説明

車載工具収納構造

【課題】車載工具の収納位置を容易に視認でき、スペアタイヤを取り外すことなく車載工具を取り出すことができる、利便性ある車載工具収納構造を提供する。
【解決手段】車載工具収納構造は、スペアタイヤ106を車両後方側が上昇するように傾斜させて載置する載置面112を有する支持部材110に形成され、支持部材には、工具を収納する収納溝114が形成され、収納溝の車両後方側の端部は、スペアタイヤの車両後方側に露出し、収納溝の露出し始める箇所から収納溝に沿ってバックパネル104に到達するまでの距離は、工具の全長より短く、収納溝の下には、車両後方に向かうほど深くなる深溝部114aが形成され、工具は、工具の車両前方側の端部を収納溝の深溝部の底部に沿って摺動させながら工具全体を回転させることによって、バックパネルに干渉することなく収納溝から取出可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に装備される工具を収納する車載工具収納構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の故障に搭乗者が対応できるよう、車両には整備用の工具(以下、車載工具と称する)が装備されている。車載工具の収納構造としては、例えば特許文献1に、スペアタイヤ収納用の第1の凹部に更に第2の凹部を形成し、更に第1の凹部底面に第2の凹部を跨いた溝を形成したスペアタイヤハウス(スペアタイヤ・ウェル)が開示されている。特許文献1によれば、スペアタイヤを確実に保持しつつ、スペアタイヤハウスの空間を有効利用することができるとしている。
【0003】
また特許文献2には、フロアパネルに形成された凹設空間を覆いスペアタイヤを上面に載置しうる面一部材と、凹設空間の底面から上方に突出しスペアタイヤを固定しうる取付部材とを備え、面一部材を構成する充填部材に小物収容部を形成した車両の後部構造が開示されている。特許文献2によれば、車両にスペアタイヤを好適に搭載することができ、且つ小物を有効に収容することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平1−29153号公報
【特許文献2】特許第4239777号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1ではスペアタイヤ・ウェルに、特許文献2では面一部材に車載工具等の小物が収納され、その上にスペアタイヤが載置される。このため、車載工具等はスペアタイヤに覆われてしまい、視認性が低下し、車載工具の収納位置がわかりづらくなってしまっていた。また上記構成のように車載工具等の上にスペアタイヤが載置されると、車載工具等を取り出す際にスペアタイヤを取り外さなくてはならず、搭乗者は煩雑な作業を強いられることとなっていた。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、車載工具の収納位置を容易に視認することができ、且つスペアタイヤを取り外すことなく車載工具を取り出すことができることで、利便性を向上可能な車載工具収納構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、スペアタイヤを車両後方側が上昇するように傾斜させて載置する載置面を有する支持部材を有し、支持部材は車室後部のバックパネルより前方に設置され、支持部材の載置面の近傍に長尺の工具を収納する車載工具収納構造において、支持部材の載置面には、細長く形成された溝であって工具を収納する収納溝が形成され、収納溝の車両後方側の端部は、載置面に載置されたスペアタイヤの車両後方側に露出し、収納溝の車両前方側の端部は、載置面に載置されたスペアタイヤに被覆され、収納溝の露出し始める箇所から収納溝に沿ってバックパネルに到達するまでの距離は、工具の全長より短く、収納溝の下には、車両後方に向かうほど深くなる深溝部が形成され、工具は、工具の車両前方側の端部を収納溝の深溝部の底部に沿って摺動させながら工具全体を回転させることによって、バックパネルに干渉することなく収納溝から取出可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記構成によれば、収納溝の車両後方側の端部が載置面に載置されたスペアタイヤの車両後方側に露出しているため、収納溝に収納された工具の一端を視認可能である。したがって、搭乗者は、車載工具の収納位置を容易に把握することができる。また収納溝の車両前方側の端部は載置面に載置されたスペアタイヤに被覆されているため、傾斜して載置されたスペアタイヤ下のスペースを収納スペースとして利用できる。また、収納溝に収納された工具の上下方向への移動がスペアタイヤによって抑制される。これにより、車両走行時における収納溝からの工具の飛び出しを防ぎ、工具を確実に収納することが可能となる。
【0009】
更に、収納溝の下に深溝部が形成されていることにより、収納溝の露出し始める箇所からバックパネルに到達するまでの距離が工具の全長より短い場合であっても、換言すれば、工具からバックパネルまでの間隔が著しく狭い場合であっても、かかる工具をバックパネルに干渉させることなく取り出すことができる。詳細には、露出し視認可能な工具の一端を上方に引き上げつつ、スペアタイヤに被覆されている工具の他端を収納溝の深溝部の底部に沿って摺動させながら工具全体を回転させて引き出す。これにより、載置面にスペアタイヤを載置したまま、工具をバックパネルに干渉させることなく、収納溝から取り出すことができる。このように搭乗者はスペアタイヤを外すという煩雑な作業をすることなく工具を取り出すことができ、利便性を向上させることができる。
【0010】
本発明では、車両後部においてスペアタイヤを車両後方側が上昇するように傾斜させて載置している。仮にスペアタイヤが水平に載置されていると、後方からの荷重により、スペアタイヤは水平なまま車両前方に移動し、後部座席などの前方の構造に接触してしまう。これに対し、本発明のようにスペアタイヤを傾斜させれば、後方からの荷重により、スペアタイヤが回転して垂直に起き上がった状態となる。したがって、スペアタイヤ前端部の後部座席などの前方の構造への接触を抑制し、接触により伝達される荷重を低減できる。本発明は、このような荷重緩和を目的として、傾斜させたスペアタイヤの下方に生じたスペースを収納に利用する途を開くものである。
【0011】
上記の深溝部の断面は略三角形状であるとよい。これにより、略三角形状の断面の斜辺部分に長尺の工具を好適に収納しつつ、工具を取り出す際に回転させる空間を十分に確保することができる。
【0012】
上記の工具は、収納溝から取り出される際に、工具の車両前方側の端部から中央までのいずれかの部分がスペアタイヤに接触するとよい。
【0013】
上記構成のように、工具を収納溝から取り出す際に、工具の中央から車両前方側の端部までのいずれかの部分がスペアタイヤに接触するということは、換言すれば、収納溝は、工具を収納溝から取り出す際に、バックパネルに接触させないための、ぎりぎりの形状を有するということである。したがって、収納溝は必要最小限の深さで掘られていて、スペースが有効利用できていることとなる。また工具の中央から車両前方側の端部までのいずれかの部分がスペアタイヤに接触するということは、それ以外の部分はスペアタイヤに接触せずに取り出せるということである。したがって、スペアタイヤに接触させることなく工具の大部分を収納溝から取り出すことができるため、工具の取り出しが容易となる。
【0014】
上記の支持部材は、車両の車幅方向に並設された複数の収納溝を有するとよい。かかる構成によれば、支持部材に複数の車載工具を収納できるため、利便性を更に向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の各実施形態にかかる車載工具収納構造を有する支持部材を備える車両の全体図である。
【図2】第1実施形態にかかる車載工具収納構造の概略構成を示す図である。
【図3】図2(b)のA−A断面図である。
【図4】図2(b)のC−C断面図である。
【図5】図2(b)のB−B断面図である。
【図6】第2実施形態にかかる車載工具収納構造の概略構成を示す図である。
【図7】車載工具収納構造の他の実施形態の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
図1は、本発明の各実施形態にかかる車載工具収納構造を有する支持部材を備える車両の全体図である。車載工具収納構造は、車両100に装備される長尺の工具を収納するための支持部材110における構造である。図1に示すように、車載工具収納構造を有する支持部材110は、車両100において、後部座席102より後方、且つ車室後部のバックパネル104より前方に設置され、載置されたスペアタイヤ106を支持する。
【0018】
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態にかかる車載工具収納構造の概略構成を示す図である。図2(a)は支持部材110の上面図であり、図2(b)は図2(a)の支持部材110にスペアタイヤ106を載置した際の上面図である。図2(a)に示すように、支持部材110は、載置面112と、収納溝114および116とを有する。
【0019】
載置面112は、支持部材110の上面に設けられ、スペアタイヤ106を車両後方側が上昇するよう(図1参照)に傾斜させて載置する。すなわち、載置面112は、車両後方側になるにしたがって上昇するように傾斜している。かかる構成によれば、載置されたスペアタイヤ106は、後方からの荷重により回転して垂直に起き上がった状態となる。したがって、スペアタイヤ106を水平に載置した場合とは異なり、後方からの荷重でスペアタイヤ106が水平移動しないため、スペアタイヤ106の後部座席などの前方の構造への接触を抑制し、かかる接触により伝達される荷重を低減できる。そして、上述のように傾斜させたスペアタイヤ106の下方に生じたスペースを車載工具の収納に有効に利用することが可能となる。
【0020】
収納溝114および116は、載置面112に細長く形成された溝であって、車載工具(以下、単に工具と称する)を収納する。このように収納溝114および116が細長く形成された溝からなることにより、工具のなかでも、特に長尺の工具124および126を好適に収納することが可能となる。工具124は、一端がフック形状に湾曲していて、工具126は一端が屈曲した略L字状の工具(具体的にはホイールレンチやジャッキ)である。本実施形態では、収納溝114および116は、これら収納される工具124および126の形状に合致するよう、載置面112に沿ってあるいは深さ方向に切り欠かれた形状を有する。工具が動いて車体に当たり騒音を発したり車体に傷がついたりするのを防ぐためである。また本実施形態の収納溝114および116のように、複数の収納溝が車両100の車幅方向に並設されていることにより、支持部材110に複数の工具を収納でき、利便性を更に向上することが可能となる。
【0021】
図2(b)に示すように、収納溝114および116の車両後方側の端部は、載置面112に載置されたスペアタイヤ106の車両後方側に露出している。かかる構成により、載置面112にスペアタイヤ106を載置した状態であっても、収納溝114および116に収納された工具124および126の一端を視認可能である。したがって、搭乗者は、工具124および126の収納位置を容易に把握することができるため、利便性の向上を図れる。
【0022】
図3は、図2(b)のA−A断面図である。スペアタイヤ106を載置面112に載置すると、収納溝114および116の車両前方側の端部は、スペアタイヤ106に被覆された状態となる(図2(b)参照)。これにより、図3に示すように、収納溝114および116に収納された工具124および126の上下方向への移動が抑制される。したがって、車両走行時における収納溝114および116からの工具124および126の飛び出しを防ぎ、工具124および126を確実に収納することが可能となる。
【0023】
図4は、図2(b)のC−C断面図である。図4に示すように、収納溝114の下には、車両後方に向かうほど深くなる深溝部114aが形成されている。このような構成により、収納溝114の露出し始める箇所(後述の点Bの直下の点G)から、収納溝114に沿ってバックパネル104に到達する点Hまでの距離Iが工具124の全長より短い場合(図5(a)参照)、すなわち工具124からバックパネル104までの間隔が著しく狭く、工具124をそのままの姿勢では収納溝114から取り出せない場合であっても、工具124をバックパネル104に干渉させることなく取り出すことができる。
【0024】
特に、本実施形態においては、深溝部114aは、その断面が略三角形状である。これにより、略三角形状の断面の斜辺部分に位置する収納溝114に長尺の工具を好適に収納しつつ、工具を取り出す際にかかる工具を回転させる空間である深溝部114aのスペースを十分に確保することができる。
【0025】
図5は、図2(b)のB−B断面図である。以下、図5を参照し、収納溝114を例に挙げて、収納溝および深溝部の形状の詳細について説明する。図5(a)に示すように、収納溝114に収納される工具124は全長Lを有する。収納溝114の深溝部114aの底部114bの点A1を始点とし、収納溝114を(底部114bに対して)垂直上方にスペアタイヤ106へ投影した像の端点Bを通り、バックパネル104に達する点C1を終点とする線分を線分A1C1とする。収納溝114の深溝部114aの底部114bの点A2を始点とし、端点Bを通り、バックパネル104に達する点C2を終点とする線分を線分A2C2とする。収納溝114の深溝部114aの底部114bの点A3を始点とし、端点Bを通り、バックパネル104に達する点C3を終点とする線分を線分A3C3とする。
【0026】
図5(a)から明らかなように、収納溝114の露出し始める箇所から、収納溝114に沿ってバックパネル104に到達するまでの距離は、工具124の全長より短い。また線分A1C1、線分A2C2および線分A3C3は、いずれも工具124の全長L以上の長さを有する。なお、始点A1、A2、A3に限られず、収納溝114の底部の任意の点を始点とした場合においても、この条件が成り立つ。
【0027】
工具124を取り出す際には、収納溝114から露出している工具124の一端(車両後方側の端部)を上方に引き上げつつ、スペアタイヤ106に被覆されている工具124の他端(車両前方側の端部)を収納溝114の下方に設けられた深溝部114aの底部114bに沿って引き出す。すなわち線分A1C1、線分A2C2、線分A3C3の順に、これらの線分に沿うように工具124の車両前方側の端部を収納溝114の深溝部114aの底部114bに沿って摺動させながら工具124全体を回転させる(移動させる)。このとき、工具124が線分A1C1、線分A2C2および線分A3C3のいずれの体勢になっても、工具124の後方にはバックパネル104に至るまでの間隙が存在することとなる。これにより、図5(b)に示すように工具が収納溝から取り出される。
【0028】
また本実施形態のように、収納溝114が深く掘り下げられ、深溝部114aが設けられていることにより、工具124の先端が収納溝114の車両後方側に容易に回りこむことが可能となる。更に、収納溝114の底部114bが、支持部材110が設けられている空間(スペアタイヤハウスと称されることもある)の床面とほぼ平行であることにより、工具124の先端を収納溝114の底部114bに摺りながら円滑に移動させることができる。
【0029】
なお、三角形状の深溝部114aの上方の頂点は、車長方向(水平方向)の位置が、端点Bの近傍、好ましくは端点Bより車両後方側であることが好ましい。これは、三角形状の深溝部114aの上方の頂点の水平方向の位置が、端点Bよりも著しく車両前方側となると、深溝部114aの車長方向の長さが短くなりすぎ、工具124を取り出し可能な位置まで回転させる前にかかる工具がスペアタイヤ106に接触してしまい、取出が困難となるためである。
【0030】
このように、搭乗者は載置面112にスペアタイヤ106を載置したまま、工具124をバックパネル104に干渉させることなく収納溝114から取り出すことができ、利便性の向上を図ることができる。なお、収納溝116も上記の条件を満たす形状を有し、これに収納されている工具126においても同様の手順で取り出すことができるため、説明を省略する。
【0031】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態にかかる車載工具収納構造の概略構成を示す図である。なお、第1の実施形態と同様の要素については同一の参照符号を用いることにより説明を省略する。第2実施形態の車載工具収納構造では、収納溝は、工具が収納溝から取り出される際に、工具の車両前方側の端部から中央までのいずれかの部分がスペアタイヤに接触する形状を有する。
【0032】
詳細には、図6に示すように、まず収納溝214に収納される工具224は全長L2を有する。図6から明らかなように、第2実施形態においても、収納溝214の露出し始める箇所から、収納溝214に沿ってバックパネル104に到達するまでの距離は、工具224の全長より短い。そして、収納溝214の深溝部214aの底部214bの点D1を始点とし、収納溝214を垂直上方にスペアタイヤ106へ投影した像の端点Eを通り、バックパネル104に達する点F1を終点とする線分を線分D1F1とする。収納溝214の深溝部214aの底部214bの点D2を始点とし、収納溝214を垂直上方にスペアタイヤ106へ投影した像の端点Eを通り、バックパネル104に達する点F2を終点とする線分を線分D2F2とする。収納溝214の深溝部214aの底部214bの点D3を始点とし、収納溝214を垂直上方にスペアタイヤ106へ投影した像の端点Eを通り、バックパネル104に達する点F3を終点とする線分を線分D3F3とする。
【0033】
上記の線分D1F1、D2F2およびD3F3のうち、線分D1F1およびD2F2は、収納溝214に収納される工具224の全長L2と等しい長さである。そして、それらの線分の始点から像の端点までの長さ、すなわち線分D1EおよびD2Eの長さは、工具224の全長L2の半分(L2/2)以下である。このような構成により、工具224が収納溝214から取り出される際に、工具224はその中央から車両前方側の端部(スペアタイヤに被覆されている側の端部)までのいずれかの部分がスペアタイヤ106に必ず接触することとなる。これは、収納溝214が、収納溝214から取り出される工具224がバックパネル104に接触しない程度のぎりぎりの形状を有するということであり、収納溝214の深さは必要最小限でスペースの有効活用が図られているということができる。
【0034】
また上記構成によれば、工具224の中央から車両後方側の端部までは、スペアタイヤ106に接触しない。したがって、スペアタイヤ106に接触させることなく工具124の大部分を収納溝214から取り出すことができるため、工具224の取り出しが容易となる。
【0035】
(他の実施形態)
図7は、車載工具収納構造の他の実施形態の概略構成を示す図である。なお、第1の実施形態と同様の要素については同一の参照符号を用いることにより説明を省略する。第1実施形態の支持部材では、収納溝は支持部材110の右側部分および左側部分に各々1つずつ設けられていたが、収納溝の位置および数はこれに限定するものではない。
【0036】
例えば収納溝は、支持部材の右側部分および左側部分に複数ずつ設けられていてもよい。具体的には、図7(a)に示す支持部材310のように、支持部材の右側に複数の収納溝312、314および316が、支持部材の左側に複数の収納溝322、324および326が設けられていてもよい。かかる構成により、更に多くの工具を支持部材に収納することが可能となる。また収納溝は必ずしも車長方向と平行に形成されていなくてもよい。具体的には、図7(b)に示す支持部材330のように、車長方向から車幅方向に傾斜した方向に収納溝332、334および336が形成されていてもよい。
【0037】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、車両に装備される工具を収納する車載工具収納構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
100…車両、102…後部座席、104…バックパネル、106…スペアタイヤ、110…支持部材、112…載置面、114・116…収納溝、114a…深溝部、114b…底部、124・126…工具、210…支持部材、214…収納溝、214a…深溝部、214b…底部、224…工具、310…支持部材、312・314・316・322・324・326…収納溝、330…支持部材、332・334・336…収納溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペアタイヤを車両後方側が上昇するように傾斜させて載置する載置面を有する支持部材を有し、該支持部材は車室後部のバックパネルより前方に設置され、該支持部材の載置面の近傍に長尺の工具を収納する車載工具収納構造において、
前記支持部材の載置面には、細長く形成された溝であって前記工具を収納する収納溝が形成され、
前記収納溝の車両後方側の端部は、前記載置面に載置された前記スペアタイヤの車両後方側に露出し、
前記収納溝の車両前方側の端部は、前記載置面に載置された前記スペアタイヤに被覆され、
前記収納溝の露出し始める箇所から該収納溝に沿って前記バックパネルに到達するまでの距離は、前記工具の全長より短く、
前記収納溝の下には、車両後方に向かうほど深くなる深溝部が形成され、
前記工具は、該工具の車両前方側の端部を前記収納溝の深溝部の底部に沿って摺動させながら該工具全体を回転させることによって、前記バックパネルに干渉することなく該収納溝から取出可能であることを特徴とする車載工具収納構造。
【請求項2】
前記深溝部の断面は略三角形状であることを特徴とする請求項1に記載の車載工具収納構造。
【請求項3】
前記工具は、前記収納溝から取り出される際に、該工具の車両前方側の端部から中央までのいずれかの部分が前記スペアタイヤに接触することを特徴とする請求項1または2に記載の車載工具収納構造。
【請求項4】
前記支持部材は、前記車両の車幅方向に並設された複数の前記収納溝を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車載工具収納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−116263(P2011−116263A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276149(P2009−276149)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】