説明

輝度測定器および輝度測定方法

【課題】どのような輝度特性を持つものであっても、一定時間後の予測輝度を正しく短時間に測定でき、しかも精度の高い予測輝度を得る。
【解決手段】基準特性線決定手段56は、基準となる蓄光板Bの検出輝度を、一定時間(20分)に至るまで経時的に複数取得して、経過時間と輝度との関係をあらわす基準特性線を決定する。こうして得られる基準特性線は、基準となる蓄光板Bにおける被測定表面の検出輝度を、一定時間にわたって正しく反映したものとなり、別な被測定表面の一定時間後における予測輝度を正確に算出できる。また、基準特性線の式は、基準となる蓄光板Bの被測定表面における検出輝度から近似的に得られたものなので、異なる種類の蓄光板Bであっても、一定時間にわたる基準特性線の式を正確に決定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば残光を発する蓄光物質などの被測定表面の輝度を測定する輝度測定器および輝度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄光物質を使用する避難誘導標識物が、災害などの非常時に確実に発光して機能しているのを確認するために、避難誘導標識物(蓄光板)の残光輝度を測定する輝度測定器が、例えば特許文献1で提案されている。この特許文献1では、測定時間の短縮を図るために、外光を遮断した状態で、蓄光板の被測定表面からの残光輝度データを経時的に複数回取得し、この残光輝度データから予め設定記憶されている残光減衰式の未知数を決定して、一定時間後における被測定表面の予測残光輝度を算出するようにしている。
【特許文献1】特開2006−250914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の輝度測定器は、特定の蓄光物質に関する時間の経過と共に減少する輝度の特性(残光輝度特性)に着目して、予めこの特定の蓄光物質を含有する蓄光板に従った残光減衰式が設定記憶されている。しかし、他の蓄光板では主たる材料が同じではあっても、製造時における不純物などの含有量が異なっていることが予想され、それにより同じ種類の蓄光板であっても残光輝度特性が異なるために、一定時間後における予測残光輝度を正しく測定できない。また、実際の蓄光板は、一つのフロアーに幾つも設置されていることが多く、各々の蓄光板について、それぞれの残光減衰式の未知数を短時間で決定し、その後の予測残光輝度を算出するのでは、正確な残光減衰式を得ることが難しく、予測残光輝度を精度よく算出することが難しいという懸念を生じる。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、どのような輝度特性を持つものであっても、一定時間後における予測輝度を正しく短時間に測定でき、しかも精度の高い予測輝度を得ることができる輝度測定器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における輝度測定器は、被測定表面への外光の到達を遮断する遮光手段を兼ねた測定距離保持手段と、前記被測定表面の輝度を検出する輝度検出手段と、基準となる前記被測定表面の検出輝度を、前記輝度検出手段から一定時間が経過するまで経時的に複数取得し、この複数の検出輝度に基づいて、経過時間と輝度との関係をあらわす近似的な基準特性線を決定する基準特性線測定手段と、別な前記被測定表面の検出輝度を、測定値として前記輝度検出手段から取得し、この測定値と前記基準特性線との関係から、前記測定値を取得した後の前記一定時間後における別な前記被測定表面の予測輝度を算出する予測輝度算出手段と、を備えて構成される。
【0006】
遮光手段は、表面の光反射を防ぐために、例えば黒色材料からなるシェードなどで構成される。これにより、被測定表面への外光の影響による測定値の変動が防止される。
【0007】
輝度検出手段は、遮光手段により被測定表面への外光の到達を遮断した状態で、この被測定表面の輝度を検出する。
【0008】
基準特性線測定手段は、基準となる被測定表面の検出輝度を、輝度検出手段から一定時間が経過するまで経時的に複数取得する。そして、この取得した複数の検出輝度に基づいて、経過時間と輝度との関係をあらわす近似的な基準特性線を決定する。
【0009】
予測輝度算出手段は、前述した基準となる被測定表面とは別な測定対象となる被測定表面の検出輝度を、ある時間における測定値として輝度検出手段から取得する。そして、この測定値と基準特性線との関係から、測定値を取得した後の一定時間後における別な被測定表面の予測輝度を算出する。
【0010】
上記予測輝度の算出に当たっては、予め測定された基準となる被測定表面の発光輝度と経過時間との関係が、対数グラフ上でプロットした場合に略直線関係と見做せることから、この関係を基準特性線として予め算出する。
【0011】
一方、基準となる蓄光板の発光輝度は十分な経過時間後には一定値(好ましくは0mカンデラ/m)に収束し、また同様に他の測定対象となる蓄光板の発光輝度も、十分な経過時間後には一定値(好ましくは0mカンデラ/m)に収束する。この性質に基づき、一定の経過時間後において一定の発光輝度となる点を設定し、この点に蓄光材料を用いた蓄光板の基準特性線が収束するものと考えて、これをバニシングポイントとして定義し、他の測定対象となる蓄光板の特性線(比例予測特性線)もこのバニシングポイントに収束すると考えて、短時間(例えば3分間)の測定に基づく測定値から、一定時間後(例えば20分後)の予測輝度を正しく算出することができるようになる。
【0012】
すなわち、主たる蓄光材料が同一である場合、製造ロット間でのばらつきは例えば不純物の含有などに依存すると考えられ、前記基準特性線と他の測定対象となる蓄光板の特性線との間には、一定の比例関係があると考えてよい。このことから、基準特性線が得られていれば、他の測定対象となる蓄光板の特性線は、初期の短時間(例えば3分間)の測定値から、基準特性線と一定の比例関係の下にあり、更に経過時間と共に可変する係数を掛け合わせることで、予め定義したバニシングポイントに収束するものと考えられる。
【0013】
このことによって、他の測定対象における蓄光板の或る経過時間tでの比例予測特性線の輝度I’(t)は、基準特性線においての経過時間tにおける輝度I(t)に、基準特性線と比例予測特性線との一定の比例関係である倍率kを乗じ、さらに経過時間tと共に可変する係数αを掛け合わせることで簡単に得ることができる。
【0014】
また、他の例として、基準特性線が得られていれば、他の測定対象となる蓄光板の特性線は、初期の短時間(例えば3分間)の測定値から、基準特性線と一定の比例関係の下で、予め定義したバニシングポイントに収束するものと考え、他の測定対象における蓄光板の或る経過時間tでの比例予測特性線の予測輝度Y’は、基準特性線においての経過時間tにおける輝度Yに、基準特性線と比例予測特性線との一定の比例関係である係数(t2/t1)を乗じることで簡単に得ることができる。
【0015】
また前記輝度検出手段で検出される検出輝度から、前記被測定表面の劣化を判定する劣化判定手段を備えてもよい。
【0016】
また上記構成の輝度測定器において、減衰しながら発光する被測定表面に対し、その発光光量を感知する前記輝度検出手段のセンサ面が前記被測定表面と略平行に設置され、前記センサ面は前記被測定表面の一部となる測定箇所の大きさを超えない大きさであって、且つ略円形形状のセンサ面の場合その直径、矩形形状のセンサ面の場合その対角線長、多角形状のセンサ面の場合その最長対角線長、楕円形等不定形のセンサ面の場合その形状内の最長内径長、を超えない距離に離間して輝度を検出する輝度測定方法を採用してもよい。
【0017】
同様に、上記構成の輝度測定器において、減衰しながら発光する被測定表面に対し、その発光光量を感知する前記輝度検出手段のセンサ面を前記被測定表面と略平行に設置し、前記センサ面は前記被測定表面の一部となる測定箇所の大きさを超えない大きさを有し、さらに前記被測定表面に対して、略円形形状のセンサ面の場合その直径、矩形形状のセンサ面の場合その対角線長、多角形状のセンサ面の場合その最長対角線長、楕円形等不定形のセンサ面の場合その形状内の最長内径長、を超えない距離に前記センサ面を離間する測定距離保持手段を備えたものであってもよい。
【0018】
本発明における輝度測定器は、前記予測輝度算出手段が前記予測輝度を算出する前に、予め前記基準特性線の準備の有無を確認する構成としている。
【0019】
本発明における輝度測定器は、人間の視覚に感度を有する波長の光のみを透過するフィルターを前記輝度検出手段に備えている。
【0020】
本発明における輝度測定器は、水平面にある前記被測定表面上に、自身の重量により平衡を保つ状態で載置して測定できるように構成している。
【発明の効果】
【0021】
本発明における輝度測定器では、基準となる被測定表面について、その検出輝度を測定開始後の短時間ではなく、最終的に予測輝度を求めようとする一定時間に至るまで経時的に複数取得して、経過時間と輝度との関係をあらわす基準特性線を決定している。そのため、こうして得られる基準特性線は、基準となる被測定表面の検出輝度を一定時間にわたって正しく反映したものとなり、この基準となる被測定表面と同一種類の別な被測定表面があれば、その別な被測定表面の一定時間後における予測輝度を、前記基準特性線を利用して正確に算出することができる。
【0022】
また、基準特性線の式は予め設定記憶されたものではなく、基準となる被測定表面の検出輝度から近似的に得られたものなので、異なる種類の蓄光物質についても、一定時間にわたる基準特性線の式を正確に決定することができる。しかも、基準特性線測定手段がこの基準特性線を一度決定すれば、他の同一種類における蓄光物質の予測輝度を、同じ基準特性線を利用して次々と算出することができ、結果的に一定時間後における予測輝度を正しく短時間に測定できる。
【0023】
本発明における輝度測定器では、別な被測定表面における一定時間後の予測輝度を算出するに当たり、単に基準特性線に比例して、別な被測定表面における経過時間と輝度との関係をあらわす比例予測特性線を決定するだけではなく、この比例予測特性線から得られた一定時間後における輝度の比例予測値に対して、補正用の係数を掛け合わせることで、より正確な予測輝度を算出することが可能になる。
【0024】
本発明では、高輝度蓄光式誘導標識等の蓄光板の減光特性が、当該蓄光板の構成材料が複合である等の要因により、励起条件に違いがあっても、それぞれの減光カーブが時間経過に伴い、「ある点」に収束する傾向が見受けられることに着目している。
【0025】
本発明では、実施例における自動記録モードで、基準となる蓄光板Bの各検出輝度から、基準特性線となる特性線L2を算出し、この特性線L2上で、輝度cが所定値になったときの時間xを求めて、バニシングポイントVP=(x,c)を算出する。次に、予測輝度算出手段が別な蓄光板Bの検出輝度から、バニシングポイントVPで収束する特性線L4を決定し、一定時間後に対応した特性線L2の輝度t1と特性線L4の輝度t2との比に、一定時間後における基準となる蓄光板Bの検出輝度を掛け合わせて、一定時間後における別な蓄光板Bの予測輝度を算出する。そして、この予測輝度を異なる一定時間でプロットした予測特性線L7は、特性線L2の一点であるバニシングポイントVPで収束すると見なして、測定値に基づく特性線L4と特性線L2との関係から取得される。
【0026】
したがって、実際の蓄光板Bの減光特性に即した予測輝度の算出が可能となり、その予測精度を格段に向上させることができる。
【0027】
本発明では、基準特性線決定手段や予測輝度算出手段が、輝度検出手段で検出される被測定表面の検出輝度を取得する際に、この検出輝度から被測定表面の劣化を判定することが可能である。具体的には、例えば一定時間である20分後における検出輝度が、所定値である100mカンデラ/m以上であれば、被測定表面は劣化していないと判断し、そうでない場合には劣化していると判断して、これを表示または報知する。こうすることで、単に予測輝度を算出するだけでなく、被測定表面の劣化状態を判定することが可能になる。
【0028】
本発明のごとく減衰、微弱化する発光光量を測定する場合、特に必要な測定目標は減衰した結果の微弱な発光光量の精度良い測定値にあり、本発明の場合において消防庁告示によって定められる微弱な発光光量、すなわちJIS8716に基づく常用光源蛍光ランプD65により照度200ルクスの光照射によって20分間照射された励起状態にある蓄光性誘導標識を、暗所に20分間放置された後における最低必要残光光量として要求される24mカンデラ/mを測定するために、特に高感度のセンサを具備した輝度測定器が求められている。しかしながらこの自発発光量の測定は、前述のように外光の影響を受けて測定値が変動してはならず、そのために測定器構成や測定方法は制限を受けるものとなる。例えば特開平7−294330号公報に示されるように、センサに外光を防ぐフードを設けることが考えられる。しかしながら、いかに工夫されたフードであっても、外光などからのノイズ光を全く遮蔽することは、フードの形状精度、材質や製造コスト、被測定表面との接触面での密着性の確保など、異なる測定時の諸条件によって変わるものであり、一定とはならない。すなわち測定器は様々な付加援助手段を利用することは出来るものの、それ自身でも、微弱な自発発光量を測定出来、外光などによって漏れ入るノイズ光には出来るだけ影響を受けないという構成、測定方法が要求されている。
【0029】
本発明の実施例に示したような非晶質珪素(アモルファスシリコン)系光センサやあるいはフォトダイオードなどを利用する場合、輝度検出手段を構成するセンサは、その微弱な発光を精度良く測定するために光に対する高い感度の性能が要求される一方、かかる高感度のセンサにあっても外光などによるノイズ光の影響は極小にとどめる構成、使用方法が必要となっている。その結果、本発明者らはかかる検討において、漏れ入る外光などのノイズ光が自発発光光源に対しての影響を極小に抑えるために、センサの大きさに対し測定発光表面までの距離を選ぶことによりそのノイズ光に対する発光光量検出値のS/N比を高く設定する出来ることを見出したものである。すなわち、(1)センサ面を被測定発光表面に略並行に配置し、(2)センサ面の大きさが被測定対象面(測定箇所)の大きさを超えない範囲で且つ、(3)センサ面の大きさ、たとえば略円形形状のセンサ面の場合その直径、矩形形状のセンサ面の場合その対角線長、多角形状のセンサ面の場合その最長対角線長、楕円形等不定形のセンサ面の場合そのセンサ形状内の最長内径長、を超えない測定距離を以って測定被表面とセンサ間距離を設定することにより、前記S/N比を充分に確保できるものとなる。
【0030】
すなわち、センサ面が大きければ、対象物からの測定光を高い測定値で得られる反面、外光などノイズ光の影響を受けやすいものとなる。逆にセンサ面が小さい場合には、ノイズ光の入光は弱くはなるが、被測定表面からの測定すべき発光量も小さく弱いものとなる。このノイズ光の影響を極小に抑えようとする場合、センサ面から見た被測定表面からの投影発光面積がセンサ面の前面の全周面積に対し少なくとも半分以上に設定されることで、センサに入光する被測定表面の発光が支配的となり望ましい結果を得る。このために最低限の条件として、被測定表面全体がセンサ面よりも大きく且つ略並行に設置されていること、発光被測定面からの距離を、前述した定義の範囲内に設定することが必要である。このことで、ノイズ光の影響を極小に抑えられるものとなる。このためにシェードなどを付属させることは有効である。また、測定器の測定センサ部分にセンサと被測定対象表面との適正な距離を保持させるような案内部材が設けられても良く、前述のシェードがこの案内部材を兼ねることも出来る。
【0031】
基準特性線を使用して、同一種類の別な被測定面の予測輝度を求めるに当たり、本発明においてはこの基準特定線が準備されているかを確認することが重要である。もし、基準特性線が準備されておらず、または測定器内から何らかの理由で消去されていたなど、多くの測定後にその事実を知った場合、再測定のリスクを生じる。測定者は最初の基準となる特性線取得のための測定からやり直さねばならないことになる。本発明ではこれを防ぐために、例えば後述する図9におけるステップS15のごとく、記憶手段46に記憶される基準データから、予め基準特性線の準備の有無を確認し、実測値の基準データが存在しなかったり、基準データに何らかの不備があって、基準特性線が準備されていないと認められた場合、エラー表示をするなどが行われる。
【0032】
本発明では特に消防庁告示による蓄光性物質からなる避難誘導標識物の残光輝度の測定を主要な目的としており、暗所における避難誘導のための発光体の輝度確保は極めて重要であることに鑑み、実際の避難経路に設置される誘導標識の発光はそれを利用する人間に知覚されることが何よりも重要である。発光体はその材料種類によって、発光のスペクトルが異なり、人間の視覚によって感知し得ない波長の発光材料もある。こういった避難誘導標識物は、輝度測定器が如何に規格最低の輝度光量があると測定したとしても、人間の視覚感度領域である可視領域、すなわち380nm〜680nmの波長領域の光量が不足していた場合、実際に使用する際には全く意味を成さないものとなってしまう。人間が知覚できる最低光量24mカンデラ/mが前記人間の視覚感度域にあることはなにより必要である。したがって本発明ではこの可視感度領域、すなわち380nm〜680nmの波長の光のみを透過するフィルターが、輝度検出手段のセンサ部に設けられている。
【0033】
さらに本発明の輝度測定器は、小型に構成することが可能ではあるものの、それでも一定の重量があることで、測定者がこの測定器を把持しつつ、一定時間のうちに同一箇所について複数回の測定を行ない、あるいは多数の測定面を移動測定することは、測定者の疲労等を喚起し測定器の把持が不安定となることが予想され、そのために測定結果の精度に影響を与えることになる。したがって本発明の輝度測定器においては、特に床面等水平面にある被測定表面に対し輝度測定器を載置するだけで、測定器の重量のみでバランスよく平衡が保てるように構成されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、添付図面に基づき、本発明における好ましい輝度測定器の一実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【0035】
先ず、輝度測定器の外観構成を図1〜図5に基づいて説明する。これらの各図において、1は測定器本体で、これはベース部材であるボードケース2と、カバー部材であるオペレートケース3とにより外郭を形成し、内部にはねじ4で固定された基板組立体5と、別なねじ6でボードケース2の先端側に固定されたウェイト7が配設される。測定器本体1の背面部をなすボードケース2は樹脂製で、その基端側には電源である複数個の乾電池(図示せず)を並設収容するための凹部8が形成される。また9は、凹部8の底面開口を塞ぐ着脱自在なバッテリーカバーである。有底状をなすボードケース2の正面側開口には、樹脂製のオペレートケース3がこの開口を覆うように取付け固定される。
【0036】
前記基板組立体5は、絶縁基材の表面に導電パターン(図示せず)を形成してなるプリント基板11と、プリント基板11の一側すなわち部品面に実装されるセグメント表示器12や押釦式のスイッチ13〜16と、プリント基板11の他側すなわち半田面に実装される例えばRS−232Cなどの外部通信用コネクタ17などを備えて構成される。これに対応して、オペレートケース3には、セグメント表示器12に臨んで透明なセグメントレンズ18が配設されると共に、測定器本体1の基端には、外部通信用コネクタ17の保護カバー19が着脱自在に設けられる。ここでのセグメント表示器12は、測定で得た輝度の数値などを表示する表示手段として設けられているが、この数値は例えば報知手段により音声で報知してもよく、要は検出輝度の表示や報知を行なえる出力手段が一体若しくは別体に設けられていればよい。また、各スイッチ13〜16は、後述する複数の測定モードの中から特定の測定モードを選択したり、前記外部通信用コネクタ17を経由して外部の例えばプリンタに印刷を指示したり、測定した輝度の数値の記録または読み出しを指示したりする操作手段として設けられ、これらは何れもオペレートケース3より露出して、測定器本体1の正面側に並設配置される。さらに、各スイッチ13〜16には、動作状態を表示するためのLEDからなるスイッチ表示器13A〜16Aがそれぞれ配設される。
【0037】
21は、前記基板組立体5の半田面から延設された受光部であり、この受光部21の周囲を覆うようにして、前記ボードケース2の背面側には筒状の保護部22が突出して形成される。受光部21は、図4や図5にも示してあるように、プリント基板11に接続可能なコネクタ付きのハーネス組立部25と、このハーネス組立部25の先端に半田付け接続されるセンサ部26と、センサ部26の裏面側に取付けられ、当該センサ部26の強度保持用に設けたセンサスペーサ27と、ねじ28を利用してセンサ部26やセンサスペーサ27を保護部22に取付け固定する板状のホルダー29と、により構成される。センサ部26は半導体の光起電力効果を利用しており、光量に応じて発生する電流をハーネス組立部25から基板組立体5に取り込んで電圧に変換し、これを信号処理することで、輝度を示す値を4桁のセグメント表示器12に表示するようになっている。
【0038】
また、前記センサ部26のセンサ面である受光面側には、特定の波長光、特に人間が視覚感度を有する380nm〜680nmの波長光のみ透過可能なフィルターが設けられ、必要に応じて他の用途を兼ねて複数枚、たとえば図3においては集光レンズを兼ねた2枚のフィルターレンズ31,32が示されている。これにより、人間の視覚によって感知し得る発光材料からの波長の光のみを、フィルターレンズ31,32により透過させてセンサ部26のセンサ面に当て、人間の視覚感度領域に対応した輝度測定が可能になる。また、このフィルターレンズ31,32間に介在する平面ロ字状のフィルタースペーサ33が、保護部22の突出端部に取付けられるフィルターケース34によって保持される。特に本実施例では、フィルターケース34が保護部22に着脱可能に取付けられるので、フィルターであるフィルターレンズ31,32を交換することができ、色による輝度への影響を除去できる。また、別な特性のフィルターを装着することで、避難誘導標識物以外の用途の特定波長(色)に限定した輝度測定が可能になる。
【0039】
35は、前記保護部22の外周に取付けられる遮光手段としてのシェードである。このシェード35は、保護部22およびフィルタースペーサ33を取り囲むようにフード状に形成され、フィルターケース34と共に表面の光反射を防ぐために黒色材料が使用される。また好ましくは、シェード35を測定器本体1から着脱できるようにすることで、外光環境に合わせた測定方法の選択が可能になる。このように、本実施例ではシェード35を測定器本体1に装着するだけで、正確な輝度測定に必要な測定環境(暗所)を簡単に形成することができる。逆に、シェード35を外せば、暗所以外の明るい場所でも使用が可能である。
【0040】
前記センサ部26は、後述する蓄光板Bからの微妙な光を捕捉するために、非晶質珪素(アモルファスシリコン)系光センサを利用しているが、センサ部26としてフォトダイオードを代替に利用してもよい。また、アモルファスシリコン系光センサの基板を、ステンレス若しくはフィルムに変えることにより、平面状の被対象物だけでなく、円筒状の被対象物からの輝度測定も可能になる。さらには、センサ部26として小型のアモルファスシリコン系セルを並べて設置することで、輝度ムラの測定にも利用できる。
【0041】
センサ部26は、減衰しながら発光する平板状の蓄光板Bに対し、その発光光量を感知するセンサ面が、当該蓄光板Bと対向して配置される。また、このセンサ部26のセンサ面が、蓄光板Bの表面と略並行に設置されるように、蓄光板Bに当接するシェード35が形成される。センサ部26のセンサ面は、蓄光板Bの一部となる測定箇所の大きさを超えないような大きさを有する。なお、センサ部26のセンサ面は、実施例で示すような矩形形状以外に、略円形形状,多角形状,楕円形等の不定形状であってもよい。
【0042】
シェード35は、センサ部26のセンサ面と蓄光板Bの表面との測定距離を一定に保持する測定距離保持手段としての機能を果たしている。好ましくは、蓄光板Bの表面に対して、略円形形状のセンサ面である場合にはそのセンサ面の直径、矩形形状のセンサ面である場合そのセンサ面の対角線長、多角形状のセンサ面である場合にはそのセンサ面の最長対角線長、不定形状のセンサ面である場合にはそのセンサ面における形状内の最長内径長、を超えない適正な距離に前記センサ部26のセンサ面を離間するように、シェード35が形成される。またこれにより、蓄光板Bの表面に対してセンサ部26のセンサ面を適正な距離に離間して輝度を検出する方法が確立される。
【0043】
図6は、輝度測定時における使用状態を示す図である。同図において、38は測定器本体1の側部に設けられた電源スイッチで、前記凹部8に乾電池を収容した状態で、この電源スイッチ38をオン側にスライドさせると、基板組立体5の各部に所定の動作電圧(例えばDC+5V)が供給されるようになっている。なお、本実施例では現場での携帯に優位性を持たせるために、商用のAC100Vではなく、凹部8に収容される乾電池を電源として用いている。また、測定器本体1は持ち運びの際に極力負担とならないように、手で持てる程度の大きさに形成される。
【0044】
Bは、被対象物として例えば各フロアーに数箇所設置された平板状の蓄光式避難誘導標識(蓄光板)である。この蓄光板Bは周知のように、太陽光や蛍光灯などの光を吸収蓄積して、暗所でこれを徐々に放出,発光する性質を持った蓄光材料を含有してなり、緑色の発光色を有する。よって前記フィルターレンズ31,32は、この特定色(緑)の波長光だけを透過するものを選定すればよい。これにより受光部21を含む測定器本体1は、特定の緑色光だけの輝度を正しく測定することができる。また測定に際しては、図6に示すように、シェード35の開口面を蓄光板Bの表面に密着させる。残光を発する蓄光板Bの表面とシェード35との間を隙間なく密着させることで、蓄光板Bの表面に外光が到達するのを防ぐと共に、蓄光板Bの表面からセンサ部26の受光面に至る測定距離を前述した適正な測定距離として一定にすることができ、外光などのノイズ光に対する蓄光板Bからの発光光量検出値の比であるS/N比を充分に確保して、ノイズ光の影響を効果的に抑制できる。
【0045】
また、シェード35を装着した状態の輝度測定器は、水平面にある蓄光板Bの表面上に、輝度測定器自身の重量により平衡を保つ状態で載置できるように構成される。床面等水平面にある蓄光板Bの表面に対し輝度測定器を載置するだけで、輝度測定器が倒れることなく、輝度測定器の重量のみでバランスよく平衡が保たれ、蓄光板Bの表面とシェード35との間を隙間なく密着させ続けることができる。これらのことで、測定器本体1に触れることなく測定が可能になる。
【0046】
図7は、電気的構成を示すブロック図である。同図において、41は前記基板組立体5にCPUとして組み込まれた制御手段である。この制御手段41の入力ポートには、前述した測定モードや機能選択用の各スイッチ13〜16や、センサ部26からの出力電流を電圧に変換して増幅する増幅回路42および温度センサたるサーミスタ43からの各アナログ検出信号を、ディジタル検出信号に変換するA/D変換器44が接続されると共に、制御手段41の出力ポートには、セグメント表示器12と、スイッチ13〜16に対応して設けたLEDからなるスイッチ表示器13A〜16Aが接続される。さらに外部通信用コネクタ17は、制御手段41の入力ポートと出力ポートの両方に接続され、制御手段41と例えばプリンタなどの外部機器との間で、双方向通信が行なえるようになっている。
【0047】
制御手段41は、動作タイミングなどを決定するための計時手段45と、各種データの書き込みおよび読み出しが可能な記憶手段46を備えると共に、ソフトウェア上の機能的な構成として、通常モード制御手段51と、自動記録モード制御手段52と、予測モード制御手段53のいずれか一つを選択的に実行する輝度測定制御手段55を備えている。ここで通常モード制御手段51は、デフォルトで設定されたサンプリング時間毎に、センサ部26から検出輝度を取得することで、リニアに輝度を測定する通常モードを実行するものである。自動記録モード制御手段52は、一定のサンプリング時間を選択し設定することで、このサンプリング時間毎にセンサ部26から検出輝度を取得して継続的に輝度の測定を行ない、これを複数の実測値として記憶手段46に記憶保持する通常モードを実行するものである。さらに予測モード制御手段53は、前記自動記録モード制御手段52により、予め測定すべき被対象物(または基準物)の一つを、一定時間(例えば20分または60分)が経過するまで経時的にサンプル測定した複数の実測値から、この一定時間に至るまでの経過時間と輝度との関係をあらわす基準特性線を決定する基準特性線決定手段56と、別な被対象物における検出輝度を、測定値としてセンサ部26から取得し、この測定値と前記基準特性線決定手段56で決定した基準特性線との関係から、前記測定値を取得した後の前記一定時間後における別な被対象物における予測輝度を算出する予測輝度算出手段57と、により予測モードを実行するものである。その他、ここでの輝度測定制御手段55は、センサ部26を暗闇センサとして使用するために、このセンサ部26からの検出出力により、設定値を下回る環境変化があったときには、その旨をセグメント表示器12に表示させる暗さ判定手段や、センサ部26で検出される一乃至複数の検出輝度から、被測定表面の劣化を判定する劣化判定手段としての機能をも備えている。
【0048】
次に、図8〜図10のフローチャートに従って、上記構成における輝度測定器の動作について説明する。
【0049】
測定器本体1の凹部8に乾電池を正しく挿入収容した状態で、図8のステップS1のように、電源スイッチ38をオン側にスライドすると、輝度測定制御手段55によって通常モード制御手段51による通常モードが自動的に選択実行される(ステップS2)。通常モード制御手段51は、計時手段45のタイマカウンタを利用して、予め記憶手段46に記憶設定されたサンプリング時間(例えば1秒)毎に、センサ部26の受光面に到達する光の検出輝度を取得し、これを測定値としてセグメント表示部12に表示する。ここで、ステップS3において記録/読出用のスイッチ16を押動操作すると、その瞬間の検出輝度値をポイント記録としてセグメント表示部12に表示すると共に、記憶手段46に記憶する(ステップS4)。その後、記憶手段46に記憶された以前の検出輝度値をクリアする場合には、記録/読出用のスイッチ16を押し、以前の検出輝度値をクリアせずに保持する場合には、測定/保留用のスイッチ13を押せば、自動的にステップS2の通常モードに戻る。こうして、記憶手段46の容量が許す限り、通常モードで記録/読出用のスイッチ16を押せば、その度に瞬間の検出輝度値が記憶手段46にポイント記録として記憶されることになる。
【0050】
一方、ステップS5に示すように、通常モードで自動記録/印刷用のスイッチ15を押動操作すると、ステップS6の手順に移行して、輝度測定制御手段55は自動記録モード制御手段52による自動記録モードを選択実行する。自動記録モードでは、センサ部26から取得した検出輝度が、記憶手段46に実測値として一定のサンプリング時間毎に自動的に記録される。また、このときのサンプリング時間は、ステップS5の自動記録/印刷用のスイッチ15を押した直後において1分に設定されており、その旨がセグメント表示器12に例えば「1」と表示されるが、設定時間である1分以内に自動記録/印刷用のスイッチ15を再度押すと2分に変更され、セグメント表示器12も「2」と表示される。以降同様の操作を行なうことにより、例えば3分,4分,5分,6分,8分,10分にサンプリング時間を設定変更することができる。そして、内蔵する計時手段45のタイマカウンタが、設定したサンプリング時間に達したら、自動記録モード制御手段52は記憶手段46に検出輝度の実測値を記憶保存し、タイマカウンタをクリアする動作を繰り返し行なうことで、定間隔での実測値の自動記録が可能になる。その後、ステップS7で測定/保留用のスイッチ13を押すと、自動記録モードは中止して、前記通常モード制御手段51による通常モードに戻る。なお、自動記録モード中は、設定したサンプリング時間毎に、その瞬間の実測値がセグメント表示器12に表示される。
【0051】
また、図9のステップS8に示すように、通常モードで予測/結果用のスイッチ14を押動操作すると、ステップS9の手順に移行して、輝度測定制御手段55は予め前回予測測定した値(予測輝度)が記憶手段46に記憶されているか否かを判断する。ここで、前回の予測輝度が記憶手段46に記憶されていれば、その旨をセグメント表示器12に表示し、ステップS10で記録/読出用のスイッチ16を押せば、この予測輝度が記憶手段46から消去され(ステップS11)、前記ステップS9で前回の予測輝度が記憶手段46に記憶されていない場合と同様に、後述するステップS14の手順に進む。一方、前記ステップS10で記録/読出用のスイッチ16を押さず、ステップS12で別な測定/保留用のスイッチ13を押すと、続くステップS13で前回の予測輝度が記憶手段46にそのまま保持され、前記ステップS2の通常モードに移行する。
【0052】
記憶手段46に前回の予測輝度が存在しなければ、予測モード制御手段53は次に、前記自動記録モードで取得した基準データとなる実測値に不備があるか否かを、ステップS14で判断する。ここで、例えば基準データが記憶手段46に記憶されていなかったり、予測値を算出するのに必要な一定時間(例えば20分)に達していなかったり、基準データの測定間隔(サンプリング時間)が所定の例えば2分以上であったり、基準データが3分後まで測定範囲を超えていたりして、基準データに予測輝度を算出できない不備があると判断したら、ステップS15でセグメント表示器12にエラーを表示して、自動記録モードによる再測定を促す。逆に、前記自動記録モードで取得した測定値の基準データに不備がなければ、予測モード制御手段53による予測モードを実行する(ステップS16)。
【0053】
予測モードでは、予測輝度算出手段57により、前記自動記録モードで一連の実測値を記録したよりも短い時間(例えば3分)で、センサ部26から検出輝度を取得する。また、予測モード中は、その経過時間がセグメント表示器12に表示される。そして、予測輝度算出手段57はステップS17において、所定の3分以上が経過したときに、測定開始から3分後測定範囲を超えていれば、予測輝度の算出ができない旨のエラー表示をセグメント表示器12に行なう(ステップS18)。
【0054】
一方、測定開始から3分後までの測定値が測定範囲内にあれば、予測モード制御手段53はステップS19において、前記自動記録モードで取得した基準データとなる実測値から、経過時間と輝度との関係をあらわす基準特性線を決定し、この基準特性線と予測モードで得た3分間の測定値との関係から、予測モードの測定時間よりも長い時間の例えば20分後における予測輝度を算出する。そして、ここで算出した最新の予測輝度は、記憶手段46に記憶される。
【0055】
図10は、前記検出輝度や予測輝度を表示または印刷する手順を示したものである。同図において、電源投入直後の通常モードで、ステップS21の測定/保留用のスイッチ13を押動操作すると、全てのスイッチ表示器13A〜16Aが消えて、現在の測定数値を表示したままの保留モードに移行する(ステップS22)。このステップS22の保留モードで記録/読出用のスイッチ16を押動操作すると、ステップS23の手順に移行して、ポイント記録で測定された最新の検出輝度値が記憶手段46から読み出されてセグメント表示器12に表示される。ここで、ステップS24において、自動記録/印刷用のスイッチ15を押さなければ、以後は記録/読出用のスイッチ16を押す毎に、ポイント記録で測定された検出輝度値が順に記憶手段46から読み出されてセグメント表示器12に表示される(ステップS25)。一方、前記ステップS24において、自動記録/印刷用のスイッチ15を押動操作すると、今度は記憶手段46に記憶された自動記録モードにおける最新の実測値がセグメント表示器12に表示され、以後は記録/読出用のスイッチ16を押す毎に、この実測値が順に記憶手段46から読み出されてセグメント表示器12に表示される(ステップS26)。
【0056】
また、ステップS22の保留モードで、自動記録/印刷用のスイッチ15を押動操作すると(ステップS27)、次のステップS28で、前記ポイント記録で測定された検出輝度値や自動記録モードにおける各実測値が、外部通信用コネクタ17に接続したプリンタから印刷出力される。
【0057】
さらに、ステップS22の保留モードで、予測/結果用のスイッチ14を押動操作すると(ステップS29)、次のステップS30で、予測モードで得た予測輝度が記憶手段46から読み出されてセグメント表示器12に表示される。また、予測/結果用のスイッチ14を押した後に、自動記録/印刷用のスイッチ15を押動操作すると(ステップS31)、ステップS32に移行して、外部通信用コネクタ17に接続したプリンタから予測輝度が印刷出力される。なお、保留モードは、ステップS33で測定/保留用のスイッチ13を再度押動操作すれば、ステップS2の通常モードに戻るようになっている。
【0058】
このように、本実施例の輝度測定器は、外部通信用コネクタ17に対応するプリンタを直接接続するだけで、その場での印刷確認が可能である。さらに、各測定モードにおける測定データが測定器本体1のメモリである記憶手段46に蓄積されるので、プリンタの代わりにパーソナルコンピュータ(図示せず)を外部通信用コネクタ17に接続すれば、こうした測定データをパーソナルコンピュータに排出することもできる。そのため、パーソナルコンピュータ側で印字若しくは測定データを加工し、グラフ化することもできる。
【0059】
次に、上記輝度測定器を用いて、蓄光塗料を表面に塗布することにより避難表示がなされた蓄光板(蓄光式避難誘導標識)Bの残光輝度を測定する方法について説明する。先ず、電源スイッチ38をオンにし、前記図6に示すように、測定に際して簡易暗室状態を形成するために、遮光用のシェード35を測定器本体1の保護部22に装着する。このとき、シェード35の上面がボードケース2に突き当たる位置にまでシェード35を挿入すると、被対象物との検出距離が一定となり、正確な測定結果を得ることができる。続いて、予め照明灯などで蓄光された複数の同一種類の蓄光板Bから、基準となる一つの蓄光板Bを選択し、この蓄光板Bの被測定表面上にシェード35の開口面外周が収まるように位置合わせを行なう。
【0060】
蓄光板Bは周知のように、建物内の床面や壁面などに複数個設置されるが、どの位置にある蓄光板Bであっても、シェード35の開口部との間から外光が侵入しないように密着させる。なお、必要に応じて、蓄光板Bとシェード35との密着性を高める冶具(図示せず)を用いてもよい。特に蓄光板Bが床面にあれば、この蓄光板B上にシェード35を含む輝度測定器を載置するだけで、安定したバランスで測定器本体1に触れることなく測定が可能となる。
【0061】
また、電源スイッチ38をオンにすると、制御手段41はサーミスタ43からの温度検出信号を取得し、測定器本体1周辺の温度が5℃以下または40℃以上になると、セグメント表示部12に測定温度範囲外である旨の表示がなされる。この場合、測定温度範囲の設定を5℃以下または40℃以上以外に可変できるようにしてもよいし、検出した温度をセグメント表示部12に直接表示してもよい。
【0062】
こうして、基準となる蓄光板Bにシェード35を密着させた後、前記自動記録モード制御手段52による自動記録モードを選択して、簡易暗室状態にある蓄光板Bの被測定表面における1分毎の検出輝度を、測定開始後一定時間である20分が経過するまで記憶手段46に順に記憶保存する。蓄光板Bは予め一定量の光を蓄えて発光しているため、時間が経過するに従って蓄えた光量も減少し、輝度も失われて行く。そのためここでは、蓄光板Bの残光輝度が、記憶手段46に基準データとしての実測値として記憶保存されることになる。
【0063】
因みに消防法では、200Lxの光源を20分照射し、照射を止めてから20分後における輝度値が24mcd/m以上であることが、蓄光板Bに必要な基準として定められている。そのため、予測モードを用いない場合には、例えば同一フロアーに設置された各々の蓄光板Bについて、簡易暗室状態を20分間保持しなければならず、膨大な測定時間を要することになる。
【0064】
一方、本実施例の輝度測定器では上述したように、基準となる蓄光板Bについて、一定時間(20分)が経過するまでの検出残光輝度を、予め自動記録モード制御手段52で経時的に複数取得してあれば、後は予測モード制御手段53を用いて、同一種類の別な蓄光板Bの一定時間後における予測残光輝度を、短時間(3分)の測定で次々と算出することができる。
【0065】
具体的には、上述したように、基準となる蓄光板Bの測定が完了した後、別な蓄光板Bにシェード35を密着させ、その状態を3分間保ったまま、予測モード制御手段53による予測モードの測定を行なう。予測モード制御手段53は、予測輝度算出手段57によって蓄光板Bからの3分間の検出残光輝度をセンサ部26から取得する一方で、基準特性線決定手段56によって、記憶手段46から前記基準データとしての実測値を読み出して、この実測値について経過時間と残光輝度との関係を近似的にあらわす基準特性曲線を決定する。
【0066】
一例として、経過時間tにおいて、基準となる蓄光板Bの残光輝度をI(t)とすると、記憶手段46にn個の基準データの実測値が記憶されていれば、基準特性線決定手段56は、経過時間tと基準となる蓄光板Bの残光輝度I(t)との関係について、次の数1に示す多項式近似の基準特性曲線を決定し、この基準特性曲線の各未知数p〜pを算出することができる。
【0067】
【数1】

【0068】
次に予測輝度算出手段57は、上記数1で得た基準特性曲線から、t=3分後における残光輝度の値を算出し、この値が別な蓄光板Bの検出残光輝度の何倍に相当するのかを計算して(このときの倍率をkとする)、別な蓄光板Bの被測定表面における経過時間tと残光輝度I’(t)との関係をあらわす比例予測特性曲線を、次の数2のように決定する。
【0069】
【数2】

【0070】
そして予測輝度算出手段57は、別な蓄光板Bに関して、消防法で定めた20分後の予測残光輝度を、上記数2の比例予測特性曲線から算出する。
【0071】
なお、上記一連の手順で、基準特性線決定手段56や予測輝度算出手段57がセンサ部26で検出される蓄光板Bの検出輝度を取得する際に、この検出輝度から蓄光板Bの劣化を、劣化判定手段により判定することが可能である。劣化判定手段は、自動記録モードにおいて、例えば20分後における検出輝度が所定値である100mカンデラ以上であるか否かを判定する。そして、20分後における検出輝度100mカンデラ以上ならば、蓄光板Bは劣化していないと判断し、そうでない場合には劣化していると判断して、その結果を表示または報知する。こうすることで、単に予測輝度を算出するだけでなく、蓄光板Bの劣化状態を判定することが可能になる。
【0072】
図11は、経過時間と残光輝度との特性を示すグラフを示している。同図において、Aは基準となる蓄光板Bに3700lxの照射を行なったときの基準特性曲線を示している。またBは、別な同一種類の蓄光板Bに500lxの照射を行ない、その3分後の検出残光輝度から算出した比例予測特性曲線を示している。同図に示すように、他の蓄光板Bに関する比例予測特性曲線は、基準となる蓄光板Bに関する基準特性曲線に比例しており、20分後における予測輝度の基本的な数値は、基準特性曲線で得られる残光輝度の値I(t)の比例値である倍率kで求められる。しかし、実際には別な蓄光板Bの検出残光輝度は、符号Dに示すように基準特性曲線と平行にではなく、時間が経過するに従って基準特性曲線に近づいて一点に収束(バニシングポイント)し、残光輝度が減衰してゆく。このような現象に精度よく追従するために、本実施例の予測輝度算出手段57は、比例予測特性曲線が基準特性曲線に次第に近づくように、経過時間tと共に可変する係数αを、当該比例予測特性曲線で得られる経過時間t後の比例予測値I’(t)に掛け合わせ、これを最終的な予測輝度として算出している。この係数αは、予測モードで測定した別な蓄光板Bの3分後における検出残光輝度と、経過時間tとにより決定されるのもで、例えば別な蓄光板Bの3分後における検出残光輝度が、基準特性曲線により得られる同じ3分後の輝度よりも低い場合、経過時間が10分の予測輝度は、比例予測値に1.05倍の係数αを掛け合わせた値となり、経過時間が15分の予測輝度は、比例予測値に1.08倍を掛け合わせたものとなる。
【0073】
つまり、別な蓄光板Bのある時間における検出残光輝度が、基準特性曲線により得られる同じ時間の輝度よりも低い場合は、その差が大きいほど時間tの経過と共に係数αの値を1倍よりも次第に大きくなるように設定する。逆に、別な蓄光板Bのある時間における検出残光輝度が、基準特性曲線により得られる同じ時間の輝度よりも高い場合は、その差が大きいほど時間tの経過と共に係数αの値を1倍よりも次第に小さく設定すればよい。
【0074】
このようにして補正された比例予測特性曲線を示したものが、図11の符号Cであり、これは実際の別な蓄光板Bの検出残光輝度を示す符号Dの曲線にほぼ一致している。本実施例における輝度測定器では、こうした誤差補正のための係数αが導入されているため、予測輝度の誤差を±2%程度に抑えることができる。
【0075】
こうして得られた最終的な予測残光輝度の値は、セグメント表示器12や外部通信用コネクタ17に出力することができ、予測測定した他の蓄光板Bに対して、消防法で定められた残光輝度値の基準を満足しているか否かを判断することができる。また、基準となる蓄光板Bと同一種類の蓄光板Bであれば、予測モードにより3分間の測定で20分後における予測残光輝度を算出することができ、他の蓄光板Bを測定する毎に、基準特性曲線を再決定する必要がない。さらに、この基準特性曲線の式(数1)は予め知られたものではなく、自動記録モードで基準となる蓄光板Bの検出輝度から近似的に得られるものなので、残光輝度特性の異なる任意の蓄光板に対しても、それに見合う基準特性曲線を決定することができ、一定時間後における予測残光輝度を正しく測定できる。しかも、蓄光条件を満たしていない環境に設置されている蓄光板Bであっても、その蓄光板Bの減光特性を予測して合否判断を行なうことができる。
【0076】
ところで、一般的な減光特性は、本来励起条件に違いがあっても、それぞれの減光カーブが時間と輝度による両対数グラフ上で相対的に平行となり、それらは交わることなく時間の経過と共に輝度が減少する。ところが、本実施例で測定対象となる高輝度蓄光式誘導標識等の蓄光板Bの減光特性は、当該蓄光板Bの構成材料が複合である等の要因により、それぞれの減光カーブが相対的に平行(比例)で無く、時間経過に伴い「ある点」に収束する傾向が見受けられることが、本願出願人の鋭意研究により判明した。その収束ポイントを推測すべく、試験と考察を繰り返したところ、輝度測定の原器により得られた基準値と、本実施例における輝度測定器の測定データが精度良く収束するポイントcを取得した。また、ポイントcの値を変化させ、データ補正を繰り返した結果、基準比較値を最も近似できる値が判明し、誤差精度を抑えることが可能となった。
【0077】
以下、上述した試験と考察結果を反映した蓄光板Bの予測輝度算出方法の一例を、図12〜図19のグラフを参照しながら詳しく説明する。なお、これらの各図の両対数グラフにおいて、横軸は時間、縦軸は輝度を示している。
【0078】
前記ステップS6の手順で、輝度判定制御手段55が自動記録モード制御手段52による自動記録モードを選択実行すると、自動記録モード制御手段52は所定時間(例えば60分以上)に渡り、センサ部26から異なる時間における検出輝度を実測値としてそれぞれ取得する。このときの各実測値をグラフ上でつなぎ合わせたものが、図12に示す特性線L1である。次に自動記録モード制御手段52は、時間と実測値との関係を示す特性線L1において、測定を開始してから20分後と60分後の輝度値P1,P2を算出し、求めた各輝度値P1,P2をグラフ上でつなぎ合わせる(図12に示す直線状の特性線L2を参照)。なお、何分後の輝度値P1,P2を算出するのかは特に限定せず、例えば最終的に予測輝度を求める際の時間以降であればよい。
【0079】
上述したように、自動記録モード制御手段52は、前記特性線L2において、縦軸である輝度cが所定値すなわち1のときの時間xを求める。このときの輝度cと時間xの交点が、前述したバニシング(収束)ポイントとなる。図12では、この特性線L2上にプロットされたバニシングポイントVP=(x,c)が示されている。
【0080】
次に、予測モード制御手段53による予測モードが実行されると、当該予測モードにて、自動記録モードで一連の実測値を測定したよりも短い時間(例えば3分)で、センサ部26から異なる時間における検出輝度を測定値としてそれぞれ取得し、予測のための測定を行なう。このときの各測定値をグラフ上でつなぎ合わせたものが、図13に示す特性線L3である。予測モード制御手段53は、続いて前記自動記録モード制御手段52が算出したバニシングポイントVPと、特性線L3から求められる所定時間(3分)後の輝度値P3とをグラフ上で直線にてつなぎ合わせる(図13に示す特性線L4を参照)。また、前記特性線L1から所定時間(3分)後の輝度値P4を算出し、この輝度値P4とバニシングポイントVPとをグラフ上で直線にてつなぎ合わせる(図13に示す特性線L5を参照)。
【0081】
ここで予測モード制御手段53は、予測モードの測定時間よりも長い時間である20分後の予測輝度を算出する。これは図14のグラフにおいて、t=20分後の時間で縦軸に沿って延びる直線を考え、この直線と特性線L2との交点(輝度)t1と、特性線L4との交点(輝度)t2を求めると共に、特性線L2に沿ったt=20分後における輝度値Y20を、当該特性線L2における時間と輝度の関係から算出する。これらの算出結果から、予測モード制御手段53は、当該予測モードで測定した3分間の測定値から、t=20分後における予測輝度Y’20を、Y’20=(t2/t1)×Y20の式で算出する。
【0082】
なお、別な時間の予測輝度も、予測モード制御手段53は同様の手法で算出することができる。例えばt=10分後における予測輝度Y’10を求める場合、t=10分後の時間で縦軸に沿って延びる直線を考え、この直線と特性線L2との交点(輝度)t1と、特性線L4との交点(輝度)t2を求めると共に、特性線L2に沿ったt=10分後における輝度値Y10を算出する。そして、Y’10=(t2/t1)×Y10の式を用いて、t=10分後における予測輝度Y’10を算出することができる。
【0083】
図15は、上記の予測輝度の算出を経過時間毎に行ない、グラフ上でつなぎ合わせた予測特性線L7が示されている。この予測特性線L7は、最終的にはバニシングポイントVPに収束するもので、予測モード制御手段53による予測結果を示している。
【0084】
ところで、上記予測輝度の算出において、特性線L1や予測特性線L7による減光カーブが収束する点をバニシングポイントVPとし、そこでの輝度「c」の値を定義している。この輝度「c」は、予測輝度の算出に影響を及ぼすもので、図16に示すように、縦軸に輝度「c」の値を取り、横軸に時間「x」を取ったときに、輝度「c」の値から時間「x」の方向に引いた直線との交点がバニシングポイントVPとなる。ここで、輝度「c」の値を変化させることで、収束時間「x」にも変化が現れ、またバニシングポイントVPがずれることにより、予測輝度を変動させることができる。
【0085】
図17は、輝度「c」の値が1のときのバニシングポイントVPと、各特性線L1,L2,L4,L5,L7であり、図18は、輝度「c」の値が50のときの同様のバニシングポイントVP’と、各特性線L1’,L2’,L4’,L5’,L7’である。図19は、図17と図18のグラフを重ね合わせたものである。
【0086】
これらの図から明らかなように、輝度「c」=1として得られた予測特性線L7と、輝度「c」=50として得られた予測特性線L7’は一致せず、ずれていることが分かる。したがって、スイッチ13〜16からの入力により、バニシングポイントVPの輝度「c」の値を可変設定できるように予測モード制御手段55を構成すれば、各種条件下(例えば、照度の違い,温度の違い,材質の違い)において、最も精度の出る最適な輝度「c」の値で、予想特性線L7を算出することが可能になる。
【0087】
以上のように本実施例では、蓄光板Bの被測定表面への外光の到達を遮断する遮光手段としてのシェード35と、蓄光板Bの被測定表面の輝度を検出する輝度検出手段としてのセンサ部26と、基準となる蓄光板Bの被測定表面の検出輝度を、センサ部26から少なくとも一定時間である20分が経過するまで経時的に複数取得し、この複数の検出輝度に基づいて、経過時間と輝度との関係をあらわす近似的な基準特性線を決定する基準特性線測定手段としての自動記録モード制御手段52および基準特性線決定手段56と、別な蓄光板Bにおける一定時間よりも短い例えば3分後の被測定表面の検出輝度を、測定値としてセンサ部26から取得し、この測定値と前記基準特性線との関係から、測定値を取得した後の20分後における別な蓄光板Bの予測輝度を算出する予測輝度算出手段57と、を備えている。
【0088】
この場合、基準となる蓄光板Bの被測定表面について、その検出輝度を測定開始後の短時間ではなく、最終的に予測輝度を求めようとする一定時間(20分)に至るまで経時的に複数取得して、経過時間と輝度との関係をあらわす基準特性線を決定している。そのため、こうして得られる基準特性線は、基準となる蓄光板Bにおける被測定表面の検出輝度を、一定時間にわたって正しく反映したものとなり、この基準となる被測定表面と同一種類の別な被測定表面があれば、その別な被測定表面の一定時間後における予測輝度を、当該基準特性線を利用して正確に算出することができる。
【0089】
また、基準特性線の式は予め記憶手段46に設定記憶されたものではなく、基準となる蓄光板Bの被測定表面における検出輝度から近似的に得られたものなので、異なる種類の蓄光板Bであっても、一定時間にわたる基準特性線の式を正確に決定することができる。しかも、基準特性線決定手段56がこの基準特性線を一度決定すれば、他の同一種類における蓄光物質の予測輝度を、同じ基準特性線を利用して次々と算出することができ、結果的に一定時間後における予測輝度を正しく短時間に測定できる。
【0090】
また、本実施例における予測輝度算出手段57は、測定値と基準特性線との関係から、この基準特性線に比例して、別な蓄光板Bの被測定表面における経過時間と輝度との関係をあらわす比例予測特性線を決定して、この比例予測特性線から一定時間後における輝度の比例予測値を算出し、前記測定値と前記一定時間とにより定められる係数を比例予想値に掛け合わせて、これを最終的な予測輝度として算出するように構成している。
【0091】
このように、別な蓄光板Bの被測定表面における一定時間後の予測輝度を算出するに当たり、単に基準特性線に比例して、別な蓄光板Bの被測定表面における経過時間と輝度との関係をあらわす比例予測特性線を決定するだけではなく、この比例予想特性線から得られた一定時間後における輝度の比例予測値に対して、補正用の係数を掛け合わせることで、より正確な予測輝度を算出することが可能になる。
【0092】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲において種々の変形実施が可能である。本実施例の輝度測定器は、蓄光板Bの減光輝度の測定用にカスタマイズされているが、一般的な光源の光量測定器としても使用が可能であり、また他の特性を有する輝度の予測測定にも応用が可能である。また、上述した時間や輝度の各数値はあくまでも一例で、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の一実施例を示す輝度測定器の斜視図である。
【図2】同上、平面図である。
【図3】同上、図2のA−A線断面図である。
【図4】同上、受光部の斜視図である。
【図5】同上、要部の分解斜視図である。
【図6】同上、輝度測定時における使用状態を示す斜視図である。
【図7】同上、電気的構成を示すブロック図である。
【図8】同上、動作手順を示すフローチャートである。
【図9】同上、動作手順を示すフローチャートである。
【図10】同上、動作手順を示すフローチャートである。
【図11】同上、経過時間と残光輝度との特性を示すグラフである。
【図12】同上、予測輝度を算出するに当たり、時間と輝度の特性を示すグラフである。
【図13】同上、予測輝度を算出するに当たり、時間と輝度の特性を示すグラフである。
【図14】同上、予測輝度を算出するに当たり、時間と輝度の特性を示すグラフである。
【図15】同上、予測輝度を算出するに当たり、時間と輝度の特性を示すグラフである。
【図16】同上、バニシングポイントを説明するグラフである。
【図17】同上、輝度「c」の値が1のときのバニシングポイントと、各特性線を示すグラフである。
【図18】同上、輝度「c」の値が50のときのバニシングポイントと、各特性線を示すグラフである。
【図19】同上、図17と図18を重ね合わせたグラフである。
【符号の説明】
【0094】
26 センサ部(輝度検出手段)
35 シェード(遮光手段,測定距離保持手段)
52 自動記録モード制御手段(基準特性線測定手段)
31,32 フィルターレンズ(フィルター)
55 輝度測定制御手段(劣化判定手段)
56 基準特性線決定手段(基準特性線測定手段)
57 予測輝度算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定表面への外光の到達を遮断する遮光手段と、
前記被測定表面の輝度を検出する輝度検出手段と、
基準となる前記被測定表面の検出輝度を、前記輝度検出手段から一定時間が経過するまで経時的に複数取得し、この複数の検出輝度に基づいて、経過時間と輝度との関係をあらわす近似的な基準特性線を決定する基準特性線決定手段と、
別な前記被測定表面の検出輝度を、測定値として前記輝度検出手段から取得し、この測定値と前記基準特性線との関係から、前記測定値を取得した後の前記一定時間後における別な前記被測定表面の予測輝度を算出する予測輝度算出手段と、
を備えたことを特徴とする輝度測定器。
【請求項2】
前記予測輝度算出手段は、前記測定値と前記基準特性線との関係から、この基準特性線に比例して、別な前記被測定表面における経過時間と輝度との関係をあらわす比例予測特性線を決定して、この比例予測特性線から前記一定時間後における輝度の比例予測値を算出し、前記測定値と前記一定時間とにより定められる係数を前記比例予測値に掛け合わせて、これを前記予測輝度として算出するものであることを特徴とする請求項1記載の輝度測定器。
【請求項3】
前記予測輝度算出手段は、前記測定値と前記基準特性線との関係から得られる予測特性線が、前記基準特性線の一点で収束すると見なして、この予測特性線から前記一定時間後の前記予測輝度を算出するものであることを特徴とする請求項1記載の輝度測定器。
【請求項4】
前記輝度検出手段で検出される検出輝度から、前記被測定表面の劣化を判定する劣化判定手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の輝度測定器。
【請求項5】
請求項1記載の輝度測定器において、減衰しながら発光する被測定表面に対し、その発光光量を感知する前記輝度検出手段のセンサ面が前記被測定表面と略平行に設置され、
前記センサ面は前記被測定表面の一部となる測定箇所の大きさを超えない大きさであって、且つ略円形形状のセンサ面の場合その直径、矩形形状のセンサ面の場合その対角線長、多角形状のセンサ面の場合その最長対角線長、楕円形等不定形のセンサ面の場合その形状内の最長内径長、を超えない距離に離間して輝度を検出することを特徴とする輝度測定方法。
【請求項6】
請求項1記載の輝度測定器において、減衰しながら発光する被測定表面に対し、その発光光量を感知する前記輝度検出手段のセンサ面を前記被測定表面と略平行に設置し、
前記センサ面は前記被測定表面の一部となる測定箇所の大きさを超えない大きさを有し、
さらに前記被測定表面に対して、略円形形状のセンサ面の場合その直径、矩形形状のセンサ面の場合その対角線長、多角形状のセンサ面の場合その最長対角線長、楕円形等不定形のセンサ面の場合その形状内の最長内径長、を超えない距離に前記センサ面を離間する測定距離保持手段を備えたことを特徴とする輝度測定器。
【請求項7】
前記予測輝度算出手段が前記予測輝度を算出する前に、予め前記基準特性線の準備の有無を確認する構成としたことを特徴とする請求項1記載の輝度測定器。
【請求項8】
人間の視覚に感度を有する波長の光のみを透過するフィルターを前記輝度検出手段に備えたことを特徴とする請求項1記載の輝度測定器。
【請求項9】
水平面にある前記被測定表面上に、自身の重量により平衡を保つ状態で載置して測定できるように構成したことを特徴とする請求項1記載の輝度測定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−151776(P2008−151776A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300957(P2007−300957)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(502257890)株式会社プロデュース (24)
【Fターム(参考)】