説明

車載用表示装置

【課題】車輌の形状による制限がなく、表示部を運転手から見やすい位置に自在に調整できる車載用表示装置を提供する。
【解決手段】上面に溝部6を有する制御装置1と、溝部6に取り付けられた取付金具3と、取付金具3を介して制御装置1に取り付けられた表示装置2と、を備え、取付金具3は、溝部6に沿ってスライド可能に取り付けられた取付金具3Aと、取付金具3Aに取り付けられ、取付金具3Aに対して水平方向に回転可能な取付金具3Bと、表示装置2の背面に固定され、かつ取付金具3Bに取り付けられ、取付金具3Bに対して垂直方向に回転可能な取付金具3Cと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用の表示装置において、表示部(ディスプレイ)と車輌DIN(Deutsche Industrie Normen;ドイツ工業規格)搭載型の制御装置が独立した構成の場合、表示部はインストルメントパネル(インパネ)上部への設置が通常である。しかし、インパネの形状は車種により異なるため、設置するためのスペースがない場合もある。また、運転手の視界の妨げとなる場合もあることから、表示部を制御装置の前面に取り付ける方法が取られている。この場合、設置強度を確保するために、取り付け金具を用いて表示部を制御装置の前面に取り付けている。
【0003】
特許文献1には、車両に取り付けられる装置本体と、装置本体内に収納可能に設けられたモニター取付台と、モニター取付台の前端部に着脱手段を介して取り付けられたモニターと、着脱手段に設けられて着脱手段における着脱に連動して装置本体とモニターとの間の電気的導通を接続または切断するコネクタとを備えた車載装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、テレビを載置して固定させる固定板1と、回転台2と、回転台2と固定板1との間に挿設されるばねと、固定板の傾動角度を保持させるストッパ6と、固定板1の水平状態を保持するロック機構9と、スペーサ11に固設されたスライド部材12と、スペーサ支持ボルト15と、スライド基板3と、ベアリング機構14とを有し、固定板1と回転台2のうちの少なくとも一方に、ばねを格納し得る凹部を形成してばねを挿設し、回転台2にヒンジを介して固定板1を係着し、回転台2をスライド基板3に滑動自在に係着し、回転台2の下面にスペーサ11に設けた回動制限部材当接部に当接して回転台の回動を制限する部材を取り付けて構成されたテレビ台が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−237485号公報
【特許文献2】実案第3046840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2に記載の装置では、表示部を運転手から見やすい位置に自在に調整することができなかった。また、表示部と制御装置との接続ケーブル等の配線を容易にすることはできなかった。
【0007】
そこで、本発明は、車輌の形状による制限がなく、表示部を運転手から見やすい位置に自在に調整できる車載用表示装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車載用表示装置は、上面に溝部を有する制御装置と、前記溝部に取り付けられた取付金具と、前記取付金具を介して前記制御装置に取り付けられた表示装置と、を備え、前記取付金具は、前記溝部に沿ってスライド可能に取り付けられた第1の部品と、前記第1の部品に取り付けられ、前記第1の部品に対して水平方向に回転可能な第2の部品と、前記表示装置の背面に固定され、かつ前記第2の部品に取り付けられ、前記第2の部品に対して垂直方向に回転可能な第3の部品と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車輌の形状による制限がなく、表示部を運転手から見やすい位置に自在に調整できる車載用表示装置を提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態による、車載用表示装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態による、取付金具の構成を示す分解図である。
【図3】本発明の実施の形態による、取付金具の構成を示す分解図である。
【図4】本発明の実施の形態による、取付金具の構成を示す分解図である。
【図5】本発明の実施の形態による、取付金具の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態による、車載用表示装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態の他の例による、車載用表示装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態の他の例による、取付金具の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態による、車載用表示装置10の構成を示す図である。図に示すように、車載用表示装置10は、制御装置1、表示装置2、取付金具3を備えている。
【0013】
制御装置1の上面には溝部6があり、溝部6に取付金具3を介して表示装置2が取り付けられている。これにより、制御装置1の操作部11及びインタフェース部12の実装領域が確保できるとともに、操作部11を表示装置2で覆わないようにすることが可能となる。
【0014】
図2に示すように、取付金具3は、取付金具3A、3B、3C(第1の部品、第2の部品、第3の部品)を備えている。取付金具3A、3B、3Cは、それぞれ長穴状の取付部31、32、33を備えている。また、取付金具3Bの周囲には、曲げ形状35が設けられている。これにより、車輌振動に耐えられる剛性が確保される。
【0015】
また、図3に示すように、取付金具3Aは取付金具3Aa、3Abを備えている。取付金具3AaはU字曲げ部34を有している。これにより、上下方向の強度を確保している。また、取付金具3Abによって取付金具3Aaのねじれを防止している。さらに、取付金具3AaのU字曲げ部34はケーブル4を通すのに十分な大きさを有しており、ケーブルルートとして使用できる。
【0016】
図4に示すように、取付金具3のU字曲げ部34に制御装置1と表示装置2を接続するケーブル4を通し、取付金具3Aを制御装置1上面の溝部6のネジ穴13に合せてネジ固定する。
【0017】
次に、取付金具3Bを取付金具3Aのネジ穴36(図2)に合せてネジ固定する。さらに、表示装置2の背面に固定した取付金具3Cを取付金具3Bのネジ穴37(図4)に合せてネジ固定する。取付金具3A、3B、3Cの取付部31、32、33は長穴となっているため、図5に示すように、取付金具3Aで前後方向の位置、取付金具3Bで水平方向の角度、取付金具3Cで垂直方向の角度を調整することができる。
【0018】
表示装置2を制御装置1に取付けない場合には、図6に示すように溝部6を隠す部品5を制御装置1の前方から装着し、弾性ツメ(図示せず)で固定する。
【0019】
以上のように、本実施形態によれば、制御装置1の上面に僅かなスペースの溝部6を設け、その溝部6に車輌振動に耐えられる剛性を有する取付金具3を用いて表示装置2を取り付けるようにしたので、制御装置1の操作部及びインタフェース部の実装領域を確保することができる。また、表示装置2が制御装置1の前面を覆わないため、制御装置1の操作を妨げることがない。
【0020】
また、本実施形態によれば、取付金具3の制御装置1への取付け部分にU字曲げ部34を設けているので、車輌振動に耐えられる剛性を確保するとともにケーブル類をU字曲げ部34に通すことが可能となり、制御装置1の背面から前面への配線が容易となる。
【0021】
さらに、本実施形態によれば、取付金具3A、3B、3Cの取付部31、32、33は長穴となっているため、表示装置2を前後にスライドさせたり、上下左右に角度を変えたりすることが可能となり、表示装置2を運転手から見やすい位置に自在に調整できる。また、車輌の内装の形状によらずに表示装置2を取付けることが可能となる。
【0022】
なお、図7に示すように表示装置2の背面に溝(第2の溝部)21を設け、表示装置2の位置を上下方向にもスライドできるようにすることで、表示装置2をさらに運転手から見やすい位置に調整することが可能となる。
【0023】
また、表示装置2を小型化・軽量化すれば、取付金具3の振動に対する強度は緩和できるため、取付金具3Aaを図8に示すような簡易な形状とすることも可能である。
【0024】
上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)上面に溝部を有する制御装置と、
前記溝部に取り付けられた取付金具と、
前記取付金具を介して前記制御装置に取り付けられた表示装置と、を備え、
前記取付金具は、
前記溝部に沿ってスライド可能に取り付けられた第1の部品と、
前記第1の部品に取り付けられ、前記第1の部品に対して水平方向に回転可能な第2の部品と、
前記表示装置の背面に固定され、かつ前記第2の部品に取り付けられ、前記第2の部品に対して垂直方向に回転可能な第3の部品と、
を備えた車載用表示装置。
(付記2)前記第1の部品は、前記溝部の底面との間に空洞を形成するU字曲げ形状を備え、前記空洞にケーブルを通すことが可能な、付記1に記載の車載用表示装置。
(付記3)前記第1の部品は、前記溝部への第1の取付部を備え、
前記第2の部品は、前記第1の部品への第2の取付部を備え、
前記第3の部品は、前記第2の部品への第3の取付部を備え、
前記第1の取付部、前記第2の取付部、及び前記第3の取付部は、長穴形状に形成されている、付記1または2に記載の車載用表示装置。
(付記4)前記第2の部品の周囲には、曲げ形状が設けられている、付記1から3のいずれかに記載の車載用表示装置。
(付記5)前記表示装置は、背面に第2の溝部を備えており、
前記第3の部品は、前記第2の溝部に沿ってスライド可能に取り付けられている、付記1から4のいずれかに記載の車載用表示装置。
【符号の説明】
【0025】
1 制御装置、2 表示装置、3 取付金具、3A,3B,3C 取付金具、3Aa,3Ab 取付金具、4 ケーブル、5 部品、6 溝部、10 車載用表示装置、11 操作部、12 インタフェース部、13,36,37 ネジ穴、21 溝、31,32,33 取付部、34 U字曲げ部、35 曲げ形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に溝部を有する制御装置と、
前記溝部に取り付けられた取付金具と、
前記取付金具を介して前記制御装置に取り付けられた表示装置と、を備え、
前記取付金具は、
前記溝部に沿ってスライド可能に取り付けられた第1の部品と、
前記第1の部品に取り付けられ、前記第1の部品に対して水平方向に回転可能な第2の部品と、
前記表示装置の背面に固定され、かつ前記第2の部品に取り付けられ、前記第2の部品に対して垂直方向に回転可能な第3の部品と、
を備えた車載用表示装置。
【請求項2】
前記第1の部品は、前記溝部の底面との間に空洞を形成するU字曲げ形状を備え、前記空洞にケーブルを通すことが可能な、請求項1に記載の車載用表示装置。
【請求項3】
前記第1の部品は、前記溝部への第1の取付部を備え、
前記第2の部品は、前記第1の部品への第2の取付部を備え、
前記第3の部品は、前記第2の部品への第3の取付部を備え、
前記第1の取付部、前記第2の取付部、及び前記第3の取付部は、長穴形状に形成されている、請求項1または2に記載の車載用表示装置。
【請求項4】
前記第2の部品の周囲には、曲げ形状が設けられている、請求項1から3のいずれかに記載の車載用表示装置。
【請求項5】
前記表示装置は、背面に第2の溝部を備えており、
前記第3の部品は、前記第2の溝部に沿ってスライド可能に取り付けられている、請求項1から4のいずれかに記載の車載用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−112208(P2013−112208A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260835(P2011−260835)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【出願人】(504169083)株式会社システック (3)
【Fターム(参考)】