輝度ムラ検出装置、輝度ムラ検出方法及び表示装置
【課題】 表示パネルに表示される画像における輝度ムラの発生箇所を高い精度で検出し画質の向上を図る。
【解決手段】 検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、パネル保持部に保持された表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部とを備え、表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、撮像部に絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、絵素の1色のみの表示が撮像部によって撮像されて画像データが取得され、取得された画像データに基づいて絵素毎の画素に対する基準位置が設定され、設定された絵素の基準位置に基づいて画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、算出されたモアレ補正係数に基づいてモアレ成分が除去されて画像データから輝度ムラ検出データが生成され、生成された輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する。
【解決手段】 検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、パネル保持部に保持された表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部とを備え、表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、撮像部に絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、絵素の1色のみの表示が撮像部によって撮像されて画像データが取得され、取得された画像データに基づいて絵素毎の画素に対する基準位置が設定され、設定された絵素の基準位置に基づいて画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、算出されたモアレ補正係数に基づいてモアレ成分が除去されて画像データから輝度ムラ検出データが生成され、生成された輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輝度ムラ検出装置、輝度ムラ検出方法及び表示装置についての技術分野に関する。詳しくは、表示パネルに表示される画像における輝度ムラの発生箇所をモアレの影響を低減して高い精度で検出し画質の向上を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネル、例えば、液晶ディスプレイの表示パネルに表示される画像における輝度ムラの発生箇所を検出する輝度ムラ検出装置がある。
【0003】
このような輝度ムラ検出装置には、表示パネルに表示される画像を撮像装置によって撮像してカラー画像データを取得し、取得したカラー画像データに基づいて色ムラの発生箇所を検出するようにしたものがある。
【0004】
例えば、液晶ディスプレイ等の表示パネルに表示される画像の画質の検査において、表示パネルに表示された画像を、CCD(Charge Coupled Device)を有する撮像装置によって撮像すると、モアレと称される縞状の模様が発生することが知られている。
【0005】
このモアレは、格子状に配列されたCCDの画素で受光した光の輝度が、以下のような原因により、少しずつ規則的に変化を繰り返すことにより生じる。
【0006】
表示パネルとCCDにおいては、表示画像または撮像画像の各最小単位である画素が何れも格子状に配列されているが、撮像時に表示パネルの各画素(以後、「絵素」とする。)とCCDの各画素との間での相対的な位置ずれが生じる。CCDの画素には光を受光して電荷に変換する受光領域と、変換された電荷を転送する受光無効領域とが存在し、上記した絵素と画素の位置ずれによって画素が撮像する絵素毎に画素の受光領域に対する絵素の面積が異ってしまう。従って、このような受光領域と受光無効領域が存在し絵素と画素に位置ずれが生じることによって、各画素毎に検出される絵素の輝度が少しずつ規則的に変化を繰り返す。
【0007】
モアレは大きな輝度差を有し、表示パネルに表示される画像の画質の検査を行う際の精度に影響を与えるため、このモアレを撮像された画像データから除去する必要がある。
【0008】
そこで、従来の輝度ムラ検出装置には、撮像部によって撮像された画像内における絵素の座標を位置出し用画像及びその位置情報に基づいて認識し、絵素単位の平均輝度値を座標の中心位置を基準に算出し、得られた平均輝度値を各絵素における輝度値として扱うことにより、モアレの影響を緩和するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】特開2005−331929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記した特許文献1に記載された輝度ムラ検出装置においては、モアレによる画素毎の輝度値の変動を補正する処理は行われておらず、モアレの影響を十分に低減した上での輝度ムラ発生箇所の検出は行われておらず。従って、輝度ムラの発生箇所の検出が精度で低いという問題がある。
【0011】
そこで、輝度ムラ検出装置、輝度ムラ検出方法及び表示装置は、上記した問題点を克服し、表示パネルに表示される画像における輝度ムラの発生箇所を高い精度で検出し画質の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
輝度ムラ検出装置は、上記した課題を解決するために、検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、前記パネル保持部に保持された前記表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部とを備え、前記表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、前記撮像部に前記絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、前記絵素の1色のみの表示が前記撮像部によって撮像されて前記画像データが取得され、取得された前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置が設定され、設定された前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、算出された前記モアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分が除去されて前記画像データから輝度ムラ検出データが生成され、生成された前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出するものである。
【0013】
従って、輝度ムラ検出装置にあっては、画像データに基づいて生成された輝度ムラ検出データと基準データと比較されて表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所が検出される。
【0014】
上記した輝度ムラ検出装置にあっては、前記撮像部が1回の撮像によって前記表示パネルの全ての表示領域を撮像することが望ましい。
【0015】
1回の撮像によって表示パネルの全領域を撮像することにより、1回の撮像によって表示パネルの全領域における画像データが取得される。
【0016】
上記した輝度ムラ検出装置にあっては、前記撮像部の全領域が、複数の所定の数の前記画素によって構成された画素ブロックが複数設けられて成り、前記各画素ブロックにおいてそれぞれ前記各画素によって前記絵素の輝度値を検出して当該輝度値の総和を算出し、前記画素ブロック毎に前記表示パネルの前記輝度ムラ検出データを生成することが望ましい。
【0017】
各画素ブロックにおいてそれぞれ各画素によって絵素の輝度値を検出して当該輝度値の総和を算出し、画素ブロック毎に表示パネルの輝度ムラ検出データを生成することにより、画素ブロック毎に検出された絵素の輝度値に基づいて輝度ムラ検出データが生成される。
【0018】
上記した輝度ムラ検出装置にあっては、前記複数の画素が格子状に配列され、前記画素の並び方向における一方向が第1の方向とされ、前記画素ブロックに含まれる前記複数の画素のうちの所定の位置に存在する一部の画素によって前記絵素の輝度値が検出されるように前記第1の方向における前記基準位置を設定することが望ましい。
【0019】
複数の画素が格子状に配列され、画素の並び方向における一方向が第1の方向とされ、画素ブロックに含まれる複数の画素のうちの所定の位置に存在する一部の画素によって絵素の輝度値が検出されるように第1の方向における基準位置を設定することにより、画素ブロックに含まれる所定の位置の画素によって絵素の輝度値が検出される。
【0020】
上記した輝度ムラ検出装置にあっては、前記画素の並び方向における前記第1の方向に直交する方向が第2の方向とされ、前記第1の方向に並ぶ前記各画素によってそれぞれ前記第2の方向に並ぶ複数の第1の画素ラインが構成され、前記各第1の画素ラインの全ての前記画素によって検出された前記絵素の輝度値の総和が前記第1の画素ライン毎に算出され、算出された前記各第1の画素ラインの総和に基づいて周期関数が定義され、定義された前記周期関数に基づいて前記第2の方向における前記基準位置を設定することが望ましい。
【0021】
各第1の画素ラインの全ての画素によって検出された絵素の輝度値の総和が第1の画素ライン毎に算出され、算出された各第1の画素ラインの総和に基づいて周期関数が定義され、定義された周期関数に基づいて第2の方向における基準位置を設定することにより、第1の画素ラインにおいて検出された輝度値に基づいて第2の方向における基準位置が設定される。
【0022】
上記した輝度ムラ検出装置にあっては、前記第2の方向に並ぶ前記各画素によってそれぞれ前記第1の方向に並ぶ複数の第2の画素ラインが構成され、前記各第2の画素ラインの全ての前記画素によって検出された前記絵素の輝度値の総和が前記第2の画素ライン毎に算出され、前記複数の第2の画素ラインのうち前記第1の方向における一端に位置する前記第2の画素ラインが基準ラインとされ、前記基準ラインを基準にして所定の位置にある前記第2の画素ラインが特定ラインとされ、前記特定ラインにおいて検出された前記輝度値の総和と前記基準ラインから前記特定ラインまでの前記各第2の画素ラインにおいてそれぞれ検出された前記輝度値の各総和とを比較して前記第1の方向における前記基準位置を設定することが望ましい。
【0023】
特定ラインにおいて検出された輝度値の総和と基準ラインから特定ラインまでの各第2の画素ラインにおいてそれぞれ検出された輝度値の各総和とを比較して第1の方向における基準位置を設定することにより、第2の画素ラインにおいて検出された輝度値に基づいて第1の方向における基準位置が設定される。
【0024】
上記した輝度ムラ検出装置にあっては、前記モアレ補正係数が前記絵素の所定の色毎に定められることが望ましい。
【0025】
モアレ補正係数が絵素の所定の色毎に定められることにより、絵素の所定の色毎に輝度ムラ検出データが生成される。
【0026】
上記した輝度ムラ検出装置にあっては、前記モアレ成分による前記表示パネルにおける輝度が前記表示パネルの中央を基準として同心円状に変化するように前記表示パネルに対する前記撮像部の位置及び向きが調整されることが望ましい。
【0027】
モアレ成分による表示パネルにおける輝度が表示パネルの中央を基準として同心円状に変化するように表示パネルに対する撮像部の位置及び向きが調整されることにより、モアレ成分による輝度の変化が画素の配列の方向に沿って規則的に変化される。
【0028】
輝度ムラ検出方法にあっては、画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられパネル保持部に保持された表示パネルに前記絵素の1色のみを表示し、前記表示パネルに表示された前記絵素の1色のみの表示を撮像部によって撮像して画像データを取得し、取得した前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置を設定し、設定した前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数を算出し、算出したモアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分を除去して前記画像データから輝度ムラ検出データを生成し、生成した前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出するものである。
【0029】
従って、輝度ムラ検出方法にあっては、画像データに基づいて生成された輝度ムラ検出データと基準データとが比較されて表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所が検出される。
【0030】
表示装置にあっては、輝度ムラ検出装置によって輝度ムラの発生箇所に関する判別が行われた表示パネルと、前記表示パネルを保持する筐体とを備え、前記輝度ムラ検出装置が、検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、前記パネル保持部に保持された前記表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部を有する撮像部とを備え、前記表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、前記撮像部に前記絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、前記絵素の1色のみの表示が前記撮像部によって撮像されて前記画像データが取得され、取得された前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置が設定され、設定された前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、算出されたモアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分が除去されて前記画像データから輝度ムラ検出データが生成され、生成された前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出するものである。
【0031】
従って、表示装置にあっては、輝度ムラ検出装置によって画像データに基づいて生成された輝度ムラ検出データと基準データとが比較されて表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所が検出された表示パネルを備える。
【発明の効果】
【0032】
本技術輝度ムラ検出装置は、検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、前記パネル保持部に保持された前記表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部とを備え、前記表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、前記撮像部に前記絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、前記絵素の1色のみの表示が前記撮像部によって撮像されて前記画像データが取得され、取得された前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置が設定され、設定された前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、算出された前記モアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分が除去されて前記画像データから輝度ムラ検出データが生成され、生成された前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する。
【0033】
従って、表示パネルに発生する輝度ムラの発生箇所を高い精度で検出し画質の向上を図ることが出来る。
【0034】
請求項2に記載した技術にあっては、前記撮像部が1回の撮像によって前記表示パネルの全ての表示領域を撮像する。
【0035】
従って、画像データの取得時間の短縮化を図ることが出来る。
【0036】
請求項3に記載した技術にあっては、前記撮像部の全領域が、複数の所定の数の前記画素によって構成された画素ブロックが複数設けられて成り、前記各画素ブロックにおいてそれぞれ前記各画素によって前記絵素の輝度値を検出して当該輝度値の総和を算出し、前記画素ブロック毎に前記表示パネルの前記輝度ムラ検出データを生成するようにしている。
【0037】
従って、絵素の輝度値の検出精度の向上を図ることが出来る。
【0038】
請求項4に記載した技術にあっては、前記複数の画素が格子状に配列され、前記画素の並び方向における一方向が第1の方向とされ、前記画素ブロックに含まれる前記複数の画素のうちの所定の位置に存在する一部の画素によって前記絵素の輝度値が検出されるように前記第1の方向における前記基準位置を設定している。
【0039】
従って、絵素の輝度値の検出精度のより一層の向上を図ることが出来る。
【0040】
請求項5に記載した技術にあっては、前記画素の並び方向における前記第1の方向に直交する方向が第2の方向とされ、前記第1の方向に並ぶ前記各画素によってそれぞれ前記第2の方向に並ぶ複数の第1の画素ラインが構成され、前記各第1の画素ラインの全ての前記画素によって検出された前記絵素の輝度値の総和が前記第1の画素ライン毎に算出され、算出された前記各第1の画素ラインの総和に基づいて周期関数が定義され、定義された前記周期関数に基づいて前記第2の方向における前記基準位置を設定するようにしている。
【0041】
従って、絵素の輝度値の検出精度の向上を図ることが出来る。
【0042】
請求項6に記載した技術にあっては、前記第2の方向に並ぶ前記各画素によってそれぞれ前記第1の方向に並ぶ複数の第2の画素ラインが構成され、前記各第2の画素ラインの全ての前記画素によって検出された前記絵素の輝度値の総和が前記第2の画素ライン毎に算出され、前記複数の第2の画素ラインのうち前記第1の方向における一端に位置する前記第2の画素ラインが基準ラインとされ、前記基準ラインを基準にして所定の位置にある前記第2の画素ラインが特定ラインとされ、前記特定ラインにおいて検出された前記輝度値の総和と前記基準ラインから前記特定ラインまでの前記各第2の画素ラインにおいてそれぞれ検出された前記輝度値の各総和とを比較して前記第1の方向における前記基準位置を設定するようにしている。
【0043】
従って、画素ブロック毎に算出された輝度値に基づいて第1の方向における基準位置を設定していないため、第1の方向における基準位置の設定時間の短縮化を図ることが出来る。
【0044】
請求項7に記載した技術にあっては、前記モアレ補正係数が前記絵素の所定の色毎に定められるようにしている。
【0045】
従って、モアレ補正係数が絵素の色毎に定められるので、輝度ムラの発生箇所の検出精度の向上を図ることが出来る。
【0046】
請求項8に記載した技術にあっては、前記モアレ成分による前記表示パネルにおける輝度が前記表示パネルの中央を基準として同心円状に変化するように前記表示パネルに対する前記撮像部の位置及び向きが調整される。
【0047】
従って、表示パネルの中央を基準として同心円状に変化された輝度に基づいてモアレ補正係数が算出されるので、モアレ補正係数の算出精度が高められ、輝度ムラ検出データの生成精度の向上を図ることが出来る。
【0048】
本技術輝度ムラ検出方法にあっては、画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられパネル保持部に保持された表示パネルに前記絵素の1色のみを表示し、前記表示パネルに表示された前記絵素の1色のみの表示を撮像部によって撮像して画像データを取得し、取得した前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置を設定し、設定した前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数を算出し、算出したモアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分を除去して前記画像データから輝度ムラ検出データを生成し、生成した前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する。
【0049】
従って、表示パネルに発生する輝度ムラの発生箇所を高い精度で検出し画質の向上を図ることが出来る。
【0050】
本技術表示装置にあっては、輝度ムラ検出装置によって輝度ムラの発生箇所に関する判別が行われた表示パネルと、前記表示パネルを保持する筐体とを備え、前記輝度ムラ検出装置が、検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、前記パネル保持部に保持された前記表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部を有する撮像部とを備え、前記表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、前記撮像部に前記絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、前記絵素の1色のみの表示が前記撮像部によって撮像されて前記画像データが取得され、取得された前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置が設定され、設定された前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、算出されたモアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分が除去されて前記画像データから輝度ムラ検出データが生成され、生成された前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する。
【0051】
従って、表示パネルに発生する輝度ムラの発生箇所を高い精度で検出し画質の向上を図ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下に、図面を参照して、本技術を実施するための最良の形態(以下、単に実施の形態と称する。)について詳細に説明する。
【0053】
[表示装置の構成]
表示装置1は筐体2と筐体2に保持された表示パネル3とを有している(図1参照)。
【0054】
表示パネル3としては、例えば、液晶ディスプレイが用いられ、表示パネル3の前面における外周部以外の部分、即ち、前方から視認される部分に画像が表示される。
【0055】
表示パネル3には画像を形成する最小単位として複数の絵素4、4、・・・が設けられている。絵素4、4、・・・は表示パネル3の長手方向(水平方向)に並んで、例えば、5760個が配置され、表示パネル3の短手方向(垂直方向)に並んで、例えば、1080個が配置されている。絵素4、4、・・・には光の3原色である赤色を表示する絵素4R、4R、・・・と緑色を表示する4G、4G、・・・と青色を表示する4B、4B、・・・が存在し、各色の絵素4、4、・・・毎に階調表示が行われる。絵素4R、4G、4Bは水平方向において順に配列されて絵素ブロックを構成し、絵素ブロックは水平方向及び垂直方向にそれぞれ所定の数が配列されている。
【0056】
絵素4は縦長の形状に形成され、縦横比が約3:1にされ、絵素ブロックが略正方形状に構成されている。
【0057】
なお、上記には、表示パネル3として液晶ディスプレイが用いられた例を示したが、表示パネル3は液晶ディスプレイに限定はされない。
【0058】
例えば、表示パネル3として画像を表示する自発光デバイスである有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイやプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)などが用いられていてもよい。
【0059】
[表示装置の動作]
表示装置1においては、外部から供給される電源及び入力画像信号に基づいて表示パネル3に画像(カラー画像)が表示される。
【0060】
表示パネル3に表示される画像に輝度ムラが発生すると画質を著しく損ねるため、表示装置1においては製品としての出荷前に表示パネル3における輝度ムラの発生箇所の検出が行われている。
【0061】
表示パネル3における輝度ムラの発生箇所の検出は、以下に示す輝度ムラ検出装置5によって行われている。
【0062】
表示装置1にあっては、輝度ムラ検出装置5によって輝度ムラの発生箇所が検出され、検出結果に基づいて輝度ムラの発生のない表示パネル3を有しているため、画質の向上を図ることが出来る。
【0063】
[輝度ムラ検出装置の構成]
輝度ムラ検出装置5は、作業台6とフレーム7とサブフレーム8とパネル保持部9と撮像装置10と分光輝度色彩測定装置11とモニター12と駆動電源部13と情報処理部14を備えている(図1及び図2参照)。
【0064】
作業台6には作業位置6aと第1検査位置6bと第2検査位置6cが設けられている。作業台6の内部には図示しないリニア駆動部が設けられている。作業位置6aと第1検査位置6bと第2検査位置6cは水平方向において順に位置されている。
【0065】
フレーム7は第1検査位置6bの上方に位置するように作業台6に取り付けられている。フレーム7には図示しない調整機構が設けられている。
【0066】
サブフレーム8は第2検査位置6cの上方に位置するように作業台6に取り付けられている。
【0067】
パネル保持部9は作業台6上を水平方向へ移動可能とされ、リニア駆動部によって作業位置6a、第1検査位置6bまたは第2検査位置6cの何れかに停止するように移動される。パネル保持部9の移動位置は情報処理部14から出力される駆動信号に基づいて定められる。パネル保持部9は表示パネル3を保持する図示しない保持機構を有している。
【0068】
撮像装置10は、第1検査位置6bに移動された表示パネル3を撮像する向きで第1の保持部15によってフレーム7に保持されている。撮像装置10はフレーム7に設けられた調整機構によって、第1検査位置6bに移動された表示パネル3に対する位置及び向きが調整される。即ち、撮像装置10は表示パネル3に対する位置及び撮像角度が調整される。
【0069】
撮像装置10は撮像部16と光学系を有し、光学系を介して形成された表示パネル3に表示される画像を撮像部16によって撮像する。
【0070】
撮像部16としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)が用いられている。撮像部16には撮像によって画像を取得する最小の単位として複数の画素17、17、・・・が設けられている。撮像部16によって撮像された表示パネル3に表示された画像は画像データとして生成される。
【0071】
撮像装置10による表示パネル3に表示される画像の撮像は全領域を一回で撮像することが望ましく、全領域を一回で撮像して画像データを取得するためには、画素17、17、・・・の総数を絵素4、4、・・・の総数と同じかそれよりも多くすることが望ましい。従って、撮像部16の画素17、17、・・・は、例えば、水平方向に略同数が配列され垂直方向に絵素4、4、・・・の約3倍の数が配列されている。絵素4と画素17の大きさは、水平方向において絵素4が画素17より稍小さくされ、垂直方向において絵素4が画素17の3倍弱にされている。
【0072】
画素17は光を受光して電荷に変換する受光領域18と、変換された電荷が転送される受光無効領域19とが存在する。
【0073】
光学系は、図示しないフォーカスレンズを有している。フォーカスレンズは表示パネル3の撮像時における焦点距離の調節に用いられる。フォーカスレンズは、DCモータやステッピングモータ等の図示しない駆動部により、情報処理部14から出力される制御信号に基づいて移動される。
【0074】
分光輝度色彩測定装置11は、第2検査位置6cに移動された表示パネル3を撮像する向きで第2の保持部20によってサブフレーム8に保持されている。分光輝度色彩測定装置11によって撮像された表示パネル3に表示された画像における波長毎の輝度や色彩は、画質検査データとして生成される。
【0075】
モニター12は、作業位置6aの上方に位置するようにフレーム7に取り付けられている。モニター12には撮像部16によって表示パネル3が撮像されるときの画像が映像として表示される。作業者はモニター12に表示される画像に基づいて撮像装置10の表示パネル3に対する焦点距離、上下方向における位置及び撮像角度を調整することが可能とされている。
【0076】
駆動電源部13は、作業台6の第1検査位置6bの下方に配置されている。駆動電源部13は図示しない電源回路と画像信号生成部を有する。駆動電源部13はパネル保持部9に保持された表示パネル3に図示しないケーブルを介して接続される。駆動電源部13によって駆動電源と入力画像信号が第1検査位置6bに移動された表示パネル3に供給され、絵素4、4、・・・が駆動されて表示パネル3に画像が表示される。
【0077】
情報処理部14は、作業台6の作業位置6aの下方に配置されている。情報処理部14は図示しない操作部と記憶装置を有している。記憶装置にはプログラムとして後述する基準位置設定部とモアレ補正係数算出部と輝度ムラ検出部が設けられている。
【0078】
情報処理部14は撮像装置10、リニア駆動部及び分光輝度色彩測定装置11を制御する機能を有し、リニア駆動部によるパネル保持部9の移動位置の制御や撮像装置10及び分光輝度色彩測定装置11から伝送された各データに基づく演算処理及び処理結果の出力を行う。
【0079】
また、情報処理部14からは、操作部において行われた操作に基づいて、パネル保持部9の移動の制御を行う駆動信号及び撮像装置10が有する光学系の焦点距離の調節を行う制御信号が出力される。
【0080】
撮像装置10によって取得された画像データまたは分光輝度色彩測定装置11によって取得された画質検査データは情報処理部14に出力され、それぞれ輝度ムラの発生箇所の検出及び画質の検査に用いられる。
【0081】
[輝度ムラ検出装置の動作]
以下に、輝度ムラ検出装置の動作を説明する(図1及び図2参照)。
【0082】
先ず、作業位置6aに位置されているパネル保持部9に表示パネル3が装着され、表示パネル3がパネル保持部9に保持機構によって保持される。表示パネル3がパネル保持部9に保持されると、パネル保持部9に保持された表示パネル3に駆動電源部13がケーブルを介して接続される。続いて、表示パネル3に駆動電源部13から駆動電源及び入力画像信号が供給されて3色の絵素4R、4R、・・・、絵素4G、4G、・・・、絵素4B、4B、・・・のうちの1色の絵素4、4、・・・のみが駆動されて画像が表示される。
【0083】
次に、表示パネル3が第1検査位置6bに移動される。表示パネル3が第1検査位置6bに移動されると、撮像装置10によって表示パネル3の撮像が行われる。撮像装置10による撮像が行われている間は、表示パネル3に表示されている画像がモニター12に映像として表示される。
【0084】
なお、上記には、作業位置6aに位置されている表示パネル3に画像が表示される例を示したが、表示パネル3が第1検査位置6bに移動されたときに表示パネル3への画像の表示が開始されるようにすることも可能である。
【0085】
次いで、モニター12に表示される映像を確認しながら、表示パネル3の中心と撮像装置10の光学系の光軸が一致するようにフレーム7に設けられた調整機構によって撮像装置10の位置及び表示パネル3に対する角度を調整する。
【0086】
次に、モニター12に表示される映像に表示パネル3に表示されている画像の全領域が表示されるように撮像装置10の表示パネル3に対する高さをフレーム7に設けられた調整機構によって調整する。
【0087】
表示パネル3に対する撮像装置10の位置及び角度が調整された後に、情報処理部14の操作部を操作することによりフォーカスレンズの位置を調整し、撮像装置10の光学系の焦点位置を表示パネル3の表示面に一致させる。
【0088】
撮像装置10の光学系の焦点の位置が調整されると、モニター12に表示される映像にモアレ成分が出現する。次いで、モアレ成分による表示パネル3の輝度が、例えば、表示パネル3の中央を基準として同心円状に出現するように表示パネル3に対する撮像装置10の撮像角度をフレーム7に設けられた調整機構によって調整する。
【0089】
上記した表示パネル3に対する撮像装置10の位置、焦点距離及び撮像角度が調整された後に、表示パネル3における輝度ムラの発生箇所の検出が行われる。
【0090】
輝度ムラの発生箇所の検出は、撮像装置10によって表示パネル3の全ての表示領域を、例えば、1回で撮像して画像データを取得することにより行われる。このように撮像装置10の一度の撮像で表示パネル3の全ての表示領域が撮像されることにより、画像データの取得時間の短縮化を図ることが出来る。
【0091】
1色の絵素4、4、・・・について検出が終了された後に、残りの2色の絵素4、4、・・・についても上記と同様の動作が繰り返されて輝度ムラの発生箇所の検出が行われる。
【0092】
表示装置1においては、上記した輝度ムラの発生箇所の検出が表示装置1を製品として出荷する前の検査工程において行われ、検査対象となる全ての表示パネル3について行われる。輝度ムラの発生箇所があることが検出された表示パネル3は、当該部分に輝度ムラが発生しないように修繕されるか、出荷に適さない表示パネル3として除外される。
【0093】
輝度ムラの発生箇所の検出が行われた表示パネル3は、次に、第2検査位置6cに移動される。表示パネル3が第2検査位置6cに移動されると、分光輝度色彩測定装置11によって表示パネル3に表示される画像が撮像されて画質検査データが取得され、取得された画質検査データが情報処理部14に伝送される。
【0094】
情報処理部14に画質検査データが伝送されると、例えば、画質検査データと予め定められた所定の指標データとが比較されて表示パネル3についての画質検査が行われる。
【0095】
<輝度ムラの発生箇所の検出の具体的な方法>
上記した輝度ムラ検出装置5において実行される輝度ムラの発生箇所の検出方法について具体的な方法を説明する。
【0096】
[基準位置の設定]
先ず、撮像装置10によって取得された画像データが情報処理部14に伝送された後の画素17、17、・・・に対する絵素4、4、・・・についての基準位置の設定方法について説明する。
【0097】
図3は、撮像部16を表示パネル3側から見た模式図であり、光学系を介して撮像部16の撮像面に投影される絵素4、4、・・・の領域(以後、「絵素投影領域Q」とする。)を斜線で示している。
【0098】
図3に示すように、撮像部16における角部の一つ(左下端部)を原点Oとし、水平方向を第1の方向とし、垂直方向を第2の方向とする。原点Oに位置する画素17が座標(0,0)に存在し、原点Oを基準として第1の方向にa個目、第2の方向にb個目に位置する画素17が座標(a,b)に存在する。
【0099】
第1の方向に並ぶ各画素17、17、・・・によってそれぞれ第2の方向に並ぶ複数の第1の画素ラインL1、L1、・・・が構成され、第2の方向に並ぶ各画素17、17、・・・によってそれぞれ第1の方向に並ぶ複数の第2の画素ラインL2、L2、・・・が構成される。
【0100】
絵素投影領域Qについては、原点Oの近くに存在する角部(左下端)を原点Pとし、原点Pに位置する絵素4がアドレス(0,0)に存在し、原点Pを基準として第1の方向にm個目、第2の方向にn個目に位置する絵素4がアドレス(m,n)に存在する。
【0101】
撮像装置10によって取得された画像データは、情報処理部14に伝送されて基準位置設定部に入力される。
【0102】
図4は、撮像部16の撮像面に絵素4が投影されている状態を示す模式図である。
【0103】
撮像部16の撮像面には複数の所定の数の画素17、17、・・・によって構成された複数の画素ブロックA、A、・・・が設けられている。画素ブロックAは、例えば、縦横3個ずつの合計9個の画素17、17、・・・によって構成されている。
【0104】
なお、上記には、画素ブロックAを構成する画素17、17、・・・の数を9個とした例を示したが、画素ブロックAの画素17の数は9個に限られることはなく、任意の数に設定することが可能である。
【0105】
画素ブロックAは、第1の方向における大きさが、例えば、1個の絵素4の約3倍にされ、第2の方向における大きさが1個の絵素4より稍大きくされている。輝度ムラ検出装置5においては、画素ブロックAに必ず1個の絵素4が投影されるように構成されており、絵素4の輝度値が画素ブロックAを構成する画素17、17、・・・毎に検出される輝度値の総和、即ち、9個の画素17、17、・・・によって検出される輝度値の総和によって算出される。
【0106】
上記したように、撮像部16の全領域が、複数の所定の数の画素17、17、・・・によって構成された画素ブロックA、A、・・・が複数設けられて成り、各画素ブロックAにおいてそれぞれ絵素4の輝度値を画素17、17、・・・によって検出される総和によって算出している。従って、画素ブロックAを構成する複数の画素17、17、・・・によって確実に絵素4の輝度値が検出されるので、絵素4の輝度値の検出精度の向上を図ることが出来る。
【0107】
上記したように、撮像部16によって表示パネル3が撮像されると、撮像部16の各第1の画素ラインL1、L1、・・・の絵素投影領域Qの第1の方向における検出幅が算出される(図5参照)。即ち、座標(x、y)を含む第1の画素ラインL1を構成する画素17、17、・・・における輝度値が順次原点O側から参照され、最初に絵素4の輝度値が検出された画素17の第1の方向における座標(検出開始水平座標H_Start[y])と、最後に絵素4の輝度値が検出された画素17の第1の方向における座標とに基づいて検出幅H_width[y]が算出される。
【0108】
また、撮像部16によって表示パネル3が撮像されると、撮像部16の各第1の画素ラインL2、L2、・・・の絵素投影領域Qの第2の方向における検出高さが算出される(図5参照)。即ち、座標(x、y)を含む第2の画素ラインL2を構成する画素17、17、・・・における輝度値が順次原点O側から参照され、最初に絵素4の輝度値が検出された画素17の第2の方向における座標(検出開始垂直座標V_Start[x])と、最後に絵素4の輝度値が検出された画素17の第2の方向における座標とに基づいて検出高さV_height[x]が算出される。
【0109】
次に、算出された各第1の画素ラインL1、L1、・・・毎の検出開始水平座標H_Start[y]に基づいて、検出開始水平座標H_Start[y]の平均値x_stが、例えば、下記の数式に基づいて算出される。
【0110】
x_st=(H_Start[y’]+H_Start[y’+1]+・・・+H_Start[y’+n−1]+H_Start[y’+n])/n)
【0111】
上記した数式において、y’は絵素4、4、・・・の輝度値が検出された第1の画素ラインL1、L1、・・・のうち原点Oに最も近い第1の画素ラインL1の第2の方向における座標であり、nはV_height[x]のうち原点Oに最も近い第2の画素ラインL2から算出されたV_height[x]の値とされる。
【0112】
算出されたx_stに基づいて、座標(x_st、V_Start[x_st])から座標(x_st、V_Start[x_st]+V_height[x_st])までに配列された画素17、17、・・・によって基準ラインS1が構成され、基準ラインS1の画素17、17、・・・によって検出された輝度値の総和がT1とされる。
【0113】
また、同様にx_stに基づいて、座標(x_st+1、V_Start[x_st+1])から座標(x_st+1、V_Start[x_st+1]+V_height[x_st+1])までに配列された画素17、17、・・・によって検出された輝度値の総和がT2とされる。
【0114】
さらに、同様にx_stに基づいて、座標(x_st+2、V_Start[x_st+2])から座標(x_st+2、V_Start[x_st+2]+V_height[x_st+2])までに配列された画素17、17、・・・によって特定ラインS2が構成され、特定ラインS2の画素17、17、・・・によって検出された輝度値の総和がT3とされる。
【0115】
続いて、T1乃至T3の値を比較する。輝度ムラ検出装置5においては、絵素4の画素17、17、・・・に対する第1の方向における基準位置を、T1、T2に対してT3が最小値となる場合に設定するようにしている。従って、絵素4の画素17、17、・・・に対する投影状態に応じて以下のような制御が行われる。
【0116】
図6は、画素17、17、・・・に対して絵素4、4、・・・がそれぞれ異なる位置に投影されている状態を表した模式図である。画素17、17、・・・と絵素4、4、・・・は形状と間隔が異なるため、画素17、17、・・・と絵素4、4、・・・は、例えば、少なくとも図6に示す(a)、(b)、(c)の3種類の位置関係を取り得る。
【0117】
図6(a)は、画素ブロックAの第1の方向における中央の画素17、17、17に絵素4が投影され、これらの画素17、17、17によって絵素4の輝度値が検出されている状態を示す模式図である。
【0118】
図6(a)の場合においてT1乃至T3が算出されると、T3の値が最小となり、T2の値が最大となる。従って、x_stについての加算や減算は行われず、このときのx_stが第1の方向における基準位置とされる。
【0119】
図6(b)は、画素ブロックAの第1の方向における中央の画素17、17、17と右側の画素17、17、17との間に絵素4が投影され、これらの画素17、17、・・・によって絵素4の輝度値が検出されている状態を示す模式図である。
【0120】
図6(b)の場合においてT1乃至T3が算出されると、T2とT3の値がほぼ同じとなり、T1の値が最小となる。この場合には、x_stに対して1が加算され、1が加算されたx_stについてT1乃至T3が再度算出されるとT3の値が最小とされる。従って、1が加算されたx_stが第1の方向における基準位置とされる。
【0121】
図6(c)は、画素ブロックAの右側の画素17、17、17に絵素4が投影され、これらの画素17、17、17によって絵素4の輝度値が検出されている状態を示す模式図である。
【0122】
図6(c)の場合においてT1乃至T3が算出されると、T3の値が最大となり、T2の値が最小となる。この場合には、x_stに対して1が減算され、1が減算されたx_stについてT1乃至T3が再度算出されるとT3の値が最小とされる。従って、1が減算されたx_stが第1の方向における基準位置とされる。
【0123】
上記したように、輝度ムラ検出装置5にあっては、特定ラインS2において検出された輝度値の総和と基準ラインS1から特定ラインS2までのそれぞれの各画素ラインL2、L2、L2においてそれぞれ検出された輝度値の各総和とを比較して第1の方向における基準位置を設定するようにしている。従って、画素ブロックA、A、・・・毎に算出された輝度値に基づいて第1の方向における基準位置を設定していないため、第1の方向における基準位置の設定時間の短縮化を図ることが出来る。
【0124】
また、輝度ムラ検出装置5にあっては、画素ブロックAに含まれる複数の画素17、17、・・・のうちの所定の位置に存在する一部の画素17、17、・・・によって絵素4の輝度値が検出されるように第1の方向における基準位置が設定される。従って、絵素4の輝度値の検出精度のより一層の向上を図ることが出来る。
【0125】
次いで、第2の方向における基準位置が以下に示す方法によって設定される。
【0126】
算出された各第2の画素ラインL2、L2、・・・毎の検出開始垂直座標V_Start[x]と検出高さV_height[x]に基づいて、各第2の画素ラインL2、L2、・・・毎のセンター座標V_center[x]が算出される。
【0127】
図7は、画素17、17、・・・に対して絵素4、4、・・・がそれぞれ異なる位置に投影されている状態を表した模式図である。第2の方向においても画素17、17、・・・と絵素4、4、・・・は形状と間隔が異なるので、例えば、少なくとも、図7に示す(a)、(b)、(c)の3種類の位置関係を取り得る。図7において、Y1乃至Y3はそれぞれ第1の方向に並んで配列されている画素17、17、17によって検出された輝度値の総和である。
【0128】
上記したように、撮像部16はモアレ成分による表示パネル3における輝度が表示パネル3の中央を基準として同心円状に変化するように表示パネル3に対して位置及び向きが調整されており、撮像部16によって取得された画像データは、画素17、17、・・・によって検出された絵素4、4、・・・の輝度値が第2の方向において周期的に変化する。従って、図7及び図8に示すように、輝度値の総和Y1、Y2、Y3、Y1、・・・を第1の画素ラインL1の第2の方向における座標との関係において所定のパターンを有する周期関数F1として定義することが可能である。そこで、輝度ムラ検出装置5においては、周期関数F1を近似的に余弦関数F2として定義している。
【0129】
図8は、上記した周期関数F1と余弦関数F2(コサイン波W1)とを比較して示す模式図である。図8は、周期関数F1とコサイン波W1の位相とが同期している状態を表している。周期関数F1と同期された状態のコサイン波W1の変曲点i、i、・・・が、例えば、第2の方向の絵素4、4、・・・間の境界とされる。
【0130】
余弦関数F2は、第2の方向におけるセンター座標V_center[x]、位相PH[x]及び歪みNK[x]を変数として、例えば、以下に示す数式として定義される。
【0131】
F2=cos(π×(V_center[x]−y+PH[x])×NK[x])
【0132】
また、第2の方向における座標yに位置する第1の画素ラインL1を構成する画素17、17、・・・の輝度値の総和をV_S[y]とすると、余弦関数F2の数式とV_S[y]を乗じることにより総和Totalが算出される。総和Totalは、例えば、以下の数式によって算出される。
【0133】
Total=Σ[y=a,b](cos(π×(V_center[x]−y+PH[x])×NK[x])+1)×V_S[y]
【0134】
上記した数式において、Σ[y=a,b]はyがaからbまで変化されるときの総和を表す。aの値はV_Start[x]であり、bの値はV_Start[x]にV_height[x]が加算された値とされる。
【0135】
総和Totalの値が最大とされる位相PH[x]と歪みNK[x]が、例えば、反復法による解によって求められる。求められた位相PH[x]と歪みNK[x]の値に基づいて上記したF2の値が0または略0になるようにyの値が算出される。即ち、変曲点i、i、・・・もしくは変曲点i、i、・・・に最も近いとされるyの値が第2の方向に並んで配列された絵素4、4、・・・の境界に位置する画素17、17、・・・のそれぞれの第2の方向における座標とされる。
【0136】
算出されたyの値に基づいて、各第2の画素ラインL2、L2、・・・毎に第2の方向における基準位置y_st[x、y]が画素ブロックA、A、・・・毎に設定される。
【0137】
このように第1の画素ラインL1の全ての画素17、17、・・・によって検出された絵素4、4、・・・の輝度値の総和Y1乃至Y3が第1の画素ラインL1、L1、・・・毎に算出され、算出された第1の画素ラインL1、L1、・・・毎の総和に基づいて周期関数F2が定義され、定義された周期関数F2に基づいて第2の方向における基準位置が設定される。従って、第2の方向における基準位置が画素ブロックA、A、・・・毎に設定されるので、絵素4、4、・・・の輝度値の検出精度の向上を図ることが出来る。
【0138】
設定された第1の方向における基準位置x_stと第2の方向における基準位置y_st[x、y]に基づいて、各絵素4、4、・・・毎に画素ブロックAを構成する画素17、17、・・・の各座標が定められる。
【0139】
上記した各画素ブロックAにおいて原点Oに最も近い画素17の座標が当該画素ブロックAの代表座標とされ、各絵素4、4、・・・毎に画素ブロックAの代表座標(sx[px,py]、sy[px,py])がそれぞれ算出されてモアレ補正係数算出部に出力される。
【0140】
[輝度ムラ検出データの生成]
各絵素4、4、・・・毎の画素ブロックAの代表座標がモアレ補正係数算出部に入力されると、アドレス(px,py)の絵素4に対応する画素ブロックAの代表座標(sx[px,py]、sy[px,py])から座標(sx[px,py]+2、sy[px,py]+2)の座標における9個の画素17、17、・・・によって検出された輝度値の総和がSouwa(px,py)として算出される。算出されたSouwa(px,py)はモアレ成分が除去される前の絵素4、4、・・・のそれぞれの輝度値とされる。
【0141】
図9の左側の図は、撮像部16によって撮像されて取得された画像データDを示し、画像データDはモアレ成分M、M、・・・による表示パネル3の輝度が表示パネル3の中央を基準として同心円状に変化する。図9の右側の図は、左側の図の破線部に沿った絵素4、4、・・・毎に画素17、17、・・・によって検出された輝度値を棒グラフとして示している。
【0142】
図9に示すように、モアレ成分M、M、・・・による輝度は第1の方向において周期的に変動される。このようなモアレ成分M、M、・・・による輝度の変動量を補正するためのモアレ補正係数が以下に示す方法によって算出される。
【0143】
図10は、画素ブロックAを表す模式図である。
【0144】
絵素4が投影された画素ブロックAを構成する画素17、17、・・・を第1の方向において3個に分割し、分割された各部分を画素エリアB1、B2、B3とした場合において(図10(a)参照)、画素エリアB1、B2、B3毎の画素17、17、17毎によって輝度値の総和がそれぞれz1、z2、z3として検出される。画素エリアB1、B2、B3は第1の方向において左右に3個ずつの合計6個の画素17、17、・・・が隣接されており、第2の方向において上下に1個ずつの合計2個の画素17、17が隣接されている。図10(b)に、例として、画素エリアB2に隣接される画素17、17、・・・を斜線で示す。
【0145】
上記した各画素エリアB1、B2、B3毎に隣接する8個の画素17、17、・・・によって輝度値の総和がそれぞれz’1、z’2、z’3として検出され、各画素エリアB1、B2、B3毎にz1、z2、z3とz’1、z’2、z’3が合算されてそれぞれ合算総和Z1、Z2、Z3が算出される。
【0146】
算出された合算総和Z1、Z2、Z3に基づいて、アドレス(px,py)の絵素4のモアレ成分による輝度の変動量を補正する係数(モアレ補正係数Hosei[px,py])が、以下に示す方法によって算出される。
【0147】
先ず、合算総和Z1乃至Z3までの値がそれぞれ比較され、比較された結果においてZ1が最小値の場合には、モアレ補正係数Hosei[px,py]が下記の数式によって定められる。
【0148】
Hosei[px,py]=|Z2−Z3|/(Z2+Z3−(2×Z1))
【0149】
また、比較された結果においてZ2が最小値の場合には、Hosei[px,py]が下記の数式によって定められる。
【0150】
Hosei[px,py]=|Z1−Z3|/(Z1+Z3−(2×Z1))
【0151】
さらに、比較された結果においてZ3が最小値の場合には、Hosei[px,py]が下記の数式によって定められる。
【0152】
Hosei[px,py]=|Z2−Z1|/(Z2+Z1−(2×Z3))
【0153】
算出されたモアレ補正係数Hosei[px,py]に基づいて、アドレス(px,py)に位置する絵素4のモアレ成分が除去された輝度値であるHosei_Kido(px,py)が以下の数式によって算出される。
【0154】
Hosei_Kido(px,py)=Souwa(px,py)×(1+m×(cos(Hosei[px,py]×π/2))
【0155】
上記した数式において、変数mは絵素4R、4R、・・・、絵素4G、4G、・・・及び絵素4B、4B、・・・の各色毎に定められる所定の値である。即ち、モアレ補正係数は表示パネル3に表示される絵素4、4、・・・の色毎に定められる。
【0156】
モアレ成分による各画素17、17、・・・によって検出された輝度値の変化量は表示パネル3に表示される絵素4、4、・・・の色毎に異なるものとされる。従って、モアレ補正係数が絵素4、4、・・・の色毎に定められることによって、輝度ムラの発生箇所の検出精度の向上を図ることが出来る。
【0157】
また、輝度ムラ検出装置5にあっては、上記したように、モアレ成分による表示パネル3の輝度が表示パネル3の中央を基準として同心円状に出現するように撮像装置10の位置及び向きが調整されてモアレ成分による輝度の変化が画素17、17、・・・の配列の方向に沿って規則的に変化され、この規則的な変化に基づいて定義された周期関数F2を用いてモアレ補正係数が算出される。従って、モアレ補正係数の算出精度が高められ、輝度ムラ検出データの生成精度の向上を図ることが出来る。
【0158】
上記したように各絵素4、4、・・・毎のHosei_Kido(px,py)が算出されると、各絵素4、4、・・・毎のモアレ成分が除去された輝度値が輝度ムラ検出データとして輝度ムラ検出部に出力される。
【0159】
[輝度ムラ発生箇所の検出]
輝度ムラ検出部に輝度ムラ検出データが入力されると、輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとが比較される。基準データは、例えば、検査対象となる表示パネル3の製品仕様や輝度ムラ検出装置5が設置される環境等に応じて定められる。
【0160】
比較された結果において、輝度ムラ検出データにおける絵素4の輝度値が基準データよりも小さいときには当該絵素4が輝度ムラの発生箇所であると検出される。一方、絵素4の輝度値が基準データ以上であるときには当該絵素4においては輝度ムラが発生していないと検出される。表示パネル3の全ての絵素4、4、・・・について輝度ムラの発生箇所の検出が行われ、検出結果が図示しない外部記憶装置などに出力される。
【0161】
[まとめ]
以上に記載した通り、輝度ムラ検出装置、輝度ムラ検出方法及び表示装置にあっては、撮像部16によって取得した画像データからモアレ成分が除去された輝度ムラ検出データを生成して輝度ムラの発生箇所の検出を行っている。
【0162】
従って、表示装置1の表示パネル3に発生する輝度ムラの発生箇所を高い精度で検出することが出来る。
【0163】
[その他]
撮像部16はCCDに限られず、例えば、C−MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの画素17、17、・・・が格子状に配置され、受光領域18と受光無効領域19が一つの画素に存在するものであればよい。
【0164】
上記した発明の最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【0165】
[本技術]
なお、本技術は以下のような構成とすることが出来る。
【0166】
(1)検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、前記パネル保持部に保持された前記表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部とを備え、前記表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、前記撮像部に前記絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、前記絵素の1色のみの表示が前記撮像部によって撮像されて前記画像データが取得され、取得された前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置が設定され、設定された前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、算出された前記モアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分が除去されて前記画像データから輝度ムラ検出データが生成され、生成された前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する輝度ムラ検出装置。
【0167】
(2)前記撮像部が1回の撮像によって前記表示パネルの全ての表示領域を撮像するようにした前記(1)に記載の輝度ムラ検出装置。
【0168】
(3)前記撮像部の全領域が、複数の所定の数の前記画素によって構成された画素ブロックが複数設けられて成り、前記各画素ブロックにおいてそれぞれ前記各画素によって前記絵素の輝度値を検出して当該輝度値の総和を算出し、前記画素ブロック毎に前記表示パネルの前記輝度ムラ検出データを生成するようにした前記(1)または前記(2)の何れかに記載の輝度ムラ検出装置。
【0169】
(4)前記複数の画素が格子状に配列され、前記画素の並び方向における一方向が第1の方向とされ、前記画素ブロックに含まれる前記複数の画素のうちの所定の位置に存在する一部の画素によって前記絵素の輝度値が検出されるように前記第1の方向における前記基準位置を設定するようにした前記(3)に記載の輝度ムラ検出装置。
【0170】
(5)前記画素の並び方向における前記第1の方向に直交する方向が第2の方向とされ、前記第1の方向に並ぶ前記各画素によってそれぞれ前記第2の方向に並ぶ複数の第1の画素ラインが構成され、前記各第1の画素ラインの全ての前記画素によって検出された前記絵素の輝度値の総和が前記第1の画素ライン毎に算出され、算出された前記各第1の画素ラインの総和に基づいて周期関数が定義され、定義された前記周期関数に基づいて前記第2の方向における前記基準位置を設定するようにした前記(4)に記載の輝度ムラ検出装置。
【0171】
(6)前記第2の方向に並ぶ前記各画素によってそれぞれ前記第1の方向に並ぶ複数の第2の画素ラインが構成され、前記各第2の画素ラインの全ての前記画素によって検出された前記絵素の輝度値の総和が前記第2の画素ライン毎に算出され、前記複数の第2の画素ラインのうち前記第1の方向における一端に位置する前記第2の画素ラインが基準ラインとされ、前記基準ラインを基準にして所定の位置にある前記第2の画素ラインが特定ラインとされ、前記特定ラインにおいて検出された前記輝度値の総和と前記基準ラインから前記特定ラインまでの前記各第2の画素ラインにおいてそれぞれ検出された前記輝度値の各総和とを比較して前記第1の方向における前記基準位置を設定するようにした前記(3)から前記(5)の何れかに記載の輝度ムラ検出装置。
【0172】
(7)前記モアレ補正係数が前記絵素の所定の色毎に定められるようにした前記(1)から前記(6)の何れかに記載の輝度ムラ検出装置。
【0173】
(8)前記モアレ成分による前記表示パネルにおける輝度が前記表示パネルの中央を基準として同心円状に変化するように前記表示パネルに対する前記撮像部の位置及び向きが調整されるようにした前記(1)から前記(7)の何れかに記載の輝度ムラ検出装置。
【0174】
(9)画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられパネル保持部に保持された表示パネルに前記絵素の1色のみを表示し、前記表示パネルに表示された前記絵素の1色のみの表示を撮像部によって撮像して画像データを取得し、取得した前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置を設定し、設定した前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数を算出し、算出したモアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分を除去して前記画像データから輝度ムラ検出データを生成し、生成した前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する輝度ムラ検出方法。
【0175】
(10)輝度ムラ検出装置によって輝度ムラの発生箇所に関する判別が行われた表示パネルと、前記表示パネルを保持する筐体とを備え、前記輝度ムラ検出装置が、検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、前記パネル保持部に保持された前記表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部を有する撮像部とを備え、前記表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、前記撮像部に前記絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、前記絵素の1色のみの表示が前記撮像部によって撮像されて前記画像データが取得され、取得された前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置が設定され、設定された前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、算出されたモアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分が除去されて前記画像データから輝度ムラ検出データが生成され、生成された前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】撮像装置によって表示パネルを撮像し、画像データが取得される状態を示す模式図である。
【図2】輝度ムラ検出装置の概略側面図である。
【図3】撮像部の撮像面に絵素投影領域が投影されている状態を示す模式図である。
【図4】画素ブロック毎に絵素が投影されている状態を示す模式図である。
【図5】撮像部の撮像面に絵素投影領域が投影されている状態において数式の各項目等を説明するための模式図である。
【図6】第1の方向に並ぶ画素ブロックに対して絵素がそれぞれ異なる位置に投影されている状態を示す模式図である。
【図7】第2の方向に並ぶ画素ブロックに対して絵素がそれぞれ異なる位置に投影されている状態を示す模式図である。
【図8】周期関数と余弦関数を比較して示す模式図である。
【図9】撮像部によって取得された画像データの輝度が中央を基準として同心円状に変化が生じている状態を示す模式図である。
【図10】画素ブロックと画素エリア及び画素エリアに隣接される画素を示す模式図である。
【符号の説明】
【0177】
1…表示装置、2…筐体、3…表示パネル、4…絵素、5…輝度ムラ検出装置、9…パネル保持部、16…撮像部、17…画素、A…画素ブロック、L1…第1の画素ライン、L2…第2の画素ライン、S1…基準ライン、S2…特定ライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、輝度ムラ検出装置、輝度ムラ検出方法及び表示装置についての技術分野に関する。詳しくは、表示パネルに表示される画像における輝度ムラの発生箇所をモアレの影響を低減して高い精度で検出し画質の向上を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネル、例えば、液晶ディスプレイの表示パネルに表示される画像における輝度ムラの発生箇所を検出する輝度ムラ検出装置がある。
【0003】
このような輝度ムラ検出装置には、表示パネルに表示される画像を撮像装置によって撮像してカラー画像データを取得し、取得したカラー画像データに基づいて色ムラの発生箇所を検出するようにしたものがある。
【0004】
例えば、液晶ディスプレイ等の表示パネルに表示される画像の画質の検査において、表示パネルに表示された画像を、CCD(Charge Coupled Device)を有する撮像装置によって撮像すると、モアレと称される縞状の模様が発生することが知られている。
【0005】
このモアレは、格子状に配列されたCCDの画素で受光した光の輝度が、以下のような原因により、少しずつ規則的に変化を繰り返すことにより生じる。
【0006】
表示パネルとCCDにおいては、表示画像または撮像画像の各最小単位である画素が何れも格子状に配列されているが、撮像時に表示パネルの各画素(以後、「絵素」とする。)とCCDの各画素との間での相対的な位置ずれが生じる。CCDの画素には光を受光して電荷に変換する受光領域と、変換された電荷を転送する受光無効領域とが存在し、上記した絵素と画素の位置ずれによって画素が撮像する絵素毎に画素の受光領域に対する絵素の面積が異ってしまう。従って、このような受光領域と受光無効領域が存在し絵素と画素に位置ずれが生じることによって、各画素毎に検出される絵素の輝度が少しずつ規則的に変化を繰り返す。
【0007】
モアレは大きな輝度差を有し、表示パネルに表示される画像の画質の検査を行う際の精度に影響を与えるため、このモアレを撮像された画像データから除去する必要がある。
【0008】
そこで、従来の輝度ムラ検出装置には、撮像部によって撮像された画像内における絵素の座標を位置出し用画像及びその位置情報に基づいて認識し、絵素単位の平均輝度値を座標の中心位置を基準に算出し、得られた平均輝度値を各絵素における輝度値として扱うことにより、モアレの影響を緩和するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】特開2005−331929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記した特許文献1に記載された輝度ムラ検出装置においては、モアレによる画素毎の輝度値の変動を補正する処理は行われておらず、モアレの影響を十分に低減した上での輝度ムラ発生箇所の検出は行われておらず。従って、輝度ムラの発生箇所の検出が精度で低いという問題がある。
【0011】
そこで、輝度ムラ検出装置、輝度ムラ検出方法及び表示装置は、上記した問題点を克服し、表示パネルに表示される画像における輝度ムラの発生箇所を高い精度で検出し画質の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
輝度ムラ検出装置は、上記した課題を解決するために、検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、前記パネル保持部に保持された前記表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部とを備え、前記表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、前記撮像部に前記絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、前記絵素の1色のみの表示が前記撮像部によって撮像されて前記画像データが取得され、取得された前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置が設定され、設定された前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、算出された前記モアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分が除去されて前記画像データから輝度ムラ検出データが生成され、生成された前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出するものである。
【0013】
従って、輝度ムラ検出装置にあっては、画像データに基づいて生成された輝度ムラ検出データと基準データと比較されて表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所が検出される。
【0014】
上記した輝度ムラ検出装置にあっては、前記撮像部が1回の撮像によって前記表示パネルの全ての表示領域を撮像することが望ましい。
【0015】
1回の撮像によって表示パネルの全領域を撮像することにより、1回の撮像によって表示パネルの全領域における画像データが取得される。
【0016】
上記した輝度ムラ検出装置にあっては、前記撮像部の全領域が、複数の所定の数の前記画素によって構成された画素ブロックが複数設けられて成り、前記各画素ブロックにおいてそれぞれ前記各画素によって前記絵素の輝度値を検出して当該輝度値の総和を算出し、前記画素ブロック毎に前記表示パネルの前記輝度ムラ検出データを生成することが望ましい。
【0017】
各画素ブロックにおいてそれぞれ各画素によって絵素の輝度値を検出して当該輝度値の総和を算出し、画素ブロック毎に表示パネルの輝度ムラ検出データを生成することにより、画素ブロック毎に検出された絵素の輝度値に基づいて輝度ムラ検出データが生成される。
【0018】
上記した輝度ムラ検出装置にあっては、前記複数の画素が格子状に配列され、前記画素の並び方向における一方向が第1の方向とされ、前記画素ブロックに含まれる前記複数の画素のうちの所定の位置に存在する一部の画素によって前記絵素の輝度値が検出されるように前記第1の方向における前記基準位置を設定することが望ましい。
【0019】
複数の画素が格子状に配列され、画素の並び方向における一方向が第1の方向とされ、画素ブロックに含まれる複数の画素のうちの所定の位置に存在する一部の画素によって絵素の輝度値が検出されるように第1の方向における基準位置を設定することにより、画素ブロックに含まれる所定の位置の画素によって絵素の輝度値が検出される。
【0020】
上記した輝度ムラ検出装置にあっては、前記画素の並び方向における前記第1の方向に直交する方向が第2の方向とされ、前記第1の方向に並ぶ前記各画素によってそれぞれ前記第2の方向に並ぶ複数の第1の画素ラインが構成され、前記各第1の画素ラインの全ての前記画素によって検出された前記絵素の輝度値の総和が前記第1の画素ライン毎に算出され、算出された前記各第1の画素ラインの総和に基づいて周期関数が定義され、定義された前記周期関数に基づいて前記第2の方向における前記基準位置を設定することが望ましい。
【0021】
各第1の画素ラインの全ての画素によって検出された絵素の輝度値の総和が第1の画素ライン毎に算出され、算出された各第1の画素ラインの総和に基づいて周期関数が定義され、定義された周期関数に基づいて第2の方向における基準位置を設定することにより、第1の画素ラインにおいて検出された輝度値に基づいて第2の方向における基準位置が設定される。
【0022】
上記した輝度ムラ検出装置にあっては、前記第2の方向に並ぶ前記各画素によってそれぞれ前記第1の方向に並ぶ複数の第2の画素ラインが構成され、前記各第2の画素ラインの全ての前記画素によって検出された前記絵素の輝度値の総和が前記第2の画素ライン毎に算出され、前記複数の第2の画素ラインのうち前記第1の方向における一端に位置する前記第2の画素ラインが基準ラインとされ、前記基準ラインを基準にして所定の位置にある前記第2の画素ラインが特定ラインとされ、前記特定ラインにおいて検出された前記輝度値の総和と前記基準ラインから前記特定ラインまでの前記各第2の画素ラインにおいてそれぞれ検出された前記輝度値の各総和とを比較して前記第1の方向における前記基準位置を設定することが望ましい。
【0023】
特定ラインにおいて検出された輝度値の総和と基準ラインから特定ラインまでの各第2の画素ラインにおいてそれぞれ検出された輝度値の各総和とを比較して第1の方向における基準位置を設定することにより、第2の画素ラインにおいて検出された輝度値に基づいて第1の方向における基準位置が設定される。
【0024】
上記した輝度ムラ検出装置にあっては、前記モアレ補正係数が前記絵素の所定の色毎に定められることが望ましい。
【0025】
モアレ補正係数が絵素の所定の色毎に定められることにより、絵素の所定の色毎に輝度ムラ検出データが生成される。
【0026】
上記した輝度ムラ検出装置にあっては、前記モアレ成分による前記表示パネルにおける輝度が前記表示パネルの中央を基準として同心円状に変化するように前記表示パネルに対する前記撮像部の位置及び向きが調整されることが望ましい。
【0027】
モアレ成分による表示パネルにおける輝度が表示パネルの中央を基準として同心円状に変化するように表示パネルに対する撮像部の位置及び向きが調整されることにより、モアレ成分による輝度の変化が画素の配列の方向に沿って規則的に変化される。
【0028】
輝度ムラ検出方法にあっては、画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられパネル保持部に保持された表示パネルに前記絵素の1色のみを表示し、前記表示パネルに表示された前記絵素の1色のみの表示を撮像部によって撮像して画像データを取得し、取得した前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置を設定し、設定した前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数を算出し、算出したモアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分を除去して前記画像データから輝度ムラ検出データを生成し、生成した前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出するものである。
【0029】
従って、輝度ムラ検出方法にあっては、画像データに基づいて生成された輝度ムラ検出データと基準データとが比較されて表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所が検出される。
【0030】
表示装置にあっては、輝度ムラ検出装置によって輝度ムラの発生箇所に関する判別が行われた表示パネルと、前記表示パネルを保持する筐体とを備え、前記輝度ムラ検出装置が、検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、前記パネル保持部に保持された前記表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部を有する撮像部とを備え、前記表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、前記撮像部に前記絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、前記絵素の1色のみの表示が前記撮像部によって撮像されて前記画像データが取得され、取得された前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置が設定され、設定された前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、算出されたモアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分が除去されて前記画像データから輝度ムラ検出データが生成され、生成された前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出するものである。
【0031】
従って、表示装置にあっては、輝度ムラ検出装置によって画像データに基づいて生成された輝度ムラ検出データと基準データとが比較されて表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所が検出された表示パネルを備える。
【発明の効果】
【0032】
本技術輝度ムラ検出装置は、検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、前記パネル保持部に保持された前記表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部とを備え、前記表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、前記撮像部に前記絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、前記絵素の1色のみの表示が前記撮像部によって撮像されて前記画像データが取得され、取得された前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置が設定され、設定された前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、算出された前記モアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分が除去されて前記画像データから輝度ムラ検出データが生成され、生成された前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する。
【0033】
従って、表示パネルに発生する輝度ムラの発生箇所を高い精度で検出し画質の向上を図ることが出来る。
【0034】
請求項2に記載した技術にあっては、前記撮像部が1回の撮像によって前記表示パネルの全ての表示領域を撮像する。
【0035】
従って、画像データの取得時間の短縮化を図ることが出来る。
【0036】
請求項3に記載した技術にあっては、前記撮像部の全領域が、複数の所定の数の前記画素によって構成された画素ブロックが複数設けられて成り、前記各画素ブロックにおいてそれぞれ前記各画素によって前記絵素の輝度値を検出して当該輝度値の総和を算出し、前記画素ブロック毎に前記表示パネルの前記輝度ムラ検出データを生成するようにしている。
【0037】
従って、絵素の輝度値の検出精度の向上を図ることが出来る。
【0038】
請求項4に記載した技術にあっては、前記複数の画素が格子状に配列され、前記画素の並び方向における一方向が第1の方向とされ、前記画素ブロックに含まれる前記複数の画素のうちの所定の位置に存在する一部の画素によって前記絵素の輝度値が検出されるように前記第1の方向における前記基準位置を設定している。
【0039】
従って、絵素の輝度値の検出精度のより一層の向上を図ることが出来る。
【0040】
請求項5に記載した技術にあっては、前記画素の並び方向における前記第1の方向に直交する方向が第2の方向とされ、前記第1の方向に並ぶ前記各画素によってそれぞれ前記第2の方向に並ぶ複数の第1の画素ラインが構成され、前記各第1の画素ラインの全ての前記画素によって検出された前記絵素の輝度値の総和が前記第1の画素ライン毎に算出され、算出された前記各第1の画素ラインの総和に基づいて周期関数が定義され、定義された前記周期関数に基づいて前記第2の方向における前記基準位置を設定するようにしている。
【0041】
従って、絵素の輝度値の検出精度の向上を図ることが出来る。
【0042】
請求項6に記載した技術にあっては、前記第2の方向に並ぶ前記各画素によってそれぞれ前記第1の方向に並ぶ複数の第2の画素ラインが構成され、前記各第2の画素ラインの全ての前記画素によって検出された前記絵素の輝度値の総和が前記第2の画素ライン毎に算出され、前記複数の第2の画素ラインのうち前記第1の方向における一端に位置する前記第2の画素ラインが基準ラインとされ、前記基準ラインを基準にして所定の位置にある前記第2の画素ラインが特定ラインとされ、前記特定ラインにおいて検出された前記輝度値の総和と前記基準ラインから前記特定ラインまでの前記各第2の画素ラインにおいてそれぞれ検出された前記輝度値の各総和とを比較して前記第1の方向における前記基準位置を設定するようにしている。
【0043】
従って、画素ブロック毎に算出された輝度値に基づいて第1の方向における基準位置を設定していないため、第1の方向における基準位置の設定時間の短縮化を図ることが出来る。
【0044】
請求項7に記載した技術にあっては、前記モアレ補正係数が前記絵素の所定の色毎に定められるようにしている。
【0045】
従って、モアレ補正係数が絵素の色毎に定められるので、輝度ムラの発生箇所の検出精度の向上を図ることが出来る。
【0046】
請求項8に記載した技術にあっては、前記モアレ成分による前記表示パネルにおける輝度が前記表示パネルの中央を基準として同心円状に変化するように前記表示パネルに対する前記撮像部の位置及び向きが調整される。
【0047】
従って、表示パネルの中央を基準として同心円状に変化された輝度に基づいてモアレ補正係数が算出されるので、モアレ補正係数の算出精度が高められ、輝度ムラ検出データの生成精度の向上を図ることが出来る。
【0048】
本技術輝度ムラ検出方法にあっては、画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられパネル保持部に保持された表示パネルに前記絵素の1色のみを表示し、前記表示パネルに表示された前記絵素の1色のみの表示を撮像部によって撮像して画像データを取得し、取得した前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置を設定し、設定した前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数を算出し、算出したモアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分を除去して前記画像データから輝度ムラ検出データを生成し、生成した前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する。
【0049】
従って、表示パネルに発生する輝度ムラの発生箇所を高い精度で検出し画質の向上を図ることが出来る。
【0050】
本技術表示装置にあっては、輝度ムラ検出装置によって輝度ムラの発生箇所に関する判別が行われた表示パネルと、前記表示パネルを保持する筐体とを備え、前記輝度ムラ検出装置が、検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、前記パネル保持部に保持された前記表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部を有する撮像部とを備え、前記表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、前記撮像部に前記絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、前記絵素の1色のみの表示が前記撮像部によって撮像されて前記画像データが取得され、取得された前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置が設定され、設定された前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、算出されたモアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分が除去されて前記画像データから輝度ムラ検出データが生成され、生成された前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する。
【0051】
従って、表示パネルに発生する輝度ムラの発生箇所を高い精度で検出し画質の向上を図ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下に、図面を参照して、本技術を実施するための最良の形態(以下、単に実施の形態と称する。)について詳細に説明する。
【0053】
[表示装置の構成]
表示装置1は筐体2と筐体2に保持された表示パネル3とを有している(図1参照)。
【0054】
表示パネル3としては、例えば、液晶ディスプレイが用いられ、表示パネル3の前面における外周部以外の部分、即ち、前方から視認される部分に画像が表示される。
【0055】
表示パネル3には画像を形成する最小単位として複数の絵素4、4、・・・が設けられている。絵素4、4、・・・は表示パネル3の長手方向(水平方向)に並んで、例えば、5760個が配置され、表示パネル3の短手方向(垂直方向)に並んで、例えば、1080個が配置されている。絵素4、4、・・・には光の3原色である赤色を表示する絵素4R、4R、・・・と緑色を表示する4G、4G、・・・と青色を表示する4B、4B、・・・が存在し、各色の絵素4、4、・・・毎に階調表示が行われる。絵素4R、4G、4Bは水平方向において順に配列されて絵素ブロックを構成し、絵素ブロックは水平方向及び垂直方向にそれぞれ所定の数が配列されている。
【0056】
絵素4は縦長の形状に形成され、縦横比が約3:1にされ、絵素ブロックが略正方形状に構成されている。
【0057】
なお、上記には、表示パネル3として液晶ディスプレイが用いられた例を示したが、表示パネル3は液晶ディスプレイに限定はされない。
【0058】
例えば、表示パネル3として画像を表示する自発光デバイスである有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイやプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)などが用いられていてもよい。
【0059】
[表示装置の動作]
表示装置1においては、外部から供給される電源及び入力画像信号に基づいて表示パネル3に画像(カラー画像)が表示される。
【0060】
表示パネル3に表示される画像に輝度ムラが発生すると画質を著しく損ねるため、表示装置1においては製品としての出荷前に表示パネル3における輝度ムラの発生箇所の検出が行われている。
【0061】
表示パネル3における輝度ムラの発生箇所の検出は、以下に示す輝度ムラ検出装置5によって行われている。
【0062】
表示装置1にあっては、輝度ムラ検出装置5によって輝度ムラの発生箇所が検出され、検出結果に基づいて輝度ムラの発生のない表示パネル3を有しているため、画質の向上を図ることが出来る。
【0063】
[輝度ムラ検出装置の構成]
輝度ムラ検出装置5は、作業台6とフレーム7とサブフレーム8とパネル保持部9と撮像装置10と分光輝度色彩測定装置11とモニター12と駆動電源部13と情報処理部14を備えている(図1及び図2参照)。
【0064】
作業台6には作業位置6aと第1検査位置6bと第2検査位置6cが設けられている。作業台6の内部には図示しないリニア駆動部が設けられている。作業位置6aと第1検査位置6bと第2検査位置6cは水平方向において順に位置されている。
【0065】
フレーム7は第1検査位置6bの上方に位置するように作業台6に取り付けられている。フレーム7には図示しない調整機構が設けられている。
【0066】
サブフレーム8は第2検査位置6cの上方に位置するように作業台6に取り付けられている。
【0067】
パネル保持部9は作業台6上を水平方向へ移動可能とされ、リニア駆動部によって作業位置6a、第1検査位置6bまたは第2検査位置6cの何れかに停止するように移動される。パネル保持部9の移動位置は情報処理部14から出力される駆動信号に基づいて定められる。パネル保持部9は表示パネル3を保持する図示しない保持機構を有している。
【0068】
撮像装置10は、第1検査位置6bに移動された表示パネル3を撮像する向きで第1の保持部15によってフレーム7に保持されている。撮像装置10はフレーム7に設けられた調整機構によって、第1検査位置6bに移動された表示パネル3に対する位置及び向きが調整される。即ち、撮像装置10は表示パネル3に対する位置及び撮像角度が調整される。
【0069】
撮像装置10は撮像部16と光学系を有し、光学系を介して形成された表示パネル3に表示される画像を撮像部16によって撮像する。
【0070】
撮像部16としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)が用いられている。撮像部16には撮像によって画像を取得する最小の単位として複数の画素17、17、・・・が設けられている。撮像部16によって撮像された表示パネル3に表示された画像は画像データとして生成される。
【0071】
撮像装置10による表示パネル3に表示される画像の撮像は全領域を一回で撮像することが望ましく、全領域を一回で撮像して画像データを取得するためには、画素17、17、・・・の総数を絵素4、4、・・・の総数と同じかそれよりも多くすることが望ましい。従って、撮像部16の画素17、17、・・・は、例えば、水平方向に略同数が配列され垂直方向に絵素4、4、・・・の約3倍の数が配列されている。絵素4と画素17の大きさは、水平方向において絵素4が画素17より稍小さくされ、垂直方向において絵素4が画素17の3倍弱にされている。
【0072】
画素17は光を受光して電荷に変換する受光領域18と、変換された電荷が転送される受光無効領域19とが存在する。
【0073】
光学系は、図示しないフォーカスレンズを有している。フォーカスレンズは表示パネル3の撮像時における焦点距離の調節に用いられる。フォーカスレンズは、DCモータやステッピングモータ等の図示しない駆動部により、情報処理部14から出力される制御信号に基づいて移動される。
【0074】
分光輝度色彩測定装置11は、第2検査位置6cに移動された表示パネル3を撮像する向きで第2の保持部20によってサブフレーム8に保持されている。分光輝度色彩測定装置11によって撮像された表示パネル3に表示された画像における波長毎の輝度や色彩は、画質検査データとして生成される。
【0075】
モニター12は、作業位置6aの上方に位置するようにフレーム7に取り付けられている。モニター12には撮像部16によって表示パネル3が撮像されるときの画像が映像として表示される。作業者はモニター12に表示される画像に基づいて撮像装置10の表示パネル3に対する焦点距離、上下方向における位置及び撮像角度を調整することが可能とされている。
【0076】
駆動電源部13は、作業台6の第1検査位置6bの下方に配置されている。駆動電源部13は図示しない電源回路と画像信号生成部を有する。駆動電源部13はパネル保持部9に保持された表示パネル3に図示しないケーブルを介して接続される。駆動電源部13によって駆動電源と入力画像信号が第1検査位置6bに移動された表示パネル3に供給され、絵素4、4、・・・が駆動されて表示パネル3に画像が表示される。
【0077】
情報処理部14は、作業台6の作業位置6aの下方に配置されている。情報処理部14は図示しない操作部と記憶装置を有している。記憶装置にはプログラムとして後述する基準位置設定部とモアレ補正係数算出部と輝度ムラ検出部が設けられている。
【0078】
情報処理部14は撮像装置10、リニア駆動部及び分光輝度色彩測定装置11を制御する機能を有し、リニア駆動部によるパネル保持部9の移動位置の制御や撮像装置10及び分光輝度色彩測定装置11から伝送された各データに基づく演算処理及び処理結果の出力を行う。
【0079】
また、情報処理部14からは、操作部において行われた操作に基づいて、パネル保持部9の移動の制御を行う駆動信号及び撮像装置10が有する光学系の焦点距離の調節を行う制御信号が出力される。
【0080】
撮像装置10によって取得された画像データまたは分光輝度色彩測定装置11によって取得された画質検査データは情報処理部14に出力され、それぞれ輝度ムラの発生箇所の検出及び画質の検査に用いられる。
【0081】
[輝度ムラ検出装置の動作]
以下に、輝度ムラ検出装置の動作を説明する(図1及び図2参照)。
【0082】
先ず、作業位置6aに位置されているパネル保持部9に表示パネル3が装着され、表示パネル3がパネル保持部9に保持機構によって保持される。表示パネル3がパネル保持部9に保持されると、パネル保持部9に保持された表示パネル3に駆動電源部13がケーブルを介して接続される。続いて、表示パネル3に駆動電源部13から駆動電源及び入力画像信号が供給されて3色の絵素4R、4R、・・・、絵素4G、4G、・・・、絵素4B、4B、・・・のうちの1色の絵素4、4、・・・のみが駆動されて画像が表示される。
【0083】
次に、表示パネル3が第1検査位置6bに移動される。表示パネル3が第1検査位置6bに移動されると、撮像装置10によって表示パネル3の撮像が行われる。撮像装置10による撮像が行われている間は、表示パネル3に表示されている画像がモニター12に映像として表示される。
【0084】
なお、上記には、作業位置6aに位置されている表示パネル3に画像が表示される例を示したが、表示パネル3が第1検査位置6bに移動されたときに表示パネル3への画像の表示が開始されるようにすることも可能である。
【0085】
次いで、モニター12に表示される映像を確認しながら、表示パネル3の中心と撮像装置10の光学系の光軸が一致するようにフレーム7に設けられた調整機構によって撮像装置10の位置及び表示パネル3に対する角度を調整する。
【0086】
次に、モニター12に表示される映像に表示パネル3に表示されている画像の全領域が表示されるように撮像装置10の表示パネル3に対する高さをフレーム7に設けられた調整機構によって調整する。
【0087】
表示パネル3に対する撮像装置10の位置及び角度が調整された後に、情報処理部14の操作部を操作することによりフォーカスレンズの位置を調整し、撮像装置10の光学系の焦点位置を表示パネル3の表示面に一致させる。
【0088】
撮像装置10の光学系の焦点の位置が調整されると、モニター12に表示される映像にモアレ成分が出現する。次いで、モアレ成分による表示パネル3の輝度が、例えば、表示パネル3の中央を基準として同心円状に出現するように表示パネル3に対する撮像装置10の撮像角度をフレーム7に設けられた調整機構によって調整する。
【0089】
上記した表示パネル3に対する撮像装置10の位置、焦点距離及び撮像角度が調整された後に、表示パネル3における輝度ムラの発生箇所の検出が行われる。
【0090】
輝度ムラの発生箇所の検出は、撮像装置10によって表示パネル3の全ての表示領域を、例えば、1回で撮像して画像データを取得することにより行われる。このように撮像装置10の一度の撮像で表示パネル3の全ての表示領域が撮像されることにより、画像データの取得時間の短縮化を図ることが出来る。
【0091】
1色の絵素4、4、・・・について検出が終了された後に、残りの2色の絵素4、4、・・・についても上記と同様の動作が繰り返されて輝度ムラの発生箇所の検出が行われる。
【0092】
表示装置1においては、上記した輝度ムラの発生箇所の検出が表示装置1を製品として出荷する前の検査工程において行われ、検査対象となる全ての表示パネル3について行われる。輝度ムラの発生箇所があることが検出された表示パネル3は、当該部分に輝度ムラが発生しないように修繕されるか、出荷に適さない表示パネル3として除外される。
【0093】
輝度ムラの発生箇所の検出が行われた表示パネル3は、次に、第2検査位置6cに移動される。表示パネル3が第2検査位置6cに移動されると、分光輝度色彩測定装置11によって表示パネル3に表示される画像が撮像されて画質検査データが取得され、取得された画質検査データが情報処理部14に伝送される。
【0094】
情報処理部14に画質検査データが伝送されると、例えば、画質検査データと予め定められた所定の指標データとが比較されて表示パネル3についての画質検査が行われる。
【0095】
<輝度ムラの発生箇所の検出の具体的な方法>
上記した輝度ムラ検出装置5において実行される輝度ムラの発生箇所の検出方法について具体的な方法を説明する。
【0096】
[基準位置の設定]
先ず、撮像装置10によって取得された画像データが情報処理部14に伝送された後の画素17、17、・・・に対する絵素4、4、・・・についての基準位置の設定方法について説明する。
【0097】
図3は、撮像部16を表示パネル3側から見た模式図であり、光学系を介して撮像部16の撮像面に投影される絵素4、4、・・・の領域(以後、「絵素投影領域Q」とする。)を斜線で示している。
【0098】
図3に示すように、撮像部16における角部の一つ(左下端部)を原点Oとし、水平方向を第1の方向とし、垂直方向を第2の方向とする。原点Oに位置する画素17が座標(0,0)に存在し、原点Oを基準として第1の方向にa個目、第2の方向にb個目に位置する画素17が座標(a,b)に存在する。
【0099】
第1の方向に並ぶ各画素17、17、・・・によってそれぞれ第2の方向に並ぶ複数の第1の画素ラインL1、L1、・・・が構成され、第2の方向に並ぶ各画素17、17、・・・によってそれぞれ第1の方向に並ぶ複数の第2の画素ラインL2、L2、・・・が構成される。
【0100】
絵素投影領域Qについては、原点Oの近くに存在する角部(左下端)を原点Pとし、原点Pに位置する絵素4がアドレス(0,0)に存在し、原点Pを基準として第1の方向にm個目、第2の方向にn個目に位置する絵素4がアドレス(m,n)に存在する。
【0101】
撮像装置10によって取得された画像データは、情報処理部14に伝送されて基準位置設定部に入力される。
【0102】
図4は、撮像部16の撮像面に絵素4が投影されている状態を示す模式図である。
【0103】
撮像部16の撮像面には複数の所定の数の画素17、17、・・・によって構成された複数の画素ブロックA、A、・・・が設けられている。画素ブロックAは、例えば、縦横3個ずつの合計9個の画素17、17、・・・によって構成されている。
【0104】
なお、上記には、画素ブロックAを構成する画素17、17、・・・の数を9個とした例を示したが、画素ブロックAの画素17の数は9個に限られることはなく、任意の数に設定することが可能である。
【0105】
画素ブロックAは、第1の方向における大きさが、例えば、1個の絵素4の約3倍にされ、第2の方向における大きさが1個の絵素4より稍大きくされている。輝度ムラ検出装置5においては、画素ブロックAに必ず1個の絵素4が投影されるように構成されており、絵素4の輝度値が画素ブロックAを構成する画素17、17、・・・毎に検出される輝度値の総和、即ち、9個の画素17、17、・・・によって検出される輝度値の総和によって算出される。
【0106】
上記したように、撮像部16の全領域が、複数の所定の数の画素17、17、・・・によって構成された画素ブロックA、A、・・・が複数設けられて成り、各画素ブロックAにおいてそれぞれ絵素4の輝度値を画素17、17、・・・によって検出される総和によって算出している。従って、画素ブロックAを構成する複数の画素17、17、・・・によって確実に絵素4の輝度値が検出されるので、絵素4の輝度値の検出精度の向上を図ることが出来る。
【0107】
上記したように、撮像部16によって表示パネル3が撮像されると、撮像部16の各第1の画素ラインL1、L1、・・・の絵素投影領域Qの第1の方向における検出幅が算出される(図5参照)。即ち、座標(x、y)を含む第1の画素ラインL1を構成する画素17、17、・・・における輝度値が順次原点O側から参照され、最初に絵素4の輝度値が検出された画素17の第1の方向における座標(検出開始水平座標H_Start[y])と、最後に絵素4の輝度値が検出された画素17の第1の方向における座標とに基づいて検出幅H_width[y]が算出される。
【0108】
また、撮像部16によって表示パネル3が撮像されると、撮像部16の各第1の画素ラインL2、L2、・・・の絵素投影領域Qの第2の方向における検出高さが算出される(図5参照)。即ち、座標(x、y)を含む第2の画素ラインL2を構成する画素17、17、・・・における輝度値が順次原点O側から参照され、最初に絵素4の輝度値が検出された画素17の第2の方向における座標(検出開始垂直座標V_Start[x])と、最後に絵素4の輝度値が検出された画素17の第2の方向における座標とに基づいて検出高さV_height[x]が算出される。
【0109】
次に、算出された各第1の画素ラインL1、L1、・・・毎の検出開始水平座標H_Start[y]に基づいて、検出開始水平座標H_Start[y]の平均値x_stが、例えば、下記の数式に基づいて算出される。
【0110】
x_st=(H_Start[y’]+H_Start[y’+1]+・・・+H_Start[y’+n−1]+H_Start[y’+n])/n)
【0111】
上記した数式において、y’は絵素4、4、・・・の輝度値が検出された第1の画素ラインL1、L1、・・・のうち原点Oに最も近い第1の画素ラインL1の第2の方向における座標であり、nはV_height[x]のうち原点Oに最も近い第2の画素ラインL2から算出されたV_height[x]の値とされる。
【0112】
算出されたx_stに基づいて、座標(x_st、V_Start[x_st])から座標(x_st、V_Start[x_st]+V_height[x_st])までに配列された画素17、17、・・・によって基準ラインS1が構成され、基準ラインS1の画素17、17、・・・によって検出された輝度値の総和がT1とされる。
【0113】
また、同様にx_stに基づいて、座標(x_st+1、V_Start[x_st+1])から座標(x_st+1、V_Start[x_st+1]+V_height[x_st+1])までに配列された画素17、17、・・・によって検出された輝度値の総和がT2とされる。
【0114】
さらに、同様にx_stに基づいて、座標(x_st+2、V_Start[x_st+2])から座標(x_st+2、V_Start[x_st+2]+V_height[x_st+2])までに配列された画素17、17、・・・によって特定ラインS2が構成され、特定ラインS2の画素17、17、・・・によって検出された輝度値の総和がT3とされる。
【0115】
続いて、T1乃至T3の値を比較する。輝度ムラ検出装置5においては、絵素4の画素17、17、・・・に対する第1の方向における基準位置を、T1、T2に対してT3が最小値となる場合に設定するようにしている。従って、絵素4の画素17、17、・・・に対する投影状態に応じて以下のような制御が行われる。
【0116】
図6は、画素17、17、・・・に対して絵素4、4、・・・がそれぞれ異なる位置に投影されている状態を表した模式図である。画素17、17、・・・と絵素4、4、・・・は形状と間隔が異なるため、画素17、17、・・・と絵素4、4、・・・は、例えば、少なくとも図6に示す(a)、(b)、(c)の3種類の位置関係を取り得る。
【0117】
図6(a)は、画素ブロックAの第1の方向における中央の画素17、17、17に絵素4が投影され、これらの画素17、17、17によって絵素4の輝度値が検出されている状態を示す模式図である。
【0118】
図6(a)の場合においてT1乃至T3が算出されると、T3の値が最小となり、T2の値が最大となる。従って、x_stについての加算や減算は行われず、このときのx_stが第1の方向における基準位置とされる。
【0119】
図6(b)は、画素ブロックAの第1の方向における中央の画素17、17、17と右側の画素17、17、17との間に絵素4が投影され、これらの画素17、17、・・・によって絵素4の輝度値が検出されている状態を示す模式図である。
【0120】
図6(b)の場合においてT1乃至T3が算出されると、T2とT3の値がほぼ同じとなり、T1の値が最小となる。この場合には、x_stに対して1が加算され、1が加算されたx_stについてT1乃至T3が再度算出されるとT3の値が最小とされる。従って、1が加算されたx_stが第1の方向における基準位置とされる。
【0121】
図6(c)は、画素ブロックAの右側の画素17、17、17に絵素4が投影され、これらの画素17、17、17によって絵素4の輝度値が検出されている状態を示す模式図である。
【0122】
図6(c)の場合においてT1乃至T3が算出されると、T3の値が最大となり、T2の値が最小となる。この場合には、x_stに対して1が減算され、1が減算されたx_stについてT1乃至T3が再度算出されるとT3の値が最小とされる。従って、1が減算されたx_stが第1の方向における基準位置とされる。
【0123】
上記したように、輝度ムラ検出装置5にあっては、特定ラインS2において検出された輝度値の総和と基準ラインS1から特定ラインS2までのそれぞれの各画素ラインL2、L2、L2においてそれぞれ検出された輝度値の各総和とを比較して第1の方向における基準位置を設定するようにしている。従って、画素ブロックA、A、・・・毎に算出された輝度値に基づいて第1の方向における基準位置を設定していないため、第1の方向における基準位置の設定時間の短縮化を図ることが出来る。
【0124】
また、輝度ムラ検出装置5にあっては、画素ブロックAに含まれる複数の画素17、17、・・・のうちの所定の位置に存在する一部の画素17、17、・・・によって絵素4の輝度値が検出されるように第1の方向における基準位置が設定される。従って、絵素4の輝度値の検出精度のより一層の向上を図ることが出来る。
【0125】
次いで、第2の方向における基準位置が以下に示す方法によって設定される。
【0126】
算出された各第2の画素ラインL2、L2、・・・毎の検出開始垂直座標V_Start[x]と検出高さV_height[x]に基づいて、各第2の画素ラインL2、L2、・・・毎のセンター座標V_center[x]が算出される。
【0127】
図7は、画素17、17、・・・に対して絵素4、4、・・・がそれぞれ異なる位置に投影されている状態を表した模式図である。第2の方向においても画素17、17、・・・と絵素4、4、・・・は形状と間隔が異なるので、例えば、少なくとも、図7に示す(a)、(b)、(c)の3種類の位置関係を取り得る。図7において、Y1乃至Y3はそれぞれ第1の方向に並んで配列されている画素17、17、17によって検出された輝度値の総和である。
【0128】
上記したように、撮像部16はモアレ成分による表示パネル3における輝度が表示パネル3の中央を基準として同心円状に変化するように表示パネル3に対して位置及び向きが調整されており、撮像部16によって取得された画像データは、画素17、17、・・・によって検出された絵素4、4、・・・の輝度値が第2の方向において周期的に変化する。従って、図7及び図8に示すように、輝度値の総和Y1、Y2、Y3、Y1、・・・を第1の画素ラインL1の第2の方向における座標との関係において所定のパターンを有する周期関数F1として定義することが可能である。そこで、輝度ムラ検出装置5においては、周期関数F1を近似的に余弦関数F2として定義している。
【0129】
図8は、上記した周期関数F1と余弦関数F2(コサイン波W1)とを比較して示す模式図である。図8は、周期関数F1とコサイン波W1の位相とが同期している状態を表している。周期関数F1と同期された状態のコサイン波W1の変曲点i、i、・・・が、例えば、第2の方向の絵素4、4、・・・間の境界とされる。
【0130】
余弦関数F2は、第2の方向におけるセンター座標V_center[x]、位相PH[x]及び歪みNK[x]を変数として、例えば、以下に示す数式として定義される。
【0131】
F2=cos(π×(V_center[x]−y+PH[x])×NK[x])
【0132】
また、第2の方向における座標yに位置する第1の画素ラインL1を構成する画素17、17、・・・の輝度値の総和をV_S[y]とすると、余弦関数F2の数式とV_S[y]を乗じることにより総和Totalが算出される。総和Totalは、例えば、以下の数式によって算出される。
【0133】
Total=Σ[y=a,b](cos(π×(V_center[x]−y+PH[x])×NK[x])+1)×V_S[y]
【0134】
上記した数式において、Σ[y=a,b]はyがaからbまで変化されるときの総和を表す。aの値はV_Start[x]であり、bの値はV_Start[x]にV_height[x]が加算された値とされる。
【0135】
総和Totalの値が最大とされる位相PH[x]と歪みNK[x]が、例えば、反復法による解によって求められる。求められた位相PH[x]と歪みNK[x]の値に基づいて上記したF2の値が0または略0になるようにyの値が算出される。即ち、変曲点i、i、・・・もしくは変曲点i、i、・・・に最も近いとされるyの値が第2の方向に並んで配列された絵素4、4、・・・の境界に位置する画素17、17、・・・のそれぞれの第2の方向における座標とされる。
【0136】
算出されたyの値に基づいて、各第2の画素ラインL2、L2、・・・毎に第2の方向における基準位置y_st[x、y]が画素ブロックA、A、・・・毎に設定される。
【0137】
このように第1の画素ラインL1の全ての画素17、17、・・・によって検出された絵素4、4、・・・の輝度値の総和Y1乃至Y3が第1の画素ラインL1、L1、・・・毎に算出され、算出された第1の画素ラインL1、L1、・・・毎の総和に基づいて周期関数F2が定義され、定義された周期関数F2に基づいて第2の方向における基準位置が設定される。従って、第2の方向における基準位置が画素ブロックA、A、・・・毎に設定されるので、絵素4、4、・・・の輝度値の検出精度の向上を図ることが出来る。
【0138】
設定された第1の方向における基準位置x_stと第2の方向における基準位置y_st[x、y]に基づいて、各絵素4、4、・・・毎に画素ブロックAを構成する画素17、17、・・・の各座標が定められる。
【0139】
上記した各画素ブロックAにおいて原点Oに最も近い画素17の座標が当該画素ブロックAの代表座標とされ、各絵素4、4、・・・毎に画素ブロックAの代表座標(sx[px,py]、sy[px,py])がそれぞれ算出されてモアレ補正係数算出部に出力される。
【0140】
[輝度ムラ検出データの生成]
各絵素4、4、・・・毎の画素ブロックAの代表座標がモアレ補正係数算出部に入力されると、アドレス(px,py)の絵素4に対応する画素ブロックAの代表座標(sx[px,py]、sy[px,py])から座標(sx[px,py]+2、sy[px,py]+2)の座標における9個の画素17、17、・・・によって検出された輝度値の総和がSouwa(px,py)として算出される。算出されたSouwa(px,py)はモアレ成分が除去される前の絵素4、4、・・・のそれぞれの輝度値とされる。
【0141】
図9の左側の図は、撮像部16によって撮像されて取得された画像データDを示し、画像データDはモアレ成分M、M、・・・による表示パネル3の輝度が表示パネル3の中央を基準として同心円状に変化する。図9の右側の図は、左側の図の破線部に沿った絵素4、4、・・・毎に画素17、17、・・・によって検出された輝度値を棒グラフとして示している。
【0142】
図9に示すように、モアレ成分M、M、・・・による輝度は第1の方向において周期的に変動される。このようなモアレ成分M、M、・・・による輝度の変動量を補正するためのモアレ補正係数が以下に示す方法によって算出される。
【0143】
図10は、画素ブロックAを表す模式図である。
【0144】
絵素4が投影された画素ブロックAを構成する画素17、17、・・・を第1の方向において3個に分割し、分割された各部分を画素エリアB1、B2、B3とした場合において(図10(a)参照)、画素エリアB1、B2、B3毎の画素17、17、17毎によって輝度値の総和がそれぞれz1、z2、z3として検出される。画素エリアB1、B2、B3は第1の方向において左右に3個ずつの合計6個の画素17、17、・・・が隣接されており、第2の方向において上下に1個ずつの合計2個の画素17、17が隣接されている。図10(b)に、例として、画素エリアB2に隣接される画素17、17、・・・を斜線で示す。
【0145】
上記した各画素エリアB1、B2、B3毎に隣接する8個の画素17、17、・・・によって輝度値の総和がそれぞれz’1、z’2、z’3として検出され、各画素エリアB1、B2、B3毎にz1、z2、z3とz’1、z’2、z’3が合算されてそれぞれ合算総和Z1、Z2、Z3が算出される。
【0146】
算出された合算総和Z1、Z2、Z3に基づいて、アドレス(px,py)の絵素4のモアレ成分による輝度の変動量を補正する係数(モアレ補正係数Hosei[px,py])が、以下に示す方法によって算出される。
【0147】
先ず、合算総和Z1乃至Z3までの値がそれぞれ比較され、比較された結果においてZ1が最小値の場合には、モアレ補正係数Hosei[px,py]が下記の数式によって定められる。
【0148】
Hosei[px,py]=|Z2−Z3|/(Z2+Z3−(2×Z1))
【0149】
また、比較された結果においてZ2が最小値の場合には、Hosei[px,py]が下記の数式によって定められる。
【0150】
Hosei[px,py]=|Z1−Z3|/(Z1+Z3−(2×Z1))
【0151】
さらに、比較された結果においてZ3が最小値の場合には、Hosei[px,py]が下記の数式によって定められる。
【0152】
Hosei[px,py]=|Z2−Z1|/(Z2+Z1−(2×Z3))
【0153】
算出されたモアレ補正係数Hosei[px,py]に基づいて、アドレス(px,py)に位置する絵素4のモアレ成分が除去された輝度値であるHosei_Kido(px,py)が以下の数式によって算出される。
【0154】
Hosei_Kido(px,py)=Souwa(px,py)×(1+m×(cos(Hosei[px,py]×π/2))
【0155】
上記した数式において、変数mは絵素4R、4R、・・・、絵素4G、4G、・・・及び絵素4B、4B、・・・の各色毎に定められる所定の値である。即ち、モアレ補正係数は表示パネル3に表示される絵素4、4、・・・の色毎に定められる。
【0156】
モアレ成分による各画素17、17、・・・によって検出された輝度値の変化量は表示パネル3に表示される絵素4、4、・・・の色毎に異なるものとされる。従って、モアレ補正係数が絵素4、4、・・・の色毎に定められることによって、輝度ムラの発生箇所の検出精度の向上を図ることが出来る。
【0157】
また、輝度ムラ検出装置5にあっては、上記したように、モアレ成分による表示パネル3の輝度が表示パネル3の中央を基準として同心円状に出現するように撮像装置10の位置及び向きが調整されてモアレ成分による輝度の変化が画素17、17、・・・の配列の方向に沿って規則的に変化され、この規則的な変化に基づいて定義された周期関数F2を用いてモアレ補正係数が算出される。従って、モアレ補正係数の算出精度が高められ、輝度ムラ検出データの生成精度の向上を図ることが出来る。
【0158】
上記したように各絵素4、4、・・・毎のHosei_Kido(px,py)が算出されると、各絵素4、4、・・・毎のモアレ成分が除去された輝度値が輝度ムラ検出データとして輝度ムラ検出部に出力される。
【0159】
[輝度ムラ発生箇所の検出]
輝度ムラ検出部に輝度ムラ検出データが入力されると、輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとが比較される。基準データは、例えば、検査対象となる表示パネル3の製品仕様や輝度ムラ検出装置5が設置される環境等に応じて定められる。
【0160】
比較された結果において、輝度ムラ検出データにおける絵素4の輝度値が基準データよりも小さいときには当該絵素4が輝度ムラの発生箇所であると検出される。一方、絵素4の輝度値が基準データ以上であるときには当該絵素4においては輝度ムラが発生していないと検出される。表示パネル3の全ての絵素4、4、・・・について輝度ムラの発生箇所の検出が行われ、検出結果が図示しない外部記憶装置などに出力される。
【0161】
[まとめ]
以上に記載した通り、輝度ムラ検出装置、輝度ムラ検出方法及び表示装置にあっては、撮像部16によって取得した画像データからモアレ成分が除去された輝度ムラ検出データを生成して輝度ムラの発生箇所の検出を行っている。
【0162】
従って、表示装置1の表示パネル3に発生する輝度ムラの発生箇所を高い精度で検出することが出来る。
【0163】
[その他]
撮像部16はCCDに限られず、例えば、C−MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの画素17、17、・・・が格子状に配置され、受光領域18と受光無効領域19が一つの画素に存在するものであればよい。
【0164】
上記した発明の最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【0165】
[本技術]
なお、本技術は以下のような構成とすることが出来る。
【0166】
(1)検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、前記パネル保持部に保持された前記表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部とを備え、前記表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、前記撮像部に前記絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、前記絵素の1色のみの表示が前記撮像部によって撮像されて前記画像データが取得され、取得された前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置が設定され、設定された前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、算出された前記モアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分が除去されて前記画像データから輝度ムラ検出データが生成され、生成された前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する輝度ムラ検出装置。
【0167】
(2)前記撮像部が1回の撮像によって前記表示パネルの全ての表示領域を撮像するようにした前記(1)に記載の輝度ムラ検出装置。
【0168】
(3)前記撮像部の全領域が、複数の所定の数の前記画素によって構成された画素ブロックが複数設けられて成り、前記各画素ブロックにおいてそれぞれ前記各画素によって前記絵素の輝度値を検出して当該輝度値の総和を算出し、前記画素ブロック毎に前記表示パネルの前記輝度ムラ検出データを生成するようにした前記(1)または前記(2)の何れかに記載の輝度ムラ検出装置。
【0169】
(4)前記複数の画素が格子状に配列され、前記画素の並び方向における一方向が第1の方向とされ、前記画素ブロックに含まれる前記複数の画素のうちの所定の位置に存在する一部の画素によって前記絵素の輝度値が検出されるように前記第1の方向における前記基準位置を設定するようにした前記(3)に記載の輝度ムラ検出装置。
【0170】
(5)前記画素の並び方向における前記第1の方向に直交する方向が第2の方向とされ、前記第1の方向に並ぶ前記各画素によってそれぞれ前記第2の方向に並ぶ複数の第1の画素ラインが構成され、前記各第1の画素ラインの全ての前記画素によって検出された前記絵素の輝度値の総和が前記第1の画素ライン毎に算出され、算出された前記各第1の画素ラインの総和に基づいて周期関数が定義され、定義された前記周期関数に基づいて前記第2の方向における前記基準位置を設定するようにした前記(4)に記載の輝度ムラ検出装置。
【0171】
(6)前記第2の方向に並ぶ前記各画素によってそれぞれ前記第1の方向に並ぶ複数の第2の画素ラインが構成され、前記各第2の画素ラインの全ての前記画素によって検出された前記絵素の輝度値の総和が前記第2の画素ライン毎に算出され、前記複数の第2の画素ラインのうち前記第1の方向における一端に位置する前記第2の画素ラインが基準ラインとされ、前記基準ラインを基準にして所定の位置にある前記第2の画素ラインが特定ラインとされ、前記特定ラインにおいて検出された前記輝度値の総和と前記基準ラインから前記特定ラインまでの前記各第2の画素ラインにおいてそれぞれ検出された前記輝度値の各総和とを比較して前記第1の方向における前記基準位置を設定するようにした前記(3)から前記(5)の何れかに記載の輝度ムラ検出装置。
【0172】
(7)前記モアレ補正係数が前記絵素の所定の色毎に定められるようにした前記(1)から前記(6)の何れかに記載の輝度ムラ検出装置。
【0173】
(8)前記モアレ成分による前記表示パネルにおける輝度が前記表示パネルの中央を基準として同心円状に変化するように前記表示パネルに対する前記撮像部の位置及び向きが調整されるようにした前記(1)から前記(7)の何れかに記載の輝度ムラ検出装置。
【0174】
(9)画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられパネル保持部に保持された表示パネルに前記絵素の1色のみを表示し、前記表示パネルに表示された前記絵素の1色のみの表示を撮像部によって撮像して画像データを取得し、取得した前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置を設定し、設定した前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数を算出し、算出したモアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分を除去して前記画像データから輝度ムラ検出データを生成し、生成した前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する輝度ムラ検出方法。
【0175】
(10)輝度ムラ検出装置によって輝度ムラの発生箇所に関する判別が行われた表示パネルと、前記表示パネルを保持する筐体とを備え、前記輝度ムラ検出装置が、検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、前記パネル保持部に保持された前記表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部を有する撮像部とを備え、前記表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、前記撮像部に前記絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、前記絵素の1色のみの表示が前記撮像部によって撮像されて前記画像データが取得され、取得された前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置が設定され、設定された前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、算出されたモアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分が除去されて前記画像データから輝度ムラ検出データが生成され、生成された前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】撮像装置によって表示パネルを撮像し、画像データが取得される状態を示す模式図である。
【図2】輝度ムラ検出装置の概略側面図である。
【図3】撮像部の撮像面に絵素投影領域が投影されている状態を示す模式図である。
【図4】画素ブロック毎に絵素が投影されている状態を示す模式図である。
【図5】撮像部の撮像面に絵素投影領域が投影されている状態において数式の各項目等を説明するための模式図である。
【図6】第1の方向に並ぶ画素ブロックに対して絵素がそれぞれ異なる位置に投影されている状態を示す模式図である。
【図7】第2の方向に並ぶ画素ブロックに対して絵素がそれぞれ異なる位置に投影されている状態を示す模式図である。
【図8】周期関数と余弦関数を比較して示す模式図である。
【図9】撮像部によって取得された画像データの輝度が中央を基準として同心円状に変化が生じている状態を示す模式図である。
【図10】画素ブロックと画素エリア及び画素エリアに隣接される画素を示す模式図である。
【符号の説明】
【0177】
1…表示装置、2…筐体、3…表示パネル、4…絵素、5…輝度ムラ検出装置、9…パネル保持部、16…撮像部、17…画素、A…画素ブロック、L1…第1の画素ライン、L2…第2の画素ライン、S1…基準ライン、S2…特定ライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、
前記パネル保持部に保持された前記表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部とを備え、
前記表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、
前記撮像部に前記絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、
前記絵素の1色のみの表示が前記撮像部によって撮像されて前記画像データが取得され、
取得された前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置が設定され、
設定された前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、
算出された前記モアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分が除去されて前記画像データから輝度ムラ検出データが生成され、
生成された前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する
輝度ムラ検出装置。
【請求項2】
前記撮像部が1回の撮像によって前記表示パネルの全ての表示領域を撮像するようにした
請求項1に記載の輝度ムラ検出装置。
【請求項3】
前記撮像部の全領域が、複数の所定の数の前記画素によって構成された画素ブロックが複数設けられて成り、
前記各画素ブロックにおいてそれぞれ前記各画素によって前記絵素の輝度値を検出して当該輝度値の総和を算出し、
前記画素ブロック毎に前記表示パネルの前記輝度ムラ検出データを生成するようにした
請求項1に記載の輝度ムラ検出装置。
【請求項4】
前記複数の画素が格子状に配列され、
前記画素の並び方向における一方向が第1の方向とされ、
前記画素ブロックに含まれる前記複数の画素のうちの所定の位置に存在する一部の画素によって前記絵素の輝度値が検出されるように前記第1の方向における前記基準位置を設定した
請求項3に記載の輝度ムラ検出装置。
【請求項5】
前記画素の並び方向における前記第1の方向に直交する方向が第2の方向とされ、
前記第1の方向に並ぶ前記各画素によってそれぞれ前記第2の方向に並ぶ複数の第1の画素ラインが構成され、
前記各第1の画素ラインの全ての前記画素によって検出された前記絵素の輝度値の総和が前記第1の画素ライン毎に算出され、
算出された前記各第1の画素ラインの総和に基づいて周期関数が定義され、
定義された前記周期関数に基づいて前記第2の方向における前記基準位置を設定するようにした
請求項4に記載の輝度ムラ検出装置。
【請求項6】
前記第2の方向に並ぶ前記各画素によってそれぞれ前記第1の方向に並ぶ複数の第2の画素ラインが構成され、
前記各第2の画素ラインの全ての前記画素によって検出された前記絵素の輝度値の総和が前記第2の画素ライン毎に算出され、
前記複数の第2の画素ラインのうち前記第1の方向における一端に位置する前記第2の画素ラインが基準ラインとされ、
前記基準ラインを基準にして所定の位置にある前記第2の画素ラインが特定ラインとされ、
前記特定ラインにおいて検出された前記輝度値の総和と前記基準ラインから前記特定ラインまでの前記各第2の画素ラインにおいてそれぞれ検出された前記輝度値の各総和とを比較して前記第1の方向における前記基準位置を設定するようにした
請求項3に記載の輝度ムラ検出装置。
【請求項7】
前記モアレ補正係数が前記絵素の所定の色毎に定められるようにした
請求項1に記載の輝度ムラ検出装置。
【請求項8】
前記モアレ成分による前記表示パネルにおける輝度が前記表示パネルの中央を基準として同心円状に変化するように前記表示パネルに対する前記撮像部の位置及び向きが調整されるようにした
請求項1に記載の輝度ムラ検出装置。
【請求項9】
画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられパネル保持部に保持された表示パネルに前記絵素の1色のみを表示し、
前記表示パネルに表示された前記絵素の1色のみの表示を撮像部によって撮像して画像データを取得し、
取得した前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置を設定し、
設定した前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数を算出し、
算出したモアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分を除去して前記画像データから輝度ムラ検出データを生成し、
生成した前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する
輝度ムラ検出方法。
【請求項10】
輝度ムラ検出装置によって輝度ムラの発生箇所に関する判別が行われた表示パネルと、
前記表示パネルを保持する筐体とを備え、
前記輝度ムラ検出装置が、
検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、
前記パネル保持部に保持された前記表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部を有する撮像部とを備え、
前記表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、
前記撮像部に前記絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、
前記絵素の1色のみの表示が前記撮像部によって撮像されて前記画像データが取得され、
取得された前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置が設定され、
設定された前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、
算出されたモアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分が除去されて前記画像データから輝度ムラ検出データが生成され、
生成された前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する
表示装置。
【請求項1】
検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、
前記パネル保持部に保持された前記表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部とを備え、
前記表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、
前記撮像部に前記絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、
前記絵素の1色のみの表示が前記撮像部によって撮像されて前記画像データが取得され、
取得された前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置が設定され、
設定された前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、
算出された前記モアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分が除去されて前記画像データから輝度ムラ検出データが生成され、
生成された前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する
輝度ムラ検出装置。
【請求項2】
前記撮像部が1回の撮像によって前記表示パネルの全ての表示領域を撮像するようにした
請求項1に記載の輝度ムラ検出装置。
【請求項3】
前記撮像部の全領域が、複数の所定の数の前記画素によって構成された画素ブロックが複数設けられて成り、
前記各画素ブロックにおいてそれぞれ前記各画素によって前記絵素の輝度値を検出して当該輝度値の総和を算出し、
前記画素ブロック毎に前記表示パネルの前記輝度ムラ検出データを生成するようにした
請求項1に記載の輝度ムラ検出装置。
【請求項4】
前記複数の画素が格子状に配列され、
前記画素の並び方向における一方向が第1の方向とされ、
前記画素ブロックに含まれる前記複数の画素のうちの所定の位置に存在する一部の画素によって前記絵素の輝度値が検出されるように前記第1の方向における前記基準位置を設定した
請求項3に記載の輝度ムラ検出装置。
【請求項5】
前記画素の並び方向における前記第1の方向に直交する方向が第2の方向とされ、
前記第1の方向に並ぶ前記各画素によってそれぞれ前記第2の方向に並ぶ複数の第1の画素ラインが構成され、
前記各第1の画素ラインの全ての前記画素によって検出された前記絵素の輝度値の総和が前記第1の画素ライン毎に算出され、
算出された前記各第1の画素ラインの総和に基づいて周期関数が定義され、
定義された前記周期関数に基づいて前記第2の方向における前記基準位置を設定するようにした
請求項4に記載の輝度ムラ検出装置。
【請求項6】
前記第2の方向に並ぶ前記各画素によってそれぞれ前記第1の方向に並ぶ複数の第2の画素ラインが構成され、
前記各第2の画素ラインの全ての前記画素によって検出された前記絵素の輝度値の総和が前記第2の画素ライン毎に算出され、
前記複数の第2の画素ラインのうち前記第1の方向における一端に位置する前記第2の画素ラインが基準ラインとされ、
前記基準ラインを基準にして所定の位置にある前記第2の画素ラインが特定ラインとされ、
前記特定ラインにおいて検出された前記輝度値の総和と前記基準ラインから前記特定ラインまでの前記各第2の画素ラインにおいてそれぞれ検出された前記輝度値の各総和とを比較して前記第1の方向における前記基準位置を設定するようにした
請求項3に記載の輝度ムラ検出装置。
【請求項7】
前記モアレ補正係数が前記絵素の所定の色毎に定められるようにした
請求項1に記載の輝度ムラ検出装置。
【請求項8】
前記モアレ成分による前記表示パネルにおける輝度が前記表示パネルの中央を基準として同心円状に変化するように前記表示パネルに対する前記撮像部の位置及び向きが調整されるようにした
請求項1に記載の輝度ムラ検出装置。
【請求項9】
画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられパネル保持部に保持された表示パネルに前記絵素の1色のみを表示し、
前記表示パネルに表示された前記絵素の1色のみの表示を撮像部によって撮像して画像データを取得し、
取得した前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置を設定し、
設定した前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数を算出し、
算出したモアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分を除去して前記画像データから輝度ムラ検出データを生成し、
生成した前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する
輝度ムラ検出方法。
【請求項10】
輝度ムラ検出装置によって輝度ムラの発生箇所に関する判別が行われた表示パネルと、
前記表示パネルを保持する筐体とを備え、
前記輝度ムラ検出装置が、
検査対象となる表示パネルを保持するパネル保持部と、
前記パネル保持部に保持された前記表示パネルを撮像して画像データを取得する撮像部を有する撮像部とを備え、
前記表示パネルに画像を形成するための最小単位である所定の色を表示する複数の絵素が設けられ、
前記撮像部に前記絵素を撮像するための複数の画素が設けられ、
前記絵素の1色のみの表示が前記撮像部によって撮像されて前記画像データが取得され、
取得された前記画像データに基づいて前記絵素毎の前記画素に対する基準位置が設定され、
設定された前記絵素の基準位置に基づいて前記画像データのモアレ成分を除去するためのモアレ補正係数が算出され、
算出されたモアレ補正係数に基づいて前記モアレ成分が除去されて前記画像データから輝度ムラ検出データが生成され、
生成された前記輝度ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルに表示される画像の輝度ムラの発生箇所を検出する
表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−215425(P2012−215425A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79632(P2011−79632)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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