車載データ記録装置
【課題】内部素子若しくは記録媒体の破壊等の不具合が発生することのない車載データ記録装置を提供する。
【解決手段】この発明による車載データ記録装置は、バッテリーに接続された第1の電源の出力側に入力側が接続された第2の電源と、第1の電源の出力を第2の電源の入力側に供給する第1のダイオードと、第1の電源により充電回路を介して充電され、第2の電源に電力を供給し得るコンデンサと、コンデンサからの電流が充電回路に逆流するのを阻止する第2のダイオードと、第2の電源の入力側からコンデンサに電流が流入するのを阻止する第3のダイオードと、コンデンサの電圧をモニタするコンデンサ電圧モニタ部とを備え、制御部は、コンデンサ電圧モニタ部によりモニタされた電圧に基づいて第1の電源に対するバッテリーからの電力供給が遮断されたことを検出し、該検出に基づいて記録媒体への前記書込みを停止するものである。
【解決手段】この発明による車載データ記録装置は、バッテリーに接続された第1の電源の出力側に入力側が接続された第2の電源と、第1の電源の出力を第2の電源の入力側に供給する第1のダイオードと、第1の電源により充電回路を介して充電され、第2の電源に電力を供給し得るコンデンサと、コンデンサからの電流が充電回路に逆流するのを阻止する第2のダイオードと、第2の電源の入力側からコンデンサに電流が流入するのを阻止する第3のダイオードと、コンデンサの電圧をモニタするコンデンサ電圧モニタ部とを備え、制御部は、コンデンサ電圧モニタ部によりモニタされた電圧に基づいて第1の電源に対するバッテリーからの電力供給が遮断されたことを検出し、該検出に基づいて記録媒体への前記書込みを停止するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載するデータ記録装置(以下ドライブレコーダーと称する)、特にその電源回路と記録媒体への書込み制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ドライブレコーダーと呼ばれる、車両に取り付けたカメラ画像を保存するシステムが車両に搭載されてき始めている。通常、ドライブレコーダーは、事故や危険運転時等の後に、車両の加速度をもとに、そのトリガ前後数秒間の画像を記録媒体に記録するもので、事故等の前後の車両周辺状況が記録でき、事故等の原因解析にも使われている。又、ドライバーや同乗者が、マニュアルでトリガを入力してその前後の画像を記録できるようにも構成されており、観光地での記録や、車室内の様子の記録等、色々な用途に利用される。
【0003】
ドライブレコーダーでは車両の加速度検出を行っており、危険運転時には注意喚起を行い、燃費の良い運転時には、エコ運転表示をさせることも可能である。又、GPSによる位置情報や車速、アクセルやブレーキ情報も取り込むことが可能であり、事故の解析にさらに有用になると共に、常に見守られているという意識からドライブレコーダー装着者の事故率が減少するという効果や、ドライバーが安心感をもてるといった効果もあり、今後この市場はさらに広がっていくと考えられている。
【0004】
通常、ドライブレコーダーは、事故時等の加速度を検出して、そのトリガ前10秒程度、トリガ後10秒程度の記録を実施するが、事故等の衝撃によって、バッテリーが外れた場合に於いては、事故後の記録ができないことが発生する。システムの仕様によっては、衝撃のトリガが発生してから、トリガ前10秒からの画像を記録するシステムもあり、その場合は、最も残したい事故前後の画像が残せないといった問題が発生する。
【0005】
又、SDカード等のデータ書込み時に、電源断が発生すると、記憶媒体自体が破壊されることもあり、以後の記憶ができなくなるといった不具合も発生している。特に、マニュアルトリガによる記憶中に、エンジンをオフにした場合等、記憶媒体書込み中の電源断といったモードが発生することがある。
【0006】
そのため、通常はドライブレコーダーの電源には、静電容量の比較的大きなコンデンサ(キャパシタ)(以下、大型コンデンサと称する)が接続されており、不慮の電源断後から数十秒程度はドライブレコーダーの動作を可能にするように、電圧低下を緩和する回路が設置されるが、この場合、電源オン時にコンデンサの充電に時間がかかり、システム起動に数十秒の時間がかかるため、エンジン始動後数十秒以内の事故の記録ができないという課題があった。
【0007】
そこで、電源オン時の即時起動用ダイオードと、この即時起動用ダイオードからの即時起動用の電力を大型コンデンサへ逆流させないための逆流阻止用ダイオードとを備え、電源オン時に、大型コンデンサへの充電を行なうと同時に、即時起動用ダイオードを介して供給された電力によりシステムを即時起動するようにした装置が提案されている(例えば、特許文献1、図14参照)。特許文献1に記載された従来の装置の場合、大型コンデンサが完全放電している場合でも、ドライブレコーダーは電源オンと同時にシステムが起動し内部ICの動作が可能となり、車両の始動直後からの画像等の記録が可能となる。
【0008】
又、特許文献1に示された従来の装置は、電源スイッチのオフ時等に大型コンデンサの
充電電荷がその充電回路へ逆流することを防止するための逆流阻止用ダイオードをも備えており、電源スイッチがオフになった場合に、コンデンサの充電回路側への電荷の流入を防止し、大型コンデンサの電荷を全てシステム側で消費できるようになり、電源スイッチのオフ時に大型コンデンサの電荷を最大限に使用することができる。
【0009】
前述のコンデンサの充電回路等は入力側の電源がオフになると、充電回路の出力インピーダンスや、充電回路の寄生ダイオード等により入力側のインピーダンスに電荷が流れ、大型コンデンサの電荷が不要に消費される。しかし、前述の第2の逆流素子用ダイオードにより、大型コンデンサの充電電荷を効率よく使用できるために、電源スイッチのオフ後、又は、バッテリー外れ等の場合に、長時間、画像等の記録を行うことが可能になる。
【0010】
又、同様にシステムが立ち上がった直後に画像記録を行い、その直後に電源オフが発生した場合には、コンデンサの充電が充分でなくSDカード等の記憶媒体に書込みができなくなり、或いは書込み中にシステム電源断が発生し、記憶媒体を破壊してしまうこともあったが、前述の従来の装置では大型コンデンサの電圧をモニタするため、A/Dコンバータ等から構成されている電圧モニタ部2と、記録媒体への書込み制御を行なう記録制御部を備えている。
【0011】
又、前述の従来の装置は、システムへ入力される電源の電圧を入力電圧モニタ部を用いて検出し、電源スイッチがオフしたことを検知して、その後、ある一定時間まで、画像記録を続けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−123501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述の特許文献1に示された従来の装置は、電源の電圧をモニタし、電源スイッチがオフされたことを検出して、電源オフに対する制御を実施している。例えば、電源オフから数秒後にSDカードへの書込みを禁止する等の制御を行ない、SDカードの破壊を防止している。しかしながら、電源の電圧をモニタする場合、通常、車載電源の入力として、普通乗用車で12[V]系(8〜16[V])、トラック等では24[V]系(16〜32[V])の電圧が印加されるが、そのラインは、接続した誘導性の負荷によるサージ電圧や、バッテリーロードダンプと称するダイナモからのサージ等、数百[V]を越える高電圧が因果される可能性があり、それにより電源の入力電圧モニタ部が破棄される可能性があった。
【0014】
又、その入力保護のために、サージ保護素子の追加や、高耐圧の電子部品を使用する必要があり、高価となり、又、サージ保護素子の基板面積の確保といった課題があった。
【0015】
更に、大型コンデンサに充電された電荷を使用して、SDカードへの書込みを行なう場合、大型コンデンサの電圧をモニタして書込み終了電圧を決める際、ダイオードの温度による順方向電流(VF)電圧の変動によって、正確な電源の入力電圧が不明であるために、例えば、低温でダイオードの順方向電圧が大きくなった場合には、電圧モニタの電圧が書込み終了を予定していた電圧になった時点では、電源に印加される電圧が、既に電源の動作電圧以下になる可能性もあった。
【0016】
又、大型コンデンサに充電された電荷を使用して、SDカードへの書込みを行なう場合、コンデンサの温度や充電状態によって、書込みのできる時間が大きく異なり、一義的に時間を決めると書込み時間をかなり短く設定する必要があり、充分に駆動できる電荷が残っているにもかかわらず、予め設定された電圧や電源オフ後の時間で書込みを停止せざるを得なく、充分な書込み時間が確保できないといった課題があった。
【0017】
更に、システムリセットを発生させるためのリセット回路の動作可能な入力電圧やリセット電圧も温度によって変動するために、使用している温度や電流や、大型コンデンサの劣化状況によっては、予定していた書込み停止電圧でSDカードへの書込みを禁止指示しても、SDカードへの書込み禁止を実際に禁止するまでの時間内に、システムリセットが発生する場合があり、SDカードを破壊してしまう可能性があった。
【0018】
又、ドライブレコーダーの電源オン時に、記録できる状態か、そうでない状態か、または、電源オフ時に記録しているか、記録していないか等の、ドライブレコーダーの状態が不明で、電源オン直後にマニュアルトリガスイッチで、画像を記録しようとすると、内部の大型コンデンサの充電が充分でない場合には画像記録が出来ない場合があり、故障と間違えるケースもあった。
【0019】
又、通常、ドライブレコーダーは、画像等の記録として、イベント記録と呼ばれる衝突や運転者が意識的にスイッチを押した場合などにトリガ前後の一定時間を記録するものと、常時記録と呼ばれる車動いているときの画像を常に記録しておくものがある。記録媒体への記録はある一定容量のデータを複数回に分けて記載しているが、その一定容量データの記載には数秒程度必要な場合があり、その書込み中に電源がオフされシステムリセットが発生すると、記録媒体自体が破壊される等の不具合が発生する。
【0020】
この発明は、従来のドライブレコーダーに於ける前述のような課題を解決するためになされたもので、内部素子若しくは記録媒体の破壊等の不具合が発生することのない車載データ記録装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明による車載データ記録装置は、
少なくとも車両からの視界を画像データに変換するカメラと、少なくとも前記画像データを記録媒体に書込み記憶させる制御部とを備えた車載データ記録装置であって、
前記車両に搭載されたバッテリーからの電力供給を受けて電力を発生する第1の電源と、
前記バッテリーと前記第1の電源との間に接続された電源スイッチと、前記第1の電源の出力側に入力側が接続された第2の電源と、前記第1の電源の出力を前記第2の電源の入力側に供給する第1のダイオードと、前記第1の電源により充電回路を介して充電され、前記第2の電源に電力を供給し得るコンデンサと、前記コンデンサからの電流が前記充電回路に逆流するのを阻止する第2のダイオードと、前記第2の電源の入力側から前記コンデンサに電流が流入するのを阻止する第3のダイオードと、前記コンデンサの電圧をモニタするコンデンサ電圧モニタ部とを備え、
前記制御部は、前記コンデンサ電圧モニタ部によりモニタされた電圧に基づいて前記第1の電源に対する前記バッテリーからの電力供給が遮断されたことを検出し、該検出に基づいて前記記録媒体への前記書込みを停止する
ことを特徴とするものである。
【0022】
又、この発明による車載データ記録装置は、
少なくとも車両からの視界を画像データに変換するカメラと、少なくとも前記画像データを記録媒体に書込み記憶させる制御部とを備えた車載データ記録装置であって、
前記車両に搭載されたバッテリーからの電力供給を受けて電力を発生する第1の電源と、
前記バッテリーと前記第1の電源との間に接続された電源スイッチと、前記第1の電源の出力側に入力側が接続された第2の電源と、前記第1の電源の出力を前記第2の電源の入力側に供給する第1のダイオードと、前記第1の電源により充電回路を介して充電され、前記第2の電源に電力を供給し得るコンデンサと、前記コンデンサからの電流が前記充電回路に逆流するのを阻止する第2のダイオードと、前記第2の電源の入力側から前記コンデンサに電流が流入するのを阻止する第3のダイオードと、前記第2の電源の入力側の電圧をモニタする電源電圧モニタ部とを備え、
前記制御部は、前記電源電圧モニタ部によりモニタされた電圧に基づいて前記第1の電源に対する前記バッテリーからの電力供給が遮断されたことを検出し、該検出に基づいて前記記録媒体への前記書込みを停止する
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
この発明による車載データ記録装置によれば、車両に搭載されたバッテリーからの電力供給を受けて電力を発生する第1の電源と、前記バッテリーと前記第1の電源との間に接続された電源スイッチと、前記第1の電源の出力側に入力側が接続された第2の電源と、前記第1の電源の出力を前記第2の電源の入力側に供給する第1のダイオードと、前記第1の電源により充電回路を介して充電され、前記第2の電源に電力を供給し得るコンデンサと、前記コンデンサからの電流が前記充電回路に逆流するのを阻止する第2のダイオードと、前記第2の電源の入力側から前記コンデンサに電流が流入するのを阻止する第3のダイオードと、前記コンデンサの電圧をモニタするコンデンサ電圧モニタ部とを備え、前記制御部は、前記コンデンサ電圧モニタ部によりモニタされた電圧に基づいて前記第1の電源に対する前記バッテリーからの電力供給が遮断されたことを検出し、該検出に基づいて前記記録媒体への前記書込みを停止するようにしたので、内部素子若しくは記録媒体の破壊等の不具合が発生することのない車載データ記録装置を得ることができる。
【0024】
又、この発明による車載データ記録装置によれば、両に搭載されたバッテリーからの電力供給を受けて電力を発生する第1の電源と、前記バッテリーと前記第1の電源との間に接続された電源スイッチと、前記第1の電源の出力側に入力側が接続された第2の電源と、前記第1の電源の出力を前記第2の電源の入力側に供給する第1のダイオードと、前記第1の電源により充電回路を介して充電され、前記第2の電源に電力を供給し得るコンデンサと、前記コンデンサからの電流が前記充電回路に逆流するのを阻止する第2のダイオードと、前記第2の電源の入力側から前記コンデンサに電流が流入するのを阻止する第3のダイオードと、前記第2の電源の入力側の電圧をモニタする電源電圧モニタ部とを備え、
前記制御部は、前記電源電圧モニタ部によりモニタされた電圧に基づいて前記第1の電源に対する前記バッテリーからの電力供給が遮断されたことを検出し、該検出に基づいて前記記録媒体への前記書込みを停止するようにしたので、内部素子若しくは記録媒体の破壊等の不具合が発生することのない車載データ記録装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置のブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける大型コンデンサの簡易等価回路図である。
【図3】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける大型コンデンサの放電時の電圧降下特性を示すグラフである。
【図4】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(1)の制御動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(2)に用いる第3のダイオードの電圧ドロップの温度特性を示すグラフである。
【図6】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(2)に用いる第2の電源の電圧降下特性を示すグラフである。
【0026】
【図7】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(3)に用いる第2の電源の電圧降下特性を示すグラフである。
【図8】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(3)に用いる電圧降下特性の傾きの求め方を説明する説明図である。
【図9】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(4)に用いるリセット発生電圧VRSET2の電圧温度マップである。
【図10】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(1)に用いる書込み停止電圧Vsの電圧温度マップである。
【図11】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(5)に用いる第2の電源の電圧降下特性の温度マップである。
【図12】この発明の基礎となる技術による車載データ記録装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
先ず、この発明の基礎となる技術について説明する。図12は、この発明の基礎となる技術による車載データ記録装置のブロック図である。図12に於いて、第1の電源3は、電源スイッチ2を介して車両に搭載されたバッテリー1から直流電力の供給を受け、所定の直流電圧を発生する。第2の電源4は、第1の電源から即時起動用の第1のダイオード9を介して直流電力の供給を受け、後述する制御部6に直流電力を供給する。
【0028】
比較的大きな静電容量を有するコンデンサである大型コンデンサ8は、第1の電源3から充電回路5及び第2のダイオード10を介して充電される。この大型コンデンサ8の正極側は第3のダイオード11を介して第2の電源4の入力側に接続されている。第3のダイオード11は、電源スイッチ2のオン時に、即時起動用の第1のダイオード9を介して電源1から大型コンデンサ8に即時起動用の電力が逆流するのを阻止する逆流阻止の役目を果たしている。
【0029】
電源電圧モニタ20は、第1の電源3の入力側の電圧をモニタし、制御部6にそのモニタした電圧値を入力する。コンデンサ電圧モニタ部17は、大型コンデンサ8の正極側電圧をモニタし、制御部6にそのモニタした電圧値を入力する。電源電圧モニタ4及びコンデンサ電圧モニタ部17は、A/Dコンバータ等により構成されている。
【0030】
車両に搭載されたカメラ12は、車両の前方及び車内を含む後方の視界を画像データに変換しこの画像データを制御部6に入力する。CPUにより構成された制御部6は、記録制御部14を備える。SDカード等により構成された記録媒体7は、制御部6に接続されておりカメラ12から入力された映像データを記録する。制御部6の記録制御部14は、記録媒体7への映像データの記録を制御する。
【0031】
以上のように構成されたドライブレコーダーに於いて、電源スイッチ2がオンとなれば、即時起動用の第1のダイオード9を介して即時に第2の電源4にバッテリー1から電力が供給される。これにより、制御部6は第2の電源4から直ちに電力が供給されて起動し、記録媒体7へのカメラ12からの映像情報の記録を開始する。
【0032】
又、制御部6は、制御部6へ入力される電圧を電源電圧モニタ20を用いてモニタしており、電圧モニタ部20が電源スイッチ2のオフを検知して後、或る一定時間まで記録媒体7への画像記録を続けるように動作する。
【0033】
更に、コンデンサ電圧モニタ部17は大型コンデンサ8の端子電圧をモニタしており、制御部6の記録制御部14は、そのモニタの結果に基づいて記録媒体7への書込み許可と書込み停止を判断してその記録制御を行う。
【0034】
この発明の基礎となる技術によるドライブレコーダーによれば、記録媒体7への映像データの書込み時に、事故等によりバッテリー1の接続が外れたり、電源スイッチ2がオフとなる等により電源断が発生しても、大型コンデンサ8により数十秒程度は第2の電源4の出力がオフになることはなく、記憶媒体7自体の破壊や記録が中断されることはない。又、電源スイッチ2のオン時に第1のダイオード9を介して第1の電源1から第2の電源4に即時に電力が供給されるので、大型コンデンサ8の充電時間に関係なく制御部6を起動することができ、エンジン始動後数十秒以内の事故であってもその記録をすることができる。
【0035】
更に、前述の第2のダイオード10は、電源スイッチ2のオフ時等に、大型コンデンサ8の充電電荷がその充電回路5へ逆流することを防止するための逆流阻止の役目を果たしており、電源スイッチ2がオフになった場合に、大型コンデンサ8の充電回路5側への電荷の流入を防止し、大型コンデンサ8の電荷を全て制御部6側で消費でき、電源スイッチ2のオフ時、若しくはバッテリー外れ時等に大型コンデンサ8の電荷を最大限に使用することができ、長時間、画像等の記録を行うことが可能になる。
【0036】
しかしながら、この発明の基礎となる技術によるドライブレコーダーによれば、前述の発明が解決しようとする課題で述べたような課題を備えている。
【0037】
実施の形態1.
次に、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置について説明する。図1は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置としてのドライブレコーダーのブロック図である。図1に於いて、第1の電源3は、電源スイッチ2を介して車両に搭載されたバッテリー1から直流電力の供給を受け、所定の直流電力を発生して即時起動用の第1のダイオード9を介して第2の電源4に供給する。この第2の電源4は、ドライブレコーダー内部の制御部6のIC用の電源となる。
【0038】
静電容量の比較的大きなコンデンサである大型コンデンサ8は、電源保持用として設けられており、第1の電源3から充電回路5及び第2のダイオード10を介して充電される。この大型コンデンサ8の正極側は、第3のダイオード11を介して第2の電源4の入力側に接続されている。第3のダイオード11は、第1のダイオード1からの電荷を大型コンデンサ8の充電状態に係らず確実に第2の電源4へ供給するためのものである。
【0039】
電源電圧モニタ部20は、第2の電源4の入力電圧をモニタし、制御部6にそのモニタした電圧値を入力する。コンデンサ電圧モニタ部17は、大型コンデンサ8の端子電圧をモニタし、制御部6にそのモニタした電圧値を入力する。電源電圧モニタ4及びコンデンサ電圧モニタ部17は、A/Dコンバータ等により構成されている。
【0040】
車両に搭載されたカメラ12は、車両の前方及び車内を含む後方の視界を画像データに変換しこの画像データを制御部6に入力する。CPUにより構成された制御部6は、記録制御部14を備える。SDカード等により構成された記録媒体7は、制御部6に接続されておりカメラ12から入力された映像データを記録する。制御部6は、カメラ12からの画像データの取り込みや記録媒体7への画像データの書込みを制御する記録制御部14と、書込み停止電圧算出部15と、電圧効果傾きマップ21と、電源OFF検知部18と、傾き検出部19とを備えている。
【0041】
サーミスタ等により構成された温度検知部16は、ドライブレコーダーの温度を検出し、制御部6に入力する。ヒューマンインターフェイス22は、ドライブレコーダーの動作状態若しくは記録媒体7の記録状態を運転者に知らせる機能を備えている。
【0042】
以上のように構成されたこの発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於いて、電源スイッチ2がオンした場合、大型コンデンサ8は充電回路5により行われると同時に、第1のダイオード9を介してバッテリー1から第2の電源4へ電力が供給される。このとき、第3のダイオード11は、充電中の大型コンデンサ8に第1のダイオード9からの電荷が流入しないようにブロックする。
【0043】
第1のダイオード9と第3のダイオード11により、大型コンデンサ8が完全放電したときにでも、ドライブレコーダーは電源スイッチ2のオンと同時に第2の電源4が起動しドライブレコーダーの内部ICの動作が可能となり、車両の始動直後からの画像等の記録が可能となる。
【0044】
又、電源スイッチ2がオフになった場合に、第2のダイオード10により充電回路5の出力側へ大型コンデンサ8からの電荷が流入するのを防止することにより、大型コンデンサ8の電荷を全て第2の電源4側で消費することができる。
【0045】
通常、充電回路5等は、入力電源がオフになると、充電回路5の出力インピーダンスや、充電回路5の寄生ダイオード等で入力側のインピーダンスに電荷が流れ、大型コンデンサ8の電荷が不要に消費される。しかし、第2のダイオード10の実装により、大型コンデンサ8の充電電荷を効率よく第2の電源4に使用できるため、電源スイッチ2のオフ後、又は、バッテリー1のバッテリー外れ時にでも、長時間、画像等の記録が可能になる。
【0046】
通常、ドライブレコーダーは、画像等の記録として、衝突や運転者が意識的にスイッチを押した場合等にトリガ前後の一定時間を記録する、所謂、イベント記録と称される形式のものと、車両が動いているときの画像を常に記録しておく、所謂、常時記録と称される形式のものがある。記録媒体への記録は、或る一定容量のデータを複数回に分けて記載しているが、その一定容量データの書込みには数秒程度必要な場合があり、その書込み中に電源がオフされシステムリセットが発生すると、記録媒体自体が破壊されるなどの不具合が発生する。
【0047】
そこで、このような状況を回避するために、制御部6の記録制御部14は、電源電圧モニタ部13によりモニタされた第2の電源4の入力側電圧を監視しながら記録媒体7への書込み制御を行い、低電圧でシステムリセットが発生して書込みが行なえなくなる前に事前に記録媒体7への書込みを停止して不具合の発生がないようにしている。
【0048】
図2は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける大型コンデンサの簡易等価回路図である。大型コンデンサ8は、通常、図2に示すような等価回路となっており、容量成分Cのほかに、直列抵抗分ESRを有しているため、電源スイッチ2がオフされると、ドライブレコーダーに流れる電流Iに比例して電圧が降下する電圧降下特性を備える。
【0049】
図3は、大型コンデンサ8の放電時の電圧降下特性を示すグラフであり、縦軸は大型コンデンサ8の電圧(V)、横軸は時間を示す。図3に於いて、V1は大型コンデンサ8の充電電圧を示し、記録媒体7へ画像情報等の書込み中に電源スイッチ2がオフされたりバッテリー1が外れたりしても、システムリセットが発生する電圧になる前に、書込み停止処理が完了し、記録媒体7に不具合を発生させないために充分な時間を確保できる電圧値である。Veは、大型コンデンサ8の直流抵抗分ESRによる電圧降下を示す。今、大型コンデンサ8の充電電圧をVcとすると、電源スイッチ2をオフとした際に、大型コンデンサ8の端子電圧Vgは、次式(1)に示す値に低下する。
Vg=Vc−Ve 式(1)
その後は、ドライブレコーダーでの使用電流と大型コンデンサ8の容量による電圧降下傾きf[V/sec]に示す電圧降下特性となる。
【0050】
実施例(1)
実施例(1)では、電源電圧モニタ部13とコンデンサ電圧モニタ部17とのうち少なくともコンデンサ電圧モニタ部17を備える。
【0051】
制御部6に於ける電源OFF検知部18は、コンデンサ電圧モニタ部17にてモニタした大型コンデンサ8の端子電圧がVgになったことを検出することにより、電源スイッチ2がオフしたことを検出することができ、これにより電源スイッチ2のオフを検知した後、予め定められた時間T1を経過後に、記録媒体7への書込みを禁止をすることにより、記憶媒体7の保護を行うことができる。時間T1は、例えばタイマーにより設定され、時間T1経過後の大型コンデンサ8の端子電圧は書込み停止電圧Vsとなる。
【0052】
コンデンサ電圧モニタ部17により直接的に大型コンデンサ8の端子電圧をモニタすることで、車両の12[V]又は24[V]の電源のサージ等の高電圧のリスクを持つ第1の電源3の入力部をモニタすることなく、電源スイッチ2のオフを検知でき、サージ保護等の素子を省くことができ、又、使用電子部品も低耐圧のものでよく、低価格化や、基板面積の縮小などの効果が得られるようにしたものである。
【0053】
図4は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置の実施例(1)の制御動作を示すフローチャートであり、コンデンサ電圧モニタ部17による大型コンデンサ8の端子電圧のモニタに基づく書込み禁止処理を示している。図4に於いて、ステップS1では記録媒体7への画像データ等の書込み要求があるか否かを判定し、書込み要求があれば(Yes)、ステップS2に進みコンデンサ電圧モニタ部17によりモニタされている大型コンデンサ8の端子電圧がV1以上であるか否かを判定する。
【0054】
ステップS2での判定の結果、大型コンデンサ8の端子電圧がV1以上であれば(Yes)、ステップS3に進み記録制御部14により記録媒体7への画像データ等の書込みを実施する。尚、ステップS1、及びステップS2に於ける判定の結果がNoであれば、記録媒体7への書込みを行わず処理を終了する。
【0055】
次に、ステップS4に於いて、記録媒体7への書込み中にコンデンサ電圧モニタ部17によりモニタしている大型コンデンサ8の電圧がVg以下であるか否かを判定し、大型コンデンサ8の電圧がVg以下になった場合(Yes)には、ステップS5にて電源スイッチ2がオフ若しくはバッテリー1が外れたと認識し、次にステップS6による予め定められた前述のタイマー時間T1の経過後に、ステップS7に於いて記録制御部14は記録媒体7への書込み停止処理を実施して処理を終了する。
【0056】
通常、低温時で大型コンデンサ8の容量Cや直列抵抗分ESRが劣化し、且つ、使用電流つまり放電電流が最大の時に、大型コンデンサ8の放電時の電圧降下傾きが最も急となり、書込み停止電圧Vsには最も高い電圧が必要になるために、その条件で、予めタイマー時間T1を実機検証やカタログ値等から求めて設定する。
【0057】
実施例(2)
実施例2では、電源電圧モニタ13とコンデンサ電圧モニタ部17とのうち少なくとも電源電圧モニタ13を備える。電源電圧モニタ13は、第2の電源4の入力部の電圧とを
モニタする。
【0058】
実施例(2)の場合、第2の電源4の入力電圧を電源電圧モニタ13によりモニタすることで、更に精度の高い記憶媒体7の書込み制御を実現する。前述のこの発明の基礎となる技術によるドライブレコーダーでは、大型コンデンサ8の電圧をモニタして、書込み許可と書込み停止を判断しているが、実際には第3のダイオード11の電圧ドロップが発生し、このドロップ電圧が第3のダイオード11の特性のバラツキや温度、電流によって大きく異なってくるために、書込み停止電圧を予測して制御する必要があったが、実施例(2)では、第2の電源4の入力電圧を直接モニタしており、後述する書込み停止電圧Vssを精度良く設定できるため、効率よく記録媒体7の書込み停止電圧を設定することができる。
【0059】
図5は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(2)に用いる第3のダイオードの電圧ドロップの温度特性を示すグラフであり、縦軸はダイオード電圧ドロップVF(V)、横軸は温度を示す。図5に示すように、第3のダイオード11に流れる電流の大小により、電圧ドロップの温度特性が大きく異なる。
【0060】
図6は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(2)に用いる第2の電源の電圧降下特性を示すグラフであり、縦軸は第2の電源4の入力電圧、横軸は時間を示す。通常、書込みができなくなるのは、第2の電源4の入力電圧又は出力電圧が図示していないリセットICのリセット電圧以下になった場合であるが、実施例(2)では、第2の電源4の入力電圧を用いて説明する。
【0061】
図6に於いて、電源スイッチ2がオフし若しくはバッテリー1が外れる等により第1の電源3がオフすると、第2の電源4の入力電圧は電圧降下特性の傾きffにより電圧が降下する。実際に設定する書込み停止電圧Vssは、電源オフ時点から書込み可能時間X後の電圧値である。書込み停止電圧Vssとなってから書込み停止制御に必要な時間T2後に於ける第2の電源4の入力電圧の値はVRST2となる。
【0062】
前述の書込み停止制御に必要な時間T2は、書込み停止電圧Vssとなって制御部6が記録媒体7へ記録禁止指示を出してから、実際に記録停止を行い、システムリセットが発生しても記録媒体7を破壊しないように準備をする時間であり、予め測定等から決められた電圧降下傾きffから、次式(2)により算出する。
Vss=VRSET2+ff×T2 式(2)
【0063】
実施例(2)では、第1の電源3がオフされてから、書込み可能な時間は、図6に示す時間Xで示される。
【0064】
実施例(3)
実施例3では、書込み停止電圧算出部15により、電圧モニタ部で検知した電圧を時系列で認識して、電源オフ毎の、電圧降下の実際の傾きを求め、その傾きを利用して、システムリセットが発生するまでに必要な時間T2を確保するための設定電圧Vsssをインテリジェントに設定する制御を行なう。この実施例(3)では、電源電圧モニタ13とコンデンサ電圧モニタ部17とのうち何れを用いてもよいが、以下の説明では電源電圧モニタ13を用いる場合について説明する。
【0065】
前述の実施例(1)に於いて図3により説明した書込み停止電圧Vs、及び実施例(2)に於いて図6により説明した書込み停止電圧Vssは、低温時で且つ電流が最大で電圧降下の傾きが最も急な場合を予め算出して設定し、ドライブレコーダ−使用環境下に於いては、如何なる場合でもシステムリセットが発生する前に、時間T2を確保するように設定した値であるが、ドライブレコーダーの実使用上では温度は10°〜40℃程度での使用が殆どであり、実使用上では電圧降下の傾きが緩やかである場合が多い。その場合でも書込み停止電圧Vs、又はVssになれば書込みを停止していた。このため、実使用上では書込み時間のマージンが充分にあるのに書込み禁止時間Vs、又はVssになったため書込みを停止し、最大書込み時間の能力を発揮できないことがある。
【0066】
実施例(3)では、電圧降下の傾きを電源オフ毎に時系列で把握することで、ドライブレコーダーの電源オフ時点での状態で最も書込み時間が長くなるように、書込み停止電圧Vsssを設定できるようにしたものである。
【0067】
図7は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(3)に用いる第2の電源の電圧降下特性を示すグラフであり、縦軸は第2の電源4の入力電圧、横軸は時間を示す。図7に於いて、リセット発生電圧をVRSET2[V]、電圧降下特性の傾きを fff[V/sec]、書込み停止制御に必要な時間をT2[sec]、書込
み停止電圧をVsss[V]とすれば、次式(3)が成立し、ドライブレコーダーの現状にあった最適の書込み停止電圧をVsssを電源オフ毎に設定でき、書込み時間を最大にすることができる。
Vsss=VRSET2+fff×T2 式(3)
【0068】
図7から明らかなように、緩やかな電圧降下特性の傾きfffの場合には、書込み停止Vsssは、急な電圧降下特性の傾きffの場合の書込み停止電圧Vssより低く設定できるために、書込み可能時間を、急な電圧降下特性の傾きffの場合の書込み可能時間Xより長い時間Zにすることが可能となる。
【0069】
電圧降下特性傾きfffの求め方は、一般的に複数回サンプリングをした値の移動平均値を採用する等の方法がある。一例として、その求め方を図8に基づいて説明する。図8は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(3)に用いる電圧降下特性の傾きの求め方を説明する説明図である。図8に於いて、Vm、Vn、Vo、Vp、Vq、Vrは、1[mS]毎に第2の電源4の入力電圧をサンプリング時の電圧値を示す。
【0070】
図8から明らかなように、第2の電源4の入力電圧は、Vmから1[mS]毎にVn、Vo、Vp、Vq、Vrと変化してきている。電圧降下特性の瞬時傾き1は、次式(4)により算出される。
瞬時傾き1=(Vm−Vn)/1[mS] 式(4)
【0071】
同様に、電圧降下特性の瞬時傾き2は、次式(5)により算出する。
瞬時傾き2=(Vn−Vo)/1[mS] 式(5)
以降、順次サンプリング毎に同様にサンプリングして瞬時傾きを求める。
【0072】
しかし、ノイズ等の影響で電圧のサンプリング値を一回でも誤検出すれば、電圧効果の傾きの算出に大きな誤算出が発生するため、次式(6)に示す移動平均にて平均傾きを算出するのが一般的である。
平均傾き1(1回目)
=(Vm−Vn)+(Vn−Vo)+(Vo−Vp))/(3[mS]) 式(6)
【0073】
式(6)では、4回のサンプリングに於ける移動平均の1回目の算出結果を示すが、2回目の算出は、VmをVnに、VNをVoに順次置き換えた次式(7)により算出する。
平均傾き2(2回目)
=((Vn−Vo)+(Vo−Vp)+(Vp−Vr))/(3[mS]) 式(7)
【0074】
この移動平均による平均傾きの算出方法では、サンプリング回数を多くするほど、安定した結果になるが、急峻な変化の検出が出来なくなるため、サンプリング回数は傾きの傾向によって決める場合が多い。
【0075】
このように、電源オフ時点の環境下での電圧降下特性の傾きを算出することで、その時点で最適の書込み停止電圧Vsssを設定することができ、時間T2時間を確保できる最
低電圧を設定できる。従って、SDカードを破壊することなく、電源オフから最も長い時間の書込みが可能になる。
【0076】
実施例(4)
実施例4では、サーミスタ等により構成した温度検知部16と、リセット発生電圧VRSET2[V]を温度によって可変にするための温度マップを備えている。
【0077】
システムリセットが発生するリセット発生電圧VRSET2は、通常使用するリセットICにより決まるが、そのリセット発生電圧VRSET2は、温度によって変化するため、実施例(4)では図9に示すような、リセット発生電圧VRSET2の温度マップを備え、温度検知部16により検出した温度によって、そのマップからリセット発生電圧VRSET2を決定する。これにより、より長い書込み時間を確保することができる。図9は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(4)に用いるリセット発生電圧VRSET2の電圧温度マップである。
【0078】
実施例(4)では、温度検知部16により検出した温度に対応するリセット発生電圧VRSET2を、図9に示す電圧温度マップ用いて直線補間を行い求める。例えば、検出した温度が45[℃]であれば、リセット発生電圧VRSET2は、次式(8)により求めることができる。
VRSET2(45℃)
=3.45[V]+((3.4−3.45)/(60[℃]−40[℃]))
×(45[℃]−40[℃])
=3.4375[V] 式(8)
【0079】
尚、検出した温度より、リセット発生電圧VRSET2が高めの温度に対応すると認識してその値を用いる場合もある。
【0080】
実施例(4)の場合、0[℃]以上20[℃]未満の場合は、0[℃]に対応する電圧3.55[V]をリセット発生電圧VRSET2として用いて制御し、20[℃]以上40[℃]未満の場合は20[℃]の電圧3.5[V]をリセット発生電圧VRSET2として用いて制御する。
【0081】
又、前述の実施例(1)では、大型コンデンサ8の電圧をモニタして書込み停止電圧を決めていたが、この場合も、図6のように温度によるダイオードの電圧ドロップVF(V)は予め既知であり、温度によって、設定する書込み停止電圧Vsのマップを作製して、そのマップに従って書込み停止電圧Vsを可変とすることで、精度良く書込み停止電圧を設定することができる。図10は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(1)に用いる書込み停止電圧Vsの電圧温度マップである。
【0082】
実施例(5)
実施例(5)では、サーミスタ等により構成した温度検出部16と書込み停止電圧Vs
ssを算出するために必要な電圧降下傾きを温度に基づいて可変とするための電圧降下傾きマップを備える。
【0083】
前述の実施例(3)の場合は、電源オフ毎に電圧降下傾きを算出して書込み停止電圧Vsssを算出したが、実施例(5)では、予め準備した電圧降下傾きの温度マップを備えており、電源オフ時のドライブレコーダーの温度、又は電源オフ直前のドライブレコーダーの温度、又は順次検出しているドライブレコーダーの温度により、電圧降下傾きαをそのマップから求めて書込み停止電圧Vsssを設定する。図11は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(5)に用いる第2の電源の電圧降下特性の温度マップである。
【0084】
この実施例(5)では、図11に示す温度マップにより求めた、第2の電源の入力電圧の電圧降下特性の傾きαを用いて、次式(9)により書込み停止電圧Vsssを設定する。
Vsss=VRST2+αT2 式(9)
【0085】
又、前述の書込み停止電圧Vsssは、実施例(4)で用いた図9のマップから算出したリセット発生電圧VRSET2を用いてもよい。αは、予め実測等で各温度による傾きを求めておく。補間計算は前述と同様の方法による。
【0086】
実施例(6)
実施例(6)では、ヒューマンインターフェイス22によるドライブレコーダーの状態を運転者に知らせる手段を有している。
【0087】
例えば、電源オフから、大型コンデンサ8の充電中で画像記録が出来ない状態であるときには、ヒューマンインターフェイス22に設けられたLEDを点滅させ、記録できる状態になればLEDを連続点灯させたり、或いは、画像記録が出来ない状態であるときには、オレンジ色のLEDを点灯させ、記録できる状態になれば青色のLEDを点灯させる。又、7セグメントLEDによる状態表示を実施することもできる。
【0088】
又、音声によって、「コンデンサ充電中で記録できません。」「充電が完了しましたので、画像記録が可能になりました。」等のアナウンスを行なうようにしてもよい。
【0089】
このようなヒューマンインターフェイス22によって、運転者はドライブレコーダーの状態を把握でき使用時の安心感を持つと共に、動作不良と勘違いすることを防止できる。
【0090】
尚、前述の実施例(1)乃至(6)を適宜組み合わせて実施してもよいことは勿論である。
【0091】
以上述べたこの発明の実施の形態1による車載データ記録装置によれば、記録制御部が大型コンデンサの電圧をモニタしながら、その電圧をもとに電源オフを検出することによてって、車両電源(12[V]又は24[V])のサージ等の高電圧でドライブレコーダーの内部素子を破壊することが防止できる。
【0092】
又、サージ保護用の素子の削除が可能で、また、基板の面積が縮小でき小型軽量低価格化が可能になる。
【0093】
更に、大型コンデンサの電圧と第2の電源13の入力電圧を直接モニタすることで、書込み許可となる電圧は大型コンデンサ電圧で行い、書込み禁止とする電圧は、第2の電源13の入力電圧のモニタ値とすることで、最も効率よくかつ精度良く記録媒体の書込み停
止電圧を設定でき、低電圧でシステムリセットが発生して書込みが行なえなくなる前に事前に記録媒体への書込み停止し、記録媒体の不具合の発生防止が可能となる。
【0094】
又、実使用(温度や電流やコンデンサの劣化等)に応じ、書込み停止電圧を可能な範囲で低く設定でき、書込み可能時間を長くすることが可能となる。
【0095】
更に、システムリセットの発生する温度特性を考慮することで実使用温度に応じた、書込み停止電圧を可能な範囲で低く設定でき、書込み可能時間を長くすることが可能となる。
【0096】
又、従来例のように電圧モニタ部が少ない場合で大型コンデンサのみの電圧モニタしかできない場合でも、ダイオードドロップ分の温度による補正が可能で、書込み時間を実使用に応じ長くすることができる。
【0097】
又、電圧の傾き検出などの複雑な制御をすることなく、温度による補正が可能で、書込み時間を実使用に応じ長くすることができる。
【0098】
更に、ヒューマンインターフェイスによって、運転者はドライブレコーダーの状態を把握でき使用時の安心感を持つと共に、動作不良と勘違いすることを防止できる。
【符号の説明】
【0099】
1 バッテリー 2 電源スイッチ
3 第1の電源 4 第2の電源
5 充電回路 6 制御部
7 記録媒体 8 大型コンデンサ
9 第1のダイオード 10 第2のダイオード
11 第3のダイオード 12 カメラ
13 電源電圧モニタ部 14 記録制御部
15 書込み停止電圧算出部 16 温度検知部
17 コンデンサ電圧モニタ部 18 電源オフ検知部
19 傾き検出部 22 ヒューマンインターフェイス
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載するデータ記録装置(以下ドライブレコーダーと称する)、特にその電源回路と記録媒体への書込み制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ドライブレコーダーと呼ばれる、車両に取り付けたカメラ画像を保存するシステムが車両に搭載されてき始めている。通常、ドライブレコーダーは、事故や危険運転時等の後に、車両の加速度をもとに、そのトリガ前後数秒間の画像を記録媒体に記録するもので、事故等の前後の車両周辺状況が記録でき、事故等の原因解析にも使われている。又、ドライバーや同乗者が、マニュアルでトリガを入力してその前後の画像を記録できるようにも構成されており、観光地での記録や、車室内の様子の記録等、色々な用途に利用される。
【0003】
ドライブレコーダーでは車両の加速度検出を行っており、危険運転時には注意喚起を行い、燃費の良い運転時には、エコ運転表示をさせることも可能である。又、GPSによる位置情報や車速、アクセルやブレーキ情報も取り込むことが可能であり、事故の解析にさらに有用になると共に、常に見守られているという意識からドライブレコーダー装着者の事故率が減少するという効果や、ドライバーが安心感をもてるといった効果もあり、今後この市場はさらに広がっていくと考えられている。
【0004】
通常、ドライブレコーダーは、事故時等の加速度を検出して、そのトリガ前10秒程度、トリガ後10秒程度の記録を実施するが、事故等の衝撃によって、バッテリーが外れた場合に於いては、事故後の記録ができないことが発生する。システムの仕様によっては、衝撃のトリガが発生してから、トリガ前10秒からの画像を記録するシステムもあり、その場合は、最も残したい事故前後の画像が残せないといった問題が発生する。
【0005】
又、SDカード等のデータ書込み時に、電源断が発生すると、記憶媒体自体が破壊されることもあり、以後の記憶ができなくなるといった不具合も発生している。特に、マニュアルトリガによる記憶中に、エンジンをオフにした場合等、記憶媒体書込み中の電源断といったモードが発生することがある。
【0006】
そのため、通常はドライブレコーダーの電源には、静電容量の比較的大きなコンデンサ(キャパシタ)(以下、大型コンデンサと称する)が接続されており、不慮の電源断後から数十秒程度はドライブレコーダーの動作を可能にするように、電圧低下を緩和する回路が設置されるが、この場合、電源オン時にコンデンサの充電に時間がかかり、システム起動に数十秒の時間がかかるため、エンジン始動後数十秒以内の事故の記録ができないという課題があった。
【0007】
そこで、電源オン時の即時起動用ダイオードと、この即時起動用ダイオードからの即時起動用の電力を大型コンデンサへ逆流させないための逆流阻止用ダイオードとを備え、電源オン時に、大型コンデンサへの充電を行なうと同時に、即時起動用ダイオードを介して供給された電力によりシステムを即時起動するようにした装置が提案されている(例えば、特許文献1、図14参照)。特許文献1に記載された従来の装置の場合、大型コンデンサが完全放電している場合でも、ドライブレコーダーは電源オンと同時にシステムが起動し内部ICの動作が可能となり、車両の始動直後からの画像等の記録が可能となる。
【0008】
又、特許文献1に示された従来の装置は、電源スイッチのオフ時等に大型コンデンサの
充電電荷がその充電回路へ逆流することを防止するための逆流阻止用ダイオードをも備えており、電源スイッチがオフになった場合に、コンデンサの充電回路側への電荷の流入を防止し、大型コンデンサの電荷を全てシステム側で消費できるようになり、電源スイッチのオフ時に大型コンデンサの電荷を最大限に使用することができる。
【0009】
前述のコンデンサの充電回路等は入力側の電源がオフになると、充電回路の出力インピーダンスや、充電回路の寄生ダイオード等により入力側のインピーダンスに電荷が流れ、大型コンデンサの電荷が不要に消費される。しかし、前述の第2の逆流素子用ダイオードにより、大型コンデンサの充電電荷を効率よく使用できるために、電源スイッチのオフ後、又は、バッテリー外れ等の場合に、長時間、画像等の記録を行うことが可能になる。
【0010】
又、同様にシステムが立ち上がった直後に画像記録を行い、その直後に電源オフが発生した場合には、コンデンサの充電が充分でなくSDカード等の記憶媒体に書込みができなくなり、或いは書込み中にシステム電源断が発生し、記憶媒体を破壊してしまうこともあったが、前述の従来の装置では大型コンデンサの電圧をモニタするため、A/Dコンバータ等から構成されている電圧モニタ部2と、記録媒体への書込み制御を行なう記録制御部を備えている。
【0011】
又、前述の従来の装置は、システムへ入力される電源の電圧を入力電圧モニタ部を用いて検出し、電源スイッチがオフしたことを検知して、その後、ある一定時間まで、画像記録を続けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−123501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述の特許文献1に示された従来の装置は、電源の電圧をモニタし、電源スイッチがオフされたことを検出して、電源オフに対する制御を実施している。例えば、電源オフから数秒後にSDカードへの書込みを禁止する等の制御を行ない、SDカードの破壊を防止している。しかしながら、電源の電圧をモニタする場合、通常、車載電源の入力として、普通乗用車で12[V]系(8〜16[V])、トラック等では24[V]系(16〜32[V])の電圧が印加されるが、そのラインは、接続した誘導性の負荷によるサージ電圧や、バッテリーロードダンプと称するダイナモからのサージ等、数百[V]を越える高電圧が因果される可能性があり、それにより電源の入力電圧モニタ部が破棄される可能性があった。
【0014】
又、その入力保護のために、サージ保護素子の追加や、高耐圧の電子部品を使用する必要があり、高価となり、又、サージ保護素子の基板面積の確保といった課題があった。
【0015】
更に、大型コンデンサに充電された電荷を使用して、SDカードへの書込みを行なう場合、大型コンデンサの電圧をモニタして書込み終了電圧を決める際、ダイオードの温度による順方向電流(VF)電圧の変動によって、正確な電源の入力電圧が不明であるために、例えば、低温でダイオードの順方向電圧が大きくなった場合には、電圧モニタの電圧が書込み終了を予定していた電圧になった時点では、電源に印加される電圧が、既に電源の動作電圧以下になる可能性もあった。
【0016】
又、大型コンデンサに充電された電荷を使用して、SDカードへの書込みを行なう場合、コンデンサの温度や充電状態によって、書込みのできる時間が大きく異なり、一義的に時間を決めると書込み時間をかなり短く設定する必要があり、充分に駆動できる電荷が残っているにもかかわらず、予め設定された電圧や電源オフ後の時間で書込みを停止せざるを得なく、充分な書込み時間が確保できないといった課題があった。
【0017】
更に、システムリセットを発生させるためのリセット回路の動作可能な入力電圧やリセット電圧も温度によって変動するために、使用している温度や電流や、大型コンデンサの劣化状況によっては、予定していた書込み停止電圧でSDカードへの書込みを禁止指示しても、SDカードへの書込み禁止を実際に禁止するまでの時間内に、システムリセットが発生する場合があり、SDカードを破壊してしまう可能性があった。
【0018】
又、ドライブレコーダーの電源オン時に、記録できる状態か、そうでない状態か、または、電源オフ時に記録しているか、記録していないか等の、ドライブレコーダーの状態が不明で、電源オン直後にマニュアルトリガスイッチで、画像を記録しようとすると、内部の大型コンデンサの充電が充分でない場合には画像記録が出来ない場合があり、故障と間違えるケースもあった。
【0019】
又、通常、ドライブレコーダーは、画像等の記録として、イベント記録と呼ばれる衝突や運転者が意識的にスイッチを押した場合などにトリガ前後の一定時間を記録するものと、常時記録と呼ばれる車動いているときの画像を常に記録しておくものがある。記録媒体への記録はある一定容量のデータを複数回に分けて記載しているが、その一定容量データの記載には数秒程度必要な場合があり、その書込み中に電源がオフされシステムリセットが発生すると、記録媒体自体が破壊される等の不具合が発生する。
【0020】
この発明は、従来のドライブレコーダーに於ける前述のような課題を解決するためになされたもので、内部素子若しくは記録媒体の破壊等の不具合が発生することのない車載データ記録装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明による車載データ記録装置は、
少なくとも車両からの視界を画像データに変換するカメラと、少なくとも前記画像データを記録媒体に書込み記憶させる制御部とを備えた車載データ記録装置であって、
前記車両に搭載されたバッテリーからの電力供給を受けて電力を発生する第1の電源と、
前記バッテリーと前記第1の電源との間に接続された電源スイッチと、前記第1の電源の出力側に入力側が接続された第2の電源と、前記第1の電源の出力を前記第2の電源の入力側に供給する第1のダイオードと、前記第1の電源により充電回路を介して充電され、前記第2の電源に電力を供給し得るコンデンサと、前記コンデンサからの電流が前記充電回路に逆流するのを阻止する第2のダイオードと、前記第2の電源の入力側から前記コンデンサに電流が流入するのを阻止する第3のダイオードと、前記コンデンサの電圧をモニタするコンデンサ電圧モニタ部とを備え、
前記制御部は、前記コンデンサ電圧モニタ部によりモニタされた電圧に基づいて前記第1の電源に対する前記バッテリーからの電力供給が遮断されたことを検出し、該検出に基づいて前記記録媒体への前記書込みを停止する
ことを特徴とするものである。
【0022】
又、この発明による車載データ記録装置は、
少なくとも車両からの視界を画像データに変換するカメラと、少なくとも前記画像データを記録媒体に書込み記憶させる制御部とを備えた車載データ記録装置であって、
前記車両に搭載されたバッテリーからの電力供給を受けて電力を発生する第1の電源と、
前記バッテリーと前記第1の電源との間に接続された電源スイッチと、前記第1の電源の出力側に入力側が接続された第2の電源と、前記第1の電源の出力を前記第2の電源の入力側に供給する第1のダイオードと、前記第1の電源により充電回路を介して充電され、前記第2の電源に電力を供給し得るコンデンサと、前記コンデンサからの電流が前記充電回路に逆流するのを阻止する第2のダイオードと、前記第2の電源の入力側から前記コンデンサに電流が流入するのを阻止する第3のダイオードと、前記第2の電源の入力側の電圧をモニタする電源電圧モニタ部とを備え、
前記制御部は、前記電源電圧モニタ部によりモニタされた電圧に基づいて前記第1の電源に対する前記バッテリーからの電力供給が遮断されたことを検出し、該検出に基づいて前記記録媒体への前記書込みを停止する
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
この発明による車載データ記録装置によれば、車両に搭載されたバッテリーからの電力供給を受けて電力を発生する第1の電源と、前記バッテリーと前記第1の電源との間に接続された電源スイッチと、前記第1の電源の出力側に入力側が接続された第2の電源と、前記第1の電源の出力を前記第2の電源の入力側に供給する第1のダイオードと、前記第1の電源により充電回路を介して充電され、前記第2の電源に電力を供給し得るコンデンサと、前記コンデンサからの電流が前記充電回路に逆流するのを阻止する第2のダイオードと、前記第2の電源の入力側から前記コンデンサに電流が流入するのを阻止する第3のダイオードと、前記コンデンサの電圧をモニタするコンデンサ電圧モニタ部とを備え、前記制御部は、前記コンデンサ電圧モニタ部によりモニタされた電圧に基づいて前記第1の電源に対する前記バッテリーからの電力供給が遮断されたことを検出し、該検出に基づいて前記記録媒体への前記書込みを停止するようにしたので、内部素子若しくは記録媒体の破壊等の不具合が発生することのない車載データ記録装置を得ることができる。
【0024】
又、この発明による車載データ記録装置によれば、両に搭載されたバッテリーからの電力供給を受けて電力を発生する第1の電源と、前記バッテリーと前記第1の電源との間に接続された電源スイッチと、前記第1の電源の出力側に入力側が接続された第2の電源と、前記第1の電源の出力を前記第2の電源の入力側に供給する第1のダイオードと、前記第1の電源により充電回路を介して充電され、前記第2の電源に電力を供給し得るコンデンサと、前記コンデンサからの電流が前記充電回路に逆流するのを阻止する第2のダイオードと、前記第2の電源の入力側から前記コンデンサに電流が流入するのを阻止する第3のダイオードと、前記第2の電源の入力側の電圧をモニタする電源電圧モニタ部とを備え、
前記制御部は、前記電源電圧モニタ部によりモニタされた電圧に基づいて前記第1の電源に対する前記バッテリーからの電力供給が遮断されたことを検出し、該検出に基づいて前記記録媒体への前記書込みを停止するようにしたので、内部素子若しくは記録媒体の破壊等の不具合が発生することのない車載データ記録装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置のブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける大型コンデンサの簡易等価回路図である。
【図3】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける大型コンデンサの放電時の電圧降下特性を示すグラフである。
【図4】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(1)の制御動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(2)に用いる第3のダイオードの電圧ドロップの温度特性を示すグラフである。
【図6】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(2)に用いる第2の電源の電圧降下特性を示すグラフである。
【0026】
【図7】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(3)に用いる第2の電源の電圧降下特性を示すグラフである。
【図8】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(3)に用いる電圧降下特性の傾きの求め方を説明する説明図である。
【図9】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(4)に用いるリセット発生電圧VRSET2の電圧温度マップである。
【図10】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(1)に用いる書込み停止電圧Vsの電圧温度マップである。
【図11】この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(5)に用いる第2の電源の電圧降下特性の温度マップである。
【図12】この発明の基礎となる技術による車載データ記録装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
先ず、この発明の基礎となる技術について説明する。図12は、この発明の基礎となる技術による車載データ記録装置のブロック図である。図12に於いて、第1の電源3は、電源スイッチ2を介して車両に搭載されたバッテリー1から直流電力の供給を受け、所定の直流電圧を発生する。第2の電源4は、第1の電源から即時起動用の第1のダイオード9を介して直流電力の供給を受け、後述する制御部6に直流電力を供給する。
【0028】
比較的大きな静電容量を有するコンデンサである大型コンデンサ8は、第1の電源3から充電回路5及び第2のダイオード10を介して充電される。この大型コンデンサ8の正極側は第3のダイオード11を介して第2の電源4の入力側に接続されている。第3のダイオード11は、電源スイッチ2のオン時に、即時起動用の第1のダイオード9を介して電源1から大型コンデンサ8に即時起動用の電力が逆流するのを阻止する逆流阻止の役目を果たしている。
【0029】
電源電圧モニタ20は、第1の電源3の入力側の電圧をモニタし、制御部6にそのモニタした電圧値を入力する。コンデンサ電圧モニタ部17は、大型コンデンサ8の正極側電圧をモニタし、制御部6にそのモニタした電圧値を入力する。電源電圧モニタ4及びコンデンサ電圧モニタ部17は、A/Dコンバータ等により構成されている。
【0030】
車両に搭載されたカメラ12は、車両の前方及び車内を含む後方の視界を画像データに変換しこの画像データを制御部6に入力する。CPUにより構成された制御部6は、記録制御部14を備える。SDカード等により構成された記録媒体7は、制御部6に接続されておりカメラ12から入力された映像データを記録する。制御部6の記録制御部14は、記録媒体7への映像データの記録を制御する。
【0031】
以上のように構成されたドライブレコーダーに於いて、電源スイッチ2がオンとなれば、即時起動用の第1のダイオード9を介して即時に第2の電源4にバッテリー1から電力が供給される。これにより、制御部6は第2の電源4から直ちに電力が供給されて起動し、記録媒体7へのカメラ12からの映像情報の記録を開始する。
【0032】
又、制御部6は、制御部6へ入力される電圧を電源電圧モニタ20を用いてモニタしており、電圧モニタ部20が電源スイッチ2のオフを検知して後、或る一定時間まで記録媒体7への画像記録を続けるように動作する。
【0033】
更に、コンデンサ電圧モニタ部17は大型コンデンサ8の端子電圧をモニタしており、制御部6の記録制御部14は、そのモニタの結果に基づいて記録媒体7への書込み許可と書込み停止を判断してその記録制御を行う。
【0034】
この発明の基礎となる技術によるドライブレコーダーによれば、記録媒体7への映像データの書込み時に、事故等によりバッテリー1の接続が外れたり、電源スイッチ2がオフとなる等により電源断が発生しても、大型コンデンサ8により数十秒程度は第2の電源4の出力がオフになることはなく、記憶媒体7自体の破壊や記録が中断されることはない。又、電源スイッチ2のオン時に第1のダイオード9を介して第1の電源1から第2の電源4に即時に電力が供給されるので、大型コンデンサ8の充電時間に関係なく制御部6を起動することができ、エンジン始動後数十秒以内の事故であってもその記録をすることができる。
【0035】
更に、前述の第2のダイオード10は、電源スイッチ2のオフ時等に、大型コンデンサ8の充電電荷がその充電回路5へ逆流することを防止するための逆流阻止の役目を果たしており、電源スイッチ2がオフになった場合に、大型コンデンサ8の充電回路5側への電荷の流入を防止し、大型コンデンサ8の電荷を全て制御部6側で消費でき、電源スイッチ2のオフ時、若しくはバッテリー外れ時等に大型コンデンサ8の電荷を最大限に使用することができ、長時間、画像等の記録を行うことが可能になる。
【0036】
しかしながら、この発明の基礎となる技術によるドライブレコーダーによれば、前述の発明が解決しようとする課題で述べたような課題を備えている。
【0037】
実施の形態1.
次に、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置について説明する。図1は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置としてのドライブレコーダーのブロック図である。図1に於いて、第1の電源3は、電源スイッチ2を介して車両に搭載されたバッテリー1から直流電力の供給を受け、所定の直流電力を発生して即時起動用の第1のダイオード9を介して第2の電源4に供給する。この第2の電源4は、ドライブレコーダー内部の制御部6のIC用の電源となる。
【0038】
静電容量の比較的大きなコンデンサである大型コンデンサ8は、電源保持用として設けられており、第1の電源3から充電回路5及び第2のダイオード10を介して充電される。この大型コンデンサ8の正極側は、第3のダイオード11を介して第2の電源4の入力側に接続されている。第3のダイオード11は、第1のダイオード1からの電荷を大型コンデンサ8の充電状態に係らず確実に第2の電源4へ供給するためのものである。
【0039】
電源電圧モニタ部20は、第2の電源4の入力電圧をモニタし、制御部6にそのモニタした電圧値を入力する。コンデンサ電圧モニタ部17は、大型コンデンサ8の端子電圧をモニタし、制御部6にそのモニタした電圧値を入力する。電源電圧モニタ4及びコンデンサ電圧モニタ部17は、A/Dコンバータ等により構成されている。
【0040】
車両に搭載されたカメラ12は、車両の前方及び車内を含む後方の視界を画像データに変換しこの画像データを制御部6に入力する。CPUにより構成された制御部6は、記録制御部14を備える。SDカード等により構成された記録媒体7は、制御部6に接続されておりカメラ12から入力された映像データを記録する。制御部6は、カメラ12からの画像データの取り込みや記録媒体7への画像データの書込みを制御する記録制御部14と、書込み停止電圧算出部15と、電圧効果傾きマップ21と、電源OFF検知部18と、傾き検出部19とを備えている。
【0041】
サーミスタ等により構成された温度検知部16は、ドライブレコーダーの温度を検出し、制御部6に入力する。ヒューマンインターフェイス22は、ドライブレコーダーの動作状態若しくは記録媒体7の記録状態を運転者に知らせる機能を備えている。
【0042】
以上のように構成されたこの発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於いて、電源スイッチ2がオンした場合、大型コンデンサ8は充電回路5により行われると同時に、第1のダイオード9を介してバッテリー1から第2の電源4へ電力が供給される。このとき、第3のダイオード11は、充電中の大型コンデンサ8に第1のダイオード9からの電荷が流入しないようにブロックする。
【0043】
第1のダイオード9と第3のダイオード11により、大型コンデンサ8が完全放電したときにでも、ドライブレコーダーは電源スイッチ2のオンと同時に第2の電源4が起動しドライブレコーダーの内部ICの動作が可能となり、車両の始動直後からの画像等の記録が可能となる。
【0044】
又、電源スイッチ2がオフになった場合に、第2のダイオード10により充電回路5の出力側へ大型コンデンサ8からの電荷が流入するのを防止することにより、大型コンデンサ8の電荷を全て第2の電源4側で消費することができる。
【0045】
通常、充電回路5等は、入力電源がオフになると、充電回路5の出力インピーダンスや、充電回路5の寄生ダイオード等で入力側のインピーダンスに電荷が流れ、大型コンデンサ8の電荷が不要に消費される。しかし、第2のダイオード10の実装により、大型コンデンサ8の充電電荷を効率よく第2の電源4に使用できるため、電源スイッチ2のオフ後、又は、バッテリー1のバッテリー外れ時にでも、長時間、画像等の記録が可能になる。
【0046】
通常、ドライブレコーダーは、画像等の記録として、衝突や運転者が意識的にスイッチを押した場合等にトリガ前後の一定時間を記録する、所謂、イベント記録と称される形式のものと、車両が動いているときの画像を常に記録しておく、所謂、常時記録と称される形式のものがある。記録媒体への記録は、或る一定容量のデータを複数回に分けて記載しているが、その一定容量データの書込みには数秒程度必要な場合があり、その書込み中に電源がオフされシステムリセットが発生すると、記録媒体自体が破壊されるなどの不具合が発生する。
【0047】
そこで、このような状況を回避するために、制御部6の記録制御部14は、電源電圧モニタ部13によりモニタされた第2の電源4の入力側電圧を監視しながら記録媒体7への書込み制御を行い、低電圧でシステムリセットが発生して書込みが行なえなくなる前に事前に記録媒体7への書込みを停止して不具合の発生がないようにしている。
【0048】
図2は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける大型コンデンサの簡易等価回路図である。大型コンデンサ8は、通常、図2に示すような等価回路となっており、容量成分Cのほかに、直列抵抗分ESRを有しているため、電源スイッチ2がオフされると、ドライブレコーダーに流れる電流Iに比例して電圧が降下する電圧降下特性を備える。
【0049】
図3は、大型コンデンサ8の放電時の電圧降下特性を示すグラフであり、縦軸は大型コンデンサ8の電圧(V)、横軸は時間を示す。図3に於いて、V1は大型コンデンサ8の充電電圧を示し、記録媒体7へ画像情報等の書込み中に電源スイッチ2がオフされたりバッテリー1が外れたりしても、システムリセットが発生する電圧になる前に、書込み停止処理が完了し、記録媒体7に不具合を発生させないために充分な時間を確保できる電圧値である。Veは、大型コンデンサ8の直流抵抗分ESRによる電圧降下を示す。今、大型コンデンサ8の充電電圧をVcとすると、電源スイッチ2をオフとした際に、大型コンデンサ8の端子電圧Vgは、次式(1)に示す値に低下する。
Vg=Vc−Ve 式(1)
その後は、ドライブレコーダーでの使用電流と大型コンデンサ8の容量による電圧降下傾きf[V/sec]に示す電圧降下特性となる。
【0050】
実施例(1)
実施例(1)では、電源電圧モニタ部13とコンデンサ電圧モニタ部17とのうち少なくともコンデンサ電圧モニタ部17を備える。
【0051】
制御部6に於ける電源OFF検知部18は、コンデンサ電圧モニタ部17にてモニタした大型コンデンサ8の端子電圧がVgになったことを検出することにより、電源スイッチ2がオフしたことを検出することができ、これにより電源スイッチ2のオフを検知した後、予め定められた時間T1を経過後に、記録媒体7への書込みを禁止をすることにより、記憶媒体7の保護を行うことができる。時間T1は、例えばタイマーにより設定され、時間T1経過後の大型コンデンサ8の端子電圧は書込み停止電圧Vsとなる。
【0052】
コンデンサ電圧モニタ部17により直接的に大型コンデンサ8の端子電圧をモニタすることで、車両の12[V]又は24[V]の電源のサージ等の高電圧のリスクを持つ第1の電源3の入力部をモニタすることなく、電源スイッチ2のオフを検知でき、サージ保護等の素子を省くことができ、又、使用電子部品も低耐圧のものでよく、低価格化や、基板面積の縮小などの効果が得られるようにしたものである。
【0053】
図4は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置の実施例(1)の制御動作を示すフローチャートであり、コンデンサ電圧モニタ部17による大型コンデンサ8の端子電圧のモニタに基づく書込み禁止処理を示している。図4に於いて、ステップS1では記録媒体7への画像データ等の書込み要求があるか否かを判定し、書込み要求があれば(Yes)、ステップS2に進みコンデンサ電圧モニタ部17によりモニタされている大型コンデンサ8の端子電圧がV1以上であるか否かを判定する。
【0054】
ステップS2での判定の結果、大型コンデンサ8の端子電圧がV1以上であれば(Yes)、ステップS3に進み記録制御部14により記録媒体7への画像データ等の書込みを実施する。尚、ステップS1、及びステップS2に於ける判定の結果がNoであれば、記録媒体7への書込みを行わず処理を終了する。
【0055】
次に、ステップS4に於いて、記録媒体7への書込み中にコンデンサ電圧モニタ部17によりモニタしている大型コンデンサ8の電圧がVg以下であるか否かを判定し、大型コンデンサ8の電圧がVg以下になった場合(Yes)には、ステップS5にて電源スイッチ2がオフ若しくはバッテリー1が外れたと認識し、次にステップS6による予め定められた前述のタイマー時間T1の経過後に、ステップS7に於いて記録制御部14は記録媒体7への書込み停止処理を実施して処理を終了する。
【0056】
通常、低温時で大型コンデンサ8の容量Cや直列抵抗分ESRが劣化し、且つ、使用電流つまり放電電流が最大の時に、大型コンデンサ8の放電時の電圧降下傾きが最も急となり、書込み停止電圧Vsには最も高い電圧が必要になるために、その条件で、予めタイマー時間T1を実機検証やカタログ値等から求めて設定する。
【0057】
実施例(2)
実施例2では、電源電圧モニタ13とコンデンサ電圧モニタ部17とのうち少なくとも電源電圧モニタ13を備える。電源電圧モニタ13は、第2の電源4の入力部の電圧とを
モニタする。
【0058】
実施例(2)の場合、第2の電源4の入力電圧を電源電圧モニタ13によりモニタすることで、更に精度の高い記憶媒体7の書込み制御を実現する。前述のこの発明の基礎となる技術によるドライブレコーダーでは、大型コンデンサ8の電圧をモニタして、書込み許可と書込み停止を判断しているが、実際には第3のダイオード11の電圧ドロップが発生し、このドロップ電圧が第3のダイオード11の特性のバラツキや温度、電流によって大きく異なってくるために、書込み停止電圧を予測して制御する必要があったが、実施例(2)では、第2の電源4の入力電圧を直接モニタしており、後述する書込み停止電圧Vssを精度良く設定できるため、効率よく記録媒体7の書込み停止電圧を設定することができる。
【0059】
図5は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(2)に用いる第3のダイオードの電圧ドロップの温度特性を示すグラフであり、縦軸はダイオード電圧ドロップVF(V)、横軸は温度を示す。図5に示すように、第3のダイオード11に流れる電流の大小により、電圧ドロップの温度特性が大きく異なる。
【0060】
図6は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(2)に用いる第2の電源の電圧降下特性を示すグラフであり、縦軸は第2の電源4の入力電圧、横軸は時間を示す。通常、書込みができなくなるのは、第2の電源4の入力電圧又は出力電圧が図示していないリセットICのリセット電圧以下になった場合であるが、実施例(2)では、第2の電源4の入力電圧を用いて説明する。
【0061】
図6に於いて、電源スイッチ2がオフし若しくはバッテリー1が外れる等により第1の電源3がオフすると、第2の電源4の入力電圧は電圧降下特性の傾きffにより電圧が降下する。実際に設定する書込み停止電圧Vssは、電源オフ時点から書込み可能時間X後の電圧値である。書込み停止電圧Vssとなってから書込み停止制御に必要な時間T2後に於ける第2の電源4の入力電圧の値はVRST2となる。
【0062】
前述の書込み停止制御に必要な時間T2は、書込み停止電圧Vssとなって制御部6が記録媒体7へ記録禁止指示を出してから、実際に記録停止を行い、システムリセットが発生しても記録媒体7を破壊しないように準備をする時間であり、予め測定等から決められた電圧降下傾きffから、次式(2)により算出する。
Vss=VRSET2+ff×T2 式(2)
【0063】
実施例(2)では、第1の電源3がオフされてから、書込み可能な時間は、図6に示す時間Xで示される。
【0064】
実施例(3)
実施例3では、書込み停止電圧算出部15により、電圧モニタ部で検知した電圧を時系列で認識して、電源オフ毎の、電圧降下の実際の傾きを求め、その傾きを利用して、システムリセットが発生するまでに必要な時間T2を確保するための設定電圧Vsssをインテリジェントに設定する制御を行なう。この実施例(3)では、電源電圧モニタ13とコンデンサ電圧モニタ部17とのうち何れを用いてもよいが、以下の説明では電源電圧モニタ13を用いる場合について説明する。
【0065】
前述の実施例(1)に於いて図3により説明した書込み停止電圧Vs、及び実施例(2)に於いて図6により説明した書込み停止電圧Vssは、低温時で且つ電流が最大で電圧降下の傾きが最も急な場合を予め算出して設定し、ドライブレコーダ−使用環境下に於いては、如何なる場合でもシステムリセットが発生する前に、時間T2を確保するように設定した値であるが、ドライブレコーダーの実使用上では温度は10°〜40℃程度での使用が殆どであり、実使用上では電圧降下の傾きが緩やかである場合が多い。その場合でも書込み停止電圧Vs、又はVssになれば書込みを停止していた。このため、実使用上では書込み時間のマージンが充分にあるのに書込み禁止時間Vs、又はVssになったため書込みを停止し、最大書込み時間の能力を発揮できないことがある。
【0066】
実施例(3)では、電圧降下の傾きを電源オフ毎に時系列で把握することで、ドライブレコーダーの電源オフ時点での状態で最も書込み時間が長くなるように、書込み停止電圧Vsssを設定できるようにしたものである。
【0067】
図7は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(3)に用いる第2の電源の電圧降下特性を示すグラフであり、縦軸は第2の電源4の入力電圧、横軸は時間を示す。図7に於いて、リセット発生電圧をVRSET2[V]、電圧降下特性の傾きを fff[V/sec]、書込み停止制御に必要な時間をT2[sec]、書込
み停止電圧をVsss[V]とすれば、次式(3)が成立し、ドライブレコーダーの現状にあった最適の書込み停止電圧をVsssを電源オフ毎に設定でき、書込み時間を最大にすることができる。
Vsss=VRSET2+fff×T2 式(3)
【0068】
図7から明らかなように、緩やかな電圧降下特性の傾きfffの場合には、書込み停止Vsssは、急な電圧降下特性の傾きffの場合の書込み停止電圧Vssより低く設定できるために、書込み可能時間を、急な電圧降下特性の傾きffの場合の書込み可能時間Xより長い時間Zにすることが可能となる。
【0069】
電圧降下特性傾きfffの求め方は、一般的に複数回サンプリングをした値の移動平均値を採用する等の方法がある。一例として、その求め方を図8に基づいて説明する。図8は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(3)に用いる電圧降下特性の傾きの求め方を説明する説明図である。図8に於いて、Vm、Vn、Vo、Vp、Vq、Vrは、1[mS]毎に第2の電源4の入力電圧をサンプリング時の電圧値を示す。
【0070】
図8から明らかなように、第2の電源4の入力電圧は、Vmから1[mS]毎にVn、Vo、Vp、Vq、Vrと変化してきている。電圧降下特性の瞬時傾き1は、次式(4)により算出される。
瞬時傾き1=(Vm−Vn)/1[mS] 式(4)
【0071】
同様に、電圧降下特性の瞬時傾き2は、次式(5)により算出する。
瞬時傾き2=(Vn−Vo)/1[mS] 式(5)
以降、順次サンプリング毎に同様にサンプリングして瞬時傾きを求める。
【0072】
しかし、ノイズ等の影響で電圧のサンプリング値を一回でも誤検出すれば、電圧効果の傾きの算出に大きな誤算出が発生するため、次式(6)に示す移動平均にて平均傾きを算出するのが一般的である。
平均傾き1(1回目)
=(Vm−Vn)+(Vn−Vo)+(Vo−Vp))/(3[mS]) 式(6)
【0073】
式(6)では、4回のサンプリングに於ける移動平均の1回目の算出結果を示すが、2回目の算出は、VmをVnに、VNをVoに順次置き換えた次式(7)により算出する。
平均傾き2(2回目)
=((Vn−Vo)+(Vo−Vp)+(Vp−Vr))/(3[mS]) 式(7)
【0074】
この移動平均による平均傾きの算出方法では、サンプリング回数を多くするほど、安定した結果になるが、急峻な変化の検出が出来なくなるため、サンプリング回数は傾きの傾向によって決める場合が多い。
【0075】
このように、電源オフ時点の環境下での電圧降下特性の傾きを算出することで、その時点で最適の書込み停止電圧Vsssを設定することができ、時間T2時間を確保できる最
低電圧を設定できる。従って、SDカードを破壊することなく、電源オフから最も長い時間の書込みが可能になる。
【0076】
実施例(4)
実施例4では、サーミスタ等により構成した温度検知部16と、リセット発生電圧VRSET2[V]を温度によって可変にするための温度マップを備えている。
【0077】
システムリセットが発生するリセット発生電圧VRSET2は、通常使用するリセットICにより決まるが、そのリセット発生電圧VRSET2は、温度によって変化するため、実施例(4)では図9に示すような、リセット発生電圧VRSET2の温度マップを備え、温度検知部16により検出した温度によって、そのマップからリセット発生電圧VRSET2を決定する。これにより、より長い書込み時間を確保することができる。図9は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(4)に用いるリセット発生電圧VRSET2の電圧温度マップである。
【0078】
実施例(4)では、温度検知部16により検出した温度に対応するリセット発生電圧VRSET2を、図9に示す電圧温度マップ用いて直線補間を行い求める。例えば、検出した温度が45[℃]であれば、リセット発生電圧VRSET2は、次式(8)により求めることができる。
VRSET2(45℃)
=3.45[V]+((3.4−3.45)/(60[℃]−40[℃]))
×(45[℃]−40[℃])
=3.4375[V] 式(8)
【0079】
尚、検出した温度より、リセット発生電圧VRSET2が高めの温度に対応すると認識してその値を用いる場合もある。
【0080】
実施例(4)の場合、0[℃]以上20[℃]未満の場合は、0[℃]に対応する電圧3.55[V]をリセット発生電圧VRSET2として用いて制御し、20[℃]以上40[℃]未満の場合は20[℃]の電圧3.5[V]をリセット発生電圧VRSET2として用いて制御する。
【0081】
又、前述の実施例(1)では、大型コンデンサ8の電圧をモニタして書込み停止電圧を決めていたが、この場合も、図6のように温度によるダイオードの電圧ドロップVF(V)は予め既知であり、温度によって、設定する書込み停止電圧Vsのマップを作製して、そのマップに従って書込み停止電圧Vsを可変とすることで、精度良く書込み停止電圧を設定することができる。図10は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(1)に用いる書込み停止電圧Vsの電圧温度マップである。
【0082】
実施例(5)
実施例(5)では、サーミスタ等により構成した温度検出部16と書込み停止電圧Vs
ssを算出するために必要な電圧降下傾きを温度に基づいて可変とするための電圧降下傾きマップを備える。
【0083】
前述の実施例(3)の場合は、電源オフ毎に電圧降下傾きを算出して書込み停止電圧Vsssを算出したが、実施例(5)では、予め準備した電圧降下傾きの温度マップを備えており、電源オフ時のドライブレコーダーの温度、又は電源オフ直前のドライブレコーダーの温度、又は順次検出しているドライブレコーダーの温度により、電圧降下傾きαをそのマップから求めて書込み停止電圧Vsssを設定する。図11は、この発明の実施の形態1による車載データ記録装置に於ける実施例(5)に用いる第2の電源の電圧降下特性の温度マップである。
【0084】
この実施例(5)では、図11に示す温度マップにより求めた、第2の電源の入力電圧の電圧降下特性の傾きαを用いて、次式(9)により書込み停止電圧Vsssを設定する。
Vsss=VRST2+αT2 式(9)
【0085】
又、前述の書込み停止電圧Vsssは、実施例(4)で用いた図9のマップから算出したリセット発生電圧VRSET2を用いてもよい。αは、予め実測等で各温度による傾きを求めておく。補間計算は前述と同様の方法による。
【0086】
実施例(6)
実施例(6)では、ヒューマンインターフェイス22によるドライブレコーダーの状態を運転者に知らせる手段を有している。
【0087】
例えば、電源オフから、大型コンデンサ8の充電中で画像記録が出来ない状態であるときには、ヒューマンインターフェイス22に設けられたLEDを点滅させ、記録できる状態になればLEDを連続点灯させたり、或いは、画像記録が出来ない状態であるときには、オレンジ色のLEDを点灯させ、記録できる状態になれば青色のLEDを点灯させる。又、7セグメントLEDによる状態表示を実施することもできる。
【0088】
又、音声によって、「コンデンサ充電中で記録できません。」「充電が完了しましたので、画像記録が可能になりました。」等のアナウンスを行なうようにしてもよい。
【0089】
このようなヒューマンインターフェイス22によって、運転者はドライブレコーダーの状態を把握でき使用時の安心感を持つと共に、動作不良と勘違いすることを防止できる。
【0090】
尚、前述の実施例(1)乃至(6)を適宜組み合わせて実施してもよいことは勿論である。
【0091】
以上述べたこの発明の実施の形態1による車載データ記録装置によれば、記録制御部が大型コンデンサの電圧をモニタしながら、その電圧をもとに電源オフを検出することによてって、車両電源(12[V]又は24[V])のサージ等の高電圧でドライブレコーダーの内部素子を破壊することが防止できる。
【0092】
又、サージ保護用の素子の削除が可能で、また、基板の面積が縮小でき小型軽量低価格化が可能になる。
【0093】
更に、大型コンデンサの電圧と第2の電源13の入力電圧を直接モニタすることで、書込み許可となる電圧は大型コンデンサ電圧で行い、書込み禁止とする電圧は、第2の電源13の入力電圧のモニタ値とすることで、最も効率よくかつ精度良く記録媒体の書込み停
止電圧を設定でき、低電圧でシステムリセットが発生して書込みが行なえなくなる前に事前に記録媒体への書込み停止し、記録媒体の不具合の発生防止が可能となる。
【0094】
又、実使用(温度や電流やコンデンサの劣化等)に応じ、書込み停止電圧を可能な範囲で低く設定でき、書込み可能時間を長くすることが可能となる。
【0095】
更に、システムリセットの発生する温度特性を考慮することで実使用温度に応じた、書込み停止電圧を可能な範囲で低く設定でき、書込み可能時間を長くすることが可能となる。
【0096】
又、従来例のように電圧モニタ部が少ない場合で大型コンデンサのみの電圧モニタしかできない場合でも、ダイオードドロップ分の温度による補正が可能で、書込み時間を実使用に応じ長くすることができる。
【0097】
又、電圧の傾き検出などの複雑な制御をすることなく、温度による補正が可能で、書込み時間を実使用に応じ長くすることができる。
【0098】
更に、ヒューマンインターフェイスによって、運転者はドライブレコーダーの状態を把握でき使用時の安心感を持つと共に、動作不良と勘違いすることを防止できる。
【符号の説明】
【0099】
1 バッテリー 2 電源スイッチ
3 第1の電源 4 第2の電源
5 充電回路 6 制御部
7 記録媒体 8 大型コンデンサ
9 第1のダイオード 10 第2のダイオード
11 第3のダイオード 12 カメラ
13 電源電圧モニタ部 14 記録制御部
15 書込み停止電圧算出部 16 温度検知部
17 コンデンサ電圧モニタ部 18 電源オフ検知部
19 傾き検出部 22 ヒューマンインターフェイス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも車両からの視界を画像データに変換するカメラと、少なくとも前記画像データを記録媒体に書込み記憶させる制御部とを備えた車載データ記録装置であって、
前記車両に搭載されたバッテリーからの電力供給を受けて電力を発生する第1の電源と、
前記バッテリーと前記第1の電源との間に接続された電源スイッチと、前記第1の電源の出力側に入力側が接続された第2の電源と、前記第1の電源の出力を前記第2の電源の入力側に供給する第1のダイオードと、前記第1の電源により充電回路を介して充電され、前記第2の電源に電力を供給し得るコンデンサと、前記コンデンサからの電流が前記充電回路に逆流するのを阻止する第2のダイオードと、前記第2の電源の入力側から前記コンデンサに電流が流入するのを阻止する第3のダイオードと、前記コンデンサの電圧をモニタするコンデンサ電圧モニタ部とを備え、
前記制御部は、前記コンデンサ電圧モニタ部によりモニタされた電圧に基づいて前記第1の電源に対する前記バッテリーからの電力供給が遮断されたことを検出し、該検出に基づいて前記記録媒体への前記書込みを停止する
ことを特徴とする車載データ記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記コンデンサ電圧モニタ部1によりモニタされたコンデンサ電圧に基づいて、前記コンデンサ電圧の電圧変動の傾きを検出する傾き検出部を備え、前記検出した電圧変動の傾きに基づいて前記記録媒体への書込みを停止すべき停止電圧を設定することを特徴とする請求項1に記載の車載データ記録装置。
【請求項3】
少なくとも車両からの視界を画像データに変換するカメラと、少なくとも前記画像データを記録媒体に書込み記憶させる制御部とを備えた車載データ記録装置であって、
前記車両に搭載されたバッテリーからの電力供給を受けて電力を発生する第1の電源と、
前記バッテリーと前記第1の電源との間に接続された電源スイッチと、前記第1の電源の出力側に入力側が接続された第2の電源と、前記第1の電源の出力を前記第2の電源の入力側に供給する第1のダイオードと、前記第1の電源により充電回路を介して充電され、前記第2の電源に電力を供給し得るコンデンサと、前記コンデンサからの電流が前記充電回路に逆流するのを阻止する第2のダイオードと、前記第2の電源の入力側から前記コンデンサに電流が流入するのを阻止する第3のダイオードと、前記第2の電源の入力側の電圧をモニタする電源電圧モニタ部とを備え、
前記制御部は、前記電源電圧モニタ部によりモニタされた電圧に基づいて前記第1の電源に対する前記バッテリーからの電力供給が遮断されたことを検出し、該検出に基づいて前記記録媒体への前記書込みを停止する
ことを特徴とする車載データ記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記電源電圧モニタ部1によりモニタされた前記第2の電源の入力電圧に基づいて、前記入力電圧の電圧変動の傾きを検出する傾き検出部を備え、前記検出した電圧変動の傾きに基づいて前記記録媒体への書込みを停止すべき停止電圧を設定することを特徴とする請求項3に記載の車載データ記録装置。
【請求項5】
前記車載データ記録装置の温度を検出する温度検出部を備え、
前記制御部は、前記検出された温度に基づいて前記停止電圧を設定することを特徴とする請求項1乃至4のうちの何れか1項に記載の車載データ記録装置。
【請求項6】
温度と電圧とを対応させたマップを備え、
前記制御部は、前記検出された温度から前記マップに基づいて前記停止電圧の設定を行
うことを特徴とする請求項5に記載の車載データ記録装置。
【請求項7】
温度と前記電圧変動の傾きを対応させたマップを備え、
前記検出された温度から前記マップに基づいて前記電圧変動の傾きを検出することを特徴とする請求項2又は4に記載の車載データ記録装置。
【請求項8】
前記記録装置の記録状態を示すヒューマンインターフェイスを有することを特徴とする請求項1乃至7のうちの何れか1項に記載の車載データ記録装置。
【請求項1】
少なくとも車両からの視界を画像データに変換するカメラと、少なくとも前記画像データを記録媒体に書込み記憶させる制御部とを備えた車載データ記録装置であって、
前記車両に搭載されたバッテリーからの電力供給を受けて電力を発生する第1の電源と、
前記バッテリーと前記第1の電源との間に接続された電源スイッチと、前記第1の電源の出力側に入力側が接続された第2の電源と、前記第1の電源の出力を前記第2の電源の入力側に供給する第1のダイオードと、前記第1の電源により充電回路を介して充電され、前記第2の電源に電力を供給し得るコンデンサと、前記コンデンサからの電流が前記充電回路に逆流するのを阻止する第2のダイオードと、前記第2の電源の入力側から前記コンデンサに電流が流入するのを阻止する第3のダイオードと、前記コンデンサの電圧をモニタするコンデンサ電圧モニタ部とを備え、
前記制御部は、前記コンデンサ電圧モニタ部によりモニタされた電圧に基づいて前記第1の電源に対する前記バッテリーからの電力供給が遮断されたことを検出し、該検出に基づいて前記記録媒体への前記書込みを停止する
ことを特徴とする車載データ記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記コンデンサ電圧モニタ部1によりモニタされたコンデンサ電圧に基づいて、前記コンデンサ電圧の電圧変動の傾きを検出する傾き検出部を備え、前記検出した電圧変動の傾きに基づいて前記記録媒体への書込みを停止すべき停止電圧を設定することを特徴とする請求項1に記載の車載データ記録装置。
【請求項3】
少なくとも車両からの視界を画像データに変換するカメラと、少なくとも前記画像データを記録媒体に書込み記憶させる制御部とを備えた車載データ記録装置であって、
前記車両に搭載されたバッテリーからの電力供給を受けて電力を発生する第1の電源と、
前記バッテリーと前記第1の電源との間に接続された電源スイッチと、前記第1の電源の出力側に入力側が接続された第2の電源と、前記第1の電源の出力を前記第2の電源の入力側に供給する第1のダイオードと、前記第1の電源により充電回路を介して充電され、前記第2の電源に電力を供給し得るコンデンサと、前記コンデンサからの電流が前記充電回路に逆流するのを阻止する第2のダイオードと、前記第2の電源の入力側から前記コンデンサに電流が流入するのを阻止する第3のダイオードと、前記第2の電源の入力側の電圧をモニタする電源電圧モニタ部とを備え、
前記制御部は、前記電源電圧モニタ部によりモニタされた電圧に基づいて前記第1の電源に対する前記バッテリーからの電力供給が遮断されたことを検出し、該検出に基づいて前記記録媒体への前記書込みを停止する
ことを特徴とする車載データ記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記電源電圧モニタ部1によりモニタされた前記第2の電源の入力電圧に基づいて、前記入力電圧の電圧変動の傾きを検出する傾き検出部を備え、前記検出した電圧変動の傾きに基づいて前記記録媒体への書込みを停止すべき停止電圧を設定することを特徴とする請求項3に記載の車載データ記録装置。
【請求項5】
前記車載データ記録装置の温度を検出する温度検出部を備え、
前記制御部は、前記検出された温度に基づいて前記停止電圧を設定することを特徴とする請求項1乃至4のうちの何れか1項に記載の車載データ記録装置。
【請求項6】
温度と電圧とを対応させたマップを備え、
前記制御部は、前記検出された温度から前記マップに基づいて前記停止電圧の設定を行
うことを特徴とする請求項5に記載の車載データ記録装置。
【請求項7】
温度と前記電圧変動の傾きを対応させたマップを備え、
前記検出された温度から前記マップに基づいて前記電圧変動の傾きを検出することを特徴とする請求項2又は4に記載の車載データ記録装置。
【請求項8】
前記記録装置の記録状態を示すヒューマンインターフェイスを有することを特徴とする請求項1乃至7のうちの何れか1項に記載の車載データ記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−108158(P2011−108158A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264972(P2009−264972)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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