車椅子検出装置、自転車検出装置およびエレベータ
【課題】低コストで検出精度の高い車椅子検出装置および自転車検出装置、並びにそれを搭載したエレベータを提供する。
【解決手段】エレベータは、出入口のドア4に設置された複数の光電素子2aから成る光電装置2と、エレベータ籠1内の積載重量を測定可能な秤装置3を備える。車椅子検出装置10の車椅子検出部11は、光電装置2の時間変化から、ドア4の間を通過する物体の画像データを生成し、当該画像データから車輪に対応する円形の図形を検出することによって車椅子を検出部する。
【解決手段】エレベータは、出入口のドア4に設置された複数の光電素子2aから成る光電装置2と、エレベータ籠1内の積載重量を測定可能な秤装置3を備える。車椅子検出装置10の車椅子検出部11は、光電装置2の時間変化から、ドア4の間を通過する物体の画像データを生成し、当該画像データから車輪に対応する円形の図形を検出することによって車椅子を検出部する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車椅子や自転車を自動的に検出する検出装置およびそれを搭載したエレベータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレベータの構造上、車椅子の利用者は、車椅子を利用していない搭乗者(以下「一般搭乗者」)よりもエレベータの乗り降りに時間を要したり、エレベータ内でのボタン操作に手間がかかったりする場合がある。またエレベータ籠の現在位置(フロア番号)の表示が車椅子から見難い位置にある場合もあり、車椅子利用者がエレベータの使用に際して不便を感じることも少なくない。
【0003】
それを受け、エレベータ内や乗り場に車椅子利用者用の操作ボタン(車椅子用ボタン)を有し、それが操作されたときに車椅子利用者に適した動作モード(車椅子用運転モード)で制御されるエレベータシステムが普及している。車椅子用運転モードでは、エレベータのドアの開閉速度を遅くしたり、ドアが開いている時間を長くしたり、ドアの開閉やエレベータの現在位置、行き先等を知らせる音声を流すなど、車椅子利用者が不便を感じないようにエレベータが制御される。
【0004】
しかし、一般搭乗者が誤って車椅子利用者用の操作ボタンを操作した場合、車椅子利用者がいないにも拘わらず車椅子用運転モードが実行され、エレベータの動作速度が落ちることで、逆に一般搭乗者が不便を感じることもある。また、乗り場の車椅子用ボタンで呼ばれたエレベータ籠に車椅子利用者を含む複数人が乗り、複数の行き先が設定された場合もある。その場合、車椅子利用者がどの階でエレベータ籠から降りたか判断できないため、車椅子利用者が降りた後もしばらく車椅子用運転モードで制御されることもあった。
【0005】
この問題を解決するため、車椅子利用者の搭乗を自動検出するエレベータが種々提案されている(例えば下記の特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−001546号公報
【特許文献2】特許4411101号公報
【特許文献3】特開2006−131403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、エレベータに赤外線センサを設け、それを用いて車椅子利用者に由来する信号を検出している。しかし赤外線センサは、一般的なエレベータに使用されるものではないため、この技術を実施するためには、車椅子利用者の検出手段としての赤外線センサをエレベータに新たに設ける必要があり、コストの上昇を伴うと考えられる。
【0008】
特許文献2では、エレベータ籠への搭乗者の出入りを検出する光電装置を用い、その遮光時間長に基づいて一般搭乗者と車椅子利用者とを識別している。光電装置は、搭乗者がエレベータのドアに挟まれるのを防止する目的で、既存のエレベータに設置されていることが多く、車椅子利用者の検出手段を設けるためのコスト上昇は抑えられる。しかし光電装置の遮光時間を判別基準とする場合、例えば一般搭乗者がゆっくりと搭乗したときなどに車椅子利用者との区別が困難である。
【0009】
また特許文献3でも車椅子利用者の検出手段として光電装置が用いられている。特許文献3では、車椅子利用者が一般搭乗者よりも高さが低いことに着目し、遮光された光電装置の高さに基づいて一般搭乗者と車椅子利用者とを判別している。しかし、子供など身長の低い一般利用者と車椅子利用者との区別が困難である。
【0010】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、低コストで検出精度の高い車椅子検出装置および自転車検出装置、並びにそれを搭載したエレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る車椅子検出装置は、高さ方向に並べて配設された複数の光電素子から成る光電装置と、前記光電装置の出力信号の時間変化から、前記光電装置を横切った物体の形状に対応する画像データを生成し、当該画像データから車輪に対応する円形の図形を検出することにより、前記光電装置を車椅子が横切ったことを検出する車椅子検出部と、を備えるものである。
【0012】
本発明に係る自転車検出装置は、高さ方向に並べて配設された複数の光電素子から成る光電装置と、前記光電装置の出力信号の時間変化から、前記光電装置を横切った物体の形状に対応する画像データを生成し、当該画像データから車輪に対応する円形の図形を二つ検出することにより、前記光電装置を自転車が横切ったことを検出する自転車検出部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る車椅子検出装置によれば、例えばエレベータの搭乗者の移動速度や身長などの間接的要素に基づく車椅子や自転車の検出と異なり、車椅子または自転車の車輪(主輪)を検出することで車椅子を検出するため、精度の良い検出が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1に係るエレベータのシステム構成を示す図である。
【図2】実施の形態1に係るエレベータの外観図である。
【図3】実施の形態1に係る車椅子検出装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態1に係る車椅子検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】光電装置から得られる画像データの一例を示す図である。
【図6】車椅子検出処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】画像データから物体の画像データを切り出す処理のフローチャートである。
【図8】切り出された物体の画像データの一例を示す図である。
【図9】円形画像のテンプレートの例を示す図である。
【図10】進行方向検出部の動作を説明するための図である。
【図11】車椅子の検出タイミングが降籠検出期間からずれた場合の進行方向の検出方法を説明するための図である。
【図12】実施の形態2に係る車椅子検出装置の動作を説明するための図である。
【図13】実施の形態2における円形図形の検出方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係るエレベータのシステム構成を示す図である。同図の如く、本実施の形態に係るエレベータは、エレベータ籠1、光電装置2、秤装置3および車椅子検出装置10を備えている。また図2は、乗り場側から見たエレベータの概観図である。
【0016】
ドア4はエレベータ籠1の出入口に設けられる。ここではドア4として、ほぼ同じ大きさの矩形板である第1および第2ドア部4a,4bが横方向に動く、二枚式のサイドスライドドアを例示している。当該ドア4は、第1および第2ドア部4a,4bが片側にスライドして開くサイドオープン(片開き)式でもよいし、両側にスライドして開くセンターオープン(真中開き)式でもよい。ドア4の形式は任意でよく、例えばドア板が一枚の形式でもよいし、三枚以上のドア板が重なり合って片側あるいは両側にスライドする形式でもよい。
【0017】
光電装置2は、ドア4の側方に縦一列に並べられた複数の光電素子2aから構成され、開いたドア4の間を通過する(光電装置2を横切る)物体を検出するものである。光電素子2aは、光を発射する投光部と該投光部からの光を受ける受光部とを含んでおり、受光部が受ける光の変化によって物体の有無を検出することができる。光電素子2aの種類としては、受光部と投光部がドア4の同じ側に配置され、受光部が物体による反射光を検出することで物体を検出する反射型素子や、受光部と投光部がドア4を挟んで配置され、受光部が物体による遮光を検出することで物体を検出する透過型素子がある。
【0018】
光電素子2aは反射型、透過型のいずれでもよいが、本実施の形態では光電素子2aとして透過型のものを用いた例を示す。つまり投光部が発射した光が、ドア4を挟んで配設された受光部に到達しなかったときに、ドア4を通過する物体の存在が検出される。よってこの場合、図2のように光電装置2はドア4の両側に設けられることになる。なお、光電素子2aにおいて、投光部と受光部は必ずしも1対1で対応する必要はなく、例えば1つの投光部が広角に発射した光を複数の受光部で受ける方式であってもよい。
【0019】
光電装置2は、エレベータ籠1または各乗り場のどちらに設置されていてもよい。またその設置位置は、エレベータ籠1内または乗り場から視認できる所でなくてもよい。例えば一般的なエレベータでは、ドア4が籠側のドアと乗り場側のドアとに分かれているが、光電装置2は、籠側のドアと乗り場側のドアとの間に設置されていてもよい。また光電装置2は、エレベータ籠1に設置されていてもよいし、各階の乗り場に設置されていてもよい。
【0020】
秤装置3は、エレベータ籠1内の物体の重さ(積載重量)を計測する重量センサである。ここでは、秤装置3が上方からエレベータ籠1を吊り上げて重量を測定する例を示す。この場合、秤装置3の計測値には、エレベータ籠1内の物体の重さの他、エレベータ籠1自体の重さとそれを吊すロープの重さも含まれるため、エレベータ籠1とロープの重さを予め測定しておき、それを計測値から差し引くことでエレベータ籠1内の物体の重さが得られる。
【0021】
秤装置3の態様は、エレベータ籠1の積載重量を計測できれば任意でよい。例えば秤装置3が、エレベータ籠1を下から支えてその重量を計測する態様であってもよい。その場合は、エレベータ籠1が空の状態の計測値を基準とすることにより、エレベータ籠1内の物体の重さを直接的に計測することができる。
【0022】
車椅子検出装置10は、光電装置2および秤装置3の各出力信号に基づいて、エレベータ籠1のドア4の間(光電装置2の間)を通過する車椅子およびその進行方向(車椅子がエレベータ籠1に乗ったのか、あるいはエレベータ籠1から降りたのか)を検出する。図3は、車椅子検出装置10の構成を示すブロック図である。車椅子検出装置10は、車椅子検出部11、進行方向検出部12および運転制御部13を備える。車椅子検出装置10はマイクロコンピュータであり、これらの各要素はソフトウェアによって実現される機能ブロックである。
【0023】
車椅子検出部11は、光電装置2の出力信号に基づき、ドア4の間を車椅子が通過したことを検出する。進行方向検出部12は、秤装置3の出力信号に基づき、車椅子検出部11によって検出された車椅子の進行方向を検出する。
【0024】
運転制御部13は、車椅子検出部11による車椅子の検出結果、並びに、進行方向検出部12による車椅子の進行方向の検出結果に基づいて、エレベータの運転に係る制御を行う。運転制御部13は、通常の運転動作とは異なる、車椅子利用者に適した動作モード(車椅子用運転モード)でエレベータを制御することが可能であり、車椅子検出装置10がエレベータ籠1内に車椅子が乗っていると判断している間、車椅子用運転モードでエレベータを制御する。
【0025】
以下、車椅子検出装置10の動作を説明する。図4は、その車椅子検出装置10の動作を示すフローチャートである。以下、同図に基づき、車椅子検出装置10の動作を説明する。
【0026】
エレベータ籠1が乗り場で停止してドア4が開くと、車椅子検出装置10の車椅子検出部11は、光電装置2の出力信号を受信する(ステップST1)。このときドア4の間(光電装置2の間)を物体が通過すると、光電装置2の出力信号が変化する。光電装置2の光電素子2aは縦一列に配設されているため、光電素子2aのそれぞれ出力する計測データを時間軸上にプロットすると、ドア4の間を通過した物体の形状を表す二値画像が得られる。以下、一定期間内に得られた光電装置2の計測データの集合を「画像データ」と称する。
【0027】
例えば、車椅子に乗った人物がドア4の間を通過すると、車椅子検出部11は図5のような画像が得られる。本実施の形態の光電素子2aは透過型なので、遮光された光電素子2aに対応する部分が、ドア4の間を通過した物体の形状(図5の斜線領域)として現れる。
【0028】
続いて車椅子検出部11は、そのようにして得た画像データから、車椅子の車輪に対応する円形の図形を検出することによって、ドア4の間を車椅子が通過したか否かを判定する(ステップST2)。一般に、車椅子は、フレームの両側に配置されて動力が与えられる大径の主輪と、方向転換を妨げないように回動自在に設けられた小径の補助輪(キャスター)を有するが、本明細書では車椅子の「車輪」は、主輪を指すものとする。
【0029】
図6は、車椅子検出部11による車椅子検出処理(ステップST2)のフローチャートである。車椅子検出処理では、車椅子検出部11が、光電装置2から取得した画像データから一つの塊となって現れた物体の部分の画像データを切り出す(ステップST21)。次いで、切り出した物体の画像データから、車椅子の車輪を探索する対象となる領域(対象領域)を抽出する(ステップST22)。そして対象領域内で円形の図形を検出することにより、車輪に対応する円形物体を検出する(ステップST23)。最後に、検出した円形の図形が車椅子の車輪に対応するものか判定することにより、ドア4の間を車椅子が通過したか否かを判定する(ステップST24)。
【0030】
以下、図6の各ステップの詳細を説明する。ここでは説明の簡単のため、車椅子検出部11が図5の画像データを取得したものと仮定する。
【0031】
まず、車椅子検出部11が画像データから物体の画像データを切り出す処理(ステップST21)について説明する。図7は、その処理を示すフローチャートである。
【0032】
車椅子検出部11は、自己が有するバッファ(メモリ)およびカウンタをクリアしてから(ステップST211,ST212)、光電装置2の各光電素子2aの計測データ(一列分の画像データ)を受信する。光電素子2aの計測データから、遮光された光電素子2aの数を算出し、それが所定の閾値未満であれば(ステップST214においてNo)、ドア4の間には物体がないと判断する(ステップST217,ST219)。
【0033】
一方、遮光された光電素子2aの数が上記閾値以上であれば(ステップST214においてYes)、ドア4の間を物体が通過している可能性が高いため、車椅子検出部11は、光電素子2aの計測データをバッファに格納する(ステップST215)。そしてカウンタをインクリメントする(ステップST216)。
【0034】
この場合、上記のステップST213〜ST216が、遮光された光電素子2aの数が所定の閾値未満になるまで(ステップST214においてNoになるまで)繰り返される。その後、遮光されている光電素子2aが閾値未満になると、車椅子検出部11は、そのときのカウンタの値を調べる。
【0035】
カウンタの値が所定の閾値以上になっていれば(ステップST217においてYes)、ある程度の期間連続して多くの光電素子2aが遮光されていたことになるから、ドア4の間を物体が通過した(「物体あり」)と判断される(ステップST218)。しかしカウンタの値が閾値未満の場合は(ステップST217においてNo)、光電素子2aが遮光されたのはごく短い時間であるから、その遮光は外乱によるものである可能性が高く、ドア4の間を何も通過していない(「物体なし」)と判断される(ステップST219)。
【0036】
「物体あり」と判断された時点のバッファには、物体がドア4の間を通過する前後の部分を含まない、物体がドア4の間を通過している期間の画像データのみが格納されている。車椅子検出部11がバッファの画像データを取得することにより、物体の画像データの切り出し処理(図6のステップST21)が完了する。車椅子検出部11が図5の画像データを取得していた場合、図8のように物体が存在する部分(期間)のみを切り出した画像データが得られる。
【0037】
なお、物体の有無の判断に用いられる各閾値、すなわち、ステップST214の判定に係る閾値(遮光された光電素子2aの数の閾値)およびステップST217の判定に係る閾値(カウンタの値の閾値)は、それぞれ予め車椅子検出部11に保持されている。
【0038】
次に、車椅子検出部11が車椅子の車輪を探索する対象となる領域(対象領域)を抽出する処理(ステップST22)について説明する。車椅子の車輪は床と接するため、必ず低い位置にあるので、車輪を探索する対象領域は切り出した画像データ内の低い部分とする。例えば図8の画像データの領域Aが対象領域として設定される。対象領域Aの高さ(縦方向の画素数)hは、光電素子2aの間隔S(図2参照)と、想定される車輪の最大サイズDmaxとに基づき、次の式(1)によって決定される。
h=Dmax/S+α …(1)
式(1)において、αはマージンである。
【0039】
一方、車椅子の車輪の横方向(時間軸方向)の位置は、車椅子の種類によって異なる上、車椅子の向きによって変わる(例えばエレベータ籠1が狭く車椅子が方向転換できない場合など、後ろ向きに乗り降りすることもある)。よって車輪の横方向の位置を一意的に特定するのは困難である。そのため図8のように、対象領域Aの横方向の幅は画像データの幅(物体の通過時間)Wと等しくするとよい。しかし、何らかの方法により車輪の横方向の位置が特定できるのであれば、対象領域の幅は狭めてもよい。
【0040】
続いて、画像データから車輪に対応する円形の図形を検出する処理(ステップST23)について説明する。この処理は、切り出した物体の画像データの対象領域内に対して行われる。
【0041】
本実施の形態では、円形の図形の検出をテンプレートマッチング法により行う。即ち、車椅子検出部11は、予め図9(a)のような円形画像のテンプレートを保持しており、対象領域内でテンプレート画像との一致度が所定の閾値以上となる位置(円の中心座標)を探索する。このとき用いる閾値も、予め車椅子検出部11により保持されている。
【0042】
車輪のサイズは車椅子によって異なるため、テンプレートマッチング処理は、テンプレートの円形画像の大きさを変えながら行う。テンプレートの円形画像の高さ方向の直径(DH)は、想定される車輪の最大サイズ(Dmax)と最小サイズ(Dmin)の間で変化させればよい。即ち、テンプレートの円形画像の高さ方向の直径(DH)は、次の関係式(2)を満たす範囲で変化させる。
Dmin−Dα≦DH≦Dmax+Dβ …(2)
関係式(2)において、Dα,Dβはマージンである。
【0043】
また画像データの横軸は時間であるので、車椅子の移動速度によっては車輪の画像が楕円となる場合がある。そのため、テンプレートの円形画像の横方向の直径(DW)は、車椅子の移動速度に合わせて変化させるとよい。
【0044】
車椅子の移動速度が一定と仮定すると、その移動速度は、車椅子がドア4の間を通過するのに要した時間(光電装置2を横切った時間)、すなわち物体の画像データの切り出し処理(ステップST21)に要した時間に対応することとなる。例えば、物体の画像データの切り出し処理に要した時間が短ければ、物体の移動速度が速いと判断できるため、横方向に縮小した図9(b)のような楕円画像をテンプレートとして用いる。逆に、物体の画像データの切り出し処理に要した時間が長ければ、物体の移動速度が遅いと判断できるため、横方向に拡大した図9(c)のような楕円画像をテンプレートとして用いる。
【0045】
テンプレートとしての円形画像の横方向の直径(DW)は、物体の画像データの切り出し処理に要した時間tに基づき、次の式(3)で定めるとよい。
DW=DH+(t−t0)×β×DH …(3)
式(3)にいてt0は、車輪の画像がちょうど円(DW=DH)となるための、車椅子が光電装置2を横切る時間(物体の画像データの切り出し処理に要する時間)である。またβは拡大・縮小のパラメータである。
【0046】
車椅子検出部11は、円形画像のテンプレートを用いたテンプレートマッチングを対象領域内で行い、円形図形の検出結果として結果として、テンプレートとの一致度が閾値以上で且つ最大となる位置と、そのとき用いたテンプレートの円形画像の高さ方向の直径(DH)との組のリストを作成する。
【0047】
次に、検出した円形の図形が車椅子の車輪であるか否かの判定処理(ステップST24)について説明する。
【0048】
車椅子検出部11は、円形図形の検出結果としてのリストに基づき、画像データに車椅子の画像が含まれているか否かを判定する。ここではリストアップされた円形図形の位置と直径の組の数から、画像データの対象領域内で検出された円形図形の個数を調べる。通常、車椅子は2つの車輪を有しているが、ドア4の側方に配設された光電装置2で得られる画像データは物体を進行方向に対して横から見たものとなるため、車椅子の画像には図8のように車輪の画像が1つ含まれることになる。従って、車椅子検出部11は、検出された円形図形の個数が1であれば画像データに車椅子の画像が含まれていると判断し、0であれば車椅子の画像が含まれていないと判断する。
【0049】
また車椅子の車輪は、自転車とほぼ同じ大きさ・構造であるため、物体の画像データから検出された円形図形の数が2の場合、その物体は車椅子でなく、自転車である確率が高い。そこで車椅子検出部11は、検出した円形図形が2以上の場合は、それらの円形図形は車椅子の車輪に対応するものではないと判断するようにしてもよい。また、自転車の前輪と後輪との間にはある程度の距離があるはずなので、車椅子検出部11は、検出された2つの円形図形間の距離を計算して、その距離が一定範囲にある場合のみ自転車と判断し、それ以外は車椅子と判断するようにしてもよい。
【0050】
以上の処理により、車椅子検出部11による車椅子の検出処理(図4のステップST2)が完了すると、進行方向検出部12は、検出された車椅子の進行方向(エレベータ籠1に入ったのか、エレベータ籠1から出たのか)検出する(ステップST3)。
【0051】
車椅子検出部11が光電装置2から取得する画像データの横軸は時間なので、物体がエレベータ籠1に入るときも、エレベータ籠1から出るときも、速度が同じであれば得られる画像データは同じになる。そのため画像データのみでは、物体の進行方向を判断できない。そのため車椅子が検出された場合、進行方向検出部12は、秤装置3が計測したエレベータ籠1内の積載重量の変化から、車椅子の進行方向を判断する。
【0052】
以下、進行方向検出部12による車椅子の進行方向の判断処理(ステップST3)について説明する。進行方向検出部12は、車椅子の進行方向を判断するために、判断秤装置3の計測データを監視してエレベータ籠1への物体の乗り降りを監視している。
【0053】
図10(a)は、秤装置3が計測した積載重量WT(i)の時間t(i)に対する変化の一例である。また図10(b)は、積載重量WT(i)の時間変化から演算した時間差分ΔWT(i)の時系列変化の一例である。時間差分データΔWT(i)は、次の式(4)で算出している。
ΔWT(i)=(WT(i+Δi)−WT(i))/Δi …(4)
式(4)において、Δiは差分間隔である。
【0054】
図10(b)に示す時間差分ΔWT(i)は、エレベータ籠1内の積載重量の変化の傾きに相当するため、積載重量が減少する間は負の値、積載重量が増加する間は正の値、積載重量に変化がない間は零の値をとる。時間差分ΔWT(i)が負側に振れる期間[t(i),t(i−x)]はエレベータ籠1から物体が降りていると判断できる。逆に、時間差分ΔWT(i)が正側に振れる期間(不図示)はエレベータ籠1へ物体が乗り込んでいると判断できる。
【0055】
以下、進行方向検出部12が、エレベータ籠1から物体が降りていることを検出した期間を「降籠検出期間」と称し、エレベータ籠1への物体が乗り込んでいることを検出した期間を「乗籠検出期間」と称する。
【0056】
進行方向検出部12は、車椅子検出部11が車椅子を検出したタイミングと、乗籠検出期間あるいは降籠検出期間との時間的な関係から、当該車椅子の進行方向を判断する。例えば、乗籠検出期間に車椅子が検出された場合は、車椅子がエレベータ籠1に乗ったと判断できる。逆に、降籠検出期間にと判断している間に、車椅子検出部11が車椅子を検出した場合は、車椅子がエレベータ籠1から降りたと判断できる。
【0057】
ここで、車椅子の検出に用いられる光電装置2と、物体の進行方向の検出(乗籠検出期間および降籠検出期間の取得)に用いられる秤装置3とは、センサとしての系列が異なり、互いが同期して動作するものではない。そのため、車椅子検出部11により車椅子が検出されるタイミングと、進行方向検出部12により検出される乗籠検出期間/降籠検出期間との間にタイミングのずれが生じる場合も考えられる。
【0058】
例えば車椅子がエレベータ籠1から降りた場合、図11に示すように、車椅子検出部11により車椅子が検出された時刻tdが、進行方向検出部12が取得した降籠検出期間[t(i),t(i−x)]からずれる場合がある。この場合、車椅子検出装置10は、車椅子検出の時刻tdを所定の時間(z)の範囲で前後にずらし、タイミングが重なる降籠検出期間または乗籠検出期間を探す。つまり、車椅子検出時刻tdから±zの範囲内で、乗籠検出期間および降籠検出期間を探す。図11のように車椅子検出の時刻tdをずらした結果、降籠検出期間と一致すれば、車椅子がエレベータ籠1から降りたと判断する。
【0059】
ここでは、車椅子検出の時刻tdを前後にずらし、一致する乗籠検出期間または降籠検出期間を探す手法を示したが、もちろん乗籠検出期間および降籠検出期間を前後にずらし、一致する車椅子検出の時刻tdを探すようにしてもよい。
【0060】
車椅子検出部11によって車椅子が検出され、さらに進行方向検出部12によってその進行方向が検出されると、運転制御部13がそれらの検出結果に基づいて、エレベータの動作を通常の運転モードにするか、車椅子用運転モードにするかを決定する(ステップST4)。すなわち、エレベータ籠1に車椅子が乗り込んだことを検出してから、その車椅子がエレベータ籠1から出たことが検出されるまでの間、エレベータを車椅子用運転モードにする。
【0061】
車椅子用運転モードでは、ドア4の開閉速度が通常より遅くなったり、ドア4が開いている時間を通常より長くなったりする。またエレベータ籠1の現在位置の階数やドアの動作についての例えば「××階です。ドアが開きます(閉まります)。」のような音声アナウンスが、車椅子用運転モードのときだけに流れるようにしてもよい。
【0062】
本実施の形態によれば、エレベータ籠1への車椅子の乗り降りを検出できるため、車椅子がエレベータ籠1に搭乗している間のみに、車椅子用運転モードを実施させることができる。つまり車椅子利用者がエレベータ籠1から降りれば速やかに通常の運転モードに戻るため、不要に車椅子用運転モードが継続されることによって一般搭乗者が不便を感じることがなくなる。
【0063】
近年では、ドアの挟まれ防止のために図2のような光電装置を備えたエレベータも多い。またエレベータ籠の定員超過を検出するために、秤装置を備えているものも多い。本発明は、それらの光電装置および秤装置を、車椅子およびその進行方向の検出のために利用できる。よって、エレベータに車椅子の検出手段を設けるためのコスト上昇を抑えることができる。
【0064】
なお本実施の形態では、本発明に係る車椅子検出装置10をエレベータに適用した例を示したが、本発明の適用はエレベータに限定されるものではなく、車椅子の出入りが想定される空間に対して広く適用可能である。
【0065】
車椅子が出入りする空間としては、病室などの固定空間も考えられるが、空間内の重量を計測困難なため、進行方向検出部12が空間内の重量変化に基づいて車椅子の進行方向を検出することは難しい。しかし、少なくとも車椅子検出部11が光電装置2を用いて車椅子の通過の有無を検出することは可能である。また本発明に係る進行方向検出部12に代えて、進行方向の検出可能な他の手段を設けてもよい。
【0066】
<実施の形態2>
実施の形態1では、画像データから車輪に対応する円形の図形を検出する処理(図6のステップST23)を、テンプレートマッチングによる方法(「第1の車椅子検出方法」とする)を行ったが、実施の形態2では他の方法を示す。すなわち本実施の形態では、車椅子検出部11は、切り出した物体の画像データから、時間軸に対する中心線の傾きが正の図形と負の図形とが連なって成る形状を検出することによって、車輪に対応する円形の図形の検出を行う(「第2の車椅子検出方法」とする)。
【0067】
以下、本実施の形態における円形図形の検出方法を説明するが、その中で示す各閾値N,P,Qは、予め車椅子検出部11が保持しているものである。
【0068】
例えば、図12の画像データに示す領域Bの部分を拡大すると、図13(a)のような点の集合である。黒丸は遮光された光電素子2aに対応する遮光点である。遮光点の縦方向の間隔Sは光電素子2aの間隔(図2参照)に相当し、横方向の間隔Δtは、車椅子検出部11が光電装置2から計測データを受信する周期に相当する。
【0069】
車椅子検出部11は、取得した画像データの中から、横方向(時間軸方向)にN個(ここでは4個)以下で連続する遮光点を抽出し、その重心位置となる中心点(図13(b)の四角)を求める。そして、隣接する中心点を結んで成る中心線の時間軸に対する傾きを算出する。このときP個以上の中心点に渡って中心線の傾きが正の値になる図形と、Q個以上の中心点に渡って中心線の傾きが負の値になる図形とをそれぞれ抽出する。その抽出結果に基づき、中心線の傾きが正の図形と負の図形とが連なって成る図形を検出する。
【0070】
図13(b)に示すように、円形図形の左側の部分は、中心線の傾きが正の図形と負の図形とが連なった形状となる(上部の傾きが正、下部の傾きが負)。本実施の形態では、そのような図形を円の一部と判断することし、これを車椅子の車輪に対応する円形図形の検出に用いる。
【0071】
以上の説明では、円形図形の左側部分を検出する例を示したが、もちろん円形図形の右側部分を検出してもよい(右側部分では、上部の傾きが負、下部の傾きが正となる)。また円形図形の左側部分と右側部分のペアを検出することで、一つの円形の図形として検出するようにしてもよい。
【0072】
また車椅子検出部11が、テンプレートマッチングによる第1の車椅子検出方法と、本実施の形態に係る第2の車椅子検出方法とを組み合わせて行ってもよい。その場合、車椅子検出部11は、第1および第2の車椅子検出方法の片方が円形図形を検出すればそれを円形物体と認識するようにしてもよいし、第1および第2の車椅子検出方法の両方が同じ位置で円形図形を検出しなければ円形物体として認識しないようにしてもよい。このように複数の方法を組み合わせることにより、車椅子の検出精度をより高くすることができる。
【0073】
<実施の形態3>
実施の形態3では、車椅子検出装置10が、車椅子利用者の検出を、画像データから円形図形を検出する本発明の検出方法とその他の方法とを組み合わせて行う。
【0074】
車椅子利用者の他の検出方法としては、例えば上記の特許文献2のように、ドア4の間を通過する物体の高さに基づいて検出する方法がある(「第3の車椅子検出方法」とする)。この方法は、図1〜図3に示した構成の車椅子検出装置10で、ソフトウェアの変更により実施可能である。図8に示すように、物体の高さHは、車椅子検出部11が光電装置2から得た画像データにおける遮光点の高さの最大値から算出可能だからである。
【0075】
車椅子利用者の高さは一般利用者よりも低くなるため、車椅子検出部11は、想定される車椅子利用者の高さの最大値を閾値HTとして予め保持しておき、物体の高さHが閾値HT以下であるときに、その物体を車椅子利用者として検出する。
【0076】
さらに他の検出方法としては、例えばエレベータ籠1内の積載重量の変化量V(図10(a)参照)を基準とする方法である(「第4の車椅子検出方法」とする)。この方法も、図1〜図3に示した構成の車椅子検出装置10で、ソフトウェアの変更により実施可能である。エレベータ籠1内の積載重量の変化量Vは、秤装置3によって計測可能だからである。
【0077】
車椅子利用者は、車椅子の重量分だけ積載重量の変化量Vが大きくなるため、車椅子検出部11は、想定される車椅子利用者の総重量の最小値を閾値VTとして予め保持しておき、積載重量の変化量Vが閾値以上の場合は、車椅子利用者の乗り降りとして検出する。
【0078】
なお、積載重量の変化量Vは、図10(b)のような時間差分データから求めてもよい。例えば、時間差分データΔWT(i)が負の値となってから零以上に戻るまでを示すまでの期間[t(i),t(i−x)]の時間差分データΔWT(i)の総和は、その期間の積載重量の変化量Vと等しくなるので、それを算出すればよい。
【0079】
一般利用者にも体重や身長には大きなバラツキがあるため、第3および第4の車椅子検出方法だけでは充分に高い車椅子利用者の検出精度を得ることが困難であるが、本発明に係る第1および第2の車椅子検出方法に組み合わせることにより、その検出精度を向上させることができる。また第3および第4の車椅子検出方法は、図1〜図3に示した構成の車椅子検出装置10でもソフトウェアの変更により実施可能であるので、本発明に係る車椅子検出装置10のコスト上昇は最小限に抑えられる。
【0080】
なお、第1〜第4の車椅子検出方法に組み合わせた場合、その一部で車椅子利用者が検出された時点で車椅子利用者の存在が認識されるようにしてもよいし、それらの全部で車椅子利用者が検出されなければ、車椅子利用者の存在を認識しないようにしてもよい。
【0081】
<実施の形態4>
実施の形態1で述べたように、光電装置2から得た画像データから、車椅子検出部11が車輪に対応する円形の図形が2つ検出された場合は、車椅子ではなく自転車であると判断できる。従って本発明の車椅子検出装置10は自転車の検出装置として機能させることも可能である。車椅子検出装置10の構成及び動作は、車椅子検出部11が自転車の2つの車輪を検出することを除いて、実施の形態1と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0082】
自転車の車輪を検出する方法は、円形画像のテンプレートを用いるテンプレートマッチングによる手法(第1の車椅子検出方法に相当)でもよいし、時間軸に対する中心点の傾きが正の図形と負の図形とが連なって成る図形を検出する方法(第2の車椅子検出方法に相当)でもよいし、それらの両方を組み合わせてもよい。
【0083】
また、自転車の前輪と後輪との間にはある程度の距離があるはずなので、検出された2つの円形図形間の距離を計算して、その距離が一定範囲にある場合のみ自転車と判断するようにしてもよい。
【0084】
自転車の検出装置をエレベータに適用する場合、エレベータに所定の「自転車用運転モード」を設けることができる。エレベータに自転車を積み降ろしするのには時間をある程度要するため、自転車用運転モードでは、車椅子用運転モードと同様にエレベータのドアの開閉速度を遅くしたり、ドアが開いている時間を長くしたりすることが有効である。
【0085】
さらに、車椅子検出装置10に車椅子と自転車の両方の検出機能を持たせてもよい。その場合、光電装置2から得た画像データに円形の図形が1つ検出されれば車椅子と判断し、それがエレベータ籠1に搭乗している間、エレベータに車椅子用運転モードを実行させる。また円形の図形が2つ検出されれば自転車と判断し、それがエレベータ籠1に搭乗している間、エレベータに自転車用運転モードを実行させる。これにより車椅子利用者にも自転車利用者にも適したエレベータの動作が可能になる。
【0086】
また本発明に係る自転車の検出装置は、エレベータに限らず、例えば駐輪場など、自転車の出入りが想定される空間に対して広く適用可能である。駐輪場などの固定空間では、空間内の重量変化から自転車の進行方向の検出は難しいが、光電装置2を用いて車椅子の通過の有無を検出することは可能である。また本発明に係る進行方向検出部12に代えて、進行方向の検出可能な他の手段を設けてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 エレベータ籠、10 車椅子検出装置、2 光電装置、2a 光電素子、3 秤装置、4 ドア、11 車椅子検出部、12 進行方向検出部、13 運転制御部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車椅子や自転車を自動的に検出する検出装置およびそれを搭載したエレベータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレベータの構造上、車椅子の利用者は、車椅子を利用していない搭乗者(以下「一般搭乗者」)よりもエレベータの乗り降りに時間を要したり、エレベータ内でのボタン操作に手間がかかったりする場合がある。またエレベータ籠の現在位置(フロア番号)の表示が車椅子から見難い位置にある場合もあり、車椅子利用者がエレベータの使用に際して不便を感じることも少なくない。
【0003】
それを受け、エレベータ内や乗り場に車椅子利用者用の操作ボタン(車椅子用ボタン)を有し、それが操作されたときに車椅子利用者に適した動作モード(車椅子用運転モード)で制御されるエレベータシステムが普及している。車椅子用運転モードでは、エレベータのドアの開閉速度を遅くしたり、ドアが開いている時間を長くしたり、ドアの開閉やエレベータの現在位置、行き先等を知らせる音声を流すなど、車椅子利用者が不便を感じないようにエレベータが制御される。
【0004】
しかし、一般搭乗者が誤って車椅子利用者用の操作ボタンを操作した場合、車椅子利用者がいないにも拘わらず車椅子用運転モードが実行され、エレベータの動作速度が落ちることで、逆に一般搭乗者が不便を感じることもある。また、乗り場の車椅子用ボタンで呼ばれたエレベータ籠に車椅子利用者を含む複数人が乗り、複数の行き先が設定された場合もある。その場合、車椅子利用者がどの階でエレベータ籠から降りたか判断できないため、車椅子利用者が降りた後もしばらく車椅子用運転モードで制御されることもあった。
【0005】
この問題を解決するため、車椅子利用者の搭乗を自動検出するエレベータが種々提案されている(例えば下記の特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−001546号公報
【特許文献2】特許4411101号公報
【特許文献3】特開2006−131403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、エレベータに赤外線センサを設け、それを用いて車椅子利用者に由来する信号を検出している。しかし赤外線センサは、一般的なエレベータに使用されるものではないため、この技術を実施するためには、車椅子利用者の検出手段としての赤外線センサをエレベータに新たに設ける必要があり、コストの上昇を伴うと考えられる。
【0008】
特許文献2では、エレベータ籠への搭乗者の出入りを検出する光電装置を用い、その遮光時間長に基づいて一般搭乗者と車椅子利用者とを識別している。光電装置は、搭乗者がエレベータのドアに挟まれるのを防止する目的で、既存のエレベータに設置されていることが多く、車椅子利用者の検出手段を設けるためのコスト上昇は抑えられる。しかし光電装置の遮光時間を判別基準とする場合、例えば一般搭乗者がゆっくりと搭乗したときなどに車椅子利用者との区別が困難である。
【0009】
また特許文献3でも車椅子利用者の検出手段として光電装置が用いられている。特許文献3では、車椅子利用者が一般搭乗者よりも高さが低いことに着目し、遮光された光電装置の高さに基づいて一般搭乗者と車椅子利用者とを判別している。しかし、子供など身長の低い一般利用者と車椅子利用者との区別が困難である。
【0010】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、低コストで検出精度の高い車椅子検出装置および自転車検出装置、並びにそれを搭載したエレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る車椅子検出装置は、高さ方向に並べて配設された複数の光電素子から成る光電装置と、前記光電装置の出力信号の時間変化から、前記光電装置を横切った物体の形状に対応する画像データを生成し、当該画像データから車輪に対応する円形の図形を検出することにより、前記光電装置を車椅子が横切ったことを検出する車椅子検出部と、を備えるものである。
【0012】
本発明に係る自転車検出装置は、高さ方向に並べて配設された複数の光電素子から成る光電装置と、前記光電装置の出力信号の時間変化から、前記光電装置を横切った物体の形状に対応する画像データを生成し、当該画像データから車輪に対応する円形の図形を二つ検出することにより、前記光電装置を自転車が横切ったことを検出する自転車検出部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る車椅子検出装置によれば、例えばエレベータの搭乗者の移動速度や身長などの間接的要素に基づく車椅子や自転車の検出と異なり、車椅子または自転車の車輪(主輪)を検出することで車椅子を検出するため、精度の良い検出が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1に係るエレベータのシステム構成を示す図である。
【図2】実施の形態1に係るエレベータの外観図である。
【図3】実施の形態1に係る車椅子検出装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態1に係る車椅子検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】光電装置から得られる画像データの一例を示す図である。
【図6】車椅子検出処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】画像データから物体の画像データを切り出す処理のフローチャートである。
【図8】切り出された物体の画像データの一例を示す図である。
【図9】円形画像のテンプレートの例を示す図である。
【図10】進行方向検出部の動作を説明するための図である。
【図11】車椅子の検出タイミングが降籠検出期間からずれた場合の進行方向の検出方法を説明するための図である。
【図12】実施の形態2に係る車椅子検出装置の動作を説明するための図である。
【図13】実施の形態2における円形図形の検出方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係るエレベータのシステム構成を示す図である。同図の如く、本実施の形態に係るエレベータは、エレベータ籠1、光電装置2、秤装置3および車椅子検出装置10を備えている。また図2は、乗り場側から見たエレベータの概観図である。
【0016】
ドア4はエレベータ籠1の出入口に設けられる。ここではドア4として、ほぼ同じ大きさの矩形板である第1および第2ドア部4a,4bが横方向に動く、二枚式のサイドスライドドアを例示している。当該ドア4は、第1および第2ドア部4a,4bが片側にスライドして開くサイドオープン(片開き)式でもよいし、両側にスライドして開くセンターオープン(真中開き)式でもよい。ドア4の形式は任意でよく、例えばドア板が一枚の形式でもよいし、三枚以上のドア板が重なり合って片側あるいは両側にスライドする形式でもよい。
【0017】
光電装置2は、ドア4の側方に縦一列に並べられた複数の光電素子2aから構成され、開いたドア4の間を通過する(光電装置2を横切る)物体を検出するものである。光電素子2aは、光を発射する投光部と該投光部からの光を受ける受光部とを含んでおり、受光部が受ける光の変化によって物体の有無を検出することができる。光電素子2aの種類としては、受光部と投光部がドア4の同じ側に配置され、受光部が物体による反射光を検出することで物体を検出する反射型素子や、受光部と投光部がドア4を挟んで配置され、受光部が物体による遮光を検出することで物体を検出する透過型素子がある。
【0018】
光電素子2aは反射型、透過型のいずれでもよいが、本実施の形態では光電素子2aとして透過型のものを用いた例を示す。つまり投光部が発射した光が、ドア4を挟んで配設された受光部に到達しなかったときに、ドア4を通過する物体の存在が検出される。よってこの場合、図2のように光電装置2はドア4の両側に設けられることになる。なお、光電素子2aにおいて、投光部と受光部は必ずしも1対1で対応する必要はなく、例えば1つの投光部が広角に発射した光を複数の受光部で受ける方式であってもよい。
【0019】
光電装置2は、エレベータ籠1または各乗り場のどちらに設置されていてもよい。またその設置位置は、エレベータ籠1内または乗り場から視認できる所でなくてもよい。例えば一般的なエレベータでは、ドア4が籠側のドアと乗り場側のドアとに分かれているが、光電装置2は、籠側のドアと乗り場側のドアとの間に設置されていてもよい。また光電装置2は、エレベータ籠1に設置されていてもよいし、各階の乗り場に設置されていてもよい。
【0020】
秤装置3は、エレベータ籠1内の物体の重さ(積載重量)を計測する重量センサである。ここでは、秤装置3が上方からエレベータ籠1を吊り上げて重量を測定する例を示す。この場合、秤装置3の計測値には、エレベータ籠1内の物体の重さの他、エレベータ籠1自体の重さとそれを吊すロープの重さも含まれるため、エレベータ籠1とロープの重さを予め測定しておき、それを計測値から差し引くことでエレベータ籠1内の物体の重さが得られる。
【0021】
秤装置3の態様は、エレベータ籠1の積載重量を計測できれば任意でよい。例えば秤装置3が、エレベータ籠1を下から支えてその重量を計測する態様であってもよい。その場合は、エレベータ籠1が空の状態の計測値を基準とすることにより、エレベータ籠1内の物体の重さを直接的に計測することができる。
【0022】
車椅子検出装置10は、光電装置2および秤装置3の各出力信号に基づいて、エレベータ籠1のドア4の間(光電装置2の間)を通過する車椅子およびその進行方向(車椅子がエレベータ籠1に乗ったのか、あるいはエレベータ籠1から降りたのか)を検出する。図3は、車椅子検出装置10の構成を示すブロック図である。車椅子検出装置10は、車椅子検出部11、進行方向検出部12および運転制御部13を備える。車椅子検出装置10はマイクロコンピュータであり、これらの各要素はソフトウェアによって実現される機能ブロックである。
【0023】
車椅子検出部11は、光電装置2の出力信号に基づき、ドア4の間を車椅子が通過したことを検出する。進行方向検出部12は、秤装置3の出力信号に基づき、車椅子検出部11によって検出された車椅子の進行方向を検出する。
【0024】
運転制御部13は、車椅子検出部11による車椅子の検出結果、並びに、進行方向検出部12による車椅子の進行方向の検出結果に基づいて、エレベータの運転に係る制御を行う。運転制御部13は、通常の運転動作とは異なる、車椅子利用者に適した動作モード(車椅子用運転モード)でエレベータを制御することが可能であり、車椅子検出装置10がエレベータ籠1内に車椅子が乗っていると判断している間、車椅子用運転モードでエレベータを制御する。
【0025】
以下、車椅子検出装置10の動作を説明する。図4は、その車椅子検出装置10の動作を示すフローチャートである。以下、同図に基づき、車椅子検出装置10の動作を説明する。
【0026】
エレベータ籠1が乗り場で停止してドア4が開くと、車椅子検出装置10の車椅子検出部11は、光電装置2の出力信号を受信する(ステップST1)。このときドア4の間(光電装置2の間)を物体が通過すると、光電装置2の出力信号が変化する。光電装置2の光電素子2aは縦一列に配設されているため、光電素子2aのそれぞれ出力する計測データを時間軸上にプロットすると、ドア4の間を通過した物体の形状を表す二値画像が得られる。以下、一定期間内に得られた光電装置2の計測データの集合を「画像データ」と称する。
【0027】
例えば、車椅子に乗った人物がドア4の間を通過すると、車椅子検出部11は図5のような画像が得られる。本実施の形態の光電素子2aは透過型なので、遮光された光電素子2aに対応する部分が、ドア4の間を通過した物体の形状(図5の斜線領域)として現れる。
【0028】
続いて車椅子検出部11は、そのようにして得た画像データから、車椅子の車輪に対応する円形の図形を検出することによって、ドア4の間を車椅子が通過したか否かを判定する(ステップST2)。一般に、車椅子は、フレームの両側に配置されて動力が与えられる大径の主輪と、方向転換を妨げないように回動自在に設けられた小径の補助輪(キャスター)を有するが、本明細書では車椅子の「車輪」は、主輪を指すものとする。
【0029】
図6は、車椅子検出部11による車椅子検出処理(ステップST2)のフローチャートである。車椅子検出処理では、車椅子検出部11が、光電装置2から取得した画像データから一つの塊となって現れた物体の部分の画像データを切り出す(ステップST21)。次いで、切り出した物体の画像データから、車椅子の車輪を探索する対象となる領域(対象領域)を抽出する(ステップST22)。そして対象領域内で円形の図形を検出することにより、車輪に対応する円形物体を検出する(ステップST23)。最後に、検出した円形の図形が車椅子の車輪に対応するものか判定することにより、ドア4の間を車椅子が通過したか否かを判定する(ステップST24)。
【0030】
以下、図6の各ステップの詳細を説明する。ここでは説明の簡単のため、車椅子検出部11が図5の画像データを取得したものと仮定する。
【0031】
まず、車椅子検出部11が画像データから物体の画像データを切り出す処理(ステップST21)について説明する。図7は、その処理を示すフローチャートである。
【0032】
車椅子検出部11は、自己が有するバッファ(メモリ)およびカウンタをクリアしてから(ステップST211,ST212)、光電装置2の各光電素子2aの計測データ(一列分の画像データ)を受信する。光電素子2aの計測データから、遮光された光電素子2aの数を算出し、それが所定の閾値未満であれば(ステップST214においてNo)、ドア4の間には物体がないと判断する(ステップST217,ST219)。
【0033】
一方、遮光された光電素子2aの数が上記閾値以上であれば(ステップST214においてYes)、ドア4の間を物体が通過している可能性が高いため、車椅子検出部11は、光電素子2aの計測データをバッファに格納する(ステップST215)。そしてカウンタをインクリメントする(ステップST216)。
【0034】
この場合、上記のステップST213〜ST216が、遮光された光電素子2aの数が所定の閾値未満になるまで(ステップST214においてNoになるまで)繰り返される。その後、遮光されている光電素子2aが閾値未満になると、車椅子検出部11は、そのときのカウンタの値を調べる。
【0035】
カウンタの値が所定の閾値以上になっていれば(ステップST217においてYes)、ある程度の期間連続して多くの光電素子2aが遮光されていたことになるから、ドア4の間を物体が通過した(「物体あり」)と判断される(ステップST218)。しかしカウンタの値が閾値未満の場合は(ステップST217においてNo)、光電素子2aが遮光されたのはごく短い時間であるから、その遮光は外乱によるものである可能性が高く、ドア4の間を何も通過していない(「物体なし」)と判断される(ステップST219)。
【0036】
「物体あり」と判断された時点のバッファには、物体がドア4の間を通過する前後の部分を含まない、物体がドア4の間を通過している期間の画像データのみが格納されている。車椅子検出部11がバッファの画像データを取得することにより、物体の画像データの切り出し処理(図6のステップST21)が完了する。車椅子検出部11が図5の画像データを取得していた場合、図8のように物体が存在する部分(期間)のみを切り出した画像データが得られる。
【0037】
なお、物体の有無の判断に用いられる各閾値、すなわち、ステップST214の判定に係る閾値(遮光された光電素子2aの数の閾値)およびステップST217の判定に係る閾値(カウンタの値の閾値)は、それぞれ予め車椅子検出部11に保持されている。
【0038】
次に、車椅子検出部11が車椅子の車輪を探索する対象となる領域(対象領域)を抽出する処理(ステップST22)について説明する。車椅子の車輪は床と接するため、必ず低い位置にあるので、車輪を探索する対象領域は切り出した画像データ内の低い部分とする。例えば図8の画像データの領域Aが対象領域として設定される。対象領域Aの高さ(縦方向の画素数)hは、光電素子2aの間隔S(図2参照)と、想定される車輪の最大サイズDmaxとに基づき、次の式(1)によって決定される。
h=Dmax/S+α …(1)
式(1)において、αはマージンである。
【0039】
一方、車椅子の車輪の横方向(時間軸方向)の位置は、車椅子の種類によって異なる上、車椅子の向きによって変わる(例えばエレベータ籠1が狭く車椅子が方向転換できない場合など、後ろ向きに乗り降りすることもある)。よって車輪の横方向の位置を一意的に特定するのは困難である。そのため図8のように、対象領域Aの横方向の幅は画像データの幅(物体の通過時間)Wと等しくするとよい。しかし、何らかの方法により車輪の横方向の位置が特定できるのであれば、対象領域の幅は狭めてもよい。
【0040】
続いて、画像データから車輪に対応する円形の図形を検出する処理(ステップST23)について説明する。この処理は、切り出した物体の画像データの対象領域内に対して行われる。
【0041】
本実施の形態では、円形の図形の検出をテンプレートマッチング法により行う。即ち、車椅子検出部11は、予め図9(a)のような円形画像のテンプレートを保持しており、対象領域内でテンプレート画像との一致度が所定の閾値以上となる位置(円の中心座標)を探索する。このとき用いる閾値も、予め車椅子検出部11により保持されている。
【0042】
車輪のサイズは車椅子によって異なるため、テンプレートマッチング処理は、テンプレートの円形画像の大きさを変えながら行う。テンプレートの円形画像の高さ方向の直径(DH)は、想定される車輪の最大サイズ(Dmax)と最小サイズ(Dmin)の間で変化させればよい。即ち、テンプレートの円形画像の高さ方向の直径(DH)は、次の関係式(2)を満たす範囲で変化させる。
Dmin−Dα≦DH≦Dmax+Dβ …(2)
関係式(2)において、Dα,Dβはマージンである。
【0043】
また画像データの横軸は時間であるので、車椅子の移動速度によっては車輪の画像が楕円となる場合がある。そのため、テンプレートの円形画像の横方向の直径(DW)は、車椅子の移動速度に合わせて変化させるとよい。
【0044】
車椅子の移動速度が一定と仮定すると、その移動速度は、車椅子がドア4の間を通過するのに要した時間(光電装置2を横切った時間)、すなわち物体の画像データの切り出し処理(ステップST21)に要した時間に対応することとなる。例えば、物体の画像データの切り出し処理に要した時間が短ければ、物体の移動速度が速いと判断できるため、横方向に縮小した図9(b)のような楕円画像をテンプレートとして用いる。逆に、物体の画像データの切り出し処理に要した時間が長ければ、物体の移動速度が遅いと判断できるため、横方向に拡大した図9(c)のような楕円画像をテンプレートとして用いる。
【0045】
テンプレートとしての円形画像の横方向の直径(DW)は、物体の画像データの切り出し処理に要した時間tに基づき、次の式(3)で定めるとよい。
DW=DH+(t−t0)×β×DH …(3)
式(3)にいてt0は、車輪の画像がちょうど円(DW=DH)となるための、車椅子が光電装置2を横切る時間(物体の画像データの切り出し処理に要する時間)である。またβは拡大・縮小のパラメータである。
【0046】
車椅子検出部11は、円形画像のテンプレートを用いたテンプレートマッチングを対象領域内で行い、円形図形の検出結果として結果として、テンプレートとの一致度が閾値以上で且つ最大となる位置と、そのとき用いたテンプレートの円形画像の高さ方向の直径(DH)との組のリストを作成する。
【0047】
次に、検出した円形の図形が車椅子の車輪であるか否かの判定処理(ステップST24)について説明する。
【0048】
車椅子検出部11は、円形図形の検出結果としてのリストに基づき、画像データに車椅子の画像が含まれているか否かを判定する。ここではリストアップされた円形図形の位置と直径の組の数から、画像データの対象領域内で検出された円形図形の個数を調べる。通常、車椅子は2つの車輪を有しているが、ドア4の側方に配設された光電装置2で得られる画像データは物体を進行方向に対して横から見たものとなるため、車椅子の画像には図8のように車輪の画像が1つ含まれることになる。従って、車椅子検出部11は、検出された円形図形の個数が1であれば画像データに車椅子の画像が含まれていると判断し、0であれば車椅子の画像が含まれていないと判断する。
【0049】
また車椅子の車輪は、自転車とほぼ同じ大きさ・構造であるため、物体の画像データから検出された円形図形の数が2の場合、その物体は車椅子でなく、自転車である確率が高い。そこで車椅子検出部11は、検出した円形図形が2以上の場合は、それらの円形図形は車椅子の車輪に対応するものではないと判断するようにしてもよい。また、自転車の前輪と後輪との間にはある程度の距離があるはずなので、車椅子検出部11は、検出された2つの円形図形間の距離を計算して、その距離が一定範囲にある場合のみ自転車と判断し、それ以外は車椅子と判断するようにしてもよい。
【0050】
以上の処理により、車椅子検出部11による車椅子の検出処理(図4のステップST2)が完了すると、進行方向検出部12は、検出された車椅子の進行方向(エレベータ籠1に入ったのか、エレベータ籠1から出たのか)検出する(ステップST3)。
【0051】
車椅子検出部11が光電装置2から取得する画像データの横軸は時間なので、物体がエレベータ籠1に入るときも、エレベータ籠1から出るときも、速度が同じであれば得られる画像データは同じになる。そのため画像データのみでは、物体の進行方向を判断できない。そのため車椅子が検出された場合、進行方向検出部12は、秤装置3が計測したエレベータ籠1内の積載重量の変化から、車椅子の進行方向を判断する。
【0052】
以下、進行方向検出部12による車椅子の進行方向の判断処理(ステップST3)について説明する。進行方向検出部12は、車椅子の進行方向を判断するために、判断秤装置3の計測データを監視してエレベータ籠1への物体の乗り降りを監視している。
【0053】
図10(a)は、秤装置3が計測した積載重量WT(i)の時間t(i)に対する変化の一例である。また図10(b)は、積載重量WT(i)の時間変化から演算した時間差分ΔWT(i)の時系列変化の一例である。時間差分データΔWT(i)は、次の式(4)で算出している。
ΔWT(i)=(WT(i+Δi)−WT(i))/Δi …(4)
式(4)において、Δiは差分間隔である。
【0054】
図10(b)に示す時間差分ΔWT(i)は、エレベータ籠1内の積載重量の変化の傾きに相当するため、積載重量が減少する間は負の値、積載重量が増加する間は正の値、積載重量に変化がない間は零の値をとる。時間差分ΔWT(i)が負側に振れる期間[t(i),t(i−x)]はエレベータ籠1から物体が降りていると判断できる。逆に、時間差分ΔWT(i)が正側に振れる期間(不図示)はエレベータ籠1へ物体が乗り込んでいると判断できる。
【0055】
以下、進行方向検出部12が、エレベータ籠1から物体が降りていることを検出した期間を「降籠検出期間」と称し、エレベータ籠1への物体が乗り込んでいることを検出した期間を「乗籠検出期間」と称する。
【0056】
進行方向検出部12は、車椅子検出部11が車椅子を検出したタイミングと、乗籠検出期間あるいは降籠検出期間との時間的な関係から、当該車椅子の進行方向を判断する。例えば、乗籠検出期間に車椅子が検出された場合は、車椅子がエレベータ籠1に乗ったと判断できる。逆に、降籠検出期間にと判断している間に、車椅子検出部11が車椅子を検出した場合は、車椅子がエレベータ籠1から降りたと判断できる。
【0057】
ここで、車椅子の検出に用いられる光電装置2と、物体の進行方向の検出(乗籠検出期間および降籠検出期間の取得)に用いられる秤装置3とは、センサとしての系列が異なり、互いが同期して動作するものではない。そのため、車椅子検出部11により車椅子が検出されるタイミングと、進行方向検出部12により検出される乗籠検出期間/降籠検出期間との間にタイミングのずれが生じる場合も考えられる。
【0058】
例えば車椅子がエレベータ籠1から降りた場合、図11に示すように、車椅子検出部11により車椅子が検出された時刻tdが、進行方向検出部12が取得した降籠検出期間[t(i),t(i−x)]からずれる場合がある。この場合、車椅子検出装置10は、車椅子検出の時刻tdを所定の時間(z)の範囲で前後にずらし、タイミングが重なる降籠検出期間または乗籠検出期間を探す。つまり、車椅子検出時刻tdから±zの範囲内で、乗籠検出期間および降籠検出期間を探す。図11のように車椅子検出の時刻tdをずらした結果、降籠検出期間と一致すれば、車椅子がエレベータ籠1から降りたと判断する。
【0059】
ここでは、車椅子検出の時刻tdを前後にずらし、一致する乗籠検出期間または降籠検出期間を探す手法を示したが、もちろん乗籠検出期間および降籠検出期間を前後にずらし、一致する車椅子検出の時刻tdを探すようにしてもよい。
【0060】
車椅子検出部11によって車椅子が検出され、さらに進行方向検出部12によってその進行方向が検出されると、運転制御部13がそれらの検出結果に基づいて、エレベータの動作を通常の運転モードにするか、車椅子用運転モードにするかを決定する(ステップST4)。すなわち、エレベータ籠1に車椅子が乗り込んだことを検出してから、その車椅子がエレベータ籠1から出たことが検出されるまでの間、エレベータを車椅子用運転モードにする。
【0061】
車椅子用運転モードでは、ドア4の開閉速度が通常より遅くなったり、ドア4が開いている時間を通常より長くなったりする。またエレベータ籠1の現在位置の階数やドアの動作についての例えば「××階です。ドアが開きます(閉まります)。」のような音声アナウンスが、車椅子用運転モードのときだけに流れるようにしてもよい。
【0062】
本実施の形態によれば、エレベータ籠1への車椅子の乗り降りを検出できるため、車椅子がエレベータ籠1に搭乗している間のみに、車椅子用運転モードを実施させることができる。つまり車椅子利用者がエレベータ籠1から降りれば速やかに通常の運転モードに戻るため、不要に車椅子用運転モードが継続されることによって一般搭乗者が不便を感じることがなくなる。
【0063】
近年では、ドアの挟まれ防止のために図2のような光電装置を備えたエレベータも多い。またエレベータ籠の定員超過を検出するために、秤装置を備えているものも多い。本発明は、それらの光電装置および秤装置を、車椅子およびその進行方向の検出のために利用できる。よって、エレベータに車椅子の検出手段を設けるためのコスト上昇を抑えることができる。
【0064】
なお本実施の形態では、本発明に係る車椅子検出装置10をエレベータに適用した例を示したが、本発明の適用はエレベータに限定されるものではなく、車椅子の出入りが想定される空間に対して広く適用可能である。
【0065】
車椅子が出入りする空間としては、病室などの固定空間も考えられるが、空間内の重量を計測困難なため、進行方向検出部12が空間内の重量変化に基づいて車椅子の進行方向を検出することは難しい。しかし、少なくとも車椅子検出部11が光電装置2を用いて車椅子の通過の有無を検出することは可能である。また本発明に係る進行方向検出部12に代えて、進行方向の検出可能な他の手段を設けてもよい。
【0066】
<実施の形態2>
実施の形態1では、画像データから車輪に対応する円形の図形を検出する処理(図6のステップST23)を、テンプレートマッチングによる方法(「第1の車椅子検出方法」とする)を行ったが、実施の形態2では他の方法を示す。すなわち本実施の形態では、車椅子検出部11は、切り出した物体の画像データから、時間軸に対する中心線の傾きが正の図形と負の図形とが連なって成る形状を検出することによって、車輪に対応する円形の図形の検出を行う(「第2の車椅子検出方法」とする)。
【0067】
以下、本実施の形態における円形図形の検出方法を説明するが、その中で示す各閾値N,P,Qは、予め車椅子検出部11が保持しているものである。
【0068】
例えば、図12の画像データに示す領域Bの部分を拡大すると、図13(a)のような点の集合である。黒丸は遮光された光電素子2aに対応する遮光点である。遮光点の縦方向の間隔Sは光電素子2aの間隔(図2参照)に相当し、横方向の間隔Δtは、車椅子検出部11が光電装置2から計測データを受信する周期に相当する。
【0069】
車椅子検出部11は、取得した画像データの中から、横方向(時間軸方向)にN個(ここでは4個)以下で連続する遮光点を抽出し、その重心位置となる中心点(図13(b)の四角)を求める。そして、隣接する中心点を結んで成る中心線の時間軸に対する傾きを算出する。このときP個以上の中心点に渡って中心線の傾きが正の値になる図形と、Q個以上の中心点に渡って中心線の傾きが負の値になる図形とをそれぞれ抽出する。その抽出結果に基づき、中心線の傾きが正の図形と負の図形とが連なって成る図形を検出する。
【0070】
図13(b)に示すように、円形図形の左側の部分は、中心線の傾きが正の図形と負の図形とが連なった形状となる(上部の傾きが正、下部の傾きが負)。本実施の形態では、そのような図形を円の一部と判断することし、これを車椅子の車輪に対応する円形図形の検出に用いる。
【0071】
以上の説明では、円形図形の左側部分を検出する例を示したが、もちろん円形図形の右側部分を検出してもよい(右側部分では、上部の傾きが負、下部の傾きが正となる)。また円形図形の左側部分と右側部分のペアを検出することで、一つの円形の図形として検出するようにしてもよい。
【0072】
また車椅子検出部11が、テンプレートマッチングによる第1の車椅子検出方法と、本実施の形態に係る第2の車椅子検出方法とを組み合わせて行ってもよい。その場合、車椅子検出部11は、第1および第2の車椅子検出方法の片方が円形図形を検出すればそれを円形物体と認識するようにしてもよいし、第1および第2の車椅子検出方法の両方が同じ位置で円形図形を検出しなければ円形物体として認識しないようにしてもよい。このように複数の方法を組み合わせることにより、車椅子の検出精度をより高くすることができる。
【0073】
<実施の形態3>
実施の形態3では、車椅子検出装置10が、車椅子利用者の検出を、画像データから円形図形を検出する本発明の検出方法とその他の方法とを組み合わせて行う。
【0074】
車椅子利用者の他の検出方法としては、例えば上記の特許文献2のように、ドア4の間を通過する物体の高さに基づいて検出する方法がある(「第3の車椅子検出方法」とする)。この方法は、図1〜図3に示した構成の車椅子検出装置10で、ソフトウェアの変更により実施可能である。図8に示すように、物体の高さHは、車椅子検出部11が光電装置2から得た画像データにおける遮光点の高さの最大値から算出可能だからである。
【0075】
車椅子利用者の高さは一般利用者よりも低くなるため、車椅子検出部11は、想定される車椅子利用者の高さの最大値を閾値HTとして予め保持しておき、物体の高さHが閾値HT以下であるときに、その物体を車椅子利用者として検出する。
【0076】
さらに他の検出方法としては、例えばエレベータ籠1内の積載重量の変化量V(図10(a)参照)を基準とする方法である(「第4の車椅子検出方法」とする)。この方法も、図1〜図3に示した構成の車椅子検出装置10で、ソフトウェアの変更により実施可能である。エレベータ籠1内の積載重量の変化量Vは、秤装置3によって計測可能だからである。
【0077】
車椅子利用者は、車椅子の重量分だけ積載重量の変化量Vが大きくなるため、車椅子検出部11は、想定される車椅子利用者の総重量の最小値を閾値VTとして予め保持しておき、積載重量の変化量Vが閾値以上の場合は、車椅子利用者の乗り降りとして検出する。
【0078】
なお、積載重量の変化量Vは、図10(b)のような時間差分データから求めてもよい。例えば、時間差分データΔWT(i)が負の値となってから零以上に戻るまでを示すまでの期間[t(i),t(i−x)]の時間差分データΔWT(i)の総和は、その期間の積載重量の変化量Vと等しくなるので、それを算出すればよい。
【0079】
一般利用者にも体重や身長には大きなバラツキがあるため、第3および第4の車椅子検出方法だけでは充分に高い車椅子利用者の検出精度を得ることが困難であるが、本発明に係る第1および第2の車椅子検出方法に組み合わせることにより、その検出精度を向上させることができる。また第3および第4の車椅子検出方法は、図1〜図3に示した構成の車椅子検出装置10でもソフトウェアの変更により実施可能であるので、本発明に係る車椅子検出装置10のコスト上昇は最小限に抑えられる。
【0080】
なお、第1〜第4の車椅子検出方法に組み合わせた場合、その一部で車椅子利用者が検出された時点で車椅子利用者の存在が認識されるようにしてもよいし、それらの全部で車椅子利用者が検出されなければ、車椅子利用者の存在を認識しないようにしてもよい。
【0081】
<実施の形態4>
実施の形態1で述べたように、光電装置2から得た画像データから、車椅子検出部11が車輪に対応する円形の図形が2つ検出された場合は、車椅子ではなく自転車であると判断できる。従って本発明の車椅子検出装置10は自転車の検出装置として機能させることも可能である。車椅子検出装置10の構成及び動作は、車椅子検出部11が自転車の2つの車輪を検出することを除いて、実施の形態1と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0082】
自転車の車輪を検出する方法は、円形画像のテンプレートを用いるテンプレートマッチングによる手法(第1の車椅子検出方法に相当)でもよいし、時間軸に対する中心点の傾きが正の図形と負の図形とが連なって成る図形を検出する方法(第2の車椅子検出方法に相当)でもよいし、それらの両方を組み合わせてもよい。
【0083】
また、自転車の前輪と後輪との間にはある程度の距離があるはずなので、検出された2つの円形図形間の距離を計算して、その距離が一定範囲にある場合のみ自転車と判断するようにしてもよい。
【0084】
自転車の検出装置をエレベータに適用する場合、エレベータに所定の「自転車用運転モード」を設けることができる。エレベータに自転車を積み降ろしするのには時間をある程度要するため、自転車用運転モードでは、車椅子用運転モードと同様にエレベータのドアの開閉速度を遅くしたり、ドアが開いている時間を長くしたりすることが有効である。
【0085】
さらに、車椅子検出装置10に車椅子と自転車の両方の検出機能を持たせてもよい。その場合、光電装置2から得た画像データに円形の図形が1つ検出されれば車椅子と判断し、それがエレベータ籠1に搭乗している間、エレベータに車椅子用運転モードを実行させる。また円形の図形が2つ検出されれば自転車と判断し、それがエレベータ籠1に搭乗している間、エレベータに自転車用運転モードを実行させる。これにより車椅子利用者にも自転車利用者にも適したエレベータの動作が可能になる。
【0086】
また本発明に係る自転車の検出装置は、エレベータに限らず、例えば駐輪場など、自転車の出入りが想定される空間に対して広く適用可能である。駐輪場などの固定空間では、空間内の重量変化から自転車の進行方向の検出は難しいが、光電装置2を用いて車椅子の通過の有無を検出することは可能である。また本発明に係る進行方向検出部12に代えて、進行方向の検出可能な他の手段を設けてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 エレベータ籠、10 車椅子検出装置、2 光電装置、2a 光電素子、3 秤装置、4 ドア、11 車椅子検出部、12 進行方向検出部、13 運転制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向に並べて配設された複数の光電素子から成る光電装置と、
前記光電装置の出力信号の時間変化から、前記光電装置を横切った物体の形状に対応する画像データを生成し、当該画像データから車輪に対応する円形の図形を検出することにより、前記光電装置を車椅子が横切ったことを検出する車椅子検出部と、を備える
ことを特徴とする車椅子検出装置。
【請求項2】
前記車椅子検出部は、車輪に対応する円形の図形の検出を、前記画像データの低い部分の領域に対して行う
請求項1記載の車椅子検出装置。
【請求項3】
前記車椅子検出部は、円形画像のテンプレートを用いたテンプレートマッチング法によって、車輪に対応する円形の図形の検出を行う
請求項1または請求項2記載の車椅子検出装置。
【請求項4】
前記車椅子検出部は、前記画像データから時間軸に対する中心線の傾きが正の図形と負の図形とが連なって成る形状を検出することによって、車輪に対応する円形の図形の検出を行う
請求項1から請求項3のいずれか一項記載の車椅子検出装置。
【請求項5】
前記車椅子検出部は、前記画像データから車輪に対応する円形の図形が2つ以上検出された場合は、前記光電装置を横切った物体は車椅子でないとみなす
請求項1から請求項4のいずれか一項記載の車椅子検出装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項記載の車椅子検出装置を備え、
前記光電装置がエレベータ籠への出入口に設置されている
ことを特徴とするエレベータ。
【請求項7】
前記エレベータの動作を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部が、前記車椅子検出装置の検出結果に基づいて、前記エレベータ籠内に車椅子が乗っているか否かを判別し、前記エレベータ籠内に車椅子が乗っている間は、通常とは異なる車椅子用運転モードで前記エレベータを動作させる
請求項6記載のエレベータ。
【請求項8】
高さ方向に並べて配設された複数の光電素子から成る光電装置と、
前記光電装置の出力信号の時間変化から、前記光電装置を横切った物体の形状に対応する画像データを生成し、当該画像データから車輪に対応する円形の図形を二つ検出することにより、前記光電装置を自転車が横切ったことを検出する自転車検出部と、を備える
ことを特徴とする自転車検出装置。
【請求項9】
請求項8記載の自転車検出装置を備え、
前記光電装置がエレベータ籠への出入口に設置されている
ことを特徴とするエレベータ。
【請求項10】
前記エレベータの動作を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部が、前記自転車検出装置の検出結果に基づいて、前記エレベータ籠内に自転車が乗っているか否かを判別し、前記エレベータ籠内に自転車が乗っている間は、通常とは異なる自転車用運転モードで前記エレベータを動作させる
請求項9記載のエレベータ。
【請求項1】
高さ方向に並べて配設された複数の光電素子から成る光電装置と、
前記光電装置の出力信号の時間変化から、前記光電装置を横切った物体の形状に対応する画像データを生成し、当該画像データから車輪に対応する円形の図形を検出することにより、前記光電装置を車椅子が横切ったことを検出する車椅子検出部と、を備える
ことを特徴とする車椅子検出装置。
【請求項2】
前記車椅子検出部は、車輪に対応する円形の図形の検出を、前記画像データの低い部分の領域に対して行う
請求項1記載の車椅子検出装置。
【請求項3】
前記車椅子検出部は、円形画像のテンプレートを用いたテンプレートマッチング法によって、車輪に対応する円形の図形の検出を行う
請求項1または請求項2記載の車椅子検出装置。
【請求項4】
前記車椅子検出部は、前記画像データから時間軸に対する中心線の傾きが正の図形と負の図形とが連なって成る形状を検出することによって、車輪に対応する円形の図形の検出を行う
請求項1から請求項3のいずれか一項記載の車椅子検出装置。
【請求項5】
前記車椅子検出部は、前記画像データから車輪に対応する円形の図形が2つ以上検出された場合は、前記光電装置を横切った物体は車椅子でないとみなす
請求項1から請求項4のいずれか一項記載の車椅子検出装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項記載の車椅子検出装置を備え、
前記光電装置がエレベータ籠への出入口に設置されている
ことを特徴とするエレベータ。
【請求項7】
前記エレベータの動作を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部が、前記車椅子検出装置の検出結果に基づいて、前記エレベータ籠内に車椅子が乗っているか否かを判別し、前記エレベータ籠内に車椅子が乗っている間は、通常とは異なる車椅子用運転モードで前記エレベータを動作させる
請求項6記載のエレベータ。
【請求項8】
高さ方向に並べて配設された複数の光電素子から成る光電装置と、
前記光電装置の出力信号の時間変化から、前記光電装置を横切った物体の形状に対応する画像データを生成し、当該画像データから車輪に対応する円形の図形を二つ検出することにより、前記光電装置を自転車が横切ったことを検出する自転車検出部と、を備える
ことを特徴とする自転車検出装置。
【請求項9】
請求項8記載の自転車検出装置を備え、
前記光電装置がエレベータ籠への出入口に設置されている
ことを特徴とするエレベータ。
【請求項10】
前記エレベータの動作を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部が、前記自転車検出装置の検出結果に基づいて、前記エレベータ籠内に自転車が乗っているか否かを判別し、前記エレベータ籠内に自転車が乗っている間は、通常とは異なる自転車用運転モードで前記エレベータを動作させる
請求項9記載のエレベータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−176833(P2012−176833A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41289(P2011−41289)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
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