説明

軸用スライド装置

【課題】 スライダ移動時にベルト状カバーがフレームに接触し、発塵するという欠点を解消し、防塵効果の向上を図った軸用スライド装置を提供すること。
【解決手段】 固定されたフレームの開口部内をステージが移動し、前記開口部をステージ移動方向に全面に亘って覆うベルト状カバーを設けた軸用スライド装置において、スライダ移動時にベルト状カバーの幅方向両端部のエッジと接触するフレーム部に開口部に沿った小溝を設けたことを特徴とする軸用スライド装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直交ロボット等に用いる軸用スライド装置に関する。

【背景技術】
【0002】
軸用スライド装置について、図5および図6により説明する。軸用スライド装置6は、フレーム1に設けた開口部2内をスライダ3が図示してないリニアモータやサーボモータにより図中左右方向に移動するように構成されている。上述の開口部2には、発塵防止等の目的で、ベルト状カバー4によって、スライダ3に設けたガイドローラ5を介して、開口部2の全面に亘って、覆われている。このベルト状カバー4は、スライダ3の移動方向に伸びていて、比較的長い。しかも薄い形状のため、高精度の製作は困難であって、真直性も悪かった。このようなベルト状のカーを使用したスライダーの例は、例えば特開平08−290384号公報に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−290384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなスライダーでは、スライダ3が移動すると、このスライダ3に設けたガイドローラ5との当たり具合、ベルト状カバー4自身の真直性の悪さ等によりベルト状カバー4の幅方向両端部のエッジ部Aがフレーム1と接触することもあった。さらに、同エッジAがフレーム上面1aにベルト状カバー4の方向で引掛り、ベルト状カバー4が蛇行し、同エッジAとフレーム上面1aの接触により発塵することもあり、装置の性能、および生産性の低下への影響が大となるという課題があった。
【0005】
本発明の目的は、前述のようにスライダ移動時にベルト状カバーのエッジ部Aがフレーム上面1aに接触するという課題を解消し、スライダ移動時にスライドが安定して移動可能とするとともに、発塵効果の向上を図った軸用スライド装置を提供することにある。
【0006】
そのためには、スライダ移動時にベルト状カバーの幅方向の両端部エッジAがフレームに接触しないようにベルト状カバーエッジAが接触するフレーム部に小溝を設け
、ベルト状カバーエッジAがフレーム上面1aに触れないようにすれば良いという結論に達し、本発明に至った。

【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するため本発明は、固定されたフレームの開口部内をステージが移動し、前記開口部を前記ステージの移動方向に全面に亘って覆うベルト状カバーを設けた軸用スライド装置において、前記軸用スライド装置のスライダの移動時に、前記ベルト状カバーの幅方向両端部のエッジと接触するフレーム部に、前記開口部に沿った小溝を設けたこと、を特徴とする軸用スライド装置とした。

【発明の効果】
【0008】
この発明によればスライダ移動時にベルト状カバーの幅方向両端部のエッジがフレームに触れないのでベルト状カバーの幅方向の両端部エッジがフレームに接触して擦れることがなく前述の欠点は解消される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明が適用される軸用スライド装置の概略の説明図で、その平面図である。
【図2】この発明が適用される軸用スライド装置の概略の説明図で、図1のB‐B断面図である。
【図3】この発明が適用される軸用スライド装置の概略の説明図で、図2の拡大したC‐C断面図である。
【図4】この発明が適用される軸用スライド装置の概略の説明図で、図3の“イ部の拡大した詳細図である。
【図5】従来の軸用スライド装置の概略横方向断面の説明図である。
【図6】従来の軸用スライド装置の概略の説明図で、図5の拡大したD‐D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明の一実施形態を図1ないし図4により説明する。数字10は、軸用スライド装置を示しており、フレーム11に設けたガイド12に案内され、フレーム11に設けた開口部13内を、スライダ14は、図中左右方向にストッパ15により予め定められた距離Lだけ移動する。開口部13は、防塵等の目的でベルト状カバー16がスライダ14に設けたガイドローラ17を介して開口部13全面に亘って覆われている。
【0011】
フレーム上面11aのベルト状カバー16の幅方向両エッジAに接する部分には小溝18が開口部13に沿って伸びており、スライダ14の移動時に両エッジAがフレーム上面11aに接触しないようにしている。

【産業上の利用可能性】
【0012】
この発明のスライダ装置を組み込んだ直交ロボットを、平面、即ちX軸、Y軸の2軸駆動により、上面から作業するように使用されるワーク検出用や搬送用に利用されることが可能である。
【符号の説明】
【0013】
10 軸用スライド装置
11 フレーム
12 ガイド
13 開口部
14 スライダ
15 ストッパ
16 ベルト状カバー
17 ガイドローラ
18 小溝



【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定されたフレームの開口部内をステージが移動し、前記開口部を前記ステージの移動方向に全面に亘って覆うベルト状カバーを設けた軸用スライド装置において、
前記軸用スライド装置のスライダの移動時に、前記ベルト状カバーの幅方向両端部のエッジと接触するフレーム部に、前記開口部に沿った小溝を設けたこと、
を特徴とする軸用スライド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−240803(P2010−240803A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94688(P2009−94688)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】