車載機器制御装置
【課題】車両内の全体の状況を考慮して車載機器を制御することが出来る車載機器制御装置を提供する。
【解決手段】本発明は、車載された機器の作動を制御する車載機器制御装置であって、所定の状況を検出する状況検出センサー部、この状況検出センサー部により得られるデータを演算処理するデータ処理部、所定のデータを記憶するメモリ部、及び、データを無線にて送受信する通信部を有する複数のセンサーノード(S)と、このセンサーノードは車室内の異なる複数の位置に配置され、これらの複数のセンサーノードで互いにネットワークを形成するネットワーク形成手段と、ネットワークを形成する複数のセンサーノードによる複数のデータに基づいて機器を制御するための目標制御量を算出する目標制御量算出手段と、この目標制御量算出手段により算出された目標制御量が得られるように機器を制御する制御手段と、を有する。
【解決手段】本発明は、車載された機器の作動を制御する車載機器制御装置であって、所定の状況を検出する状況検出センサー部、この状況検出センサー部により得られるデータを演算処理するデータ処理部、所定のデータを記憶するメモリ部、及び、データを無線にて送受信する通信部を有する複数のセンサーノード(S)と、このセンサーノードは車室内の異なる複数の位置に配置され、これらの複数のセンサーノードで互いにネットワークを形成するネットワーク形成手段と、ネットワークを形成する複数のセンサーノードによる複数のデータに基づいて機器を制御するための目標制御量を算出する目標制御量算出手段と、この目標制御量算出手段により算出された目標制御量が得られるように機器を制御する制御手段と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器制御装置に係り、特に、車載された機器の作動を制御する車載機器制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗員の携帯電話機の数または電話番号に基づいて車載機器の動作を自動調整する車載機器の自動調整装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−312391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような従来の機器制御装置は、携帯電話で乗員を特定しているが、精度が悪いものであった。また、特許文献1のような従来の機器制御装置は、車両内の全体の状況及び各部の相互関係を見ながら、車載の機器を制御することが出来なかった。
【0005】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、車両内の全体の状況を精度良く検出して車載機器を制御することが出来る車載機器制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明は、車載された機器の作動を制御する車載機器制御装置であって、所定の状況を検出する状況検出センサー部、この状況検出センサー部により得られるデータを演算処理するデータ処理部、所定のデータを記憶するメモリ部、及び、上記データを無線にて送受信する通信部を有する複数のセンサーノードと、このセンサーノードは車室内の異なる複数の位置に配置され、これらの複数のセンサーノードで互いにネットワークを形成するネットワーク形成手段と、ネットワークを形成する複数のセンサーノードによる複数のデータに基づいて機器を制御するための目標制御量を算出する目標制御量算出手段と、この目標制御量算出手段により算出された目標制御量が得られるように機器を制御する制御手段と、複数のセンサーノード間で信号を送受信して、位置の定まっていないセンサーノードの位置を算出するセンサーノード位置算出手段と、を有することを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、複数のセンサーノードが車室内の異なる複数の位置に配置され且つネットワークを形成し、これらのネットワークの各センサーノードにより得られるデータに基づいて目標制御量を算出して機器を制御するものであるので、車両内の全体の状況を考慮して車載機器を制御することが出来る。また、複数のセンサーノード間で信号を送受信して、位置の定まっていないセンサーノードの位置を算出するので、複数のセンサーノードの位置が精度良く算出され、それにより、車両内の全体の状況を精度良く検出して車載機器を制御することが出来る。
【0008】
また、本発明において、好ましくは、センサーノード位置算出手段は、位置の定まっていないセンサーノードの位置を、他の複数の位置が定まっているセンサーノードから送信される位置データを基に重心計算により算出する。
このように構成された本発明においては、複数のセンサーノードの位置が精度良く算出可能である。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、センサーノード位置算出手段は、位置の定まっていないセンサーノードの位置を、他の複数の位置が定まっているセンサーノードからのホップ数と1ホップの平均距離のデータから複数のセンサーノードまでの距離を算出し、多角測定により算出する。
このように構成された本発明においては、複数のセンサーノードの位置が精度良く算出可能である。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、センサーノード位置算出手段は、センサーノード位置算出手段により新たに位置が算出されたセンサーノードの位置データと他の位置が定められているセンサーノードの位置データにより、位置の定まっていないセンサーノードの位置を新たに算出する。
このように構成された本発明においては、位置の定まっていないセンサーノードの位置をつぎつぎと算出することが出来、結果として複数のセンサーノードの位置が精度良く算出可能である。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、センサーノードの位置はセンサーノードのメモリ部に記憶される
このように構成された本発明においては、センサーノードのメモリ部を利用して、センサーノードのネットワークを有効に利用した機器制御が可能となる。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、さらに、所定のメモリ部を含み複数のセンサーノードと共にネットワークを形成するゲートウェイポイントを有し、センサーノードの位置はゲートウェイポイントのメモリ部に記憶される。
このように構成された本発明においては、ゲートウェイポイントのメモリ部を利用して、センサーノードのネットワークを有効に利用した機器制御が可能となる。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、センサーノードの位置が移動した場合、センサーノード位置算出手段により新たに算出された移動後のセンサーノードの位置データにより、センサーノードのメモリ部はゲートウェイポイントのメモリ部に以前から記憶されている位置データが更新される。
このように構成された本発明においては、例えばセンサーノードが配置されたシートが移動しても、精度良く、センサーノードのネットワークを有効に利用した機器制御が可能となる。
【0014】
上記の目的を達成するために本発明は、車載された機器の作動を制御する車載機器制御装置であって、
所定の状況を検出する状況検出センサー部、この状況検出センサー部により得られるデータを演算処理するデータ処理部、所定のデータを記憶するメモリ部、及び、データを無線にて送受信する通信部を有する複数のセンサーノードと、このセンサーノードは車室内の異なる複数の位置に配置され、これらの複数のセンサーノードと携帯端末とが互いにネットワークを形成するネットワーク形成手段と、ネットワークを形成する複数のセンサーノードによる複数のデータと携帯端末のデータとに基づいて機器を制御するための目標制御量を算出する目標制御量算出手段と、この目標制御量算出手段により算出された目標制御量が得られるように機器を制御する制御手段と、複数のセンサーノードと携帯端末との間で信号を送受信して、携帯端末位置を算出する携帯端末位置算出手段と、を有することを特徴としている。
【0015】
このように構成された本発明においては、複数のセンサーノードが車室内の異なる複数の位置に配置され且つネットワークを形成し、このネットワークに携帯端末も含まれ、これらのネットワークの各センサーノードにより得られるデータに基づいて目標制御量を算出して機器を制御すると共に、例えば携帯端末を有する乗員の位置によっても機器を制御するものであるので、乗員の着座位置や人数なども含めた車両内の全体の状況を考慮して車載機器を制御することが出来る。また、複数のセンサーノードと携帯端末との間で信号を送受信して、携帯端末の位置を算出するので、携帯端末の位置が精度良く算出され、それにより、車両内の全体の状況を精度良く検出して車載機器を制御することが出来る。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車載機器制御装置によれば、車両内の全体の状況を精度良く検出して車載機器を制御することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について説明する。
先ず、図1乃至図7により、本発明の第1及び第2実施形態による車載機器制御装置の基本構成を説明する。図1は、本発明の第1及び第2実施形態による車載機器制御装置が適用された車両の全体構成図であり、図2は、本発明の第1及び第2実施形態による車載機器制御装置が適用された車両の全体構成図であり、図3は、車載機器制御装置のセンサーノードを示すブロック図であり、図4は、ゲートウェイポイントを示すブロック図であり、図5は、携帯端末を示すブロック図であり、図6は、センサーノード及びゲートウェイ間のネットワーク情報を可視化すると共にゲートウェイポイントにより制御される機器を模式的に表した図であり、図7は、携帯端末、センサーノード及びゲートウェイ間のネットワーク情報を可視化すると共にゲートウェイポイントにより制御される機器を模式的に表した図である。
【0018】
先ず、図1及び図2に示すように、車両には、複数のセンサーノードSN及びゲートウェイポイントGが搭載されている。ゲートウェイポイントGは、本実施形態では、ナビゲーション装置に内蔵されたCPU、メモリ及び無線通信インターフェースで構成される。
図1に示すように、ゲートウェイポイントGには、機器Dが接続され、ゲートウェイポイントGの後述する機器制御部により各送風口から送出される空気の温度及び量が制御される空調制御、ナビゲーション装置のナビ機能とテレビ機能の操作の制限制御が行われる。
【0019】
センサーノードSNはコイン大の大きさで比較的薄いものであり、車室内の様々な部位に取り付けることが出来るものである。本実施形態では、図2に示すように、各座席のシート内などに複数設けられている。これらのセンサーノードSNは、互いに無線でネットワーク(図1の符号N)(図6参照)を形成する。
【0020】
ゲートウェイポイントGは、各センサーノードSNからの無線通信による情報を受けて、車載機器、例えば、ナビゲーション装置のナビ機能とテレビ機能の操作の制限や、空調装置の各座席に応じた冷暖の調整などを行う(図6参照)。本実施形態では、ゲートウェイポイントGは、センサーノードSNと情報(信号)の送受信を行うほか、車載機器の制御量の算出を行う。このゲートウェイポイントGも、上述した複数のセンサーノードSNと無線でネットワーク(図6参照)を形成する。
【0021】
図3に示すように、各センサーノードSNには、例えばボタン電池のような電源、CPUであるプロセッサー、及び、センサーノードSNに内蔵され或いはその外部に取り付けられる各種センサーを有する。センサーは、本実施形態では、圧力センサーであり、乗員の着座を検知する着座センサーとして機能する。また、センサーノードSNには、他のセンサーノードSN、携帯電話のような携帯端末M及び後述するゲートウェイポイントGと無線通信可能なインターフェースを有する。
【0022】
また、センサーノードSNには、メモリが搭載されており、このメモリには、圧力センサーの情報を処理したり他の携帯端末Mや他のセンサーノードSNとの信号の入出力を行うためのプログラムが内蔵されたソフトウェアが記憶されている。ソフトウェアは、オペレーティングソフトウェアと、アプリケーションソフトウェアとからなり、オペレーティングソフトウェアには、オペレーティングシステムが含まれ、アプリケーションソフトウェアにはプログラムモジュールが含まれる。また、メモリには、アプリケーションデータが記憶されている。
【0023】
このセンサーノードSNのメモリは、そのセンサーノードSNのセンサーによる検出結果を記憶するようになっている。このセンサーノードSNのプロセッサー(データ処理部)は、センサーによる検出結果に基づいて機器Dを制御するための目標制御量を算出する。この算出は、センサーによる検出結果をそのまま使用して行っても良いし、センサーノードSNのメモリ、或いは、後述するゲートウェイポイントのメモリに記憶された検出結果を使用して行われる。また、センサーノードSNのプロセッサーは、所定のデータベースに記憶された検出結果に基づいて機器Dを制御するための目標制御量を算出することも出来る。所定のデータベースは、センサーノードSNのメモリ、或いは、ゲートウェイポイントのメモリに備えられるものである。
【0024】
算出された目標制御量は、後述するように、ゲートウェイポイントGのプロセッサー及び機器制御部で使用され、ゲートウェイポイントGの機器制御部がその目標制御量が得られるように機器Dを制御する。また、算出された目標制御量は、センサーノードSNのメモリ、或いは、後述するゲートウェイポイントのメモリに記憶され、ゲートウェイポイントGのプロセッサー及び機器制御部がその記憶された目標制御量を使用して、機器制御部によりその目標制御量が得られるように機器Dを制御するようにしても良い。
【0025】
このようなセンサーノードSNの通信方式として、例えば、「ZigBee」といわれるものがある。これは、規格が「IEEE802.15.4」、伝送速度(bps)が「250K」、利用周波数帯が「2.4GHz(全世界)、868MHz(欧州)、915MHz(米国)」、伝送距離が「最大10-75m」、消費電力(通信)が「<60mW」のものである。これ以外にも、方式として、「微弱無線」、「特定小電力無線」、「Bluetooth」、「UWB」などの他の方式もある。
【0026】
図4に示すように、ゲートウェイポイントGには、車両のバッテリーから引き出される電源、CPUであるプロセッサー、複数のセンサーノードSNと無線通信可能なインターフェース、メモリ、及び、機器制御部を有する。このメモリには、センサーノードSNや携帯端末Mとの信号の入出力を行うためのプログラムが内蔵されたソフトウェアが記憶されている。ソフトウェアは、オペレーティングソフトウェアと、アプリケーションソフトウェアとからなり、オペレーティングソフトウェアには、オペレーティングシステムが含まれ、アプリケーションソフトウェアにはプログラムモジュールが含まれる。また、メモリには、アプリケーションデータが記憶されている。
【0027】
ゲートウェイポイントGは、各センサーノードSN及びそのネットワークから得られる情報を集中管理すると共に外部の機器、例えば、空調機器、ナビゲーション装置、電動シート装置、パワーウィンドウなどを制御する。また、ゲートウェイポイントGや携帯端末Mを通して車両の外部のサーバーに情報を蓄積することも可能である。
また、ゲートウェイポイントGには、例えば、携帯端末MのIDなどの情報を記憶させることも出来る。なお、そのような情報を各センサーノードSNに記憶させても良い。
【0028】
このゲートウェイポイントGのメモリは、そのセンサーノードSNのセンサーによる検出結果を記憶するようになっている。このゲートウェイポイントGのプロセッサー(データ処理部)は、センサーノードSNのセンサーによる検出結果に基づいて機器Dを制御するための目標制御量を算出する。この算出は、センサーによる検出結果をそのまま使用して行っても良いし、上述したセンサーノードSNのメモリ、或いは、ゲートウェイポイントのメモリに記憶された検出結果を使用して行われる。また、ゲートウェイポイントGのプロセッサーは、上述した所定のデータベース、即ち、センサーノードSNのメモリ、或いは、ゲートウェイポイントのメモリに備えられたデータベースに記憶された検出結果に基づいて機器Dを制御するための目標制御量を算出することも出来る。
【0029】
算出された目標制御量は、ゲートウェイポイントGのプロセッサー及び機器制御部で使用され、ゲートウェイポイントGの機器制御部がその目標制御量が得られるように機器Dを制御する。また、センサーノードSNのメモリ、或いは、後述するゲートウェイポイントのメモリに記憶された目標制御量を、ゲートウェイポイントGのプロセッサー及び機器制御部が使用して、機器制御部によりその目標制御量が得られるように機器Dを制御するようにしても良い。
【0030】
図5に示すように、携帯端末Mには、携帯電話基盤ミドルウェアと、CPUであるプロセッサー、複数のセンサーノードSNと無線通信可能なインターフェース、及び、メモリを有する。このメモリには、センサーノードSNとの信号の入出力を行うためのプログラムが内蔵されたソフトウェアが記憶されている。ソフトウェアは、オペレーティングソフトウェアと、アプリケーションソフトウェアとからなり、オペレーティングソフトウェアには、オペレーティングシステムが含まれ、アプリケーションソフトウェアにはプログラムモジュールが含まれる。また、メモリには、アプリケーションデータが記憶されている。この携帯端末Mも、上述した複数のセンサーノードSNと無線でネットワーク(図7参照)を形成する。
【0031】
次に、センサーネットワークの概念について説明する。
上述したように、センサーノードSNに、所定のセンシングを行うセンサーの他に、メモリ、アプリケーション、無線機能などが内蔵されている。このセンサーノードSNは、センサーにより得られた情報を保持出来るほか、無線により他のセンサーノードSNに伝送することが出来る。そのような機能により、或るセンサーノードSNは、他のセンサーノードSNの情報、即ち、他のセンサーノードSNが有するセンサーにより得られた情報や記憶されている情報を得ることも出来る。このようにして、複数のセンサーノードSNがネットワークでつながっており(図6参照)、仮に1つのセンサーノードSNが故障などしても、他のセンサーノードSNでネットワークを形成することが出来る。これにより、配線でつながっている車内LANとは異なり、配線の不要なネットワークを形成することが出来る。また、或る位置のセンサーノードSNの情報を他のセンサーノードSNの情報と共に多角的に得ることが出来る。
【0032】
このようなセンサーネットワークによれば、例えば、車内の空調機器を制御する際において、車内の片側から日が当たっている場合に、日が当たっている乗員の方の送風を日が当たっていない乗員の送風よりも温度を低くすることが出来る。また、ナビゲーション、電動シート、パワーウインドウも同様に、乗員の着座位置により制御の内容を変更するようにしても良い。
【0033】
また、例えば、空調機器では、人により体感温度が異なるため、後述するように各乗員が有する携帯端末Mを利用してその携帯端末MをセンサーノードSNで検知することにより誰がどこに着座したかを情報として把握して、その乗員毎に適切な温度が得られるようにすることなどが出来る。また、ナビゲーション、電動シート、パワーウインドウも同様に、携帯端末Mにより、各乗員に適した車載機器の制御を行うようにしても良い。
【0034】
次に、センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する方法を説明する。
これは、携帯端末Mを有するユーザーが乗車した場合、ユーザーの着座した位置情報を正確に検出するものであり、或いは、例えばシートにセンサーノードSNが取り付けられている場合、シート自体が多様なアレンジで位置が変更される場合に、位置の変更されたセンサーノードSNの位置を正確に検出するものである。
【0035】
先ず、第1の方法である、「受信したビーコンノードの重心計算」によるものを説明する。
ここで、ビーコンノードとは、所定の位置情報を送受信することが出来るセンサーノードSN或いは携帯端末Mであり、ノードとは、位置の分かっていないセンサーノードSNや携帯端末Mであり、ランドマークとは、位置が分かっていて所定の位置情報を送受信することが出来るセンサーノードSNや携帯端末Mである。ビーコンとは、位置情報を含む電波信号である。
【0036】
この重心計算によるCentroid(重心)測定では、位置を予め分かっているランドマークが、定期的に自らの位置情報を含んだビーコンをブロードキャストで近隣のノードに送信する。ランドマークからのビーコンは、球状に送信されると仮定しており、受信電波強度を考慮しないものになっている。さらに、ランドマークが多く存在していることを想定している。位置が分かっていないノードは、ビーコンに含まれる位置情報から周りに存在するランドマークの位置を知ることが出来る。N台のランドマークの位置(Xi,Yi)が取得できた場合、下記の式(1)で重心(Xest,Yest)を計算する。
【0037】
この第1の方法を図8及び図9により説明する。
図8は、センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第1の方法を示すフローチャートであり、図9は、センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第1の方法の一例を示す図である。図8において、Sはステップを表す。
図8に示すように、先ず、第1の方法による位置検出処理では、S1において、他のセンサーノードSN或いは携帯端末Mの位置の信号を受信する。次に、S2において、上述した式(1)により重心を算出する。次に、S2で算出した重心を自位置と設定する。このようにして、例えば、図9に一例を示すように、重心(Xest,Yest)が求まる。
【0038】
次に、第2の方法である、「受信したビーコンノードのホップ数計算」によるものを説明する。
ここで、ノードとは、位置の分かっていないセンサーノードSNや携帯端末Mであり、ランドマークとは、位置が分かっていて所定の位置情報を送受信することが出来るセンサーノードSNや携帯端末Mである。
【0039】
このDV-Hop測定では、ランドマークからのホップ数と1ホップの平均距離の情報から、各ノードからランドマークまでの距離を見積もる。3台以上のランドマークからの距離を見積り、多角測定により自らの位置を算出する仕組みになっている。
【0040】
先ず、第1段階として、各ノードは、ネットワーク内のランドマークからのホップ数を知る(ホップカウンタを参照する)。ランドマークは自分の位置情報を含んだバケットをフラッディングする。また、このバケットには、中継する度にカウントされるホップカウンタが含まれている。
【0041】
次に、第2段階として、ランドマークは1ホップの平均距離を近隣ノードに知らせる。一度しか“1ホップの平均距離”バケットを中継しない制御フラッディングを利用する。ステップ1で得られたホップ数と1ホップの平均距離を掛け合わせることによりランドマークまでの距離を算出する。
【0042】
次に、第3段階として、3台以上のランドマークとの距離を算出して多角測定により位置測定する。1ホップの平均距離の算出方法を説明する。或るランドマークがフラッディングしたバケットは、他のランドマークにも到着している。ランドマークは、自分の座標と他のランドマークの座標から、2地点間の物理的な距離を計算することが出来る。さらに、そのランドマークまでのホップ数(h)が分かっているため、物理的な距離をホップ数で割った値が1ホップの平均距離のサンプルとして計算する。このサンプル取得処理を他の全てのランドマークに対して行うことにより、最終的にサンプルを平均化して1ホップの距離が計算出来る。これは、以下の式(2)により計算出来る。
【0043】
この第2の方法を図10及び図11により説明する。
図10は、センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第2の方法を示すフローチャートであり、図11は、センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第2の方法の一例を示す図である。図10において、Sはステップを表す。
【0044】
図10に示すように、先ず、第1の方法による位置検出処理では、S11において、他のセンサーノードSN或いは携帯端末Mの位置の信号を受信する。次に、S12において、1ホップの平均距離を受信する。次に、S13において、ホップ数と1ホップの平均距離の積算より、センサーノードSN或いは携帯端末Mまでの距離を算出する。次に、S14において、3台以上のセンサーノードSN或いは携帯端末Mとの距離を算出し、多角測量により位置を測定し、自位置と設定する。このようにして、例えば、図11に一例を示すように、ノードの位置が求まる。
【0045】
次に、図12及び図13により、本発明の第1実施形態による車載機器制御装置の制御内容の一例を説明する。図12は、本発明の第1実施形態による車載機器制御装置の制御内容を示すフローチャートであり、図13は、車両に設けたモニタの位置及び乗員の位置の一例を示す図である。図12において、Sはステップを示す。
この図12に示す例は、着座センサーとして、各センサーノードSNに圧力センサーが設けられており、それらの圧力センサーの検出結果に基づいて、着座位置によって、操作権限決定者を決めるものである。例えば、ドライバー席の乗員を操作制限決定者に決定する。
【0046】
先ず、図12に示すように、S21では、車室内に設置された複数のセンサーノードSN(図1、図2参照)が、それらのセンサーノードSNの機能によりセンサーネットワークを形成する。このS21では、各センサーノードSNが他のセンサーノードSNを認識して、自律的にネットワークを形成する。このネットワークにおいて、新たなセンサーノードSNが設置された場合、自律的にそのセンサーノードSNをネットワーク内に追加したり、また、或るセンサーノードSNがネットワークから無くなった場合、自律的にそのセンサーノードSNをネットワークから削除するというアドホック機能を有する。
【0047】
次に、S22において、他のセンサーノードSNの中継処理を行う。このS22では、各センサーノードSNは、他のセンサーノードSNへの通信経路(ルーティング)を自律的に確率し、他のセンサーノードSNからネットワークで送られてきたデータの他のセンサーノードSNに中継する。これは、マルチホップ機能という機能である。
【0048】
次に、S23において、上述した「受信したビーコンノードの重心計算」或いは「受信したビーコンノードのホップ数計算」により、各センサーノードSNの位置検出処理を行う。なお、予め位置が分かっているような場合、例えば、位置が固定されているシートやルーフにセンサーノードSNが設置している場合には、その設置位置を予めセンサーノードSNのメモリ等に登録しておいても良い。また、位置検出処理を一度行った後に、メモリに位置を記憶させておき、再度位置検出処理を行うときには、そのメモリに記憶された位置を設定するようにしても良い。
【0049】
次に、S24において、各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの圧力センサーにより検出されたそれぞれの着座したか否かのデータを複数のセンサーノード間で受信し且つそれらのデータを記憶する。送受信はインターフェースで行われ、記憶はメモリに記憶される。
【0050】
次に、S25において、各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの圧力センサーにより検出されたそれぞれのデータをゲートウェイポイントGに送信する。送信はインターフェースで行われる。
【0051】
次に、ゲートウェイポイントGでは、S31において、S25により各センサーノードSNから送信された各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの圧力センサーにより検出されたそれぞれのデータを受信し、それらを記憶する。受信はインターフェースで行われ、記憶はメモリに記憶される。
【0052】
次に、S32において、各センサーノードSNの圧力センサーにより検出される着座したか否かのデータ及びその着座したシートの位置を決定し、データベースから、各シートの位置に応じた操作権限決定用データを読み出す。データベースは、ゲートウェイポイントGのメモリ及びセンサーノードのメモリのいずれか或いは両方である。
【0053】
操作権限決定用データは、例えば、ドライバー席に乗員が乗ったとき、そのドライバーを操作権限決定者(administrator)として、他の席の乗員に対する様々な車載機器の操作の可否や制限を決定するためのデータである。操作権限決定用データは、他に、助手席など、他の席に着座した乗員の様々な車載機器の操作の可否や制限を記憶したデータである。
【0054】
次に、S33において、各シート位置での車載機器操作モニタ画面を操作権限決定用データに基づいて表示する。図13に示す例では、画面A〜Dが車室内に設けられており、それぞれの画面に、各シートの乗員に許された操作権限の範囲内での車載機器の操作画面が表示される。主に、ドライバー席用の画面Bにおいては、ドライバーが全ての機器を設定可能なように操作画面が表示される。一方、交通法規に従って、画面Bには、テレビを映すことは出来ないが、助手席用の画面Aにはテレビを映すことが出来るなどの制限もある。
【0055】
次に、図14及び図15により、本発明の第2実施形態による車載機器制御装置の制御内容の一例を説明する。図14は、本発明の第2実施形態による車載機器制御装置の制御内容を示すフローチャートであり、図15は、ゲートウェイポイントG或いはセンサーノードSNに予め記憶されているユーザー毎の車載機器の操作権限を決定するためのテーブルを示す図である。図14において、Sはステップを示す。
【0056】
この図14に示す例は、車両に乗り込むユーザー(ドライバー含む)の所持する携帯端末のIDに基づいて、車載機器の操作権限をユーザー毎に異なるようにしたものである。
【0057】
先ず、図14に示すように、S41では、車室内に設置された複数のセンサーノードSN(図1、図2参照)が、それらのセンサーノードSNの機能によりセンサーネットワークを形成する。このS41では、各センサーノードSNが、上述したようなアドホック機能を有する。次に、S42において、他のセンサーノードSNの中継処理を行う。このS42では、各センサーノードSNは、上述したようなマルチホップ機能を有する。
【0058】
次に、S43において、上述した「受信したビーコンノードの重心計算」或いは「受信したビーコンノードのホップ数計算」により、各センサーノードSNの位置検出処理を行う。なお、予め位置が分かっているような場合、例えば、位置が固定されているシートやルーフにセンサーノードSNが設置している場合には、その設置位置を予めセンサーノードSNのメモリ等に登録しておいても良い。
【0059】
次に、S44において、各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの圧力センサーにより検出されたそれぞれのデータを複数のセンサーノード間で受信し且つそれらのデータを記憶する。送受信はインターフェースで行われ、記憶はメモリに記憶される。
【0060】
次に、S45において、各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの圧力センサーにより検出されたそれぞれのデータをゲートウェイポイントGに送信する。送信はインターフェースで行われる。
【0061】
次に、ゲートウェイポイントGでは、S51において、S45により各センサーノードSNから送信された各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの圧力センサーにより検出されたそれぞれのデータを受信し、それらを記憶する。受信はインターフェースで行われ、記憶はメモリに記憶される。
【0062】
次に、携帯端末側では、S61では、モバイル端末(携帯端末)Mを有するユーザーが車両に乗り込むと、車室内に設置された複数のセンサーノードSN(図1、図2参照)が、それらのセンサーノードSNの機能(上述したようなアドホック機能及びマルチホップ機能)により、そのモバイル端末Mを含めたセンサーネットワークを形成する。
【0063】
次に、S62において、上述した「受信したビーコンノードの重心計算」或いは「受信したビーコンノードのホップ数計算」により、そのユーザーのモバイル端末Mの位置検出処理を行う。
次に、S63において、各センサーノードSNのインターフェース及びモバイル端末Mのインターフェースを介してモバイル端末MのIDを検出する。即ち、どのユーザーが乗り込んだかを判別する。
【0064】
次に、S64において、モバイル端末Mのインターフェースを介して、S62で算出したモバイル端末Mの位置及びモバイル端末MのIDを送信する。各センサーノードSNは、それらのインターフェースを介してこの送信データを中継して(S46)ゲートウェイポイントGに送信する。
ゲートウェイポイントGでは、S52において、そのインターフェースを介してモバイル端末Mの位置及びモバイル端末MのIDを受信する。
【0065】
ゲートウェイポイントGでは、S53において、S52で受信したモバイル端末MのIDを、データベースに記憶(登録)されているユーザーごとの操作権限データ内のIDと照合する。データベースは、ゲートウェイポイントGのメモリ及びセンサーノードのメモリのいずれか或いは両方である。
【0066】
データベースに記憶されているIDごと(ユーザーごと)の操作権限データ(テーブル)は、例えば、図15に示すようなものであり、全ての車載機器の設定が可能であるAdministrator、車載機器の設定に制限がある制限モード、ほぼ全ての車載機器の設定が可能であるフルモードなどのデータがIDごとに設定されている。
【0067】
次に、S54において、S52で受信したモバイル端末MのIDが、データベースに記憶されているユーザーごとの操作権限データ内のID内に含まれているか(登録されているか)否かを判定する。
S52で受信したモバイル端末MのIDが、データベースに記憶されているユーザーごとの操作権限データ内のID内に含まれている場合には、S55に進み、図15に示すようなデータベースに記憶されたテーブルから、各IDごとの操作権限を読み出す。そして、読み出したデータに基づいて、上述した図13に示すような各画面のうち、S52で受信したモバイル端末MのIDに一番近い画面を、その操作権限に応じて変更する。
【0068】
S54において、S52で受信したモバイル端末MのIDが、データベースに記憶されているユーザーごとの操作権限データ内のID内に含まれていない場合には、S56に進み、そのモバイル端末Mに仮IDを付与して登録する。この場合、図15に示すテーブルには、操作権限に比較的制限が多い仮ID用のデータが登録されており、S55では、そのデータに応じて、画面を表示或いは変更する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1及び第2実施形態による車載機器制御装置が適用された車両の全体構成図である。
【図2】本発明の第1及び第2実施形態による車載機器制御装置が適用された車両の全体構成図である。
【図3】車載機器制御装置のセンサーノードを示すブロック図である。
【図4】ゲートウェイポイントを示すブロック図である。
【図5】携帯端末を示すブロック図である。
【図6】センサーノード及びゲートウェイ間のネットワーク情報を可視化すると共にゲートウェイポイントにより制御される機器を模式的に表した図である。
【図7】携帯端末、センサーノード及びゲートウェイ間のネットワーク情報を可視化すると共にゲートウェイポイントにより制御される機器を模式的に表した図である。
【図8】センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第1の方法を示すフローチャートである。
【図9】センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第1の方法の一例を示す図である。
【図10】センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第2の方法を示すフローチャートである。
【図11】センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第2の方法の一例を示す図である。
【図12】本発明の第1実施形態による車載機器制御装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図13】車両に設けたモニタの位置及び乗員の位置の一例を示す図である。
【図14】本発明の第2実施形態による車載機器制御装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図15】ゲートウェイポイントG或いはセンサーノードSNに予め記憶されているユーザー毎の車載機器の操作権限を決定するためのテーブルを示す図である。
【符号の説明】
【0070】
S センサーノード
G ゲートウェイポイント
D 機器(空調機器)
M モバイル端末M
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器制御装置に係り、特に、車載された機器の作動を制御する車載機器制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗員の携帯電話機の数または電話番号に基づいて車載機器の動作を自動調整する車載機器の自動調整装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−312391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような従来の機器制御装置は、携帯電話で乗員を特定しているが、精度が悪いものであった。また、特許文献1のような従来の機器制御装置は、車両内の全体の状況及び各部の相互関係を見ながら、車載の機器を制御することが出来なかった。
【0005】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、車両内の全体の状況を精度良く検出して車載機器を制御することが出来る車載機器制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明は、車載された機器の作動を制御する車載機器制御装置であって、所定の状況を検出する状況検出センサー部、この状況検出センサー部により得られるデータを演算処理するデータ処理部、所定のデータを記憶するメモリ部、及び、上記データを無線にて送受信する通信部を有する複数のセンサーノードと、このセンサーノードは車室内の異なる複数の位置に配置され、これらの複数のセンサーノードで互いにネットワークを形成するネットワーク形成手段と、ネットワークを形成する複数のセンサーノードによる複数のデータに基づいて機器を制御するための目標制御量を算出する目標制御量算出手段と、この目標制御量算出手段により算出された目標制御量が得られるように機器を制御する制御手段と、複数のセンサーノード間で信号を送受信して、位置の定まっていないセンサーノードの位置を算出するセンサーノード位置算出手段と、を有することを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、複数のセンサーノードが車室内の異なる複数の位置に配置され且つネットワークを形成し、これらのネットワークの各センサーノードにより得られるデータに基づいて目標制御量を算出して機器を制御するものであるので、車両内の全体の状況を考慮して車載機器を制御することが出来る。また、複数のセンサーノード間で信号を送受信して、位置の定まっていないセンサーノードの位置を算出するので、複数のセンサーノードの位置が精度良く算出され、それにより、車両内の全体の状況を精度良く検出して車載機器を制御することが出来る。
【0008】
また、本発明において、好ましくは、センサーノード位置算出手段は、位置の定まっていないセンサーノードの位置を、他の複数の位置が定まっているセンサーノードから送信される位置データを基に重心計算により算出する。
このように構成された本発明においては、複数のセンサーノードの位置が精度良く算出可能である。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、センサーノード位置算出手段は、位置の定まっていないセンサーノードの位置を、他の複数の位置が定まっているセンサーノードからのホップ数と1ホップの平均距離のデータから複数のセンサーノードまでの距離を算出し、多角測定により算出する。
このように構成された本発明においては、複数のセンサーノードの位置が精度良く算出可能である。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、センサーノード位置算出手段は、センサーノード位置算出手段により新たに位置が算出されたセンサーノードの位置データと他の位置が定められているセンサーノードの位置データにより、位置の定まっていないセンサーノードの位置を新たに算出する。
このように構成された本発明においては、位置の定まっていないセンサーノードの位置をつぎつぎと算出することが出来、結果として複数のセンサーノードの位置が精度良く算出可能である。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、センサーノードの位置はセンサーノードのメモリ部に記憶される
このように構成された本発明においては、センサーノードのメモリ部を利用して、センサーノードのネットワークを有効に利用した機器制御が可能となる。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、さらに、所定のメモリ部を含み複数のセンサーノードと共にネットワークを形成するゲートウェイポイントを有し、センサーノードの位置はゲートウェイポイントのメモリ部に記憶される。
このように構成された本発明においては、ゲートウェイポイントのメモリ部を利用して、センサーノードのネットワークを有効に利用した機器制御が可能となる。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、センサーノードの位置が移動した場合、センサーノード位置算出手段により新たに算出された移動後のセンサーノードの位置データにより、センサーノードのメモリ部はゲートウェイポイントのメモリ部に以前から記憶されている位置データが更新される。
このように構成された本発明においては、例えばセンサーノードが配置されたシートが移動しても、精度良く、センサーノードのネットワークを有効に利用した機器制御が可能となる。
【0014】
上記の目的を達成するために本発明は、車載された機器の作動を制御する車載機器制御装置であって、
所定の状況を検出する状況検出センサー部、この状況検出センサー部により得られるデータを演算処理するデータ処理部、所定のデータを記憶するメモリ部、及び、データを無線にて送受信する通信部を有する複数のセンサーノードと、このセンサーノードは車室内の異なる複数の位置に配置され、これらの複数のセンサーノードと携帯端末とが互いにネットワークを形成するネットワーク形成手段と、ネットワークを形成する複数のセンサーノードによる複数のデータと携帯端末のデータとに基づいて機器を制御するための目標制御量を算出する目標制御量算出手段と、この目標制御量算出手段により算出された目標制御量が得られるように機器を制御する制御手段と、複数のセンサーノードと携帯端末との間で信号を送受信して、携帯端末位置を算出する携帯端末位置算出手段と、を有することを特徴としている。
【0015】
このように構成された本発明においては、複数のセンサーノードが車室内の異なる複数の位置に配置され且つネットワークを形成し、このネットワークに携帯端末も含まれ、これらのネットワークの各センサーノードにより得られるデータに基づいて目標制御量を算出して機器を制御すると共に、例えば携帯端末を有する乗員の位置によっても機器を制御するものであるので、乗員の着座位置や人数なども含めた車両内の全体の状況を考慮して車載機器を制御することが出来る。また、複数のセンサーノードと携帯端末との間で信号を送受信して、携帯端末の位置を算出するので、携帯端末の位置が精度良く算出され、それにより、車両内の全体の状況を精度良く検出して車載機器を制御することが出来る。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車載機器制御装置によれば、車両内の全体の状況を精度良く検出して車載機器を制御することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について説明する。
先ず、図1乃至図7により、本発明の第1及び第2実施形態による車載機器制御装置の基本構成を説明する。図1は、本発明の第1及び第2実施形態による車載機器制御装置が適用された車両の全体構成図であり、図2は、本発明の第1及び第2実施形態による車載機器制御装置が適用された車両の全体構成図であり、図3は、車載機器制御装置のセンサーノードを示すブロック図であり、図4は、ゲートウェイポイントを示すブロック図であり、図5は、携帯端末を示すブロック図であり、図6は、センサーノード及びゲートウェイ間のネットワーク情報を可視化すると共にゲートウェイポイントにより制御される機器を模式的に表した図であり、図7は、携帯端末、センサーノード及びゲートウェイ間のネットワーク情報を可視化すると共にゲートウェイポイントにより制御される機器を模式的に表した図である。
【0018】
先ず、図1及び図2に示すように、車両には、複数のセンサーノードSN及びゲートウェイポイントGが搭載されている。ゲートウェイポイントGは、本実施形態では、ナビゲーション装置に内蔵されたCPU、メモリ及び無線通信インターフェースで構成される。
図1に示すように、ゲートウェイポイントGには、機器Dが接続され、ゲートウェイポイントGの後述する機器制御部により各送風口から送出される空気の温度及び量が制御される空調制御、ナビゲーション装置のナビ機能とテレビ機能の操作の制限制御が行われる。
【0019】
センサーノードSNはコイン大の大きさで比較的薄いものであり、車室内の様々な部位に取り付けることが出来るものである。本実施形態では、図2に示すように、各座席のシート内などに複数設けられている。これらのセンサーノードSNは、互いに無線でネットワーク(図1の符号N)(図6参照)を形成する。
【0020】
ゲートウェイポイントGは、各センサーノードSNからの無線通信による情報を受けて、車載機器、例えば、ナビゲーション装置のナビ機能とテレビ機能の操作の制限や、空調装置の各座席に応じた冷暖の調整などを行う(図6参照)。本実施形態では、ゲートウェイポイントGは、センサーノードSNと情報(信号)の送受信を行うほか、車載機器の制御量の算出を行う。このゲートウェイポイントGも、上述した複数のセンサーノードSNと無線でネットワーク(図6参照)を形成する。
【0021】
図3に示すように、各センサーノードSNには、例えばボタン電池のような電源、CPUであるプロセッサー、及び、センサーノードSNに内蔵され或いはその外部に取り付けられる各種センサーを有する。センサーは、本実施形態では、圧力センサーであり、乗員の着座を検知する着座センサーとして機能する。また、センサーノードSNには、他のセンサーノードSN、携帯電話のような携帯端末M及び後述するゲートウェイポイントGと無線通信可能なインターフェースを有する。
【0022】
また、センサーノードSNには、メモリが搭載されており、このメモリには、圧力センサーの情報を処理したり他の携帯端末Mや他のセンサーノードSNとの信号の入出力を行うためのプログラムが内蔵されたソフトウェアが記憶されている。ソフトウェアは、オペレーティングソフトウェアと、アプリケーションソフトウェアとからなり、オペレーティングソフトウェアには、オペレーティングシステムが含まれ、アプリケーションソフトウェアにはプログラムモジュールが含まれる。また、メモリには、アプリケーションデータが記憶されている。
【0023】
このセンサーノードSNのメモリは、そのセンサーノードSNのセンサーによる検出結果を記憶するようになっている。このセンサーノードSNのプロセッサー(データ処理部)は、センサーによる検出結果に基づいて機器Dを制御するための目標制御量を算出する。この算出は、センサーによる検出結果をそのまま使用して行っても良いし、センサーノードSNのメモリ、或いは、後述するゲートウェイポイントのメモリに記憶された検出結果を使用して行われる。また、センサーノードSNのプロセッサーは、所定のデータベースに記憶された検出結果に基づいて機器Dを制御するための目標制御量を算出することも出来る。所定のデータベースは、センサーノードSNのメモリ、或いは、ゲートウェイポイントのメモリに備えられるものである。
【0024】
算出された目標制御量は、後述するように、ゲートウェイポイントGのプロセッサー及び機器制御部で使用され、ゲートウェイポイントGの機器制御部がその目標制御量が得られるように機器Dを制御する。また、算出された目標制御量は、センサーノードSNのメモリ、或いは、後述するゲートウェイポイントのメモリに記憶され、ゲートウェイポイントGのプロセッサー及び機器制御部がその記憶された目標制御量を使用して、機器制御部によりその目標制御量が得られるように機器Dを制御するようにしても良い。
【0025】
このようなセンサーノードSNの通信方式として、例えば、「ZigBee」といわれるものがある。これは、規格が「IEEE802.15.4」、伝送速度(bps)が「250K」、利用周波数帯が「2.4GHz(全世界)、868MHz(欧州)、915MHz(米国)」、伝送距離が「最大10-75m」、消費電力(通信)が「<60mW」のものである。これ以外にも、方式として、「微弱無線」、「特定小電力無線」、「Bluetooth」、「UWB」などの他の方式もある。
【0026】
図4に示すように、ゲートウェイポイントGには、車両のバッテリーから引き出される電源、CPUであるプロセッサー、複数のセンサーノードSNと無線通信可能なインターフェース、メモリ、及び、機器制御部を有する。このメモリには、センサーノードSNや携帯端末Mとの信号の入出力を行うためのプログラムが内蔵されたソフトウェアが記憶されている。ソフトウェアは、オペレーティングソフトウェアと、アプリケーションソフトウェアとからなり、オペレーティングソフトウェアには、オペレーティングシステムが含まれ、アプリケーションソフトウェアにはプログラムモジュールが含まれる。また、メモリには、アプリケーションデータが記憶されている。
【0027】
ゲートウェイポイントGは、各センサーノードSN及びそのネットワークから得られる情報を集中管理すると共に外部の機器、例えば、空調機器、ナビゲーション装置、電動シート装置、パワーウィンドウなどを制御する。また、ゲートウェイポイントGや携帯端末Mを通して車両の外部のサーバーに情報を蓄積することも可能である。
また、ゲートウェイポイントGには、例えば、携帯端末MのIDなどの情報を記憶させることも出来る。なお、そのような情報を各センサーノードSNに記憶させても良い。
【0028】
このゲートウェイポイントGのメモリは、そのセンサーノードSNのセンサーによる検出結果を記憶するようになっている。このゲートウェイポイントGのプロセッサー(データ処理部)は、センサーノードSNのセンサーによる検出結果に基づいて機器Dを制御するための目標制御量を算出する。この算出は、センサーによる検出結果をそのまま使用して行っても良いし、上述したセンサーノードSNのメモリ、或いは、ゲートウェイポイントのメモリに記憶された検出結果を使用して行われる。また、ゲートウェイポイントGのプロセッサーは、上述した所定のデータベース、即ち、センサーノードSNのメモリ、或いは、ゲートウェイポイントのメモリに備えられたデータベースに記憶された検出結果に基づいて機器Dを制御するための目標制御量を算出することも出来る。
【0029】
算出された目標制御量は、ゲートウェイポイントGのプロセッサー及び機器制御部で使用され、ゲートウェイポイントGの機器制御部がその目標制御量が得られるように機器Dを制御する。また、センサーノードSNのメモリ、或いは、後述するゲートウェイポイントのメモリに記憶された目標制御量を、ゲートウェイポイントGのプロセッサー及び機器制御部が使用して、機器制御部によりその目標制御量が得られるように機器Dを制御するようにしても良い。
【0030】
図5に示すように、携帯端末Mには、携帯電話基盤ミドルウェアと、CPUであるプロセッサー、複数のセンサーノードSNと無線通信可能なインターフェース、及び、メモリを有する。このメモリには、センサーノードSNとの信号の入出力を行うためのプログラムが内蔵されたソフトウェアが記憶されている。ソフトウェアは、オペレーティングソフトウェアと、アプリケーションソフトウェアとからなり、オペレーティングソフトウェアには、オペレーティングシステムが含まれ、アプリケーションソフトウェアにはプログラムモジュールが含まれる。また、メモリには、アプリケーションデータが記憶されている。この携帯端末Mも、上述した複数のセンサーノードSNと無線でネットワーク(図7参照)を形成する。
【0031】
次に、センサーネットワークの概念について説明する。
上述したように、センサーノードSNに、所定のセンシングを行うセンサーの他に、メモリ、アプリケーション、無線機能などが内蔵されている。このセンサーノードSNは、センサーにより得られた情報を保持出来るほか、無線により他のセンサーノードSNに伝送することが出来る。そのような機能により、或るセンサーノードSNは、他のセンサーノードSNの情報、即ち、他のセンサーノードSNが有するセンサーにより得られた情報や記憶されている情報を得ることも出来る。このようにして、複数のセンサーノードSNがネットワークでつながっており(図6参照)、仮に1つのセンサーノードSNが故障などしても、他のセンサーノードSNでネットワークを形成することが出来る。これにより、配線でつながっている車内LANとは異なり、配線の不要なネットワークを形成することが出来る。また、或る位置のセンサーノードSNの情報を他のセンサーノードSNの情報と共に多角的に得ることが出来る。
【0032】
このようなセンサーネットワークによれば、例えば、車内の空調機器を制御する際において、車内の片側から日が当たっている場合に、日が当たっている乗員の方の送風を日が当たっていない乗員の送風よりも温度を低くすることが出来る。また、ナビゲーション、電動シート、パワーウインドウも同様に、乗員の着座位置により制御の内容を変更するようにしても良い。
【0033】
また、例えば、空調機器では、人により体感温度が異なるため、後述するように各乗員が有する携帯端末Mを利用してその携帯端末MをセンサーノードSNで検知することにより誰がどこに着座したかを情報として把握して、その乗員毎に適切な温度が得られるようにすることなどが出来る。また、ナビゲーション、電動シート、パワーウインドウも同様に、携帯端末Mにより、各乗員に適した車載機器の制御を行うようにしても良い。
【0034】
次に、センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する方法を説明する。
これは、携帯端末Mを有するユーザーが乗車した場合、ユーザーの着座した位置情報を正確に検出するものであり、或いは、例えばシートにセンサーノードSNが取り付けられている場合、シート自体が多様なアレンジで位置が変更される場合に、位置の変更されたセンサーノードSNの位置を正確に検出するものである。
【0035】
先ず、第1の方法である、「受信したビーコンノードの重心計算」によるものを説明する。
ここで、ビーコンノードとは、所定の位置情報を送受信することが出来るセンサーノードSN或いは携帯端末Mであり、ノードとは、位置の分かっていないセンサーノードSNや携帯端末Mであり、ランドマークとは、位置が分かっていて所定の位置情報を送受信することが出来るセンサーノードSNや携帯端末Mである。ビーコンとは、位置情報を含む電波信号である。
【0036】
この重心計算によるCentroid(重心)測定では、位置を予め分かっているランドマークが、定期的に自らの位置情報を含んだビーコンをブロードキャストで近隣のノードに送信する。ランドマークからのビーコンは、球状に送信されると仮定しており、受信電波強度を考慮しないものになっている。さらに、ランドマークが多く存在していることを想定している。位置が分かっていないノードは、ビーコンに含まれる位置情報から周りに存在するランドマークの位置を知ることが出来る。N台のランドマークの位置(Xi,Yi)が取得できた場合、下記の式(1)で重心(Xest,Yest)を計算する。
【0037】
この第1の方法を図8及び図9により説明する。
図8は、センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第1の方法を示すフローチャートであり、図9は、センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第1の方法の一例を示す図である。図8において、Sはステップを表す。
図8に示すように、先ず、第1の方法による位置検出処理では、S1において、他のセンサーノードSN或いは携帯端末Mの位置の信号を受信する。次に、S2において、上述した式(1)により重心を算出する。次に、S2で算出した重心を自位置と設定する。このようにして、例えば、図9に一例を示すように、重心(Xest,Yest)が求まる。
【0038】
次に、第2の方法である、「受信したビーコンノードのホップ数計算」によるものを説明する。
ここで、ノードとは、位置の分かっていないセンサーノードSNや携帯端末Mであり、ランドマークとは、位置が分かっていて所定の位置情報を送受信することが出来るセンサーノードSNや携帯端末Mである。
【0039】
このDV-Hop測定では、ランドマークからのホップ数と1ホップの平均距離の情報から、各ノードからランドマークまでの距離を見積もる。3台以上のランドマークからの距離を見積り、多角測定により自らの位置を算出する仕組みになっている。
【0040】
先ず、第1段階として、各ノードは、ネットワーク内のランドマークからのホップ数を知る(ホップカウンタを参照する)。ランドマークは自分の位置情報を含んだバケットをフラッディングする。また、このバケットには、中継する度にカウントされるホップカウンタが含まれている。
【0041】
次に、第2段階として、ランドマークは1ホップの平均距離を近隣ノードに知らせる。一度しか“1ホップの平均距離”バケットを中継しない制御フラッディングを利用する。ステップ1で得られたホップ数と1ホップの平均距離を掛け合わせることによりランドマークまでの距離を算出する。
【0042】
次に、第3段階として、3台以上のランドマークとの距離を算出して多角測定により位置測定する。1ホップの平均距離の算出方法を説明する。或るランドマークがフラッディングしたバケットは、他のランドマークにも到着している。ランドマークは、自分の座標と他のランドマークの座標から、2地点間の物理的な距離を計算することが出来る。さらに、そのランドマークまでのホップ数(h)が分かっているため、物理的な距離をホップ数で割った値が1ホップの平均距離のサンプルとして計算する。このサンプル取得処理を他の全てのランドマークに対して行うことにより、最終的にサンプルを平均化して1ホップの距離が計算出来る。これは、以下の式(2)により計算出来る。
【0043】
この第2の方法を図10及び図11により説明する。
図10は、センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第2の方法を示すフローチャートであり、図11は、センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第2の方法の一例を示す図である。図10において、Sはステップを表す。
【0044】
図10に示すように、先ず、第1の方法による位置検出処理では、S11において、他のセンサーノードSN或いは携帯端末Mの位置の信号を受信する。次に、S12において、1ホップの平均距離を受信する。次に、S13において、ホップ数と1ホップの平均距離の積算より、センサーノードSN或いは携帯端末Mまでの距離を算出する。次に、S14において、3台以上のセンサーノードSN或いは携帯端末Mとの距離を算出し、多角測量により位置を測定し、自位置と設定する。このようにして、例えば、図11に一例を示すように、ノードの位置が求まる。
【0045】
次に、図12及び図13により、本発明の第1実施形態による車載機器制御装置の制御内容の一例を説明する。図12は、本発明の第1実施形態による車載機器制御装置の制御内容を示すフローチャートであり、図13は、車両に設けたモニタの位置及び乗員の位置の一例を示す図である。図12において、Sはステップを示す。
この図12に示す例は、着座センサーとして、各センサーノードSNに圧力センサーが設けられており、それらの圧力センサーの検出結果に基づいて、着座位置によって、操作権限決定者を決めるものである。例えば、ドライバー席の乗員を操作制限決定者に決定する。
【0046】
先ず、図12に示すように、S21では、車室内に設置された複数のセンサーノードSN(図1、図2参照)が、それらのセンサーノードSNの機能によりセンサーネットワークを形成する。このS21では、各センサーノードSNが他のセンサーノードSNを認識して、自律的にネットワークを形成する。このネットワークにおいて、新たなセンサーノードSNが設置された場合、自律的にそのセンサーノードSNをネットワーク内に追加したり、また、或るセンサーノードSNがネットワークから無くなった場合、自律的にそのセンサーノードSNをネットワークから削除するというアドホック機能を有する。
【0047】
次に、S22において、他のセンサーノードSNの中継処理を行う。このS22では、各センサーノードSNは、他のセンサーノードSNへの通信経路(ルーティング)を自律的に確率し、他のセンサーノードSNからネットワークで送られてきたデータの他のセンサーノードSNに中継する。これは、マルチホップ機能という機能である。
【0048】
次に、S23において、上述した「受信したビーコンノードの重心計算」或いは「受信したビーコンノードのホップ数計算」により、各センサーノードSNの位置検出処理を行う。なお、予め位置が分かっているような場合、例えば、位置が固定されているシートやルーフにセンサーノードSNが設置している場合には、その設置位置を予めセンサーノードSNのメモリ等に登録しておいても良い。また、位置検出処理を一度行った後に、メモリに位置を記憶させておき、再度位置検出処理を行うときには、そのメモリに記憶された位置を設定するようにしても良い。
【0049】
次に、S24において、各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの圧力センサーにより検出されたそれぞれの着座したか否かのデータを複数のセンサーノード間で受信し且つそれらのデータを記憶する。送受信はインターフェースで行われ、記憶はメモリに記憶される。
【0050】
次に、S25において、各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの圧力センサーにより検出されたそれぞれのデータをゲートウェイポイントGに送信する。送信はインターフェースで行われる。
【0051】
次に、ゲートウェイポイントGでは、S31において、S25により各センサーノードSNから送信された各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの圧力センサーにより検出されたそれぞれのデータを受信し、それらを記憶する。受信はインターフェースで行われ、記憶はメモリに記憶される。
【0052】
次に、S32において、各センサーノードSNの圧力センサーにより検出される着座したか否かのデータ及びその着座したシートの位置を決定し、データベースから、各シートの位置に応じた操作権限決定用データを読み出す。データベースは、ゲートウェイポイントGのメモリ及びセンサーノードのメモリのいずれか或いは両方である。
【0053】
操作権限決定用データは、例えば、ドライバー席に乗員が乗ったとき、そのドライバーを操作権限決定者(administrator)として、他の席の乗員に対する様々な車載機器の操作の可否や制限を決定するためのデータである。操作権限決定用データは、他に、助手席など、他の席に着座した乗員の様々な車載機器の操作の可否や制限を記憶したデータである。
【0054】
次に、S33において、各シート位置での車載機器操作モニタ画面を操作権限決定用データに基づいて表示する。図13に示す例では、画面A〜Dが車室内に設けられており、それぞれの画面に、各シートの乗員に許された操作権限の範囲内での車載機器の操作画面が表示される。主に、ドライバー席用の画面Bにおいては、ドライバーが全ての機器を設定可能なように操作画面が表示される。一方、交通法規に従って、画面Bには、テレビを映すことは出来ないが、助手席用の画面Aにはテレビを映すことが出来るなどの制限もある。
【0055】
次に、図14及び図15により、本発明の第2実施形態による車載機器制御装置の制御内容の一例を説明する。図14は、本発明の第2実施形態による車載機器制御装置の制御内容を示すフローチャートであり、図15は、ゲートウェイポイントG或いはセンサーノードSNに予め記憶されているユーザー毎の車載機器の操作権限を決定するためのテーブルを示す図である。図14において、Sはステップを示す。
【0056】
この図14に示す例は、車両に乗り込むユーザー(ドライバー含む)の所持する携帯端末のIDに基づいて、車載機器の操作権限をユーザー毎に異なるようにしたものである。
【0057】
先ず、図14に示すように、S41では、車室内に設置された複数のセンサーノードSN(図1、図2参照)が、それらのセンサーノードSNの機能によりセンサーネットワークを形成する。このS41では、各センサーノードSNが、上述したようなアドホック機能を有する。次に、S42において、他のセンサーノードSNの中継処理を行う。このS42では、各センサーノードSNは、上述したようなマルチホップ機能を有する。
【0058】
次に、S43において、上述した「受信したビーコンノードの重心計算」或いは「受信したビーコンノードのホップ数計算」により、各センサーノードSNの位置検出処理を行う。なお、予め位置が分かっているような場合、例えば、位置が固定されているシートやルーフにセンサーノードSNが設置している場合には、その設置位置を予めセンサーノードSNのメモリ等に登録しておいても良い。
【0059】
次に、S44において、各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの圧力センサーにより検出されたそれぞれのデータを複数のセンサーノード間で受信し且つそれらのデータを記憶する。送受信はインターフェースで行われ、記憶はメモリに記憶される。
【0060】
次に、S45において、各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの圧力センサーにより検出されたそれぞれのデータをゲートウェイポイントGに送信する。送信はインターフェースで行われる。
【0061】
次に、ゲートウェイポイントGでは、S51において、S45により各センサーノードSNから送信された各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの圧力センサーにより検出されたそれぞれのデータを受信し、それらを記憶する。受信はインターフェースで行われ、記憶はメモリに記憶される。
【0062】
次に、携帯端末側では、S61では、モバイル端末(携帯端末)Mを有するユーザーが車両に乗り込むと、車室内に設置された複数のセンサーノードSN(図1、図2参照)が、それらのセンサーノードSNの機能(上述したようなアドホック機能及びマルチホップ機能)により、そのモバイル端末Mを含めたセンサーネットワークを形成する。
【0063】
次に、S62において、上述した「受信したビーコンノードの重心計算」或いは「受信したビーコンノードのホップ数計算」により、そのユーザーのモバイル端末Mの位置検出処理を行う。
次に、S63において、各センサーノードSNのインターフェース及びモバイル端末Mのインターフェースを介してモバイル端末MのIDを検出する。即ち、どのユーザーが乗り込んだかを判別する。
【0064】
次に、S64において、モバイル端末Mのインターフェースを介して、S62で算出したモバイル端末Mの位置及びモバイル端末MのIDを送信する。各センサーノードSNは、それらのインターフェースを介してこの送信データを中継して(S46)ゲートウェイポイントGに送信する。
ゲートウェイポイントGでは、S52において、そのインターフェースを介してモバイル端末Mの位置及びモバイル端末MのIDを受信する。
【0065】
ゲートウェイポイントGでは、S53において、S52で受信したモバイル端末MのIDを、データベースに記憶(登録)されているユーザーごとの操作権限データ内のIDと照合する。データベースは、ゲートウェイポイントGのメモリ及びセンサーノードのメモリのいずれか或いは両方である。
【0066】
データベースに記憶されているIDごと(ユーザーごと)の操作権限データ(テーブル)は、例えば、図15に示すようなものであり、全ての車載機器の設定が可能であるAdministrator、車載機器の設定に制限がある制限モード、ほぼ全ての車載機器の設定が可能であるフルモードなどのデータがIDごとに設定されている。
【0067】
次に、S54において、S52で受信したモバイル端末MのIDが、データベースに記憶されているユーザーごとの操作権限データ内のID内に含まれているか(登録されているか)否かを判定する。
S52で受信したモバイル端末MのIDが、データベースに記憶されているユーザーごとの操作権限データ内のID内に含まれている場合には、S55に進み、図15に示すようなデータベースに記憶されたテーブルから、各IDごとの操作権限を読み出す。そして、読み出したデータに基づいて、上述した図13に示すような各画面のうち、S52で受信したモバイル端末MのIDに一番近い画面を、その操作権限に応じて変更する。
【0068】
S54において、S52で受信したモバイル端末MのIDが、データベースに記憶されているユーザーごとの操作権限データ内のID内に含まれていない場合には、S56に進み、そのモバイル端末Mに仮IDを付与して登録する。この場合、図15に示すテーブルには、操作権限に比較的制限が多い仮ID用のデータが登録されており、S55では、そのデータに応じて、画面を表示或いは変更する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1及び第2実施形態による車載機器制御装置が適用された車両の全体構成図である。
【図2】本発明の第1及び第2実施形態による車載機器制御装置が適用された車両の全体構成図である。
【図3】車載機器制御装置のセンサーノードを示すブロック図である。
【図4】ゲートウェイポイントを示すブロック図である。
【図5】携帯端末を示すブロック図である。
【図6】センサーノード及びゲートウェイ間のネットワーク情報を可視化すると共にゲートウェイポイントにより制御される機器を模式的に表した図である。
【図7】携帯端末、センサーノード及びゲートウェイ間のネットワーク情報を可視化すると共にゲートウェイポイントにより制御される機器を模式的に表した図である。
【図8】センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第1の方法を示すフローチャートである。
【図9】センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第1の方法の一例を示す図である。
【図10】センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第2の方法を示すフローチャートである。
【図11】センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第2の方法の一例を示す図である。
【図12】本発明の第1実施形態による車載機器制御装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図13】車両に設けたモニタの位置及び乗員の位置の一例を示す図である。
【図14】本発明の第2実施形態による車載機器制御装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図15】ゲートウェイポイントG或いはセンサーノードSNに予め記憶されているユーザー毎の車載機器の操作権限を決定するためのテーブルを示す図である。
【符号の説明】
【0070】
S センサーノード
G ゲートウェイポイント
D 機器(空調機器)
M モバイル端末M
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載された機器の作動を制御する車載機器制御装置であって、
所定の状況を検出する状況検出センサー部、この状況検出センサー部により得られるデータを演算処理するデータ処理部、所定のデータを記憶するメモリ部、及び、上記データを無線にて送受信する通信部を有する複数のセンサーノードと、
このセンサーノードは車室内の異なる複数の位置に配置され、これらの複数のセンサーノードで互いにネットワークを形成するネットワーク形成手段と、
上記ネットワークを形成する複数のセンサーノードによる複数のデータに基づいて上記機器を制御するための目標制御量を算出する目標制御量算出手段と、
この目標制御量算出手段により算出された目標制御量が得られるように上記機器を制御する制御手段と、
上記複数のセンサーノード間で信号を送受信して、位置の定まっていないセンサーノードの位置を算出するセンサーノード位置算出手段と、
を有することを特徴とする車載機器制御装置。
【請求項2】
上記センサーノード位置算出手段は、上記位置の定まっていないセンサーノードの位置を、他の複数の位置が定まっているセンサーノードから送信される位置データを基に重心計算により算出する請求項1に記載の車載機器制御装置。
【請求項3】
上記センサーノード位置算出手段は、上記位置の定まっていないセンサーノードの位置を、他の複数の位置が定まっているセンサーノードからのホップ数と1ホップの平均距離のデータから複数のセンサーノードまでの距離を算出し、多角測定により算出する請求項1に記載の車載機器制御装置。
【請求項4】
上記センサーノード位置算出手段は、上記センサーノード位置算出手段により新たに位置が算出されたセンサーノードの位置データと他の位置が定められているセンサーノードの位置データにより、位置の定まっていないセンサーノードの位置を新たに算出する請求項2又は請求項3に記載の車載機器制御装置。
【請求項5】
上記センサーノードの位置は上記センサーノードのメモリ部に記憶される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車載機器制御装置。
【請求項6】
さらに、所定のメモリ部を含み上記複数のセンサーノードと共にネットワークを形成するゲートウェイポイントを有し、
上記センサーノードの位置は上記ゲートウェイポイントのメモリ部に記憶される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車載機器制御装置。
【請求項7】
上記センサーノードの位置が移動した場合、上記センサーノード位置算出手段により新たに算出された移動後のセンサーノードの位置データにより、上記センサーノードのメモリ部は上記ゲートウェイポイントのメモリ部に以前から記憶されている位置データが更新される請求項5又は請求項6に記載の車載機器制御装置。
【請求項8】
車載された機器の作動を制御する車載機器制御装置であって、
所定の状況を検出する状況検出センサー部、この状況検出センサー部により得られるデータを演算処理するデータ処理部、所定のデータを記憶するメモリ部、及び、上記データを無線にて送受信する通信部を有する複数のセンサーノードと、
このセンサーノードは車室内の異なる複数の位置に配置され、これらの複数のセンサーノードと携帯端末とが互いにネットワークを形成するネットワーク形成手段と、
上記ネットワークを形成する複数のセンサーノードによる複数のデータと携帯端末のデータとに基づいて上記機器を制御するための目標制御量を算出する目標制御量算出手段と、
この目標制御量算出手段により算出された目標制御量が得られるように上記機器を制御する制御手段と、
上記複数のセンサーノードと携帯端末との間で信号を送受信して、携帯端末位置を算出する携帯端末位置算出手段と、
を有することを特徴とする車載機器制御装置。
【請求項1】
車載された機器の作動を制御する車載機器制御装置であって、
所定の状況を検出する状況検出センサー部、この状況検出センサー部により得られるデータを演算処理するデータ処理部、所定のデータを記憶するメモリ部、及び、上記データを無線にて送受信する通信部を有する複数のセンサーノードと、
このセンサーノードは車室内の異なる複数の位置に配置され、これらの複数のセンサーノードで互いにネットワークを形成するネットワーク形成手段と、
上記ネットワークを形成する複数のセンサーノードによる複数のデータに基づいて上記機器を制御するための目標制御量を算出する目標制御量算出手段と、
この目標制御量算出手段により算出された目標制御量が得られるように上記機器を制御する制御手段と、
上記複数のセンサーノード間で信号を送受信して、位置の定まっていないセンサーノードの位置を算出するセンサーノード位置算出手段と、
を有することを特徴とする車載機器制御装置。
【請求項2】
上記センサーノード位置算出手段は、上記位置の定まっていないセンサーノードの位置を、他の複数の位置が定まっているセンサーノードから送信される位置データを基に重心計算により算出する請求項1に記載の車載機器制御装置。
【請求項3】
上記センサーノード位置算出手段は、上記位置の定まっていないセンサーノードの位置を、他の複数の位置が定まっているセンサーノードからのホップ数と1ホップの平均距離のデータから複数のセンサーノードまでの距離を算出し、多角測定により算出する請求項1に記載の車載機器制御装置。
【請求項4】
上記センサーノード位置算出手段は、上記センサーノード位置算出手段により新たに位置が算出されたセンサーノードの位置データと他の位置が定められているセンサーノードの位置データにより、位置の定まっていないセンサーノードの位置を新たに算出する請求項2又は請求項3に記載の車載機器制御装置。
【請求項5】
上記センサーノードの位置は上記センサーノードのメモリ部に記憶される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車載機器制御装置。
【請求項6】
さらに、所定のメモリ部を含み上記複数のセンサーノードと共にネットワークを形成するゲートウェイポイントを有し、
上記センサーノードの位置は上記ゲートウェイポイントのメモリ部に記憶される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車載機器制御装置。
【請求項7】
上記センサーノードの位置が移動した場合、上記センサーノード位置算出手段により新たに算出された移動後のセンサーノードの位置データにより、上記センサーノードのメモリ部は上記ゲートウェイポイントのメモリ部に以前から記憶されている位置データが更新される請求項5又は請求項6に記載の車載機器制御装置。
【請求項8】
車載された機器の作動を制御する車載機器制御装置であって、
所定の状況を検出する状況検出センサー部、この状況検出センサー部により得られるデータを演算処理するデータ処理部、所定のデータを記憶するメモリ部、及び、上記データを無線にて送受信する通信部を有する複数のセンサーノードと、
このセンサーノードは車室内の異なる複数の位置に配置され、これらの複数のセンサーノードと携帯端末とが互いにネットワークを形成するネットワーク形成手段と、
上記ネットワークを形成する複数のセンサーノードによる複数のデータと携帯端末のデータとに基づいて上記機器を制御するための目標制御量を算出する目標制御量算出手段と、
この目標制御量算出手段により算出された目標制御量が得られるように上記機器を制御する制御手段と、
上記複数のセンサーノードと携帯端末との間で信号を送受信して、携帯端末位置を算出する携帯端末位置算出手段と、
を有することを特徴とする車載機器制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−234467(P2009−234467A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84451(P2008−84451)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Bluetooth
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Bluetooth
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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