説明

輸液加温具

【課題】使用者が指に着用でき、輸液導入管の加温性が優れかつコンパクトな輸液加温具を得る。
【解決手段】 輸液瓶体1と注射針5との間を接続する輸液導入管3を有する輸液加温具において、前記輸液導入管3の一部を屈曲または湾曲させ、前記輸液導入管に流れる輸液の通過方向が一方向の部分とその逆方向の部分とを隣接させて前記輸液導入管3の団塊加温部を構成した輸液加温具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液導入管を加温する輸液加温具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、輸液を加温する輸液加温具として、特許文献1に記載の輸液加温手段が簡便に用いられている。
特許文献1に記載の輸液加温具は、発熱体の片面に輸液導入管を蛇行して設けることが好ましいと提案され、そして蛇行させるにはプラスチックまたは金属製の蛇行型ならびに発熱体自身に同様な蛇行型の溝を成形して設け、それに沿って輸液導入管を設けると短時間に蛇行のセットができ、操作面で好結果を与えたと、記載されている。
【0003】
【特許文献1】 実公昭57−29803

しかしながら、前記従来の蛇行型によるものでは輸液導入管の弾力性のため、湾曲部が大きくなり、コンパクトな形状が構成できなかった。
また、発熱体として化学カイロを使用するとき、化学カイロの熱エネルギーが十分でないため、十分に加温距離を確保する必要があり、コンパクト化がしがたいという欠点があり、単に輸液導入管を蛇行させたのみでは、コンパクトな輸液加温具を得ることができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
【0005】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、使用者が指の先などに着用したまま長時間の加温しながら移動できる輸液加温具を提供するものである。すなわち所望する場所で輸液の加温化を図ることができる加温性の優れた輸液加温具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る輸液加温具は、輸液瓶体と注射針との間を接続する輸液導入管を有する輸液加温具において、前記輸液導入管の一部を屈曲または湾曲させ、前記輸液導入管に流れる輸液の通過方向が一方向の部分とその逆方向の部分とを隣接させて前記輸液導入管の団塊加温部を構成したことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る輸液加温具は、輸液瓶体と注射針との間を接続する輸液導入管を有する輸液加温具において、前記輸液導入管とは別体で形成した部材により、前記輸液導入管に流れる輸液の通過方向が一方向の部分とその逆方向の部分とを隣接させて輸液流路を形成した団塊加温部を備え、前記輸液導入管と前記団塊加温部とを接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のような本発明によれば、指に着用することにより常時加温することができ、しかも簡便な構成のためコンパクトな輸液加温具により容易に加温することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について図面に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
図1は本発明の輸液加温具の使用状態を示す説明図である。
図1において、1は輸液瓶体、2は点滴筒、3は輸液導入管、4は本発明の実施例に係る輸液加温具、5は注射針、6は手、7は指である。
【0010】
この構成において輸液加温具4は、手6の指7に着用され、注射針5はたとえば手7の甲に刺される。そのため輸液加温具4は患者の身動きし易い状態で、しかもコンパクトであるため患者の移動性が極めて向上する。以下、輸液加温具の詳細について説明する。
【0011】
図2は、輸液加温具の団塊加温部の実施例1を示す平面図である。
図2において、10は輸液加温具4内の輸液導入管3自体に形成された輸液を取り入れる輸液入口、11は輸液出口、12は輸液導入管3自体を屈曲させひとかたまりに成形した団塊加温部であり、輸液導入管3の一部を屈曲させて、図中矢印のように輸液の通過方向が一方向部分と逆方向部分とが隣接するように成形される。
【0012】
このため輸液入口10から輸液出口11までの距離は直線にしたときに比べて約2倍以上長く形成することができる。すなわち輸液導入管3自体で団塊加温部を長く成形し発熱体との接触面積が多くなることにより輸液の加温距離を長くし、かつ外形の大きさを小さくしてコンパクトな輸液加温具を構成することができる。
【実施例2】
【0013】
図3は、団塊加温部の実施例2を示す内部構造図である。
図3において、20は輸液加温具の加温部分を従来の輸液導入管3とは別体で形成した部材を用いた団塊加温部、21は団塊加温部20内で輸液の流れを蛇行させるための流路隔壁である。
【0014】
図4は図3に示す団塊加温部の側面図である。
図4において、22は上側団塊加温部、23は下側団塊加温部であり、上下2個に分割して製作される団塊加温部である。通常上側団塊加温部22と下側団塊加温部23が相対向して接着剤で接着されて製作される。
この輸液導入管の団塊加温部において、流路隔壁21は、より長い加温経路を形成するため流路を蛇行させ、図中矢印のように輸液が長く流れるように設定することができる。
【0015】
なお、上側団塊加温部22、下側団塊加温部23の材質に応じて、流路隔壁21の数や幅を設定して、輸液流路の長さと幅を調整し得るので設計上の自由度が大きく、加温効果を確保しやすい。
【0016】
以上のように実施例2によれば、輸液を屈曲された団塊加温部で長く加温させ、その輸液を人体に取り込むことができるので患者の苦痛を和らげると共に、コンパクトな輸液加温具が得られる。
すなわち、本発明は、化学カイロのような熱エネルギーの少ない発熱体を用いても多くの輸液を効率良くしかもコンパクトに加温化でき、長期間使用可能な輸液加温具を得ることができる。
【実施例3】
【0017】
図5は実施例3を示す輸液導入管の団塊加温部の平面図である。
図5において、30は輸液導入管をS字上に形成したときの直線部、31は湾曲部、32は接着部、33は直線部30のみ、または湾曲部31とを含む団塊加温部である。
この場合は輸液導入管3を並列に3本並べ、直線部30を長く形成している。そして、並列になっている直線部30を接着剤で接着して接着部32を形成する。湾曲部31は折れ曲がることなく適度に湾曲させる。直線部30を長く形成することで輸液の通過時間を長くし、効率のよい団塊加温部33を得ることができる。
【0018】
この実施例3の輸液導入管の団塊加温部33によれば、並列配置する輸液導入管数を増加させることにより、加温量を拡大させ、より高い加温効果を得ることができ、長時間の治療に適応したコンパクトな輸液加温具を得ることができる。
【実施例4】
【0019】
図6は実施例4を示す輸液導入管を湾曲させた団塊加温部の平面図である。
図6において、40は輸液導入管自体をらせん状に湾曲させた団塊加温部、41は接着部である。
【0020】
湾曲させたひとかたまりの団塊加温部40であるため、円周に沿って中心方向に巻き付ければ良いため製造が容易であると共に、加温できる距離が長くしかも輸液の流れが阻害されにくい構成とすることができるので加温効果が高くコンパクトな輸液加温具を得ることができる。
【実施例5】
【0021】
図7は従来の輸液導入管を並列配置したときの断面図である。
図7において、50は断面形状が円形の輸液導入管を用いた団塊加温部、51は接着部である。
5本の輸液導入管を並列配置して接着すれば図7のようになるが、輸液導入管の断面形状を次のように工夫することにより、よりコンパクトに形成することができる。
【0022】
図8は輸液導入管の断面形状を四角にした断面図である。
図8において、60は四角形状の輸液導入管を用いた団塊加温部、61は接着部である。
四角形状の輸液導入管による輸液加温具の団塊加温部を有することにより、図7の円形のものより、発熱体との接触面積を増加させることができるので加温効率を向上させることができる。
【0023】
図9は輸液導入管の断面形状を三角にした断面図である。
図9において、70は三角形状の輸液導入管の団塊加温部、71は接着部である。
三角形状の輸液導入管による輸液加温具の団塊加温部70は図7の円形のものや、図8の四角のものより、さらにコンパクトに構成することができる。また、発熱体との接触面積も増加させることができ、加温効率をさらに上げることができる。
【実施例6】
【0024】
図10は輸液加温具の使用方法を示す要部断面図である。
図10において、80は輸液加温具、81は輸液導入管からなる団塊加温部、82は化学カイロからなる発熱体、83は発熱体82から出る熱の反射板、84は指、85は弾性体による指止めである。
【0025】
輸液加温具80は指84に指止め85を差し込み固定させ、発熱体82で蛇行した輸液導入管の団塊加温部81を加温しながら使用する。指84に固定できるコンパクトの形態のため、患者の移動に伴って容易に持ち運びができる。
【実施例7】
【0026】
図11は輸液加温具に係る実施例7を示す断面図である。
図11において、90は輸液加温具、91は輸液導入管からなる団塊加温部、92は電気式の発熱体、93は発熱体92から出る熱の反射板、94は指止め、95はスイッチ、96は乾電池である。
【0027】
図11のように輸液加温具90に使用する発熱体92は電気式のもので良く、指止め94を指に差し込み固定できる。
なお、輸液加温具の外形は円柱状や平面状など種々の実施例が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の輸液加温具は輸液導入管自体を成形する産業や、別体としての成形型の製造業に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の輸液加温具の使用状態を示す説明図である。
【図2】団塊加温部の実施例1を示す平面図である。
【図3】団塊加温部の実施例2を示す内部構造図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】団塊加温部の実施例3を示す平面図である。
【図6】団塊加温部の実施例4を示す平面図である。
【図7】輸液加温具の輸液導入管の断面図である。
【図8】輸液導入管の実施例5を示す断面図である。
【図9】輸液導入管の他の実施例を示す断面図である。
【図10】輸液加温具の実施例6の使用方法を示す要部断面図である。
【図11】輸液加温具の実施例7を示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 輸液瓶体
2 点滴筒
3 輸液導入管
4 輸液加温具
5 注射針
6 手
7 指
10 輸液入口
11 輸液出口
12 団塊加温部
20 団塊加温部
21 流路隔壁
22 上側団塊加温部
23 下側団塊加温部
30 直線部
31 湾曲部
32 接着部
33 団塊加温部
40 団塊加温部
41 接着部
50 団塊加温部
51 接着部
60 団塊加温部
61 接着部
70 団塊加温部輸液導入管
71 接着部
80 輸液加温具
81 団塊加温部輸液導入管
82 発熱体
83 反射体
84 指
85 指止め
90 輸液加温具
91 団塊加温部
92 発熱体
93 反射体
94 指止め
95 スイッチ
96 乾電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液瓶体と注射針との間を接続する輸液導入管を有する輸液加温具において、前記輸液導入管の一部を屈曲または湾曲させ、前記輸液導入管に流れる輸液の通過方向が一方向の部分とその逆方向の部分とを隣接させて前記輸液導入管の団塊加温部を構成したことを特徴とする輸液加温具。
【請求項2】
輸液瓶体と注射針との間を接続する輸液導入管を有する輸液加温具において、前記輸液導入管とは別体で形成した部材により、前記輸液導入管に流れる輸液の通過方向が一方向の部分とその逆方向の部分とを隣接させて輸液流路を形成した団塊加温部を備え、前記輸液導入管と前記団塊加温部とを接続したことを特徴とする輸液加温具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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