説明

車載装置及び車載システム

【課題】複数の拡張用モジュールを利用可能な車載システムにおいて、ドライブレコーダとして機能する車載システムを提供することを目的とする。
【解決手段】車載装置の機能を拡張するための拡張モジュール(400)と接続するためのスロット’130、140)と、複数の拡張モジュールに対応した共通プログラム及び複数の拡張モジュールに個別に対応した複数の個別プログラムを記憶する記憶部(102)と、共通プログラム及びスロットに挿入された拡張モジュールに応じた個別プログラムに基づいてスロットに挿入された拡張モジュールを制御する制御部(101)を有することを特徴とする車載装置(100)、及びそのような車載装置を含む車載システム(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の拡張用モジュールを接続することが可能な車載装置及びそのような車載装置を含む車載システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数種類のPCカードを利用して機能拡張を図ることを可能とした車載用情報端末が知られている(例えば、特許文献1参照)。上記の車載用情報端末では、PCカードを機能させるためにクライアントドライバをRAM等の一次記憶装置に常駐させる必要がある。しかしながら、複数のPCカードを利用するためには、複数のクライアントドライバを常駐させる必要があり、一次記録装置の容量が不足してしまう。そこで、利用可能な全てのクライアントドライバを常駐させずに、必要な場合に、専用電話回線を介して情報センタからクライアントドライバを取得するように構成している。
【0003】
しかしながら、上述した構成の場合、情報センタからクライアントドライバをダウンロードする必要があることから、通信装置が必須の構成となり、通信装置の備えられていない車載装置では、利用できないといった問題や、ダウンロードのために多大な通信時間や通信費用を費やさなければならないという不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−20176号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような車載装置の機能の追加や拡張を図る場合、車載装置のモデルやハードウェアが変更されると、車載装置を拡張用モジュールとの互換性が維持できず拡張用モジュールに記憶されているプログラムを起動できないといった問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、複数の拡張用モジュールを利用可能な車載装置及び車載システムにおいて、車載装置のハードウエアの変更に影響を受けず拡張モジュールの互換性を維持することを可能とする車載装置及び車載システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車載装置では、車載装置の機能を拡張するための拡張モジュールと接続するためのスロットと、複数の拡張モジュールに対応した共通プログラム及び複数の拡張モジュールに個別に対応した複数の個別プログラムを記憶する記憶部と、共通プログラム及びスロットに挿入された拡張モジュールに応じた個別プログラムに基づいてスロットに挿入された拡張モジュールを制御する制御部を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る車載システムでは、
車載装置の機能を拡張するための拡張モジュールと、
拡張モジュールと接続するためのスロット、複数の拡張モジュールに対応した共通プログラム及び複数の拡張モジュールに個別に対応した複数の個別プログラムを記憶する記憶部、及び、前記共通プログラム及び前記拡張モジュールに応じた個別プログラムに基づいて前記拡張モジュールを制御する制御部を含む車載装置と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る車載装置及び車載システムでは、車載装置のハードウエアの変更に影響を受けず拡張モジュールの互換性を維持することを可能が可能となった。
【0010】
また、本発明に係る車載装置及び車載システムでは、複数の拡張モジュールに対応する制御プログラムを予め有しているので、車載装置のハードウエアの変更に拘らず拡張モジュールの互換性を維持することを可能が可能となった。
【0011】
さらに、本発明に係る車載装置及び車載システムでは、複数の拡張モジュールに対応する共通プログラム及び個別プログラムを予め有し、利用する拡張モジュールに合わせて拡張モジュールを制御する制御プログラムを構築することから、記録部の記録容量を小さく抑えることが可能となった。
【0012】
さらに、本発明に係る車載装置及び車載システムでは、複数の拡張モジュールを利用できるため、ユーザの好みや必要性に応じた機能の組み合わせを追加でき、カスタマイズ性を増加させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】拡張モジュールの互換性を説明するための図である。
【図2】本発明に係る車載システムの概略構成を示す図である。
【図3】車載装置の外観の一例を示す図である。
【図4】第1スロット130とモジュールの関係を示す図である。
【図5】他のモジュールの概略構成図である。
【図6】拡張モジュールのプログラム実行方式(1)を説明するための図である。
【図7】電源ON時の処理動作の一例を示す図である。
【図8】拡張モジュールのプログラム実行方式(2)を説明するための図である。
【図9】拡張モジュールのプログラム実行方式(3)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面を参照して、本発明に係る車載装置及び車載システムについて説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
図1は、拡張モジュールの互換性を説明するための図である。
【0016】
図1において、車載装置である第1メインユニット10は、第1スロット11及び第2スロット12を有し、バージョンαのハードウエア構成を有している。また、第1メインユニット10のための拡張モジュール群30には、拡張モジュールA31、拡張モジュールB32等が含まれる。拡張モジュールA31、拡張モジュールB32等は、第1メインユニット10の第1スロット11及び第2スロット12に装着されて、第1メインユニット10の機能を拡張する。
【0017】
第2メインユニット20は、例えば、第1メインユニット10の開発後に開発された新しい車載装置であって、第1スロット21及び第2スロット22を有し、バージョンαより新しいバージョンβのハードウエア構成を有している。また、第2メインユニット20のための拡張モジュール群40には、拡張モジュールC41、拡張モジュールD42等が含まれる。拡張モジュールC41、拡張モジュールD42等は、第2メインユニット20の第1スロット21及び第2スロット22に装着されて、第2メインユニット20の機能を拡張する。
【0018】
ここで、第2メインユニット20のハードウエア構成が第1メインユニット10から変更されたことから、第1メインユニット10のための拡張モジュール群30は、第2メインユニット20で適切に動作しない。同様に、第2メインユニット20のハードウエア構成が第1メインユニット10から変更されたことから、第2メインユニット20のための拡張モジュール群40は、第1メインユニット10で適切に動作しない。即ち、メインユニットにおけるハードウエア構成の変更に伴い、拡張ユニット(拡張モジュール)の互換性が維持されない状況が発生する。
【0019】
図2は、本発明に係る車載システム1の概略構成を示す図である。
【0020】
車載システム1は、車載装置100、車載装置100に装着可能な複数の拡張モジュール200〜500、車載装置100に接続された、表示部制御用の表示部マイコン51を含み液晶ディスプレイ及び操作部として機能するタッチパネル等から構成される表示部50、車両(不図示)の周囲(例えば、ドライバーの死角となり易い後方)を撮影して表示部50に表示するためのCCD撮像素子等から構成されるカメラ60、車両に備えられたエンジン始動用のキーシリンダと電気的に一体に構成されているアクセサリスイッチ(ACCスイッチ)61、バッテリ62、車両のフロント及び/又はリアガラスに配置されるデジタルテレビ(DTV)用のアンテナ70及びAM/FM用のアンテナ71、車両の現在位置を計測するためのGPSシステム用のアンテナ72、車両の各部に配置された複数又は単数のスピーカ80等から構成されている。
【0021】
車載装置100は、メインマイコン等から構成される制御部101、FlashROM102、RAM103、電源用マイコン104、車載装置100内の各要素及び各モジュールへ電力を供給し、過電流及び/又は過電圧保護を行うレギュレータ105、各モジュール等との間の信号のやり取りを制御する分配回路110、映像信号及び/又は音声信号の処理を行うデジタル信号処理部(DSP)120、AM/FM放送を受信するためのチューナモジュール121、スピーカ80への音声信号を増幅するためのアンプ122、第1のモジュールと接続するための第1スロット130、及び第2のモジュールと接続するための第2スロット140、CD/DVDデッキ150等から構成されている。
【0022】
なお、車載装置100は、表示部50及びカメラ60の何れか1つ又は複数と一体的に構成されても良い。また、図2において、車載装置100に内蔵されているAM/FM用チューナモジュール121及びCD/DVDドライバ150は、車載装置100の外部に、別体として構成されても良いし、機能拡張モジュールの一つとして構成されても良い。
【0023】
第1モジュール200は、1セグ用のDTV用のモジュールであり、図2に示す車載システム1の状態では、第1スロット130と第1コネクタ201とが接続されるようにして、車載装置100に装着されている。第1モジュール200は、コネクタ201、DTV用のチューナモジュール202、及びモジュールID(MID)を記憶した第1MID出力回路203等から構成される。
【0024】
第1MID出力回路203には、第1モジュールが1セグ用のDTV用のモジュールであることを示すNo(例えば、001)と、シリアルNo(例えば、0001)とを組み合わせたID(例えば、”001−0001”)が記録される。
【0025】
分配回路110は、DTV用アンテナ70からの高周波信号を第1スロット130を介して第1モジュール200のチューナモジュール202へ送信し、チューナモジュール202から選択されたチャンネルに対応したデジタル映像信号を第1スロット130を介して制御部101へ転送し、デジタル音声信号を第1スロット130を介してDSP120へ転送する。このような動作によって、第1モジュール200を装着した車載装置100では、1セグ用のデジタルテレビ放送の映像及び音声を表示部10及びスピーカ80を用いて視聴することが可能となる。また、制御部101では、分配回路110及び第1スロット130を介して、第1MID出力回路203からのMIDを受信する。このように、車載装置100が本来有していない機能が、第1モジュールの装着によって追加される(機能が拡張される)。
【0026】
第2モジュール300は、ナビゲーション用のモジュールであり、図2に示す車載システム1の状態では、第2スロット140と第2コネクタ301とが接続されるようにして、車載装置100に装着されている。第2モジュール300は、コネクタ301、車両の現在位置を測定するためのGPS用モジュール302、ナビゲーション用の地図情報等が記録されたSDメモリカード等から構成される外部記録装置と接続するための外部接続コネクタ303、車両の進行方向等を確認するためのジャイロモジュール304、MIDを記憶した第2MID出力回路305等から構成される。
【0027】
第2MID出力回路305には、第2モジュールがナビゲーション用のモジュールであることを示すNo(例えば、002)と、シリアルNo(例えば、2001)とを組み合わせたID(例えば、”002−2001”)が記録される。
【0028】
分配回路110は、GPS用アンテナ71からの信号を第2スロット140を介して第2モジュール300のGPSモジュール302へ送信し、GPSモジュール302から出力される車両の現在位置情報、外部接続コネクタ303を介して受信した地図情報、ジャイロモジュール304から出力される車両の状態を示す情報等を第2スロット140を介して制御部101へ転送する。このような動作によって、第2モジュール300を装着した車載装置100では、車両の現在位置を確認しながら、地図情報を利用したナビゲーション表示を表示装置10を利用して行うことができる。また、制御部101では、分配回路110及び第1スロット140を介して、第2MID出力回路305からのMIDを受信する。このように、車載装置100が本来有していない機能が、第2モジュールの装着によって追加される(機能が拡張される)。
【0029】
第3モジュール400は、Bluetooth(登録商標)用のモジュールであって、図1に示す車載システム1の状態では、車載装置100に装着されていないが、前述した第1又は第2モジュールの代わりに、第1スロット130又は第2スロット140に装着可能である。
【0030】
第3モジュール400は、第3コネクタ401、Bluetooth(登録商標)用無線信号受信モジュール402、MIDを記憶した第3MID出力回路403等から構成される。モジュール402は、Bluetooth(登録商標)規格に応じた無線信号を受信して、受信信号を出力できるように構成されている。したがって、第3モジュール400を利用すれば、例えば、Bluetooth(登録商標)対応の携帯電話からの音楽情報を、第3モジュール400を装着した車載装置100において再生することが可能となる。
【0031】
第3MID出力回路403には、第3モジュール400がBluetooth(登録商標)用のモジュールであることを示すNo(例えば、003)と、シリアルNo(例えば、3001)とを組み合わせたID(例えば、”003−3001”)が記録される。
【0032】
第4モジュール500は、USB I/F用のモジュールであって、図2に示す車載システム1の状態では、車載装置100に装着されていないが、前述した第1又は第2モジュールの代わりに、第1スロット130又は第2スロット140に装着可能である。
【0033】
第4モジュール500は、第4コネクタ501、制御用マイコン502、RAM503、USBスロット504、USBスロット504を介して出力する電力を供給し、供給する電流及び電圧の過電流及び過電圧の監視を行うレギュレータ505、MIDを記憶した第4MID出力回路506等から構成される。したがって、第4モジュール500を利用すれば、例えば、USBコネクタを有するHDと接続して、車載装置100のアプリケーションプログラムの一部の書き換え等を行うことが可能となる。
【0034】
第4MID出力回路506には、第4モジュール500がUSB I/F用のモジュールであることを示すNo(例えば、004)と、シリアルNo(例えば、4001)とを組み合わせたID(例えば、”004−4001”)が記録される。
【0035】
図2では、車載装置100に装着可能な第1モジュール200〜第4モジュール500について説明したが、車載装置100に装着可能なモジュールはこれらに限定されるものではない。例えば、第1モジュール200をより高性能化して、フルセグ(12セグ)のDTV放送と1セグのDTV放送とを放送状態に応じて切り換えて表示することができるDTV用モジュール、米国における地上波デジタル音声放送であるIBOC(In Band on Channel)方式のハイブリッドHD(High Definition)ラジオ放送搬送波を受信するためのIBOC用モジュール、WiMAX(Worldwide Interoperability For Microwave Access)の無線通信規格に対応した信号を受信するためのWiMAX用モジュール等であっても良い。
【0036】
図3は、車載装置100の外観の一例を示す図である。図3(a)は車載装置100のフロントパネルの外観の一例を示し、図3(b)は車載装置100の枠体160の側面からの外観を示す図である。
【0037】
図3(a)及び(b)に示す様に、車載装置100のフロンパネルには、表示部50、CD/DVD挿入用のスロット52、各種操作ボタン53が配置されており、モジュールを装着するための第1スロット130及び第2スロット140は、表示部10の下方に、並んで配置されている。なお、図3(a)では、第1モジュール200及び第2モジュール300が、それぞれ第1スロット130及び第2スロット140に装着された状態を示している。
【0038】
一旦装着されたモジュールは、第1排出ボタン131及び第2排出ボタン141によって、それぞれのスロットから排出される。各モジュールは、図3(b)に示す矢印A方向に(フロンパネルに対して垂直方向に)挿排出される。
【0039】
図4は、第1スロット130とモジュールの関係を示す図である。
【0040】
第1モジュール200を例にすると、第1モジュール200は、車載装置100内に配置された第1スロット130のガイドレール132に沿って挿入され、第1スロット130の図中左側奥に配置される接続ピン(不図示)と第1コネクタ201が接合するようにして接続される。
【0041】
また、第1排出ボタン131が押圧されると、第1スロット130の接続ピンと第1コネクタとの接合が解除され、第1モジュール200は、ガイドレール132に沿って排出可能な状態となる。なお、第2スロット140についても同様であるので、説明を省略する。また、第1スロット130及び第2スロット140には、全てのモジュールが装着できる様に、接続方式が統一されている。
【0042】
図2〜図4において説明した拡張モジュール200及び300は、車載装置100に対応したモジュールであるが、拡張モジュール400及び500は、車載装置100の一つ前のバージョンの車載装置に対応したモジュールであるとする。即ち、図1の例に当てはめると、車載装置100は第2メインユニット20に対応し、拡張モジュール200及び300は第2メインユニット20専用のモジュール群40に対応し、拡張モジュール400及び500は第1メインユニット10専用のモジュール群30に対応する。
【0043】
図5は、他のモジュールの概略構成図である。
【0044】
図5(a)は、SDカード用のスロットを有する拡張モジュール600の概略構成を示している。拡張モジュール600は、車載装置100用の拡張モジュールであり、図1の例で言えば、第2メインユニット20専用の拡張モジュール群40に含まれるものである。
【0045】
拡張モジュール600は、コネクタ601、マイコン602、SDカード用スロット603、及びMID出力回路604等から構成される。拡張モジュール600は、車載装置100の第1スロット130又は第2スロット140に装着されるように構成されており、SDスロット603に装着されたSDカードからのデータの読み出し及びSDカードへのデータの書き込みを行うことができる。また、MID出力回路604には、本拡張モジュールが、SDカード用の拡張モジュールであることを示すIDが記録されている。
【0046】
図5(b)は、制御プログラムデータのコンパイラとして機能する拡張モジュール700の概略構成を示している。拡張モジュール700は、車載装置100用の拡張モジュールであり、図1の例で言えば、第2メインユニット20専用の拡張モジュール群40に含まれるものである。
【0047】
拡張モジュール700は、コネクタ701、マイコン702、コンパイル用に各種データが予め記憶される記憶部703、及びMID出力回路704等から構成される。拡張モジュール700は、車載装置100の第1スロット130又は第2スロット140に装着されるように構成されており、各種制御プログラムのコンパイルするためのコンパイラとして機能する。また、MID出力回路704には、本拡張モジュールが、制御プログラムデータのコンパイラであることを示すIDが記録されている。
【0048】
図5(c)は、DCM用の通信規格に対応した拡張モジュール800の概略構成を示している。拡張モジュール800は、車載装置100用の拡張モジュールであり、図1の例で言えば、第2メインユニット20専用の拡張モジュール群40に含まれるものである。
【0049】
拡張モジュール800は、コネクタ801、DCM送受信モジュール802、平面アンテナ803、及びMID出力回路804等から構成される。拡張モジュール800を利用すれば、モジュール前面の平面アンテナ803を利用して、DCM規格の無線通信を、本モジュールを介して行うことができる。即ち、情報センタ等との間で無線通信を行い、所定の制御プログラムをダウンロードすることが可能である。また、MID出力回路804には、本拡張モジュールが、DCM用のモジュールであることを示すIDが記録されている。なお、図5(c)に示す拡張モジュール800を、WiMAX規格に基づいた送受信用のモジュールとして構成することも可能である。
【0050】
図6は、拡張モジュールのプログラム実行方式(1)を説明するための図である。
【0051】
図6の例は、車載装置100の一つ前のバージョンの車載装置に対応したモジュールである拡張モジュール400が、第1スロット130に装着された状態を示している。ここで、CD/DVDドライバ150には、車載装置100に装着可能な全ての拡張モジュールを制御するための制御プログラムが予め記録されているCD−ROM155が装填されている。
【0052】
図7は、電源ON時の処理動作の一例を示す図である。
【0053】
図7に示す処理フローは、図6に示すプログラム実行方式(1)の動作を説明するためのものであって、制御部101が予めFlashROM102に記録された全体処理プログラムに従って、車載装置100の起動時に実行するものである。
【0054】
最初に、制御部101はACCスイッチ61からの信号に基づいて、電源がONされたか否かの判断を行う(S10)。なお、電源がONされたか否かの判断は、他の方法を用いても良い。
【0055】
電源がONされたと判断された場合、制御部101は、CD/DVDドライバ150を駆動してCD−ROM155に予め記録された拡張モジュール200〜拡張モジュール500の制御プログラム171〜制御プログラム174読み出す(S11)。CD/DVDドライバ150には、拡張モジュールの制御プログラムが圧縮されて記録されているため、制御部101は、データの解凍又は伸張を行いながら、プログラムを読み出すこととなる。
【0056】
次に、制御部101は、読み出した制御プログラムをFlashROM102に書き込む(ロードする)(S12)。
【0057】
次に、制御部101は、拡張モジュール400の第1スロット130への装着に伴い、拡張モジュール400のMID403からモジュールIDを取得して、モジュールIDに基づき、拡張モジュール400を制御するための制御プログラム173を選択してRAM103に書き込む(ロードする)(S13)。
【0058】
なお、車載装置100の全体制御プログラム170は当初からFlashROM102に記録されており、車載装置100の電源ONに伴い、RAM103へロードされる。RAM103では、少なくとも、車載装置100の全体制御プログラム170のワーク領域180及び拡張モジュール400の制御プログラム173のワーク領域181が確保される。
【0059】
このように、CD−ROM155等の外部記録媒体に、車載装置100に物理的に装着可能なほぼ全ての拡張モジュールを制御するための制御プログラムを予め記録させておき、装着された拡張モジュールに対応する制御プログラムを読み出して使用するようにすれば(バージョン・アップ方式)、例え、車載装置100に対応した拡張モジュールでなくとも、車載装置100で利用することが可能となる。即ち、図6に示した方式を利用すれば、図1における第1メインユニット10において第2メインユニット20専用のモジュール群40に含まれるモジュールも利用することが可能となり、図1における第2メインユニット20において第1メインユニット10専用のモジュール群30に含まれるモジュールも利用することが可能となる。
【0060】
なお、図6及び7の例では、外部記録媒体の一例としてCD−ROM155を用いたが、これに限定されるものではなく、DVD−ROM、SDカードや取り外し可能なHDD等も利用することが可能である。
【0061】
ところで、FlashROM102へロードする複数の拡張モジュール用の制御プログラムは、各制御プログラムに共通する共通プログラムと、拡張モジュール毎に個別な個別プログラムに分割して、CD−ROM155等の外部記録媒体に記録され、FlashROM102へロードされることが好ましい。共通プログラムには、例えば、表示部50に表示をする場合のフォントデータ、操作画面表示用のビットマップデータ、背景画像データ等が含まれる。個別プログラムには、各拡張モジュールを制御するためのプログラムであって、前述した共通プログラム以外の部分が含まれている。制御部101は、共通プログラムと個別プログラムに基づいて拡張モジュール制御用プログラムを構築して、RAM103へ構築された制御プログラムをロードすることとなる。共通プログラムと個別プログラムとに分割して記録することによって、記録するプログラムの総容量を減少させることが可能となった。
【0062】
また、車載装置100に物理的に装着可能な全ての拡張モジュールの総数が非常に大きくなった場合、それら全てに対応する制御プログラムをFlashROMにロードすることは、FlashROM102の容量の問題から難しい。そこで、制御101は車載装置100に装着された拡張モジュール毎の装着頻度に基づいて、装着される可能性の高い所定数(例えば5つ)の制御プログラム(又は共通プログラムと個別プログラム)のみをFlashROM102へ予めロードしておくようにしても良い。その際、予めFlashROM102へロードされていない制御プログラムに対応する拡張モジュールが車載装置100に装着された場合には、CD−ROM155から装着された拡張モジュールに対応する制御プログラムをロードし、その代りに最も装着頻度の少ない拡張モジュールの制御プログラムを消去することが好ましい。
【0063】
さらに、図6及び7の例では、外部記録媒体(CD−ROM155)を、車載装置100に付属されているCD/DVDドライバ150を用いて再生するように構成したが、外部記録媒体を拡張モジュールの一つで駆動するようにしても良い。例えば、図5(a)に示すSDカード用の拡張モジュール600を他のスロットに装着し、SDカードスロット603に、車載装置100に物理的に装着可能なほぼ全ての拡張モジュールの制御プログラムを予め記録したSDカードを装着し、外部記録媒体としてのSDカードから、必要な制御プログラムをロードするように構成しても良い。
【0064】
さらに、図6及び7の例では、外部記録媒体からFlashROMへ一旦書き込みを行い、その後RAMへ書き込むように説明した。しかしながら、電源ON時の起動時間を短縮するために、利用する拡張モジュールが既に判明している場合(電源ON時に既に装着されている等)には、外部記録媒体から直接RAM103へ装着済みの拡張モジュールの制御プログラムを書き込むように制御しても良い。
【0065】
上記では、車載装置100に物理的に装着可能なほぼ全ての拡張モジュールの制御プログラムを外部記録媒体に予め記録させておき、外部記録媒体から制御プログラムを読み出す方法(バージョン・アップ方式)について説明した。以下では、車載装置100とはバージョンの異なるメインユニットに適合した拡張モジュールが、拡張モジュールの制御プログラムを有している場合(プラグイン方式)について説明する。
【0066】
図8は、拡張モジュールのプログラム実行方式(2)を説明するための図である。
【0067】
図8は、少なくともメモリ901を有する拡張モジュール900が車載装置100に装填された状態を示しており、メモリ901には、拡張モジュール900の制御プログラムが車載装置100のCPUに依存する実行形式ではなく、ソースファイル形式で記録されている。
【0068】
車載装置100のFlashROM102には、予めソースファイル形式の制御プログラムを、制御部101が有するCPUで実行可能な実行形式の制御プログラムにコンパイルするコンパイルプログラムが記録されている。制御部101は、前記コンパイルプログラムを利用して、拡張モジュール900の実行形式の制御プログラムを生成し、RAM103にロードすることができるように構成されている。
【0069】
このように、拡張モジュールに、ソースファイル形式の制御プログラムを記憶させておき、車載装置100には、自身の制御部で実行可能な実行形式の制御プログラムにコンパイル可能なコンパイルプログラムを予め記録させておけば(プラグイン方式)、例え、車載装置100に対応した拡張モジュールでなくとも、車載装置100で利用することが可能となる。即ち、図8に示した方式を利用すれば、図1における第1メインユニット10において第2メインユニット20専用のモジュール群40に含まれるモジュールも利用することが可能となり、図1における第2メインユニット20において第1メインユニット10専用のモジュール群30に含まれるモジュールも利用することが可能となる。
【0070】
なお、図8では、車載装置100の制御部101が、ソースファイル形式の制御プログラムを実行形式の制御プログラムに変換するコンパイラとして機能させたが、専用の拡張モジュールにそのような機能を持たせ、別のスロットに装着するようにしても良い。
【0071】
図9は、拡張モジュールのプログラム実行方式(3)を説明するための図である。
【0072】
図9は、少なくともメモリ1001を有する拡張モジュール1000が車載装置100に装填された状態を示しており、メモリ1001には、拡張モジュール1000の実行形式の制御プログラムαが記録されている。メモリ1001に記録されている制御プログラムαは、車載装置100のCPUでは実行することができない、他のCPU(他のバージョンの車載装置)に対応したプログラムである。
【0073】
そこで、図5(b)に示した、コンパイル用の拡張モジュール700を他のスロットに装着し、拡張モジュール1000からメモリ1001に記録されていた制御プログラムαを拡張モジュール700へ転送して、車載装置100のCPUで実行可能な制御プログラムβにコンパイルする。さらに、拡張モジュール700は、コンパイルした制御プログラムβをRAM103へロードすることができるように構成されている。
【0074】
このように、各拡張モジュールに、実行形式の制御プログラムを記憶させておき、他のコンパイラとして機能する拡張モジュールで、実行形式の制御プログラムαから車載装置100で実行可能な実行形式の制御プログラムβに変換するようにすれば(プラグイン方式)、例え、車載装置100に対応した拡張モジュールでなくとも、車載装置100で利用することが可能となる。即ち、図9に示した方式を利用すれば、図1における第1メインユニット10において第2メインユニット20専用のモジュール群40に含まれるモジュールも利用することが可能となり、図1における第2メインユニット20において第1メインユニット10専用のモジュール群30に含まれるモジュールも利用することが可能となる。
【0075】
なお、図9では、他の拡張モジュール700が、実行形式の制御プログラムαから車載装置100で実行可能な実行形式の制御プログラムβに変換するようなコンパイル機能を有していたが、代わりに車載装置100の制御部101がそのようなコンパイラとして機能を果たすようにしても良い。
【符号の説明】
【0076】
1 車載システム
100 車載装置
101 制御部
102 FlashROM
103 RAM
130 第1スロット
140 第2スロット
200、300、400、500、600、700、800、900、1000 拡張用モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載装置の機能を拡張するための拡張モジュールと接続するためのスロットと、
複数の拡張モジュールに対応した共通プログラムと、複数の拡張モジュールに個別に対応した複数の個別プログラムを記憶する記憶部と、
前記共通プログラム及び前記スロットに挿入された拡張モジュールに応じた個別プログラムによって、前記スロットに挿入された拡張モジュールを制御する制御部と、
を有することを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記共通プログラム、及び前記複数の個別プログラムの内、使用頻度に応じて選択された個別プログラムのみが、前記記録部に記録される、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記共通プログラム及び前記複数の個別プログラムは外部記録媒体に予め記録され、前記外部記録媒体から前記記録部へ転送される、請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記外部記録媒体は、拡張モジュールで駆動され、前記共通プログラム及び前記複数の個別プログラムは前記スロットを介して前記記録部へ転送される、請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
車載装置の機能を拡張するための拡張モジュールと、
拡張モジュールと接続するためのスロット、複数の拡張モジュールに対応した共通プログラム及び複数の拡張モジュールに個別に対応した複数の個別プログラムを記憶する記憶部、及び、前記共通プログラム及び前記拡張モジュールに応じた個別プログラムに基づいて前記拡張モジュールを制御する制御部を含む車載装置と、
を有することを特徴とする車載システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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