説明

車輌用サイドミラーのワイパー構造

【課題】 本発明は、車輌用サイドミラーのワイパー構造を提供する。
【解決手段】 サイドミラーの鏡座10の背面にワイパー駆動装置2が設けられ、前記ワイパーの駆動装置2に、サイドミラーの正面の鏡面まで貫通するスピンドル24が設けられ、スピンドル24の先端部にコンロッド3が設けられ、前記コンロッド3にワイパー4が設けられ、ワイパーに弾性ブレード40が設けられ、前記ワイパーのワイパー面が鏡面に当接し、そして、鏡座の周辺に突出縁13が設けられ、ワイパー4が、鏡座10の上縁や下縁において、鏡座の突出縁に突き当たると湾曲し、そして、鏡座の突出縁に当接し、確実に鏡面上の水滴を拭き取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌用サイドミラーのワイパー構造に関し、特に、サイドミラーの鏡座の周辺に突出縁が形成され、ワイパーが、鏡座の上縁や下縁まで回転すると、鏡座の突出縁に当接することにより、湾曲して確実に鏡面上の水滴を拭き取るものに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、車輌が、カーブ走行・追い越し走行・斜線変更走行、或いは車輌の駐停を行う時、ドライバーは、左右のサイドミラーで側方或いは後方の車輌を観察することにより周囲の状況を確認するが、車輌のサイドミラーは車輌体の外側に設置されているため、雨の日には水滴が車輌用サイドミラーの鏡面上に付着することにより、サイドミラーの鏡面に水滴が散在し、ドライバーの視野に悪影響を与え、サイドミラーの作用が低減され、ドライバーがサイドミラーによる後方車輌の状況を確実に把握できず、走行安全性が低下する。
従って、本発明者は、雨の日の車輌運転時における上記の問題点を解消するため、慎重に研究し、本発明を提案する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主な目的は、ワイパーを、鏡座の上縁や下縁に当接した場合に湾曲状態に変形させることにより、確実に鏡面上の水滴を拭き取る車輌用サイドミラーのワイパー構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、鏡座の周辺に突出縁が形成され、ワイパーが、鏡座の上縁や下縁に当接すると、鏡座の突出縁により、制限されて湾曲して、確実に鏡面上の水滴を拭き取る車輌用サイドミラーのワイパー構造である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下、本発明の車輌用サイドミラーのワイパー構造を実施するための好適な実施例を図面を参照して説明する。
【実施例】
【0006】
図1〜4は本発明に係る車輌用サイドミラーのワイパー構造の実施例を示すもので、図1は本発明の車輌用サイドミラーのワイパー構造における鏡座部分の斜視図、図2は本発明を鏡座部分の背面から見た斜視図、図3は本発明に係わるワイパー駆動装置の分解斜視図、図4は本発明の要部の縦断面図である。
【0007】
図中、1は、自動車等の車輌の左右ドアーの側枠材或いはボンネットに近接する左右側枠上面等の外側部に設置されるサイドミラーで、内部に鏡座10が設けられ、鏡座10の正面に鏡面11が設けられている。
【0008】
前記鏡面11上には、鏡座10の背面まで貫通する軸穴12が形成され、鏡座10の周辺に突出縁13が設けられている。
前記鏡座10の背面には、ハウジング20部がカバー21によって覆われた(図2,3を参照)、ワイパー駆動装置2が設置されており、前記ハウジング20内には収納室200が設けられている。
【0009】
前記ハウジング20とカバー21には、対応する軸穴201、211が設けられている。また、前記ハウジング20の収納室200とカバー21の内面には、対応する定位孔202、212が設けられている。
【0010】
更に前記ハウジング20内には、定位片203が設けられていると共に、前記カバー21の外壁面にストッパー213が形成されている。
前記カバー21の外部には、モータホルダ214が設けられ、前記モータホルダ214内に貫通穴215が形成されている。また、駆動モータ22が、前記カバー21のモータホルダ214に組付けられている。
【0011】
前記駆動モータ22のスピンドル220は、伝達ウォーム221が設けられ、前記伝達ウォーム221が、前記モータホルダ214の貫通穴215に貫設されて、前記ハウジング20の収納室200内に位置し、変速歯車セット23が、前記ハウジング20の収納室200内に設けられ、前記変速歯車セット23に、交差するように、二つの支軸230、231が設置されている。
【0012】
その一つの支軸230には、伝達ウォームホイル232と受動ウォーム233が設けられ、前記伝達ウォームホイル232が、駆動モータ22の伝達ウォーム221に噛合う。
また、もう一つの支軸231には、受動ウォームホイル234と伝達ギア235が設けられ、前記受動ウォームホイル234が、受動ウォーム233に噛合っている。
【0013】
前記支軸230は、前記収納室200内の定位片203により定位され、もう一つの支軸231の両端が、前記ハウジング20とカバー21の定位孔202、212内に位置する。そして、前記ハウジング20とカバー21の軸穴201、211に、スピンドル24が貫設され、前記スピンドル24に、突出体240が設けられ、前記突出体240の側壁面上に複数の嵌合体241が形成されている。
【0014】
前記スピンドル24の一端には、リング状溝242が形成され、もう一端に、係止溝243が設けられ、前記スピンドル24に弾性部材25が嵌設され、前記弾性部材25の一端が、前記ハウジング20の収納室200の内面に当接し、もう一端が、前記スピンドル24の突出体240の側面に当接する。
【0015】
前記スピンドル24には受動ギア26が設けられ、前記受動ギア26の内面に、スピンドル24の突出体240を挿設するための凹溝260が設けられ、また、前記凹溝260の内壁面に、スピンドル24の嵌合体241を嵌設するための複数の嵌合溝261が設けられている。
【0016】
前記スピンドル24のもう一端にはストッパー27が設けられ、前記ストッパー27内に、前記スピンドル24の係止溝243内に嵌設されることにより定位される嵌合体270が設けられている。
前記ストッパー27には、前記カバー21の外壁面のストッパー213に当接するための突出体271が設けられている。
【0017】
ワイパー駆動装置2には、前記スピンドル24が鏡座10と鏡面11上の軸穴12に貫設されている。そして、コンロッド3が、鏡座10の鏡面11の前方に位置して前記ワイパー駆動装置2のスピンドル24に設けられ、コンロッド3には軸穴30が設けられ、固定部材31により、前記スピンドル24のリング状溝242に嵌設されて定位されることにより、スピンドル24に固定される。そして更に、ワイパー4が弾性ブレード40により弾性的に支持されて設けられている。ワイパー4は、前記コンロッド3に位置づけられ内部に柔軟性を有する弾性ブレード40が設けられ、ワイパー面41が鏡座10の鏡面11に摺接するように設置されている。
【0018】
前記鏡座10の鏡面11表面に付着した雨水を拭き取る時、図4乃至7を参照して説明すると、ワイパー駆動装置2の駆動モータ22を駆動して伝達ウォーム221を駆動することにより、伝達ウォーム221に噛合っている伝達ウォームホイル232が連動され、そして、前記伝達ウォームホイル232により、支軸230を介して受動ウォーム233が連動され、そして、前記受動ウォーム233により、もう一つの支軸231上の受動ウォームホイル234が連動され、前記受動ウォームホイル234により、支軸231を介して伝達ギア235が連動される。
【0019】
前記伝達ギア235により、スピンドル24の受動ギア26が連動され、また、前記受動ギア26により、スピンドル24が連動され、前記スピンドル24により、コンロッド3が連動される。そして、前記コンロッド3により、ワイパー4が連動される。
【0020】
そのため、前記ワイパー4は、スピンドル24を軸心として、円弧線に沿って変位する。また、前記ワイパー4は柔軟質からなり、内部に弾性ブレード40が設けられている。前記ワイパー4は、鏡座10の上方の突出縁13から離れるにしたがって、外端が内部の弾性ブレード40の弾性復帰作用により少しずつ真っ直ぐな状態に戻ってきて(図6を参照)、更に進んでワイパー4が鏡座10の下方にある突出縁13まで来て当接すると、ワイパー4の外端が突出縁13の内縁に沿って制限されて、上方へ向かって湾曲する。
【0021】
この時、ワイパー4の内部にある弾性ブレード40が、弾性湾曲状態になる(図7を参照)。そして、スピンドル24に連動されてワイパー4が、鏡座10下縁に当接した時、そのスピンドル24のストッパー27の突出体271が、カバー21の外側のストッパー213の一端縁に当接することにより、スピンドル24が停止される。
【0022】
前記駆動モータ22のトルクが大きくなり、トルクがある程度に大きくなると、駆動モータ22が停止して、そして方向を逆にして稼働し、この駆動モータ22の逆方向の稼働により、スピンドル24も逆反向に回転し、そのため、ワイパー4も連動されて逆方向の上方へ変位し、ワイパー4が上へ変位するとともに、確実に鏡座10の鏡面11上の水滴を拭き取ってゆく。
【0023】
そして、ワイパー4が、鏡座10の上方の突出縁13の内面に当接すると、スピンドル24上のストッパー27の突出体271が、カバー21の外側のストッパー213のもう一端縁に当接するため、スピンドル24が回転できなくなり、その駆動モータ22は、トルクが再び大きくなって、停止してから方向を逆にして稼働し、これにより、ワイパー4は、下方に変位するようになる。そして、上記のように、鏡座10上の突出縁13に当接されることにより、ワイパー4は湾曲して制限されて、再度、ワイパー面41で鏡面11上の水滴を確実に拭き取る。そのため、車輌のサイドミラー1の鏡面11が綺麗になり、ドライバーが、サイドミラー1により回りや後ろの情況を確実に把握でき、走行安全性が向上される。
【0024】
ワイパー4を使用しない時は、駆動モータ22により、ワイパー4を、鏡面11の上方の突出縁13に当接するように変位させる(図4、5、8を参照)。この時、スピンドル24上の受動ギア26が駆動モータ22により連動されて少しだけ回転するので、スピンドル24は、ワイパー4が鏡座10の上方の突出縁13に当接して変位できなくなるため、回転しない。しかし、その受動ギア26が回転することにより、スピンドル24上の嵌合体241が、受動ギア26の凹溝260内の嵌合溝261から脱離する。
【0025】
この時、前記スピンドル24の嵌合体241が、受動ギア26の凹溝260の内壁面に当接し、これにより、スピンドル24が前へ押されて弾性部材25を圧縮し(図8を参照)、そして、スピンドル24により、コンロッド3とワイパー4とが前へ移動する。
【0026】
そのため、ワイパー4のワイパー面41が、鏡座10の鏡面11から離れて隙間5を形成するようになる。この設計により、ワイパー4が長期に鏡面11に接触した状態が続くことで鏡面に貼り付いてしまうようなくっつきが防止でき、そして、ワイパー4が高温な日当たりにより軟化したり、或いはまた、油質が鏡面11の毛細管に浸透する、ということを防止でき、鏡面11が綺麗に維持され、そして、ワイパー4の耐用寿命が向上される。
【0027】
また、ワイパー4を再び使用する時は、駆動モータ22により、ワイパー駆動装置2が駆動され、受動ギア26が再び回転し、これにより、受動ギア26の嵌合溝261がスピンドル24の嵌合体241に面し、スピンドル24が、弾性部材25の弾性回復により、元の位置に付勢されて、スピンドル24の嵌合体241が受動ギア26の嵌合溝261内に嵌設されて定位され、そのため、ワイパー4のワイパー面41が、再び鏡面11に接触し、上記の構造により、ワイパー4が変位して鏡面11上の水滴を綺麗に拭き取り、非常に使用しやすい実用な物である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の車輌用サイドミラーのワイパー構造における実施例を示す鏡座部分の斜視図、
【図2】本発明を鏡座部分の背面から見た斜視図、
【図3】本発明に係わるワイパー駆動装置の分解斜視図、
【図4】本発明の要部の縦断面図である。
【図5】本発明に係わるワイパーの使用状態の参考図(1)
【図6】本発明に係わるワイパーの使用状態の参考図(2)
【図7】本発明に係わるワイパーの使用状態の参考図(3)
【図8】本発明に係わるワイパーと鏡面との間に隙間が形成される時の断面概念図である。
【符号の説明】
【0029】
1 サイドミラー
10 鏡座
11 鏡面
12 軸穴
13 突出縁
2 ワイパー駆動装置
20 ハウジング
200 収納室
201 軸穴
202 定位孔
203 定位片
21 カバー
211 軸穴
212 定位孔
213 ストッパー
214 モータホルダ
215 貫通穴
22 駆動モータ
220 スピンドル
221 伝達ウォーム
23 変速歯車セット
230 支軸
231 支軸
232 伝達ウォームホイル
233 受動ウォーム
234 受動ウォームホイル
235 伝達ギア
24 スピンドル
240 突出体
241 嵌合体
242 リング状溝
243 係止溝
25 弾性部材
26 受動ギア
260 凹溝
261 嵌合溝
27 ストッパー
270 嵌合体
271 突出体
3 コンロッド
30 軸穴
31 固定部材
4 ワイパー
40 弾性ブレード
41 ワイパー面
5 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドミラーの鏡座の背面に、ワイパー駆動装置が設けられ、前記ワイパー駆動装置には、サイドミラーの正面側の鏡面まで貫通するスピンドルと、前記スピンドルの先端部に固着したコンロッドと、前記コンロッドに設けた弾性ブレードを有するワイパーとが設けられ、前記ワイパーのワイパー面が鏡面に摺接するようにした車輌用サイドミラーのワイパー構造であって、
前記鏡座の正面側周辺部に突出縁が設けられ、前記ワイパーの先端が、鏡座の上縁や下縁において、前記鏡座の突出縁に突き当たると湾曲可能となっており、確実に鏡面上の水滴を拭き取ることを特徴とする車輌用サイドミラーのワイパー構造。
【請求項2】
ワイパー駆動装置は、ハウジングとカバーによって覆われ、ハウジングとカバーとにおいて、対応する位置に軸穴と定位孔が設けられ、カバーの外壁面にストッパーが設けられ、前記カバーの外にモータホルダが設けられ、駆動モータが、モータホルダに組立てられ、前記駆動モータのスピンドルに、カバーを貫通するように伝達ウォームが設けられると共に、変速歯車セットがハウジング内に設けられてり、前記変速歯車セットは、二つの支軸を交差するように設置され、一つの支軸に、伝達ウォームホイルと受動ウォームが設けられ、前記伝達ウォームホイルが、駆動モータの伝達ウォームに噛合い、また、もう一つの支軸に、受動ウォームホイルと伝達ギアが設けられ、前記受動ウォームホイルが、受動ウォームに噛合い、そして、もう一つの支軸の両端が、ハウジングとカバーの定位孔内に位置しており、前記スピンドルが、ハウジングとカバーの軸穴に挿入されて、スピンドルの一端が、鏡座と鏡面の軸穴に挿設され、前記スピンドルに突出体が形成され、前記突出体の側壁面に、複数の嵌合体が形成されてなり、前記スピンドルにおいて、一端に定位部品が嵌設され、もう一端に係止溝が設けられ、スピンドルに弾性部材が嵌設され、受動ギアが、前記スピンドルに設けられ、前記受動ギアの内面に、スピンドルの突出体が挿設されるための凹溝が設けられ、凹溝の内壁面に、スピンドルの嵌合体が嵌設されるための複数の嵌合溝が設けられており、前記ストッパーが、スピンドルのもう一端に設けられ、前記ストッパー内に、スピンドルの係止溝内に係止して定位されるための嵌合体が設けられ、前記ストッパーに、カバーの外壁面にあるストッパーに当接するための突出体が設けられることを特徴とする請求項1に記載の車輌用サイドミラーのワイパー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−105463(P2008−105463A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287674(P2006−287674)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(506355615)
【Fターム(参考)】