説明

車載光遮断検知システム

【課題】歩行者あるいは侵入者が車両の危険区域禁止区域に侵入したことを検知する方法とシステムを提供する。
【解決手段】図2に示すように車両の外部表面8に、少なくとも1対の立ち上げ支持具が間隔をあけて備えられ、片方の立ち上げ支持具A1に発光器3が、他方の立ち上げ支持具B2に受光器4が設置され、発光器3からの光ビーム10が受光器4で受光するように設置されており、当該受光器4は光ビーム10を受光して電気信号を出力する構成をなし、係る系において、発光器3から出射した光ビーム10が遮断された場合、受光器4からの電気信号が遮断さあれることを特徴とする車載光遮断検知システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車両に搭載し、光ビームの遮断を利用して、歩行者あるいは侵入者を検知するための車載光遮断検知システムである。
【背景技術】
【0002】
図1Aに示すように、従来、車載歩行者検知システムは、車両に搭載された歩行者検知部24と歩行者検知処理部25と歩行者検知報知・指示部26から構成されている。歩行者の検知部として代表的なものとして
A撮像方式、B赤外線検知方式、Cレーダ方式等がある。
Aの撮像方式は車両に搭載された撮像管やCCDカメラで歩行者と周囲景色を撮像し、歩行者と周囲風景を識別し、且つ歩行者でも車との相対位置を画像処理して、さらに危険か否かを自車の走行データと比較検証して計算機で処理判断し、報知部に接続する方式である。特許文献1を参照。
Bの赤外線検知方式は車両に搭載された赤外線検知器で歩行者と周囲景色を検知し、歩行者と周囲景色を温度と画像処理で識別して、さらに危険か否かを自車の走行データと比較検証して計算機で処理判断し、報知部に接続する方式である。特許文献2を参照。
Cのレーダ方式は車両に搭載されたミリ波や光レーダで歩行者と周囲景色を検知し、歩行者と周囲景色を識別して、さらに危険か否かを自車の走行データと比較検証して計算機で処理判断し、報知部に接続する方式である。特許文献3を参照。
【0003】
図1Bの光コリメータとして示すように、従来、光ビーム10の形成法としては、光ファイバ29の前面にレンズ27を置き、拡散光を平行光に変換する出射側光平行変換器13や平行光を集光する入射側光平行変換器14を利用したり、LD(レーザダイオード)、LED(発光ダイオード)等の発光器の前面にレンズをおいたり、LD,LEDの光ビームをそのまま利用する方法など公知である。非特許文献1
【0004】
【特許文献1】特開2001−28050号公報
【特許文献2】特開平11−353595公報
【特許文献3】特開平11−94945公報
【非特許文献1】「光情報産業と先端技術」工学図書株式会社 1997
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
段落番号0002に前述した、従来の代表的なAの撮像方式、Bの赤外赤外線検知方式、Cのレーダ方式等の従来システムの歩行者検知部は、共通して次の2の致命的な欠点と課題を有し、実用に供するには時間を要する。すなわち
課題1.歩行者と周囲景色の識別に処理時間と費用がかかる。
天候や周囲景色の複雑な場合、処理時間がかかり、それに伴い危険が増大する。
課題2.歩行者までの距離が正確でない場合が多く誤動作の原因になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図2と図2を拡大した図3に示すように、車両の外部表面8に、少なくとも1対の立ち上げ支持具が間隔をあけて備えられ、片方の立ち上げ支持具A1に発光器3が、他方の立ち上げ支持具B2に受光器4が設置され、発光器3からの光ビーム10が受光器4で受光するように設置されており、当該受光器は光ビームを受光して電気信号を出力する受光器用電源6に接続されており、係る系において、発光器3から出射した光ビー10が遮断された場合、受光器からの電気信号が遮断されることを特徴とする車載光遮断検知システム。
【発明の効果】
【0007】
本発明の光歩行者検知方式の効果として
(1)従来方式は、前記課題1に記述したように、歩行者と周囲景色の識別に処理時間と費用がかかっていたが、図2に示すように本発明方式では、光ビーム10の遮断の有無で歩行者あるいは侵入者を検知するので時間を全く必要としない。また周囲の景色との識別の必要がなく、単に光の遮断のみで検知・動作するので、複雑な装置を必要としない。さらに従来方式のように、天候や周囲景色の複雑な場合、要因が多岐にわたるので、処理時間がかかり、それにともない作動時間が遅れ、危険が増大する課題にたいしても、本発明では、瞬時に検知できるので、エアバックやブレーキ作動への伝達時間が短く、外部環境の影響も軽微であり、安全且つ経済的である。
(2)前記課題2に記述したように、従来方式では歩行者までの距離が正確でない場合が多く、誤動作の原因になる可能性が大であるが、本発明の方式では図2に示すように、支持具A1と支持具B2に設置された発光器3と受光器4の車両からの立ち上げ距離があらかぢめ設定され、固定されているので、光ビーム10は車両から一定間隔で固定され、歩行者が光ビームを遮断するかどうかのみで決定されるので、課題2は解決される。
ただし、新たに発生する課題として、支持具A1と支持具B2の車両設置場所に制約があるが、これは車両製造社の設計と交通規制によって、決定される設計上のことではある。たとえば、図9に示すように、支持具A1としては車両のバックミラー支持具の先端を代用するとか、支持具B2としては車両後部の角に設置し、緊急の場合、歩行者が接触しても致命傷にならないためのバネ状支持具、折りたたみ式の支持具、弾性体支持具等々、細かい設計で解決される。
【0008】
図4に示すように、車両筐体の外表面8に、少なくとも1対のる立ち上げ支持具が間隔をあけて備えられ、片方の立ち上げ支持具A1に発光器3と受光器4が、他方の立ち上げ支持具B2に反射器7が設置され、発光器からの光ビーム10が反射器7で反射し、反射した光ビーム10が受光器4で受光するように設置されており、当該受光器は光ビームを受光して電気信号を出力する受光器用電源6に接続されており、係る系において、発光器3から出射した光ビーム10が遮断された場合、受光器4からの電気信号が遮断されることを特徴とする車載光遮断検知システム。
本発明の効果として
(1)反射鏡を支持具Bに設置し、発光器と受光器を支持具Aに設置することにより、前記段落番号0007の発光器と受光器が分離設置型に比較して、能動素子の発光器と受光器の設置が片側ですみ、電源も1箇所ですみ、設置の制約と作業工数など経済効果が大である。
(2)光ビームが上りと下りの2ビームになり、前記段落番号0007の単ビーム方式と比較し、検知精度がビーム数に比例して向上する。
【0009】
図5に示すように、車両筐体の外部表面8に、少なくとも1対のる立ち上げ支持具が間隔をあけて備えられ、片方の立ち上げ支持具A1に発光器2と光ファイバコード12で接続された出射用光平行変換器13が、他方の立ち上げ指示具2に受光器3と光ファイバコード12で接続された入射用光平行変換器14が設置されており、出射用光平行変換器13からの光ビーム10が入射用光平行変換器14で受光するように設置されており、当該入射用光平行変換器14から受光した受光器は電気信号を出力する構成になっており、係る系において、出射用光平行変換器13から出射した光ビーム10が遮断された場合、受光器4からの電気信号が遮断されることを特徴とする車載光遮断検知システム。
本発明の効果として、
(1)前記段落番号0008の支持具A1と支持具B2に直接発光器3と受光器4を設置する方式では、能動素子である発光器3と受光器4が直接外部環境に曝されているので、水密処理に時間と費用をようするが、本発明の方式では受動素子である出射側光平行変換器13、入射側光平行変換器14、光ファイバコード12等を使用しているので、前記段落番号0007の欠点は軽減される。
【0010】
図6に示すように、車両の外部表面8に、少なくとも1対のる立ち上げ支持具が間隔をあけて備えられ、片方の立ち上がり指示具1に、発光器4と光ファイバコード12で接続された出射用光平行変換器と受光器4と光コファイバード12で接続された入射用光平行変換器14が設置されており、他方の立ち上げ支持具B2に反射器7が、出射用光平行変換器13からの光ビーム10が反射器7で反射し、反射した光ビーム10が入射用光平行変換器14で受光するように設置されており、当該入射用光平行変換器14から受光した受光器は電気信号を出力する構成になっており、係る系において、出射用光平行変換器13から出射した光ビーム10が遮断された場合、受光器4からの電気信号が遮断されることを特徴とする車載光遮断検知システム。
本発明の効果として
(1)反射器7を支持具B2に設置し、出射光平行変換器13と入射光平行変換器14を受光支持具A1に集約して設置することにより、前記段落番号0009の出射光平行変換器13と入射光平行変換器14が分離設置型に比較して、小型化、設置の制約と作業工数など経済効果が大である。
(2)光ビームが上りと下りの2ビームになり、前記段落番号0009の単ビーム方式と比較し、検知精度がビーム数に比例して向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図2、図3に示すように、車両の外部表面8に、少なくとも1対のる立ち上げ支持具が間隔をあけて備えられ、片方の立ち上げ支持具A1に発光器3が、他方の立ち上げ支持具B2に受光器4が設置され、発光器3からの光ビーム10が受光器4で受光するように設置されており、当該受光器は光ビームを受光して電気信号を出力する構成をなし、係る系において、発光器3から出射した光ビー10が遮断された場合、受光器からの電気信号が遮断されることを特徴とする車載光遮断検知システム。
発光器3は、LD(レーザー・ダイオード)、LED(発光ダイオード)いずれも可能であり、受光器4はPD(フォトダイオード)、APD(アバランシェ・フォトダイオード)等で構成され、発光器・受光器の前面にレンズ、コリメータレンズ、ファイバレンズ等レンズを設置しても良い。また設置環境により、防水、防滴、防塵などの付加設備を具備する。
【実施例】
【0012】
図7に実施例を示す。支持具A1と支持具B2の間隔が2m、高さそれぞれ0.3m立ち上げ支持具を設置し、各支持具に1.3ミクロンの発光器3と受光器4をセットし、各機器を動作状態とし、光ビーム10の通路に、縦横0.2mの侵入物15を置いて検証した。その結果、侵入物15を置いた場合と取り除いた場合の光出力レベル差を測定した結果、測定限界50db以上であった。同図からシステムが正常に動作することが確認された。
【0013】
図8に本発明光遮断検知システムを利用して、エアバック作動装置18、ブレーキ作動装置19と連動させたシステムブロック図を示す。発光器3から出射された光ビーム10が遮断されると受光器4からの遮断信号21が出力され、総合監視制御装置17に入力される。一方走行速度、風力、道路等の車両走行監視装置からの車両走行状態信号20も同時に総合監視制御装置17に入力される。総合監視制御装置17で総合的に判断して、エアバック作動装置18にエアバック作動信号22が、ブレーキ作動装置19ブレーキ作動信号が出力され、エアバックとブレーキが作動する。
【0014】
図9に立ち上げ支持具A1として、車両サイド用バックミラー支持具B27を使用した例を示す。左側サイドバックミラーの支持具27の先端部に発光器3を設置した例である。また、立ち上げ支持具A1として、フロント用バックミラーを、立ち上げ支持具B2としてサイド用バックミラーを、それぞれに発光器3と受光器4を設置する方式も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】従来の車載歩行者検知システムのブロック図である。
【図1B】公知の光コリメータに使用されている出射用光平行変換器と入射用光平行変換器の断面図である。
【図2】本発明の車載光遮断検知システムの基本構成図で、光検知構成部品の配置と車への設置を説明するための断面図である。
【図3】本発明の車載光遮断検知システムの構成図の断面図で図2の拡大図である。
【図4】本発明の車載光遮断検知システムの反射器利用型構成図であり、光検知構成部品の配置と車への設置を説明するための断面図である。
【図5】本発明の車載光遮断検知システムの光平行変換器利用型構成図であり、光検知構成部品の配置と車への設置を説明するための断面図である。
【図6】本発明の車載光遮断検知システムの光平行変換器と反射器利用型構成図であり、光検知構成部品の配置と車への設置を説明するための断面図である。
【図7】本発明の光遮断検知システムの動作を検証すための実施例である。
【図8】本発明の光遮断検知システムをエアバック作動、ブレーキ作動システムに応用する説明図である。
【図9】本発明の支持具A1として車両サイド用バックミラーを代用した1例の見取図である。
【符号の説明】
【0016】
1 立ち上げ支持具A
2 立ち上げ支持具B
3 発光器
4 受光器
5 発光器用電源(入力端子付)
6 受光器用電源(出力端子付)
7 反射鏡
8 車両筐体
9 ヘッドライト
10 光ビーム
11 電気コード
12 光ファイバコード
13 出射用光平行変換器
14 入射用光平行変換器
15 歩行者ありは侵入者
16 車両走行監視装置
17 総合監視制御装置
18 エアバック作動装置
19 ブレーキ作動装置
20 車両走行状態信号
21 歩行者あるいは侵入者検知信号
22 エアバック作動用信号
23 ブレーキ作動用信号
24 歩行者検知部
25 歩行者検知処理部
26 歩行者検知報知部
27 レンズ
28 鞘
29 光ファイバ
30 車両サイド用バックミラー支持具
31 バックミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1対の立ち上げ支持具が間隔をあけて車両の外部表面から突き出して備えられ、片方の立ち上げ支持具に発光器が、他方の立ち上げ支持具に受光器が設置され、発光器からの光ビームが受光器で受光するように設置されており、当該受光器は光ビームを受光して電気信号を出力する構成をなし、係る系において、発光器から出射した光ビームが遮断された場合、受光器からの電気信号が遮断されることを特徴とする車載光遮断検知システム。
【請求項2】
少なくとも1対の立ち上げ支持具が間隔をあけて車両の外部表面から突き出して備えられ、片方の立ち上げ支持具に発光器と受光器が、他方の立ち上げ支持具に反射器が設置され、発光器からの光ビームが反射器で反射し、反射した光ビームが受光器で受光するように設置されており、当該受光器は光ビームを受光して電気信号を出力する構成をなし、係る系において、発光器から出射した光ビームが遮断された場合、受光器からの電気信号が遮断されることを特徴とする車載光遮断検知システム。
【請求項3】
少なくとも1対の立ち上げ支持具が間隔をあけて車両の外部表面から突き出して備えられ、片方の立ち上げ支持具に、車載された発光器に光ファイバで接続された出射用光平行変換器が、他方の立ち上支持具に、車載された受光器に光ファイバで接続された入射用光平行変換器が設置されており、出射用光平行変換器からの光ビームが入射用光平行変換器で受光するように設置されており、当該入射用光平行変換器から受光した受光器は電気信号を出力する構成になっており、係る系において、出射用光平行変換器から出射した光ビームが遮断された場合、受光器からの電気信号が遮断されることを特徴とする車載光遮断検知システム。
【請求項4】
少なくとも1対の立ち上げ支持具が間隔をあけて車両の外部表面から突き出して備えられ、片方の立ち上げ指示具に、車載された発光器に光ファイバで接続された出射用光平行変換器、および車載された受光器に光ファイバで接続された入射用光平行変換器が設置されており、他方の立ち上げ支持具に反射器が設置されており、前記出射用光平行変換器と反射器と入社用光平行変換器は、出射用光平行変換器からの光ビームが反射器で反射し、反射した光ビームが入射用光平行変換器で受光するように設置されており、当該入射用光平行変換器から受光した受光器は電気信号を出力する構成になっており、係る系において、出射用光平行変換器から出射した光ビームが遮断された場合、受光器からの電気信号が遮断されることを特徴とする車載光遮断検知システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−114867(P2007−114867A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−303262(P2005−303262)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(505227652)
【Fターム(参考)】