軽金属製品の腐食防止
【課題】軽合金製部品、半製品、製品の腐食を防止する方法を提供する。
【解決手段】軽合金合金(特にジュラルミン製品、部品)の防食に主として外部電源方式を採用しており、用途に応じて前記部品、半製品、製品自体に電源を組み込むことで通電を可能にしている。不溶性アノードにチタン板71、或いはチタンを含む合金を基板に用いておりカソード側に被防食製品を配置しカソード側の還元反応を抑制し酸化を防止する。電源70として太陽光発電機、振動圧電素子、ローター或いはピストン運動またはこれらの共用による発電機、蓄電池、コンデンサー、固体電解質型燃料電池のいずれかを用いて防食電流を与える。電源の電圧は腐食電位を越える電位を有している。また、前記部品、半製品、製品は軽金属合金を鋳造してビレット(インゴット)と成しこれを溶融注型して成形するか若しくは加圧注型によるダイキャスト成形しこれらに通電して防食を行う。
【解決手段】軽合金合金(特にジュラルミン製品、部品)の防食に主として外部電源方式を採用しており、用途に応じて前記部品、半製品、製品自体に電源を組み込むことで通電を可能にしている。不溶性アノードにチタン板71、或いはチタンを含む合金を基板に用いておりカソード側に被防食製品を配置しカソード側の還元反応を抑制し酸化を防止する。電源70として太陽光発電機、振動圧電素子、ローター或いはピストン運動またはこれらの共用による発電機、蓄電池、コンデンサー、固体電解質型燃料電池のいずれかを用いて防食電流を与える。電源の電圧は腐食電位を越える電位を有している。また、前記部品、半製品、製品は軽金属合金を鋳造してビレット(インゴット)と成しこれを溶融注型して成形するか若しくは加圧注型によるダイキャスト成形しこれらに通電して防食を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金のうち特にA2000系、A7000系のジュラルミンとその電気化学的防食方法に関する。
電気化学的防食では化成処理、アルマイト処理による皮膜形成とは異なり、金属固有の自然電位差に起因する腐食に対し所定の電圧と電流を与えて電位差を形成するか、アースすることで電位を0にして防食を行うことを特徴としている。
上記防食に付いて本件発明者は自動車用軽金属製ホイール、就中、ジュラルミン製ホイールの開発、及び製造工程に於いて、他のジュラルミン製部品、半製品、製品に共通の防食効果を発見したので、以下主としてジュラルミンホイールを例示して述べる事とする。
従って本発明はホイールに限定されるものでは無く、他のジュラルミン製品が当面する腐食問題解決へ広く適用され得る発明である。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車用タイヤには、支持体としての金属性のホイールが備わっている。
近年、かかるホイールにおいては、極力、軽量でデザイン性の高いものが望まれており特に乗用車ではホイールの口径が大きくなる傾向にある。走行時の振動の軽減と操縦性能を向上させるためである。
このようなホイールとしては、例えば、軽合金インゴット(ビレット)を溶融し、鋳型に注型して製造するホイール或いは鋳造で製造したアルミニウム合金製の丸棒を切断して得たビレットに対して、金型で鍛造プレスすることによりホイールを製造する方法(例えば、特許文献1参照)、鋳造したマグネシウム合金を歪加工し、再結晶化したマグネシウム合金からなる車両用ホイール(例えば、特許文献2参照)、ホイールリムフランジの内径部にリム径中心方向へ張出し部分を形成した車両用ホイール(例えば、特許文献3参照)等が知られている。
また、航空機用のホイールとして、アルミニウム合金を鍛造して成形され表面をアルマイト処理したものが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
これらのホイールは、いずれも鋳造された溶解軽金属(溶湯)合金インゴット(鋳造塊)或いは鋳造ビレットから鍛造成形することによって、得られるものである。
【0004】
防食に関する文献としては、ディスクブレーキのキャリパーフランジとこれを固定するアルミニウム合金製外輪のフランジの間にアルミニウム合金より電気的に卑な状態に加工されている軸受けが知られている(例えば、特許文献4参照)。
また、地熱用タービンロータ母材に高純度のアルミニウムを溶射して電気的に卑なる被覆層を形成し電気的に防食する方法が知られている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−210017号公報
【特許文献2】特開2007−308780号公報
【特許文献3】特開2008−137562号公報
【特許文献4】特開2008−157409号公報
【特許文献5】特開昭59−63301号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】マイクル・C・Y・ニウ著、土井憲一・巻島守訳、「航空機構造設計」(有)名古屋航空技術発行、2000年2月21日、p.484−495
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
A2000系、A7000系のアルミニウム合金は機械的強度を向上させるために銅の含有率が高く、A2000系では3.5〜6.0%、A7000系では0.2〜2.0%の銅を含有している。銅はアルミニウムと金属間化合物CuAl2を生成するため結晶粒界で銅が欠乏し腐食環境中で結晶粒界をマイナス、結晶粒をプラスとする局部電池ができるため粒界腐食を生じる。また応力下では応力腐食割れが生じる。特にA2017P−T6材では腐食は繊維状に金属間化合物に沿って進行する傾向にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ジュラルミンホイールは前記理由により応力腐食割れを生じやすい傾向にあるので、防食手段を講じる必要があり、ホイールの構造上リム部及びディスク部は巻き上げる石や路面に散在する金属片に衝突する危険性が高く不働態皮膜を形成しても部分的に破壊されるので孔食の原因となり安全性が保証できない。本発明は、これらの理由からガルバニック腐食の発展形である電気防食を採用しており、被防食部品の表面電位を卑電位へ移行させるカソード防食法及び不働態電位に移行させるアノード防食法を採用している。前記卑電位へ移行させるため被防食金属をアースすることも考えられる。安全性の見地からカソード防食法が好ましく流電防食方式及び外部電源方式を採用できるが、ホイールのような回転体では構造上メンテナンス面で負担のかからない外部電源方式を採用するのが好ましい。外部電源方式を検討したところ、各種軽合金の照合電極を基準として腐食電位を調査した結果、腐食電位を越える電圧及び電流を与えることで腐食を防止又は腐食速度を遅らせる効果があることを見出した。更に腐食電位より高い電位をチタン材、或いはチタン合金に与え不溶性アノードとして介在させることでカソード側の還元反応を抑制し酸化させないことで防食することを知見した。不溶性アノードとしては、黒鉛、白金、ニッケルモリブデン合金、ニッケル−クロム−銅−シリコン合金などが挙げられるが、チタン板に白金メッキを施して用いるか、チタン板を基板としてルテニウム、パラジウムなどの貴金属塩を塗布して炉で焼成し電子導電性の良い酸化物被膜を形成してもよい。被防食部品の各種合金の自然電位を参照すると標準電極に対する電位が示されるので、数値は−電位となっているが、アノードとなる金属のより卑なる電位と被防食金属の自然電位との差に相当する電圧かそれ以上の電圧を与えることで腐食を防止できる知見を得た。
【0009】
本発明者等は、先ずジュラルミンホイールを製造するにあたり、上記課題を解決する方法を鋭意検討したところ、防食の観点からはビレットは鍛造ビレットを用いるのが好ましいが、鍛造を施さない鋳造ビレットを用いてもホイールを鍛造成形する際には全鍛錬比は2.0以上になるから金属組織の微細化が促進される。鍛造ビレットの場合は鍛錬比4.0以上で用いられる。この場合は加圧する方向が2方向以上になるので金属組織はより微細化される。しかしながら前記通電による防食が可能となるため、鋳造による粗い金属組織でも鍛造成型品と遜色のない防食が可能となることを知見したので応用範囲が広くなる。鋳造製の部品、半製品、製品などは、鋳造工程のみか、機械加工を加えて製品化することが出来るので汎用性が高く、本発明の防食システムを利用すれば金属組織を微細化せずとも防食することができる。
【0010】
本発明の軽金属製品に対する防食処理は、飛翔体部品用(航空機の場合、本発明を利用することにより従来腐食のために用いられなかった部位、部品にもジュラルミンの使用が可能となる)、エンジン、車体等を含む運送用機器部品用、産業用機器部品用、建築資材用、光学用機器部品用又はこれら用途の部材製造用として用いられる。これらの分野の部品、半製品、製品は鋳造成形、加圧成型されるダイキャスト、鍛造成形のいずれであっても防食は可能となる。
【0011】
前記鍛造ビレットは、該鍛造ビレットを鍛造成形して得られる完成品或いは半製品として提供される。
ここで、半製品とは、鍛造ビレットを鍛造成形或いは鋳造塊を鋳造成型して機械加工し完成品に至る工程において、機械加工の前段階の製品を意味する。また、半製品が流通する場合、中間製品と称されることもある。ホイールの場合は中間製品として前記の如く成形して半製品とし、これを流通させるが、ホイール形状とするためのスピニング工程或いは後方押出しを施し、旋盤、マシニングセンター、を含むフライス盤、ボーリング加工による削り出し機械加工を施して通称:削り出しホイールを製造することも出来る。
【0012】
防食の観点から、前記鍛造ビレットを用いたことで、これを用いた鍛造製品は全体の金属組織が均一化され更に微細化されているので粒界腐食が起き難く、腐食電池容積も細分化され、電気化学的防食手段を有利に施すことが出来る。鍛造成形された製品が車両用ホイールの場合、電源の供給と車軸に固定する部分の異種金属接触腐食が問題となるが台座に卑なる金属を用いてこの問題を解消している。ホイールのような回転体は、固定側からの電源供給は難しいので、太陽光発電器、振動圧電素子、機械的重量差を用いた回転体による発電機器、例えば巻き線を施した環状のステーターの中央に永久磁石を回動可能に配置し、一部の磁石を削除するなどして偏心させ回動させない構造とすれば、前記ステーターは構造体の回転部材に固定することで発電が可能となる。また回転のみならず円筒状のステーター内部に永久磁石を揺動運動させて発電することも可能である。その他に蓄電池、蓄電器(コンデンサー)等が利用できる。固定側から通電ブラシや弾力性を有するテープ状通電体又は摺動面を介して電源供給してもよい。揺動体に限らず摺動体も固定側から見れば運動体であり、エンジンのシリンダーとピストンの構成を考慮するとアルミニウム合金を一部に使用したピストンへの通電も可能であり、シリンダー側の防食も含めて腐食電流を越える電位を与えることが出来る。耐食性のあるジュラルミンをピストン等に用いると軽くて強いエンジン部品を作る事が可能となる。
【0013】
腐食は金属製品が利用される環境に於けるガルバニック腐食が原因となる。空気中の水分、雨水など水溶液が局部電池の電子を運ぶ作用を行ってアノード側が腐食することになるが、より厳しい環境として流動海水中に於ける各種金属の電位差を自然電位として公表している。本発明に関連する金属の自然電位を表1に示す。
溶液の異なる自然電位を対比できないが大略下記のような数値を示し、電位差は1〜2V程度である。孔食電位は参考のため記載したものである。本発明では被防食金属に少なくとも1V以上の電位差を与える回路を形成し外部電源方式による防食を行った。なお鍛造ビレットを用いた場合は防食に有利であるが、外部電源法では軽合金鋳造製品、鋳造ビレットを用いて鍛造成形した製品などにも利用できる。
【0014】
【表1】
【0015】
前記表1の自然電位は外部電源法に用いる不溶性アノードの対象となる金属の表示はないが、チタンは黒鉛、白金に続く貴なる電位を示す金属である。本来チタンは活性な金属であるが、湿度、雨水、海水などの腐食環境下では酸化被膜を形成して安定な耐食材として優れた性質を示す。文献によれば流動海水中の自然電位は−0.1〜+0.1V程度である。本発明ではチタンをアノードとして利用しており、被防食金属としてジュラルミンを選択し、5%のNaCl溶液に於ける相互の電位差を直接測定することで、防食電位の目安として用いている。測定結果と防食電気回路は実施例で示す。
【0016】
防食電気回路は、防食試験JIS H 8502に規定される塩化ナトリウム、塩化第二銅を含む溶液に準じて行い、不溶性アノードとしてチタン板、カソード側にA7475、A2017等のジュラルミン板を浸漬すると共にそれらの電位差を実測し、防食回路では前記電位差を超える電圧をかける回路を構成した。また、応力腐食割れについてJIS H 8711に規定される塩化ナトリウムとクロム酸ナトリウムの混合液に準じて、塩水より酸化力が12倍程度のクロム酸を含む電解質溶液に前記不溶性アノード及びカソード材を浸漬すると共にその電位差を実測し、その電位差を越える電圧を供給する防食回路を構成した。
【発明の効果】
【0017】
本発明に例示する鍛造ビレットにおいては、ジュラルミンからなる鋳造ビレットを加圧圧縮することにより、金属組織の結晶粒径が微細化される。したがって、例えば、微細化された鍛造ビレットを用いて鍛造成形し、複雑な形状の鍛造製品(例えば、ホイール)とする場合、部分的にしか引き延ばされない箇所であっても、鍛造ビレットの金属組織が既に微細化されているので、得られる鍛造製品は、全体的に金属組織の結晶粒径が微細なものとなる。このため、上記鍛造ビレットによれば、機械的強さが優れ、機械的強さが均一な鍛造製品或いは鍛造加工後に機械加工等を行う鍛造製品(完成品或いは半製品)を製造することが可能となる。
【0018】
また、一般に、ジュラルミンは銅を多く含むため耐食性に劣るが、上記鍛造ビレットにおいては、原因と考えられる結晶粒界及び粒界析出物の占める割合を縮小するので耐食性を向上させることが可能となる。一般に、2000系のジュラルミンは銅を3.5〜6.0%含むため、金属表面に水溶液等が接触する場合、電位差により局部的に陽極部と陰極部とが発生して局部電池を構成し陽極部に相当する部位が腐食しやすい。主な原因は金属組織の結晶粒界及び電位の高い金属間化合物CuAl2が析出しこれに沿って水溶液等の電解質が浸透し残留応力も加わって局部電池の生成が容易になり腐食が進行し割れが発生する。これに対し、例示する鍛造ホイールの場合本発明の鍛造ビレットにおいては、結晶粒径を微細化することで結晶粒界と析出物の占める割合を50%〜80%縮小するので応力腐食割れ性を大きく改善することができる。結晶粒径を微細化することでファイバー組織を細分化することになり応力腐食割れの進行を抑制する効果がある。
【0019】
防食の観点から、前記鍛造ビレットを用いたことで、これを用いた鍛造製品は全体の金属組織が均一化され更に微細化されているので電気化学的防食手段を有利に施すことが出来る。鍛造成形された製品が車両用ホイールの場合、電源の供給と車軸に固定する部分の異種金属接触腐食が問題となるが台座に卑なる金属を用いてこの問題を解消している。
然し乍ら本発明の主なるものは鍛造ビレットを用いて腐食防止の一助となすのもさる事乍ら腐食の原因たる異種金属間の電位差を軽合金、例えばジュラルミン、マグネシウム合金を原材料とした製品に通電する事により鋳造品、鍛造品、ダイキャスト品、押出し品、引抜き品いずれにも腐食を遅延あるいは防止せしめることに存する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、電気防食試験の電気回路図である。
【図2】図2は、電気防食試験の別の電気回路図である。
【図3】図3は、電気防食試験の別の電気回路図である。
【図4】図4は、ホイールに電源を組み込んだ状態を示す模式断面図である。
【図5】図5は、ホイールにより卑なる電位の材料を用いた模式断面図である。
【図6】図6は、チタンとジュラルミンの電解質溶液中に於ける電位差を測定した結果を示す表である。
【図7】図7は、ジュラルミンの防食を行う電気回路図である。
【図8】図8は、ジュラルミンの防食を行う別の電気回路図である。
【図9】図9は、電源にソーラーパネルを用いたホイールに組み込む防食電気回路図である。
【図10】図10(a)図は、ホイールのエンブレムに組み込む電源部の断面図であり、(b)図は防食電流を流す導電部材の配置図である。
【図11】図11は、ホイール裏面側の導電部材の配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率にかぎられるものではない。
【0022】
[第1実施形態]
【0023】
(実施例1)
A2017アルミニウム合金を用いたホイールの対応力腐食割れ性について腐食試験及び防食方法を検討した。先ずJIS H8711に準じて付属書5Aに記載されるCリング試験体を作成した。試験体はホイールの押出し鍛造法で成型された切削旋盤加工など機械加工を施す前の段階のプレホイールから採取した。試験体は略円筒状であり長さ20mm、外径25mm、内径17mmとし、円筒中心線に対して60の角度で切り欠き部を形成しCリング形状と成し長さの中心部に円筒を貫通する6mm径の孔を貫通させた。該孔に絶縁カバーを施したM6のボルト差し込み、同じく絶縁されたナットで円筒部を押圧し加圧した。なお通電端子をボルト頭部とナットの加圧部分に挿着した。
【0024】
図1に試験要領を模式図で示す。50はCリング試験体、51は通電端子、52はボルト、53はナットである。樹脂製容器55に腐食促進液56を注入しこれに前期試験体を浸漬する。前記試験体を結線は図20に示す通りで直流電源54により電圧をかける。回路途中に24V/2W(抵抗値300Ω)の電球を直列に入れて電流値を制御した。このときの電流値は40mAであった。この状態で1週間放置したが泡の発生もなく試験体50には異常が認められなかった。更に試験開始から360時間(15日)後の状態を確認したが異常は認められなかった。別途通電しないCリングを同じ腐食促進液56に浸漬したところ泡の発生が確認され、1日で割れが発生した。腐食促進液は、純粋1リットル中にCrO3:36g、K2CrO4:30g、NaCl:3gを溶解した溶液を使用している。
【0025】
図2は、前記腐食促進液56にCリング50を浸漬し、通電端子51を装着し通電端子に導線をつなぎ該導線をアースしたところを示している。この回路に於いても泡の発生が無く1週間経過してもCリング試験体に割れが発生していない。
【0026】
(実施例2)
腐食液の種類と濃度の影響を調べるために、腐食液として、通常の降雨環境に準じて水道水の場合を例にとると6倍の腐食作用を及ぼす3.5%NaCl溶液を使用した。これは海水に匹敵するものであるが、CrO3+K2CrO4を加える事により海水の12倍の腐食効果を有するので本腐食試験は前記軽合金(ジュラルミン、マグネシウム合金)製品の長期使用に耐える事を証明している。試験体の表面積を変更し更に試験体の片側端部から他の端部まで電流が流れるように配慮した。図3に試験状態を示す。試験体57は300×30×t1mmのA2017材をU字型に曲げ通電接点を腐食液の表面から出した状態で前記液中に浸漬する。図22では加電圧0Vの表示はないが、それぞれ個別の容器58に前記腐食液59を注入してこれに試験体57を浸漬する。図に示すような回路を組み1V:7.0mA、2V:13.3mA、3V:19.8mA、5V:33mAを印可して試験体の変化を確認する。マイナス側がアースされているがそれぞれのアース線は共通であり電位が0Vであることを示している。加圧電圧は該軽金属製品の使用上、人体に感電せぬ事が望ましく、低ければ低い程更に望ましい。
【0027】
(実施例3)
A2000系のアルミニウム合金のホイールを防食するための実施態様を説明する。上記実施例からアルミニウム合金に電圧を印可して該合金部分に電流を流すことは防食に寄与し応力腐食割れ性を改善することが可能である。電源の配置について一例を図4に示す。60はホイールでありA2000系アルミニウム合金を用いた鍛造ビレットを鍛造成形したホイールである。61は車軸のホイール取着部であり、ホイールのハブ部が固定される。60aはインナーリム部であり、振動圧電素子部62が固定される。
圧電素子部の電圧は数10V起電するが電流容量が少ないので複数個等間隔に配置し通電シートで収集し一部に導線63を接続してホイールハブ部へ流電させる。起電力の+側をインナーリム部に接続し−側をハブ部へ接続し車軸のホイール取着部へ接続することでアースする。+側と−側の間にコンデンサーを接続し起電力を一定に安定させる。
その他の電源として利用されるのは蓄電池65或いは太陽光発電が利用できる。太陽光発電(ソーラー発電)の場合もエンブレムにソーラー発電機能を装着し直接通電するか或いは蓄電池にコンデンサー、電気抵抗機能材等を介してホイールに通電しても良い。電気回路は部品点数も少なく小型化してチップとして利用できるのでホイールエンブレム装着位置に配置することが出来る。蓄電池はホイール中央のエンブレム装着位置が好ましい。蓄電池は外部から充電して用いてもよいが、太陽光発電、或いは振動圧電素子の起電力で充電することも出来る。或いは機械的に重力差を回転体の動力源とし起電することも出来る。また前記したように外部(固定側)から通電ブラシあるいは摺動面を介して通電することも可能である。なお本実施例はホイールを一例として述べたのであるが、多くのジュラルミン製品は固定して用いられる場合が多いので当然ではあるが、通常の配電手段を電源として用いることも可能であり本発明に含まれる。
【0028】
(実施例4)
防食をより確実に行うためには図5に示すように、車軸のホイール取着部61とA200系などアルミニウム合金製ホイールのハブ面に、より卑なる電位の金属例えばA1000系のアルミニウム合金円板64を介在させることである。A6000系のアルミニウム合金も用いることが出来る。これらの金属はアノードとして作用するが、現状ではA6000系のアルミニウム合金製ホイールは車軸のホイール取着部に直接固定され異種金属接触腐食の問題は生じていない。A7000系は更に孔食電位が低いので実施例に示したCリング試験片でも割れが早く発生している。
【0029】
(実施例5)
外部電源法を更に精査して、不溶性アノードに純度の高いチタン板を用いた例を説明する。被防食金属にジュラルミンを用いるため、これらの試験片を作成した。チタン板のサイズは1×30×100で単位はミリである。ジュラルミンとしてアルミニウム合金A7475及びA2017を用いており、サイズはそれぞれ2×30×100、1×30×110(ミリ)である。腐食溶液は5%塩水と2/クロム酸カリウム液を個別に容器に入れ上記試験片を長さの約半分を浸漬し、電位差測定端子を接続した。測定器はデジタル・マルチメーター(R6581、旧 武田理研製)を用いており、測定結果を図6に示す。5%塩水(A7475+Ti)の40分後の電位差は642mVでこのときの電流値は260μA、5%塩水(A2017+Ti)の60分後の電位差は451mVでこのときの電流値は58μAである。2/クロム酸カリュウム液(A2017+Ti)の140分後の電位差は1.034mVでこのときの電流値は400μAであった。5%塩水ではA7014とA2017側のみ表面に酸化膜が認められたが、2/クロム酸カリュウム液ではチタン試験片にも酸化膜が生じた。各試験結果で5%塩水の場合は電位差が収束したが、2/クロム酸カリュウム液の場合は電位差が収束しないことから、酸化力が強すぎると判断し、5%塩水の値を採用することとした。チタン板を基板としてルテニウム、パラジウムなどの貴金属塩を塗布して炉で焼成し電子導電性の良い酸化物被膜を形成してもよい。
【0030】
防食回路図を図7に示す。電源としてリチュウム電池を使用している。余裕を見て2個直列にして6Vで回路設計をした。電源ICはDC−DCコンバーターであり、出力値1.2Vで僅かながら脈流になるので電解コンデンサーと整流器で平滑な出力電圧を得ると共に2kΩの補正抵抗を通じて最終的に出力電圧を1Vに調整した電源部70を構成している。チタン板71を不溶性アノードとしてA2017(ジュラルミン)からなる試験体72の片側に接続し、該試験体の他の側を電源部の−極に接続する。前記試験体は5%塩水を満たした容器74の中に浸漬した。チタン板71と試験体72の電位差は大略0.5Vであり、電源部出力1Vであるから、カソード側に位置する試験体に通電が可能であり、これによりカソード側で発生する還元反応に必要な電子の供給が可能となり酸化作用を除去できるので腐食を防止できる。
【0031】
(実施例6)
外部電源法を用いた別の回路図について図8を用いて説明する。実施例5と電源部70は同じであるが、チタン板71aを前記容器74に浸漬し、還元反応に必要な電子を塩水を通じて供給することでカソード側のA2017(ジュラルミン)試験体72aの酸化を防止する。塩水に限らず土壌のほか雨水など通電可能な環境であれば実施可能な電気回路図である。
【0032】
(実施例7)
外部電源法を用いてA2017、A7475等を用いたジュラルミン製ホイール防食構造の1例を説明する。防食電気回路を図9に示す。太陽光で発電するソーラーパネル75で発電された電力は個体電解質型燃料電池76に蓄電され、不溶性アノードとなるチタン板77を通じてDC−DCコンバーター78により電圧調整を行い出力を1Vに調整する。電流制限抵抗79を通じてカソード側となる前記ホイールに通電することで外部電源法による防食を行うものである。2点出力はホイールに出来るだけ均等に配電するためであり、1点あたり1V、0.5mAが好ましい。なおDC−DCコンバーターの出力は僅かながら脈流になるのでコンデンサーと整流器を用いて平滑な一定電圧を維持する回路が必要であり、図7に示す電源部70に示す回路が利用できる。チップ化すれば小さなスペースに挿置することができるので次に述べる実際にホイールに組み込まれる部分では省略している。
【0033】
図10(a)図は、ホイールエンブレム部80の断面図である。文字或いは記号が表示されるエンブレムは一般的に樹脂製でありホイールディスク中心部に設けられた孔に嵌入される。エンブレムの裏面側にソーラーパネル75を接着剤で固定し、その裏面側に個体電解質型燃料電池76を配置し、更にその裏面側にチタン板77、DC−DCコンバーター78を配置する。結線は図9の電気回路図に準じて行っている。+側の出力端子81はホイールディスク中心部の孔壁面に固定し、−側は表面を絶縁材で被覆したシート状の導電性部材82でホイールリムのリムフランジに接続する。
【0034】
図10(b)図は、ホイール83の断面図でありタイヤ84が装着されている。83aはディスク部であり、83bはリム部であり、83cはリムフランジ部である。導電性部材82の表面は絶縁体で覆われておりディスク部の裏面側に沿って固定され端部の絶縁体を除去してリムフランジ部の裏面側に固定し通電する。
【0035】
図11は、ホイール83の裏面側を示す平面図であり、中心部にエンブレムを嵌入する孔85が形成されている。該孔の壁面に電源部の+側端子が固定され、−側の導電部材82はリムフランジ83に接続される。電源部の出力電流はホイール中心部からリムフランジに向けて流れるので外部電源法に基づく防食が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のアルミニウム合金ホイールの防食法によれば、特にジュラルミン製ホイールの応力腐食割れを防止できるので、安全なホイールを提供できる。更にホイール自体をA2000系、A7000系のジュラルミンで製造する場合、予め鋳造ビレットを鍛造して金属組織を微細化し、結晶間の金属析出物を微細化し局部電池の発生を最小限に抑制するので防食の観点では有利な材料となる。防食法は流電防食方式、外部電源方式を採用しているので、ホイールのような回転体の他に自動車用部材、航空機機体、建設資材(例えば窓枠サッシュ)、産業用機器、補強材等の各部品、半製品、製品の防食など多方面に利用できる。ジュラルミンを使用することで引張り強度、耐力、伸び、シャルピー値が高いことから従来のホイールに比較して少なくとも10%〜20%軽量化できる。又、鍛造ビレットを用いた前記各品はシャルピー衝撃値及び伸びがきわめて高いので上記腐食問題を解決する事により、従来使用不可能とされていた分野にも適用可能となる。
【符号の説明】
【0037】
50・・・Cリング試験体
51・・・端子
52・・・ボルト
53・・・ナット
54・・・電源
55・・・容器
56・・・腐食液
57・・・U字型試験体
59・・・塩水
60・・・ホイール
62・・・振動圧電素子
63・・・導線
64・・・アルミニウム板
65・・・蓄電池
70・・・電源部
71、77・・・チタン板
72・・・ジュラルミン材
73・・・塩水
74・・・容器
75・・・ソーラーパネル
76・・・固体電解質型燃料電池
78・・・DC−DCコンバーター
79・・・抵抗器
82・・・導電部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金のうち特にA2000系、A7000系のジュラルミンとその電気化学的防食方法に関する。
電気化学的防食では化成処理、アルマイト処理による皮膜形成とは異なり、金属固有の自然電位差に起因する腐食に対し所定の電圧と電流を与えて電位差を形成するか、アースすることで電位を0にして防食を行うことを特徴としている。
上記防食に付いて本件発明者は自動車用軽金属製ホイール、就中、ジュラルミン製ホイールの開発、及び製造工程に於いて、他のジュラルミン製部品、半製品、製品に共通の防食効果を発見したので、以下主としてジュラルミンホイールを例示して述べる事とする。
従って本発明はホイールに限定されるものでは無く、他のジュラルミン製品が当面する腐食問題解決へ広く適用され得る発明である。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車用タイヤには、支持体としての金属性のホイールが備わっている。
近年、かかるホイールにおいては、極力、軽量でデザイン性の高いものが望まれており特に乗用車ではホイールの口径が大きくなる傾向にある。走行時の振動の軽減と操縦性能を向上させるためである。
このようなホイールとしては、例えば、軽合金インゴット(ビレット)を溶融し、鋳型に注型して製造するホイール或いは鋳造で製造したアルミニウム合金製の丸棒を切断して得たビレットに対して、金型で鍛造プレスすることによりホイールを製造する方法(例えば、特許文献1参照)、鋳造したマグネシウム合金を歪加工し、再結晶化したマグネシウム合金からなる車両用ホイール(例えば、特許文献2参照)、ホイールリムフランジの内径部にリム径中心方向へ張出し部分を形成した車両用ホイール(例えば、特許文献3参照)等が知られている。
また、航空機用のホイールとして、アルミニウム合金を鍛造して成形され表面をアルマイト処理したものが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
これらのホイールは、いずれも鋳造された溶解軽金属(溶湯)合金インゴット(鋳造塊)或いは鋳造ビレットから鍛造成形することによって、得られるものである。
【0004】
防食に関する文献としては、ディスクブレーキのキャリパーフランジとこれを固定するアルミニウム合金製外輪のフランジの間にアルミニウム合金より電気的に卑な状態に加工されている軸受けが知られている(例えば、特許文献4参照)。
また、地熱用タービンロータ母材に高純度のアルミニウムを溶射して電気的に卑なる被覆層を形成し電気的に防食する方法が知られている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−210017号公報
【特許文献2】特開2007−308780号公報
【特許文献3】特開2008−137562号公報
【特許文献4】特開2008−157409号公報
【特許文献5】特開昭59−63301号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】マイクル・C・Y・ニウ著、土井憲一・巻島守訳、「航空機構造設計」(有)名古屋航空技術発行、2000年2月21日、p.484−495
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
A2000系、A7000系のアルミニウム合金は機械的強度を向上させるために銅の含有率が高く、A2000系では3.5〜6.0%、A7000系では0.2〜2.0%の銅を含有している。銅はアルミニウムと金属間化合物CuAl2を生成するため結晶粒界で銅が欠乏し腐食環境中で結晶粒界をマイナス、結晶粒をプラスとする局部電池ができるため粒界腐食を生じる。また応力下では応力腐食割れが生じる。特にA2017P−T6材では腐食は繊維状に金属間化合物に沿って進行する傾向にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ジュラルミンホイールは前記理由により応力腐食割れを生じやすい傾向にあるので、防食手段を講じる必要があり、ホイールの構造上リム部及びディスク部は巻き上げる石や路面に散在する金属片に衝突する危険性が高く不働態皮膜を形成しても部分的に破壊されるので孔食の原因となり安全性が保証できない。本発明は、これらの理由からガルバニック腐食の発展形である電気防食を採用しており、被防食部品の表面電位を卑電位へ移行させるカソード防食法及び不働態電位に移行させるアノード防食法を採用している。前記卑電位へ移行させるため被防食金属をアースすることも考えられる。安全性の見地からカソード防食法が好ましく流電防食方式及び外部電源方式を採用できるが、ホイールのような回転体では構造上メンテナンス面で負担のかからない外部電源方式を採用するのが好ましい。外部電源方式を検討したところ、各種軽合金の照合電極を基準として腐食電位を調査した結果、腐食電位を越える電圧及び電流を与えることで腐食を防止又は腐食速度を遅らせる効果があることを見出した。更に腐食電位より高い電位をチタン材、或いはチタン合金に与え不溶性アノードとして介在させることでカソード側の還元反応を抑制し酸化させないことで防食することを知見した。不溶性アノードとしては、黒鉛、白金、ニッケルモリブデン合金、ニッケル−クロム−銅−シリコン合金などが挙げられるが、チタン板に白金メッキを施して用いるか、チタン板を基板としてルテニウム、パラジウムなどの貴金属塩を塗布して炉で焼成し電子導電性の良い酸化物被膜を形成してもよい。被防食部品の各種合金の自然電位を参照すると標準電極に対する電位が示されるので、数値は−電位となっているが、アノードとなる金属のより卑なる電位と被防食金属の自然電位との差に相当する電圧かそれ以上の電圧を与えることで腐食を防止できる知見を得た。
【0009】
本発明者等は、先ずジュラルミンホイールを製造するにあたり、上記課題を解決する方法を鋭意検討したところ、防食の観点からはビレットは鍛造ビレットを用いるのが好ましいが、鍛造を施さない鋳造ビレットを用いてもホイールを鍛造成形する際には全鍛錬比は2.0以上になるから金属組織の微細化が促進される。鍛造ビレットの場合は鍛錬比4.0以上で用いられる。この場合は加圧する方向が2方向以上になるので金属組織はより微細化される。しかしながら前記通電による防食が可能となるため、鋳造による粗い金属組織でも鍛造成型品と遜色のない防食が可能となることを知見したので応用範囲が広くなる。鋳造製の部品、半製品、製品などは、鋳造工程のみか、機械加工を加えて製品化することが出来るので汎用性が高く、本発明の防食システムを利用すれば金属組織を微細化せずとも防食することができる。
【0010】
本発明の軽金属製品に対する防食処理は、飛翔体部品用(航空機の場合、本発明を利用することにより従来腐食のために用いられなかった部位、部品にもジュラルミンの使用が可能となる)、エンジン、車体等を含む運送用機器部品用、産業用機器部品用、建築資材用、光学用機器部品用又はこれら用途の部材製造用として用いられる。これらの分野の部品、半製品、製品は鋳造成形、加圧成型されるダイキャスト、鍛造成形のいずれであっても防食は可能となる。
【0011】
前記鍛造ビレットは、該鍛造ビレットを鍛造成形して得られる完成品或いは半製品として提供される。
ここで、半製品とは、鍛造ビレットを鍛造成形或いは鋳造塊を鋳造成型して機械加工し完成品に至る工程において、機械加工の前段階の製品を意味する。また、半製品が流通する場合、中間製品と称されることもある。ホイールの場合は中間製品として前記の如く成形して半製品とし、これを流通させるが、ホイール形状とするためのスピニング工程或いは後方押出しを施し、旋盤、マシニングセンター、を含むフライス盤、ボーリング加工による削り出し機械加工を施して通称:削り出しホイールを製造することも出来る。
【0012】
防食の観点から、前記鍛造ビレットを用いたことで、これを用いた鍛造製品は全体の金属組織が均一化され更に微細化されているので粒界腐食が起き難く、腐食電池容積も細分化され、電気化学的防食手段を有利に施すことが出来る。鍛造成形された製品が車両用ホイールの場合、電源の供給と車軸に固定する部分の異種金属接触腐食が問題となるが台座に卑なる金属を用いてこの問題を解消している。ホイールのような回転体は、固定側からの電源供給は難しいので、太陽光発電器、振動圧電素子、機械的重量差を用いた回転体による発電機器、例えば巻き線を施した環状のステーターの中央に永久磁石を回動可能に配置し、一部の磁石を削除するなどして偏心させ回動させない構造とすれば、前記ステーターは構造体の回転部材に固定することで発電が可能となる。また回転のみならず円筒状のステーター内部に永久磁石を揺動運動させて発電することも可能である。その他に蓄電池、蓄電器(コンデンサー)等が利用できる。固定側から通電ブラシや弾力性を有するテープ状通電体又は摺動面を介して電源供給してもよい。揺動体に限らず摺動体も固定側から見れば運動体であり、エンジンのシリンダーとピストンの構成を考慮するとアルミニウム合金を一部に使用したピストンへの通電も可能であり、シリンダー側の防食も含めて腐食電流を越える電位を与えることが出来る。耐食性のあるジュラルミンをピストン等に用いると軽くて強いエンジン部品を作る事が可能となる。
【0013】
腐食は金属製品が利用される環境に於けるガルバニック腐食が原因となる。空気中の水分、雨水など水溶液が局部電池の電子を運ぶ作用を行ってアノード側が腐食することになるが、より厳しい環境として流動海水中に於ける各種金属の電位差を自然電位として公表している。本発明に関連する金属の自然電位を表1に示す。
溶液の異なる自然電位を対比できないが大略下記のような数値を示し、電位差は1〜2V程度である。孔食電位は参考のため記載したものである。本発明では被防食金属に少なくとも1V以上の電位差を与える回路を形成し外部電源方式による防食を行った。なお鍛造ビレットを用いた場合は防食に有利であるが、外部電源法では軽合金鋳造製品、鋳造ビレットを用いて鍛造成形した製品などにも利用できる。
【0014】
【表1】
【0015】
前記表1の自然電位は外部電源法に用いる不溶性アノードの対象となる金属の表示はないが、チタンは黒鉛、白金に続く貴なる電位を示す金属である。本来チタンは活性な金属であるが、湿度、雨水、海水などの腐食環境下では酸化被膜を形成して安定な耐食材として優れた性質を示す。文献によれば流動海水中の自然電位は−0.1〜+0.1V程度である。本発明ではチタンをアノードとして利用しており、被防食金属としてジュラルミンを選択し、5%のNaCl溶液に於ける相互の電位差を直接測定することで、防食電位の目安として用いている。測定結果と防食電気回路は実施例で示す。
【0016】
防食電気回路は、防食試験JIS H 8502に規定される塩化ナトリウム、塩化第二銅を含む溶液に準じて行い、不溶性アノードとしてチタン板、カソード側にA7475、A2017等のジュラルミン板を浸漬すると共にそれらの電位差を実測し、防食回路では前記電位差を超える電圧をかける回路を構成した。また、応力腐食割れについてJIS H 8711に規定される塩化ナトリウムとクロム酸ナトリウムの混合液に準じて、塩水より酸化力が12倍程度のクロム酸を含む電解質溶液に前記不溶性アノード及びカソード材を浸漬すると共にその電位差を実測し、その電位差を越える電圧を供給する防食回路を構成した。
【発明の効果】
【0017】
本発明に例示する鍛造ビレットにおいては、ジュラルミンからなる鋳造ビレットを加圧圧縮することにより、金属組織の結晶粒径が微細化される。したがって、例えば、微細化された鍛造ビレットを用いて鍛造成形し、複雑な形状の鍛造製品(例えば、ホイール)とする場合、部分的にしか引き延ばされない箇所であっても、鍛造ビレットの金属組織が既に微細化されているので、得られる鍛造製品は、全体的に金属組織の結晶粒径が微細なものとなる。このため、上記鍛造ビレットによれば、機械的強さが優れ、機械的強さが均一な鍛造製品或いは鍛造加工後に機械加工等を行う鍛造製品(完成品或いは半製品)を製造することが可能となる。
【0018】
また、一般に、ジュラルミンは銅を多く含むため耐食性に劣るが、上記鍛造ビレットにおいては、原因と考えられる結晶粒界及び粒界析出物の占める割合を縮小するので耐食性を向上させることが可能となる。一般に、2000系のジュラルミンは銅を3.5〜6.0%含むため、金属表面に水溶液等が接触する場合、電位差により局部的に陽極部と陰極部とが発生して局部電池を構成し陽極部に相当する部位が腐食しやすい。主な原因は金属組織の結晶粒界及び電位の高い金属間化合物CuAl2が析出しこれに沿って水溶液等の電解質が浸透し残留応力も加わって局部電池の生成が容易になり腐食が進行し割れが発生する。これに対し、例示する鍛造ホイールの場合本発明の鍛造ビレットにおいては、結晶粒径を微細化することで結晶粒界と析出物の占める割合を50%〜80%縮小するので応力腐食割れ性を大きく改善することができる。結晶粒径を微細化することでファイバー組織を細分化することになり応力腐食割れの進行を抑制する効果がある。
【0019】
防食の観点から、前記鍛造ビレットを用いたことで、これを用いた鍛造製品は全体の金属組織が均一化され更に微細化されているので電気化学的防食手段を有利に施すことが出来る。鍛造成形された製品が車両用ホイールの場合、電源の供給と車軸に固定する部分の異種金属接触腐食が問題となるが台座に卑なる金属を用いてこの問題を解消している。
然し乍ら本発明の主なるものは鍛造ビレットを用いて腐食防止の一助となすのもさる事乍ら腐食の原因たる異種金属間の電位差を軽合金、例えばジュラルミン、マグネシウム合金を原材料とした製品に通電する事により鋳造品、鍛造品、ダイキャスト品、押出し品、引抜き品いずれにも腐食を遅延あるいは防止せしめることに存する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、電気防食試験の電気回路図である。
【図2】図2は、電気防食試験の別の電気回路図である。
【図3】図3は、電気防食試験の別の電気回路図である。
【図4】図4は、ホイールに電源を組み込んだ状態を示す模式断面図である。
【図5】図5は、ホイールにより卑なる電位の材料を用いた模式断面図である。
【図6】図6は、チタンとジュラルミンの電解質溶液中に於ける電位差を測定した結果を示す表である。
【図7】図7は、ジュラルミンの防食を行う電気回路図である。
【図8】図8は、ジュラルミンの防食を行う別の電気回路図である。
【図9】図9は、電源にソーラーパネルを用いたホイールに組み込む防食電気回路図である。
【図10】図10(a)図は、ホイールのエンブレムに組み込む電源部の断面図であり、(b)図は防食電流を流す導電部材の配置図である。
【図11】図11は、ホイール裏面側の導電部材の配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率にかぎられるものではない。
【0022】
[第1実施形態]
【0023】
(実施例1)
A2017アルミニウム合金を用いたホイールの対応力腐食割れ性について腐食試験及び防食方法を検討した。先ずJIS H8711に準じて付属書5Aに記載されるCリング試験体を作成した。試験体はホイールの押出し鍛造法で成型された切削旋盤加工など機械加工を施す前の段階のプレホイールから採取した。試験体は略円筒状であり長さ20mm、外径25mm、内径17mmとし、円筒中心線に対して60の角度で切り欠き部を形成しCリング形状と成し長さの中心部に円筒を貫通する6mm径の孔を貫通させた。該孔に絶縁カバーを施したM6のボルト差し込み、同じく絶縁されたナットで円筒部を押圧し加圧した。なお通電端子をボルト頭部とナットの加圧部分に挿着した。
【0024】
図1に試験要領を模式図で示す。50はCリング試験体、51は通電端子、52はボルト、53はナットである。樹脂製容器55に腐食促進液56を注入しこれに前期試験体を浸漬する。前記試験体を結線は図20に示す通りで直流電源54により電圧をかける。回路途中に24V/2W(抵抗値300Ω)の電球を直列に入れて電流値を制御した。このときの電流値は40mAであった。この状態で1週間放置したが泡の発生もなく試験体50には異常が認められなかった。更に試験開始から360時間(15日)後の状態を確認したが異常は認められなかった。別途通電しないCリングを同じ腐食促進液56に浸漬したところ泡の発生が確認され、1日で割れが発生した。腐食促進液は、純粋1リットル中にCrO3:36g、K2CrO4:30g、NaCl:3gを溶解した溶液を使用している。
【0025】
図2は、前記腐食促進液56にCリング50を浸漬し、通電端子51を装着し通電端子に導線をつなぎ該導線をアースしたところを示している。この回路に於いても泡の発生が無く1週間経過してもCリング試験体に割れが発生していない。
【0026】
(実施例2)
腐食液の種類と濃度の影響を調べるために、腐食液として、通常の降雨環境に準じて水道水の場合を例にとると6倍の腐食作用を及ぼす3.5%NaCl溶液を使用した。これは海水に匹敵するものであるが、CrO3+K2CrO4を加える事により海水の12倍の腐食効果を有するので本腐食試験は前記軽合金(ジュラルミン、マグネシウム合金)製品の長期使用に耐える事を証明している。試験体の表面積を変更し更に試験体の片側端部から他の端部まで電流が流れるように配慮した。図3に試験状態を示す。試験体57は300×30×t1mmのA2017材をU字型に曲げ通電接点を腐食液の表面から出した状態で前記液中に浸漬する。図22では加電圧0Vの表示はないが、それぞれ個別の容器58に前記腐食液59を注入してこれに試験体57を浸漬する。図に示すような回路を組み1V:7.0mA、2V:13.3mA、3V:19.8mA、5V:33mAを印可して試験体の変化を確認する。マイナス側がアースされているがそれぞれのアース線は共通であり電位が0Vであることを示している。加圧電圧は該軽金属製品の使用上、人体に感電せぬ事が望ましく、低ければ低い程更に望ましい。
【0027】
(実施例3)
A2000系のアルミニウム合金のホイールを防食するための実施態様を説明する。上記実施例からアルミニウム合金に電圧を印可して該合金部分に電流を流すことは防食に寄与し応力腐食割れ性を改善することが可能である。電源の配置について一例を図4に示す。60はホイールでありA2000系アルミニウム合金を用いた鍛造ビレットを鍛造成形したホイールである。61は車軸のホイール取着部であり、ホイールのハブ部が固定される。60aはインナーリム部であり、振動圧電素子部62が固定される。
圧電素子部の電圧は数10V起電するが電流容量が少ないので複数個等間隔に配置し通電シートで収集し一部に導線63を接続してホイールハブ部へ流電させる。起電力の+側をインナーリム部に接続し−側をハブ部へ接続し車軸のホイール取着部へ接続することでアースする。+側と−側の間にコンデンサーを接続し起電力を一定に安定させる。
その他の電源として利用されるのは蓄電池65或いは太陽光発電が利用できる。太陽光発電(ソーラー発電)の場合もエンブレムにソーラー発電機能を装着し直接通電するか或いは蓄電池にコンデンサー、電気抵抗機能材等を介してホイールに通電しても良い。電気回路は部品点数も少なく小型化してチップとして利用できるのでホイールエンブレム装着位置に配置することが出来る。蓄電池はホイール中央のエンブレム装着位置が好ましい。蓄電池は外部から充電して用いてもよいが、太陽光発電、或いは振動圧電素子の起電力で充電することも出来る。或いは機械的に重力差を回転体の動力源とし起電することも出来る。また前記したように外部(固定側)から通電ブラシあるいは摺動面を介して通電することも可能である。なお本実施例はホイールを一例として述べたのであるが、多くのジュラルミン製品は固定して用いられる場合が多いので当然ではあるが、通常の配電手段を電源として用いることも可能であり本発明に含まれる。
【0028】
(実施例4)
防食をより確実に行うためには図5に示すように、車軸のホイール取着部61とA200系などアルミニウム合金製ホイールのハブ面に、より卑なる電位の金属例えばA1000系のアルミニウム合金円板64を介在させることである。A6000系のアルミニウム合金も用いることが出来る。これらの金属はアノードとして作用するが、現状ではA6000系のアルミニウム合金製ホイールは車軸のホイール取着部に直接固定され異種金属接触腐食の問題は生じていない。A7000系は更に孔食電位が低いので実施例に示したCリング試験片でも割れが早く発生している。
【0029】
(実施例5)
外部電源法を更に精査して、不溶性アノードに純度の高いチタン板を用いた例を説明する。被防食金属にジュラルミンを用いるため、これらの試験片を作成した。チタン板のサイズは1×30×100で単位はミリである。ジュラルミンとしてアルミニウム合金A7475及びA2017を用いており、サイズはそれぞれ2×30×100、1×30×110(ミリ)である。腐食溶液は5%塩水と2/クロム酸カリウム液を個別に容器に入れ上記試験片を長さの約半分を浸漬し、電位差測定端子を接続した。測定器はデジタル・マルチメーター(R6581、旧 武田理研製)を用いており、測定結果を図6に示す。5%塩水(A7475+Ti)の40分後の電位差は642mVでこのときの電流値は260μA、5%塩水(A2017+Ti)の60分後の電位差は451mVでこのときの電流値は58μAである。2/クロム酸カリュウム液(A2017+Ti)の140分後の電位差は1.034mVでこのときの電流値は400μAであった。5%塩水ではA7014とA2017側のみ表面に酸化膜が認められたが、2/クロム酸カリュウム液ではチタン試験片にも酸化膜が生じた。各試験結果で5%塩水の場合は電位差が収束したが、2/クロム酸カリュウム液の場合は電位差が収束しないことから、酸化力が強すぎると判断し、5%塩水の値を採用することとした。チタン板を基板としてルテニウム、パラジウムなどの貴金属塩を塗布して炉で焼成し電子導電性の良い酸化物被膜を形成してもよい。
【0030】
防食回路図を図7に示す。電源としてリチュウム電池を使用している。余裕を見て2個直列にして6Vで回路設計をした。電源ICはDC−DCコンバーターであり、出力値1.2Vで僅かながら脈流になるので電解コンデンサーと整流器で平滑な出力電圧を得ると共に2kΩの補正抵抗を通じて最終的に出力電圧を1Vに調整した電源部70を構成している。チタン板71を不溶性アノードとしてA2017(ジュラルミン)からなる試験体72の片側に接続し、該試験体の他の側を電源部の−極に接続する。前記試験体は5%塩水を満たした容器74の中に浸漬した。チタン板71と試験体72の電位差は大略0.5Vであり、電源部出力1Vであるから、カソード側に位置する試験体に通電が可能であり、これによりカソード側で発生する還元反応に必要な電子の供給が可能となり酸化作用を除去できるので腐食を防止できる。
【0031】
(実施例6)
外部電源法を用いた別の回路図について図8を用いて説明する。実施例5と電源部70は同じであるが、チタン板71aを前記容器74に浸漬し、還元反応に必要な電子を塩水を通じて供給することでカソード側のA2017(ジュラルミン)試験体72aの酸化を防止する。塩水に限らず土壌のほか雨水など通電可能な環境であれば実施可能な電気回路図である。
【0032】
(実施例7)
外部電源法を用いてA2017、A7475等を用いたジュラルミン製ホイール防食構造の1例を説明する。防食電気回路を図9に示す。太陽光で発電するソーラーパネル75で発電された電力は個体電解質型燃料電池76に蓄電され、不溶性アノードとなるチタン板77を通じてDC−DCコンバーター78により電圧調整を行い出力を1Vに調整する。電流制限抵抗79を通じてカソード側となる前記ホイールに通電することで外部電源法による防食を行うものである。2点出力はホイールに出来るだけ均等に配電するためであり、1点あたり1V、0.5mAが好ましい。なおDC−DCコンバーターの出力は僅かながら脈流になるのでコンデンサーと整流器を用いて平滑な一定電圧を維持する回路が必要であり、図7に示す電源部70に示す回路が利用できる。チップ化すれば小さなスペースに挿置することができるので次に述べる実際にホイールに組み込まれる部分では省略している。
【0033】
図10(a)図は、ホイールエンブレム部80の断面図である。文字或いは記号が表示されるエンブレムは一般的に樹脂製でありホイールディスク中心部に設けられた孔に嵌入される。エンブレムの裏面側にソーラーパネル75を接着剤で固定し、その裏面側に個体電解質型燃料電池76を配置し、更にその裏面側にチタン板77、DC−DCコンバーター78を配置する。結線は図9の電気回路図に準じて行っている。+側の出力端子81はホイールディスク中心部の孔壁面に固定し、−側は表面を絶縁材で被覆したシート状の導電性部材82でホイールリムのリムフランジに接続する。
【0034】
図10(b)図は、ホイール83の断面図でありタイヤ84が装着されている。83aはディスク部であり、83bはリム部であり、83cはリムフランジ部である。導電性部材82の表面は絶縁体で覆われておりディスク部の裏面側に沿って固定され端部の絶縁体を除去してリムフランジ部の裏面側に固定し通電する。
【0035】
図11は、ホイール83の裏面側を示す平面図であり、中心部にエンブレムを嵌入する孔85が形成されている。該孔の壁面に電源部の+側端子が固定され、−側の導電部材82はリムフランジ83に接続される。電源部の出力電流はホイール中心部からリムフランジに向けて流れるので外部電源法に基づく防食が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のアルミニウム合金ホイールの防食法によれば、特にジュラルミン製ホイールの応力腐食割れを防止できるので、安全なホイールを提供できる。更にホイール自体をA2000系、A7000系のジュラルミンで製造する場合、予め鋳造ビレットを鍛造して金属組織を微細化し、結晶間の金属析出物を微細化し局部電池の発生を最小限に抑制するので防食の観点では有利な材料となる。防食法は流電防食方式、外部電源方式を採用しているので、ホイールのような回転体の他に自動車用部材、航空機機体、建設資材(例えば窓枠サッシュ)、産業用機器、補強材等の各部品、半製品、製品の防食など多方面に利用できる。ジュラルミンを使用することで引張り強度、耐力、伸び、シャルピー値が高いことから従来のホイールに比較して少なくとも10%〜20%軽量化できる。又、鍛造ビレットを用いた前記各品はシャルピー衝撃値及び伸びがきわめて高いので上記腐食問題を解決する事により、従来使用不可能とされていた分野にも適用可能となる。
【符号の説明】
【0037】
50・・・Cリング試験体
51・・・端子
52・・・ボルト
53・・・ナット
54・・・電源
55・・・容器
56・・・腐食液
57・・・U字型試験体
59・・・塩水
60・・・ホイール
62・・・振動圧電素子
63・・・導線
64・・・アルミニウム板
65・・・蓄電池
70・・・電源部
71、77・・・チタン板
72・・・ジュラルミン材
73・・・塩水
74・・・容器
75・・・ソーラーパネル
76・・・固体電解質型燃料電池
78・・・DC−DCコンバーター
79・・・抵抗器
82・・・導電部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防食を目的として通電及び/又はアースの電気回路を設け、此れらを作用せしめた軽合金製部品、半製品、製品。
【請求項2】
不溶性アノードにチタン材を基板に用いて通電する電気回路を備えた請求項1に記載の軽合金製部品、半製品、製品。
【請求項3】
通電する電源が太陽光発電器、振動圧電素子、機械的重量差を用いた発電機器、回転体若しくは揺動体を用いた発電機器、蓄電池、乾電池、蓄電器、コンデンサー、固体電解質型燃料電池のいずれかである請求項1または2に記載の軽合金製部品、半製品、製品。
【請求項4】
前記通電する電圧が被防食金属の腐食電位を越える電位を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の軽合金製部品、半製品、製品。
【請求項5】
アルミニウム合金の鋳造ビレットを溶融し鋳型に注型して得られる請求項1〜4のいずれか1項に記載の軽合金製部品、半製品、製品。
【請求項6】
鋳造ビレットを鍛造して鍛造ビレットと成し該鍛造ビレットを鍛造成形した請求項1〜4のいずれか1項に記載の軽合金製部品、半製品、製品。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項を用いた軽合金製ホイール。
【請求項8】
応力腐食割れを防止した請求項1〜6のいずれか1項に記載の軽合金製部品、半製品、製品。
【請求項1】
防食を目的として通電及び/又はアースの電気回路を設け、此れらを作用せしめた軽合金製部品、半製品、製品。
【請求項2】
不溶性アノードにチタン材を基板に用いて通電する電気回路を備えた請求項1に記載の軽合金製部品、半製品、製品。
【請求項3】
通電する電源が太陽光発電器、振動圧電素子、機械的重量差を用いた発電機器、回転体若しくは揺動体を用いた発電機器、蓄電池、乾電池、蓄電器、コンデンサー、固体電解質型燃料電池のいずれかである請求項1または2に記載の軽合金製部品、半製品、製品。
【請求項4】
前記通電する電圧が被防食金属の腐食電位を越える電位を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の軽合金製部品、半製品、製品。
【請求項5】
アルミニウム合金の鋳造ビレットを溶融し鋳型に注型して得られる請求項1〜4のいずれか1項に記載の軽合金製部品、半製品、製品。
【請求項6】
鋳造ビレットを鍛造して鍛造ビレットと成し該鍛造ビレットを鍛造成形した請求項1〜4のいずれか1項に記載の軽合金製部品、半製品、製品。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項を用いた軽合金製ホイール。
【請求項8】
応力腐食割れを防止した請求項1〜6のいずれか1項に記載の軽合金製部品、半製品、製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−92415(P2012−92415A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244162(P2010−244162)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000116231)ワシ興産株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000116231)ワシ興産株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
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