説明

車室用収納構造

【課題】導光部材や発光体の設置位置を容易に変更できるようにするとともに、導光部材の汚れを防止できるようにする。
【解決手段】車室用収納構造1は、車室に設けられる内装部材2と、内装部材2の表面3に形成された二つの収納凹部4,5と、収納凹部4,5にそれぞれ形成された二つの照明窓10,11と、内装部材2の裏面12に取り付けられた取付部22と、内装部材2の裏側に配置され、取付部22に組み付けられた発光体24と、内装部材2の裏側に配置され、取付部22に組み付けられ、発光体24の光を照明窓10,11に導光する導光部材23と、を備え、取付部22、発光体24及び導光部材23がユニット化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室用収納構造に関し、特に飲料容器等が収納される収納凹部を照明する車室用収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、自動車の車室内には、カップホルダが設置されている。車室が暗い場合には、カップホルダを視認し難くなるので、カップホルダを照明する必要がある。例えば、特許文献1には、二つのカップホルダ(11A,11B)を照明する構造が記載されている。即ち、この構造は、一つの発光体(6)に一対の導光部材(5,5)を組み合わせて、発光体(6)から発した光を導光部材(5,5)によってカップホルダ(11A,11B)に導光するものである。
【特許文献1】特開2006−69356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来の構造では、導光部材(5,5)と発光体(6)は別々にカップホルダ(11A,11B)の本体(1)の裏側に組み付けられている。また、導光部材(5,5)を設置するために、導光部材(5,5)を型取った型枠(4)が設けられ、その型枠(4)に導光部材(5,5)が嵌め込まれている。
そのため、本体(1)の形状を設計変更したら、導光部材(5,5)及び発光体(6)の設置位置や導光部材(5,5)の形状も設計変更する必要に迫られる。導光部材(5,5)によって光を漏れなく導く必要があるため、導光部材(5,5)の形状の設計変更は難しい。
また、導光部材(5,5)が型枠(4)に嵌め込まれているため、その部分に飲料等が浸入した場合には、導光部材(5,5)が飲料等によって汚れてしまう。
そこで、本発明の課題は、導光部材の形状の設計変更を行わずとも導光部材や発光体の設置位置を容易に変更できるようにすること、導光部材の汚れを防止できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するため、請求項1に係る発明によれば、
車室に設けられる内装部材と、
前記内装部材の表面に形成された二つの収納凹部と、
前記二つの収納凹部にそれぞれ形成された二つの照明窓と、
前記内装部材の裏面に取り付けられた取付部と、
前記内装部材の裏側に配置され、前記取付部に組み付けられた発光体と、
前記内装部材の裏側に配置され、前記取付部に組み付けられ、前記発光体の光を前記二つの照明窓に導光する導光部材と、を備え、
前記取付部、前記発光体及び前記導光部材がユニット化されている、車室用収納構造が提供される。
【0005】
請求項2に係る発明によれば、
前記二つの収納凹部が並列され、
前記二つの照明窓が前記二つの収納凹部の間を横切る線に関して対称位置に形成され、
前記導光部材が前記取付部から前記二つの収納凹部の並列方向に二手に分岐し、
前記導光部材の分岐した二つの先端部が前記二つの照明窓にそれぞれ指向している、請求項1に記載の車室用収納構造が提供される。
【0006】
請求項3に係る発明によれば、
前記二つの収納凹部の間を横切る線の方向及び前記二つの収納凹部の並列方向に対して垂直方向の軸部を備え、
前記取付部が前記軸部によって前記内装部材の裏面に取り付けられている、請求項2に記載の車室用収納構造が提供される。
【0007】
請求項4に係る発明によれば、
前記軸部が、前記取付部に形成された貫通孔に差し込まれて、前記内装部材の裏面に螺合したネジである、請求項3に記載の車室用収納構造が提供される。
【0008】
請求項5に係る発明によれば、
前記取付部、前記導光部材及び前記発光体のユニットが前記軸部において片持ち梁状に支持されている、請求項3又は4に記載の車室用収納構造が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、取付部が内装部材の裏面に取り付けられているから、導光部材自体を内装部材の裏面から離すことができる。そのため、飲料等が内装部材の裏側に浸入しても、飲料等が導光部材に付着しにくい。また、飲料等が導光部材に付着したものとしても、飲料等が導光部材から滴下する。そのため、導光部材の汚れを防止することができる。
また、取付部、導光部材及び発光体がユニット化されているので、収納凹部の大きさ・形状に関係なく、これらのユニットを内装部材の裏側に設置することができる。そのため、モデルチェンジ等によって内装部材の形状を設計変更した場合でも、導光部材、取付部及び発光体のユニットを設計変更することなく、そのユニットの設置位置を容易に変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
図1は、車室用収納構造1を示した斜視図である。
車室用収納構造1は、内装部材2を有する。この内装部材2はコンソールボックスであり、内装部材2は車室内において左右のシートの間に設けられる。この内装部材2は起伏構造により起伏可能となって自動車の車室内に設置され、内装部材2の使用時にはこの内装部材2が床面に対して平行となるように伏され、内装部材2の未使用時にはこの内装部材2が床面に対して垂直になるように立てられる。
【0012】
内装部材2の表面3であってその前部には、二つの収納凹部4,5が形成されている。収納凹部4,5は左右に並列されている。収納凹部4,5は周壁部6,7によって囲まれ、更に収納凹部4,5には底8,9がある。収納凹部4,5の上から収納凹部4,5の開口に飲料容器等を収納でき、収納凹部4,5に収納された飲料容器等が底8,9に載置され、その飲料容器等が周壁部6,7に当接することで飲料容器等の前後左右の動きが拘束される。
【0013】
図2は、内装部材2の裏面12を示した図である。内装部材2に収納凹部4,5が形成されているので、図2に示すように内装部材2の裏面12においては、収納凹部4,5に対応する部分が凸状になっている。
【0014】
図3は、収納凹部4,5の周壁部6,7を底8,9に平行な横断面に沿って破断した状態で内装部材2を上から見て示した図面である。図1、図2、図3に示すように、周壁部6には照明窓10が形成され、周壁部7には照明窓11が形成されている。特に、照明窓10は周壁部6のうち収納凹部5寄りに形成され、照明窓11は周壁部7のうち収納凹部4寄りに形成されている。また、照明窓10,11は、収納凹部4,5の間を横切る線50に関して対称位置に形成されている。この線50は、収納凹部4,5の間の中心線である。
【0015】
照明窓10,11は内装部材2の表面3から内装部材2の裏面12まで周壁部6,7を貫通している。なお、照明窓10,11に相当する部分が透明材(例えば、透明プラスチック、ガラス等)によって閉塞されてもよい。
【0016】
内装部材2の裏面12には、照明ユニット20が取り付けられている。
図4は、照明ユニット20を示した斜視図である。照明ユニット20は、ボディー21と、ボディー21とは別体に成型されるとともにボディー21に組み付けられた取付部22と、ボディー21及び取付部22とは別体に成型されるとともに取付部22に組み付けられた導光部材23と、取付部22に組み付けられた発光体24と、を有する。これらボディー21、取付部22、導光部材23及び発光体24が組み付けられて、ユニットとなっている。
【0017】
ボディー21の材質はPBT(ポリブチレンテレフタレート)であり、ボディー21が筒状に成型されている。
【0018】
取付部22の材質はPBTであり、取付部22がボディー21の一端の開口からボディー21に嵌め込まれ、取付部22に形成された爪がボディー21に係止している。取付部22の一部はボディー21から延出され、その延出した部分が板状に形成され、その部分に貫通孔25が形成されている。
【0019】
発光体24は発光ダイオードである。発光体24はプリント基板に搭載され、そのプリント基板ごと取付部22に組み付けられている。発光体24が取付部22に組み付けられた状態でボディー21の内側に配設されている。なお、プリント基板には幾つかの端子が設けられ、ボディー21の他端の開口26に嵌め込まれたカプラ40がプリント基板の端子に接続される。
【0020】
導光部材23の材質はPC(ポリカーボネート)である。この導光部材23は左右対称な形状となっている。また、この導光部材23は二手に分岐した形状となっており、この導光部材23の入力が1つであり、出力が2つとなっている。具体的には、この導光部材23は導光路31と、反射面32と、導光路33と、導光岐路34,35とを有する。導光路31の先端部にはベース38(図5に図示)が形成され、そのベース38が取付部22に組み付けられている。導光路31の先端部が入力となっており、その先端部が発光体24に相対している。導光路31はボディー21及び取付部22から上に延出し、導光路31の他端部が導光路33の一端部に連なり、その連なった部分において約90°に屈曲し、その連なった部分に反射面32が形成されている。導光路33の他端部が導光岐路34,35の一端部に連なっており、その部分において分岐している。導光岐路34,35は湾曲し、その導光岐路34,35の先端部36,37が出力となっている。
【0021】
図2、図3、図5に示すように、照明ユニット20の取付部22がネジ41によって内装部材2の裏面12に取り付けられている。具体的には、ネジ41が取付部22の貫通孔25に差し込まれて、内装部材2の裏面12に螺合している。これにより、照明ユニット20がそのネジ41により片持ち梁状に支持されている。なお、導光部材23が左右対称な形状を呈し、その中心線上に貫通孔25がある。
【0022】
ネジ41が締め付けられる部分は、収納凹部4,5の間を横切る線50上であり、ネジ41の中心線は、この線50の方向及び収納凹部4,5が並列される左右方向に対して垂直となっている。そのため、ネジ41が緩んだ状態では、ネジ41が軸となり、ボディー21、取付部22及び導光部材23がネジ41を中心にして回動可能となる。
【0023】
照明ユニット20が取り付けられた状態では、導光部材23が収納凹部4,5の並列方向(左右方向)に二手に分岐し、導光岐路34の先端部36が照明窓10に指向し、導光岐路35の先端部37が照明窓11に指向している。ここで、導光岐路34,35が湾曲しており、導光岐路34の先端部36が収納凹部4の底8側に指向し、導光岐路35の先端部37が収納凹部4の底9側に指向している。照明ユニット20が取り付けられた状態では、導光部材23の表面が内装部材2の裏面12に当接せずに裏面12から離れている。
【0024】
なお、照明窓10,11が貫通孔である場合、導光岐路34,35の先端部36,37が照明窓10,11に挿入されていてもよい。但し、この場合、導光岐路34,35の先端部36,38は照明窓10,11から収納凹部4,5に突出していないことが好ましい。
【0025】
発光体24が発光すると、その光が導光路31の先端部に入射し、導光部材23の内部を伝播し、導光岐路34,35の先端部36,37から出射する。導光部材23内を伝播する光が導光部材23の表面で反射するので、導光路31の先端部から導光岐路34,35の先端部36,37までの間では光の漏れが殆ど起こらない。導光岐路34,35の先端部36,37から出射した光によって収納凹部4,5や収納凹部4,5に収納された容器等が照らされる。
【0026】
本実施形態においては、ボディー21、取付部22、導光部材23及び発光体24がユニット化されているので、収納凹部4,5の大きさ・形状に関係なく、照明ユニット20を内装部材2の裏側に設置することができる。そのため、モデルチェンジ等によって内装部材2の形状を設計変更した場合でも、照明ユニット20を設計変更することなく照明ユニット20をそのまま利用することができるようになる。
【0027】
また、導光部材23が取付部22に組み付けられ、取付部22がネジ41によって内装部材2の裏面12に取り付けられているから、導光部材23を内装部材2の裏面12に直接当接させたり取り付けたりせずとも済む。即ち、導光部材23を型取った設置領域をリブ等によって形成せずとも済む。
【0028】
また、導光部材23がそれに型取った設置領域に嵌め込まれているのではなく、導光部材23が取付部22を介して内装部材2の裏面12に支持されているだけであるから、ネジ41を中心にして照明ユニット20を回動することができる。ネジ41を中心にして照明ユニット20を回動することによって、導光岐路34,35の先端部36,37の向きを調整することができる。つまり、光の出射方向や光の照射範囲を調整することができる。
【0029】
また、導光部材23の表面が内装部材2の裏面12に当接せずに裏面12から離れている。導光部材23の表面での光の漏れの発生を抑えることができる。
【0030】
また、導光部材23が収納凹部4,5の裏側の面から離れているから、収納凹部4,5に収納された容器内の飲料が零れて照明窓10,11から内装部材2の裏側に浸入しても、飲料が導光部材23に付着しにくい。特に、照明ユニット20が片持ち梁状に支持されているから、浸入した飲料が導光部材23に付着したものとしても、その飲料が付着した状態で留まらず、下に滴れ落ちる。そのため、導光部材23の汚れや照明の照度低下を抑えることができる。
【0031】
また、導光岐路34,35の先端部36,37が収納凹部4,5の底8,9に指向しているので、先端部36,37から出射した光は収納凹部4,5の開口から直接漏れることがない。つまり、収納凹部4,5の開口から漏れる光は反射光・間接光である。
【0032】
また、一つの発光体24から発した光によって二つの収納凹部4,5が照明されるので、これらの照度や照明色を揃えることができる。また、発光体24が一つであるから、製造コストや部品点数を抑えることができるとともに、消費電力も抑えることができる。
【0033】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では内装部材2がコンソールボックスであるが、例えばダッシュボード又は内張(例えば、ドアライニング、シートの背面のライニング等)の表面に二つの凹部を並列して形成した場合にも本発明を提供することができる。
また、発光体24は発光ダイオードに限らず、他の発光体(例えば、冷陰極蛍光管)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態の車室用収納構造における内装部材の表側を示した斜視図である。
【図2】上記内装部材の裏側を示した斜視図である。
【図3】上記車室用収納構造を示した横断面図である。
【図4】上記車室用収納構造に用いられる照明ユニットを示した斜視図である。
【図5】上記車室用収納構造を示した縦断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 車室用収納構造
2 内装部材
4、5 収納凹部
6、7 周壁部
10、11 照明窓
20 照明ユニット
21 ボディー
22 取付部
23 導光部材
24 光源
41 ネジ
50 線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室に設けられる内装部材と、
前記内装部材の表面に形成された二つの収納凹部と、
前記二つの収納凹部にそれぞれ形成された二つの照明窓と、
前記内装部材の裏面に取り付けられた取付部と、
前記内装部材の裏側に配置され、前記取付部に組み付けられた発光体と、
前記内装部材の裏側に配置され、前記取付部に組み付けられ、前記発光体の光を前記二つの照明窓に導光する導光部材と、を備え、
前記取付部、前記発光体及び前記導光部材がユニット化されている、車室用収納構造。
【請求項2】
前記二つの収納凹部が並列され、
前記二つの照明窓が前記二つの収納凹部の間を横切る線に関して対称位置に形成され、
前記導光部材が前記取付部から前記二つの収納凹部の並列方向に二手に分岐し、
前記導光部材の分岐した二つの先端部が前記二つの照明窓にそれぞれ指向している、請求項1に記載の車室用収納構造。
【請求項3】
前記二つの収納凹部の間を横切る線の方向及び前記二つの収納凹部の並列方向に対して垂直方向の軸部を備え、
前記取付部が前記軸部によって前記内装部材の裏面に取り付けられている、請求項2に記載の車室用収納構造。
【請求項4】
前記軸部が、前記取付部に形成された貫通孔に差し込まれて、前記内装部材の裏面に螺合したネジである、請求項3に記載の車室用収納構造。
【請求項5】
前記取付部、前記導光部材及び前記発光体のユニットが前記軸部により片持ち梁状に支持されている、請求項3又は4に記載の車室用収納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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