説明

軌道位置修正方法および軌道構造機械

軌道位置修正のために、軌道(8)を一時的な目標位置に持ち上げて、突き固めを行い、次いで軌道(8)を、軌道安定化の範囲内で、振動と共に、垂直方向に作用する荷重を及ぼすことによって、管理下で最終的な目標位置に降下させる。回転可能なブラシ(14)によって、バラスト(19)を、軌道(8)の所望の均等なバラスト分散を達成するために分配する。様々な作業過程の時間経過に関して、軌道安定化後でもブラシ(14)投入後でも、まくらぎ中間域に存在するバラスト(19)を、荷重および振動に関して締め固める。バラスト表面の最終的な締め固めによって、高い車両速度に起因するバラスト飛散を回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の軌道位置修正方法ならびに軌道構造機械に関する。
【0002】
このような方法は、米国特許第5172637号明細書、米国特許第5172635号明細書または米国特許第4953467号明細書から公知であり、この場合ブラシは、作業方向に関して安定化装置の前後に配置されている。
【0003】
本発明の課題は、冒頭で述べたような方法を改良して、高い車両速度に起因する、バラスト砂利の持ち上がりを確実に防止できる方法を提供することである。
【0004】
この課題を解決するための本発明の方法によれば、様々な作業過程の時間経過に関して、軌道安定化後でもブラシ投入後でも、まくらぎ中間域に存在するバラストを、荷重および振動に関して締め固めする。
【0005】
軌道のこのような処理を終了する表面締め固めによって、バラスト表面のいわばシーリングが達成される。これによって高速走行する車両の吸引作用によって引き起こされるバラスト飛散を回避することができる。
【0006】
本発明の別の課題は、請求項4の上位概念に記載の形式の軌道構造機械を改良して、高速走行する車両の吸引作用によって引き起こされるバラスト飛散を簡単な形式で回避することのできるものを提供することである。
【0007】
この課題は、請求項4の特徴部に記載の構成によって解決される。
【0008】
ブラシの投入と安定化装置の投入とによって新たに配置された、したがって表面にソフトに載置されたバラスト砂利は、後方の機械端部に位置決めされたまくらぎ域締め固め装置によって、締め固められた表面を形成して比較的強固に固定される。したがって不都合なバラスト飛散は、ほとんど排除することができる。
【0009】
本発明の別の利点は、従属請求項および図面から明らかである。
【0010】
次に図面につき本発明の実施例を詳しく説明する。
【0011】
図1に示した、軌道位置修正のための軌道構造機械1は、作業方向2に関して、前方に位置する第1の機械フレーム3と後続の第2の機械フレーム4とを備えており、これらの機械フレーム3,4は、レール走行機構5によって、まくらぎ6とレール7とから形成された軌道8上を走行可能である。前方の機械フレーム3には、駆動装置9によって高さ調節可能で、かつ振動可能な安定化装置10ならびにサイドプラウ(Flankenpfluege;フランクプラウ)11が設けられている。
【0012】
両方の機械フレーム3,4を互いに枢着式に結合するフレーム継手12の直後に、駆動装置13によって回転可能で、かつ高さ調節可能なブラシ14が、後方の機械フレーム4に取り付けられている。ブラシ14の前方に、余剰のバラスト19をバラスト道床16の側面(フランク)に排出するための横搬送ベルト15が配置されている。機械1の作業方向2に関して、最後位のレール走行機構5の直前に、まくらぎ6の間に存在するバラスト19を締め固めるための、締め固め工具17を装備したまくらぎ域締め固め装置18が配置されている。締め固め工具17は、工具フレーム20と結合された2つのレール走行機構21の間で工具フレーム20に沿って配置されている。工具フレーム20は、駆動装置22(図2参照)によって、第2の機械フレーム4に対して機械縦方向で移動可能である。
【0013】
図2から判るように、第2の機械フレーム4と工具フレーム20との間に、工具フレーム20と結合された、駆動装置23によって伸長可能な支持装置24が配置されている。支持装置24は、機械フレーム4に沿って転動可能なローラ25を備えている。締め固め工具17は、駆動装置26によって、高さ調節可能かつ振動可能である。相前後して配置された3つのまくらぎ中間域27を同時に締め固めるために、3つの締め固め工具17が相前後して配置されている。各レール走行機構21には、独自の走行駆動装置28が対応配置されている。
【0014】
以下に、記載の軌道構造機械1を用いた軌道位置修正方法を詳しく説明する。
【0015】
軌道位置修正のために、バラスト道床16に接触する軌道8は、先ず一時的な目標位置に持ち上げて、突き固めが行われる(前置の図示していない突き固め機械によって)。次いで軌道8は、安定化装置10の投入による軌道安定化の範囲内で、鉛直方向で作用する移動荷重および振動を及ぼして、最終的に管理下で最終的な目標位置に降下される。この場合機械1は、連続的に作業方向2で走行する。これに対して並行して、後置の回転ブラシ14によって、軌道8上もしくはまくらぎ中間域27に存在するバラスト19は、軌道8の、所望の均等なバラスト分散を達成するために分配される。
【0016】
次いで様々な作業過程の時間経過に関して、軌道安定化後でも、またブラシ14の投入後でも、まくらぎ中間域27に存在するバラスト19は、まくらぎ域締め固め装置18によって締め固められる。このために相前後して配置された締め固め工具17は、それぞれまくらぎ中間域27に降下され、鉛直方向の荷重と振動との組み合わせで、短時間でバラスト19に押圧される。この場合工具フレーム20は、位置的に安定していて、かつこれによって、連続的に前進移動する後方の機械フレーム4に対して、最後位のレール走行機構5に向かって移動される。
【0017】
所望のバラスト締め固めが達成されると、走行駆動装置28および駆動装置22がアクティブ化され、これによって工具フレーム20は、先行の端部位置に迅速に移動される。適当なまくらぎ中間域27の上方で締め固め工具17をセンタリングしたあとで、新たな締め固めサイクルが行われる。これに対して並行して、バラスト道床16の、まくらぎ6に隣接するまくらぎ前縁領域29に存在するバラスト19は、前縁締め固め装置30によって締め固められる。
【0018】
そのあとで選択的に、バラスト表面のシーリング(Versiegerung;封止処理)を実現するための別の作業過程として、溶剤の蒸発により硬化する液体が、バラスト19に吹き付けられる。
【0019】
本発明による方法は、図3および図4に示した実施例で行うこともできる。図3に示した実施例によれば、ブラシ14およびまくらぎ域締め固め装置18は、独自の機械31に設けられており、この機械31は、安定化装置32の後方で用いられる。図4の実施例によれば、まくらぎ域締め固め装置18は、独自の機械33に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】まくらぎ域締め固め装置を備えた軌道構造機械を示す側面図である。
【図2】まくらぎ域締め固め装置の拡大図である。
【図3】軌道構造機械の別の実施例を示す図である。
【図4】軌道構造機械の別の実施例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道位置修正方法であって
バラスト道床に接触する、まくらぎ(6)を備えた軌道(8)を、一時的な目標位置に持ち上げて、突き固めを行い、次いで軌道(8)を、軌道安定化の範囲内で、振動と共に、垂直方向に作用する荷重を及ぼすことによって、管理下で最終的な目標位置に降下させ、回転可能なブラシ(14)によって、隣接する2つのまくらぎ(6)によって画成されたまくらぎ中間域(27)に存在するバラスト(19)を、軌道(8)の所望の均等なバラスト分散を達成するために分配する方法において、
様々な作業過程の時間経過に関して、軌道安定化後でもブラシ(14)投入後でも、まくらぎ中間域(27)に存在するバラスト(19)を、荷重および振動に関して締め固めることを特徴とする、軌道位置を修正する方法。
【請求項2】
追加的に、バラスト道床(16)の、まくらぎ(6)に隣接するまくらぎ前縁領域(29)に存在するバラスト(19)を締め固めする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
まくらぎ中間域(27)に存在するバラスト(19)を締め固めたあとで、溶剤の気化により硬化する液体を、バラスト(19)に吹き付ける、請求項1記載の方法。
【請求項4】
バラスト道床(16)を締め固めしつつ、まくらぎ(6)を備えた軌道(8)を管理下で降下させるための軌道構造機械であって、
レール走行機構(5)に沿って移動可能な機械フレーム(3,4)が設けられており、駆動装置(9)を介して振動可能かつ高さ調節可能な安定化装置(10)が設けられており、駆動装置(13)によって回転可能なブラシ(14)が設けられている形式のものにおいて、
機械(1)の作業方向(2)に関して、最後位のレール走行機構(5)の直前に、高さ調節可能かつ振動可能な締め固め工具(17)を備えた、まくらぎ(6)の間に存在するバラストを締め固めするためのまくらぎ域締め固め装置(18)が配置されていることを特徴とする、軌道構造機械。
【請求項5】
締め固め工具(17)が、工具フレーム(20)と結合された2つのレール走行機構(21)の間に配置されており、工具フレーム(20)が、駆動装置(22)によって、機械フレーム(4)に対して機械縦方向で移動可能になっている、請求項4記載の機械。
【請求項6】
工具フレーム(20)のレール走行機構(21)が、独自の走行駆動装置(28)を備えている、請求項5記載の機械。
【請求項7】
機械フレーム(4)と工具フレーム(20)との間に、工具フレーム(20)と結合された、かつ駆動装置(23)によって伸長可能な支持装置(24)が配置されており、支持装置(24)が、機械フレーム(4)に沿って転動可能なローラ(25)と結合されている、請求項5記載の機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−531873(P2008−531873A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556501(P2007−556501)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050768
【国際公開番号】WO2006/089587
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(390014421)フランツ プラツセル バーンバウマシーネン−インズストリーゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (29)
【氏名又は名称原語表記】Franz Plasser Bahnbaumaschinen−Industriegesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3,Wien 1,Austria
【Fターム(参考)】