説明

車載用ディスクプレーヤ及び車載用ディスクプレーヤの制御方法

【課題】車両事故の発生或いは事故の発生を予測した場合に、ドライブユニットをシャーシに固定し、ドライブユニット及びディスクの破損を低減した車載用ディスクプレーヤを提供する。
【解決手段】ディスクプレーヤの本体内に設けられ、ディスク媒体を回転するターンテーブル及びピックアップを含むドライブユニットと、ディスクプレーヤのプレイ中に、ドライブユニットを本体に弾性的に支持するダンパー機構と、ドライブユニットを本体に対してロック又はアンロック状態に制御するロック機構と、ディスクプレーヤを搭載した車両が、障害物に衝突した場合又は障害物への衝突を予測した場合に発生される危険信号に応答してロック機構を制御し、ドライブユニットを本体に対してロックする制御部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DVD(Digital Versatile Disk)やCD(Compact Disk)等のディスク媒体に記録された情報を再生可能な車載用ディスクプレーヤに係り、特に、車両事故の発生或いは事故の発生を予測した場合に、ディスクのドライブユニットをシャーシに固定することでドライブユニットの破損を低減したディスクプレーヤ及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスクプレーヤでは、光ピックアップからディスク媒体(以下、ディスクと称す)に対してレーザ光を照射し、ディスクからの情報を読み取って再生するようにしている。また、車載用のディスクプレーヤも普及している。
【0003】
ところで、従来の車載用のディスクプレーヤでは、光ピックアップやターンテーブル等を含むドライブユニットがシャーシに固定的に支持されていると、プレイ時(情報の再生時や記録時)に外部から振動や衝撃を受けた際に光ピックアップやディスクに直接作用し、音飛び等の障害を発生することがある。
【0004】
そのため、ドライブユニットをダンパー等の弾性部材を介してシャーシに弾性的に支持し、プレイ中に外部からの振動等を受けてもドライブユニットやディスクに振動や衝撃が直接伝わらないようにし、音飛び等の障害を低減している。
【0005】
また、ディスクを挿入・排出する場合、或いはディスクプレーヤの搬送時には、ドライブユニットをシャーシに対して固定するようにしている。即ち、車載用ディスクプレーヤには、ドライブユニットをシャーシに対してロックまたはアンロック状態にするロック機構が備えられており、プレイ時はドライブユニットをシャーシに対してアンロック状態にしてダンパーによって弾性的に支持し、ディスクを挿入・排出する際、或いは搬送時には、ドライブユニットをシャーシに対してロック状態にして固定するようにしている。これにより、ディスクの挿入動作や排出動作に支障を来たさないようにしている。
【0006】
特許文献1には、ドライブユニットをダンパー等の弾性部材を介してシャーシに弾性的に支持するとともに、ドライブユニットをシャーシに対してロックまたはアンロック状態にするロック機構を備えた車載用ディスクプレーヤについて記載されている。
【0007】
一方、車載用のディスクプレーヤでは、ディスクのプレイ中はロック機構がアンロック状態にあるため、車両の衝突事故等によって衝撃を受けた場合、ドライブユニットがシャーシに衝突して破損する可能性があった。また衝突後、ディスクがドライブユニット内から取り出せなくなるという不具合がある。
【特許文献1】特開2004−47014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の車載用ディスクプレーヤでは、ディスクのプレイ中に車両の衝突事故等によって衝撃を受けた場合、ドライブユニットが破損したり、ディスクがドライブユニット内から取り出せなくなるという不具合があった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、車両事故の発生或いは事故の発生を予測した場合に、ドライブユニットをシャーシに固定し、ドライブユニット及びディスクの破損を低減した車載用ディスクプレーヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の本発明の車載用ディスクプレーヤは、ディスクプレーヤの本体内に設けられ、ディスク媒体を回転するターンテーブル及び前記ディスク媒体に記録された情報を読み取り可能なピックアップを含むドライブユニットと、前記ディスクプレーヤのプレイ中に、前記ドライブユニットを前記本体に弾性的に支持するダンパー機構と、前記ドライブユニットを前記本体に対してロック又はアンロック状態に制御するロック機構と、前記ディスクプレーヤを搭載した車両が、障害物に衝突した場合又は障害物への衝突を予測した場合に発生される危険信号に応答して前記ロック機構を制御し、前記ドライブユニットを前記本体に対してロックする制御部と、を具備したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項7記載の本発明の車載用ディスクプレーヤの制御方法は、ディスクプレーヤの本体内に、ディスク媒体を回転するターンテーブル及び前記ディスク媒体に記録された情報を読み取り可能なピックアップを含むドライブユニットを設け、前記ドライブユニットを前記本体に対してロック又はアンロック状態に制御するロック機構を備え、前記ディスクプレーヤのプレイ中は、前記ドライブユニットをダンパー機構によって前記本体に弾性的に支持して、前記ドライブユニットを前記本体に対してアンロック状態とし、前記ディスク媒体を前記本体内に挿入又は本体内から排出する場合には、前記ドライブユニットを前記本体に対してロック状態とし、前記ディスクプレーヤを搭載した車両が障害物に衝突した場合又は障害物への衝突を予測した場合には、前記ドライブユニットを前記本体に対してロック状態に制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のディスクプレーヤでは、車両の衝突、或いは衝突が予測される場合に、ドライブユニットをシャーシ(本体)にロックして固定するため、ドライブユニットがシャーシに衝突するのを避けることができ、ドライブユニットの破損やディスクの破損を低減することができる。また衝突後、ドライブユニットからディスクを取り出すことが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明のディスクプレーヤの一実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明の一実施形態に係る車載用ディスクプレーヤの概略構成を示すブロック図である。尚、以下においては、ディスク媒体としてDVDの再生を行う場合を例に説明する。
【0015】
図1において、100はディスクプレーヤである。ディスクプレーヤ100は、光ピックアップ11を有し、スピンドルモータ12によって一定の線速度で回転するターンテーブル13に載置されたディスクD(例えばDVD等の光ディスク)に記録された情報を、光ピックアップ11を用いて再生する。
【0016】
光ピックアップ11、スピンドルモータ12、ターンテーブル13は、ドライブユニット8を構成する。またドライブユニット8は、ダンパー機構10によって支持されている。さらにドライブユニット8には、ロック機構101が設けられ、ドライブユニット8は、ロック機構101によってシャーシ(本体)1にロックされた状態又はアンロックの状態を採ることができる。ダンパー機構10及びロック機構101の詳細については後述するが、ロック機構101は、モータを駆動源とし、モータの回転によってドライブユニット8をシャーシ1にロックしたり、アンロック状態にすることができる。
【0017】
またディスクプレーヤ100は制御部102を有する。制御部102はCPU103を含み、モータ駆動回路104を制御する。モータ駆動回路104は、ロック機構101の駆動源であるモータ(後述)を制御する。
【0018】
一方、200は車両に設けられた車両制御部であり、車両制御部200には、ショックセンサ201、重力センサ202等の衝撃センサが接続されている。また、車両制御部200には、プリクラッシュ信号や横滑り信号等を生成する信号生成部203を有している。
【0019】
ショックセンサ201や重力センサ202は、例えば急ブレーキ等によりショック値や重力が所定値以上になったときに車両制御部200に検知出力を供給する。またプリクラッシュ信号は、運転時の車両の衝突を事前に予測し、安全装置を作動させる際のトリガー信号である。例えば、車両に超音波発信器と受信器を取り付け、車両と前方の障害物との距離を測定し、車両速度と、障害物との距離の情報をもとに、衝突が予測される場合に発生する信号である。また横滑り信号は、車両が急ハンドル等により横滑りした際に、所定の距離以上の横滑りを生じたときに発生する信号である。
【0020】
車両制御部200は、ショックセンサ201や重力センサ202の検知出力、及びプリクラッシュ信号や横滑り信号等に基づいて、安全装置、例えばエアバッグシステムや、アンチロック・ブレーキシステム(ABS)を作動させる。
【0021】
また、車両制御部200は、ショックセンサ201や重力センサ202による検知出力を受けて車両の衝突時に危険信号を発生する。また信号生成部203で発生したプリクラッシュ信号、横滑り信号等を基に車両の衝突を予測して危険信号を発生する。つまり車両制御部200は信号発生部を構成し、ディスクプレーヤ100の制御部102にBUS204を介して危険信号を伝送する。
【0022】
ディスクプレーヤ100の制御部102はCPU103を含み、車両制御部200から危険信号を受信した際に、CPU103の判断によりモータ駆動回路104を制御し、モータを回転させてロック機構101を制御する。これにより、ロック機構101は危険信号を受けたときにドライブユニット8をシャーシ1に固定する。
【0023】
したがって、ドライブユニット8は、車両の衝突、或いは衝突が予測される場合にはシャーシ1に固定されるため、ドライブユニット8がシャーシ1に衝突するのを避けることができる。これにより、ドライブユニット8の破損を低減し、中に入っているディスクを保護することができる。また、衝突後、ドライブユニット8からディスクを取り出すことが容易になる。
【0024】
次に図2〜図7を参照して、ロック機構101及びダンパー機構10を含むディスクプレーヤ100の詳細な構成について説明する。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態に係る車載用ディスクプレーヤ100の平面図であり、図3は、ドライブユニット8の正面図である。また、図4はドライブユニット8を構成するドライブシャーシとディスク搬送機構を分解して示す斜視図であり、図5はロック機構101を構成するスライド部材とその周辺部を示す斜視図である。さらに図6はスライド部材とダンパー機構の構成を示す平面図であり、図7はスライド部材を移動させるリンク機構の斜視図である。
【0026】
図2に示すように、車載用ディスクプレーヤ100は、ディスクプレーヤの本体を形成するシャーシ1と、トップシャーシ2を備えており、シャーシ1とトップシャーシ2は金属板を折り曲げ加工してなる。シャーシ1は、左右の側板1aと前面版1cを有し、前面板1cにはスリット状の挿入口1dが開設されている。
【0027】
ディスクは、矢印A方向から挿入口1dを介して本体部に挿入することができる(或いは挿入したディスクを挿入口1dから排出することができる)。トップシャーシ2はその中央部分が大きく切り欠かれて枠状に形成され、シャーシ1の上面にネジ止め固定されており、このトップシャーシ2の下側にディスク搬送機構を構成するガイド部材3とローラ4が設けられている(図4参照)。
【0028】
図4に示すように、ガイド部材3は、平板部3aと、左右両側に折曲して形成された一対の側板部3bとを有し、側板部3bには駆動ピン3cがそれぞれ設けられている。平板部3aは左右の側板部3bに向かって下方に傾斜する緩やかなテーパ形状を有するが、その左右両側の一部には上面に向かって突出する一対の細長い逃げ部3dが形成されている。また平板部3aの前面側と後面側の縁部には上方に向かって突出する折曲部3eが形成されている。
【0029】
尚、各駆動ピン3cは、図5で示すようにスライド部材21,22(図5ではスライド部材21のみを示す)に形成されたカム溝(後述)にそれぞれ係合し、これらスライド部材21,22が前後方向へ同期して移動することによって、ガイド部材3はシャーシ1に対して平行状態を保って昇降動作する。
【0030】
ローラ4は、中央部から両端に向かって直径が次第に大きくなるテーパ形状に形成されており、図示せぬモータからの動力によって正・逆両方向へ回転駆動される。ローラ4はローラブラケット5に回転可能に支持されている。尚、ローラ4の両端部は、後述するスライド部材21,22のカム溝にそれぞれ係合しており、これらスライド部材21,22が前後方向へ同期して移動すると、ローラ4は昇降動作するようになっている。
【0031】
これによって挿入口1dから挿入されたディスクは、ガイド部材3の下面とローラ4とで挟まれ、ローラ4の大径部分をガイド部材3の逃げ部3dに対向させることにより、ガイド部材3とローラ4とでディスクの中央部分を確実に挟持することができる。
【0032】
図6に示すように、シャーシ1の底面には一対の検知レバー6が回転可能に支持され、これら検知レバー6の下方に回路基板7(図5参照)が固定されている。各検知レバー6の先端には検知ピン6aが設けられており、これら検知ピン6aの上端はトップシャーシ2に穿設された円弧状のガイド孔2aにそれぞれ挿入されている(図2参照)。
【0033】
各検知レバー6は図示せぬスプリングによって両検知ピン6aが互いに近づく方向に付勢されており、図の左側の検知レバー6の後端には駆動部6bが設けられている。また、回路基板7上にはスイッチ(図示せず)が実装されており、挿入口1dから挿入されたディスクの外周が少なくとも一方の検知ピン6aに当接して検知レバー6が外側へ所定角度だけ回転すると、検知レバー6は回転し、これによってスイッチが動作してローラ4の駆動用モータ(図示せず)を始動させる。
【0034】
一方、図2で示すように、シャーシ1にはドライブユニット8が配置されている。ドライブユニット8は、図4で示すように金属板を折り曲げ加工したドライブシャーシ9を有している。また、ドライブシャーシ9は、図5,図6で示すように複数のダンパー10aや、コイルスプリング(図示せず)等の弾性部材からなるダンパー機構10によってシャーシ1の底面上に弾性的に支持される。
【0035】
ドライブシャーシ9には、左右両側に突き出すようにロックピン9a,9b(図4参照)が設けられている。また右側面にはガイドピン9cが突設され、さらに下面にもロックピン(図示せず)が設けられている。
【0036】
図3で示すように、ドライブシャーシ9には、光ピックアップ11(図2参照)やスピンドルモータ12等が搭載されており、スピンドルモータ12の回転軸にはターンテーブル13が固着されている。またドライブシャーシ9上には、アームクランプ14が設けられている。
【0037】
アームクランプ14は、その左右両側面に形成されたガイド溝14a,14a(図4参照)がドライブシャーシ9のロックピン9aとガイドピン9cに係合して上下方向へ平行移動可能に支持されている。
【0038】
また、ドライブシャーシ9上には一対の位置決め部材18,19が回転可能に支持されている。位置決め部材18,19は、直径の異なるディスクの中心孔をそれぞれターンテーブル13に対して位置合わせする機能を有する。位置決め部材18は、合成樹脂製のアームレバー18bと規制アーム18cとで構成されており、右側の位置決め部材19は、金属板製のアームレバー19bと規制アーム19cとで構成されている。また、ドライブシャーシ9には、ロックレバー20が左右方向へ移動可能に支持されている。ロックレバー20は、上記の位置決めを解除するものである(位置決め部材18,19、ロックレバー20の機能については本発明の趣旨と関係ないため詳細な説明は割愛する)。
【0039】
また、図4〜図6で示すように、シャーシ1の左右の側板1aの内側には、前述したスライド部材21,22が取り付けられている。以下、左側のスライド部材21を第1のスライド部材、右側のスライド部材22を第2のスライド部材と呼ぶこともある。スライド部材21,22はいずれも合成樹脂で成形されており、シャーシ1に前後方向へ移動可能に支持されている。
【0040】
また、図6に示すように、シャーシ1の底面には第1のスライド部材21の駆動源であるモータ23が設置されている。また、モータ23の動力は歯車列を介して最終段の歯車32に伝達される。
【0041】
また第1のスライド部材21の底板部上にはラック24が設けられ、このラック24は、歯車32と噛合可能である。したがって、モータ23が回転し歯車32が回転することにより、ラック24は所定距離だけ前後方向に移動する。こうしてラック24の移動力は、第1のスライド部材21に伝達される。また、第1のスライド部材21の動きは、リンク機構25を介して第2のスライド部材22に伝達される。
【0042】
図7は、リンク機構25の構成を示す斜視図である。リンク機構25は、第1のリンクレバー26と第2のリンクレバー27を有し、第1,第2のリンクレバー26,27は、それぞれシャーシ1の底面に回転可能に支持されている。第1リンクレバー26の一端部は、第1のスライド部材21の後端部に回転可能に連結され、第2リンクレバー27の一端部は、第2のスライド部材22の後端部に回転可能に連結されている。
【0043】
また、第1リンクレバー26の他端部に植設されたピンが、第2のリンクレバー27の他端部に穿設されたカム孔27aに挿入されている。したがって、第1のスライド部材21の前後進移動に伴って第1のリンクレバー26が回転すると、ピンがカム孔27a内を移動して第2のリンクレバー27が回転し、第2のスライド部材22を第1のスライド部材21と同方向へ前後進させることができる。
【0044】
また、シャーシ1の左の側板1aの内側には、ロックレバー28が回転可能に支持されている。このロックレバー28は、第1のスライド部材21の前後進によって回転動作し、それに伴ってドライブシャーシ9の左側に設けられたロックピン9aの係脱動作が行われる。
【0045】
一方、シャーシ1の右の側板1aの内側には、ロックスライド部材29が前後方向に移動可能に支持されるとともに、リンクアーム30が回転可能に支持されている。このリンクアーム30は、第2のスライド部材22の前後進によって回転動作し、それに伴ってロックスライド部材29が第2のスライド部材22と逆方向へ移動するようになっている。
【0046】
このロックスライド部材29にはロック孔29aが穿設されており、このロック孔29aによってドライブシャーシ9の右側に設けられたロックピン9bの係脱動作が行われる。
【0047】
さらに、シャーシ1の底面にはロックアーム31aを有するセンターロックレバー31が回転可能に支持されており、このセンターロックレバー31は第1のリンクレバー26に連動して回転し、それに伴ってドライブシャーシ9の下面中央部に設けられたロックピン(図示せず)の係脱動作が行われる。
【0048】
図8は、ロック機構101の動作を説明する説明図である。図8(a)はロック状態、(b)はハーフロック状態、(c)はアンロック状態をそれぞれ示している。
【0049】
図8で示すように、第1のスライド部材21の内面には、複数のカム溝21a〜21eが形成され、第2のスライド部材22にも複数のカム溝22a〜22c(図7参照)が形成されている。また、第1、第2のスライド部材21,22に対して、ローラ4の両端部が両スライド部材21,22のカム溝21a,22aに係合し、ガイド部材3の左の駆動ピン3cがスライド部材21のカム溝21b,21cに係合し、ガイド部材3の右の駆動ピン3cがスライド部材22のカム溝22b,22cにそれぞれ係合している。
【0050】
さらに、ドライブシャーシ9の左側のロックピン9aが、第1のスライド部材21のカム溝21dに係合し、ロックレバー28に植設されたピン28aが第1のスライド部材21のカム溝21eに係合している。尚、21jは押圧片である。
【0051】
スライド部材21とスライド部材22は、同期して前後進するため、以下の説明では、スライド部材21の移動に伴ってドライブユニット8(ドライブシャーシ9)がシャーシ1に対してロック或いはアンロックされる様子を説明する。
【0052】
ディスクが本体内に挿入されていないイジェクト時(待機状態)では、図8(a)に示すように、スライド部材21はシャーシ1の最も奥側の後退位置にある。このイジェクト時において、ローラ4の端部はカム溝21aの手前側の上段位置にあり、ガイド部材3の駆動ピン3cは、カム溝21bとカム溝21cの手前側の中段位置にある。
【0053】
したがって、ガイド部材3は挿入口1dに対応する下降位置に保持され、ローラ4はガイド部材3の下面に圧接された上昇位置に保持されている。また、ドライブシャーシ9のロックピン9aが、スライド部材21のカム溝21dとロックレバー28によって前後方向から拘束される。このため、ドライブユニット8はシャーシ1に対して前後左右および上下方向が固定されたロック状態にある。
【0054】
このような待機状態において、ディスクが挿入口1dから本体内に挿入し始めると、ディスクの先端が検知レバー6の検知ピン6aに当接し、ディスクの挿入力によって検知レバー6が外側へ拡がるように回転する。これにより、モータ(図示せず)が始動してローラ4が回転する。そしてディスクをさらに押し込むと、ディスクはガイド部材3の下面とローラ4とで挟持され、ローラ4の回転力によって本体内へと搬送される。
【0055】
この間、ドライブシャーシ9はロック状態に維持されている。そして、ディスクの挿入が検知されると、シャーシ1内の奥部に設置されたモータ23が回転を始める。これにより、歯車32が回転しラック24が移動するため、第1のスライド部材21が前方へ移動し始める。第1のスライド部材21の動きは、リンク機構25を介して第2のスライド部材22に伝達されるため、第1、第2のスライド部材21,22がシャーシ1の奥側の後退位置から前進位置へと移動を開始する。
【0056】
スライド部材21が、図8(a)の後退位置から(b)に示す位置に移動する間に、ローラ4の端部はカム溝21aの上段位置から下段位置へ移動し、ガイド部材3の駆動ピン3cは、カム溝21bとカム溝21cの下段位置を通って傾斜部の中段位置へと移動する。その結果、ローラ4はディスクの下面から離反する。
【0057】
また、ロックピン9aはカム溝21d内を移動するが、ロックレバー28のピン28aがカム溝21eの平行部を移動するため、ロックピン9aはロックレバー28に係止されたままとなる。したがって、ドライブユニット8はシャーシ1に固定的に支持されたハーフロック状態となる。この状態もロック状態と言える。
【0058】
さらにスライド部材21が、図8(b)のハーフロック状態の位置から、図8(c)に示すようにシャーシ1の手前側の前進位置まで移動すると、ローラ4の端部はカム溝21aの奥側の下段位置へ移動し、ガイド部材3の駆動ピン3cはカム溝21bとカム溝21cの傾斜部の中段位置から上段位置へと移動する。
【0059】
これにより、ガイド部材3は上昇位置へ移動してディスクの上面からさらに離反し、ローラ4もディスクの下面から離反した下降位置に保持される。また、ロックピン9aがカム溝21dから外れる位置まで移動し、ピン28aがカム溝21eの平行部から傾斜部へ移動してロックレバー28が回転するため、ロックレバー28によるロックピン9aの係止が解除される。
【0060】
その結果、ドライブシャーシ9は、ダンパー10a等によってシャーシ1に弾性的に支持され、ドライブユニット8はロック状態からアンロック状態へと切り換わる。このアンロック状態はプレイ状態であり、このプレイ状態でスピンドルモータ12が回転駆動されると、ターンテーブル13とディスク及びクランパ15が一体的に回転し、光ピックアップ11によってディスクに記録された情報の読み取りが可能となる。
【0061】
こうして、本実施形態では、ディスクの挿入或いは排出時には、ドライブユニット8はシャーシ1にロックされ、プレイ時にはアンロックとなる。
【0062】
一方、本実施形態によるディスクプレーヤ100は、車両制御部200から危険信号を受信した際に、モータ駆動回路104によってモータ23を制御する。モータ23は、スライド部材21を移動させるための駆動源であるため、モータ23の回転を制御することにより、ドライブユニット8をシャーシ1にロックさせたり、アンロック状態に制御することができる。
【0063】
つまり、制御部100は、車両制御部200から危険信号を受信した際にモータ23を回転させ、スライド部材21を図8(a)で示すように、シャーシ1の奥側の後退位置まで移動させる。これにより、ドライブシャーシ9(ドライブユニット8)をシャーシ1にロックさせることができる。或いは、スライド部材21を図8(b)の位置に移動させてハーフロック状態にしてもよい。
【0064】
こうして、ドライブユニット8は、車両の衝突、或いは衝突が予測される場合には、シャーシ1に固定されるため、ドライブユニット8がシャーシ1に衝突するのを避けることができ、ドライブユニット8の破損やディスクの破損を低減することができる。また、ドライブユニット8がロック状態にあるため、衝突後、ドライブユニット8からディスクを取り出すことが容易になる。
【0065】
また、通常の運転時におけるプレイ動作時には、ダンパー機構10の作用により、ドライブユニット8に加わる振動や外乱を吸収することができるため、音飛び等の障害を低減することができる。
【0066】
また、車両の衝突、或いは衝突が予測される場合には、モータ23の動作電圧を高くするようにしても良い。これにより、ロック動作を早く行うことができる。
【0067】
尚、図4〜図8に示したロック機構101及びダンパー機構10は、特許文献1に記載された構成と同様のものを例示したが、図示した構成に限らず他の構成であっても良い。要は、プレイ時にはドライブユニット8をアンロック状態にしてダンパー機構で弾性的に支持し、ディスクの挿入・排出時にはドライブユニット8シャーシ等に固定できる構成を有するものであればよい。
【0068】
図9は、本発明の実施形態に係るディスクプレーヤ100の信号処理系の構成を示すブロック図である。図9において、Dはディスクであり、スピンドルモータ12によって一定の線速度で回転される。ディスクDに対する情報の記録、再生は、光ピックアップ11によって行われる。
【0069】
光ピックアップ11は、スレッドモータ41を含む移動機構によってディスクDの径方向に駆動され、スレッドモータ41は、スレッドモータ制御回路42により制御される。光ピックアップ11には、対物レンズ111が設けられ、この対物レンズ111は、2軸アクチュエータ112によってフォーカシング方向への移動とトラッキング方向への移動が制御される。
【0070】
ディスクDに記録された情報は、光ピックアップ11によって読み取られ、信号処理回路43に供給される。信号処理回路43は、RFアンプを含み、RFアンプからは、フォーカス制御用の信号、トラッキング制御用の信号、及びデータ再生用の信号が出力される。
【0071】
フォーカス制御用の信号は、フォーカシング制御回路44に供給され、フォーカシング制御回路44の出力信号は、アクチュエータ112に供給される。これにより、光ビームが、ディスクD上に常時ジャストフォーカスとなるように制御される。
【0072】
また、トラッキング制御用の信号はトラッキング制御回路45に供給される。トラッキング制御回路45は、トラック駆動信号を作成してアクチュエータ112に供給する。これにより、光ピックアップ11のトラッキング方向の移動が制御される。また、トラッキング制御回路45からのトラック駆動信号は、スレッドモータ制御回路42にも供給される。 また、スピンドルモータ12はモータ制御回路46によって制御される。
【0073】
光ピックアップ11は、スレッドモータ制御回路42によりスレッドモータ41を制御することで、ディスクの目的アドレスまでサーチ移動するサーチ動作を行うことができる。また、トラッキング補正によってトレース動作を行う。
【0074】
また、信号処理回路43からのデータ再生用の信号は、増幅回路47によって増幅されたあと、イコライザ(図示せず)で波形等化され、さらに2値化回路によって2値化されてデータ再生回路48に供給される。データ再生回路48は、2値化されたデータをPLL回路49からの再生用クロックに基づいて復調する。また、データ再生回路48は、エラー訂正回路を含み、誤り訂正処理を行ってデジタルデータを出力する。
【0075】
スレッドモータ制御回路42、フォーカシング制御回路44、トラッキング制御回路45、モータ制御回路46、データ再生回路48、PLL回路49は、バス50に接続され、これらの回路はバス50を介してコントローラ51によって制御される。
【0076】
コントローラ51は制御部を構成し、CPU52を含み、ROM53に記録されたプログラムに従ってディスクプレーヤ100の動作を制御する。また、バス50には記憶部54が接続され、記憶部54にはプログラムの実行により処理されたデータ等を記憶することができる。
【0077】
またバス50には、映像・音声デコーダ55が接続されている。映像・音声デコーダ55は、データ再生回路48で再生したデータから、映像信号及び音声信号を復号化し、映像信号を表示部56に供給し、音声信号を音声出力部(スピーカ)57に供給する。
【0078】
さらにバス50には、操作部58が接続されている。操作部58はユーザによって操作され、例えば再生ボタン、停止ボタン、早戻しボタン、早送りボタン、パワーボタン等を有している。映像・音声デコーダ55は、操作部58の操作に応答してコントローラ51の制御のもとに、通常の再生や、早送り再生等のモードで映像、音声信号を生成する。
【0079】
図9の回路において、点線枠60はドライブユニット8内に構成される。尚、図1の制御部102は、図9のコントローラ51で兼用することもできる。その場合、コントローラ51には車両制御部200からの危険情報がBUS204を介して供給される。これにより、コントローラ51はモータ駆動回路104(図1)を制御し、モータ23の回転を制御してドライブユニット8をシャーシ1にロックしたり、アンロック状態に制御することになる。
【0080】
尚、以上の説明ではディスク媒体として、DVDの再生を例に説明したが、ナビゲーション用のディスク、CD(Compact Disk)、或いはMD(Mini Disk)等のディスク媒体に記録された情報を再生する場合であっても本発明の実施形態を適用することができる。
【0081】
また以上の説明に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載用ディスクプレーヤを示す概略構成図。
【図2】同実施形態に係るディスクプレーヤの平面図。
【図3】同実施形態におけるドライブユニットの構成を示す正面図。
【図4】同実施形態におけるドライブシャーシとディスク搬送機構を分解して示す斜視図。
【図5】同実施形態におけるロック機構を構成するスライド部材とその周辺部を示す斜視図。
【図6】同実施形態におけるスライド部材とダンパー機構の構成を示す平面図。
【図7】同実施形態におけるスライド部材を移動させるリンク機構の斜視図。
【図8】同実施形態におけるロック機構の動作を説明する説明図
【図9】同実施形態におけるディスクプレーヤの信号処理系の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0083】
1…シャーシ
2…トップシャーシ
3…ガイド部材
4…ローラ
5…ローラブラケット
6…検知レバー
7…回路基板
8…ドライブユニット
9…ドライブシャーシ
10…ダンパー機構
11…光ピックアップ
12…スピンドルモータ
13…ターンテーブル
21,22…スライド部材
23…モータ
25…リンク機構
28…ロックレバー
100…ディスクプレーヤ
101…ロック機構
102…制御部
103…CPU
200…車両制御部
201…ショックセンサ
202…重力センサ
203…信号生成部
204…BUS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクプレーヤの本体内に設けられ、ディスク媒体を回転するターンテーブル及び前記ディスク媒体に記録された情報を読み取り可能なピックアップを含むドライブユニットと、
前記ディスクプレーヤのプレイ中に、前記ドライブユニットを前記本体に弾性的に支持するダンパー機構と、
前記ドライブユニットを前記本体に対してロック又はアンロック状態に制御するロック機構と、
前記ディスクプレーヤを搭載した車両が、障害物に衝突した場合又は障害物への衝突を予測した場合に発生される危険信号に応答して前記ロック機構を制御し、前記ドライブユニットを前記本体に対してロックする制御部と、
を具備したことを特徴とする車載用ディスクプレーヤ。
【請求項2】
前記ロック機構は、モータを駆動源とし、このモータの回転によって前記ドライブユニットを前記本体に対してロック又はアンロック状態に制御し、
前記ディスク媒体を前記本体内に挿入又は本体内から排出する際には、前記ドライブユニットを前記本体に対してロック状態とし、プレイ中は前記ドライブユニットを前記本体に対してアンロック状態にすることを特徴とする請求項1記載の車載用ディスクプレーヤ。
【請求項3】
さらに前記危険信号を発生する信号発生部を有し、
前記制御部は、前記信号発生部から前記危険信号が発生された場合に前記モータを駆動して、前記ドライブユニットを前記本体に対してロックすることを特徴とする請求項2記載の車載用ディスクプレーヤ。
【請求項4】
前記制御部は、前記信号発生部から前記危険信号が発生された場合に、前記モータの動作電圧を高くして、前記ロック動作が早くなるように制御することを特徴とする請求項3記載の車載用ディスクプレーヤ。
【請求項5】
前記信号発生部は、前記車両に搭載されたショックセンサ又は重力センサを含み、前記ショックセンサ又は重力センサからの検知出力に応じて前記危険信号を発生することを特徴とする請求項3記載の車載用ディスクプレーヤ。
【請求項6】
前記信号発生部は、前記車両と前記障害物との衝突を予測したときに、前記危険信号としてプリクラッシュ信号又は横滑り信号を発生することを特徴とする請求項3記載の車載用ディスクプレーヤ。
【請求項7】
ディスクプレーヤの本体内に、ディスク媒体を回転するターンテーブル及び前記ディスク媒体に記録された情報を読み取り可能なピックアップを含むドライブユニットを設け、
前記ドライブユニットを前記本体に対してロック又はアンロック状態に制御するロック機構を備え、
前記ディスクプレーヤのプレイ中は、前記ドライブユニットをダンパー機構によって前記本体に弾性的に支持して、前記ドライブユニットを前記本体に対してアンロック状態とし、
前記ディスク媒体を前記本体内に挿入又は本体内から排出する場合には、前記ドライブユニットを前記本体に対してロック状態とし、
前記ディスクプレーヤを搭載した車両が障害物に衝突した場合又は障害物への衝突を予測した場合には、前記ドライブユニットを前記本体に対してロック状態に制御することを特徴とする車載用ディスクプレーヤの制御方法。
【請求項8】
前記車両が前記障害物に衝突した場合又は障害物への衝突を予測した場合に危険信号を発生し、
前記危険信号の発生に応答して前記ロック機構を制御し、前記ドライブユニットを前記本体に対してロックすることを特徴とする請求項7記載の車載用ディスクプレーヤの制御方法。
【請求項9】
前記ロック機構は、駆動源としてモータを有し、
前記危険信号が発生された場合に前記モータの動作電圧を高くして、前記ドライブユニットのロック動作が早くなるようにしたことを特徴とする請求項8記載の車載用ディスクプレーヤの制御方法。
【請求項10】
前記車両に搭載されたショックセンサ又は重力センサからの検知出力に応じて前記危険信号を発生することを特徴とする請求項8記載の車載用ディスクプレーヤの制御方法。
【請求項11】
前記車両と前記障害物との衝突を予測したときに、前記危険信号としてプリクラッシュ信号又は横滑り信号を発生することを特徴とする請求項8記載の車載用ディスクプレーヤの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−205738(P2009−205738A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46743(P2008−46743)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】