発明を適用してもよい。
【0112】
また、本実施形態では、FF方式のハイブリッド車両100に本発明を適用する例を示したが、これに限らず、FR方式または4WD方式のハイブリッド車両に本発明を適用してもよい。
【0113】
また、本実施形態では、ジェネレータMG1、モータMG2および動力分割機構2を備えた、いわゆるスプリット方式のハイブリッド車両100に本発明を適用する例を示したが、これに限らず、いわゆるシリーズ方式またはパラレル方式のハイブリッド車両に本発明を適用してもよい。なお、シリーズ方式のハイブリッド車両とは、エンジンが発電機による発電のみに用いられ、駆動輪がモータのみにより駆動されるハイブリッド車両であり、パラレル方式のハイブリッド車両とは、エンジンおよびモータにより駆動輪が駆動されるハイブリッド車両である。
【0114】
また、本実施形態では、2個のモータジェネレータ(ジェネレータMG1およびモータMG2)がハイブリッド車両100に設けられる例を示したが、これに限らず、1個または3個以上のモータジェネレータがハイブリッド車両に設けられていてもよい。たとえば、本実施形態によるハイブリッド車両100において、ジェネレータMG1およびモータMG2に加えて、後輪車軸を駆動するモータジェネレータが設けられていてもよい。
【0115】
また、本実施形態では、補機バッテリ15が劣化している場合に(ステップS9:Yes)、ハイブリッドシステムの起動時間のカウントを開始し(ステップS11)、起動時間が所定の時間を超えた場合に(ステップS21)、起動禁止フラグを「1」に設定する(ステップS22)例を示したが、これに限らず、補機バッテリ15が劣化している場合に、ハイブリッド車両100の走行距離を計測し、その走行距離が予め設定された距離(たとえば、100km)を超えた場合に、起動禁止フラグを「1」に設定するようにしてもよい。このように構成しても、次トリップにおいてハイブリッドシステムの起動を禁止することができる。また、補機バッテリ15が劣化した状態で、ハイブリッド車両100が長い間使用されるのを抑制することができる。
【0116】
また、本実施形態において、充電時間Tcが一定の値であってもよいし、充電時間Tcが補機バッテリの充電状態に応じて変化するようにしてもよい。
【0117】
また、本実施形態では、充電が行われた際の電圧Vabの変化率に基づいて補機バッテリ15の劣化判定を行う例を示したが、これに限らず、充電前または充電後の電圧が閾値を超えるか否かに基づいて補機バッテリの劣化判定を行うようにしてもよい。
【0118】
また、本実施形態において、特別モードで起動したことを表示する際(ステップS10およびS13)、および、補機バッテリ15の交換を促すメッセージを表示する際に(ステップS15)、コンビネーションメータ23のブザー23cが警告音を発生するようにしてもよい。
【0119】
また、本実施形態のステップS11において、起動時間のカウントを開始した際に、メータコンピュータ23dにより、起動状態を許容可能な残り時間をディスプレイ23aに表示するようにしてもよい。
【0120】
また、本実施形態において、起動禁止フラグ111dが「1」に設定された後に、補機バッテリ15が交換された場合に、整備士により起動禁止フラグ111dを「1」から「0」に更新可能であってもよい。
【符号の説明】
【0121】
11 HVECU(制御装置)
15 補機バッテリ(第2蓄電装置)
23 コンビネーションメータ(表示部)
100 ハイブリッド車両(車両)
131 バッテリモジュール(第1蓄電装置)
145 DC/DCコンバータ(充電装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両システムを実行して走行を制御する制御装置と、
走行用の電力を蓄電する第1蓄電装置と、
前記制御装置を駆動する電力を蓄電する第2蓄電装置と、
前記第1蓄電装置から供給される電圧を降圧して前記第2蓄電装置を充電する充電装置と、
前記車両システムが起動される際に、前記充電装置により前記第2蓄電装置が充電された場合に、前記第2蓄電装置が充電されたことを表示する表示部とを備えることを特徴とする車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両において、
前記制御装置は、前記車両システムを起動する際に、前記第2蓄電装置の電圧が予め設定された閾値よりも低いか否かを判断するとともに、前記第2蓄電装置の電圧が前記閾値よりも低いと判断した場合に、前記充電装置により前記第2蓄電装置を充電させるように構成されていることを特徴とする車両。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両において、
前記制御装置は、前記車両システムを起動する際に、前記充電装置により前記第2蓄電装置が充電された場合に、前記第2蓄電装置が劣化しているか否かを判断するように構成され、
前記表示部は、前記制御装置により前記第2蓄電装置が劣化していると判断された場合に、前記第2蓄電装置の検査を促す表示を行うように構成されていることを特徴とする車両。
【請求項4】
請求項3に記載の車両において、
前記制御装置は、前記第2蓄電装置が劣化していると判断した場合に、前記車両システムの起動時間を計測し、計測された起動時間が予め設定された時間を超えた場合に、その後の前記車両システムの起動を禁止するように構成されていることを特徴とする車両。
【請求項5】
請求項3に記載の車両において、
前記制御装置は、前記第2蓄電装置が劣化していると判断した場合に、走行距離を計測し、計測された走行距離が予め設定された距離を超えた場合に、その後の前記車両システムの起動を禁止するように構成されていることを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−90464(P2013−90464A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229485(P2011−229485)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】