説明

車載用触媒体

【課題】光触媒活性や脱臭速度などを向上させ、車内の臭い成分や有害物質を素早く除去分解することができる車載用触媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】光触媒作用を有する物質を含む構造体1と、前記構造体1へ紫外線を含む光を照射する照射手段4と、前記構造体1へ送風する送風手段3と、蓄熱した熱を前記構造体1の光触媒へ供給する蓄熱材2とを備えたものである。これにより、車内へ照射される太陽の熱などを蓄熱材2で蓄熱し、その熱を光触媒へ供給することで、光触媒活性や脱臭速度などを向上させ、車内の臭い成分や有害物質を素早く除去分解することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車内の臭い成分や有害物質の除去分解に用いることができる車載用触媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、酸化チタンに代表される光触媒と蓄熱材を組み合わせて使用することは知られている。すなわち、蓄熱材を用いて床下空間を蓄熱構造として利用でき、さらに光触媒を同時に入れておくことで建材から放出されるホルマリンなどの分解が促進されるというもの(例えば、特許文献1参照)、また、光触媒を用いて親水性、流滴性、防曇性、防汚性を有するフィルムを作製し、窓ガラスなどに貼り付け、さらにフィルムに蓄熱材を含ませることにより、太陽の輻射による室内温度の上昇が抑制できるというもの(例えば、特許文献2参照)などである。また、光触媒をハニカム構造体のような比表面積が大きな担体に担持した触媒体をフィルターとして用いたものもある(例えば、特許文献3、4参照)。
【特許文献1】特開2002−89863号公報
【特許文献2】特開2000−309068号公報
【特許文献3】特開平6−343875号公報
【特許文献4】特開2003−53196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成は、単に光触媒と蓄熱材を組み合わせたり、光触媒をハニカム構造体のような担体に担持したりするものであって、光触媒活性や脱臭速度などの向上を意図するものではなかった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、蓄熱材の蓄熱を利用して光触媒活性や脱臭速度などを向上させ、車内の臭い成分や有害物質を素早く除去分解することができる車載用触媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の車載用触媒体は、光触媒作用を有する物質を含む構造体と、前記構造体へ紫外線を含む光を照射する照射手段と、前記構造体へ送風する送風手段と、蓄熱した熱を前記構造体の光触媒へ供給する蓄熱材とを備えたものである。
【0006】
これにより、車内へ照射される太陽の熱などを蓄熱材で蓄熱し、その熱を光触媒へ供給することで、光触媒活性や脱臭速度などを向上させ、車内の臭い成分や有害物質を素早く除去分解することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車載用脱臭体は、高活性な光触媒体を実現し、車内の臭い成分や有害物質を素早く除去分解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、光触媒作用を有する物質を含む構造体と、前記構造体へ紫外線を含む光を照射する照射手段と、前記構造体へ送風する送風手段と、蓄熱した熱を前記構造体の光触媒へ供給する蓄熱材とを備えた車載用触媒体とすることにより、車内へ照射される太陽の熱などを蓄熱材で蓄熱し、その熱を光触媒へ供給することで、光触媒活性や脱臭速度などを向上させ、車内の臭い成分や有害物質を素早く除去分解することができる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明において、酸素富化装置を有することにより、光触媒へ送風する臭い成分や有害物質を含む空気の酸素濃度を上げて、光触媒活性を高め、臭い成分などの分解速度を向上させる車載用触媒体が実現できる。
【0010】
第3の発明は、特に、第1の発明において、光触媒作用を有する物質は、アナターゼ型の酸化チタンであることにより、光触媒作用が他の光触媒作用を有する物質より高いために、より光触媒作用を向上させた車載用触媒体が実現できる。
【0011】
第4の発明は、特に、第1の発明において、構造体は、ハニカム形状であることにより、ハニカム構造体は比表面積が大きくかつ低圧損であるため、光触媒作用を有する物質を担持したハニカム構造体へ臭い成分などを含む空気を通すことで、臭い成分などをより効率よく分解除去できる高活性な車載用触媒体が実現できる。
【0012】
第5の発明は、特に、第1の発明において、蓄熱材は、照射手段の風上に設置したことにより、照射手段にランプなどを用いた場合、風によって冷却されることにより出力が低下し、光触媒活性を低下させる問題があるが、蓄熱材により蓄熱した熱を照射手段にも供給することにより、高い光触媒活性を維持した車載用触媒体が実現できる。
【0013】
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明において、蓄熱材は潜熱蓄熱材であり、融点が40℃以上80℃以下であることにより、潜熱蓄熱材は比較的蓄熱密度が大きく、また蓄放熱の繰り返しが容易で劣化しにくく、また車内の熱を蓄熱し、利用するには40℃から80℃までが最も効率が良く、その蓄熱した熱を光触媒へ供給することで光触媒活性を向上させ、脱臭速度などを向上させた車載用触媒体が実現できる。
【0014】
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、構造体は、物理吸着作用を有する吸着剤を含むことにより、吸着剤としてゼオライト、シリカゲル、活性炭、アルミナ、セピオライトなどを加えることで、その高い吸着能力で臭い成分や有害物質を吸着除去し、吸着された臭い成分などが拡散などで光触媒に移りその表面で分解されるため、さらに脱臭速度が速く、半永久的に脱臭効果が持続する車載用触媒体が実現できる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における車載用触媒体を示すものである。
【0017】
図に示すように、本実施の形態における車載用触媒体は、光触媒作用を有する物質(以下、本実施の形態では光触媒という)を含む構造体1と、前記構造体1へ紫外線を含む光を照射する照射手段4と、前記構造体1へ送風する送風手段3と、太陽光などから熱を蓄熱し蓄熱した熱を前記構造体1の光触媒へ供給する蓄熱材2とを備えたものである。
【0018】
前記構造体1は、例えば、ハニカム構造体に酸化チタンなどの光触媒を、アンカー効果もしくは物理的な結合もしくは化学的な結合などの作用により結合させ、担持されているものである。このときバインダを添加し、前記効果を高めても良いが、添加量が多い場合は、光触媒活性を低下させる原因となるので適量が望ましい。バインダは無機系のものが望ましく、コロイダルシリカや水ガラスなどが適している。
【0019】
構造体1はハニカム構造体に限定されるものではないが、圧損が小さく、比表面積が大きい特長を有するので、ハニカム構造体が望ましい。また、構造体1の材質も特に限定されるものではないが、光触媒作用により分解されないセラミックスなど無機材料を用いることが望ましい。光触媒についても、特に限定されるものではないが、コスト、安全性、入手しやすさの面で二酸化チタンが望ましく、特に、光触媒作用の性能面も考慮すると光触媒作用が他の光触媒作用を有する物質より高いアナターゼ型が最適である。
【0020】
光触媒の構造体への担持方法については、スパッタ法、ゾルゲル法、ディップ法など多数あり、特に限定はしないが、光触媒と必要に応じてバインダを水や溶剤などに分散もしくは溶解させ、構造体をそのスラリーに浸漬することで担持するディップ法が望ましい。また、粉末状の光触媒を分散させ、スラリーを作製する場合、光触媒の平均径は小さい方が望ましく、一次粒子の平均径で100nm以下程度が望ましい。なお、形状について特に限定はないが、比表面積が大きくなるような形状が望ましい。さらには、なるべく凝集が起こらないように水や溶媒に分散させることが望ましい。
【0021】
構造体1には、光触媒に加え、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、アルミナ、セピオライトなどの物理吸着作用を有する物質を添加しておくことにより、吸着剤による物理吸着脱臭により臭気が除去され、脱臭性能はさらに向上する。吸着剤で吸着した臭気物質は、光触媒への光照射により励起したときに発生するラジカルなどにより酸化分解される。このときの光の波長は400nm程度以下とするのが望ましい。また、脱臭対象となる臭気にあわせて、吸着剤の選定が可能であり、また臭気濃度に応じて光触媒と物理吸着作用を有する吸着剤の比率を変えることが可能である。
【0022】
次に、蓄熱材2について説明する。蓄熱材2は、顕熱を利用した顕熱蓄熱材、物質の相変化の潜熱を利用した潜熱蓄熱材、化学反応熱を利用した化学蓄熱材などがある。顕熱蓄熱材は、蓄熱密度が非常に小さいため不向きであり、また化学蓄熱材も構成が大がかりなものになることや安全性、耐久性などの面で課題があり、不向きである。したがって、潜熱蓄熱材を用いることが望ましく、特に、安全性を考慮すると固−液の相変化(融解−凝固)の潜熱を利用することが望ましい。また、日射による車内の温度上昇を考慮すると、40℃から80℃程度の融点をもつ蓄熱材が適しており、特に60℃近傍が最適であり、パラジクロロベンゼン(融点53℃)などを用いると良い。また、融解熱の大きな物質を利用することも重要である。
【0023】
さらに、蓄熱材2の形や設置場所については、図に示す形や位置に限定されるものではなく、例えば、構造体1を取り囲むように設置するなどして、蓄熱された熱が光触媒へ伝わるように配置できればよい。また、照射手段4としてランプを使用すると、気流下で熱が奪われ、ランプの照射強度が上がらないという課題があるため、ランプの風上へ蓄熱材2を設置することでランプへも熱が供給でき、ランプの照射強度の低下を防ぐことができるようになる。特に、このとき蓄熱材2に放熱フィンを設けておくことで、効率よく気流へ熱を供給できるようになる。
【0024】
また、送風手段3は、シロッコファン、ターボファン、プロペラファン、クロスフローファン、貫流ファンなどが使用されるものであり、特に限定するものではない。本実施の形態ではプロペラファンを用い、蓄熱材2を通過させて構造体1へ送風している。
【0025】
照射手段4は、400nm以下の波長の光を照射できるものが望ましく、185nmや254nm付近の二波長の紫外線を発生させるオゾンランプや、254nm付近の紫外線を発生させる殺菌ランプ、360nm付近の紫外線を発生させる紫外線ランプやブラックライトなどがある。環境・健康面への配慮や、樹脂劣化防止などの観点から、ブラックライトやピーク波長が300nm〜400nm程度の紫外線ランプを使用することが望ましい。また、ランプの方式は熱陰極タイプ、冷陰極タイプ、無電極タイプなどがあり、どれを用いても良いが、耐久性を考慮すると冷陰極タイプや無電極タイプが望ましい。本実施の形態では、365nm近傍に波長ピークを持つ、冷陰極タイプの紫外線ランプを用いている。さらに、LEDで380〜400nm付近の紫外線を発するものを用いても良く、この場合、点灯と消灯を繰り返すように用い温度上昇を抑えると、LEDの劣化を抑えることができるため、長期間使用することができる。
【0026】
以上のように、構成された車載用触媒体について、以下その動作、作用を説明する。
【0027】
停車中の車に直射日光があたり、蓄熱材2へ蓄熱された状態となっている。ここで、照射手段4として紫外線ランプを点灯させ、送風手段3としてプロペラファンを作動させ蓄熱材2を通して光触媒を担持した構造体1へ送風を開始した。蓄熱材2で蓄熱された熱が熱交換により気流へ伝わり、紫外線ランプや構造体1へ供給される。光触媒表面上では、光触媒作用により悪臭や有害物質の分解が開始する。このとき、ランプの照射強度が低下することなく、かつ光触媒が加熱され光触媒活性が向上し、悪臭や有害物質の分解能力を向上させることができる。
【0028】
次に、本実施の形態における車載用触媒体の実験例について記載する。
【0029】
23ccの光触媒を担持した構造体1と、融点が60℃の蓄熱材2を100gと、270L/minの能力の送風手段(プロペラファン)3と、365nm近傍に波長ピークを持つ冷陰極タイプの照射手段(紫外線ランプ)4からなる触媒体を作製した(本実施の形態では触媒体Aという)。このとき、照射手段4は、構造体1への照射強度の平均がおおよそ2mW/cmとなるように設置した。また、参照用として触媒体Aから蓄熱材2を取り除いたもの(本実施の形態では触媒体Bという)を作製した。
【0030】
前記触媒体をそれぞれ1mのアクリル製容器中央に設置し、前記容器内にアセトアルデヒドガスを注入し、20ppmとなるようにした。次に、触媒体Aに関しては予めヒータを用いて蓄熱材2の温度が65℃となるように蓄熱した。そして、送風手段3、照射手段4を動作させ、1時間後の容器内のアセトアルデヒド濃度を測定した。触媒体Aを設置した方が1ppm、触媒体Bを搭載した方が5ppmであった。したがって、触媒体A、すなわち蓄熱材2を搭載した触媒体の分解効率が非常に優れていることが確認された。
【0031】
なお、本実施の形態では、高活性な光触媒体を実現し、車内の臭い成分や有害物質を素早く除去分解することについて説明したが、微生物の除菌機能、抗菌機能、防汚機能、アレルゲン分解機能などを用いることもできるものである。
【0032】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における車載用触媒体を示すものである。実施の形態1同一要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0033】
本実施の形態において、実施の形態1と異なる点は、酸素濃度を向上させる酸素富化装置5を備えたことである。この酸素富化装置5は、酸素富化膜を用いたもの、PSAあるいはTSA方式のもの、化学反応により酸素を発生させるもの、酸素ボンベを利用するものなど様々あるが、安全性や簡便性、メンテナンス製、コストなどを考慮すると、酸素富化膜方式が最適である。
【0034】
次に、図3に基づき本実施の形態における酸素富化装置5について説明する。
【0035】
図3(a)に示すように、酸素富化装置5は、酸素富化膜ユニット10と、吸気口19および排気口21を有する筐体11と、ファン12と、高酸素濃度空気通路13と、真空ポンプ14と、取り出し口20とから構成される。前記ファン12は、シロッコファン、ターボファン、プロペラファン、貫流ファンなどが使用され、特に限定されるものではない。なお、ファン12は、図2に示す送風手段3であるが、送風手段3とは別ものであっても構わない。
【0036】
図3(b)に示すように、酸素富化膜ユニット10は、酸素富化膜15と、酸素富化膜15の下地となる基材16と、それらを支持する支持体17から構成されている。また、支持体17は空気が通過できる穴18を有する。
【0037】
本実施の形態において、酸素富化膜15はシリコーン系高分子膜で、膜の両面に圧力差を設けることにより、原料空気を無孔質の酸素富化膜表面に溶解させ、膜内を拡散するときの速度比により、原料空気を高酸素濃度空気と酸素量の少ない排空気とに分離する。本実施の形態の場合、窒素に対する酸素の分離比は約2.5で、水蒸気の分離比は約22であり、酸素富化膜15に空気を透過させると酸素濃度はおおよそ30%となり、水蒸気はほぼ飽和蒸気圧となる。その他、酸素富化膜として、シリコーン系、ポリスルホン系、イミド系、フッ素系、ポリオレフィン系などがあるが、特に限定するものではない。
【0038】
酸素富化膜面に圧力差を生じさせる方法としては、膜の一方側を大気圧として他方側を大気圧以上にする方法と、膜の一方側を大気圧として他方側を大気圧以下にする方法とがあるが、破裂などの破損を考慮すると、後者の膜の他方側を大気圧以下にする方がよい。このために真空ポンプ14を用い、真空度は100〜600torr程度が好ましいが、特に限定するものではない。
【0039】
基材16は、酸素富化膜を製造時に下地となる基材で、本実施の形態では多孔性のポリエーテルスルフォンの膜を用いたが、気体をよく透過させ、かつ酸素富化膜製造時に酸素富化膜に大きく影響を与えるものでなければ、特に限定されるものではない。また、支持体17は酸素富化膜とポリエーテルスルフォンの膜を支持する支持体で、空気を通過させる穴18を有しており、また外圧に対して容易に折れないものが望ましい。本実施の形態では、ポリプロピレン樹脂の板を用いたが、他の樹脂や金属、セラミックスなどを用いてもよく、特に限定されるものではない。
【0040】
酸素富化装置の動作について説明する。ファン12と真空ポンプ14を作動させると、吸気口19より空気を導入し、酸素富化膜ユニット10を透過し、高酸素濃度空気が高酸素濃度空気通路13、真空ポンプ14を経て、取り出し口20から取り出される。本実施の形態で取り出される高酸素濃度空気は、約2.4L/分であった。一方、酸素量が少なくなった排空気は排気口21より排出される。
【0041】
取り出し口20から得られた高濃度酸素空気を、蓄熱材2を通して構造体1へ供給することで、光触媒活性をさらに向上することができる。これは、光触媒表面上で酸素分子が電子を受け取って活性酸素となり、それが臭い成分や有害物質の分解へ寄与するため、酸素濃度が高い方が臭い成分などの分解効率が向上するためである。
【0042】
次に、本実施の形態における車載用触媒体の実験例について記載する。
【0043】
23ccの光触媒を担持した構造体1と、融点が60℃の蓄熱材2を100gと、270L/minの能力の送風手段(プロペラファン)3と、365nm近傍に波長ピークを持つ冷陰極タイプの照射手段(紫外線ランプ)4と、酸素富化膜方式の酸素富化装置5とから触媒体を作製した(本実施の形態では触媒体Cという)。このとき、照射手段4は、構造体1への照射強度の平均がおおよそ2mW/cmとなるように設置した。また、参照用として実施の形態1で用いた触媒体Aを使用した。
【0044】
前記触媒体をそれぞれ1mのアクリル製容器中央に設置し、前記容器内にアセトアルデヒドガスを注入し、20ppmとなるようにした。次に、触媒体A、Cともに予めヒータを用いて蓄熱材2の温度が65℃となるように蓄熱した。そして、送風手段3、照射手段4を動作させ、1時間後の容器内のアセトアルデヒド濃度を測定した。触媒体Aを設置した方が1ppm、触媒体Cを設置した方が0.5ppmであった。したがって、触媒体C、すなわち酸素富化装置5を搭載した触媒体の分解効率が非常に優れていることが確認された。
【0045】
なお、本実施の形態においては、高濃度酸素発生装置としても利用することができ、一般的に言われている高濃度酸素の効果、すなわち血中乳酸値の減少、快適度向上、覚醒感向上、体重・体脂肪率の減少、作業能率の向上、疲れによる視力低下の回復、心拍数の抑制などの効果を得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明にかかる車載用触媒体は、高活性な光触媒体を実現し、車内の臭い成分や有害物質を素早く除去分解することができるので、空気清浄機、脱臭機、冷暖房機などの各種空調機器、アレルゲン分解機あるいは浄水器や水質浄化機器などの環境浄化装置などの用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1における車載用触媒体を示す断面図
【図2】本発明の実施の形態2における車載用触媒体を示す断面図
【図3】(a)本発明の実施の形態2における車載用触媒体の酸素富化装置を示す模式図(b)酸素富化装置の一部を拡大して示した模式図
【符号の説明】
【0048】
1 構造体
2 蓄熱材
3 送風手段
4 照射手段
5 酸素富化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒作用を有する物質を含む構造体と、前記構造体へ紫外線を含む光を照射する照射手段と、前記構造体へ送風する送風手段と、蓄熱した熱を前記構造体の光触媒へ供給する蓄熱材とを備えた車載用触媒体。
【請求項2】
酸素富化装置を有する請求項1に記載の車載用触媒体。
【請求項3】
光触媒作用を有する物質は、アナターゼ型の酸化チタンである請求項1に記載の車載用触媒体。
【請求項4】
構造体は、ハニカム形状である請求項1に記載の車載用触媒体。
【請求項5】
蓄熱材は、照射手段の風上に設置した請求項1に記載の車載用触媒体。
【請求項6】
蓄熱材は潜熱蓄熱材であり、融点が40℃以上80℃以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の車載用触媒体。
【請求項7】
構造体は、物理吸着作用を有する吸着剤を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の車載用触媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−21098(P2006−21098A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200287(P2004−200287)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】