説明

車載用操作パネルの組立方法及び組立装置

【課題】プッシュスイッチの摺動シャフトをその頭部形状とは無関係に車載用操作パネルの孔に効率良く短時間で且つ正確に自動挿入することによって車載用操作パネルの組立性の向上を図ることができる車載用操作パネルの組立方法を提供すること。
【解決手段】摺動シャフト供給部1にて切り出し及び振り分けられた複数の摺動シャフトを圧送部2によって摺動シャフト挿入部3に圧送し、該摺動シャフト挿入部3に圧送された摺動シャフトの軸部を開閉可能なチャックアーム24によって把持して該摺動シャフトを垂直に保持した状態で摺動シャフト挿入部3を車載用操作パネル50の位置まで下降させて摺動シャフトの先端を車載用操作パネル50の孔に挿入した後、チャックアーム24を開いて摺動シャフトの保持を解除し、保持が解除された摺動シャフトを圧力によって車載用操作パネル50の孔に挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用操作パネルに形成された孔に摺動シャフトを自動挿入した後、該摺動シャフトの頭部に操作ノブを組み付けて車載用操作パネルを組み立てる方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エアコン操作パネル、オーディオ操作パネル、カーナビ操作パネル等の車載用操作パネルには、複数のプッシュスイッチが設けられており、各プッシュスイッチは、制御基板上に配置されたスイッチ本体と、操作ノブ及び該操作ノブと前記スイッチ本体とを接続する摺動シャフトを含んで構成されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
斯かるプッシュスイッチは、その摺動シャフトが操作パネルの孔を貫通し、車載用操作パネルの内部に挿入された摺動シャフトの一端はスイッチ本体に連結され、操作パネル外に露出する摺動シャフトの他端には操作ノブが組み付けられている。従って、乗員が操作ノブを押せば、摺動シャフトが摺動してプッシュスイッチがONされる。
【0004】
ところで、車載用操作パネルの組み立てに際しては、図10に示すように、車載用操作パネル150に形成された複数の孔151にプッシュスイッチの摺動シャフト110を作業者が1本ずつ手作業で挿入していた。このように車載用操作パネル150に形成された多数(例えば、8〜16)の孔151に作業者が摺動シャフト110を1本ずつ手作業で挿入する作業は非効率で長時間を要するという問題があった。又、手作業であるために摺動シャフト110の挿入忘れが発生したり、長さや太さの異なる異種の摺動シャフト110を誤挿入する可能性があった。
【0005】
そこで、本出願人は、プッシュスイッチの摺動シャフトを車載用操作パネルの孔に効率良く短時間で且つ正確に自動挿入することによって車載用操作パネルの組立性の向上を図ることができる車載用操作パネルの組立方法及び組立装置を先に提案した(特願2008−242720において)。
【0006】
上記組立方法及び組立装置は、摺動シャフト供給部にて切り出し及び振り分けられた複数の摺動シャフトを圧送部によって摺動シャフト挿入部に圧送し、該摺動シャフト挿入部に圧送された前記摺動シャフトを第1の位置に保持した状態で摺動シャフト挿入部を車載用操作パネルの位置まで下降させて摺動シャフトの先端を車載用操作パネルの孔に挿入した後、摺動シャフト挿入部を水平方向に移動させ、前記摺動シャフトを該摺動シャフト挿入部の第2の位置に位置させて該摺動シャフトの保持を解除し、保持が解除された前記摺動シャフトを圧力によって前記車載用操作パネルの孔に挿入するものである。ここで、図11の平面図に示すように、摺動シャフト挿入部の第1の位置Aには摺動シャフト10の頭部10a(図12(b)参照)が係合する係合孔30が形成され、第2の位置Bには摺動シャフト10が通過可能な貫通孔31が形成されるとともに、これらの係合孔30と貫通孔31は互いに連通している。
【0007】
上記第1の位置Aは、摺動シャフト10を図12に示すように垂直に支持してその姿勢を適正に保持する位置であって、この第1の位置Aに形成された前記係合孔30の内径は摺動シャフト10の軸部10bの外径dに等しく(実際には若干大きく)設定されている。従って、最初に係合孔30に投入された摺動シャフト10は、その軸部10bのみが係合孔30を通過し、頭部10aは通過できないために図12に示すように垂直に支持され、その姿勢が適正に保持される。尚、このとき、摺動シャフト10は、その頭部10aに圧縮エアの圧力を受けて加圧されているため、その姿勢が安定化する。
【0008】
他方、第2の位置Bは、摺動シャフト10の通過(落下)を許容する位置であって、この第2の位置Bに形成された前記貫通孔31の内径は摺動シャフト10の外径Dに等しく(実際には若干大きく)設定されている。従って、この第2の位置Bでは、摺動シャフト10は貫通孔31を通過(落下)することができる。
【0009】
而して、摺動シャフト10は、摺動シャフト挿入部の第1の位置Aに投入され、この第1の位置Aで図12に示すように垂直に支持されてその姿勢が適正に保持される。そして、この状態を維持したまま、圧送部と摺動シャフト挿入部が下降し、摺動シャフト10が車載用操作パネル50の位置に達すると、図13に示すように、摺動シャフト10の先端部が車載用操作パネル50に形成された孔51に所定長さLだけ挿入されてその位置が固定される。
【0010】
そして、図13に示す状態を維持したまま、摺動シャフト挿入部を図14の矢印c方向に水平移動させれば、該摺動シャフト挿入部の第2の位置Bに形成された貫通孔31が摺動シャフト10に嵌合し、該貫通孔31は摺動シャフト10の通過を許容し、図15に示すように、摺動シャフト10は落下して車載用操作パネル50に形成された孔51に押し込まれて完全に挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭62−123618号公報
【特許文献2】特開2006−156012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記組立方法及び組立装置は、図16(a)に示すような頭部10aに水平な座面を有している摺動シャフト10に適用が限定され、例えば図16(b)に示すような頭部10aにR形状の座面を有している摺動シャフト10や図16(c)に示すような頭部10aにテーパ形状の座面を有している摺動シャフト10には以下の理由によって適用できないという問題があった。
【0013】
即ち、例えば図16(b)に示すような頭部10aにR形状の座面を有している摺動シャフト10の軸部10bを摺動シャフト挿入部の第1の位置Aに形成された係合孔30に通し、その頭部10aを係合孔30に係合させて摺動シャフト10を保持した状態では、摺動シャフト10が傾いて垂直に支持されず、この状態で摺動シャフト挿入部を下降させると摺動シャフト10が車載用操作パネル50の孔51に挿入されないという問題が発生する。
【0014】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、プッシュスイッチの摺動シャフトをその頭部形状とは無関係に車載用操作パネルの孔に効率良く短時間で且つ正確に自動挿入することによって車載用操作パネルの組立性の向上を図ることができる車載用操作パネルの組立方法及び組立装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1記載の車載用操作パネルの組立方法は、摺動シャフト供給部にて切り出し及び振り分けられた複数の摺動シャフトを圧送部によって摺動シャフト挿入部に圧送し、該摺動シャフト挿入部に圧送された前記摺動シャフトの軸部を開閉可能なチャックアームによって把持して該摺動シャフトを垂直に保持した状態で前記摺動シャフト挿入部を車載用操作パネルの位置まで下降させて摺動シャフトの先端を車載用操作パネルの孔に挿入した後、前記チャックアームを開いて前記摺動シャフトの保持を解除し、保持が解除された摺動シャフトを圧力によって前記車載用操作パネルの孔に挿入するようにしたことを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の車載用操作パネルの組立装置は、車載用操作パネルに形成された孔に摺動シャフトを自動挿入した後、該摺動シャフトの頭部に操作ノブを組み付けて車載用操作パネルを組み立てる装置であって、
整列された複数の摺動シャフトを1つずつ切り出して振り分ける摺動シャフト供給部と、
該摺動シャフト供給部から供給される摺動シャフトを圧送する圧送部と、
該圧送部によって圧送された摺動シャフトの軸部を把持して該摺動シャフトを垂直に保持するチャックアームと、該チャックアームを開閉させる開閉手段と、該開閉手段によって前記チャックアームが開いて摺動シャフトの保持が解除されると該摺動シャフトを圧送する圧送手段を備えた移動可能な摺動シャフト挿入部と、
を含んで構成されることを特徴とする。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記圧送部と前記摺動シャフト挿入部とを複数のフレキシブルチューブで接続し、該フレキシブルチューブ内を前記摺動シャフトの圧送経路としたことを特徴とする。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の発明において、前記摺動シャフト挿入部のチャックアームの近傍に、前記摺動シャフトの有無を検知するセンサを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1及び2記載の発明によれば、摺動シャフト供給部にて切り出し及び振り分けられた複数の摺動シャフトが圧送部によって摺動シャフト挿入部に圧送され、該摺動シャフト挿入部に圧送された摺動シャフトがその軸部をチャックアームによって把持されて垂直に保持された状態で摺動シャフト挿入部が車載用操作パネルの位置まで下降することによって、摺動シャフトの先端が車載用操作パネルの孔に挿入されてその位置が固定され、その状態を維持したままチャックアームを開いて摺動シャフトの保持を解除すれば、該摺動シャフトは圧力手段からの圧力によって車載用操作パネルの孔に押し込まれて完全に挿入される。従って、作業者の手作業によることなく、複数の摺動シャフトを車載用操作パネルの対応する孔に自動的に効率良く正確に挿入することができ、車載用操作パネルの組立性が高められる。
【0020】
そして、摺動シャフト挿入部においては、摺動シャフトはその軸部がチャックアームによって把持されて垂直に保持されるため、摺動シャフトはその頭部形状とは無関係に常に垂直に保持されるため、車載用操作パネルの対応する孔に摺動シャフトを常に正確に挿入することができ、本発明を任意の形態の摺動シャフトに対して適用することができ、その汎用性が高められる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、圧送部と摺動シャフト挿入部とを複数のフレキシブルチューブで接続したため、摺動シャフト挿入部は圧送部に対して自由に移動してその位置が任意に調整される。このため、組立装置は孔位置が異なる複数種の操作パネルの組み立てにも適用可能となり、その汎用性が高められる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、摺動シャフト挿入部のチャクアーム近傍に設けられたセンサによって摺動シャフトの有無を検知することができるため、摺動シャフトの挿入忘れ等の不具合の発生が確実に防がれる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る車載用操作パネルの組立装置の全体構成図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明に係る車載用操作パネルの組立装置の摺動シャフト供給部における切り出し部の構成と作用を示す図であって、上段は平面図、下段は正面図である。
【図3】本発明に係る車載用操作パネルの組立装置の摺動シャフト供給部における振り分け部の構成と作用を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図4】本発明に係る車載用操作パネルの組立装置の摺動シャフト供給部における振り分け部の構成と作用を示す側面図である。
【図5】本発明に係る車載用操作パネルの組立装置の摺動シャフト挿入部のチャックアーム部の側面図である。
【図6】(a)は図5のA−A線断面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図7】(a)は摺動シャフトのガイドブロックからチャックアームへの受け渡しを示す部分側面図、(b)は摺動シャフトのチャックアームによる垂直保持を示す部分側面図である。
【図8】摺動シャフトを車載用装置パネルの孔に挿入する途中の状態を示す部分側面図である。
【図9】(a)は摺動シャフトの車載用装置パネルの孔への挿入状態を示す平面図、(b)は同部分側面図である。
【図10】車載用操作パネルへの摺動シャフトの挿入作業の従来例を示す斜視図である。
【図11】従来の車載用操作パネルの組立装置の摺動シャフト挿入部に形成された係合孔と貫通孔を示す平面図である。
【図12】(a)は従来の車載用操作パネルの組立装置において摺動シャフトが第1の位置で保持された状態を示す平面図、(b)は同側面図である。
【図13】従来の車載用操作パネルの組立装置において第1の位置に保持された摺動シャフトの先端が車載用操作パネルの孔に挿入された状態を示す部分側面図である。
【図14】(a)は従来の車載用操作パネルの組立装置において摺動シャフトが第2の位置に位置した状態を示す平面図、(b)は同部分側面図である。
【図15】従来の車載用操作パネルの組立装置において第2の位置にある摺動シャフトが車載用操作パネルの孔に挿入されている状態を示す部分側面図である。
【図16】(a)〜(c)は頭部形状が異なる摺動シャフトの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は本発明に係る車載用操作パネルの組立装置の全体構成図であり、図1に示す組立装置は、車載用操作パネルに形成された孔にプッシュスイッチの摺動シャフトを自動挿入する装置である。尚、本発明に係る組立装置は、車載用操作パネルの孔に自動挿入された摺動シャフトの頭部に操作ノブを組み付ける機能も備えているが、その装置部分の図示及び説明は省略する。
【0026】
図1に示す組立装置は、整列された複数の摺動シャフト10(図2参照)を1つずつ切り出して振り分ける摺動シャフト供給部1と、該摺動シャフト供給部1から供給される摺動シャフト10を圧送する圧送部2と、該圧送部2によって圧送された摺動シャフト10を車載用操作パネル50まで移送してこれを圧力によって車載用操作パネル50の孔51(図8及び図9参照)に押し込んで挿入する摺動シャフト挿入部3を備えている。
【0027】
以下に上記摺動シャフト供給部1の構成と作用を図2〜図4に基づいて説明する。
【0028】
図2(a)〜(c)は摺動シャフト供給部の切り出し部の構成と作用を示す図であって、上段は平面図、下段は正面図、図3は摺動シャフト供給部の振り分け部の構成と作用を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、図4は摺動シャフト供給部の振り分け部の構成と作用を示す側面図である。
【0029】
図2に示すように、摺動シャフト供給部1には、多数の摺動シャフト10が供給レール4に沿って一列に整列された状態で垂直に保持されている。ここで、各摺動シャフト10は、大径の頭部10aと該頭部10aから垂直に延びる小径の軸部10bとで構成されており、その頭部10aが供給レール4に係合することによって垂直に保持されている。
【0030】
摺動シャフト供給部1は、上下方向に配された3枚の切り出し刃5,6,7を備えており、最上段とその下方に位置する切り出し刃5,6は、摺動シャフト10の頭部10aと軸部10bの近傍にそれぞれ水平に配置されており、それらの先端部は図2(a)に示すように先鋭なナイフエッジ状に成形されている。又、残りの切り出し刃7は、供給レール4の端部近傍に垂直に立設された薄いプレートであって、図2(a)に示すように切り出される前の摺動シャフト10を押さえてこれの供給レール4からの脱落を防ぐ機能を果たす。
【0031】
而して、図2(a)に示すように供給レール4に整列された摺動シャフト10は、切り出し刃5〜7が図2(b)に矢印a(図の右方)にて示すように水平に移動すると、供給レール4の端部に位置する1つが切り出し刃5,6の先端のナイフエッジ状の斜面によって矢印b方向(図の下方)に切り出される。そして、切り出し刃5〜7が更に矢印a方向に移動すると、図2(c)に示すように、供給レール4の最端部に位置する1つの摺動シャフト10が矢印b方向に完全に切り出される。
【0032】
上述のようにして切り出された1つの摺動シャフト10は、図3に示すように、切り出し刃5〜7の近傍に配されたブロック状のシャフトレシーバ8に受け渡される。ここで、シャフトレシーバ8の中心部には、上方に向かって広がるテーパ孔9が上下方向に貫設されている。又、シャフトレシーバ8の上端側部には、切り出された摺動シャフト10を受け入れるための開口部8aが形成されており、この開口部8aは前記テーパ孔9に連通している。そして、シャフトレシーバ8の下端には、プラグ11を介してテーパ孔9に連なるシャフト搬送チューブ12の一端が接続されている。尚、このシャフト搬送チューブ12は、シャフトレシーバ8から図4に示す振り分け部まで垂直下方に延びている。
【0033】
図4に示すように、振り分け部には電動アクチュエータ13が設けられており、この電動アクチュエータ13から水平に延びるアーム14の先端にはブロック15が取り付けられている。そして、ブロック15には前記シャフトレシーバ8(図3参照)から垂直に延びる前記シャフト搬送チューブ12の下端部が挿通保持されている。尚、図示しないが、ブロック15には図4の紙面垂直方向に配された複数のシャフト搬送チューブ12が挿通保持されている。
【0034】
又、図4に示す振り分け部には、前記圧送部2を構成する振り分けブロック16が設けられており、この振り分けブロック16には、複数の貫通孔17が2列に亘って図4の紙面垂直方向に形成されており、該振り分けブロック16の下面には、前記各貫通孔17に連なる複数のフレキシブルチューブ18の上端がプラグ19を介してそれぞれ接続されている。そして、振り分けブロック16には、前記各貫通孔17に圧縮エアを吹き込むための圧送ノズル20が形成されている。尚、各圧送ノズル20には、エアコンプレッサ等の不図示の圧力供給源から延びる不図示のエアホースが接続されている。
【0035】
そして、上記振り分けブロック16から垂直下方に延びる複数のフレキシブルチューブ18は、図1に示すように、前記摺動シャフト挿入部3のシャフト挿入ブロック21に挿入支持されている。
【0036】
而して、切り出し部において切り出された摺動シャフト10は、図3(c)に示すようにシャフトレシーバ8へと受け渡される。即ち、切り出された摺動シャフト10は、シャフトレシーバ8の開口部8aからシャフトレシーバ8内のテーパ孔9へと導入され、シャフトレシーバ8から垂直下方へ延びるシャフト搬送チューブ12内を通って図4に示す振り分け部へと搬送される。
【0037】
振り分け部においては、電動アクチュエータ13によってアーム14とその先端に取り付けられたブロック15がシャフト搬送チューブ12と共に図4の紙面垂直方向に往復動しており、各シャフト搬送チューブ12内を下方へと搬送されてくる摺動シャフト10は、振り分けブロック16に開口する前記貫通孔17へと振り分けられて投入される。
【0038】
そして、上述のように振り分けブロック16に振り分けられて投入された摺動シャフト10は、振り分けブロック16に形成された前記圧送ノズル20から貫通孔17へと供給される圧縮エアの圧力によって各フレキシブルチューブ18内を摺動シャフト挿入部3に向かって圧送される。
【0039】
ところで、図1に示すように、摺動シャフト挿入部3の前記シャフト挿入ブロック21の下部には、各フレキシブルチューブ18に連なるガイドブロック22がそれぞれ取り付けられており、各ガイドブロック22にはフレキシブルチューブ18に連なる垂直なガイド孔23が形成されている。そして、各ガイドブロック22の下部には開閉可能なチャックアーム24が取り付けられており、各チャックアーム24には、エアシリンダ等のアクチュエータ25によって駆動されてチャックアーム24を開閉する開閉手段が設けられている。
【0040】
ここで、チャックアーム24とこれを開閉する開閉手段の構成の詳細を図5及び図6に基づいて説明する。尚、図5は摺動シャフト挿入部のチャックアーム部の側面図、図6(a)は図5のA−A線断面図、図6(b)は図6(a)のB−B線断面図である。
【0041】
チャックアーム24は、中間部が軸26によってガイドブロック22の下面に軸支された回動可能な2つのアーム24Aを備えており、これらのアーム24Aの各一端には摺動シャフト10の軸部10bを把持するための半円状の把持部24aがそれぞれ形成されている。又、チャックアーム24の各アーム24Aの各他端には、図6(b)に示すように、下方に向かって広がるテーパ面24bがそれぞれ形成されており、両アーム24Aのテーパ面24bには後述のワイヤー28の端部に結着された円板状のピン27が係合している。
【0042】
尚、チャックアーム24は、軸26に巻装された不図示のリターンスプリングによって閉じ側に常時付勢されており、このチャックアーム24が図6(a)に示すように閉じている状態では、前記ピン27は図6(b)に実線にて示すように両アーム24Aのテーパ面24bの下端部に係合している。又、図示しないが、摺動シャフト挿入部3のチャックアーム24の近傍には、摺動シャフト10の有無を検知する光学センサが設けられている。
【0043】
ところで、一端に前記ピン27が結着された各ワイヤー28は、図1に示すように、各ピン27から上方に延びた後、ローラ29によって直角に折り曲げられて水平に延び、その端部は前記アクチュエータ25のロッド25aに連結されている。そして、アクチュエータ25とワイヤー28等によってチャックアーム24の開閉手段が構成されている。
【0044】
而して、前記圧送部2と上記摺動シャフト挿入部3は、垂直に立設された不図示のガイドレールに沿って一体的に昇降動可能であり、又、摺動シャフト挿入部3は水平方向に移動可能であり、これらは不図示の駆動手段によって所定の方向に移動せしめられる。
【0045】
次に、摺動シャフト挿入部3による摺動シャフト10の保持と車載用操作パネル50の孔51への自動挿入方法を図7〜図9について説明する。尚、図7(a)は摺動シャフトのガイドブロックからチャックアームへの受け渡しを示す部分側面図、図7(b)は摺動シャフトのチャックアームによる垂直保持を示す部分側面図、図8は摺動シャフトを車載用装置パネルの孔に挿入する途中の状態を示す部分側面図、図9(a)は摺動シャフトの車載用装置パネルの孔への挿入状態を示す平面図、図9(b)は同部分側面図である。
【0046】
前述のように圧送部2から圧縮エアの圧力によって各フレキシブルチューブ18内を摺動シャフト挿入部3へと圧送された摺動シャフト10は、図7(a)に示すように、フレキシブルチューブからガイドブロック22のガイド孔23を通ってチャックアーム24へと受け渡されるが、このとき、チャックアーム24は図6(a)に示すように閉じており、摺動シャフト10はその軸部10bがチャックアーム24に圧縮エアの圧力によって挿入される。
【0047】
ここで、摺動シャフト10には図16(a)に示すように頭部10aに水平な座面を有しているもの、図16(b)に示すように頭部10aにR形状の座面を有しているもの、図16(c)に示すように頭部10aにテーパ形状の座面を有しているものがあるが、何れの摺動シャフト10においても、その軸部10bの外径は閉じ状態にあるチャックアーム24の把持部24aの内径よりも若干小さく設定され、頭部10aの外径はチャックアーム24の把持部24aの内径よりも大きく設定されている。従って、摺動シャフト10は、その軸部10bのみがチャックアーム24の把持部24aに挿通して該把持部24aによって把持され、頭部10aは把持部24aを通過できないために図7(b)に示すように垂直に支持され、その姿勢が適正に保持される。尚、このとき、摺動シャフト10は、その頭部10aに圧縮エアの圧力を受けて加圧されているため、その姿勢が安定化する。
【0048】
而して、上述のように摺動シャフト10がその軸部10bをチャックアーム24によって把持されて図7(b)に示すように垂直に支持されてその姿勢が適正に保持されると、この状態を維持したまま、圧送部2と摺動シャフト挿入部3が不図示のガイドレールに沿って下動し、図1に鎖線にて示すように摺動シャフト10が車載用操作パネル50の位置に達すると、図8に示すように、摺動シャフト10の先端部が車載用操作パネル50に形成された孔51に所定長さLだけ挿入されてその位置が固定される。
【0049】
図8に示す状態を維持したまま、アクチュエータ25が駆動されてロッド25aが図1の右方に引かれると、これに連結されたワイヤー28が引っ張られ、その端部に結着されたピン27が図6(b)に鎖線にて示すように上動する。このように、チャックアーム24の各アーム24Aのテーパ面24bに係合するピン27が上動すると、チャックアーム24の両アーム24Aの端部が左右に押し広げられるため、両アーム24Aが軸26を中心として回動してチャックアーム24が図9(a)に示すように開き、該チャックアーム24による摺動シャフト10の軸部10bの把持が解除される。
【0050】
而して、上述のようにチャックアーム24による摺動シャフト10の軸部10bの把持が解除されると、摺動シャフト10は不図示の圧力手段によって供給される圧縮エアの圧力を頭部10aに受けるため、図9(b)に示すように、摺動シャフト10がチャックアーム24から落下して車載用操作パネル50に形成された孔51に押し込まれて完全に挿入される。
【0051】
以上のように、本発明に係る組立装置によれば、作業者の手作業によることなく、複数の摺動シャフト10を車載用操作パネル50に形成された孔51に自動的に効率良く正確に挿入することができるため、作業時間が短縮されるとともに省力化が図られ、車載用操作パネル50の組立作業性が著しく高められる。
【0052】
そして、摺動シャフト挿入部3においては、摺動シャフト10はその軸部10bがチャックアーム24によって把持されて垂直に保持されるため、摺動シャフト10はその頭部10aの形状とは無関係に常に垂直に保持される。このため、車載用操作パネル50の対応する孔51に摺動シャフト10を常に正確に挿入することができ、本発明を任意の形態の摺動シャフト、例えば頭部10aが図16(a)〜(c)に示すような形状を有する摺動シャフト10に対して適用することができ、その汎用性が高められる。
【0053】
又、本実施の形態では、圧送部2と摺動シャフト挿入部3とを複数のフレキシブルチューブ18で接続したため、摺動シャフト挿入部3は圧送部2に対して自由に移動してその位置が任意に調整される。このため、組立装置は孔51の位置が異なる複数種の車載用操作パネル50の組み立てにも適用可能となり、その汎用性が高められる。
【0054】
更に、本実施の形態では、摺動シャフト挿入部3のチャックアーム24の近傍に、摺動シャフト10の有無を光学的に検知するための光学センサを設けたため、摺動シャフト10の挿入忘れ等の不具合の発生が確実に防がれる。
【0055】
又、本実施の形態では、挿入すべき摺動シャフト10の種類(長さや太さの違い)によって供給経路である圧送部2とフレキシブルチューブ18及び摺動シャフト挿入部3のチャックアーム24が決まっているため、本来挿入されるべきでない異なる径や長さの摺動シャフト10を誤挿入することがなく、適正な摺動シャフト10が常に正確に挿入される。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、エアコン操作パネル、オーディオ操作パネル、カーナビ操作パネル、その他任意の車載用操作パネルの組み立てに対して適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 手動シャフト供給部
2 圧送部
3 摺動シャフト挿入部
4 供給レール
5〜7 切り出し刃
8 シャフトレシーバ
8a シャフトレシーバの開口部
9 テーパ孔
10 摺動シャフト
10a 摺動シャフトの頭部
10b 摺動シャフトの軸部
11 プラグ
12 シャフト搬送チューブ
13 電動アクチュエータ
14 アーム
15 ブロック
16 振り分けブロック
17 貫通孔
18 フレキシブルチューブ
19 プラグ
20 圧送ノズル
21 シャフト挿入ブロック
22 ガイドブロック
23 ガイド孔
24 チャックアーム
24A チャックアームのアーム
24a チャックアームの把持部
24b チャックアームのテーパ面
25 アクチュエータ
25a アクチュエータのロッド
26 チャックアームの軸
27 ピン
28 ワイヤー
29 ローラ
50 車載用操作パネル
51 車載用操作パネルの孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用操作パネルに形成された孔に摺動シャフトを自動挿入した後、該摺動シャフトの頭部に操作ノブを組み付けて車載用操作パネルを組み立てる方法であって、
摺動シャフト供給部にて切り出し及び振り分けられた複数の摺動シャフトを圧送部によって摺動シャフト挿入部に圧送し、該摺動シャフト挿入部に圧送された前記摺動シャフトの軸部を開閉可能なチャックアームによって把持して該摺動シャフトを垂直に保持した状態で前記摺動シャフト挿入部を車載用操作パネルの位置まで下降させて摺動シャフトの先端を車載用操作パネルの孔に挿入した後、前記チャックアームを開いて前記摺動シャフトの保持を解除し、保持が解除された摺動シャフトを圧力によって前記車載用操作パネルの孔に挿入するようにしたことを特徴とする車載用操作パネルの組立方法。
【請求項2】
車載用操作パネルに形成された孔に摺動シャフトを自動挿入した後、該摺動シャフトの頭部に操作ノブを組み付けて車載用操作パネルを組み立てる装置であって、
整列された複数の摺動シャフトを1つずつ切り出して振り分ける摺動シャフト供給部と、
該摺動シャフト供給部から供給される摺動シャフトを圧送する圧送部と、
該圧送部によって圧送された摺動シャフトの軸部を把持して該摺動シャフトを垂直に保持するチャックアームと、該チャックアームを開閉させる開閉手段と、該開閉手段によって前記チャックアームが開いて摺動シャフトの保持が解除されると該摺動シャフトを圧送する圧送手段を備えた移動可能な摺動シャフト挿入部と、
を含んで構成されることを特徴とする車載用操作パネルの組立装置。
【請求項3】
前記圧送部と前記摺動シャフト挿入部とを複数のフレキシブルチューブで接続し、該フレキシブルチューブ内を前記摺動シャフトの圧送経路としたことを特徴とする請求項2記載の車載用操作パネルの組立装置。
【請求項4】
前記摺動シャフト挿入部のチャックアームの近傍に、前記摺動シャフトの有無を検知するセンサを設けたことを特徴とする請求項2又は3記載の車載用操作パネルの組立装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−31377(P2011−31377A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183155(P2009−183155)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】