説明

車外環境認識装置および車外環境認識方法

【課題】対象物の特定精度を向上する。
【解決手段】
車外環境認識装置130は、複数の色識別子と輝度範囲とを対応付けて保持しておき、車外環境を撮像した画像を取得し、自車両との相対的な位置関係に応じて画像の検出領域を複数の特定領域に分割し(S306)、特定領域毎に色識別子に対応付けられた輝度範囲を再設定し(S308)、検出領域内の複数の対象部位の輝度と対象部位が位置する特定領域に再設定された輝度範囲とに基づいて、対象部位に色識別子を設定し(S310)、水平距離の差分および高さの差分が所定範囲内にある1または複数の対象部位をグループ化する(S312)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両外の環境を認識する車外環境認識装置および車外環境認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両の前方に位置する車両や障害物等の対象物を検出し、検出した対象物との衝突を回避したり(衝突回避制御)、先行車両との車間距離を安全な距離に保つように制御する(クルーズコントロール)技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
こうした技術の多くは、先行車両を追跡して位置情報を更新し、先行車両の移動速度等を計算するように構成されており、この結果が、例えば衝突回避制御やクルーズコントロールなどに用いられる。また、このような制御を円滑に遂行すべく、先行車両以外の車外環境、例えば、信号機や道路標識といった対象物を認識して自車両の走行をサポートしたり、先行車両のブレーキランプを認識して先行車両の急な減速に備えたりしている。
【0004】
上述した対象物は、自車両前方の車外環境を撮像した画像に基づいて特定される。このような車外環境を認識する技術として、例えば、車外のカラー画像を撮像し、同一の輝度(色)を有する、隣接する画素同士をグループ化し、信号機の赤色灯等の光源を対象物として認識する技術が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3349060号
【特許文献2】特開2010−224924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した衝突回避制御やクルーズコントロールを円滑に遂行するためには、例えば、ブレーキランプやウィンカー等の認識を通じて、先行車両の挙動をより詳細に把握する必要がある。また、信号機の赤色・黄色・青色灯等の車外環境を通じて、車両を走行する上で必要な交通情報をより正確に取得する必要もある。
【0007】
例えば、上記ブレーキランプと信号機の赤色灯とは赤色の発光源として輝度が近似しているので、同一の基準(輝度範囲)を用いて抽出している。これは、検出対象を細分化しすぎると、以後の計算負荷が徒に増え、反応時間が遅れる結果を招き、ひいては円滑な衝突回避制御やクルーズコントロールに悪影響を及ぼしかねないからである。
【0008】
しかし、同一の基準により、例えばブレーキランプと信号機の赤色灯とをいずれも抽出するとなると、その判定基準となる輝度範囲を広くとらなくてはならず、本来ブレーキランプや信号機の赤色灯と判定すべきではない対象物を誤判定してしまう可能性が生じる。このような誤判定を回避すべく輝度範囲を狭めると、今度は、抽出すべき複数種類の対象物のうち、抽出できない対象物が生じることとなる。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑み、検出対象の無駄な細分化を回避しつつ、輝度が近似する複数種類の対象物を精度良く識別することが可能な、車外環境認識装置および車外環境認識方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の車外環境認識装置は、複数の色識別子と輝度範囲とを対応付けて保持するデータ保持部と、車外環境を撮像した画像を取得する画像取得部と、自車両との相対的な位置関係に応じて画像の検出領域を複数の特定領域に分割する特定領域分割部と、特定領域毎に色識別子に対応付けられた輝度範囲を再設定する輝度範囲再設定部と、検出領域内の複数の対象部位の輝度と対象部位が位置する特定領域に再設定された輝度範囲とに基づいて、対象部位に色識別子を設定する色識別子設定部と、水平距離の差分および高さの差分が所定範囲内にある1または複数の対象部位をグループ化するグループ化部と、を備える。
【0011】
輝度範囲再設定部は、撮像状態または車外環境に応じて色識別子の輝度範囲を補正してもよい。
【0012】
特定領域は、車両、路面、道路標識、歩行者、移動している立体物、予め定められた高さ範囲、予め定められた相対距離範囲、予め定められた水平距離範囲、画像の水平方向または垂直方向に対して分割した分割範囲の群から選択された1または複数の特定物が占有する領域であってもよい。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の車外環境認識方法は、複数の色識別子と輝度範囲とを対応付けて保持しておき、車外環境を撮像した画像を取得し、自車両との相対的な位置関係に応じて画像の検出領域を複数の特定領域に分割し、特定領域毎に色識別子に対応付けられた輝度範囲を再設定し、検出領域内の複数の対象部位の輝度と対象部位が位置する特定領域に再設定された輝度範囲とに基づいて、対象部位に色識別子を設定し、水平距離の差分および高さの差分が所定範囲内にある1または複数の対象部位をグループ化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、検出対象の無駄な細分化を回避して処理負荷の無駄な増大を防止しつつ、輝度が近似する複数種類の対象物を精度良く識別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】環境認識システムの接続関係を示したブロック図である。
【図2】輝度画像と距離画像を説明するための説明図である。
【図3】車外環境認識装置の概略的な機能を示した機能ブロック図である。
【図4】色識別子テーブルを説明するための説明図である。
【図5】位置情報取得部による三次元の位置情報への変換を説明するための説明図である。
【図6】分割領域と代表距離とを説明するための説明図である。
【図7】分割領域群を説明するための説明図である。
【図8】輝度範囲の補正を説明するための説明図である。
【図9】色識別子マップを説明するための説明図である。
【図10】車外環境認識方法の処理の大まかな流れを示したフローチャートである。
【図11】位置情報取得処理の流れを示したフローチャートである。
【図12】代表距離導出処理の流れを示したフローチャートである。
【図13】分割領域群生成処理の流れを示したフローチャートである。
【図14】特定領域分割処理の流れを示したフローチャートである。
【図15】輝度範囲再設定処理の流れを示したフローチャートである。
【図16】色識別子設定処理の流れを示したフローチャートである。
【図17】グループ化処理の流れを示したフローチャートである。
【図18】特定物決定処理の流れを示したフローチャートである。
【図19】効果を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
(環境認識システム100)
図1は、環境認識システム100の接続関係を示したブロック図である。環境認識システム100は、自車両1内に設けられた、複数(本実施形態では2つ)の撮像装置110と、画像処理装置120と、車外環境認識装置130と、車両制御装置140とを含んで構成される。
【0018】
撮像装置110は、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子を含んで構成され、カラー画像、即ち、画素単位で3つの色相(R(赤)、G(緑)、B(青))の輝度を取得することができる。本実施形態においては、色と輝度とを同等に扱い、同一の文章に両文言が含まれる場合、互いを、色を構成する輝度、または、輝度を有する色と読み替えることができる。ここでは、撮像装置110で撮像されたカラーの画像を輝度画像と呼び、後述する距離画像と区別する。
【0019】
また、撮像装置110は、自車両1の進行方向側において2つの撮像装置110それぞれの光軸が略平行になるように、略水平方向に離隔して配置される。撮像装置110は、自車両1の前方の検出領域に存在する対象物を撮像した画像データを、例えば1/60秒毎(60fps)に連続して生成する。以下の実施形態における各機能部は、このような画像データの更新を契機として各処理を遂行する。ここで、対象物は、車両、信号機、道路、ガードレールといった独立して存在する立体物のみならず、ブレーキランプ(テールランプ)やウィンカー、信号機の各点灯部分等、立体物の部分として特定できる物も含む。
【0020】
画像処理装置120は、2つの撮像装置110それぞれから画像データを取得し、2つの画像データに基づいて、画像中の任意のブロック(所定数の画素を集めたもの)の視差、および、任意のブロックの画面中の位置を示す画面位置を含む視差情報を導出する。画像処理装置120は、一方の画像データから任意に抽出したブロック(例えば水平4画素×垂直4画素の配列)に対応するブロックを他方の画像データから検索する、所謂パターンマッチングを用いて視差を導き出す。ここで、ブロックの説明に用いられた「水平」は、撮像した画像の画面横方向を示し、実空間上の水平方向に相当する。また、「垂直」は、撮像した画像の画面縦方向を示し、実空間上の鉛直方向に相当する。
【0021】
このパターンマッチングとしては、2つの画像データ間において、任意の画像位置を示すブロック単位で輝度値(Y色差信号)を比較することが考えられる。例えば、輝度値の差分をとるSAD(Sum of Absolute Difference)、差分を2乗して用いるSSD(Sum of Squared intensity Difference)や、各画素の輝度値から平均値を引いた分散値の類似度をとるNCC(Normalized Cross Correlation)等の手法がある。画像処理装置120は、このようなブロック単位の視差導出処理を検出領域(例えば600画素×200画素)に映し出されている全てのブロックについて行う。ここでは、ブロックを4画素×4画素としているが、ブロック内の画素数は任意に設定することができる。
【0022】
ただし、画像処理装置120では、検出分解能単位であるブロック毎に視差を導出することはできるが、そのブロックがどのような対象物の一部であるかを認識できない。したがって、視差情報は、対象物単位ではなく、検出領域における検出分解能単位(例えばブロック単位)で独立して導出されることとなる。ここでは、このようにして導出された視差情報(後述する相対距離に相当)を画像データに対応付けた画像を距離画像という。
【0023】
図2は、輝度画像124と距離画像126を説明するための説明図である。例えば、2つの撮像装置110を通じ、検出領域122について図2(a)のような輝度画像(画像データ)124が生成されたとする。ただし、ここでは、理解を容易にするため、2つの輝度画像124の一方のみを模式的に示している。画像処理装置120は、このような輝度画像124からブロック毎の視差を求め、図2(b)のような距離画像126を形成する。距離画像126における各ブロックには、そのブロックの視差が関連付けられている。ここでは、説明の便宜上、視差が導出されたブロックを黒のドットで表している。
【0024】
視差は、画像のエッジ部分(隣り合う画素間で明暗の差分が大きい部分)で特定され易いので、距離画像126において黒のドットが付されている、視差が導出されたブロックは、輝度画像124においてもエッジとなっていることが多い。したがって、図2(a)に示す輝度画像124と図2(b)に示す距離画像126とは各対象物の輪郭について似たものとなる。
【0025】
車外環境認識装置130は、画像処理装置120から輝度画像124と距離画像126とを取得し、輝度画像124に基づく輝度と、距離画像126に基づく自車両1との相対距離を用いて検出領域122における対象物がいずれの特定物に対応するかを特定する。例えば、相対距離等によって先行車両を特定し、さらに、輝度によってその先行車両のブレーキランプを特定することで、ブレーキランプが点灯した車両をより正確に把握することができる。そうすることで、ブレーキランプによる当該車両の減速を迅速に把握し、衝突回避制御やクルーズコントロールに利用することが可能となる。
【0026】
尚、上記相対距離は、距離画像126におけるブロック毎の視差情報を、所謂ステレオ法を用いて三次元の位置情報に変換することで求められる。ここで、ステレオ法は、三角測量法を用いることで、対象物の視差からその対象物の撮像装置110に対する相対距離を導出する方法である。かかる車外環境認識装置130の処理に関しては、後ほど詳述する。
【0027】
車両制御装置140は、車外環境認識装置130で特定された対象物との衝突を回避したり、先行車両との車間距離を安全な距離に保つ制御を実行する。具体的に、車両制御装置140は、操舵の角度を検出する舵角センサ142や自車両1の速度を検出する車速センサ144等を通じて現在の自車両1の走行状態を取得し、アクチュエータ146を制御して先行車両との車間距離を安全な距離に保つ。ここで、アクチュエータ146は、ブレーキ、スロットルバルブ、舵角等を制御するために用いられる車両制御用のアクチュエータである。また、車両制御装置140は、対象物との衝突が想定される場合、運転者の前方に設置されたディスプレイ148にその旨警告表示(報知)を行うと共に、アクチュエータ146を制御して自車両1を自動的に制動する。かかる車両制御装置140は、車外環境認識装置130と一体的に形成することもできる。
【0028】
本実施形態では、上記環境認識システム100を通じて、車両が占有する特定領域(特定物に準じる、検出領域中の一部の領域)を特定し、その特定領域を利用することで、特定物「ブレーキランプ」と特定物「信号機の赤色灯」とを区別する例を挙げる。ただし、本実施形態における「ブレーキランプ」は、ブレーキランプの点灯状態を意図している。上記特定領域や特定物が車両やブレーキランプ、信号機の赤色灯に限定されないのは言うまでもない。
【0029】
(車外環境認識装置130)
図3は、車外環境認識装置130の概略的な機能を示した機能ブロック図である。図3に示すように、車外環境認識装置130は、I/F部150と、データ保持部152と、中央制御部154とを含んで構成される。
【0030】
I/F部150は、画像処理装置120や車両制御装置140との双方向の情報交換を行うためのインターフェースである。かかるI/F部150は画像取得部として機能する。データ保持部152は、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、色識別子テーブル(対応付け)や、以下に示す各機能部の処理に必要な様々な情報を保持し、また、画像処理装置120から受信した輝度画像124、距離画像126を一時的に保持する。ここで、色識別子テーブルは、以下のように利用される。
【0031】
図4は、色識別子テーブル200を説明するための説明図である。色識別子テーブル200では、予め定められた所定数の色を表す輝度範囲202が色識別子204に対応付けられている。例えば、色識別子「1」には、赤色の特定物に相当する輝度範囲、例えば、輝度範囲(R)「80以上」、輝度範囲(G)「40以下」、輝度範囲(B)「40以下」が対応付けられている。同様に、色識別子「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」には、黄色、青緑色、マゼンタ色、橙色、朱色、青色、緑色の特定物に相当する輝度範囲が対応付けられている。ただし、輝度範囲は図4に記載された輝度範囲に限定されず、また、その数も限定されないのは言うまでもない。
【0032】
また、図示はしていないが、色識別子テーブル200における各色識別子には、1または複数の特定物が対応付けられている。例えば、色識別子「1」には赤色の特定物「ブレーキランプ」と特定物「信号機の赤色灯」とが対応付けられる。これは、輝度が近似している特定物同士を同一の基準(輝度範囲)で抽出することで、計算負荷の増加を回避するためである。
【0033】
中央制御部154は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成され、システムバス156を通じて、I/F部150やデータ保持部152を制御する。また、本実施形態において、中央制御部154は、位置情報取得部160、代表距離導出部162、分割領域群生成部164、特定領域分割部166、輝度範囲再設定部168、色識別子設定部170、グループ化部172、特定物決定部174としても機能する。
【0034】
位置情報取得部160は、I/F部150を介して取得した距離画像126における検出領域122内のブロック毎の視差情報を、上述したステレオ法を用いて、水平距離x、高さyおよび相対距離zを含む三次元の位置情報に変換する。ここで、視差情報が、距離画像126における各ブロックの視差を示すのに対し、三次元の位置情報は、実空間における各ブロックの相対距離の情報を示す。また、視差情報が画素単位ではなくブロック単位、即ち複数の画素単位で導出されている場合、その視差情報はブロックに属する全ての画素の視差情報とみなして、画素単位の計算を実行することができる。
【0035】
図5は、位置情報取得部160による三次元の位置情報への変換を説明するための説明図である。位置情報取得部160は、まず、距離画像126を図5の如く画素単位の座標系として認識する。ここでは、図5中、左下隅を原点(0,0)とし、横方向をi座標軸、縦方向をj座標軸とする。したがって、視差dpを有する画素は、画素位置i、jと視差dpによって(i,j,dp)のように表すことができる。
【0036】
本実施形態における実空間上の三次元座標系を、自車両1を中心とした相対座標系で考える。ここでは、自車両1の進行方向右側方をX軸の正方向、自車両1の上方をY軸の正方向、自車両1の進行方向(前方)をZ軸の正方向、2つの撮像装置110の中央を通る鉛直線と道路表面との交点を原点(0,0,0)とする。このとき、道路を平面と仮定すると、道路表面がX−Z平面(y=0)と一致することとなる。位置情報取得部160は、以下の(数式1)〜(数式3)によって距離画像126上のブロック(i,j,dp)を、実空間上の三次元の点(x,y,z)に座標変換する。
x=CD/2+z・PW・(i−IV) …(数式1)
y=CH+z・PW・(j−JV) …(数式2)
z=KS/dp …(数式3)
ここで、CDは撮像装置110同士の間隔(基線長)であり、PWは1画素当たりの視野角であり、CHは撮像装置110の道路表面からの配置高さであり、IV、JVは自車両1の真正面における無限遠点の画像上の座標(画素)であり、KSは距離係数(KS=CD/PW)である。
【0037】
したがって、位置情報取得部160は、ブロックの相対距離と、ブロックと同相対距離にある道路表面上の点とブロックとの距離画像126上の検出距離(例えば画素数)とに基づいて、道路表面からの高さを導出していることとなる。
【0038】
代表距離導出部162は、まず、距離画像126の検出領域122を、水平方向に対して複数の分割領域216に分割する。続いて、代表距離導出部162は、道路表面より上方に位置するブロックを対象に、位置情報に基づいて分割領域毎に、複数に区分した所定距離それぞれに含まれる相対距離を積算してヒストグラムを生成する。そして、代表距離導出部162は、積算した距離分布のピークに相当する代表距離を導出する。ここで、ピークに相当するとは、ピーク値またはピーク近傍で任意の条件を満たす値をいう。
【0039】
図6は、分割領域216と代表距離220とを説明するための説明図である。図5に示したように、距離画像126を水平方向に複数分割すると、分割領域216は図6(a)のような短冊形状になる。このような短冊形状の分割領域216は、本来、例えば、水平幅4画素のものが150列配列して成るが、ここでは、説明の便宜上、検出領域122を16等分したもので説明する。
【0040】
続いて、代表距離導出部162は、各分割領域216において、全てのブロックの相対距離を参照し、ヒストグラム(図6(b)中、横長の四角(バー)で示す)を作成すると、図6(b)のような距離分布218が得られる。ここで、縦方向は、区分した所定距離を、横方向は、区分した所定距離それぞれに相対距離が含まれるブロックの個数を示している。ただし、図6(b)は計算を行う上での仮想的な画面であり、実際には視覚的な画面の生成を伴わない。そして、代表距離導出部162は、このようにして導出された距離分布218を参照し、ピークに相当する相対距離である代表距離(図6(b)中、黒で塗りつぶした四角で示す)220を特定する。
【0041】
分割領域群生成部164は、隣接する分割領域216同士の代表距離220を順次比較し、代表距離220が近接する(例えば、1m以下に位置する)分割領域216をグループ化して1または複数の分割領域群を生成する。このとき、3以上の分割領域216で代表距離220が近接していた場合にも、連続する全ての分割領域216を分割領域群として纏める。
【0042】
図7は、分割領域群222を説明するための説明図である。分割領域群生成部164は、分割領域216同士を比較し、図7に示すように代表距離220をグループ化する(グループ化後の仮想的なグループ224)。かかるグループ化によって、分割領域群生成部164は、道路表面より上方に位置する立体物を特定することができる。また、分割領域群生成部164は、そのグループ化された分割領域群222中における水平方向および鉛直方向の相対距離の推移に基づいて、先行車両の後部、側部、またはガードレール等の道路に沿った構造物等のいずれであるかを認識することが可能となる。
【0043】
特定領域分割部166は、自車両1との相対的な位置関係に応じて先行車両等の特定物を特定し、その特定物の外縁に従って、画像の検出領域を1または複数の特定領域に分割する。特定領域は、外縁を収容する予め定められた様々な形状で表すことができるが、ここでは四角形の枠で表すこととする。具体的に、まず、特定領域分割部166は、分割領域群生成部164が生成した分割領域群222内における、相対距離zが代表距離220に相当するブロックを基点として、そのブロックと、水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分が予め定められた範囲(例えば0.1m)内にあるブロックとを、同一の特定物に対応すると仮定してグループ化する。上記の範囲は実空間上の距離で表され、製造者や搭乗者によって任意の値に設定することができる。また、特定領域分割部166は、グループ化により新たに追加されたブロックに関しても、そのブロックを基点として、水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分が所定範囲内にあるブロックをさらにグループ化する。結果的に、同一の特定物と仮定可能なブロック全てがグループ化されることとなる。
【0044】
また、ここでは、水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分をそれぞれ独立して判定し、全てが所定範囲に含まれる場合のみ同一のグループとしているが、他の計算によることもできる。例えば、水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分の二乗平均√((水平距離xの差分)+(高さyの差分)+(相対距離zの差分))が所定範囲に含まれる場合に同一のグループとしてもよい。かかる計算により、ブロック同士の実空間上の正確な距離を導出することができるので、グループ化精度を高めることができる。
【0045】
続いて、特定領域分割部166は、グループ化したブロック群が予め定められた所定の条件を満たしていれば、その対象物を特定物として決定する。例えば、特定領域分割部166は、グループ化されたブロック群が道路上に位置する場合、そのブロック群全体の大きさが、特定物「車両」の大きさに相当するか否か判定し、特定物「車両」の大きさに相当すると判定されれば、そのブロック群を特定物「車両」と特定する。そして、特定領域分割部166は、特定物「車両」と特定されたブロック群が画面上占有する領域を車両の特定領域として、他の検出領域122と区別する。
【0046】
こうして、車外環境認識装置130では、検出領域122を、例えば車両が占有する特定領域に分割することができ、その情報を様々な処理に用いることが可能となる。例えば、ブレーキランプ、テールランプ、ウィンカー等の対象物は、車両にのみ付属しているので、それらの検出範囲を特定領域にのみ絞り込むことができる。以下では、この特定領域毎に輝度を判定することで、特定物「ブレーキランプ」と特定物「信号機の赤色灯」とを区別する処理を説明する。
【0047】
輝度範囲再設定部168は、特定領域毎に、色識別子テーブル200において色識別子に対応付けられた輝度範囲202を再設定する。ただし、設定を変更する必要のない、即ち、再設定を行わない輝度範囲202についても、ここでは、そのままの値を再設定したとして扱う。
【0048】
例えば、色識別子「1」には、輝度範囲(R)「80以上」、輝度範囲(G)「40以下」、輝度範囲(B)「40以下」が対応付けられている。かかる輝度範囲202を用いることで、特定物「ブレーキランプ」および特定物「信号機の赤色灯」のいずれも一度に抽出することができる。しかし、かかる輝度範囲202を単純に用いてしまうと、ブレーキランプが消灯しているときの赤色のランプカバーや、車体が赤色の車両も色識別子「1」の対象物として抽出されるおそれがある。そこで、車両が占有する特定領域に関しては、色識別子テーブル200で対応付けられた色識別子204の輝度範囲202を再設定した後、輝度を判定する。
【0049】
例えば、特定物「ブレーキランプ」の明るさは法規で概ね規定され、輝度範囲(R)を高くとることができる。したがって、輝度範囲再設定部168は、車両が占有する特定領域に関し、色識別子「1」の輝度範囲202を、例えば、輝度範囲(R)「160以上」、輝度範囲(G)「80以下」、輝度範囲(B)「80以下」に再設定する。そうすると、ブレーキランプが消灯しているときの赤色のランプカバーや、車体の赤色は色識別子「1」の対象から排除され、特定物「ブレーキランプ」のみを適切に抽出することができる。
【0050】
また、輝度範囲再設定部168は、撮像状態や車外環境に応じて各色識別子の輝度範囲202を補正してもよい。ここで、撮像状態は、露光態様や対象物との相対距離を含み、車外環境は、車外周辺の輝度や検出領域122内を照らす照明の色温度(カラーバランス)を含む。
【0051】
上記露光態様は、撮像装置110の露光時間や絞りを示し、輝度範囲再設定部168は、例えば、露光時間が短くなれば、その短くなった比率を輝度範囲202に乗じて輝度範囲202を下げる。同様に、露光時間が長くなれば、その比率を輝度範囲202に乗じて輝度範囲202を上げる。また、輝度範囲再設定部168は、例えば、相対距離が短くなれば、その短くなった比率を輝度範囲202から除して輝度範囲202を上げ、相対距離が長くなれば、その比率を輝度範囲202から除して輝度範囲202を下げる。
【0052】
図8は、輝度範囲202の補正を説明するための説明図である。対象物の輝度は、車外周辺の輝度や検出領域122内を照らす照明の色温度の影響を受ける。例えば、図8(a)のように、日陰は日なたに比べると輝度が低くなり、それに伴って対象物の輝度も低くなる。そこで、輝度範囲再設定部168は、例えば、車外周辺(例えば、道路面)の輝度が低くなれば、その低くなった分輝度範囲202を下げ、車外周辺の輝度が高くなれば、その分輝度範囲202を上げる。また、対象物のカラーバランスは、検出領域122内を照らす照明の影響を受ける。例えば、図8(b)のように、ナトリウムランプやハロゲンランプの光を受けると色温度が比較的高くなり、曇り空だと色温度が比較的低くなる。そこで、輝度範囲再設定部168は、例えば、照明の色温度が低くなれば、その低くなった分輝度範囲202を下げ、照明の色温度が高くなれば、その分輝度範囲202を上げる。
【0053】
ここでは、輝度範囲再設定部168による輝度範囲の補正を個別に説明したが、露光時間、相対距離、車外周辺の輝度、色温度の群から選択される1または複数のパラメータに基づいて重ねて補正を行うことも可能である。こうして、輝度範囲再設定部168は、判定基準である輝度範囲を、対象物の輝度の変化に追従させることができるので、本来の輝度に応じて対象物を特定物に特定することが可能となる。
【0054】
色識別子設定部170は、検出領域内の複数の画素(対象部位)の輝度と画素が位置する特定領域に再設定された輝度範囲とに基づいて、各画素に色識別子を設定する。
【0055】
まず、色識別子設定部170は、I/F部150を介して取得した輝度画像124から、画素単位で輝度(画素単位で3つの色相(R、G、B)の輝度)を取得する。
【0056】
そして、色識別子設定部170は、色識別子テーブル200に登録されている色識別子204を順次選択し、取得した1の画素の輝度が、順次選択した色識別子204の輝度範囲202に含まれるか否か判定する。そして、対象部位の輝度が、いずれかの色識別子204の輝度範囲202に含まれれば、その画素に当該色識別子204を設定して、色識別子マップを作成する。
【0057】
ただし、本実施形態においては、色識別子テーブル200に登録されている色識別子204の輝度範囲202をそのまま用いない場合がある。色識別子設定部170は、画素の位置(特定領域に含まれるか否か、また、いずれの特定領域であるか)や撮像状態、車外環境に応じ、輝度範囲再設定部168によって輝度範囲202が再設定されている場合、その再設定された輝度範囲202に基づいて画素の輝度を判定する。
【0058】
色識別子設定部170は、このような対象部位それぞれの輝度と色識別子テーブル200に登録されている複数の色識別子204の輝度範囲202との一連の比較を、複数の画素毎に順次実行する。ここで、色識別子204の選択順は「1」、「2」…といったように昇順である。このような選択順に従って比較した結果、画素の輝度が序数の低い色識別子204の輝度範囲202に含まれていると判定された場合、それより序数の高い色識別子204に関する比較処理は最早行われない。したがって、1の画素に関して2以上の色識別子204が付されることはない。これは、複数の特定物が空間上で重なり合うことはないので、色識別子設定部170によって一旦任意の色識別子204が設定された対象物は、最早、他の色識別子204であるか否かを判定する必要がないという理由に基づく。このように画素を排他的に取り扱うことによって、既に色識別子204が設定された画素の重複した設定処理を回避することができ、処理負荷を軽減することが可能となる。
【0059】
図9は、色識別子マップ210を説明するための説明図である。色識別子マップ210は、輝度画像124に色識別子204を重ねたものである。したがって、特定物に相当する対象物の位置に、色識別子204が纏まって設定される。
【0060】
色識別子マップ210中の部分マップ210aに着目する。かかる部分マップ210aの位置は、車両の特定領域214には含まれていない。したがって、部分マップ210a内の画素の輝度が、色識別子テーブル200における色識別子「1」の輝度範囲202と比較され、信号機の赤色灯に相当する複数の画素群212に色識別子「1」が対応付けられる。
【0061】
続いて、色識別子マップ210中の部分マップ210bに着目する。かかる部分マップ210bの位置は、車両の特定領域214に含まれている。したがって、部分マップ210b内の画素の輝度が、特定領域214に基づいて再設定された輝度範囲202と比較され、車両のブレーキランプに相当する複数の画素群212に色識別子「1」が対応付けられる。
【0062】
次に、色識別子マップ210中の部分マップ210cに着目する。かかる部分マップ210cの位置も部分マップ210b同様、車両の特定領域214に含まれている。ただし、部分マップ210cでは、部分マップ210bと異なり、車両のブレーキランプが点灯していないとする。ここでも、部分マップ210c内の画素が、特定領域214に基づいて再設定された輝度範囲202と比較される。しかし、再設定された輝度範囲202は、色識別子テーブル200に登録された輝度範囲202より輝度が高いので、部分マップ210c内の画素がその輝度範囲202に含まれると判定されることはない。車両のブレーキランプに相当する複数の画素群212には、色識別子「1」ではなく、例えば、朱色の特定物に相当する色識別子「6」が対応付けられる。図9では、輝度画像124の複数の画素に色識別子が付された図を提示しているが、かかる表現は理解を容易にするための概念的なものであり、実際には対象部位にデータとして色識別子204が登録されている。
【0063】
グループ化部172は、任意の画素(対象部位)を基点として、その画素と、水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分が予め定められた範囲(例えば0.1m)内にある画素とを、同一の特定物に対応すると仮定してグループ化する。上記の範囲は実空間上の距離で表され、製造者や搭乗者によって任意の値に設定することができる。また、グループ化部172は、グループ化により新たに追加された画素に関しても、その画素を基点として、水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分が所定範囲内にある画素をさらにグループ化する。結果的に、同一の特定物と仮定可能な画素全てがグループ化されることとなる。
【0064】
また、ここでも、水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分をそれぞれ独立して判定し、全てが所定範囲に含まれる場合のみ同一のグループとしているが、他の計算によることもできる。例えば、水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分の二乗平均√((水平距離xの差分)+(高さyの差分)+(相対距離zの差分))が所定範囲に含まれる場合に同一のグループとしてもよい。
【0065】
特定物決定部174は、グループ化部172がグループ化した対象物(画素群)が予め定められた条件を満たしていれば、その対象物を特定物として決定する。例えば、特定物決定部174は、対象物の大きさ(対象物の水平距離xの幅および高さyの幅のいずれも)が、特定物に対応付けられた幅範囲に含まれていれば、その対象物を対象となる特定物として決定することとする。また、対象物の水平距離xの幅および高さyの幅それぞれについて幅範囲を設定してもよい。ここでは、対象物が、特定物とみなすのに妥当な大きさであることを確認している。したがって、幅範囲に含まれない場合、当該環境認識処理に不要な情報として除外することができる。例えば、図9の部分マップ210bにおける対象物(画素群212)の大きさは、特定物「ブレーキランプ」の幅範囲、例えば「0.05〜0.2m」に含まれるため、適切に特定物「ブレーキランプ」と特定される。
【0066】
こうして、車外環境認識装置130では、輝度画像124から、1または複数の対象物を、特定物として抽出することができ、その情報を様々な制御に用いることが可能となる。例えば、特定物「ブレーキランプ」を抽出することで、そこに自車両1と共に走行している先行車両があり、かつ、その先行車両が減速していることを把握することができる。また、特定物「信号機の赤色灯」を抽出することで、その対象物が、移動を伴わない固定された物であることが把握されると共に、その対象物が自車線に関する信号機であれば、自車両1は、停止または減速すべきであることを把握することができる。
【0067】
(車外環境認識方法)
以下、車外環境認識装置130の具体的な処理を図10〜図18のフローチャートに基づいて説明する。図10は、画像処理装置120から輝度画像124および距離画像126が送信されたときの割込処理に関する全体的な流れを示し、図11〜図18は、その中の個別のサブルーチンを示している。また、ここでは、処理の対象部位としてブロックまたは画素を挙げており、輝度画像124や距離画像126の左下隅を原点とし、ブロックでは、画像水平方向に1〜150ブロック、垂直方向に1〜50ブロックの範囲で、画素では、画像水平方向に1〜600画素、垂直方向に1〜200画素の範囲で当該車外環境認識方法による処理を遂行する。また、ここでは、対象となる色識別子204を8つと仮定する。
【0068】
図10に示すように、当該車外環境認識方法による割込が発生すると、検出領域122内のブロック毎の視差情報が三次元の位置情報として取得され(S300)、分割領域216毎の代表距離220が導出される(S302)。続いて、分割領域216がグループ化されて分割領域群222が生成され(S304)、その分割領域群222内でブロックのグループ化が図られ、グループ化した特定物に従い検出領域が特定領域に分割される(S306)。このように分割された特定領域に関して輝度範囲が再設定され(S308)、再設定された輝度範囲に基づいて、輝度画像124の画素に色識別子が設定される(S310)。そして、色識別子がグループ化され(S312)、グループ化された対象物が予め定められた条件を満たすと特定物として特定される(S314)。以下、上記の処理を具体的に説明する。
【0069】
(位置情報取得処理S300)
図11を参照すると、位置情報取得部160は、ブロックを特定するための垂直変数jを初期化(「0」を代入)する(S400)。続いて、位置情報取得部160は、垂直変数jに「1」を加算すると共に水平変数iを初期化(「0」を代入)する(S402)。次に、位置情報取得部160は、水平変数iに「1」を加算する(S404)。
【0070】
位置情報取得部160は、距離画像126のブロック(i,j,dp)から視差情報dpを取得する(S406)。そして、位置情報取得部160は、視差情報dpを含むブロック(i,j,dp)を、上記数式1〜3を用い、実空間上の点(x,y,z)に座標変換して、ブロック(i,j,dp,x,y,z)とする(S408)。
【0071】
続いて、位置情報取得部160は、水平変数iが水平ブロックの最大値である150を超えたか否か判定し(S410)、水平変数iが最大値を超えていなければ(S410におけるNO)、ステップS404の水平変数iのインクリメント処理からを繰り返す。また、水平変数iが最大値を超えていれば(S410にけるYES)、位置情報取得部160は、垂直変数jが垂直ブロックの最大値である50を超えたか否か判定する(S412)。そして、垂直変数jが最大値を超えていなければ(S412におけるNO)、ステップS402の垂直変数jのインクリメント処理からを繰り返す。また、垂直変数jが最大値を超えていれば(S412におけるYES)、当該位置情報取得処理S300を終了する。こうして、距離画像126の視差情報dpが三次元の位置情報に変換される。
【0072】
(代表距離導出処理S302)
図12を参照すると、代表距離導出部162は、道路形状パラメータを読み込み(S450)、検出領域122を、水平方向に対して例えば4画素単位で150個の分割領域216に分割する(S452)。次に、代表距離導出部162は、分割した150個の分割領域216から1の分割領域216を、例えば水平方向左側から順次抽出して、その分割領域216内に存在する任意のブロック(i,j,dp,x,y,z)を設定する(S454)。
【0073】
代表距離導出部162は、ブロックの実空間上の座標zにおける道路表面の高さyrを算出し(S456)、ブロックの実空間上の座標yが道路表面の高さyr以上となるブロックであれば、所定距離間隔で区分したヒストグラムにその相対距離を積算(投票)する(S458)。ここで、ブロックの実空間上の座標yが道路表面の高さyr以上であったとしても、道路表面から高さ0.1m以下のブロックは、道路上の白線や汚れ、影等であるとみなして処理対象から除外する。また、自車両1の高さより上方に位置するブロックも、歩道橋や標識等であるとみなして処理対象から除外する。
【0074】
代表距離導出部162は、抽出された1の分割領域216内のブロック全てに関し、当該ヒストグラムへの積算処理を遂行したか判定する(S460)。ここで、ブロック全てが完了していなければ(S460におけるNO)、ヒストグラムへの積算処理を遂行していないブロックに関して設定処理S454からを繰り返す。
【0075】
ブロック全てが完了していれば(S460におけるYES)、代表距離導出部162は、このようにして生成されたヒストグラムを参照し、ヒストグラムの度数(相対距離の個数)が所定の閾値(適宜設定される)以上となる区間が存在したら当該分割領域216には立体物が存在すると判定する。そして、代表距離導出部162は、ピークに相当する相対距離を代表距離220とする(S462)。
【0076】
そして、代表距離導出部162は、複数の分割領域216全てに関して、当該代表距離220の導出処理を遂行したか判定する(S464)。ここで、分割領域216全てが完了していると判定されなければ(S464におけるNO)、新たな分割領域216を設定し(S466)、新たな分割領域216に関してブロックの設定処理S454からを繰り返す。一方、代表距離220の導出処理が全て完了していれば(S464におけるYES)、当該代表距離導出処理S302を終了する。
【0077】
(分割領域群生成処理S304)
図13を参照すると、分割領域群生成部164は、複数の分割領域216から任意の分割領域216を、例えば水平方向左側から順次特定し、その任意の分割領域216の水平方向右側に隣接する分割領域216も特定する(S500)。そして、分割領域群生成部164は、両分割領域216に代表距離220が存在するか否か判定する(S502)。ここで、両分割領域216に代表距離220が存在していなければ(S502におけるNO)、分割領域の完了判定ステップS508に処理を移す。一方、両分割領域216に代表距離220が存在していれば(S502におけるYES)、両分割領域216の代表距離220同士を比較する(S504)。
【0078】
ここで、両代表距離220の差分が予め定められた閾値(同一の立体物とみなせる値)以下であれば、両代表距離220は近接しているとみなされ、分割領域群生成部164は、分割領域216同士をグループ化して分割領域群222とする(S506)。このとき、一方の分割領域216が既に分割領域群222として設定されている場合、他方の分割領域216は、その分割領域群222に統合される。
【0079】
そして、分割領域群生成部164は、複数の分割領域216全てに関して、当該分割領域群222の生成処理S502、S504、S506を遂行したか判定する(S508)。ここで、全てが完了していなければ(S508におけるNO)、新たな分割領域216を設定し(S510)、新たな分割領域216に関して特定処理S500からを繰り返す。一方、分割領域群222の生成処理が全て完了していれば(S508におけるYES)、当該分割領域群生成処理S304を終了する。
【0080】
(特定領域分割処理S306)
図14を参照すると、特定領域分割部166は、グループ化された複数の分割領域群222から1の分割領域群222を、例えば水平方向左側から順次抽出して、その分割領域群222内に存在する任意のブロック(i,j,dp,x,y,z)を設定する(S550)。
【0081】
特定領域分割部166は、設定されたブロック(i,j,dp,x,y,z)と、分割領域群222内における、相対距離zが代表距離220に相当するブロックとを比較し、水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分が予め定められた範囲(例えば0.1m)内にあるか否か判定する(S552)。予め定められた範囲内にある場合(S552におけるYES)、そのブロックを、同一の特定物に対応すると仮定してグループ化する(S554)。予め定められた範囲内にない場合(S552におけるNO)、ブロックの完了判定ステップS556に処理を移す。
【0082】
特定領域分割部166は、抽出された1の分割領域群222内のブロック全てに関し、当該グループ化処理を遂行したか判定する(S556)。ここで、ブロック全てのグループ化処理が完了していなければ(S556におけるNO)、グループ化処理を遂行していないブロックに関して設定処理S550からを繰り返す。
【0083】
ブロック全てのグループ化処理が完了していれば(S556におけるYES)、特定物決定部174は、このようにしてグループ化されたブロック群全体の大きさが、特定物「車両」の大きさに相当するか否か判定する(S558)。特定物「車両」の大きさに相当すると判定されれば(S558におけるYES)、そのブロック群を特定物「車両」と特定する(S560)。特定物「車両」の大きさに相当すると判定されなければ(S558におけるNO)、分割領域群222の完了判定ステップS562に処理を移す。
【0084】
そして、特定領域分割部166は、複数の分割領域群222全てに関して、当該特定物決定判定S558、S560を遂行したか判定する(S562)。ここで、分割領域群222全てが完了していると判定されなければ(S562におけるNO)、新たな分割領域群222を設定し(S564)、新たな分割領域群222に関してブロックの設定処理S550からを繰り返す。一方、特定物決定判定S558、S560が全て完了していれば(S562におけるYES)、当該特定領域分割処理S306を終了する。
【0085】
上記グループ化においては、さらに、複数のグループに対して相互の位置関係が判定される。例えば、同種類の立体物のグループ間で、端点の位置が接近し、かつ、立体物中における水平方向および鉛直方向の相対距離の推移がほぼ等しい(連続する)場合には、同一立体物の同一の面であると判断されて、それらのグループが一つのグループに統合される。このとき立体物中における水平方向および鉛直方向の相対距離の推移は、ハフ変換あるいは最小二乗法による近似直線によって特定することができる。また、先行車両であれば、z座標に対する相対移動速度が等しいことによっても複数のグループを一つのグループに統合することができる。
【0086】
また、ここまでの処理がブロック単位で行われている場合、そのブロック内全ての画素に同一の情報を設定することで画素単位に変更する。
【0087】
(輝度範囲再設定処理S308)
図15を参照すると、輝度範囲再設定部168は、検出領域122内に特定領域が含まれるか否か判定する(S600)。特定領域が含まれていれば(S600におけるYES)、輝度範囲再設定部168は、特定領域が示す特定物に基づいて輝度範囲202を再設定する(S602)。そして、輝度範囲再設定部168は、特定領域全てに関して、当該再設定処理S602を遂行したか判定する(S604)。ここで、特定領域全てが完了していると判定されなければ(S604におけるNO)、新たな特定領域を設定し(S606)、新たな特定領域に関して再設定処理S602からを繰り返す。一方、特定領域が全て完了していれば(S604におけるYES)、露光時間判定ステップS608に処理を移す。また、検出領域122内に特定領域が含まれていない場合も(S600におけるNO)、露光時間判定ステップS608に処理を移す。
【0088】
続いて、輝度範囲再設定部168は、撮像装置110の露光時間が変更されたか否か判定する(S608)。露光時間が変更されていれば(S608におけるYES)、その比率に基づいて輝度範囲202を補正し(S610)、露光時間が変更されていなければ(S608におけるNO)、相対距離判定ステップS612に処理を移す。
【0089】
次に、輝度範囲再設定部168は、対象物の相対距離が変更されたか否か判定する(S612)。相対距離が変更されていれば(S612におけるYES)、その比率に基づいて輝度範囲202を補正し(S614)、相対距離が変更されていなければ(S612におけるNO)、周辺輝度判定ステップS616に処理を移す。
【0090】
続いて、輝度範囲再設定部168は、車外周辺の輝度が変わったか否か判定する(S616)。輝度が変わっていれば(S616におけるYES)、変化後の輝度に基づいて輝度範囲202を補正し(S618)、輝度が変わっていなければ(S616におけるNO)、照明色温度判定ステップS620に処理を移す。
【0091】
次に、輝度範囲再設定部168は、照明の色温度が変わったか否か判定する(S620)。色温度が変わっていれば(S620におけるYES)、変化後の色温度に基づいて輝度範囲202を補正し(S622)、色温度が変わっていなければ(S620におけるNO)、当該輝度範囲再設定処理S308を終了する。
【0092】
(色識別子設定処理S310)
図16を参照すると、色識別子設定部170は、画素を特定するための垂直変数jを初期化(「0」を代入)する(S650)。続いて、色識別子設定部170は、垂直変数jに「1」を加算(インクリメント)すると共に水平変数iを初期化(「0」を代入)する(S652)。次に、色識別子設定部170は、水平変数iに「1」を加算し、色識別子変数mを初期化(「0」を代入)する(S654)。ここで、水平変数iや垂直変数jを設けているのは、600×200の画素全てに対して当該識別子設定成処理を実行するためであり、色識別子変数mを設けているのは、画素毎に8つの色識別子204を順次比較するためである。
【0093】
色識別子設定部170は、輝度画像124から対象部位としての画素(i,j,br)の輝度brを取得し(S656)、色識別子変数mに「1」を加算し(S658)、画素(i,j,br)の位置に応じて、色識別子(m)の輝度範囲202、または、再設定された輝度範囲202を取得し(S660)、画素(i,j,br)の輝度brが色識別子(m)の輝度範囲202に含まれるか否か判定する(S662)。
【0094】
画素の輝度brが色識別子(m)の輝度範囲202に含まれていれば(S662におけるYES)、色識別子設定部170は、その画素に色識別子(m)を示す識別番号pを対応付けて、画素(i,j,br,p)とする(S664)。こうして、輝度画像124中の各画素に識別番号が付された色識別子マップ210が生成される。また、画素(i,j,br)の輝度brが色識別子(m)の輝度範囲202に含まれていなければ(S662におけるNO)、色識別子変数mが最大数である8を超えたか否か判定する(S666)。ここで、色識別子変数mが最大値を超えていなければ(S666におけるNO)、ステップS658の色識別子変数mのインクリメント処理からを繰り返す。また、色識別子変数mが最大値を超えていれば(S666におけるYES)、当該画素(i,j,br)に対応する色識別子204は存在しないとして、水平画素判定ステップS668に処理が移される。
【0095】
続いて、色識別子設定部170は、水平変数iが水平画素の最大値である600を超えたか否か判定し(S668)、水平変数iが最大値を超えていなければ(S668におけるNO)、ステップS654の水平変数iのインクリメント処理からを繰り返す。また、水平変数iが最大値を超えていれば(S668におけるYES)、色識別子設定部170は、垂直変数jが垂直画素の最大値である200を超えたか否か判定する(S670)。そして、垂直変数jが最大値を超えていなければ(S670におけるNO)、ステップS652の垂直変数jのインクリメント処理からを繰り返す。また、垂直変数jが最大値を超えていれば(S670におけるYES)、当該色識別子設定処理S310を終了する。
【0096】
(グループ化処理S312)
図17を参照すると、グループ化部172は、画素をグループ化するための所定範囲(例えば0.1m)を参照し(S700)、画素を特定するための垂直変数jを初期化(「0」を代入)する(S702)。続いて、グループ化部172は、垂直変数jに「1」を加算すると共に水平変数iを初期化(「0」を代入)する(S704)。次に、グループ化部172は、水平変数iに「1」を加算する(S706)。
【0097】
グループ化部172は、輝度画像124から視差情報dpを含む画素(i,j,br,p,dp)を取得し、視差情報dpを含む画素(i,j,br,p,dp)を実空間上の点(x,y,z)に座標変換して、画素(i,j,br,p,dp,x,y,z)とする(S708)。そして、その画素(i,j,br,p,dp,x,y,z)に有効な(0ではない)色識別子pが存在し、かつ、グループ番号gがまだ付されていないか否か判定する(S710)。ここで、有効な色識別子pが存在し、かつ、グループ番号gがまだ付されていなければ(S710におけるYES)、グループ化部172は、その画素の実空間上の座標(x,y,z)から所定範囲内に、その色識別子pが設定された他の1または複数の画素が存在し、かつ、その画素にグループ番号gがまだ付されていないか否か判定する(S712)。
【0098】
色識別子pが設定された1または複数の他の画素(i,j,br,p,dp,x,y,z)が存在し、その画素にグループ番号gがまだ付されていなければ(S712におけるYES)、グループ番号としてまだ利用されていない番号のうち最も小さい値を、自己を含む所定範囲内の全ての画素に新規に付与する(S714)。ここでは、既に他の対象物としてグループ化されている画素については、グループ化処理の対象外とし、グループ化を実行しない。
【0099】
このように、所定範囲内に色識別子が等しい画素が複数存在する場合、1のグループ番号gを付すことによってグループ化を行う。このとき、グループ番号としてまだ利用されていない番号のうち最も小さい値を採用しているのは、グループの採番において可能な限り欠番を出さないようにするためである。こうすることで、グループ番号gの最大値が無用に大きくなることがなくなり、処理負荷を軽減することが可能となる。
【0100】
色識別子pが有効な値ではない(0である)、もしくは、有効な値ではあるがグループ番号gが既に付与されている場合(S710におけるNO)、色識別子の等しい他の画素が存在しない、もしくは、存在するがその画素全てにグループ番号gが既に付与されている場合(S712におけるNO)、水平変数判定ステップS716に処理が移される。
【0101】
続いて、グループ化部172は、水平変数iが水平画素の最大値である600を超えたか否か判定し(S716)、水平変数iが最大値を超えていなければ(S716におけるNO)、ステップS706の水平変数iのインクリメント処理からを繰り返す。また、水平変数iが最大値を超えていれば(S716におけるYES)、グループ化部172は、垂直変数jが垂直画素の最大値である200を超えたか否か判定する(S718)。そして、垂直変数jが最大値を超えていなければ(S718におけるNO)、ステップS704の垂直変数jのインクリメント処理からを繰り返す。また、垂直変数jが最大値を超えていれば(S718におけるYES)、当該グループ化処理S312を終了する。
【0102】
(特定物決定処理S314)
図18を参照すると、特定物決定部174は、グループを特定するためのグループ変数kを初期化(「0」を代入)する(S752)。続いて、特定物決定部174は、グループ変数kに「1」を加算する(S754)。
【0103】
特定物決定部174は、輝度画像124からグループ番号gがグループ変数kである対象物が存在するか否か判定し(S756)、存在すれば(S756におけるYES)、そのグループ番号gが付された対象物の大きさを計算する(S758)。このとき対象物の大きさは、対象物の画面左端に位置する画素と画面右端に位置する画素間の水平距離(差分)である水平方向成分および対象物の画面上端に位置する画素と画面下端に位置する画素間の高さ(差分)である垂直方向成分によって特定される。そして、計算した大きさが、グループ番号gがグループ変数kである対象物に対応付けられた色識別子pで示される特定物の幅範囲に含まれるか否か判定する(S760)。例えば、対象物の大きさの水平方向成分が、色識別子pで示される特定物の幅範囲以内であり、かつ、対象物の大きさの垂直方向成分が、色識別子pで示される特定物の幅範囲以内であれば、対象物は、色識別子pで示される特定物の幅範囲に含まれると判定できる。
【0104】
大きさが色識別子pで示される特定物の幅範囲に含まれていれば(S760におけるYES)、特定物決定部174は、その対象物を特定物として決定する(S762)。大きさが色識別子pで示される特定物の幅範囲に含まれていない(S760におけるNO)、または、グループ番号gがグループ変数kである対象物が存在しない場合(S756におけるNO)、グループ変数判定ステップS764に処理が移される。
【0105】
続いて、特定物決定部174は、グループ変数kが、グループ化処理において設定されたグループ番号の最大値を超えたか否か判定する(S764)。そして、グループ変数kが最大値を超えていなければ(S764におけるNO)、ステップS754のグループ変数kのインクリメント処理からを繰り返す。また、グループ変数kが最大値を超えていれば(S764におけるYES)、当該特定物決定処理S314を終了する。こうして、グループ化された対象物が正式に特定物として決定される。
【0106】
以上、説明したような、車外環境認識装置130や車外環境認識方法によれば、検出対象の無駄な細分化を回避して処理負荷の徒な増大を防止しつつ、輝度が近似する複数種類の対象物を精度良く識別することが可能となる。
【0107】
また、コンピュータを、車外環境認識装置130として機能させるプログラムや当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
【0108】
(本実施形態の効果)
図19は、本実施形態の効果を説明するための説明図である。ここでは、図19に従って、上述した車外環境認識装置130や車外環境認識方法による効果を確認する。自車両1の走行中に図19(a)のような輝度画像124を取得したとする。ここで、本実施形態を適用していない状態で、特定物「ブレーキランプ」と特定物「信号機の赤色灯」とを特定しようと試みたところ、図19(b)のように、色識別子「1」の輝度範囲202を満たす画素が抽出された。しかし、かかる図19(b)では、特定物「ブレーキランプ」や特定物「信号機の赤色灯」の発光源230の他に、ブレーキランプは点灯していないが赤色を有するランプカバー232も誤って抽出されてしまう。
【0109】
このとき、露光時間を一律に短くすると、点灯していないブレーキランプのランプカバー232の輝度が色識別子「1」の輝度範囲202を満たさなくなるので、点灯していないブレーキランプのランプカバー232を排除可能となるが、同時に、信号機の赤色灯も排除することになる。これは、信号機の赤色灯が遠くに位置しているので輝度が低くなり、点灯していないブレーキランプと区別がつかなくなっていることに起因している。
【0110】
しかし、図19(c)に示した車両として抽出した特定領域234上では、ブレーキランプの点灯と非点灯を明確に区別することができるので、本実施形態では、特定領域234に対して所定の判定基準を設け、点灯しているブレーキランプとその他を明確に区別する。すると、図19(d)の如く、色識別子「1」の輝度範囲202を満たす特定物が発光源230に絞られ、ブレーキランプや信号機の赤色灯が衝突回避制御やクルーズコントロールに適切に用いられることとなる。
【0111】
(変形例)
上述した実施形態では、先行車両が占有する領域を特定領域として設定した。したがって、上述したブレーキランプの他、車両に付属するテールランプ、ウィンカー、ナンバープレート等に関しても再設定した輝度範囲を通じて、通常と異なる判定を実現することができる。
【0112】
また、特定領域は車両が占有する領域に限らず、車両同様、下記の領域も特定領域として設定することができ、その特定領域に存在する下記(1)〜(9)の特定物の判定を行うことができる。
(1)特定領域:道路との輝度変化から抽出された車線の三次元座標に基づいて特定されたX−Z(y=0)平面(路面)が占有する領域、特定物:路面上の白線、横断歩道、道路標示。
(2)特定領域:道路標識が占有する領域、特定物:道路標識における、文字、数値、マーク、その他の指標。
(3)特定領域:歩行者(人)が占有する領域、特定物:歩行者が装着している対象物。
(4)特定領域:移動している立体物が占有する領域、特定物:移動している立体物に設けられていることが予め把握されている対象物。
(5)特定領域:実空間上で予め定められた道路表面からの高さ範囲が占有する領域、特定物:信号機、道路標識、歩道橋。
(6)特定領域:実空間上で予め定められた相対距離範囲が占有する領域、特定物:先行車両。
(7)特定領域:実空間上で予め定められた水平距離範囲が占有する領域、特定物:道路標識、ガードレール、障害物。
(8)特定領域:画像上の無限遠点(消失点)を基準とした、画像の水平方向または垂直方向に対して分割した分割範囲(例えば、画像上、無限遠点より上方の領域や下方の領域)、特定物:無限遠点より上方であれば信号機、道路標識、歩道橋、無限遠点より下方であれば、先行車両、道路標識、ガードレール、障害物。
(9)特定領域:上述したような特定物を画像処理を通じて追尾しているときに、当該特定物をロストした場合において、そのロストした画像上の位置を基準とした、画像の水平方向または垂直方向に対して分割した分割範囲(基準を中心とした範囲もしくは基準より上下左右の範囲)が占有する領域、特定物:追尾においてロストした特定物。
【0113】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0114】
例えば、上述した実施形態においては、対象物の三次元位置を複数の撮像装置110を用い画像データ間の視差に基づいて導出しているが、かかる場合に限られず、例えば、レーザレーダ測距装置等、既知の様々な距離測定装置を用いることができる。ここで、レーザレーダ測距装置は、検出領域122にレーザビームを投射し、このレーザビームが物体に当たって反射してくる光を受光し、この所要時間から物体までの距離を測定するものである。
【0115】
また、上述した実施形態においては、距離画像126を用いて、ブロックの相対距離を求めているが、対象物の画面上の配置や大きさにより、特定物をある程度特定できる場合、単眼の撮像装置110によって本実施形態を実現することも可能である。また、オプティカルフローにより、動きベクトルを導出することでも特定物を特定することができる。
【0116】
また、上述した実施形態においては、撮像装置110がカラー画像を取得することを前提としているが、かかる場合に限られず、モノクロ画像を取得することでも本実施形態を遂行することができる。この場合、色識別子テーブル200が単色の輝度で定義されることとなる。
【0117】
また、上述した実施形態では、位置情報取得部160が、画像処理装置120から距離画像(視差情報)126を受けて三次元の位置情報を生成している例を挙げている。しかし、かかる場合に限られず、画像処理装置120において予め三次元の位置情報を生成し、位置情報取得部160は、その生成された三次元の位置情報を取得するとしてもよい。このように、機能分散を図ることで、車外環境認識装置130の処理負荷を軽減することが可能となる。
【0118】
また、上述した実施形態においては、位置情報取得部160、代表距離導出部162、分割領域群生成部164、特定領域分割部166、輝度範囲再設定部168、色識別子設定部170、グループ化部172、特定物決定部174は中央制御部154によってソフトウェアで動作するように構成している。しかし、上記の機能部をハードウェアによって構成することも可能である。
【0119】
なお、本明細書の車外環境認識方法の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、自車両外の環境を認識する車外環境認識装置および車外環境認識方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0121】
1 …自車両
110 …撮像装置
122 …検出領域
124 …輝度画像
126 …距離画像
130 …車外環境認識装置
160 …位置情報取得部
162 …代表距離導出部
164 …分割領域群生成部
166 …特定領域分割部
168 …輝度範囲再設定部
170 …色識別子設定部
172 …グループ化部
174 …特定物決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色識別子と輝度範囲とを対応付けて保持するデータ保持部と、
車外環境を撮像した画像を取得する画像取得部と、
自車両との相対的な位置関係に応じて前記画像の検出領域を複数の特定領域に分割する特定領域分割部と、
前記特定領域毎に前記色識別子に対応付けられた輝度範囲を再設定する輝度範囲再設定部と、
前記検出領域内の複数の対象部位の輝度と該対象部位が位置する特定領域に再設定された輝度範囲とに基づいて、該対象部位に前記色識別子を設定する色識別子設定部と、
水平距離の差分および高さの差分が所定範囲内にある1または複数の対象部位をグループ化するグループ化部と、
を備えることを特徴とする車外環境認識装置。
【請求項2】
前記輝度範囲再設定部は、撮像状態または車外環境に応じて前記色識別子の輝度範囲を補正することを特徴とする請求項1に記載の車外環境認識装置。
【請求項3】
前記特定領域は、車両、路面、道路標識、歩行者、移動している立体物、予め定められた高さ範囲、予め定められた相対距離範囲、予め定められた水平距離範囲、画像の水平方向または垂直方向に対して分割した分割範囲の群から選択された1または複数の特定物が占有する領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の車外環境認識装置。
【請求項4】
複数の色識別子と輝度範囲とを対応付けて保持しておき、
車外環境を撮像した画像を取得し、
自車両との相対的な位置関係に応じて前記画像の検出領域を複数の特定領域に分割し、
前記特定領域毎に前記色識別子に対応付けられた輝度範囲を再設定し、
前記検出領域内の複数の対象部位の輝度と該対象部位が位置する特定領域に再設定された輝度範囲とに基づいて、該対象部位に前記色識別子を設定し、
水平距離の差分および高さの差分が所定範囲内にある1または複数の対象部位をグループ化することを特徴とする車外環境認識方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図8】
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【図9】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−109457(P2013−109457A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252427(P2011−252427)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】