軟磁性材料による積層コア,及び軟磁性の積層コアを形成する接着力によりコア単層板を接合する方法
【解決課題】 本発明は,軟磁性材料による積層コア,及び軟磁性の積層コアを形成するために接着力によりコア単層板を接合する方法を提供する。
【解決手段】 積層コア(1)は,軟磁性シート(5)で形成されたコア単層板(4)を含む。軟磁性シートにより形成されるコア単層板スタック(6)は,コア単層板間の中間層(7)を有する。中間層(7)は,コア単層板間の隙間に多量に挿入され,硬化する低粘度の接着剤(8)を含む。このために,コア単層板(4)は,仕上げ焼鈍された結晶性CoFe合金,接着剤が塗布された上面(9),及び接着剤が塗布された下面(10)を含む。中間層(7)とともに,コア単層板(4)は,正確な寸法の積層コア(1)を形成する。積層コア(1)は,コア単層板(4)の外側面(11)から成る実質的に接着剤が塗布されていない外形部(12)を有する。接着剤(8)は,無溶剤系で低粘度である。
【解決手段】 積層コア(1)は,軟磁性シート(5)で形成されたコア単層板(4)を含む。軟磁性シートにより形成されるコア単層板スタック(6)は,コア単層板間の中間層(7)を有する。中間層(7)は,コア単層板間の隙間に多量に挿入され,硬化する低粘度の接着剤(8)を含む。このために,コア単層板(4)は,仕上げ焼鈍された結晶性CoFe合金,接着剤が塗布された上面(9),及び接着剤が塗布された下面(10)を含む。中間層(7)とともに,コア単層板(4)は,正確な寸法の積層コア(1)を形成する。積層コア(1)は,コア単層板(4)の外側面(11)から成る実質的に接着剤が塗布されていない外形部(12)を有する。接着剤(8)は,無溶剤系で低粘度である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,軟磁性材料を使用した積層コア,及び軟磁性の積層コアを形成するために,接着力によりコア単層板を接合する方法に関する。積層コアは,コア単層板スタックを形成するコア単層板を含む。コア単層板スタックは,コア単層板間の中間層を有している。これらの中間層により,コア単層板は接合され,軟磁性材料の積層コアを形成することができる。
【背景技術】
【0002】
ドイツ国特許第2720531号では,特に電気モーターの積層コアに関して,コーティング部をエポキシ系接着剤によって接着する方法が開示されている。コーティング部は望ましい位置に置かれ,毛細管現象によって樹脂が含浸される。エポキシ系接着剤は,含浸工程前に溶剤を含むキャリアと混合され,毛細管現象に必要なレベルまで接着剤の粘度を減少させる。したがって,ドイツ国特許第2720531号では,毛細管接着剤の化学的性質が記載され,薄く拡がって,毛細管接着剤として使用できるように,蜂蜜のように接着剤の粘度を変化させる課題が解決されている。これは,溶剤又は懸濁液を接着剤に加えることで達成される。
【0003】
この特性の結果として,接着剤は乾燥と硬化工程において非常に収縮し,これにより歪みを生じさせ,軟磁性積層板の磁気的品質に悪影響を与える。関連する工程における,積層コアへの相当な追従加圧に関係する結果として,磁気的品質のさらなる低下が予想される。これは,高磁歪を常に有する高磁気飽和のCoFe系積層コアに,特に悪影響を与える。つまり,積層コアの軟磁性の特性が失われることになる。
【0004】
他の従来の方法として,電磁部品の製造,特にチョークの製造に関して,ドイツ国特許第2446693号B2が開示されている。接着により積層板を形成するために,樹脂を含浸するが,以下のような問題が生じる。さらに,ドイツ国特許第1613312号では,ラッカーを使用した磁気シートの接着方法を開示しており,同様に以下の問題が生じている。
【0005】
これら従来の接着力によるコア単層板の接合方法では,塗布,噴霧又は接着液に浸漬することにより個々の単層板に接着剤が塗付される。これらの方法では,接着剤は溶剤系である希釈接着剤系から成る。溶剤を乾燥させた後,乾燥,コーティングされた単層板は,接着剤が硬化するとすぐに,接合され,多数の層を形成する。これらの従来の方法では,比較的限られた厚さと不均一な接着層となる問題を含んでいる。また,毛細管プロセスにおいては,従来の溶剤を含む接着システムが使用されており,磁気的劣化に関して上述した欠点を有している。
【0006】
図7から図11は,従来技術による軟磁性の積層コアの製造例を示している。図7は,軟磁性材料3から製造され,上面9と下面10を有する軟磁性シート5の概略断面図である。図8で示すように,上面9と下面10は,積層されるコア単層板を互いに電気的に絶縁するように,コーティング13が施されている。このために,軟磁性シート5の仕上げ焼鈍は,一方で材料の軟磁性特性を調整し,他方で電気的に絶縁するコーティングを得るように,例えば,不活性雰囲気内で行われてもよく,次いで空気又は水蒸気の雰囲気中で酸化焼鈍が行われてもよい。この仕上げ焼鈍工程では,圧延された軟磁性シートの再結晶過程に起因する体積の増加が確認することができ,これはシート部分の長さと幅が変化することを示している。
【0007】
図9において,図7及び図8に係るコーティングされた軟磁性シート5は,コア単層板4を形成する成形ステップで分離され,外側面11では,軟磁性材料3が露出している。第2の焼鈍工程は,コア単層板4の体積の増加や長さと幅の増大がほとんど生じることなく,実行できる。
【0008】
図10に示すように,その後接着剤8はコア単層板の上面9と下面10に塗付され,接着剤でコーティングされた複数のコア単層板4は,図11で示される矢印Aの方向に両側から押圧される。中間に比較的不均一な接着層8を有する複数のコア単層板4が両側から押圧されることで,図11に示すように,コア単層板4は様々な領域で歪みが生じている。つまり,圧力は軟磁性特性が低下するほどに軟磁性材料に伝えられている。
【0009】
加えて,圧力工程において,コア単層板4の側面にはみ出た接着剤は,複雑な再加工ステップにより,積層コア2の端面と外側面から除去される必要がある。このような従来技術の積層コア2の欠点のとして,接合されたコア単層板の不十分な平行度及び積層コア2を再加工する必要性が挙げられる。さらに,コア単層板間をとどめておく比較的厚く,不確定な接着接合部は,充填率が比較的低く,結晶性CoFe合金の軟磁性特性は有利な効果を示していない。
【0010】
接着剤を軟化させ,その後硬化させるため,接合されたコア単層板を固定しておく必要があるが,接着剤は,コアの周囲又は外側面において不利な方向であってかつ比較的不確定な方向に漏れ出る。結果として,積層コアは概して不十分な平面平行状態となり,その後,厚さの点と外側面で接着剤の漏れが生じる点の両方について,機械加工により調整する必要がある。これらの再加工ステップは,個々のコア単層板間でショートリンクを生じる可能性があり,コアの渦電流損失につながる。これらの渦電流損失は,コアの磁気的特性に悪影響を与える。
【0011】
このような接着力によって接合された積層コアのさらなる欠点として,接着層がコア単層板に対して厚過ぎることから,コアの充填密度が低くなるという事実が挙げられる。これは,コアの体積に対して軟磁性質量を減少させるため,軟磁性材料,好ましくはCoFe合金の利点を十分に活用することができない。加えて,このような積層コアは,中間層における接着層の厚さが多様なため,積層コアの積層物の最上部から底部にわたって平行度が低減している。完成した積層コアに必要とされる磁性材料の機械的再加工は,可能であれば避けるべき磁気損失を生じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】ドイツ国特許第2,720,531号
【特許文献2】ドイツ国特許第2,446,693号B2
【特許文献3】ドイツ国特許第1,613,312号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は,できるだけ高い磁気飽和と著しく減少した歪みを有する軟磁性材料によって積層コアを創作する課題,軟磁性材料の充填率ができるだけ高い状態で,軟磁性の積層コアを形成するために,接着力によりコア単層板を接合する方法を特定する課題に基づいている。本発明は,上述した従来技術に関する問題を解決すること,及びコアの縦断面にわたって高磁束とともに高充填率を得ることに加え,積層コアの極めて高い平面平行度,並びに最高の機械的公差を得ることを目的としている。さらに,コアのヒステリシス損失を最小限に抑えることも目的としている。
【0014】
本積層コアは,低ヒステリシス損失に伴うできるだけ急なBH曲線によって特徴づけられる。接着力により積層コアを接合することで,高い寸法精度と高いせん断強さが実現される。さらに本積層コアは,接着力により接合された後,機械的再加工の必要性をより軽減している点でも特徴づけられる。
【0015】
この問題は,独立請求項の主題として解決されている。本発明のさらなる有利な効果の展開は,従属項から導き出すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によって,軟磁性材料による積層コア及び軟磁性の積層コアを形成するために,接着力によりコア単層板を接合する方法が創作される。積層コアは,コア単層板スタックを形成するコア単層板を含む。コア単層板スタックは,コア単層板間の中間層を有している。これらの中間層は,接着剤を含み,この接着剤は低い粘度の状態でコア単層板間の隙間に挿入され,硬化する。
【0017】
このために,接着されたコア単層板は,仕上げ焼鈍されたCoFe合金,及び接着剤が塗布された(adhesive―wettable)上下面を含む。コア単層板は,それには及ばない程度の接着剤を塗布した外側面をさらに含んでもよい。中間層とともに,コア単層板は正確な寸法の積層コアを形成する。積層コアは,コア単層板の外側面から形成される,実質的に接着剤が塗布されていない外形部を有している。接着剤は低粘度の状態で無溶剤系である。
【0018】
本積層コアの有利な点の1つは,寸法精度にある。これは,従来技術では,硬化工程と接着工程において積層コアに高圧力をかけること,及び後続の積層コアを研削することによってのみ得られている。従来技術による積層コアへの高圧力と研削は,高磁性の単層板にとっては,例えばμ値の減少などの軟磁性材料の磁気値に影響を与える応力にさらされることになるため,有害である。さらに,寸法の安定性を実現するために研削することは,特に,コア単層板の軟磁性材料が再加工工程においてクロッグされる可能性があるという理由から,コア単層板間にショートリンクを生じる可能性があり,これにより積層コアの渦電流損失を増加させる。
【0019】
本発明の積層コアに伴う磁気的劣化は,毛細管接着剤がどの溶剤も含んでいないという事実から,製造時には既に著しく減少している。本発明の方法は,技術的に可能な最大の磁気充填率の,すなわち接着の隙間が最小限である,積層コアによって,最大の磁気力を実現できるという特徴をさらに有している。このために,本発明の製造工程を使用する。本発明の製造工程は,個々の製造ステップにおいて,技術的に可能な限り電気ショートと機械的歪みによる磁気性材料の劣化を回避し,結果として最大の磁気充填率を得ることができる。
【0020】
本発明の接着システムは,上記従来技術と比較すると磁気劣化がより少ないことから,以下の相違点が注目される。この接着システムは,完全に無溶剤系で,ほとんど収縮しないエポキシ系接着システムである。溶剤を使用しない結果として,以下のそれぞれ特有の効果が得られる。
【0021】
1,使用される接合システムと積層コアの接着成分は,全て無溶剤系であり,加工処理や塗付のいずれにも溶剤を加える必要がない。
【0022】
2,無溶剤系の接着剤を使用することにより,溶剤の蒸発によって生じる溶剤系接着システムの硬化に関連する体積収縮を防ぐ。また,これは硬化工程において接着剤により生じる,本発明の積層コアの個々のコア単層板の機械的歪みを防ぐ。
【0023】
3,無溶剤系の接着剤を使用することにより,コア単層板間の接着剤中の気泡の形成を回避する。この気泡は,接着性を低下させ,隙間に存在するかなりの量の接着剤の泡又は接着剤の漏れを生じさせる。
【0024】
4,無溶剤系の接着剤を使用することにより,硬化工程で蒸気圧が生成されないため,コア内の圧力発生を防ぐ。さらにこれは,磁性材料の劣化を生じさせる機械的負担を回避し,本発明の軟磁性の積層コアの磁気的特性を向上させる。
【0025】
5,使用される接合システムは,他のシステムと比較して,接着成分の硬化時の収縮が最小限であることによって特徴づけられる。接着剤に溶剤系を使用しないことで,その後の工程は,健康と安全への影響が最小限となり,かつ環境に配慮している。
【0026】
6,特定の接着成分を選択し,使用することにより,接合システムにおける表面張力と粘度は,単層板間の隙間で最適な毛細管力が形成できるように,調整される。接着剤は毛細管プロセス又は他の適当な,塗布,噴霧,含浸等の先行技術による表面のコーティング方法の手段により塗付される。毛細管プロセスにおいて,好ましくは,積層コアを部分的に接着剤に浸漬するか,又は接着剤を中間キャリアにより輸送する。
【0027】
7,本接合システム及び/又は本方法を使用することにより,接着剤が未硬化状態で,積層コアを望ましい仕上げ厚さに調整することができる。この状態では,必要な圧力は低いため,磁気的劣化を回避することになる。さらに,仕上げ厚さを調整するのに必要な圧力は,積層コアを加熱することにより低減させることができる。つまり,圧力は積層コア全体にわたって均等に分散され,これにより,同じように,積層コア全体にわたって隙間をとても均等に接合する。
【0028】
8,本発明の積層コアの高さは,低い圧力で安定的な寸法に調整することができる。
【0029】
9,接着剤が塗付されたコア単層板は,硬化工程では最小限の圧力のみ必要とする。予備乾燥後の接着システムとは対照的に,積層コアに歪みを生じさせ,磁気的特性の劣化を生じさせる従来の技術的圧力のフォローアップはいずれも必要としない。
【0030】
10,使用される接着システムの耐熱性だけでなく接着性及びせん断強さは,従来技術のエポキシ樹脂によるコーティング表面の接合システムに対応している。
【0031】
11,接合された積層コアの外形部における,侵食,研削,研磨などの機械処理によって生じる電気的ショート及び磁気的劣化は,物理的,化学的洗浄,例えば酸洗い工程又はエッチング工程を組み合せた超音波洗浄により除去することができる。本方法では,ショートリンクにより増加するすべてのヒステリシス損失を大幅に減少させることができる。
【0032】
12,本方法により積層コアの厚さを調整することで,接着する隙間を技術的に最小限にして単層板スタックを形成することができる。接着する隙間を最小にすることで,技術的に最高値の充填率の軟磁性材料により積層コアを製造することができ,積層コアの断面積に最大磁束密度を生じさせることができる。
【0033】
13,接合方法は,接着剤などの製造補助剤の使用がごくわずかであること,及び同様に製造コストが低い特徴を有する。したがって,本方法は費用対効果が高く,資源利用の点でも経済的である。
【0034】
14,使用される接着剤の硬化温度は約145℃と低いため,硬化工程及び冷却工程における積層コアの大きな歪みは生じない。本接着剤は,好ましくは熱風循環炉で硬化される。通常起こる全ての応力は,コア単層板のコーティングの膨張率と接着剤の膨張率との間の技術的に回避できない相違点から生ずる。
【0035】
本発明の積層コアの製造方法において,コアの外形部を一定の比率に縮小するために,後続の寸法合わせの研削が避けられない場合,研削工程で形成される金属性ショートリンクは,渦電流損失を最適化するために,後続の化学洗浄工程によって除去することができる。
【0036】
本発明の積層コアにおいて,コア単層板は中間層とともに,歪みのない平面平行の状態で一枚ずつ重ねて配置されている。これは,適切な接合装置の平面平行鋼板の間に,コア単層板を固定すること,及び単層板スタックを形成するように積層されたコア単層板の外形領域に,毛細管接着剤を塗付することにより,達成することができる。コア単層板の上下面は,電気絶縁層,接着剤を塗布したセラミック層,及び/又は金属酸化物層が形成されている。
【0037】
酸化マグネシウム又は酸化ジルコニウム又は酸化アルミニウムの層は,好ましくはコア単層板の上下面に塗付されている。軟磁性単層板の材料は,45重量%≦Co≦52重量%のCo及びおよそ45重量%≦Fe≦52重量%のFeを含み,さらに,およそ0.5重量%≦V≦2.5重量%のバナジウム成分を含む。バナジウム成分は,材料の冷間圧延の質を向上させ,その抵抗率を増加させる。
【0038】
本発明のさらなる側面において,溶媒由来の不純物,及び/又は偶発的な不純物に加えて,35.0重量%≦Co≦55.0重量%,好ましくは45.0重量%≦Co≦52.0重量%,0重量%≦Ni≦0.5重量%,及び0.5重量%≦V≦2.5重量%を満たす鉄から成るCoFe合金を使用することが規定される。
【0039】
本発明のさらなる態様として,溶媒由来の不純物,及び/又は偶発的な不純物に加えて,35.0重量%≦Co≦55.0重量%,0.75重量%≦V≦2.5重量%,0重量%≦(Ta+2×Nb)≦1.0重量%,0重量%≦Zr≦1.5重量%,及び0重量%≦Ni≦5.0重量%を満たす鉄から成るCoFe合金を使用することが規定される。
【0040】
本発明のさらなる態様として,溶媒由来の不純物,及び/又は偶発的な不純物に加えて,35.0重量%≦Co≦55.0重量%,0重量%≦V≦2.5重量%,0重量%≦(Ta+2×Nb)≦1.0重量%,0重量%≦Zr≦1.5重量%,0重量%≦Ni≦5.0重量%,0重量%≦C≦0.5重量%,0重量%≦Cr≦1.0重量%,0重量%≦Mn≦1.0重量%,0重量%≦Si≦1.0重量%,0重量%≦Al≦1.0重量%,及び0重量%≦B≦0.01重量%を満たす鉄から成るCoFe合金を使用することが規定される。
【0041】
本発明のさらなる態様として,溶媒由来の不純物,及び/又は偶発的な不純物に加えて,48.0重量%≦Co≦50.0重量%,0重量%≦V≦2.5重量%,0重量%≦(Ta+2×Nb)≦1.0重量%,0重量%≦Zr≦1.5重量%,0重量%≦Ni≦5.0重量%,0重量%≦C≦0.5重量%,0重量%≦Cr≦1.0重量%,0重量%≦Mn≦1.0重量%,0重量%≦Si≦1.0重量%,0重量%≦Al≦1.0重量%,及び0重量%≦B≦0.01重量%を満たす鉄から成るCoFe合金を使用することが規定される。
【0042】
コバルト/鉄/バナジウム合金のさらなる成分は,上記鉄の含有量に加えて,含有量が48.0重量%≦Co≦50.0重量%のコバルト,1.8重量%≦V≦2.2重量%のバナジウム,0重量%≦Ni≦5.0重量%のニッケル,及び0重量%≦Cr≦10.1重量%のクロムを有する。バナジウムに加え,この合金は,含有量が0.1重量%≦Nb≦0.5重量%のニオブも含む。マグネシウムとケイ素の含有量はそれぞれ0.1重量%を超えてはならない。この合金は,0重量%≦O≦0.006重量%の酸素,及び0重量%≦N≦0.004重量%の窒素を,さらに含む。溶融関係の不純物及び/又は偶発的な不純物が存在してもよい。
【0043】
鉄ベースの合成物は,含有量が15重量%≦Co≦35重量%のコバルト,及び1重量%≦X≦6.5重量%を満たすXをさらに有することができる。ここで,XはCr,Mo,V,Mn,及びAlの内の1つ以上の元素である。
【0044】
このような合金は,商標名である,VACOFLUX 50,VACOFLUX 48,VACOFLUX 17,VACODUR 50又はVACODUR S Plusとして知られており,さらに,CoFe合金はRotelloy,Hiperco,Permendur,AFKの名前を有している。
【0045】
このような軟磁性のCoFe単層板は,好ましくは50μm≦d≦500μm,より好ましくは50μm≦d≦350μmを満たす厚さdであり,幅は,典型的には5mm≦b≦300mmである。
【0046】
コア単層板の上下面の望ましい湿潤性により,無溶剤系の毛細管接着剤を使用して,一枚ずつ重ねて押圧されるコア単層板間の隙間をふさぐことができる。毛細管接着剤に溶剤を含まない結果,隙間から溶剤を除去する必要がないため,従来技術の欠点が克服される。溶剤系を含んでいる場合には,薄い毛細管接着剤中に気泡や空隙が生じる可能性がある。コア単層板の上下面のコーティングによる望ましい湿潤性により,さらに,接合装置によりスタックされたコア単層板間の細かな隙間に無溶剤のエポキシ系毛細管接着剤が均一に広がるように促進される。接着剤は,毛細管プロセス又は先行技術の適当な表面コーティング方法により積層コアに挿入される。
【0047】
中間層は,好ましくは,中〜高粘度のビフェノールA型又はビフェノールF型のエポキシ樹脂によって表わされるA成分,さらに低分子で低粘度のエポキシ樹脂成分により表わされるB成分,そして少なくとも1つは加えられる,液体で低粘度の硬化成分により表わされるC成分を含む,無溶剤系の毛細管接着剤をベースにする。
【0048】
中〜高粘度のビフェノールA型又はビフェノールF型又はそれらの混合型のエポキシ樹脂の成分Aは,500≦vA≦30000mPasの粘度vA,成分Aの100g中,0.2≦GA≦0.6モルのエポキシ当量GA,及び全体の樹脂中,1%≦mA≦25%の質量成分mAを有する。
【0049】
毛細管接着剤のB成分は,vB≦100mPasの粘度vB,成分Bの100g中,0.5≦GB≦1.2モルのエポキシ当量GB,及び全体の樹脂中,20%≦mB≦50%の質量成分mBを有する。この成分Bは,好ましくは,エチレングリコールジグリシジルエーテル,プロピレングリコールジグリシジルエーテル,ブタンジオールジグリシジルエーテルを含む群の化合物を含んでもよい。
【0050】
液体のような無水物型で低粘度の硬化成分であるC成分は,vC<100mPasの粘度vC,及び全体の樹脂中,30%≦mC≦70%の質量成分mCを有する。このようなC成分は,メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物であってもよい。成分A,B,Cに加えて,硬化促進剤として機能する成分Dが提供されてもよい。成分Dは,全体の樹脂中,0.01%≦mD≦2%の質量成分mDであって,アミン,イミダゾール又は金属塩の複合型を有する。
【0051】
成分Dを含む時,毛細管接着剤は,ジメチルベンジルアミン,ジアザビシクロノナンとエチルメチルイミダゾールを含む群の化合物を含んでもよい。毛細管接着剤は,好ましくは,接着促進剤,柔軟性促進剤,染料,反応性希釈剤及び
剤を含む群の少なくとも1つの添加剤を含む。これにより接着剤は高いせん断力でコア単層板を接合することができる。このような方法で接合されたコア単層板は,好ましくは18MPa以上の引っ張りせん断接着強さを有している。
【0052】
軟磁性の積層コアを形成するために,接着力によりコア単層板を接合する方法は,以下のステップを含む。始めに,軟磁性の結晶性CoFe材料から上下面を有するシートを製造する。次に,エポキシ樹脂を含有したコーティングが上下面に塗付される。これらのコーティングが行われてから,軟磁性シートを,湿潤性コーティングを有する上下面と接着剤が塗布されていない外側面を有するコア単層板に分離する。コーティング工程と同時又は前後に,仕上げ焼鈍を行ってもよい。
【0053】
上記の仕上げ焼鈍は,軟磁性シートを,湿潤性コーティングを有する上下面と非湿潤性外側面を有するコア単層板に分離する前に,あらかじめ行ってもよい。仕上げ焼鈍は,2時間から10時間,700℃≦TG≦900℃の温度TGで行ってもよい。この仕上げ焼鈍によって,合金の転位密度が低減され,応力が緩和され,粗粒子構造が得られる。これにより望ましい軟磁性の特性が確保される。
【0054】
仕上げ焼鈍は,軟磁性シート及び/又はコア単層板の体積の増加や増大を招くため,軟磁性の積層コアを形成するために接着力によりコア単層板を接合する方法では,仕上げ焼鈍工程が少なくともコア単層板スタックを接合する前に行われることを特定する。次に,接合されたコアを,好ましくは侵食もしくは研削により,又は圧延,研削もしくは旋盤などの方法により目的の寸法に形成する。
【0055】
次に,分離されたコア単層板を,コア単層板スタックを形成するように,スタッキング金型又は接合金型内に積層する。この工程では,コア単層板はより小さなミクロンレベルの空隙を形成できる程度に固定されている。本方法は,コアの厚さを調整するのに有利な方法であって,これにより技術的に最小限の接合隙間でスタックを提供することができる。これらの最小限の接合隙間により,技術的に可能な最大限の充填率を有するコアを製造することができ,結果として積層コアの断面に最大磁束密度が生じる。
【0056】
毛細管接着剤を毛細管方式で浸透させることにより,軟磁性の積層コアを標準的な仕上げ寸法に形成するために,接着力でコア単層板を接合する。この接着剤は,無溶剤系で低粘度のエポキシ系であり,硬化すると中間層を形成する。
【0057】
使用される接着剤の硬化温度はおよそ145℃と低いため,硬化工程及び冷却工程において積層コアに大きな歪みは生成されない。このような歪みは通常,接着剤の膨張率と湿潤性表面コーティングの膨張率との技術的に不可避な相違点に起因する。硬化は,好ましくは熱風循環炉などの装置により行う。
【0058】
本方法は,無溶剤系で低粘度の毛細管接着剤を使用することで,コア単層板スタックの充填密度及び軟磁性材料の充填密度を,従来技術の軟磁性の積層コアに対して著しく増加させることができるという利点を有している。高い充填率により,コアの縦断面わたって高い磁束を得ることができる。ある所定のH値で高い誘導値が得られ,BH曲線は急になる。同時に,ヒステリシス損失が最小限に抑えられる。
【0059】
無溶剤系で低粘度の毛細管接着剤を使用することにより,軟磁性の積層コアの外形部も同様に高い寸法精度が得られる。塗布,噴霧又は浸漬によるコーティングとは対照的に,接着剤は隙間の外に押し出されることはないが,毛細管接着剤が挿入される前は,最下の単層板から最上の単層板まで高い平行度が実現されるまで,コア単層板を平面平行の配列で接合金型内に1枚ずつ重ねて配置することになる。高い平行度が得られて初めて,ミクロンレベルで隙間を埋めるためにコア単層板スタックの端面から毛管接着剤を提供する。毛細管接着剤は,各コア単層板の望ましい粘着性により高いせん断強さをさらに確保する。本接合工程後,機械的処理の必要性は,たとえあったとしてもごくわずかしかない。
【0060】
本接合方法は,接着剤などの製造補助剤の使用,製造の手間や費用はわずかである。つまり,本方法は,費用対効果の高い,資源利用が経済的になるよう考慮されており,本発明の方法を使用することにより合理的で費用対効果の高い製造が可能となる。さらに,本方法は無溶剤系の工程のみを必要とするため,環境的にも優しくなっている。
【0061】
上記で述べたような,積層コアの機械的再加工を必要とする場合,再加工工程中に積層コアのコア単層板間に起こる可能性のある全てのショートリンクを除去するために,化学的洗浄工程を効果的に使用することができる。
【0062】
本方法の好ましい態様として,軟磁性シート又は軟磁性ストリップに湿潤性のエポキシ系コーティングが施された後,軟磁性材料の仕上げ焼鈍を行う。
【0063】
この仕上げ焼鈍の後に,空気又は水蒸気雰囲気中で追加の酸化焼鈍を行うことができる。この酸化焼鈍は,エポキシ樹脂によって軟磁性シートの表面をさらにより簡単に湿潤性・付着性にする。仕上げ焼鈍工程を行うことに関し,本発明の様々な変形が存在する。
【0064】
本方法の望ましい変形として,あらかじめ湿潤性のエポキシコーティングされた軟磁性のCoFeストリップをより細いストリップに切断し,その後,磁性仕上げ焼鈍工程を行い,続いて,できる限り金属シートストリップの湿潤性の上下面を改善するために酸化焼鈍を行う。
【0065】
それらの工程を経て初めて,軟磁性のCoFe金属シートストリップをコア単層板に加工する。そのため,軟磁性材料の外側面は湿潤性が少ない状態で露出している。積層コアが既に目的の寸法を有している場合,大幅な再加工のいずれをも必要とすることなく,積層コアを形成するために単層板を毛細管接着剤により接合し,スタックする。それでもなお,例えば研削による再加工が必要とされる場合,化学的洗浄を行い,再加工中に発生するコア単層板間のショートリンクの除去を確保することになる。
【0066】
さらなる変形として,あらかじめエポキシを塗布したコーティングを有する軟磁性のCoFeストリップを,細いストリップに切断し,続いて仕上げの磁気焼鈍を行う。仕上げ焼鈍が行われたストリップがコア単層板に加工された後,同時の酸化又は後続の酸化の有無にかかわらず,第2の焼鈍工程により,すべての磁気劣化を除去することができる。第2の焼鈍工程において,増大,体積の増加は起こらないため,ストリップの形成中に仕上げ焼鈍がすでに行われた材料の形成工程でのコア単層板の寸法安定性が維持される。
【0067】
第2の仕上げ焼鈍工程は,第1の焼鈍工程に類似していてもよく又は磁気的特性を最適化するために,使用する軟磁性材料に応じて行われてもよい。この場合,コア単層板は,積層コアの寸法を変えることなく毛細管接着剤により接合し,スタックすることができる。
【0068】
形成工程後の第2の焼鈍工程によって,第1の仕上げ焼鈍工程後の形成工程によって起こる磁気的劣化を軽減することができる。また,第2の焼鈍工程では,コア単層板の体積は少しも変化しないことから,コア単層板を機械的に高精度に調整することができる。
【0069】
本方法のさらなる変形として,既に仕上げ焼鈍がなされた軟磁性のシートを,毛細管接着剤により接合し,スタックする。このシートは,電気絶縁帯及び付着・湿潤促進層として,できれば空気又は水蒸気の雰囲気中で酸化焼鈍により最適化された酸化マグネシウム層及び/又は他の酸化金属層を有する。これによって初めて,侵食により積層コアを形成し,続いて,侵食工程中に積層コアの個々のコア単層板に生じた可能性のあるショートリンクを除去するために,積層コアの外側面の物理的及び/又は化学的洗浄工程を効果的に行う。外形部の研削など,必要な機械的再加工の結果として形成された全てのショートリンクも同様に除去される。
【0070】
例えば空気又は水蒸気中での焼鈍により形成される純酸化物層の代わりに,例えばプラズマ蒸着炉のプラズマからオーダーメイドの酸化マグネシウム層,酸化ジルコニウム層,又は酸化アルミニウム層を生成することなく,それらの酸化物層を電気絶縁性軟磁性シート及び湿潤性セラミック層上に堆積させることもできる。個々のコア単層板は,コーティングされた軟磁性シートから,打抜き加工,放電加工,ウォータジェット切断,エッチング加工又はレーザ切断によって,分離することができる。
【0071】
適切な接合装置において,コア単層板を歪みなく平面平行の状態で配置し,スタックすることができ,エポキシ系接着剤は,コア単層板の他の外側面を付着・湿潤させることなくコア単層板スタックのコア単層板間の隙間を,コア単層板スタックの端面から埋めることができる。
【0072】
仕上げ焼鈍の前に,軟磁性シートを,d≦1000μm,好ましくは,50μm≦d≦500μmの厚さdに冷間圧延することができる。この文脈において,上記で特定した方法は,50μm幅の非常に薄いコア単層板を歪みなく平面平行の状態で1枚ずつ重ねて接合できるという有利な点を示している。CoFeV合金の軟磁性の仕上げ焼鈍は,不活性ガス雰囲気中で,700℃≦TG≦900℃の温度TGで10時間未満,行うことができる。
【0073】
仕上げ焼鈍工程において,複数の軟磁性シートを,焼鈍板として機能する2つの鋼板の間で同時に押圧することができる。鋼板は,例えば少なくとも290×290mm2の面積を有してもよい。
【0074】
使用される無溶剤系で低粘度の毛細管接着剤は,好ましくは少なくとも3つの成分,すなわち基本となる比較的高粘度のA成分,低粘度のB成分及びC成分を含み,さらに好ましくは硬化促進剤として機能するD成分を含む接着剤である。
【0075】
成分Aは,ビフェノールA型又はビフェノールF型又はそれらの混合型の粘度のエポキシ樹脂であって,500≦vA≦30000mPasの粘度vA,成分A100g中,0.2≦GA≦0.6モルのエポキシ当量GA,及び全体の樹脂中,1%≦mA≦25%の質量成分mAを有する。
【0076】
成分Bは,分子当たり少なくとも2個のエポキシ樹脂基を有する低分子,低粘度エポキシ樹脂化合物である。エポキシ樹脂化合物は,エピクロロヒドリンと脂肪族ジオールを変換することによって形成される。毛細管接着剤の成分Bとして,vB≦100mPasの粘度vB,成分Bの100g中,0.5≦GB≦1.2モルのエポキシ当量GB,及び全体の樹脂中,20%≦mB≦50%の質量成分mBが提供される。
【0077】
この成分Bは,エチレングリコールジグリシジルエーテル,プロピレングリコールジグリシジルエーテル,ブタンジオールジグリシジルエーテルを含む群から選択することができる。
【0078】
使用される成分Cは,液体のような無水物型の低粘度の硬化成分であって,vC<100mPasの粘度vC,及び全体の樹脂中,30%≦mC≦70%の質量成分mCを有する。
【0079】
このようなC成分は,メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物であってもよい。接着力により接合される軟磁性の積層コアを製造する方法として,全体の樹脂中,0.01%≦mD≦2%の質量成分mDであって,アミン,イミダゾール又は金属塩複合型を有する成分Dを硬化促進剤として機能するように,さらに提供することができる。このような成分Dとして,ジメチルベンジルアミン,ジアザビシクロノナン及びエチルメチルイミダゾールを含む群から成る化合物を使用することができる。さらに毛細管接着剤の補助剤を,接着促進剤,柔軟性促進剤,染料,反応性希釈剤及び湿潤剤を含む群から加えることができる。
【0080】
本発明は添付図面を参照して以下においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1から図6は,軟磁性シート又はストリップ材料で始められる,接着力によるコア単層板の接合に関する概略図である。
【0082】
【図1】図1は,軟磁性材料で形成された軟磁性シート又はストリップの一部の概略断面図である。
【図2】図2は,軟磁性シート又はストリップに湿潤性の層が形成された図1に係る部分を示している。
【図3】図3は,軟磁性シート又はストリップを成形,又は分離することによって生成されるコア単層板の概略断面図である。
【図4】図4は,コア単層板スタックの端面に多量の毛細管接着剤が挿入されたコア単層板スタックの概略断面図である。
【図5】図5は,コア単層板の隙間が無溶剤系で低粘度の毛細管接着剤で埋められた後の,図4に係るコア単層板スタックの概略断面図である。
【図6】図6は,毛細管接着剤が硬化して軟磁性の積層コアの中間層を形成した後のコア単層板スタックの概略断面図である。
【図7】図7は,上記で説明される従来技術に係る軟磁性の積層コアの製造を示している。
【図8】図8は,上記で説明される従来技術に係る軟磁性の積層コアの製造を示している。
【図9】図9は,上記で説明される従来技術に係る軟磁性の積層コアの製造を示している。
【図10】図10は,上記で説明される従来技術に係る軟磁性の積層コアの製造を示している。
【図11】図11は,上記で説明される従来技術に係る軟磁性の積層コアの製造を示している。
【図12】図12は,異なる接着剤系を使用して生成された軟磁性のCoFe材料による積層コアと本発明の積層コアの2つのB(H)の値の図である。
【図13】図13は,異なる方法を使用して接合された軟磁性CoFe材料による環状積層コアと本発明による環状積層コアの2つの損失の図である。
【図14】図14は,ショートリンクの結果として個々の単層板の縁に電気接点を有する,コアの侵食領域のSEM写真である。
【図15】図15は,ショートリンクの結果として個々の単層板の縁に電気接点を有する,コアの侵食領域のSEM写真である。
【図16】図16は,個々の単層板の縁が洗浄工程によって電気的に分離された,コアの侵食領域の写真SEM写真である。
【図17】図17は,個々の単層板の縁が洗浄工程によって電気的に分離された,コアの侵食領域の写真SEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
図1は,軟磁性材料3によって形成される軟磁性シート5の一部の概略断面図である。この軟磁性シートは,基本的にCoFe合金であり,任意の溶媒由来の不純物及び/又は偶発的不純物を加えた,35.0重量%≦Co≦55.0重量%,0重量%≦V≦2.5重量%,0重量%≦(Ta+2×Nb)≦1.0重量%,0.3重量%≦Zr≦1.5重量%,0重量%≦Ni≦5.0重量%,0重量%≦C≦0.5重量%,0重量%≦Cr≦1.0重量%,0重量%≦Mn≦1.0重量%,0重量%≦Si≦1.0重量%,0重量%≦Al≦1.0重量%,及び0重量%≦B≦0.01重量%を満たす鉄から成る。このような軟磁性CoFeシートを,好ましくは50μm≦d≦500μmの厚さdに,これらの軟磁性シートから製造されるコア単層板の幅を,好ましくは5mm≦b≦300mmの幅bに成形する。
【0084】
さらに,上面9及び下面10は,これらの軟磁性シートから生成される個々のコア単層板を互いに電気的に絶縁するために,絶縁層を形成する必要がある。この絶縁層は,セラミック層及び/又は酸化物層をベースにしてもよい。この酸化物層は,例えば仕上げ焼鈍後すぐ,これらの軟磁性シート5の気密性仕上げ焼鈍工程における,空気又は水蒸気雰囲気中のさらなる焼鈍により形成されてもよい。
【0085】
図2で示されるように,これにより,図1に係るシート5は,電気的絶縁層とエポキシ系接着剤を塗布した上面9及び下面10を有することになる。次に,図3で示されるように,軟磁性シートを個々のコア単層板に分離することができる。このコア単層板の厚さdは,50μm≦d≦500μm≦,好ましくは50μm≦d≦350μmである。電気的絶縁層と上面9及び下面10の湿潤性のコーティングは,数十ナノメートルから数ミクロンの薄膜である。
【0086】
図4は,多量の毛細管接着剤が端面に形成されたコア単層板スタックの概略断面図である。象徴的にするためにコア単層板スタック6は,3枚のコア単層板のみで構成されている。実際的には,このようなコア単層板スタックは軟磁性材料3の複数のコア単層板4から成る。これらは,適切な装置により矢印Aの方向に,歪みなく正しい位置に置かれる。
【0087】
コア単層板4の隙間15において,毛細管接着剤8は,室温又はコア単層板スタックを比較的弱く加熱した中での毛細管方法により,コア単層板4の間の隙間に沿ってビーズから隙間15に浸透することができる。
【0088】
図5は,無溶剤系で低粘度の接着剤でコア単層板4の隙間15を塞いだ後の図4に係るコア単層板スタックの概略断面図である。図4で示されるように,端面14に蓄積された毛細管接着剤を完全に使い尽くして,図4に示される隙間15を完全に埋めている。図6に示される正確な寸法の軟磁性積層コアは,コア単層板スタックの上下面を平面平行の状態で配置させる接合装置により,高い充填率で製造することができる。
【0089】
毛細管接着剤を使用しない方法とは対照的に,本方法により製造される軟磁性の積層コアは,正確な平行面のままであり,歪みがなく,はみ出た接着剤を除去するためにいずれの再加工も必要としない。
【0090】
軟磁性シートの仕上げ焼鈍は,CoFe合金の再結晶により引き起こされる体積の増大を伴うけれども,仕上げ焼鈍される軟磁性シートが,図3に示すようにコア単層板に分離された後の,さらなる焼鈍は,体積の増大を引き起こすことなく行うことができる。これにより,シートの形状を変化させることなく,本形成工程によって起こる全ての磁気的劣化は除去され,コア単層板の幾何学的寸法は維持される。このシートは,前の焼鈍で,空気又は水蒸気雰囲気中において,鉄,コバルト又は,酸化バナジウムベースの金属酸化コーティングが形成されている場合,コア単層板の仕上げ焼鈍工程では,金属酸化層が除去されないように,真空又は還元雰囲気中,例えば不活性ガス雰囲気中で,このような再焼鈍処理がなされる必要がある。これを避けるために,鉄,コバルト,酸化バナジウムをベースとする酸化物層は,上述したように,空気又は水蒸気の雰囲気中の加熱処理による第2の焼鈍工程後に,基本的に行われる。コーティングがMgO,ZrO2又はAL2O3をベースにしている場合,これらのコーティングは通例,焼鈍温度により除去されないことから,従来の水蒸気雰囲気中で焼鈍することができる。
【0091】
図12は,本発明と異なる接着システムにより製造される軟磁性のCoFe材料の積層コアと本発明の積層コアのB(H)値を比較した図である。横軸は磁界強度H,単位A/cmが記され,縦軸は磁束B,単位テスラ(T)が記されている。破線は,標準的な接合による標準的な積層コアのB(H)の値を示しており,本発明の積層コアの値である実線bよりも著しく低い値となっている。
【0092】
図13は,本発明と異なる方法により接合された軟磁性のCoFe材料の環状積層コアにおける損失と本発明に係る積層コアにおける損失とを比較した図である。横軸はサイクル数が周波数Hzとして記され,縦軸はサイクルごとの損失が,単位Ws/kgで記されている。破線は標準的な接合による標準的な積層コアの損失を示しており,これらの値は,実線bで表わされる本発明の積層コアの値よりも著しく高い値となっている。
【0093】
図14及び図15は,個々の単層板から形成されたコアの侵食領域のs異なる解像度での走査形電子顕微鏡写真である。個々の単層板は,目に見える通り,それらの縁で互いに,電気的に接触している。これらのショートリンクは完成したコアのヒステリシス損失を増加させる。
【0094】
図16及び図17は,図14及び図15で示される領域の異なる解像度での走査形電子顕微鏡写真である。切断された個々の単層板の間のショートリンクは,上記詳細に説明された化学的洗浄工程により取り除かれている。
【符号の説明】
【0095】
1 積層コア(本発明)
2 積層コア(従来技術)
3 軟磁性材料
4 コア単層板
5 軟磁性シート
6 コア単層板スタック
7 中間層
8 接着剤
9 上面
10 下面
11 外側面
12 積層コアの外形部
13 湿潤性のコーティング又は層
14 コア単層板スタックの端面
15 コア単層板間の隙間
16 歪み
【技術分野】
【0001】
本発明は,軟磁性材料を使用した積層コア,及び軟磁性の積層コアを形成するために,接着力によりコア単層板を接合する方法に関する。積層コアは,コア単層板スタックを形成するコア単層板を含む。コア単層板スタックは,コア単層板間の中間層を有している。これらの中間層により,コア単層板は接合され,軟磁性材料の積層コアを形成することができる。
【背景技術】
【0002】
ドイツ国特許第2720531号では,特に電気モーターの積層コアに関して,コーティング部をエポキシ系接着剤によって接着する方法が開示されている。コーティング部は望ましい位置に置かれ,毛細管現象によって樹脂が含浸される。エポキシ系接着剤は,含浸工程前に溶剤を含むキャリアと混合され,毛細管現象に必要なレベルまで接着剤の粘度を減少させる。したがって,ドイツ国特許第2720531号では,毛細管接着剤の化学的性質が記載され,薄く拡がって,毛細管接着剤として使用できるように,蜂蜜のように接着剤の粘度を変化させる課題が解決されている。これは,溶剤又は懸濁液を接着剤に加えることで達成される。
【0003】
この特性の結果として,接着剤は乾燥と硬化工程において非常に収縮し,これにより歪みを生じさせ,軟磁性積層板の磁気的品質に悪影響を与える。関連する工程における,積層コアへの相当な追従加圧に関係する結果として,磁気的品質のさらなる低下が予想される。これは,高磁歪を常に有する高磁気飽和のCoFe系積層コアに,特に悪影響を与える。つまり,積層コアの軟磁性の特性が失われることになる。
【0004】
他の従来の方法として,電磁部品の製造,特にチョークの製造に関して,ドイツ国特許第2446693号B2が開示されている。接着により積層板を形成するために,樹脂を含浸するが,以下のような問題が生じる。さらに,ドイツ国特許第1613312号では,ラッカーを使用した磁気シートの接着方法を開示しており,同様に以下の問題が生じている。
【0005】
これら従来の接着力によるコア単層板の接合方法では,塗布,噴霧又は接着液に浸漬することにより個々の単層板に接着剤が塗付される。これらの方法では,接着剤は溶剤系である希釈接着剤系から成る。溶剤を乾燥させた後,乾燥,コーティングされた単層板は,接着剤が硬化するとすぐに,接合され,多数の層を形成する。これらの従来の方法では,比較的限られた厚さと不均一な接着層となる問題を含んでいる。また,毛細管プロセスにおいては,従来の溶剤を含む接着システムが使用されており,磁気的劣化に関して上述した欠点を有している。
【0006】
図7から図11は,従来技術による軟磁性の積層コアの製造例を示している。図7は,軟磁性材料3から製造され,上面9と下面10を有する軟磁性シート5の概略断面図である。図8で示すように,上面9と下面10は,積層されるコア単層板を互いに電気的に絶縁するように,コーティング13が施されている。このために,軟磁性シート5の仕上げ焼鈍は,一方で材料の軟磁性特性を調整し,他方で電気的に絶縁するコーティングを得るように,例えば,不活性雰囲気内で行われてもよく,次いで空気又は水蒸気の雰囲気中で酸化焼鈍が行われてもよい。この仕上げ焼鈍工程では,圧延された軟磁性シートの再結晶過程に起因する体積の増加が確認することができ,これはシート部分の長さと幅が変化することを示している。
【0007】
図9において,図7及び図8に係るコーティングされた軟磁性シート5は,コア単層板4を形成する成形ステップで分離され,外側面11では,軟磁性材料3が露出している。第2の焼鈍工程は,コア単層板4の体積の増加や長さと幅の増大がほとんど生じることなく,実行できる。
【0008】
図10に示すように,その後接着剤8はコア単層板の上面9と下面10に塗付され,接着剤でコーティングされた複数のコア単層板4は,図11で示される矢印Aの方向に両側から押圧される。中間に比較的不均一な接着層8を有する複数のコア単層板4が両側から押圧されることで,図11に示すように,コア単層板4は様々な領域で歪みが生じている。つまり,圧力は軟磁性特性が低下するほどに軟磁性材料に伝えられている。
【0009】
加えて,圧力工程において,コア単層板4の側面にはみ出た接着剤は,複雑な再加工ステップにより,積層コア2の端面と外側面から除去される必要がある。このような従来技術の積層コア2の欠点のとして,接合されたコア単層板の不十分な平行度及び積層コア2を再加工する必要性が挙げられる。さらに,コア単層板間をとどめておく比較的厚く,不確定な接着接合部は,充填率が比較的低く,結晶性CoFe合金の軟磁性特性は有利な効果を示していない。
【0010】
接着剤を軟化させ,その後硬化させるため,接合されたコア単層板を固定しておく必要があるが,接着剤は,コアの周囲又は外側面において不利な方向であってかつ比較的不確定な方向に漏れ出る。結果として,積層コアは概して不十分な平面平行状態となり,その後,厚さの点と外側面で接着剤の漏れが生じる点の両方について,機械加工により調整する必要がある。これらの再加工ステップは,個々のコア単層板間でショートリンクを生じる可能性があり,コアの渦電流損失につながる。これらの渦電流損失は,コアの磁気的特性に悪影響を与える。
【0011】
このような接着力によって接合された積層コアのさらなる欠点として,接着層がコア単層板に対して厚過ぎることから,コアの充填密度が低くなるという事実が挙げられる。これは,コアの体積に対して軟磁性質量を減少させるため,軟磁性材料,好ましくはCoFe合金の利点を十分に活用することができない。加えて,このような積層コアは,中間層における接着層の厚さが多様なため,積層コアの積層物の最上部から底部にわたって平行度が低減している。完成した積層コアに必要とされる磁性材料の機械的再加工は,可能であれば避けるべき磁気損失を生じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】ドイツ国特許第2,720,531号
【特許文献2】ドイツ国特許第2,446,693号B2
【特許文献3】ドイツ国特許第1,613,312号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は,できるだけ高い磁気飽和と著しく減少した歪みを有する軟磁性材料によって積層コアを創作する課題,軟磁性材料の充填率ができるだけ高い状態で,軟磁性の積層コアを形成するために,接着力によりコア単層板を接合する方法を特定する課題に基づいている。本発明は,上述した従来技術に関する問題を解決すること,及びコアの縦断面にわたって高磁束とともに高充填率を得ることに加え,積層コアの極めて高い平面平行度,並びに最高の機械的公差を得ることを目的としている。さらに,コアのヒステリシス損失を最小限に抑えることも目的としている。
【0014】
本積層コアは,低ヒステリシス損失に伴うできるだけ急なBH曲線によって特徴づけられる。接着力により積層コアを接合することで,高い寸法精度と高いせん断強さが実現される。さらに本積層コアは,接着力により接合された後,機械的再加工の必要性をより軽減している点でも特徴づけられる。
【0015】
この問題は,独立請求項の主題として解決されている。本発明のさらなる有利な効果の展開は,従属項から導き出すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によって,軟磁性材料による積層コア及び軟磁性の積層コアを形成するために,接着力によりコア単層板を接合する方法が創作される。積層コアは,コア単層板スタックを形成するコア単層板を含む。コア単層板スタックは,コア単層板間の中間層を有している。これらの中間層は,接着剤を含み,この接着剤は低い粘度の状態でコア単層板間の隙間に挿入され,硬化する。
【0017】
このために,接着されたコア単層板は,仕上げ焼鈍されたCoFe合金,及び接着剤が塗布された(adhesive―wettable)上下面を含む。コア単層板は,それには及ばない程度の接着剤を塗布した外側面をさらに含んでもよい。中間層とともに,コア単層板は正確な寸法の積層コアを形成する。積層コアは,コア単層板の外側面から形成される,実質的に接着剤が塗布されていない外形部を有している。接着剤は低粘度の状態で無溶剤系である。
【0018】
本積層コアの有利な点の1つは,寸法精度にある。これは,従来技術では,硬化工程と接着工程において積層コアに高圧力をかけること,及び後続の積層コアを研削することによってのみ得られている。従来技術による積層コアへの高圧力と研削は,高磁性の単層板にとっては,例えばμ値の減少などの軟磁性材料の磁気値に影響を与える応力にさらされることになるため,有害である。さらに,寸法の安定性を実現するために研削することは,特に,コア単層板の軟磁性材料が再加工工程においてクロッグされる可能性があるという理由から,コア単層板間にショートリンクを生じる可能性があり,これにより積層コアの渦電流損失を増加させる。
【0019】
本発明の積層コアに伴う磁気的劣化は,毛細管接着剤がどの溶剤も含んでいないという事実から,製造時には既に著しく減少している。本発明の方法は,技術的に可能な最大の磁気充填率の,すなわち接着の隙間が最小限である,積層コアによって,最大の磁気力を実現できるという特徴をさらに有している。このために,本発明の製造工程を使用する。本発明の製造工程は,個々の製造ステップにおいて,技術的に可能な限り電気ショートと機械的歪みによる磁気性材料の劣化を回避し,結果として最大の磁気充填率を得ることができる。
【0020】
本発明の接着システムは,上記従来技術と比較すると磁気劣化がより少ないことから,以下の相違点が注目される。この接着システムは,完全に無溶剤系で,ほとんど収縮しないエポキシ系接着システムである。溶剤を使用しない結果として,以下のそれぞれ特有の効果が得られる。
【0021】
1,使用される接合システムと積層コアの接着成分は,全て無溶剤系であり,加工処理や塗付のいずれにも溶剤を加える必要がない。
【0022】
2,無溶剤系の接着剤を使用することにより,溶剤の蒸発によって生じる溶剤系接着システムの硬化に関連する体積収縮を防ぐ。また,これは硬化工程において接着剤により生じる,本発明の積層コアの個々のコア単層板の機械的歪みを防ぐ。
【0023】
3,無溶剤系の接着剤を使用することにより,コア単層板間の接着剤中の気泡の形成を回避する。この気泡は,接着性を低下させ,隙間に存在するかなりの量の接着剤の泡又は接着剤の漏れを生じさせる。
【0024】
4,無溶剤系の接着剤を使用することにより,硬化工程で蒸気圧が生成されないため,コア内の圧力発生を防ぐ。さらにこれは,磁性材料の劣化を生じさせる機械的負担を回避し,本発明の軟磁性の積層コアの磁気的特性を向上させる。
【0025】
5,使用される接合システムは,他のシステムと比較して,接着成分の硬化時の収縮が最小限であることによって特徴づけられる。接着剤に溶剤系を使用しないことで,その後の工程は,健康と安全への影響が最小限となり,かつ環境に配慮している。
【0026】
6,特定の接着成分を選択し,使用することにより,接合システムにおける表面張力と粘度は,単層板間の隙間で最適な毛細管力が形成できるように,調整される。接着剤は毛細管プロセス又は他の適当な,塗布,噴霧,含浸等の先行技術による表面のコーティング方法の手段により塗付される。毛細管プロセスにおいて,好ましくは,積層コアを部分的に接着剤に浸漬するか,又は接着剤を中間キャリアにより輸送する。
【0027】
7,本接合システム及び/又は本方法を使用することにより,接着剤が未硬化状態で,積層コアを望ましい仕上げ厚さに調整することができる。この状態では,必要な圧力は低いため,磁気的劣化を回避することになる。さらに,仕上げ厚さを調整するのに必要な圧力は,積層コアを加熱することにより低減させることができる。つまり,圧力は積層コア全体にわたって均等に分散され,これにより,同じように,積層コア全体にわたって隙間をとても均等に接合する。
【0028】
8,本発明の積層コアの高さは,低い圧力で安定的な寸法に調整することができる。
【0029】
9,接着剤が塗付されたコア単層板は,硬化工程では最小限の圧力のみ必要とする。予備乾燥後の接着システムとは対照的に,積層コアに歪みを生じさせ,磁気的特性の劣化を生じさせる従来の技術的圧力のフォローアップはいずれも必要としない。
【0030】
10,使用される接着システムの耐熱性だけでなく接着性及びせん断強さは,従来技術のエポキシ樹脂によるコーティング表面の接合システムに対応している。
【0031】
11,接合された積層コアの外形部における,侵食,研削,研磨などの機械処理によって生じる電気的ショート及び磁気的劣化は,物理的,化学的洗浄,例えば酸洗い工程又はエッチング工程を組み合せた超音波洗浄により除去することができる。本方法では,ショートリンクにより増加するすべてのヒステリシス損失を大幅に減少させることができる。
【0032】
12,本方法により積層コアの厚さを調整することで,接着する隙間を技術的に最小限にして単層板スタックを形成することができる。接着する隙間を最小にすることで,技術的に最高値の充填率の軟磁性材料により積層コアを製造することができ,積層コアの断面積に最大磁束密度を生じさせることができる。
【0033】
13,接合方法は,接着剤などの製造補助剤の使用がごくわずかであること,及び同様に製造コストが低い特徴を有する。したがって,本方法は費用対効果が高く,資源利用の点でも経済的である。
【0034】
14,使用される接着剤の硬化温度は約145℃と低いため,硬化工程及び冷却工程における積層コアの大きな歪みは生じない。本接着剤は,好ましくは熱風循環炉で硬化される。通常起こる全ての応力は,コア単層板のコーティングの膨張率と接着剤の膨張率との間の技術的に回避できない相違点から生ずる。
【0035】
本発明の積層コアの製造方法において,コアの外形部を一定の比率に縮小するために,後続の寸法合わせの研削が避けられない場合,研削工程で形成される金属性ショートリンクは,渦電流損失を最適化するために,後続の化学洗浄工程によって除去することができる。
【0036】
本発明の積層コアにおいて,コア単層板は中間層とともに,歪みのない平面平行の状態で一枚ずつ重ねて配置されている。これは,適切な接合装置の平面平行鋼板の間に,コア単層板を固定すること,及び単層板スタックを形成するように積層されたコア単層板の外形領域に,毛細管接着剤を塗付することにより,達成することができる。コア単層板の上下面は,電気絶縁層,接着剤を塗布したセラミック層,及び/又は金属酸化物層が形成されている。
【0037】
酸化マグネシウム又は酸化ジルコニウム又は酸化アルミニウムの層は,好ましくはコア単層板の上下面に塗付されている。軟磁性単層板の材料は,45重量%≦Co≦52重量%のCo及びおよそ45重量%≦Fe≦52重量%のFeを含み,さらに,およそ0.5重量%≦V≦2.5重量%のバナジウム成分を含む。バナジウム成分は,材料の冷間圧延の質を向上させ,その抵抗率を増加させる。
【0038】
本発明のさらなる側面において,溶媒由来の不純物,及び/又は偶発的な不純物に加えて,35.0重量%≦Co≦55.0重量%,好ましくは45.0重量%≦Co≦52.0重量%,0重量%≦Ni≦0.5重量%,及び0.5重量%≦V≦2.5重量%を満たす鉄から成るCoFe合金を使用することが規定される。
【0039】
本発明のさらなる態様として,溶媒由来の不純物,及び/又は偶発的な不純物に加えて,35.0重量%≦Co≦55.0重量%,0.75重量%≦V≦2.5重量%,0重量%≦(Ta+2×Nb)≦1.0重量%,0重量%≦Zr≦1.5重量%,及び0重量%≦Ni≦5.0重量%を満たす鉄から成るCoFe合金を使用することが規定される。
【0040】
本発明のさらなる態様として,溶媒由来の不純物,及び/又は偶発的な不純物に加えて,35.0重量%≦Co≦55.0重量%,0重量%≦V≦2.5重量%,0重量%≦(Ta+2×Nb)≦1.0重量%,0重量%≦Zr≦1.5重量%,0重量%≦Ni≦5.0重量%,0重量%≦C≦0.5重量%,0重量%≦Cr≦1.0重量%,0重量%≦Mn≦1.0重量%,0重量%≦Si≦1.0重量%,0重量%≦Al≦1.0重量%,及び0重量%≦B≦0.01重量%を満たす鉄から成るCoFe合金を使用することが規定される。
【0041】
本発明のさらなる態様として,溶媒由来の不純物,及び/又は偶発的な不純物に加えて,48.0重量%≦Co≦50.0重量%,0重量%≦V≦2.5重量%,0重量%≦(Ta+2×Nb)≦1.0重量%,0重量%≦Zr≦1.5重量%,0重量%≦Ni≦5.0重量%,0重量%≦C≦0.5重量%,0重量%≦Cr≦1.0重量%,0重量%≦Mn≦1.0重量%,0重量%≦Si≦1.0重量%,0重量%≦Al≦1.0重量%,及び0重量%≦B≦0.01重量%を満たす鉄から成るCoFe合金を使用することが規定される。
【0042】
コバルト/鉄/バナジウム合金のさらなる成分は,上記鉄の含有量に加えて,含有量が48.0重量%≦Co≦50.0重量%のコバルト,1.8重量%≦V≦2.2重量%のバナジウム,0重量%≦Ni≦5.0重量%のニッケル,及び0重量%≦Cr≦10.1重量%のクロムを有する。バナジウムに加え,この合金は,含有量が0.1重量%≦Nb≦0.5重量%のニオブも含む。マグネシウムとケイ素の含有量はそれぞれ0.1重量%を超えてはならない。この合金は,0重量%≦O≦0.006重量%の酸素,及び0重量%≦N≦0.004重量%の窒素を,さらに含む。溶融関係の不純物及び/又は偶発的な不純物が存在してもよい。
【0043】
鉄ベースの合成物は,含有量が15重量%≦Co≦35重量%のコバルト,及び1重量%≦X≦6.5重量%を満たすXをさらに有することができる。ここで,XはCr,Mo,V,Mn,及びAlの内の1つ以上の元素である。
【0044】
このような合金は,商標名である,VACOFLUX 50,VACOFLUX 48,VACOFLUX 17,VACODUR 50又はVACODUR S Plusとして知られており,さらに,CoFe合金はRotelloy,Hiperco,Permendur,AFKの名前を有している。
【0045】
このような軟磁性のCoFe単層板は,好ましくは50μm≦d≦500μm,より好ましくは50μm≦d≦350μmを満たす厚さdであり,幅は,典型的には5mm≦b≦300mmである。
【0046】
コア単層板の上下面の望ましい湿潤性により,無溶剤系の毛細管接着剤を使用して,一枚ずつ重ねて押圧されるコア単層板間の隙間をふさぐことができる。毛細管接着剤に溶剤を含まない結果,隙間から溶剤を除去する必要がないため,従来技術の欠点が克服される。溶剤系を含んでいる場合には,薄い毛細管接着剤中に気泡や空隙が生じる可能性がある。コア単層板の上下面のコーティングによる望ましい湿潤性により,さらに,接合装置によりスタックされたコア単層板間の細かな隙間に無溶剤のエポキシ系毛細管接着剤が均一に広がるように促進される。接着剤は,毛細管プロセス又は先行技術の適当な表面コーティング方法により積層コアに挿入される。
【0047】
中間層は,好ましくは,中〜高粘度のビフェノールA型又はビフェノールF型のエポキシ樹脂によって表わされるA成分,さらに低分子で低粘度のエポキシ樹脂成分により表わされるB成分,そして少なくとも1つは加えられる,液体で低粘度の硬化成分により表わされるC成分を含む,無溶剤系の毛細管接着剤をベースにする。
【0048】
中〜高粘度のビフェノールA型又はビフェノールF型又はそれらの混合型のエポキシ樹脂の成分Aは,500≦vA≦30000mPasの粘度vA,成分Aの100g中,0.2≦GA≦0.6モルのエポキシ当量GA,及び全体の樹脂中,1%≦mA≦25%の質量成分mAを有する。
【0049】
毛細管接着剤のB成分は,vB≦100mPasの粘度vB,成分Bの100g中,0.5≦GB≦1.2モルのエポキシ当量GB,及び全体の樹脂中,20%≦mB≦50%の質量成分mBを有する。この成分Bは,好ましくは,エチレングリコールジグリシジルエーテル,プロピレングリコールジグリシジルエーテル,ブタンジオールジグリシジルエーテルを含む群の化合物を含んでもよい。
【0050】
液体のような無水物型で低粘度の硬化成分であるC成分は,vC<100mPasの粘度vC,及び全体の樹脂中,30%≦mC≦70%の質量成分mCを有する。このようなC成分は,メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物であってもよい。成分A,B,Cに加えて,硬化促進剤として機能する成分Dが提供されてもよい。成分Dは,全体の樹脂中,0.01%≦mD≦2%の質量成分mDであって,アミン,イミダゾール又は金属塩の複合型を有する。
【0051】
成分Dを含む時,毛細管接着剤は,ジメチルベンジルアミン,ジアザビシクロノナンとエチルメチルイミダゾールを含む群の化合物を含んでもよい。毛細管接着剤は,好ましくは,接着促進剤,柔軟性促進剤,染料,反応性希釈剤及び
剤を含む群の少なくとも1つの添加剤を含む。これにより接着剤は高いせん断力でコア単層板を接合することができる。このような方法で接合されたコア単層板は,好ましくは18MPa以上の引っ張りせん断接着強さを有している。
【0052】
軟磁性の積層コアを形成するために,接着力によりコア単層板を接合する方法は,以下のステップを含む。始めに,軟磁性の結晶性CoFe材料から上下面を有するシートを製造する。次に,エポキシ樹脂を含有したコーティングが上下面に塗付される。これらのコーティングが行われてから,軟磁性シートを,湿潤性コーティングを有する上下面と接着剤が塗布されていない外側面を有するコア単層板に分離する。コーティング工程と同時又は前後に,仕上げ焼鈍を行ってもよい。
【0053】
上記の仕上げ焼鈍は,軟磁性シートを,湿潤性コーティングを有する上下面と非湿潤性外側面を有するコア単層板に分離する前に,あらかじめ行ってもよい。仕上げ焼鈍は,2時間から10時間,700℃≦TG≦900℃の温度TGで行ってもよい。この仕上げ焼鈍によって,合金の転位密度が低減され,応力が緩和され,粗粒子構造が得られる。これにより望ましい軟磁性の特性が確保される。
【0054】
仕上げ焼鈍は,軟磁性シート及び/又はコア単層板の体積の増加や増大を招くため,軟磁性の積層コアを形成するために接着力によりコア単層板を接合する方法では,仕上げ焼鈍工程が少なくともコア単層板スタックを接合する前に行われることを特定する。次に,接合されたコアを,好ましくは侵食もしくは研削により,又は圧延,研削もしくは旋盤などの方法により目的の寸法に形成する。
【0055】
次に,分離されたコア単層板を,コア単層板スタックを形成するように,スタッキング金型又は接合金型内に積層する。この工程では,コア単層板はより小さなミクロンレベルの空隙を形成できる程度に固定されている。本方法は,コアの厚さを調整するのに有利な方法であって,これにより技術的に最小限の接合隙間でスタックを提供することができる。これらの最小限の接合隙間により,技術的に可能な最大限の充填率を有するコアを製造することができ,結果として積層コアの断面に最大磁束密度が生じる。
【0056】
毛細管接着剤を毛細管方式で浸透させることにより,軟磁性の積層コアを標準的な仕上げ寸法に形成するために,接着力でコア単層板を接合する。この接着剤は,無溶剤系で低粘度のエポキシ系であり,硬化すると中間層を形成する。
【0057】
使用される接着剤の硬化温度はおよそ145℃と低いため,硬化工程及び冷却工程において積層コアに大きな歪みは生成されない。このような歪みは通常,接着剤の膨張率と湿潤性表面コーティングの膨張率との技術的に不可避な相違点に起因する。硬化は,好ましくは熱風循環炉などの装置により行う。
【0058】
本方法は,無溶剤系で低粘度の毛細管接着剤を使用することで,コア単層板スタックの充填密度及び軟磁性材料の充填密度を,従来技術の軟磁性の積層コアに対して著しく増加させることができるという利点を有している。高い充填率により,コアの縦断面わたって高い磁束を得ることができる。ある所定のH値で高い誘導値が得られ,BH曲線は急になる。同時に,ヒステリシス損失が最小限に抑えられる。
【0059】
無溶剤系で低粘度の毛細管接着剤を使用することにより,軟磁性の積層コアの外形部も同様に高い寸法精度が得られる。塗布,噴霧又は浸漬によるコーティングとは対照的に,接着剤は隙間の外に押し出されることはないが,毛細管接着剤が挿入される前は,最下の単層板から最上の単層板まで高い平行度が実現されるまで,コア単層板を平面平行の配列で接合金型内に1枚ずつ重ねて配置することになる。高い平行度が得られて初めて,ミクロンレベルで隙間を埋めるためにコア単層板スタックの端面から毛管接着剤を提供する。毛細管接着剤は,各コア単層板の望ましい粘着性により高いせん断強さをさらに確保する。本接合工程後,機械的処理の必要性は,たとえあったとしてもごくわずかしかない。
【0060】
本接合方法は,接着剤などの製造補助剤の使用,製造の手間や費用はわずかである。つまり,本方法は,費用対効果の高い,資源利用が経済的になるよう考慮されており,本発明の方法を使用することにより合理的で費用対効果の高い製造が可能となる。さらに,本方法は無溶剤系の工程のみを必要とするため,環境的にも優しくなっている。
【0061】
上記で述べたような,積層コアの機械的再加工を必要とする場合,再加工工程中に積層コアのコア単層板間に起こる可能性のある全てのショートリンクを除去するために,化学的洗浄工程を効果的に使用することができる。
【0062】
本方法の好ましい態様として,軟磁性シート又は軟磁性ストリップに湿潤性のエポキシ系コーティングが施された後,軟磁性材料の仕上げ焼鈍を行う。
【0063】
この仕上げ焼鈍の後に,空気又は水蒸気雰囲気中で追加の酸化焼鈍を行うことができる。この酸化焼鈍は,エポキシ樹脂によって軟磁性シートの表面をさらにより簡単に湿潤性・付着性にする。仕上げ焼鈍工程を行うことに関し,本発明の様々な変形が存在する。
【0064】
本方法の望ましい変形として,あらかじめ湿潤性のエポキシコーティングされた軟磁性のCoFeストリップをより細いストリップに切断し,その後,磁性仕上げ焼鈍工程を行い,続いて,できる限り金属シートストリップの湿潤性の上下面を改善するために酸化焼鈍を行う。
【0065】
それらの工程を経て初めて,軟磁性のCoFe金属シートストリップをコア単層板に加工する。そのため,軟磁性材料の外側面は湿潤性が少ない状態で露出している。積層コアが既に目的の寸法を有している場合,大幅な再加工のいずれをも必要とすることなく,積層コアを形成するために単層板を毛細管接着剤により接合し,スタックする。それでもなお,例えば研削による再加工が必要とされる場合,化学的洗浄を行い,再加工中に発生するコア単層板間のショートリンクの除去を確保することになる。
【0066】
さらなる変形として,あらかじめエポキシを塗布したコーティングを有する軟磁性のCoFeストリップを,細いストリップに切断し,続いて仕上げの磁気焼鈍を行う。仕上げ焼鈍が行われたストリップがコア単層板に加工された後,同時の酸化又は後続の酸化の有無にかかわらず,第2の焼鈍工程により,すべての磁気劣化を除去することができる。第2の焼鈍工程において,増大,体積の増加は起こらないため,ストリップの形成中に仕上げ焼鈍がすでに行われた材料の形成工程でのコア単層板の寸法安定性が維持される。
【0067】
第2の仕上げ焼鈍工程は,第1の焼鈍工程に類似していてもよく又は磁気的特性を最適化するために,使用する軟磁性材料に応じて行われてもよい。この場合,コア単層板は,積層コアの寸法を変えることなく毛細管接着剤により接合し,スタックすることができる。
【0068】
形成工程後の第2の焼鈍工程によって,第1の仕上げ焼鈍工程後の形成工程によって起こる磁気的劣化を軽減することができる。また,第2の焼鈍工程では,コア単層板の体積は少しも変化しないことから,コア単層板を機械的に高精度に調整することができる。
【0069】
本方法のさらなる変形として,既に仕上げ焼鈍がなされた軟磁性のシートを,毛細管接着剤により接合し,スタックする。このシートは,電気絶縁帯及び付着・湿潤促進層として,できれば空気又は水蒸気の雰囲気中で酸化焼鈍により最適化された酸化マグネシウム層及び/又は他の酸化金属層を有する。これによって初めて,侵食により積層コアを形成し,続いて,侵食工程中に積層コアの個々のコア単層板に生じた可能性のあるショートリンクを除去するために,積層コアの外側面の物理的及び/又は化学的洗浄工程を効果的に行う。外形部の研削など,必要な機械的再加工の結果として形成された全てのショートリンクも同様に除去される。
【0070】
例えば空気又は水蒸気中での焼鈍により形成される純酸化物層の代わりに,例えばプラズマ蒸着炉のプラズマからオーダーメイドの酸化マグネシウム層,酸化ジルコニウム層,又は酸化アルミニウム層を生成することなく,それらの酸化物層を電気絶縁性軟磁性シート及び湿潤性セラミック層上に堆積させることもできる。個々のコア単層板は,コーティングされた軟磁性シートから,打抜き加工,放電加工,ウォータジェット切断,エッチング加工又はレーザ切断によって,分離することができる。
【0071】
適切な接合装置において,コア単層板を歪みなく平面平行の状態で配置し,スタックすることができ,エポキシ系接着剤は,コア単層板の他の外側面を付着・湿潤させることなくコア単層板スタックのコア単層板間の隙間を,コア単層板スタックの端面から埋めることができる。
【0072】
仕上げ焼鈍の前に,軟磁性シートを,d≦1000μm,好ましくは,50μm≦d≦500μmの厚さdに冷間圧延することができる。この文脈において,上記で特定した方法は,50μm幅の非常に薄いコア単層板を歪みなく平面平行の状態で1枚ずつ重ねて接合できるという有利な点を示している。CoFeV合金の軟磁性の仕上げ焼鈍は,不活性ガス雰囲気中で,700℃≦TG≦900℃の温度TGで10時間未満,行うことができる。
【0073】
仕上げ焼鈍工程において,複数の軟磁性シートを,焼鈍板として機能する2つの鋼板の間で同時に押圧することができる。鋼板は,例えば少なくとも290×290mm2の面積を有してもよい。
【0074】
使用される無溶剤系で低粘度の毛細管接着剤は,好ましくは少なくとも3つの成分,すなわち基本となる比較的高粘度のA成分,低粘度のB成分及びC成分を含み,さらに好ましくは硬化促進剤として機能するD成分を含む接着剤である。
【0075】
成分Aは,ビフェノールA型又はビフェノールF型又はそれらの混合型の粘度のエポキシ樹脂であって,500≦vA≦30000mPasの粘度vA,成分A100g中,0.2≦GA≦0.6モルのエポキシ当量GA,及び全体の樹脂中,1%≦mA≦25%の質量成分mAを有する。
【0076】
成分Bは,分子当たり少なくとも2個のエポキシ樹脂基を有する低分子,低粘度エポキシ樹脂化合物である。エポキシ樹脂化合物は,エピクロロヒドリンと脂肪族ジオールを変換することによって形成される。毛細管接着剤の成分Bとして,vB≦100mPasの粘度vB,成分Bの100g中,0.5≦GB≦1.2モルのエポキシ当量GB,及び全体の樹脂中,20%≦mB≦50%の質量成分mBが提供される。
【0077】
この成分Bは,エチレングリコールジグリシジルエーテル,プロピレングリコールジグリシジルエーテル,ブタンジオールジグリシジルエーテルを含む群から選択することができる。
【0078】
使用される成分Cは,液体のような無水物型の低粘度の硬化成分であって,vC<100mPasの粘度vC,及び全体の樹脂中,30%≦mC≦70%の質量成分mCを有する。
【0079】
このようなC成分は,メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物であってもよい。接着力により接合される軟磁性の積層コアを製造する方法として,全体の樹脂中,0.01%≦mD≦2%の質量成分mDであって,アミン,イミダゾール又は金属塩複合型を有する成分Dを硬化促進剤として機能するように,さらに提供することができる。このような成分Dとして,ジメチルベンジルアミン,ジアザビシクロノナン及びエチルメチルイミダゾールを含む群から成る化合物を使用することができる。さらに毛細管接着剤の補助剤を,接着促進剤,柔軟性促進剤,染料,反応性希釈剤及び湿潤剤を含む群から加えることができる。
【0080】
本発明は添付図面を参照して以下においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1から図6は,軟磁性シート又はストリップ材料で始められる,接着力によるコア単層板の接合に関する概略図である。
【0082】
【図1】図1は,軟磁性材料で形成された軟磁性シート又はストリップの一部の概略断面図である。
【図2】図2は,軟磁性シート又はストリップに湿潤性の層が形成された図1に係る部分を示している。
【図3】図3は,軟磁性シート又はストリップを成形,又は分離することによって生成されるコア単層板の概略断面図である。
【図4】図4は,コア単層板スタックの端面に多量の毛細管接着剤が挿入されたコア単層板スタックの概略断面図である。
【図5】図5は,コア単層板の隙間が無溶剤系で低粘度の毛細管接着剤で埋められた後の,図4に係るコア単層板スタックの概略断面図である。
【図6】図6は,毛細管接着剤が硬化して軟磁性の積層コアの中間層を形成した後のコア単層板スタックの概略断面図である。
【図7】図7は,上記で説明される従来技術に係る軟磁性の積層コアの製造を示している。
【図8】図8は,上記で説明される従来技術に係る軟磁性の積層コアの製造を示している。
【図9】図9は,上記で説明される従来技術に係る軟磁性の積層コアの製造を示している。
【図10】図10は,上記で説明される従来技術に係る軟磁性の積層コアの製造を示している。
【図11】図11は,上記で説明される従来技術に係る軟磁性の積層コアの製造を示している。
【図12】図12は,異なる接着剤系を使用して生成された軟磁性のCoFe材料による積層コアと本発明の積層コアの2つのB(H)の値の図である。
【図13】図13は,異なる方法を使用して接合された軟磁性CoFe材料による環状積層コアと本発明による環状積層コアの2つの損失の図である。
【図14】図14は,ショートリンクの結果として個々の単層板の縁に電気接点を有する,コアの侵食領域のSEM写真である。
【図15】図15は,ショートリンクの結果として個々の単層板の縁に電気接点を有する,コアの侵食領域のSEM写真である。
【図16】図16は,個々の単層板の縁が洗浄工程によって電気的に分離された,コアの侵食領域の写真SEM写真である。
【図17】図17は,個々の単層板の縁が洗浄工程によって電気的に分離された,コアの侵食領域の写真SEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
図1は,軟磁性材料3によって形成される軟磁性シート5の一部の概略断面図である。この軟磁性シートは,基本的にCoFe合金であり,任意の溶媒由来の不純物及び/又は偶発的不純物を加えた,35.0重量%≦Co≦55.0重量%,0重量%≦V≦2.5重量%,0重量%≦(Ta+2×Nb)≦1.0重量%,0.3重量%≦Zr≦1.5重量%,0重量%≦Ni≦5.0重量%,0重量%≦C≦0.5重量%,0重量%≦Cr≦1.0重量%,0重量%≦Mn≦1.0重量%,0重量%≦Si≦1.0重量%,0重量%≦Al≦1.0重量%,及び0重量%≦B≦0.01重量%を満たす鉄から成る。このような軟磁性CoFeシートを,好ましくは50μm≦d≦500μmの厚さdに,これらの軟磁性シートから製造されるコア単層板の幅を,好ましくは5mm≦b≦300mmの幅bに成形する。
【0084】
さらに,上面9及び下面10は,これらの軟磁性シートから生成される個々のコア単層板を互いに電気的に絶縁するために,絶縁層を形成する必要がある。この絶縁層は,セラミック層及び/又は酸化物層をベースにしてもよい。この酸化物層は,例えば仕上げ焼鈍後すぐ,これらの軟磁性シート5の気密性仕上げ焼鈍工程における,空気又は水蒸気雰囲気中のさらなる焼鈍により形成されてもよい。
【0085】
図2で示されるように,これにより,図1に係るシート5は,電気的絶縁層とエポキシ系接着剤を塗布した上面9及び下面10を有することになる。次に,図3で示されるように,軟磁性シートを個々のコア単層板に分離することができる。このコア単層板の厚さdは,50μm≦d≦500μm≦,好ましくは50μm≦d≦350μmである。電気的絶縁層と上面9及び下面10の湿潤性のコーティングは,数十ナノメートルから数ミクロンの薄膜である。
【0086】
図4は,多量の毛細管接着剤が端面に形成されたコア単層板スタックの概略断面図である。象徴的にするためにコア単層板スタック6は,3枚のコア単層板のみで構成されている。実際的には,このようなコア単層板スタックは軟磁性材料3の複数のコア単層板4から成る。これらは,適切な装置により矢印Aの方向に,歪みなく正しい位置に置かれる。
【0087】
コア単層板4の隙間15において,毛細管接着剤8は,室温又はコア単層板スタックを比較的弱く加熱した中での毛細管方法により,コア単層板4の間の隙間に沿ってビーズから隙間15に浸透することができる。
【0088】
図5は,無溶剤系で低粘度の接着剤でコア単層板4の隙間15を塞いだ後の図4に係るコア単層板スタックの概略断面図である。図4で示されるように,端面14に蓄積された毛細管接着剤を完全に使い尽くして,図4に示される隙間15を完全に埋めている。図6に示される正確な寸法の軟磁性積層コアは,コア単層板スタックの上下面を平面平行の状態で配置させる接合装置により,高い充填率で製造することができる。
【0089】
毛細管接着剤を使用しない方法とは対照的に,本方法により製造される軟磁性の積層コアは,正確な平行面のままであり,歪みがなく,はみ出た接着剤を除去するためにいずれの再加工も必要としない。
【0090】
軟磁性シートの仕上げ焼鈍は,CoFe合金の再結晶により引き起こされる体積の増大を伴うけれども,仕上げ焼鈍される軟磁性シートが,図3に示すようにコア単層板に分離された後の,さらなる焼鈍は,体積の増大を引き起こすことなく行うことができる。これにより,シートの形状を変化させることなく,本形成工程によって起こる全ての磁気的劣化は除去され,コア単層板の幾何学的寸法は維持される。このシートは,前の焼鈍で,空気又は水蒸気雰囲気中において,鉄,コバルト又は,酸化バナジウムベースの金属酸化コーティングが形成されている場合,コア単層板の仕上げ焼鈍工程では,金属酸化層が除去されないように,真空又は還元雰囲気中,例えば不活性ガス雰囲気中で,このような再焼鈍処理がなされる必要がある。これを避けるために,鉄,コバルト,酸化バナジウムをベースとする酸化物層は,上述したように,空気又は水蒸気の雰囲気中の加熱処理による第2の焼鈍工程後に,基本的に行われる。コーティングがMgO,ZrO2又はAL2O3をベースにしている場合,これらのコーティングは通例,焼鈍温度により除去されないことから,従来の水蒸気雰囲気中で焼鈍することができる。
【0091】
図12は,本発明と異なる接着システムにより製造される軟磁性のCoFe材料の積層コアと本発明の積層コアのB(H)値を比較した図である。横軸は磁界強度H,単位A/cmが記され,縦軸は磁束B,単位テスラ(T)が記されている。破線は,標準的な接合による標準的な積層コアのB(H)の値を示しており,本発明の積層コアの値である実線bよりも著しく低い値となっている。
【0092】
図13は,本発明と異なる方法により接合された軟磁性のCoFe材料の環状積層コアにおける損失と本発明に係る積層コアにおける損失とを比較した図である。横軸はサイクル数が周波数Hzとして記され,縦軸はサイクルごとの損失が,単位Ws/kgで記されている。破線は標準的な接合による標準的な積層コアの損失を示しており,これらの値は,実線bで表わされる本発明の積層コアの値よりも著しく高い値となっている。
【0093】
図14及び図15は,個々の単層板から形成されたコアの侵食領域のs異なる解像度での走査形電子顕微鏡写真である。個々の単層板は,目に見える通り,それらの縁で互いに,電気的に接触している。これらのショートリンクは完成したコアのヒステリシス損失を増加させる。
【0094】
図16及び図17は,図14及び図15で示される領域の異なる解像度での走査形電子顕微鏡写真である。切断された個々の単層板の間のショートリンクは,上記詳細に説明された化学的洗浄工程により取り除かれている。
【符号の説明】
【0095】
1 積層コア(本発明)
2 積層コア(従来技術)
3 軟磁性材料
4 コア単層板
5 軟磁性シート
6 コア単層板スタック
7 中間層
8 接着剤
9 上面
10 下面
11 外側面
12 積層コアの外形部
13 湿潤性のコーティング又は層
14 コア単層板スタックの端面
15 コア単層板間の隙間
16 歪み
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア単層板スタック(6)を含む,軟磁性材料(3)による積層コア(1)であって,
前記コア単層板スタック(6)は,
軟磁性シート(5)から形成されるコア単層板(4)と,
低粘度の状態で挿入され,硬化する接着剤(8)を有する中間層(7)とを含み,
前記コア単層板(4)は,仕上げ焼鈍された結晶性CoFe合金及び接着剤が塗布された上面(9)並びに接着剤が塗布された下面(10)を含み,
前記中間層(7)とともに前記コア単層板(4)は,正確な寸法の積層コア(1)を形成し,
前記積層コア(1)は,前記コア単層板(4)の外側面(11)を含む,実質的に接着剤が塗布されていない外形部(12)を有し,
前記接着剤(8)は,低粘度状態において無溶剤系のものである,
積層コア。
【請求項2】
前記中間層(7)を有する前記コア単層板(4)は,歪みなく平面平行の状態で1枚ずつ重ねて構成されている,請求項1に記載の積層コア。
【請求項3】
前記コア単層板(4)の前記上面(9)及び前記下面(10)は,電気的絶縁層及び接着剤が塗布されたセラミック層を含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項4】
前記コア単層板(4)の前記上面(9)及び前記下面(10)は,酸化マグネシウム層を含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項5】
前記コア単層板(4)の前記上面(9)及び前記下面(10)は,酸化ジルコニウム層を含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項6】
前記コア単層板(4)の前記上面(9)及び前記下面(10)は,酸化アルミニウム層を含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項7】
前記コア単層板(4)の前記上面(9)及び前記下面(10)は,鉄,コバルト,及び/又は酸化バナジウム層を含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項8】
前記軟磁性シート(5)は,仕上げ焼鈍工程前に圧延構造を有する,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項9】
前記コア単層板(4)は,35.0重量%≦Co≦55.0重量%,好ましくは重量%45.0重量%≦Co≦52.0重量%,0重量%≦Ni≦0.5重量%,及び0.5重量%≦V≦2.5重量%の条件を満たす鉄から成るCoFe合金を含み,溶媒由来の不純物及び/又は偶発的な不純物をさらに含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項10】
前記コア単層板(4)は,35.0重量%≦Co≦55.0重量%,0.75重量%≦V≦2.5重量%,0重量%≦(Ta+2×Nb)≦1.0重量%,0重量%≦Zr≦1.5重量%,及び0重量%≦Ni≦5.0重量%の条件を満たす鉄から成るCoFe合金を含み,溶媒由来の不純物及び/又は偶発的な不純物をさらに含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項11】
前記コア単層板(4)は,35.0重量%≦Co≦55.0重量%,0重量%≦V≦2.5重量%,0重量%≦(Ta+2×Nb)≦1.0重量%,0重量%≦Zr≦1.5重量%,0重量%≦Ni≦5.0重量%,0重量%≦C≦0.5重量%,0重量%≦Cr≦1.0重量%,0重量%≦Mn≦1.0重量%,0重量%≦Si≦1.0重量%,0重量%≦Al≦1.0重量%,及び0重量%≦B≦0.01重量%の条件を満たす鉄から成るCoFe合金を含み,溶媒由来の不純物及び/又は偶発的な不純物をさらに含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項12】
前記コア単層板(4)は,48.0重量%≦Co≦50.0重量%,0重量%≦V≦2.5重量%,0重量%≦(Ta+2×Nb)≦1.0重量%,0重量%≦Zr≦1.5重量%,0重量%≦Ni≦5.0重量%,0重量%≦C≦0.5重量%,0重量%≦Cr≦1.0重量%,0重量%≦Mn≦1.0重量%,0重量%≦Si≦1.0重量%,0重量%≦Al≦1.0重量%,及び0重量%≦B≦0.01重量%の条件を満たす鉄から成るCoFe合金を含み,溶媒由来の不純物及び/又は偶発的な不純物をさらに含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項13】
前記コア単層板(4)は,15重量%≦Co≦35重量%及びXがCr,Mo,V,Mn,及びAlの内の1つ以上の元素であって,1重量%≦X≦6.5重量%の条件を満たす鉄から成るCoFe合金を含み,溶媒由来の不純物及び/又は偶発的な不純物をさらに含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項14】
前記コア単層板(4)は,50μm≦d≦500μm,好ましくは50μm≦d≦350μmの厚さd,及び5mm≦b≦300mmの幅bを有する,請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の積層コア。
【請求項15】
前記中間層(7)の前記接着剤(8)は,無溶剤系の毛細管接着剤である,請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の積層コア。
【請求項16】
前記中間層(7)は,有機的で物理的に接合する,無溶剤系のエポキシ系毛細管接着剤を含む,請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の積層コア。
【請求項17】
前記中間層(7)は,ビフェノールA型又はビフェノールF型又はそれらの混合型の中〜高粘度のエポキシ樹脂であって,500≦vA≦30000mPasの粘度vA,成分A100g中,0.2≦GA≦0.6モルのエポキシ当量GA,及び全体の樹脂中,1%≦mA≦25%の質量成分mAにより表わされる無溶剤系の毛細管接着剤(8)をベースに形成される,請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の積層コア。
【請求項18】
前記中間層(7)は,1分子当たり少なくとも2個のエポキシ樹脂基を有する低分子,低粘度のエポキシ樹脂化合物の成分Bをさらに有する毛細管接着剤(8)をベースに形成され,
前記エポキシ樹脂化合物は,エピクロロヒドリンと脂肪族ジオールの変性体である,請求項17に記載の積層コア。
【請求項19】
前記毛細管接着剤の前記成分Bは,vB≦100mPasの粘度vB,成分Bの100g中,0.5≦GB≦1.2モルのエポキシ当量GB,及び全体の樹脂中,20%≦mB≦50%の質量成分mBを有する,請求項18に記載の積層コア。
【請求項20】
前記毛細管接着剤(8)は,成分Bとして,エチレングリコールジグリシジルエーテル,プロピレングリコールジグリシジルエーテル,及びブタンジオールジグリシジルエーテルを含む群から生成される化合物を含む,請求項19に記載の積層コア。
【請求項21】
前記中間層(7)は,無水物型の液体で低粘度の硬化成分であって,vC<100mPasの粘度vC,及び全体の樹脂中,30%≦mC≦70%の質量成分mCにより表わされる成分Cをさらに有する無溶剤系の毛細管接着剤(8)をベースに形成される,請求項17から請求項20のいずれかに記載の積層コア。
【請求項22】
前記毛管接着剤は(8)は,成分Cとして,メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物を含む,請求項21に記載の積層コア。
【請求項23】
前記毛細管接着剤(8)は,成分Dとして,アミン,イミダゾール又は金属塩複合体であって,全体の樹脂中,0.01%≦mD≦2%の質量成分mDの硬化促進剤を含む,請求項17から請求項22のいずれか1項に記載の積層コア。
【請求項24】
前記毛細管接着剤(8)は,成分Dとして,ジメチルベンジルアミン,ジアザビシクロノナン及びエチルメチルイミダゾールを含む群から生成される化合物を含む,請求項23に記載の積層コア。
【請求項25】
前記毛細管接着剤(8)は,接着促進剤,柔軟性促進剤,染料,反応性希釈剤及び湿潤剤を含む群から,少なくとも1つの補助剤を含む,請求項17から請求項24のいずれか1項に記載の積層コア。
【請求項26】
前記コア単層板(4)は,200MPa以上の引っ張り強さを有する,請求項1から請求項25のいずれかに記載の積層コア。
【請求項27】
軟磁性の積層コア(1)を形成するためにコア単層板(4)を接合する方法であって,
上面(9)及び下面(10)を有する軟磁性の結晶性CoFe材料のシートを生成するステップと,
エポキシ樹脂をコーティングした
前記上面(9)及び前記下面(10)に塗付するステップと,
コーティングを塗布した前記上面(9)及び前記下面(10)並びにコーティングを塗布していない外側面を有する前記コア単層板(4)を分離するステップと,
コア単層板スタック(6)を形成するように前記コア単層板(4)を積層するステップと,
低粘度で無溶剤系の接着剤(8)を挿入し,電気的に絶縁する中間層を生成するために前記接着剤(8)を硬化させることで,軟磁性の積層コア(1)を生成するように,接着力で前記コア単層板スタック(6)を接合するステップとを含む,
方法。
【請求項28】
前記エポキシ樹脂でコーティングを塗付した後,軟磁性の仕上げ焼鈍が行われることを特徴とする,請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記コア単層板(4)を分離した後,さらなる軟磁性の仕上げ焼鈍工程が行われることを特徴とする,請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記さらなる軟磁性の仕上げ焼鈍工程に続いて,空気中又は水蒸気中で熱処理することにより,鉄,コバルト,及び/又は酸化バナジウム層を前記軟磁性シート(5)の前記上面(9)及び前記下面(10)に形成させることを特徴とする,請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記エポキシ樹脂を塗布したコーティングが,軟磁性の仕上げ焼鈍工程時に塗付されることを特徴とする,請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記コア単層板(4)の分離に続いて,軟磁性の仕上げ焼鈍工程が行われることを特徴とする,請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記軟磁性シート(5)は,軟磁性ストリップをより細いストリップに薄く切断することにより生成される,請求項27から請求項32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
電気的に絶縁する,接着剤を塗布したセラミック層が前記軟磁性シート(5)の前記上面(9)及び前記下面(10)に堆積している,請求項27から請求項33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
電気的に絶縁する,接着剤を塗布した酸化マグネシウム層が前記軟磁性シート(5)の前記上面(9)及び前記下面(10)に堆積している,請求項27から請求項33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
電気的に絶縁する,接着剤を塗布した酸化ジルコニウム層が前記軟磁性シート(5)の前記上面(9)及び前記下面(10)に堆積している,請求項27から請求項33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
電気的に絶縁する,接着剤を塗布した酸化アルミニウム層が前記軟磁性シート(5)の前記上面(9)及び前記下面(10)に堆積している,請求項27から請求項33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記コア単層板(4)は,放電加工,ウォータジェット切断,エッチング加工,又はレーザ切断により前記軟磁性シート(5)から分離され,
前記軟磁性材料からなるコア単層板(4)の前記コーティングされていない外側面(11)は,前記コア単層板(4)の前記コーティングされた上下面(9,10)よりも前記低粘度の接着剤(8)に対して低い湿潤性を有する,
請求項27から請求項37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記コア単層板(4)は,歪みなく平面平行の状態で1枚ずつ積み重ねられており,
無溶剤系で低粘度のエポキシ系接着剤(8)が,前記コア単層板(4)の端面(14)から,毛細管現象により前記コア単層板スタック(6)の前記コア単層板(4)間の隙間を埋める,
請求項27から請求項38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記無溶剤系で低粘度の毛細管接着剤(8)は,塗布,噴霧,又は浸漬により挿入される,請求項27から請求項38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記軟磁性シート(5)は,50μm≦d≦500μm,好ましくは50μm≦d≦350μmの厚さdに冷間圧延される,請求項28から請求項40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
CoFe合金の前記軟磁性の仕上げ焼鈍は,不活性ガス雰囲気中で,700℃≦TG≦900℃の温度TGにより10時間未満行う,請求項28から請求項41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記軟磁性の仕上げ焼鈍工程又は前記さらなる軟磁性の仕上げ焼鈍工程に続いて空気又は水蒸気雰囲気中で,酸化焼鈍が行われる,請求項28から請求項42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
複数の前記軟磁性シート(5)は,前記軟磁性の仕上げ焼鈍において,焼鈍板として機能する2枚の鋼板の間に平面平行の状態で押圧される,請求項27から請求項43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記接着剤(8)の硬化に続いて,前記積層コア(1)の機械的再加工が行われる,請求項27から請求項44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記積層コア(1)の前記機械的再加工は,侵食,研削,及び/又はフライス加工により行われる,請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記積層コア(1)の物理的及び/又は化学的洗浄工程が行われる,請求項27から請求項46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記無溶剤系で低粘度の毛細管接着剤(8)は,比較的高粘度の成分A,低粘度の成分B及び成分Cから構成され,好ましくは硬化促進剤として機能する成分Dを含む,請求項27から請求項47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記成分Aは,500≦vA≦30000mPasの粘度vA,成分A100g中,0.2≦GA≦0.6モルのエポキシ当量GA,及び全体の樹脂中,1%≦mA≦25%の質量成分mAを満たす,ビフェノールA型又はビフェノールF型又はそれらの混合型の中〜高粘度のエポキシ樹脂を使用する,請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記成分Bは,1分子当たり少なくとも2個のエポキシ樹脂基を有する低分子,低粘度のエポキシ樹脂化合物を使用し,
前記エポキシ樹脂化合物は,エピクロロヒドリンと脂肪族ジオールを変性することにより形成される,請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記毛細管接着剤(8)の前記成分Bは,vB≦100mPasの粘度vB,成分Bの100g中,0.5≦GB≦1.2モルのエポキシ当量GB,及び全体の樹脂中,20%≦mB≦50%の質量成分mBを有する,請求項50に記載の方法。
【請求項52】
エチレングリコールジグリシジルエーテル,プロピレングリコールジグリシジルエーテル,ブタンジオールジグリシジルエーテルを含む群から生成される化合物が,前記成分Bとして使用される,請求項51に記載の方法。
【請求項53】
vC<100mPasの粘度vC,及び全体の樹脂中,30%≦mC≦70%の質量成分mCを満たす,無水物型の液体で低粘度の硬化成分が,前記成分Cとして使用される,請求項48から請求項52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物が前記成分Cとして使用される,請求項48から請求項52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
全体の樹脂中,0.01%≦mD≦2%の質量成分mDを満たすアミン,イミダゾール又は金属塩複合体が,硬化促進剤である前記成分Dとして使用される,請求項48から請求項52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
ジメチルベンジルアミン,ジアザビシクロノナン及びエチルメチルイミダゾールを含む群から生成される化合物が,前記成分Dとして使用される,請求項55に記載の方法。
【請求項57】
接着促進剤,柔軟性促進剤,染料,反応性希釈剤及び湿潤剤を含む群からの補助剤が,前記毛細管接着剤(8)にさらに追加される,請求項48から請求項56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
コア単層板スタック(6)を含む,軟磁性材料(3)による積層コア(1)であって,
前記コア単層板スタック(6)は,
軟磁性シート(5)から形成されるコア単層板(4)と,
低粘度の状態で挿入され,硬化する接着剤(8)を有する中間層(7)とを含み,
前記コア単層板(4)は,仕上げ焼鈍された結晶性CoFe合金及び接着剤が塗布された上面(9)並びに接着剤が塗布された下面(10)を含み,
前記中間層(7)とともに前記コア単層板(4)は,正確な寸法の積層コア(1)を形成し,
前記積層コア(1)は,前記コア単層板(4)の外側面(11)を含む,実質的に接着剤が塗布されていない外形部(12)を有し,
前記接着剤(8)は,低粘度状態において無溶剤系のものである,
積層コア。
【請求項2】
前記中間層(7)を有する前記コア単層板(4)は,歪みなく平面平行の状態で1枚ずつ重ねて構成されている,請求項1に記載の積層コア。
【請求項3】
前記コア単層板(4)の前記上面(9)及び前記下面(10)は,電気的絶縁層及び接着剤が塗布されたセラミック層を含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項4】
前記コア単層板(4)の前記上面(9)及び前記下面(10)は,酸化マグネシウム層を含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項5】
前記コア単層板(4)の前記上面(9)及び前記下面(10)は,酸化ジルコニウム層を含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項6】
前記コア単層板(4)の前記上面(9)及び前記下面(10)は,酸化アルミニウム層を含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項7】
前記コア単層板(4)の前記上面(9)及び前記下面(10)は,鉄,コバルト,及び/又は酸化バナジウム層を含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項8】
前記軟磁性シート(5)は,仕上げ焼鈍工程前に圧延構造を有する,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項9】
前記コア単層板(4)は,35.0重量%≦Co≦55.0重量%,好ましくは重量%45.0重量%≦Co≦52.0重量%,0重量%≦Ni≦0.5重量%,及び0.5重量%≦V≦2.5重量%の条件を満たす鉄から成るCoFe合金を含み,溶媒由来の不純物及び/又は偶発的な不純物をさらに含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項10】
前記コア単層板(4)は,35.0重量%≦Co≦55.0重量%,0.75重量%≦V≦2.5重量%,0重量%≦(Ta+2×Nb)≦1.0重量%,0重量%≦Zr≦1.5重量%,及び0重量%≦Ni≦5.0重量%の条件を満たす鉄から成るCoFe合金を含み,溶媒由来の不純物及び/又は偶発的な不純物をさらに含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項11】
前記コア単層板(4)は,35.0重量%≦Co≦55.0重量%,0重量%≦V≦2.5重量%,0重量%≦(Ta+2×Nb)≦1.0重量%,0重量%≦Zr≦1.5重量%,0重量%≦Ni≦5.0重量%,0重量%≦C≦0.5重量%,0重量%≦Cr≦1.0重量%,0重量%≦Mn≦1.0重量%,0重量%≦Si≦1.0重量%,0重量%≦Al≦1.0重量%,及び0重量%≦B≦0.01重量%の条件を満たす鉄から成るCoFe合金を含み,溶媒由来の不純物及び/又は偶発的な不純物をさらに含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項12】
前記コア単層板(4)は,48.0重量%≦Co≦50.0重量%,0重量%≦V≦2.5重量%,0重量%≦(Ta+2×Nb)≦1.0重量%,0重量%≦Zr≦1.5重量%,0重量%≦Ni≦5.0重量%,0重量%≦C≦0.5重量%,0重量%≦Cr≦1.0重量%,0重量%≦Mn≦1.0重量%,0重量%≦Si≦1.0重量%,0重量%≦Al≦1.0重量%,及び0重量%≦B≦0.01重量%の条件を満たす鉄から成るCoFe合金を含み,溶媒由来の不純物及び/又は偶発的な不純物をさらに含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項13】
前記コア単層板(4)は,15重量%≦Co≦35重量%及びXがCr,Mo,V,Mn,及びAlの内の1つ以上の元素であって,1重量%≦X≦6.5重量%の条件を満たす鉄から成るCoFe合金を含み,溶媒由来の不純物及び/又は偶発的な不純物をさらに含む,請求項1又は請求項2に記載の積層コア。
【請求項14】
前記コア単層板(4)は,50μm≦d≦500μm,好ましくは50μm≦d≦350μmの厚さd,及び5mm≦b≦300mmの幅bを有する,請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の積層コア。
【請求項15】
前記中間層(7)の前記接着剤(8)は,無溶剤系の毛細管接着剤である,請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の積層コア。
【請求項16】
前記中間層(7)は,有機的で物理的に接合する,無溶剤系のエポキシ系毛細管接着剤を含む,請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の積層コア。
【請求項17】
前記中間層(7)は,ビフェノールA型又はビフェノールF型又はそれらの混合型の中〜高粘度のエポキシ樹脂であって,500≦vA≦30000mPasの粘度vA,成分A100g中,0.2≦GA≦0.6モルのエポキシ当量GA,及び全体の樹脂中,1%≦mA≦25%の質量成分mAにより表わされる無溶剤系の毛細管接着剤(8)をベースに形成される,請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の積層コア。
【請求項18】
前記中間層(7)は,1分子当たり少なくとも2個のエポキシ樹脂基を有する低分子,低粘度のエポキシ樹脂化合物の成分Bをさらに有する毛細管接着剤(8)をベースに形成され,
前記エポキシ樹脂化合物は,エピクロロヒドリンと脂肪族ジオールの変性体である,請求項17に記載の積層コア。
【請求項19】
前記毛細管接着剤の前記成分Bは,vB≦100mPasの粘度vB,成分Bの100g中,0.5≦GB≦1.2モルのエポキシ当量GB,及び全体の樹脂中,20%≦mB≦50%の質量成分mBを有する,請求項18に記載の積層コア。
【請求項20】
前記毛細管接着剤(8)は,成分Bとして,エチレングリコールジグリシジルエーテル,プロピレングリコールジグリシジルエーテル,及びブタンジオールジグリシジルエーテルを含む群から生成される化合物を含む,請求項19に記載の積層コア。
【請求項21】
前記中間層(7)は,無水物型の液体で低粘度の硬化成分であって,vC<100mPasの粘度vC,及び全体の樹脂中,30%≦mC≦70%の質量成分mCにより表わされる成分Cをさらに有する無溶剤系の毛細管接着剤(8)をベースに形成される,請求項17から請求項20のいずれかに記載の積層コア。
【請求項22】
前記毛管接着剤は(8)は,成分Cとして,メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物を含む,請求項21に記載の積層コア。
【請求項23】
前記毛細管接着剤(8)は,成分Dとして,アミン,イミダゾール又は金属塩複合体であって,全体の樹脂中,0.01%≦mD≦2%の質量成分mDの硬化促進剤を含む,請求項17から請求項22のいずれか1項に記載の積層コア。
【請求項24】
前記毛細管接着剤(8)は,成分Dとして,ジメチルベンジルアミン,ジアザビシクロノナン及びエチルメチルイミダゾールを含む群から生成される化合物を含む,請求項23に記載の積層コア。
【請求項25】
前記毛細管接着剤(8)は,接着促進剤,柔軟性促進剤,染料,反応性希釈剤及び湿潤剤を含む群から,少なくとも1つの補助剤を含む,請求項17から請求項24のいずれか1項に記載の積層コア。
【請求項26】
前記コア単層板(4)は,200MPa以上の引っ張り強さを有する,請求項1から請求項25のいずれかに記載の積層コア。
【請求項27】
軟磁性の積層コア(1)を形成するためにコア単層板(4)を接合する方法であって,
上面(9)及び下面(10)を有する軟磁性の結晶性CoFe材料のシートを生成するステップと,
エポキシ樹脂をコーティングした
前記上面(9)及び前記下面(10)に塗付するステップと,
コーティングを塗布した前記上面(9)及び前記下面(10)並びにコーティングを塗布していない外側面を有する前記コア単層板(4)を分離するステップと,
コア単層板スタック(6)を形成するように前記コア単層板(4)を積層するステップと,
低粘度で無溶剤系の接着剤(8)を挿入し,電気的に絶縁する中間層を生成するために前記接着剤(8)を硬化させることで,軟磁性の積層コア(1)を生成するように,接着力で前記コア単層板スタック(6)を接合するステップとを含む,
方法。
【請求項28】
前記エポキシ樹脂でコーティングを塗付した後,軟磁性の仕上げ焼鈍が行われることを特徴とする,請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記コア単層板(4)を分離した後,さらなる軟磁性の仕上げ焼鈍工程が行われることを特徴とする,請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記さらなる軟磁性の仕上げ焼鈍工程に続いて,空気中又は水蒸気中で熱処理することにより,鉄,コバルト,及び/又は酸化バナジウム層を前記軟磁性シート(5)の前記上面(9)及び前記下面(10)に形成させることを特徴とする,請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記エポキシ樹脂を塗布したコーティングが,軟磁性の仕上げ焼鈍工程時に塗付されることを特徴とする,請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記コア単層板(4)の分離に続いて,軟磁性の仕上げ焼鈍工程が行われることを特徴とする,請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記軟磁性シート(5)は,軟磁性ストリップをより細いストリップに薄く切断することにより生成される,請求項27から請求項32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
電気的に絶縁する,接着剤を塗布したセラミック層が前記軟磁性シート(5)の前記上面(9)及び前記下面(10)に堆積している,請求項27から請求項33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
電気的に絶縁する,接着剤を塗布した酸化マグネシウム層が前記軟磁性シート(5)の前記上面(9)及び前記下面(10)に堆積している,請求項27から請求項33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
電気的に絶縁する,接着剤を塗布した酸化ジルコニウム層が前記軟磁性シート(5)の前記上面(9)及び前記下面(10)に堆積している,請求項27から請求項33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
電気的に絶縁する,接着剤を塗布した酸化アルミニウム層が前記軟磁性シート(5)の前記上面(9)及び前記下面(10)に堆積している,請求項27から請求項33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記コア単層板(4)は,放電加工,ウォータジェット切断,エッチング加工,又はレーザ切断により前記軟磁性シート(5)から分離され,
前記軟磁性材料からなるコア単層板(4)の前記コーティングされていない外側面(11)は,前記コア単層板(4)の前記コーティングされた上下面(9,10)よりも前記低粘度の接着剤(8)に対して低い湿潤性を有する,
請求項27から請求項37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記コア単層板(4)は,歪みなく平面平行の状態で1枚ずつ積み重ねられており,
無溶剤系で低粘度のエポキシ系接着剤(8)が,前記コア単層板(4)の端面(14)から,毛細管現象により前記コア単層板スタック(6)の前記コア単層板(4)間の隙間を埋める,
請求項27から請求項38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記無溶剤系で低粘度の毛細管接着剤(8)は,塗布,噴霧,又は浸漬により挿入される,請求項27から請求項38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記軟磁性シート(5)は,50μm≦d≦500μm,好ましくは50μm≦d≦350μmの厚さdに冷間圧延される,請求項28から請求項40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
CoFe合金の前記軟磁性の仕上げ焼鈍は,不活性ガス雰囲気中で,700℃≦TG≦900℃の温度TGにより10時間未満行う,請求項28から請求項41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記軟磁性の仕上げ焼鈍工程又は前記さらなる軟磁性の仕上げ焼鈍工程に続いて空気又は水蒸気雰囲気中で,酸化焼鈍が行われる,請求項28から請求項42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
複数の前記軟磁性シート(5)は,前記軟磁性の仕上げ焼鈍において,焼鈍板として機能する2枚の鋼板の間に平面平行の状態で押圧される,請求項27から請求項43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記接着剤(8)の硬化に続いて,前記積層コア(1)の機械的再加工が行われる,請求項27から請求項44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記積層コア(1)の前記機械的再加工は,侵食,研削,及び/又はフライス加工により行われる,請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記積層コア(1)の物理的及び/又は化学的洗浄工程が行われる,請求項27から請求項46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記無溶剤系で低粘度の毛細管接着剤(8)は,比較的高粘度の成分A,低粘度の成分B及び成分Cから構成され,好ましくは硬化促進剤として機能する成分Dを含む,請求項27から請求項47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記成分Aは,500≦vA≦30000mPasの粘度vA,成分A100g中,0.2≦GA≦0.6モルのエポキシ当量GA,及び全体の樹脂中,1%≦mA≦25%の質量成分mAを満たす,ビフェノールA型又はビフェノールF型又はそれらの混合型の中〜高粘度のエポキシ樹脂を使用する,請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記成分Bは,1分子当たり少なくとも2個のエポキシ樹脂基を有する低分子,低粘度のエポキシ樹脂化合物を使用し,
前記エポキシ樹脂化合物は,エピクロロヒドリンと脂肪族ジオールを変性することにより形成される,請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記毛細管接着剤(8)の前記成分Bは,vB≦100mPasの粘度vB,成分Bの100g中,0.5≦GB≦1.2モルのエポキシ当量GB,及び全体の樹脂中,20%≦mB≦50%の質量成分mBを有する,請求項50に記載の方法。
【請求項52】
エチレングリコールジグリシジルエーテル,プロピレングリコールジグリシジルエーテル,ブタンジオールジグリシジルエーテルを含む群から生成される化合物が,前記成分Bとして使用される,請求項51に記載の方法。
【請求項53】
vC<100mPasの粘度vC,及び全体の樹脂中,30%≦mC≦70%の質量成分mCを満たす,無水物型の液体で低粘度の硬化成分が,前記成分Cとして使用される,請求項48から請求項52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物が前記成分Cとして使用される,請求項48から請求項52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
全体の樹脂中,0.01%≦mD≦2%の質量成分mDを満たすアミン,イミダゾール又は金属塩複合体が,硬化促進剤である前記成分Dとして使用される,請求項48から請求項52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
ジメチルベンジルアミン,ジアザビシクロノナン及びエチルメチルイミダゾールを含む群から生成される化合物が,前記成分Dとして使用される,請求項55に記載の方法。
【請求項57】
接着促進剤,柔軟性促進剤,染料,反応性希釈剤及び湿潤剤を含む群からの補助剤が,前記毛細管接着剤(8)にさらに追加される,請求項48から請求項56のいずれか1項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図7】
【図8】
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【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2012−521649(P2012−521649A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501397(P2012−501397)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/IB2009/051264
【国際公開番号】WO2010/109272
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(504227958)ヴァキュームシュメルツェ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (16)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/IB2009/051264
【国際公開番号】WO2010/109272
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(504227958)ヴァキュームシュメルツェ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (16)
【Fターム(参考)】
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