輻射パネル装置
【課題】輻射パネル装置のパネルの揺動を可能とする。
【解決手段】各パネル41〜412から突出する往路側延在部5c及び復路側延在部5dにおいて、回転軸Aに対して同じ側に設けられている往路側延在部5c及び復路側延在部5d同士を連結する。即ち、パネル41〜412の揺動の前後で距離が変化しない引出し筒部13a,13bを介して引き出された往路側延在部5c及び復路側延在部5d同士を連結する。これにより、連結された往路側延在部5c及び復路側延在部5dによってパネル41〜412の揺動が規制されるといったことがなく、延在部5c,5d同士を連結した状態のままパネル41〜412の揺動が可能となる。
【解決手段】各パネル41〜412から突出する往路側延在部5c及び復路側延在部5dにおいて、回転軸Aに対して同じ側に設けられている往路側延在部5c及び復路側延在部5d同士を連結する。即ち、パネル41〜412の揺動の前後で距離が変化しない引出し筒部13a,13bを介して引き出された往路側延在部5c及び復路側延在部5d同士を連結する。これにより、連結された往路側延在部5c及び復路側延在部5dによってパネル41〜412の揺動が規制されるといったことがなく、延在部5c,5d同士を連結した状態のままパネル41〜412の揺動が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輻射暖房や輻射冷房を行う輻射パネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水などの液体状の熱媒体を流通可能な複数のパネルを備える輻射パネル装置が知られている。この種の輻射パネル装置においては、複数のパネルと、別途設置される熱源との間で熱媒体を循環させることで各パネルに輻射能を持たせ、そのパネルによる輻射暖房又は輻射冷房によって居室等の空調を行うことが可能となっている。例えば特許文献1には、パネルの内部に熱媒体を流通させるための熱媒体流通管を設け、その熱媒体流通管に熱媒体を流通させることでパネルから輻射熱を放射させる輻射パネル装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−243127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パネル間を通って流れてくる風の向きの変更や、パネルの向こう側と手前側との間で視線を遮ったりする目的のため、輻射パネル装置のパネルを揺動させたいという要望がある。しかしながら、特許文献1に開示された輻射パネル装置は、そもそもパネルを揺動させることは想定されていない。このため、特許文献1に記載された輻射パネル装置は、パネルを揺動させるための構成を有しておらず、更に、パネルの揺動を可能とする配管の構成を有していない。
【0005】
そこで本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、パネルの揺動が可能な輻射パネル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明に係る輻射パネル装置は、流体からなる熱媒体が流動する熱媒体流通管を挿嵌した長尺状の複数のパネルの一方の端部をブリッジにより連結して構成され、熱源と各パネルの熱媒体流通管との間で熱媒体を循環させることで当該各パネルに輻射能を付与する輻射パネル装置であって、複数のパネルは、回転軸を有して揺動可能にブリッジにそれぞれ支持されると共に、互いに連動して同じ向きに揺動可能とされており、複数のパネルにそれぞれ挿嵌された熱媒体流通管は、パネルの一方の端部から、当該パネルの回転軸の軸線を挟んで対向するように突出する一対の延在部を備え、一のパネルにおける一方の延在部と、一のパネルとは異なるパネルにおける一対の延在部のうち、当該パネルの回転軸に対して、一方の延在部が一のパネルの回転軸に対して位置する側と同じ側に位置する延在部と、を連結することで、直列配管系統が形成されていることを特徴とする。
【0007】
これによれば、各パネルから突出する熱媒体流通管の延在部は、各パネルの回転軸に対して同じ側に位置するもの同士が連結される。輻射パネル装置の各パネルを互いに連動させて同じ向きに揺動させた場合、各パネルの回転軸に対して同じ側に位置する延在部は、当該延在部同士の間隔を一定に保ったまま揺動に伴って位置が変化する。即ち、連結された延在部同士は、当該延在部同士の間隔を一定に保ったまま揺動に伴って位置が変化する。このように、揺動の前後で間隔が変化しない延在部同士を連結することで、例えば、連結された延在部によってパネルの揺動が規制されるといったことがなく、延在部同士を連結した状態のままパネルを揺動させることができる。
【0008】
また、直列配管系統は複数設けられ、直列配管系統を並列に備えた並列配管群を有している、ことが好ましい。この輻射パネル装置では、互いに並列に配置された直列配管系統に熱媒体を供給しつつ、各パネルを揺動させることができる。
【0009】
また、並列配管群は、直列配管系統を並列に接続すると共に、当該並列に接続した直列配管系統に熱源からの熱媒体を供給するヘッダ部を備え、ヘッダ部は、パネルの揺動に伴ってブリッジに対して移動自在となっている、ことが好ましい。この輻射パネル装置では、ヘッダ部が移動自在であるため、パネルの揺動に伴って各熱媒体流通管の延在部の位置が変化した場合であっても、延在部の位置の変化に追随させてヘッダ部の位置を変化させることができる。従って、ヘッダ部に接続された延在部が、パネルの揺動に伴って過度に拡縮することを抑制できる。
【0010】
また、複数の直列配管系統は、ブリッジの長手方向の一方側から他方側に向けて熱媒体を各パネル間で流動させる第1グループと、ブリッジの長手方向の他方側から一方側に向けて熱媒体を各パネル間で流動させる第2グループとを含んでいる、ことが好ましい。この輻射パネル装置では、ブリッジの長手方向に亘って並べて配置されたパネルに対して、相対する2方向からパネル間に熱媒体を流動させることができる。これにより、複数のパネル全体での温度勾配の発生を効果的に抑制することができる。
【0011】
また、第1グループに属するパネルと、第2グループに属するパネルとが交互に並んで設けられていることが好ましい。この輻射パネル装置では、第1グループに属するパネルのうち温度が高いパネルに隣接して、第2グループに属するパネルのうち温度が低いパネルが配置される。また、この輻射パネル装置では、第1グループに属するパネルのうち温度が低いパネルに隣接して、第2グループに属するパネルのうち温度が高いパネルが配置される。これにより、複数のパネル全体での温度勾配をより一層少なくすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、輻射パネル装置のパネルを揺動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る輻射パネル装置を設置した状態を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る輻射パネル装置全体を模式的に示す斜視図である。
【図3】本実施形態に係る輻射パネル装置のブリッジ周りを示す側面図である。
【図4】本実施形態に係る輻射パネル装置の上面図である。
【図5】図3のV−V線に沿った断面図である。
【図6】本実施形態に係る輻射パネル装置の第1スライド連結板を示す斜視図である。
【図7】本実施形態に係る輻射パネル装置をブリッジの延在方向から見た側面図である。
【図8】管連結部を用いて熱媒体流通管の延在部同士を連結する状態を示す分解斜視図である。
【図9】熱媒体流通管の連結状態を模式的に示す図である。
【図10】各直列配管系統の熱媒体の流れを示し、(a)は第1の直列配管系統の流れを示す図であり、(b)は第2の直列配管系統の流れを示す図である。
【図11】各直列配管系統の熱媒体の流れを示し、(a)は第3の直列配管系統の流れを示す図であり、(b)は第4の直列配管系統の流れを示す図である。
【図12】各パネルの揺動状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明に係る輻射パネル装置の実施形態を説明する。なお、説明において同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1に示すように、輻射パネル装置1は、建物の居室の一角に設置されて輻射暖房あるいは輻射冷房を行う輻射装置であり、居室の天井板Rと床板Fとの間で鉛直方向に立設された一対の支柱2A,2Bと、一対の支柱2A,2Bの上端側に架設されるブリッジ3と、ブリッジ3に上端が支持される複数の長尺のパネル41〜412と、パネル41〜412の下方で床板F上に設けられて結露水を受け止める結露水受け部材20と、を備えて構成されている。
【0016】
図5に示すように、パネル41には、熱源24(図2参照)から供給される熱媒体を当該パネル41の上端4a側から下端4b側へ向かって通過させる往路5a、及び、パネル41の下端4b側で往路5aに連なって下端4b側から上端4a側へ熱媒体を通過させる復路5bを有する熱媒体流通管5が挿嵌されている。これによって、熱源24での加熱や冷却により所定の温度状態となる熱量を付与された熱媒体は、往路5aを流れた後に復路5bを流れることで、パネル41内を一端4aから他端4bに向かって流動した後、他端4bから一端4aに向かって流動する。パネル42〜412にも、パネル41と同様に、往路5a及び復路5bを有する熱媒体流通管5が挿嵌され、パネル42〜412内に熱媒体が流れている。熱源24からパネル41〜412に供給された熱媒体は、パネル41〜412内を流れた後に熱源24へ還流することによって回収される。
【0017】
従って、輻射パネル装置1のパネル41〜412は、熱媒体が熱源24とパネル41〜412との間で繰り返し循環することで次第に輻射能が付与され、各パネル41〜412から輻射熱が放射されることにより居室の輻射暖房あるいは輻射冷房を行うことが可能となる。
【0018】
図1に戻り、支柱2A,2Bは、床板Fから天井板Rまで届く長さを有する支柱本体8と、支柱本体8の下端に外嵌して床板Fに締結される柱脚部材9と、を備えており、床板Fに固着された状態で立設している。
【0019】
図3〜図5に示すように、ブリッジ3は、第1サイドフレーム310、中央フレーム320、第2サイドフレーム330、補強部材340、第1スライド連結板(ガイド手段、第1ガイド手段)350、及び第2スライド連結板(ガイド手段、第2ガイド手段)360を備えている。第1サイドフレーム310、中央フレーム320、第2サイドフレーム330、第1スライド連結板350、及び第2スライド連結板360は、長尺状を成し、延在方向が互いに同じとなるように配置されている。
【0020】
中央フレーム320は、第1サイドフレーム310と中央フレーム320との間に配置される。なお、第1サイドフレーム310と中央フレーム320との間、及び第2サイドフレーム330と中央フレーム320との間にはそれぞれ所定の幅の隙間が設けられている。
【0021】
補強部材340は、第1サイドフレーム310、中央フレーム320、及び第2サイドフレーム330に跨った状態で配置される。第1サイドフレーム310、中央フレーム320、及び第2サイドフレーム330は、補強部材340にボルト341によって固定される。なお、補強部材340は短小なピース状に形成されて複数設けられ、複数位置で、第1サイドフレーム310、中央フレーム320、及び第2サイドフレーム330を固定している。
【0022】
中央フレーム320は、略四角筒状を成し、その上面320aには、当該中央フレーム320の延在方向に延びるスリット325が設けられている。中央フレーム320は、アルミニウムやステンレスなどの金属を押出成形することによって形成されている。スリット325には、中央フレーム320を補強部材340に固定するためのボルト341が通されている。
【0023】
中央フレーム320の下面320dには、複数のボルト326によってパネル41〜412が揺動可能にそれぞれ取り付けられている。即ち、パネル41〜412は、それぞれボルト326を軸心として揺動する。なお、パネル41〜412は、当該パネルの幅方向(図5における左右方向)の中央位置において、ボルト326によって中央フレーム320に揺動可能に軸支されている。
なお、パネル41〜412は図示しないパネル連結揺動機構によって連結され、当該パネル連結揺動機構を操作することにより、すべてのパネル41〜412を同時に同じ向きに揺動させるものとなっている。
【0024】
中央フレーム320の側面320b,320cのうち第1サイドフレーム310側の側面320bには、当該中央フレーム320の長手方向に延びる中央側第1凹部321が設けられている。中央フレーム320の側面320b,320cのうち第2サイドフレーム330側の側面320cには、当該中央フレーム320の長手方向に延在する中央側第2凹部322が設けられている。中央側第1凹部321及び中央側第2凹部322は、それぞれ中央フレーム320の内部に向けて窪んでいる。
【0025】
第1サイドフレーム310は、水平に広がる底板部310aと、底板部310a上に立設されるリブ壁310bとを備えて構成されている。第1サイドフレーム310は、アルミニウムやステンレスなどの金属を押出成形することによって形成されている。底板部310aが、天井板Rにビス等によって固定される。リブ壁310bが、ボルト341によって補強部材340に固定される。底板部310aの中央フレーム320側の端部には、立上がり壁311が設けられている。立上がり壁311には、第1サイドフレーム310の長手方向に延在するサイド側第1凹部312が設けられている。サイド側第1凹部312は、立上がり壁311をリブ壁310b側に向けて窪ませた形状となっている。サイド側第1凹部312が設けられる高さ位置は、中央フレーム320の側面320bに設けられた中央側第1凹部321の高さ位置と同じとなっている。立上がり壁311と中央フレーム320の側面320bとの間には、溝315が形成される。
【0026】
第1スライド連結板350は、溝315内に移動可能に収容される。第1スライド連結板350は、フランジ部351,353と、本体部352とを備えて構成されている。特に図6に示すように、本体部352は、底壁352bと、底壁352bの両端部からそれぞれ立ち上がる側壁352a,352cとを含んで構成され、凹状を成している。また、第1スライド連結板350の底壁352bには、当該第1スライド連結板350の長手方向に等間隔に並ぶ複数の孔354が設けられている。フランジ部351は、本体部352の側壁352aの上端部に接続され、第1サイドフレーム310側に向けて延びている。フランジ部353は、本体部352の側壁352cの上端部に接続され、中央フレーム320側に向けて延びている。
【0027】
図5に示すように、第1スライド連結板350のフランジ部351は、第1サイドフレーム310のサイド側第1凹部312内に摺動可能に収容される。また、第1スライド連結板350のフランジ部353は、中央フレーム320の中央側第1凹部321内に摺動可能に収容される。
【0028】
第1スライド連結板350は、フランジ部351及びフランジ部353がサイド側第1凹部312内及び中央側第1凹部321内にそれぞれ収容された状態で、溝315の長手方向に移動可能となっている。このように、ブリッジ3の長手方向に延在するサイド側第1凹部312及び中央側第1凹部321が、第1スライド連結板350における溝315の長手方向への移動を規定する第1規定部(ガイド手段、第1ガイド手段、規定手段)として機能する。
【0029】
また、サイド側第1凹部312の底面から中央側第1凹部321の底面までの長さは、フランジ部351の先端からフランジ部353の先端までの長さよりも長くなっている。即ち、第1スライド連結板350は、フランジ部351及びフランジ部353がサイド側第1凹部312内及び中央側第1凹部321内に収容された状態で、溝315の幅方向(図5における左右方向)に移動可能となっている。このように、サイド側第1凹部312の底面から中央側第1凹部321の底面までの長さがフランジ部351の先端からフランジ部353の先端までの長さよりも長くなるように設定されたサイド側第1凹部312及び中央側第1凹部321が、第1スライド連結板350における溝315の長手方向と直交する方向への移動を規定する第2規定部(ガイド手段、第1ガイド手段、規定手段)として機能する。この第2規定部は、フランジ部351,353がサイド側第1凹部312内及び中央側第1凹部321内からそれぞれ脱落することがないように、第1スライド連結板350の移動を規定している。
【0030】
また、第1スライド連結板350における側壁352aの外面は、パネル41〜412が正位置(詳しくは後述する)にあるときに、立上がり壁311に擦り付けられる。即ち、側壁352aが、立上がり壁311に擦り付けられる擦り板を構成している。側壁352aが立上がり壁311に擦り付けられることで、パネル41〜412の位置が解除可能に固定される。即ち、立上がり壁311及び側壁352aが、パネル41〜412の位置を解除可能に固定するブレーキ手段として機能する。
【0031】
第2サイドフレーム330も、第1サイドフレーム310と同様に、水平に広がる底板部330aと、底板部330a上に立設されるリブ壁330bと、を備えて構成されている。底板部330aの中央フレーム320側の端部には、立上がり壁331が設けられている。立上がり壁331には、サイド側第1凹部312と同様に、第2サイドフレーム330の長手方向に延在するサイド側第2凹部332が設けられている。立上がり壁331と中央フレーム320の側面320cとの間には、溝335が形成される。
【0032】
第2スライド連結板360は、溝335内に移動可能に収容される。第2スライド連結板360は、第1スライド連結板350と同様に、フランジ部361,363と、本体部362とを備えて構成されている。また、本体部362には、第1スライド連結板350と同様に、第2スライド連結板360の長手方向に等間隔に並ぶ複数の孔364が設けられている。
【0033】
第2スライド連結板360のフランジ部361は、第2サイドフレーム330のサイド側第2凹部332内に摺動可能に収容される。また、第2スライド連結板360のフランジ部363は、中央フレーム320の中央側第2凹部322内に摺動可能に収容される。
【0034】
第2スライド連結板360は、フランジ部361及びフランジ部363がサイド側第2凹部332内及び中央側第2凹部322内にそれぞれ収容された状態で、溝335の長手方向に移動可能となっている。このように、ブリッジ3の長手方向に延在するサイド側第2凹部332及び中央側第2凹部322が、第2スライド連結板360における溝335の長手方向への移動を規定する第1規定部(ガイド手段、第2ガイド手段、規定手段)として機能する。
【0035】
また、サイド側第2凹部332の底面から中央側第2凹部322の底面までの長さは、フランジ部361の先端からフランジ部363の先端までの長さよりも長くなっている。即ち、第2スライド連結板360は、フランジ部361及びフランジ部363がサイド側第2凹部332内及び中央側第2凹部322内に収容された状態で、溝335の幅方向(図5における左右方向)に移動可能となっている。このように、サイド側第2凹部332の底面から中央側第2凹部322の底面までの長さがフランジ部361の先端からフランジ部363の先端までの長さよりも長くなるように設定されたサイド側第2凹部332及び中央側第2凹部322が、第2スライド連結板360における溝335の長手方向と直交する方向への移動を規定する第2規定部(ガイド手段、第2ガイド手段、規定手段)として機能する。この第2規定部は、フランジ部361,363がサイド側第2凹部332内及び中央側第2凹部322内からそれぞれ脱落することがないように、第2スライド連結板360の移動を規定している。
【0036】
また、第2スライド連結板360の本体部362における立上がり壁331と対向する側壁362aは、パネル41〜412が正位置(詳しくは後述する)にあるときに、立上がり壁331に擦り付けられる。即ち、側壁362aが、立上がり壁331に擦り付けられる擦り板を構成している。側壁362aが立上がり壁331に擦り付けられることで、パネル41〜412の位置が解除可能に固定される。即ち、立上がり壁331及び側壁362aが、パネル41〜412の位置を解除可能に固定するブレーキ手段として機能する。
【0037】
図7に示すように、ブリッジ3には、当該ブリッジ3の長手方向の両端部を覆うブリッジカバー30がそれぞれ設けられている。ブリッジカバー30には、第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360が溝315,335の長手方向にスライドしたときに当該ブリッジカバー30に干渉することを避けるための開口部30a,30bが設けられている。
【0038】
また、第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360の長手方向の両端部にも、第1スライド連結板350の本体部352及び第2スライド連結板360の本体部362を覆う連結板カバー357,367がそれぞれ設けられている。これにより、第1スライド連結板350の本体部352内、及び、第2スライド連結板360の本体部362内に結露水等の水が溜まったとしても、この水が第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360の端部から落下することがない。第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360の本体部内に溜まった水は、孔354,364からパネル41〜412を伝い、パネル41〜412の下端から結露水受け部材20へ落下する。
【0039】
また、図3及び図4に示すように、ブリッジ3の長手方向におけるパネル41側の端部には、溝315,335を覆う溝カバー40が設けられている。溝カバー40は、パネル41が揺動したときに往路側延在部5cや復路側延在部5dが干渉しない程度まで、ブリッジ3の端部からパネル41側に向かって延びている。これにより、ブリッジ3を下側から見たときに、ブリッジ3の端部において溝315,335によって形成される隙間を塞ぐことができる。同様に、ブリッジ3の長手方向におけるパネル412側の端部にも溝カバーが設けられ、当該溝カバーによって、溝315,335によって形成される隙間が塞がれている。なお、溝カバー40によって塞がれる2つの隙間(溝315,335によって形成される隙間)は、パネル41〜412の揺動により、一方が大きく、他方が小さくなる。溝カバー40は、パネル41〜412の揺動により隙間の大きさが変化したとしても、これらの隙間が見えないように塞いでいる。
【0040】
なお、溝カバー40及び支柱本体8は、サイドフレーム310,330の底板部310a,330aの下面側に設けられている。スライド連結板350,360は、サイドフレーム310,330の底板部310a,330aの下面よりも上側に位置している(図5等参照)。従って、スライド連結板350,360が溝315,335内をスライドしても、溝カバー40及び支柱本体8に干渉することなくスライド連結板350,360のスライドが可能となっている。
【0041】
パネル41〜412は、鉛直方向に延在して断面が扁平に形成された長尺状の中空部材であり、アルミニウムやステンレスなどの金属を、例えば押出成形することで形成される。パネル41〜412には、流体からなる熱媒体、例えば不凍液や水を循環させるための熱媒体流通管5が挿嵌されている。パネル41〜412の上端には、上パネルキャップ13がそれぞれ取り付けられている。パネル41〜412は、上パネルキャップ13を介して、ボルト326によってそれぞれブリッジ3に揺動可能に取り付けられている。
【0042】
パネル41〜412に取り付けられた上パネルキャップ13には、パネル41〜412内に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5c及び復路側延在部5dを外部へ引き出すための引出し筒部13a,13bがそれぞれ設けられている。引出し筒部13a,13bの先端部は、第2スライド連結板360の孔364及び第1スライド連結板350の孔354にそれぞれ揺動可能に嵌め込まれている。これにより、第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360によって熱媒体流通管5の移動が案内される。
【0043】
パネル41〜412の下端には、下パネルキャップ14がそれぞれ取り付けられている。下パネルキャップ14は、下方側に頂点部分を有する三角形状に形成されている。下パネルキャップ14の下面において、三角形状の頂点部分には、円弧状の凹部14aが形成されている。また、下パネルキャップ14の下面には、パネル41〜412の内部で生じた結露水を排出するための排出孔が設けられている。この排出孔は、凹部14aの近傍位置に設けられていることが好ましい。各パネル41〜412の下パネルキャップ14の凹部14a内に、連結パイプ15が配置される。パネル41〜412の下側から差し込まれるボルトによって、連結パイプ15がパネル41〜412に取り付けられる。連結パイプ15により、各パネル41〜412が連結される。また、パネル41〜412の下端に連結パイプ15が取りつけられた状態で、各パネル41〜412は、上端側のボルト326を軸として揺動可能となっている。
【0044】
結露水受け部材20は、パネル41〜412からの結露水を受けるために、パネル41〜412の下部に配置されている。結露水受け部材20は、排水管に連通しており、パネル41〜412に沿って流下した結露水が結露水受け部材20に集められ、排水管を通じて外部に排出される。
【0045】
パネル41〜412に挿嵌される熱媒体流通管5は、略U字状に曲げられて当該パネル内に収容されており、パネル41〜412の延設方向Gに沿って延在する往路5aと、往路5aに連なって且つパネル41〜412の延設方向Gとは反対側となる方向に沿って延在する復路5bと有し、パネルの下端側でこれらがU字状に屈曲(湾曲)されている。熱媒体流通管5は、例えば、内径dが8mm以下の樹脂製管からなる。このように樹脂製の熱媒体流通管5を用いることにより、屈曲性が良く、小半径に曲げることができ、熱媒体流通管5同士の加工、パネル41〜412への組み付け作業を容易に行える。なお、本実施形態においては、樹脂製管として架橋ポリエチレン管を採用しているが、ポリブデン製の管等の他のポリオレフィン系の樹脂材料を採用することも可能である。
【0046】
熱媒体流通管5の往路5aと復路5bとは、パネル41〜412の上端縁よりも上方に伸長する往路側延在部5cと復路側延在部5dとをそれぞれ備えている。また、ブリッジ3内は、熱媒体流通管5同士を連結する管連結部6(図1参照)となっている。管連結部6では、各熱媒体流通管5の往路側延在部5c及び復路側延在部5dがそれぞれ他の熱媒体流通管5の復路側延在部5d及び往路側延在部5cに連結される。
【0047】
管連結部6において、複数の熱媒体流通管5は流路(並列配管群)C(図2等参照)を形成し、その流路Cは、複数の熱媒体流通管5を一本につなぐ第1〜第4の直列配管系統L1,L2,L3,L4を並列に備える。直列配管系統L1〜L4における熱媒体の導入側の端部は、これら直列配管系統L1〜L4を束ねる導入側並列連結部25aに接続され、直列配管系統L1〜L4における熱媒体の導出側の端部は、これら直列配管系統L1〜L4を束ねる導出側並列連結部25bに接続される。並列連結部25a,25bは、導入管28及び導出管29を介して熱源24にそれぞれ連結される。導入側並列連結部25aは、熱源24から導入管28を介して導入された熱媒体を、第1〜第4の直列配管系統L1〜L4に均等に導出する。
【0048】
また、管連結部6は、各直列配管系統L1〜L4を形成すべく、一の熱媒体流通管5の往路側延在部5cと他の熱媒体流通管5の復路側延在部5dとを連結する複数のジョイント7を備えている。
【0049】
ジョイント7は、一の熱媒体流通管5の往路側延在部5cと、他の熱媒体流通管5の復路側延在部5dとを連結し、結果として、一つのジョイント7が二つの異なる熱媒体流通管5同士を直列に連結している。
【0050】
図8に示されるように、ジョイント7は、耐腐蝕性を備える銅等の金属や硬質プラスチックから形成され、内部に貫通孔7aが設けられている。ジョイント7の両端7b,7cの外周には、抜け防止用の溝が加工されている。ジョイント7は、その両端7b,7cがそれぞれ熱媒体流通管5同士の往路側延在部5c内及び復路側延在部5d内にそれぞれ挿入されて熱媒体流通管5同士を連通する。
【0051】
本実施形態では、12本の熱媒体流通管5が4組に分けられ、それぞれジョイント7によって直列に繋げられて第1〜第4の直列配管系統L1〜L4が形成されている。
【0052】
図9、図10及び図11を参照して第1〜第4の直列配管系統L1〜L4について説明する。第1の直列配管系統L1は、図9及び図10(a)に示すように、導入側並列連結部25aと、図中、左から1番目のパネル41に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル41に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと左から5番目のパネル45に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル45に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと左から9番目のパネル49に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル49に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと導出側並列連結部25bとが連結されて形成されている。
【0053】
第2の直列配管系統L2は、図9及び図10(b)に示すように、導入側並列連結部25aと、図中、左から3番目のパネル43に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル43に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと左から7番目のパネル47に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル47に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと左から11番目のパネル411に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル411に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと導出側並列連結部25bとが連結されて形成されている。
【0054】
第3の直列配管系統L3は、図9及び図11(a)に示すように、導入側並列連結部25aと、図中、左から12番目のパネル412に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル412に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと左から8番目のパネル48に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル48に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと左から4番目のパネル44に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル44に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと導出側並列連結部25bとが連結されて形成されている。
【0055】
第4の直列配管系統L4は、図9及び図11(b)に示すように、導入側並列連結部25aと、図中、左から10番目のパネル410に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル410に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと左から6番目のパネル46に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル46に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと左から2番目のパネル42に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル42に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと導出側並列連結部25bとが連結されて形成されている。
【0056】
第1及び第2の直列配管系統L1,L2は、パネル41側からパネル412側に向かって熱媒体を各パネル41〜412間で流動させる第1グループD1となる。一方、第3及び第4の直列配管系統L3,L4は、パネル412側からパネル41側に向かって熱媒体を各パネル41〜412間で流動させる第2グループD2となる。第1グループD1に属するパネル41,43,45,47,49,411と、第2グループD2に属するパネル42,44,46,48,410,412とは、それぞれ交互に並んで配置されている。
【0057】
このように、各パネル41〜412から突出する熱媒体流通管5の往路側延在部5c及び復路側延在部5dは、各パネル41〜412の回転軸(ボルト326を軸心とした回転軸)に対して同じ側に位置するもの同士が連結される。
【0058】
図9に示すように、導入側並列連結部25aは、分岐管251aと、連結管252a,253aと、ヘッダ部254a,255aとを備えて構成されている。分岐管251aは、熱源24につながる導入管28(図2参照)と、連結管252a,253aと、に連結される。分岐管251aは、導入管28から導入される熱媒体を2系統に分岐させ、分岐させた熱媒体を連結管252a,253aにそれぞれ導出する。ヘッダ部254aは、連結管252aと、パネル410に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cと、パネル412に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cと、に連結される。ヘッダ部254aは、連結管252aから導入される熱媒体を2系統に分岐させ、分岐させた熱意媒体をパネル410に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5c及びパネル412に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cにそれぞれ導出する。ヘッダ部255aは、連結管253aと、パネル41に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cと、パネル43に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cと、に連結される。ヘッダ部255aは、連結管253aから導入される熱媒体を2系統に分岐させ、分岐させた熱意媒体をパネル41に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5c及びパネル43に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cにそれぞれ導出する。
【0059】
導出側並列連結部25bは、導入側並列連結部25aと同様に、分岐管251bと、連結管252b,253bと、ヘッダ部254b,255bとを備えて構成されている。ヘッダ部254bは、連結管252bと、パネル411に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと、パネル49に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと、に連結される。ヘッダ部254bは、パネル411に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5d及びパネル49に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dから導入された熱媒体を一系統にまとめ、まとめた熱媒体を連結管252bに導出する。ヘッダ部255bは、連結管253bと、パネル42に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと、パネル44に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと、に連結される。ヘッダ部254bは、パネル42に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5d及びパネル44に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dから導入された熱媒体を一系統にまとめ、まとめた熱媒体を連結管253bに導出する。分岐管251bは、熱源24につながる導出管29(図2参照)と、連結管252b,253bと、に連結される。分岐管251bは、連結管252b,253bから導入された熱媒体を1系統にまとめ、まとめた熱媒体を導出管29に導出する。
【0060】
導入側並列連結部25aは、分岐管251aのみがブリッジ3に対して固定されている。同様に、導出側並列連結部25bは、分岐管251bのみがブリッジ3に対して固定されている。従って、導入側並列連結部25a及び導出側並列連結部25bのヘッダ部254a,255a及びヘッダ部254b,255bはブリッジ3に対して移動可能となっている。
【0061】
仮に、ヘッダ部254a,255a及びヘッダ部254b,255bがブリッジ3に対して固定されている場合、パネル41〜パネル412を揺動させようとすると、パネル41〜412の揺動を阻害してしまう。例えば、パネル41に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cがヘッダ部255aに連結されていることにより、ヘッダ部255aがパネル41の揺動を阻害してしまう。そこで、本実施形態のように、ヘッダ部254a,255a及びヘッダ部254b,255bをブリッジ3に対して移動自在とすることで、パネル41〜412の揺動と共にヘッダ部254a,255a及びヘッダ部254b,255bも移動させることができ、パネル41〜412の揺動を妨げることが無い。
【0062】
なお、分岐管251aに対してヘッダ部254a,255aが移動することとなるが(図9において二点差線で示すヘッダ部参照)、連結管252a,253aに屈曲性を有する樹脂製管を用いることで、分岐管251aに対するヘッダ部254a,255aの位置ずれを連結管252a,253aにおいて吸収することができる。同様に、連結管252b,253bに屈曲性を有する樹脂製管を用いることで、分岐管251bに対するヘッダ部254b,255bの位置ずれを吸収することができる。なお、分岐管251a,251b、ヘッダ部254a,255a,254b,255bとして、例えば、金属製管や樹脂製管等、適宜の材料で形成された管を用いることができる。
【0063】
図12を参照しながら、パネル41〜412を揺動させたときの第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360の移動について説明する。パネル41〜412は、各パネル41〜412をそれぞれ軸支するボルト326の軸線上の回転軸Aを中心に揺動する。また、パネル41〜412に設けられた上パネルキャップ13の引出し筒部13b,13aは、第1スライド連結板350の孔354及び第2スライド連結板360の孔364にそれぞれ回転可能に嵌め込まれている。従って、パネル41〜412は、第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360を介して互いに連結されており、互いに連動して揺動する。
【0064】
各パネル41〜412を揺動させると、第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360は、当該第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360の延在方向において互いに異なる方向にそれぞれ移動する。更に、第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360は、延在方向への移動に加えて、第1スライド連結板350と第2スライド連結板360との間隔が近づく或いは離れる方向(延在方向と直交する方向)に移動する。
【0065】
図12(b)に示すように、パネル41〜412をブリッジ3側から見たときに、パネル41〜412の揺動位置が、当該パネル41〜412の面方向と、第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360の延在方向と、が直交する正位置の状態である場合、第1スライド連結板350と第2スライド連結板360との間隔は最も離れた状態となる。
【0066】
一方、図12(a)及び図12(c)に示すように、パネル41〜412を回転軸Aを中心に揺動させると、正位置からパネル41〜412を回転させるに従って、第1スライド連結板350と第2スライド連結板360との間隔が近くなる。
【0067】
このように、第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360は、それぞれの延在方向と、当該延在方向に直交する方向と、に移動可能となっている。これにより、回転軸Aを中心としてパネル41〜412が揺動することで当該パネル41〜412から突出する往路側延在部5c及び復路側延在部5dが円弧状に移動しても、この移動に合わせて第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360を移動させることができる。
【0068】
パネル41〜412を揺動させた場合であっても、各パネル41〜412の回転軸Aに対して同じ側に位置する引出し筒部13a,13b同士の距離は変わらない。例えば、パネル42に設けられた上パネルキャップ13の引出し筒部13bと、パネル43に設けられた上パネルキャップ13の引出し筒部13aと、の距離はパネル41〜412の揺動の前後で変化しない。また、上述のように、各パネル41〜412から突出する往路側延在部5c及び復路側延在部5dは、回転軸Aに対して同じ側に設けられている往路側延在部5c及び復路側延在部5d同士が連結されている。従って、揺動の前後で距離が変化しない引出し筒部13a,13bを介して引き出された往路側延在部5c及び復路側延在部5dを連結することで、パネル41〜412の揺動が可能となる。
【0069】
本実施形態は以上のように構成され、パネル41〜412の揺動の前後で間隔が変化しない引き出し筒13a,13bを介して引き出された往路側延在部5c及び復路側延在部5dを連結することで、例えば、連結された往路側延在部5c及び復路側延在部5dによってパネル41〜412の揺動が規制されるといったことがなく、延在部5c,5d同士を連結した状態のままパネル41〜412を揺動させることができる。
【0070】
また、輻射パネル装置1では、互いに並列に配置された複数の直列配管系統L1〜L4によって熱媒体を供給しつつ、各パネル41〜412を揺動させることができる。
【0071】
また、輻射パネル装置1では、ヘッダ部254a,255a,254b,255bがブリッジ3に対して移動自在であるため、パネル41〜412の揺動に伴って各熱媒体流通管5の往路側延在部5c及び復路側延在部5dの位置が変化した場合であっても、延在部5c,5dの位置の変化に追随させてヘッダ部254a,255a,254b,255bの位置を変化させることができる。従って、ヘッダ部254a,255a,254b,255bに接続された延在部5c,5dが、パネル41〜412の揺動に伴って過度に拡縮することを抑制できる。
【0072】
また、直列配管系統L1,L2が、パネル41側からパネル412側に向かって熱媒体を各パネル41〜412間で流動させる。また、直列配管系統L3,L4が、パネル412側からパネル41側に向かって熱媒体を各パネル41〜412間で流動させる。即ち、相対する2方向からパネル41〜412間に熱媒体を流動させることができる。これにより、複数のパネル41〜412全体での温度勾配の発生を効果的に抑制することができる。
【0073】
また、輻射パネル装置1では、第1グループD1に属する第1及び第2の直列配管系統L1,L2においてはパネル41側からパネル412側に向かって熱媒体を流動させ、第2グループD2に属する第3及び第4の直列配管系統L3,L4においてはパネル412側からパネル41側に向かって熱媒体を流動させる。更に、輻射パネル装置1では、第1グループD1及び第2グループD2に属するパネル41〜412がそれぞれ交互に配置される。これにより、第1グループD1に属するパネルのうち温度が高いパネルに隣接して、第2グループD2に属するパネルのうち温度が低いパネルが配置される。また、第1グループD1に属するパネルのうち温度が低いパネルに隣接して、第2グループD2に属するパネルのうち温度が高いパネルが配置される。これにより、複数のパネル41〜412全体での温度勾配をより一層少なくすることができる。
【0074】
上述した実施形態は本発明に係る輻射パネル装置の一例を説明したものであり、本発明に係る輻射パネル装置は実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る輻射パネル装置は、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る輻射パネル装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。例えば、直列配管系統を形成するパネルの枚数は2枚、4枚または5枚以上としてもよい。また、パネルに収容される熱媒流通管をパネルの一端から他端に向けて貫通させ、パネルの上端側下端側何れにも熱媒流通管に連結するヘッダ部を備える構成を採用することも可能である。
【0075】
また、輻射パネル装置1を設置する建物として、戸建住宅や集合住宅に限らず、事務所ビルや公共建物であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…輻射パネル装置、3…ブリッジ、5…熱媒体流通管、5c…往路側延在部(延在部)、5d…復路側延在部(延在部)、41〜412…パネル、254a,255a,254b,255b…ヘッダ部、D1…第1グループ、D2…第2グループ、L1〜L4…第1〜第4の直列配管系統(直列配管系統)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、輻射暖房や輻射冷房を行う輻射パネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水などの液体状の熱媒体を流通可能な複数のパネルを備える輻射パネル装置が知られている。この種の輻射パネル装置においては、複数のパネルと、別途設置される熱源との間で熱媒体を循環させることで各パネルに輻射能を持たせ、そのパネルによる輻射暖房又は輻射冷房によって居室等の空調を行うことが可能となっている。例えば特許文献1には、パネルの内部に熱媒体を流通させるための熱媒体流通管を設け、その熱媒体流通管に熱媒体を流通させることでパネルから輻射熱を放射させる輻射パネル装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−243127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パネル間を通って流れてくる風の向きの変更や、パネルの向こう側と手前側との間で視線を遮ったりする目的のため、輻射パネル装置のパネルを揺動させたいという要望がある。しかしながら、特許文献1に開示された輻射パネル装置は、そもそもパネルを揺動させることは想定されていない。このため、特許文献1に記載された輻射パネル装置は、パネルを揺動させるための構成を有しておらず、更に、パネルの揺動を可能とする配管の構成を有していない。
【0005】
そこで本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、パネルの揺動が可能な輻射パネル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明に係る輻射パネル装置は、流体からなる熱媒体が流動する熱媒体流通管を挿嵌した長尺状の複数のパネルの一方の端部をブリッジにより連結して構成され、熱源と各パネルの熱媒体流通管との間で熱媒体を循環させることで当該各パネルに輻射能を付与する輻射パネル装置であって、複数のパネルは、回転軸を有して揺動可能にブリッジにそれぞれ支持されると共に、互いに連動して同じ向きに揺動可能とされており、複数のパネルにそれぞれ挿嵌された熱媒体流通管は、パネルの一方の端部から、当該パネルの回転軸の軸線を挟んで対向するように突出する一対の延在部を備え、一のパネルにおける一方の延在部と、一のパネルとは異なるパネルにおける一対の延在部のうち、当該パネルの回転軸に対して、一方の延在部が一のパネルの回転軸に対して位置する側と同じ側に位置する延在部と、を連結することで、直列配管系統が形成されていることを特徴とする。
【0007】
これによれば、各パネルから突出する熱媒体流通管の延在部は、各パネルの回転軸に対して同じ側に位置するもの同士が連結される。輻射パネル装置の各パネルを互いに連動させて同じ向きに揺動させた場合、各パネルの回転軸に対して同じ側に位置する延在部は、当該延在部同士の間隔を一定に保ったまま揺動に伴って位置が変化する。即ち、連結された延在部同士は、当該延在部同士の間隔を一定に保ったまま揺動に伴って位置が変化する。このように、揺動の前後で間隔が変化しない延在部同士を連結することで、例えば、連結された延在部によってパネルの揺動が規制されるといったことがなく、延在部同士を連結した状態のままパネルを揺動させることができる。
【0008】
また、直列配管系統は複数設けられ、直列配管系統を並列に備えた並列配管群を有している、ことが好ましい。この輻射パネル装置では、互いに並列に配置された直列配管系統に熱媒体を供給しつつ、各パネルを揺動させることができる。
【0009】
また、並列配管群は、直列配管系統を並列に接続すると共に、当該並列に接続した直列配管系統に熱源からの熱媒体を供給するヘッダ部を備え、ヘッダ部は、パネルの揺動に伴ってブリッジに対して移動自在となっている、ことが好ましい。この輻射パネル装置では、ヘッダ部が移動自在であるため、パネルの揺動に伴って各熱媒体流通管の延在部の位置が変化した場合であっても、延在部の位置の変化に追随させてヘッダ部の位置を変化させることができる。従って、ヘッダ部に接続された延在部が、パネルの揺動に伴って過度に拡縮することを抑制できる。
【0010】
また、複数の直列配管系統は、ブリッジの長手方向の一方側から他方側に向けて熱媒体を各パネル間で流動させる第1グループと、ブリッジの長手方向の他方側から一方側に向けて熱媒体を各パネル間で流動させる第2グループとを含んでいる、ことが好ましい。この輻射パネル装置では、ブリッジの長手方向に亘って並べて配置されたパネルに対して、相対する2方向からパネル間に熱媒体を流動させることができる。これにより、複数のパネル全体での温度勾配の発生を効果的に抑制することができる。
【0011】
また、第1グループに属するパネルと、第2グループに属するパネルとが交互に並んで設けられていることが好ましい。この輻射パネル装置では、第1グループに属するパネルのうち温度が高いパネルに隣接して、第2グループに属するパネルのうち温度が低いパネルが配置される。また、この輻射パネル装置では、第1グループに属するパネルのうち温度が低いパネルに隣接して、第2グループに属するパネルのうち温度が高いパネルが配置される。これにより、複数のパネル全体での温度勾配をより一層少なくすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、輻射パネル装置のパネルを揺動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る輻射パネル装置を設置した状態を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る輻射パネル装置全体を模式的に示す斜視図である。
【図3】本実施形態に係る輻射パネル装置のブリッジ周りを示す側面図である。
【図4】本実施形態に係る輻射パネル装置の上面図である。
【図5】図3のV−V線に沿った断面図である。
【図6】本実施形態に係る輻射パネル装置の第1スライド連結板を示す斜視図である。
【図7】本実施形態に係る輻射パネル装置をブリッジの延在方向から見た側面図である。
【図8】管連結部を用いて熱媒体流通管の延在部同士を連結する状態を示す分解斜視図である。
【図9】熱媒体流通管の連結状態を模式的に示す図である。
【図10】各直列配管系統の熱媒体の流れを示し、(a)は第1の直列配管系統の流れを示す図であり、(b)は第2の直列配管系統の流れを示す図である。
【図11】各直列配管系統の熱媒体の流れを示し、(a)は第3の直列配管系統の流れを示す図であり、(b)は第4の直列配管系統の流れを示す図である。
【図12】各パネルの揺動状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明に係る輻射パネル装置の実施形態を説明する。なお、説明において同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1に示すように、輻射パネル装置1は、建物の居室の一角に設置されて輻射暖房あるいは輻射冷房を行う輻射装置であり、居室の天井板Rと床板Fとの間で鉛直方向に立設された一対の支柱2A,2Bと、一対の支柱2A,2Bの上端側に架設されるブリッジ3と、ブリッジ3に上端が支持される複数の長尺のパネル41〜412と、パネル41〜412の下方で床板F上に設けられて結露水を受け止める結露水受け部材20と、を備えて構成されている。
【0016】
図5に示すように、パネル41には、熱源24(図2参照)から供給される熱媒体を当該パネル41の上端4a側から下端4b側へ向かって通過させる往路5a、及び、パネル41の下端4b側で往路5aに連なって下端4b側から上端4a側へ熱媒体を通過させる復路5bを有する熱媒体流通管5が挿嵌されている。これによって、熱源24での加熱や冷却により所定の温度状態となる熱量を付与された熱媒体は、往路5aを流れた後に復路5bを流れることで、パネル41内を一端4aから他端4bに向かって流動した後、他端4bから一端4aに向かって流動する。パネル42〜412にも、パネル41と同様に、往路5a及び復路5bを有する熱媒体流通管5が挿嵌され、パネル42〜412内に熱媒体が流れている。熱源24からパネル41〜412に供給された熱媒体は、パネル41〜412内を流れた後に熱源24へ還流することによって回収される。
【0017】
従って、輻射パネル装置1のパネル41〜412は、熱媒体が熱源24とパネル41〜412との間で繰り返し循環することで次第に輻射能が付与され、各パネル41〜412から輻射熱が放射されることにより居室の輻射暖房あるいは輻射冷房を行うことが可能となる。
【0018】
図1に戻り、支柱2A,2Bは、床板Fから天井板Rまで届く長さを有する支柱本体8と、支柱本体8の下端に外嵌して床板Fに締結される柱脚部材9と、を備えており、床板Fに固着された状態で立設している。
【0019】
図3〜図5に示すように、ブリッジ3は、第1サイドフレーム310、中央フレーム320、第2サイドフレーム330、補強部材340、第1スライド連結板(ガイド手段、第1ガイド手段)350、及び第2スライド連結板(ガイド手段、第2ガイド手段)360を備えている。第1サイドフレーム310、中央フレーム320、第2サイドフレーム330、第1スライド連結板350、及び第2スライド連結板360は、長尺状を成し、延在方向が互いに同じとなるように配置されている。
【0020】
中央フレーム320は、第1サイドフレーム310と中央フレーム320との間に配置される。なお、第1サイドフレーム310と中央フレーム320との間、及び第2サイドフレーム330と中央フレーム320との間にはそれぞれ所定の幅の隙間が設けられている。
【0021】
補強部材340は、第1サイドフレーム310、中央フレーム320、及び第2サイドフレーム330に跨った状態で配置される。第1サイドフレーム310、中央フレーム320、及び第2サイドフレーム330は、補強部材340にボルト341によって固定される。なお、補強部材340は短小なピース状に形成されて複数設けられ、複数位置で、第1サイドフレーム310、中央フレーム320、及び第2サイドフレーム330を固定している。
【0022】
中央フレーム320は、略四角筒状を成し、その上面320aには、当該中央フレーム320の延在方向に延びるスリット325が設けられている。中央フレーム320は、アルミニウムやステンレスなどの金属を押出成形することによって形成されている。スリット325には、中央フレーム320を補強部材340に固定するためのボルト341が通されている。
【0023】
中央フレーム320の下面320dには、複数のボルト326によってパネル41〜412が揺動可能にそれぞれ取り付けられている。即ち、パネル41〜412は、それぞれボルト326を軸心として揺動する。なお、パネル41〜412は、当該パネルの幅方向(図5における左右方向)の中央位置において、ボルト326によって中央フレーム320に揺動可能に軸支されている。
なお、パネル41〜412は図示しないパネル連結揺動機構によって連結され、当該パネル連結揺動機構を操作することにより、すべてのパネル41〜412を同時に同じ向きに揺動させるものとなっている。
【0024】
中央フレーム320の側面320b,320cのうち第1サイドフレーム310側の側面320bには、当該中央フレーム320の長手方向に延びる中央側第1凹部321が設けられている。中央フレーム320の側面320b,320cのうち第2サイドフレーム330側の側面320cには、当該中央フレーム320の長手方向に延在する中央側第2凹部322が設けられている。中央側第1凹部321及び中央側第2凹部322は、それぞれ中央フレーム320の内部に向けて窪んでいる。
【0025】
第1サイドフレーム310は、水平に広がる底板部310aと、底板部310a上に立設されるリブ壁310bとを備えて構成されている。第1サイドフレーム310は、アルミニウムやステンレスなどの金属を押出成形することによって形成されている。底板部310aが、天井板Rにビス等によって固定される。リブ壁310bが、ボルト341によって補強部材340に固定される。底板部310aの中央フレーム320側の端部には、立上がり壁311が設けられている。立上がり壁311には、第1サイドフレーム310の長手方向に延在するサイド側第1凹部312が設けられている。サイド側第1凹部312は、立上がり壁311をリブ壁310b側に向けて窪ませた形状となっている。サイド側第1凹部312が設けられる高さ位置は、中央フレーム320の側面320bに設けられた中央側第1凹部321の高さ位置と同じとなっている。立上がり壁311と中央フレーム320の側面320bとの間には、溝315が形成される。
【0026】
第1スライド連結板350は、溝315内に移動可能に収容される。第1スライド連結板350は、フランジ部351,353と、本体部352とを備えて構成されている。特に図6に示すように、本体部352は、底壁352bと、底壁352bの両端部からそれぞれ立ち上がる側壁352a,352cとを含んで構成され、凹状を成している。また、第1スライド連結板350の底壁352bには、当該第1スライド連結板350の長手方向に等間隔に並ぶ複数の孔354が設けられている。フランジ部351は、本体部352の側壁352aの上端部に接続され、第1サイドフレーム310側に向けて延びている。フランジ部353は、本体部352の側壁352cの上端部に接続され、中央フレーム320側に向けて延びている。
【0027】
図5に示すように、第1スライド連結板350のフランジ部351は、第1サイドフレーム310のサイド側第1凹部312内に摺動可能に収容される。また、第1スライド連結板350のフランジ部353は、中央フレーム320の中央側第1凹部321内に摺動可能に収容される。
【0028】
第1スライド連結板350は、フランジ部351及びフランジ部353がサイド側第1凹部312内及び中央側第1凹部321内にそれぞれ収容された状態で、溝315の長手方向に移動可能となっている。このように、ブリッジ3の長手方向に延在するサイド側第1凹部312及び中央側第1凹部321が、第1スライド連結板350における溝315の長手方向への移動を規定する第1規定部(ガイド手段、第1ガイド手段、規定手段)として機能する。
【0029】
また、サイド側第1凹部312の底面から中央側第1凹部321の底面までの長さは、フランジ部351の先端からフランジ部353の先端までの長さよりも長くなっている。即ち、第1スライド連結板350は、フランジ部351及びフランジ部353がサイド側第1凹部312内及び中央側第1凹部321内に収容された状態で、溝315の幅方向(図5における左右方向)に移動可能となっている。このように、サイド側第1凹部312の底面から中央側第1凹部321の底面までの長さがフランジ部351の先端からフランジ部353の先端までの長さよりも長くなるように設定されたサイド側第1凹部312及び中央側第1凹部321が、第1スライド連結板350における溝315の長手方向と直交する方向への移動を規定する第2規定部(ガイド手段、第1ガイド手段、規定手段)として機能する。この第2規定部は、フランジ部351,353がサイド側第1凹部312内及び中央側第1凹部321内からそれぞれ脱落することがないように、第1スライド連結板350の移動を規定している。
【0030】
また、第1スライド連結板350における側壁352aの外面は、パネル41〜412が正位置(詳しくは後述する)にあるときに、立上がり壁311に擦り付けられる。即ち、側壁352aが、立上がり壁311に擦り付けられる擦り板を構成している。側壁352aが立上がり壁311に擦り付けられることで、パネル41〜412の位置が解除可能に固定される。即ち、立上がり壁311及び側壁352aが、パネル41〜412の位置を解除可能に固定するブレーキ手段として機能する。
【0031】
第2サイドフレーム330も、第1サイドフレーム310と同様に、水平に広がる底板部330aと、底板部330a上に立設されるリブ壁330bと、を備えて構成されている。底板部330aの中央フレーム320側の端部には、立上がり壁331が設けられている。立上がり壁331には、サイド側第1凹部312と同様に、第2サイドフレーム330の長手方向に延在するサイド側第2凹部332が設けられている。立上がり壁331と中央フレーム320の側面320cとの間には、溝335が形成される。
【0032】
第2スライド連結板360は、溝335内に移動可能に収容される。第2スライド連結板360は、第1スライド連結板350と同様に、フランジ部361,363と、本体部362とを備えて構成されている。また、本体部362には、第1スライド連結板350と同様に、第2スライド連結板360の長手方向に等間隔に並ぶ複数の孔364が設けられている。
【0033】
第2スライド連結板360のフランジ部361は、第2サイドフレーム330のサイド側第2凹部332内に摺動可能に収容される。また、第2スライド連結板360のフランジ部363は、中央フレーム320の中央側第2凹部322内に摺動可能に収容される。
【0034】
第2スライド連結板360は、フランジ部361及びフランジ部363がサイド側第2凹部332内及び中央側第2凹部322内にそれぞれ収容された状態で、溝335の長手方向に移動可能となっている。このように、ブリッジ3の長手方向に延在するサイド側第2凹部332及び中央側第2凹部322が、第2スライド連結板360における溝335の長手方向への移動を規定する第1規定部(ガイド手段、第2ガイド手段、規定手段)として機能する。
【0035】
また、サイド側第2凹部332の底面から中央側第2凹部322の底面までの長さは、フランジ部361の先端からフランジ部363の先端までの長さよりも長くなっている。即ち、第2スライド連結板360は、フランジ部361及びフランジ部363がサイド側第2凹部332内及び中央側第2凹部322内に収容された状態で、溝335の幅方向(図5における左右方向)に移動可能となっている。このように、サイド側第2凹部332の底面から中央側第2凹部322の底面までの長さがフランジ部361の先端からフランジ部363の先端までの長さよりも長くなるように設定されたサイド側第2凹部332及び中央側第2凹部322が、第2スライド連結板360における溝335の長手方向と直交する方向への移動を規定する第2規定部(ガイド手段、第2ガイド手段、規定手段)として機能する。この第2規定部は、フランジ部361,363がサイド側第2凹部332内及び中央側第2凹部322内からそれぞれ脱落することがないように、第2スライド連結板360の移動を規定している。
【0036】
また、第2スライド連結板360の本体部362における立上がり壁331と対向する側壁362aは、パネル41〜412が正位置(詳しくは後述する)にあるときに、立上がり壁331に擦り付けられる。即ち、側壁362aが、立上がり壁331に擦り付けられる擦り板を構成している。側壁362aが立上がり壁331に擦り付けられることで、パネル41〜412の位置が解除可能に固定される。即ち、立上がり壁331及び側壁362aが、パネル41〜412の位置を解除可能に固定するブレーキ手段として機能する。
【0037】
図7に示すように、ブリッジ3には、当該ブリッジ3の長手方向の両端部を覆うブリッジカバー30がそれぞれ設けられている。ブリッジカバー30には、第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360が溝315,335の長手方向にスライドしたときに当該ブリッジカバー30に干渉することを避けるための開口部30a,30bが設けられている。
【0038】
また、第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360の長手方向の両端部にも、第1スライド連結板350の本体部352及び第2スライド連結板360の本体部362を覆う連結板カバー357,367がそれぞれ設けられている。これにより、第1スライド連結板350の本体部352内、及び、第2スライド連結板360の本体部362内に結露水等の水が溜まったとしても、この水が第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360の端部から落下することがない。第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360の本体部内に溜まった水は、孔354,364からパネル41〜412を伝い、パネル41〜412の下端から結露水受け部材20へ落下する。
【0039】
また、図3及び図4に示すように、ブリッジ3の長手方向におけるパネル41側の端部には、溝315,335を覆う溝カバー40が設けられている。溝カバー40は、パネル41が揺動したときに往路側延在部5cや復路側延在部5dが干渉しない程度まで、ブリッジ3の端部からパネル41側に向かって延びている。これにより、ブリッジ3を下側から見たときに、ブリッジ3の端部において溝315,335によって形成される隙間を塞ぐことができる。同様に、ブリッジ3の長手方向におけるパネル412側の端部にも溝カバーが設けられ、当該溝カバーによって、溝315,335によって形成される隙間が塞がれている。なお、溝カバー40によって塞がれる2つの隙間(溝315,335によって形成される隙間)は、パネル41〜412の揺動により、一方が大きく、他方が小さくなる。溝カバー40は、パネル41〜412の揺動により隙間の大きさが変化したとしても、これらの隙間が見えないように塞いでいる。
【0040】
なお、溝カバー40及び支柱本体8は、サイドフレーム310,330の底板部310a,330aの下面側に設けられている。スライド連結板350,360は、サイドフレーム310,330の底板部310a,330aの下面よりも上側に位置している(図5等参照)。従って、スライド連結板350,360が溝315,335内をスライドしても、溝カバー40及び支柱本体8に干渉することなくスライド連結板350,360のスライドが可能となっている。
【0041】
パネル41〜412は、鉛直方向に延在して断面が扁平に形成された長尺状の中空部材であり、アルミニウムやステンレスなどの金属を、例えば押出成形することで形成される。パネル41〜412には、流体からなる熱媒体、例えば不凍液や水を循環させるための熱媒体流通管5が挿嵌されている。パネル41〜412の上端には、上パネルキャップ13がそれぞれ取り付けられている。パネル41〜412は、上パネルキャップ13を介して、ボルト326によってそれぞれブリッジ3に揺動可能に取り付けられている。
【0042】
パネル41〜412に取り付けられた上パネルキャップ13には、パネル41〜412内に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5c及び復路側延在部5dを外部へ引き出すための引出し筒部13a,13bがそれぞれ設けられている。引出し筒部13a,13bの先端部は、第2スライド連結板360の孔364及び第1スライド連結板350の孔354にそれぞれ揺動可能に嵌め込まれている。これにより、第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360によって熱媒体流通管5の移動が案内される。
【0043】
パネル41〜412の下端には、下パネルキャップ14がそれぞれ取り付けられている。下パネルキャップ14は、下方側に頂点部分を有する三角形状に形成されている。下パネルキャップ14の下面において、三角形状の頂点部分には、円弧状の凹部14aが形成されている。また、下パネルキャップ14の下面には、パネル41〜412の内部で生じた結露水を排出するための排出孔が設けられている。この排出孔は、凹部14aの近傍位置に設けられていることが好ましい。各パネル41〜412の下パネルキャップ14の凹部14a内に、連結パイプ15が配置される。パネル41〜412の下側から差し込まれるボルトによって、連結パイプ15がパネル41〜412に取り付けられる。連結パイプ15により、各パネル41〜412が連結される。また、パネル41〜412の下端に連結パイプ15が取りつけられた状態で、各パネル41〜412は、上端側のボルト326を軸として揺動可能となっている。
【0044】
結露水受け部材20は、パネル41〜412からの結露水を受けるために、パネル41〜412の下部に配置されている。結露水受け部材20は、排水管に連通しており、パネル41〜412に沿って流下した結露水が結露水受け部材20に集められ、排水管を通じて外部に排出される。
【0045】
パネル41〜412に挿嵌される熱媒体流通管5は、略U字状に曲げられて当該パネル内に収容されており、パネル41〜412の延設方向Gに沿って延在する往路5aと、往路5aに連なって且つパネル41〜412の延設方向Gとは反対側となる方向に沿って延在する復路5bと有し、パネルの下端側でこれらがU字状に屈曲(湾曲)されている。熱媒体流通管5は、例えば、内径dが8mm以下の樹脂製管からなる。このように樹脂製の熱媒体流通管5を用いることにより、屈曲性が良く、小半径に曲げることができ、熱媒体流通管5同士の加工、パネル41〜412への組み付け作業を容易に行える。なお、本実施形態においては、樹脂製管として架橋ポリエチレン管を採用しているが、ポリブデン製の管等の他のポリオレフィン系の樹脂材料を採用することも可能である。
【0046】
熱媒体流通管5の往路5aと復路5bとは、パネル41〜412の上端縁よりも上方に伸長する往路側延在部5cと復路側延在部5dとをそれぞれ備えている。また、ブリッジ3内は、熱媒体流通管5同士を連結する管連結部6(図1参照)となっている。管連結部6では、各熱媒体流通管5の往路側延在部5c及び復路側延在部5dがそれぞれ他の熱媒体流通管5の復路側延在部5d及び往路側延在部5cに連結される。
【0047】
管連結部6において、複数の熱媒体流通管5は流路(並列配管群)C(図2等参照)を形成し、その流路Cは、複数の熱媒体流通管5を一本につなぐ第1〜第4の直列配管系統L1,L2,L3,L4を並列に備える。直列配管系統L1〜L4における熱媒体の導入側の端部は、これら直列配管系統L1〜L4を束ねる導入側並列連結部25aに接続され、直列配管系統L1〜L4における熱媒体の導出側の端部は、これら直列配管系統L1〜L4を束ねる導出側並列連結部25bに接続される。並列連結部25a,25bは、導入管28及び導出管29を介して熱源24にそれぞれ連結される。導入側並列連結部25aは、熱源24から導入管28を介して導入された熱媒体を、第1〜第4の直列配管系統L1〜L4に均等に導出する。
【0048】
また、管連結部6は、各直列配管系統L1〜L4を形成すべく、一の熱媒体流通管5の往路側延在部5cと他の熱媒体流通管5の復路側延在部5dとを連結する複数のジョイント7を備えている。
【0049】
ジョイント7は、一の熱媒体流通管5の往路側延在部5cと、他の熱媒体流通管5の復路側延在部5dとを連結し、結果として、一つのジョイント7が二つの異なる熱媒体流通管5同士を直列に連結している。
【0050】
図8に示されるように、ジョイント7は、耐腐蝕性を備える銅等の金属や硬質プラスチックから形成され、内部に貫通孔7aが設けられている。ジョイント7の両端7b,7cの外周には、抜け防止用の溝が加工されている。ジョイント7は、その両端7b,7cがそれぞれ熱媒体流通管5同士の往路側延在部5c内及び復路側延在部5d内にそれぞれ挿入されて熱媒体流通管5同士を連通する。
【0051】
本実施形態では、12本の熱媒体流通管5が4組に分けられ、それぞれジョイント7によって直列に繋げられて第1〜第4の直列配管系統L1〜L4が形成されている。
【0052】
図9、図10及び図11を参照して第1〜第4の直列配管系統L1〜L4について説明する。第1の直列配管系統L1は、図9及び図10(a)に示すように、導入側並列連結部25aと、図中、左から1番目のパネル41に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル41に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと左から5番目のパネル45に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル45に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと左から9番目のパネル49に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル49に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと導出側並列連結部25bとが連結されて形成されている。
【0053】
第2の直列配管系統L2は、図9及び図10(b)に示すように、導入側並列連結部25aと、図中、左から3番目のパネル43に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル43に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと左から7番目のパネル47に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル47に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと左から11番目のパネル411に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル411に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと導出側並列連結部25bとが連結されて形成されている。
【0054】
第3の直列配管系統L3は、図9及び図11(a)に示すように、導入側並列連結部25aと、図中、左から12番目のパネル412に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル412に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと左から8番目のパネル48に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル48に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと左から4番目のパネル44に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル44に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと導出側並列連結部25bとが連結されて形成されている。
【0055】
第4の直列配管系統L4は、図9及び図11(b)に示すように、導入側並列連結部25aと、図中、左から10番目のパネル410に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル410に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと左から6番目のパネル46に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル46に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと左から2番目のパネル42に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cとが連結され、このパネル42に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと導出側並列連結部25bとが連結されて形成されている。
【0056】
第1及び第2の直列配管系統L1,L2は、パネル41側からパネル412側に向かって熱媒体を各パネル41〜412間で流動させる第1グループD1となる。一方、第3及び第4の直列配管系統L3,L4は、パネル412側からパネル41側に向かって熱媒体を各パネル41〜412間で流動させる第2グループD2となる。第1グループD1に属するパネル41,43,45,47,49,411と、第2グループD2に属するパネル42,44,46,48,410,412とは、それぞれ交互に並んで配置されている。
【0057】
このように、各パネル41〜412から突出する熱媒体流通管5の往路側延在部5c及び復路側延在部5dは、各パネル41〜412の回転軸(ボルト326を軸心とした回転軸)に対して同じ側に位置するもの同士が連結される。
【0058】
図9に示すように、導入側並列連結部25aは、分岐管251aと、連結管252a,253aと、ヘッダ部254a,255aとを備えて構成されている。分岐管251aは、熱源24につながる導入管28(図2参照)と、連結管252a,253aと、に連結される。分岐管251aは、導入管28から導入される熱媒体を2系統に分岐させ、分岐させた熱媒体を連結管252a,253aにそれぞれ導出する。ヘッダ部254aは、連結管252aと、パネル410に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cと、パネル412に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cと、に連結される。ヘッダ部254aは、連結管252aから導入される熱媒体を2系統に分岐させ、分岐させた熱意媒体をパネル410に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5c及びパネル412に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cにそれぞれ導出する。ヘッダ部255aは、連結管253aと、パネル41に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cと、パネル43に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cと、に連結される。ヘッダ部255aは、連結管253aから導入される熱媒体を2系統に分岐させ、分岐させた熱意媒体をパネル41に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5c及びパネル43に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cにそれぞれ導出する。
【0059】
導出側並列連結部25bは、導入側並列連結部25aと同様に、分岐管251bと、連結管252b,253bと、ヘッダ部254b,255bとを備えて構成されている。ヘッダ部254bは、連結管252bと、パネル411に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと、パネル49に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと、に連結される。ヘッダ部254bは、パネル411に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5d及びパネル49に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dから導入された熱媒体を一系統にまとめ、まとめた熱媒体を連結管252bに導出する。ヘッダ部255bは、連結管253bと、パネル42に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと、パネル44に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dと、に連結される。ヘッダ部254bは、パネル42に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5d及びパネル44に挿嵌された熱媒体流通管5の復路側延在部5dから導入された熱媒体を一系統にまとめ、まとめた熱媒体を連結管253bに導出する。分岐管251bは、熱源24につながる導出管29(図2参照)と、連結管252b,253bと、に連結される。分岐管251bは、連結管252b,253bから導入された熱媒体を1系統にまとめ、まとめた熱媒体を導出管29に導出する。
【0060】
導入側並列連結部25aは、分岐管251aのみがブリッジ3に対して固定されている。同様に、導出側並列連結部25bは、分岐管251bのみがブリッジ3に対して固定されている。従って、導入側並列連結部25a及び導出側並列連結部25bのヘッダ部254a,255a及びヘッダ部254b,255bはブリッジ3に対して移動可能となっている。
【0061】
仮に、ヘッダ部254a,255a及びヘッダ部254b,255bがブリッジ3に対して固定されている場合、パネル41〜パネル412を揺動させようとすると、パネル41〜412の揺動を阻害してしまう。例えば、パネル41に挿嵌された熱媒体流通管5の往路側延在部5cがヘッダ部255aに連結されていることにより、ヘッダ部255aがパネル41の揺動を阻害してしまう。そこで、本実施形態のように、ヘッダ部254a,255a及びヘッダ部254b,255bをブリッジ3に対して移動自在とすることで、パネル41〜412の揺動と共にヘッダ部254a,255a及びヘッダ部254b,255bも移動させることができ、パネル41〜412の揺動を妨げることが無い。
【0062】
なお、分岐管251aに対してヘッダ部254a,255aが移動することとなるが(図9において二点差線で示すヘッダ部参照)、連結管252a,253aに屈曲性を有する樹脂製管を用いることで、分岐管251aに対するヘッダ部254a,255aの位置ずれを連結管252a,253aにおいて吸収することができる。同様に、連結管252b,253bに屈曲性を有する樹脂製管を用いることで、分岐管251bに対するヘッダ部254b,255bの位置ずれを吸収することができる。なお、分岐管251a,251b、ヘッダ部254a,255a,254b,255bとして、例えば、金属製管や樹脂製管等、適宜の材料で形成された管を用いることができる。
【0063】
図12を参照しながら、パネル41〜412を揺動させたときの第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360の移動について説明する。パネル41〜412は、各パネル41〜412をそれぞれ軸支するボルト326の軸線上の回転軸Aを中心に揺動する。また、パネル41〜412に設けられた上パネルキャップ13の引出し筒部13b,13aは、第1スライド連結板350の孔354及び第2スライド連結板360の孔364にそれぞれ回転可能に嵌め込まれている。従って、パネル41〜412は、第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360を介して互いに連結されており、互いに連動して揺動する。
【0064】
各パネル41〜412を揺動させると、第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360は、当該第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360の延在方向において互いに異なる方向にそれぞれ移動する。更に、第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360は、延在方向への移動に加えて、第1スライド連結板350と第2スライド連結板360との間隔が近づく或いは離れる方向(延在方向と直交する方向)に移動する。
【0065】
図12(b)に示すように、パネル41〜412をブリッジ3側から見たときに、パネル41〜412の揺動位置が、当該パネル41〜412の面方向と、第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360の延在方向と、が直交する正位置の状態である場合、第1スライド連結板350と第2スライド連結板360との間隔は最も離れた状態となる。
【0066】
一方、図12(a)及び図12(c)に示すように、パネル41〜412を回転軸Aを中心に揺動させると、正位置からパネル41〜412を回転させるに従って、第1スライド連結板350と第2スライド連結板360との間隔が近くなる。
【0067】
このように、第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360は、それぞれの延在方向と、当該延在方向に直交する方向と、に移動可能となっている。これにより、回転軸Aを中心としてパネル41〜412が揺動することで当該パネル41〜412から突出する往路側延在部5c及び復路側延在部5dが円弧状に移動しても、この移動に合わせて第1スライド連結板350及び第2スライド連結板360を移動させることができる。
【0068】
パネル41〜412を揺動させた場合であっても、各パネル41〜412の回転軸Aに対して同じ側に位置する引出し筒部13a,13b同士の距離は変わらない。例えば、パネル42に設けられた上パネルキャップ13の引出し筒部13bと、パネル43に設けられた上パネルキャップ13の引出し筒部13aと、の距離はパネル41〜412の揺動の前後で変化しない。また、上述のように、各パネル41〜412から突出する往路側延在部5c及び復路側延在部5dは、回転軸Aに対して同じ側に設けられている往路側延在部5c及び復路側延在部5d同士が連結されている。従って、揺動の前後で距離が変化しない引出し筒部13a,13bを介して引き出された往路側延在部5c及び復路側延在部5dを連結することで、パネル41〜412の揺動が可能となる。
【0069】
本実施形態は以上のように構成され、パネル41〜412の揺動の前後で間隔が変化しない引き出し筒13a,13bを介して引き出された往路側延在部5c及び復路側延在部5dを連結することで、例えば、連結された往路側延在部5c及び復路側延在部5dによってパネル41〜412の揺動が規制されるといったことがなく、延在部5c,5d同士を連結した状態のままパネル41〜412を揺動させることができる。
【0070】
また、輻射パネル装置1では、互いに並列に配置された複数の直列配管系統L1〜L4によって熱媒体を供給しつつ、各パネル41〜412を揺動させることができる。
【0071】
また、輻射パネル装置1では、ヘッダ部254a,255a,254b,255bがブリッジ3に対して移動自在であるため、パネル41〜412の揺動に伴って各熱媒体流通管5の往路側延在部5c及び復路側延在部5dの位置が変化した場合であっても、延在部5c,5dの位置の変化に追随させてヘッダ部254a,255a,254b,255bの位置を変化させることができる。従って、ヘッダ部254a,255a,254b,255bに接続された延在部5c,5dが、パネル41〜412の揺動に伴って過度に拡縮することを抑制できる。
【0072】
また、直列配管系統L1,L2が、パネル41側からパネル412側に向かって熱媒体を各パネル41〜412間で流動させる。また、直列配管系統L3,L4が、パネル412側からパネル41側に向かって熱媒体を各パネル41〜412間で流動させる。即ち、相対する2方向からパネル41〜412間に熱媒体を流動させることができる。これにより、複数のパネル41〜412全体での温度勾配の発生を効果的に抑制することができる。
【0073】
また、輻射パネル装置1では、第1グループD1に属する第1及び第2の直列配管系統L1,L2においてはパネル41側からパネル412側に向かって熱媒体を流動させ、第2グループD2に属する第3及び第4の直列配管系統L3,L4においてはパネル412側からパネル41側に向かって熱媒体を流動させる。更に、輻射パネル装置1では、第1グループD1及び第2グループD2に属するパネル41〜412がそれぞれ交互に配置される。これにより、第1グループD1に属するパネルのうち温度が高いパネルに隣接して、第2グループD2に属するパネルのうち温度が低いパネルが配置される。また、第1グループD1に属するパネルのうち温度が低いパネルに隣接して、第2グループD2に属するパネルのうち温度が高いパネルが配置される。これにより、複数のパネル41〜412全体での温度勾配をより一層少なくすることができる。
【0074】
上述した実施形態は本発明に係る輻射パネル装置の一例を説明したものであり、本発明に係る輻射パネル装置は実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る輻射パネル装置は、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る輻射パネル装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。例えば、直列配管系統を形成するパネルの枚数は2枚、4枚または5枚以上としてもよい。また、パネルに収容される熱媒流通管をパネルの一端から他端に向けて貫通させ、パネルの上端側下端側何れにも熱媒流通管に連結するヘッダ部を備える構成を採用することも可能である。
【0075】
また、輻射パネル装置1を設置する建物として、戸建住宅や集合住宅に限らず、事務所ビルや公共建物であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…輻射パネル装置、3…ブリッジ、5…熱媒体流通管、5c…往路側延在部(延在部)、5d…復路側延在部(延在部)、41〜412…パネル、254a,255a,254b,255b…ヘッダ部、D1…第1グループ、D2…第2グループ、L1〜L4…第1〜第4の直列配管系統(直列配管系統)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体からなる熱媒体が流動する熱媒体流通管を挿嵌した長尺状の複数のパネルの一方の端部をブリッジにより連結して構成され、熱源と前記各パネルの前記熱媒体流通管との間で熱媒体を循環させることで当該各パネルに輻射能を付与する輻射パネル装置であって、
前記複数のパネルは、回転軸を有して揺動可能に前記ブリッジにそれぞれ支持されると共に、互いに連動して同じ向きに揺動可能とされており、
前記複数のパネルにそれぞれ挿嵌された前記熱媒体流通管は、前記パネルの一方の端部から、当該パネルの前記回転軸の軸線を挟んで対向するように突出する一対の延在部を備え、
一の前記パネルにおける一方の前記延在部と、前記一のパネルとは異なる前記パネルにおける前記一対の延在部のうち、当該パネルの回転軸に対して、前記一方の延在部が前記一のパネルの回転軸に対して位置する側と同じ側に位置する延在部と、を連結することで、直列配管系統が形成されている、
ことを特徴とする輻射パネル装置。
【請求項2】
前記直列配管系統は複数設けられ、
前記直列配管系統を並列に備えた並列配管群を有している、
ことを特徴とする請求項1に記載の輻射パネル装置。
【請求項3】
前記並列配管群は、前記直列配管系統を並列に接続すると共に、当該並列に接続した直列配管系統に前記熱源からの前記熱媒体を供給するヘッダ部を備え、
前記ヘッダ部は、前記パネルの揺動に伴って前記ブリッジに対して移動自在となっている、
ことを特徴とする請求項2に記載の輻射パネル装置。
【請求項4】
前記複数の直列配管系統は、前記ブリッジの長手方向の一方側から他方側に向けて前記熱媒体を前記各パネル間で流動させる第1グループと、前記ブリッジの長手方向の他方側から一方側に向けて前記熱媒体を前記各パネル間で流動させる第2グループとを含んでいる、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の輻射パネル装置。
【請求項5】
前記第1グループに属する前記パネルと、前記第2グループに属する前記パネルとが交互に並んで設けられていることを特徴とする請求項4に記載の輻射パネル装置。
【請求項1】
流体からなる熱媒体が流動する熱媒体流通管を挿嵌した長尺状の複数のパネルの一方の端部をブリッジにより連結して構成され、熱源と前記各パネルの前記熱媒体流通管との間で熱媒体を循環させることで当該各パネルに輻射能を付与する輻射パネル装置であって、
前記複数のパネルは、回転軸を有して揺動可能に前記ブリッジにそれぞれ支持されると共に、互いに連動して同じ向きに揺動可能とされており、
前記複数のパネルにそれぞれ挿嵌された前記熱媒体流通管は、前記パネルの一方の端部から、当該パネルの前記回転軸の軸線を挟んで対向するように突出する一対の延在部を備え、
一の前記パネルにおける一方の前記延在部と、前記一のパネルとは異なる前記パネルにおける前記一対の延在部のうち、当該パネルの回転軸に対して、前記一方の延在部が前記一のパネルの回転軸に対して位置する側と同じ側に位置する延在部と、を連結することで、直列配管系統が形成されている、
ことを特徴とする輻射パネル装置。
【請求項2】
前記直列配管系統は複数設けられ、
前記直列配管系統を並列に備えた並列配管群を有している、
ことを特徴とする請求項1に記載の輻射パネル装置。
【請求項3】
前記並列配管群は、前記直列配管系統を並列に接続すると共に、当該並列に接続した直列配管系統に前記熱源からの前記熱媒体を供給するヘッダ部を備え、
前記ヘッダ部は、前記パネルの揺動に伴って前記ブリッジに対して移動自在となっている、
ことを特徴とする請求項2に記載の輻射パネル装置。
【請求項4】
前記複数の直列配管系統は、前記ブリッジの長手方向の一方側から他方側に向けて前記熱媒体を前記各パネル間で流動させる第1グループと、前記ブリッジの長手方向の他方側から一方側に向けて前記熱媒体を前記各パネル間で流動させる第2グループとを含んでいる、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の輻射パネル装置。
【請求項5】
前記第1グループに属する前記パネルと、前記第2グループに属する前記パネルとが交互に並んで設けられていることを特徴とする請求項4に記載の輻射パネル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−40719(P2013−40719A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178419(P2011−178419)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】
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