説明

車載用空調装置

【課題】外気と内気を混合させることなく、外気と内気を内外気熱交換器により熱交換させるため、熱交換される流体の温度差を十分に取れ、熱交換量も十分にとることができることにより、空調装置の熱負荷を低減させ、消費電力を低減すること。
【解決手段】顕熱交換器101は、内気取入口116から導入された内気と外気取入口112から導入された外気とで熱交換をする。外気取入口112、ブロワファン102、エバポレータ103、コンデンサ104、および車室内の順で空気が流れる第一の流路と、内気取入口116、熱交換器101、および車室外の順で空気が流れる第二の流路と、が形成される。熱交換器101は、ブロワファン102の吸引力により外気取入口112から導入された外気と、ブロワファン102の送気力により第一の流路および車室内を通過して第二の流路に導入される内気とを熱交換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気自動車等の車両に搭載される車載用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車室外から取り入れた外気と車室内の内気との間で熱交換を行い、外気を車室内の温度及び湿度に近い状態にしてダクト内に取り込むことにより、車室内の温度調整にかかる熱負荷を低減する車載用空調装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
具体的には、特許文献1の車載用空調装置では、ファンが駆動することにより、内気取入口から内気がダクト内に取り込まれるとともに、外気取入口から外気が内外気熱交換器を通ってダクト内に取り込まれる。このダクト内に取り込まれた外気と内気との混合気のうちの一部は、ダクト内の冷却用熱交換器を通過して冷却された後に、ダクト内の加熱用熱交換器を通過して昇温されて車室内に送風される。また、混合気のうちの一部は、内外気熱交換器により外気との熱交換を行った後に、混合気排出口から車室外に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−272326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、内気取入口から取り込まれる内気と外気取入口から取り込まれる外気との混合気と、外気とを熱交換させるため、熱交換量を十分にとることができないという問題がある。また、外気の取り込み量を増やすほど、混合気に含まれる外気の量が増えるので、さらに熱交換量は減少し、取り込んだ外気のみで空調を行う場合には、熱交換量が減少するだけでなく、空調として機能しなくなってしまうという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、外気取入口から取り込まれる外気と内気取入口から取り込まれる内気との温度差を十分に小さくし、熱交換器における内気と外気との間の熱交換量を増加させることで、空調装置の消費電力を低減させることができる車載用空調装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車載用空調装置は、車室外から外気を導入する外気取入口と、車室内から内気を導入する内気取入口と、前記内気取入口から導入された内気と前記外気取入口から導入された外気とで熱交換をする熱交換器と、前記熱交換器により熱交換した外気若しくは前記外気取入口から導入された外気、または前記内気取入口から導入された内気を送風するブロワファンと、前記ブロワファンにより送風された外気または内気を冷却するエバポレータと、前記エバポレータにより冷却された外気または内気を加熱して車室内に向けて送るコンデンサと、を備え、前記ブロワファン、前記エバポレータ、前記コンデンサ、及び車室内の順で外気または内気が流れる第一の流路と、前記内気取入口、前記熱交換器、及び車室外の順で内気が流れる第二の流路と、が形成され、前記熱交換器は、前記ブロワファンの吸引力により前記外気取入口から導入された外気と、前記ブロワファンの送気力により前記第一の流路および車室内を通過して前記第二の流路に導入される内気とを熱交換する構成を採る。
【発明の効果】
【0008】
外気取入口から取り込まれる外気と内気取入口から取り込まれる内気との温度差を十分に小さくし、熱交換器における内気と外気との間の熱交換量を増加させることで、空調装置の消費電力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る車載用空調装置の構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態2に係る車載用空調装置の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る車載用空調装置100の構成を示す図である。この車載用空調装置100は、外気の熱を回収して車室内の暖房を行う、いわゆるヒートポンプ式の車両用空調装置である。
【0012】
顕熱交換器101(熱交換器に相当する)は、外気取入口112より車室外からの外気Aを取り入れるとともに、車室内の内気Bを取り入れる。顕熱交換器101は、取り入れた外気と内気との間で熱交換することにより、外気を車室内の温度に近づける。顕熱交換器101は、熱交換をした後の外気Cをブロアファン102に供給するとともに、熱交換した後の内気Dを車室外に排出する。
【0013】
ブロアファン102は、顕熱交換器101にて熱交換された後の外気Cを空調ダクト113に取り入れる。また、ブロアファン102は、車室内の内気Bを空調ダクト113に取り入れる。ここで、外気Cは、顕熱交喚器101を通過した空気と顕熱交喚器101を通らずにバイパスした空気の混合気であってもよい。
【0014】
エバポレータ103は、ブロワファン102により空調ダクト113に取り入れられた空気Fと冷媒との間で熱交換することにより、空気Fを冷却する。そして、エバポレータ103により冷却された空気Fは、コンデンサ104に供給される。ここで、ドア111により外気取入口112が開いており、かつミックスドア117により内気取入口116からブロワファン102への流路が閉じられている場合には、エバポレータ103により外気のみが冷却される。一方、ドア111により外気取入口112が閉じられており、かつミックスドア117により内気取入口116からブロワファン102への流路が開いている場合には、エバポレータ103により内気のみが冷却される。
【0015】
コンデンサ104は、エバポレータ103にて冷却された空気Gと冷媒との間で熱交換を行うことにより、空気Gを昇温する。また、コンデンサ104により昇温された空気Hは、車室内に導入される。コンデンサ104より車室内に導入された空気Hは、内気Bとなりミックスドア117により流量を調整され、空調ダクト113または顕熱交換器101の少なくとも1つに取り入れられる。なお、コンデンサ104にはミックスドア114が設けられており、ミックスドア114の開度を調整することにより、エバポレータ103により冷却された空気Gの一部は、コンデンサ104を介さずに車室内に導入される。
【0016】
排出用ホース105は、一方が顕熱交換器101の内気の排出口と接続し、他方が車載用空調装置100に設けた開口115から車室外に突出する。これにより、排出用ホース105は、顕熱交換器101により熱交換された内気を車室外に排出する。
【0017】
外気取入口112には、ドア111が設けられている。外気導入運転時には、ドア111が開いて、外気取入口112は外部に開放されており、外気取入口112より外気Aを取り入れることができる。内気循環運転時には、ドア111が閉じて、外気取入口112より外気Aを取り入れられない状態になる。ここで、外気導入運転とは、外気と内気とを混合した混合気、あるいは外気のみを用いて車室内を冷暖房する状態をいい、内気循環運転時とは、内気のみを用いて車室内を冷暖房する状態をいう。
【0018】
内気取入口116には、ミックスドア117が設けられている。ミックスドア117の開度を調整する事で、外気導入運転時の外気と内気の混合度合いを調整することができる。なお、ミックスドア117は、内気循環運転時において閉じた状態(図1において実線の状態)になっており、内気Bは、内気循環運転時には全て空調ダクト113に供給される。
【0019】
上記の構成を有する車載用空調装置100には、ブロワファン102、エバポレータ103、コンデンサ104、および車室内の順で空気が流れる第一の流路が形成され、内気取入口117、熱交換器101、車室外の順で空気が流れる第二の流路が形成されている。
【0020】
このように、本実施の形態では、内気Bと混合していない状態の外気Aと、内気Bを顕熱交換器101により熱交換させているので、外気Aと内気Bとの温度差を十分に取ることができ、外気Aと内気Bとの間の熱交換量を増加させることができるので、空調装置の熱負荷を低減させることができるとともに、消費電力を低減することができる。
【0021】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2に係る車載用空調装置200の構成を示す図である。実施の形態2は、顕熱交換器101により外気と熱交換された内気Dを、簡易な構造により、車室外に排出するものである。
【0022】
図2に示す車載用空調装置200は、図1に示す実施の形態1に係る車載用空調装置100に対して、排出用ホース105の代わりに排出用ホース201を有する。なお、図2において、図1と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0023】
排出用ホース201は、一方が顕熱交換器101の内気の排出口と接続し、他方がドレンホース202と接続する。これにより、排出用ホース201は、顕熱交換器101により熱交換された内気を、ドレンホース202を経て、車室外へと排出する。ドレンホース202は、主として、エバポレータ103において内気と冷媒との熱交換を行う際に生ずる水分を回収し車室外に排出するために設けられている。
【0024】
ドレンホース202の一方は、空調ダクト113の下部に形成されたドレン水の排出口203と接続し、他方は、車載用空調装置200の下部に設けた開口115から車室外に突出する。これにより、ドレンホース202は、排出口203から排出されたドレン水と、排出用ホース201から排出された内気とを車室外に排出する。
【0025】
このように、本実施の形態によれば、上記の実施の形態1の効果に加えて、ドレン水を車室外に排出するためのドレンホースを利用して、顕熱交換器より内気を排出するので、内気を車室外に排出するための排出口を設ける必要がなく、空調装置を簡易な構造にすることができる。
【0026】
なお、上記の実施の形態1及び実施の形態2において、顕熱交換器101を設けたが、本発明はこれに限らず、顕熱交換器101に代えて、全熱交換器を用いることも可能である。ただし、顕熱交換器を用いる方が、車室内の窓曇りを防止する観点で有利である。顕熱交換器は全熱交換器と異なり、熱量だけを交換し、潜熱(水蒸気)の交換は行なわないからである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明にかかる車載用空調装置は、例えば電気自動車等の車両に搭載するのに好適である。
【符号の説明】
【0028】
100 車載用空調装置
101 顕熱交換器
102 ブロアファン
103 エバポレータ
104 コンデンサ
105 排出用ホース
111、114、117 ミックスドア
112 外気取入口
113 空調ダクト
115 開口
116 内気取入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室外から外気を導入する外気取入口と、
車室内から内気を導入する内気取入口と、
前記内気取入口から導入された内気と前記外気取入口から導入された外気とで熱交換をする熱交換器と、
前記熱交換器により熱交換した外気若しくは前記外気取入口から導入された外気、または前記内気取入口から導入された内気を送風するブロワファンと、
前記ブロワファンにより送風された外気または内気を冷却するエバポレータと、
前記エバポレータにより冷却された外気または内気を加熱して車室内に向けて送るコンデンサと、
を備え、
前記ブロワファン、前記エバポレータ、前記コンデンサ、及び車室内の順で外気または内気が流れる第一の流路と、
前記内気取入口、前記熱交換器、及び車室外の順で内気が流れる第二の流路と、
が形成され、
前記熱交換器は、前記ブロワファンの吸引力により前記外気取入口から導入された外気と、前記ブロワファンの送気力により前記第一の流路および車室内を通過して前記第二の流路に導入される内気とを熱交換する車載用空調装置。
【請求項2】
前記熱交換器は、前記エバポレータにより外気を冷却した際に生じるドレン水を車室外に排出するドレンホースを用いて、熱交換を行った内気を車室外へ排出する請求項1記載の車載用空調装置。
【請求項3】
前記熱交換器は、顕熱交換器である請求項1記載の車載用空調装置。
【請求項4】
請求項1記載の車載用空調装置を具備する車両。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−206549(P2012−206549A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72038(P2011−72038)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【特許番号】特許第4951133号(P4951133)
【特許公報発行日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】