説明

車用空調装置

【課題】 車室内の空調を行いながら、外気導入路に停滞している花粉、排気ガス、臭気ガス等を強制的に排出できる車用空調装置を提供する。
【解決手段】 車外から外気を導入する外気導入モードと、車室内から内気を導入する内気循環モードの切替え運転が可能な車用空調装置において、外気導入路10に配された外気検出センサ3と、外気検出センサ3の下流側において外気導入路10に接続された排出用ダクト50と、排出用ダクト50に配された排出ファン9と、外気検出センサ3が外気導入モード中に所定の検出を行うと、外気導入モードから内気循環モードに切り替えると共に、排出ファン9を駆動させる制御装置60を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気導入モードと内気循環モードを有する車用の空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用の空調装置では、外気に含まれる排気ガス、臭気ガス、花粉等の濃度等を各種センサによって検知し、外気中のこれらの濃度が所定の値よりも高い場合には、自動的にダンパーを切り替えて外気導入モードから内気循環モードとする技術が知られている(例えば、特許文献1)。
このような空調装置によれば、車内に排気ガス等が導入されるのを未然に防止でき、車内空間を汚染のない状態に保つことができる。
【0003】
また、特許文献2には、メインの空調ブロアの他に、インストルメンタルパネル(インパネ)の内部空間に吸込口を有する換気ブロアを設けた空調装置が記載されている。
このような空調装置によれば、インパネの内部空間の滞留空気と車内空間の滞留空気を強制的に車外に排気したり、インパネの内部空間に外気を導入し、この外気とインパネの内部空間の滞留空気をともに車内に給気することができ、駐車中に日射によって上昇したインパネの内部空間の温度及び車内温度を効率良く下げることができる。
【0004】
また、特許文献3には、内気導入流路と外気導入流路との間を連通させる換気流路を設け、内気導入流路内の空気を外気導入流路に送る換気ブロア(換気用ファン装置)を換気流路内に設けた空調装置が記載されている。
このような空調装置によれば、車室内の空気を換気ブロアによって効率良く車外に排出でき、特許文献2のものと同様に、駐車中に日射によって上昇した車内温度を効率良く下げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−302790号公報
【特許文献2】特開2006−44418号公報
【特許文献3】特開昭62−286821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような空調装置では、例えばセンサが排気ガス等を検知し、外気導入モードから内気循環モードに切替えた後は、ダンパー上流側の外気導入路に停滞している排気ガス等を積極的に外部に排出することができない。このため、外気が既に清浄な状態であっても、外気導入路内が清浄になるまで比較的長い時間がかかり、外気導入モードでの空調を優先したい場合でも、内気循環モードから外気導入モードへの切替えを適時に行うことができない。
【0007】
一方、特許文献2や特許文献3の空調装置のようにメインの空調ブロアの他に換気ブロアを設けることにより、ダンパー上流側の外気導入路に停滞している排気ガス等を強制的に排気することが可能になると考えられる。
【0008】
しかしながら、特許文献2及び特許文献3に記載の空調装置では、駐車中に日射によって上昇したインパネの内部空間の温度及び車内温度を下げる目的のために換気ブロアを設けているため、換気ブロアを駆動している間は外気導入モードのみならず内気循環モードの空調も行うことはできない。
【0009】
そこで本発明は、従来技術が抱える上記の問題に鑑み、車室内の空調を行いながら、外気導入路に停滞している排気ガス、臭気ガス、花粉等を強制的に排出できるようにし、内気循環モード中に外気が清浄な環境に変わったら、適時に外気導入モードに切り替えて車室内を空調できるようにすることを目的としているものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成すべく為された本発明は、車外から外気を導入する外気導入モードと、車室内から内気を導入する内気循環モードの切替え運転が可能な車用空調装置において、
外気導入路に配された外気検出センサと、
前記外気検出センサの下流側において前記外気導入路に接続された排出用ダクトと、
前記排出用ダクトに配された排出ファンと、
前記外気検出センサが外気導入モード中に所定の検出を行うと、外気導入モードから内気循環モードに切替えると共に、前記排出ファンを駆動させる制御装置と、
を具備することを特徴としているものである。
【0011】
本発明の車用空調装置は、更なる好ましい特徴として、
「前記制御装置は、内気循環モード中に、前記外気検出センサが所定の検出を行わないと、内気循環モードから外気導入モードに切替えること」、
「前記制御装置は、内気循環モード中に、前記外気検出センサが所定の検出を行わないと、これを報知する手段を有すること」、
「前記外気検出センサは、排気ガス、臭気ガス、花粉の少なくとも1つを検知するセンサを含むこと」、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の空調装置によれば、車室内の空調を停止することなく、外気導入路に停滞している排気ガス、臭気ガス、花粉等を排出ファンの駆動によって強制的に排出でき、外気導入モードから内気循環モードに切替えた後、外気が清浄な環境に変わり、外気導入路に配された外気検出センサが臭気ガス等を検出しなくなると、直ちに外気導入モードに切替えることができ、車室内を適正に空調することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一の実施形態例に係る車用空調装置の要部模式図であり、外気導入モードの状態を示している。
【図2】本発明の第一の実施形態例に係る車用空調装置の要部模式図であり、内気循環モードの状態を示している。
【図3】本発明の第一の実施形態例に係る車用空調装置の要部模式図であり、内気循環モード中に排出ファンを駆動した状態を示す図である。
【図4】本発明の第二の実施形態例に係る車用空調装置の要部模式図であり、内気循環モード中に排出ファンを駆動した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態例を説明する。
【0015】
(第一の実施形態例)
図1は、本発明の第一の実施形態例に係る車用空調装置の要部を模式的に示した図であり、外気導入モードの状態を示している。
図1に示すように、本例の車用空調装置100には、通気経路として、外気取入口1aから外気を導入するための外気導入路10と、内気取入口2から車室内の内気を導入するための内気導入路20と、内外気導入路30と、給気用ダクト40と、排出用ダクト50が設けられている。
【0016】
外気導入路10には、外気取入口1aの近傍に外気検出センサ3が設けられている。この外気検出センサ3は、単一もしくは複数のセンサで構成され、外気導入路10内の排気ガスや家畜や肥料などによる臭気ガス、花粉などを検知するものである。
なお、これらのセンサの構成は特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。
【0017】
外気導入路10と内気導入路20の合流部分には、外気導入モードと内気循環モードの切替えを行う為のモード切替ダンパー4が設けられている。
【0018】
モード切替ダンパー4の下流に位置する内外気導入路30には空調ブロア5が設けられており、空調ブロア5の下流側の給気用ダクト40には、集塵フィルターと脱臭フィルターからなるフィルターユニット6、エバポレータ7が設けられている。
この空調ブロア5が駆動することにより、フィルターユニット6を通過した清浄化された空気が、エバポレータ7と接触し熱交換することによって温度調節され、給気口8から車室内に供給されるようになっている。
【0019】
排出用ダクト50は、一端が外気取入口1bに接続され、他端が外気検出センサ3の下流側かつモード切替ダンパー4の上流側の外気導入路10に接続されている。
本例のように排出用ダクト50の一端を外気取入口1bに接続することにより、外気導入モードに際は、排出用ダクト50は外気導入路の一部を兼ねることができる。
【0020】
排出用ダクト50には、排出ファン9が設けられている。
なお、外気導入路10と排出用ダクト50の接続部分にダンパーを設け、排出ファン9を作動させる時だけ外気導入路10と排出用ダクト50を連通させてもよい。ただし、この場合は、排出用ダクト50は外気導入路の一部を兼ねることができない。
【0021】
本例の車用空調装置100では、図1に示すように、モード切替ダンパー4によって、外気導入路10を開放し内気導入路20を閉塞した状態で空調ブロア5を駆動することにより、外気が車室内に導入され外気導入モードの空調が行われる。
一方、図2に示すように、モード切替ダンパー4によって、内気導入路20を開放し外気導入路10を閉塞した状態で空調ブロア5を駆動することにより、車室内の空気が循環され内気循環モードの空調が行われる。
【0022】
制御装置60は、外気検出センサ3の検出信号に基づいて、モード切替ダンパー4の開閉動作を制御することができる。すなわち、図1の外気導入モード中に、外気検出センサ3が、予め設定した値(濃度等)以上の排気ガス、臭気ガス、花粉などを検出すると、制御装置60がモード切替ダンパー4を作動させ、外気導入路10を閉塞して内気導入路20を開放し、図2の内気循環モードに切替える。
【0023】
また、制御装置60は、外気導入モード中に、外気検出センサ3が予め設定した値以上の排気ガス、臭気ガス、花粉などを検出すると、外気導入モードから内気循環モードに切替えると共に、図3に示すように排出ファン9を連続もしくは間欠的に駆動させることができる。
【0024】
排出ファン9の送風方向は基本的にどちらでも問題ないが、外気検出センサ3が指向性が高いセンサの場合は、外気導入路10内の空気の流れが外気導入モードと同じ向きになるようにするのが好ましい。
【0025】
本発明の車用空調装置100では、排出用ダクト50の他端が外気検出センサ3の下流側かつモード切替ダンパー4の上流側の外気導入路10に接続されているため、図3のように内気循環モードの際に排出ファン9を駆動すると、外気検出センサ3が配置されている外気導入路10内が外気によって換気され、以下のような作用効果がある。
【0026】
例えば、内気循環モードよりも外気導入モードを優先したいユーザーにとっては、外気が清浄な状態であれば、なるべく外気導入モードで空調したいという要望がある。
しかしながら、従来の空調装置では、内気循環モードの空調を行いながら外気導入路10内に停滞している臭気ガスなどを外部に強制的に排出することができないため、外気が既に清浄な状態であっても、外気導入路10内が清浄になるまで比較的長い時間がかかってしまい、外気検出センサ3は外気の状態を正確に検出できない。
【0027】
一方、本発明の車用空調装置100では、内気循環モード中に排出ファン9を駆動すると、この排出ファン9は外気検出センサ3の下流側において外気導入路10に接続された排出用ダクト50に配されているため、外気導入路10内は強制的に新たな外気に換気される。
つまり、本発明の車用空調装置では、内気循環モードの空調を行いながら、走行中も外気検出センサ3によって外気の状態を常に正確に検出することができる。
このため、内気循環モード中に、外気検出センサ3が予め設定した値以上の排気ガス、臭気ガス、花粉などを検出しなくなると、制御装置60が内気循環モードから外気導入モードに切替えるようにモード切替ダンパー3の開閉動作を制御するように設定することにより、外気が清浄な環境に変わったら直ちに外気導入モードに切り替えることができ、ユーザーの上記の要望に応えることができる。
なお、内気循環モードから外気導入モードに切り替えると、排出ファン9は停止するように制御される。
【0028】
本発明の車用空調装置では、内気循環モード中に、外気検出センサ3が予め設定した値以上の排気ガス、臭気ガス、花粉などを検出しなくなると、上記のように制御装置60によって自動的に内気循環モードから外気導入モードに切替えるだけではなく、制御装置60が単に外気の清浄状態をランプの点滅等によって報知するようにして、ユーザーが手動でモードを切り替えるようにしてもよい。
【0029】
このように、本発明の車用空調装置によれば、車室内の空調(内気循環モード)を行いながら、外気導入路10に停滞している花粉、排気ガス、臭気ガス等を強制的に排出でき、外気導入モードから内気循環モードに切り替えた後、外気が清浄な環境に変わったら直ちに自動もしくは手動によって外気導入モードに切り替えることができ、車室内を適正に空調することができる。
【0030】
(第二の実施形態例)
図4は、本発明の第二の実施形態例に係る車用空調装置200の要部模式図であり、内気循環モード中に排出ファンを駆動した状態を示している。なお、第一の実施形態例に係る車用空調装置100と対応する部分には、同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0031】
第一の実施形態例に係る車用空調装置100では、排出用ダクト50の一端を外気取入口1bに接続したが、本実施形態例に係る車用空調装置200では、排出用ダクト50aはエンジンルーム内で開放されている。
【0032】
本実施形態例に係る車用空調装置200においても、先の車用空調装置100と同様の効果が得られると共に、排出用ダクトを外気取入口まで引き回す必要がないため、設置スペースを確保するのが容易になる。
【0033】
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明はこれらの実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜の変更や部品の追加等ができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0034】
1a、1b 外気取入口
2 内気取入口
3 外気検出センサ
4 モード切替ダンパー
5 空調ブロア
6 フィルターユニット
7 エバポレータ
8 給気口
9 排出ファン
10 外気導入路
20 内気導入路
30 内外気導入路
40 給気用ダクト
50、50a 排出用ダクト
60 制御装置
100、200 車用空調装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車外から外気を導入する外気導入モードと、車室内から内気を導入する内気循環モードの切替え運転が可能な車用空調装置において、
外気導入路に配された外気検出センサと、
前記外気検出センサの下流側において前記外気導入路に接続された排出用ダクトと、
前記排出用ダクトに配された排出ファンと、
前記外気検出センサが外気導入モード中に所定の検出を行うと、外気導入モードから内気循環モードに切替えると共に、前記排出ファンを駆動させる制御装置と、
を具備することを特徴とする車用空調装置。
【請求項2】
前記制御装置は、内気循環モード中に、前記外気検出センサが所定の検出を行わないと、内気循環モードから外気導入モードに切替えることを特徴とする請求項1に記載の車用空調装置。
【請求項3】
前記制御装置は、内気循環モード中に、前記外気検出センサが所定の検出を行わないと、これを報知する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の車用空調装置。
【請求項4】
前記外気検出センサは、排気ガス、臭気ガス、花粉の少なくとも1つを検知するセンサを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車用空調装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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