説明

車載電子機器用取付装置

【課題】部品点数や組付工数を低減して、小型でエンジン振動から車載電子機器を保護できる防振機能を発揮する車載電子機器用取付装置を提供する。
【解決手段】被取付部材をなす樹脂製のボディ6と、車載電子機器である空気流量測定装置5に突設された取付ステー52との間に、弾性変形可能な板状の防振部材20を配置し、タッピングネジ21によって取付ステー52を防振部材20を介してボディ6に締付固定することを基本とする。そして、タッピングネジ21は、頭部21aとこの頭部21aより小径で緩み止め機能を具備したネジ部21bとを有しており、このネジ部21bがボディ6に直接ねじ込まれている。これにより、少ない部品点数、組付工数で空気流量測定装置5をエンジン振動から保護することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のごとき車両に搭載される内燃機関(以下、エンジンという。)の吸気管あるいは排気管などの被取付部材に設置される車載電子機器、とりわけ吸気管内の吸入空気流量を計測する空気流量測定装置の取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(従来の技術)
車両用エンジンとして汎用されている電子燃料噴射方式のものは、エンジンの運転を適正に制御するために、図1に示すように、空気流量測定装置5、吸入空気温度センサ7、スロットル角度センサ3a、エンジン回転速度計12、酸素濃度計13などの各種車載電子機器が吸気管や排気管などの被取付部材に設置されている。これらの車載電子機器は、高温、低温、湿度など過酷な環境条件下で使用されることを想定しており、例えば空気流量測定装置5は入出力回路などの処理回路を樹脂からなるケース部材に収納し、さらにケース部材上面をカバーで接着する封止構造となっている。
【0003】
そして、上記の車載電子機器は、被取付部材にネジやボルトなどの締結手段によって取付固定されているのが一般的である。
車載電子機器を代表して空気流量測定装置5の取付装置を図6により説明すると、空気流量測定装置5は、全体として略T字形を呈し、吸気管の一部を構成する樹脂製のボディ6に設けられた取付穴(嵌入穴)62に装着されるもので、ケース部材51に突設された取付ステー52を有しており、一方、ボディ6には、ナット100がインサート成形により埋設されており、取付ステー52を取付ネジ101とナット100とによってボディ6に締付固定することにより、空気流量測定装置5を片持ち支持状態でボディ6に取付固定している。
【0004】
(従来技術の問題点)
しかしながら、上記構成の車載電子機器用取付装置においては、エンジン振動がボディ6を介して空気流量測定装置5に伝わる結果、片持ち支持状態であることも相俟って空気流量測定装置5の内部の処理回路などの疲労寿命の低下を招くという問題があった。特に、近年、エンジン自体の小型高出力化(ダウンサイジング)や吸入空気を過給するターボチャージャの装着などによる高性能化により、空気流量測定装置5に伝播する振動周波数がより高く、且つ広域になってきたため、上記問題が一層懸念されている。
このようなエンジン振動に対処する技術としては、例えば、特許文献1の図8に開示されているような「防振支持構造」を備えた取付装置が知られている。この取付装置は、自動車の車体にブラケットを介して支持される吸気管の取付装置に関するもので、車載電子機器を吸気管などに取付ける装置とは異なるが、防振技術を採用している点で類似しているので、ここでは本願の従来技術として位置づけることとする。
【0005】
かかる防振技術を空気流量測定装置(車載電子機器の一例)の取付装置に応用した適用例を図7に示す。この図7に示す取付装置は、外周面に環状溝102aを有する円筒状の防振ゴム102を用い、この防振ゴム102の環状溝102aに空気流量測定装置5の取付ステー52の取付穴52aを嵌合させることを基本構成とし、取付ステー52を防振ゴム102によって保持することにより、空気流量測定装置5をエンジン振動から保護しようとするものである。
【0006】
ところが、上述の防振技術による取付装置では、取付ネジ101の螺着量(ナット100への締付量)の調整、つまり防振ゴム102の撓み量を管理(定寸管理)するために、防振ゴム102の全体を軸方向から一様に押圧する円環状の支持板103、および最大締付寸法を決める円管状のカラー104などの付属部品を伴ない、全体として部品点数が多く、装置自体の大型化を招き、しかも組付工数が掛かり、特に環状溝102aを有する防振ゴム102の組付けが煩雑である。
また、かかる取付装置は、取付ネジ101を、カラー104を介してナット100に強固に締め付けることによって、取付ネジ101自体の緩み止めを図ることになるが、所詮通常の雄ネジと雌ネジとの組み合わせであるため、振動によりネジの緩みが生じ易いという危惧がある。
【0007】
とりわけ近年の車両は、エンジンの周りに搭載される部品数が増大し、取付スペースの確保も大変であることから、このような車載電子機器用取付装置に好適なコンパクトで組付け作業の簡単な防振技術が待望されている。
【0008】
以上、車載電子機器用取付装置における振動の問題点を、代表例である空気流量測定装置の取付装置について詳述したが、その他の車載電子機器の取付装置においても、エンジン振動の影響について、同様の問題を抱えている。
【0009】
本発明者は、かかる問題を究明すべく、種々の実験・研究を重ねたところ、締結手段として緩み止め機能付きのタッピングネジを巧みに活用することにより、車載電子機器を簡単にしかも十分な防振機能を呈する状態で被取付部材に取付固定し得ることを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−95885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の究明結果に鑑みてなされたものであって、その目的は、部品点数および組付工数を低減して、小型で、エンジン振動から車載電子機器を保護できる防振機能を発揮する車載電子機器用取付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[請求項1の手段]
請求項1に記載の発明によれば、樹脂製の被取付部材に、車載電子機器に突設された取付ステーを取付けるにあたり、取付ステーの少なくとも片側に、弾性変形可能な板状の防振部材を配置し、タッピングネジによって取付ステーを防振部材を介して被取付部材に締付固定することを基本とする。そして、タッピングネジは、頭部とこの頭部より小径で緩み止め機能を具備したネジ部とを有しており、このネジ部が被取付部材に直接ねじ込まれていることを特徴としている。
【0013】
このような構成にすることにより、タッピングネジは、ねじ込み量を適宜に加減することができ、且つ緩み止め機能により緩むのを防止できるため、防振部材の弾性力を所定値に維持して、車載電子機器を被取付部材に所望の締付強度で取付固定することができる。したがって、振動に対する良好な防振機能が得られ、車載電子機器をエンジン振動から保護することができる。
また、定寸管理や緩み止めのための支持板、カラー、インサートナットなどの付属部品を要しなく、部品点数としては板状の防振部材とタッピングネジとの2種類にすることができるため、最小部品点数で済み、取付装置の小型化を図ることができる。さらに、組付面では防振部材と取付ステーとを順次上から重ねネジ締めするだけの簡単な工程で良く、組付工数も大幅に低減することができる。
【0014】
[請求項2の手段]
請求項2に記載の発明によれば、板状の防振部材は、取付ステーの一方の面とタッピングネジの頭部との間に配置されていることを特徴としている。
このような構成にすることにより、車載電子機器の取付ステーの反被取付部材側を防振部材で保持することができるため、車載電子機器をエンジン振動から保護することができる。
【0015】
[請求項3の手段]
請求項3に記載の発明によれば、板状の防振部材は、取付ステーの一方の面とタッピングネジの頭部との間、および取付ステーの他方の面と被取付部材との間にそれぞれ配置されていることを特徴としている。
このような構成にすることにより、車載電子機器の取付ステーの両側を防振部材で挟んで車載電子機器を防振部材で完全に保持することができるため、車載電子機器をエンジン振動から一層保護することができる。
【0016】
[請求項4の手段]
請求項4に記載の発明によれば、タッピングネジの頭部と防振部材との間に配置され、タッピングネジの頭部より小径でネジ部より大径の穴を有する環状の押え板を備え、タッピングネジの頭部が押え板を介して防振部材を押圧することを特徴としている。
かかる構成にすることにより、タッピングネジの頭部の外径を小さくすることができるため、取付装置全体の小型化に一層貢献することができる。
【0017】
[請求項5の手段]
請求項5に記載の発明によれば、押え板は、波形や皿形などのばね構造を有していることを特徴としている。
かかる構成により、押え板に、防振機能や緩み止め機能を発揮させることができるため、防振部材およびタッピングネジとの相乗効果を期待することができる。
【0018】
[請求項6の手段]
請求項6に記載の発明によれば、押え板に防振部材が焼付け処理、接着などにより一体形成されていることを特徴としている。
このような構成にすることにより、押え板および防振部材を1つの部品として取扱うことができるため、部品点数および組付工数を低減することができる。
【0019】
[請求項7の手段]
請求項7に記載の発明によれば、被取付部材は、エンジンに吸入空気を導入する吸気管であり、車載電子機器は、吸気管内の吸入空気流量を計測する空気流量測定装置であることを特徴としている。
このような構成にすることにより、空気流量測定装置をエンジン振動から良好に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の車載電子機器用取付装置を適用するためのエンジンとして、電子燃料噴射方式のエンジンを一部縦断面にして示す模式図である。
【図2】本発明の実施例1として、取付ステーの片側のみに防振部材を配置した車載電子機器用取付装置の主要部を示すもので、(a)は第一形態における全体の模式的縦断面図、(b)は第二形態における左側半分の模式的縦断面図である。
【図3】本発明の実施例2として、取付ステーの両側に防振部材を配置した車載電子機器用取付装置の主要部を示す左側半分の模式的縦断面図である。
【図4】本発明の車載電子機器用取付装置に用いるタッピングネジの一例を示すもので、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図5】図2(b)および図3に示す車載電子機器用取付装置の変形例として用いるネジアッセンブリで、(a)、(b)はネジアッセンブリ全体を一部断面して示す正面図である。
【図6】従来周知の一般的な車載電子機器用取付装置の部分縦断面図である。
【図7】従来技術として考えられる防振機能を有する車載電子機器用取付装置の部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための形態は、部品点数および組付工数を低減して、小型で、エンジン振動から車載電子機器を保護できる防振機能を発揮するという目的を、車載電子機器に突設された取付ステーの少なくとも片側に、弾性変形可能な板状の防振部材を配置し、タッピングネジによって取付ステーを防振部材を介して被取付部材に締付固定することを基本構成とし、特にタッピングネジとして、頭部とこの頭部より小径で緩み止め機能を具備したネジ部とを有するものを用い、このネジ部を被取付部材に直接ねじ込むことで実現した。
【実施例】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
[実施例1]
図1、図2および図4は、本発明の実施例1を説明するためのもので、まず、図1に基づいて車載電子機器用取付装置が装着されている一般的な電子燃料噴射方式のエンジンの基本的構成を概説したのち、図2および図4に基づいて実施例1の車載電子機器用取付装置、とりわけ空気流量測定装置の取付装置について詳説する。
【0024】
(適用されるエンジン1の説明)
エンジン1は、自動車のごとき車両に搭載されるものであり、エンジン1の燃焼室1aに向けて燃焼用の吸入空気を導く吸気通路2には、この吸気通路2の開閉あるいは開度調整を行なうスロットルバルブ装置(スロットルボディ)3が設けられている。吸入空気の流れの上流側には、吸入ダクト4を介して空気流量測定装置5を備えたボディ6および吸入空気温度センサ7を備えたエアクリーナ8が設けられており、吸入空気の流れの下流側には、燃料が供給されるインジェクタ9を備えたインテークマニホールド10が設けられている。
よって、エアクリーナ8から矢印Qのごとく吸入された吸入空気は、全体として吸気管を構成するボディ6、吸入ダクト4、スロットルボディ3およびインテークマニホールド10を経て、エンジンシ1の燃焼室1aに吸入される。一方、この燃焼室1aで発生した排気ガスは排気管の一部を構成するエキゾーストマニホールド11を経て矢印Rのごとく排出される。
なお、スロットルボディ3はスロットル角度センサ3aを具備しており、エンジン1の本体にはエンジン回転速度計12が設置され、エキゾーストマニホールド11には酸素濃度計13が設置されている。
【0025】
空気流量測定装置5は、吸気管内つまり吸気通路2を通過する吸入空気流量を計測するものであり、空気流量測定装置5から出力される空気流量信号、吸入空気温度センサ7から出力される吸入空気温度信号、スロットル角度センサ3aから出力されるスロットルバルブ角度信号、酸素濃度計13から出力される酸素濃度信号、およびエンジン回転速度計12から出力されるエンジン回転速度信号などの各種信号がコントロールユニット14に入力され、このコントロールユニット14では、これら各種信号を逐次演算して最適な燃料供給量を求め、インジェクタ9から噴射される燃料量を制御する。
【0026】
なお、エンジン1には、排気ガス浄化対策のために、エキゾーストマニホールド11から排気再循環路15を経由して、排気ガスの一部を吸気通路2、とりわけスロットルボディ3の下流側に積極的に導入し再度燃焼させるEGR装置(図示してない)が装着される傾向にある。
また、エンジン1の性能を向上する手段として、近年では、吸入空気を積極的に過給するために、吸気通路2にターボチャージャ(特に図示してない)を装着することが、エンジン1の標準になりつつある。
【0027】
本発明では、上記のごときエンジン1において、コントロールユニット14に種々な信号を供給する各種装置、センサ類などを総称して「車載電子機器」と呼ぶ。本実施例においては、その代表例である空気流量測定装置5の取付装置について説明する。
【0028】
(空気流量測定装置5の取付装置の説明)
空気流量測定装置5の取付装置は、車両側に設けられ、空気流量測定装置5を取付固定するための被取付部材をなすボディ6と、空気流量測定装置5に設けられた取付ステー52と、板状の防振部材20と、タッピングネジ21とから構成される。
【0029】
空気流量測定装置5は、発熱抵抗式など周知のものであって、高温、低温、湿度など過酷な環境条件下で使用されることを想定しているため、樹脂からなるケース部材51が、入出力回路などの処理回路を収納する上部の箱状部分51aと計測部を収納する下部の筒状部分51bとを有する略T字形を呈しており、箱状部分51aに処理回路を収納したのちその上面をカバーで接着する封止構造となっている。
ケース部材51には、箱状部分51aの外周に、180度ずらして一対の取付ステー52が突設されている。
この取付ステー52は、取付穴52aを有するもので、取付金具専用の金属板をケース部材51に埋設(インサート成形)して設けても良いし、箱状部分51aに収納される処理回路の放熱部材や基板の一部を露出させて兼用することもできる。
【0030】
被取付部材を構成するボディ6は、吸気通路2を形成するものであり、例えばPPSのごとき耐熱性樹脂により作製されて、全体として円筒状を呈している。このボディ6には、外周側に空気流量測定装置5の箱状部分51aを収容可能な凹部61が設けられており、また径方向に貫通して、空気流量測定装置5の筒状部分51bを吸気通路2内に嵌入配置できる嵌入穴62が設けられている。そして、空気流量測定装置5の筒状部分51bは、シール部材63を介して嵌入穴62に嵌め込まれ、シール部材63によって気密保持されている。
【0031】
板状の防振部材20は、例えば耐熱ゴムのごとき弾性体からなるもので、タッピングネジ21を案内(嵌挿)する貫通穴20aが設けられており、図2に示すごとく、取付ステー52に対し、その片側(下側もしくは上側)のみに配置されるようになっている。つまり、図2(a)に示す第一形態では、防振部材20は取付ステー52の下面とボディ6との間に配置されており、図2(b)に示す第二形態では、防振部材20は取付ステー52の上面と後述するタッピングネジ21の頭部21aとの間に配置されている。
【0032】
タッピングネジ21は、取付ステー52の取付穴52aおよび防振部材20の貫通穴20aに嵌挿され、取付ステー52を防振部材20を介して被取付部材であるボディ6に締付固定するもので、その詳細を図4に示す。図4(a)に示すように、タッピングネジ21は、全体として、頭部21aと、この頭部21aより小径で緩み止め機能を具備したネジ部1bとを有するもので、頭部21aには締付工具(ドライバー、図示せず)を挿し込む溝(プラス溝)21cが設けられており、ネジ部21bには軸方向に螺旋状に連なる緩み止め用の角形溝21dが、図4(b)に示すごとく各ねじ山に周方向の4箇所に刻設されている。
そして、タッピングネジ21は、ネジ部21bが、ボディ6に対し直接ねじ込まれている。なお、ボディ6には、タッピングネジ21のネジ部21bの先端を案内する下孔をあらかじめ設けても良い。
【0033】
上記構成の取付装置において、本発明の特筆すべき作用・効果を以下に説明する。
(特徴1)
当該取付装置の組付けに際しては、まず、図2(a)に示す第一の形態では、ボディ6の上面に板状の防振部材20を載置し、空気流量測定装置5を、その取付ステー52が防振部材20の上に載るようにして、ボディ6の嵌入穴62に嵌め込む。また、図2(b)に示す第二の形態では、空気流量測定装置5をボディ6の嵌入穴62に嵌め込んだ後、その取付ステー52の上面に板状の防振部材20を載置する。
そして、タッピングネジ21を、取付ステー52の取付穴52aおよび振動部材20の貫通穴20aに差し込み、そのネジ部21bをボディ6にねじ込むことにより、空気流量測定装置5をボディ6に締付固定する。
この締付過程において、タッピングネジ21は、ネジ部21b自体がボディ6に対して「ねじ切り」しながら進入していくため、その進入量(ねじ込み量)によって防振部材20の撓み量を適宜に加減することができる。したがって、図7に示すような、定寸管理のための支持板103およびカラー104を要しない。
(特徴2)
また、タッピングネジ21は、それ自体緩みにくい性質を有するものであるが、特別に緩み止め機能として、ネジ部21bに緩み止め用の角形溝21dが設けられている。したがって、タッピングネジ21は、ネジ部21bを直接ボディ6にねじ込んでいるにもかかわらず、角形溝21dによる緩み止め効果により、振動が加わっても、タッピングネジ21がボディ6に対して緩むのを防ぐことができる。かくして、図7に示すインサート成形されたナット100を廃止することができ、しかも所望の締付強度を確保することができるため、エンジン振動に対する良好な防振機能が得られる。
(特徴3)
また、組付面では、ボディ6に対して板状の防振部材20および取付ステー52を順次上から重ね、タッピングネジ21を締め付けるだけで良く、組付工数も大幅に低減することができる。
なお、取付ステー52には、防振部材20をあらかじめ焼付け処理や接着などにより一体化しておけば、部品点数および組付工数を一層低減することができる。
【0034】
[実施例2]
図3は、本発明の実施例2を説明するためのもので、図2に示す実施例1の取付装置では取付ステー52の片側のみに防振部材20を配置したのに対し、貫通穴20aを有する板状の防振部材20の配置箇所を取付ステー52の両側に増やしたものである。
本実施例においては、取付ステー52の上下面を一対の防振部材20で挟持するように、取付ステー52の上面とタッピングネジ21の頭部21aとの間、および取付ステー52の下面と被取付部材であるボディ6との間にそれぞれ防振部材20を配置している。
【0035】
本実施例によれば、取付ステー52の上下面を防振部材20で挟み、空気流量測定装置5を完全に防振部材20で保持することができるため、タッピングネジ21を介して取付ステー52から空気流量測定装置5に伝播する振動を低減することができる。したがって、上述の実施例1に比して、空気流量測定装置5に対する防振効果を一層向上することができる。
なお、上記実施例1と同様に、取付ステー52の上下面にあらかじめ防振部材20を焼付け処理や接着などにより一体化しておけば、部品点数および組付工数を一層低減することができる。
【0036】
[変形例]
以上、2つの実施例について詳述したが、特に、実施例1の図2(b)に示す第二形態や実施例2のように、板状の防振部材20を取付ステー52の少なくとも上側(タッピング21の頭部21a側)に配置する場合には、図5に示すネジアッセンブリ30を用いると効果的である。
【0037】
図5(a)において、ネジアッセンブリ30は、タッピングネジ21と、一方(タッピング21の頭部21a側)の板状の防振部材20と、平板状の押え板22とから構成されている。防振部材20および押え板22は、中央部分にタッピングネジ21のネジ部21bより大径の貫通穴20a、22aを有する環状体を呈しており、押え板22の方が防振部材20より大きな外周(面積)を持っている。
かかる構成によれば、タッピングネジ21の頭部21aが押え板22を介して防振部材20を押圧する際、押え板22によって防振部材20をその全面で軸方向に押圧することができるため、タッピングネジ21の頭部21aの径を図4に比し相当小さくしても、より安定した締付力を防振部材20に付与することができる。
【0038】
図5(b)において、ネジアッセンブリ30は、上述のネジアッセンブリ30に対し、押え板22および板状の防振部材20の形状を変更したもので、押え板22は、タッピングネジ21の頭部21a側が凸部となる皿形をなし、必要により拡開用の切れ目が設けられて、軸方向に弾性変形可能なばね構造を有している。そして、板状の防振部材20は、上面が押え板22の凹状面22bに対応した凸状面20bを有している。
かかる構成によれば、押え板22自体の弾性機能により防振効果および緩め止め効果を期待することができるため、上記図5(a)の効果に加え、防振効果および緩め止め効果を一層助長することができる。
【0039】
そして、図5(a)、(b)に示すネジアッセンブリ30において、押え板22に振動部材20をあらかじめ焼付け処理や接着などにより一体形成しておけば、組付け時の部品点数、組付工数を低減できる。
なお、ばね構造を有する押え板は、上記の図5(b)に示す構造のほかに、押え板22全体を波形に形成する構造であっても良い。
【0040】
しかして、本発明で用いる緩み止め機能を有するタッピングネジは、特殊なものではなく、上記実施例で詳述した角形溝21d付きのタッピングネジ21のほかに、ネジ部の一部を欠円形状にし、樹脂を溶着させたものなど種々な構造のものが市販されており、安価に入手することができることは勿論である。また、被取付部材に設ける下孔を積極的に廃止する場合、或いは被取付部材の材質によっては、ネジ部21bの先端にドリル部を有する所謂セルフタッピングネジを用いても良い。
【0041】
また、上述の実施例では、車載電子機器として空気流量測定装置5を代表例としたが、吸入空気温度センサ7やスロットル角度センサ3a、さらには吸入空気圧信号を検出する吸入空気圧センサ(図示せず)などの取付装置にも、同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 エンジン(内燃機関)
2 吸気通路(吸気管)
5 空気流量測定装置(車載電子機器)
6 ボディ(被取付部材)
20 防振部材
20a 貫通穴
21 タッピングネジ
21a 頭部
21b ネジ部
21d 緩み止め用の角形溝(緩み止め機能)
22 押え板
22a 貫通穴(穴)
30 ネジアッセンブリ
52 取付ステー
52a 取付穴


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側に設けられ、車載電子機器(5)を取付固定するための樹脂製の被取付部材(6)と、
前記車載電子機器(5)に突設され、取付穴(52a)を有する取付ステー(52)と、
前記取付ステー(52)の少なくとも片側に配置され、弾性変形可能な板状の防振部材(20)と、
前記取付穴(52a)に嵌挿され、前記取付ステー(52)を前記防振部材(20)を介して前記被取付部材(6)に締付固定するタッピングネジ(21)と、を備えており、
前記タッピングネジ(21)は、頭部(21a)と、この頭部(21a)より小径で緩み止め機能を具備したネジ部(21b)とを有しており、
前記ネジ部(21b)が前記被取付部材(6)に直接ねじ込まれていることを特徴とする車載電子機器用取付装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載電子機器用取付装置において、
前記防振部材(20)は、前記取付ステー(52)の一方の面と前記タッピングネジ(21)の頭部(21a)との間に配置されていることを特徴とする車載電子機器用取付装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車載電子機器用取付装置において、
前記防振部材(20)は、前記取付ステー(52)の一方の面と前記タッピングネジ(21)の頭部(21a)との間、および前記取付ステー(52)の他方の面と前記被取付部材(6)との間にそれぞれ配置されていることを特徴とする車載電子機器用取付装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の車載電子機器用取付装置において、
前記タッピングネジ(21)の頭部(21a)と前記防振部材(20)との間に配置され、前記頭部(21a)より小径で前記ネジ部(21b)より大径の穴(22)を有する環状の押え板(22)を備え、
前記タッピングネジ(21)の頭部(21a)が前記押え板(22)を介して前記防振部材(20)を押圧することを特徴とする車載電子機器用取付装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車載電子機器用取付装置において、
前記押え板(22)は、波形や皿形などのばね構造を有していることを特徴とする車載電子機器用取付装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の車載電子機器用取付装置において、
前記押え板(22)に前記防振部材(20)が一体形成されていることを特徴とする車載電子機器用取付装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の車載電子機器用取付装置において、
前記被取付部材(6)は、エンジン(1)に吸入空気を導入する吸気管であり、前記車載電子機器(5)は、前記吸気管内の吸入空気流量を計測する空気流量測定装置(5)であることを特徴とする車載電子機器用取付装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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