説明

軸受装置

【課題】回転軸上の滑り軸受の滑り機能と転がり軸受の転がり機能を完全に任意に分離でき、滑り軸受のフリクションを低減し、且つ転がり軸受の転がり疲労寿命を大きく延長できること。
【解決手段】ハウジング11に収納された回転体を支持する滑り軸受2と、滑り軸受に並列に配設され、回転体を支持する転がり軸受である斜接玉軸受3とを軸受装置は有し、斜接玉軸受の外輪4aを軸方向に移動させる移動機構である外輪可動部材8及び駆動装置15を設け、駆動装置による外輪可動部材及び外輪の軸方向移動により斜接玉軸受のアキシャル隙間を変化させそれに比例的に変化する斜接玉軸受のラジアル隙間を変化させて、斜接玉軸受のラジアル隙間が滑り軸受のラジアル隙間より大きい場合に滑り軸受のみを機能させ、斜接玉軸受のラジアル隙間が滑り軸受のラジアル隙間より小さい場合に斜接玉軸受のみを機能させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のエンジンのクランクシャフトあるいはカムシャフトを支持する軸受装置、トランスミッションのギヤシャフトを支持する軸受装置及びその他の回転軸あるいは回転体を支持する軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日地球温暖化対策の要求が強まり、その主要な指標としてCO2削減が上げられ、例えば自動車においては、アイドリングストップ(信号待ちなどでのエンジン停止)が励行されている。また、産業社会全体でのフリクションの低減も温暖化対策の重要なテーマに掲げられ、回転体を支持する軸受装置においてもフリクション低減対策が求められている。
軸受装置の機構には大別して滑り軸受と転がり軸受が従来から使用されている。図11に本発明者が行った滑り軸受と転がり軸受をそれぞれ単独で使用した場合の回転速度とフリクションの関係の評価結果を示すが、図11のグラフ中の滑り軸受aでは、始動直後に大きなフリクションを現し、その後にフリクションは低下して最小に達し、さらにその後は徐々にフリクションが増大するという傾向を有し、図中11のグラフ中の転がり軸受bでは始動時はフリクションは略0でその後に漸増する傾向を有し、高速回転領域で滑り軸受と転がり軸受のフリクションが漸近するという傾向を示している。
【0003】
フリクションを低減する目的で転がり軸受を使用することは一般的に行われている。一方で、滑り軸受においては、潤滑が適切な条件下ではその寿命は永久的であるが、転がり軸受においては、適切な潤滑や使用条件下においても、図12のグラフに示すように転がり疲労を原因とする有限な寿命を有している。
そこで、従来より滑り軸受と転がり軸受の特性を生かすようにした滑り軸受と転がり軸受を回転軸上に並列に配置した軸受装置が提案されている。
【0004】
従来の滑り軸受と転がり軸受を回転軸上に並列に配置した軸受装置としては、回転軸上に滑り軸受と回転軸に連結された部位を外輪とした円筒ころ軸受を配置した装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この軸受装置は、高速回転領域で外輪が自身の遠心力によって外側に膨張し外輪の軌道ところが片当り状態となって剛性が滑り軸受よりも低下した場合に、高剛性側の滑り軸受で回転軸を支持することができるとされている。
また、従来のもう1つの軸受装置は、上記の円筒ころ軸受に対して斜接玉軸受を使用したものである(例えば、特許文献2参照)。
さらに、滑り軸受と転がり軸受の機能を分離する機構を有する従来の別の軸受装置は、ディスクブレーキを装着した技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
さらにまた、従来のもう1つ別の軸受装置は、滑り軸受と玉軸受を軸方向に間隔を置いて配置したものである(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平11−13754号公報(第1頁、第1図)
【特許文献2】特開平2−35216号公報(第1頁、第1図)
【特許文献3】特開平3−111103号公報(第1頁、第1図)
【特許文献4】特開平9−317758号公報(第1頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の従来の軸受装置においては、転がり軸受から滑り軸受への支持機能の切り替えが遠心力によっているため、低速領域あるいは任意の回転速度において切り替えることはできない。また、高速領域において転がり軸受と滑り軸受の完全な機能分離が機構上で保証されておらず、さらには高速領域で転がり軸受のころが片当り状態で運転されることが前提とされているために、転がり軸受の転がり疲労寿命を短縮させてしまうなどの問題を有している。
【0006】
また、特許文献2に記載の従来の軸受装置も、上記同様に、転がり軸受から滑り軸受への支持機能の切り替えが遠心力によっているため、低速領域あるいは任意の回転速度において切り替えることはできず、また、高速領域において転がり軸受と滑り軸受の完全な機能分離が機構上で保証されていないという問題を有している。
【0007】
さらに、特許文献3に記載の従来の軸受装置においては、転がり軸受として使用するときに転がり軸受用ハウジングを主軸台本体にディスクブレーキによってクランプし、転がり軸受のみの作用を行わせるが、ディスクブレーキが開放されている場合には、滑り軸受と転がり軸受が同時に作用する構造となっており、滑り軸受と転がり軸受の完全な機能分離は保証されていない。さらにこの装置では、低速領域で滑り軸受と転がり軸受が作用し、高速域で転がり軸受が作用するため、フリクション増大及び転がり軸受の転がり疲労寿命短縮という問題を有している。
【0008】
さらにまた、特許文献4に記載の従来の軸受装置は、滑り軸受が作用することで発生した高圧の油が隙間空間である圧力室に導かれ、この油圧によって軸を軸方向に押し、これにより玉軸受に予圧を作用させることを特徴としており、滑り軸受と転がり軸受の機能分離は行われない。
このように特許文献1〜4に記載のいずれの従来の軸受装置も、滑り機能と転がり機能を完全に任意に分離する機構を有していないものである。
【0009】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、回転軸上に並列に配置された滑り軸受の滑り機能と転がり軸受の転がり機能を完全に任意に分離できるようにし、滑り軸受のフリクションを低減し、なお且つ転がり軸受の転がり疲労寿命を大きく延長することができる軸受装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る軸受装置は、ハウジング内で回転体を回転可能に支持する軸受装置であって、前記ハウジングに収納された前記回転体を支持する滑り軸受と、該滑り軸受に並列に配設され、前記回転体を支持する転がり軸受とを有し、該転がり軸受の内輪又は外輪を軸方向に移動させる移動機構を設け、該移動装置の駆動により前記内輪又は外輪を軸方向に相対移動させて前記転がり軸受のアキシャル隙間を変化させそれに比例的に変化する前記転がり軸受のラジアル隙間を変化させて、前記転がり軸受のラジアル隙間が前記滑り軸受のラジアル隙間より大きい場合に前記滑り軸受のみを機能させ、前記転がり軸受のラジアル隙間が前記滑り軸受のラジアル隙間より小さい場合に前記転がり軸受のみを機能させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る軸受装置においては、ハウジング内で回転体を回転可能に支持する軸受装置であって、前記ハウジングに収納された前記回転体を支持する滑り軸受と、該滑り軸受に並列に配設され、前記回転体を支持する転がり軸受とを有し、該転がり軸受の内輪又は外輪を軸方向に移動させる移動機構を設け、該移動装置の駆動により前記内輪又は外輪を軸方向に相対移動させて前記転がり軸受のアキシャル隙間を変化させそれに比例的に変化する前記転がり軸受のラジアル隙間を変化させて、前記転がり軸受のラジアル隙間が前記滑り軸受のラジアル隙間より大きい場合に前記滑り軸受のみを機能させ、前記転がり軸受のラジアル隙間が前記滑り軸受のラジアル隙間より小さい場合に前記転がり軸受のみを機能させるようにしたので、例えば、滑り軸受のフリクションが大きい始動時等の回転速度の低い領域では転がり軸受のみを機能させてフリクションを低減し、高速回転領域では滑り軸受のみを機能させ、転がり軸受の転がり疲労寿命を延長させるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1の軸受装置の構成を示す断面図、図2は同軸受装置の右側面図、図3は同軸受装置の斜接玉軸受と滑り軸受との切替を示す説明図である。
図1、2において、回転軸1上には、その両端側にそれぞれリング状の滑り軸受2と転がり軸受である斜接玉軸受(アンギュラ玉軸受)3とが並列に配置されている。斜接玉軸受3は外輪4a、4bと、内輪5と、外輪4a、4bと内輪5との間に介装された複数の玉6とから構成されている。
各斜接玉軸受3の内輪5は回転軸1に装着されている。回転軸1の左端側の斜接玉軸受3の外輪4bは円筒状の外輪固定部材7の内周側に装着されている。回転軸1の右端側の斜接玉軸受3の外輪4aは円筒状の外輪可動部材8の内周側に装着されている。その外輪可動部材8は一端外周にネジ溝9を有し、他端外周に扇状歯車10を有している。
【0013】
11は回転軸1、滑り軸受2及び斜接玉軸受3を収容した円筒状のハウジングである。そのハウジング11の右端内周に外輪可動部材8のネジ溝9と螺合するネジ溝12が設けられている。そのハウジング11の左端に外輪4bを装着した外輪固定部材7が装着固定されている。
そのハウジング11の右端側外周にモーター及び減速機を内蔵する駆動装置15が設けられている。16は駆動装置15の駆動歯車で、外輪可動部材8の扇状歯車10と歯合している。17は回転軸1の回転速度を検出する回転速度検出装置、18は制御装置で、回転速度検出装置17の回転速度検出信号に基づいて駆動装置15を駆動制御する。
【0014】
次に、本発明の実施の形態1の軸受装置の滑り軸受と斜接玉軸受がそれぞれ機能する場合について図3に基づいて説明する。
図3の(a)では、斜接玉軸受3の外輪4が内輪5と接触している玉6と接触し、滑り軸受2と回転軸1との間にラジアル隙間101を生じていることを表し、この状態では、軸受装置は斜接玉軸受3のみが機能していることを示している
図3の(b)では、図3の(a)の状態から外輪4が軸方向に102で示された量だけ移動し、その時に、斜接玉軸受3の内部には、外輪4の移動量102と同量のアキシャル隙間103が発生し、比例してラジアル隙間104が発生することを示し、更に、この斜接玉軸受3の内部に発生したラジアル隙間104が、滑り軸受2と回転軸1との間のラジアル隙間101よりも大きいことを示している。
図3の(c)は、図3の(b)の状態で、回転軸1と内輪5及び玉6が、自重あるいは外部負荷により、105の方向に移動し、回転軸1と滑り軸受2が106の部位で接触し、さらに、斜接玉軸受3の内部には隙間107が残留しており、この時には、軸受装置は滑り軸受2のみが機能していることを示している。
【0015】
次に、本発明の実施の形態1の軸受装置の作用について図1〜図3に基づいて説明する。
例えば、軸受装置の始動時に、図1に示す回転速度検出装置17から制御装置18に伝達された回転速度の信号が0の時、制御装置18は駆動装置15に対して例えば正転を指示し、その駆動装置15は駆動歯車16を正転させ、駆動歯車16と歯合している扇状歯車10を有する外輪可動部材8を正転させる。
そうすると、ハウジング11のネジ溝12に螺合するネジ溝9を有する外輪可動部材8が軸方向で図1の左方向に移動し、外輪4aを同左方向に移動させ、図3(a)の状態を形成する。その状態で回転軸1が回転を開始すると軸受装置は斜接玉軸受3のみが機能を果たし続ける。
【0016】
その後、回転軸1の回転速度が上昇し、制御装置13が回転速度検出装置17の回転速度検出信号の回転速度が設定された回転速度を越えたと判断したら、制御装置13は駆動装置15に対して逆転を指示する。そうすると、駆動装置15は駆動歯車16を逆回転させ、駆動歯車16と歯合している扇状歯車10を有する外輪可動部材8を逆回転させる。 そうすると、ハウジング11のネジ溝12に螺合するネジ溝9を有する外輪可動部材8が軸方向で図1の右方向に移動し、外輪4aを同右方向に移動させ、図3(b)乃至(c)の状態を形成する。その状態で回転軸1が回転すると軸受装置は滑り軸受2のみが機能を果たす状態に達する。
【0017】
このように外輪可動部材8が軸方向で図1の右方向に移動し、外輪4aを同右方向に移動させられたとき、外輪4aの移動量102と同量のアキシャル隙間103が発生するため、回転軸1も右方向に移動可能となり、回転軸1が右方向に移動すると回転軸1の左端側の斜接玉軸受3の内輪5も移動し、外輪4bは固定されているため、内輪5の移動量102と同量のアキシャル隙間103が発生し、この斜接玉軸受3も図3(b)乃至(c)と同様の状態を形成し、機能を果たさない。
したがって、回転軸1が回転すると軸受装置は滑り軸受2のみが機能を果たす状態に達する。
【0018】
さらに、制御装置13が回転軸1の回転速度が下降傾向にあり、制御装置13が回転速度検出装置17の回転速度検出信号の回転速度が設定された回転速度を下回ったと判断したら、制御装置18は駆動装置15に対して正転を指示し、その駆動装置15は駆動歯車16を正回転させ、駆動歯車16と歯合している扇状歯車10を有する外輪可動部材8を正転させる。
そうすると、ハウジング11のネジ溝12に螺合するネジ溝9を有する外輪可動部材8が軸方向で図1の左方向に移動し、外輪4aを同左方向に移動させ、図3(a)の状態を形成する。その状態で回転軸1が回転を開始すると軸受装置は斜接玉軸受3のみが機能を果たすようにする。
このようにして本発明の実施の形態1は、滑り軸受2と斜接玉軸受3が並列に配置された軸受装置において、滑り軸受2の滑り機能と斜接玉軸受3の転がり機能を完全に任意に分離することが可能である。
【0019】
実施の形態2.
図4は本発明の実施の形態2の軸受装置の構成を示す断面図、図5は同軸受装置の側面図である。この実施の形態2において、上記実施の形態1と同様の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略する。
この実施の形態2では、回転軸1の右端側の斜接玉軸受3の外輪4は円筒状の外輪可動部材28の内周側に装着されている。その外輪可動部材28はハウジング11の右端側内周に軸方向に可動可能に装着されている。
ハウジング11の右端側外周に駆動装置15が実施の形態1とは90度向きを変えて設けられている。なお、回転速度検出装置17及び制御装置18は図示を省略している。
駆動装置15の駆動歯車16には扇状歯車33が歯合されている。32は回転に伴い外輪可動部材28を可動させるカムであり、カム32と扇状歯車33はハウジング11に回転自在に支持された軸34に締結されている。35は外輪可動部材28を図4において右方向常時付勢するコイルバネである。
【0020】
この実施の形態2では、回転軸1の回転速度が0の場合又は回転軸1の回転速度が所定の回転速度を下回った場合には、制御装置(図示省略)は駆動装置15に対して正転を指示し、その駆動装置15は駆動歯車16を正回転させ、駆動歯車16と歯合している扇状歯車10を正転させる。それに伴い、扇状歯車10と軸34に締結されているカム32も正回転し、カム32が外輪4を装着している外輪可動部材28を軸方向で図4の左方向に移動させ、斜接玉軸受3のみを機能させる。
また、回転軸1の回転速度が所定の回転速度を越えた場合には、制御装置(図示省略)は駆動装置15に対して逆転を指示し、その駆動装置15は駆動歯車16を逆転させ、駆動歯車16と歯合している扇状歯車10を逆転させる。それに伴い、扇状歯車10と軸34に締結されているカム32も逆回転する。このとき、コイルバネ35の付勢力によって外輪可動部材28を軸方向で図4の右方向に移動させ、滑り軸受2のみを機能させるようにする。
このようにして本発明の実施の形態2も、滑り軸受2と斜接玉軸受3が並列に配置された軸受装置において、滑り軸受2の滑り機能と斜接玉軸受3の転がり機能を完全に任意に分離することが可能である。
【0021】
実施の形態3.
図6は本発明の実施の形態3の軸受装置の構成を示す断面図である。
この実施の形態32において、上記実施の形態1と同様の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略する。
この実施の形態3では、実施の形態2と同様に、回転軸1の右端側の斜接玉軸受3の外輪4は円筒状の外輪可動部材28の内周側に装着されている。その外輪可動部材28はハウジング11の右端側内周に軸方向に可動可能に装着されている。
また、ハウジング11の右端側内周で外輪可動部材28より右側に軸方向に可動して外輪可動部材28を可動させる外輪駆動部材42が設けられている。さらに、ハウジング11の右端側内周に励磁の有無によって外輪駆動部材42を軸方向に可動させる電磁石43が設けられている。
その電磁石43は制御装置18により駆動制御され、その制御装置18には回転速度検出装置17が接続されている。44は外輪可動部材28を図4において右方向に常時付勢するコイルバネである。
【0022】
この実施の形態3では、回転速度検出装置17の回転速度の信号が0の場合や、回転軸1の回転速度が下降傾向にあり、回転速度検出装置17の回転速度検出信号の回転速度が設定された回転速度を下回ったと判断した場合、制御装置18は電磁石43を励磁させて電磁石43の吸引力により外輪駆動部材42を図4の左方向に引き寄せ、外輪駆動部材42が外輪4を装着している外輪可動部材28を軸方向で図4の左方向に移動させ、斜接玉軸受3のみを機能させる。
また、回転軸1の回転速度が所定の回転速度を越えた場合には、制御装置18は電磁石43を非励磁とする。そうすると、コイルバネ35の付勢力によって外輪可動部材28を軸方向で図4の右方向に移動させ、滑り軸受2のみを機能させるようにする。このとき、外輪可動部材28の右方向の移動に伴い外輪駆動部材42も右方向に移動する。
このようにして本発明の実施の形態3も、滑り軸受2と斜接玉軸受3が並列に配置された軸受装置において、滑り軸受2の滑り機能と斜接玉軸受3の転がり機能を完全に任意に分離することが可能である。
【0023】
実施の形態4.
図7は本発明の実施の形態4の軸受装置の構成を示す断面図である。
この実施の形態4は軸受装置の転がり軸受に円すいころ軸受43を使用したものであり、実施の形態1の斜接玉軸受3の玉6の代わりにころ44を用いいる。
この実施の形態4の作用は実施の形態1と同様であるので、作用の説明は省略する。
【0024】
実施の形態5.
図8は本発明の実施の形態5の軸受装置の構成を示す断面図、図9は同軸受装置の深溝玉軸受と滑り軸受との切替を示す説明図である。
この実施の形態5は軸受装置の転がり軸受に深溝玉軸受53を使用したものである。
外輪4の移動の構成は実施の形態1と同様の構成であるので、上記実施の形態1と同一符号を付して重複した構成及び作用の説明を省略する。
【0025】
この実施の形態5において、滑り軸受2と深溝玉軸受53とが外輪4の移動の有無によって滑り軸受2が機能したり、深溝玉軸受53が機能したりすることの説明を図9に基づいてする。
図9の(a)で、深溝玉軸受53の隙間を R1+R2+R3+R4=R とし、滑り軸受2の隙間 S1+S2=S とし、R>S に設定された深溝玉軸受53では、図9の(b)に示すように、例えば回転軸1が下方に移動して、滑り軸受け2が機能したとき、
深溝玉軸受53には、Aの隙間が残留しているので、この状態では滑り軸受2のみが機能する。
図9の(c)で、外輪4が軸方向で左に移動すると、玉6と内輪5と外輪4が接触し、深溝玉軸受53の隙間は消滅するが、滑り軸受2の隙間S1、S2は残留しているので、この状態では、深溝玉軸受53のみが作用するということになる。
【0026】
上記実施の形態1、4、5において、外輪可動部材8は扇状歯車10を有しているが、通常の歯車を有するようにしてもよい。また、上記実施の形態2において、扇状歯車33を用いているが、通常の歯車を用いてもよい。
なお、上記実施の形態1〜4の滑り軸受2は通常の滑り軸受に加えて動圧軸受も含む概念である。
【実施例】
【0027】
図10は本発明の実施の形態3の軸受装置をカムシャフト支持装置に装着した状態を示す断面図である。
図10において、71は回転軸であるカムシャフト、72はカムシャフト71に設けられたカム、73はカムシャフト71に取り付けられたカムシャフト駆動車、74はカムシャフト71に設けられた滑り軸受、75はカムシャフト71に設けられた転がり軸受である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1の軸受装置の構成を示す断面図。
【図2】同軸受装置の側面図。
【図3】同軸受装置の斜接玉軸受と滑り軸受との切替を示す説明図。
【図4】本発明の実施の形態2の軸受装置の構成を示す断面図。
【図5】同軸受装置の側面図。
【図6】本発明の実施の形態3の軸受装置の構成を示す断面図。
【図7】本発明の実施の形態4の軸受装置の構成を示す断面図。
【図8】本発明の実施の形態5の軸受装置の構成を示す断面図。
【図9】同軸受装置の深溝玉軸受と滑り軸受との切替を示す説明図。
【図10】本発明の実施の形態3の軸受装置をカムシャフト支持装置に装着した状態を示す断面図。
【図11】転がり軸受と滑り軸受の回転速度とフリクションとの関係を示すグラフ。
【図12】転がり軸受の回転速度と寿命との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0029】
1 回転軸、2 滑り軸受、3 斜接玉軸受、4 外輪、4a、4b 外輪、5 内輪、6 玉、7 外輪固定部材、8 外輪可動部材、9 ネジ溝、10 扇状歯車、11 ハウジング、12 ネジ溝、15 駆動装置、16 駆動歯車、17 回転速度検出装、18 制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内で回転体を回転可能に支持する軸受装置であって、
前記ハウジングに収納された前記回転体を支持する滑り軸受と、該滑り軸受に並列に配設され、前記回転体を支持する転がり軸受とを有し、
該転がり軸受の内輪又は外輪を軸方向に移動させる移動機構を設け、
該移動装置の駆動により前記内輪又は外輪を軸方向に相対移動させて前記転がり軸受のアキシャル隙間を変化させそれに比例的に変化する前記転がり軸受のラジアル隙間を変化させて、前記転がり軸受のラジアル隙間が前記滑り軸受のラジアル隙間より大きい場合に前記滑り軸受のみを機能させ、前記転がり軸受のラジアル隙間が前記滑り軸受のラジアル隙間より小さい場合に前記転がり軸受のみを機能させるようにしたことを特徴とする軸受装置。
【請求項2】
前記転がり軸受は、斜接玉軸受、円すいころ軸受又は深溝玉軸受のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の軸受装置。
【請求項3】
前記回転軸の回転速度を検出する回転速度検出手段と、該回転速度検出手段からの回転速度の検出信号に基づいて前記移動機構を駆動制御する制御手段とを備え、
該制御手段は、前記回転速度検出手段から、転がり軸受のみを機能すべき回転速度信号を受けた場合は、前記移動機構を転がり軸受のラジアル隙間が前記滑り軸受のラジアル隙間よりも大きくなるように駆動し、滑り軸受のみを機能すべき回転速度信号を受けた場合は、前記移動機構を転がり軸受のラジアル隙間が滑り軸受のラジアル隙間よりも小さくなるように駆動させるように制御することを特徴とする請求項1又は2記載の軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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