説明

転写媒体製造方法、転写方法、転写媒体製造装置、及び転写装置

【課題】転写媒体からターゲットに転写される金属箔の光沢性を十分に得ることができる転写媒体製造方法、転写方法、転写媒体製造装置、及び転写装置を提供する。
【解決手段】被転写体16に対して転写可能な金属微粒子を含む金属インクを基材フィルム12に付着させた転写媒体を製造するための転写媒体製造方法において、基材フィルム12に対して金属インクを付着させた後、基材フィルム12に付着した半溶融状態にある金属インクの表面を平滑化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲットに対して転写可能な金属微粒子を含む箔形成用記録材を基材に付着させた転写媒体を製造するための転写媒体製造方法、該転写媒体製造方法により製造された転写媒体を用いる転写方法、転写媒体製造装置、及び転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、転写媒体からターゲットに対して記録材を転写する転写装置の一種として、熱転写装置が広く知られている(例えば、特許文献1)。この特許文献1に記載の熱転写装置は、中間転写記録媒体(転写媒体)に向けてインク(箔形成用記録材)を噴射して画像を形成する印画部と、該印画部が形成した画像を中間転写記録媒体から被転写体(ターゲット)に対して熱転写する転写部とを備えている。そして、この熱転写装置では、まず、印画部が中間転写記録媒体に向けてインクを噴射することにより、インクによる画像パターンを中間転写記録媒体上に形成する。続いて、転写部が中間転写記録媒体と被転写体とを重ね合わせた状態で中間転写記録媒体を加熱することにより、インクによる画像パターンを中間転写記録媒体から被転写体に熱転写する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−188865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、例えば、特許文献1に記載の熱転写装置において、印画部から中間転写記録媒体に噴射されるインクとして金属微粒子を含む金属インクを採用することにより、金属インクによる金属箔を中間転写記録媒体から被転写体に転写させる技術が提案されている。
【0005】
しかしながら、印画部が金属インクを中間転写記録媒体に噴射した場合には、金属インクがその表面に凹凸形状を形成した状態で中間転写記録媒体上に固化することが有り得る。なお、金属インクにおいて凹凸形状が形成され得る表面は、被転写体に対して金属インクを転写する際に、金属インクが被転写体に接触する接触面となっている。ここで、金属インクが被転写体に対する接触面の平面性が低い状態で被転写体に転写されたとすると、金属インクが被転写体上に形成する金属箔は、被転写体越しに見た場合の光沢性が十分に得られない虞があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、転写媒体からターゲットに転写される金属箔の光沢性を十分に得ることができる転写媒体製造方法、転写方法、転写媒体製造装置、及び転写装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の転写媒体製造方法は、ターゲットに対して転写可能な金属微粒子を含む箔形成用記録材を基材に付着させた転写媒体を製造するための転写媒体製造方法において、前記基材に対して前記箔形成用記録材を付着させる記録材付着段階と、前記記録材付着段階にて前記基材に付着した半溶融状態にある前記箔形成用記録材の表面を平滑化する平滑化段階と、を備えた。
【0008】
上記構成によれば、箔形成用記録材は、半溶融状態にある表面が平滑化手段によって円滑に平滑化される。なお、箔形成用記録材は、平滑化手段によって平滑化される表面がターゲットに対して接触する面となる。そのため、この箔形成用記録材がターゲットに対して金属箔として転写されることにより、この金属箔をターゲット越しに見た場合の光沢性を十分に得ることができる。
【0009】
また、本発明の転写方法は、基材に対して金属微粒子を含む箔形成用記録材を付着させる記録材付着段階と、前記記録材付着段階にて前記基材に付着された半溶融状態にある前記箔形成用記録材の表面を平滑化する平滑化段階と、前記平滑化段階にて表面が平滑化された前記箔形成用記録材を前記基材からターゲットに対して転写させる転写段階と、を備えた。
【0010】
上記構成によれば、上記転写媒体製造方法の発明と同様の効果が得られる。
また、本発明の転写媒体製造装置は、ターゲットに対して転写可能な金属微粒子を含む箔形成用記録材を基材に付着させた転写媒体を製造するための転写媒体製造装置において、前記基材に対して前記箔形成用記録材を付着させる記録材付着手段と、前記記録材付着手段によって前記基材に付着された前記箔形成用記録材の表面を平滑化する平滑化手段と、を備えた。
【0011】
上記構成によれば、上記転写媒体製造方法の発明と同様の効果が得られる。
また、本発明の転写媒体製造装置において、前記平滑化手段は、前記基材に付着された前記箔形成用記録材を押圧可能な押圧手段と、前記押圧手段を前記箔形成用記録材に向けて付勢する付勢手段と、を備え、前記基材に対する前記箔形成用記録材の付着態様に応じて、前記付勢手段による前記押圧手段に対する付勢力を調整する。
【0012】
上記構成によれば、例えば、箔形成用記録材が基材上に細密な記録像を形成している場合には、付勢手段による押圧手段に対する付勢力を低減させる。すると、押圧手段は、記録像を弱く押圧するため、基材上の細密な記録像の形状を乱すことはほとんどない。一方、例えば、箔形成用記録材が基材上に簡素な記録像を形成している場合には、付勢手段による押圧手段に対する付勢力を増大させる。すると、押圧手段は、記録像を強く押圧するため、箔形成用記録材の表面をより確実に平滑化させることができる。
【0013】
また、本発明の転写媒体製造装置は、前記基材における前記箔形成用記録材の付着領域が前記平滑化手段に向けて接近するように前記基材を搬送する搬送手段と、前記基材の搬送経路上における前記記録材付着手段と前記平滑化手段の間に設けられ、前記基材における前記箔形成用記録材が付着する面の温度を検出する温度検出手段と、前記基材の搬送経路上における前記温度検出手段と前記平滑化手段の間に設けられ、前記基材における前記箔形成用記録材の付着領域を乾燥させる乾燥手段と、を更に備え、前記温度検出手段の検出結果に基づき、前記乾燥手段による前記箔形成用記録材の乾燥条件を設定する。
【0014】
上記構成によれば、基材における箔形成用記録材が付着する面の温度に基づいて、基材上に付着した箔形成用記録材が、乾燥手段に搬入される前段階でどの程度乾燥されるかが予測される。そして、この予測された結果を参照しつつ、乾燥手段による箔形成用記録材の乾燥条件を設定する。その結果、基材上に付着した箔形成用記録材を平滑化手段に搬入する時点で確実に半溶融状態にすることができる。
【0015】
また、本発明の転写装置は、上記構成の転写媒体製造装置と、前記転写媒体製造装置によって製造された前記転写媒体から前記箔形成用記録材を前記ターゲットに対して転写させる転写手段と、を備えた。
【0016】
上記構成によれば、上記転写媒体製造装置の発明と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の転写装置の概略図。
【図2】記録ヘッドから基材フィルムにオーバーコート液、金属インク、及び接着液が積層されるように噴射された状態を示す模式図。
【図3】(a)は押圧ローラーがキャリアフィルムから離間した状態を示す模式図、(b)は押圧ローラーが基材フィルム及びキャリアフィルムを押圧している状態を示す模式図、(c)は(b)に示す状態から押圧ローラーが基材フィルム及びキャリアフィルムを更に強く押圧している状態を示す模式図。
【図4】基材フィルムから被転写体にオーバーコート層、金属インク層、及び接着層が熱転写される工程を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した転写装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は、図1に矢印で示した方向を基準として示すものとする。
【0019】
図1に示すように、転写装置11は、基材としての基材フィルム12に対して画像パターンを形成した転写媒体を製造するための転写媒体製造装置100と、該転写媒体製造装置100によって製造された転写媒体からターゲットとしての被転写体に対して画像パターンを転写する転写ユニット101とから構成されている。そして、転写媒体製造装置100は、長尺のシート状をなす基材フィルム12を繰り出す繰り出し部13と、該繰り出し部13から繰り出された基材フィルム12に画像パターンを形成する印刷部14と、該印刷部14で基材フィルム12に形成された画像パターンを乾燥させる乾燥部15とを備えている。また、転写ユニット101は、乾燥部15で乾燥された基材フィルム12上の画像パターンを被転写体16に対して転写する転写部17を備えている。
【0020】
まず、転写媒体製造装置100について説明する。
図1に示すように、繰り出し部13には、2つの巻き軸18,19が回動自在に設けられている。そして、各巻き軸18,19には、基材フィルム12及び該基材フィルム12を補強するための長尺状の補強材としてのキャリアフィルム20がそれぞれロール状に巻かれた状態で支持されている。また、繰り出し部13には、巻き軸18から繰り出される基材フィルム12と、巻き軸19から繰り出されるキャリアフィルム20とを重ね合わせた状態で挟圧する一対のローラー21,22が設けられている。
【0021】
また、一対のローラー21,22とキャリアフィルム20を巻装する巻き軸19との間には、接着剤コーター手段23が設けられている。そして、接着剤コーター手段23は、巻き軸19から繰り出されるキャリアフィルム20における基材フィルム12との接着面に対して接着剤を塗布することにより接着剤層24(図2参照)を形成する。そして、一対のローラー21,22は、接着剤コーター手段23によってキャリアフィルム20に塗布された接着剤による接着剤層24を介して両フィルム12,20を圧着させるようになっている。なお、本実施形態では、接着剤コーター手段23からキャリアフィルム20に塗布される接着剤として、UV(Ultra Violet)剥離型の接着剤が用いられている。
【0022】
印刷部14には、一対のローラー21,22に対して右斜め上方となる位置に中継ローラー25が回動自在に設けられている。そして、一対のローラー21,22から繰り出される基材フィルム12及びキャリアフィルム20は、中継ローラー25に対して左側下方から巻き掛けられて水平右方向に搬送される。
【0023】
中継ローラー25の右側の領域には、矩形板状のプラテン26が設けられている。プラテン26の上面は、中継ローラー25から搬送される両フィルム12,20を支持する支持面26aとなっている。また、プラテン26の内部には、該支持面26aを加熱するためのヒーター(図示略)が埋設されている。
【0024】
また、プラテン26の上方には、左右方向に延びるガイドレール27が設けられている。ガイドレール27には、矩形板状のキャリッジ28がガイドレール27に沿って左右方向に往復移動可能な状態で支持されている。そして、キャリッジ28は、図示しない駆動機構の駆動に基づいてガイドレール27上を左右方向に移動する。
【0025】
キャリッジ28の下面には、矩形板状のスライド板29がキャリッジ28に対して前後方向にスライド移動可能に支持されている。また、スライド板29の下面には、記録材付着手段としての記録ヘッド30が支持されている。また、記録ヘッド30は、液体供給チューブ30aを介して複数(本実施形態では3つ)の液体カートリッジ32a,32b,32cに接続されている。そして、液体カートリッジ32aには、被転写体16に転写させる画像パターンを形成するための金属微粒子を含む箔形成用記録材としての金属インクが収容されている。また、液体カートリッジ32bには、被転写体16に転写される画像パターンを保護するためのオーバーコート液が収容されている。また、液体カートリッジ32cには、画像パターンを被転写体16に対して接着させるための接着液が収容されている。
【0026】
また、記録ヘッド30の下面には、図示しない複数のノズル開口が設けられている。そして、記録ヘッド30は、各液体カートリッジ32a,32b,32cから液体供給チューブ30aを介して供給された液体(金属インク、オーバーコート液、及び接着液)を各ノズル開口からプラテン26の支持面26a上に搬送されて停止された状態の基材フィルム12に向けて噴射する。なお、本実施形態では、図2に示すように、記録ヘッド30は、キャリッジ28の走査に伴って、ノズル開口からオーバーコート液、金属インク、及び接着液を基材フィルム12に順次噴射して、基材フィルム12上にオーバーコート液によるオーバーコート層A、金属インクによる金属インク層B、及び接着液による接着層Cを積層させて形成するようになっている。
【0027】
プラテン26の右方には、該プラテン26を挟んで中継ローラー25と対向するように転換ローラー31が回動自在に設けられている。なお、転換ローラー31の上面は、中継ローラー25の上面及びプラテン26の支持面26aに対して互いに面一になっている。また、中継ローラー25からプラテン26の支持面26aに沿って水平右方向に搬送される基材フィルム12及びキャリアフィルム20は、転換ローラー31に対して左側上方から巻き掛けられている。そして、両フィルム12,20は、転換ローラー31によって搬送方向が水平右方向から鉛直下方向に転換された状態で、基材フィルム12上における金属インクの付着領域が乾燥部15に向けて接近するように搬送される。
【0028】
乾燥部15には、印刷部14において記録ヘッド30から基材フィルム12上に噴射された金属インクの付着領域を強制的に乾燥させるための乾燥手段としての強制乾燥装置32が設けられている。強制乾燥装置32は、内部が中空状をなす筐体33を備え、該筐体33の内部にはヒーター34が設けられている。そして、転換ローラー31から鉛直下方向に搬送される両フィルム12,20は、筐体33の上壁部に設けられた挿通孔(図示略)を通って筐体33内に搬入される。また、両フィルム12,20は、筐体33内の下側領域に回転可能に設けられた転換ローラー35に左側上方から巻き掛けられて水平右方向に搬送された後、筐体33の右壁部に設けられた挿通孔(図示略)を通って筐体33外に搬出される。すなわち、両フィルム12,20のうち、基材フィルム12は、印刷部14においてオーバーコート層A、金属インク層B、及び接着層Cが積層された記録面を転換ローラー35に対して接触させる。
【0029】
また、筐体33内には、押圧手段としての押圧ローラー36が転換ローラー35に対して両フィルム12,20を挟んで対向するように設けられている。また、押圧ローラー36は、前後方向に延設された軸部37を中心として回動自在に構成されている。そして、押圧ローラー36は、印刷部14において基材フィルム12の記録面に形成されたオーバーコート層A、金属インク層B、及び接着層Cを転換ローラー35との間で挟圧可能となっている。
【0030】
また、押圧ローラー36の軸部37には、棒状の剛性体からなる連結部材38の長手方向の一端側が連結されている。また、筐体33内における押圧ローラー36の左斜め下方には、内部が中空の箱体状をなす中継部材39が設けられている。中継部材39には、押圧ローラー36に対向する上壁部に挿通孔(図示略)が形成されており、連結部材38の長手方向の他端側はこの挿通孔を通って中継部材39の内部に挿通されている。
【0031】
また、連結部材38の長手方向の途中位置には係止部40が設けられている。そして、この係止部40と中継部材39における押圧ローラー36に対向する上壁部との間には、コイルスプリング41が連結部材38の長手方向に沿うように連結部材38に巻装されている。
【0032】
また、筐体33内における中継部材39の左斜め下方には、側面視で略楕円形状をなす付勢手段としての偏心カム42が回転軸線42aを中心に偏心して回転可能に設けられている。偏心カム42は、略楕円形状をなす外周面が中継部材39の底壁部に当接して中継部材39を支持している。そして、中継部材39は、偏心カム42の回動に伴って偏心カム42の外周面から右斜め上方に押圧力を受けることにより、中継部材39の上壁部と連結部材38の係止部40との間で挟持されるコイルスプリング41を圧縮させるように、連結部材38に対して該連結部材38の長手方向に沿って相対変位するようになっている。
【0033】
また、両フィルム12,20の搬送経路上における転換ローラー31と強制乾燥装置32との間には、基材フィルム12における記録ヘッド30から噴射される金属インクを受容する面の表面温度を検出する温度検出手段としての温度センサー43が設けられている。また、温度センサー43は、制御部44に対して電気的に接続されている。そして、制御部44は、温度センサー43の検出結果に基づいて、ヒーター34による筐体33内の加熱温度を調整する。
【0034】
転換ローラー35の右方には、中継ローラー45が回動自在に設けられている。そして、転換ローラー35から水平右方向に向けて搬送される両フィルム12,20は、中継ローラー45に対して左側下方から巻き掛けられて鉛直上方向に搬送される。また、中継ローラー45の上方には、搬送手段としての駆動ローラー46が回動駆動可能に設けられている。そして、中継ローラー45から鉛直上方向に向けて搬送される両フィルム12,20は、駆動ローラー46に対して下側から巻き掛けられて転写部17に向けて水平右方向に搬送される。
【0035】
次に、転写ユニット101について説明する。
図1に示すように、転写部17において基材フィルム12の記録面側となる位置には、巻き軸47が回動自在に設けられている。そして、この巻き軸47には、長尺状の被転写体16がロール状に巻かれた状態で支持されている。また、転写部17には、駆動ローラー46から繰り出される両フィルム12,20と巻き軸47から繰り出される被転写体16とを重ね合わせた状態で挟圧する一対のローラー48,49が設けられている。そして、一対のローラー48,49は、基材フィルム12の記録面を被転写体16に対して圧着させるようになっている。
【0036】
なお、巻き軸47と一対のローラー48,49との間には、巻き軸47から繰り出される被転写体16の幅方向の位置を検出する位置検出センサー50が設けられている。また、駆動ローラー46と一対のローラー48,49との間には、駆動ローラー46から繰り出される両フィルム12,20の幅方向の位置を検出する位置検出センサー51が設けられている。そして、一対のローラー48,49は、これらの位置検出センサー50,51の検出結果に基づいて、印刷部14において基材フィルム12に形成された画像パターンを被転写体16上の所望の位置に位置合わせをした状態で重ね合わせることが可能となっている。
【0037】
また、一対のローラー48,49の右斜め下方には、巻き取り駆動軸52が回転駆動可能に設けられている。そして、巻き取り駆動軸52には、駆動ローラー46から繰り出される両フィルム12,20のうち、キャリアフィルム20が基材フィルム12から剥離された状態で巻き掛けられている。また、駆動ローラー46と一対のローラー48,49との間には、駆動ローラー46から繰り出される両フィルム12,20のうち、基材フィルム12の記録面に対してUV光を照射するUV光源53が設けられている。
【0038】
また、一対のローラー48,49の右方には、該一対のローラー48,49から繰り出される基材フィルム12及び被転写体16を挟んで対向するように転写手段としての一対の転写ローラー55,56が設けられている。そして、一対の転写ローラー55,56は、一対のローラー48,49から繰り出される基材フィルム12及び被転写体16を加熱しながら挟圧する。
【0039】
また、一対の転写ローラー55,56の右方には、分離ローラー57が回動自在に設けられている。そして、一対の転写ローラー55,56から水平右方向に繰り出される基材フィルム12は、被転写体16から剥離された状態で分離ローラー57に左側上方から巻き掛けられて鉛直下方向に搬送される。また、分離ローラー57の下方には、巻き取り駆動軸58が図示しない駆動機構の駆動に基づいて回転駆動可能に設けられている。そして、巻き取り駆動軸58には、分離ローラー57から繰り出される基材フィルム12が上方から巻き掛けられている。
【0040】
また、分離ローラー57の右方には、中継ローラー59が回動自在に設けられている。そして、分離ローラー57から水平右方向に繰り出される被転写体16は、中継ローラー59に左方から巻き掛けられて鉛直下方向に搬送される。また、中継ローラー59の下方には、巻き取り駆動軸60が回転駆動可能に設けられている。そして、巻き取り駆動軸60には、転写部17において基材フィルム12から画像パターンが熱転写された被転写体16が上方から巻き掛けられている。
【0041】
次に、上記のように構成された転写装置11の作用について、特に、金属インクによって形成される画像パターンを基材フィルム12から被転写体16に転写する際の作用に着目して以下説明する。
【0042】
まず、記録材付着段階として、図2に示すように、印刷部14において記録ヘッド30が基材フィルム12の記録面に向けてオーバーコート液、金属インク、及び接着液を重畳するように噴射する。この場合、基材フィルム12の記録面には、オーバーコート液によるオーバーコート層A、金属インクによる金属インク層B、および接着液による接着層Cが互いに波打ち形状の境界面を形成した状態で積層される。
【0043】
次に、平滑化段階として、図3(a)に示すように、押圧ローラー36が転換ローラー35に巻き掛けられたキャリアフィルム20から離間した状態で、偏心カム42を回転駆動させる。すると、偏心カム42は、回転軸線42aを中心として押圧ローラー36側となる右斜め上方に張り出す寸法を増大させるように偏心して回転する。そして、中継部材39は、偏心カム42の外周面によって押圧ローラー36に対して接近するように右斜め上方に押し上げられる。その結果、連結部材38の係止部40は、中継部材39の右斜め上方への変位に連動して、中継部材39との間に介設されたコイルスプリング41によって右斜め上方に向けての付勢力を受ける。そのため、押圧ローラー36は、連結部材38から転換ローラー35に接近するように右斜め上方への押圧力を受けることにより、転換ローラー35に巻き掛けられたキャリアフィルム20に対して当接するようになる。
【0044】
そして次に、図3(b)に示すように、偏心カム42を更に回転駆動させると、偏心カム42は、回転軸線42aを中心として押圧ローラー36側となる右斜め上方に張り出す寸法を更に増大させるように偏心して回転する。そして、中継部材39は、偏心カム42の外周面によって押圧ローラー36に対して更に接近するように右斜め上方に押し上げられる。ここで、押圧ローラー36は、転換ローラー35に巻き掛けられたキャリアフィルム20に当接しているため、右斜め上方に向けての更なる変位はキャリアフィルム20によって規制されている。また、連結部材38は、長手方向の一端側が押圧ローラー36の軸部37に対して相対変位不能に固定されている。そのため、中継部材39が右斜め上方に変位すると、連結部材38は、長手方向の他端側が中継部材39の内部に進入する比率を増大させる。その結果、連結部材38の係止部40は、中継部材39に対して接近するように相対変位することとなる。そして、連結部材38の係止部40と中継部材39との間に介設されたコイルスプリング41は、連結部材38の長手方向に圧縮される。すると、押圧ローラー36は、連結部材38の係止部40がコイルスプリング41によって転換ローラー35に向けて付勢されるため、転換ローラー35との間で基材フィルム12及びキャリアフィルム20を挟圧する。
【0045】
更に、図3(c)に示すように、偏心カム42を更に回転駆動させると、偏心カム42は、回転軸線42aを中心として押圧ローラー36側となる右斜め上方に張り出す寸法を更に増大させるように偏心して回転する。そして、中継部材39は、偏心カム42の外周面によって押圧ローラー36に対して更に接近するように右斜め上方に押し上げられる。また、中継部材39が右斜め上方に変位すると、連結部材38の係止部40は、中継部材39に対して更に接近するように相対変位することとなる。そして、連結部材38の係止部40と中継部材39との間に介設されたコイルスプリング41は、連結部材38の長手方向に更に圧縮される。すると、押圧ローラー36は、連結部材38の係止部40がコイルスプリング41から転換ローラー35に向けてより強く付勢されるため、転換ローラー35との間で基材フィルム12及びキャリアフィルム20をより強く挟圧する。
【0046】
ここで、印刷部14において基材フィルム12の記録面に金属インクによる細密な画像パターンが形成されている場合には、押圧ローラー36による転換ローラー35に対する押圧力が比較的弱くなるように設定する。すると、転換ローラー35は、金属インクによる画像パターンに対して弱く圧接するため、基材フィルム12に形成された細密な画像パターンの形状を乱すことなく、金属インク層Bの表面が平滑化される。
【0047】
一方、印刷部14において基材フィルム12の記録面に金属インクによる簡素な画像パターン(例えば、ベタ印刷)が形成されている場合には、押圧ローラー36による転換ローラー35に対する押圧力が比較的強くなるように設定する。すると、転換ローラー35は、金属インクによる画像パターンに対して強く圧接するため、金属インク層Bの表面がより確実に平滑化される。
【0048】
すなわち、本実施形態では、転換ローラー35、押圧ローラー36、連結部材38、中継部材39、コイルスプリング41、及び偏心カム42によって、基材フィルム12に付着した金属インク層Bの表面を平滑化する平滑化手段が構成されている。
【0049】
なお、転換ローラー35は、弾性材料によって構成されており、基材フィルム12における金属インク層Bが形成される記録面の凹凸形状に合わせて弾性変形しながら密着するため、基材フィルム12の記録面に形成された金属インク層Bの表面を確実に平滑化することが可能となっている。
【0050】
続いて、補強材分離段階として、図4に示すように、転写部17において一対のローラー48,49は、印刷部14においてオーバーコート層A、金属インク層B、及び接着層Cが積層された基材フィルム12の記録面を被転写体16に対して圧着させつつ、基材フィルム12からキャリアフィルム20を剥離させる。
【0051】
なお、基材フィルム12は、一対のローラー48,49によって挟圧される前段階で、接着力低下段階として、UV光源53からUV光が照射される。また、基材フィルム12は、UV透過性を有する材質から構成されている。そして、UV光源53から基材フィルム12に照射されるUV光は、基材フィルム12を透過した後、基材フィルム12とキャリアフィルム20とを接着するUV剥離型の接着剤による接着剤層24を照射する。すると、接着剤層24は、UV光源53からのUV光の照射に伴って基材フィルム12に対する接着力及びキャリアフィルム20に対する接着力が減少(変化)する。そのため、一対のローラー48,49は、基材フィルム12からキャリアフィルム20を容易に剥離させることが可能となっている。
【0052】
そして次に、転写段階として、一対の転写ローラー55,56が一対のローラー48,49から繰り出される基材フィルム12及び被転写体16を加熱しながら挟圧する。すると、印刷部14において基材フィルム12の記録面に噴射された接着液からなる接着層Cは、転写ローラー55,56によって加熱されて溶融状態となる。その結果、接着層Cは、被転写体16における基材フィルム12に対する接着面に対して隙間なく接触するように、該接着面の凹凸形状に合わせて流動しながら変形する。そのため、印刷部14において基材フィルム12の記録面に噴射された金属インクからなる金属インク層Bは、接着層Cを介して被転写体16に対して強固に接着する。したがって、印刷部14において基材フィルム12に形成された金属インクによる画像パターンは接着層Cを介して被転写体16に熱転写される。
【0053】
続いて、分離ローラー57は、一対の転写ローラー55,56から繰り出される基材フィルム12及び被転写体16のうち、被転写体16から基材フィルム12を剥離させる。なお、基材フィルム12の記録面に形成されるオーバーコート層Aは、金属インク層Bに対する接着力が基材フィルム12に対する接着力よりも大きくなるように構成されている。そのため、分離ローラー57は、被転写体16から基材フィルム12を剥離させる過程で、被転写体16に熱転写されるオーバーコート層Aを基材フィルム12と共に被転写体16から剥離させることはほとんどない。したがって、オーバーコート層Aは、金属インク層Bと共に被転写体16に対して熱転写される場合、金属インク層Bの表面の全域を被覆することになるため、金属インク層Bの耐摩擦性を向上させることが可能となっている。
【0054】
なお、本実施形態では、制御部44は、温度センサー43によって検出される基材フィルム12の表面温度に基づいて、ヒーター34による筐体33内の加熱温度を調整する。ここで、温度センサー43によって検出される基材フィルム12の表面温度は、記録ヘッド30から噴射された金属インクが、プラテン26の支持面26a上を通過する過程でプラテン26に埋設されたヒーターによって支持面26aを介して加熱されて乾燥される程度を示す指標となっている。そのため、印刷部14において記録ヘッド30から基材フィルム12に噴射された金属インクは、乾燥部15において筐体33内で転換ローラー35と押圧ローラー36との間で挟圧される時点で確実に半溶融状態となっている。したがって、転換ローラー35は、半溶融状態にある金属インクによる金属インク層Bを押圧ローラー36との間で挟圧することにより確実に平滑化することが可能となっている。
【0055】
また、本実施形態では、基材フィルム12を搬送する際に、基材フィルム12を補強するためのキャリアフィルム20が用いられている。そのため、基材フィルム12の剛性が増大することにより、基材フィルム12が搬送方向に延伸することが抑制される。したがって、印刷部14において記録ヘッド30から基材フィルム12上の所望の位置に金属インクを噴射することができるため、金属インクによる画像パターンの品質を向上することができる。また、転写部17において基材フィルム12と被転写体16とを精度良く位置合わせすることができるため、基材フィルム12から被転写体16上の所望の位置に金属インクによる画像パターンを転写することができる。
【0056】
また、本実施形態では、接着剤層24は、キャリアフィルム20に対する接着力が、基材フィルム12に対する接着力よりも大きくなるように構成されている。そのため、接着剤層24は、キャリアフィルム20を基材フィルム12から剥離する際に、キャリアフィルム20と共に基材フィルム12から剥離される。したがって、一対の転写ローラー55,56が基材フィルム12を挟圧する際に、接着剤層24が基材フィルム12を介してこれらの転写ローラー55,56に粘着して汚染することはない。
【0057】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、金属インク層Bは、半溶融状態にある表面が転換ローラー35及び押圧ローラー36によって挟圧されて円滑に平滑化される。なお、金属インク層Bは、転換ローラー35及び押圧ローラー36によって平滑化される表面が被転写体16に対して接触する面となる。そのため、金属インク層Bが被転写体16に対して金属箔として転写されることにより、この金属箔を被転写体16越しに見た場合の光沢性を十分に得ることができる。
【0058】
(2)上記実施形態では、金属インクが基材フィルム12の記録面に細密な画像パターンを形成している場合、押圧ローラー36による転換ローラー35に対する押圧力を低減させると、転換ローラー35は、基材フィルム12の記録面に形成された金属インクによる画像パターンに対して弱く圧接するため、基材フィルム12の記録面上の細密な画像パターンの形状を乱すことはほとんどない。一方、金属インクが基材フィルム12の記録面上に簡素な画像パターンを形成している場合、押圧ローラー36による転換ローラー35に対する押圧力を増大させると、転換ローラー35は、基材フィルム12の記録面上に形成された金属インクによる画像パターンに対して強く圧接するため、金属インク層Bの表面をより確実に平滑化させることができる。
【0059】
(3)上記実施形態では、基材フィルム12における金属インクが付着する記録面の温度に基づいて、基材フィルム12の記録面に付着した金属インクが、強制乾燥装置32に搬入される前段階でどの程度乾燥されるかが予測される。そして、この予測された結果を参照しつつ、強制乾燥装置32による金属インクの乾燥条件を設定する。その結果、基材フィルム12の記録面に付着した金属インクを転換ローラー35及び押圧ローラー36によって挟圧する時点で確実に半溶融状態にすることができる。
【0060】
(4)上記実施形態では、キャリアフィルム20は、基材フィルム12が搬送方向に沿うように作用する力によって延伸することを抑制する。したがって、転写時には、基材フィルム12の記録面に付着した金属インク層Bを被転写体16に対して正確に位置決めすることができるため、基材フィルム12から被転写体16上の所望の位置に金属インク層Bを転写することができる。また、基材フィルム12からキャリアフィルム20を分離する場合には、基材フィルム12とキャリアフィルム20との間に介在する接着剤層24は、キャリアフィルム20と共に基材フィルム12から分離される。したがって、転写ローラー55,56が基材フィルム12から被転写体16に対して金属インク層Bを転写する際に、接着剤層24が基材フィルム12を介して転写ローラー55,56に粘着して汚染することが抑制される。
【0061】
(5)上記実施形態では、基材フィルム12の搬送時には、接着剤層24が基材フィルム12及びキャリアフィルム20に対する接着力を強めることにより、基材フィルム12からキャリアフィルム20が剥離することを確実に防止できる。一方、基材フィルム12からキャリアフィルム20を分離する場合には、接着剤層24が基材フィルム12及びキャリアフィルム20に対する接着力を弱めることにより、基材フィルム12からキャリアフィルム20を容易に剥離させることができる。すなわち、搬送時における基材フィルム12の強度の信頼性を高めつつ、必要に応じて基材フィルム12からキャリアフィルム20を容易に分離可能とする構成を実現することができる。
【0062】
(6)上記実施形態では、キャリアフィルム20は、一対の転写ローラー55,56が基材フィルム12から被転写体16に金属インク層Bを熱転写する前段階で基材フィルム12から分離される。そのため、キャリアフィルム20には、転写時において外部から圧力や熱が作用することはない。したがって、キャリアフィルム20は、転写に際して形状が歪むことはなく、基材フィルム12から分離されたキャリアフィルム20を再帰的に利用することができる。
【0063】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、印刷部14において記録ヘッド30から基材フィルム12に噴射される金属インクとしてUV硬化型のインクを採用してもよい。
【0064】
この場合、基材フィルム12に付着した金属インクを定着させるために、転換ローラー31と転換ローラー35との間に、基材フィルム12における金属インクが付着した面に対してUV光を照射するUV光源を設けることが望ましい。さらに、基材フィルム12に対する金属インクの付着態様に応じて、UV光源から基材フィルム12に照射されるUV光の光強度を調整することにより、基材フィルム12に付着した金属インクが転換ローラー35及び押圧ローラー36によって挟圧される時点で半溶融状態とすることが望ましい。
【0065】
また、この場合、基材フィルム12とキャリアフィルム20を接着する接着剤として熱溶融型の接着剤を用いてもよい。そして、基材フィルム12からキャリアフィルム20を剥離する前段階で両フィルム12,20を加熱することにより、基材フィルム12からキャリアフィルム20を容易に剥離させることができる。
【0066】
・上記実施形態において、基材フィルム12及びキャリアフィルム20の搬送経路上における転換ローラー31及び転換ローラー35の間、又は、転換ローラー35及び中継ローラー45の間に、基材フィルム12に対して転換ローラー35側に向けての張力を作用させるテンションローラーを設けてもよい。
【0067】
この構成によれば、テンションローラーが基材フィルム12に対して転換ローラー35側に作用させる張力の大きさを制御することにより、基材フィルム12が転換ローラー35に対して圧着する力の大きさが調整される。そのため、転換ローラー35は、基材フィルム12の記録面に形成された金属インク層Bに対する押圧力を調整することができる。
【0068】
・上記実施形態において、押圧ローラー36は、基材フィルム12における金属インク層Bが形成された記録面に当接する構成としてもよい。この場合、押圧ローラー36に対して基材フィルム12を挟んで対向するように支持ローラーを設け、押圧ローラー36と支持ローラーとの間で基材フィルム12を挟圧することにより、基材フィルム12に付着した金属インク層Bの表面を平滑化することができる。
【0069】
・上記実施形態において、制御部44は、温度センサー43の検出結果に基づいて、基材フィルム12及びキャリアフィルム20の搬送速度を制御してもよい。
この構成によれば、印刷部14において記録ヘッド30から基材フィルム12に噴射される金属インクは、強制乾燥装置32における筐体33内の乾燥領域を通過する際の所要時間が調整される。その結果、基材フィルム12に付着した金属インクは、筐体33内の乾燥領域を通過する過程で受熱する熱量が調整されるため、転換ローラー35と押圧ローラー36の間で挟圧される時点で確実に半溶融状態となる。したがって、転換ローラー35は、半溶融状態にある金属インクによる金属インク層Bを押圧ローラー36との間で挟圧することにより確実に平滑化することができる。
【0070】
・上記実施形態において、基材フィルム12及びキャリアフィルム20を接着する接着剤層24が、両フィルム12,20のうち何れか一方のフィルムに予め形成された構成としてもよい。この場合、接着剤層24が形成されたフィルムを支持する巻き軸と一対のローラー21,22との間に、接着剤層24を加熱して溶融させるための加熱ヒーターを設ける構成としてもよい。
【0071】
・上記実施形態において、印刷部14において、基材フィルム12に対してオーバーコート液、金属インク、及び、接着液のうち少なくとも一つの液体を塗布する液体コーター手段を設けてもよい。
【0072】
・上記実施形態において、印刷部14において、基材フィルム12に対してオーバーコート液を付着させるための機構は省略してもよい。この場合、基材フィルム12における金属インクが付着する記録面に対してオーバーコート層が予め形成されていることが望ましい。
【0073】
・上記実施形態において、基材フィルム12から剥離されたキャリアフィルム20を繰り出し部13に周回させることにより、キャリアフィルム20を無端状に周回駆動させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0074】
11…転写装置、12…基材としての基材フィルム、16…ターゲットとしての被転写体、20…補強材としてのキャリアフィルム、24…接着剤層、30…記録材付着手段としての記録ヘッド、32…乾燥手段としての強制乾燥装置、35…平滑化手段を構成する転換ローラー、36…平滑化手段を構成する押圧部材としての押圧ローラー、38…平滑化手段を構成する連結部材、39…平滑化手段を構成する中継部材、41…平滑化手段を構成するコイルスプリング、42…平滑化手段を構成する付勢手段としての偏心カム、43…温度検出手段としての温度センサー、46…搬送手段としての駆動ローラー、B…箔形成用記録材としての金属インク、55,56…転写手段としての一対の転写ローラー、100…転写媒体製造装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットに対して転写可能な金属微粒子を含む箔形成用記録材を基材に付着させた転写媒体を製造するための転写媒体製造方法において、
前記基材に対して前記箔形成用記録材を付着させる記録材付着段階と、
前記記録材付着段階にて前記基材に付着した半溶融状態にある前記箔形成用記録材の表面を平滑化する平滑化段階と、
を備えたことを特徴とする転写媒体製造方法。
【請求項2】
基材に対して金属微粒子を含む箔形成用記録材を付着させる記録材付着段階と、
前記記録材付着段階にて前記基材に付着された半溶融状態にある前記箔形成用記録材の表面を平滑化する平滑化段階と、
前記平滑化段階にて表面が平滑化された前記箔形成用記録材を前記基材からターゲットに対して転写させる転写段階と、
を備えたことを特徴とする転写方法。
【請求項3】
ターゲットに対して転写可能な金属微粒子を含む箔形成用記録材を基材に付着させた転写媒体を製造するための転写媒体製造装置において、
前記基材に対して前記箔形成用記録材を付着させる記録材付着手段と、
前記記録材付着手段によって前記基材に付着された前記箔形成用記録材の表面を平滑化する平滑化手段と、
を備えたことを特徴とする転写媒体製造装置。
【請求項4】
請求項3に記載の転写媒体製造装置において、
前記平滑化手段は、
前記基材に付着された前記箔形成用記録材を押圧可能な押圧手段と、
前記押圧手段を前記箔形成用記録材に向けて付勢する付勢手段と、
を備え、
前記基材に対する前記箔形成用記録材の付着態様に応じて、前記付勢手段による前記押圧手段に対する付勢力を調整することを特徴とする転写媒体製造装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の転写媒体製造装置において、
前記基材における前記箔形成用記録材の付着領域が前記平滑化手段に向けて接近するように前記基材を搬送する搬送手段と、
前記基材の搬送経路上における前記記録材付着手段と前記平滑化手段の間に設けられ、前記基材における前記箔形成用記録材が付着する面の温度を検出する温度検出手段と、
前記基材の搬送経路上における前記温度検出手段と前記平滑化手段の間に設けられ、前記基材における前記箔形成用記録材の付着領域を乾燥させる乾燥手段と、を更に備え、
前記温度検出手段の検出結果に基づき、前記乾燥手段による前記箔形成用記録材の乾燥条件を設定することを特徴とする転写媒体製造装置。
【請求項6】
請求項3〜請求項5のうち何れか一項に記載の転写媒体製造装置と、
前記転写媒体製造装置によって製造された前記転写媒体から前記箔形成用記録材を前記ターゲットに対して転写させる転写手段と、
を備えたことを特徴とする転写装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−37111(P2011−37111A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185927(P2009−185927)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】