説明

軟質ポリウレタンフォーム

【課題】熱成形時の加工性及び形状保持性に優れた軟質ポリウレタンフォームを提供する。
【解決手段】ポリオール及びイソシアネートを主原料とし、これに架橋剤及び発泡剤を配合し、発泡成形した後、熱成形することにより製造された軟質ポリウレタンフォームにおいて、上記ポリオールの少なくとも一部がスチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールである軟質ポリウレタンフォーム。ポリオールにスチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールを用いることによるTgの低減、強度、硬度の向上効果により、熱成形時の加工性と形状保持性に優れた軟質ポリウレタンフォームが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質ポリウレタンフォームに係り、特に熱成形による加工性及び形状保持性を改善した軟質ポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
軟質ポリウレタンフォームは、主原料にポリオールとイソシアネートを使用し、この主原料と発泡剤や触媒などの各種副成分を混合してポリウレタンフォーム配合物を調製し、このポリウレタンフォーム配合物を発泡させることにより製造される。
【0003】
このようにして製造された軟質ポリウレタンフォームは、その用途に応じて所定の形状に成形して使用に供される。この成形方法として、軟質ポリウレタンフォームに熱をかけながら型内で加熱圧縮して所望の形に成形する方法がある(特開平5−329923号公報)。
【特許文献1】特開平5−329923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
軟質ポリウレタンフォームの工業的な熱成形に際しては、成形に要する加熱温度の低減、成形時間の短縮が望まれる。また、熱成形時の形状保持性(仕上がりがシャープであること、エッジ部にダレがないこと)に優れることが要求される。
【0005】
軟質ポリウレタンフォームの熱成形時の加工性を改善する方法として、軟質ポリウレタンフォームのガラス転移点(Tg)を低減する方法があるが、一般的にはTgの低減により形状保持性が損なわれるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、熱成形時の加工性及び形状保持性に共に優れた軟質ポリウレタンフォームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は種々の研究を重ねた結果、ポリオール成分の少なくとも一部としてスチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールを配合することにより、軟質ポリウレタンフォームのガラス転移点(Tg)の低下と強度及び硬度の向上が可能となり、熱成形時の加工性と形状保持性とを共に改善することができることを見出した。本発明はかかる知見に基づくものであり、以下を要旨とする。
【0008】
本発明(請求項1)の軟質ポリウレタンフォームは、ポリオール、イソシアネート、架橋剤及び発泡剤を配合してなるポリウレタンフォーム配合物を発泡させて得られるフォームを熱成形してなる軟質ポリウレタンフォームにおいて、前記ポリオールの少なくとも一部がスチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールであることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の軟質ポリウレタンフォームは、請求項1において、前記ポリオール中のスチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールのビニルモノマー含有率が35%以上であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3の軟質ポリウレタンフォームは、請求項1又は2において、前記ポリオールは、スチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールとポリエーテルポリオールとを含むことを特徴とするものである。
【0011】
請求項4の軟質ポリウレタンフォームは、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ポリオール中のスチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールの配合量が50〜100質量%であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5の軟質ポリウレタンフォームは、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記架橋剤が、水酸基を2つ以上有するモノマーであることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6の軟質ポリウレタンフォームは、請求項5において、前記架橋剤が、ジエチレングリコールであることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7の軟質ポリウレタンフォームは、請求項1ないし6のいずれか1項において、前記ポリウレタンフォーム配合物のイソシアネートインデックスが80〜105であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項8の軟質ポリウレタンフォームは、請求項1ないし7のいずれか1項において、前記発泡剤の少なくとも一部がメチレンクロライドであることを特徴とするものである。
【0016】
請求項9の軟質ポリウレタンフォームは、請求項1ないし8のいずれか1項において、難燃剤を含むことを特徴とするものである。
【0017】
請求項10の軟質ポリウレタンフォームは、請求項1ないし9のいずれか1項において、熱成形前のフォームの密度が0.014〜0.040g/cmであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ポリオールにスチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールを用いることによるTgの低減、強度、硬度の向上効果により、熱成形時の加工性と形状保持性に優れた軟質ポリウレタンフォームが提供される。
【0019】
本発明において、ポリオール中のスチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールのビニルモノマー含有率が35%以上であると、上記効果を確実に得ることができる(請求項2)。
【0020】
また、ポリオール成分をスチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールと他のポリオールとの混合物とすることにより、樹脂化反応を遅延させ、反応速度を調整することができる(請求項3)。
この場合、ポリオール中のスチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールの配合量は50〜100質量%であることが好ましい(請求項4)。
また、架橋剤として、水酸基を2つ以上有するモノマーを用いることにより、架橋密度の向上で、高強度化を図ることができ(請求項5)、この架橋剤としては、ジエチレングリコールが好ましい(請求項6)。
【0021】
本発明において、ポリウレタンフォーム配合物のイソシアネートインデックスは80〜105であることが好ましい(請求項7)。
【0022】
また、発泡剤の少なくとも一部として、メチレンクロライドを用いることによりその優れた発泡作用で、フォームの低密度化を図り、熱成形性をより一層良好なものとすることができる(請求項8)。
【0023】
また、本発明の軟質ポリウレタンフォームは難燃剤を含むことにより、自動車車輌内装材用途にも対応し得るFMVSS302の難燃性を付与させることができる。
【0024】
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、特に密度0.014〜0.040g/cmのフォームを熱成形して得られることが好ましい(請求項10)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明の軟質ポリウレタンフォームの実施の形態を詳細に説明する。
【0026】
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、ポリオールとイソシアネートを主成分とするポリウレタンフォーム配合物を発泡させ、その後、熱成形することにより製造される。
この配合物は、ポリオールの少なくとも一部としてスチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオール、即ち、スチレンとアクリロニトリルとのコポリマーのポリオールを含む。このスチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールを配合することにより、軟質ポリウレタンフォームのガラス転移点が低下し、熱成形性及び形状保持性が向上する。
【0027】
本発明において、ポリオールとしては、スチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールのみを用いても良く、スチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールと他のポリオールとを併用しても良い。スチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールを、後述する他のポリオールと混合して用いることにより、樹脂化反応を遅延させることが可能であり、他のポリオールの併用は反応速度を調整する上で有効であり、且つ、経済性(安価)で有効である。
【0028】
この場合、併用し得る他のポリオールとしては、特に制限はないが、数平均分子量が1000〜10000、特に2000〜5000、OH価が20〜100、特に20〜60であるポリオールを用いることが好ましく、具体的には、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリエステルポリエーテル系ポリオール類及び、これらの変性ポリオールが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
上記他のポリオールの市販品としては、「E−3030」(分子量3000、f=3、旭硝子(株)製ポリエーテル系ポリオール)、「3P56D」(分子量3000、f=3、三井化学ポリウレタン(株)製ポリエステルポリエーテル系ポリオール)、「N2200」(分子量約2200、日本ポリウレタン(株)製ポリエステル系ポリオール)等を挙げることができる。
【0030】
スチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールと他のポリオールとを併用する場合、スチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールの配合割合は、全ポリオール100質量部中、50質量部以上、特に70〜100質量部、とりわけ90〜100質量部とすることが好ましい。スチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールがこの範囲よりも少ないと、熱成形性の改善が不十分となる。
【0031】
スチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールとしては、ポリエーテルポリオールにアクリロニトリル及びスチレン等のビニルモノマーをグラフト化して変性したもので、平均分子量約2000〜5000、OH価約20〜50、ビニルモノマー含有率20〜50%のものが好適である。特にビニルモノマー含有率が約35%以上のコポリマーポリオールは収縮を小さくし、硬度を増大させるので好ましい。このようなコポリマーポリオールとして、例えば、ボラノール3940、ボラノール3935、XAS10952.00(いずれもダウケミカル(株)製)等が挙げられる。
【0032】
イソシアネートとしては、ポリウレタン発泡原料として用いられる通常のイソシアネートであればいずれも用いることができ、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリフェニルジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。上記TDIとMDIとを併用する場合、その配合比としては通常TDI/MDI=100/0〜50/50(重量比)の比であることが好ましい。このようなTDI、MDIとしては、市販品を用いることができ、TDIとして例えば、「コスモネートT−80」(三井化学ポリウレタン(株)製)等を挙げることができる。
【0033】
イソシアネートの配合量は、特に制限されるものではないが、ポリウレタンフォーム配合物のイソシアネートインデックスが通常85〜120、特に90〜100になるようにイソシアネートを配合することが好ましい。このイソシアネートインデックスが85未満であると、ポリウレタンフォームの樹脂化反応が進まない場合があり、120を超えると樹脂化反応が進みすぎ、独立気泡となり収縮してしまう。
【0034】
架橋剤としては、水酸基を2つ以上有するモノマーを用いることが好ましく、このような架橋剤を用いることにより、架橋密度を上げて、フォームの強度、硬度を高め、この結果、形状保持性を高めることができる。水酸基を2つ以上有するモノマーとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、好ましくは、ジエチレングリコールが用いられる。これらの架橋剤は、1種を単独で又は2種以上併用して用いることができる。
【0035】
発泡剤としては、メチレンクロライドが好適に使用されるが、メチレンクロライドのみを使用するほか、他の発泡剤、例えば、水やモノフッ化トリ塩化メタンなどの低沸点の化合物を使用することもできる。特に、メチレンクロライドと水とを併用することが好ましい。水は発泡剤としてのみならず、架橋剤としても作用し得るので、メチレンクロライドと水とを併用すると得られるフォームの強度が向上する(なお、本発明において水は発泡剤として区分する。)。なお、水単独で発泡剤として使用すると、二酸化炭素が多く発生し、反応速度が非常に速くなり、反応のバランスが取れなくなる。また、発熱反応が大きくなり好ましくない。
発泡剤としてメチレンクロライドと水とを併用する場合、ポリオール100質量部に対してメチレンクロライドを5〜15質量部、水を2〜6質量部用い、メチレンクロライドと水との質量比がメチレンクロライド:水=1:1〜0.4の割合となるように用いることが好ましい。
【0036】
本発明に係る軟質ポリウレタンフォーム配合物は、通常、主成分としてのポリオール、イソシアネートと、架橋剤、発泡剤の他、触媒、整泡剤、難燃剤などを配合して製造される。
【0037】
触媒としては、アミン系、錫系のいずれの触媒も好適に使用することができ、アミン系触媒としては、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス−(ジメチルアミノエチル)エーテル、テトラメチルプロピレンジアミン、トリメチルアミノエチルピペラジン、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、トリエチレンジアミン等、錫系触媒としては、スタナスオクテート、ジブチルチンジラウレート等を挙げることができる。これらの触媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
触媒の配合量は、ポリオール100質量部に対して、通常0〜5質量部、好ましくは0.1〜1質量部である。
【0038】
整泡剤としては、例えば、オルガノポリシロキサン、アルキルカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等を挙げることができる。整泡剤の配合量は、ポリオール100質量部に対して、通常0〜5質量部、好ましくは0.5〜2質量部である。
【0039】
難燃剤としては、一般のポリウレタンフォーム用難燃剤であればいずれも用いることができ、例えば、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等の芳香族リン酸エステル類、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート等の含ハロゲンリン酸エステル類、2,2−ビストリメチレンビスホスフェート、ポリオキシアルキレンビスジクロロアルキルホスフェート等の含ハロゲン縮合リン酸エステル類等が挙げられる。これらの難燃剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。難燃剤の配合量は、ポリオール100質量部に対して、通常5〜30質量部、好ましくは15〜25質量部である。
【0040】
さらに、本発明に係るポリウレタンフォーム配合物に対しては、必要に応じて各種添加剤を配合することができ、例えば、顔料等の着色剤、炭酸カルシウム等の充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、カーボンブラック等の導電性物質、抗菌剤などを配合することができる。
【0041】
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、上記ポリウレタンフォーム配合物を発泡させた後(以下、本発明において、熱成形前の軟質ポリウレタンフォームを「プレフォーム」と称す場合がある。)、熱成形することにより得られるものである。その発泡方法としては、例えば、ワンショット法、プレポリマー法などを採用できる。なお、発泡温度は、0〜40℃、特に15〜25℃とすることができる。この場合、容器内の圧縮率は特に制限されるものではなく、圧縮しなくてもよいが、通常、圧縮率は1/1〜1/5にして製造することができる。
【0042】
ポリウレタンフォーム配合物の発泡、好ましくは発泡成形により得られるプレフォームの密度は、0.014〜0.040g/cm程度であることが好ましい。この密度が高過ぎると高比重となって、例えば自動車用材料用途等において、材料費の高騰、燃費の高騰を招き、また難燃性の面でも好ましくない。密度が過度に低いと必要な強度、硬度を確保し得ず、熱成形時の加工性や形状保持性が損なわれるおそれがある。
【0043】
このようなプレフォームの熱成形温度は、通常170〜220℃、特に180〜200℃程度とすることが好ましい。220℃より高い熱成形温度では軟質ポリウレタンフォームの分解が始まり、170℃未満では成形時間が長いという不具合が生じるためである。この熱成形時の圧縮率としては、通常、1/1.5〜1/5程度であることが、熱成形後の形状保持性の面で好ましい。
【0044】
なお、熱成形に要する時間は、成形温度によっても異なり、成形温度が高い程、熱成形に要する時間を短縮することができるが、本発明によれば、ポリオールとしてスチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールを用いたことによる熱成形性の向上効果により、従来の軟質ポリウレタンフォームの熱成形の場合よりも、成形温度を20℃以上低減した上で、熱成形に要する時間を1/2以下に短縮することができる。
【実施例】
【0045】
次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例で用いた材料は次の通りである。
【0046】
スチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオール:ダウケミカル(株)製「ボラノール3940」
ポリエーテルポリオール:三井化学ポリウレタン(株)製「アクトコール79−56」
トリレンジイソシアネート:三井化学ポリウレタン(株)製「コスモネートT−80」(2,4−異性体と2,6−異性体とを80:20(質量比)の割合で混合した混合物)
3級アミン:トリエチレンジアミン〔東ソー(株)製「TEDA−L33」〕などの3級アミン
シリコーンポリマー:信越化学工業(株)製「F−242T」
含ハロゲン縮合リン酸エステル:大八化学工業(株)製「CR504L」
【0047】
また、得られた軟質ポリウレタンフォーム(プレフォーム)の諸物性の評価方法は次の通りである。
【0048】
〔密度〕
JIS K 6400に記載の方法により、測定した。密度は、JIS規格で規定している「見掛け密度」を指す。
〔硬さ〕
JIS K 6400−1(2004年度版)の規格に基づいて測定した。
〔通気性〕
JIS K 6400−7(2004年度版)B法の規格に基づいて測定した。
〔引張り強さ〕
JIS K 6400−5(2004年度版)の規格に基づいて測定した。
〔伸び(%)〕
JIS K 6400−5(2004年度版)の規格に基づいて測定した。
〔セル数〕
JIS K 6400−1(2004年度版)付属書1(参考)に基づいて測定した。
〔難燃性〕
FMVSS(米国連邦自動車安全基準)No.302に基づいて測定した。
【0049】
[実施例1,比較例1]
表1に示す配合のポリウレタンフォーム配合物(液温20℃)を調製し、これを温度調節した発泡コンベア上のモールド紙に注入し、ワンショット法により、温度20℃で発泡成形して軟質ポリウレタンフォーム(プレフォーム)を作成した。
【0050】
【表1】

【0051】
得られたプレフォームの諸物性の評価結果を表2に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
実施例1及び比較例1で得られたプレフォームから、150mm×150mm×17mmの試料を切り出し、表3に示す成形温度及び成形時間で熱成形を行って、厚さ10mmまで圧縮した。
このときの熱成形加工性及び形状保持性を下記基準で評価して結果を表3に示した。
<評価基準>
○:圧縮成形が可能であり、形状保持性も良好である。
△:圧縮成形が可能ではあるが、形状保持性が若干悪く、仕上がりのシャープ感、端部のキレに欠ける。
×:圧縮成形できない。
【0054】
【表3】

【0055】
上記表に示された結果から、実施例(本発明)の軟質ポリウレタンフォームは、従来の軟質ポリウレタンフォームと比較して、熱成形時の加工性及び形状保持性に優れていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、イソシアネート、架橋剤及び発泡剤を配合してなるポリウレタンフォーム配合物を発泡させて得られるフォームを熱成形してなる軟質ポリウレタンフォームにおいて、
前記ポリオールの少なくとも一部がスチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールであることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
請求項1において、前記ポリオール中のスチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールのビニルモノマー含有率が35%以上であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記ポリオールは、スチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールとポリエーテルポリオールとを含むことを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ポリオール中のスチレン/アクリロニトリルコポリマーポリオールの配合量が50〜100質量%であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記架橋剤が、水酸基を2つ以上有するモノマーであることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項6】
請求項5において、前記架橋剤が、ジエチレングリコールであることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、前記ポリウレタンフォーム配合物のイソシアネートインデックスが80〜105であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、前記発泡剤の少なくとも一部がメチレンクロライドであることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項において、難燃剤を含むことを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項において、熱成形前のフォームの密度が0.014〜0.040g/cmであることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。

【公開番号】特開2008−201946(P2008−201946A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41022(P2007−41022)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】