説明

輝度上昇フィルム及びバックライトモジュール

【課題】輝度上昇効果を向上できる輝度上昇フィルム(BEF)及び該BEFを有するバックライトモジュールを提供する。
【解決手段】光射出面及びこの射出面に対面する複数のストリップ状プリズムを含み、且つこれらの複数のストリップ状プリズムが互い実質的に平行するBEFが提供される。各ストリップ状プリズムは光入射曲面、光反射斜面及び平面を有する。光入射曲面及び平面は光反射斜面に面し、且つ光入射曲面は凸曲面である。光反射斜面は光入射曲面から入射した光線を反射し、光射出面から射出させる。また、前述のBEFを有するバックライトモジュールも提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子に関し、特に、輝度上昇フィルム(Brightness Enhancement Film:BEF)及び該BEFを有するバックライトモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は従来のバックライトモジュールを示すものである。図2Aは図1における二つのBEFの斜視図であり、図2BはBEFにおける光線の光経路を示すものである。図1と図2に示すように、従来のバックライトモジュール100は、光源110、導光板120、二つの拡散板130aと130b、二つのBEF140aと140b及び反射板150を含む。導光板120は光源110の傍に配置され、拡散板130aと130b及びBEF140aと140bは導光板120の光射出面122の上方に配置され、且つBEF140aと140bは拡散板130aと130bの間に配置される。
【0003】
前述のバックライトモジュール100には、光源110からの光線112が導光板120の光射出面122から射出した後に、順序に拡散板130a、BEF140a、BEF140b及び拡散板130bを通過し、光線112が拡散板130bを通過した後の進行方向がZ軸とほぼ平行する。BEF140aはYZ平面方向における光線を集中させ、BEF140bはXZ平面方向における光線を集中させる。
【0004】
従来技術では、YZ平面方向及びXZ平面方向における光線を集中するために二つのBEF140aと140bを使用する必要があるので、バックライトモジュール100の生産コストが高くて、またその厚みも厚い。また、一部の光線(例えば、112′)がBEF140aと140bにおいて容易に全反射されて導光板120に入射するので、バックライトモジュール100により提供されたバックライトの輝度が低くなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、輝度上昇効果を向上できる輝度上昇フィルム(BEF)を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、生産コストを削減できるバックライトモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するために、本発明は輝度上昇フィルム(BEF)を提供する。このBEFは、光射出面及びこの光射出面に対面する複数のストリップ状プリズムを含み、この複数のストリップ状プリズムが互いに実質的に平行する。各ストリップ状プリズムは光入射曲面及び光反射斜面を有する。光入射曲面は光反射斜面に面し、且つ光入射曲面は凸曲面である。また、光反射斜面は、光入射曲面から入射した光線を反射し、反射された後の光線はその進行方向が光射出面の法線方向とほぼ平行するように光射出面から射出する。
【0008】
本発明は更にバックライトモジュールを提供する。このバックライトモジュールは、光源、導光板及び前述のBEFを含む。導光板は光源の傍に配置され、且つBEFは導光板の一方側に配置される。光源は光線を発し、この光線は導光板を経由してBEFに入射する。
【0009】
本発明のBEFには、柱状レンズの光入射曲面が良い集光効果を有するので、BEFの輝度上昇効果を向上することができる。また、本発明のバックライトモジュールは一つのBEFのみを使用するので、生産コストを削減することができると同時に、厚みを減少することもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、輝度上昇効果を向上できる輝度上昇フィルム(BEF)及び該BEFを有するバックライトモジュールを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、添付した図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0012】
図3は本発明の一実施形態に係るバックライトモジュールを示すものである。図4は図3におけるBEFの斜視図である。図5はストリップ状プリズムにおける光線の光経路を示すものである。図3から図5に示すように、本実施形態に係るバックライトモジュール200は光源210、導光板220及びBEF300を含む。導光板220は光源210の傍に配置され、且つBEF300は導光板220の一方側に配置される。BEF300は光射出面310及び光射出面300に対面する複数のストリップ状プリズム320を有し、且つ、これらのストリップ状プリズム320は互いに実質的に平行する。また、各ストリップ状プリズム320は光入射曲面322及び光反射斜面324を有し、光入射曲面322は光反射斜面324に面し、且つ光入射曲面322は凸曲面である。
【0013】
好適な一実施形態において、各ストリップ状プリズム320は更に平面326を含み、且つ各ストリップ状プリズム320の光入射曲面322は光反射斜面324と平面326との間に接続される。また、ストリップ状プリズム320の光反射斜面324と光射出面310が成す角度θは、例えば、50〜67.5度である。ストリップ状プリズム320の最大幅Pが光入射曲面322の曲率半径Rとの比は、例えば、1.3〜2であり、即ち、1.3≦P/R≦2である。また、ストリップ状プリズム320の厚みHが光入射曲面322の曲率半径Rとの比は、例えば、1.3〜1.7であり、即ち、1.3≦H/R≦1.7である。
【0014】
前述のバックライトモジュール200には、光源210が冷陰極蛍光ランプ、発光ダイオード(LED)或いはその他の適切な光源であり、光線212を提供する。光線212は導光板220の光入射面222に入射した後に光射出面224から射出し、ストリップ状プリズム320の光入射曲面322を介してBEF300に入射する。その後、光線212はストリップ状プリズム320の光反射斜面324の全反射により光射出面310から射出する。ここで、光入射曲面322はXZ平面方向及びYZ平面方向における光線212を収束させ、且つ光反射斜面324は全反射された後の光線212の進行方向がZ軸とほぼ平行するようにさせることができる。本実施形態に係るZ軸は、光射出面310の法線方向である。また、バックライトモジュール200によるバックライトの品質を更に向上するために、BEF300の上方に拡散板230を設置することもできる。
【0015】
図6は光線が本実施形態に係るBEFから射出した後の光輝度と視野角との関係図である。図5と図6を参照する。図6によれば、導光板220から射出した光線212がBEF300を通過した後に、XZ平面における視野角の範囲が約-16〜16度であり、YZ平面における視野角の範囲が約-8〜8度である。また、XZ平面とYZ平面における輝度の最強の箇所が対応する視野角はすべて約0度であり、即ち、光線の輝度分布の最強の箇所がすべて光射出面310の法線方向(即ち、Z軸方向)にある。従って、本実施形態に係るBEF300は、バックライトモジュール200全体によるバックライトの中心輝度値を高くすることができる。
【0016】
従来技術と比べると、本実施形態に係るバックライトモジュール200は一つのBEF300のみを使用するだけで、XZ平面方向及びYZ平面方向における光線212を集中されることができるので、BEF300の材料のコストを節約することができ、バックライトモジュール200全体の生産コストを削減することができる。また、バックライトモジュール200は一つのBEF300のみを有するので、バックライトモジュール200の厚みが薄い。
【0017】
なお、図6に示されるグラフが例として挙げられるが、本発明を限定するのもでない。実際に、光線212が本発明のBEF300から射出した後の光輝度と視野角との関係には、ストリップ状プリズム320の最大幅P、厚みH及び光入射曲面322の曲率半径Rの異なり或いはその他の原因による微小な誤差がある。
【0018】
図7は本発明の他の実施形態に係るBEFを示すものである。図7に示すように、本実施形態に係るBEF300aが図4に示されるBEF300とほぼ同様であるが、その相違点は、BEF300aの光射出面310には複数のナノメータルレベルの微細構造330が設けられることにある。これらのナノメータルレベルの微細構造330は、例えば、突出する小さなボール、球体、錐状体などの微細構造であり、図8に示すように、このような微細構造のサイズが約数百ナノメータルの範囲内である。ナノメータルレベルの微細構造は入射光に対して偏光(Polarization)が起きるので、光射出面310に反射抵抗(Antireflection)機能を持たせ、図9に示すように、光射出面310における光線の透過率を増加することができ、BEF300a全体の出光効率を向上することができる。
【0019】
図10は本発明の他の実施形態に係るBEFを示すものである。図10に示すように、本実施形態に係るBEF300bが図4に示されるBEF300とほぼ同じであるので、その相違点のみについて以下のように説明する。BEF300と比べ、本実施形態に係るBEF300bは更に複数の柱状レンズ340を有する。これらの柱状レンズ340は実質的に互いに平行するように光射出面310に配置される。ストリッププリズム320が、例えば、第一の方向(Y軸)に沿って平行に配列され、柱状レンズ340が、例えば、第二の方向(X軸)に沿って平行に配列され、且つ、第一の方向が第二の方向と垂直する。
【0020】
前述の柱状レンズ340は、例えば、半円柱状レンズであり、またこれらの柱状レンズ340がX軸に沿って平行するように光射出面310に配列されるので、XZ平面方向における光線を更に収束することができ、これにより、光線が更に集中し、BEF300bの輝度上昇効果を更に向上することができる。
【0021】
ゆえに、本発明のBEF及びバックライトモジュールは少なくとも以下の利点を有する。
【0022】
1、柱状レンズの光入射曲面がXZ平面方向及びYZ平面方向における光線を同時に集中させることができるので、本発明のBEFはより良い輝度上昇効果を有し、バックライトモジュール全体によるバックライトの中心輝度値を高くすることができる。
【0023】
2、従来技術に比べれば、本発明のバックライトモジュールは一つのFEMのみを使用するだけで、XZ平面方向とYZ平面方向における光線を集中することができるので、生産コストを削減することができるのみならず、厚みを薄くすることもできる。
【0024】
3、一実施形態において、BEFの光射出面にはナノメータルレベルの微細構造が設けられルので、BEFの輝度上昇効果を向上することができる。
【0025】
4、一実施形態において、BEFの光射出面には柱状レンズが設けられるので、BEFの輝度上昇効果を更に向上することができる。
【0026】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されず、本発明の趣旨を離脱しない限り、本発明に対するあらゆる変更は本発明の範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来のバックライトモジュールを示す図である。
【図2A】図1における二つのBEFの斜視図である。
【図2B】従来のBEFにおける光線の光経路を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るバックライトモジュールを示す図である。
【図4】図3におけるBEFの斜視図である。
【図5】本発明のストリップ状プリズムにおける光線の光経路を示す図である。
【図6】本発明の光線がBEFから射出した後の光輝度と視野角との関係図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るBEFを示す図である。
【図8】図7におけるナノメータルレベルの微細構造の拡大図である。
【図9】光線が同じ角度で微細構造が設けられる光射出面と微細構造が設けられていない光射出面にそれぞれ入射したときの光経路を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係るBEFを示す図である。
【符号の説明】
【0028】
100、200 バックライトモジュール
110、210 光源
112、112′、212 光線
120、220 導光板
122、224、310 光射出面
130a、130b、230 拡散板
140a、140b、300、300a、300b 輝度上昇フィルム(BEF)
150 反射板
222 光入射面
320 ストリップ状プリズム
322 光入射曲面
324 光反射斜面
326 平面
330 ナノメータルレベルの微細構造
340 柱状レンズ
H 厚み
P 最大幅
R 曲率半径
θ 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光射出面及び該光射出面に対面する複数のストリップ状プリズムを含み、
前記複数のストリップ状プリズムが互いに実質的に平行し、
前記複数のストリップ状プリズムの各々は、光入射曲面及び光反射斜面を有し、
前記光入射曲面は前記光反射斜面に対面する凸曲面であり、
前記光反射斜面は、前記光入射曲面から入射した光線を反射し、前記光射出面の法線方向とほぼ平行する方向に前記光射出面から射出させる、
輝度上昇フィルム。
【請求項2】
前記複数のストリップ状プリズムの各々は更に平面を含み、前記複数のストリップ状プリズムの各々の前記光入射曲面は前記光反射斜面と該平面との間に接続される、
請求項1に記載の輝度上昇フィルム。
【請求項3】
前記複数のストリップ状プリズムの各々の前記光反射斜面と前記光射出面とがなす角度は、50〜67.5度である、
請求項1に記載の輝度上昇フィルム。
【請求項4】
前記複数のストリップ状プリズムの各々の最大幅がPであり、前記複数のストリップ状プリズムの各々の光入射曲面の曲率半径がRであり、PとRが1.3≦P/R≦2を満たす、
請求項1に記載の輝度上昇フィルム。
【請求項5】
前記複数のストリップ状プリズムの各々の最大厚みがHであり、前記複数のストリップ状プリズムの各々の光入射曲面の曲率半径がRであり、HとRが1.3≦H/R≦1.7を満たす、
請求項1に記載の輝度上昇フィルム。
【請求項6】
前記光射出面に配置される複数のナノメータルレベルの微細構造を更に含む、
請求項1に記載の輝度上昇フィルム。
【請求項7】
前記光射出面に配置される複数の柱状レンズを更に含み、該複数の柱状レンズが互い実質的に平行する、
請求項1に記載の輝度上昇フィルム。
【請求項8】
前記複数のストリップ状プリズムは第一の方向に沿って平行に配列され、前記複数の柱状レンズは第二の方向に沿って平行に配列され、該第一の方向が該第二の方向と垂直する、
請求項7に記載の輝度上昇フィルム。
【請求項9】
前記複数の柱状レンズは半円柱状レンズである、
請求項7に記載の輝度上昇フィルム。
【請求項10】
光線を発する光源と、
前記光源の近傍に配置される導光板と、
前記導光板の一方側に配置される輝度上昇フィルムと、
を含み、
前記光線は、前記導光板を介して前記輝度上昇フィルムに入射し、
前記輝度上昇フィルムは、光射出面及び該光射出面に対面する側に位置する複数のストリップ状プリズムを有し、該複数のストリップ状プリズムは互いに実質的平行し、該複数のストリップの各々は光入射曲面及び光反射斜面を有し、
前記光入射曲面は凸曲面であり、前記光反射斜面に面し、前記光反射斜面は前記光入射曲面から入射した前記光線を反射し、前記光射出面から射出させる、
バックライトモジュール。
【請求項11】
前記複数のストリップ状プリズムの各々は更に平面を含み、前記複数のストリップ状プリズムの各々の前記光入射曲面は前記光反射斜面と該平面の間に接続される、
請求項10に記載のバックライトモジュール。
【請求項12】
前記複数のストリップ状プリズムの各々の光反射斜面と光射出面とがなす角度は、50〜67.5度である。
請求項10に記載のバックライトモジュール。
【請求項13】
前記複数のストリップ状プリズムの各々の最大幅がPであり、前記複数のストリップ状プリズムの各々の光入射曲面の曲率半径がRであり、PとRが1.3≦P/R≦2を満たす、
請求項10に記載のバックライトモジュール。
【請求項14】
前記複数のストリップ状プリズムの各々の最大厚みがHであり、前記複数のストリップ状プリズムの各々の光入射曲面の曲率半径がRであり、HとRが1.3≦H/R≦1.7を満たす、
請求項10に記載のバックライトモジュール。
【請求項15】
前記輝度上昇フィルムは、前記光射出面に配置される複数のナノメータルレベルの微細構造を更に含む、
請求項10に記載のバックライトモジュール。
【請求項16】
前記輝度上昇フィルムは前記光射出面に配置される複数の柱状レンズを更に含み、該複数の柱状レンズは互い実質的に平行する、
請求項10に記載のバックライトモジュール。
【請求項17】
前記複数のストリップ状プリズムは第一の方向に沿って平行に配列され、前記複数の柱状レンズは第二の方向に沿って平行に配列され、該第一の方向が該第二の方向と垂直する、
請求項16に記載のバックライトモジュール。
【請求項18】
前記複数の柱状レンズは半円柱状レンズである、
請求項16に記載のバックライトモジュール。
【請求項19】
前記輝度上昇フィルムの上方に配置される拡散板を更に含む、
請求項10に記載のバックライトモジュール。
【請求項20】
前記光反射斜面により反射された前記光線の進行方向が前記光射出面の法線方向とほぼ平行する、
請求項10に記載のバックライトモジュール。



【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−140505(P2007−140505A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290330(P2006−290330)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(503133874)揚明光學股▲ふん▼有限公司 (16)
【Fターム(参考)】