輸液装置のカニューレを挿入するための装置
【課題】患者の皮膚へ薬物を送達するために、輸液装置に関する新たなデザイン、及び、患者の皮膚への輸液装置の挿入を補助するために用いられる装置に関する新たなデザインを提供する。
【解決手段】患者の皮膚内に皮下輸液装置を挿入する方法であって、前記方法は、挿入装置100の針の上に事前に装填された輸液装置を準備し、前記針を伸ばして、前記輸液装置のカニューレ130内を通し、患者の皮膚上に前記挿入装置100を配置し、前記挿入装置100の前記針を用いて、患者の皮膚の皮下層に前記輸液装置の前記カニューレ130を挿入し、前記輸液装置によって前記カニューレ130を完全に挿入し、前記挿入装置100がトリガー状態に到達すると、患者の皮膚上に配置された前記輸液装置を残しながら、自動的に、前記挿入装置100の前記針を回収すること。
【解決手段】患者の皮膚内に皮下輸液装置を挿入する方法であって、前記方法は、挿入装置100の針の上に事前に装填された輸液装置を準備し、前記針を伸ばして、前記輸液装置のカニューレ130内を通し、患者の皮膚上に前記挿入装置100を配置し、前記挿入装置100の前記針を用いて、患者の皮膚の皮下層に前記輸液装置の前記カニューレ130を挿入し、前記輸液装置によって前記カニューレ130を完全に挿入し、前記挿入装置100がトリガー状態に到達すると、患者の皮膚上に配置された前記輸液装置を残しながら、自動的に、前記挿入装置100の前記針を回収すること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に薬物を送達するための輸液装置に関する。また、本発明は、患者に薬物を送達するために当該患者の皮膚に輸液装置のカニューレを挿入することを補助する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
輸液装置は、薬剤のような薬物を患者の皮膚の皮下層に送達するために使用される。一般的には、輸液装置は、皮膚に挿入されるカニューレ、及び、輸液装置から、例えば薬物を送達するための輸液ポンプへ伸びるチューブを有している
現在の形状では、所定の位置に輸液装置を維持し、チューブを輸液ポンプに向かう方向へ伸ばしながら、一方で、皮膚に輸液装置のカニューレを挿入することが、概ね必要とされる。さらに、一度、輸液装置を皮膚上に配置すると、輸液装置及び取り付けられたチューブを再設定したり、患者の皮膚からカニューレを抜くことなくチューブを体から取り外す方法は、ほとんどない。さらに、輸液装置の形状は、望ましくなく背が高く、輸液装置を設置し隠すことを難しくし、また、体への付け心地を悪くしている。さらに、皮膚に輸液装置を挿入する方法が複雑になり、取り付けのためには両手が必要となる。
【0003】
また、患者の皮膚への輸液装置のカニューレの挿入を補助する装置は、よく知られている。例えば、ある装置は、患者の皮膚に自動的に針を挿入するスプリングを用いて、皮下層に輸液装置のカニューレを挿入する。
【0004】
針を皮膚の皮下層に輸液装置のカニューレを挿入するために用いるので、針を不用意に露出させる危険性がある。さらに、患者は挿入に先立って針を目にすることに抵抗感を示し、例えば、皮膚の中へ針を入れることをいやに思うかもしれない。前の装置は、輸液装置の挿入前かつ/又は挿入後において、この針を十分に覆い隠していないのかもしれない。
【0005】
輸液装置のデザインや利用に関する他の問題には、患者による利用及び殺菌の容易性がある。例えば、ある患者にとっては、輸液装置を挿入装置へ装填することが難しいのかもしれない。
【0006】
そこで、患者の皮膚へ薬物を送達するために、輸液装置に関する新たなデザイン、及び、患者の皮膚への輸液装置の挿入を補助するために用いられる装置に関する新たなデザインを提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0007】
本発明に沿った実施例は、患者に薬物を送達するため輸液装置に関する。
【0008】
一の実施形態では、輸液装置は、サイト及びセットを有している。サイトは、患者の皮膚の皮下層の挿入されるカニューレを有している。例えば、セットをサイト上に配置し、セットをアンロック・ポジションからロック・ポジションへ移動させることによって、セットをサイトに取りつけることができる。そして、薬物は、セットを通ってサイトへ、そしてサイトから患者へカニューレを通して送達される。
【0009】
セットは、サイトに対して複数の回転位置に配置できることが好ましく、何度でもサイトに取り付けたり、取り外したりできることが望ましい。
【0010】
他の実施形態では、装置は、患者の皮膚に輸液装置のカニューレを挿入するために用いられる針を有している。いったん輸液装置のカニューレを皮膚に挿入すると、装置は、針を装置内における回収状態とする。
【0011】
他の実施形態では、装置は、針及び取り付けられた輸液装置のカニューレを送達状態からトリガー状態へと移動するように構成されている。トリガー状態では、輸液装置のカニューレが、患者の皮膚へ挿入される。トリガー状態においてカニューレが十分に挿入されると、装置は、針を装置内における回収状態とするように構成されている。
【0012】
他の実施形態では、装置は、患者の皮膚へサイトのカニューレを挿入するために利用される針を有している。カニューレの挿入に際して、針は皮膚から抜き取られる。ある実施形態では、無菌環境を提供し、又は/若しくは、針を外部にさらす危険性を少なくするために、装置を利用する前後に、装置上に配置されるキャップが提供される。
【0013】
本発明に関するこれまでのサマリーは、開示された各実施形態や本発明の各実施を記述するものではない。より詳細にフォローする詳細な説明における図面は、発明の実施例を例示するものである。ある実施形態が図面に表され、実施例に記述されていても、発明は当該実施形態での利用に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るサイトの実施形態における上側からの斜視図である。
【図2】図1のサイトに関する下側からの斜視図である。
【図3】図1の装置のサイトに関する側面図である。
【図4】図1のサイトに関する上面図である。
【図5】図1のサイトに関する底面図である。
【図6】図3のサイトの6−6線に沿った断面図である。
【図6A】サイトを挿入するために使用される針を有する図3のサイトの6−6線に沿った断面図である。
【図7】図1のサイトに関する分解立体図である。
【図8】図6のサイトのベースに関する上側からの斜視図である。
【図9】図8のベースに関する下側からの斜視図である。
【図10】図8のベースに関する側面図である。
【図11】図8のベースに関する上面図である。
【図12】図1のサイトのカニューレに関する側面図である。
【図13】図13のカニューレの端面図である。
【図14】図12のカニューレ14−14線に沿った断面図である。
【図15】図1のサイトのダイアフラムに関する側面図である。
【図16】図15のダイアフラムに関する端面図である。
【図17】図16のダイアフラムの17−17線に沿った断面図である。
【図18】図1のサイトの粘着部に関する上面図である。
【図19】図19の粘着部の19−19線に沿った断面図である。
【図20】図18の粘着部の分解図である。
【図21】本発明に係るサイトの実施例に関する、アンロック・ポジションにおける、上側からの斜視図である。
【図22】図21のセットの第1部材に関する上側からの斜視図である。
【図23】図22の第1部材に関する上面図である。
【図24】図22の第1部材に関する側面図である。
【図25】図22の第1部材に関する端面図である。
【図26】図22の第1部材に関する他の端面図である。
【図27】図21のセットの第2部材に関する上側からの斜視図である。
【図28】図27の第2部材に関する上面図である。
【図29】図27の第2部材に関する側面図である。
【図30】図27の第2部材に関する端面図である。
【図31】図27の第2部材に関する他の端面図である。
【図32】図21のセットに関する、アンロック・ポジションにおける、上側からの斜視図である。
【図33】図32のセットに関する側面図である。
【図34】図32のセットに関する端面図である。
【図35】セットの一部を明確にするために取り外した状態での、図32のセットの35−35線に沿った断面図である。
【図36】図21のセットに関する、ロック・ポジションにおける、上側からの斜視図である。
【図37】図26のセットに関する上面図である。
【図38】図36のセットに関する側面図である。
【図39】図36のセットに関する端面図である。
【図40】図36のセットに関する下側からの斜視図である。
【図41】図36のセットに関する底面図である。
【図42】セットの一部を明確にするために取り外した状態での、図38のセットの42−42線に沿った断面図である。
【図43】互いに取り付けられた図1のサイト及び図21のセットに関する斜視図である。
【図44】図43のサイト及びセットの上面図である。
【図45】図43のサイト及びセットの底面図である。
【図46】図43のサイト及びセットの側面図である。
【図47】図43のサイト及びセットの端面図である。
【図48】図43のサイト及びセットのもう一方の端面図である。
【図49】図43のサイト及びセットに関する分解立体図である。
【図50】図44のサイト及びセットに関する50−50線に沿った断面断面図である。
【図51】本発明に係るサイト及びセットを有する輸液装置に係る他の実施例の分解立体図である。
【図52】図51の輸液装置に関する、ロック・ポジションにおける分解立体図である。
【図53】図51の輸液装置に関する断面図である。
【図54】本発明に係る輸液装置のカニューレの挿入に利用される装置の実施形態における側面図である。
【図55】図54の装置に関する展開側面図である。
【図56】図54の装置のハウジングに関する透視図である。
【図57】図56のハウジングに関する側面図である。
【図58】図56のハウジングに関する端面図である。
【図59】図54の装置のシリンダーハブに関する透視図である。
【図60】図59のシリンダーハブに関する側面図である。
【図61】図59のシリンダーハブに関するもう一方の側面図である。
【図62】図59のシリンダーハブに関する端面図である。
【図63】図54の装置のニードルハブに関する透視図である。
【図64】図63のニードルハブに関する側面図である。
【図65】図63のニードルハブに関するもう一方の側面図である。
【図66】図63のニードルハブの端面図である。
【図67】図54の装置のスリーブに関する透視図である。
【図68】図67のスリーブの側面図である。
【図69】図67のスリーブの他の側面図である。
【図70】図67のスリーブの端面図である。
【図71】図54の装置の粘着部に関する上面図である。
【図72】図71の粘着部の72−72断面に関する断面図である。
【図73】図71の粘着部の分解図である。
【図74】図54の装置のキャップに関する透視図である。
【図75】図74のキャップの側面図である。
【図76】図74のキャップの端面図である。
【図77】キャップを取り除いた図54の装置に関する側面図である。
【図78】トリガー状態における図77の装置に関する側面図である。
【図79A】抑留状態における図54の装置の79A−79A断面に関する断面図である。
【図79B】抑留状態における図54の装置の79B−79B断面に関する断面図である。
【図80A】送達状態における図77の装置の80A−80A断面に関する断面図である。
【図80B】送達状態における図77の装置の80B−80B断面に関する断面図である。
【図81A】トリガー状態における図78の装置の81A−81A断面に関する断面図である。
【図81B】トリガー状態における図78の装置の81B−81B断面に関する断面図である。
【図81C】図81Bの装置の断面図であり、粘着部がスリーブから取り剥がされた状態を示している。
【図82A】ニードルハブが回収された図81Aの装置に関する断面図である。
【図82B】ニードルハブが回収された図81Bの装置に関する断面図である。
【図83A】回収状態における図77の装置の83A−83A断面に関する断面図である。
【図83B】回収状態における図77の装置の83B−83B断面に関する断面図である。
【図84】本発明に係る装置の他の実施例の一部の断面図であり、患者に輸液装置を挿入するために使用される装置に関するものである。
【図85A】本発明に係る装置の他の実施例の断面図であり、患者に輸液装置を挿入するために使用される装置で抑留状態にあるものである。
【図85B】図85Aの装置の垂直面に沿った断面図である。
【図86A】送達状態にある図85Aの装置に関する断面図である。
【図86B】送達状態にある図85Bの装置に関する断面図である。
【図87A】回収状態にある図85Aの装置に関する断面図である。
【図87B】回収状態にある図85Bの装置に関する断面図である。
【図88】図85Aの装置のスリーブに関する透視図である。
【図89】図88のスリーブの側面図である。
【図90】図88のスリーブのもう一方の側面図である。
【図91】図88のスリーブの端面図である。
【図92】本発明に係る装置の他の実施例の透視図であり、患者に輸液装置を挿入するために使用される装置に関するものである。
【図93】図92の装置の他の透視図である。
【図94】図92の装置の側面図である。
【図95】図92の装置の端面図である。
【図96】図92の装置のもう一方の端面図である。
【図97】本発明に係る装置の他の実施例の透視図であり、患者に輸液装置を挿入するために使用される装置に関するものである。
【図98】図97の装置の側面図である。
【図99】図97の装置のもう一方の側面図である。
【図100】図97の装置の端面図である。
【図101】図97の装置のもう一方の端面図である。
【図102】図97の装置の49−49断面に沿った断面図である。
【図103】本発明に係る装置の他の実施例の透視図であり、患者に輸液装置を挿入するために使用され、不正開封シールを有する装置に関するものである。
【図104】キャップが外され、不正開封シールが剥がれた図103の装置に関する側面図である。
【図105】図103の装置の一部の105−105断面に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、患者の皮膚の皮下層に薬物を送達するための輸液装置に関する。本発明の実施例は、患者の皮膚の皮下層への輸液装置、特に当該輸液装置のカニューレの挿入を補助するための装置に関する。
【0016】
一般的に、本明細書において開示される輸液装置の実施例は、カニューレを備えるサイト(site)のほか、サイトに薬物を送達するためにサイトに取り付けることができるセット(set)を有している。なお、カニューレは、薬物を送達するために患者の皮膚の皮下層に挿入される。
【0017】
図1〜図7に、本発明に係る輸液装置のサイト100の一実施例を示す。一般的に、サイト100は、患者に薬物を送達するためのセット(後述)と組み合わせて用いられる。
【0018】
サイト100は、ベース110、カニューレ130、ダイアフラム150、及び粘着部170を有している。図6Aに示すように、サイト100のカニューレ130は、針(例えば、針139)を用いて患者の皮膚の皮下層に挿入される。粘着部170によって、サイト100のベース110を患者の皮膚に取り付けることができる。以下に示すように、ダイアフラム150は、カニューレと液体のやり取りを行い、ダイアフラム150からカニューレ130を介して患者の皮膚に薬液を送達する。
【0019】
図8〜図11に、ベース110を示す。ベースは、上部111及び底部112を有するスタンド114を有している。また、スタンド114には、ベース110の中心軸Cに配置される開口113が形成されている。さらに、スタンド114には、上部111の8つの位置に配置される小孔115が形成されている。なお、小孔115は、ベース110の中心軸Cに関して放射状に等間隔に配置される。
【0020】
また、ベース110は、スタンド114と一体をなす部材120を有している。部材120は、スタンド114の中心の開口113周辺に配置され、8つの面124を有している。好ましい一の実施形態では、部材120は、円筒形状を有していない。例えば、図示する実施形態では、部材120は、以下に示すように、八角形状を有している。なお、他の形状をとることも可能である。部材120が円筒形状でないことによって、サイト100に取り付けることができるセットの異なる取り付け位置を設定できる。
【0021】
部材120の内壁によって円筒状空間120が形成されており、また、部材120の外側の周辺部によって、当該外側の周辺部に広がる溝122が形成される。さらに、部材120には、内部の円筒状空間121から部材120の外部の溝122に伸びる8つの孔123が形成されている。
【0022】
図12〜図14に、カニューレ130を示す。カニューレ130は、第1端132及び第2端134を有している。カニューレ130の第1端132は、テーパー状底部140を有するフランジ部136、及び後述するテーパー部138を有している。また、カニューレ130は、第1端132から第2端134に伸びる中央孔142を有している。中央孔142によって、薬物を第1端132から導入し、第2端134から外へ送達することができる。
【0023】
カニューレ130は、ベース110の円筒状空間121の内部に配置され、カニューレ130のテーパー状底部140を、部材120の円筒状空間121のテーパー状底部表面125に合わせることができる。また、カニューレ130の第2端134は、スタンド114の中央孔113を通過して、スタンド114の底部112に対してほぼ直角に伸びる。図6を参照せよ。カニューレ130のテーパー状底部140をベース110のスタンド114付近に配置することが望ましい。
【0024】
カニューレ130は、フッ化エチレンプロピレン(FEP)により構成されていることが望ましい。四フッ化エチレン樹脂(PTFE)や他の適当なプラスチック等、他の材料を利用することもできる。
【0025】
図15〜図17に、ダイアフラム150を示す。一般的に、ダイアフラム150は、隔膜やシールとして機能し、例えば輸液装置や他の同様の装置からカニューレ130に供給された薬物を送達するために針が隔膜の内側部にアクセスすることを可能とする。
【0026】
ダイアフラム150は、ほぼ円筒状形状であることが望ましく、また、開底端部152及び閉上端部154を有している。また、ダイアフラム150は、開底端部152付近のテーパー部156、及び中央貯留部158を有している。
【0027】
例えば図6及び図17に示すように、ダイアフラム150は、部材120の円筒状空間121に配置される。また、ダイアフラム150は、部材120の内部空間壁と摩擦により一体となるようなサイズを有する外周面160を有し、円筒状空間121にダイアフラム150を固定することが望ましい。さらに、ダイアフラム150のテーパー部156は、ベース110のテーパー状底部表面125と一体となるように構成されている。開底端部152は、カニューレ130の第1端132に取り付けられ、それにより、貯留部158とカニューレ130の中央孔142との間で液体のやり取りが可能となる。
【0028】
より詳細には、ダイアフラム150の開底端部152付近の面157をカニューレ130の第1端132に押し込んで、カニューレ130に対するシールを形成し、薬物をダイアフラム150から、カニューレ130を通って、患者へ送達することができようにすることが好ましい。他の実施形態では、例えばOリングのような追加的な構成を、ダイアフラム150とカニューレ130との間に用いることによって、追加的なシーリングを形成するようにすることもできる。
【0029】
好ましい実施形態では、ダイアフラム150は、エラストマーシリコンによって構成されている。なお、例えば、エチレンプロピレンや他の適当なエラストマー系材料を用いることも可能である。
【0030】
前述のように、ダイアフラム150の外周面160と円筒状内部空間121の内壁との摩擦力によって取り付けられることによって、当該ダイアフラム150をベース110の部材120の円筒状内部空間121内に固定することが好ましい。他の実施形態においては、固定部材を部材120の開放上部にピッタリと適合させて、さらに、ダイアフラム150を円筒状内部空間121の適当な位置に固定することも可能である。他の実施形態としては、ダイアフラム150を、部材120の他の特徴によって押し込み、円筒状内部空間121に固定することもできる。また、ダイアフラム150に部材120の特徴と結合する特徴を持たせることもできる。例えば、他の一の実施形態として、部材120に形成される孔123内に収まる位置に、収まるサイズのかかり部を外周面160に有するようにダイアフラム150を形成し、当該ダイアフラム150を円筒状内部空間121内に固定することも可能である。他の形態をとることも可能である。
【0031】
図18〜図20に、粘着部170を示す。粘着部170は、層174を挟み込むライナー172及びライナー176を有している。層174は、孔178を有していることが好ましく、以下に記述するように、サイト100のカニューレ130はその孔を通して伸びている。
【0032】
ライナー172を取り除き、粘着性を用いてベース110のスタンド114の底部112に層174を取り付けることができる。粘着性の例としては、アクリル系の粘着性、合成ゴムベースの粘着性、アクリレート系の粘着性、及びシリコンベースの粘着性を含んでいるが、これらに限定されない。さらに、ライナー176を取り除き、層174の下側に粘着性を与えることによって、粘着部170及び取り付けられたサイト100を、例えば、他の粘着部や患者の皮膚に取り付けることが可能となる。
【0033】
好ましい実施形態では、粘着部170の層174は、粘着性を有するフィルム、例えば、3M(商標)社製の1577テープ、を有している。なお、フィルムは当該例示に限定されない。他の材料を用いることも可能である。
【0034】
その他の実施形態では、粘着部170を完全に取り除くことが可能であり、また、サイト100と患者の皮膚との間の粘着性をフィルム、及び/又は、以下に示す他の構造によってもたらされる粘着性を用いて提供することも可能である。又は、3M(商標)製のテガダーム(Tegaderm(商標))フィルム、スミス・アンド・ネフュー(Smith & Nephew(商標))製のIV3000(商標)フィルムのような他の材料によって構成される単独若しくは複数の層によって、層174を置き換え又は補完することも可能である。
【0035】
他の実施形態では、タブ(図示しないが、ライナー172及びライナー176に示されるタブと同様のものが好ましい)や、皮膚から層174及び取り付けられたサイト100を所望のときに取り除く際に患者の助けとなる他の同様の構成を、層174に設けることも可能である。例えば、層174の外周面からタブを伸ばし、患者がタブを持って、皮膚から層174を剥がし、サイト100を取り除くようにすることも可能である。
【0036】
その他の実施形態では、層174は、背面に発泡体や層174付近に追加される同様の追加的構成を有し、サイト100が患者の皮膚に挿入される際の補助的なクッションを与えることができる。
【0037】
図21に、本発明に係る輸液装置に関するセット200の実施例を示す。前述のように、また、さらに後述のように、セット200は、サイト(例えばサイト100)に取り付けられて使用され、患者に薬物を送達することができる。
【0038】
セット200は、一般的に、第1部材210及び第2部材250を有している。以下に示すように、第1部材210は、第2部材250に対して移動可能であり、アンロック・ポジション(例えば、図21、図32〜図35参照)及びロック・ポジションをとる。
【0039】
図22〜図26に、第1部材210を示す。第1部材210は、主筐体212及びポート213を有している。ポート213は、主筐体212内を伸び、中空針214と液体のやり取りを行う。ポート213は、例えば、セット200に薬物を送達するための輸液ポンプに取り付けることができるチューブ(例えば、図21に示すチューブ305)に取り付けられることが望ましい。
【0040】
また、第1部材210は、アウター・アーム220、222を有している。アウター・アーム220、222は、先端に形成されるかかり部223及びアウター・アーム220、223の下に形成される突出部230を有している。さらに、第1部材210は、かかり部229を有するインナー・アーム226、228を有している。以下に示すように、アウター・アーム220、222は、面221に力が加わると、互いに向かって変位することができる。
【0041】
図27〜図31に、第2部材250を示す。第2部材250は、主筐体260及び8角形状の中央孔270を有している。また、第2部材250は、開口262を有している。開口262は、中央孔270に伸びている。主筐体260に対して反対側に配置される開口264についても同様である。また、第2部材250は、ベース261の下面274に形成される突出部266を有している。主筐体260のベース261内を伸びることが好ましい長溝268についても同様である。
【0042】
図21及び図32〜図35に、アンロック・ポジションにあるセット200の第1部材210及び第2部材250を示す。インナー・アーム226、228が第2部材250の開口262に納められるように、第1部材210は、スライドしながら第2部材250に受容される。第1部材210のアウター・アーム220、222上の突出部230は、第2部材250の長溝268に受容される。
【0043】
図35に示すように、アンロック・ポジションでは、第1部材210のインナー・アーム226、228のかかり部229は、開口264内を伸びて、第2部材250の肩部271と係合し、第1部材210と第2部材250とが今後離れないようにすることができる。
【0044】
図36〜図42に、ロック・ポジションにあるセット200の第1部材210及び第2部材250を示す。アンロック・ポジションからロック・ポジションにセット200を移動するために、第1部材210及び第2部材250を互いにスライドさせ、第1部材210のアウター・アーム220、222が、第2部材250の開口264に受け入れられるようにする。さらに、アウター・アーム220、222の突出部230が、第2部材250の長溝268に沿ってスライドする。さらに、以下に示すように、インナー・アーム226、228の面234が、部分的に中央孔270内に伸びる。
【0045】
図42に示すように、ロック・ポジションでは、アウター・アーム220、222は、開口264内を伸び、第2部材250の縁部272と係合する。さらに、第1部材210のインナー・アーム226、228は、第2部材250内に伸びる。このロック・ポジションでは、かかり部223と縁部272とが係合しているので、第1部材210は第2部材250に対して相対的にスライドすることができない。
【0046】
ロック・ポジションからアンロック・ポジションに戻し、第1部材210を第2部材250からスライドさせて取り外すために、面221に力を加えてアウター・アーム220、222を互いに内側に向かってそらせて、かかり部223を縁部272から外す。これによって、図21及び図32〜図35に示すように、第1部材210は、第2部材250に対してスライドでき、アンロック・ポジションに戻ることができる。
【0047】
第2部材250に形成される長溝268は、カム状面269を有し、第1部材210のアウター・アーム220の下側に伸びる突出部230は、長溝268の第1端267に向かって片寄らされ、これによって第1部材210はアンロック・ポジションに片寄らされる。図40及び図41を参照せよ。他の実施形態では、第1部材210をアンロック・ポジションに片寄らせるための他の特徴を提供することも可能である。例えば、つめを形成し、かかり部229と係合させ、第1部材210のインナー・アーム226、228をロック・ポジションに向かって移動させて、第1部材210をアンロック・ポジションにならないようにすることができる。セット200がアンロック・ポジションに簡単に位置し、サイト100から取り外すことができるアンロック・ポジションにセット200が戻らないようにすることが望ましい。
【0048】
図43〜図50を示すように、これまで述べてきたようなサイト100とセット200とを同時に用いて患者に薬物を送達するための輸液装置300を形成することができる。
【0049】
輸液装置300の一の使用方法を以下に示す。はじめに、サイト100を患者の皮膚の上に取り付け、カニューレ130を患者の皮下層に挿入する。このことは、例えば、ダイアフラム150の露出した閉上端部154を通って、カニューレ130の中央孔142を通って、さらに第2端134を超えて伸びる針(例えば、図6Aに示す針130)を用いることによって、実現される。カニューレ130のフランジ部136のテーパー部138は、カニューレ130の中央孔142内を針が通り抜けるようにするためのガイドの役目を果たすことができる。この状態で、針を用いて、患者の皮膚の中にサイト100のカニューレ130を挿入する。さらに、カニューレ130が適当な位置となると、針を取り除き、患者の皮下層内の適当な位置にカニューレ130を残すことができる。針が取り除かれると、ダイアフラム150の閉上端部154は自らを、再度、密閉し、貯留部158の流体に対する密閉性を維持する。
【0050】
好ましい実施形態では、図54〜図105に関して以下に記述するような一若しくは複数の装置や方法を用いて、輸液装置300のサイト100を患者の皮膚上の適当な位置に配置する。
【0051】
(カニューレ130を皮下層に挿入している状態で)サイト100を患者の皮膚上に取り付けると、セット200を以下のようにしてサイト100に取り付けることができる。アンロック・ポジションにあるセット200に関して、セット200を部材120上に配置し、そして、セット200の8角形状の中央孔270が、部材120の当該中央孔270内に収まるようにすることができる。セット200をサイト100上に下げて、セット200の下面274をサイト100のスタンド114に接するようにし、第2部材250の突出部266がベース110のスタンド114の小孔115内に収まるようにする。
【0052】
サイト100のこの状態で、セット200の第1部材210をアンロック・ポジションからロック・ポジションへ移動させ、インナー・アーム226、228(図23、図36、図37参照)の面234がベース110の部材120の溝122にはまるようにする。これによって、セット200はサイト100に固定され、セット200がロック・ポジションにあるときは、セット200をサイト100から取り外そうとするあらゆる上向きの力をセット200は食い止める。さらに、サイト100の部材120及びセット200の中央孔270の形状によって、小孔115に受け容れられる突出部266と同様に、セット200は、サイト100に対して正しい位置に取り付けられ、また、セット200がアンロック・ポジションにあるときに、セット200がサイト100に対して回転しないようにする機能を得る。
【0053】
さらに、セット200の第1部材210をアンロック・ポジションからロック・ポジションへ移動し、針214を部材120に形成された8つの孔123のうちの一つを通って、円筒状空間121のダイアフラム150内に通過させる。図50に示すような完全なロック・ポジションでは、針214の端部215は、ダイアフラム150の貯留部158内に配置される。この状態では、ポート213は、中空の針214を介してダイアフラム150の円筒状空間121と液体のやり取りができるように取り付けられる。また、円筒状空間121は、同様に、カニューレ130の中央孔142を介して患者の皮膚上で液体のやり取りができるように取り付けられる。この方法では、薬物は、(例えば、図示しないチューブによって)セット200のポート213へ送達され、そして、針214を通って貯留部158へ送達され、そして、カニューレ130によって患者の皮膚の皮下層へ送達される。
【0054】
サイト100に対してセット200を所望のように適切に配置するのではなく、若しくは、患者がサイト100からセット200を取り外すことを望むのであれば、アウター・アーム220、222に同時に力を加えて、第1部材210を第2部材250から遠ざけるようにスライドさせてアンロック・ポジションとすることによって、セット200をロック・ポジションからアンロック・ポジションに移動させることができる。このアクションによって、面234は溝122から取り外され、同様に針214は貯留部158から取り除かれる。針214が取り除かれると、ダイアフラム150は再びシールする。そして、セット200をサイト100から取り外しても、サイト100は患者の皮膚上の適当な位置に残る。セット200を他の位置に、若しくはより遅いタイミングで取り付けることもできる。
【0055】
図示する輸液装置300の実施形態では、セット200をサイト100に対して8つの異なる位置に取り付けて、固定することができる。他の実施形態では、より少ない若しくはより多い所望の位置を有するように、サイト100及びセット200を構成することができる。例えば、他の実施形態では、4つの適切な配置位置が必要なのであれば、サイト100の部材120及びセット200の中央孔270を4角形状に形成することができる。
【0056】
図51〜図53に、本発明に係る輸液装置400の他の実施形態を示す。輸液装置400は、前述の輸液装置300と同様であるが、以下に示す点で異なっている。
【0057】
輸液装置400は、中央部材407を有するサイト405を有している。中央部材407は、突き刺すことができるアウター・シェル430、及びアウター・シェル430を取り囲む柔らかいインナー・ダイアフラム432を有している。アウター・シェル430は、プラスチックのような素材で構成される。中央部材407の内部貯留部434は、カニューレ440と液体のやり取りができるように取り付けられる。図53を参照せよ。
【0058】
また、輸液装置400は、第1部材410及び第2部材420を有している。第1部材410は、針411、端部にかかり部415を有する第1アーム412及び第2アーム414を有している。第2部材420は、肩部422、424を有している。第1部材410及び第2部材420には、それぞれに、開口部461、462が形成されている。開口部461、462は、サイト405の中央部材407の一部を納めるのに適したサイズに形成されている。
【0059】
輸液装置400は、以下のようにして使用される。まず、サイト405を患者の皮膚上に取り付け、カニューレ440を皮下層内へ挿入する。次ぎに、サイトの第1部材410及び第2部材420をサイト405の上に配置し、開口部461、462を中央部材407関して位置決めし、第1部材410及び第2部材420を互いに向かってスライドさせて、アンロック・ポジションからロック・ポジションにする。セットをロック・ポジションに移動すると、針411をサイト405の中央部材407内に挿入し、アウター・シェル430を通過させて移動させ、内部貯留部434内でカニューレ440と液体のやり取りができるように取り付ける。さらに、第1アーム412、第2アーム414を第2部材420内に納め、かかり部415を肩部422、424と係合させて、図52に示すように、ロック・ポジションにする。
【0060】
セットをロック・ポジションからアンロック・ポジションに戻すためには、かかり部415に互いに向かうように力を加えて、かかり部415と肩部422、424との係合を解除し、そして第1部材410を第2部材420から遠ざけるようにスライドさせる。これによって、針411をサイト405の中央部材407から抜き取る。
【0061】
セットを回転させながらサイト405に対して適当に位置決めするために特別な構造を輸液装置400に用意することがなく、所望するようにサイト405に関する無数の回転位置でセットを位置決めできることが望ましい。さらに、サイトの中央部材407及びセットの開口部461、462は円形状であることが好ましいので、セットを完全にサイト405から取り外す必要がなく、サイトの第1部材410及び第2部材420をサイト405に対して相対的に回転させることができる。
【0062】
図54〜105に、皮下輸液装置および該装置を、たとえば場所100のように、患者の皮膚の皮下層に配置する方法の実施例を示す。
【0063】
図54、図55に装置1100の一実施例を示す。装置1100は、セットやサイト、他のアクセス装置のような輸液装置のカニューレを挿入するために用いられる。このセットやサイト、他のアクセス装置は、例えば輸液ポンプから、患者に薬や他の液体を送達することに用いられる。
【0064】
一般的に、装置1100は、ハウジング1110、シリンダーハブ1120、ニードルハブ1130、スリーブ1140、スプリング1150、粘着部1160、及びキャップ1170を有している。さらに以下に示すように、装置1100の各構成は、患者の皮膚へ輸液装置のカニューレを挿入することを補助するように構成されている。
【0065】
図56〜図58に、ハウジング1110を示す。ハウジング1110は、円筒形状が好ましく、また、閉上端1111及び開下端1112を有している。さらに、ハウジング1110は、ぎざぎざ状表面部1118及びねじ山部113を有している。ぎざぎざ状表面部1118は、患者がハウジング1110を手で持つ際のグリップ力を高める。ねじ山部113は、開下端1112付近に配置される。
【0066】
図59〜図62に、シリンダーハブ1120を詳細に示す。シリンダーハブ1120は、第1端1221、第2端1222、及び内部通路1223を有している。さらに、2つの対向する長孔1225は、シリンダーハブ1120に向かい合うように形成されており、概ねシリンダーハブ1120の中間部1224から第1端1221へ伸びている。さらに、シリンダーハブ1120は、対向して位置する孔1226を有している。孔1226は、第2端1222付近のシリンダーハブ1120に形成されている。
【0067】
シリンダーハブ1120の第1端1221は、ハウジング1110のタブ1119がシリンダーハブ1120に形成されている肩部1228とかみ合うことによって、ハウジング1110の閉上端1111に取り付けられる。例えば、図59〜図61、図79A及び76Bを参照せよ。さらに、ハウジング1110の構成部1121は、シリンダーハブ1120の長孔1229内に受容される。異なるデザインとして、ハウジング1110とシリンダーハブ1120とを一ユニットとして形成することもできる。
【0068】
ここで、図63〜図66に示すように、ニードルハブ1130は、第1端1332及び第2端1333を有する主筐体1331、及び主筐体1331と一対をなす(中空若しくは中実の)針1336を有している。主筐体1331は、第1端1332に対向して形成されるウイング部1334、第2端1333に対向して位置するかかり部1335を有している。
【0069】
ニードルハブ1130は、シリンダーハブ1120の内部通路1223内に配置され、ニードルハブ1130の対向して位置するウイング部1334は、シリンダーハブ1120の対向して位置する長孔1225を通り抜けて広がっている。図59、図61、図79B、図80B、図81B、図82B及び図83Bを参照せよ。さらに、ニードルハブ1130の対向して位置するかかり部1335は、シリンダーハブ1120の対向して位置する孔1226を通り抜けて広がっており、孔1226によって形成される肩部1228とかみ合う。その結果、ニードルハブ1130は、シリンダーハブ1120及びハウジング1110に対して固定される。例えば、図59、図61、図79A、図80A、及び図81Aを参照せよ。
【0070】
図67〜図70に、スリーブ1140を示す。スリーブ1140は、円筒形状が好ましく、また、第1端1441、第2端1442及び内部通路1443を有している。対向して位置する突出部1444は、肩部1445付近の内部通路1443の内部で延びている。スリーブ1140の外面では、溝部1446が形成され、同様に、かかり部1448を有する路線部1447が形成されている。かかり部1448は路線部1447の端部に形成されている。
【0071】
ハウジング1110は、スリーブ1140に対して縦方向に移動させて、スリーブ1140をハウジング1110とかみ合わせる。詳細には、ハウジングの路線部114をスリーブ1140の溝部1446に納める。同様に、スリーブ1140の路線部1447をハウジング1110の溝部115に納める。スリーブ1140の路線部1447に位置するかかり部1448をハウジング1110の溝部115の突出部116とかみ合わせて、ハウジング1110が、スプリング1150(後述)によって生ずる力に抵抗してスリーブ1140に対して滑らかに移動可能なように一体を維持する。
【0072】
スプリング1150は、第1端1152及び第2端1154を有している。図79Bを参照せよ。スプリング1150は、シリンダーハブ1120の一部を取り囲み、スリーブ1140の内部通路1443の内部で伸びている。スプリング1150の第1端1152は、スリーブ1140の肩部1445上に配置されている。また、スプリング1150の第2端1154は、ニードルハブ1130の対抗して位置するウイング部1334とかみ合う。なお、ウイング部1334は、シリンダーハブ1120の対抗して位置する長孔1225を通して広がっている。
【0073】
スプリング1150は、図79A、図79B、図80A、図80B、図81A及び図81Bに示すように、圧縮状態にある。よって、スプリング1150は、ニードルハブ1130のウイング部1334に対して、上方向にのみニードルハブ1130を向かわせる力を加える。しかし、ニードルハブ1130の主筐体1331のかかり部1335がシリンダーハブ1120の孔1226の肩部1227とかみ合っているので、シリンダーハブ1120に対してニードルハブ1130は、適当な位置に維持される。例えば、図79Aを参照せよ。同様に、スプリング1150は、ハウジング1110とスリーブ1140とが離れるように力を加えるが、スリーブ1140のかかり部1448がハウジング1110の突出部115とかみ合っているので、ハウジング1110とスリーブ1140との間の一体は維持される。
【0074】
図71〜図81に示すように、粘着部1160は、スリーブ1140の第2端1442の面1449(図67及び図70参照)の上に配置される。面1449は、患者の上に配置する前に、粘着部1160を固定する枠として機能することが好ましい。例示の好ましい実施形態では、粘着部1160は、層1662、1663、1664、同様に、ライナー1661、1665を有している。又、ライナー1661及びライナー1665は、タブ1666、1667を有していることが好ましい。タブ1666、1667は、以下に示すようにライナー1661、1665を除去するためのものである。
【0075】
粘着部1160は、様々な方法によりスリーブ1140の面1449に取り付けることができる。好ましい実施形態においては、ライナー1661を除去し、粘着性を用いて層1662を面1449に取り付ける。さらに、以下に示すように、好ましい実施形態では、層1664の頂面1669及び/若しくは輸液装置の下端は、粘着性を有し、輸液装置を粘着部に接するように異動して、輸液装置を粘着部1160に取り付ける。図81A、図81B、及び図81Cを参照せよ。
【0076】
さらに、ライナー1665は、除去されることが好ましく、層1664の下面1668は、粘着性を有し、粘着部1160を患者の皮膚に取り付ける。
【0077】
サイトは、輸液装置1100上に粘着部1160を適用する前に、輸液装置1100に装填されることが好ましい。また、スリーブ1140に粘着部を付着し、キャップ1170をハウジング1110と取り付ける前に、上述のように、ライナー1661及びライナー1665の両方を取り除いておくことが好ましい。この方法では、患者は、皮膚に粘着部1160を当て、皮膚の中へサイトを挿入する前に、どのライナーをも除去する必要がないので好ましい。
【0078】
層1664は、どんな穴も有さないが、その代わりに針1336によって突き刺され、針1336は、以下に示すように、皮膚に向かって前進する。このような構成によって、粘着部1160と患者の皮膚との間のフィット感を向上させることができる。
【0079】
好ましい実施形態では、粘着部1160は、一若しくはそれ以上の面1668及び面1669上で粘着性を有し、粘着部1160は、スリーブ1140、サイト、及び/若しくは患者の皮膚に取り付けられる。粘着部1160で使用される典型的な粘着性は、アクリル系粘着性、構成ゴムベースの粘着性、アクリレート系粘着性、及びシリコンベース粘着性を、制限なく含んでいる。
【0080】
実施例では、粘着部1160は、3M(商標)製のテガダーム(Tegaderm(商標))フィルム、スミス・アンド・ネフュー(Smith & Nephew(商標))製のIV3000(商標)フィルムのような、粘着性を有するフィルムを有している。例えば、好ましい実施形態では、テープ層1662は3M(商標)の9731テープであり、テープ層1663及びテープ層1664は3M(商標)のテガダーム(Tegaderm(商標))p/n9842である。
【0081】
図74〜図76に、キャップ1170を示す。キャップ1170は、第1閉端1772及び第2開端1774を有している。キャップ1170は、ギザギザ状面を外観に有し、患者がキャップ1170をつかみやすくすることが望ましい。さらに、キャップ1170は、内部に、第2開端1774付近に位置するねじ山部1776を有している。ねじ山部1776は、ハウジング1110のねじ山部113とかみ合い、装置1100を密閉する。図54、図79A、及び図79Bを参照せよ。
【0082】
好ましい実施形態においては、ガスケット122は、ハウジング1110のねじ山部113に備えられ、キャップ1170がハウジング1110に取り付けられることで、キャップ1170とハウジング1110との間の密閉を形成する。図79A、図79Bを参照せよ。この方法では、装置1100の内部構成(例えば、針1336やサイト1800)は、キャップ1170を取り除く前では、ほぼ無菌状態が維持される。さらに、キャップ1170は、ハウジング1110からキャップ1170を取り除く前では、装置1100を抑留状態(すなわち、ハウジング1110がスリーブ1140に対して移動できない状態)に維持することができる。
【0083】
新たな実施形態では、キャップ1170及び/又はハウジング1110に、不正開封シールを提供できるように形成し、キャップ1170が事前にハウジング1110から取り外されたときを判断できる。例えば、図103〜図105に示す装置1100’の新たな実施形態で、不正開封帯1178を示す。不正開封帯1178は、図103に示すように、キャップ1170に取り付けられるタブ1179を有している。キャップ1170がハウジング1110から取り外されると(例えば、キャップ1170のねじ山部514がハウジング1110のねじ山部1512から取り外されること)、図104に示すように、タブ1179はキャップ1170によって破損されるが、不正開封シール1178はハウジング1110に残ったままとなる。もし、キャップ1170がその後に装置1100’に取り付けられたとしても、タブ1179とキャップ1170との間の破損は明らかであり、このことによって、患者は、装置1100’のキャップ1170が事前に取り外されたことをことを確認することができる。
【0084】
キャップ1170及び不正開封帯1178を、単一のユニットとして製造中に装置1100’に配置することができる。例えば、図105に示すように、キャップ1170及び不正開封帯1178を装置1100’に押しつけ(ねじ山部1512、514を回すことによって、キャップ1170を装置1100’に押しつることができることに注意)、不正開封帯1178の部分1520が通り過ぎ、ハウジング1110の肩部1522に取り付けられるので、キャップ1170が取り外され、タブ1179が破損したときに、ハウジング1110上に不正開封帯1178を保持する。さらに、不正開封帯1178に沿って周期的にV字刻印を形成することによって、キャップ1170及び不正開封帯1178を装置1100’に押しつけ、タブ1179を損なうことがないように、キャップ1170を不正開封帯1178に対して最も低い位置とならないようにすることができる。また、キャップ1170の内周に沿って伸びる部分1502は、ハウジング1110の外面との一体性を形成し、ハウジング1110とキャップ1170との間の密閉を形成する。
【0085】
例えば、不正開封帯1178を提供し、患者が装置1100’が事前に開封されず、使用前に無菌状態であることを確信できることが望ましい。不正開封を示唆する他の方法も利用可能である。
【0086】
これまで示したように、装置1100’は、患者の皮膚の皮下層内に、サイト800のような輸液装置のカニューレを挿入することに利用される。好ましい実施形態では、輸液装置は、前述のサイト100やサイト450とおる意味同様に構成されている。
【0087】
図54、図67〜図83に、種々の使用状態における装置1100を示す。図54、図79A、及び図79Bに示すように、装置1100は、使用前には抑留状態にある。図77、図80A、及び図80Bに示すように、装置1100は、送達状態にあり、患者の皮膚に輸液装置のカニューレを送達するための準備をする。図78、図81A、図81B、及び図81Cに示すように、装置1100は、トリガー状態、若しくは針1336及びサイトのカニューレを患者の皮膚の皮下層へ十分に挿入された状態にあり、ニードルハブ1130及び取り付けられた針1336は、まさに回収されようとしている。図82A及び図82Bに示すように、装置1100は、ニードルハブ1130及び取り付けられた針1336が装置1100に回収された回収状態にある。図83A及び図83Bに示すように、装置1100は、ハウジング1110及びスリーブ1140が互いに力を受けていない完全回収状態にある。
【0088】
装置1100の使用方法の一例を以下に示す。図54、図79A、及び図79Bに示すように、ハウジング1110に取り付けられたキャップ1170を有する装置1100が患者に提供される。サイト1800は、前もって、例えば装置1100の製造プロセスの間に、装置1100に装填(すなわち、先行装填)されていることが望ましい。例えば、針1336上にサイト1800を挿入することによって、サイト1800を事前に装填しておく。より詳しくは、サイト1800のダイアフラムを針1336の上に配置し、そして、さらに、サイト1800を針1336の上に移動して、針1336を伸ばして、カニューレ1806内を通す。サイト1800を針1336上に配置しながら、キャップ1170を装置1100に取り付ける。
【0089】
装置1100の使用方法に戻って、キャップ1170は、ハウジング1110から取り外され、粘着部1160が患者の皮膚1900に接するように、装置1100のスリーブ1140を配置する。図77、図80A及び図80Bを参照せよ。
【0090】
次ぎに、図示する好ましい実施形態では、患者は、ハウジング1110の上端111に力を加えて、ハウジング1110と、シリンダーハブ1120及びニードルハブ1130(針1336及びサイト1800を含む)を含む関連する構成とを、スリーブ1140に対してA方向へ、そして患者の皮膚1900に向かって、移動する。ニードルハブ1130の針1336及び取り付けられたサイト1800をA方向へ移動しながら、針1336及びサイト1800のカニューレ1806を患者の皮膚1900へ挿入する。さらに、ニードルハブ1130をスリーブ1140に向かって移動させ、スプリング1150にさらに圧力を加える。
【0091】
図78、図81A、図81B、及び図81Cに示すように、針1336及びサイト1800のカニューレ1806を皮膚1900へ十分に挿入すると、輸液装置1100は、トリガー状態となる。この状態では、ニードルハブ1130をシリンダーハブ1120に取り付けるかかり部1335には、スリーブ1140によって形成された突出部1444との接触し、内部でバイアスされている。
【0092】
ハウジング1110、シリンダーハブ1120、及びニードルハブ1130をさらにA方向へ移動しながら、図81Cに示すように、サイト1800の下部がスリーブ1140の第2端1442をわずかに超えて移動するように、ニードルハブ1130を位置を定めることが好ましい。この「超移動(over-travel)」によって、粘着部1160をスリーブ1140の面1449から適切にはぎ取り、サイト1800を粘着部1160に取り付けることが確実に行われる。
【0093】
例えば、好ましい実施形態では、サイト1800の下部は、1000分の50〜100インチ、最も好ましくは約1000分の70インチ、スリーブ1140の第2端1442を超えて移動する。装置1100の粘着部1160上に、また/もしくは、サイト1800上に粘着性を与え、サイト1800を粘着部1160に取り付ける。
【0094】
さらに、ハウジング1110、シリンダーハブ1120、及びニードルハブ1130を上述のようにさらにA方向へ移動させて、スリーブ1140の突出部1444によってニードルハブ1130のかかり部1335に内側に力を加え、それによってシリンダーハブ1120とかかり部1335とのかみ合いをなくす。ニードルハブ1130のかかり部1335はシリンダーハブ1120から解放されると、ニードルハブ1130は、シリンダーハブ1120の内部通路1223内を縦方向に、A方向の反対方向であるB方向へ自由に移動することができる。図82A及び図82Bに示すように、ハウジング1110の動きを通じてA方向に圧縮されているスプリング1150は、ハウジング1110の上端111の中へ、シリンダーハブ1120を通って、B方向へ、ニードルハブ1130及び取り付けられた針1336を押し戻す。一方で、サイト1800及び取り付けられたカニューレ1806は、患者の皮膚1900に固定されたままである。
【0095】
患者がハウジング1110の上端111から押圧力を取り除くと、スプリング1150によって、ハウジング1110及びシリンダーハブ1120は、図92A及び図83Bに示すように、B方向へ移動し、完全回収状態となる。
【0096】
最後に、スリーブ1140を皮膚1900から取り外し、キャップ1170を装置1100のハウジング1110のねじ山部113へ取り付ける。その後、装置1100を廃棄する。
【0097】
装置に関して多くの新たな形状が考えられる。例えば、図84に、シリンダーハブ1120’及びニードルハブ1130’を有する新たな形状の一部を示す。シリンダーハブ1120’及びニードルハブ1130’は、前記シリンダーハブ1120及び前記ニードルハブ1130と同様である。但し、シリンダーハブ1120’は、シリンダーハブ1120’の第1端1221付近に形成される突出部1129を有している。また、ニードルハブ1130’は、第1端1332に形成されるかかり部1139を有している。かかり部1139は、針1336が回収されている間はシリンダーハブ1120’の内部通路1223の内側をB方向移動し、シリンダーハブ1120’の突出部1129を超える位置まで達するように構成されている。その位置まで達すると、かかり部1139は、わずかに外側に広がる。図84に示す構成では、かかり部1139は、ニードルハブ1130’及び取り付けられた針1336がA方向へ逆戻りしないようにしている。この方法では、かかり部1139が、完全回収状態においてニードルハブ1130’を固定する。この構成は、B方向にニードルハブ1130’を押し出すスプリング1150の力とは別々に利用することによって、若しくは同時に利用することによって、回収後に針1336を不用意に露出させる可能性を低くすることに役立つ。
【0098】
他の新たな実施形態において、装置1100’’を図85〜図91に示す。装置1100’’は、前記装置1100と同様である。但し、スリーブ(つまり、スリーブ1140)をトリガー1140’に置き換えている。装置1100’’では、トリガー1140’(図88〜図91参照)は、挿入の前に針1336を覆い隠すスリーブ1140のような機能を果たすのではなく、その代わりに、トリガー1140’は、以下の示すように、十分に挿入された針1336を回収するきっかけとして機能する。
【0099】
装置1100’’に関する実施形態では、キャップ1170を取り除くと、図86A及び図86Bに示すように、針1336が露出する。この構成では、ハウジング1110、シリンダーハブ1120、及びニードルハブ1130をハウジングに対して縦方向に移動させる代わりに、患者は、ハウジング1110を持って、露出した針1336を皮膚に挿入することによって、皮膚に針1336及び取り付けられたサイトのカニューレ1806を簡単に挿入できる。
【0100】
針1336及びカニューレ1806が十分に挿入されると、トリガー1140’が皮膚に達し、それによって、針1336を有するニードルハブ1130が、サイトを皮膚上に残したまま、ハウジング1110内に回収される。例示の実施形態では、トリガー1140’によってニードルハブ1130のかかり部1335を内側に変位させ、ニードルハブ1130をシリンダーハブ1120から開放し、そして、図87A及び図87Bに示すように、スプリング1150によって、ニードルハブ1130及び取り付けられた針1336をハウジング1110の上部の中に向かって、B方向へ、移動させるという点で、トリガー1140’は、自動的である。
【0101】
新たな実施形態では、患者がトリガー1140’を手動で操作することによって、ニードルハブ1130及び取り付けられた針1336を回収し、カニューレ1806を十分に挿入しておくように、トリガー1140’を構成することも可能である。
【0102】
図92〜図96に、装置1100’’’の他の実施形態を示す。装置1100’’’はハウジング1110’、針1336、及びハウジング1110’に取り付けられるキャップ(図示せず)のみを有するという点では、装置1100’’’は、手動的な装置といえる。サイト(図示せず)を針1336に装填し、ハウジング1110’にキャップをして、使用前に無菌環境を構築しておくことが望ましい。装置1100’’’を使用するためには、患者は、キャップをハウジング1110’から取り外し、ハウジング1110’を手で持ちながら針及び取り付けられたサイトのカニューレを皮膚に挿入することが望ましい。カニューレが完全に挿入されると、患者は、ハウジング1110’を反対方向へ移動させ、所定の位置にサイトを残しながら、皮膚から針を抜き取る。最後に、患者は、キャップをハウジング1110’に再び取り付けて、針1336が不用意に露出される機会を少なくすることが望ましい。装置1100’’’を廃棄するか、若しくは所望のときに再び利用することが可能である。
【0103】
図97〜図102に、サイト1970における挿入を補助する装置1950の他の実施例を示す。装置1950は、装置1100とは本質的に異なる。例えば、患者は手動により装置1100を作動し、皮膚にサイトの針及びカニューレを挿入するが、装置1950では、スプリング1960を用いて、患者の皮膚にサイトの針及びカニューレを挿入する点で、自動作動といえる。
【0104】
装置1950は、ハウジング1958、キャップ1952、ロック部材1962、ニードルハブ1965、主筐体1980、保持筐体1978、及びスリーブ1982を有している。また、装置1950は、第1スプリング1960及び第2スプリング1966を有している。
【0105】
装置1950は、以下のように作動する。ロック部材1962、ニードルハブ1964、及び支持筐体1978は、装置1950のハウジング1958及びスリーブ1982に対して縦方向に移動することができる。ニードルハブ1965の針1968が装置1950の開端1984からアクセス可能なように、ロック部材1962を配置する。そして、針1968の上にサイト1970のカニューレを合わせるようにして、サイト1970を針1968の上に装填する。ハウジング1958には、開口部1986が形成されており、様々なサイズのサイト1970(例えば、ウイング付きサイト)に適応する。
【0106】
図102に示すように、針1968の上にサイト1970を装填すると、患者は、ハウジング1958の長孔1976を介して操作可能な突出部1974を用いて、ロック部材1962のかかり部1956がハウジング1958の外壁に引っかかるまで、当該ロック部材1962を移動する。この状態で、装置1950は、患者の皮膚にサイト1970を挿入する用意ができている。
【0107】
次ぎに、装置1950のスリーブ1982を患者の皮膚に押しつけて配置する。サイト1970の挿入を始めるために、患者は、キャップ1952を取り外す。押すと、キャップ1952の反対側端部の肩部1954はロック部材1962のかかり部1956と互いに係合し、押し込み、かかり部1956の係合をハウジング1958から取り除く。かかり部1956がハウジング1958からはずれると、ロック部材1962、主筐体1980、ニードルハブ1965、支持筐体1978、及び取り付けられたサイト1970は、第1スプリング1960によってD方向へ移動させられる。
【0108】
装置1950は皮膚に向かってサイト1970を移動し続け、この移動によって、皮膚に針1968及びサイト1970のカニューレを挿入する。サイト1970のカニューレが十分に皮膚に挿入されると、ニードルハブ1965のかかり部1964がスリーブ1982の傾斜面1972に引っかかり、かかり部1964は互いに力を受ける。サイト1970のカニューレが十分に皮膚に挿入されると、かかり部1964は、傾斜面1972によって内側向きに十分な押圧力を受け、主筐体1980の端部1988との係合を解消する。そして、第2スプリング1960は、主筐体1980に形成される内部通路1990内でC方向へニードルハブ1965を移動させる。
【0109】
第2スプリング1960によってニードルハブ1965が主筐体1980内を移動すると、皮膚上の所定の場所にサイト1970を残しながら、針1968をサイト1970から取り除く。さらに、支持筐体1978は、スリーブ1982の開端1984付近に位置し続ける。このため、装置1950が患者の皮膚から取り除かれても、患者は、支持筐体1978によって針1968へ触れることがないようになる。
【0110】
本明細書において記述された原理に係る輸液装置は、様々な理由から都合がよい。例えば、セットを、サイトに対していろいろと選択した回転位置で取り付けることができる。いくつかの実施形態では、複数の回転位置をとることもできる。このことによって、患者は、回転させながらセットを望むように位置決めし、(取り付けられるチューブをセットに取り付け、)例えば、サイトが患者の体のどの位置に取り付けられていても気にすることなく、チューブを輸液ポンプに向かって延ばすことができる。
【0111】
さらに、サイトを皮膚上に残したまま、セット及び取り付けられたチューブを何回もサイトから取り外すことができる。これによって、患者がサイトに対してセットを再び位置決めする場合、また、患者が一時的にセットをサイトから取り外す場合、例えば、患者がシャワーを浴びて、セットをサイトに取り付ける場合にも、魅力あるものにできる。さらに、サイトを目立たないように構成し、患者に対して目立たないもとすることが望ましい。
【0112】
また、セットのサイトへの取り付け、及び、アンロック・ポジションからロック・ポジションへのセットのスライド操作は、患者が位置決めやセットの取り付けを片手で行えるという点で好都合である。このことは、例えば、両手でも簡単に手が届かない患者の体の部分や患者が容易に確認することができない部分(例えば、サイトを患者の背中に取り付けた場合)にサイトを取り付けていたときに、より好ましい。
【0113】
さらに、セットの構成は、ダイヤフラムに突き刺したり、サイトに薬物を送達するために使用する中空針(例えば、針214、411)に不用意に触れてしまうことから患者を保護する機能を果たす。例えば、セット200の第1部材210のアウター・アーム220、224及びインナー・アーム226、228は、概ね針214を取り囲み、患者が中空針に不用意に触れる危険性を減らす機能を果たす。
【0114】
また、サイトのダイアフラムの構成は、一つのダイアフラムによって一つの針を用いてサイトのカニューレを体内に挿入すること、及び、もう一つの針を用いてセットをサイトに取り付けること、の両方の機能を果たす点で好ましい。さらに、ダイアフラムとサイトとの間の摩擦による取り付けを介して、ダイアフラムをサイト内に固定し、サイト内にダイアフラムを固定するための追加の構成を必要としないようにできることが好ましい。
【0115】
これまでに輸液装置の例を記述したが、当該輸液装置に対しては様々な変更が可能である。例えば、前述のように、サイト100の部材120及びセット200の中央孔270を様々形状に形成し、セット200がサイト100に対して複数の位置で位置決めできるようにする。さらに、固定部材を部材120の開放上部にピッタリとはめ込み、円筒状空間121内の適当な位置にダイアフラム150を固定するようにできる。
【0116】
その他の実施形態では、サイト100の第2部材250を主筐体260から伸びるカバー部材を有するように構成し、セット200をロック・ポジションに移動させたときに、カバー部材がダイアフラム150の閉上端部154上まで伸び、外部の汚染要因にサイト及びセットをさらす危険性を減少するようにできる。
【0117】
本明細書において記述された原理に沿った装置は、様々な理由から都合がよい。例えば、各装置は、皮膚上に簡単にサイトを設置できる。なお、ユーザが片手で装置を操作して、所望の位置にサイトを設置できるようにすることが望ましい。
【0118】
さらに、本明細書において開示されたいくつかの実施形態は、サイトを挿入する前に針を覆う、若しくは隠す構成を有している。また、これによって、針は、挿入の後、装置に回収され、針に不用意に触れてしまうことがないようにしている。
【0119】
さらに、本明細書において開示されたいくつかの実施形態は、皮膚上にサイトを残しながら、針は自動的に回収される。これによって、患者が露出した針に触れる危険性を少なくすることができる。なお、この回収については、装置が患者のさらなる操作を必要としないトリガー状態となり、これによって針が回収されるというように、自動的に行われることが望ましい。また、針の自動回収によって、患者内に針が留まる時間を制限でき、患者の痛みを和らげる。
【0120】
さらに、本明細書において開示された装置を用いて皮膚上の位置に針を挿入しようとする動作によって、針を回収する間、皮膚の表面上にサイトを固定することができる。これによって、皮膚に粘着部を粘着させることが容易になり、針を回収する間において粘着部及びサイトと皮膚とが分離する機会を少なくすることができる。
【0121】
さらに、本明細書において開示された装置に係るいくつかの実施例のハウジング及びキャップによって、患者に送達される針や輸液装置を内蔵する装置に関する様々な構成要素を、使用前には無菌環境におくことができる。さらに、前述の構成によって、装置の周りを包装する必要性を最小限にし、コストを削減でき、装置の使用をより容易とすることができる。また、前述の構成によって、ハウジング及びキャップによる装置の針の保護が可能となり、装置の針の保管が可能となる。さらに、装置の構成及びディスポーザル性によって、使用後に装置を容易に廃棄することができる。
【0122】
また、本明細書において開示された装置に関するいくつかの実施例における構成によって、サイトは装置に事前に装填される。このことによって、患者は容易に使用でき、また、患者が針に身をさらす危険性が減少する。例えば、本明細書において開示された使い捨ての実施例では、患者が挿入の前にサイトを装填することなく、事前にサイトが装填されている装置を提供することが望ましい。
【0123】
装置に関するいくつかの実施例では、サイトの自動挿入及び針の自動引き抜きの両方が可能となり、それによって、患者の挿入仮定の全般における自動化が可能となる。
【0124】
使い捨ての装置が望ましいが、針を回収し、再装填することができる再利用型の装置も期待される。
【0125】
前記詳細な説明、実施例及びデータによって、製品及び発明が完全に記述された。発明の実施例の多くは発明の精神及び発明の範囲から逸脱することはないので、発明は後述するクレームに存在する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に薬物を送達するための輸液装置に関する。また、本発明は、患者に薬物を送達するために当該患者の皮膚に輸液装置のカニューレを挿入することを補助する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
輸液装置は、薬剤のような薬物を患者の皮膚の皮下層に送達するために使用される。一般的には、輸液装置は、皮膚に挿入されるカニューレ、及び、輸液装置から、例えば薬物を送達するための輸液ポンプへ伸びるチューブを有している
現在の形状では、所定の位置に輸液装置を維持し、チューブを輸液ポンプに向かう方向へ伸ばしながら、一方で、皮膚に輸液装置のカニューレを挿入することが、概ね必要とされる。さらに、一度、輸液装置を皮膚上に配置すると、輸液装置及び取り付けられたチューブを再設定したり、患者の皮膚からカニューレを抜くことなくチューブを体から取り外す方法は、ほとんどない。さらに、輸液装置の形状は、望ましくなく背が高く、輸液装置を設置し隠すことを難しくし、また、体への付け心地を悪くしている。さらに、皮膚に輸液装置を挿入する方法が複雑になり、取り付けのためには両手が必要となる。
【0003】
また、患者の皮膚への輸液装置のカニューレの挿入を補助する装置は、よく知られている。例えば、ある装置は、患者の皮膚に自動的に針を挿入するスプリングを用いて、皮下層に輸液装置のカニューレを挿入する。
【0004】
針を皮膚の皮下層に輸液装置のカニューレを挿入するために用いるので、針を不用意に露出させる危険性がある。さらに、患者は挿入に先立って針を目にすることに抵抗感を示し、例えば、皮膚の中へ針を入れることをいやに思うかもしれない。前の装置は、輸液装置の挿入前かつ/又は挿入後において、この針を十分に覆い隠していないのかもしれない。
【0005】
輸液装置のデザインや利用に関する他の問題には、患者による利用及び殺菌の容易性がある。例えば、ある患者にとっては、輸液装置を挿入装置へ装填することが難しいのかもしれない。
【0006】
そこで、患者の皮膚へ薬物を送達するために、輸液装置に関する新たなデザイン、及び、患者の皮膚への輸液装置の挿入を補助するために用いられる装置に関する新たなデザインを提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0007】
本発明に沿った実施例は、患者に薬物を送達するため輸液装置に関する。
【0008】
一の実施形態では、輸液装置は、サイト及びセットを有している。サイトは、患者の皮膚の皮下層の挿入されるカニューレを有している。例えば、セットをサイト上に配置し、セットをアンロック・ポジションからロック・ポジションへ移動させることによって、セットをサイトに取りつけることができる。そして、薬物は、セットを通ってサイトへ、そしてサイトから患者へカニューレを通して送達される。
【0009】
セットは、サイトに対して複数の回転位置に配置できることが好ましく、何度でもサイトに取り付けたり、取り外したりできることが望ましい。
【0010】
他の実施形態では、装置は、患者の皮膚に輸液装置のカニューレを挿入するために用いられる針を有している。いったん輸液装置のカニューレを皮膚に挿入すると、装置は、針を装置内における回収状態とする。
【0011】
他の実施形態では、装置は、針及び取り付けられた輸液装置のカニューレを送達状態からトリガー状態へと移動するように構成されている。トリガー状態では、輸液装置のカニューレが、患者の皮膚へ挿入される。トリガー状態においてカニューレが十分に挿入されると、装置は、針を装置内における回収状態とするように構成されている。
【0012】
他の実施形態では、装置は、患者の皮膚へサイトのカニューレを挿入するために利用される針を有している。カニューレの挿入に際して、針は皮膚から抜き取られる。ある実施形態では、無菌環境を提供し、又は/若しくは、針を外部にさらす危険性を少なくするために、装置を利用する前後に、装置上に配置されるキャップが提供される。
【0013】
本発明に関するこれまでのサマリーは、開示された各実施形態や本発明の各実施を記述するものではない。より詳細にフォローする詳細な説明における図面は、発明の実施例を例示するものである。ある実施形態が図面に表され、実施例に記述されていても、発明は当該実施形態での利用に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るサイトの実施形態における上側からの斜視図である。
【図2】図1のサイトに関する下側からの斜視図である。
【図3】図1の装置のサイトに関する側面図である。
【図4】図1のサイトに関する上面図である。
【図5】図1のサイトに関する底面図である。
【図6】図3のサイトの6−6線に沿った断面図である。
【図6A】サイトを挿入するために使用される針を有する図3のサイトの6−6線に沿った断面図である。
【図7】図1のサイトに関する分解立体図である。
【図8】図6のサイトのベースに関する上側からの斜視図である。
【図9】図8のベースに関する下側からの斜視図である。
【図10】図8のベースに関する側面図である。
【図11】図8のベースに関する上面図である。
【図12】図1のサイトのカニューレに関する側面図である。
【図13】図13のカニューレの端面図である。
【図14】図12のカニューレ14−14線に沿った断面図である。
【図15】図1のサイトのダイアフラムに関する側面図である。
【図16】図15のダイアフラムに関する端面図である。
【図17】図16のダイアフラムの17−17線に沿った断面図である。
【図18】図1のサイトの粘着部に関する上面図である。
【図19】図19の粘着部の19−19線に沿った断面図である。
【図20】図18の粘着部の分解図である。
【図21】本発明に係るサイトの実施例に関する、アンロック・ポジションにおける、上側からの斜視図である。
【図22】図21のセットの第1部材に関する上側からの斜視図である。
【図23】図22の第1部材に関する上面図である。
【図24】図22の第1部材に関する側面図である。
【図25】図22の第1部材に関する端面図である。
【図26】図22の第1部材に関する他の端面図である。
【図27】図21のセットの第2部材に関する上側からの斜視図である。
【図28】図27の第2部材に関する上面図である。
【図29】図27の第2部材に関する側面図である。
【図30】図27の第2部材に関する端面図である。
【図31】図27の第2部材に関する他の端面図である。
【図32】図21のセットに関する、アンロック・ポジションにおける、上側からの斜視図である。
【図33】図32のセットに関する側面図である。
【図34】図32のセットに関する端面図である。
【図35】セットの一部を明確にするために取り外した状態での、図32のセットの35−35線に沿った断面図である。
【図36】図21のセットに関する、ロック・ポジションにおける、上側からの斜視図である。
【図37】図26のセットに関する上面図である。
【図38】図36のセットに関する側面図である。
【図39】図36のセットに関する端面図である。
【図40】図36のセットに関する下側からの斜視図である。
【図41】図36のセットに関する底面図である。
【図42】セットの一部を明確にするために取り外した状態での、図38のセットの42−42線に沿った断面図である。
【図43】互いに取り付けられた図1のサイト及び図21のセットに関する斜視図である。
【図44】図43のサイト及びセットの上面図である。
【図45】図43のサイト及びセットの底面図である。
【図46】図43のサイト及びセットの側面図である。
【図47】図43のサイト及びセットの端面図である。
【図48】図43のサイト及びセットのもう一方の端面図である。
【図49】図43のサイト及びセットに関する分解立体図である。
【図50】図44のサイト及びセットに関する50−50線に沿った断面断面図である。
【図51】本発明に係るサイト及びセットを有する輸液装置に係る他の実施例の分解立体図である。
【図52】図51の輸液装置に関する、ロック・ポジションにおける分解立体図である。
【図53】図51の輸液装置に関する断面図である。
【図54】本発明に係る輸液装置のカニューレの挿入に利用される装置の実施形態における側面図である。
【図55】図54の装置に関する展開側面図である。
【図56】図54の装置のハウジングに関する透視図である。
【図57】図56のハウジングに関する側面図である。
【図58】図56のハウジングに関する端面図である。
【図59】図54の装置のシリンダーハブに関する透視図である。
【図60】図59のシリンダーハブに関する側面図である。
【図61】図59のシリンダーハブに関するもう一方の側面図である。
【図62】図59のシリンダーハブに関する端面図である。
【図63】図54の装置のニードルハブに関する透視図である。
【図64】図63のニードルハブに関する側面図である。
【図65】図63のニードルハブに関するもう一方の側面図である。
【図66】図63のニードルハブの端面図である。
【図67】図54の装置のスリーブに関する透視図である。
【図68】図67のスリーブの側面図である。
【図69】図67のスリーブの他の側面図である。
【図70】図67のスリーブの端面図である。
【図71】図54の装置の粘着部に関する上面図である。
【図72】図71の粘着部の72−72断面に関する断面図である。
【図73】図71の粘着部の分解図である。
【図74】図54の装置のキャップに関する透視図である。
【図75】図74のキャップの側面図である。
【図76】図74のキャップの端面図である。
【図77】キャップを取り除いた図54の装置に関する側面図である。
【図78】トリガー状態における図77の装置に関する側面図である。
【図79A】抑留状態における図54の装置の79A−79A断面に関する断面図である。
【図79B】抑留状態における図54の装置の79B−79B断面に関する断面図である。
【図80A】送達状態における図77の装置の80A−80A断面に関する断面図である。
【図80B】送達状態における図77の装置の80B−80B断面に関する断面図である。
【図81A】トリガー状態における図78の装置の81A−81A断面に関する断面図である。
【図81B】トリガー状態における図78の装置の81B−81B断面に関する断面図である。
【図81C】図81Bの装置の断面図であり、粘着部がスリーブから取り剥がされた状態を示している。
【図82A】ニードルハブが回収された図81Aの装置に関する断面図である。
【図82B】ニードルハブが回収された図81Bの装置に関する断面図である。
【図83A】回収状態における図77の装置の83A−83A断面に関する断面図である。
【図83B】回収状態における図77の装置の83B−83B断面に関する断面図である。
【図84】本発明に係る装置の他の実施例の一部の断面図であり、患者に輸液装置を挿入するために使用される装置に関するものである。
【図85A】本発明に係る装置の他の実施例の断面図であり、患者に輸液装置を挿入するために使用される装置で抑留状態にあるものである。
【図85B】図85Aの装置の垂直面に沿った断面図である。
【図86A】送達状態にある図85Aの装置に関する断面図である。
【図86B】送達状態にある図85Bの装置に関する断面図である。
【図87A】回収状態にある図85Aの装置に関する断面図である。
【図87B】回収状態にある図85Bの装置に関する断面図である。
【図88】図85Aの装置のスリーブに関する透視図である。
【図89】図88のスリーブの側面図である。
【図90】図88のスリーブのもう一方の側面図である。
【図91】図88のスリーブの端面図である。
【図92】本発明に係る装置の他の実施例の透視図であり、患者に輸液装置を挿入するために使用される装置に関するものである。
【図93】図92の装置の他の透視図である。
【図94】図92の装置の側面図である。
【図95】図92の装置の端面図である。
【図96】図92の装置のもう一方の端面図である。
【図97】本発明に係る装置の他の実施例の透視図であり、患者に輸液装置を挿入するために使用される装置に関するものである。
【図98】図97の装置の側面図である。
【図99】図97の装置のもう一方の側面図である。
【図100】図97の装置の端面図である。
【図101】図97の装置のもう一方の端面図である。
【図102】図97の装置の49−49断面に沿った断面図である。
【図103】本発明に係る装置の他の実施例の透視図であり、患者に輸液装置を挿入するために使用され、不正開封シールを有する装置に関するものである。
【図104】キャップが外され、不正開封シールが剥がれた図103の装置に関する側面図である。
【図105】図103の装置の一部の105−105断面に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、患者の皮膚の皮下層に薬物を送達するための輸液装置に関する。本発明の実施例は、患者の皮膚の皮下層への輸液装置、特に当該輸液装置のカニューレの挿入を補助するための装置に関する。
【0016】
一般的に、本明細書において開示される輸液装置の実施例は、カニューレを備えるサイト(site)のほか、サイトに薬物を送達するためにサイトに取り付けることができるセット(set)を有している。なお、カニューレは、薬物を送達するために患者の皮膚の皮下層に挿入される。
【0017】
図1〜図7に、本発明に係る輸液装置のサイト100の一実施例を示す。一般的に、サイト100は、患者に薬物を送達するためのセット(後述)と組み合わせて用いられる。
【0018】
サイト100は、ベース110、カニューレ130、ダイアフラム150、及び粘着部170を有している。図6Aに示すように、サイト100のカニューレ130は、針(例えば、針139)を用いて患者の皮膚の皮下層に挿入される。粘着部170によって、サイト100のベース110を患者の皮膚に取り付けることができる。以下に示すように、ダイアフラム150は、カニューレと液体のやり取りを行い、ダイアフラム150からカニューレ130を介して患者の皮膚に薬液を送達する。
【0019】
図8〜図11に、ベース110を示す。ベースは、上部111及び底部112を有するスタンド114を有している。また、スタンド114には、ベース110の中心軸Cに配置される開口113が形成されている。さらに、スタンド114には、上部111の8つの位置に配置される小孔115が形成されている。なお、小孔115は、ベース110の中心軸Cに関して放射状に等間隔に配置される。
【0020】
また、ベース110は、スタンド114と一体をなす部材120を有している。部材120は、スタンド114の中心の開口113周辺に配置され、8つの面124を有している。好ましい一の実施形態では、部材120は、円筒形状を有していない。例えば、図示する実施形態では、部材120は、以下に示すように、八角形状を有している。なお、他の形状をとることも可能である。部材120が円筒形状でないことによって、サイト100に取り付けることができるセットの異なる取り付け位置を設定できる。
【0021】
部材120の内壁によって円筒状空間120が形成されており、また、部材120の外側の周辺部によって、当該外側の周辺部に広がる溝122が形成される。さらに、部材120には、内部の円筒状空間121から部材120の外部の溝122に伸びる8つの孔123が形成されている。
【0022】
図12〜図14に、カニューレ130を示す。カニューレ130は、第1端132及び第2端134を有している。カニューレ130の第1端132は、テーパー状底部140を有するフランジ部136、及び後述するテーパー部138を有している。また、カニューレ130は、第1端132から第2端134に伸びる中央孔142を有している。中央孔142によって、薬物を第1端132から導入し、第2端134から外へ送達することができる。
【0023】
カニューレ130は、ベース110の円筒状空間121の内部に配置され、カニューレ130のテーパー状底部140を、部材120の円筒状空間121のテーパー状底部表面125に合わせることができる。また、カニューレ130の第2端134は、スタンド114の中央孔113を通過して、スタンド114の底部112に対してほぼ直角に伸びる。図6を参照せよ。カニューレ130のテーパー状底部140をベース110のスタンド114付近に配置することが望ましい。
【0024】
カニューレ130は、フッ化エチレンプロピレン(FEP)により構成されていることが望ましい。四フッ化エチレン樹脂(PTFE)や他の適当なプラスチック等、他の材料を利用することもできる。
【0025】
図15〜図17に、ダイアフラム150を示す。一般的に、ダイアフラム150は、隔膜やシールとして機能し、例えば輸液装置や他の同様の装置からカニューレ130に供給された薬物を送達するために針が隔膜の内側部にアクセスすることを可能とする。
【0026】
ダイアフラム150は、ほぼ円筒状形状であることが望ましく、また、開底端部152及び閉上端部154を有している。また、ダイアフラム150は、開底端部152付近のテーパー部156、及び中央貯留部158を有している。
【0027】
例えば図6及び図17に示すように、ダイアフラム150は、部材120の円筒状空間121に配置される。また、ダイアフラム150は、部材120の内部空間壁と摩擦により一体となるようなサイズを有する外周面160を有し、円筒状空間121にダイアフラム150を固定することが望ましい。さらに、ダイアフラム150のテーパー部156は、ベース110のテーパー状底部表面125と一体となるように構成されている。開底端部152は、カニューレ130の第1端132に取り付けられ、それにより、貯留部158とカニューレ130の中央孔142との間で液体のやり取りが可能となる。
【0028】
より詳細には、ダイアフラム150の開底端部152付近の面157をカニューレ130の第1端132に押し込んで、カニューレ130に対するシールを形成し、薬物をダイアフラム150から、カニューレ130を通って、患者へ送達することができようにすることが好ましい。他の実施形態では、例えばOリングのような追加的な構成を、ダイアフラム150とカニューレ130との間に用いることによって、追加的なシーリングを形成するようにすることもできる。
【0029】
好ましい実施形態では、ダイアフラム150は、エラストマーシリコンによって構成されている。なお、例えば、エチレンプロピレンや他の適当なエラストマー系材料を用いることも可能である。
【0030】
前述のように、ダイアフラム150の外周面160と円筒状内部空間121の内壁との摩擦力によって取り付けられることによって、当該ダイアフラム150をベース110の部材120の円筒状内部空間121内に固定することが好ましい。他の実施形態においては、固定部材を部材120の開放上部にピッタリと適合させて、さらに、ダイアフラム150を円筒状内部空間121の適当な位置に固定することも可能である。他の実施形態としては、ダイアフラム150を、部材120の他の特徴によって押し込み、円筒状内部空間121に固定することもできる。また、ダイアフラム150に部材120の特徴と結合する特徴を持たせることもできる。例えば、他の一の実施形態として、部材120に形成される孔123内に収まる位置に、収まるサイズのかかり部を外周面160に有するようにダイアフラム150を形成し、当該ダイアフラム150を円筒状内部空間121内に固定することも可能である。他の形態をとることも可能である。
【0031】
図18〜図20に、粘着部170を示す。粘着部170は、層174を挟み込むライナー172及びライナー176を有している。層174は、孔178を有していることが好ましく、以下に記述するように、サイト100のカニューレ130はその孔を通して伸びている。
【0032】
ライナー172を取り除き、粘着性を用いてベース110のスタンド114の底部112に層174を取り付けることができる。粘着性の例としては、アクリル系の粘着性、合成ゴムベースの粘着性、アクリレート系の粘着性、及びシリコンベースの粘着性を含んでいるが、これらに限定されない。さらに、ライナー176を取り除き、層174の下側に粘着性を与えることによって、粘着部170及び取り付けられたサイト100を、例えば、他の粘着部や患者の皮膚に取り付けることが可能となる。
【0033】
好ましい実施形態では、粘着部170の層174は、粘着性を有するフィルム、例えば、3M(商標)社製の1577テープ、を有している。なお、フィルムは当該例示に限定されない。他の材料を用いることも可能である。
【0034】
その他の実施形態では、粘着部170を完全に取り除くことが可能であり、また、サイト100と患者の皮膚との間の粘着性をフィルム、及び/又は、以下に示す他の構造によってもたらされる粘着性を用いて提供することも可能である。又は、3M(商標)製のテガダーム(Tegaderm(商標))フィルム、スミス・アンド・ネフュー(Smith & Nephew(商標))製のIV3000(商標)フィルムのような他の材料によって構成される単独若しくは複数の層によって、層174を置き換え又は補完することも可能である。
【0035】
他の実施形態では、タブ(図示しないが、ライナー172及びライナー176に示されるタブと同様のものが好ましい)や、皮膚から層174及び取り付けられたサイト100を所望のときに取り除く際に患者の助けとなる他の同様の構成を、層174に設けることも可能である。例えば、層174の外周面からタブを伸ばし、患者がタブを持って、皮膚から層174を剥がし、サイト100を取り除くようにすることも可能である。
【0036】
その他の実施形態では、層174は、背面に発泡体や層174付近に追加される同様の追加的構成を有し、サイト100が患者の皮膚に挿入される際の補助的なクッションを与えることができる。
【0037】
図21に、本発明に係る輸液装置に関するセット200の実施例を示す。前述のように、また、さらに後述のように、セット200は、サイト(例えばサイト100)に取り付けられて使用され、患者に薬物を送達することができる。
【0038】
セット200は、一般的に、第1部材210及び第2部材250を有している。以下に示すように、第1部材210は、第2部材250に対して移動可能であり、アンロック・ポジション(例えば、図21、図32〜図35参照)及びロック・ポジションをとる。
【0039】
図22〜図26に、第1部材210を示す。第1部材210は、主筐体212及びポート213を有している。ポート213は、主筐体212内を伸び、中空針214と液体のやり取りを行う。ポート213は、例えば、セット200に薬物を送達するための輸液ポンプに取り付けることができるチューブ(例えば、図21に示すチューブ305)に取り付けられることが望ましい。
【0040】
また、第1部材210は、アウター・アーム220、222を有している。アウター・アーム220、222は、先端に形成されるかかり部223及びアウター・アーム220、223の下に形成される突出部230を有している。さらに、第1部材210は、かかり部229を有するインナー・アーム226、228を有している。以下に示すように、アウター・アーム220、222は、面221に力が加わると、互いに向かって変位することができる。
【0041】
図27〜図31に、第2部材250を示す。第2部材250は、主筐体260及び8角形状の中央孔270を有している。また、第2部材250は、開口262を有している。開口262は、中央孔270に伸びている。主筐体260に対して反対側に配置される開口264についても同様である。また、第2部材250は、ベース261の下面274に形成される突出部266を有している。主筐体260のベース261内を伸びることが好ましい長溝268についても同様である。
【0042】
図21及び図32〜図35に、アンロック・ポジションにあるセット200の第1部材210及び第2部材250を示す。インナー・アーム226、228が第2部材250の開口262に納められるように、第1部材210は、スライドしながら第2部材250に受容される。第1部材210のアウター・アーム220、222上の突出部230は、第2部材250の長溝268に受容される。
【0043】
図35に示すように、アンロック・ポジションでは、第1部材210のインナー・アーム226、228のかかり部229は、開口264内を伸びて、第2部材250の肩部271と係合し、第1部材210と第2部材250とが今後離れないようにすることができる。
【0044】
図36〜図42に、ロック・ポジションにあるセット200の第1部材210及び第2部材250を示す。アンロック・ポジションからロック・ポジションにセット200を移動するために、第1部材210及び第2部材250を互いにスライドさせ、第1部材210のアウター・アーム220、222が、第2部材250の開口264に受け入れられるようにする。さらに、アウター・アーム220、222の突出部230が、第2部材250の長溝268に沿ってスライドする。さらに、以下に示すように、インナー・アーム226、228の面234が、部分的に中央孔270内に伸びる。
【0045】
図42に示すように、ロック・ポジションでは、アウター・アーム220、222は、開口264内を伸び、第2部材250の縁部272と係合する。さらに、第1部材210のインナー・アーム226、228は、第2部材250内に伸びる。このロック・ポジションでは、かかり部223と縁部272とが係合しているので、第1部材210は第2部材250に対して相対的にスライドすることができない。
【0046】
ロック・ポジションからアンロック・ポジションに戻し、第1部材210を第2部材250からスライドさせて取り外すために、面221に力を加えてアウター・アーム220、222を互いに内側に向かってそらせて、かかり部223を縁部272から外す。これによって、図21及び図32〜図35に示すように、第1部材210は、第2部材250に対してスライドでき、アンロック・ポジションに戻ることができる。
【0047】
第2部材250に形成される長溝268は、カム状面269を有し、第1部材210のアウター・アーム220の下側に伸びる突出部230は、長溝268の第1端267に向かって片寄らされ、これによって第1部材210はアンロック・ポジションに片寄らされる。図40及び図41を参照せよ。他の実施形態では、第1部材210をアンロック・ポジションに片寄らせるための他の特徴を提供することも可能である。例えば、つめを形成し、かかり部229と係合させ、第1部材210のインナー・アーム226、228をロック・ポジションに向かって移動させて、第1部材210をアンロック・ポジションにならないようにすることができる。セット200がアンロック・ポジションに簡単に位置し、サイト100から取り外すことができるアンロック・ポジションにセット200が戻らないようにすることが望ましい。
【0048】
図43〜図50を示すように、これまで述べてきたようなサイト100とセット200とを同時に用いて患者に薬物を送達するための輸液装置300を形成することができる。
【0049】
輸液装置300の一の使用方法を以下に示す。はじめに、サイト100を患者の皮膚の上に取り付け、カニューレ130を患者の皮下層に挿入する。このことは、例えば、ダイアフラム150の露出した閉上端部154を通って、カニューレ130の中央孔142を通って、さらに第2端134を超えて伸びる針(例えば、図6Aに示す針130)を用いることによって、実現される。カニューレ130のフランジ部136のテーパー部138は、カニューレ130の中央孔142内を針が通り抜けるようにするためのガイドの役目を果たすことができる。この状態で、針を用いて、患者の皮膚の中にサイト100のカニューレ130を挿入する。さらに、カニューレ130が適当な位置となると、針を取り除き、患者の皮下層内の適当な位置にカニューレ130を残すことができる。針が取り除かれると、ダイアフラム150の閉上端部154は自らを、再度、密閉し、貯留部158の流体に対する密閉性を維持する。
【0050】
好ましい実施形態では、図54〜図105に関して以下に記述するような一若しくは複数の装置や方法を用いて、輸液装置300のサイト100を患者の皮膚上の適当な位置に配置する。
【0051】
(カニューレ130を皮下層に挿入している状態で)サイト100を患者の皮膚上に取り付けると、セット200を以下のようにしてサイト100に取り付けることができる。アンロック・ポジションにあるセット200に関して、セット200を部材120上に配置し、そして、セット200の8角形状の中央孔270が、部材120の当該中央孔270内に収まるようにすることができる。セット200をサイト100上に下げて、セット200の下面274をサイト100のスタンド114に接するようにし、第2部材250の突出部266がベース110のスタンド114の小孔115内に収まるようにする。
【0052】
サイト100のこの状態で、セット200の第1部材210をアンロック・ポジションからロック・ポジションへ移動させ、インナー・アーム226、228(図23、図36、図37参照)の面234がベース110の部材120の溝122にはまるようにする。これによって、セット200はサイト100に固定され、セット200がロック・ポジションにあるときは、セット200をサイト100から取り外そうとするあらゆる上向きの力をセット200は食い止める。さらに、サイト100の部材120及びセット200の中央孔270の形状によって、小孔115に受け容れられる突出部266と同様に、セット200は、サイト100に対して正しい位置に取り付けられ、また、セット200がアンロック・ポジションにあるときに、セット200がサイト100に対して回転しないようにする機能を得る。
【0053】
さらに、セット200の第1部材210をアンロック・ポジションからロック・ポジションへ移動し、針214を部材120に形成された8つの孔123のうちの一つを通って、円筒状空間121のダイアフラム150内に通過させる。図50に示すような完全なロック・ポジションでは、針214の端部215は、ダイアフラム150の貯留部158内に配置される。この状態では、ポート213は、中空の針214を介してダイアフラム150の円筒状空間121と液体のやり取りができるように取り付けられる。また、円筒状空間121は、同様に、カニューレ130の中央孔142を介して患者の皮膚上で液体のやり取りができるように取り付けられる。この方法では、薬物は、(例えば、図示しないチューブによって)セット200のポート213へ送達され、そして、針214を通って貯留部158へ送達され、そして、カニューレ130によって患者の皮膚の皮下層へ送達される。
【0054】
サイト100に対してセット200を所望のように適切に配置するのではなく、若しくは、患者がサイト100からセット200を取り外すことを望むのであれば、アウター・アーム220、222に同時に力を加えて、第1部材210を第2部材250から遠ざけるようにスライドさせてアンロック・ポジションとすることによって、セット200をロック・ポジションからアンロック・ポジションに移動させることができる。このアクションによって、面234は溝122から取り外され、同様に針214は貯留部158から取り除かれる。針214が取り除かれると、ダイアフラム150は再びシールする。そして、セット200をサイト100から取り外しても、サイト100は患者の皮膚上の適当な位置に残る。セット200を他の位置に、若しくはより遅いタイミングで取り付けることもできる。
【0055】
図示する輸液装置300の実施形態では、セット200をサイト100に対して8つの異なる位置に取り付けて、固定することができる。他の実施形態では、より少ない若しくはより多い所望の位置を有するように、サイト100及びセット200を構成することができる。例えば、他の実施形態では、4つの適切な配置位置が必要なのであれば、サイト100の部材120及びセット200の中央孔270を4角形状に形成することができる。
【0056】
図51〜図53に、本発明に係る輸液装置400の他の実施形態を示す。輸液装置400は、前述の輸液装置300と同様であるが、以下に示す点で異なっている。
【0057】
輸液装置400は、中央部材407を有するサイト405を有している。中央部材407は、突き刺すことができるアウター・シェル430、及びアウター・シェル430を取り囲む柔らかいインナー・ダイアフラム432を有している。アウター・シェル430は、プラスチックのような素材で構成される。中央部材407の内部貯留部434は、カニューレ440と液体のやり取りができるように取り付けられる。図53を参照せよ。
【0058】
また、輸液装置400は、第1部材410及び第2部材420を有している。第1部材410は、針411、端部にかかり部415を有する第1アーム412及び第2アーム414を有している。第2部材420は、肩部422、424を有している。第1部材410及び第2部材420には、それぞれに、開口部461、462が形成されている。開口部461、462は、サイト405の中央部材407の一部を納めるのに適したサイズに形成されている。
【0059】
輸液装置400は、以下のようにして使用される。まず、サイト405を患者の皮膚上に取り付け、カニューレ440を皮下層内へ挿入する。次ぎに、サイトの第1部材410及び第2部材420をサイト405の上に配置し、開口部461、462を中央部材407関して位置決めし、第1部材410及び第2部材420を互いに向かってスライドさせて、アンロック・ポジションからロック・ポジションにする。セットをロック・ポジションに移動すると、針411をサイト405の中央部材407内に挿入し、アウター・シェル430を通過させて移動させ、内部貯留部434内でカニューレ440と液体のやり取りができるように取り付ける。さらに、第1アーム412、第2アーム414を第2部材420内に納め、かかり部415を肩部422、424と係合させて、図52に示すように、ロック・ポジションにする。
【0060】
セットをロック・ポジションからアンロック・ポジションに戻すためには、かかり部415に互いに向かうように力を加えて、かかり部415と肩部422、424との係合を解除し、そして第1部材410を第2部材420から遠ざけるようにスライドさせる。これによって、針411をサイト405の中央部材407から抜き取る。
【0061】
セットを回転させながらサイト405に対して適当に位置決めするために特別な構造を輸液装置400に用意することがなく、所望するようにサイト405に関する無数の回転位置でセットを位置決めできることが望ましい。さらに、サイトの中央部材407及びセットの開口部461、462は円形状であることが好ましいので、セットを完全にサイト405から取り外す必要がなく、サイトの第1部材410及び第2部材420をサイト405に対して相対的に回転させることができる。
【0062】
図54〜105に、皮下輸液装置および該装置を、たとえば場所100のように、患者の皮膚の皮下層に配置する方法の実施例を示す。
【0063】
図54、図55に装置1100の一実施例を示す。装置1100は、セットやサイト、他のアクセス装置のような輸液装置のカニューレを挿入するために用いられる。このセットやサイト、他のアクセス装置は、例えば輸液ポンプから、患者に薬や他の液体を送達することに用いられる。
【0064】
一般的に、装置1100は、ハウジング1110、シリンダーハブ1120、ニードルハブ1130、スリーブ1140、スプリング1150、粘着部1160、及びキャップ1170を有している。さらに以下に示すように、装置1100の各構成は、患者の皮膚へ輸液装置のカニューレを挿入することを補助するように構成されている。
【0065】
図56〜図58に、ハウジング1110を示す。ハウジング1110は、円筒形状が好ましく、また、閉上端1111及び開下端1112を有している。さらに、ハウジング1110は、ぎざぎざ状表面部1118及びねじ山部113を有している。ぎざぎざ状表面部1118は、患者がハウジング1110を手で持つ際のグリップ力を高める。ねじ山部113は、開下端1112付近に配置される。
【0066】
図59〜図62に、シリンダーハブ1120を詳細に示す。シリンダーハブ1120は、第1端1221、第2端1222、及び内部通路1223を有している。さらに、2つの対向する長孔1225は、シリンダーハブ1120に向かい合うように形成されており、概ねシリンダーハブ1120の中間部1224から第1端1221へ伸びている。さらに、シリンダーハブ1120は、対向して位置する孔1226を有している。孔1226は、第2端1222付近のシリンダーハブ1120に形成されている。
【0067】
シリンダーハブ1120の第1端1221は、ハウジング1110のタブ1119がシリンダーハブ1120に形成されている肩部1228とかみ合うことによって、ハウジング1110の閉上端1111に取り付けられる。例えば、図59〜図61、図79A及び76Bを参照せよ。さらに、ハウジング1110の構成部1121は、シリンダーハブ1120の長孔1229内に受容される。異なるデザインとして、ハウジング1110とシリンダーハブ1120とを一ユニットとして形成することもできる。
【0068】
ここで、図63〜図66に示すように、ニードルハブ1130は、第1端1332及び第2端1333を有する主筐体1331、及び主筐体1331と一対をなす(中空若しくは中実の)針1336を有している。主筐体1331は、第1端1332に対向して形成されるウイング部1334、第2端1333に対向して位置するかかり部1335を有している。
【0069】
ニードルハブ1130は、シリンダーハブ1120の内部通路1223内に配置され、ニードルハブ1130の対向して位置するウイング部1334は、シリンダーハブ1120の対向して位置する長孔1225を通り抜けて広がっている。図59、図61、図79B、図80B、図81B、図82B及び図83Bを参照せよ。さらに、ニードルハブ1130の対向して位置するかかり部1335は、シリンダーハブ1120の対向して位置する孔1226を通り抜けて広がっており、孔1226によって形成される肩部1228とかみ合う。その結果、ニードルハブ1130は、シリンダーハブ1120及びハウジング1110に対して固定される。例えば、図59、図61、図79A、図80A、及び図81Aを参照せよ。
【0070】
図67〜図70に、スリーブ1140を示す。スリーブ1140は、円筒形状が好ましく、また、第1端1441、第2端1442及び内部通路1443を有している。対向して位置する突出部1444は、肩部1445付近の内部通路1443の内部で延びている。スリーブ1140の外面では、溝部1446が形成され、同様に、かかり部1448を有する路線部1447が形成されている。かかり部1448は路線部1447の端部に形成されている。
【0071】
ハウジング1110は、スリーブ1140に対して縦方向に移動させて、スリーブ1140をハウジング1110とかみ合わせる。詳細には、ハウジングの路線部114をスリーブ1140の溝部1446に納める。同様に、スリーブ1140の路線部1447をハウジング1110の溝部115に納める。スリーブ1140の路線部1447に位置するかかり部1448をハウジング1110の溝部115の突出部116とかみ合わせて、ハウジング1110が、スプリング1150(後述)によって生ずる力に抵抗してスリーブ1140に対して滑らかに移動可能なように一体を維持する。
【0072】
スプリング1150は、第1端1152及び第2端1154を有している。図79Bを参照せよ。スプリング1150は、シリンダーハブ1120の一部を取り囲み、スリーブ1140の内部通路1443の内部で伸びている。スプリング1150の第1端1152は、スリーブ1140の肩部1445上に配置されている。また、スプリング1150の第2端1154は、ニードルハブ1130の対抗して位置するウイング部1334とかみ合う。なお、ウイング部1334は、シリンダーハブ1120の対抗して位置する長孔1225を通して広がっている。
【0073】
スプリング1150は、図79A、図79B、図80A、図80B、図81A及び図81Bに示すように、圧縮状態にある。よって、スプリング1150は、ニードルハブ1130のウイング部1334に対して、上方向にのみニードルハブ1130を向かわせる力を加える。しかし、ニードルハブ1130の主筐体1331のかかり部1335がシリンダーハブ1120の孔1226の肩部1227とかみ合っているので、シリンダーハブ1120に対してニードルハブ1130は、適当な位置に維持される。例えば、図79Aを参照せよ。同様に、スプリング1150は、ハウジング1110とスリーブ1140とが離れるように力を加えるが、スリーブ1140のかかり部1448がハウジング1110の突出部115とかみ合っているので、ハウジング1110とスリーブ1140との間の一体は維持される。
【0074】
図71〜図81に示すように、粘着部1160は、スリーブ1140の第2端1442の面1449(図67及び図70参照)の上に配置される。面1449は、患者の上に配置する前に、粘着部1160を固定する枠として機能することが好ましい。例示の好ましい実施形態では、粘着部1160は、層1662、1663、1664、同様に、ライナー1661、1665を有している。又、ライナー1661及びライナー1665は、タブ1666、1667を有していることが好ましい。タブ1666、1667は、以下に示すようにライナー1661、1665を除去するためのものである。
【0075】
粘着部1160は、様々な方法によりスリーブ1140の面1449に取り付けることができる。好ましい実施形態においては、ライナー1661を除去し、粘着性を用いて層1662を面1449に取り付ける。さらに、以下に示すように、好ましい実施形態では、層1664の頂面1669及び/若しくは輸液装置の下端は、粘着性を有し、輸液装置を粘着部に接するように異動して、輸液装置を粘着部1160に取り付ける。図81A、図81B、及び図81Cを参照せよ。
【0076】
さらに、ライナー1665は、除去されることが好ましく、層1664の下面1668は、粘着性を有し、粘着部1160を患者の皮膚に取り付ける。
【0077】
サイトは、輸液装置1100上に粘着部1160を適用する前に、輸液装置1100に装填されることが好ましい。また、スリーブ1140に粘着部を付着し、キャップ1170をハウジング1110と取り付ける前に、上述のように、ライナー1661及びライナー1665の両方を取り除いておくことが好ましい。この方法では、患者は、皮膚に粘着部1160を当て、皮膚の中へサイトを挿入する前に、どのライナーをも除去する必要がないので好ましい。
【0078】
層1664は、どんな穴も有さないが、その代わりに針1336によって突き刺され、針1336は、以下に示すように、皮膚に向かって前進する。このような構成によって、粘着部1160と患者の皮膚との間のフィット感を向上させることができる。
【0079】
好ましい実施形態では、粘着部1160は、一若しくはそれ以上の面1668及び面1669上で粘着性を有し、粘着部1160は、スリーブ1140、サイト、及び/若しくは患者の皮膚に取り付けられる。粘着部1160で使用される典型的な粘着性は、アクリル系粘着性、構成ゴムベースの粘着性、アクリレート系粘着性、及びシリコンベース粘着性を、制限なく含んでいる。
【0080】
実施例では、粘着部1160は、3M(商標)製のテガダーム(Tegaderm(商標))フィルム、スミス・アンド・ネフュー(Smith & Nephew(商標))製のIV3000(商標)フィルムのような、粘着性を有するフィルムを有している。例えば、好ましい実施形態では、テープ層1662は3M(商標)の9731テープであり、テープ層1663及びテープ層1664は3M(商標)のテガダーム(Tegaderm(商標))p/n9842である。
【0081】
図74〜図76に、キャップ1170を示す。キャップ1170は、第1閉端1772及び第2開端1774を有している。キャップ1170は、ギザギザ状面を外観に有し、患者がキャップ1170をつかみやすくすることが望ましい。さらに、キャップ1170は、内部に、第2開端1774付近に位置するねじ山部1776を有している。ねじ山部1776は、ハウジング1110のねじ山部113とかみ合い、装置1100を密閉する。図54、図79A、及び図79Bを参照せよ。
【0082】
好ましい実施形態においては、ガスケット122は、ハウジング1110のねじ山部113に備えられ、キャップ1170がハウジング1110に取り付けられることで、キャップ1170とハウジング1110との間の密閉を形成する。図79A、図79Bを参照せよ。この方法では、装置1100の内部構成(例えば、針1336やサイト1800)は、キャップ1170を取り除く前では、ほぼ無菌状態が維持される。さらに、キャップ1170は、ハウジング1110からキャップ1170を取り除く前では、装置1100を抑留状態(すなわち、ハウジング1110がスリーブ1140に対して移動できない状態)に維持することができる。
【0083】
新たな実施形態では、キャップ1170及び/又はハウジング1110に、不正開封シールを提供できるように形成し、キャップ1170が事前にハウジング1110から取り外されたときを判断できる。例えば、図103〜図105に示す装置1100’の新たな実施形態で、不正開封帯1178を示す。不正開封帯1178は、図103に示すように、キャップ1170に取り付けられるタブ1179を有している。キャップ1170がハウジング1110から取り外されると(例えば、キャップ1170のねじ山部514がハウジング1110のねじ山部1512から取り外されること)、図104に示すように、タブ1179はキャップ1170によって破損されるが、不正開封シール1178はハウジング1110に残ったままとなる。もし、キャップ1170がその後に装置1100’に取り付けられたとしても、タブ1179とキャップ1170との間の破損は明らかであり、このことによって、患者は、装置1100’のキャップ1170が事前に取り外されたことをことを確認することができる。
【0084】
キャップ1170及び不正開封帯1178を、単一のユニットとして製造中に装置1100’に配置することができる。例えば、図105に示すように、キャップ1170及び不正開封帯1178を装置1100’に押しつけ(ねじ山部1512、514を回すことによって、キャップ1170を装置1100’に押しつることができることに注意)、不正開封帯1178の部分1520が通り過ぎ、ハウジング1110の肩部1522に取り付けられるので、キャップ1170が取り外され、タブ1179が破損したときに、ハウジング1110上に不正開封帯1178を保持する。さらに、不正開封帯1178に沿って周期的にV字刻印を形成することによって、キャップ1170及び不正開封帯1178を装置1100’に押しつけ、タブ1179を損なうことがないように、キャップ1170を不正開封帯1178に対して最も低い位置とならないようにすることができる。また、キャップ1170の内周に沿って伸びる部分1502は、ハウジング1110の外面との一体性を形成し、ハウジング1110とキャップ1170との間の密閉を形成する。
【0085】
例えば、不正開封帯1178を提供し、患者が装置1100’が事前に開封されず、使用前に無菌状態であることを確信できることが望ましい。不正開封を示唆する他の方法も利用可能である。
【0086】
これまで示したように、装置1100’は、患者の皮膚の皮下層内に、サイト800のような輸液装置のカニューレを挿入することに利用される。好ましい実施形態では、輸液装置は、前述のサイト100やサイト450とおる意味同様に構成されている。
【0087】
図54、図67〜図83に、種々の使用状態における装置1100を示す。図54、図79A、及び図79Bに示すように、装置1100は、使用前には抑留状態にある。図77、図80A、及び図80Bに示すように、装置1100は、送達状態にあり、患者の皮膚に輸液装置のカニューレを送達するための準備をする。図78、図81A、図81B、及び図81Cに示すように、装置1100は、トリガー状態、若しくは針1336及びサイトのカニューレを患者の皮膚の皮下層へ十分に挿入された状態にあり、ニードルハブ1130及び取り付けられた針1336は、まさに回収されようとしている。図82A及び図82Bに示すように、装置1100は、ニードルハブ1130及び取り付けられた針1336が装置1100に回収された回収状態にある。図83A及び図83Bに示すように、装置1100は、ハウジング1110及びスリーブ1140が互いに力を受けていない完全回収状態にある。
【0088】
装置1100の使用方法の一例を以下に示す。図54、図79A、及び図79Bに示すように、ハウジング1110に取り付けられたキャップ1170を有する装置1100が患者に提供される。サイト1800は、前もって、例えば装置1100の製造プロセスの間に、装置1100に装填(すなわち、先行装填)されていることが望ましい。例えば、針1336上にサイト1800を挿入することによって、サイト1800を事前に装填しておく。より詳しくは、サイト1800のダイアフラムを針1336の上に配置し、そして、さらに、サイト1800を針1336の上に移動して、針1336を伸ばして、カニューレ1806内を通す。サイト1800を針1336上に配置しながら、キャップ1170を装置1100に取り付ける。
【0089】
装置1100の使用方法に戻って、キャップ1170は、ハウジング1110から取り外され、粘着部1160が患者の皮膚1900に接するように、装置1100のスリーブ1140を配置する。図77、図80A及び図80Bを参照せよ。
【0090】
次ぎに、図示する好ましい実施形態では、患者は、ハウジング1110の上端111に力を加えて、ハウジング1110と、シリンダーハブ1120及びニードルハブ1130(針1336及びサイト1800を含む)を含む関連する構成とを、スリーブ1140に対してA方向へ、そして患者の皮膚1900に向かって、移動する。ニードルハブ1130の針1336及び取り付けられたサイト1800をA方向へ移動しながら、針1336及びサイト1800のカニューレ1806を患者の皮膚1900へ挿入する。さらに、ニードルハブ1130をスリーブ1140に向かって移動させ、スプリング1150にさらに圧力を加える。
【0091】
図78、図81A、図81B、及び図81Cに示すように、針1336及びサイト1800のカニューレ1806を皮膚1900へ十分に挿入すると、輸液装置1100は、トリガー状態となる。この状態では、ニードルハブ1130をシリンダーハブ1120に取り付けるかかり部1335には、スリーブ1140によって形成された突出部1444との接触し、内部でバイアスされている。
【0092】
ハウジング1110、シリンダーハブ1120、及びニードルハブ1130をさらにA方向へ移動しながら、図81Cに示すように、サイト1800の下部がスリーブ1140の第2端1442をわずかに超えて移動するように、ニードルハブ1130を位置を定めることが好ましい。この「超移動(over-travel)」によって、粘着部1160をスリーブ1140の面1449から適切にはぎ取り、サイト1800を粘着部1160に取り付けることが確実に行われる。
【0093】
例えば、好ましい実施形態では、サイト1800の下部は、1000分の50〜100インチ、最も好ましくは約1000分の70インチ、スリーブ1140の第2端1442を超えて移動する。装置1100の粘着部1160上に、また/もしくは、サイト1800上に粘着性を与え、サイト1800を粘着部1160に取り付ける。
【0094】
さらに、ハウジング1110、シリンダーハブ1120、及びニードルハブ1130を上述のようにさらにA方向へ移動させて、スリーブ1140の突出部1444によってニードルハブ1130のかかり部1335に内側に力を加え、それによってシリンダーハブ1120とかかり部1335とのかみ合いをなくす。ニードルハブ1130のかかり部1335はシリンダーハブ1120から解放されると、ニードルハブ1130は、シリンダーハブ1120の内部通路1223内を縦方向に、A方向の反対方向であるB方向へ自由に移動することができる。図82A及び図82Bに示すように、ハウジング1110の動きを通じてA方向に圧縮されているスプリング1150は、ハウジング1110の上端111の中へ、シリンダーハブ1120を通って、B方向へ、ニードルハブ1130及び取り付けられた針1336を押し戻す。一方で、サイト1800及び取り付けられたカニューレ1806は、患者の皮膚1900に固定されたままである。
【0095】
患者がハウジング1110の上端111から押圧力を取り除くと、スプリング1150によって、ハウジング1110及びシリンダーハブ1120は、図92A及び図83Bに示すように、B方向へ移動し、完全回収状態となる。
【0096】
最後に、スリーブ1140を皮膚1900から取り外し、キャップ1170を装置1100のハウジング1110のねじ山部113へ取り付ける。その後、装置1100を廃棄する。
【0097】
装置に関して多くの新たな形状が考えられる。例えば、図84に、シリンダーハブ1120’及びニードルハブ1130’を有する新たな形状の一部を示す。シリンダーハブ1120’及びニードルハブ1130’は、前記シリンダーハブ1120及び前記ニードルハブ1130と同様である。但し、シリンダーハブ1120’は、シリンダーハブ1120’の第1端1221付近に形成される突出部1129を有している。また、ニードルハブ1130’は、第1端1332に形成されるかかり部1139を有している。かかり部1139は、針1336が回収されている間はシリンダーハブ1120’の内部通路1223の内側をB方向移動し、シリンダーハブ1120’の突出部1129を超える位置まで達するように構成されている。その位置まで達すると、かかり部1139は、わずかに外側に広がる。図84に示す構成では、かかり部1139は、ニードルハブ1130’及び取り付けられた針1336がA方向へ逆戻りしないようにしている。この方法では、かかり部1139が、完全回収状態においてニードルハブ1130’を固定する。この構成は、B方向にニードルハブ1130’を押し出すスプリング1150の力とは別々に利用することによって、若しくは同時に利用することによって、回収後に針1336を不用意に露出させる可能性を低くすることに役立つ。
【0098】
他の新たな実施形態において、装置1100’’を図85〜図91に示す。装置1100’’は、前記装置1100と同様である。但し、スリーブ(つまり、スリーブ1140)をトリガー1140’に置き換えている。装置1100’’では、トリガー1140’(図88〜図91参照)は、挿入の前に針1336を覆い隠すスリーブ1140のような機能を果たすのではなく、その代わりに、トリガー1140’は、以下の示すように、十分に挿入された針1336を回収するきっかけとして機能する。
【0099】
装置1100’’に関する実施形態では、キャップ1170を取り除くと、図86A及び図86Bに示すように、針1336が露出する。この構成では、ハウジング1110、シリンダーハブ1120、及びニードルハブ1130をハウジングに対して縦方向に移動させる代わりに、患者は、ハウジング1110を持って、露出した針1336を皮膚に挿入することによって、皮膚に針1336及び取り付けられたサイトのカニューレ1806を簡単に挿入できる。
【0100】
針1336及びカニューレ1806が十分に挿入されると、トリガー1140’が皮膚に達し、それによって、針1336を有するニードルハブ1130が、サイトを皮膚上に残したまま、ハウジング1110内に回収される。例示の実施形態では、トリガー1140’によってニードルハブ1130のかかり部1335を内側に変位させ、ニードルハブ1130をシリンダーハブ1120から開放し、そして、図87A及び図87Bに示すように、スプリング1150によって、ニードルハブ1130及び取り付けられた針1336をハウジング1110の上部の中に向かって、B方向へ、移動させるという点で、トリガー1140’は、自動的である。
【0101】
新たな実施形態では、患者がトリガー1140’を手動で操作することによって、ニードルハブ1130及び取り付けられた針1336を回収し、カニューレ1806を十分に挿入しておくように、トリガー1140’を構成することも可能である。
【0102】
図92〜図96に、装置1100’’’の他の実施形態を示す。装置1100’’’はハウジング1110’、針1336、及びハウジング1110’に取り付けられるキャップ(図示せず)のみを有するという点では、装置1100’’’は、手動的な装置といえる。サイト(図示せず)を針1336に装填し、ハウジング1110’にキャップをして、使用前に無菌環境を構築しておくことが望ましい。装置1100’’’を使用するためには、患者は、キャップをハウジング1110’から取り外し、ハウジング1110’を手で持ちながら針及び取り付けられたサイトのカニューレを皮膚に挿入することが望ましい。カニューレが完全に挿入されると、患者は、ハウジング1110’を反対方向へ移動させ、所定の位置にサイトを残しながら、皮膚から針を抜き取る。最後に、患者は、キャップをハウジング1110’に再び取り付けて、針1336が不用意に露出される機会を少なくすることが望ましい。装置1100’’’を廃棄するか、若しくは所望のときに再び利用することが可能である。
【0103】
図97〜図102に、サイト1970における挿入を補助する装置1950の他の実施例を示す。装置1950は、装置1100とは本質的に異なる。例えば、患者は手動により装置1100を作動し、皮膚にサイトの針及びカニューレを挿入するが、装置1950では、スプリング1960を用いて、患者の皮膚にサイトの針及びカニューレを挿入する点で、自動作動といえる。
【0104】
装置1950は、ハウジング1958、キャップ1952、ロック部材1962、ニードルハブ1965、主筐体1980、保持筐体1978、及びスリーブ1982を有している。また、装置1950は、第1スプリング1960及び第2スプリング1966を有している。
【0105】
装置1950は、以下のように作動する。ロック部材1962、ニードルハブ1964、及び支持筐体1978は、装置1950のハウジング1958及びスリーブ1982に対して縦方向に移動することができる。ニードルハブ1965の針1968が装置1950の開端1984からアクセス可能なように、ロック部材1962を配置する。そして、針1968の上にサイト1970のカニューレを合わせるようにして、サイト1970を針1968の上に装填する。ハウジング1958には、開口部1986が形成されており、様々なサイズのサイト1970(例えば、ウイング付きサイト)に適応する。
【0106】
図102に示すように、針1968の上にサイト1970を装填すると、患者は、ハウジング1958の長孔1976を介して操作可能な突出部1974を用いて、ロック部材1962のかかり部1956がハウジング1958の外壁に引っかかるまで、当該ロック部材1962を移動する。この状態で、装置1950は、患者の皮膚にサイト1970を挿入する用意ができている。
【0107】
次ぎに、装置1950のスリーブ1982を患者の皮膚に押しつけて配置する。サイト1970の挿入を始めるために、患者は、キャップ1952を取り外す。押すと、キャップ1952の反対側端部の肩部1954はロック部材1962のかかり部1956と互いに係合し、押し込み、かかり部1956の係合をハウジング1958から取り除く。かかり部1956がハウジング1958からはずれると、ロック部材1962、主筐体1980、ニードルハブ1965、支持筐体1978、及び取り付けられたサイト1970は、第1スプリング1960によってD方向へ移動させられる。
【0108】
装置1950は皮膚に向かってサイト1970を移動し続け、この移動によって、皮膚に針1968及びサイト1970のカニューレを挿入する。サイト1970のカニューレが十分に皮膚に挿入されると、ニードルハブ1965のかかり部1964がスリーブ1982の傾斜面1972に引っかかり、かかり部1964は互いに力を受ける。サイト1970のカニューレが十分に皮膚に挿入されると、かかり部1964は、傾斜面1972によって内側向きに十分な押圧力を受け、主筐体1980の端部1988との係合を解消する。そして、第2スプリング1960は、主筐体1980に形成される内部通路1990内でC方向へニードルハブ1965を移動させる。
【0109】
第2スプリング1960によってニードルハブ1965が主筐体1980内を移動すると、皮膚上の所定の場所にサイト1970を残しながら、針1968をサイト1970から取り除く。さらに、支持筐体1978は、スリーブ1982の開端1984付近に位置し続ける。このため、装置1950が患者の皮膚から取り除かれても、患者は、支持筐体1978によって針1968へ触れることがないようになる。
【0110】
本明細書において記述された原理に係る輸液装置は、様々な理由から都合がよい。例えば、セットを、サイトに対していろいろと選択した回転位置で取り付けることができる。いくつかの実施形態では、複数の回転位置をとることもできる。このことによって、患者は、回転させながらセットを望むように位置決めし、(取り付けられるチューブをセットに取り付け、)例えば、サイトが患者の体のどの位置に取り付けられていても気にすることなく、チューブを輸液ポンプに向かって延ばすことができる。
【0111】
さらに、サイトを皮膚上に残したまま、セット及び取り付けられたチューブを何回もサイトから取り外すことができる。これによって、患者がサイトに対してセットを再び位置決めする場合、また、患者が一時的にセットをサイトから取り外す場合、例えば、患者がシャワーを浴びて、セットをサイトに取り付ける場合にも、魅力あるものにできる。さらに、サイトを目立たないように構成し、患者に対して目立たないもとすることが望ましい。
【0112】
また、セットのサイトへの取り付け、及び、アンロック・ポジションからロック・ポジションへのセットのスライド操作は、患者が位置決めやセットの取り付けを片手で行えるという点で好都合である。このことは、例えば、両手でも簡単に手が届かない患者の体の部分や患者が容易に確認することができない部分(例えば、サイトを患者の背中に取り付けた場合)にサイトを取り付けていたときに、より好ましい。
【0113】
さらに、セットの構成は、ダイヤフラムに突き刺したり、サイトに薬物を送達するために使用する中空針(例えば、針214、411)に不用意に触れてしまうことから患者を保護する機能を果たす。例えば、セット200の第1部材210のアウター・アーム220、224及びインナー・アーム226、228は、概ね針214を取り囲み、患者が中空針に不用意に触れる危険性を減らす機能を果たす。
【0114】
また、サイトのダイアフラムの構成は、一つのダイアフラムによって一つの針を用いてサイトのカニューレを体内に挿入すること、及び、もう一つの針を用いてセットをサイトに取り付けること、の両方の機能を果たす点で好ましい。さらに、ダイアフラムとサイトとの間の摩擦による取り付けを介して、ダイアフラムをサイト内に固定し、サイト内にダイアフラムを固定するための追加の構成を必要としないようにできることが好ましい。
【0115】
これまでに輸液装置の例を記述したが、当該輸液装置に対しては様々な変更が可能である。例えば、前述のように、サイト100の部材120及びセット200の中央孔270を様々形状に形成し、セット200がサイト100に対して複数の位置で位置決めできるようにする。さらに、固定部材を部材120の開放上部にピッタリとはめ込み、円筒状空間121内の適当な位置にダイアフラム150を固定するようにできる。
【0116】
その他の実施形態では、サイト100の第2部材250を主筐体260から伸びるカバー部材を有するように構成し、セット200をロック・ポジションに移動させたときに、カバー部材がダイアフラム150の閉上端部154上まで伸び、外部の汚染要因にサイト及びセットをさらす危険性を減少するようにできる。
【0117】
本明細書において記述された原理に沿った装置は、様々な理由から都合がよい。例えば、各装置は、皮膚上に簡単にサイトを設置できる。なお、ユーザが片手で装置を操作して、所望の位置にサイトを設置できるようにすることが望ましい。
【0118】
さらに、本明細書において開示されたいくつかの実施形態は、サイトを挿入する前に針を覆う、若しくは隠す構成を有している。また、これによって、針は、挿入の後、装置に回収され、針に不用意に触れてしまうことがないようにしている。
【0119】
さらに、本明細書において開示されたいくつかの実施形態は、皮膚上にサイトを残しながら、針は自動的に回収される。これによって、患者が露出した針に触れる危険性を少なくすることができる。なお、この回収については、装置が患者のさらなる操作を必要としないトリガー状態となり、これによって針が回収されるというように、自動的に行われることが望ましい。また、針の自動回収によって、患者内に針が留まる時間を制限でき、患者の痛みを和らげる。
【0120】
さらに、本明細書において開示された装置を用いて皮膚上の位置に針を挿入しようとする動作によって、針を回収する間、皮膚の表面上にサイトを固定することができる。これによって、皮膚に粘着部を粘着させることが容易になり、針を回収する間において粘着部及びサイトと皮膚とが分離する機会を少なくすることができる。
【0121】
さらに、本明細書において開示された装置に係るいくつかの実施例のハウジング及びキャップによって、患者に送達される針や輸液装置を内蔵する装置に関する様々な構成要素を、使用前には無菌環境におくことができる。さらに、前述の構成によって、装置の周りを包装する必要性を最小限にし、コストを削減でき、装置の使用をより容易とすることができる。また、前述の構成によって、ハウジング及びキャップによる装置の針の保護が可能となり、装置の針の保管が可能となる。さらに、装置の構成及びディスポーザル性によって、使用後に装置を容易に廃棄することができる。
【0122】
また、本明細書において開示された装置に関するいくつかの実施例における構成によって、サイトは装置に事前に装填される。このことによって、患者は容易に使用でき、また、患者が針に身をさらす危険性が減少する。例えば、本明細書において開示された使い捨ての実施例では、患者が挿入の前にサイトを装填することなく、事前にサイトが装填されている装置を提供することが望ましい。
【0123】
装置に関するいくつかの実施例では、サイトの自動挿入及び針の自動引き抜きの両方が可能となり、それによって、患者の挿入仮定の全般における自動化が可能となる。
【0124】
使い捨ての装置が望ましいが、針を回収し、再装填することができる再利用型の装置も期待される。
【0125】
前記詳細な説明、実施例及びデータによって、製品及び発明が完全に記述された。発明の実施例の多くは発明の精神及び発明の範囲から逸脱することはないので、発明は後述するクレームに存在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の皮膚内に皮下輸液装置を挿入する方法であって、
前記方法は、
挿入装置の針の上に事前に装填された輸液装置を準備し、前記針を伸ばして、前記輸液装置のカニューレ内を通し、
患者の皮膚上に前記挿入装置を配置し、
前記挿入装置の前記針を用いて、患者の皮膚の皮下層に前記輸液装置の前記カニューレを挿入し、
前記輸液装置によって前記カニューレを完全に挿入し、前記挿入装置がトリガー状態に到達すると、患者の皮膚上に配置された前記輸液装置を残しながら、自動的に、前記挿入装置の前記針を回収すること、
を特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に係る方法において、
前記装填するステップにおいて、さらに、前記挿入装置にキャップを取り付けること、
を特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に係る方法において、さらに、
患者の皮膚の皮下層に前記カニューレを挿入する前に、前記キャップを取り外すこと、
を特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に係る方法において、
前記輸液装置は、前記カニューレを有するサイト、及び、セットを有し、
前記方法は、さらに、
患者の皮膚上に配置された輸液装置の前記サイトに前記セットを取り付けるステップを有すること、
を特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に係る方法において、
前記輸液装置の前記サイトに前記セットを取り付けるステップでは、さらに、
アンロック・ポジションにある前記セットを前記サイトの上方に配置し、
前記セットを前記サイト上に配置し、
前記セットを前記アンロック・ポジションからロック・ポジションへ移動させて、前記セットを前記サイトに取り付け、前記サイトによって規定された貯留部に前記セットの前記針を挿入すること、
を特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に係る方法において、
前記移動させるステップでは、さらに、
前記セットの第1部材を前記セットの第2部材に対して相対的にスライドさせて、前記セットを前記アンロック・ポジションから前記ロック・ポジションへ移動させること、
を特徴とする方法。
【請求項7】
請求項5に係る方法において、さらに、
前記セットを前記ロック・ポジションから前記アンロック・ポジションへ移動させること、
を特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に係る方法において、さらに、
前記セットを前記サイトに対して相対的に回転させて再設定し、
前記セットを前記アンロック・ポジションから前記ロック・ポジションへ移動させて、前記セットを前記サイトに取り付け、そして、前記サイトによって規定された貯留部に前記セットの針を再び挿入すること、
を特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に係る方法において、さらに、
前記挿入装置に取り付けられたスリーブを準備し、回収の前に前記針を覆うこと、
を特徴とする方法。
【請求項10】
患者の皮膚の皮下層に薬物を送達するための装置であって、
前記装置は、
患者の皮膚の皮下層に輸液装置を挿入するための挿入装置であって、内部空間を規定するハウジング、前記ハウジングに取り付けられる針、及び、前記針を回収状態に移動させるように構成された部材、を有する挿入装置、
サイトを有する輸液装置であって、前記サイトは、患者の皮膚に対して相対的に位置設定が可能なベース、前記ベースにほぼ垂直に伸び、針を用いて患者の皮膚の皮下層に挿入されるよう構成されたカニューレ、及び、前記ベースに取り付けられるダイアフラムであって、内部貯留部を規定するダイアフラム、を有するサイト、
を有し、
前記挿入装置の前記針を前記サイトの前記ダイアフラム及び前記カニューレを通して伸ばして、前記サイトを前記挿入装置に取り付け、
前記挿入装置は、キャップを有し、前記キャップは、前記挿入装置から取り除く前において前記挿入装置を密閉すること、
を特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に係る装置において、さらに、
中空針を有する第1部材、及び、前記サイトを受容するように構成された開口を規定する第2部材を有すること、
を特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11に係る装置において、
前記セットは、前記針を液体のやり取りを行うチューブを有すること、
を特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12に係る装置において、
前記セットは、前記サイトの上に搭載されること、
を特徴とする装置。
【請求項14】
請求項10に係る装置において、さらに、
前記輸液装置に取り付けられる粘着部、
を有し、
前記粘着部は、前記輸液装置を患者の皮膚に取り付けること、
を特徴とする装置。
【請求項15】
請求項10に係る装置において、さらに、
タブによって前記キャップに取り付けられる不正開封帯、
を有し、
前記キャップが前記挿入装置から取り除かれると前記タブは破壊され、また、前記不正開封帯は前記挿入装置に取り付けられたままであること、
を特徴とする装置。
【請求項16】
患者の皮膚の皮下層に薬物を送達するための装置であって、
前記装置は、
中央孔及び空間を規定するサイトであって、前記空間内に配置され、また、貯留部を規定するダイアフラム、前記中央孔を通って伸び、また、前記ダイアフラムの前記貯留部になめらかに取り付けられる第1端を有するカニューレ、を有するサイト、
ハウジング、前記ハウジングに取り付けられ、また、内部通路を規定するハブ、針を有するニードルハブであって、前記ハブの前記内部通路に配置され、前記ハブ及び前記ハウジングに対して相対的に固定されているニードルハブ、前記ニードルハブとかみ合うスプリング、を有するサイト、
を有し、
前記サイトは、前記挿入装置の前記針の上に前記サイトの前記ダイアフラム及び前記カニューレを挿入巣売ることによって、前記挿入装置上に装填され、
前記ニードルハブの針及び取り付けられた輸液装置のカニューレを皮膚の皮下層に挿入するために、前記ハウジング、前記ハブ、及び前記ニードルハブは移動可能であり、
前記針及び取り付けられた輸液装置が皮膚の皮下層に十分に挿入されると、前記ニードルハブは、前記ハブに対して相対的にスライド可能であり、また、前記針を有する前記ニードルハブは、回収状態において、患者の皮膚上に配置される輸液装置を残しながら、前記スプリングによる前記ハブの前記内部通路を通った移動が可能であること、
を特徴とする装置。
【請求項17】
請求項16に係る装置において、さらに、
回収の前に前記針を覆うために前記ハウジングに取り付けられたスリーブ、
を有する装置。
【請求項18】
請求項16に係る装置において、さらに、
第1部材及び第2部材を有するセットであって、前記第1部材はアクセス・ポートになめらかに取り付けられる中空針を有し、前記第2部材は当該第2部材を通って伸びる開口を規定し、さらに前記第1部材及び前記第2部材は、アンロック・ポジションとロック・ポジションとの間を互いに相対的にスライド可能であるセット、
を有し、
アンロック・ポジションにおいて、前記セットは前記サイト上に配置可能であり、少なくとも前記サイトの一部が、前記セットの前記第2部材の前記開口内に受容され、さらに、前記第1部材は、前記第2部材に対して相対的にスライド可能であり、アンロック・ポジションからロック・ポジションへ移動し、前記セットを前記サイトに取り付け、さらに、前記第1部材を前記第2部材に向かってスライドさせ、前記第1部材の前記中空針を前記ダイアフラムの前記貯留部内へ挿入すること、
を特徴とする装置。
【請求項19】
請求項18に係る装置において、
前記サイトの前記ダイアフラムは、
前記挿入装置の前記針によって突き刺される上端、及び、前記セットの前記第1部材の前記中空針によって突き刺される側壁、を有する単一のユニットであること、
を特徴とする装置。
【請求項20】
請求項16に係る装置において、さらに、
前記サイトに取り付けられる粘着部、
を有し、
前記粘着部は、前記サイトを患者の皮膚に取り付けること、
を特徴とする装置。
【請求項21】
輸液装置を挿入するための方法であって、
挿入装置からキャップを取り外して、前記挿入装置を送達状態に配置し、
前記挿入装置を皮膚上に配置し、
前記挿入装置の針を送達状態からトリガー状態に移動し、それによって皮膚にサイトのカニューレを挿入し、
自動的に前記針を回収し、前記挿入装置を回収状態に配置すること、
を特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に係る方法において、さらに、
前記サイトを前記挿入装置の前記針上に事前に装填し、
前記挿入装置にキャップをして、前記挿入装置を抑留状態に配置すること、
を特徴とする方法。
【請求項23】
請求項21に係る方法において、さらに、
前記挿入装置のセットを前記サイトに関して所望の配置位置で前記サイトの上方に配置し、
前記セットをアンロック・ポジションからロック・ポジションへ移動し、前記セットを前記サイトに取り付けること、
を特徴とする方法。
【請求項24】
請求項21に係る方法において、さらに、
前記挿入装置に不正開封帯を与えること、
を特徴とする方法。
【請求項1】
患者の皮膚内に皮下輸液装置を挿入する方法であって、
前記方法は、
挿入装置の針の上に事前に装填された輸液装置を準備し、前記針を伸ばして、前記輸液装置のカニューレ内を通し、
患者の皮膚上に前記挿入装置を配置し、
前記挿入装置の前記針を用いて、患者の皮膚の皮下層に前記輸液装置の前記カニューレを挿入し、
前記輸液装置によって前記カニューレを完全に挿入し、前記挿入装置がトリガー状態に到達すると、患者の皮膚上に配置された前記輸液装置を残しながら、自動的に、前記挿入装置の前記針を回収すること、
を特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に係る方法において、
前記装填するステップにおいて、さらに、前記挿入装置にキャップを取り付けること、
を特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に係る方法において、さらに、
患者の皮膚の皮下層に前記カニューレを挿入する前に、前記キャップを取り外すこと、
を特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に係る方法において、
前記輸液装置は、前記カニューレを有するサイト、及び、セットを有し、
前記方法は、さらに、
患者の皮膚上に配置された輸液装置の前記サイトに前記セットを取り付けるステップを有すること、
を特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に係る方法において、
前記輸液装置の前記サイトに前記セットを取り付けるステップでは、さらに、
アンロック・ポジションにある前記セットを前記サイトの上方に配置し、
前記セットを前記サイト上に配置し、
前記セットを前記アンロック・ポジションからロック・ポジションへ移動させて、前記セットを前記サイトに取り付け、前記サイトによって規定された貯留部に前記セットの前記針を挿入すること、
を特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に係る方法において、
前記移動させるステップでは、さらに、
前記セットの第1部材を前記セットの第2部材に対して相対的にスライドさせて、前記セットを前記アンロック・ポジションから前記ロック・ポジションへ移動させること、
を特徴とする方法。
【請求項7】
請求項5に係る方法において、さらに、
前記セットを前記ロック・ポジションから前記アンロック・ポジションへ移動させること、
を特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に係る方法において、さらに、
前記セットを前記サイトに対して相対的に回転させて再設定し、
前記セットを前記アンロック・ポジションから前記ロック・ポジションへ移動させて、前記セットを前記サイトに取り付け、そして、前記サイトによって規定された貯留部に前記セットの針を再び挿入すること、
を特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に係る方法において、さらに、
前記挿入装置に取り付けられたスリーブを準備し、回収の前に前記針を覆うこと、
を特徴とする方法。
【請求項10】
患者の皮膚の皮下層に薬物を送達するための装置であって、
前記装置は、
患者の皮膚の皮下層に輸液装置を挿入するための挿入装置であって、内部空間を規定するハウジング、前記ハウジングに取り付けられる針、及び、前記針を回収状態に移動させるように構成された部材、を有する挿入装置、
サイトを有する輸液装置であって、前記サイトは、患者の皮膚に対して相対的に位置設定が可能なベース、前記ベースにほぼ垂直に伸び、針を用いて患者の皮膚の皮下層に挿入されるよう構成されたカニューレ、及び、前記ベースに取り付けられるダイアフラムであって、内部貯留部を規定するダイアフラム、を有するサイト、
を有し、
前記挿入装置の前記針を前記サイトの前記ダイアフラム及び前記カニューレを通して伸ばして、前記サイトを前記挿入装置に取り付け、
前記挿入装置は、キャップを有し、前記キャップは、前記挿入装置から取り除く前において前記挿入装置を密閉すること、
を特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に係る装置において、さらに、
中空針を有する第1部材、及び、前記サイトを受容するように構成された開口を規定する第2部材を有すること、
を特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11に係る装置において、
前記セットは、前記針を液体のやり取りを行うチューブを有すること、
を特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12に係る装置において、
前記セットは、前記サイトの上に搭載されること、
を特徴とする装置。
【請求項14】
請求項10に係る装置において、さらに、
前記輸液装置に取り付けられる粘着部、
を有し、
前記粘着部は、前記輸液装置を患者の皮膚に取り付けること、
を特徴とする装置。
【請求項15】
請求項10に係る装置において、さらに、
タブによって前記キャップに取り付けられる不正開封帯、
を有し、
前記キャップが前記挿入装置から取り除かれると前記タブは破壊され、また、前記不正開封帯は前記挿入装置に取り付けられたままであること、
を特徴とする装置。
【請求項16】
患者の皮膚の皮下層に薬物を送達するための装置であって、
前記装置は、
中央孔及び空間を規定するサイトであって、前記空間内に配置され、また、貯留部を規定するダイアフラム、前記中央孔を通って伸び、また、前記ダイアフラムの前記貯留部になめらかに取り付けられる第1端を有するカニューレ、を有するサイト、
ハウジング、前記ハウジングに取り付けられ、また、内部通路を規定するハブ、針を有するニードルハブであって、前記ハブの前記内部通路に配置され、前記ハブ及び前記ハウジングに対して相対的に固定されているニードルハブ、前記ニードルハブとかみ合うスプリング、を有するサイト、
を有し、
前記サイトは、前記挿入装置の前記針の上に前記サイトの前記ダイアフラム及び前記カニューレを挿入巣売ることによって、前記挿入装置上に装填され、
前記ニードルハブの針及び取り付けられた輸液装置のカニューレを皮膚の皮下層に挿入するために、前記ハウジング、前記ハブ、及び前記ニードルハブは移動可能であり、
前記針及び取り付けられた輸液装置が皮膚の皮下層に十分に挿入されると、前記ニードルハブは、前記ハブに対して相対的にスライド可能であり、また、前記針を有する前記ニードルハブは、回収状態において、患者の皮膚上に配置される輸液装置を残しながら、前記スプリングによる前記ハブの前記内部通路を通った移動が可能であること、
を特徴とする装置。
【請求項17】
請求項16に係る装置において、さらに、
回収の前に前記針を覆うために前記ハウジングに取り付けられたスリーブ、
を有する装置。
【請求項18】
請求項16に係る装置において、さらに、
第1部材及び第2部材を有するセットであって、前記第1部材はアクセス・ポートになめらかに取り付けられる中空針を有し、前記第2部材は当該第2部材を通って伸びる開口を規定し、さらに前記第1部材及び前記第2部材は、アンロック・ポジションとロック・ポジションとの間を互いに相対的にスライド可能であるセット、
を有し、
アンロック・ポジションにおいて、前記セットは前記サイト上に配置可能であり、少なくとも前記サイトの一部が、前記セットの前記第2部材の前記開口内に受容され、さらに、前記第1部材は、前記第2部材に対して相対的にスライド可能であり、アンロック・ポジションからロック・ポジションへ移動し、前記セットを前記サイトに取り付け、さらに、前記第1部材を前記第2部材に向かってスライドさせ、前記第1部材の前記中空針を前記ダイアフラムの前記貯留部内へ挿入すること、
を特徴とする装置。
【請求項19】
請求項18に係る装置において、
前記サイトの前記ダイアフラムは、
前記挿入装置の前記針によって突き刺される上端、及び、前記セットの前記第1部材の前記中空針によって突き刺される側壁、を有する単一のユニットであること、
を特徴とする装置。
【請求項20】
請求項16に係る装置において、さらに、
前記サイトに取り付けられる粘着部、
を有し、
前記粘着部は、前記サイトを患者の皮膚に取り付けること、
を特徴とする装置。
【請求項21】
輸液装置を挿入するための方法であって、
挿入装置からキャップを取り外して、前記挿入装置を送達状態に配置し、
前記挿入装置を皮膚上に配置し、
前記挿入装置の針を送達状態からトリガー状態に移動し、それによって皮膚にサイトのカニューレを挿入し、
自動的に前記針を回収し、前記挿入装置を回収状態に配置すること、
を特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に係る方法において、さらに、
前記サイトを前記挿入装置の前記針上に事前に装填し、
前記挿入装置にキャップをして、前記挿入装置を抑留状態に配置すること、
を特徴とする方法。
【請求項23】
請求項21に係る方法において、さらに、
前記挿入装置のセットを前記サイトに関して所望の配置位置で前記サイトの上方に配置し、
前記セットをアンロック・ポジションからロック・ポジションへ移動し、前記セットを前記サイトに取り付けること、
を特徴とする方法。
【請求項24】
請求項21に係る方法において、さらに、
前記挿入装置に不正開封帯を与えること、
を特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79A】
【図79B】
【図80A】
【図80B】
【図81A】
【図81B】
【図81C】
【図82A】
【図82B】
【図83A】
【図83B】
【図84】
【図85A】
【図85B】
【図86A】
【図86B】
【図87A】
【図87B】
【図88】
【図89】
【図90】
【図91】
【図92】
【図93】
【図94】
【図95】
【図96】
【図97】
【図98】
【図99】
【図100】
【図101】
【図102】
【図103】
【図104】
【図105】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79A】
【図79B】
【図80A】
【図80B】
【図81A】
【図81B】
【図81C】
【図82A】
【図82B】
【図83A】
【図83B】
【図84】
【図85A】
【図85B】
【図86A】
【図86B】
【図87A】
【図87B】
【図88】
【図89】
【図90】
【図91】
【図92】
【図93】
【図94】
【図95】
【図96】
【図97】
【図98】
【図99】
【図100】
【図101】
【図102】
【図103】
【図104】
【図105】
【公開番号】特開2012−35098(P2012−35098A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223929(P2011−223929)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【分割の表示】特願2006−539473(P2006−539473)の分割
【原出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(509280394)スミスズ メディカル エーエスディー,インコーポレイティド (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【分割の表示】特願2006−539473(P2006−539473)の分割
【原出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(509280394)スミスズ メディカル エーエスディー,インコーポレイティド (4)
【Fターム(参考)】
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