説明

車載用画像制御装置

【課題】多様な画像を表示する車載用画像制御装置等を提供する。
【解決手段】車載用画像制御装置は、前方カメラ213と、前方ディスプレイ212と、後方カメラ113と、後方ディスプレイ112と、これらを制御する制御手段401を有するECU400とを備えている。制御手段401は、前方カメラ213で撮像された画像の情報と後方カメラ113で撮像された画像の情報とを取得し、これらのうちいずれかの情報を状況に応じて後方ディスプレイ112に出力する制御を行う。また、上記各画像を加工した加工画像を状況に応じて後方ディスプレイ112に出力する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内のディスプレイの表示を制御する車載用画像制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両内の前方及び後方にディスプレイを配置し、後部座席の搭乗者(特に、乳幼児等)をあやすために、ディスプレイの表示画像を制御する車載用画像制御装置が知られている。
例えば、下記特許文献1には、チャイルドシートの乳幼児の状態を検出し、検出した結果に基いて映像記憶手段に保存された種々の映像コンテンツを後方にあるディスプレイに表示する装置が記載されている。また、下記特許文献1には、乳幼児をカメラで撮像し、この撮像画像を前方にあるディスプレイに表示して、乳幼児の様子を把握することもできる。これにより運転席にいる親は、乳幼児の様子に応じた映像コンテンツを選択して後方にあるディスプレイに表示して乳幼児を効果的にあやすことができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−324742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ディスプレイの表示画像を用いて乳幼児を効果的にあやすためには、乳幼児を飽きさせないような表示画像にする必要がある。
【0005】
しかし、上記従来の装置では、予め決められている映像コンテンツの表示しかできず、長期間使用した場合にはその効果が薄れてしまう。従って、乳幼児が飽きてしまい効果的にあやすことができない。しかも、上記従来装置では乳幼児のみを対象としており、乳幼児以外が楽しめるものではなかった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決することができる車載用画像制御装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、前部座席の搭乗者を撮像する前席用撮像手段と、前記前部座席の搭乗者用に配置された前席用ディスプレイと、後部座席の搭乗者を撮像する後席用撮像手段と、前記後部座席の搭乗者用に配置された後席用ディスプレイと、前記前席用ディスプレイ及び前記後席用ディスプレイの表示を制御する制御手段と、を備えた車載用画像制御装置において、前記制御手段は、前記後席用ディスプレイに、前記前席用撮像手段で撮像された画像と前記後席用撮像手段で撮像された画像とを選択的に表示することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1の車載用画像制御装置であって、前記後席用撮像手段で撮像された後席画像を加工する画像処理手段、をさらに有し、前記制御手段は、加工された後席画像を前記後席用ディスプレイに表示することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、請求項2の車載用画像制御装置であって、前記制御手段は、前記後席用ディスプレイに表示されている画像を前記前席用ディスプレイに表示することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3の車載用画像制御装置であって、前記画像処理手段は、前記前席用撮像手段で撮像された前席画像を加工し、前記制御手段は、加工された前席画像を前記後席用ディスプレイに表示することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、請求項2乃至請求項4いずれかの車載用画像制御装置であって、ハンドルの回転角度を検出する回転角度検出手段、をさらに有し、前記画像処理手段は、前記回転角度検出手段による検出結果に応じて加工度合いを決定し、決定した加工度合いで前記前席画像または前記後席画像を加工することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る発明は、請求項2乃至請求項5いずれかの車載用画像制御装置であって、ブレーキまたはアクセルの踏み込み量を検出する踏み込み量検出手段、をさらに有し、前記画像処理手段は、前記踏み込み量検出手段による検出結果に応じて加工度合いを決定し、決定した加工度合いで前記前席画像または前記後席画像を加工することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に係る発明は、請求項2乃至請求項6いずれかの車載用画像制御装置であって、車外の風景を撮像する風景用撮像手段、をさらに有し、前記画像処理手段は、前記風景用撮像手段によって撮像された風景に応じて加工度合いを決定し、決定した加工度合いで前記前席画像または前記後席画像を加工することを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に係る発明は、請求項2乃至請求項7いずれかの車載用画像制御装置であって、前記前部座席の搭乗者の音声を収集する前席用集音手段と、前記前席用集音手段で収集された音声を加工する音声処理手段と、後席用スピーカと、をさらに有し、前記後席用スピーカは、前記加工された音声を出力することを特徴とする。
【0015】
また、請求項9に係る発明は、請求項8の車載用画像制御装置であって、楽音を生成する楽音処理手段をさらに有し、前記音声処理手段は、前記撮像手段によって撮像された風景に応じて変更度合いを決定し、決定した変更度合いで前記楽音処理手段が生成した楽音を加工することを特徴とする。
【0016】
また、請求項10に係る発明は、請求項1乃至請求項9のいずれかの車載用画像制御装置であって、前記後部座席に搭乗者が着座したことを検出する着座検出手段、をさらに有し、前記制御手段は、前記着座検出手段が着座を検出したときに、前記後席用撮像手段及び/又は前記後席用ディスプレイを起動することを特徴とする。
【0017】
また、請求項11に係る発明は、請求項10の車載用画像制御装置であって、前記後部座席にはシートベルトが配置されており、前記着座検出手段は、前記後部座席の搭乗者が前記シートベルトを装着したときに、前記後部座席に搭乗者が着座したことを検出することを特徴とする。
【0018】
また、請求項12に係る発明は、請求項10の車載用画像制御装置であって、前記後部座席には、シートベルト付きのチャイルドシートが配置されており、前記着座検出手段は、前記後部座席の搭乗者が前記シートベルトを装着したときに、前記後部座席に搭乗者が着座したことを検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、制御手段は前部座席の搭乗者の画像と後部座席の搭乗者の画像とを選択的に後方ディスプレイに表示するので、後部座席の搭乗者は飽きることなく後方ディスプレイに注目することになり、後部座席の搭乗者を楽しませることができる。例えば、後部座席の搭乗者が乳幼児であれば効果的にあやすことができ、また、後部座席の搭乗者が乳幼児以外の場合には例えばゲーム感覚で遊ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車載用画像制御装置の配置説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る車載用画像制御装置の概略構成を示す説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る車載用画像制御装置のブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る車載用画像制御装置における各カメラと各ディスプレイとの接続関係を示す回路図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る車載用画像制御装置における後方ディスプレイの表示例を示す説明図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る車載用画像制御装置における第1メイン処理のフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態に係る車載用画像制御装置における第1あやしモード処理のフローチャートである。
【図8】本発明の第1実施形態に係る車載用画像制御装置における後方ディスプレイの表示例を示す説明図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る車載用画像制御装置における画像・音声処理のフローチャートである。
【図10】本発明の第1実施形態に係る車載用画像制御装置における後方ディスプレイの表示例を示す説明図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る車載用画像制御装置における後方ディスプレイの表示例を示す説明図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る車載用画像制御装置における第2メイン処理のフローチャートである。
【図13】本発明の第2実施形態に係る車載用画像制御装置における前方ディスプレイ・カメラ設定処理のフローチャートである。
【図14】本発明の第2実施形態に係る車載用画像制御装置における第2あやしモード処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
[車載用画像制御装置の概要]
まず、本発明の第1実施形態に係る車載用画像制御装置の概要について、図1を参照しつつ説明する。
【0022】
図1は車両内の様子を後方からみた第1実施形態に係る車載用画像制御装置の配置説明図であり、図示するように、車載用画像制御装置は、前方カメラ213と、前方ディスプレイ212と、後方カメラ113と、後方ディスプレイ112と、これらを制御する制御手段401を有するECU(Electronic Control Unit)400とを備えている。
【0023】
前方カメラ213は前部座席215の搭乗者を撮像してその画像情報をECU400へ出力し、後方カメラ113は後部座席115の搭乗者を撮像してその画像情報をECU400へ出力する。
【0024】
ECU400の制御手段401は、ECU400に入力された画像情報を処理する機能を有しており、これにより後部座席115の搭乗者に飽きさせることなく後方ディスプレイ112に表示された画像を見せることができる。
【0025】
すなわち、制御手段401は、前方カメラ213で撮像された画像の情報と後方カメラ113で撮像された画像の情報とを取得し、これらのうちいずれかの情報を所定の条件に基づいて後方ディスプレイ112に出力する制御を行うようにしている。
【0026】
従って、後方ディスプレイ112には、前部座席215の搭乗者の撮像画像と後部座席115の搭乗者の撮像画像とを状況に応じて切替えて表示することができ、後部座席115の搭乗者は飽きることなく後方ディスプレイに注目することになり、後部座席115の搭乗者を楽しませることができる。
【0027】
ここで、後方ディスプレイ112に前部座席215の搭乗者の撮像画像が表示されているときは、前部座席215の搭乗者は後部座席115の方向を向くことなく自身の表情等で搭乗者10をあやすことができる。また、前方ディスプレイ212に後部座席115の搭乗者の撮像画像が表示されているときは、前部座席215の搭乗者は各カメラ及び各ディスプレイを介して搭乗者10とコミュニケーションを図ることができる。
後方ディスプレイ112に後部座席115の搭乗者の撮像画像が表示されているときは、後方ディスプレイ112は鏡のように機能するので、搭乗者10は自身の画像を見て楽しむことができる。
【0028】
また、制御手段401は、前部座席215の搭乗者の撮像画像と後部座席115の搭乗者の撮像画像との切替え制御を、車両100の状態に応じて行ってもよく、また、車両100の搭乗者の操作に応じて行ってもよい。
切替え制御が車両100の状態に応じて行われる場合、前部座席215の搭乗者は操作を行う必要がないため、走行時の安全性を確保することができ、また、運転に集中することができる。
また、切替え制御が車両100の搭乗者の操作に応じて行われる場合、搭乗者の好きなタイミングで後方ディスプレイ112の表示画像を切替えることができる。
【0029】
また、第1実施形態の車載用画像制御装置では、図1に示されるように、ECU400は入力された画像情報を加工して出力する機能を有している。
前部座席215の搭乗者の撮像画像と後部座席115の搭乗者の撮像画像に加え、これらの撮像画像を加工した加工画像を切替えて表示することにより、後方ディスプレイ112の表示画像の多様性が増すので、後部座席115の搭乗者は飽きることなく後方ディスプレイ112に注目することになり、後部座席115の搭乗者をより一層楽しませることができる。
【0030】
[車載用画像制御装置の詳細な説明]
次に、本発明の第1実施形態に係る車載用画像制御装置の詳細について、図2及び図3を参照しつつ説明する。
【0031】
図2に示すように、車両100の後部座席側には、シートベルト付きのチャイルドシート111、後方ディスプレイ112、後方カメラ113、後方スピーカ114が配置されている。また、車両100の前部座席側には、前方ディスプレイ212、前方カメラ213、前方マイク214、楽音処理手段311、風景カメラ312、リモコン313が配置されている。また、車両100には、ECU400が配置されている。
【0032】
図3に示すように、ECU400は、制御手段401、画像処理手段402、音声処理手段403を有している。また、ECU400には、後方ディスプレイ112、後方カメラ113、後方スピーカ114、前方ディスプレイ212、前方カメラ213、前方マイク214、風景カメラ312、楽音処理手段311、リモコン313、回転角度検出手段314、踏み込み量検出手段315、着座検出手段316、GPS受信機317、車速センサ318が接続されている。
【0033】
後方カメラ113は、チャイルドシート111の搭乗者を撮影できる位置に配置され、撮像した画像の情報をECU400に出力する。
前方カメラ213は、前部座席215の搭乗者を撮影できる位置に配置され、撮像した画像の情報をECU40に出力する。
前方マイク214は、ハンドル付近に配置され、前部座席215及び前部座席216の搭乗者が発声した音声を集音し、集音した音声の情報をECU400に出力する。
楽音処理手段311は、前部座席215及び前部座席216の前方に配置され、ユーザからの指示またはECU400の制御に基いて、所定の記録媒体(例えば、HDD、DVD、CD)から情報を読み出して楽音を生成し、生成した楽音の情報をECU400に出力する。
【0034】
後方ディスプレイ112は、チャイルドシート111の搭乗者から見える位置に配置され、ECU400から画像情報が出力される。これにより、ECU400の制御に基いた画像が後方ディスプレイ112に表示される。
前方ディスプレイ212は、前部座席215及び前部座席216よりも前方であってかつ前部座席215と前部座席216の中央付近に配置され、ECU400から画像情報が出力される。これにより、ECU400の制御に基いた画像が前方ディスプレイ212に表示される。
【0035】
後方スピーカ114は、チャイルドシート111付近に配置され、ECU400から音響情報が出力される。これにより、ECU400の制御に基いた音響が後方スピーカ114から出力される。
【0036】
着座検出手段316は、後部座席115に配置され、後部座席115に搭乗者が着座したか否かを検出する。例えば、後部座席115に配置されているシートベルトが装着されたことを検出したときに搭乗者が着座したことを検出する。シートベルトは車両100が有する既存の構成であるから、着座検出手段316を安価に構成することができる。なお、重量センサを後部座席115の下部に設け、重量センサが所定以上の重量を検出したときに搭乗者が着座したことを検出してもよい。後部座席115が二人掛けの場合、それぞれの座席に着座検出手段316が配置される。着座検出手段316が検出した検出信号は、ECU400に出力され、後方ディスプレイ112及び後方カメラ113のON/OFF制御に用いられる。
【0037】
また、チャイルドシート111が配置された側の後部座席115の着座検出手段316は機能せず、チャイルドシート111に配置された着座検出手段316が機能する。チャイルドシートに配置された着座検出手段316が検出した検出信号は、ECU400に対し無線で出力する。なお、有線で出力してもよい。
また、着座検出手段316として重量センサを用いる場合、チャイルドシート111にRFタグを取り付け、RFタグからの信号を用いて搭乗者が着座したことを検出する。より具体的には、RFタグからの信号でチャイルドシート111の重量を認識し、重量センサが検出した重量からチャイルドシート111の重量を差し引いた重量に基いて、搭乗者が着座したか否かを検出する。
【0038】
リモコン313は、車両用画像制御装置を含む車両100内の種々の機器を設定するために用いられる。車両100の搭乗者は、リモコン313を操作することにより、後述するあやしモードのON/OFF設定、運転手モード/助手席モードの切替設定を行うことができる。リモコン313は、搭乗者の操作に応じた操作信号をECU400に出力する。
【0039】
風景カメラ312は、前部座席216付近に配置され、車両100の外の風景を撮像する。風景カメラ312で撮像された画像の情報はECU40に出力され、車両100の外の風景の認識時に用いられる。また、その認識結果は加工度合いを決定する際に用いられる。
【0040】
回転角度検出手段314は、ハンドルの回転角度を検出し、ECU400に出力する。ECU400に出力されたハンドルの回転角度は、加工度合いを決定する際に用いられる。
踏み込み量検出手段315は、アクセル及びブレーキの踏み込み量を検出し、ECU400に出力する。ECU400に出力されたアクセルの踏み込み量及びブレーキの踏み込み量は、加工度合いを決定する際に用いられる。
車速センサ318は、車両100の車速を検出し、ECU400に出力する。ECU400に出力された車速はECU400に出力され、車両100が走行中か否かを判断する際に用いられる。
【0041】
GPS受信機317は、人工衛星からの信号を受信することにより、車両100の現在位置を取得する。GPS受信機317はECU400に接続されており、取得した現在位置の情報はECU400に出力される。ECU400は、受信した信号を用いて基いて車両100が走行中の道路種別(例えば、高速道路、一般道路、細街路等)を認識し、後方ディスプレイ112の表示制御に用いられる。
【0042】
また、車両100には、テレビ信号を受信する受像機及びカーナビゲーションシステムが搭載されており、受信したテレビ信号及びカーナビゲーションシステムからの情報はECU400に出力され、制御手段401の制御により前方ディスプレイ212に表示される。
【0043】
ECU400は、上述した各要素と接続されており、車載用画像制御装置全体を制御する。また、ECU400は、CPU、ROM、RAMとから基本的に構成されており、CPUはROM及びRAMと接続されている。CPUは、本実施形態を実現するために必要な各種プログラムを実行する。ROMには、上記各種プログラム等が記憶されている。なお、ROMは、フラッシュROMや読み出し専用のROMとして実現することができる。また、CPUによる各種プログラムの実行の際に、種々の一時的なデータの読み込み/書き込みがRAMに対して行われる。
【0044】
CPUがROMに記憶された各種プログラムを実行することにより、CPUは、制御手段401、入力された画像を加工する画像処理手段402、入力された音声や楽音を加工する音声処理手段403として機能する。
【0045】
制御手段401は、前方カメラ213で撮像された画像、後方カメラ113で撮像された画像、各カメラで撮像された画像の加工画像、のいずれかを後方ディスプレイ112に切替えて表示することにより、後方ディスプレイ112の表示を制御する。
【0046】
また、制御手段401は、前方カメラ213で撮像された画像、後方カメラ113で撮像された画像、各カメラで撮像された画像の加工画像、のいずれかを後方ディスプレイ112に切替えて表示することにより、前方ディスプレイ212の表示を制御する。
【0047】
次に、制御手段401が行う表示制御について説明する。制御手段401は、各ディスプレイと各カメラとの接続関係を制御することで、後方ディスプレイ112の表示を制御する。
各ディスプレイと各カメラとの接続関係について、図4を参照しつつ説明する。
スイッチ416は、端子411〜端子414のいずれかを端子415に接続する。スイッチ416は、後述の画像・音声処理において制御手段401から出力される制御信号に基いて、動作する。また、スイッチ426は、端子421〜端子424のいずれかを端子425に接続する。スイッチ426は、後述の画像・音声処理において制御手段401から出力される制御信号に基いて動作する。
【0048】
これにより、制御手段401は、
(1)前方カメラ213で撮像された画像、
(2)前方カメラ213で撮像された画像を画像処理手段で加工した加工画像、
(3)後方カメラ113で撮像された画像、
(4)後方カメラ113で撮像された画像を画像処理手段で加工した加工画像、
のいずれかを後方ディスプレイ112に選択的に出力する。
【0049】
また、制御手段401は、前方ディスプレイ212の表示についても同様に制御する。
【0050】
図5は、前部座席215の搭乗者(すなわち、前方カメラ213で撮像された画像)が後方ディスプレイ112に表示されている様子を示している。このとき、スイッチ416は、端子415と端子412とを接続する。
【0051】
また、制御手段401は、前方マイク214で集音された音声、楽音処理手段311で生成された楽音、これらを加工した音声、のいずれかを後方スピーカ114に出力する。
【0052】
[第1メイン処理]
次に、前記構成を有する本実施形態に係る車載用画像制御装置のECU400が有するCPUが実行する第1メイン処理について、図6のフローチャートを参照しつつ説明する。第1メイン処理は、車両100のエンジンが起動されることにより、その実行が開始される。第1メイン処理のプログラムは、RAMに読み込まれた後にCPUによって実行される。これにより、CPUは、制御手段401と画像処理手段402と音声処理手段403として機能する。
【0053】
まず、ステップ(以下、Sと略記する)11において、制御手段401は初期設定処理を実行する。初期設定処理では、RAMのクリア等が行われる。
S12において、制御手段401は前方ディスプレイ212を起動し、カーナビゲーションシステムからの画像を表示する。なお、前方ディスプレイ212に他の画像を出力してもよい。
【0054】
S13において、制御手段401は後部座席115に搭乗者が着座しているか否かを判断する。この判断は、着座検出手段316からの検出信号に基いて行われる。
後部座席115に搭乗者が着座していないと判断した場合は(S13:NO)、S17に移行する。一方、後部座席115に搭乗者が着座していると判断した場合は(S13:YES)、S14に移行する。
【0055】
S14において、制御手段401は後方ディスプレイ112を起動し、テレビ受像機が受信したテレビ信号を表示する。なお、後方ディスプレイ112に他の画像を表示してもよい。
S13及びS14の処理を行うことにより、後部座席115に搭乗者が着座しているときに限って後方ディスプレイ112を起動するので、省電力化を図ることができるとともに後方ディスプレイ112の寿命を延ばすことができる。
【0056】
S15において、制御手段401はあやしモードがONとなっているか否かを判断する。あやしモードのON/OFFは、搭乗者がリモコン313を用いて設定することができる。
あやしモードがOFFである(すなわち、ONではない)と判断した場合は(S15:NO)、S17に移行する。一方、あやしモードがONであると判断した場合は(S15:YES)、S16に移行する。
S16において、第1あやしモード処理が実行される。第1あやしモード処理の詳細については後述する。
【0057】
S17において、制御手段401はエンジンが停止されたか否かを判断する。
エンジンは停止されていないと判断した場合は(S17:NO)、S13に戻る。一方、エンジンが停止されたと判断した場合は(S17:YES)、第1メイン処理を終了する。これにより、エンジンが停止するまでの間、S13〜S17の処理が繰り返されることになる。
【0058】
[第1あやしモード処理]
次に、第1メイン処理のS16で実行される第1あやしモード処理の詳細について、図7を参照しつつ説明する。
【0059】
まず、S21において、制御手段401は前方カメラ213及び後方カメラ113を起動する。また、制御手段401は前方マイク214を起動する。前方カメラ213及び後方カメラ113で撮像された画像、及び、前方マイク214で集音された音声は、それぞれECU400に出力される。
【0060】
S22において、制御手段401は前方カメラ213で撮像された画像を後方ディスプレイ112に表示するように設定する。また、制御手段401は後方カメラ113で撮像された画像を前方ディスプレイ212に表示するように設定する。具体的には、図4の回路図において、制御手段401は端子415と端子412とを接続させるための制御信号をスイッチ416に出力する。また、制御手段401は端子425と端子423とを接続させるための制御信号をスイッチ426に出力する。
【0061】
これにより、チャイルドシート111の搭乗者は、前部座席215の搭乗者の様子を後方ディスプレイ112で見ることができる(図5参照)ので、前部座席215の搭乗者は後部座席115の方向を向くことなく自身の表情等でチャイルドシート111の搭乗者をあやすことができる。また、前部座席215の搭乗者は、チャイルドシート111の搭乗者の様子を前方ディスプレイ212で見ることができるので、前部座席215の搭乗者とチャイルドシート111の搭乗者は、各カメラ及び各ディスプレイを介してコミュニケーションを図ることができる。
【0062】
S23において、制御手段401は車両100が走行中であるか否かを判断する。この判断は、車速センサ318からの車速に基いて行われる。
走行中ではないと判断した場合は(S23:NO)、S24に移行する。
【0063】
S24において、制御手段401は前方カメラ213で撮像された画像を後方ディスプレイ112に表示するように設定する。なお、既にそのような設定になっている場合には、S24での処理は行われない。
S25において、制御手段401は急ブレーキの直後であるか否かを判断する。この判断は、車速が急激に落ちたか否か、または、踏み込み量検出手段315からのブレーキの踏み込み量に基いて行われる。
【0064】
急ブレーキの直後ではないと判断した場合は(S25:NO)、第1あやしモード処理を終了し、第1メイン処理に戻る。一方、急ブレーキの直後であると判断した場合は(S25:YES)、S26に移行する。
S26において、制御手段401は後方カメラ113で撮像された画像を前方ディスプレイ212に表示するように設定する。急ブレーキの直後においては、前部座席215の搭乗者はチャイルドシート111の搭乗者の様子が気になるが、前方ディスプレイ212の表示画像が後方カメラ113で撮像された画像に自動的に切り替わるので、チャイルドシート111の搭乗者の様子を迅速に確認することができる。
【0065】
S23において、走行中であると判断した場合は(S23:YES)、S27に移行する。
S27において、制御手段401は後方カメラ113で撮像された画像を後方ディスプレイ112に表示するように設定する。具体的には、図4の回路図において、端子415と端子413とを接続させるための制御信号をスイッチ416に出力する。
図8は、チャイルドシート111の搭乗者(すなわち、後方カメラ113で撮像された画像)が後方ディスプレイ112に表示されている様子を示している。これにより、後方ディスプレイ112は鏡のように機能するので、チャイルドシート111の搭乗者は自身の画像を見て楽しむことができる。
【0066】
S28において、制御手段401は前方ディスプレイ制御処理を実行する。前方ディスプレイ制御処理では、制御手段401は、後方ディスプレイ112に表示されている画像を、前方ディスプレイ212に表示するように設定する。具体的には、図4の回路図において、端子425と端子423とを接続させるための制御信号をスイッチ426に出力する。なお、端子415と後方ディスプレイ112とを接続している接続線を前方ディスプレイ212に分岐させてもよい。これにより、前部座席215の搭乗者は、チャイルドシート111の搭乗者がどのような画像を見ているのかを確認することができる。
S29において、画像・音声処理が実行される。
【0067】
[画像・音声処理]
次に、第1あやしモード処理のS29で実行される画像・音声処理の詳細について、図9を参照しつつ説明する。
【0068】
S31において、制御手段401はアクセル踏み込み量及びハンドルの回転角度を取得する。アクセルの踏み込み量は踏み込み量検出手段315から取得され、また、ハンドルの回転角度は回転角度検出手段314から取得される。
【0069】
S32において、制御手段401はアクセルの踏み込み変化量が大きいか否かを判断する。この判断は、アクセルの踏み込み変化量が第1所定量より大きいか否かに基いて行われる。
アクセルの踏み込み変化量が大きいと判断した場合は(S32:YES)、S33に移行する。
S33において、第1画像処理及び音声加工処理が実行される。
【0070】
第1画像処理について説明する。第1画像処理では、画像処理手段402はアクセルの踏み込み変化量に応じて後方カメラ113で撮像された画像(後席画像)の加工度合いを決定し、決定した加工度合いで後席画像を加工する。例えば、アクセルの踏み込み変化量が第2所定量(>第1所定量)よりも大きい場合には加工度合いを「大」とし、第2所定量以下の場合には加工度合いを「小」とする。また、制御手段401は加工された後席画像を後方ディスプレイ112に表示する。
【0071】
図10は、加工度合いが「小」の場合における後方ディスプレイ112の表示例であり、図11は、加工度合いが「大」の場合における後方ディスプレイ112の表示例を示している。
図10及び図11では、チャイルドシート111の搭乗者の目の部分が加工されている。例えば、後方カメラ113が撮像された画像中の顔の領域を抽出し、抽出した顔の領域から両目の領域を特定する。そして、特定した両目の領域に対して、加工度合いに応じた画像加工を施すことによって生成することができる。
【0072】
アクセルの踏み込み変化量に応じて加工度合いが変化することにより、後方ディスプレイ112の表示画像が多様に変化するので、後方ディスプレイ112の表示画像に対する興趣を高めることができ、チャイルドシート111の搭乗者を効果的にあやすことができる。また、前部座席215の搭乗者の操作を必要としないので、走行時の安全性を確保することができ、また、運転に集中することができる。
【0073】
なお、図10及び図11の画像は、画像加工の一例であり、他の画像加工を施してもよい。例えば、加工度合いに応じて髪型を変化させる画像加工を施してもよい。
【0074】
次に、音声加工処理について説明する。音声加工処理では、音声処理手段403はアクセルの踏み込み変化量に応じて前方マイク214で集音された音声(集音音声)の加工度合いを決定し、決定した加工度合いで集音音声を加工する。例えば、アクセルの踏み込み変化量に応じて、ボリュームを変更する。なお、ピッチやエコーの度合いを変更してもよい。また、加工された集音音声は、後方スピーカ114から出力される。
これにより、後方ディスプレイ112の表示画像が多様に変化することに加え、後方スピーカ114から出力される音声も多様に変化するので、チャイルドシート111の搭乗者を効果的にあやすことができる。
【0075】
説明を図9に戻す。
S32において、アクセルの踏み込み変化量が小さいと判断した場合は(S32:NO)、S34に移行する。
S34において、制御手段401はハンドルの回転角度が大きいか否かを判断する。この判断は、所定時間間隔におけるハンドルの回転角度の平均値が所定量より大きいか否かに基いて行われる。
【0076】
ハンドルの回転角度が大きいと判断した場合は(S34:YES)、S35に移行する。
S35において、楽音再生処理が実行される。楽音再生処理では、制御手段401は所定の記録媒体からの楽音を生成させるための制御信号を楽音処理手段311に出力する。楽音処理手段311は所定の記録媒体から情報を読み出し楽音を生成してECU400に出力する。ECU400は、生成された楽音を後方スピーカ114に出力する。これにより、後方スピーカ114から出力される音声は、前方マイク214で集音された音声から楽音処理手段311で生成された音声に切り替わる。
【0077】
一方、S34において、ハンドルの回転角度が小さいと判断した場合は(S34:NO)、S36に移行する。
S36において、制御手段401は車両100が走行している道路が渋滞している否かを判断する。この判断は、車速センサ318からの車速に基いて判断することができる。なお、GPS受信機317が取得した渋滞情報に基いて判断してもよい。
【0078】
車両100が走行している道路が渋滞していると判断した場合は(S36:YES)、S37に移行する。
S37において、第2画像処理が実行される。第2画像処理では、画像処理手段402は後席画像に対する加工度合いを時間の経過に応じて変化させる。例えば、図10及び図11で示した画像を所定時間ごとに切り替える処理を行う。また、図10で示した画像と図11で示した画像をモーフィング処理で徐々に変化させてもよい。
【0079】
これにより、渋滞でアクセルの踏み込み量及びハンドルの回転角度が小さい場合であっても、後方ディスプレイ112の表示画像に多様性を付加することができ、チャイルドシート111の搭乗者は飽きることなく後方ディスプレイ112に注目するので、チャイルドシート111の搭乗者を効果的にあやすことができる。
なお、前方カメラ213で撮像された画像(前席画像)を加工対象の画像とし、加工された前席画像を後方ディスプレイ112に表示するように構成してもよい。
【0080】
一方、S36において、車両100が走行している道路は渋滞していないと判断した場合は(S36:NO)、S38に移行する。
S38において、制御手段401は車両100が高速道路を走行しているか否かを判断する。この判断は、人工衛星から受信した信号に基いて行われる。
車両100が高速道路を走行していると判断した場合は(S38:YES)、S39に移行する。
【0081】
S39において、第3画像処理が実行される。第3画像処理では、画像処理手段402は記録媒体に記憶されているストーリ画像を加工し、制御手段401は加工されたストーリ画像を後方ディスプレイ112に表示する。また、画像処理手段402は、所定のストーリ画像における登場人物の顔が後方カメラ113で撮像されたチャイルドシート111の搭乗者の顔となるように画像処理を行う。例えば、後方カメラ113が撮像された画像中の顔の領域を抽出画像として抽出し、ストーリ画像における登場人物の顔の領域を抽出画像に置き換える。また、他の登場人物の顔が前方カメラ213で撮像された前部座席215及び前部座席216の搭乗者の顔となるように構成してもよい。
【0082】
高速道路の走行中はアクセルの踏み込み変化量及びハンドルの回転角度は小さいため、アクセルの踏み込み変化量及びハンドルの回転角度に基いた画像加工を行うことができない。しかしながら、ストーリ性がありかつ登場人物の顔がチャイルドシート111の搭乗者の顔になっている画像が後方ディスプレイ112に表示されることにより、チャイルドシート111の搭乗者は飽きることなく後方ディスプレイ112に注目するので、チャイルドシート111の搭乗者を効果的にあやすことができる。
【0083】
また、風景カメラ312で撮像された画像に基いて車両100の外の風景を認識し、その認識結果(例えば、街中、海の近く、山間等)に応じて加工度合いを決定し、決定した加工度合いで後席画像を加工するように構成してもよい。これにより、アクセルの踏み込み変化量及びハンドルの回転角度は小さい場合であっても、車両100の外の風景の変化に応じて後方ディスプレイ112の表示画像が多様に変化するので、後方ディスプレイ112の表示画像に対する興趣を高めることができ、チャイルドシート111の搭乗者を効果的にあやすことができる。
【0084】
一方、S38において、車両100が高速道路を走行していないと判断した場合は(S38:NO)、画像・音声処理を終了し、第1あやしモード処理(第1メイン処理)に戻る。
【0085】
以上説明した第1実施形態によれば、制御手段401は車両100の状態に応じて、後方カメラ113で撮像された画像、前部座席215の前方付近に配置された前方カメラ213で撮像された画像、これらの画像の加工画像、のいずれかを後方ディスプレイ112に切替表示するので、後方ディスプレイ112の表示画像に多様性を付加することができる。これにより、チャイルドシート111の搭乗者は飽きることなく後方ディスプレイ112に注目するので、チャイルドシート111の搭乗者を効果的にあやすことができる。さらに、表示画像の制御を手動で行う必要がないので、走行時の安全性を確保することができ、また、運転に集中することができる。
【0086】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る車載用画像制御装置について説明する。本発明の第2実施形態に係る車載用画像制御装置の構成は、上述した第1実施形態に係る車載用画像制御装置と同じであるので説明を省略する。
【0087】
第2実施形態に係る車載用画像制御装置は、前方カメラ213が前部座席215(以下、「運転席」という。)の搭乗者を撮像するモード(以下、「運転者モード」という。)と、前方カメラ213が前部座席216(以下、「助手席」という。)の搭乗者を撮像するモード(以下、「助手席モード」という。)の2つのモードを有している。また、前方カメラ213は角度を変更するための機構を有し、前部座席216の搭乗者のみを撮像することができる。
【0088】
また、それぞれのモードは、リモコン313の操作により設定可能である。なお、前方カメラ213の向きを手動で切り替え可能とし、前方カメラ213の向きでモードを設定可能となるように構成してもよい。
【0089】
以下、第2実施形態に係る車載用画像制御装置において実行される第2メイン処理について、図12のフローチャートを参照しつつ説明する。第2メイン処理は、車両100のエンジンが起動されることにより、その実行が開始される。第2メイン処理では、S41の初期設定処理のあとに、S42において制御手段401は前方ディスプレイ・カメラ設定処理を行う。なお、S41の初期設定処理は、上述した第1実施形態の第1メイン処理における初期設定処理(図6のS11)と同じであるので説明を省略する。
【0090】
前方ディスプレイ・カメラ設定処理について、図13のフローチャートを参照しつつ説明する。
S51において、制御手段401は運転席モードであるか否かを判断する。
運転席モードであると判断した場合は(S51:YES)、S52に移行する。
【0091】
S52において、制御手段401は、前方カメラ213の向きを運転席の搭乗者のみを撮像可能となるように設定する。これにより、運転席の搭乗者の画像が後方ディスプレイ112に表示される。また、前方ディスプレイ212を運転席及び助手席の両方の搭乗者から見える「全指向」に設定する。
一方、S51において、助手席モードである(すなわち、運転席モードではない)と判断した場合は(S51:NO)、S53に移行する。
【0092】
S53において、制御手段401は、前方カメラ213の向きを助手席の搭乗者のみを撮像可能となるように設定する。これにより、助手席の搭乗者の画像が後方ディスプレイ112に表示される。また、前方カメラ213を助手席側に向けて助手席の搭乗者のみから見える「助手席指向」に設定する。これにより、運転席の搭乗者は前方ディスプレイ212の画像を見ることができないため、走行時の安全性を確保することができ、また、運転に集中することができる。
【0093】
S52の処理またはS53の処理を実行したあと、第2メイン処理に戻る。
第2メイン処理のS43〜S46及びS48の処理は、それぞれ第1メイン処理におけるS12〜S15及びS17の処理と同じであるので、説明を省略する。
S47において、第2あやしモード処理が実行される。
【0094】
以下、第2あやしモード処理の詳細について、図14のフローチャートを参照しつつ説明する。第2あやしモード処理のS61〜S68の処理は、それぞれ第1あやしモード処理のS21〜S28の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0095】
S69において、制御手段401は運転席モードであるか否かを判断する。
運転席モードであると判断した場合は(S69:YES)、S70に移行する。
S70において、画像・音声処理が実行される。S70の画像・音声処理は、第1実施形態における画像・音声処理と同じであるので、説明を省略する。
【0096】
一方、S69において、助手席モードである(すなわち、運転席モードではない)と判断した場合は(S69:NO)、S71に移行する。
S71において、第4画像処理が実行される。第4画像処理では、制御手段401はリモコン313からの操作信号に基いて、上述した第1画像処理〜第3画像処理を含む種々の画像処理を行う。助手席モードでは、前方カメラ213は助手席の搭乗者に向いており、かつ前方ディスプレイ212は助手席指向であるため、助手席の搭乗者がリモコン313を操作するものと考えられる。したがって、運転者はリモコン313の操作を行わないので、走行時の安全性を確保することができ、また、運転に集中することができる。
【0097】
以上説明した第2実施形態によれば、運転席モードでは、制御手段401は車両100の状態に応じて、後方カメラ113で撮像された画像、前部座席215の前方付近に配置された前方カメラ213で撮像された画像、これらの画像の加工画像、のいずれかを後方ディスプレイ112に切替表示するので、後方ディスプレイ112の表示画像に多様性を付加することができる。これにより、チャイルドシート111の搭乗者は飽きることなく後方ディスプレイ112に注目するので、チャイルドシート111の搭乗者を効果的にあやすことができる。さらに、表示画像の制御を手動で行う必要がないので、走行時の安全性を確保することができ、また、運転に集中することができる。
さらに、助手席モードでは、制御手段401はリモコン313の操作に応じて後方ディスプレイ112の表示画像を制御するので、後方ディスプレイ112の表示画像に多様性を付加することができる。これにより、チャイルドシート111の搭乗者は飽きることなく後方ディスプレイ112に注目するので、チャイルドシート111の搭乗者を効果的にあやすことができる。また、助手席の搭乗者がリモコン313を操作し、運転席の搭乗者はリモコン313を操作しないので、走行時の安全性を確保することができ、また、運転に集中することができる。
【0098】
なお、第2実施形態において、助手席指向のときには、後方ディスプレイ112を左右2区画に分割し、運転手側の領域の液晶分子の向きを変えることで当該領域に画像を表示しないように制御してもよい。この場合、後方ディスプレイ112の向きを変える必要がない。また、運転手側の領域には、カーナビゲーションシステムからの情報を表示してもよい。この場合、運転手は走行に必要な情報のみを見ることができる。
【0099】
以上、第1実施形態及び第2実施形態に基いて本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、上述した実施形態に対して種々の改良、変形が可能である。
【0100】
例えば、上記各実施形態においては、エンジンの起動を契機として各メイン処理の実行を開始したが、着座検出手段316が搭乗者の着座を検出したことを契機として各メイン処理の実行を開始してもよい。この場合、第1メイン処理のS13の判定処理及び第2メイン処理のS44の判定処理を実行する必要がない。
【0101】
また、「各カメラと各ディスプレイとの接続関係」及び「車両100の状況」は、任意に決定することができる。例えば、アクセルの踏み込み量が第1所定量以上かつハンドルの回転角度が所定量以上の場合に、第1画像処理を実行するように構成してもよい。また、第1画像処理において、ハンドルの回転角度に応じて前席画像または後席画像の加工度合いを決定し、決定した加工度合いで前席画像または後席画像を加工し、加工した画像を後方ディスプレイ112に表示するように構成してもよい。
【0102】
また、後方カメラ113を、後部座席115の複数の搭乗者を撮像できる位置に配置し、前方ディスプレイ212に表示してもよい。この場合、前部座席215及び前部座席216の搭乗者は、後部座席115の複数の搭乗者の様子を確認することができる。また、後方カメラ113を後部座席115の各搭乗者ごとに設置し、それぞれのカメラが撮像した撮像画像を合成して前方ディスプレイ212や後方ディスプレイ112に出力してもよい。
【0103】
これにより後部座席115の各搭乗者は、隣に座っている搭乗者の様子を各後方カメラ113及び後方ディスプレイ112を介して見ることできるので、後部座席115の搭乗者を楽しませることができる。なお、後方ディスプレイ112を前部座席215の背面部及び前部座席216の背面部にそれぞれ配置し、前部座席215の後方の後部座席115の搭乗者の撮像画像またはその加工画像を、前部座席216側の後方ディスプレイ112に表示し、前部座席216の後方の後部座席115の搭乗者の撮像画像またはその加工画像を、前部座席215側の後方ディスプレイに表示してもよい。
【0104】
また、前方カメラ213及び後方カメラ113で撮像した撮像画像を合成し、合成した画像を後方ディスプレイ112に表示してもよい。これにより、後方ディスプレイ112の表示画像の多様性がより一層増すので、後部座席115の搭乗者をより一層楽しませることができる。
【0105】
後方ディスプレイ112を、後部座席115の搭乗者ごとに設けた場合、一方の後方ディスプレイ112には上記いずれかの撮像画像または加工画像を表示させ、他方の後方ディスプレイにはテレビ信号を表示してもよい。これにより後部座席115の搭乗者ごとに所望の画像を楽しむことができる。
【0106】
さらに、楽音再生処理において、風景カメラ312で撮像された画像の認識結果に応じて加工度合いを決定し、楽音処理手段311生成された楽音を当該決定した加工度合いで加工し、加工された楽音を後方スピーカ114に出力するように構成してもよい。
【0107】
また、前部座席側にもスピーカを設けてもよく、また、後部座席側にもマイクを設けてもよい。
【0108】
また、上記各実施形態においては、後部座席115の搭乗者が乳幼児であることを前提として説明を行ったが、後部座席115の搭乗者が乳幼児以外であってもよい。後部座席の搭乗者が乳幼児以外の場合には例えばゲーム感覚で遊ぶことができるので、快適な車内環境を提供することができる。
【0109】
なお、上述した各フローチャートは単なる一例であり、各フローチャートの処理と同等の結果を得ることができるものであれば、他の処理によって本発明を実現してもよい。
【0110】
また、本発明は、上述した各ステップから構成される車載用画像制御方法として実現することができる。さらに、本発明は、当該方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、該プログラムを記憶した記憶媒体等として実現することもできる。
【符号の説明】
【0111】
111 チャイルドシート
112 後方ディスプレイ
113 後方カメラ
114 後方スピーカ
115 後部座席
212 前方ディスプレイ
213 前方カメラ
214 前方マイク
215 前部座席
216 前部座席
311 楽音処理手段
312 風景カメラ
314 回転角度検出手段
315 踏み込み量検出手段
316 着座検出手段
400 ECU
401 制御手段
402 画像処理手段
403 音声処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部座席の搭乗者を撮像する前席用撮像手段と、
前記前部座席の搭乗者用に配置された前席用ディスプレイと、
後部座席の搭乗者を撮像する後席用撮像手段と、
前記後部座席の搭乗者用に配置された後席用ディスプレイと、
前記前席用ディスプレイ及び前記後席用ディスプレイの表示を制御する制御手段と、を備えた車載用画像制御装置において、
前記制御手段は、前記前席用撮像手段で撮像された画像と前記後席用撮像手段で撮像された画像とを選択的に前記後席用ディスプレイに表示する、
ことを特徴とする車載用画像制御装置。
【請求項2】
前記後席用撮像手段で撮像された後席画像を加工する画像処理手段、をさらに有し、
前記制御手段は、加工された後席画像を前記後席用ディスプレイに表示する、
ことを特徴とする請求項1の車載用画像制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記後席用ディスプレイに表示されている画像を前記前席用ディスプレイに表示する、
ことを特徴とする請求項2の車載用画像制御装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記前席用撮像手段で撮像された前席画像を加工し、
前記制御手段は、加工された前席画像を前記後席用ディスプレイに表示する、
ことを特徴とする請求項2または請求項3の車載用画像制御装置。
【請求項5】
ハンドルの回転角度を検出する回転角度検出手段、をさらに有し、
前記画像処理手段は、前記回転角度検出手段による検出結果に応じて加工度合いを決定し、決定した加工度合いで前記前席画像または前記後席画像を加工する、
ことを特徴とする請求項2乃至請求項4いずれかの車載用画像制御装置。
【請求項6】
ブレーキまたはアクセルの踏み込み量を検出する踏み込み量検出手段、をさらに有し、
前記画像処理手段は、前記踏み込み量検出手段による検出結果に応じて加工度合いを決定し、決定した加工度合いで前記前席画像または前記後席画像を加工する、
ことを特徴とする請求項2乃至請求項5いずれか1項の車載用画像制御装置。
【請求項7】
車外の風景を撮像する風景用撮像手段、をさらに有し、
前記画像処理手段は、前記風景用撮像手段によって撮像された風景に応じて加工度合いを決定し、決定した加工度合いで前記前席画像または前記後席画像を加工する、
ことを特徴とする請求項2乃至請求項6いずれか1項の車載用画像制御装置。
【請求項8】
前記前部座席の搭乗者の音声を収集する前席用集音手段と、
前記前席用集音手段で収集された音声を加工する音声処理手段と、
後席用スピーカと、をさらに有し、
前記後席用スピーカは、前記加工された音声を出力する、
ことを特徴とする請求項2乃至請求項7いずれか1項の車載用画像制御装置。
【請求項9】
楽音を生成する楽音処理手段をさらに有し、
前記音声処理手段は、前記撮像手段によって撮像された風景に応じて変更度合いを決定し、決定した変更度合いで前記楽音処理手段が生成した楽音を加工する、
ことを特徴とする請求項8の車載用画像制御装置。
【請求項10】
前記後部座席に搭乗者が着座したことを検出する着座検出手段、をさらに有し、
前記制御手段は、前記着座検出手段が着座を検出したときに、前記後席用撮像手段及び/又は前記後席用ディスプレイを起動する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項の車載用画像制御装置。
【請求項11】
前記後部座席にはシートベルトが配置されており、
前記着座検出手段は、前記後部座席の搭乗者が前記シートベルトを装着したときに、前記後部座席に搭乗者が着座したことを検出する、
ことを特徴とする請求項10の車載用画像制御装置。
【請求項12】
前記後部座席には、シートベルト付きのチャイルドシートが配置されており、
前記着座検出手段は、前記後部座席の搭乗者が前記シートベルトを装着したときに、前記後部座席に搭乗者が着座したことを検出する、
ことを特徴とする請求項10の車載用画像制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−245950(P2010−245950A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94082(P2009−94082)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(596002767)トヨタ自動車九州株式会社 (20)
【Fターム(参考)】